タイムスタンプ機能付き通信端末装置
【課題】タイムスタンプ技術を利用することにより、通信完了時刻を公的に証明することができるタイムスタンプ機能付き通信端末装置を提供する。
【解決手段】デジタル複合機のスタートキーが押下された場合に、e−文書スキャンの指示があったときは、スキャン画像データがTSAから受信したタイムスタンプとともに、e−文書として保存される(ステップ101〜105)。また、ファクス送信を行った場合、「ログe−文書保存送信」が選択されていると、通信ログデータとファクス送信した画像データの合成データのハッシュ値がTSAに送信され、ログファイルデータとタイムスタンプがe−文書として保存される(ステップ106〜117)。
【解決手段】デジタル複合機のスタートキーが押下された場合に、e−文書スキャンの指示があったときは、スキャン画像データがTSAから受信したタイムスタンプとともに、e−文書として保存される(ステップ101〜105)。また、ファクス送信を行った場合、「ログe−文書保存送信」が選択されていると、通信ログデータとファクス送信した画像データの合成データのハッシュ値がTSAに送信され、ログファイルデータとタイムスタンプがe−文書として保存される(ステップ106〜117)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する機能を備えた、デジタル複合機等のタイムスタンプ機能付き通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機等の通信端末装置において、ファクス受信後、ある時間内に応答する契約がある場合など、送信時刻が重要なケースでは、送信証や通信管理記録に基づくジャーナル機能により送信時刻を証明するようにしている。
【0003】
送信証は、受信側との間で正常にファクシミリ通信が行われたことを確認するためのものであり、ファクシミリ送信が正常に行われた場合であって、送信証を出力する設定となっている場合には、送信側のファクシミリ装置が画像送信後に送信証を記録紙上に記録するようになっている。この送信証には、通常、図15に示すように、送信証表題「** 送信証 **」、送信日時、及び、送信相手先のダイヤル番号、送信モード、送信開始日時、送信時間、送信枚数、通信結果並びに備考欄の各項目から構成される結果報告欄が記録されている。
【0004】
一方、複写機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能等を有するデジタル複合機では、最近、スキャナによりスキャンした文書画像にタイムスタンプを付与してe−文書として保存することが行われている。
すなわち、紙文書と比較してデジタルデータは改ざん等が容易であるため、タイムスタンプ技術が用いられており、このタイムスタンプは、電子文書の確定時刻を証明する技術で、その文書がいつから存在しているのか、ということと、その時点から第三者だけでなく作成者本人にも改ざんされていないことを証明するものである。
【0005】
このようなタイムスタンプ技術を採用する場合、電子文書のハッシュ値を時刻証明機関(Time Stamping Authority、以下TSAという)に送信し、TSAが送られたハッシュ値を原子時計を用いた正確な時刻の情報とともに暗号化してタイムスタンプとして返送し、このタイムスタンプを電子文書とともに保管するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−267083号公報
【0006】
そして、e−文書を検証する場合には、タイムスタンプを復号し、タイムスタンプ時刻情報の確認、及び、別途計算した当該電子文書のハッシュ値とタイムスタンプに含まれているハッシュ値とを比較することにより、改ざんの検知を行うことができる。
なお、ハッシュ値とは、与えられた原文から不可逆な一方向関数(ハッシュ関数)を用いて生成された固定長の値で、メッセージダイジェストなどとも呼ばれる。ハッシュ値から原文を求めることや、同じハッシュ値を持つ異なった文章を作成することは極めて困難であるため、ハッシュ値を比較することで原文が同一であるかどうかの確認が可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、デジタル複合機等の通信端末装置では、従来、通信管理記録や送信証により送信時刻を確認するようにしているが、これはあくまでも機器の時計が正常動作していることを前提としており、機器の時計データが正確でない場合には、その履歴データの正当性がなく、また、機器の時間設定を変更すると容易に送信した時刻を変更することが可能であり、信頼性に欠けるので、通信管理記録や送信証は公的な証明が必要な時等には使用することができない、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、上記のタイムスタンプ技術を利用することにより、通信完了時刻を公的に証明することができるタイムスタンプ機能付き通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、送信文書に通信ログを付加したデータファイルにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、文書の送信証データにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関から時刻情報を取得し、取得した時刻情報を文書の送信証データに付加することを特徴とし、
請求項4に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関からタイムスタンプを取得し、取得したタイムスタンプを文書の送信証データに付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項2に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置によれば、文書の送信時に、送信文書に通信ログを付加したデータファイルまたは文書の送信証データにタイムスタンプが付与されて保存されるので、文書の送信時刻を証明することができるとともに、送信文書、通信ログあるいは送信証が改ざんされていないことを証明することができる。
【0013】
また、請求項3、請求項4に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置によれば、文書送信時に、時刻証明機関から取得した時刻情報またはタイムスタンプが送信証データに付加されるので、送信証に記載された時刻の信頼性を高めることができる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置をデジタル複合機に適用した実施例について説明する。図1はデジタル複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図であり、図2はデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すネットワーク構成図において、1はデジタル複合機、2、3、4・・・はパソコン、5は公衆交換電話網(PSTN)、6はLAN(Local Area Network)、7はインターネット網、8はTSAである。デジタル複合機1はコピーモード、プリンタモード、ファクスモードの各機能を備えるとともに、メール送信機能も備え、PSTN5及びLAN6に接続されており、このLAN6に端末装置として複数のパソコン2、3、4・・・が接続されている。このLAN6はインターネット網7にも接続されており、デジタル複合機1はこのインターネット網7を介してメールの送受信を行うことが可能である。
【0016】
また、TSA8は、インターネット網7を介してデジタル複合機1からスキャンデータのハッシュ値を受信すると、受信したハッシュ値を原子時計を用いた正確な時刻の情報とともに暗号化し、タイムスタンプとして返送する時刻証明機関である。
【0017】
デジタル複合機1は、図2に示すように、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、表示・操作部14、読取部15、画像メモリ16、記録部17、コーデック18、モデム19、ネットワーク制御ユニットNCU20、LANインターフェース(I/F)21及びe−文書保存部22から構成され、各部がバス23を介して接続されている。
【0018】
CPU11はバス23を介してデジタル複合機1のハードウェア各部を制御するとともに、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行し、ROM12はデジタル複合機の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ等を予め記憶している。また、RAM13はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶するとともに、通信ログデータを記憶する。
【0019】
表示・操作部14は、デジタル複合機1の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、デジタル複合機1を操作するための複数のキーよりなり、図3に示すように、表示部を構成するLCD表示部31と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部31には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部31に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。また、操作キーとして、テンキー32、スタートキー33、リセットキー34、ストップキー35、複数のワンタッチダイヤルキー36、十字キー37、リターンキー38、セットキー39、FAX切替キー40、コピー切替キー41、スキャナ切替キー42等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部31によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0020】
読取部15はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、ドットイメージデータを出力する。
また、画像メモリ16は、DRAM等を用いて構成され、送信すべき画像データまたは受信した画像データあるいは読取部15で読み取った画像データを記憶し、記録部17は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータ、コピー原稿データあるいは外部のパソコン2、3、4等から送信されたプリントデータをプリントアウトする。
【0021】
コーデック18は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号するとともに、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。
【0022】
モデム19はバス23に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム19は同様にバス23に接続されたNCU20と接続されている。NCU20はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム19をPSTN5に接続する。
LANインターフェース21はLAN6に接続され、インターネット網7からの信号を受信する一方、LAN6に対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0023】
一方、e−文書保存部22は、e−文書を文書の種類ごとに保存する記憶部であり、図4に示すように、e−文書の管理ファイル、通信ログフォルダ、及び、帳簿、見積書、議事録、注文書等の文書毎のフォルダを備え、各文書フォルダには、文書名を識別できる文字列と日付、通番を組み合わせたファイル名が付与されたスキャン文書とタイムスタンプのファイルが保存され、通信ログフォルダには、送信画像データと通信ログデータを合成したデータとタイムスタンプよりなるファイルが、文字列、例えば「log」と日付、通番を組み合わせたファイル名により保存される。また、管理ファイルには、図5に示すように、各e−文書のファイル名と、タイムスタンプの有効期限、当該データの保存期限が記憶されるようになっている。
【0024】
デジタル複合機1は上記のような構成を備えており、ファクス送信時には、ユーザが送信原稿を読取部15にセットした後、表示・操作部14のファクス切替キー40を押下することにより、LCD表示部31に図6に示す、ファクス送信機能選択画面が表示される。このファクス送信機能選択画面では、図に示すように、「通常送信」、「ログe−文書保存送信」のいずれかを選択することができ、「ログe−文書保存送信」を選択した場合には、送信画像データと通信ログデータを合成したデータとタイムスタンプをe−文書保存部22に保存することができる。
そして、ユーザが「通常送信」と「ログe−文書保存送信」のいずれかを押下して選択すると、LCD表示部31に送信先入力欄(図示せず)が表示されるので、テンキー32により送信先のダイヤル番号を入力するか、あるいはワンタッチダイヤルキー36によって送信先を選択した後、スタートキー33を押下することにより、原稿の画像データをファクス送信することができる。
【0025】
また、文書をe−文書化する場合、ユーザが表示・操作部14のスキャナ切替キー42を押下することにより、LCD表示部31に図7に示すスキャン機能選択画面が表示される。このスキャン機能選択画面には、図に示すように、通常スキャンとe−文書スキャンの選択ボタンが表示されており、この画面で「通常スキャン」ボタンを押下すると、通常のスキャンが実行され、「e−文書スキャン」ボタンを押下すると、LCD表示部31に図8に示すe−文書スキャンの文書選択画面が表示される。この画面には帳簿e−文書スキャン、見積書e−文書スキャン、注文書e−文書スキャン等のe−文書スキャンを行う文書の種類の選択画面が表示されており、いずれかのe−文書スキャンを押下して選択した後、スタートキー33を押下することにより、文書をe−文書化することができる。
【0026】
次に、上記のスタートキー33が押下された場合のCPU11の作用を図9のフローチャートにより説明する。
表示・操作部14のスタートキー33が押下されると、CPU11は、図9のフローチャートに示すプログラムを開始し、まず、e−文書スキャンの指示があったか否かを判定する(ステップ101)。
ユーザが図7のスキャン実行画面でe−文書スキャンを選択していた場合、CPU11は、読取部15にセットされた原稿の画像データを読取部15で読み取り、コーデック18で圧縮して画像メモリ16に蓄積する(ステップ102)。
【0027】
次に、CPU11は、画像メモリ16に蓄積した画像データのハッシュ値を算出し、このハッシュ値データをLANインターフェース21、LAN6、インターネット網7を介してTSA8に送信した(ステップ103)後、TSA8からタイムスタンプを受信したか否かを判定する(ステップ104)。
そして、TSA8からタイムスタンプを受信すると、CPU11は、文書名を識別できる文字列と日付、通番を組み合わせたファイル名を作成し、作成したファイル名によりスキャンデータとタイムスタンプを選択された文書種類のフォルダに保存するとともに、管理データを管理ファイルに保存した(ステップ105)後、プログラムを終了する。
【0028】
例えば、ユーザが図8のe−文書スキャン実行画面で帳簿e−文書スキャンを選択していた場合、帳簿用ファイル名が「chobo」+「日付」+「連番」により作成され、作成されたファイル名によりスキャンデータとタイムスタンプがe−文書保存部22の帳簿用フォルダに保存されるとともに、図5に示すように、管理ファイルにファイル名、タイムスタンプの有効期限、e−文書の保存期限が記憶される。
なお、文書の保存期間は、文書の種類ごとに、例えば、帳簿10年間、注文書5年間等と指定できるので、保存期限はe−文書の作成日とその種類の文書の保存期間とにより自動的に決定することができる。
【0029】
一方、ステップ101でe−文書スキャンの指示がなかったと判定した場合、CPU11は、ユーザがファクス送信を指示したか否かを判定し(ステップ106)、ユーザがファクス送信を指示していないと判定した場合、コピー等の他の処理を実行する(ステップ107)。
また、ステップ106でユーザがファクス送信を指示したと判定した場合、CPU11は、原稿の画像データを読取部15で読み取り、コーデック18で圧縮して画像メモリ16に蓄積する(ステップ108)。
【0030】
次に、CPU11は、指定された宛先のダイヤル番号をモデム19、NCU20を制御してPSTN5に送出させ(ステップ109)、通信が確立すると、画像メモリ16に蓄積されている画像データをコーデック18によりG3データに変換処理し、このG3データをモデム19で変調した後、NCU20からPSTN5を通して相手先にファクス送信する(ステップ110)。
そして、ファクス通信が完了すると、CPU11は、ファクス通信ログ、すなわち、ファクスの送信先、送信時刻、送信枚数、通信結果等を通信履歴としてRAM13のFAX通信ログ欄に記憶する(ステップ111)。
【0031】
次に、CPU11は、図6のファクス送信機能選択画面で、「ログe−文書保存送信」が選択されたか否かを判定し(ステップ112)、「ログe−文書保存送信」が選択されていないと判定した場合、プログラムを終了する。
また、ステップ112で「ログe−文書保存送信」が選択されていたと判定した場合、CPU11は、RAM13に記憶されている通信ログを符号化してスキャンデータと同一形式のものを生成した(ステップ113)後、生成した通信ログデータとファクス送信した画像データを合成して図10に示すような、ログファイルデータを生成する(ステップ114)。
【0032】
ログファイルデータを生成すると、CPU11は、生成したログファイルデータのハッシュ値を算出し、このハッシュ値データをLANインターフェース21、LAN6、インターネット網7を介してTSA8に送信した(ステップ115)後、TSA8からタイムスタンプを受信したか否かを判定し(ステップ116)、TSA8からタイムスタンプを受信すると、ファイル名を「log」+「日付」+「連番」により作成し、作成されたファイル名により上記のログファイルデータとタイムスタンプをe-文書保存部22の通信ログフォルダに保存するとともに、管理ファイルにファイル名、有効期限、保存期限を記憶する。
【0033】
以上のように、通信ログにタイムスタンプを付与してe−文書保存部22に保存することができるので、ファクス送信の送信時刻を証明することができるとともに、通信ログが改ざんされていないことも証明することができる。また、このとき、ファクス送信した画像データも保存されるので、通信ログとともに、送信画像データも改ざんされていないことを確認することができる。
【実施例2】
【0034】
上記の実施例では、通信ログにタイムスタンプを付加して保存することにより、送信時刻の証明を行うことができるようにしたが、TSAから取得した時刻を送信証に付与したり、TSAから取得したタイムスタンプを送信証に付与することにより、送信時刻の証明を行うこともでき、以下、送信証にTSAから取得した時刻を付与することにより、信頼できる時刻が表示された送信証をプリントする実施例について説明する。
なお、装置構成は、e−文書保存部22に送信証のフォルダが設けられる点を除いて、図1〜図3の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0035】
ファクス送信時には、ユーザが送信原稿を読取部15にセットした後、表示・操作部14のファクス切替キー40を押下することにより、LCD表示部31に図11に示すファクス送信機能選択画面が表示される。このファクス送信機能選択画面では、図に示すように、送信先入力欄とともに、送信証の要否選択欄が表示されており、送信証の「オン」ボタンを押下することにより、送信証のプリント出力を行うことができ、また、証明機関時刻取得の「オン」ボタンを押下することにより、TSAより取得した時刻が付与された送信証をプリント出力することができる。
【0036】
以下、本実施例においてスタートキー33が押下された場合のCPU11の作用を図12のフローチャートにより説明するが、図12のフローチャートのステップ201〜ステップ211の作用は、図9のフローチャートのステップ101〜ステップ111の作用と同じであるので、説明を省略し、ステップ212以降についてのみ、説明する。
【0037】
通信ログをRAM13のFAX通信ログ欄に記憶すると、CPU11は、図11のファクス送信機能選択画面で、送信証のプリント出力が選択されたか否かを判定し(ステップ212)、送信証のプリント出力が選択されていないと判定した場合、プログラムを終了する。
また、送信証のプリント出力が選択されていると判定した場合、CPU11は、RAM13に記憶されている通信ログから送信証テキストデータを作成し、ファクス送信した画像データと合成することにより、図13に示すような送信証データを作成する(ステップ213)。この後、CPU11は、図11のファクス送信機能選択画面で、証明機関の時刻取得が選択されたか否かを判定し(ステップ214)、証明機関の時刻取得が選択されていないと判定した場合、図13の送信証データをプリント出力し(ステップ215)、プログラムを終了する。
【0038】
一方、ステップ214で証明機関の時刻取得が選択されていると判定した場合、CPU11は、送信証データのハッシュ値を算出し、このハッシュ値データをLANインターフェース21、LAN6、インターネット網7を介してTSA8に送信した(ステップ216)後、TSA8からタイムスタンプを受信したか否かを判定し(ステップ217)、TSA8からタイムスタンプを受信すると、ファイル名を「sosinsho」+「日付」+「連番」により作成し、作成されたファイル名により上記の送信証データとタイムスタンプをe-文書保存部22の送信証フォルダに保存するとともに、管理ファイルにファイル名、有効期限、保存期限を記憶する(ステップ218)。
次に、CPU11は、取得したタイムスタンプを復号することによりTSAから取得した時刻を抽出し、その時刻を送信証テキストデータに付与し、図14に示すように、送信証テキストデータとファクス送信した画像データを合成してプリント出力する(ステップ219)。
【0039】
以上のように、TSAから取得した時刻を追加した送信証をプリント出力することができるので、送信証に記載された時刻の信頼性を高めることができるとともに、e−文書保存部に送信証データとタイムスタンプが保存されているので、送信証や送信時刻が改ざんされていないことを後日証明することが可能となる。
また、上記のように、ファクス送信した画像データも保存されるので、送信画像データも改ざんされていないことを確認することができる。
【0040】
なお、上記の実施例では、送信証にTSAから取得した時刻を付与してプリント出力したが、送信証にTSAから取得したタイムスタンプを付与してプリントアウトすることもでき、この場合には、タイムスタンプと送信証データをe−文書保存部22に保存せず、プリント出力だけを行うようにしてもよい。
また、以上の実施例では、本発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置をデジタル複合機に適用した例について説明したが、本発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は通常のファクシミリ装置等にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】デジタル複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】表示・操作部の詳細な構成を示す図である。
【図4】e−文書を保存する記憶部のファイル構造を示す図である。
【図5】管理ファイルに保存されるデータの一例である。
【図6】ファクス送信機能選択画面の一例である。
【図7】スキャン機能選択画面の一例である。
【図8】e−文書スキャンの文書選択画面の一例である。
【図9】スタートキーが押下された場合の作用を示すフローチャートである。
【図10】通信ログデータとファクス送信した画像データを合成したログファイルデータの一例である。
【図11】他の実施例のファクス送信機能選択画面の一例である。
【図12】他の実施例においてスタートキーが押下された場合の作用を示すフローチャートである。
【図13】通信ログと送信画像データを合成した送信証データの一例である。
【図14】TSAから取得した時刻を付与した送信証データの一例である。
【図15】従来の送信証の一例である。
【符号の説明】
【0042】
1 デジタル複合機
2、3、4 パソコン
5 PSTN
6 LAN
7 インターネット網
8 TSA
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 表示・操作部
15 読取部
16 画像メモリ
17 記録部
18 コーデック
19 モデム
20 NCU
21 LAN I/F
22 e−文書保存部
31 LCD表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する機能を備えた、デジタル複合機等のタイムスタンプ機能付き通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機等の通信端末装置において、ファクス受信後、ある時間内に応答する契約がある場合など、送信時刻が重要なケースでは、送信証や通信管理記録に基づくジャーナル機能により送信時刻を証明するようにしている。
【0003】
送信証は、受信側との間で正常にファクシミリ通信が行われたことを確認するためのものであり、ファクシミリ送信が正常に行われた場合であって、送信証を出力する設定となっている場合には、送信側のファクシミリ装置が画像送信後に送信証を記録紙上に記録するようになっている。この送信証には、通常、図15に示すように、送信証表題「** 送信証 **」、送信日時、及び、送信相手先のダイヤル番号、送信モード、送信開始日時、送信時間、送信枚数、通信結果並びに備考欄の各項目から構成される結果報告欄が記録されている。
【0004】
一方、複写機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能等を有するデジタル複合機では、最近、スキャナによりスキャンした文書画像にタイムスタンプを付与してe−文書として保存することが行われている。
すなわち、紙文書と比較してデジタルデータは改ざん等が容易であるため、タイムスタンプ技術が用いられており、このタイムスタンプは、電子文書の確定時刻を証明する技術で、その文書がいつから存在しているのか、ということと、その時点から第三者だけでなく作成者本人にも改ざんされていないことを証明するものである。
【0005】
このようなタイムスタンプ技術を採用する場合、電子文書のハッシュ値を時刻証明機関(Time Stamping Authority、以下TSAという)に送信し、TSAが送られたハッシュ値を原子時計を用いた正確な時刻の情報とともに暗号化してタイムスタンプとして返送し、このタイムスタンプを電子文書とともに保管するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−267083号公報
【0006】
そして、e−文書を検証する場合には、タイムスタンプを復号し、タイムスタンプ時刻情報の確認、及び、別途計算した当該電子文書のハッシュ値とタイムスタンプに含まれているハッシュ値とを比較することにより、改ざんの検知を行うことができる。
なお、ハッシュ値とは、与えられた原文から不可逆な一方向関数(ハッシュ関数)を用いて生成された固定長の値で、メッセージダイジェストなどとも呼ばれる。ハッシュ値から原文を求めることや、同じハッシュ値を持つ異なった文章を作成することは極めて困難であるため、ハッシュ値を比較することで原文が同一であるかどうかの確認が可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、デジタル複合機等の通信端末装置では、従来、通信管理記録や送信証により送信時刻を確認するようにしているが、これはあくまでも機器の時計が正常動作していることを前提としており、機器の時計データが正確でない場合には、その履歴データの正当性がなく、また、機器の時間設定を変更すると容易に送信した時刻を変更することが可能であり、信頼性に欠けるので、通信管理記録や送信証は公的な証明が必要な時等には使用することができない、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、上記のタイムスタンプ技術を利用することにより、通信完了時刻を公的に証明することができるタイムスタンプ機能付き通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、送信文書に通信ログを付加したデータファイルにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、文書の送信証データにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関から時刻情報を取得し、取得した時刻情報を文書の送信証データに付加することを特徴とし、
請求項4に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は、文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関からタイムスタンプを取得し、取得したタイムスタンプを文書の送信証データに付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項2に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置によれば、文書の送信時に、送信文書に通信ログを付加したデータファイルまたは文書の送信証データにタイムスタンプが付与されて保存されるので、文書の送信時刻を証明することができるとともに、送信文書、通信ログあるいは送信証が改ざんされていないことを証明することができる。
【0013】
また、請求項3、請求項4に係る発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置によれば、文書送信時に、時刻証明機関から取得した時刻情報またはタイムスタンプが送信証データに付加されるので、送信証に記載された時刻の信頼性を高めることができる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置をデジタル複合機に適用した実施例について説明する。図1はデジタル複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図であり、図2はデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すネットワーク構成図において、1はデジタル複合機、2、3、4・・・はパソコン、5は公衆交換電話網(PSTN)、6はLAN(Local Area Network)、7はインターネット網、8はTSAである。デジタル複合機1はコピーモード、プリンタモード、ファクスモードの各機能を備えるとともに、メール送信機能も備え、PSTN5及びLAN6に接続されており、このLAN6に端末装置として複数のパソコン2、3、4・・・が接続されている。このLAN6はインターネット網7にも接続されており、デジタル複合機1はこのインターネット網7を介してメールの送受信を行うことが可能である。
【0016】
また、TSA8は、インターネット網7を介してデジタル複合機1からスキャンデータのハッシュ値を受信すると、受信したハッシュ値を原子時計を用いた正確な時刻の情報とともに暗号化し、タイムスタンプとして返送する時刻証明機関である。
【0017】
デジタル複合機1は、図2に示すように、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、表示・操作部14、読取部15、画像メモリ16、記録部17、コーデック18、モデム19、ネットワーク制御ユニットNCU20、LANインターフェース(I/F)21及びe−文書保存部22から構成され、各部がバス23を介して接続されている。
【0018】
CPU11はバス23を介してデジタル複合機1のハードウェア各部を制御するとともに、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行し、ROM12はデジタル複合機の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ等を予め記憶している。また、RAM13はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶するとともに、通信ログデータを記憶する。
【0019】
表示・操作部14は、デジタル複合機1の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、デジタル複合機1を操作するための複数のキーよりなり、図3に示すように、表示部を構成するLCD表示部31と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部31には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部31に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。また、操作キーとして、テンキー32、スタートキー33、リセットキー34、ストップキー35、複数のワンタッチダイヤルキー36、十字キー37、リターンキー38、セットキー39、FAX切替キー40、コピー切替キー41、スキャナ切替キー42等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部31によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0020】
読取部15はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、ドットイメージデータを出力する。
また、画像メモリ16は、DRAM等を用いて構成され、送信すべき画像データまたは受信した画像データあるいは読取部15で読み取った画像データを記憶し、記録部17は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータ、コピー原稿データあるいは外部のパソコン2、3、4等から送信されたプリントデータをプリントアウトする。
【0021】
コーデック18は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号するとともに、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。
【0022】
モデム19はバス23に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム19は同様にバス23に接続されたNCU20と接続されている。NCU20はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム19をPSTN5に接続する。
LANインターフェース21はLAN6に接続され、インターネット網7からの信号を受信する一方、LAN6に対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0023】
一方、e−文書保存部22は、e−文書を文書の種類ごとに保存する記憶部であり、図4に示すように、e−文書の管理ファイル、通信ログフォルダ、及び、帳簿、見積書、議事録、注文書等の文書毎のフォルダを備え、各文書フォルダには、文書名を識別できる文字列と日付、通番を組み合わせたファイル名が付与されたスキャン文書とタイムスタンプのファイルが保存され、通信ログフォルダには、送信画像データと通信ログデータを合成したデータとタイムスタンプよりなるファイルが、文字列、例えば「log」と日付、通番を組み合わせたファイル名により保存される。また、管理ファイルには、図5に示すように、各e−文書のファイル名と、タイムスタンプの有効期限、当該データの保存期限が記憶されるようになっている。
【0024】
デジタル複合機1は上記のような構成を備えており、ファクス送信時には、ユーザが送信原稿を読取部15にセットした後、表示・操作部14のファクス切替キー40を押下することにより、LCD表示部31に図6に示す、ファクス送信機能選択画面が表示される。このファクス送信機能選択画面では、図に示すように、「通常送信」、「ログe−文書保存送信」のいずれかを選択することができ、「ログe−文書保存送信」を選択した場合には、送信画像データと通信ログデータを合成したデータとタイムスタンプをe−文書保存部22に保存することができる。
そして、ユーザが「通常送信」と「ログe−文書保存送信」のいずれかを押下して選択すると、LCD表示部31に送信先入力欄(図示せず)が表示されるので、テンキー32により送信先のダイヤル番号を入力するか、あるいはワンタッチダイヤルキー36によって送信先を選択した後、スタートキー33を押下することにより、原稿の画像データをファクス送信することができる。
【0025】
また、文書をe−文書化する場合、ユーザが表示・操作部14のスキャナ切替キー42を押下することにより、LCD表示部31に図7に示すスキャン機能選択画面が表示される。このスキャン機能選択画面には、図に示すように、通常スキャンとe−文書スキャンの選択ボタンが表示されており、この画面で「通常スキャン」ボタンを押下すると、通常のスキャンが実行され、「e−文書スキャン」ボタンを押下すると、LCD表示部31に図8に示すe−文書スキャンの文書選択画面が表示される。この画面には帳簿e−文書スキャン、見積書e−文書スキャン、注文書e−文書スキャン等のe−文書スキャンを行う文書の種類の選択画面が表示されており、いずれかのe−文書スキャンを押下して選択した後、スタートキー33を押下することにより、文書をe−文書化することができる。
【0026】
次に、上記のスタートキー33が押下された場合のCPU11の作用を図9のフローチャートにより説明する。
表示・操作部14のスタートキー33が押下されると、CPU11は、図9のフローチャートに示すプログラムを開始し、まず、e−文書スキャンの指示があったか否かを判定する(ステップ101)。
ユーザが図7のスキャン実行画面でe−文書スキャンを選択していた場合、CPU11は、読取部15にセットされた原稿の画像データを読取部15で読み取り、コーデック18で圧縮して画像メモリ16に蓄積する(ステップ102)。
【0027】
次に、CPU11は、画像メモリ16に蓄積した画像データのハッシュ値を算出し、このハッシュ値データをLANインターフェース21、LAN6、インターネット網7を介してTSA8に送信した(ステップ103)後、TSA8からタイムスタンプを受信したか否かを判定する(ステップ104)。
そして、TSA8からタイムスタンプを受信すると、CPU11は、文書名を識別できる文字列と日付、通番を組み合わせたファイル名を作成し、作成したファイル名によりスキャンデータとタイムスタンプを選択された文書種類のフォルダに保存するとともに、管理データを管理ファイルに保存した(ステップ105)後、プログラムを終了する。
【0028】
例えば、ユーザが図8のe−文書スキャン実行画面で帳簿e−文書スキャンを選択していた場合、帳簿用ファイル名が「chobo」+「日付」+「連番」により作成され、作成されたファイル名によりスキャンデータとタイムスタンプがe−文書保存部22の帳簿用フォルダに保存されるとともに、図5に示すように、管理ファイルにファイル名、タイムスタンプの有効期限、e−文書の保存期限が記憶される。
なお、文書の保存期間は、文書の種類ごとに、例えば、帳簿10年間、注文書5年間等と指定できるので、保存期限はe−文書の作成日とその種類の文書の保存期間とにより自動的に決定することができる。
【0029】
一方、ステップ101でe−文書スキャンの指示がなかったと判定した場合、CPU11は、ユーザがファクス送信を指示したか否かを判定し(ステップ106)、ユーザがファクス送信を指示していないと判定した場合、コピー等の他の処理を実行する(ステップ107)。
また、ステップ106でユーザがファクス送信を指示したと判定した場合、CPU11は、原稿の画像データを読取部15で読み取り、コーデック18で圧縮して画像メモリ16に蓄積する(ステップ108)。
【0030】
次に、CPU11は、指定された宛先のダイヤル番号をモデム19、NCU20を制御してPSTN5に送出させ(ステップ109)、通信が確立すると、画像メモリ16に蓄積されている画像データをコーデック18によりG3データに変換処理し、このG3データをモデム19で変調した後、NCU20からPSTN5を通して相手先にファクス送信する(ステップ110)。
そして、ファクス通信が完了すると、CPU11は、ファクス通信ログ、すなわち、ファクスの送信先、送信時刻、送信枚数、通信結果等を通信履歴としてRAM13のFAX通信ログ欄に記憶する(ステップ111)。
【0031】
次に、CPU11は、図6のファクス送信機能選択画面で、「ログe−文書保存送信」が選択されたか否かを判定し(ステップ112)、「ログe−文書保存送信」が選択されていないと判定した場合、プログラムを終了する。
また、ステップ112で「ログe−文書保存送信」が選択されていたと判定した場合、CPU11は、RAM13に記憶されている通信ログを符号化してスキャンデータと同一形式のものを生成した(ステップ113)後、生成した通信ログデータとファクス送信した画像データを合成して図10に示すような、ログファイルデータを生成する(ステップ114)。
【0032】
ログファイルデータを生成すると、CPU11は、生成したログファイルデータのハッシュ値を算出し、このハッシュ値データをLANインターフェース21、LAN6、インターネット網7を介してTSA8に送信した(ステップ115)後、TSA8からタイムスタンプを受信したか否かを判定し(ステップ116)、TSA8からタイムスタンプを受信すると、ファイル名を「log」+「日付」+「連番」により作成し、作成されたファイル名により上記のログファイルデータとタイムスタンプをe-文書保存部22の通信ログフォルダに保存するとともに、管理ファイルにファイル名、有効期限、保存期限を記憶する。
【0033】
以上のように、通信ログにタイムスタンプを付与してe−文書保存部22に保存することができるので、ファクス送信の送信時刻を証明することができるとともに、通信ログが改ざんされていないことも証明することができる。また、このとき、ファクス送信した画像データも保存されるので、通信ログとともに、送信画像データも改ざんされていないことを確認することができる。
【実施例2】
【0034】
上記の実施例では、通信ログにタイムスタンプを付加して保存することにより、送信時刻の証明を行うことができるようにしたが、TSAから取得した時刻を送信証に付与したり、TSAから取得したタイムスタンプを送信証に付与することにより、送信時刻の証明を行うこともでき、以下、送信証にTSAから取得した時刻を付与することにより、信頼できる時刻が表示された送信証をプリントする実施例について説明する。
なお、装置構成は、e−文書保存部22に送信証のフォルダが設けられる点を除いて、図1〜図3の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0035】
ファクス送信時には、ユーザが送信原稿を読取部15にセットした後、表示・操作部14のファクス切替キー40を押下することにより、LCD表示部31に図11に示すファクス送信機能選択画面が表示される。このファクス送信機能選択画面では、図に示すように、送信先入力欄とともに、送信証の要否選択欄が表示されており、送信証の「オン」ボタンを押下することにより、送信証のプリント出力を行うことができ、また、証明機関時刻取得の「オン」ボタンを押下することにより、TSAより取得した時刻が付与された送信証をプリント出力することができる。
【0036】
以下、本実施例においてスタートキー33が押下された場合のCPU11の作用を図12のフローチャートにより説明するが、図12のフローチャートのステップ201〜ステップ211の作用は、図9のフローチャートのステップ101〜ステップ111の作用と同じであるので、説明を省略し、ステップ212以降についてのみ、説明する。
【0037】
通信ログをRAM13のFAX通信ログ欄に記憶すると、CPU11は、図11のファクス送信機能選択画面で、送信証のプリント出力が選択されたか否かを判定し(ステップ212)、送信証のプリント出力が選択されていないと判定した場合、プログラムを終了する。
また、送信証のプリント出力が選択されていると判定した場合、CPU11は、RAM13に記憶されている通信ログから送信証テキストデータを作成し、ファクス送信した画像データと合成することにより、図13に示すような送信証データを作成する(ステップ213)。この後、CPU11は、図11のファクス送信機能選択画面で、証明機関の時刻取得が選択されたか否かを判定し(ステップ214)、証明機関の時刻取得が選択されていないと判定した場合、図13の送信証データをプリント出力し(ステップ215)、プログラムを終了する。
【0038】
一方、ステップ214で証明機関の時刻取得が選択されていると判定した場合、CPU11は、送信証データのハッシュ値を算出し、このハッシュ値データをLANインターフェース21、LAN6、インターネット網7を介してTSA8に送信した(ステップ216)後、TSA8からタイムスタンプを受信したか否かを判定し(ステップ217)、TSA8からタイムスタンプを受信すると、ファイル名を「sosinsho」+「日付」+「連番」により作成し、作成されたファイル名により上記の送信証データとタイムスタンプをe-文書保存部22の送信証フォルダに保存するとともに、管理ファイルにファイル名、有効期限、保存期限を記憶する(ステップ218)。
次に、CPU11は、取得したタイムスタンプを復号することによりTSAから取得した時刻を抽出し、その時刻を送信証テキストデータに付与し、図14に示すように、送信証テキストデータとファクス送信した画像データを合成してプリント出力する(ステップ219)。
【0039】
以上のように、TSAから取得した時刻を追加した送信証をプリント出力することができるので、送信証に記載された時刻の信頼性を高めることができるとともに、e−文書保存部に送信証データとタイムスタンプが保存されているので、送信証や送信時刻が改ざんされていないことを後日証明することが可能となる。
また、上記のように、ファクス送信した画像データも保存されるので、送信画像データも改ざんされていないことを確認することができる。
【0040】
なお、上記の実施例では、送信証にTSAから取得した時刻を付与してプリント出力したが、送信証にTSAから取得したタイムスタンプを付与してプリントアウトすることもでき、この場合には、タイムスタンプと送信証データをe−文書保存部22に保存せず、プリント出力だけを行うようにしてもよい。
また、以上の実施例では、本発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置をデジタル複合機に適用した例について説明したが、本発明のタイムスタンプ機能付き通信端末装置は通常のファクシミリ装置等にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】デジタル複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】表示・操作部の詳細な構成を示す図である。
【図4】e−文書を保存する記憶部のファイル構造を示す図である。
【図5】管理ファイルに保存されるデータの一例である。
【図6】ファクス送信機能選択画面の一例である。
【図7】スキャン機能選択画面の一例である。
【図8】e−文書スキャンの文書選択画面の一例である。
【図9】スタートキーが押下された場合の作用を示すフローチャートである。
【図10】通信ログデータとファクス送信した画像データを合成したログファイルデータの一例である。
【図11】他の実施例のファクス送信機能選択画面の一例である。
【図12】他の実施例においてスタートキーが押下された場合の作用を示すフローチャートである。
【図13】通信ログと送信画像データを合成した送信証データの一例である。
【図14】TSAから取得した時刻を付与した送信証データの一例である。
【図15】従来の送信証の一例である。
【符号の説明】
【0042】
1 デジタル複合機
2、3、4 パソコン
5 PSTN
6 LAN
7 インターネット網
8 TSA
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 表示・操作部
15 読取部
16 画像メモリ
17 記録部
18 コーデック
19 モデム
20 NCU
21 LAN I/F
22 e−文書保存部
31 LCD表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、送信文書に通信ログを付加したデータファイルにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項2】
文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、文書の送信証データにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項3】
文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関から時刻情報を取得し、取得した時刻情報を文書の送信証データに付加することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項4】
文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関からタイムスタンプを取得し、取得したタイムスタンプを文書の送信証データに付加することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項1】
文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、送信文書に通信ログを付加したデータファイルにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項2】
文書を送信する通信手段と、時刻認証文書を記憶する時刻認証文書記憶手段と、文書にタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、文書の送信証データにタイムスタンプを付与して前記時刻認証文書記憶手段に保存することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項3】
文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関から時刻情報を取得し、取得した時刻情報を文書の送信証データに付加することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【請求項4】
文書を送信する通信手段と、時刻証明機関からタイムスタンプを取得する制御手段とを備えたタイムスタンプ機能付き通信端末装置であって、
文書送信時、前記制御手段が、時刻証明機関からタイムスタンプを取得し、取得したタイムスタンプを文書の送信証データに付加することを特徴とするタイムスタンプ機能付き通信端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−274254(P2007−274254A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96274(P2006−96274)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]