説明

タイヤトレッド

本発明のタイヤ走行トレッドは、少なくとも1つのタイプのジエンエラストマー;非黒色補強用充填剤、とりわけ無機充填剤;上記ジエンエラストマーと充填剤との結合用カップリング剤をベースとするゴム組成物を含み、該組成物は、光酸化促進剤および任意成分としての5pce (エラストマー100質量部当りの質量部)未満の割合のカーボンブラックも含むことを特徴とする。上記光酸化促進剤は、主として、光増感剤の存在によって活性化されるまたは活性化されないラジカルまたはカチオン光開始剤の形で具現化される。該光酸化させた(UV〜可視放射線に暴露させた)走行トレッドを備えたタイヤは、濡れた道路上で実質的に増大した接着性を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、非黒色充填剤、とりわけ、シリカのような無機充填剤によって補強されたゴム組成物を含むタイヤトレッドに関する。
本発明は、さらに詳細には、主として非黒色充填剤によって補強され、必要に応じて少量のカーボンブラックを含むトレッドに関する。
【0002】
(背景技術)
知られているように、タイヤトレッドは、低転がり抵抗性、高耐摩耗性およびとりわけ降雨または濡れた道路上での高グリップ性のような多くのしばしば相反する技術的条件を満たさなければならない。
とりわけ転がり抵抗性および耐摩耗性の見地からのこれら諸特性の妥協点は、近年、補強能力の点で通常のタイヤ級カーボンブラックに対抗し得る高分散性シリカ(HDS)のような補強用充填剤と称する特定の無機充填剤により主として補強されている特徴を有する低ヒステリシスの新たなゴム組成物の使用により、とりわけ乗用車用を意図するエネルギー節減性のグリーンタイヤに関連して改良され得ていた。
従って、今日では、上記補強用無機充填剤は、これらの充填剤がもう1つの既知の利点、即ち、濡れた、積雪または氷結道路上でのタイヤのグリップ性を増大させるという利点も有することから、益々もって、タイヤトレッドにおける通常のカーボンブラックと次第に置換わりつつある。しかしながら、低量での、典型的には5〜10または20phrの比率内でのカーボンブラックの使用は続いている;これらの範囲内においては、カーボンブラックの着色(黒色着色剤)およびUV安定化特性からの利益を、上記補強用無機充填剤によってもたらされる典型的な性能、即ち、低ヒステリシス並びに濡れた、積雪および氷結地面上での改良されたグリップ性に不利益を与えることもなく得ることができることが知られている。当該技術の状況を説明するには、例えば、特許または特許出願 FR 2 797 636号(またはGB 2 354 246号)、EP 0 890 606号、EP 1 092 565号、US20020151640号、WO 01/96442号、WO 02/10269号、WO 02/22728号、WO 02/31041号、WO 02/053634号、WO 02/066519号、WO 02/083782号、WO 03/002648号、およびWO 03/002649号を挙げたい。
しかしながら、タイヤのグリップ特性の増強は、補強用無機充填剤によって補強されたトレッドにおいてさえも、依然としてタイヤ設計者等の変りのない最大の関心事である。
【0003】
(発明の開示)
事実として、驚くべきことに、本出願人等は、降雨または濡れた地面上でのグリップ性を、非黒色充填剤とりわけ無機充填剤で補強したトレッド用のゴム組成物中に光酸化促進剤(prophoto-oxidizing agent)を混入させることにより、上述の他の諸特性を妥協させることなくさらに改良し得ることを見出した。
従って、本発明の第1の主題は、少なくともジエンエラストマー、非黒色補強用充填剤、該ジエンエラストマーと該充填剤間の結合をもたらすカップリング剤、および任意成分としてのカーボンブラックをベースとするゴム組成物を含むトレッドに関し、該トレッドは、上記組成物が光酸化促進剤をさらに含み、そのカーボンブラック量がゼロまたは5phr (エラストマー100質量部当りの質量部)未満であることを特徴とする。
本発明のもう1つの主題は、新品タイヤの製造または磨耗タイヤの再トレッド形成におけるそのようなトレッドの使用である。
本発明に従うトレッドは、乗用車タイプの自動車、SUV (スポーツ用多目的車)、二輪車(とりわけ、自転車、スクーターまたはモーターサイクル)、航空機;さらにまた、例えば、バン類または“重量”車両(即ち、地下鉄、バス、またはトラック、トラクターもしくはトレーラーのような重量道路輸送車両)から選ばれる産業用車両に装着することを意図するタイヤに対してとりわけ適している。
本発明のもう1つの主題は、本発明に従うトレッドを含む場合のこれらのタイヤ自体である。
本発明のもう1つの主題は、その表面の光酸化後に濡れた道路上で改良されたグリップ性を示し得るタイヤトレッドの製造方法であり、該方法は、少なくとも1種のジエンエラストマー中に、少なくとも補強用充填剤としての非黒色充填剤、上記ジエンエラストマーと上記充填剤間の結合をもたらすカップリング剤、任意成分としてのゼロまたは5phr未満の量のカーボンブラック、光酸化促進剤および架橋系を混練により混入し、且つ混合した混合物をトレッドの形に押出加工することを特徴とする。
本発明およびその利点は、以下の説明および例として実施態様に照らして容易に理解し得るであろう。
【0004】
(発明を実施するための最良の形態)
I. 使用する測定および試験方法
トレッド類およびこれらトレッド類構成成分としてのゴム組成物を、硬化の前後において、以下に示すようにして特性決定する。
I-1. ムーニー可塑度
フランス規格NF T-43-005(1980年11月)に記載されているような振動(oscillating)稠度計を使用する。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って実施する:生状態(即ち、硬化前)のゴム組成物を100℃に加熱した円筒状の室内で成形する。1分間の予熱後、ローターが試験片内で2回転/分で回転し、この運動を維持するための仕事トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー可塑度(ML 1 + 4)は、“ムーニー単位”(MU、1MU = 0.83ニュートン.メートル)で表す。
I-2. 引張試験
これらの引張試験は、弾性応力および破壊時特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF T 46-002に従って行う。公称割線モジュラス(または見掛け応力、MPaでの)を、2回目の伸びにおいて(即ち、測定自体において予測される伸長度への調節サイクル後に)、10%伸び(M10と記録)、100%伸び(M100と記録)および300%伸び(M300と記録)で測定する。
また、破壊応力(MPaでの)および破壊時伸び(%での)も測定する。これらの引張測定は、全て、フランス規格 NF T 40-101 (1979年12月)に従う標準の温度(23±2℃)および湿度(50±5%相対湿度)条件下で行う。
I-3. タイヤ試験(濡れた道路上でのブレーキ操作)
タイヤを、ABSブレーキ操作システムを装備した自動車に装着し、濡れた地面(アスファルトコンクリート)上での急ブレーキ操作時に50km/hから10km/hに変化させるのに必要な距離を測定する。任意に100に設定した対照の値よりも大きい値が、改良されたグリップ性、即ち、短いブレーキ操作距離を示唆する。
【0005】
II. 発明の詳細な説明
本発明に従うトレッドは、少なくとも道路との接触を意図するその表面部分において、少なくとも以下をベースとするゴム組成物から形成する:(i) (少なくとも1種の)ジエンエラストマー;(ii) 補強用無機充填剤としての、(少なくとも1種の)非黒色充填剤、とりわけ無機充填剤;(iii) 上記補強用無機充填剤と上記ジエンエラストマー間の結合をもたらす(少なくとも1種の)カップリング剤;(iv) (少なくとも1種の)光酸化促進剤;および、任意成分としての5phr未満、好ましくは3phr未満の量のカーボンブラック。
勿論、“ベースとする”組成物なる表現は、使用する各種構成成分の混合物および/または現場反応生成物を含む組成物を意味するものと理解すべきであり、これらベース構成成分のある種のもの(例えば、カップリング剤と補強用無機充填剤)は、上記トレッド製造の種々の段階において、とりわけその加硫(硬化)中に、少なくとも部分的に反応し得るか或いは一緒に反応するように意図し得る。
本説明においては、特に明確に断らない限り、示したパーセント(%)は、全て質量%である。
【0006】
II.1 ジエンエラストマー
用語“ジエン”エラストマー(または同義のゴム)は、一般に、ジエンモノマー類(共役型またはそうでないにしろ、2個の炭素-炭素二重結合を担持するモノマー類)に少なくとも一部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解されたい。
ジエンエラストマーは、公知のとおり、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”と称するエラストマーまたは“本質的に飽和”と称するエラストマーに分類し得る。用語“本質的に不飽和”のジエンエラストマーとは、15%(モル%)よりも多いジエン起源(共役ジエン類)の単位量を有する共役ジエンモノマー類に少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。従って、例えば、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエン類とα-オレフィン類とのコポリマー類のようなジエンエラストマーは、上述の定義に属さず、それどころか、“本質的に飽和”のジエンエラストマー類(常に15%未満である低いまたは極めて低いジエン起原単位量)として説明し得る。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、用語“高不飽和”ジエンエラストマーは、とりわけ、50%よりも多いジエン起源(共役ジエン類)の単位量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
上記の一般的定義を考慮すると、タイヤ技術における熟練者であれば、本発明は、先ずは、高不飽和ジエンエラストマーによって、とりわけ、下記のエラストマーによって実施するものと理解されたい:
(a) 4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られた任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエン類相互或いは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られる任意のコポリマー。
以下のものは、共役ジエン類としてとりわけ適している:1,3-ブタジエン;2-メチル-1,3-ブタジエン;例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエンまたは2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエンのような2,3-ジ[(C1〜C5)アルキル]-1,3-ブタジエン類;アリール-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンまたは2,4-ヘキサジエン。以下のものは、例えば、ビニル芳香族化合物として適している:スチレン;オルソ-、メタ-およびパラ-メチルスチレン;“ビニルトルエン” 市販混合物;パラ-(tert.ブチル)スチレン;メトキシスチレン類;クロロスチレン類;ビニルメシチレン;ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
【0007】
コポリマー類は、99〜20質量%のジエン単位と1〜80質量%のビニル芳香族単位を含有し得る。これらのエラストマーは、使用する重合条件の、とりわけ、変性剤および/またはランダム化剤の存在または不存在並びに使用する変性剤および/またはランダム化剤の量に依存する任意のミクロ構造を有し得る。これらのエラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列ブロックであり得、分散液または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ剤(star-branching agent)或いは官能化剤によってカップリング化および/または星型枝分れ化或いは官能化し得る。
以下のものは、好ましく適し得る:ポリブタジエン類、とりわけ、4%〜80%の1,2-単位含有量を有するポリブタジエン類、または80%よりも多いシス-1,4単位含有量を有するポリブタジエン類;ポリイソプレン類;ブタジエン/スチレンコポリマー類、とりわけ、5質量%〜50質量%とりわけ20質量%〜40質量%のスチレン含有量、4%〜65%のブタジエン成分1,2-結合含有量および20%〜80%のトランス-1,4結合含有量を有するコポリマー類;ブタジエン/イソプレンコポリマー類、とりわけ、5質量%〜90質量%のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のガラス転移温度(“Tg”、ASTM D3418-82に従って測定)を有するコポリマー類;イソプレン/スチレンコポリマー類、とりわけ、5%〜50質量%のスチレン含有量および−25℃〜−50℃のTgを有するコポリマー類。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマー類の場合は、5質量%〜50質量%とりわけ10質量%〜40質量%のスチレン含有量、15質量%〜60質量%とりわけ20質量%〜50質量%のイソプレン含有量、5質量%〜50質量%とりわけ20質量%〜40質量%のブタジエン含有量、4%〜85%のブタジエン成分1,2-単位含有量、6%〜80%のブタジエン成分トランス-1,4単位含有量、5%〜70%のイソプレン成分1,2-+3,4-単位含有量および10%〜50%のイソプレン成分トランス-1,4単位含有量を有するコポリマー類、さらに一般的には、−20℃〜−70℃のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが、とりわけ適している。
【0008】
要するに、本発明に従う組成物のジエンエラストマーは、とりわけ好ましくは、ポリブタジエン(BR)類、合成ポリイソプレン(IR)類、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー類、イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマー類の混合物からなる(高不飽和)ジエンエラストマーの群から選択し得る。そのようなコポリマー類は、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)類、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)類、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)類、イソプレン/ブタジエン/スチレン-コポリマー(SBIR)類およびそのようなコポリマーのブレンドからなる群から選択する。
本発明に従うトレッドは、好ましくは、乗用車タイヤ用に意図する。そのような場合、ジエンエラストマーは、好ましくは、好ましくはポリブタジエンとのブレンドとして使用する、溶液(SSBR)中でまたはエマルジョン(ESBR)として調製したいずれかのSBRコポリマーである;より好ましくは、上記SBRは、20質量%〜30質量%のスチレン含有量、15%〜65%のブタジエン成分ビニル結合含有量、15%〜75%のトランス-1,4結合含有量および−20℃〜−55℃のTgを有し、ポリブタジエンは、90%よりも多いシス-1,4結合を有する。
重量車両用のタイヤの場合、ジエンエラストマーは、好ましくは、イソプレンエラストマー、即ち、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、各種イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマーのブレンドからなる群から選ばれたジエンエラストマーである。イソプレンコポリマーのうちでは、とりわけ、イソブテン/イソプレン(ブチルゴム;IIR)コポリマー類、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)類、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)類またはイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)類が挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス-1,4ポリイソプレンである;これらの合成ポリイソプレンのうち、好ましくは90%よりも多い、より好ましくは98%よりも多いシス-1,4結合量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。そのような重量車両用のタイヤにおいては、ジエンエラストマーは、例えば、SBRエラストマーのような他の高不飽和エラストマーから全部または一部なり得る。
本発明のトレッドの組成物は、単一のジエンエラストマーまたは数種のジエンエラストマーのブレンドを含有し得、これら1種以上のジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマー、実際には、エラストマー以外のポリマー類、例えば、熱可塑性ポリマー類とさえも一緒に使用し得る。
【0009】
II-2. 非黒色補強用充填剤
“非黒色補強用充填剤”とは、この場合、カーボンブラックに対比して“無機”充填剤、“白色”充填剤または“透明”充填剤とも称される、その色合およびその起源(天然または合成)の如何にかかわらない任意の無機充填剤を、実際にはカーボンブラック以外の任意の有機充填剤でさえも意味するものと理解されたい;この非黒色充填剤は、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段に何らよることなく、タイヤトレッド製造を意図するゴム組成物を補強し得、換言すれば、通常のトレッド用のタイヤ級カーボンブラックとその補強役割において置換わり得るものである;そのような充填剤は、一般に、公知のとおり、その表面における官能基、とりわけヒドロキシル官能基の存在に特徴を有し、従って、ジエンエラストマーと該充填剤間に安定な化学結合を付与することを意図するカップリング剤の使用を必要とする。
好ましくは、非黒色補強用充填剤は、無機充填剤、さらに具体的には、シリカ質またはアルミナ質タイプの充填剤、或いはこれら2つのタイプの充填剤の混合物である。
使用するシリカ(SiO2)は、当業者にとって公知の任意の補強用シリカ、とりわけ、共に450 m2/g未満、好ましくは30〜400 m2/gであるBET表面積と比CTAB表面積を示す任意の沈降または火成シリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)は、とりわけ本発明を低転がり抵抗性を示すタイヤ類の製造において使用する場合は好ましい;そのようなシリカ類の例としては、Degussa社からのUltrasil 7000シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165 MP、1135 MPおよび1115 MPシリカ類;PPG社からのHi-Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;或いは、出願WO 03/016387号に記載されているシリカ類を挙げることができる。
好ましく使用する補強用アルミナ(Al2O3)は、30〜400 m2/g、より好ましくは60〜250 m2/gであるBET表面積と、多くとも500 nmに等しい、より好ましくは多くとも200 nmに等しい平均粒度を有する高分散アルミナである。そのような補強用アルミナの非限定的な例としては、とりわけ、“Baikalox A125”または“CR125”(Baikowski社)、“APA-100RDX”(Condea社)、“Aluminoxid C”(Degussa社)または“AKP-G015”(Sumitomo Chemicals社)のアルミナ類を挙げることができる。
また、本発明のゴム組成物において使用し得る無機充填剤の他の例としては、アルミニウム(酸化物)水酸化物類、アルミノシリケート類、酸化チタン類、炭化または窒化ケイ素類、或いは出願WO 99/28376号、WO 00/73372号、WO 02/053634号、WO 2004/003067号およびWO 2004/056915号に記載されているような全ての補強用タイプを挙げることができる。
【0010】
本発明のトレッドを低転がり抵抗性を有するタイヤ用に意図する場合、使用する非黒色補強用充填剤は、とりわけシリカのような補強用無機充填剤である場合、好ましくは、60〜350 m2/gのBET表面積を有する。本発明の有利な実施態様は、非黒色充填剤、とりわけ、130〜300 m2/gの範囲内の高BET比表面積を有するシリカのような補強用無機充填剤の、そのような充填剤において認識されている高補強能力故の使用からなる。本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、130 m2/g未満、好ましくは60〜130 m2/gの場合のようなBET比表面積を示す非黒色充填剤を使用し得る(例えば、上述の出願WO 03/002648号およびWO 03/002649号参照)。
非黒色補強用充填剤(とりわけ、無機充填剤)に付与する物理的状態は、粉末、微小ビーズ、粒状物、ビーズまたは他の適切な濃密化形のいずれの形であれ、重要ではない。勿論、非黒色補強用充填剤なる用語は、種々の非黒色補強用充填剤、とりわけ上述のような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤のような無機充填剤の混合物も意味するものと理解されたい。
当業者であれば、使用する充填剤の性質に応じて、さらに、関連するタイヤのタイプ、例えば、モーターサイクル用、乗用車用、またはバンもしくは重量車両のような実用車用のタイヤに応じて、非黒色補強用充填剤の量を如何にして調整するかは承知していることであろう。好ましくは、非黒色補強用充填剤、とりわけ無機補強用充填剤のこの量は、20〜200phr、より好ましくは30〜150phrで選定する。さらにより好ましくは、とりわけ本発明の組成物を乗用車タイヤトレッド用に意図する場合、この補強用充填剤の量は、50phrよりも多いように、例えば、60〜140phr、とりわけ70〜130phrの範囲内に選定する。
本明細書においては、BET比表面積は、“The journal of the American Chemical Society”, Vol. 60, page 309, February 1938に記載されているBrunauer-Emmett-Teller法を使用するガス吸着による公知の方法で、さらに詳細には、1996年12月のフランス規格 NF ISO 9277 (多点容積法(5点)、ガス:窒素、脱ガス:160℃で1時間、相対圧力範囲 p/po:0.05〜0.17)に従って測定する。CTAB比表面積は、1987年11月のフランス規格 NF T 45-007 (方法B)に従って測定した外表面積である。
最後に、当業者であれば、カーボンブラックも、カーボンブラックが非黒色層、とりわけ、その表面に官能性部位(とりわけ、ヒドロキシル部位)を含み、公知の方法で、充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間の結合を確立させるためのカップリング剤の使用を必要とするシリカのような無機層で被覆されてことを条件として、本章で説明した非黒色補強用充填剤と等価の充填剤として使用し得ることを理解されたい。
【0011】
II-3. カップリング剤
カップリング剤は、定義によれば、少なくとも二官能性であり、簡略化した一般式“Y-T-X”で示し得、式中、
Yは、非黒色充填剤、とりわけ無機充填剤に結合し得る官能基(“Y”官能基)を示し、そのような結合は、例えば、カップリング剤のシリコン原子と無機充填剤の表面ヒドロキシル(OH)基(例えば、シリカが関連する場合の表面シラノール類)間で確立され得;
Xは、ジエンエラストマーに、例えば、イオウ原子を介して結合し得る官能基(“X”官能基)を示し;
Tは、YとXを連結し得る2価の基である。
これらのカップリング剤は、とりわけ、上記充填剤に対して活性であるY官能基を公知の形で含み得るがジエンエラストマーに対して活性であるX官能基は含んでいない、非黒色充填剤、とりわけ無機充填剤用の単純な被覆剤と混同すべきではない。
種々の有効性を有するカップリング剤(シリカ/ジエンエラストマー)は、極めて多数の文献に記載されており、当業者にとって周知である。タイヤトレッド類の製造において使用し得るジエンゴム組成物においては、シリカのような補強用無機充填剤とジエンエラストマー間の有効な結合を与え得る任意のカップリング剤、とりわけ、上記XおよびY官能基を担持する多官能性ポリオルガノシロキサン類またはオルガノシラン類を使用することができる。
とりわけ、例えば、上述の出願WO 03/002648号およびWO 03/002649号に開示されているような、その特定の構造により、“対称形”または“非対称形”として知られるポリ硫化シラン類が使用される。
【0012】
下記の一般式(I)に相応する“対称形”のシランポリスルフィド類は、以下の定義に限定することなしに、本発明を実施するのにとりわけ適している:
(I) Z-A-Sn-A-Z
(式中、nは、2〜8 (好ましくは2〜5)の整数であり;
Aは、2価の炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、とりわけC1〜C10アルキレン基、とりわけC1〜C4アルキレン基、特にプロピレン)であり;
Zは、下記の式の1つを満たす:
【化1】

(基R1は、置換されていないかまたは置換されており、互いに同一かまたは異なるものであり、C1〜C18アルキル基、C5〜C18シクロアルキル基またはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル基、シクロヘキシル基またはフェニル基、とりわけC1〜C4アルキル基、とりわけメチルおよび/またはエチル)を示し;
基R2は、置換されていないかまたは置換されており、互いに同一かまたは異なるものであり、ヒドロキシル、C1〜C18アルコキシルまたはC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくは、ヒドロキシル、C1〜C8アルコキシルまたはC5〜C8シクロアルコキシル基の中から選ばれた基、より好ましくは、ヒドロキシルおよびC1〜C4アルコキシル基、とりわけヒドロキシル、メトキシルおよびエトキシルから選ばれた基)を示す)。
上記式(I)に相応するシランポリスルフィド類の混合物、とりわけ商業的に入手し得る通常の混合物の場合、“n”指数の平均値は、好ましくは2〜5の間、より好ましくは4に近い分数である。しかしながら、本発明は、例えば、シランジスルフィド(n = 2)によっても有利に実施し得る。
【0013】
シランポリスルフィドの例としては、とりわけ、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド類のような、ビス((C1〜C4)アルコキシル-(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド類(とりわけ、ジスルフィド類、トリスルフィド類またはテトラスルフィド類)である。これらの化合物のうちでは、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2を有するTESPTと略称されるビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2を有するTESPDと略称されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがとりわけ使用される。
TESPDは、例えば、Degussa社から商品名Si75 (ジスルフィド(75質量%)とポリスルフィド類の混合物形)として、あるいはWitco社から商品名Silquest A1589として市販されている。TESPTは、例えば、Degussa社から商品名Si69として(または、カーボンブラック上に50質量%で支持されている場合のX50S)、あるいはOsi Specialties社から商品名Silquest A1289として市販されている(両者とも、4に近い平均値nを有するポリスルフィド類の市販混合物)。
また、有利なカップリング剤の例としては、上述の出願WO 02/083782号に開示されているような、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド類(とりわけ、ジスルフィド類、トリスルフィド類またはテトラスルフィド類)、とりわけ、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドまたはジスルフィドを挙げることができる。
上記のアルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤の例としては、とりわけ、出願WO 02/30939号およびWO 02/31041号に開示されているような、二官能性ポリオルガノシロキサン類またはヒドロキシシランポリスルフィド類(上記式Iにおいて、R2 = OH)を挙げることができる。
【0014】
本発明に従うトレッドにおいては、カップリング剤の含有量は、好ましくは2〜15phr、より好ましくは2〜12phr (例えば、4〜8phr)である。しかしながら、一般的には、可能な限り少ないカップリング剤を使用するのが望ましい。非黒色補強用充填剤の質量に対しては、カップリング剤の量は、典型的には、非黒色充填剤の量に対して0.5〜15質量%を示す。例えば、乗用車用のタイヤトレッドの場合は、カップリング剤は、充填剤のこの量に対して、12質量%未満の好ましい量、実際には10質量%未満の量でさえも使用する。
カップリング剤は、本発明の組成物のジエンエラストマーに予めグラクトさせ得(“X”官能基により)、そのようにして官能化即ち“予備カップリングさせた”エラストマーは、その場合、補強用無機充填剤に対しての遊離の“Y”官能基を含む。また、カップリング剤は、非黒色補強用充填剤、とりわけ無機補強用充填剤に予めグラフトさせ得(“Y”官能基により)、その後、そのようにして“予備カップリングさせた”充填剤を、遊離の“X”官能基を介してジエンエラストマーに結合させ得る。しかしながら、とりわけ生状態での組成物のより良好な加工のためには、充填剤にグラフトさせているかまたは遊離状態の(即ち、グラフトさせていない)カップリング剤を使用するのが好ましい。
【0015】
II-4. カーボンブラック
本発明のトレッドのゴム組成物は、カーボンブラックを含み得或いは含み得ない。カーボンブラックが存在する場合、カーボンブラックは、できる限り少ない、典型的には5phr未満、好ましくは3phr未満の量で存在し、この量は、カーボンブラックが、その既知のUV安定化特性に基づき、光酸化促進剤の作用に対して拮抗剤、即ち、望ましくない役割を果たし得るのを阻止ための場合である。この理由により、カーボンブラックの量は、より好ましくは2phrである。
本発明の特定の実施態様によれば、カーボンブラックは、0.05〜2.0phr、とりわけ0.05〜1.5phrの極めて低量で使用し、この狭い濃度範囲においては、カーボンブラックは、組成物に対するその黒色着色剤の役割は保持するものの、UV安定剤の役割はもはや満たさない。
ゴム組成物に対する黒色着色に寄与し得る全てのカーボンブラック、とりわけ、当業者にとって既知でありタイヤにおいて通常使用されるHAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック類が、カーボンブラックとして適している。これらのカーボンブラックのうちでは、これらのタイヤ用のトレッドにおいて使用される100、200または300シリーズ(ASTM級)の補強用カーボンブラック(例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375)、さらにまた、より高級の400〜700シリーズの非補強タイプ(あまり構造化されていないような) (例えば、N660、N683またはN772ブラック類)を挙げることができる。また、例えば、印刷インクまたは塗料類における黒色顔料として使用される“インクブラック”と称する非補強用ブラック類も使用し得る。
カーボンブラックは、商業的に入手し得るような単離状態で、或いは任意の他の形、例えば、使用するある種のゴム工業添加剤用の支持体として使用し得る。
【0016】
II-5. 光酸化促進剤
本発明の核心は、本発明のトレッドの少なくとも表面または最外表面を構成するゴム組成物中での光酸化促進剤の使用にある。この剤は、トレッドをUV〜可視放射線へ暴露させたときのトレッドの表面光酸化過程を促進させ、加速させることを意図する。
公知のとおり、光酸化促進剤は、適切な波長の光に露光させたときに、光酸化過程を促進且つ加速させるラジカルまたはイオン存在物を放出し得る安定な化合物である。
これらの光酸化促進剤は、好ましくは、ラジカルまたはカチオンタイプの光開始剤からなる。そのような化合物は、多官能性モノマー類の光重合、保護コーティーングによる材料の表面処理、印刷技術および微小回路の製造におけるエレクトロニックスの分野において一般的に使用されている。これらの用途の全てにおいて、主目的は、薬品に対する高耐性および必要な機械的性質を示す高架橋ポリマーを迅速に得ることである(例えば、J.V.Crivello and K. Dietliker, “Photoinitiators for free radical, cationic and anionic photopolymerisation”, Vol. III, Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings, Inks and Paint, John Wiley and Sons, SITA Technology Limited, 2nd edition, London 1998;E. Chesneau and J.P. Fouassier, “Polymerisation induite sous irradiation laser visible”, [Polymerization induced under laser-visible irradiation], Die Angewandte Makromolekulare Chemie, 135, 1985, p. 41-64を参照されたい)。
カチオン光開始剤としては、例えば、オニウム塩類、より具体的には、トリアリールスルホニウム塩のようなスルホニウム塩、またはジアリールイオドニウム塩のようなイオドニウム塩を挙げることができる。
好ましくはラジカルタイプの、より好ましくは芳香族ケトン類から選ばれた光開始剤、とりわけ、ベンジルケタル類(とりわけ、ジケタル類)、ベンゾイン類(とりわけ、ベンゾインエーテル類)、α,α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノ芳香族ケトン類(または、α-アミノアルキルフェノン類)、アシルホスフィンオキサイド類、水素供与体(例えば、第三級アミン)と組合せたベンゾフェノンまたはチオキサントン類、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる光開始剤を使用する。
【0017】
そのような好ましいラジカル光開始剤の例としては、とりわけ、下記を挙げることができる。
‐ベンジルケタル類およびベンゾインエーテル類:ジフェニルエタノン類およびそれらのハロゲン化誘導体(例えば、2-エトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2-イソプロポキシ1,2-ジフェニルエタノン、2-イソブトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2-ブトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノンまたは2,2-ジエトキシ-1,2-ジフェニルエタノン);
‐α,α-ジアルコキシアセトフェノン類:α,α-ジエトキシアセトフェノンおよびα,α-ジ(n-ブトキシ)アセトフェノン;
‐α-ヒドロキシアルキルフェノン類:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン;
‐α-アミノ芳香族ケトン類:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン;
‐アシルホスフィンオキサイド類:(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン酸エチルエステル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド;
‐ベンゾフェノン類:2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、[4-(4-メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、メチル 2-ベンゾイルベンゾエート、4-フェニルベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ) ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ) ベンゾフェノン、ベンジルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン;
‐チオキサントン類:2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエトキシチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン;
‐ベンゾフェノンまたはチオキサントン類と組合せて使用し得る第三級アミン類:メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、n-ブトキシエチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、イソアクリル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、1-(4-ジメチルアミノフェニル)エタノン、2-エチルヘキシル4-ジメチルアミノベンゾエート。
上記の各化合物は、周知であり、商業的に入手可能であり、幾つかは、例えば、品名“IRGACURE”または“DAROCUR”として、Ciba社(Ciba Specialty Chemicals Inc.)によって市販されている。
【0018】
例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドであるCiba社からの“IRGACURE 819”は、下記の式に相応する:
【化2】

他の例としては、下記の式に相応する2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノンであるCiba社からの“IRGACURE 651”を挙げることができる:
【化3】

上記の光開始剤は、これら光開始剤をUV線に暴露させる場合には単独で、或いは、可視光線に暴露させる場合には、光開始剤独自の光酸化作用を活性化させ得る光増感剤と組合せて使用し得る。
そのような光増感剤は、例えば、フタレイン類(エオシン、エリスロシン、エチルエオシン、フロキシン、ベンガルローズ)およびチアジン類(チオニンおよびメチレンブルー)のような染料類であり得る。光開始剤は、光増感剤なしで使用する場合、トレッドの光酸化に寄与するそれら光開始剤UV吸収スペクトルと光源(自然または人工)の発光スペクトルがオーバーラップ領域を明確に有するように選択する。
当業者であれば、光酸化促進剤の量を如何にして調整するかは、以下の説明および実施例に照らして知り得るであろう。この量は、好ましくは0.1〜10phr、より好ましくは0.2〜5phrである。上記の下限よりも低いと、目標の技術的効果が不適切であるリスクが存在し、一方、上記推奨の上限よりも多いと、コストが実質的に増大する。0.2〜2phrの低減量が大多数の例において適切であることが判明している。
【0019】
II-6. 各種添加剤
本発明に従うトレッドのゴム組成物は、例えば、可塑剤および増量オイル(後者は実際には芳香族または非芳香族である);顔料;耐オゾンワックス、化学耐オゾン剤、酸化防止剤のような保護剤(好ましくは、本体内で存在するよう保持する);疲労防止剤;補強用または可塑化用樹脂;例えば、上述の出願WO 02/10269号に記載されているような、メチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M);イオウまたはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドのいずれかをベースとする架橋系;加硫促進剤および加硫活性化剤のような、トレッドの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用される通常の添加剤の全てまたは一部も含む。
好ましくは、これらの組成物は、好ましい非芳香族系または極めて僅かに芳香族系の可塑剤として、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、MESオイル、TDAEオイル、グリセリンエステル(とりわけ、トリオレート類)、好ましくは30℃よりも高い高Tgを有する可塑化用炭化水素樹脂、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。そのような好ましい可塑剤の全体的な量は、好ましくは15〜45phr、より好ましくは20〜40phrである。これらの可塑化用炭化水素樹脂(用語“樹脂”は、固体化合物に対する定義によって留保されることを思い出されたい)のうちでは、とりわけ、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテンのホモポリマーまたはコポリマー;ポリリモネン;C5留分、例えば、C5留分/スチレンコポリマーから形成された樹脂を挙げることができ、これらの成分は、単独でまたはMESもしくはTDAEオイルのような可塑化用オイルと組合せて使用し得る。
また、例えば、着色タイヤの側壁またはトレッドにおいて使用し得るクレー、ベントナイト、タルク、チョークまたはカオリン粒子のような不活性充填剤(即ち、補強用充填剤)も、目的の用途に応じて、適切な場合、上述の補強用充填剤、即ち、非黒色補強用充填剤(とりわけ、無機充填剤)+カーボンブラックに添加し得る。
また、これらの組成物は、上記カップリング剤以外に、カップリング活性化剤、非黒色補強用充填剤用の被覆剤(例えば、Y官能基のみを含む)、並びにゴムマトリックス中での非黒色充填剤の分散性の改善および組成物の粘度の低下により、公知の方法で、生状態における組成物の加工特性を改善することのできるより一般的な加工助剤も含有し得、これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシラン(とりわけ、アルキルトリエトキシシラン)のような加水分解性シラン類;ポリオール類;ポリエーテル類(例えば、ポリエチレングリコール類);第1級、第2級または第3級アミン類(例えば、トリアルカノールアミン類);ヒドロキシル化または加水分解性POS類、例えば、α,ω-ジヒドロキシポリオルガノシロキサン類(とりわけ、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン類)である。
【0020】
II-7. トレッドの製造
本発明のもう1つの主題は、その表面の光酸化後に濡れた道路上で改良されたグリップ性を示し得るタイヤトレッドの製造方法であり、該方法は、少なくとも、下記:
‐(少なくとも1種の)補強用充填剤としての非黒色充填剤、とりわけ無機充填剤;
‐ジエンエラストマーと上記充填剤間の結合をもたらす(少なくとも1種の)カップリング剤;
‐0〜5phr未満、好ましくは0〜3phr未満のカーボンブラック;
‐(少なくとも1種の)光酸化促進剤;
‐(少なくとも1種の)架橋系;
を、ジエンエラストマー中に、混練により混入し、且つ混合した混合物をトレッドの形に押出加工することを特徴とする。
ゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の一般的な方法に従う2つの連続する製造段階:130℃〜200℃、好ましくは145℃〜185℃の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階とも称する)、並びに、その後の典型的には120℃よりも低い、例えば、60℃〜100℃の低めの温度で機械加工する第2段階(“生産”段階とも称する)を使用して製造し、この仕上げ工程において架橋または加硫系を混入する。
本発明の好ましい実施態様によれば、架橋または加硫系を除いた本発明に従うトレッドの組成物の全てのベース成分、即ち、非黒色補強用充填剤、カップリング剤、任意成分としてのカーボンブラックおよび光酸化促進剤を、上記第1の“非生産”段階において、ジエンエラストマー中に混練により緊密に混入する;即ち、少なくともこれらの各種ベース成分をミキサー内に導入し、混練を、1以上の工程において、130℃〜200℃、好ましくは145℃〜185℃の最高温度に達するまで熱機械的に実施する。この非生産段階における総混練時間は、好ましくは、1〜15分である。
第1の非生産段階においてそのようにして得られた混合物を冷却した後、加硫系を、一般的には開放ミルのような開放ミキサー内で、低温で混入し、次いで、混ぜ合せた混合物を数分間、例えば、2〜15分間低温で混合する(生産段階)。
【0021】
適切な架橋系は、好ましくは、イオウおよび促進剤をベースとする加硫系である。イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、とりわけ、2-メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(“MBTS”と略記する)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”と略記する)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”と略記する)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”と略記する)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”と略記する)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる化合物を使用し得る。好ましくは、スルフェンアミドタイプの一次促進剤を使用する。
さらに、この加硫系には、種々の公知の二次促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(とりわけ、ジフェニルグアニジン)等を添加することができ、これらは、上記第1非生産段階中および/または上記生産段階中に混入する。イオウの量は、好ましくは、0.5〜3.0phrであり、また、一次促進剤の量は、好ましくは、0.5〜5.0phrである。
その後、そのようにして得られた最終組成物を、例えば、とりわけ実験室での特性決定のためのフィルムまたはシートの形にカレンダー加工するか、或いは、例えば、乗用車用のタイヤトレッドとして直接使用し得るゴム形状要素の形に押出加工する。
加硫(即ち硬化)は、公知の方法で、一般的には130℃〜200℃の温度で、とりわけ硬化温度、使用する加硫系および当該組成物の加硫速度に応じて、例えば5〜90分で変動し得る十分な時間で実施する。
【0022】
要するに、その表面の光酸化後に、濡れた道路上で改良されたグリップ性を示し得るタイヤトレッドの本発明に従う製造方法は、下記の工程を含む:
‐ミキサー内で、ジエンエラストマー中に、
・非黒色補強用充填剤、とりわけ無機充填剤、
・カップリング剤、
・任意成分としてのゼロ量または5phr未満の量のカーボンブラック、
・光酸化促進剤、
を混入し、混合物を、1回以上、130℃〜200℃の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
‐混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
‐その後、架橋系を混入する工程;
‐混合物全体を、120℃未満の最高温度に達するまで混練する工程;
‐そのようにして得られたゴム組成物をタイヤトレッドの形に押出またはカレンダー加工する工程。
上記で説明しさらに下記の実施例により例示するように、トレッド表面の最終光酸化段階は、後で、降雨または濡れた地面上での改良されたグリップ性を付与する。
この追加の段階は、UV〜可視放射線への単純自然暴露、或いは、好ましくは、例えば、UV〜可視領域内で発光する1以上のランプ(例えば、水銀蒸気灯、キセノン灯、蛍光灯、ハロゲン化金属灯)を使用するまたは1以上の上記ランプを含み得る加速化光エージング室内での加速化人工エージングからなり得る。
【0023】
本発明に従う方法においては、下記の特徴の好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは全てが満たされる:
‐非黒色補強用充填剤、とりわけ無機充填剤の量は、20〜200phr、より好ましくは30〜150phrである;
‐カップリング剤の量は、2〜15phrである;
‐熱機械的混練の最高温度は、145℃〜185℃である;
‐非黒色充填剤は、無機充填剤、とりわけシリカ質またはアルミナ質充填剤である;
‐任意成分としてのカーボンブラックの量は、3phr未満、より好ましくは2phr未満である;
‐光酸化促進剤の量は、0.1〜10phrである;
‐少なくとも二官能性のカップリング剤は、オルガノシランまたはポリオルガノシロキサンである;
‐ジエンエラストマーは、好ましくはポリブタジエンとのブレンドとして使用するブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)である。
さらに好ましくは、この方法においては、下記の特徴の少なくとも1つ、より好ましくは全てが満たされる:
‐非黒色充填剤、とりわけ無機充填剤の量は、50phrよりも多く、とりわけ60〜140phr、例えば、70〜130phrである;
‐カップリング剤の量は、4〜12phr、とりわけ3〜8phrである;
補強用無機充填剤は、シリカである;
‐カーボンブラックの量は、0.05〜2phr、とりわけ0.05〜1.5phrである;
‐光酸化促進剤の量は、0.2〜5phr、とりわけ0.2〜2phrである;
‐カップリング剤は、ビス((C1〜C4)アルコキシルシリルプロピル)またはビス(ヒドロキシシリルプロピル)ポリスルフィド、とりわけジスルフィドまたはテトラスルフィドである;
‐SBRは溶液中で製造したSBRであり、ポリブタジエンは90%よりも多いシス-1,4-結合を有する。
【0024】
上記のゴム組成物は、本発明に従うトレッドの全てまたは一部のみを構成し得る。
本発明は、とりわけ、光酸化促進剤および任意成分としてのゼロまたは極めて低量のカーボンブラックを含むこれらのゴム組成物が、本発明のトレッドのほんの一部、とりわけ、タイヤの走行中に地面に接触することを意図し、タイヤの寿命のある時点において、即ち、上記タイヤが中古状態または部分的に磨耗状態にあるトレッドの表面部分のみを形成する場合に該当する。
即ち、例えば、共にタイヤの走行中に道路に接触することを意図する2枚の放射状に重ね合せたゴム層(“キャップ・ベース(cap-base)構造)からなる複合タイヤのトレッドにおいては、上記光酸化促進剤および極めて低量の任意成分としてのカーボンブラックを含む部分は、新品タイヤの走行開始から地面と接触するトレッドの放射状外部層を構成し得、一方、その放射状内部層は、例えば、本発明によって付与される技術的効果を“延長”させることを望む場合に、後で地面と接触するように意図され、それによってトレッドの部分的磨耗(彫りの凹凸深さの低下)に由来する濡れた地面上でのグリップ性の損減を償う。
本発明は、光酸化処理前後の、生状態(即ち、硬化前)および硬化状態(即ち、架橋または加硫後)双方の上述のトレッドおよびこれらのトレッドを含むタイヤに関する。
【0025】
III. 実施例
III-1. ゴム組成物およびトレッドの製造
以下の手順を下記の試験において使用する:加硫系を除いて、補強用無機充填剤(シリカ)、カーボンブラック、カップリング剤、任意成分としての光酸化促進剤、ジエンエラストマーまたはジエンエラストマーのブレンド、および各種他の添加剤を、70%まで満たし且つ約60℃の初期タンク温度を有する密閉ミキサーに連続的に導入する。その後、熱機械加工(非生産段階)を1工程で実施し、この工程は、165℃の最高“落下”温度に達するまで約3〜4分間続く。そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、その後、イオウおよびスルフェンアミド促進剤を30℃の開放ミキサー(ホモ・フィニッシャー)上で混入し、混ぜ合せた混合物を場合に応じての5〜12分間の適切な時間混合する(生産段階)。
その後、そのようにして得られた組成物を、その物理的または機械的性質の測定のためのゴムシート(2〜3mm厚)または薄フィルムの形にカレンダー加工するか、或いは乗用車タイヤトレッドの形に押出加工する。
とりわけ好ましい実施態様に従う、以下の本発明に従う実施例においては、光酸化促進剤の量は、0.2〜2phr、より具体的には0.5〜1.5phrである;これとは別に、カーボンブラックの量は、好ましくは0.1〜1.0phr、より具体的には0.1〜0.5phrである。
【0026】
III-2. 試験
以下の試験は、極めて低量のカーボンブラックと組合せた、本発明のトレッドのゴム組成物中への光酸化促進剤の導入により、ブレーキ操作距離の有意の低下によって反映される当該トレッドの濡れた道路上でのグリップ性の実質的増大を得ることが可能になることを実証する。
A) 試験1
この第1の試験においては、既知のSBRおよびBRジエンエラストマーをベースとし、シリカで補強した3種の組成物を、先ず第1に比較する。
乗用車用タイヤのトレッドを形成させることを意図するこれら3種の組成物は、ここでは、C-1、C-2およびC-3と記し、これら組成物が含む光酸化促進剤およびカーボンブラックの量において異なる:
‐C-1 (対照):光酸化促進剤なし;6phrのカーボンブラック;
‐C-2 (本発明):1phrの光酸化促進剤;0.3phrのカーボンブラック;
‐C-3 (対照):光酸化促進剤なし;0.3phrのカーボンブラック。
組成物C-1は、エネルギー節減性グリーンタイヤにおいて使用する参照組成物を構成する;この組成物は、補強用無機充填剤としてのHDSシリカおよびカップリング剤としてのシランTESPTを通常使用する。
この組成物C-1においては、カーボンブラックは、当該技術の状況からの教示に従い、黒色着色剤およびUV安定化剤の双方として、上記の6phr量で使用する。組成物C-2およびC-3においては、使用した極めて低量のカーボンブラックは、その黒色着色剤の機能はまだ明らかに満たすが、もはや有効なUV安定化剤の機能は満たさない。
組成物C-2は、光酸化促進剤の存在(極めて低量のカーボンブラックと組合せた)により、濡れた道路上でのグリップ性に対して好ましいと帰納的にみなされる高光酸化性(これは、最低限、下記の試験2によって実証されているような事項である)を有する。組成物C-3は、明らかに極めて低量のカーボンブラックは含むが光酸化促進剤を含まないもう1つの試験対照を構成する。
下記の表1および2は、各組成物の配合(表1:phrで示す各種成分の量)、硬化(165℃で20分間)前後の各組成物の諸特性を示している。
表2からの各種結果の検証からは、生状態における各組成物の加工性(ムーニー可塑度)または機械的特性(モジュラス、補強レベルの既知の指標であるモジュラスM300/M100比、破壊特性)のいずれの点からも、3種の組成物間の配合の最低の差異の点で予測されるものとして説明し得る形では、3種の組成物の性質間に何らの有意差も示されていない。
事実、タイヤにおいて実施した実際の走行試験においてのみ、本発明によってもたらされた予想外の結果は、下記の試験によって明白に確証されているように、明らかになっている。
【0027】
B) 試験2
上記の組成物C-1、C-2およびC-3を、引続き、通常に製造し且つトレッドの構成ゴム組成物を別にして全ての点で同一である195/65R15のサイズ(速度率H)を有するラジアルカーカス乗用車タイヤトレッドとして使用する。
これらのタイヤを、それぞれ、P-1、P-2およびP-3と記す。これらタイヤの半分をUVエージング(紫外線および可視放射線に自然暴露)に6時間供した。このUV処理においては、各タイヤを、静置位置で、南方位に従い戸外で暴露し(15℃の平均日中温度を有する日光を浴びる地中海地方)、これらのタイヤは、その軸の周りを2時間毎に1/3回転で回転させ、トレッドを完全に暴露させるようにした。
その後、全てのタイヤを乗用車に装着して、前記の項I-3において説明したようにして濡れた道路上でのブレーキ操作試験に供した。特定の試験条件は、以下のとおりである:ルノー(Renault)モデルLaguna車(前輪および後輪圧:2.0バール);試験タイヤは車両前輪に装着。ブレーキ操作試験の結果は、相対単位で表3に示している;基本点100は、UVエージング前の対照タイヤP-1において選定している(再説明:100よりも高い値が改良された性能を示す)。
本発明のP-2タイヤのみ、さらに、UV線への暴露後のみのこのタイヤがブレーキ操作距離の約6%の低下を示すことが判明し、このことは、当業者とって全く有意である。一方、6時間のUVエージングは、対照タイヤP-1の性能またはトレッドが明らかに極めて低量のカーボンブラックは含むが光酸化促進剤を含んでいないP-2の性能に対しては何らの効果も有していない。
“光酸化させた”タイヤP-2を装着した同じLaguna車において実施した一連の6回連続のブレーキ操作は、観測された技術的効果の持続性を連続のブレーキ操作毎に平均6%の増大でもって実証していた(表4の結果参照)。
上記試験1のゴム特性からは如何なる形でも予測し得なかったこの挙動は、予想外の特筆すべきことである。この改良されたグリップ性は、トレッドの酸化表面状態に関連し得、この酸化表面状態は、極めて表層的で且つ局在化しており、濡れた地面に対するタイヤの良好なグリップ性にとって有利であり、表面状態は光酸化促進剤の存在によってもたらされている。
さらにまた、この結果は、高分散性シリカのような補強用無機充填剤をベースとするゴム組成物において現在予期し得る高レベルの転がり抵抗性および耐摩耗性の性能を維持しながら得られている。



【0028】
表1

(1) 10質量%(7phr)のMESオイルで増量したSBR (乾燥SBRとして示す) (即ち、合計で、77phrの増量SBR);25%のスチレン、58%の1,2-ポリブタジエン単位および23%のトランス-1,4-ポリブタジエン単位 (Tg = -24℃);
(2) 4.3%の1,2-、2.7%のトランス、93%のシス-1,4-を含むBR (Tg = -106℃);
(3) Rhodia社からのシリカ“Zeosil 1165MP”、“HDS”タイプ (BETおよびCTAB:約160 m2/g);
(4) カップリング剤TESPT (Rhodia社からの“Si69”);
(5) ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド (Ciba社からの“Irgacure 819”);
(6) MESオイル (“Flexon 683”、Exxon Mobil社);
(7) 高Tgを有する可塑化用炭化水素樹脂 (ポリ-α-ピネン“R2495”、Hercules社);
(8) N-(1,3-ジメチルブチル)-N-フェニル-パラフェニレンジアミン (Flexsys社からの“Santoflex 6-PPD”);
(9) ジフェニルグアニジン (Flexsys社からの“Perkacit DPG”);
(10) カーボンブラック N234;
(11) N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド (Flexsys社からの“Santocure CBS”)。
【0029】
表2


表3

濡れた道路上でのブレーキ操作性能(1回目ブレーキ操作) (相対単位)

表4

濡れた道路上での連続ブレーキ操作 (相対単位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともジエンエラストマー、非黒色補強用充填剤、該ジエンエラストマーと該充填剤間の結合をもたらすカップリング剤、および任意成分としてのカーボンブラックをベースとするゴム組成物を含むタイヤトレッドであって、前記組成物が光酸化促進剤をさらに含み、そして、そのカーボンブラック量がゼロまたは5phr (エラストマー100質量部当りの質量部)未満であることを特徴とするタイヤトレッド。
【請求項2】
前記光酸化促進剤が、ラジカルまたはカチオンタイプの光開始剤からなる群から選ばれる、請求項1記載のトレッド。
【請求項3】
前記光酸化促進剤が、カチオン光開始剤である、請求項2記載のトレッド。
【請求項4】
前記光酸化促進剤が、オニウム塩である、請求項3記載のトレッド。
【請求項5】
前記光酸化促進剤が、ラジカル光開始剤である、請求項2記載のトレッド。
【請求項6】
前記ラジカル光開始剤が、芳香族ケトンである、請求項5記載のトレッド。
【請求項7】
前記芳香族ケトンが、ベンジルケタル類、ベンゾイン類、α,α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類、水素供与体と組合せたベンゾフェノンまたはチオキサントン類、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項6記載のトレッド。
【請求項8】
前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン類、合成ポリイソプレン類、天然ゴム、ブタジエンコポリマー類、イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項9】
前記非黒色補強用充填剤が、無機充填剤である、請求項1〜8のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項10】
前記無機補強用充填剤が、ケイ質またはアルミナ質充填剤である、請求項9記載のトレッド。
【請求項11】
非黒色補強用充填剤の量が、20〜200phrである、請求項1〜10のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項12】
非黒色補強用充填剤の量が、30〜150phrである、請求項11記載のトレッド。
【請求項13】
前記カップリング剤が、少なくとも二官能性のシランまたはポリシロキサンである、請求項1〜12のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項14】
カップリング剤の量が、2〜15phrである、請求項1〜13のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項15】
カーボンブラックの量が、3phr未満である、請求項1〜14のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項16】
カーボンブラックの量が、2phr未満である、請求項15記載のトレッド。
【請求項17】
光酸化促進剤の量が、0.1〜10phrである、請求項1〜16のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項18】
光酸化促進剤の量が、0.2〜5phrである、請求項17記載のトレッド。
【請求項19】
光酸化促進剤の量が、0.2〜2phrである、請求項18記載のトレッド。
【請求項20】
前記ゴム組成物が、光増感剤をさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項21】
前記光増感剤が、フタレイン類およびチアジン類から選ばれる、請求項20記載のトレッド。
【請求項22】
前記ジエンエラストマーが、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)である、請求項8〜21のいずれか1項記載のトレッド。
【請求項23】
前記SBRを、ポリブタジエンとのブレンドとして使用する、請求項22記載のトレッド。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項記載のトレッドの、タイヤの製造または再トレッド形成における使用。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか1項記載のトレッドを含むタイヤ。
【請求項26】
少なくとも1種のジエンエラストマー中に、少なくとも補強用充填剤としての非黒色充填剤、前記ジエンエラストマーと前記充填剤間の結合をもたらすカップリング剤、任意成分としての5phr未満の量のカーボンブラック、光酸化促進剤および架橋系を混練により混入し、且つ混合した混合物をトレッドの形に押出加工することを特徴とする、その表面の光酸化後に濡れた道路上で改良されたグリップ性を示すタイヤトレッドの製造方法。
【請求項27】
下記の工程を含む、請求項26記載の方法:
‐ミキサー内で、ジエンエラストマー中に、
・前記非黒色補強用充填剤、
・前記カップリング剤、
・前記任意成分としての5phr未満の量のカーボンブラック、
・前記光酸化促進剤、
を混入し、混合物を、1以上の段階で、130℃〜200℃の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
‐前記混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
‐その後、前記架橋系を混入する工程;
‐混合物全体を、120℃未満の最高温度に達するまで混練する工程;
‐そのようにして得られたゴム組成物をタイヤトレッドの形に押出またはカレンダー加工する工程。
【請求項28】
前記光酸化促進剤が、ラジカルまたはカチオンタイプの光開始剤からなる群から選ばれる、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
前記光酸化促進剤が、ラジカル光開始剤である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ラジカル光開始剤が、芳香族ケトンである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記芳香族ケトンが、ベンジルケタル類、ベンゾイン類、α,α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類、水素供与体と組合せたベンゾフェノンまたはチオキサントン類、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン類、合成ポリイソプレン類、天然ゴム、ブタジエンコポリマー類、イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる、請求項26〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記非黒色補強用充填剤が無機充填剤である、請求項26〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
カーボンブラックの量が、3phr未満である、請求項26〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
カーボンブラックの量が、2phr未満である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
光酸化促進剤の量が、0.1〜10phrである、請求項26〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
光酸化促進剤の量が、0.2〜5phrである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
光酸化促進剤の量が、0.2〜2phrである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記方法を、トレッド表面の光酸化の段階によって補完させる、請求項26〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記光酸化段階が、促進されたエージングからなる、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記促進されたエージングを、UV〜可視領域で発光する1以上のランプを使用して実施する、請求項40記載の方法。

【公表番号】特表2008−527157(P2008−527157A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551593(P2007−551593)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000306
【国際公開番号】WO2006/077059
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(599105403)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (228)
【Fターム(参考)】