説明

ソーラーパネル管理装置及びその方法

【課題】 ソーラーパネルは、表面温度の上昇、セルの部分的な劣化や損傷など品質の問題や、埃の蓄積、鳥の糞害、落ち葉の付着、黄砂などが出力低下に大きく影響する。
【解決手段】 設置されたソーラーパネルの表面状態を遠隔操作により管理するものであって、赤外線画像と可視画像を出力するカメラと、これらの画像を表示する表示装置と、これらの画像を記録する記録装置と、該カメラを取り付ける雲台を上下動可能に設けたポールと、該ポールを立設させる支持具とによって構成する。或いは、雲台を上下動可能に設けたポールを、ソーラーパネルの側方に支持具で立設させて据え付けると共に、赤外線画像と可視画像を出力するカメラを該雲台に取り付けることにより、該ポールを伸張させて該カメラを上昇させ、遠隔操作による該雲台のパン・チルト調整で、該カメラによる該ソーラーパネルの表面状態の赤外線画像と可視画像を表示する表示装置及び記録装置で管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各地に点在したソーラーパネルを巡回してその表面状態を管理する装置及びその方法に関する。本明細書中でいう管理には、設置されたソーラーパネルの表面状態を遠隔操作でカメラで見ながら点検や観察すること、カメラの出力画像を記録や保存すること、或いは取得したデータを蓄積することを含むものとする。

【背景技術】
【0002】
太陽電池によって太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電システムが、自治体や企業、一般家庭に至るまで広く普及している。太陽光発電システムは、太陽光が充分照射する屋根などにソーラーパネルを設置することによって発電させるもので、発電効率が非常に重要な要素となっている。
【0003】
ソーラーパネルの一般的な寿命は約20〜30年であり、経年的な劣化による出力低下は20年で10%以下と考えられている。ソーラーパネルの発電効率が低下する要因は種々あり、高額な投資をして設置したにも関わらず、発電効率が低ければほとんど無意味なものとなってしまう。上述した経年的な劣化は、いわばメーカーによるフィールドテストで長年蓄積したデータに基づくもので、様々な条件下で行なわれているものの、ソーラーパネル自体はほぼ完璧にメンテナンスされた状態で行なわれている。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際に設置されたソーラーパネルにおいては、経年的な劣化による出力低下の他、ソーラーパネルの表面温度の上昇、セルの部分的な劣化や損傷など品質の問題や、外的な要因として埃の蓄積、鳥の糞害、落ち葉の付着、黄砂などが出力低下に大きく影響することになる。
【0005】
このような自然環境下でしか設置せざるを得ないソーラーパネルは、屋根の上や、周囲に太陽光を遮るものがない広大な敷地などに設置されており、充分なメンテナンスを行なうことができない場合が多い。特に、出力低下が許容範囲内であれば、何等対応することなく稼働させており、最適な発電効率が得られていないのが実情であった。
【0006】
ソーラーパネルの表面温度の上昇のような発電効率低下の原因などは、冷却装置を設けるなどの方法で予め対処できるものの、上述したような稼働中に後発的な要因が生じたとしても、発電量が若干低下している程度しか把握することができず、本質的な原因や将来起こりうる可能性のある要因を容易に特定することができない状態にある。

【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は上記課題に鑑み鋭意研究した結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、装置の発明にあっては、各地に点在したソーラーパネルを巡回して管理する装置において、設置された該ソーラーパネルをその表面状態を遠隔操作により管理するものであって、赤外線画像と可視画像を出力するカメラと、これらの画像を表示する表示装置と、これらの画像を記録する記録装置と、該カメラを取り付ける雲台を上下動可能に設けたポールと、該ポールを立設させる支持具とによって構成することにある。
【0008】
また、方法の発明にあっては、各地に点在したソーラーパネルを巡回して管理する方法であって、雲台を上下動可能に設けたポールを、該ソーラーパネルの側方に支持具で立設させて据え付けると共に、赤外線画像と可視画像を出力するカメラを該雲台に取り付けることにより、該ポールを伸張させて該カメラを上昇させ、遠隔操作による該雲台のパン・チルト調整で、該カメラによる該ソーラーパネルの表面状態の赤外線画像と可視画像を表示する表示装置及び記録装置によって管理することにある。
【0009】
本明細書中でいう「ソーラーパネル」とは、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換するための装置をいう。ソーラーパネルはセルと呼ばれる小さな素子を多数平面状に配列して構成されたもので、セルに光エネルギーを吸収させることによって電圧を発生させる。このため、ソーラーパネルの表面状態が発電効率に大きく影響する。
【0010】
「カメラ」とは、多数設置したソーラーパネルの表面状態を遠隔操作により把握するためのカメラであって、本発明においては赤外線画像と可視画像を出力する装置をいう。カメラでソーラーパネルの表面状態を撮像するには、設置されたソーラーパネルの近傍にカメラを据え付ける必要があり、本発明においてはカメラを搬送可能なポールに設けることによって撮像する。
【0011】
「ポール」とは、カメラを取り付ける雲台を備えたもので、該雲台を上下動可能に支持する装置をいう。雲台に取り付けたカメラの上下動は、テレスコピックに構成したポールの伸縮によって行なう。また、カメラを首振りさせる雲台のパン・チルト操作は、ボタンコントローラなどで遠隔操作する。遠隔操作としては、雲台とボタンコントローラ等とを有線や無線で接続する。有線の場合は、コードをポールの内部を通すようにしてもよい。
【0012】
このポールをソーラーパネルの側方に支持具で据え付けることにより、屋根などに設置されているソーラーパネルでも、屋根に登ることなく地上から操作して映像を確認して点検することができる。
【0013】
「表示装置」とは、遠隔操作によってカメラで撮影した赤外線画像及び/又は可視画像を表示するための装置であって、CRTや液晶ディスプレイなどをいう。本発明においては、表示装置に表示させた画像による直接的な点検の他、これらの画像を記録装置に記録して長期に渡るソーラーパネルの変遷で管理する。記録装置としては、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えたビデオカメラ、DVDレコーダなど画像を保存できるものであればよい。
【0014】
ソーラーパネルの表面状態の画像では、可視画像で上述したようにソーラーパネル表面に埃やゴミ、鳥の糞、落ち葉などが付着している場合、容易にこれを識別することができる。また、赤外線画像でソーラーパネルの各部の表面温度を把握することができる。カメラと表示装置や記録装置も有線や無線で接続する。
【0015】
特に、赤外線画像ではソーラーパネルの固有の現象であるホットスポット現象を識別することが可能となる。ホットスポット現象は、セルの一部が発熱する現象であり、抵抗を持って効率低下を招いたり破損に至る場合がある。これは、ソーラーパネルの一部に陰になった状態が続くと、その部分のセルが発熱するためであり、発熱が常態化することによって生じる。ソーラーパネルのハンダ不良など製造上の問題や、鳥の糞、落ち葉の付着などもホットスポット現象が発生する要因となる。

【発明の効果】
【0016】
本発明に係るソーラーパネル管理装置及びその方法は、雲台を備えたポールにカメラを取り付けて据え付けることにより、ソーラーパネルの管理が極めて容易となる。特に、高所等に設置されているソーラーパネルでもカメラを地上で操作しながら撮像することができ、安全且つ迅速な管理が可能となる。
【0017】
また、ソーラーパネルの表面状態を撮像するカメラは、赤外線画像と可視画像を表示装置で表示させるため、全体的な目視観察やソーラーパネル表面の温度分布の識別が容易となり、ホットスポット現象など発電効率が低下する原因をより確実に把握することができるなど極めて有益な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るソーラーパネル管理装置の一実施例を示す概略図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るソーラーパネル管理装置の一実施例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るソーラーパネル管理装置及びその方法は、雲台を備えたポールにカメラを取り付けて据え付けることにより、該カメラの上下動、パン・チルト操作によって、設置したソーラーパネルの表面状態を赤外線画像と可視画像を表示装置で表示して点検したり、記録装置にデータを蓄積して管理することで上記課題を解決した。

【実施例1】
【0020】
本発明に係るソーラーパネル管理装置1は、図1に示すように、カメラCと、該カメラCで撮像した赤外線画像及び/又は可視画像を表示する表示装置及び記録装置としてノートパソコンPCと、カメラCを取り付ける雲台21を備え伸縮可能なテレスコピック状のポール2とによって構成している。カメラCをパン・チルトさせる雲台21の操作は、ボタンコントローラ3によって手元で遠隔操作し、カメラCの制御はノートパソコンPCで行なう。本例のカメラCはビデオカメラであり、ポール2を支持する支持具22は折り畳み可能にポール2に設けている。
【0021】
本発明に係るソーラーパネル管理装置1の使用状態は、図2に示すように、2階建て家屋の屋根Rに設置されているソーラーパネルPの管理を行なうため、ポール2の雲台21にカメラCを取り付けて据え付ける。そして、ポール2を伸張させてカメラCを上昇させ、ボタンコントローラ3で雲台21を操作して該カメラCをパン・チルトさせる。このようにして撮像したソーラーパネルPの表面状態を赤外線画像と可視画像をノートパソコンPCに表示及びデータとして保存することによって管理する。
【0022】
このように本発明に係るソーラーパネル管理方法は、カメラCを取り付けたポール2をソーラーパネルPの周辺に据え付けるだけでよいため、簡単確実にソーラーパネルPの表面状態をデータとして取得することができ、各地のソーラーパネルPの管理を巡回しながら行なうことが可能となる。

【符号の説明】
【0023】
1 ソーラーパネル管理装置
2 ポール
21 雲台
22 支持具
3 ボタンコントローラ
C カメラ
PC ノートパソコン
P ソーラーパネル
R 屋根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地に点在したソーラーパネルを巡回して管理する装置において、設置された該ソーラーパネルをその表面状態を遠隔操作により管理するものであって、赤外線画像と可視画像を出力するカメラと、これらの画像を表示する表示装置と、これらの画像を記録する記録装置と、該カメラを取り付ける雲台を上下動可能に設けたポールと、該ポールを立設させる支持具とによって構成したことを特徴とするソーラーパネル管理装置。
【請求項2】
各地に点在したソーラーパネルを巡回して管理する方法であって、雲台を上下動可能に設けたポールを、該ソーラーパネルの側方に支持具で立設させて据え付けると共に、赤外線画像と可視画像を出力するカメラを該雲台に取り付けることにより、該ポールを伸張させて該カメラを上昇させ、遠隔操作による該雲台のパン・チルト調整で、該カメラによる該ソーラーパネルの表面状態の赤外線画像と可視画像を表示する表示装置及び記録装置によって管理することを特徴とするソーラーパネル管理方法。

【図1】
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【図2】
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