ゾヌリンを決定することによる、処置養生法の有効性を評価するための方法
本発明は、処置の効果を評価するための材料および方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、処置を受けた被験体の血清ゾヌリンレベルを測定することにより腹腔疾患のための処置の効果を評価する方法を提供する。本発明は特に、状態の処置の有効性を、そのような処置を必要とする被験体において評価する方法であって、該被験体からサンプルを得る工程;および該サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程、を包含する方法を提供する。このような方法は、代表的には、上記被験体からサンプルを得る工程、およびこのサンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含する。サンプルは、当業者に公知の任意のタイプであり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年5月13日に出願された米国仮特許出願番号第60/680,868号への優先権を主張し、その内容は、参考として本明細書中に詳細に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、診断および治療様式の評価の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
哺乳動物上皮は、接着結合(TJ)とも称される閉鎖帯(ZO)と称される構造物を含む。これらの構造物は、上皮を通る物質の通過を上皮細胞間のスペース(傍細胞経路)への通路を制御することにより調節する。上皮を支配する多くの多様な生理学的挑戦および病理学的挑戦に遭遇するため、接着接合または閉鎖帯は、複合調節システムの存在を必要とする、迅速、生理学的、可逆的、一時的、エネルギー依存性で、そして協調的な応答ができなければならない。接着接合を含む内皮の例として、制限されないが、腸(特に小腸)、および血液脳関門が挙げられる。
【0004】
刺激の非存在下では、接着結合は閉鎖され、傍細胞経路への通路を制限する。刺激の存在下では、接着接合は、可逆的に開放される。特許文献1および特許文献2では、哺乳動物接着結合の生理学的モジュレーターとして機能する新規哺乳動物タンパク質が同定され、そして精製された。「ゾヌリン」と称されるこれらの哺乳動物タンパク質は、哺乳動物接着結合の生理学的エフェクターとして機能する。特定の細菌は、接着結合の開放を刺激する毒素を有することが示されている。Vibrio choleraeは、接着結合の開放を引き起こすことが示された毒素(閉鎖帯毒素、ZOT)を産生する。最初の264アミノ酸が欠失し、そして6つのヒスチジン精製タグで置換されたZOTのN末端欠失、6His−ΔGは、接着結合を開放する能力を保持していることが示されている。
【0005】
腸接着結合の機能不全は、自己免疫疾患、ならびに食物アレルギー、腸感染、吸収不良症候群(例えば、セリアック病)、および炎症性大腸疾患を含む胃腸管に影響する種々の臨床状態で生じる。健常な、その完全な接着結合をもつ成熟消化管粘膜は、高分子の通過に対する主要な障壁として供される。健常状態の間では、小量の免疫学的に活性なタンパク質が、消化管宿主障壁を横切る。未熟にともなうか、または照射曝露、化学療法、および/または毒素への曝露後のように、接着結合システムの完全性が損なわれるとき、(自己免疫疾患および食物アレルギーを含む)周囲抗原に対する有害な応答が生じ得る。
【0006】
セリアック病(CD)は、グルテン(小麦、ライ麦、および大麦中に見出されるタンパク質)の摂取が、腸の接着結合の透過性における異常増加を生じる状態である。セリアック病は、その他の自己免疫疾患(AD)と関連付けられ得ることが周知である。しかし、その他のADのCD関連リスクが継続するグルテン摂取に関連しているか否か、または単に一般的な遺伝的背景に依存しているか否かはなお不明瞭である。目下のところ、セリアック病のために利用可能な唯一の処置は、グルテンを含まない治療食(GFD)である。
【特許文献1】米国特許第5,945,510号明細書
【特許文献2】米国特許第5,948,629号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異常上皮透過性に関連する疾患を処置する際の治療薬の効果を評価するために、この疾患の進行とともに変化するマーカーを有することが有用であり得る。腸透過性の調節の原因であるゾヌリンは、CD、および1型糖尿病のようなその他のADでは上方制御される。本発明は、ゾヌリンが異常上皮透過性に関連する疾患を処置する際の治療薬の効果を評価するマーカーとして供され得ることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、処置の有効性を評価するための材料および方法を提供する。従って、1つの実施形態では、本発明は、状態の処置の有効性を、そのような処置を必要とする被験体において評価する方法を提供する。このような方法は、代表的には、上記被験体からサンプルを得る工程、およびこのサンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含する。サンプルは、当業者に公知の任意のタイプであり得る。1つの実施形態では、サンプルは血液サンプルであり得る。サンプルは、当業者に周知の方法によって処理され得る。1つの実施形態では、本発明の方法は、上記サンプルから血清を単離する工程、およびこの血清中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含し得る。
【0009】
本発明は、広範な種類の状態の処置を評価するために用いられ得る。代表的には、本発明は、異常な接着結合透過性によって特徴付けられる状態の処置を評価するために用いられ得る。従って、本発明は、上皮透過性における増加と関連する状態のための処置の有効性を評価するために用いられ得る。評価され得る状態の処置として、制限されないが、自己免疫疾患の処置、セリアック病の処置、セリアック病関連疾患の処置が挙げられる。
【0010】
1つの実施形態では、本発明の方法は、1つ以上の抗体の使用を含む方法、例えば、ELISAによって、サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含し得る。1つの実施形態では、本発明の方法は、上記サンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第1の抗体と接触させる工程、結合したサンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第2の抗体と接触させる工程、および結合した第2の抗体の存在を検出する工程を包含し得る。このような方法では、上記第1の抗体は、固体支持体、例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート中のウェルに固定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起され得、例えば、この第1の抗体は、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起され得る。閉鎖帯毒素の任意の適切なフラグメントを含むタンパク質、例えば、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質が使用され得る。1つの実施形態では、閉鎖帯毒素の適切なフラグメントを含むタンパク質は、上記ΔGフラグメントが、N末端6ヒスチジンタグを含むタンパク質であり得る。本発明のいくつかの方法では、少なくとも1つの抗体は、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起され得、例えば、第2の抗体は、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起され得る。第2の抗体は、1つ以上の検出可能な部分を含み得る。1つの実施形態では、上記第2の抗体は、ビオチンを含み得る。
【0011】
1つの詳細な実施形態では、本発明は、セリアック病のための処置の効果を、そのような処置を必要とする被験体中において評価するための方法を提供する。このような方法は、この被験体からサンプルを得る工程;およびこのサンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、上記サンプルは、血液サンプルであり得る。このような方法は、上記サンプルから血清を単離する工程;およびこの血清中のゾヌリン濃度を決定する工程をさらに包含し得る。いくつかの実施形態では、ゾヌリンリ濃度を決定する工程は、第1の抗体を固体支持体に固定する工程、サンプル中のゾヌリンを上記第1の抗体に結合させる条件下で、この第1の抗体をサンプルと接触させる工程、結合したゾヌリンを、第2の抗体と、この第2の抗体が上記第1の抗体に結合したゾヌリンを結合する条件下で接触する工程、およびこの結合した第2の抗体を検出する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、上記第2の抗体は、検出可能な部分を含み得る。検出可能な部分は、直接検出可能であり得る(例えば、この部分が蛍光基である場合)。本発明のいくつかの実施形態では、検出可能な部分は、この検出可能な部分に結合する試薬と接触され得る。例えば、検出可能な部分は、ビオチンであり得、そしてビオチンに結合する試薬(例えば、アルカリホスファターゼのような酵素に結合されたアビジンまたはストレプトアビジン)が添加され得る。検出可能な部分に結合する試薬が酵素を含むとき、本発明の方法は、代表的には、結合した試薬にこの酵素のための基質を添加する工程、および生成物を検出することによるか、または基質の減少を検出することによるかのいずれかによって、この基質の生成物への変換を検出する工程を包含する。
【0012】
本発明はまた、状態の処置(例えば、セリアック病の処置)の有効性を評価するためのキットを企図する。このようなキットは、代表的には、ゾヌリンを検出するための手段を備える。ゾヌリンを検出するための手段は、1つ以上の抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体を含み得、それ故、本発明のキットは、1つ以上の抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体を含む1つ以上の容器を備え得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、抗体を含む容器を含み得る。このような抗体は、抗IgG抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体、および/または抗IgE抗体であり得る。本発明のキットにおける使用のための抗体は、1つ以上の検出可能な部分を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、ゾヌリンおよび/またはΔGを含む容器を備え得る。本発明のキットは、1つ以上の自己抗体のタンパク質結合パートナーを含み得る。例えば、本発明のキットは1つ以上のヒトトランスグルタミナーゼ(tTG)、エンドマイシアル(EMA)、チロシンホスフェート(IA−2)、サイロイドペルオキシダーゼ(TPO)、サイログロブリン(TG)、島細胞またはそれ由来のタンパク質、インシュリン、またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を含む1つ以上の容器を備え得る。
【0013】
本発明はまた、セリアック病の処置の有効性を評価するためのキットを企図する。このようなキットは、代表的には、ゾヌリンを検出するための手段区を含む。ゾヌリンを検出するための手段は、抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体の1つ以上を含み得、それ故、本発明のキットは、1つ以上の抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体を含む1つ以上の容器を備え得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、抗体を含む容器を含み得る。このような抗体は、抗IgG抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体、および/または抗IgE抗体であり得る。本発明のキットにおける使用のための抗体は、1つ以上の検出可能な部分を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、ゾヌリンを含む容器および/またはΔGを含む容器を備え得る。本発明のキットは、自己抗体の1つ以上のタンパク質結合パートナーを含み得る。例えば、本発明のキットは、1つ以上のヒトトランスグルタミナーゼ(tTG)、エンドマイシアル(EMA)、チロシンホスフェート(IA−2)、サイロイドペルオキシダーゼ(TPO)、チログロブリン(TG)、島細胞またはそれ由来のタンパク質、インシュリン、またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を含む1つ以上の容器を備え得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で用いられるとき、被験体は、処置を受ける任意の動物、例えば、哺乳動物である。被験体は、制限されないで、ヒトを含む。
【0015】
当業者は、本発明が、上昇した血清ゾヌリンレベルによって特徴付けられる任意の疾患の処置の有効性を評価するために用いられ得ることを認識する。特に、本発明は、血清ゾヌリンレベルにおける増加に関連する自己免疫疾患、例えば、セリアック病、原発性胆汁性肝硬変、および変性性脊髄障害の処置の有効性を評価するために用いられ得る。
【0016】
本発明の材料および方法は、セリアック病の処置の有効性を評価するために用いられ得る。例えば、血清ゾヌリンレベルは、処置養生法の開始の前、またはそれと同時に、セリアック病の処置の必要な被験体について決定され得る。処置の経過の間および/またはその後の適切な時間に、1つ以上のさらなる血清ゾヌリンレベルが決定され得、そして処置の開始に得られた血清ゾヌリンレベルと比較される。それ故、本発明のいくつかの実施形態では、本発明の方法は、処置を受けるか、または処置を受けた被験体からサンプルの繰り返し採取をともない得、そしてこれらサンプル中のゾヌリンレベルを決定する。本発明の方法はまた、上記サンプル中のゾヌリンレベルを、同じ被験体(例えば、処置の開始に採取されたサンプルから)、または異なる供給源からであり得る参照サンプルのゾヌリンレベルとの比較を伴い得る。血清ゾヌリンレベルにおける減少は、上記状態の改善の指標であり、そして上記処置が有効であることを示す。
【0017】
本発明の材料および方法は、セリアック病に関連する疾患の処置の有効性を評価するために用いられ得る。当業者は、多くの疾患が、セリアック病と関連し(例えば、LeeおよびGreen、Current Opinion in Rheumatology 2006、18:101〜107の104頁にある表1を参照のこと)、そして本発明の材料および方法が、セリアック病関連疾患の処置の有効性を評価するために用いられ得ることを知っている。セリアック病と関連する疾患は、末梢神経障害、小脳性運動失調、てんかんおよび片頭痛のような神経学的疾患;1型糖尿病、自己免疫性甲状腺障害、アジソン病、および円形脱毛症のような内分泌疾患;特発性拡張型心筋症および自己免疫性心筋炎のような心臓疾患;原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、および自己免疫性胆管炎のような肝臓疾患;オリゴ関節性関節炎、若年性関節炎、全身エリテマトーデス、およびシューグレン症候群のようなリウマチ学的疾患;および貧血、骨粗しょう症または骨減少症、ターナー症候群、ダウン症候群、歯のエナメル質の欠陥、サルコイドーシス、乳糖不耐症、疱疹状皮膚炎(焼けるような、かゆい、水ぶくれ発疹)およびその他の皮膚障害、原因不明の不妊症、流産、および再発性急性膵炎を含む。
【0018】
本発明の材料および方法は、制限されないが、自己免疫疾患を含む種々の状態のための処置の有効性を評価するために用いられ得る。自己免疫疾患の例として、制限されないで、IgA神経障害、ヴェーゲナー肉芽腫症、多発性硬化症、強皮症、全身性硬化症、慢性関節リウマチ、クローン病、エリテマトーデス、橋本甲状腺炎(異常に不活発な甲状腺)、グレーヴズ病(過度に活発な甲状腺)、自己免疫性内耳疾患、水疱性類天疱瘡、ドヴィック症候群、グッドパスチャー症候群、ランバート−イートン症候群(LEMS)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、新生物随伴性症候群、および多腺自己免疫症候群(PGA)が挙げられる。
【0019】
本発明の材料および方法は、増加した腸透過性を生じる胃腸管炎症の処置の有効性を評価するために用いられ得る。それ故、本発明は、例えば、蛋白喪失性腸症を引き起こす腸状態の処置の評価で有用である。蛋白喪失性腸症は、以下に起因して生じ得る:
感染、例えば、Clostridium difficile感染、腸炎、細菌性赤痢、ウイルス胃腸炎、寄生生物外寄生、細菌過剰増殖、ホウィップル病;
粘膜びらんまたは潰瘍、例えば、胃炎、胃癌、コラーゲン蓄積大腸炎、炎症性大腸疾患;および
潰瘍なしの粘膜疾患、例えば、メネトリエ症候群、セリアック病、好酸球性胃腸炎。
【0020】
本発明はまた、処置の有効性を評価するためのキット、および、例えば、血清からのゾヌリン濃度を決定するためのキットを含む。本発明のキットは、代表的には、本発明の実施で有用な1つ以上の試薬を含む1つ以上の容器を含む。本発明の実施で有用な試薬は、制限されないで、緩衝液、緩衝塩類、金属イオン、色原体化合物、抗体、酵素、蛍光化合物などを含む。本発明のキットは、ゾヌリン、ΔG、または基準となるスタンダードとして用いられ得るその他の化合物を含む1つ以上の容器を含み得る。本発明のキットは、1つ以上の抗体を含む容器を含み得、ここで、これら抗体は、検出可能な部分に結合体化される。検出可能な部分は、当業者に公知である、例えば、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ)、その他のタンパク質(例えば、グリーン蛍光タンパク質)、光学的に検出可能な化合物(例えば、蛍光物質、発色団)、結合ペアのメンバー(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン)、または当業者に公知の任意のその他の検出可能な部分のいずれかであり得る。本発明のキットが酵素を含むとき、このようなキットは、この酵素のための基質を含む1つ以上の容器を含み得る。
【0021】
以下の実施例は、例示目的のみのために提供され、そしていかなる様式においても、本発明の範囲を制限する意図はない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
(患者および方法:)
患者は、CDと診断された54人の患者であった(20人の男性および34人の女性;平均年齢:39歳;生検で証明:42/54)。AD関連性は、8人の被験体で見出された(2人は1型糖尿病、1人はグレーヴズ病、5人は慢性関節リウマチ)。
【0023】
血清サンプルを、診断時、およびGFD(範囲10〜49)の17ヶ月の平均期間後集めた。すべての血清サンプルを、CD(抗トランスグルタミナーゼ−tTG、抗−筋内膜−EMA)、1型糖尿病(IA−2:チロシンホスファターゼ、IAA:抗−インシュリン抗体、GAD:グルタミン酸デカルボキシラーゼ)、甲状腺炎(TPO:甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、TG:甲状腺グロブリン抗体)に関連する自己抗体、およびゾヌリンレベルについて測定した。
【0024】
サンドイッチ酵素連結イムノソルベントアッセイによる血清ゾヌリン測定。ゾヌリンサンドイッチ酵素連結イムノソルベントアッセイ(ELISA)は、El Azmarら、Gastroenterology 123:1607〜1615、2002を、わずかに改変して記載されるように実施した。
【0025】
簡単に述べれば、プラスチックマイクロタイタープレート(Costar、Cambridge、MA)を、ウサギゾヌリン交差反応抗閉鎖帯毒素(Zot)誘導体ΔG IgG抗体で被覆した(0.1mol/l炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.0中10μg/ml)。これらの抗体は、標準的なプロトコールを用いてΔGでウサギを免疫化することにより調製された。
【0026】
4℃における一晩のインキュベーションの後、プレートをTris緩衝化生理食塩水0.05%Tween 20(TBS−T)中で4回洗浄し、そしてTBS−Tとともに37℃で1時間のインキュベーションによってブロックした。4回のTBS−T洗浄の後、5つの一連のΔG標準(50、25、12.5、6.2、3.1、および0ng/ml)および患者血清サンブル(TBS−T中1:101希釈)を添加し、そして4℃で一晩インキュベートした。Tris緩衝化生理食塩水0.2%Tween 20緩衝液で4回洗浄した後、プレートを、ビオチン化抗−Zot IgG抗体(米国特許番号第5,945,510号)と4℃4時間インキュベートし、そしてストレプトアビジン結合体化アルカリホスファターゼと接触させた。色反応を、市販キット(ELISA増幅キット;Invitrogen)を用いることにより発色させた。495nmにおける吸光度を、マイクロプレート自動読み取り器(Molecular Devices Thermomax Microplate Reader)で測定した。
【0027】
自己抗体は、市販され入手可能なキット:抗−(ヒト)−トランスグルタミナーゼ(抗−tTG)酵素連結イムノソルベントアッセイ(ELISA)、Scimedx Corporation、NJ;サルの食道からの組織を用いる、抗−筋内膜(抗−EMA)間接免疫蛍光抗体アッセイ(IFA)、Scimedx Corporation、NJ;抗−チロシンホスファターゼ(抗IA−2)ラジオイムノアッセイ(RIA)、Kronus Boise Research Center、Idaho、抗−甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗−TPO)酵素免疫アッセイ(EIA)、Scimedx Corporation、NJ;抗−甲状腺グロブリン(抗−TG)EIA、Scimedx Corporation、NJ;サルの膵臓からの組織を用いる、抗−島細胞抗体(抗−ICA)IFA、Scimedx Corporation、NJ、抗−インシュリン抗体(IAA)RIA、Kronus Boise Research Center、Idaho;および抗−グルタミン酸デカルボキシラーゼ(抗−GAD)RIA、Kronus Boise Research Center、Idahoを用いて検出した。
【0028】
CD診断を有する患者は、76%に増加した血清ゾヌリンを示し、そして自己抗体は、39%(TPO:21.7%、TG 19.6%、GAD 6.5%、ICA 4.4%およびIA−2 2.5%)検出された。GFD後、EMAおよびゾヌリンは、患者の13%で、そしてtTGは被験体の35%で改変されたままであった。いくつかの自己抗体は減少し(TPO:10.9%、GAD4.4%)、その一方、他は変わらないままであった(TG 23.9%、ICA 4.4%、およびIA−2 2.2%)。53人の患者のうち7人は、GFDを開始しなかった。これらの被験体は、改変されたゾヌリン、EMA、およびtTGを有し、そしてそれらの14%は、自己抗体陽性であった。これらの被験体では、ゾヌリンレベルおよび血清自己抗体の両方は追跡評価で変化しなかった。
結論:非処置CDは、代表的には、ゾヌリン上方制御、および血清自己抗体の増加した罹患率を示す。GFDでの処置後、血清ゾヌリンレベルは、いくつかの自己抗体(特にTPO)の減少した罹患率をともなう状況に正常化する傾向にある。これらの結果は、腸障壁機能の回復が、関連する自己免疫現象のリスクを低減し得ることを間接的に示唆している。これらの結果はまた、上記GFDが初期(30歳より若い年齢)に履行されると、自己抗体が血清変換し、CDが初期に診断され、そしてGFDが開始される場合、自己免疫共存症に対する可能な保護的役割を示唆している。
【0029】
(実施例2)
図17は、示された自己免疫疾患、HC(健常コントロール)、CD(セリアック病)、AIH(自己免疫性肝炎)、PBC(原発性胆汁性肝硬変)、DM(変性性脊髄障害)、APS−1(1型自己免疫多腺症候群)、MS(多発性硬化症)をもつ患者から得られた血清中の血清ゾヌリンレベルアッセイの結果を示す。セリアック病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変および変性性脊髄障害は、すべて高められた血清ゾヌリンレベルと関連している。
【0030】
本発明を詳細に、そしてその特定の実施形態を詳細に説明したが、その特定の実施形態に関して種々の変更および改変がそれらの中で、それらの思想および範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者に明らかであり、そしてそのような変更および改変は、添付の請求項の範囲内で実施され得る。本明細書中のすべての特許および刊行物は、あたかも、各々の個々の刊行物がそれらの全体が参考として援用されて詳細かつ個々に示されるのと同じ程度まで参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、GFD治療食に従ったセリアック病患者からのセリアック病バイオマーカーについてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図2】図2は、GFD治療食に従う、セリアック病患者からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図3】図3は、GFD治療食に従わなかった、セリアック病患者からのセリアック病バイオマーカーについてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、GFD治療食に従わなかった、セリアック病患者からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図5】図5は、予め存在する自己免疫(AI)状態(1型糖尿病、グレーヴズ病または慢性関節リウマチ)に関連する自己抗体の罹患率を示す関連AI状態を有する被験体からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図6】図6は、予め存在する自己免疫(AI)状態(1型糖尿病、グレーヴズ病または慢性関節リウマチ)に関連する自己抗体の罹患率を示す関連AI状態を有する被験体からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図7】図7は、GFDに応答した被験体における甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)に対する自己抗体についてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図8】図8は、GFDに応答し、そして最初にTPO自己抗体を有していた被験体中のゾヌリンについてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図9】図9は、GFDに応答した被験体中の甲状腺ペルオキシダーゼ(TG)に対する自己抗体についてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図10】図10は、GFDに応答し、そして最初にTG自己抗体を有していた被験体中の血清ゾヌリンレベルについてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図11】図11は、GFDに応答した被験体中の島細胞(ICA)に対する自己抗体のアッセイについての結果を示す線グラフである。
【図12】図12は、GFDに応答し、そして最初にICA自己抗体を有していた被験体中の血清ゾヌリンレベルのアッセイについての結果を示す線グラフである。
【図13】図13は、GFDに応答した被験体中のグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)に対する自己抗体についてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図14】図14は、GFDに応答し、そして最初にGAD自己抗体を有していた被験体中の血清ゾヌリンレベルについてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図15】図15は、HLAタイプに関連する自己抗体について陽性であると試験された被験体の%を示すπチャートである。
【図16】図16は、被験体の年齢に関連する自己抗体の罹患率を示す棒グラフである。
【図17】図17は、示された自己免疫疾患、HC(健常コントロール)、CD(セリアック病)、AIH(自己免疫性肝炎)、PBC(原発性胆汁性肝硬変)、DM(変性性脊髄障害)、APS−1(1型自己免疫多腺症候群)、MS(多発性硬化症)をもつ患者から得られた血清中の血清ゾヌリンレベルアッセイの結果を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年5月13日に出願された米国仮特許出願番号第60/680,868号への優先権を主張し、その内容は、参考として本明細書中に詳細に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、診断および治療様式の評価の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
哺乳動物上皮は、接着結合(TJ)とも称される閉鎖帯(ZO)と称される構造物を含む。これらの構造物は、上皮を通る物質の通過を上皮細胞間のスペース(傍細胞経路)への通路を制御することにより調節する。上皮を支配する多くの多様な生理学的挑戦および病理学的挑戦に遭遇するため、接着接合または閉鎖帯は、複合調節システムの存在を必要とする、迅速、生理学的、可逆的、一時的、エネルギー依存性で、そして協調的な応答ができなければならない。接着接合を含む内皮の例として、制限されないが、腸(特に小腸)、および血液脳関門が挙げられる。
【0004】
刺激の非存在下では、接着結合は閉鎖され、傍細胞経路への通路を制限する。刺激の存在下では、接着接合は、可逆的に開放される。特許文献1および特許文献2では、哺乳動物接着結合の生理学的モジュレーターとして機能する新規哺乳動物タンパク質が同定され、そして精製された。「ゾヌリン」と称されるこれらの哺乳動物タンパク質は、哺乳動物接着結合の生理学的エフェクターとして機能する。特定の細菌は、接着結合の開放を刺激する毒素を有することが示されている。Vibrio choleraeは、接着結合の開放を引き起こすことが示された毒素(閉鎖帯毒素、ZOT)を産生する。最初の264アミノ酸が欠失し、そして6つのヒスチジン精製タグで置換されたZOTのN末端欠失、6His−ΔGは、接着結合を開放する能力を保持していることが示されている。
【0005】
腸接着結合の機能不全は、自己免疫疾患、ならびに食物アレルギー、腸感染、吸収不良症候群(例えば、セリアック病)、および炎症性大腸疾患を含む胃腸管に影響する種々の臨床状態で生じる。健常な、その完全な接着結合をもつ成熟消化管粘膜は、高分子の通過に対する主要な障壁として供される。健常状態の間では、小量の免疫学的に活性なタンパク質が、消化管宿主障壁を横切る。未熟にともなうか、または照射曝露、化学療法、および/または毒素への曝露後のように、接着結合システムの完全性が損なわれるとき、(自己免疫疾患および食物アレルギーを含む)周囲抗原に対する有害な応答が生じ得る。
【0006】
セリアック病(CD)は、グルテン(小麦、ライ麦、および大麦中に見出されるタンパク質)の摂取が、腸の接着結合の透過性における異常増加を生じる状態である。セリアック病は、その他の自己免疫疾患(AD)と関連付けられ得ることが周知である。しかし、その他のADのCD関連リスクが継続するグルテン摂取に関連しているか否か、または単に一般的な遺伝的背景に依存しているか否かはなお不明瞭である。目下のところ、セリアック病のために利用可能な唯一の処置は、グルテンを含まない治療食(GFD)である。
【特許文献1】米国特許第5,945,510号明細書
【特許文献2】米国特許第5,948,629号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異常上皮透過性に関連する疾患を処置する際の治療薬の効果を評価するために、この疾患の進行とともに変化するマーカーを有することが有用であり得る。腸透過性の調節の原因であるゾヌリンは、CD、および1型糖尿病のようなその他のADでは上方制御される。本発明は、ゾヌリンが異常上皮透過性に関連する疾患を処置する際の治療薬の効果を評価するマーカーとして供され得ることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、処置の有効性を評価するための材料および方法を提供する。従って、1つの実施形態では、本発明は、状態の処置の有効性を、そのような処置を必要とする被験体において評価する方法を提供する。このような方法は、代表的には、上記被験体からサンプルを得る工程、およびこのサンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含する。サンプルは、当業者に公知の任意のタイプであり得る。1つの実施形態では、サンプルは血液サンプルであり得る。サンプルは、当業者に周知の方法によって処理され得る。1つの実施形態では、本発明の方法は、上記サンプルから血清を単離する工程、およびこの血清中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含し得る。
【0009】
本発明は、広範な種類の状態の処置を評価するために用いられ得る。代表的には、本発明は、異常な接着結合透過性によって特徴付けられる状態の処置を評価するために用いられ得る。従って、本発明は、上皮透過性における増加と関連する状態のための処置の有効性を評価するために用いられ得る。評価され得る状態の処置として、制限されないが、自己免疫疾患の処置、セリアック病の処置、セリアック病関連疾患の処置が挙げられる。
【0010】
1つの実施形態では、本発明の方法は、1つ以上の抗体の使用を含む方法、例えば、ELISAによって、サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含し得る。1つの実施形態では、本発明の方法は、上記サンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第1の抗体と接触させる工程、結合したサンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第2の抗体と接触させる工程、および結合した第2の抗体の存在を検出する工程を包含し得る。このような方法では、上記第1の抗体は、固体支持体、例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート中のウェルに固定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起され得、例えば、この第1の抗体は、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起され得る。閉鎖帯毒素の任意の適切なフラグメントを含むタンパク質、例えば、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質が使用され得る。1つの実施形態では、閉鎖帯毒素の適切なフラグメントを含むタンパク質は、上記ΔGフラグメントが、N末端6ヒスチジンタグを含むタンパク質であり得る。本発明のいくつかの方法では、少なくとも1つの抗体は、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起され得、例えば、第2の抗体は、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起され得る。第2の抗体は、1つ以上の検出可能な部分を含み得る。1つの実施形態では、上記第2の抗体は、ビオチンを含み得る。
【0011】
1つの詳細な実施形態では、本発明は、セリアック病のための処置の効果を、そのような処置を必要とする被験体中において評価するための方法を提供する。このような方法は、この被験体からサンプルを得る工程;およびこのサンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、上記サンプルは、血液サンプルであり得る。このような方法は、上記サンプルから血清を単離する工程;およびこの血清中のゾヌリン濃度を決定する工程をさらに包含し得る。いくつかの実施形態では、ゾヌリンリ濃度を決定する工程は、第1の抗体を固体支持体に固定する工程、サンプル中のゾヌリンを上記第1の抗体に結合させる条件下で、この第1の抗体をサンプルと接触させる工程、結合したゾヌリンを、第2の抗体と、この第2の抗体が上記第1の抗体に結合したゾヌリンを結合する条件下で接触する工程、およびこの結合した第2の抗体を検出する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、上記第2の抗体は、検出可能な部分を含み得る。検出可能な部分は、直接検出可能であり得る(例えば、この部分が蛍光基である場合)。本発明のいくつかの実施形態では、検出可能な部分は、この検出可能な部分に結合する試薬と接触され得る。例えば、検出可能な部分は、ビオチンであり得、そしてビオチンに結合する試薬(例えば、アルカリホスファターゼのような酵素に結合されたアビジンまたはストレプトアビジン)が添加され得る。検出可能な部分に結合する試薬が酵素を含むとき、本発明の方法は、代表的には、結合した試薬にこの酵素のための基質を添加する工程、および生成物を検出することによるか、または基質の減少を検出することによるかのいずれかによって、この基質の生成物への変換を検出する工程を包含する。
【0012】
本発明はまた、状態の処置(例えば、セリアック病の処置)の有効性を評価するためのキットを企図する。このようなキットは、代表的には、ゾヌリンを検出するための手段を備える。ゾヌリンを検出するための手段は、1つ以上の抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体を含み得、それ故、本発明のキットは、1つ以上の抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体を含む1つ以上の容器を備え得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、抗体を含む容器を含み得る。このような抗体は、抗IgG抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体、および/または抗IgE抗体であり得る。本発明のキットにおける使用のための抗体は、1つ以上の検出可能な部分を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、ゾヌリンおよび/またはΔGを含む容器を備え得る。本発明のキットは、1つ以上の自己抗体のタンパク質結合パートナーを含み得る。例えば、本発明のキットは1つ以上のヒトトランスグルタミナーゼ(tTG)、エンドマイシアル(EMA)、チロシンホスフェート(IA−2)、サイロイドペルオキシダーゼ(TPO)、サイログロブリン(TG)、島細胞またはそれ由来のタンパク質、インシュリン、またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を含む1つ以上の容器を備え得る。
【0013】
本発明はまた、セリアック病の処置の有効性を評価するためのキットを企図する。このようなキットは、代表的には、ゾヌリンを検出するための手段区を含む。ゾヌリンを検出するための手段は、抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体の1つ以上を含み得、それ故、本発明のキットは、1つ以上の抗ΔG抗体、ビオチン化抗ΔG抗体、抗−ZOT抗体、およびビオチン化抗−ZOT抗体を含む1つ以上の容器を備え得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、抗体を含む容器を含み得る。このような抗体は、抗IgG抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体、および/または抗IgE抗体であり得る。本発明のキットにおける使用のための抗体は、1つ以上の検出可能な部分を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、ゾヌリンを含む容器および/またはΔGを含む容器を備え得る。本発明のキットは、自己抗体の1つ以上のタンパク質結合パートナーを含み得る。例えば、本発明のキットは、1つ以上のヒトトランスグルタミナーゼ(tTG)、エンドマイシアル(EMA)、チロシンホスフェート(IA−2)、サイロイドペルオキシダーゼ(TPO)、チログロブリン(TG)、島細胞またはそれ由来のタンパク質、インシュリン、またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を含む1つ以上の容器を備え得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で用いられるとき、被験体は、処置を受ける任意の動物、例えば、哺乳動物である。被験体は、制限されないで、ヒトを含む。
【0015】
当業者は、本発明が、上昇した血清ゾヌリンレベルによって特徴付けられる任意の疾患の処置の有効性を評価するために用いられ得ることを認識する。特に、本発明は、血清ゾヌリンレベルにおける増加に関連する自己免疫疾患、例えば、セリアック病、原発性胆汁性肝硬変、および変性性脊髄障害の処置の有効性を評価するために用いられ得る。
【0016】
本発明の材料および方法は、セリアック病の処置の有効性を評価するために用いられ得る。例えば、血清ゾヌリンレベルは、処置養生法の開始の前、またはそれと同時に、セリアック病の処置の必要な被験体について決定され得る。処置の経過の間および/またはその後の適切な時間に、1つ以上のさらなる血清ゾヌリンレベルが決定され得、そして処置の開始に得られた血清ゾヌリンレベルと比較される。それ故、本発明のいくつかの実施形態では、本発明の方法は、処置を受けるか、または処置を受けた被験体からサンプルの繰り返し採取をともない得、そしてこれらサンプル中のゾヌリンレベルを決定する。本発明の方法はまた、上記サンプル中のゾヌリンレベルを、同じ被験体(例えば、処置の開始に採取されたサンプルから)、または異なる供給源からであり得る参照サンプルのゾヌリンレベルとの比較を伴い得る。血清ゾヌリンレベルにおける減少は、上記状態の改善の指標であり、そして上記処置が有効であることを示す。
【0017】
本発明の材料および方法は、セリアック病に関連する疾患の処置の有効性を評価するために用いられ得る。当業者は、多くの疾患が、セリアック病と関連し(例えば、LeeおよびGreen、Current Opinion in Rheumatology 2006、18:101〜107の104頁にある表1を参照のこと)、そして本発明の材料および方法が、セリアック病関連疾患の処置の有効性を評価するために用いられ得ることを知っている。セリアック病と関連する疾患は、末梢神経障害、小脳性運動失調、てんかんおよび片頭痛のような神経学的疾患;1型糖尿病、自己免疫性甲状腺障害、アジソン病、および円形脱毛症のような内分泌疾患;特発性拡張型心筋症および自己免疫性心筋炎のような心臓疾患;原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、および自己免疫性胆管炎のような肝臓疾患;オリゴ関節性関節炎、若年性関節炎、全身エリテマトーデス、およびシューグレン症候群のようなリウマチ学的疾患;および貧血、骨粗しょう症または骨減少症、ターナー症候群、ダウン症候群、歯のエナメル質の欠陥、サルコイドーシス、乳糖不耐症、疱疹状皮膚炎(焼けるような、かゆい、水ぶくれ発疹)およびその他の皮膚障害、原因不明の不妊症、流産、および再発性急性膵炎を含む。
【0018】
本発明の材料および方法は、制限されないが、自己免疫疾患を含む種々の状態のための処置の有効性を評価するために用いられ得る。自己免疫疾患の例として、制限されないで、IgA神経障害、ヴェーゲナー肉芽腫症、多発性硬化症、強皮症、全身性硬化症、慢性関節リウマチ、クローン病、エリテマトーデス、橋本甲状腺炎(異常に不活発な甲状腺)、グレーヴズ病(過度に活発な甲状腺)、自己免疫性内耳疾患、水疱性類天疱瘡、ドヴィック症候群、グッドパスチャー症候群、ランバート−イートン症候群(LEMS)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、新生物随伴性症候群、および多腺自己免疫症候群(PGA)が挙げられる。
【0019】
本発明の材料および方法は、増加した腸透過性を生じる胃腸管炎症の処置の有効性を評価するために用いられ得る。それ故、本発明は、例えば、蛋白喪失性腸症を引き起こす腸状態の処置の評価で有用である。蛋白喪失性腸症は、以下に起因して生じ得る:
感染、例えば、Clostridium difficile感染、腸炎、細菌性赤痢、ウイルス胃腸炎、寄生生物外寄生、細菌過剰増殖、ホウィップル病;
粘膜びらんまたは潰瘍、例えば、胃炎、胃癌、コラーゲン蓄積大腸炎、炎症性大腸疾患;および
潰瘍なしの粘膜疾患、例えば、メネトリエ症候群、セリアック病、好酸球性胃腸炎。
【0020】
本発明はまた、処置の有効性を評価するためのキット、および、例えば、血清からのゾヌリン濃度を決定するためのキットを含む。本発明のキットは、代表的には、本発明の実施で有用な1つ以上の試薬を含む1つ以上の容器を含む。本発明の実施で有用な試薬は、制限されないで、緩衝液、緩衝塩類、金属イオン、色原体化合物、抗体、酵素、蛍光化合物などを含む。本発明のキットは、ゾヌリン、ΔG、または基準となるスタンダードとして用いられ得るその他の化合物を含む1つ以上の容器を含み得る。本発明のキットは、1つ以上の抗体を含む容器を含み得、ここで、これら抗体は、検出可能な部分に結合体化される。検出可能な部分は、当業者に公知である、例えば、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ)、その他のタンパク質(例えば、グリーン蛍光タンパク質)、光学的に検出可能な化合物(例えば、蛍光物質、発色団)、結合ペアのメンバー(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン)、または当業者に公知の任意のその他の検出可能な部分のいずれかであり得る。本発明のキットが酵素を含むとき、このようなキットは、この酵素のための基質を含む1つ以上の容器を含み得る。
【0021】
以下の実施例は、例示目的のみのために提供され、そしていかなる様式においても、本発明の範囲を制限する意図はない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
(患者および方法:)
患者は、CDと診断された54人の患者であった(20人の男性および34人の女性;平均年齢:39歳;生検で証明:42/54)。AD関連性は、8人の被験体で見出された(2人は1型糖尿病、1人はグレーヴズ病、5人は慢性関節リウマチ)。
【0023】
血清サンプルを、診断時、およびGFD(範囲10〜49)の17ヶ月の平均期間後集めた。すべての血清サンプルを、CD(抗トランスグルタミナーゼ−tTG、抗−筋内膜−EMA)、1型糖尿病(IA−2:チロシンホスファターゼ、IAA:抗−インシュリン抗体、GAD:グルタミン酸デカルボキシラーゼ)、甲状腺炎(TPO:甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、TG:甲状腺グロブリン抗体)に関連する自己抗体、およびゾヌリンレベルについて測定した。
【0024】
サンドイッチ酵素連結イムノソルベントアッセイによる血清ゾヌリン測定。ゾヌリンサンドイッチ酵素連結イムノソルベントアッセイ(ELISA)は、El Azmarら、Gastroenterology 123:1607〜1615、2002を、わずかに改変して記載されるように実施した。
【0025】
簡単に述べれば、プラスチックマイクロタイタープレート(Costar、Cambridge、MA)を、ウサギゾヌリン交差反応抗閉鎖帯毒素(Zot)誘導体ΔG IgG抗体で被覆した(0.1mol/l炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.0中10μg/ml)。これらの抗体は、標準的なプロトコールを用いてΔGでウサギを免疫化することにより調製された。
【0026】
4℃における一晩のインキュベーションの後、プレートをTris緩衝化生理食塩水0.05%Tween 20(TBS−T)中で4回洗浄し、そしてTBS−Tとともに37℃で1時間のインキュベーションによってブロックした。4回のTBS−T洗浄の後、5つの一連のΔG標準(50、25、12.5、6.2、3.1、および0ng/ml)および患者血清サンブル(TBS−T中1:101希釈)を添加し、そして4℃で一晩インキュベートした。Tris緩衝化生理食塩水0.2%Tween 20緩衝液で4回洗浄した後、プレートを、ビオチン化抗−Zot IgG抗体(米国特許番号第5,945,510号)と4℃4時間インキュベートし、そしてストレプトアビジン結合体化アルカリホスファターゼと接触させた。色反応を、市販キット(ELISA増幅キット;Invitrogen)を用いることにより発色させた。495nmにおける吸光度を、マイクロプレート自動読み取り器(Molecular Devices Thermomax Microplate Reader)で測定した。
【0027】
自己抗体は、市販され入手可能なキット:抗−(ヒト)−トランスグルタミナーゼ(抗−tTG)酵素連結イムノソルベントアッセイ(ELISA)、Scimedx Corporation、NJ;サルの食道からの組織を用いる、抗−筋内膜(抗−EMA)間接免疫蛍光抗体アッセイ(IFA)、Scimedx Corporation、NJ;抗−チロシンホスファターゼ(抗IA−2)ラジオイムノアッセイ(RIA)、Kronus Boise Research Center、Idaho、抗−甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗−TPO)酵素免疫アッセイ(EIA)、Scimedx Corporation、NJ;抗−甲状腺グロブリン(抗−TG)EIA、Scimedx Corporation、NJ;サルの膵臓からの組織を用いる、抗−島細胞抗体(抗−ICA)IFA、Scimedx Corporation、NJ、抗−インシュリン抗体(IAA)RIA、Kronus Boise Research Center、Idaho;および抗−グルタミン酸デカルボキシラーゼ(抗−GAD)RIA、Kronus Boise Research Center、Idahoを用いて検出した。
【0028】
CD診断を有する患者は、76%に増加した血清ゾヌリンを示し、そして自己抗体は、39%(TPO:21.7%、TG 19.6%、GAD 6.5%、ICA 4.4%およびIA−2 2.5%)検出された。GFD後、EMAおよびゾヌリンは、患者の13%で、そしてtTGは被験体の35%で改変されたままであった。いくつかの自己抗体は減少し(TPO:10.9%、GAD4.4%)、その一方、他は変わらないままであった(TG 23.9%、ICA 4.4%、およびIA−2 2.2%)。53人の患者のうち7人は、GFDを開始しなかった。これらの被験体は、改変されたゾヌリン、EMA、およびtTGを有し、そしてそれらの14%は、自己抗体陽性であった。これらの被験体では、ゾヌリンレベルおよび血清自己抗体の両方は追跡評価で変化しなかった。
結論:非処置CDは、代表的には、ゾヌリン上方制御、および血清自己抗体の増加した罹患率を示す。GFDでの処置後、血清ゾヌリンレベルは、いくつかの自己抗体(特にTPO)の減少した罹患率をともなう状況に正常化する傾向にある。これらの結果は、腸障壁機能の回復が、関連する自己免疫現象のリスクを低減し得ることを間接的に示唆している。これらの結果はまた、上記GFDが初期(30歳より若い年齢)に履行されると、自己抗体が血清変換し、CDが初期に診断され、そしてGFDが開始される場合、自己免疫共存症に対する可能な保護的役割を示唆している。
【0029】
(実施例2)
図17は、示された自己免疫疾患、HC(健常コントロール)、CD(セリアック病)、AIH(自己免疫性肝炎)、PBC(原発性胆汁性肝硬変)、DM(変性性脊髄障害)、APS−1(1型自己免疫多腺症候群)、MS(多発性硬化症)をもつ患者から得られた血清中の血清ゾヌリンレベルアッセイの結果を示す。セリアック病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変および変性性脊髄障害は、すべて高められた血清ゾヌリンレベルと関連している。
【0030】
本発明を詳細に、そしてその特定の実施形態を詳細に説明したが、その特定の実施形態に関して種々の変更および改変がそれらの中で、それらの思想および範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者に明らかであり、そしてそのような変更および改変は、添付の請求項の範囲内で実施され得る。本明細書中のすべての特許および刊行物は、あたかも、各々の個々の刊行物がそれらの全体が参考として援用されて詳細かつ個々に示されるのと同じ程度まで参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、GFD治療食に従ったセリアック病患者からのセリアック病バイオマーカーについてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図2】図2は、GFD治療食に従う、セリアック病患者からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図3】図3は、GFD治療食に従わなかった、セリアック病患者からのセリアック病バイオマーカーについてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、GFD治療食に従わなかった、セリアック病患者からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図5】図5は、予め存在する自己免疫(AI)状態(1型糖尿病、グレーヴズ病または慢性関節リウマチ)に関連する自己抗体の罹患率を示す関連AI状態を有する被験体からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図6】図6は、予め存在する自己免疫(AI)状態(1型糖尿病、グレーヴズ病または慢性関節リウマチ)に関連する自己抗体の罹患率を示す関連AI状態を有する被験体からの自己抗体についてのアッセイの結果を示す棒グラフである。
【図7】図7は、GFDに応答した被験体における甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)に対する自己抗体についてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図8】図8は、GFDに応答し、そして最初にTPO自己抗体を有していた被験体中のゾヌリンについてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図9】図9は、GFDに応答した被験体中の甲状腺ペルオキシダーゼ(TG)に対する自己抗体についてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図10】図10は、GFDに応答し、そして最初にTG自己抗体を有していた被験体中の血清ゾヌリンレベルについてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図11】図11は、GFDに応答した被験体中の島細胞(ICA)に対する自己抗体のアッセイについての結果を示す線グラフである。
【図12】図12は、GFDに応答し、そして最初にICA自己抗体を有していた被験体中の血清ゾヌリンレベルのアッセイについての結果を示す線グラフである。
【図13】図13は、GFDに応答した被験体中のグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)に対する自己抗体についてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図14】図14は、GFDに応答し、そして最初にGAD自己抗体を有していた被験体中の血清ゾヌリンレベルについてのアッセイの結果を示す線グラフである。
【図15】図15は、HLAタイプに関連する自己抗体について陽性であると試験された被験体の%を示すπチャートである。
【図16】図16は、被験体の年齢に関連する自己抗体の罹患率を示す棒グラフである。
【図17】図17は、示された自己免疫疾患、HC(健常コントロール)、CD(セリアック病)、AIH(自己免疫性肝炎)、PBC(原発性胆汁性肝硬変)、DM(変性性脊髄障害)、APS−1(1型自己免疫多腺症候群)、MS(多発性硬化症)をもつ患者から得られた血清中の血清ゾヌリンレベルアッセイの結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態の処置の有効性を、そのような処置を必要とする被験体において評価する方法であって:
該被験体からサンプルを得る工程;および
該サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記サンプルが、血液サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルから血清を単離する工程;および
該血清中のゾヌリン濃度を決定する工程、をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記状態が、上皮透過性の増加と関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記上皮の活性の増加が、接着結合透過性の増加と関連する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記状態が、上昇した血清ゾヌリンレベルと関連する自己免疫疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記状態が、セリアック病である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記状態が、セリアック病と関連する疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記セリアック病と関連する疾患が、末梢神経障害、小脳性運動失調、てんかん、片頭痛、I型糖尿病、自己免疫性甲状腺障害、アジソン病、円形脱毛症、特発性拡張型心筋症、自己免疫性心筋炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性胆管炎、オリゴ関節性関節炎、若年性関節炎、全身エリテマトーデス、シューグレン症候群、貧血、骨粗しょう症、骨減少症、ターナー症候群、ダウン症候群、歯のエナメル質の欠陥、サルコイドーシス、乳糖不耐症、疱疹状皮膚炎、原因不明の不妊症、流産、および再発性急性膵炎からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ゾヌリン濃度を決定する工程が:
前記サンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第1の抗体と接触させる工程;
結合したサンプルを、結合条件下でゾヌリンを結合する第2の抗体と接触させる工程;および
結合した第2の抗体の存在を検出する工程、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ΔGフラグメントが、N−末端6ヒスチジンタグを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
セリアック病に対する処置の効果を評価する方法であって:
被験体からサンプルを得る工程;および
該サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程、を包含する、方法。
【請求項20】
前記サンプルが、血液サンプルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルから血清を単離する工程;および
該血清中のゾヌリン濃度を決定する工程、をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ゾヌリン濃度を決定する工程が:
前記サンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第1の抗体と接触させる工程;
結合したサンプルを、結合条件下でゾヌリンを結合する第2の抗体と接触させる工程;および
結合した第2の抗体の存在を検出する工程、を包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記ΔGフラグメントが、N−末端6ヒスチジンタグを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ゾヌリンを検出するための手段を備える、処置の効果の評価のためのキット。
【請求項32】
前記ゾヌリンを検出するための手段が:
第1の抗体を含む容器および第2の抗体を含む容器を備える、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含む容器をさらに備える、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項36】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項37】
前記ΔGフラグメントが、N末端6ヒスジンタグを含む、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項39】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項40】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
ゾヌリンを含む容器をさらに備える、請求項31に記載のキット。
【請求項43】
セリアック病に対する処置の効果を評価するキットであって:
ゾヌリンを検出する手段、を備える、キット。
【請求項44】
前記ゾヌリンを検出する手段が、第1の抗体を含む容器、および第2の抗体を含む容器を備える、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含む容器をさらに備える、請求項43に記載のキット。
【請求項46】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項47】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項48】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項49】
前記ΔGフラグメントが、N−末端6ヒスチジンタグを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項51】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項52】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
ゾヌリンを含む容器をさらに備える、請求項43に記載のキット。
【請求項1】
状態の処置の有効性を、そのような処置を必要とする被験体において評価する方法であって:
該被験体からサンプルを得る工程;および
該サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記サンプルが、血液サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルから血清を単離する工程;および
該血清中のゾヌリン濃度を決定する工程、をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記状態が、上皮透過性の増加と関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記上皮の活性の増加が、接着結合透過性の増加と関連する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記状態が、上昇した血清ゾヌリンレベルと関連する自己免疫疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記状態が、セリアック病である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記状態が、セリアック病と関連する疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記セリアック病と関連する疾患が、末梢神経障害、小脳性運動失調、てんかん、片頭痛、I型糖尿病、自己免疫性甲状腺障害、アジソン病、円形脱毛症、特発性拡張型心筋症、自己免疫性心筋炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性胆管炎、オリゴ関節性関節炎、若年性関節炎、全身エリテマトーデス、シューグレン症候群、貧血、骨粗しょう症、骨減少症、ターナー症候群、ダウン症候群、歯のエナメル質の欠陥、サルコイドーシス、乳糖不耐症、疱疹状皮膚炎、原因不明の不妊症、流産、および再発性急性膵炎からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ゾヌリン濃度を決定する工程が:
前記サンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第1の抗体と接触させる工程;
結合したサンプルを、結合条件下でゾヌリンを結合する第2の抗体と接触させる工程;および
結合した第2の抗体の存在を検出する工程、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ΔGフラグメントが、N−末端6ヒスチジンタグを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
セリアック病に対する処置の効果を評価する方法であって:
被験体からサンプルを得る工程;および
該サンプル中のゾヌリン濃度を決定する工程、を包含する、方法。
【請求項20】
前記サンプルが、血液サンプルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルから血清を単離する工程;および
該血清中のゾヌリン濃度を決定する工程、をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ゾヌリン濃度を決定する工程が:
前記サンプルを、結合条件下でゾヌリンに結合する第1の抗体と接触させる工程;
結合したサンプルを、結合条件下でゾヌリンを結合する第2の抗体と接触させる工程;および
結合した第2の抗体の存在を検出する工程、を包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記ΔGフラグメントが、N−末端6ヒスチジンタグを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ゾヌリンを検出するための手段を備える、処置の効果の評価のためのキット。
【請求項32】
前記ゾヌリンを検出するための手段が:
第1の抗体を含む容器および第2の抗体を含む容器を備える、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含む容器をさらに備える、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項36】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項37】
前記ΔGフラグメントが、N末端6ヒスジンタグを含む、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項39】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項31に記載のキット。
【請求項40】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
ゾヌリンを含む容器をさらに備える、請求項31に記載のキット。
【請求項43】
セリアック病に対する処置の効果を評価するキットであって:
ゾヌリンを検出する手段、を備える、キット。
【請求項44】
前記ゾヌリンを検出する手段が、第1の抗体を含む容器、および第2の抗体を含む容器を備える、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含む容器をさらに備える、請求項43に記載のキット。
【請求項46】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項47】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項48】
前記第1の抗体が、閉鎖帯毒素のΔGフラグメントを含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項49】
前記ΔGフラグメントが、N−末端6ヒスチジンタグを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
少なくとも1つの抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項51】
前記第2の抗体が、閉鎖帯毒素を含むタンパク質に対して惹起された、請求項43に記載のキット。
【請求項52】
前記第2の抗体が、検出可能な部分を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記検出可能な部分が、ビオチンである、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
ゾヌリンを含む容器をさらに備える、請求項43に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−545951(P2008−545951A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511369(P2008−511369)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018281
【国際公開番号】WO2006/124526
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(301033248)ユニバーシティ オブ メリーランド, ボルチモア (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018281
【国際公開番号】WO2006/124526
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(301033248)ユニバーシティ オブ メリーランド, ボルチモア (7)
【Fターム(参考)】
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