説明

ゾル−ゲル遷移が可能な生分解性多重ブロック高分子組成物、及びこれを含有する薬学的組成物

本発明は、二つのポリエチレンオキシドブロックの間に、ポリプロピレンオキシド(polypropyleneoxide)またはポリブチレンオキシド(polybutyleneoxide)ブロックを有し、40,000ダルトン(Dalton)以上の重量平均分子量を有する多重ブロック共重合体を形成するために、ジカルボキシル基リンカー(dicarboxylic linkage)を通して連結された三重ブロック共重合体を含むイオン性共重合体組成物に関するものである。前記重量平均分子量の増加は、本発明の多重ブロック共重合体から形成されたヒドロゲルが数日以上ゲル状態に維持できることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景技術〕
〔技術分野〕
本発明は、多様な薬物の放出速度を調節して向上した放出パターンを有する生分解性多重ブロック共重合体に関するものである。具体的には、本発明は、ABA-型三重ブロックセバコイル共重合体を含む多重ブロック共重合体を提供し、この時、前記Aはポリエチレンオキシドであり、前記Bはポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドブロックであり、このようなPEO-PPO(またはPBO)-PEOブロックは、体内で加水分解できるジカルボキシル基リンカーによって連結されている。
【0002】
〔関連技術の説明〕
ヒドロゲル(Hydrogel)は、生体適合性により、薬物伝達システムに幅広く利用されている。薬物は、交差結合されたヒドロゲルマトリックスに内包され、マトリックス内の隙間を通して放出されるようになる。
【0003】
ゲルを利用した初期の薬物伝達システムは、熱可塑性特徴を有している。熱可塑性システム(Thermoplatic system)は溶媒での高分子溶液の形成を促進させた。体内に注入する前の薬物は高分子溶液に添加され、注入後の前記高分子溶液は、体液に露出されてゲルを形成する。しかし、初期の薬物伝達システムは、人体に毒性を誘発し、刺激的であり、有機溶媒を用いるという問題がある。
【0004】
最近、水溶液を利用したゲル薬物伝達システムが開発されてきているが、このようなシステムは、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)及びポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide)で構成されたブロック共重合体を利用したものであって、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシド高分子が特定の濃度と温度で水を吸収すると、ゲルを形成する(下記特許文献1、2及び3)。前記高分子の一例としてポロキサマー(poloxamer)がよく知られており、既に商用化されている。ポロキサマーは、PEO-PPO-PEOの三重ブロック共重合体であり、この時、PEOはポリエチレンオキシドブロックであり、PPOはポリプロピレンオキシドブロックである。前記ポロキサマーは、9,840乃至14,600ダルトンの範囲の分子量を有している。しかし、ポロキサマーで製造されたゲルは非-生分解性であり、生理学的条件で相転移を現わすために、18乃至20%以上の濃度を有するポロキサマー高分子溶液が必要である。しかし、このような濃度の溶液は、液状で非常に粘性が高いため、生体内で望ましくない反応を起こす恐れがある。また、体内に注入する時、速い時間内にゲル状態に転換されても、ゲル状態が維持される時間が数時間内に非常に短いという短所があるため、医薬品伝達体として適用するには限界があると知られている。
【0005】
このような問題点を解決するために、Sosnikなどは、ポロキサマー407とヘキサメチレンジイソシアナート(hexamethylene diisocyanate)を反応させて、ウレタンリンカーによって連結されたポロキサマー407の化学式1の化合物を合成した(非特許文献1)。
【0006】
【化1】

【0007】
Sonikは、前記化学式1の化合物は、17%水溶液でポロキサマー407に比べて粘性が数十倍以上高く、高温でゲル状態を維持する時間が遥かに高いことを開示した。しかし、この高分子は非-生分解性であり、分子量が50,000ダルトン(Dalton)以上であるため、体外に排出されることが困難である。
【0008】
X.Zhaoなどは、化学式2のポロキサマー407を含む生分解性高分子組成物を開示した(非特許文献2)。前記高分子の製造時、前記ポロキサマー407はジコハク酸イミジールカーボネート(disuccincimidyl carbonate、DSC)と反応し、したがって、前記ポロキサマー407は、化学式2に示したようにカーボネートリンカーによって連結された。
【0009】
【化2】

【0010】
下記特許文献4では、ポロキサマー407の両末端にポリ(ヒドロキシルカルボン酸)ブロックを導入した後、HDI(hexamethylene diisocyanate)リンカーを通して延長された5重ブロックが開示された。しかし、前記高分子は、非-分解性ウレタンリンカーを使用したという短所がある。
【0011】
下記特許文献5では、少なくとも2個のポリアルキレンオキシドオリゴマー(polyalkylene oxide oligomer)が加水分解性カーボネートリンカーを通して連結された生分解性高分子を開示した。
【0012】
しかし、前記開示された高分子は、末端がヒドロキシル基を有し、ゲルから薬物が放出される速度が単にゲルの粘性度に応じた拡散速度に依存的であるため、薬物放出速度を調節するのが不可能である。
【0013】
したがって、低毒性、向上した放出パターン、及び多様な薬物の放出速度を調節できる生分解性高分子組成物が必要である。
【特許文献1】米国特許第4,188,373号
【特許文献2】米国特許第4,478,822号
【特許文献3】米国特許第4,474,751号
【特許文献4】米国特許出願第20030187148号
【特許文献5】米国特許第6,348,558号
【非特許文献1】Winter Symposium & 11th International Symposium on Recent Advances in Drug Delivery Systems, 2003 Controlled Release Society, #117
【非特許文献2】30thannual meeting and exhibition of the controlled release society, Glasgow, Scotland, July 19-23, 2003
【0014】
〔発明の要約〕
本発明は、ABA-型三重ブロック共重合体を含む多重ブロック共重合体を提供し、この時、前記Aはポリエチレンオキシドブロックであり、前記Bはポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドブロックであり、このようなPEO-PPO(またはPBO)-PEOブロックは、生分解性ジカルボキシル基リンカーによって連結されている。
【0015】
また、本発明は、前記多重ブロック共重合体を含む薬学的組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記多重ブロック共重合体の製造方法及び用途を提供する。
【0017】
本発明の多重ブロック共重合体組成物は、PEO-PPO(またはPBO)-PEO単位の多重ブロックの形成を通じて、前記共重合体の分子量を増加させて、水溶液でのゲル状態の維持を向上させることができる。前記多重ブロック共重合体は、多様な薬物を徐々に放出させる薬物伝達体として用いられることができる。
【0018】
本発明の追加的な特徴及び長所は、後述する本発明の実施例及びこれを説明する図面による詳細な説明によって、より明らかになるのであろう。
【0019】
〔描写された実施例の詳細な説明〕
本発明の高分子組成物、その製造方法及び用途を開示及び説明するに先立ち、本発明では、本発明の特別な構成、進行手続、及び物質が非常に多様であり得るので、本発明に開示されたものに特に限定されるわけではなく、また本発明に使用された技術は、本発明の実施例だけを説明するためのものであり、これは本発明に添付された特許請求の範囲及びそれと同等なものにのみ限られている。
【0020】
本発明の明細書及び添付された特許請求の範囲に使用された“a”、“an”、及び“the”の単数形態は、その文脈で明確に他のものを指示しない限り複数のものと見なす。、例えば、“末端基”を含む高分子は二つまたはその以上の作用基に、“疎水性薬物”は二つまたはその以上の薬物を含むものと見なす。
【0021】
本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲において、下記の用語は、これを説明する用語の定義により使用される。
【0022】
この時に使用される用語として、“生体活性剤(bioactive agent)”もしくは“薬物(drug)”またはこれに類似している他の名詞は望ましい生物学的または薬学的効能を現わし、本発明で使用された方法及び/または従来の技術に予め公知された方法で注入可能な化学的もしくは生物学的物質または化合物を意味する。このような効能は、(1)生物体での病気に対する予防及び感染予防のような所望でない生物学的効能の予防、(2)病気状態の軽減、例えば、病気によって齎される苦痛または炎症の軽減、及び/または(3)生物体から病気状態の軽減、減少、または完治を含むが、これに限定されるものではない。前記効能は、局部的な麻酔効能を提供する局部的、または全身的であることができる。
【0023】
本発明に使用された用語として、“生分解性(biodegradable)”または“生分解(biodegradation)”は、物質が水溶性加水分解、または酵素や生物体の他の生成物のような生物学的に形成された物質の活性によって、それほど複雑でない中間体または最終産物に転換されるものを意味する。
【0024】
本発明に使用された用語として、“生体適合性(biocompatible)”は、生体内でいかなる副作用もない水溶性加水分解、または酵素や生物体の他の生成物のような生物学的に形成された物質の活性によって形成された物質もしくはその中間体、または最終産物を意味する。
【0025】
本発明に使用された用語として、“有効量(effective amount)”は、医学的治療に用いられる適当な危険/効能比を有し、望ましい局部的または全身的効能を提供することができる十分な薬物の量を意味する。
【0026】
本発明に使用された用語として、“投与(administering)”及びこれに類似している名詞は、組成物が全身に循環できるように、前記組成物を個体に処理して伝達することを意味する。望ましく、本発明の組成物は、皮下内、組織内、皮膚内、口腔、粘膜内、静脈内、または腹腔内に注入することができる。このような用途に使用される注射剤は、液状または浮遊液、または注入時に液状または液体に浮遊させることのできる固形状、または乳濁液のような通常の形態に準備されることができる。注入のために使用可能である添加剤には、例えば、蒸溜水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、及びその類似体;選択的には、湿式または乳濁液剤、緩衝液、及びその類似体のような少量の補助剤が用いられることができる。口腔投与のために、前記組成物は、液体、錠剤、カプセルなどのような形態に製型化されることができる。
【0027】
このような指示事項は例示的な例に過ぎず、本発明に使用された特異な用語もまた、前記のように説明した。それにもかかわらず、本発明の範囲を限定する場合は、意図のない場合である。本発明では、変更またはもう少し変形された発明的な特徴、及び追加的な発明の原理が記載されており、関連分野の当業者により遂行されることができ、本発明の範囲内で公開された部分を所有することができる。
【0028】
一側面から、本発明は、低温でのゾル状態や高温でのゲルを形成するイオン性多重ブロック共重合体組成物を提供する。もっと望ましく、本発明は、多様な薬物の放出速度を調節して、向上した放出特性を有する生分解性多重ブロック共重合体を提供する。特に、本発明は、両末端にヒドロキシル基またはイオン基を含み、生分解性ジカルボキシル基リンカーで共有結合された少なくとも二つのABA-型の三重ブロック共重合体を含む、この時、前記Aはポリエチレンオキシドブロックであり、前記Bはポリプロピレンオキシドブロック、ポリブチレンオキシドブロック、またはこれらの複合体である多重ブロック共重合体を提供する。
【0029】
本発明の多重ブロック共重合体は、十分な濃度及び/または特定温度でヒドロゲルを形成し、ゾル-ゲル相転移を現わし、生分解性特徴を有する。本発明の多重ブロック共重合体において、前記PEO-PPO(またはPBO)-PE0ブロックは、向上したゲルの持続性を現わすことができるように、高い分子量を有する生分解性ジカルボキシル基リンカーによって連結されている。
【0030】
同時に、前記共重合体のイオン性末端基は、ゲルから遅延された薬物放出の効果を提供する。
【0031】
本発明の一つの実施態様は、下記の化学式3によって示される多重ブロック共重合体である:
【0032】
【化3】

【0033】
この時、PEOはポリエチレンオキシドブロック、Yは、PPOまたはPBOまたはPPO及びPBOの複合体、この時、PPOはポリプロピレンオキシドブロックであり、PBOはポリブチレンオキシドブロックであり、
Xは、Hまたは陰イオン基であり、
nは、1乃至100の間の整数であり、
Rは、-(CHm-またはCm´を含むアリールであり、
mは、0乃至20の間の整数であり、
m´は、6乃至12の間の整数であり、
Mは、Hまたは陽イオン基(但し、MとXが同時にHにはなり得ず、XがHである場合にはMは存在できない)である。
【0034】
望ましく、Xは、-SO3-、-PO2-、及び-C(=O)-R-C(=O)-O-からなる群から選択された陰イオン基であり、及びMは、Li、Na、K、Ag、Au、Ca、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、及びNiからなる群から選択された陽イオン基である。
【0035】
より望ましく、本発明の多重ブロック共重合体は下記の化学式4に示される:
【0036】
【化4】

【0037】
この時、PEOはポリエチレンオキシド、Yは、PPOまたはPBOまたはPPO及びPBOの複合体、この時、PPOはポリプロピレンオキシドブロックであり、PBOはポリブチレンオキシドブロックであり、
Xは、-H、-SO3-、-PO2-、または-C(=O)-R-C(=O)-O-であり、
nは、1乃至100の間の整数であり、
Rは、-(CHm-またはCm´を含むアリールであり、
mは、0乃至20の間の整数であり、
m´は、6乃至12の間の整数であり、
Mは、-H、1価または2価陽イオン基(但し、MとXが同時にHにはなり得ず、XがHである場合、Mは存在できない)である。
【0038】
前記多重ブロック共重合体で、ポリエチレンオキシドブロックは約2乃至2000、望ましくは約5乃至500、より望ましくは、約80乃至120個の単位数を有するエチレンオキシド単位で構成される。前記化学式3で、二つのPEOブロックを構成する各エチレンオキシドの単位数は、同一であるかまたは相異していることができる。ポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドブロックで、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドの単位数は2乃至2000、望ましくは約20乃至500、及びより望ましくは約30乃至250個の範囲内で存在する。
【0039】
本発明の多重ブロック共重合体は、40,000ダルトン(Dalton)乃至1,000,000ダルトン(Dalton)、望ましくは40,000ダルトン(Dalton)乃至500,000ダルトン(Dalton)、より望ましくは80,000ダルトン(Dalton)乃至130,000ダルトン(Dalton)の範囲の重量平均分子量を有している。
【0040】
PEO-PPO(またはPBO)-PEOブロックで、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド単位に対するエチレンオキシドの単位比率は、高分子の多様性のために調節されることができる。、例えば、前記多重ブロック共重合体のPEOとPPOまたはPBOとの単位比率は、前記三重ブロック共重合体自の水溶性を維持する範囲内で多様にすることができるが、約0.2:1乃至40:1、、望ましくは1:1乃至7.5:1、及びより望ましくは1:1乃至5:1であり、前記PEOブロックは、前記PEO-PPO(またはPEO)-PBO単位の10乃至85重量%、望ましくは40乃至85重量%で含まれる。
【0041】
本発明の用語である“多重ブロック(multi-block)”共重合体は、ポリエチレンオキシドブロックがポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドブロックに連結され、次いでポリエチレンオキシドブロックに連結されて、最終的に、PEO-PPO(またはPBO)-PEOブロックが生分解性ジカルボキシル基リンカーによって連結された共重合体を意味する。
【0042】
本発明の用語である“ジカルボキシル基リンカー(dicarboxylic linkage)”は、PEO-PPOまたはPBO-PEOブロックの末端OH基とシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの一つの分子内に2個のカルボキシル基を有するアルキルまたはアリール化合物の反応によって形成されたエステル結合を意味する。前記ジカルボキシル基リンカーは、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバコイル酸、スベリン酸、及びドデカン酸で構成された群から選択されたアルキルジカルボン酸によって提供されることができる。また、前記ジカルボキシル基リンカーは、フマル酸またはマレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、またはフタル酸、及びテレフタル酸などのアリールジカルボン酸によって提供されることができる。
【0043】
前述のように、前記ジカルボキシル基リンカーは、PEO-PPO(またはPBO)-POの両末端基に存在するヒドロキシル基のエステル結合によって連結されることができ、このエステル結合は、体内で加水分解または酵素によってカルボン酸及びPEO-PPO(またはPBO)-PEO単位で分解されることができる。
【0044】
本発明の多重ブロック共重合体の両末端はヒドロキシル基またはイオン基である。前記共重合体末端のイオン基には、-SO3-、-PO2-、-C(=O)-R-C(=O)-O-などの陰イオン基が望ましく、前記陰イオン基に対応する塩は、Li、Na、K、Ag、またはAuなどの1価金属陽イオン、またはCa、Mg、Zn、Fe、Cu、CoまたはNiなどの2価金属陽イオンで構成される。
【0045】
特に、両末端に陰イオン基を有する本発明の一つまたはそれ以上の多重ブロック共重合体は、2価陽イオン金属と複合体を形成するので、より安定した形態のゲル状態を維持して、ゲルから薬物の放出を持続させることができる。陰イオン基を有する本発明の多重ブロック共重合体を水溶液相で陽イオン性を帯びる薬物と混合する場合にはイオン塩が形成され、これによって多重ブロック共重合体ゲルから薬物の初期放出速度を減少させることができるので、薬物放出の持続性を向上させることができる。末端に陰イオン基を有する本発明の多重ブロック共重合体と陰イオン基を有する薬物との混合液に、塩化カルシウム、塩化亜鉛、または塩化マグネシウムなどの2価陽イオン性金属塩を加えれば、前記2価金属陽イオンが薬物と複合体を形成して、ゲルから薬物の放出を持続させることができる。したがって、本発明の多重ブロック共重合体は、調節可能な薬物放出のための非イオン性及びイオン性薬物伝達体として用いられることができる。
【0046】
本発明の多重ブロック共重合体組成物は、通常利用可能なポロキサマーであるンPEO-PPO(またはPBO)-PEOであることができる。ポロキサマーは、親水性ブロックのポリエチレンオキシド(PEO)と疎水性ブロックのポリプロピレンオキシド(PPO)がエーテル結合によって三重ブロックPEO-PPO-PEO形態に連結されたブロック共重合体であって、前記共重合体は、1,000ダルトン(Dalton)乃至20,000ダルトン(Dalton)の重量平均分子量、及び末端にヒドロキシル基を有している。本発明において、ポロキサマー188(Pluronic(登録商標) F-68)、及びポロキサマー407(Pluronic(登録商標) F-127)などが用いられることができる。本発明の前記多重ブロック共重合体を製造するためには、精製されていないまたは精製されたポロキサマーを用いることができ、精製されたポロキサマーは、本発明の大きい分子量の多重ブロック共重合体を製造するのに容易であることができる。ポロキサマーの精製は、下記過程のうちのいずれか一つの方法によって実施されることができる:前記ポロキサマーを塩化メチレンに溶解させた後、ヘキサンに沈澱させる方法、または本発明の参照として引用された米国特許番号5,800,711に開示された通り、n-プロパノール/HO溶媒での層分離方法によって精製されることができる。
【0047】
また、本発明は、二つのポリエチレンオキシドブロックの間に、ポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドブロックを有する三重ブロック共重合体、この時、前記三重ブロック共重合体は、生分解性ジカルボキシル基リンカーによって連結されている多重ブロック高分子組成物を製造する方法を提供する。
【0048】
本発明は、下記段階を含む末端にヒドロキシル基を含む多重ブロック高分子を製造する方法を提供する:
1)予め決められた量のPEO-Y-PEOを含む反応液に、PEO-Y-PEO末端ヒドロキシル基1当量の0.5乃至1.0当量のジカルボン酸ジハロゲン化物(dihalid)をゆっくり添加して、予め決められた時間反応させる段階;
2)前記反応液に、前記PEO-Y-PEO末端ヒドロキシル基の当量を基準に1当量以上のジカルボン酸ジハロゲン化物を追加的に添加して、反応が終結するまで反応させる段階;
3)生成した多重ブロック共重合体をエーテルまたはヘキサン溶媒に沈殿させ、エタノールで前記沈殿物を溶解させる段階;及び
4)エタノール/エーテルまたはヘキサンの体積比率が1/1乃至1/20になるように、エーテルまたはヘキサンをゆっくり加えて、前記多重ブロック共重合体を沈澱させる段階。
【0049】
本発明は、下記段階を含む末端にカルボキシル基を含む多重ブロック高分子を製造する方法を提供する:
1)予め決められた量のPEO-Y-PEOを含む反応液に、PEO-Y-PEO末端ヒドロキシル基1当量の0.5乃至1.0当量のジカルボン酸ジハロゲン化物をゆっくり添加して、予め決められた時間反応させる段階;
2)前記反応液に、PEO-Y-PEO末端カルボキシル基の当量を基準に1当量以上のジカルボン酸ジハロゲン化物を追加的に添加して、反応が終結するまで反応させる段階;
3)生成した共重合体をエーテルまたはヘキサン有機溶媒に沈殿させ、エタノールで溶解させる段階;及び
4)エタノールとエーテルまたはエタノールとヘキサンの体積比率が1:1乃至1:20になるように、エーテルまたはヘキサンをゆっくり加えて、共重合体を沈澱させる段階。
【0050】
また、本発明は、下記段階を含む前記多重ブロック共重合体の両末端にカルボン酸金属塩を含む多重ブロック共重合体を製造する方法を提供する:
1)両末端に、カルボキシル基を有する高分子をアセトン、アセトニトリル、またはジオキサンのような水と混ざり合う溶媒で溶解させる段階、及び
2)前記反応液に、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化銅、硝酸銀、塩化カリウム、または塩化リチウムで中和させた後で透析する段階。
【0051】
選択的に、前記多重ブロック共重合体の両末端にカルボン酸ナトリウム塩の以外に、カルボン酸金属塩を有する多重ブロック共重合体は下記の段階:つまり、両末端にカルボン酸ナトリウムを有する高分子に、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化銅、硝酸銀、塩化カリウム、または塩化リチウム水溶液を処理する段階:を含む方法で製造されることができる。
【0052】
また、本発明は、下記段階を含む前記高分子末端に、硫酸、燐酸、またはその金属塩を有する多重ブロック共重合体を製造する方法を提供する:
1)末端に、ヒドロキシル基を有する多重ブロック高分子を溶媒に溶解させ、スルフェートトリオキシドピリジン複合体(CNSO)または酸塩化リン(POCl)と反応させる段階;及び
2)前記高分子末端に金属塩を有する多重ブロック共重合体を製造するために、前記反応液に、選択的に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化銅、硝酸銀、塩化カリウム、または塩化リチウムで処理して中和させる段階。
【0053】
前記多重ブロック高分子の末端がまた他の陰イオン基である場合には、通常の方法で製造されることができる。
【0054】
前記反応において、ジカルボン酸ジハロゲン化物は、ジカルボキシル基リンカーとして直接反応することができ、また、前記ジカルボン酸自体が出発物質である場合、オキサリルハロゲン化物を使用して、前記ジカルボン酸を活性化させ、これをジカルボン酸ジハロゲン化物に転換して用いることができる。前記反応は溶媒なしでまたは溶媒を用いることができ、使用可能である溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ジオキサンなどを含むことができる。
【0055】
前記共重合体の平均分子量を決定する重合反応の速度及び程度は、反応する温度及び時間によって調節されることができる。反応温度は反応溶媒の沸点により変わることができるるが、60乃至120℃の範囲が望ましく、反応時間は約12乃至72時間の範囲が望ましい。
【0056】
前記反応速度を増加させるために、ティンオクトエート、塩化亜鉛などを触媒に用いることができ、または、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、トリエチルアミンなどのアミン類を、ジカルボン酸1当量の2倍数当量で使用することができる。しかし、前記高分子の純度を高めるためには、触媒またはアミン流を使用しないのが望ましい。
【0057】
前記重合された高分子は、当該分野で知られた方法で精製することができ、望ましく、前記反応物は可溶性溶媒に、反面、重合された高分子は不溶性溶媒に沈殿させて精製することができる。
【0058】
本発明の多重ブロック共重合体を製造する方法のうちの一つを例に挙げれば次の通りである。
【0059】
まず、ポロキサマーが入っている反応器に、ポロキサマー末端ヒドロキシル基1当量の0.5乃至1.0当量のジカルボン酸ジクロライドを反応溶媒に希釈して、6時間以上の間ゆっくり加える。前記反応は12時間以上反応させ、反応温度は、使用された溶媒によって変わることができ、溶媒なしで反応を実施する場合には、反応温度を40乃至120℃の範囲の温度で、反応時間は24時間以内にするのが望ましい。
【0060】
反応後、本発明の末端にヒドロキシル基を有する多重ブロック高分子を得るために、前記反応溶媒に、0.1当量のポロキサマーが溶解した反応液を再び前記反応溶媒に添加した後、2時間以上反応させた後、エーテル溶媒に沈殿させた。前記沈殿物をメタノールに溶解させた後、メタノール/エーテル混合体積比率が1/1乃至1/20、望ましくは1/5乃至1/10にして、ゆっくりエーテルを加えて、再び高分子を沈殿させて精製した。前記沈殿物をアセトン水溶液に溶解させた後、陰イオン交換樹脂を処理して、カルボキシル基末端を有する高分子を除去し、分子量カット-オフが40,000ダルトン(Dalton)である透析チューブで透析した後、前記透析物を凍結乾燥して、末端にヒドロキシル基を有する多重ブロックポロキサマーを収得した。
【0061】
末端にカルボキシル基を有する多重ブロック共重合体は、次のような方法で収得することができる:前記重合反応後、ポロキサマー末端ヒドロキシル基の当量数を基準に、1当量以上の過量のジカルボン酸ジクロライドを加えて2時間以上反応させた後、エーテルを添加して、高分子を沈殿させた。前記沈殿物をメタノールに溶解させた後、メタノール/エーテル混合体積比率が1/1乃至1/20、望ましくは1/5乃至1/10にしてゆっくりエーテルを加えて、再び高分子を沈殿させて精製することによって、末端にカルボキシル基を有する多重ブロックポロキサマーを生成した。前記共重合体をアセトン水溶液に溶解させた後、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムで中和させて、多重ブロックポロキサマーの両末端にカルボン酸ナトリウム塩を有する共重合体を収得した。
【0062】
両末端にカルボン酸ナトリウム塩を有する前記多重ブロック共重合体を、過量の塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化銅、硝酸銀、塩化カリウム、塩化リチウム水溶液などと混合した後、透析して、多重ブロックコポロキサマーの末端に1価または2価金属塩を有する多重ブロックコポロキサマーを製造することができる。
【0063】
多重ブロック共重合体末端に硫酸基または燐酸基を有する多重ブロック共重合体を得るために、両末端にヒドロキシル基を有する多重ブロックコポロキサマーをジメチルホルムアミドに溶解させた後、スルフェートトリオキシドピリジン複合体(CNSO)または酸塩化リン(POCl)と60℃で10時間反応させた後、前記から得る生成物を蒸溜水に希釈して、透析した。次に、炭酸水素ナトリウムのような金属塩水溶液を前記溶液に加えて中和させた後、凍結乾燥した。
【0064】
本発明の合成された多重ブロック共重合体の両末端は、核磁気共鳴法(NMR)で確認できる。前記合成された多重ブロック共重合体をトリエチルアミンの存在下でトリメチルシリルクロライド(TMS-Cl)と反応させた後、核磁気共鳴法でスペクトルを測定した。前記共重合体の末端基がヒドロキシル基である場合には、トリメチルシリルプロトンの信号が0.12ppmで現れ、末端基がカルボキシル基である場合には、このピークが0.3ppmで観察された。このような測定方法を利用すれば、前記合成された多重ブロック共重合体の末端基を決めることができる。
【0065】
本発明の多重ブロック共重合体は、十分な濃度及び特定温度の水溶液でヒドロゲルを形成することができる。本発明の用語の“ゾル-ゲル相転移(sol-gel phase transition)”は、特定温度以下では流動液状態で存在し、温度が特定温度以上に上昇するとゲル状態に変わり、前記温度を特定温度以下に下げると、可逆的に流動液状態に再び変わることを意味する。前記ゲル化温度は、高分子の種類及び分子量、共重合体水溶液の濃度、塩の存在の有無、プロトン濃度などによって変わり、前記特定温度の範囲は5乃至37℃の範囲である。本発明の多重ブロック共重合体は、蒸溜水に2乃至40重量%に溶解しることができ、ゲル化温度は10乃至50℃の範囲である。
【0066】
本発明の多重ブロック共重合体は、ポロキサマーに比べて約10%の低濃度でもゲル形成が可能であるので、体内毒性を減少させることができ、ゲル化温度もまた、ポロキサマーに比べて高いので注射時に容易である。本発明の多重ブロック共重合体はまた、PEO-PPO(またはPBO)-PEO単位を多重ブロック化して分子量を増加させることにより、生体内または水溶液で長期間ゲル状態を維持することができる。したがって、本発明の多重ブロック共重合体を薬物伝達体として利用する場合、1回の注射で24時間以上持続的に薬物を放出することができるので、薬物放出維持期間が短い従来のポロキサマー407の短所を克服することができる。
【0067】
本発明の多重ブロック共重合体は、ジカルボキシル基リンカーのエステル結合によって加水分解性であり、これにより、分子量が小さいPEO-PPO(またはPBO)-PEOブロック及び水溶性であり、体内で容易に排出されるジカルボン酸に分解されることができる。したがって、大きい高分子を用いたことによって齎される体内での副作用を減らすことができる。前記多重ブロック共重合体の分解速度はジカルボキシル基リンカーの数に比例するので、各ブロックの大きさと数を調節して、加水分解速度及び加水分解された産物の大きさを調節することができる。
【0068】
また、本発明は、前記生分解性多重ブロック共重合体を含む薬学的組成物を提供する。本発明の前記多重ブロック高分子は、薬物伝達のための伝達体として用いられることができる。本発明の多重ブロック共重合体のヒドロゲルは、薬物伝達体、及び身体に移植または注射することができ、望ましくは、身体から薬物を持続的に放出させるために用いられる。
【0069】
薬物を、本発明の多重ブロック共重合体を含む溶液または混濁液に添加して、ゲル化温度で薬物をゲルに内包させた後、低温で水溶液状態で生体内に注射した。この後、体温でゲル状態の薬物を含んだデポーが形成され、多重ブロック共重合体のジカルボキシル基リンカーが加水分解によって分解されれば、ゲルから薬物が徐々に放出される。また、本発明の多重ブロック共重合体を水溶液または有機溶媒にある薬物と共に混合した後、マイクロスフィア、ナノ粒子、ストリップ、フィルムなどの形態に加工して、体内に注射する薬物伝達体として利用することができる。
【0070】
本発明の多重ブロック共重合体を利用した薬物伝達体として利用できる薬物は、いかなる種類の薬物も可能であり、例えば、非イオン性及びイオン性薬物であることができる。前記薬物は、微粒子、ペプチド、蛋白質、多糖類、ヌクレオチドなどを含むことができるが、これに限定されるものではない。望ましく、前記薬物は、イオン性を帯びる薬物、特に分子自体内に多くの数のカルボキシル基とアミノイオン基を有するペプチドまたは蛋白質であることができる。前記ペプチドまたは蛋白質の例としては、成長ホルモン(growth hormone, GH)、インターフェロン(interferon, IFN)、白血球増殖因子(granulocyte colony stimulation factor, G-CSF)、巨大白血球増殖因子(granulocyte macrophage colony stimulation factor, GMCSF)、赤血球生成蛋白質(erythropoietin, EPO)、インターロイキン(interleukin, IL)、卵胞生成促進ホルモン(fibroblast growth factor, follicle stimulating hormone, FSH)、マクロファージ細胞集落増殖因子(macrophage colony stimulating factor, M-CSF)、 神経成長因子(nerve growth factor, NGF)、オクトレオチド(octreotide)、インシュリン、インシュリン類似成長因子(insulin-like growth factor, IGF)、カルシトニン(calcitonin)、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor, TNF)、血管生成因子(vascular endothelial growth factor, VEGF)、上皮細胞成長因子(epidermal growth factor, EGF)、血小板成長因子(platelet-derived growth factor, PDGF)、骨形成因子(bone morphogenetic protein, BMP)、組織プラスミノゲン活性因子(tissue plasminogen activator, TPA)、トロンボポエチン(TPO)、組織成長因子(tissue growth factor)、及び腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor, TNF)などが挙げられる。前記ペプチド及び蛋白質は、天然、加工、自然、糖化形態、及びPEG、生物学的活性を有する断片及びその類似体などの高分子を有する変形された形態であることができる。
【0071】
したがって、本発明のまた他の一つの実施態様は、本発明の多重ブロック共重合体及び薬物を有効性分として含む薬学的組成物である。前記薬物は0.01%乃至50%の範囲内に含むことができ、前記多重ブロック共重合体水溶液は、相転移を現す限り薬物伝達体として用いることができ、望ましくは0.5乃至50%の濃度に使用することができる。
【0072】
ペプチドまたは蛋白質の薬物伝達体を製造するために、本発明の多重ブロック共重合体を水溶液状態に作ることが必要であり、前記多重ブロック共重合体は、約25℃程度の常温ではよく溶解しないが、約4℃程度の低温では高い溶解度を示すので、前記多重ブロック共重合体を低温で溶解させるのが望ましい。分子量によって溶解させられる多重ブロック高分子の量は限定されているが、分子量100,000程度の多重ブロック共重合体の場合、最大30%、望ましくは4乃至20%まで水に溶解させることができる。したがって、低温でペプチド、蛋白質または水溶性薬物を多重ブロック共重合体水溶液に混合した後、皮下内または経口に投与すれば、体温では水溶液がヒドロゲル状態に変わって、前記ペプチド、蛋白質または水溶性薬物を徐々に放出させることができる。
【0073】
本発明の多重ブロック共重合体を利用したマイクロスフィアまたはナノ粒子は通常知られた方法で製造することができ、例えば、前記高分子を塩化メチレンに溶解させた後、常温(37℃)の水、生理食塩水、PBS溶液、または前記高分子が0.1乃至2%溶解している水溶液に沈殿させて、製造することができる。また他の方法で、前記多重ブロック高分子を凍結乾燥して得られた高分子を圧出、圧着、または密着整形方法でストリップまたは棒を製造したり、または予め決められた温度(60℃乃至120℃)に加熱して、フィルム形態に製造することができる。
【0074】
本発明の多重ブロック共重合体に、PEG、ヒアルロン酸、デキストリン、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、ポロキサマー407、ポロキサマー188、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びヒドロキシプロピルセルロースなどを0.1乃至50%の量で添加して、混合型ゾル-ゲルデポー型、マイクロスフィア、ナノスフィア、ストリップ、棒、またはフィルム形態に製造して、持続的に放出する薬物伝達体として利用することができる。前記混合型薬物伝達体を製造する場合、前記高分子のゲル化温度またはゲルの強度を変化させることができる。
【0075】
前記で言及した薬物の体内への伝達方法及び投与量は、薬物の薬理活性、体内作用部位、及び物理化学的性質などにより変わることができ、本発明の高分子の物理化学的性質及び薬物の親水性/疎水性は調節可能である。
【0076】
下記の実施例及び実験例は、本発明に係った当業者が本発明を実施できるように、より明確にするためのものであって、これは本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲が以下の実施例及び実験例によって限定されるわけではない。本発明のまた他の側面において、本発明は、本発明に係った当業者によって自明になることができる。
【0077】
(実施例1.コハク酸ジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
10gのPluronic(登録商標) F127(BASF;poloxamer407)を100mlのフラスコに磁石棒と共に入れ、120℃に加熱した油二重鍋で加熱及び減圧(1torr以下、)しながら、高分子に含まれている水分を2時間の間除去した。減圧を解除させ、窒素を流しながら反応温度を100℃に設定した後、100mlのアセトニトリルをフラスコに添加した。反応フラスコに、dean-starkと冷却器を設置して、dean-starkを通して蒸留されて出る20mlのアセトニトリル反応物内の水分を完全に除去した後、dean-stark装置の貯蔵容器に96μl(高分子を基準に、1当量に相応する)のコハク酸ジクロライドを添加して、24時間反応させた。24時間反応後、合成された多重ブロックポロキサマー-407の末端基をカルボキシル基に置き換えるために、再びdean-stark装置の貯蔵容器に96μlの塩化スクシニルを添加して、24時間反応させた。合成された多重ブロックポロキサマー-407を1Lのジエチルエーテルに沈殿させた後、濾過して、生成物(8.2g)を収得した。
【0078】
前記で得られた生成物を16mlのメタノールに溶解させた後、ジエチルエーテルに沈澱及び濾過させて、2回精製し、真空乾燥させて、分子量分布が狭い多重ブロックポロキサマー(5.7g)を得た。
【0079】
前記多重ブロックポロキサマーの重量平均分子量が90,700ダルトン(Dalton)であることをGPCで測定し、H-NMRで合成を確認した(図1)。
【0080】
(実験例1.多重ブロック高分子の末端基分析)
前記実施例1で合成された多重ブロックポロキサマーの末端基がカルボキシル基に置換されたか否かを確認するために、トリメチルシリルクロライド(TMS-Cl)と前記合成された多重ブロックポロキサマーの末端基を反応させて、H-NMRで測定した。
【0081】
(1)ポロキサマー-407ジコハク酸エステルの合成
10gのPluronic(登録商標) F127(BASF;poloxamer407)を100ml1-口丸い底を有するフラスコに磁石棒と共に入れ、120℃に加熱した油二重鍋で加熱及び減圧(1torr以下)しながら、高分子に含まれている水分を2時間の間除去した。減圧を解除させ、窒素を流しながら、反応温度を50℃に設定した後、100mlのアセトニトリルをフラスコに添加した。フラスコ反応器に5mlのコハク酸ジクロライドを添加して、24時間反応した。生成物は過量のヘキサンに沈殿させた後に濾過し、2回精製した後、真空乾燥させた。
【0082】
ポロキサマージコハク酸エステルはH-NMRで測定して確認した(図2)。
【0083】
(2)多重ブロック高分子の末端基分析
20mgのポロキサマー-407と、前記実験例(1)で合成された20mgのポロキサマー-407ジコハク酸エステルを、各々TMS-Cl(10ul)と反応させた後、H-NMR分析を実施した。この時、触媒剤として10ulのピリジンを添加して分析した。
【0084】
ポロキサマー-407の末端基は全てヒドロキシル基であるので、全ての-OH基と反応したTMS-Clのトリメチルのピーク位置(0.12ppm)を確認した(図3)。ポロキサマー-407ジコハク酸エステルの末端基は全てカルボキシル基であるので、-COOH基と反応したTMS-Clのトリメチルのピーク位置(0.29ppm)を確認した(図4)。
【0085】
前記データを根拠として、実施例1で合成された多重ブロックポロキサマーを、同じ方法でH-NMR分析を実施した(図5)。H-NMRスペクトルを見れば、TMCSが-COOH基と反応して現れるピークだけが見られ、TMCSが-OH基と反応して現れる位置ではピークを観察することができなかった。前記結果から、実施例1で合成された多重ブロックポロキサマー-407の末端基は全てカルボキシル基に置換されたことが分かる。
【0086】
(実施例2.シュウ酸ジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
ジカルボン酸リンカーとしてシュウ酸ジクロライドを用いたことを除いては、前記実施例1と同一な方法で、オキサリル基に連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。
【0087】
このように得られた多重ブロックポロキサマーの分子量は91,300ダルトン(Dalton)であった。
【0088】
(実施例3.アジピン酸ジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
ジカルボン酸リンカーとしてアジピン酸ジクロライドを用いたことを除いては、前記実施例1と同一な方法で、アジピン酸基に連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。
【0089】
このように得られた多重ブロックポロキサマーの分子量は96,300ダルトン(Dalton)であった。
【0090】
(実施例4.スベロイルジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
ジカルボン酸リンクとしてスベロイルジクロライドを用いたことを除いては、前記実施例1と同一な方法で、スベロイル基に連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。
【0091】
このように得られた多重ブロックポロキサマーの分子量は97,800ダルトン(Dalton)であった。
【0092】
(実施例5.セバジン酸ジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
ジカルボン酸リンクとしてセバジン酸ジクロライドを用いたことを除いては、前記実施例1と同一な方法で、セバジン酸基に連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。
【0093】
このように得られた多重ブロックポロキサマーの分子量は124,000ダルトン(Dalton)であった。
【0094】
(実施例6.トデカノイルジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
ジカルボン酸リンクとしてトデカノイルジクロライドを用いたことを除いては、前記実施例1と同一な方法で、トデカノイル基に連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。
【0095】
このように得られた多重ブロックポロキサマーの分子量は104,000ダルトン(Dalton)であった。
【0096】
(実施例7.テレフタロイルジクロライドリンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
ジカルボン酸リンクとしてテレフタロイルジクロライドを用いたことを除いては、前記実施例1と同一な方法で、テレフタロイル基に連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。
【0097】
このように得られた多重ブロック共重合体の分子量は87,000ダルトン(Dalton)であった。
【0098】
(実施例8.フマル酸リンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
10gのフマル酸と22gのオキサリルクロライド(フマル酸の2倍当量)を、50mlのアセトニトリルと50℃で6時間反応させた。反応の後、過量のオキサリルクロライドを真空の条件下でフマル酸クロライドと反応させて、除去した。このように合成されたフマル酸クロライドリンカーを使用して、実施例1と同一な方法で、フマル酸基が連結された多重ブロックポロキサマーを合成した。このように得られた多重ブロック高分子の分子量は85,400ダルトン(Dalton)であった。
【0099】
(実施例9.マレン酸リンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
マレン酸を用いたことを除いては、前記実施例8と同一な方法で行った。このように得られた多重ブロック高分子の分子量は82,700ダルトン(Dalton)であった。
【0100】
(実施例10.リンゴ酸リンカーを利用した多重ブロック高分子の合成)
リンゴ酸を用いたことを除いては、前記実施例8と同一な方法で行った。このように得られた多重ブロック高分子の分子量は84,000ダルトン(Dalton)であった。
【0101】
(実施例11.末端基にカルボン酸ナトリウム基を有する多重ブロック高分子の合成)
実施例1で合成された両末端基にカルボキシル基を有する10gの多重ブロックポロキサマーを50mlのアセトニトリル溶液に溶解させた。ここに、炭酸水素ナトリウム水溶液(1g/ml)をゆっくり添加して、pHが8になるように中和させた。中和した溶液を回転蒸発器(rotary evaporator)を利用して、溶媒を除去した後、残っている高分子に50mlの塩化メチレンを添加して、再び溶解させた。
【0102】
反応しない炭酸水素ナトリウムは沈殿し、沈殿物は濾過して、除去した。高分子を含む濾過されたメチルクロライド溶液を500mlのジエチルエーテルに沈殿させた後、濾過して、末端にカルボン酸ナトリウム塩基を有する多重ブロック高分子を収得した。
【0103】
(実施例12.末端基にSONaを有する多重ブロック高分子の合成)
実施例1の中間過程で得られた、末端にヒドロキシル基を有する10gの多重ブロック高分子を1-口フラスコに入れ、120℃で2時間真空乾燥させて、水分を除去した。反応温度を60℃まで下げ、得られた生成物を50mlのアセトニトリル溶液に溶解させた。ここに0.16gの硫黄トリオキシドピリジン複合体を添加して溶解させた。前記反応物を磁石棒でかき回しながら10時間反応させた後、得られた高分子溶液を、回転蒸発器を利用して溶媒を除去し、残っている高分子に50mlの塩化メチレンを添加して溶解させた。
【0104】
反応しない硫黄トリオキシドピリジン複合体は沈殿し、沈殿物は濾過して、除去した。高分子を含む濾過された硫黄トリオキシドピリジン複合体溶液を500mlのジエチルエーテルに沈殿させた後、濾過して、末端にSONa基を有する多重ブロック高分子を収得した。
【0105】
(実施例13.多重ブロック高分子の相転移温度測定)
10w/w%、15w/w%、及び20w/w%多重ブロック高分子水溶液3mlを製造するために、3mlの蒸溜水に、実施例1の高分子176mg、353mg、及び529mgを添加し、4℃で2時間の間完全に溶解させた。前記多重ブロック高分子水溶液の粘度はBrookfield viscometer (model: RVDV II+)を利用して測定し、これから前記高分子の相転移温度が測定された(図6)。前記15%のポロキサマー407水溶液は、体内温度の37℃以上ではゲル化されず、25%のポロキサマー407水溶液は17℃でゲル化された。反面、10%の多重ブロック高分子(約100,000ダルトンの分子量を有した)水溶液は25.9℃で、15%の多重ブロック高分子水溶液は20.5℃でゲル化された。
【0106】
したがって、本発明の高分子は、ポロキサマー407に比べて相対的に低濃度でゲル化が可能であり、ゲル化温度も高いので、体内注射時に有用に用いることができる。
【0107】
(実施例14.生体内で15w/w%多重ブロック高分子溶液のゲルから放出されるインターフェロン-α)
15MIU/mlのインターフェロン-α溶液1.2mlに、1mg/mlの酢酸亜鉛溶液0.106mlを入れ、pHを5.0乃至8.0に維持して、インターフェロン-α-亜鉛複合体を形成した。前記インターフェロン-亜鉛複合体溶液に、実施例1の多重ブロック高分子(分子量90,700ダルトン)212mg(15w/w%)を入れ、4℃で3時間以上放置して、インターフェロン多重ブロック高分子溶液を製造した。
【0108】
この溶液は、21℃に放置すると、固まって、注射できない形態に変わった。
【0109】
このように準備されたインターフェロン-多重ブロック高分子溶液の温度を4℃に維持しながら注射器に0.4ml(30MIU/rat)ずつ注入した後、実験用ネズミ(SD rat7週齢、200〜220g)の皮下に注射した。実験用ネズミの皮膚温度を25℃に下げるために、氷ポケットを約5〜8秒間の投与部位に接触させた。
【0110】
投与後、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、1日、2日、3日、4日、5日、及び6日にわたって尻尾静脈で400μlの血液を採取した後、血漿を分離して、血液耐インターフェロン-αの濃度をELISA kitを利用して分析した。その結果、前記ネズミに投与した5w/v%多重ブロック共重合体のゲルから、インターフェロン-αが投与された後、5日以上徐々に放出された(図7)。
【0111】
(実施例15.生体内で20w/w%多重ブロック高分子溶液のゲルから放出されるインターフェロン-α)
15MIU/mlのインターフェロン-α溶液1.2mlに、1mg/mlの酢酸亜鉛溶液0.106mlを入れ、pHを5.0乃至8.0に維持して、インターフェロン-亜鉛複合体を形成した。前記インターフェロン-亜鉛複合体溶液に実施例1の多重ブロック共重合体(分子量90,700ダルトン)300mgを入れ、4℃で4時間以上放置して、インターフェロン多重ブロック高分子溶液を製造した。前記溶液は、18℃になると、固まって、注射できない形態に変わった。前記溶液を、実施例13と同一な方法で実験用ネズミに注射し、その結果、インターフェロンもまた5日以上放出されることを確認した(図7)。
【0112】
(実施例16.生体内で15w/w%多重ブロック高分子溶液のゲルから放出される人間成長ホルモン(HGF))
凍結乾燥された2.07mgの人間成長ホルモン(HGF)粉末を、1.66mlの注射用数に溶解させて、1.25mg/mlの人間成長ホルモン溶液を製造した。前記人間成長ホルモン溶液に、実施例1の多重ブロック共重合体(分子量90,700ダルトン)293mgを入れ、4℃で3時間放置して、人間成長ホルモンを含有する15w/w%の共重合体溶液を製造した。前記溶液を0.4ml(6IU/kg)ずつ4℃で注射器に入れ、実験用ネズミ(7週齢、200〜220g)の皮下に、実施例13と同一な方法で投与した。その結果、人間成長ホルモンが6日以上放出されることを確認した(図8)。
【0113】
(実施例17.生体内で15w/w%多重ブロック高分子溶液のゲルから放出される白血球増殖因子(G-CSF))
生理食塩水または注射用水で希釈して、100μg/mlの濃度の白血球増殖因子溶液を製造した。前記白血球増殖因子溶液に、実施例1の多重ブロック共重合体(分子量90,700ダルトン)176mgを入れ、4℃で3時間放置して、G-CSFを含有する15w/w%の高分子溶液を製造した。前記溶液を4℃で0.4mlずつ注射器に入れ、実験用ネズミに、実施例13と同一な方法で投与した。その結果、白血球増殖因子(G-CSF)が6日間放出されることを確認した(図9)。
【0114】
(実施例18.生体内で15w/w%多重ブロック高分子溶液のゲルから放出されるペギレートされた白血球増殖因子(pegylated G-CSF))
9mg/mlの濃度のPEG-G-CSFを生理食塩水に希釈して、125μg/ml濃度になるようにした。前記溶液に、実施例1の多重ブロック共重合体(分子量90,700ダルトン)317mgを入れ、4℃で3時間放置して、温度に応じたゲル遷移を見えるペギレートされたG-CSF高分子溶液を製造した。前記溶液を4℃で0.4mlずつ注射器に入れ、実施例13と同一な方法で、実験用ネズミに投与した。その結果、白血球増殖因子(G-CSF)が8日間放出されることを確認した(図10)。
【0115】
前記で説明された実施例は、単に本発明の原理を適用した例に過ぎない。多くの変形と選択的な実施例は、本発明の精神及び範囲を超えずに誘導されることができ、特許請求はこのような変形及び整列と一致する。したがって、本発明が図面から見られるように、特により実用的であり望ましい実施例に見なされてこれと関連してみて詳しく説明する場合、請求項で説明する本発明の原理及び概念から超えることなしで当業界の普通の熟練者によって多様な変形が行われることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施例1による多重ブロックポロキサマーのH-NMRスペクトルである。
【図2】ポロキサマージコハク酸エステル(disuccinate)のH-NMRスペクトルである(実験例1)。
【図3】ポロキサマー+(TMS-Cl/ピリジン)のH-NMRスペクトルである(実験例1)。
【図4】ポロキサマージコハク酸エステル+(TMS-Cl/ピリジン)のH-NMRスペクトルである(実験例1)。
【図5】多重ブロックポロキサマー+(TMS-Cl/ピリジン)のH-NMRスペクトルである(実験例1)。
【図6】多重ブロックポロキサマーのゾル-ゲル相転移特徴を示すグラフである(実施例13)。
【図7】本発明のヒドロゲルからインターフェロン-α(interferon-α)が放出される様相を示すグラフである(実施例14及び15)。
【図8】本発明のヒドロゲルから人間成長ホルモンが放出される様相を示すグラフである(実施例16)。
【図9】本発明のヒドロゲルからG-CSFが放出される様相を示すグラフである(実施例17)。
【図10】本発明のヒドロゲルからペギレートされたG-CSF(pegylated G-CSF)が放出される様相を示すグラフである(実施例18)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両末端にヒドロキシル基またはイオン基を含み、
生分解性ジカルボキシル基リンカーで共有結合された二つ以上のABA-型の三重ブロックを含み、
前記Aはポリエチレンオキシドブロックであり、前記Bは、ポリプロピレンオキシドブロック、ポリブチレンオキシドブロック、またはこれらの複合体である、多重ブロック共重合体。
【請求項2】
前記エチレンオキシド、及びプロピレンオキシドブロックまたはブチレンオキシドは、各々2乃至2000個の単位数を有するものである、請求項1に記載の多重ブロック共重合体組成物。
【請求項3】
前記AとBとの単位比率は0.2:1乃至40:1である、請求項1に記載の多重ブロック共重合体組成物。
【請求項4】
前記イオン基は、1価または-SO-、-PO2-、及び-C(=O)-R-C(=O)-O-からなる2価金属塩から選択されるものである、請求項1に記載の多重ブロック共重合体組成物。
【請求項5】
前記共重合体の重量平均分子量は40,000乃至1,000,000ダルトンの範囲である、請求項1に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項6】
前記生分解性ジカルボキシル基リンカーは、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバコイル酸、スベリン酸、ドデカン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、及びテレフタル酸からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の多重ブロック共重合体組成物。
【請求項7】
下記式に示される多重ブロック共重合体:
M-X-O-[PEO-Y-PEO-C(=O)-R-C(=O)-O]-PEO-Y-PEO-O-X-M この時、PEOはポリエチレンオキシドブロックであり、
Yは、PPOまたはPBO、またはPPO及びPBOの複合体、この時、前記PPOはポリプロピレンオキシドブロックであり、PBOはポリブチレンオキシドブロックであり、
Xは、Hまたは陰イオン基であり、
nは、1乃至100の間の整数であり、
Rは、-(CHm-またはCm´を含むアリール、この時、mは0乃至20の間の整数であり、m´は6乃至12の間の整数であり、及びMは、Hまたは陽イオン基(但し、MとXが同時にHにはなり得ず、XがHである場合にMは存在できない)である。
【請求項8】
前記Xは、-SO-、-PO2-、及び-C(=O)-R-C(=O)-O-からなる群から選択された陰イオン基である、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項9】
前記Mは、Li、Na、K、Ag、Au、Ca、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、及びNiからなる群から選択された陽イオン基である、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項10】
前記重量平均分子量は1,000乃至20,000ダルトンの範囲である、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項11】
前記PEOとYとの単位比率は0.2:1乃至40:1である、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項12】
前記重量平均分子量は1,000乃至20,000ダルトンの範囲である、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項13】
前記Yはポロキサマー(poloxamer)である、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項14】
前記Rは、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバコイル酸、スベリン酸、ドデカン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、及びテレフタル酸からなる群から選択されるものから誘導された生分解性ジカルボキシル基リンカーである、請求項7に記載の多重ブロック共重合体。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちのいずれか一つの請求項の多重ブロック共重合体を含む組成物。
【請求項16】
前記多重ブロック共重合体組成物は、ゲル、マイクロスフィア、ナノ粒子、ストリップ、及びフィルムからなる群から選択された形態である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項15の組成物及び生体活性剤を有効性分として含む薬学的組成物。
【請求項18】
前記生体活性剤は0.01乃至50%の濃度範囲である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記生体活性剤は蛋白質またはペプチドである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記蛋白質またはペプチドは、自然形態または高分子によって変形された形態である、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記蛋白質は、成長ホルモン(growth hormone, GH)、インターフェロン(interferon, IFN)、白血球増殖因子(granulocyte colony stimulation factor, G-CSF)、巨大白血球増殖因子(granulocyte macrophage colony stimulation factor, GMCSF)、赤血球生成蛋白質(erythropoietin, EPO)、インターロイキン(interleukin, IL)、卵胞生成促進ホルモン(fibroblast growth factor, follicle stimulating hormone, FSH)、マクロファージ細胞集落増殖因子(macrophage colony stimulating factor, M-CSF)、神経成長因子(nerve growth factor, NGF)、オクトレオチド(octreotide)、インシュリン、インシュリン類似成長因子(insulin-like growth factor, IGF)、カルシトニン(calcitonin)、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor, TNF)、血管生成因子(vascular endothelial growth factor, VEGF)、上皮細胞成長因子(epidermal growth factor, EGF)、血小板成長因子(platelet-derived growth factor, PDGF)、骨形成因子(bone morphogenetic protein, BMP)、組織プラスミノゲン活性因子(tissue plasminogen activator, TPA)、トロンボポエチン(TPO)、組織成長因子(tissue growth factor, TGF)、及び腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor, TNF)からなる群から選択されるものである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記組成物は、ゲル、マイクロスフィア、ナノ粒子、ストリップ、及びフィルムからなる群から選択された形態である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記組成物は、水溶液内に請求項17に記載の組成物の0.5乃至50%を含むものである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記組成物は、PEG、ヒアルロン酸、デキストリン、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、ポロキサマー407、ポロキサマー188、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択された少なくとも一つを追加的に含む、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
1)予め決められた量のPEO-Y-PEOを含む反応液に、PEO-Y-PEO末端ヒドロキシル基1当量の0.5乃至1.0当量のジカルボン酸ジハロゲン化物(dihalid)をゆっくり添加して、予め決められた時間反応させる段階;
2)前記反応液に、0.1当量のPEO-Y-PEOを追加的に添加して、反応が終結するまで反応させる段階;
3)生成した多重ブロック共重合体をエーテルまたはヘキサン溶媒に沈殿させ、エタノールで前記沈殿物を溶解させる段階;及び
4)エタノール/エーテルまたはヘキサンの体積比率が1/1乃至1/20になるように、エーテルまたはヘキサンをゆっくり加えて、多重ブロック共重合体を沈澱させる段階;を含む、末端にヒドロキシル基を有する請求項7に記載の多重ブロック共重合体の製造方法。
【請求項26】
1)予め決められた量のPEO-Y-PEOを含む反応液に、PEO-Y-PEO末端ヒドロキシル基1当量の0.5乃至1.0当量のジカルボン酸ジハロゲン化物をゆっくり添加して、予め決められた時間反応させる段階;
2)前記反応液に、前記PEO-Y-PEO末端ヒドロキシル基当量を基準に、1当量以上のジカルボン酸ジハロゲン化物を追加的に添加して、反応が終結するまで反応させる段階;
3)生成した多重ブロック共重合体をエーテルまたはヘキサン溶媒に沈殿させ、エタノールで溶解させる段階;及び
4)エタノール/エーテルまたはヘキサンの体積比率が1/1乃至1/20になるように、エーテルまたはヘキサンをゆっくり加えて、共重合体を沈澱させる段階;を含む、
末端にカルボキシル基を有する請求項7に記載の多重ブロック共重合体の製造方法。
【請求項27】
1)請求項26から生成した多重ブロック共重合体を、水と混合可能な溶媒に溶解させる段階、及び
2)前記多重ブロック水溶液を、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化銅、硝酸銀、塩化カリウム、または塩化リチウムで中和させる段階を含む、
多重ブロック共重合体の両末端にカルボン酸金属塩を有する請求項7に記載の多重ブロック共重合体の製造方法。
【請求項28】
1)請求項25の多重ブロック共重合体を溶媒に溶解させ、この溶液を、スルフェートトリオキシドピリジン複合体(CNSO)、または酸塩化リン(POCl)と反応させる段階;及び
2)前記高分子末端に金属塩を有する多重ブロック共重合体を製造するために、前記反応液に選択的に、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化銅、硝酸銀、塩化カリウム、または塩化リチウムで中和させる段階を含む、
高分子末端に硫酸、燐酸、または金属塩を有する請求項7に記載のの多重ブロック共重合体の製造方法。
【請求項29】
前記PEO-Y-PEOはポロキサマーである、請求項25または26に記載の方法。
【請求項30】
前記PEO-Y-PEOは、塩化メチレンに溶解させた後でヘキサンに沈殿させたり、またはn-プロパノール/HO溶媒で層分離して精製されるものである、請求項25または26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−508414(P2008−508414A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524745(P2007−524745)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002511
【国際公開番号】WO2006/014067
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(501026237)サムヤン コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】