説明

タイヤコーティング剤セット及びタイヤコーティング方法

【課題】 自動車用タイヤやブラックバンパー等の黒色表面に、黒色艶光沢を付与しつつ、べたつき、汚れの付着、被膜のひび割れを生じることなく、しかも、一般的なカーシャンプーで洗浄できる、タイヤコーティングを提供すること。
【解決手段】 黒色物を分散媒に分散させてなる第一液、及びシリコーングラフトアクリル系樹脂を溶剤に溶解させてなる第二液から構成されることを特徴とするタイヤコーティング剤セット。黒色物を分散媒に分散させてなる第一液を塗布し、それにより形成された黒色被膜の上に、シリコーングラフトアクリル系樹脂を溶剤に溶解させてなる第二液を塗布することを特徴とするタイヤコーティング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自転車、オートバイ等のタイヤやブラックバンパー等の黒色表面を艶出しするための、タイヤコーティング剤セット及びタイヤコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平8−239629号公報
【特許文献2】特開2000−144038号公報
【特許文献3】特開2002−256225号公報
【特許文献4】特開平5−230161号公報
【特許文献5】特開平7−196975号公報
【0003】
従来、自動車、自転車、オートバイ等といった車両で使用されるタイヤやブラックバンパーの表面に美観を与え、清潔感を保つ働きをする保護艶出し剤がいくつか提案されてきた。なかでも、タイヤの艶出し剤としてはシリコーンオイルを主成分としたものや、ワックス類を主成分としたもの等が既に知られている。
【0004】
シリコーンオイルを主成分としたものは、仕上がり面の光沢が優れていることから一般に多く使用されているが、そのほとんどが沸点の高い流動体であるため、タイヤに塗布した後の乾燥性が悪く、仕上がり面にべたつきが残ってしまい、かえって汚染物質が付着し易くなり、汚染防止効果(防汚性)を発揮し得ないほか、付着した汚染物質を除去するために界面活性剤を含んだ洗剤等で水洗浄をしようとしても、シリコーンオイルや汚染物質が原因で、洗剤等は泡立たず、洗浄具であるスポンジ等まで黒く汚してしまう等の問題がある。
【0005】
そこで、特許文献1には、ワックス、オルガノシロキサン油、カーボンブラック、及びポリウレタン樹脂を水に乳化分散してなるタイヤ艶出し剤が提案されている。このタイヤ艶出し剤は、仕上がり面のべたつきを抑えることができるが、塗布後に拭き上げが必要となり、また、仕上がり後の光沢がシリコーンオイルを主成分としたものにくらべて劣る等の問題がある。
【0006】
また、特許文献2には、ガラス転移温度が0〜50℃のアクリル酸エステル重合体及び/又はメタクリル酸エステル重合体に可塑剤が配合されたタイヤ艶出し剤が提案されている。このタイヤ艶出し剤は、耐水性や耐久性を向上させるために、水に不溶性の塗膜をタイヤ表面に形成させるため、例えば路上の縁石等に接触して塗膜に一度ひび割れが生じたり、経時変化で塗膜が劣化した場合等に、洗浄して除去しようとしても容易には除去することが困難で、また、完全に除去することは難しく、その結果、古い塗膜の上に新しい塗料を重ねて塗布することになり、次第に外観を損ねてしまうという問題があるほか、反対に、その光沢を落としたいと望んだ場合にも、容易にその光沢を落とすことができない等の問題がある。
【0007】
さらに、特許文献3には、水分散性又は水溶性の樹脂成分とこの樹脂成分に対して相溶性を有する可塑剤成分として親水基を有する変性シリコーンとを含み、水洗浄可能な被膜を形成するタイヤ用保護艶出し剤が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に開示されたタイヤ艶出し剤は、カーボンブラック等の黒色物を含んでいないので、黒色の艶出し効果に乏しい。
【0009】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、自動車用タイヤやブラックバンパー等の黒色表面に、黒色艶光沢を付与しつつ、べたつき、汚れの付着、被膜のひび割れを生じることなく、しかも、一般的なカーシャンプーで洗浄できる、タイヤコーティングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討の結果、タイヤコーティング剤として、黒色物を分散媒に分散させてなる第一液と艶出し用の第二液とに分離して処方し、かつ、第二液としてシリコーングラフトアクリル系樹脂を分散媒に分散させてなる液を用いることにより、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明のタイヤコーティング剤セットは、黒色物を分散媒に分散させてなる第一液、及びシリコーングラフトアクリル系樹脂を溶剤に溶解させてなる第二液から構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のタイヤコーティング方法は、黒色物を分散媒に分散させてなる第一液を塗布し、それにより形成された黒色被膜の上に、シリコーングラフトアクリル系樹脂を溶剤に溶解させてなる第二液を塗布することを特徴とする。
【0013】
第一液を塗布することにより、自動車用タイヤやブラックバンパー等の黒色表面に黒色被膜を形成し、その上に第二液を塗布することにより、光沢を付与しつつ、べたつきなく、汚れ付着防止性能を付与することができる。被膜のひび割れを生じることなく、しかも、一般的なカーシャンプーで洗浄することができる。
【0014】
本発明において、シリコーングラフトアクリル系樹脂とは、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸樹脂又はメタクリル酸エステル樹脂に、シリコーンをグラフトさせた成分を含む樹脂を云う。
【0015】
本発明において、シリコーングラフトアクリル系樹脂が下記一般式(1)
【化1】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有することが好ましい。
【0016】
本発明において、シリコーングラフトアクリル系樹脂が下記一般式(2)
【化2】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、R4は水素又はメチル基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有することが好ましい。
【0017】
本発明において、シリコーングラフトアクリル系樹脂が下記一般式(3)
【化3】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、R4は水素又はメチル基、R5は水素又はメチル基、R6は他のアルキル基又は官能基含有アルキル基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有することが好ましい。
【0018】
本発明において、第二液は、下記一般式(1)
【化4】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
又は下記一般式(2)
【化5】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、R4は水素又はメチル基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有するシリコーングラフトアクリル系樹脂と、下記一般式(4)の構造を有する樹脂とを混合・分散して構成することもできる。
【化6】

(R4は水素又はメチル基、R5は水素又はメチル基、R6は他のアルキル基又は官能基含有アルキル基を表わす。)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自動車用タイヤやブラックバンパー等の黒色表面に、黒色艶光沢を付与して新品のタイヤ同様に再生しつつ、べたつき、汚れの付着、被膜のひび割れを生じることなく、しかも、一般的なカーシャンプーで洗浄できる、タイヤコーティングを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明において、第一液に含まれる黒色物としては、黒色顔料又は黒色染料が挙げられる。黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、合成酸化鉄(チタン工業株式会社製TAROX等)、アイボリーブラック(骨炭)、ピーチブラック(植物炭)、テンプブラック(油炭)、ビチューム(アスファルト)等を挙げることができ、特に、安価、無毒なカーボンブラックが好ましい。黒色染料としては、オルトアミノフェノール、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0021】
本発明において、第一液に含まれる分散媒としては、常温で黒色顔料を分散する液体又は黒色染料を溶解する液体であって揮発性を有するものであれば良く、アルコール系分散媒、シリコーン系分散媒、石油系分散媒、グリコール系分散媒、水系分散媒等を挙げることができる。アルコール系分散媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等を挙げることができ、シリコーン系分散媒としては25℃における動粘度が0.65〜2mm2/sのジメチルシリコーン、4〜6量体の環状シロキサン等を挙げることができ、石油系分散媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のパラフィン系炭化水素、工業用ガソリン、ケロシン、ミネラルスプリット、イソパラフィン、シクロパラフィンを挙げることができ、グリコール系分散媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールを挙げることができる。また、水系分散媒としては、親水性カーボンブラックには水でも良く、通常の疎水性カーボンブラックにはアニオン、カチオン、ノニオン、両性の各界面活性剤の分散剤を含む水が利用可能で、中でもノニオン活性剤の分散剤を含む水が使い易さの点で好適である。ここで、ノニオン活性剤の分散剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル等のエチレンオキサイド付加高級アルコール(AE)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル等のエーテル系ノニオン活性剤、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エチレンオキサイド付加アルキルフェノール(APE)、ポリオキシエチレン付加ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、アルカノールアミン−脂肪酸縮合物、アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等、更にこれらの活性剤中にフッ化炭化水素基含有のノニオン系界面活性剤等を好適に用いることができる。特にタイヤにひび割れ等の悪影響を及ぼさないものが好ましく、2−プロパノール、上記のシリコーン系分散媒、ヘプタン、上記エーテル系ノニオン活性剤を含む水等が好ましい。
【0022】
また、本発明において、第一液は、ワックス、樹脂等の各種バインダー成分及び乳化剤を加えてO/W型又はW/O型のエマルションとすることができる。
【0023】
本発明において、第二液に含まれる具体的なシリコーングラフトアクリル系樹脂としては、例えば、特許文献4、特許文献5に開示された様に、次のモノマーと、他のラジカル重合性モノマーとをラジカル重合させて得ることができる。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【0024】
本発明において、第二液に含まれる溶剤としては、アルコール系分散媒、シリコーン系分散媒、石油系分散媒、グリコール系分散媒、水系分散媒等を挙げることができる。アルコール系分散媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等を挙げることができ、シリコーン系分散媒としては25℃における動粘度が0.65〜2mm2/sのジメチルシリコーン、4〜6量体の環状シロキサン等を挙げることができ、石油系分散媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のパラフィン系炭化水素、工業用ガソリン、ケロシン、ミネラルスプリット、イソパラフィン、シクロパラフィンを挙げることができ、グリコール系分散媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールを挙げることができる。また、水系分散媒としては、水でも良く、アニオン、カチオン、ノニオン、両性の各界面活性剤の分散剤を含む水でも良い。中でもノニオン活性剤の分散剤を含む水が使い易さの点で好適である。ここで、ノニオン活性剤の分散剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル等のエチレンオキサイド付加高級アルコール(AE)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル等のエーテル系ノニオン活性剤、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エチレンオキサイド付加アルキルフェノール(APE)、ポリオキシエチレン付加ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、アルカノールアミン−脂肪酸縮合物、アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等、更にこれらの活性剤中にフッ化炭化水素基含有のノニオン系界面活性剤等を好適に用いることができる。特にタイヤにひび割れ等の悪影響を及ぼさないものが好ましく、2−プロパノール、上記のシリコーン系分散媒、ヘプタン、上記エーテル系ノニオン活性剤を含む水等が好ましい。
【0025】
また、本発明において、第一液及び/又は第二液には、上記の成分に加えて、塗布面の保護性、使用時の爽快性等の性能を更に向上せしめるために、例えば、フェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線防止剤や防錆剤、香料等から選ばれた1種又は2種以上の第三成分をあらかじめ分散媒に添加してもよい。
【0026】
本発明のタイヤコーティング方法において、第一液及び/又は第二液の塗布の方法としては、仕上がり面が均一に艶を出す方法であればよく、例えばスプレー塗布、タオル、スポンジ、不織布、ティッシュ等の手段で塗布する方法、刷毛塗り等が挙げられる。
【0027】
また、第一液を塗布した後、直ちに、それにより形成された黒色被膜の上に、第二液を塗布しても良いが、第一液を塗布した後、第一液の分散媒を揮発させ、それにより形成された黒色被膜を乾燥させてから、その黒色被膜の上に、第二液を塗布することがより好ましい。さらに、第二液を塗布した後、第二液の分散媒を揮発させ、それにより形成された塗装被膜を乾燥させてから、塗装被膜上の余分な成分をタオル、不織布、フリース等の傷を付けにくいようなもので拭き取って仕上げても良い。
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について具体例を挙げて説明する。
【実施例】
【0029】
(第一液の調製)
表1に示す各割合で処方例1〜4の各第一液をそれぞれ調製した。
【0030】
【表1】

【0031】
(第二液の調製)
さらに、表2に示す各割合で処方例1〜4及び比較処方例1〜3の各第二液をそれぞれ調製した。
【0032】
【表2】

【0033】
(実施例1〜7及び比較例1〜3)
乗用車の4本のタイヤのうち、1本のタイヤの側面の約三分の一の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例1を塗布した(実施例1)。
【0034】
同じ乗用車の同じタイヤの側面の約三分の一の別の部分に、上記で調製した第一液の処方例2を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例1を塗布した(実施例2)。
【0035】
同じ乗用車の同じタイヤの側面の約三分の一の別の部分に、上記で調製した第一液の処方例3を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例1を塗布した(実施例3)。
【0036】
同じ乗用車の別のタイヤの側面の約三分の一の部分に、上記で調製した第一液の処方例4を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例1を塗布した(実施例4)。
【0037】
同じ乗用車の同じタイヤの側面の約三分の一の別の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例2を塗布した(実施例5)。
【0038】
同じ乗用車の同じタイヤの側面の約三分の一の別の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例3を塗布した(実施例6)。
【0039】
同じ乗用車の別のタイヤの側面の約三分の一の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の処方例4を塗布した(実施例7)。
【0040】
同じ乗用車の同じタイヤの側面の約三分の一の別の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の比較処方例5を塗布した(比較例1)。
【0041】
同じ乗用車の同じタイヤの側面の約三分の一の別の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の比較処方例6を塗布した(比較例2)。
【0042】
同じ乗用車の別のタイヤの側面の約三分の一の部分に、上記で調製した第一液の処方例1を塗布し、更に、その上に、第二液の比較処方例7を塗布した(比較例3)。
【0043】
それぞれ充分に乾燥した後(塗布して約1時間後)に、又は、その塗布から2週間、約500km走行後に、以下のような方法により被膜の光沢性、光沢性(2週間後)、耐割れ・剥がれ性、ベトツキ、耐埃付き、耐水性、被膜除去性能をそれぞれ評価した。結果を表3に示す。
【0044】
〔光沢性〕
光沢性については、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して約1時間後、タイヤ側面に形成された被膜の外観を目視にて観察し、◎:極めて良好な光沢、○:良好な光沢、△:若干の光沢、×:ほとんど光沢なし、の4段階で評価した。
【0045】
〔光沢性(2週間後)〕
光沢性(2週間後)については、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して2週間走行後、タイヤ側面に形成された被膜の外観を目視にて観察し、◎:極めて良好な光沢、○:良好な光沢、△:若干の光沢、×:ほとんど光沢なし、の4段階で評価した。
【0046】
〔耐割れ・剥がれ性〕
耐割れ・剥がれ性については、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して2週間走行後、被膜の外観を目視にて観察し、◎:全く割れず、○:殆んど割れず、△:若干の割れ、×:割れる、の4段階で評価した。
【0047】
〔ベトツキ〕
ベトツキについては、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して約1時間後、タイヤ側面に形成された被膜を直接手で触れて観察し、◎:全くベトツキなし、○:殆んどベトツキなし、△:若干ベトツキあり、×:ベトツキあり、の4段階で評価した。
【0048】
〔耐埃付き〕
耐埃付きについては、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して2週間走行後、タイヤ側面に形成された被膜を直接手で触れて観察し、◎:全く埃は付かない、○:殆んど埃は付かない、△:若干埃が付く、×:埃が付く、の4段階で評価した。
【0049】
〔耐水性〕
耐水性については、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して約1時間後、水を10分間当て続けた後の被膜の状態を目視にて観察し、◎:全く変化がない、○:殆んど変化がない、△:艶が薄くなる、×:被膜がなくなる、の4段階で評価した。
【0050】
〔被膜除去性能〕
被膜除去性能については、タイヤの側面部分に第一液及び第二液を塗布して約1時間後、水及びカーシャンプーを含ませたスポンジで10回擦り、その後の被膜の状態を目視にて観察し、◎:完全に除去できた、○:被膜が残っている部分がある、△:殆んど除去できない、×:全く除去できない、の4段階で評価した。
【0051】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色物を分散媒に分散させてなる第一液、及びシリコーングラフトアクリル系樹脂を溶剤に溶解させてなる第二液から構成されることを特徴とするタイヤコーティング剤セット。
【請求項2】
シリコーングラフトアクリル系樹脂が下記一般式(1)
【化1】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有することを特徴とする、請求項1記載のタイヤコーティング剤セット。
【請求項3】
シリコーングラフトアクリル系樹脂が下記一般式(2)
【化2】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、R4は水素又はメチル基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有することを特徴とする、請求項2記載のタイヤコーティング剤セット。
【請求項4】
シリコーングラフトアクリル系樹脂が下記一般式(3)
【化3】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、R4は水素又はメチル基、R5は水素又はメチル基、R6は他のアルキル基又は官能基含有アルキル基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有することを特徴とする、請求項3記載のタイヤコーティング剤セット。
【請求項5】
第二液が、下記一般式(1)
【化4】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
又は下記一般式(2)
【化5】

(R1は水素又はメチル基、R2は酸素原子により中断されてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、R4は水素又はメチル基、mは1、2又は3で、nは3〜200の整数を表わす。)
の構造を有するシリコーングラフトアクリル系樹脂と、下記一般式(4)
【化6】

(R4は水素又はメチル基、R5は水素又はメチル基、R6は他のアルキル基又は官能基含有アルキル基を表わす。)
の構造を有する樹脂とを混合・分散してなることを特徴とする、請求項2又は3記載のタイヤコーティング剤セット。
【請求項6】
黒色物を分散媒に分散させてなる第一液を塗布し、それにより形成された黒色被膜の上に、シリコーングラフトアクリル系樹脂を溶剤に溶解させてなる第二液を塗布することを特徴とするタイヤコーティング方法。

【公開番号】特開2007−332165(P2007−332165A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273236(P2004−273236)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(594161987)株式会社ウイルソン (4)
【Fターム(参考)】