説明

タイヤのシミュレーション方法

【課題】より高い精度でタイヤの性能を検出することができるタイヤのシミュレーション方法を提供することにある。
【解決手段】タイヤの少なくとも一部を弾性体でモデル化し、モデル化した弾性体の領域に対して用いる材料モデル式を選択した上で、材料試験により検出された応力-ひずみ曲線を用いて、第1のひずみ範囲を領域毎に指定し、材料モデル式のパラメータの同定を行い、タイヤのシミュレーションを行う第1解析ステップと、さらに、算出した領域毎のひずみに基づいて第2のひずみ範囲を指定し、材料パラメータを同定し、シミュレーションを行い、算出した結果が収束条件を満足しない場合は、第2のひずみ範囲を再設定し処理を繰り返し、前記算出した結果が収束条件を満足する場合は、算出した結果を算出結果とする第2解析ステップと、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有限個の要素に分割されたタイヤモデルを、コンピュータを用いて解析し、タイヤの性能を評価するタイヤのシミュレーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からタイヤを解析するためのシミュレーション方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、有限要素法を用いてタイヤを解析する方法がある。また、タイヤのシミュレーションを行うためには、種々の条件を設定する必要があるが、これらの条件の設定方法としても、種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンピュータを用いてタイヤのシミュレーションを行うタイヤのシミュレーション方法であって、タイヤを、粘弾性特性が定義された第1の要素を含む有限個の要素で分割したタイヤモデルを設定するモデル設定ステップ、路面モデルを設定するステップ、予め定めた境界条件に基づいて前記タイヤモデルを路面モデルに接地させて転動させる転動ステップ及び転動ステップで得られた物理量に基づいて少なくとも一つの第1の要素のエネルギーロスを計算する計算ステップを含むとともに、エネルギーロスは、タイヤモデル1回転当たりの第1の要素におけるタイヤ子午線方向、タイヤ周方向及びタイヤ厚さ方向それぞれの垂直歪とせん断歪とを含む6成分の歪に基づいて計算されることを特徴とするタイヤのシミュレーション方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、タイヤを有限個の要素に分割して数値解析モデルを作成する方法であって、上記タイヤを構成するゴム部材を弾性体とした数値解析モデルを作成して、上記タイヤを路面モデル上で転動させる解析を行い、タイヤ各部分の歪量とその周波数を算出する第1のステップと、上記算出された歪量と周波数における上記ゴム部材の粘弾性特性を計測する第2のステップと、上記計測された粘弾性特性から粘弾性係数を算出する第3のステップと、上記算出された粘弾性係数を用いて、上記ゴム部材を粘弾性体とした新たな数値解析モデルを作成する第4のステップ、とを備えたことを特徴とするタイヤの数値解析モデルの作成方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−175937号公報
【特許文献2】特開2007−131209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されているように、粘弾性係数を調整し、適切な値とすることで、タイヤの性能をより適切に評価することはできる。しかしながら、粘弾性係数のみを適切に調整しても、その算出に用いられるひずみ量を正確に算出しなければタイヤ性能の評価の精度には限界がある。また、このことは応力やひずみを考慮するタイヤ性能の評価すべてに言える事である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より高い精度でタイヤの性能を検出することができるタイヤのシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、有限個の要素に分割されたタイヤモデルを、コンピュータを用いてタイヤの性能を評価するタイヤのシミュレーション方法であって、少なくとも一部を弾性体でモデル化してタイヤを領域毎に分け、前記弾性体でモデル化した領域の少なくとも一部を弾性体の材料モデル式を設定し、材料試験により検出された応力-ひずみ曲線を用いて、前記領域毎に第1のひずみ範囲を指定し、前記第1のひずみ範囲に基づいて前記材料モデル式に用いる材料パラメータの同定を行い、前記第1のひずみ範囲を用いてモデル化したタイヤのシミュレーションを行う第1解析ステップと、実行した解析処理により算出した前記領域毎のひずみを抽出し、抽出したひずみに基づいて前記第1のひずみ範囲よりも範囲が狭い第2のひずみ範囲を指定し、前記第2のひずみ範囲に基づいて前記材料モデル式に用いる材料パラメータの同定を再び行い、前記第2のひずみ範囲を用いてモデル化したタイヤのシミュレーションを行い、算出した結果が収束条件を満足しない場合は、第2のひずみ範囲を再設定し処理を繰り返し、前記算出した結果が収束条件を満足する場合は、算出した結果を算出結果とする第2解析ステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記第1のひずみ範囲は、範囲の上限が50%から100%であることが好ましい。
【0010】
また、前記領域は、タイヤを構成する部材毎に分割した領域であることが好ましい。
【0011】
また、前記領域は、タイヤを構成する部材をさらに複数に分割した領域を含んでもよい。このように、領域をさらに分割できることで、解析者の解析目的や精度に応じて、領域を分割することができる。
【0012】
また、前記タイヤを構成する部材は、キャップトレッドと、アンダートレッドと、サイドトレッドと、ビードフィラーと、インナーライナーと、補強材とを含むことが好ましい。
【0013】
また、前記材料モデルは、超弾性ポテンシャルで表されるモデルであることが好ましい。
【0014】
また、前記材料モデル式は、Neo-Hookeanモデル、Mooney-Rivlinモデル、Yeohモデル、Ogdenモデル、多項式モデル、Arruda-Boyceモデルの少なくとも1つで表される式であることが好ましい。
【0015】
また、前記シミュレーションは、接地解析、剛性解析、転動解析のいずれかの解析を含むことが好ましい。
【0016】
また、前記ひずみは、最大主ひずみ、最小主ひずみ、ひずみの第一不変量、ひずみの第二不変量、ひずみの第三不変量、8面体直ひずみ、8面体せん断ひずみのいずれかであり、前記第1ひずみ範囲及び前記第2ひずみ範囲は、前記領域の前記ひずみの最大値、最小値及び平均値のいずれか1つに基づいて設定されることが好ましい。
【0017】
また、前記収束条件は、直前のシミュレーションで算出したひずみと、今回のシミュレーションで算出したひずみとの差が、設定された範囲内であるかであり、第2解析ステップは、ひずみの差が設定された範囲内である場合、算出した結果を算出結果とすることが好ましい。
【0018】
また、第2解析ステップは、少なくとも1つの領域のひずみの差が、前記収束条件として設定された範囲内ではない場合、その領域の第2ひずみ範囲を再設定し処理を繰り返すことが好ましい。
【0019】
また、前記第2解析ステップは、算出したひずみの値が、前記第2のひずみ範囲を超えた場合は、算出したひずみの最大値を含むように前記第2ひずみ範囲を再設定し処理を繰り返すことが好ましい。
【0020】
また、前記収束条件は、直前のシミュレーションで設定したひずみ範囲と、今回のシミュレーションで算出したひずみ範囲との差が、設定された範囲内であるかであり、第2解析ステップは、ひずみの範囲の差が設定された範囲内である場合は収束しているとみなし、算出した結果を算出結果とすることが好ましい。
【0021】
なお、本発明のシミュレーション方法は、用いる材料モデル式を、その計算結果や収束度合に応じて適宜変更しても良い。また、領域によって異なる材料モデルを設定してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかるシミュレーション方法は、解析対象のひずみ範囲に適した材料パラメータを適用することができ、タイヤの性能をより高い精度で検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施例に係るタイヤのシミュレーション方法を行うコンピュータの構成図である。
【図2】図2は、弾性体の応力とひずみとの関係を示すグラフである。
【図3】図3は、シミュレーション方法の手順の一例を示すフロー図である。
【図4】図4は、タイヤモデルおよび路面モデルを可視的に表した外観斜視図である。
【図5−1】図5−1は、応力とひずみとの関係を示すグラフである。
【図5−2】図5−2は、応力とひずみとの関係を示すグラフである。
【図6】図6は、タイヤの各要素における最大主ひずみ分布を示すグラフである。
【図7】図7は、解析の結果の一例を示すグラフである。
【図8−1】図8−1は、応力とひずみとの関係を示すグラフである。
【図8−2】図8−2は、応力とひずみとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係るタイヤのシミュレーション方法について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0025】
本実施例に係るタイヤのシミュレーション方法は、いわゆる、有限要素法(FEM)を用いたシミュレーション方法であり、有限個に分割したタイヤモデルを、コンピュータを用いて解析し、解析後に得られる解析情報から所定の算出式を用いて演算することにより、タイヤの性能を評価するための評価物理量を算出する方法である。なお、以下の説明において、本実施例のタイヤのシミュレーション方法では、評価物理量として、静的接地解析によりタイヤの縦ばね定数を算出しているが、これに限らず、弾性体のひずみを用いてシミュレーションを行う各種のシミュレーションに用いることができる。先ず、図1を参照して、本実施例に係るタイヤのシミュレーション方法を実行するためコンピュータ50について説明する。ここで、図1は、本実施例に係るタイヤのシミュレーション方法を行うコンピュータの構成図である。
【0026】
図1に示すように、コンピュータ50は、いわゆるホストコンピュータであり、コンピュータ50には、端末装置70が接続されている。また、コンピュータ50は、ネットワーク63上を介して、他のコンピュータ64a,64bと接続されており、相互にデータのやり取りを行うことが可能となっている。
【0027】
コンピュータ50は、各種プログラムを格納する記憶部50mと、各種プログラムを実行する処理部50pと、処理部50pと記憶部50mとを接続する入出力部(I/O)59と、を備えている。
【0028】
記憶部50mは、各種プログラム等を実行するための作業領域となるRAM等の揮発性のメモリ、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成できる。そして、この記憶部50mには、シミュレーションプログラム27が格納されている。
【0029】
処理部50pは、各種プログラムを実行するための演算を行うCPU等で構成されており、モデル生成部51と、解析部52と、情報取得部53と、情報併合部54と、評価物理量算出部55と、を含んで構成されている。すなわち、処理部50pが記憶部50mに格納されたシミュレーションプログラム27を実行することにより、処理部50pを構成するモデル生成部51、解析部52、情報取得部53、情報併合部54、および評価物理量算出部55がそれぞれ機能する。このとき、モデル生成部51と、解析部52と、情報取得部53と、情報併合部54と、評価物理量算出部55とは、入出力部59に接続されており、相互にデータをやり取りできるように構成されている。
【0030】
モデル生成部51は、評価対象であるタイヤの解析モデル(タイヤモデルMa:図4参照)や路面の解析モデル(路面モデルMb:図4参照)を生成する。解析部52は、モデル生成部51によって生成されたタイヤモデルMaに路面モデルMbを接地させて変形解析や転動解析等の接地解析を実行する。情報取得部53は、タイヤの性能を評価するために必要な複数の解析情報を取得して、記憶部50mへ格納する。情報併合部54は、取得した複数の解析情報を併合して周方向情報とし、記憶部50mへ格納する。評価物理量算出部55は、周方向情報に基づいてタイヤの評価物理量を算出する。
【0031】
入出力部59は、端末装置70と接続されており、端末装置70から出力された各種データを受け取り、受け取った各種データを処理部50pおよび記憶部50mへ適宜入力することが可能となっている。一方で、入出力部59は、処理部50pおよび記憶部50mから出力された各種データを受け取り、受け取った各種データを端末装置70へ適宜入力することが可能となっている。また、入出力部59には、ネットワーク63を介して、他のコンピュータ64a,64bが接続されている。このため、入出力部59は、処理部50pおよび記憶部50mから出力された各種データを受け取り、受け取った各種データを、ネットワーク63を介して、他のコンピュータ64a,64bへ適宜入力することが可能となっている。一方で、入出力部59は、他のコンピュータ64a,64bから出力された各種データを、ネットワーク63を介して受け取り、受け取った各種データを処理部50pおよび記憶部50mへ適宜入力することが可能となっている。
【0032】
ここで、端末装置70について説明するに、端末装置70は、端末装置本体60と、端末装置本体60に接続された表示装置62と、端末装置本体60に接続された入力装置61とで構成されている。そして、端末装置70において、入力装置61によりタイヤの解析を実行するために必要なデータ(例えば、タイヤを構成する各部材の材料特性、接地解析における境界条件等)を入力すると、端末装置本体60は、入力装置61で入力されたデータを、ホストコンピュータ50へ向けて出力する。一方で、コンピュータ50から端末装置70へ向けてデータが出力されると、端末装置本体60は、コンピュータ50から出力されたデータを受け取り、出力されたデータを表示装置62に視認可能に表示する。
【0033】
従って、コンピュータ50において、処理部50pが記憶部50mに格納されたシミュレーションプログラム27を実行すると共に、端末装置70において、端末装置本体60が入力装置61から入力されたデータをホストコンピュータ50の入出力部59に入力する。すると、処理部50pは、端末装置70から入力されたデータに基づいて、モデル生成部51、解析部52、情報取得部53、情報併合部54、および評価物理量算出部55を作動させることにより、タイヤの評価物理量を算出する。なお、数値計算を行う装置構成は、上記構成に限定されない。例えば、ネットワーク63を介して接続された、他のコンピュータ64a,64bは必ずしも必要ではない。
【0034】
次に、タイヤのシミュレーション方法について説明する。ここで、図2は単軸引張試験結果より得られた弾性体の応力とひずみとの関係を示すグラフである。なお、図2に示すグラフは、JIS K 6251に従って単軸引張試験を行った結果である。また、図2は、縦軸を応力(Stress)[MPa]とし、横軸をひずみ(Strain)[%]とした。なお、ひずみ(Strain)[%]とは、物体が応力を受けた時に生じる単位寸法あたりの変形量のことであり、上記引張試験では対象の弾性体に応力が作用していない状態の引張方向長さに対する、対象の弾性体に応力を作用させて発生した引張方向変位量との割合を示す。対象の弾性体の長さがもとの2倍になると、ひずみは、100%となる。ここで、図2に示すExperimentは、測定対象である弾性体の単軸引張試験結果である。また、「0−5%」は、ひずみが0から5%までの測定データより同定し、Neo−Hookeanのモデルで近似した場合の応力とひずみの関係であり、「0−50%」は、ひずみが0から50%までの測定データで同定し、Neo−Hookeanのモデルで近似した場合の応力とひずみの関係であり、「0−100%」は、ひずみが0から100%までの測定データで同定して、Neo−Hookeanモデルで近似した場合の応力とひずみの関係である。
【0035】
ここで、Neo−Hookeanモデルとは超弾性体における一般的な構成式のひとつである。ここで、超弾性体とは、応力とひずみの関係を直接規定する代わりに弾性ポテンシャルの存在を仮定し、その弾性ポテンシャルをひずみで微分することで応力や応力−ひずみ関係式を定める弾性体のことである。また、超弾性体は、ゴムの弾性的な非線形挙動を表現できるとされている。Neo−Hookeanモデルは、弾性ポテンシャル(ひずみエネルギー関数)をW、主伸張比をλ1、λ2、λ3とし、材料パラメータをC10とすると、下記式1で表される。なお伸張比λはひずみをεとするとλ=1+εにて表される。また、λは、引張方向の主伸張比であり、λ2、λ3は、断面方向の主伸張比である。
【0036】
【数1】

【0037】
なお、本実施例である単軸引張試験において、引張方向以外の方向はゴムの非圧縮性を満足するように縮むため、各主伸長比は下記式2で表される。
【0038】
【数2】

【0039】
応力をTとすると、応力は弾性ポテンシャルを伸張比で偏微分することにより求められるので、式1、式2を用いて単軸引張試験に合わせ上式を変形させると、下記式3で表される。
【0040】
【数3】

【0041】
上記式3のうち、各条件に基づいて、材料パラメータC10を設定することで、応力とひずみとの関係をモデル化することができる。具体的には、同一弾性体(材料)の場合は、同定する範囲に基づいて材料パラメータC10を設定する。これにより、図2に示すように、同定する範囲により異なる応力とひずみとの関係を算出することができる。シミュレーションでは、この応力とひずみとの関係を用いて、タイヤの性能を算出する。
【0042】
次に、図3を用いて、シミュレーションの手順について説明する。図3は、シミュレーション方法の手順の一例を示すフロー図である。まず、コンピュータ50は、ユーザによりシミュレーションを開始する指示の入力を検出したら、ステップS12として、シミュレーションの条件を設定する。具体的には、ユーザにより入力された各種条件を検出し、検出した条件をシミュレーション条件として設定する。ここで、シミュレーションの条件としては、解析に用いるプログラム、解析対象のモデル、モデルの各部の材料モデル式(材料の弾性のモデル化に用いる近似式)、条件等である。ここで、図4は、タイヤモデルおよび路面モデルを可視的に表した外観斜視図である。本実施形態では、図4に示すように、タイヤモデルMaが、路面モデルMbに接地している状態がモデルとなる。
【0043】
コンピュータ50は、ステップS12でシミュレーションの条件を設定したら、ステップS14として、ひずみの範囲を設定する。なお、ひずみの範囲とは、弾性体の材料モデル式に対し、材料パラメータC10の同定範囲として設定するひずみの範囲である。コンピュータ50は、ステップS14でひずみの範囲を設定したら、ステップS16で材料パラメータを同定する。つまり、コンピュータ50は、ステップS14で、図2に示すグラフの実験値のうち、近似の対象とするひずみの範囲を設定し、ステップS16で、その範囲と実験値に基づいて材料パラメータを同定する。ここで、材料パラメータとは、式3のC10である。つまり、近似式に用いるパラメータを決定する。なお、ステップS14で設定するひずみの範囲は、予め設定された範囲であり、本実施形態では、「0−100%」、つまり、ひずみが0から100%の範囲をひずみの範囲として設定する。
【0044】
次に、コンピュータ50は、ステップS16で材料パラメータを同定したら、ステップS18として、設定した条件で解析処理を行う。本実施形態では、コンピュータ50は、ステップS12からステップS16で設定した条件に基づいて、接地面MbにタイヤMaが静的接地されているモデルの解析を行う。具体的には、本実施形態では、ソルバーを、ABAQUS/Standard Ver.6.8−3とし、材料モデル式を上述したNeo−Hookeanモデルとし、タイヤサイズを195/65R15、つまり、幅195mm、扁平率65%、ラジアル構造で、リム径が15インチのタイヤとし、空気圧を230kPaとし、接地荷重を4.2kNとする。
【0045】
また、材料モデル式のひずみ範囲は、上述したように「0−100%」として材料パラメータを決定した。これにより、タイヤのキャップトレッドにおける応力とひずみとの関係は、図5−1に示す応力とひずみとの関係となり、タイヤのビードフィラーにおける応力とひずみとの関係は、図5−2に示す応力とひずみとの関係となる。なお、図5−1及び図5−2は、それぞれ、応力とひずみとの関係を示すグラフである。図5−1及び図5−2は、それぞれ、縦軸を応力(Stress)[MPa]とし、横軸をひずみ(Strain)[%]とする。
【0046】
コンピュータ50は、ステップS18で解析処理を行うことで、図6に示すように、タイヤ82を構成する各要素のひずみ、つまりひずみの分布を算出する。ここで、図6は、タイヤの各要素における最大主ひずみ分布を示す分布図である。本実施形態では、図6に示すように最大主ひずみの分布を算出する。なお、図6では、バー84に示すように、最大主ひずみが大きくなるほど、つまり、矢印85の方向に行くほど、色を濃くし、最大主ひずみが小さくなるほど、つまり、矢印86の方向に行くほど、色を薄くする。
【0047】
コンピュータ50は、ステップS18で解析処理を行ったら、ステップS20として、タイヤの領域毎のひずみ、具体的には、ひずみの最大値、最小値及び平均値のいずれか1つを算出する。コンピュータ50は、算出したタイヤの要素毎のひずみからタイヤの領域毎のひずみの最大値、最小値及び平均値のいずれか1つを算出する。なお、本実施形態では、最大主ひずみを算出する場合として説明する。ここで、図7は、解析の結果の一例を示すグラフである。図7のグラフは、タイヤの各部材(パーツ)をそれぞれ1つの領域として設定し、それぞれの部材におけるひずみの最大値を示すグラフである。なお、パーツとは、タイヤを構成する部分であり、各パーツは、少なくとも1つ以上の要素(演算の対象となる単位)で構成されている。ここで、タイヤの各パーツのひずみの最大値は、解析した各要素をパーツ毎にまとめて分類し、各パーツのそれぞれで、最大主ひずみの値が最も大きくなる要素を検出し、その要素における最大主ひずみの値を当該パーツのひずみの最大値とする。
【0048】
コンピュータ50は、ステップS20で領域毎のひずみ(本実施例では、部材毎のひずみ)を算出したら、ステップS22として、ひずみの範囲を再設定する。具体的には、コンピュータ50は、直前の処理で算出した各領域(各部材)の最大ひずみに基づいて、ひずみの範囲を設定する。なお、ひずみの設定方法は、特に限定されないが、本実施形態では、ひずみの最大値より大きく、かつ5の倍数(つまり、5%、10%、15%)となる値のうち、最小の値を、ひずみの範囲の上限としてパーツ毎に設定した。コンピュータ50は、ステップS22でひずみの範囲を設定したら、ステップS24として、材料パラメータの同定を行う。つまり、コンピュータ50は、ステップS22で設定したひずみの範囲に基づいて材料パラメータ、本実施形態では材料パラメータC10を同定する。
【0049】
本実施形態では、タイヤのキャップトレッドにおける、キャップトレッドのひずみの最大値が約13.5%であったため、上述した設定方法に従い、ひずみの範囲を0%から15%とした。また、ビードフィラーのひずみの最大値が約4.5%であったため、上述した設定方法に従い、ひずみの範囲を0%から5%とした。このひずみの範囲により同定した材料パラメータに基づいて算出した、タイヤのキャップトレッドの応力とひずみとの関係は、図8−1のようになり、タイヤのビードフィラーの応力とひずみとの関係は、図8−2のようになる。ここで、図8−1及び図8−2は、それぞれ応力とひずみとの関係を示すグラフである。図8−1及び図8−2は、それぞれ、縦軸を応力(Stress)[MPa]とし、横軸をひずみ(Strain)[%]とする。具体的には、原点から点線91までのひずみの範囲92、つまり、ひずみの範囲を0%から15%とした場合で算出したタイヤのキャップトレッドの応力とひずみとの関係(図中実線)は、ひずみの範囲を0%から100%とした場合(図中点線)よりも、ひずみの範囲92の領域内で実験値に近い値となる。また、原点から点線94までのひずみの範囲96、つまり、ひずみの範囲を0%から5%とした場合でタイヤのビードフィラーの応力とひずみとの関係(図中実線)も、ひずみの範囲を0%から100%とした場合(図中点線)よりも、ひずみの範囲を0%から5%で、実験値に近い値となる。他のパーツにおいても同様の処理を行い応力とひずみとの関係を算出することで、いずれもひずみの範囲を0%から100%とした場合よりも、定めたひずみ範囲内における応力とひずみの関係が実験値に近い値となった。
【0050】
コンピュータ50は、ステップS24で材料パラメータを同定したら、ステップS26として、設定した条件で解析処理を行う。本実施形態では、コンピュータ50は、ステップS12、ステップS22で設定した条件に基づいて、接地面MbにタイヤMaが静的接地されているモデルの解析を行う。なお、ステップS26の解析処理は、材料パラメータを変更した点を除いて他の点は、上述したステップS18と同様の処理を行う。
【0051】
コンピュータ50は、ステップS26で解析処理を行ったら、ステップS28として、領域毎のひずみを算出する。
【0052】
コンピュータ50は、ステップS28で領域毎のひずみを算出したら、ステップS30として、収束条件を満たすかを判定する。ここで、収束条件としては、種々の設定とすることができるが、例えば、算出結果と直前の算出結果との差が一定の以内、材料パラメータの変化量が一定以内等である。
【0053】
コンピュータ50は、ステップS30で収束条件を満たさない(No)と判定したら、ステップS22に進み、ひずみの範囲を再設定する。つまり、コンピュータ50は、ステップS28で算出したひずみに基づいてひずみの範囲を再設定し、上述した解析処理を繰り返す。
【0054】
コンピュータ50は、ステップS30で収束条件を満たす(Yes)と判定したら、ステップS32として、解析結果を出力し、処理を終了する。つまり、コンピュータ50は、収束条件を満足すると判定したら、直前の解析処理の結果を解析結果として出力する。
【0055】
コンピュータ50は、上述した条件で算出する場合、タイヤのキャップトレッドでは、ひずみの範囲を0から100%と設定した演算では、材料パラメータがC10=0.639となり、上記ひずみ範囲(0−100%)における実測値との相対誤差の和が9.77×10−1であったが、ひずみの範囲を0から15%としたとき、材料パラメータがC10=0.865となり、上記(0−15%)ひずみ範囲における実測値との相対誤差の和が4.49×10−4となる。また、タイヤのBFでは、ひずみの範囲を0から100%と設定した演算では、材料パラメータがC10=3.413となり、上記ひずみ範囲(0−100%)における実測値との相対誤差の和が1.88×10であったが、ひずみの範囲を0から5%としたとき、材料パラメータがC10=9.442となり、上記(0−5%)ひずみ範囲における実測値との相対誤差の和が3.39×10−3となる。これにより、実測値の縦ばね定数を100とした場合、ひずみの範囲を0から100%とした場合に算出される縦ばね定数が80となるのに対して、本実施形態のように、ひずみの範囲を再設定した場合の縦ばね定数は、98となる。以上より、より高い精度で縦ばね定数を算出できることがわかる。
【0056】
以上より、本実施形態のシミュレーション方法のように、算出した各部のひずみの値に基づいてひずみの範囲を設定し、材料パラメータを再設定することで、各領域の弾性特性をより正確に設定することができ、より高い精度で計算結果を算出することができる。特に低ひずみとなる部分の精度をより高くすることができる。
【0057】
ここで、収束条件としては、各種設定か可能であり、例えば、算出したひずみと、直前(前回)の算出したひずみとの比が、または差が一定範囲以内となったら収束したと判定する条件、設定した材料パラメータと、直前(前回)の解析で設定した材料パラメータとの比が、または差が一定範囲以内となったら収束したと判定する条件などに設定することができる。
【0058】
収束条件を、各種設定が可能であり、例えば、(今回)算出したひずみと、直前に(前回)算出したひずみとの比が、または差が一定範囲以内となったら収束したと判定する条件とすることで、解析結果が一定範囲内に収束した値とすることができる。これにより算出する結果の精度を高くすることができる。
【0059】
また、ひずみの差は、任意の値に設定することができる。なお、上記実施形態では、前回のひずみと今回のひずみとの差が変化率として10%以内、つまり、((今回のひずみ)−(前回のひずみ))/(今回のひずみ)が0.1以下となったら収束したと判定する条件とした。
【0060】
また、収束条件を、設定した材料パラメータと、直前(前回)の解析で設定した材料パラメータとの比が、または差が一定範囲以内となったら収束したと判定する条件とすることで、設定するパラメータの変化が小さくなり、算出結果に変化が生じない場合も計算を終了させることができる。これにより、必要以上の回数、演算を繰り返すことを抑制することができ、時間と、消費電力の両面で、効率をよくすることができる。
【0061】
また、収束条件は、あるタイヤの各部分のうち特定の部分が収束条件を満たしたら収束したとみなす設定としても、各部分のうち特定の複数部分が収束条件を満たしたら収束したとみなす設定としても、各部分のうち全ての部分が収束条件を満たしたら収束したとみなす設定としてもよい。なお、収束条件を満たす部分がより多くなるように設定することで、精度はより高くすることができ、収束条件を満たす部分がより少なくなるように設定することで、計算回数を少なくすることができる。
【0062】
また、ステップS22でのひずみの範囲の設定方法としては、種々の設定方法を用いることができる。例えば、解析で算出したひずみの最大値をそのままひずみの範囲の条件として設定する方法、解析で算出したひずみの最大値の一定量多い値をそのままひずみの範囲の条件として設定する方法、また上述のように、ひずみの最大値を超え、かつ、任意の整数倍の値に設定する方法等がある。
【0063】
また、算出したひずみの最大値が設定したひずみの範囲を超える場合は、ひずみの範囲を、算出したひずみの最大値を含むようにより広い範囲として設定するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、ひずみの範囲の下限は、0とし、上限のみを設定しなおしたが、ひずみの下限の値も、算出した値に応じて0以外の値に設定してもよい。例えば、ひずみの範囲を伸びだけではなく、圧縮される(縮む)方向にも変化する設定としてもよい。また、例えばランフラットタイヤのように、タイヤ内部の空気圧がゼロの状態を考慮した特性解析を行う場合、ひずみが大きい領域においては解析目的に応じてひずみ範囲の下限の値をゼロより大きな値に設定してもよい。
【0065】
また、ステップS14で設定するひずみの範囲を定める値は、特に限定されないが、比較的広い値とすることが好ましい。具体的には、ひずみ範囲の上限を50%から100%(50%以上100%以下)とすることが好ましい。このようにステップS14で設定するひずみの範囲を広く設定することで、応力とひずみの関係の全体を考慮した材料パラメータを設定することができる。これにより、ステップS18、ステップS20で算出する結果の精度を一定以上とすることができ、より少ない計算回数で、収束させることができる。
【0066】
また、材料モデル式、ひずみの範囲、材料パラメータは、本実施形態のようにタイヤの部分毎に設定することが好ましい。タイヤの部分毎に設定を行うことで、材料モデル式、ひずみの範囲、材料パラメータを適切な値、条件にすることができ、タイヤの変形状態に即した、高い精度の計算を行うことができる。ここで、タイヤの部分としては、上述した、キャップトレッドと、ビードフィラーに限定されず、サイドトレッド、インナーライナー、補強材等、タイヤを構成する種々の部分に分割することができる。また、補強材としては、カーカス、ベルトカバー等の有機補強材、ベルト等の無機補強材等がある。
【0067】
また、コンピュータ50は、タイヤの部分を、さらに分割し、それぞれに対して、材料モデル式、ひずみの範囲、材料パラメータを設定するようにしてもよい。つまり、同じキャップトレッド(トレッド)でも、センター部、ショルダー部、サイド部に分割してもよく、さらに、サイドを上部、中部、下部に分割してもよい。このように、タイヤの同一部分を構成する場合でも、さらにその領域毎に細分化して設定を行うことで、より高い精度で各値を設定することができ、より高い精度で解析を行うことが可能となる。具体的には、図6に示すように、タイヤの同じ部材においてもその位置(例えば、接地中心部近傍と接地端近傍など)によってひずみの最大値は異なる。そのため、タイヤの各部分(各パーツ)を分割した領域毎に、材料パラメータを設定することで、同定したパラメータと実測値との乖離をより小さくすることができる。つまり、位置によるひずみの差が大きいとゴムの応力―ひずみ特性が非線形性であるため、同定したパラメータと実測値との乖離が大きくなることを抑制することができる。これにより、ゴムの引張開始から破断までの非線形な応力-ひずみ関係を完璧に表現することが困難である、公知の材料モデル式を用いた場合でもより高い精度で解析を行うことができる。
【0068】
また、材料モデル式は、超弾性ポテンシャルで表されるモデル式とすることが好ましく、Neo-Hookeanモデル、Mooney-Rivlinモデル、Yeohモデル、Ogdenモデル、多項式モデル、Arruda-Boyceモデルのいずれか1つのモデル式とすることがより好ましい。このように、材料モデル式を超弾性ポテンシャルで表されるモデル式とすることで、弾性体(特にゴム)の弾性特性をより高い精度で設定することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、ひずみとして、最大主ひずみを算出したが、算出する対象のひずみはこれに限定されず、最小主ひずみ、ひずみの第一不変量、ひずみの第二不変量、ひずみの第三不変量、8面体直ひずみ、8面体せん断ひずみのいずれかを算出することも可能である。また、第2ひずみ範囲は、ひずみの最大値、最小値及び平均値のいずれに設定することも可能である。
【0070】
また、上述したタイヤのシミュレーションでは、算出結果や収束条件に応じて、材料モデル式を変更したり、タイヤの部分、領域によって適用する材料モデル式を異なる材料モデル式としたりしてもよい。
【0071】
なお、上記実施形態では、静的接地解析を行った場合で説明したが、本発明はこれに限定されない。弾性特性を用いる種々のシミュレーションに用いることができ、例えば、タイヤの転動解析、剛性解析にも用いることができる。また、条件として、キャンバー角やスリップ角(横すべり角)がある条件のシミュレーションでも好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかるタイヤのシミュレーション方法は、弾性体の応力−ひずみ特性に有用であり、特に、実使用状態におけるひずみ領域の再現精度向上を求めたタイヤの特性解析に適している。
【符号の説明】
【0073】
27 シミュレーションプログラム
50 ホストコンピュータ
50m 記憶部
50p 処理部
51 モデル生成部
52 解析部
53 情報取得部
54 情報併合部
55 評価物理量算出部
59 入出力部
60 端末装置本体
61 入力装置
62 表示装置
63 ネットワーク
64a、64b コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有限個の要素に分割されたタイヤモデルを、コンピュータを用いてタイヤの性能を評価するタイヤのシミュレーション方法であって、
少なくとも一部を弾性体でモデル化してタイヤを領域毎に分け、
前記弾性体でモデル化した領域の少なくとも一部を弾性体の材料モデル式を設定し、
材料試験により検出された応力-ひずみ曲線を用いて、前記領域毎に第1のひずみ範囲を指定し、前記第1のひずみ範囲に基づいて前記材料モデル式に用いる材料パラメータの同定を行い、
前記第1のひずみ範囲を用いてモデル化したタイヤのシミュレーションを行う第1解析ステップと、
実行した解析処理により算出した前記領域毎のひずみを抽出し、抽出したひずみに基づいて前記第1のひずみ範囲よりも範囲が狭い第2のひずみ範囲を指定し、前記第2のひずみ範囲に基づいて前記材料モデル式に用いる材料パラメータの同定を再び行い、
前記第2のひずみ範囲を用いてモデル化したタイヤのシミュレーションを行い、
算出した結果が収束条件を満足しない場合は、第2のひずみ範囲を再設定し処理を繰り返し、前記算出した結果が収束条件を満足する場合は、算出した結果を算出結果とする第2解析ステップと、を有することを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。
【請求項2】
前記第1のひずみ範囲は、範囲の上限が50%から100%であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項3】
前記領域は、タイヤを構成する部材毎に分割した領域であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項4】
前記タイヤを構成する部材は、キャップトレッドと、アンダートレッドと、サイドトレッドと、ビードフィラーと、インナーライナーと、補強材とを含むことを特徴とする請求3に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項5】
前記領域は、タイヤを構成する部材をさらに複数に分割した領域を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項6】
前記タイヤを構成する部材は、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドトレッドの少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項5に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項7】
前記材料モデル式は、超弾性ポテンシャルで表されるモデル式であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項8】
前記材料モデル式は、Neo-Hookeanモデル、Mooney-Rivlinモデル、Yeohモデル、Ogdenモデル、多項式モデル、Arruda-Boyceモデルの少なくとも1つで表される構成式であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項9】
前記シミュレーションは、接地解析、剛性解析、転動解析のいずれかの解析を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項10】
前記ひずみは、最大主ひずみ、最小主ひずみ、ひずみの第一不変量、ひずみの第二不変量、ひずみの第三不変量、8面体直ひずみ、8面体せん断ひずみのいずれかであり、
前記第1ひずみ範囲及び前記第2ひずみ範囲は、前記領域の前記ひずみの最大値、最小値及び平均値のいずれか1つに基づいて設定されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項11】
前記収束条件は、直前のシミュレーションで算出したひずみと、今回のシミュレーションで算出したひずみとの差が、設定された範囲内であるかであり、
第2解析ステップは、ひずみの差が設定された範囲内である場合、算出した結果を算出結果とすることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項12】
第2解析ステップは、少なくとも1つの領域のひずみの差が、前記収束条件として設定された範囲内ではない場合、前記ひずみの差が前記収束条件として設定された範囲内ではない領域の第2ひずみ範囲を再設定し処理を繰り返すことを特徴とする請求項11に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項13】
前記第2解析ステップは、算出したひずみの値が、前記第2のひずみ範囲を超えた場合は、算出したひずみの最大値を含むように前記第2ひずみ範囲を再設定し処理を繰り返すことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項14】
前記収束条件は、直前のシミュレーションで設定したひずみ範囲と、今回のシミュレーションで算出したひずみ範囲との差が、設定された範囲内であるかであり、
第2解析ステップは、ひずみの範囲の差が設定された範囲内である場合、算出した結果を算出結果とすることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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