説明

タイムレコーダシステム

【課題】タイムレコーダの挿入方向の適正を指示可能なタイムレコーダシステムを提供する。
【解決手段】タイムレコーダシステムは、タイムレコーダ10と複数のタイムカード100とで構成され、タイムレコーダ10は、挿入されたタイムカード100の表面か裏面かを判定する。タイムレコーダ10がカード挿入口12に挿入されたタイムカード100の表裏判断をすると、LED1、2の何れかを発光させ、シールS1を浮き立たせて、挿入されたタイムカード100が表面であるか、裏面であるかを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムレコーダとタイムカードからなるタイムレコーダシステムに関し、更に詳しくは、ユーザーの使い易さを向上させたタイムレコーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイムレコーダシステムでは、タイムレコーダにカード挿入口に、出勤或いは退勤するユーザーがタイムカードを挿入すると、出勤時刻や退勤時刻が印字されるようになっており、タイムカードの表裏面がタイムレコーダ側の要求する面と異なる場合には、「E−01」等のエラーメッセージが表示されるようになっている。例えば、月初めに新しいタイムカードを挿入する場合には、タイムカードの表面側をユーザー側に向けてタイムレコーダ挿入口に挿入することとされているが、当該新しいタイムカードの裏面側をユーザー側に向けて挿入してしまった場合には、印字面が適正でないので、上記のエラーメッセージが液晶表示面に表示されるようになっている。
【特許文献1】特開平8−235399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、月の初めではなく月の途中から締め日の初日が始まる職場では、新しいタイムカードを挿入する場合に、表裏どちらに印字すべきであるか迷って、適正でない面側をユーザー側に向けてタイムカード挿入口に挿入してしまうことがある。このような場合、タイムレコーダは液晶表示面に「E−01」等のエラー表示をするが、不慣れなユーザーにとってはこのようなエラー表示が何を意味するのか理解できない場合がある。
【0004】
そこで、液晶表示面により判り易いエラー表示を、例えば、「カードの表裏面を交換して下さい。」等の表示とすることも考えられるが、このような表示方法を採るためには、各種の文字を自在に表示可能な液晶表示部や表示プログラム或いは辞書等が必要であり、コストが高くなる問題がある。また、このようなエラー表示は新機種のタイムレコーダの設置時に起こり易いものであるが、使用方法の知識が普及すると、このようなエラー表示への戸惑いも少なくなるというのが通常である。
【0005】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、カードの挿入面の相異を低コストの機構で判り易く知らせることが出来るタイムレコーダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1のタイムレコーダシステムは、
タイムレコーダと複数のタイムカードとで構成されるタイムレコーダシステムにおいて、前記タイムレコーダに、該カード挿入口に挿入された前記タイムカードの表面か裏面かを判定する判定手段を設け、前記タイムレコーダの表面に発光部を設け、該発光部に前記タイムカードの表面・裏面を示す標識部を設け、前記判定手段が前記カード挿入口に挿入されたカードの表裏判断をして前記発光部を発光させ、前記標識部により前記タイムカードの表面・裏面を示すことを特徴とする。
【0007】
本願の請求項2のタイムレコーダシステムは、請求項1のタイムレコーダシステムにおいて、前記タイムカードの少なくとも表面若しくは裏面に、前記タイムレコーダの標識部と対応してタイムカードの挿入方向の適正を示すための識別部を設けたことを特徴とするタイムレコーダシステム。
【0008】
本願の請求項3のタイムレコーダシステムは、請求項2のタイムレコーダシステムにおいて、前記タイムカードの印字面の色を前記発光部の発行時の色彩と同じ色彩としたことを特徴とするタイムレコーダシステム。
【発明の効果】
【0009】
本願の請求項1のタイムレコーダシステムによれば、タイムカードがカード挿入口に挿入されたときに、判定手段がカードの表裏を判定し、その結果が発光部に設けた標識部により表示され、挿入したカードの表裏を目視でき、低コストな機構で容易にカードの挿入方向が適正かどうかを判断できる。
【0010】
本願の請求項2のタイムレコーダシステムによれば、タイムカードがカード挿入口に挿入されたときに、判定手段がカードの表裏を判定し、挿入方向が適正かどうかが識別部により表示され、タイムレコーダがカードの挿入方向の適正を判断して表示する。
【0011】
本願の請求項3のタイムレコーダシステムによれば、タイムカードがカード挿入口に挿入されたときに、カードの印字面の色と同じ色彩で発光部が発光するので、カードの挿入方向を容易に判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態にかかるタイムレコーダシステムを図面に基づいて説明する。図1(a)に示すように、タイムレコーダ10の本体11の上面にはタイムカード100(図3参照)を挿入するカード挿入口12が設けられている。本体11の前面の上部には時刻などを表示するLED表示部14が設けられている。本体11の前面の中間部には、3交代制の早番、遅番、夜勤等の勤務時間帯を選択する選択キースイッチK1と、出勤キースイッチK2と、日付の一括印字(日付表示)を行うための実行ボタンK3等が設けられている。
【0013】
タイムレコーダ10の本体11内には、カード挿入口12に挿入されたタイムカード100を検知するカード挿入検知センサ15(図2参照)と、後述するカード送りモータ26によるタイムカード100の送り量を検出するためのカード位置検出センサ16と、タイムカード100のIDコードを読み取るカードIDコード読取り部17と、エラー時に警告音を発するブザー18等とが設けられている。
【0014】
カードIDコード読取り部17は、複数個のインタラプタで構成され、図3のパンチ穴101(光透過孔)の開口されたタイムカード100の引き込み時に、パンチ穴101の通過光によってビット情報を検出する。カードIDコード読取り部17で検出したビット情報によって構成されるカードIDコード(所定の識別コード)はCPU20でタイムカード100のIDデータとされる。
【0015】
カード挿入口12の近傍には、タイムカード100の挿入方向を発光により示すLED1とLED2が表裏判別用の発光部として設けられている。図1(b)に示すように、LED1には「表面」という文字が記入されたシールS1が標識部として貼られており、LED2には「裏面」という文字が記入されたシールS2が標識部として貼られている。
【0016】
図2はタイムレコーダ10の制御系の構成を示したブロック図である。図2において、20はCPU(制御手段)、21は時計IC、22はROM、23はRAMである。CPU20は、時計IC21から時刻情報を読み込んで表示駆動回路24を駆動してLED表示部14に時刻や曜日や日付等を表示する。
【0017】
また、選択キースイッチK1の操作によって早番、遅番、夜勤等の中から当日の自分の勤務時間帯を選択すると、その勤務時間帯を示す数字或いはマーク或いは文字と、これらの数字、マーク、文字に対応した勤務時間帯がLED表示部14に表示される。
【0018】
CPU20は、カード位置検出センサ16からの送り情報に基づいてモータ駆動回路25を制御してカード送りモータ26を正逆両方向へ回転駆動することにより、タイムカード100の引込や排出を行う。また、印字ヘッド駆動回路27を制御して印字ヘッド28によりタイムカード100へ印字する。
【0019】
29はUSBインタフェース、30はメモリカードリーダ/ライタであり、ケーブル接続したコンピュータまたはメモリカードスロットへ挿入したメモリカードにRAM内のデータを転送したり、RAMにデータの書き込みをしたりすることができる。
【0020】
ROM22(EEPROM)には、タイムレコーダ制御プログラムと、個人別の月間スケジュールの勤務時間帯を示す予定シフトや、各シフト番号に対応したLST(日付変更時刻)が書換可能に記憶されている。ROM22のタイムレコーダ制御プログラムは、カード駆動および時刻印字と時間集計を行う機能に加えて、ROM22に書き込まれた個人別の月間スケジュールの勤務時間帯に応じて日付変更時刻を切り換える機能を有するとともに、その勤務時間帯である勤務体系を示す数字をタイムカード100に印字する機能を備えている。
【0021】
RAM23には、ROM22のタイムレコーダ制御プログラムが読み出されたり、タイムレコーダ10の制御に用いられるデータや、タイムカード100への印字動作や日付の変更その他の日によって変わるデータが一時的に記憶される。
【0022】
この実施の形態のタイムレコーダシステムは、タイムレコーダ10と複数のタイムカード100とで構成され、タイムレコーダ10は、タイムカード100の左又は右に形成されたパンチ穴101の個数により、カード挿入口12に挿入されたタイムカード100の表面か裏面かを判定する。勿論、タイムカード100の角部や縁部に切欠きを設け、タイムレコーダ10ではこの切欠きでタイムカード100の表面と裏面の違いを判別しても良い。
【0023】
図3に示すように、タイムカード100の左右の側縁部には、個数の異なるパンチ穴101が形成されている。例えば、タイムカード100の一方の側縁部に形成されたパンチ穴101は例えば5箇所開口され、タイムカード100の他方の側縁部に形成されたパンチ穴101は8箇所開口されている。このため、これらのパンチ穴101の検出信号はタイムレコーダ10の右側と左側では個数が異なる。これらの受光素子(インタラプタ)の検出信号がCPU20の入出力ポートに入ると、CPU20のROM22に記憶されたタイムレコーダ制御プログラムの表裏判別プログラムは判定手段としてタイムカード100の左右を判別出来る。
【0024】
CPU20の表裏判別プログラムは、カード挿入口12に挿入されたタイムカード100の表裏判断をすると、LED1、2の何れかを発光させ、シールS1、S2を浮き立たせて、挿入されたタイムカード100が表面であるか裏面であるかを示す。ここで、タイムカード100が表面であるということは、タイムカード100の印字面がユーザーの目に向けられ、タイムレコーダ10の時計面とタイムカード100の印字面とがユーザー側から同時に目視されるように向けられていることを意味する。
【0025】
タイムカード100の表面及び裏面には、タイムレコーダ10の標識部であるシールS1、S2と対応してタイムカード100の挿入方向の適正を示すための識別部102、103が設けられている。識別部102は、タイムカード100の一方の面に表示された青色の印字面で構成され、識別部103は、タイムカード100の他方の面に表示された赤色の印字面で構成されている。
【0026】
タイムカード100の表面側(青色)をユーザー側に向けて挿入するのが適正とされる場合、タイムカード100の識別部102が青色であるときに、タイムレコーダ10の青色のLED1が発光すれば、タイムカード100の挿入方向が適正であったことが判る。また、タイムカード100の識別部102が青色であるにも拘わらず、タイムレコーダ10の赤色のLED2が発光すれば、月間の締め日の中間日が経過している等により、タイムカード100の挿入方向が不適正であったことが判る。よって、タイムカード100の表裏を変えて再度挿入すると、適正な印字面に出勤時刻や退勤時刻等が印字される。
【0027】
このシステムでは、タイムカード100がカード挿入口12に挿入されたときに、CPU20の表裏判別プログラムがタイムカード100の表裏を判定し、その結果LEDが発光してLEDに貼り付けられたシールの文字「表面」若しくは「裏面」を表示するので、低コストな機構でありながら、ユーザーはタイムカード100の挿入方向が適正かどうかを容易に判断できる。
【0028】
また、タイムカード100がカード挿入口12に挿入されたときに、表裏判別プログラムがタイムカード100の表裏を判定し、挿入方向が適正かどうかをシールS1、S2の文字を浮かび上がらせて表示されると、より一層確認が容易である。更に、タイムカード100の印字面の色と同じ色彩でLED1、LED2を発光させると、タイムカード100の挿入方向はより容易に判断しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態にかかるタイムレコーダの斜視図。
【図2】図1のタイムレコーダのブロック図。
【図3】図1のタイムレコーダの設定事項印字カードとなるタイムカード100の図。
【符号の説明】
【0030】
10 タイムレコーダ
20 CPU
LED1、LED2 発光部
S1、S2 標識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムレコーダと複数のタイムカードとで構成されるタイムレコーダシステムにおいて、前記タイムレコーダに、該カード挿入口に挿入された前記タイムカードの表面か裏面かを判定する判定手段を設け、前記タイムレコーダの表面に発光部を設け、該発光部に前記タイムカードの表面・裏面を示す標識部を設け、前記判定手段が前記カード挿入口に挿入されたカードの表裏判断をして前記発光部を発光させ、前記標識部により前記タイムカードの表面・裏面を示すことを特徴とするタイムレコーダシステム。
【請求項2】
請求項1のタイムレコーダシステムにおいて、前記タイムカードの少なくとも表面若しくは裏面に、前記タイムレコーダの標識部と対応してタイムカードの挿入方向の適正を示すための識別部を設けたことを特徴とするタイムレコーダシステム。
【請求項3】
請求項2のタイムレコーダシステムにおいて、前記タイムカードの印字面の色を前記発光部の発行時の色彩と同じ色彩としたことを特徴とするタイムレコーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−285340(P2006−285340A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100759(P2005−100759)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】