タイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置
【課題】複雑な表面形状を有する空気入りタイヤのタイヤモデルを効率的に、かつ精度良く作成する。
【解決手段】細溝10の壁面10aに配置された突起20を有する空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成する際、細溝10の壁面10aを含む基本ブロックモデル130を作成するステップ(S11〜S17)と、基本ブロックモデル130に設定された第1要素のサイズと突起の設計値に基づくサイズとを比較するステップ(S182)と、突起の設計値に基づくサイズの最小値が第1要素のサイズよりも小さいとき、突起を第1要素に不連続な別の第2要素に分割した突起モデルを作成するステップ(S184)と、基本ブロックモデル130と突起モデルとを結合させる処理を実行するステップとを実行することにより、細溝10の壁面10aに突起20を有する空気入りタイヤのモデルを作成する。
【解決手段】細溝10の壁面10aに配置された突起20を有する空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成する際、細溝10の壁面10aを含む基本ブロックモデル130を作成するステップ(S11〜S17)と、基本ブロックモデル130に設定された第1要素のサイズと突起の設計値に基づくサイズとを比較するステップ(S182)と、突起の設計値に基づくサイズの最小値が第1要素のサイズよりも小さいとき、突起を第1要素に不連続な別の第2要素に分割した突起モデルを作成するステップ(S184)と、基本ブロックモデル130と突起モデルとを結合させる処理を実行するステップとを実行することにより、細溝10の壁面10aに突起20を有する空気入りタイヤのモデルを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気入りタイヤの開発において、有限要素法などの数値解析手法や計算機環境の発達により、実際に空気入りタイヤを製造し、自動車に装着して走行試験を行わなくても、新たに設計した空気入りタイヤの走行性能や特性といったタイヤ性能の予測・評価が可能になってきた(例えば、特許文献1参照)。タイヤ性能予測方法を用いて、空気入りタイヤの設計・製造・評価といった開発サイクルの一部を数値解析で置き換えることで、空気入りタイヤの開発期間の短縮が実現されている。
【0003】
また、空気入りタイヤの高性能化に伴って、複雑な構造を正確に表している構造モデルを作成し、構造モデルを使って、より精度の高い解析を行いたいという要求が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3133738号公報 第2図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有限要素法では、要素のサイズを細かく定義すれば、複雑な構造のモデルを正確に作成することは可能であるが、要素数が増える。例えば、空気入りタイヤの場合、トレッドパターンの溝の構造を正確に表すモデルを作成することのできる要素サイズを設定すると、トレッド部よりも単純な骨格構造を分割する要素の数までもが増大するため、演算量が極端に増大する。そのため、タイヤモデルの作成に、実際の使用に堪えない演算時間を要し、タイヤ開発サイクルの一部を数値解析に置き換えることの利点が薄れるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複雑な表面形状を有する空気入りタイヤの精度の高いタイヤモデルを効率的に作成できるタイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は以下の特徴を備える。すなわち、本発明の第1の特徴は、主構造体と、前記主構造体上に配置された副構造体とを有する空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成方法であって、前記主構造体を前記第1要素に分割した主構造体モデルを作成するステップと、前記主構造体モデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体の設計値に基づくサイズとを比較するステップと、前記比較するステップにおいて、前記副構造体の設計値に基づくサイズの最小値が前記第1要素のサイズよりも小さいとき、前記副構造体を前記第1要素に不連続な別の第2要素に分割した副構造体モデルを作成するステップと、前記第1要素と、前記第1要素に不連続な前記第2要素とを結合させる処理を実行するステップとを有することを要旨とする。
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、副構造体の最小値が主構造体モデルに設定された第1要素のサイズよりも小さいとき、副構造体を、第1要素に不連続であり第1要素よりも小さい第2要素に分割した副構造体モデルが作成される。すなわち、主構造体と副構造体とがそれぞれ独立した要素で分割され、それぞれ不連続な第1要素と第2要素とを結合させる処理が実行される。
【0009】
これにより、副構造体モデルよりも大きな主構造体モデルが副構造体モデルに設定された要素で分割されることによる要素数の増大を抑えることができ、演算量の増大を抑えることができる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記空気入りタイヤの前記主構造体の表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデルを設定するステップと、前記表面モデルに対向する位置に基準となる基準平面を設定するステップと、前記基準平面に前記第1要素のサイズのポリゴンメッシュを設定するステップと、前記基準平面に設定されたポリゴンメッシュを前記表面モデルに投影するステップと、前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルの複製体を作成するステップと、前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置するステップと、前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体との間を前記第1要素で埋め合わせることにより基本ブロックモデルを作成するステップとを有し、前記比較するステップでは、前記基本ブロックモデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体のサイズとを比較することを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば、空気入りタイヤの前記主構造体の表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデル上に、前記第1要素のポリゴンメッシュを投影することによって表面モデルに第1要素を設定し、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルの複製体を作成し、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルと複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置し、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルと複製体との間をポリゴンメッシュの一辺と同じ長さの辺を含む要素で埋め合わせることにより、基本ブロックモデルを作成するため、例えば、四角形、三角形などの基本的な図形で表される要素を組み合わせて3次元モデルを作成する従来の方法に比べて、空気入りタイヤを要素に分割する処理が簡潔になる。また、要素の形状をポリゴンメッシュに設定したポリゴン(多角形)に統一できるため、演算の収束性がよくなる。従って、精度の高いタイヤモデルを効率的に作成することができる。
【0012】
本発明の第3の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記表面モデルは、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向の断面においても屈曲する細溝の壁面のモデルであり、複数の前記基本ブロックモデルから前記空気入りタイヤのトレッド面に形成された陸部ブロックの一つである単位ブロックモデルを作成するステップとを有し、前記単位ブロックモデルから前記タイヤモデルを作成することを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記主構造体に設定される前記第1要素及び前記第2要素は、四角形要素であることを要旨とする。
【0014】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の何れか一つの特徴に係り、前記基準平面に設定される前記ポリゴンメッシュは、正四角形であることを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第5の何れか一つの特徴に係るタイヤモデル作成方法を実行するタイヤモデル作成装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複雑な表面形状を有する空気入りタイヤのタイヤモデルを効率的に、かつ精度良く作成できるタイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を用いて作成されたタイヤモデルを使ってタイヤ性能を評価する処理を説明するフローチャートである。
【図2】図2は、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、ステップS18の処理を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、3次元サイプの壁面の形状の一部を表す表面モデル100を表す図である。
【図5】図5は、ポリゴンメッシュが設定された基準平面を表す図である。
【図6】図6は、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルを表す図である。
【図7】図7は、メッシュ表面モデルと複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置した状態を説明する図である。
【図8】図8は、メッシュ表面モデルと複製体との間を要素で埋め合わせて作成される基本ブロックモデルを表す図である。
【図9】図9は、細溝(サイプ)の壁面の表面に形成された突起を説明する概略図である。
【図10】図10は、第2要素f1,f2,…,fk,fnによって分割した突起モデル200を表す。
【図11】図11は、基本ブロックモデルと突起モデルとを結合する処理を説明する模式図である。
【図12】図12は、基本ブロックモデルからタイヤモデルを作成する処理を説明するフローチャートである。
【図13】図13は、基本ブロックモデルを用いて作成される単位ブロックモデルを表す図である。
【図14】図14は、単位ブロックモデルから形成されるトレッドパターンモデルの一例を表す図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するタイヤ性能予測装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るタイヤ性能予測方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)タイヤ性能評価方法、(2)タイヤモデル作成方法、(3)表面に形成される構造体のモデルの作成、(4)タイヤモデル作成装置、(5)作用・効果、(6)その他の実施形態について説明する。
【0019】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0020】
(1)タイヤ性能評価方法
図1は、空気入りタイヤの挙動を、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を用いて作成されたタイヤモデルを使って評価する処理を説明するフローチャートである。タイヤ性能を評価するためのタイヤモデルの解析方法の一例として、大域解析(Global・Analysis:以下、G解析という)と局所解析(Local・Analysis:以下、L解析という)とを組み合わせたGL解析(Global−Local・Analysis)について説明する。
【0021】
本出願人は、タイヤ性能予測方法に関連する技術(特許3133738号公報)を既に提案している。GL解析の詳細は、上記公報に開示されているため、以下では、概略について説明する。
【0022】
ステップS1では、タイヤ性能予測方法の評価対象の空気入りタイヤを設計する。具体的には、空気入りタイヤのタイヤのタイヤサイズ、形状、構造、材料、トレッドパターンなどを定める。
【0023】
ステップS2では、G解析が実行される。タイヤモデルを作成するための数値解析手法として、本実施形態では、有限要素法(FEM)を適用する。G解析では、ゴム、ベルト、プライ、鉄・有機繊維等でできた補強コード、補強コードをシート状に束ねた補強材などの空気入りタイヤの内部構造を有限要素法に従って作成したタイヤモデルと、路面を有限個の要素に分割した路面モデルとが設定される。例えば、路面状態により異なる摩擦係数μを設定することにより、乾燥(DRY)、濡れ(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面状態を再現できる。
【0024】
G解析では、トレッドパターンが無く、内部構造のみが設定されたタイヤモデル(スムースタイヤモデル)を路面モデル上において転動させたときの転動解析と変形計算とを実行し、転動解析と変形計算の結果から、基本的な溝と陸部の構造が設定されたトレッドパターンモデルの変形の軌跡を算出する。
【0025】
ステップS3では、ステップS2で算出されたトレッドパターンモデルの変形軌跡に基づいて、L解析を行う。L解析では、トレッドパターンモデルの少なくとも一部に詳細な構造が設定されたトレッドパターンモデルの物理量変化などを算出する。
【0026】
L解析では、トレッドパターンモデルを構成する陸部ブロックのひとつ(単位ブロックという)に細溝が形成された単位ブロックモデルが設定される。また、単位ブロックモデルが複数集合した部分ブロックモデルが設定される。
【0027】
部分ブロックモデルと路面モデルとの間の境界条件が、G解析において計算されたトレッドパターンモデルの変形軌跡に基づいて設定される。境界条件が設定された路面モデル上で部分ブロックモデルを転動させる転動計算と、変形計算の結果から、部分ブロックモデルに生じる物理量が算出される。
【0028】
算出された物理量に基づいて、部分ブロックモデルがトレッド部の全周に亘って形成された空気入りタイヤ全体に相当する完全タイヤモデルのタイヤ性能を予測することができる。
【0029】
ステップS4では、タイヤ挙動の評価を行う。目標とする性能が満足されないときは、ステップS4において否定され、ステップS5において、設計案を変更又は修正してL解析のみが繰り返される。性能が十分であるときは、ステップS4で肯定され、ステップS6において、ステップS1で設定した設計案のタイヤまたはステップS5で修正した設計案を採用し、本ルーチンを終了する。
【0030】
(2)タイヤモデル作成方法
本発明の実施形態に係るタイヤモデル作成方法は、ステップS3のL解析で解析する対象である、トレッドパターンモデルの少なくとも一部に詳細な構造が設定されたトレッドパターンモデルの作成に適用できる。
【0031】
以下、本発明の実施形態に係るタイヤモデル作成方法について、図面を参照して詳細に説明する。図2,図3は、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を説明するフローチャートである。図4〜図10は、タイヤモデル作成方法の各ステップにおいて設定されるモデルを説明する模式図である。
【0032】
ステップS11では、空気入りタイヤの表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデルが設定される。空気入りタイヤの表面の形状の少なくとも一部とは、トレッドパターンモデルの表面形状であり、本実施形態では、溝や細溝(サイプ)と路面との接地面の形状だけでなく、溝や細溝(サイプ)の壁面の形状も含む。特に、本実施形態では、表面モデルは、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向の断面においても屈曲する、いわゆる3次元サイプの壁面の形状である。図4は、3次元サイプの壁面の形状の一部を表す表面モデル100を表す図である。
【0033】
ステップS12では、3次元サイプの壁面の表面モデル100に対向する位置に、基準となる基準平面110が設定される。基準平面110は、表面モデル100の投影面であり、矩形状である。
【0034】
ステップS13では、基準平面110に格子状のポリゴンメッシュが設定される。図5は、ポリゴンメッシュが設定された基準平面110を表す図である。本実施形態では、基準平面110に設定されるポリゴンメッシュの格子は、正四角形であることが好ましい。
【0035】
ステップS14では、基準平面110に設定されたポリゴンメッシュを表面モデル100に投影する。図6は、ポリゴンメッシュが投影されたメッシュ表面モデル120を表す。
【0036】
ステップS15では、ポリゴンメッシュが投影されたメッシュ表面モデル120の複製体120Cを作成する。
【0037】
ステップS16では、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとを所定の間隔を空けて対向して配置する(図7参照)。
【0038】
ステップS17では、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素(有限要素法におけるソリッド要素)e1,e2,…,ek,enで埋め合わせる。図8は、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素e1,e2,…,ek,enで埋め合わせたモデルを表す。要素e1,e2,…,ek,enは、立方体、若しくは、立方体に近い直方体であることが好ましい。本実施形態において、要素e1,e2,…,ek,enは、第1要素を構成する。
【0039】
ステップS17では、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素で埋め合わされることにより、基本ブロックモデル130が作成される。本実施形態において、基本ブロックモデル130は、主構造体を構成する。
【0040】
(3)表面に形成される構造体のモデルの作成
本実施形態では、次のステップS18において、基本ブロックモデル130の表面、すなわち、細溝(サイプ)の壁面の表面に形成された突起を含んだモデルを作成する。ステップS18の処理は、換言すれば、節点を共有できない不連続な要素を結合させる処理である。
【0041】
図3は、ステップS18の処理を説明するフローチャートである。本実施形態において、突起は、副構造体を構成する。図9は、実際の空気入りタイヤの細溝(サイプ)10の壁面10aに配置された突起20を説明する模式図である。空気入りタイヤの細溝(サイプ)10の壁面の表面10aは、基本ブロックモデル130で表される。
【0042】
ステップS181では、ステップS17までの処理において作成された基本ブロックモデル130が入力される。
【0043】
ステップS182では、基本ブロックモデル130上に配置される突起の設計値に基づくサイズと、基本ブロックモデル130に設定された要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)のサイズとを比較する。
【0044】
ステップS183では、突起の設計に基づくサイズの最小値が要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)のサイズよりも小さいとき、ステップS184に進む。具体的には、突起の各部位における寸法の最小値が第1要素における寸法の最大値よりも小さいとき、ステップS184に進む。または、細溝10の壁面10a上のメッシュ表面モデル120の節点と、突起20の底面形状の外縁の節点とを一致させることが可能か否か、判定する。節点を一致できなければ、ステップS184に進む。
【0045】
突起の各部位における寸法の最小値とは、例えば、突起が直方体であれば、幅、高さ、奥行きの最小値をいう。円柱形であれば、直径、高さの最小値をいう。また、不規則な形状を有する構造体であれば、厚み、長さ、奥行きの最小値をいう。
【0046】
ステップS184では、突起を基本ブロックモデル130に不連続な別の要素(第2要素)によって分割した突起モデルを作成する。図10は、要素f1,f2,…,fk,fn(第2要素)によって分割した突起モデル200を表す。
【0047】
図11は、結合処理を説明する模式図である。ステップS185では、要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)で分割された基本ブロックモデル130と、要素f1,f2,…,fk,fn(第2要素)で分割された突起モデルとを結合させる処理を実行する。
【0048】
以上説明したステップS181〜S185が実行されることにより、基本ブロックモデル130の表面、すなわち、細溝(サイプ)の壁面の表面に形成された突起を含んだモデルが作成される。
【0049】
する。
【0050】
図2,図3の処理の後に、上記各ステップにおいて作成された表面形状を有する基本構造のモデルである基本ブロックモデル130からタイヤモデルを作成する。
【0051】
図12は、基本ブロックモデル130からタイヤモデルを作成する処理を具体的に説明するフローチャートである。図13は、基本ブロックモデル130を用いて作成される単位ブロックモデル140を表す図である。単位ブロックモデル140は、トレッドパターンを構成する陸部ブロックのひとつに該当し、単位ブロックモデル140には、細溝141,142,143,144,145,146,147が形成されている。基本ブロックモデル130の表面は、細溝141,142,143,144,145,146,147の壁面に相当する。図14は、単位ブロックモデル140から形成されるトレッドパターンモデルの一例を説明する図である。
【0052】
ステップS21では、基本ブロックモデル130から単位ブロックモデル140が作成される。具体的には、例えば、図2,3に示したフローチャートに基づいて作成された、各細溝の壁面を有する基本ブロックモデル130が組み合わされることによって、単位ブロックモデル140が作成される。
【0053】
ステップS22では、単位ブロックモデル140からトレッドパターンモデルの少なくとも一部であるトレッドパターンモデル150が作成される。
【0054】
(4)タイヤ性能予測装置
図15には、本発明の実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するタイヤ性能予測装置としてのコンピュータ300の概略が示されている。図15に示すように、コンピュータ300は、半導体メモリー、ハードディスクなどの記憶部(不図示)、処理部(不図示)などを備えた本体部310と、入力部320と、表示部330とを備える。処理部は、図1を用いて説明したタイヤ性能予測方法、及び図2,3を用いて説明したタイヤモデル作成方法を実行する。
【0055】
コンピュータ300は、図示しないが着脱可能な記憶媒体と、この記憶媒体に対して書き込み・読み出しを可能にするドライバが備えられていてもよい。図1乃至図3を用いて説明したタイヤ性能予測方法、タイヤモデル作成方法を実行するプログラムを予め記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出されたプログラムを実行してもよい。コンピュータ300の記憶部にプログラムを格納(インストール)して実行してもよい。コンピュータ300は、図示しないが、例えば、ネットワークに接続可能であってもよい。ネットワークを介して、タイヤ性能予測方法、タイヤモデル作成方法を実行するプログラムを取得してもよい。
【0056】
(5)作用・効果
本実施形態に係るタイヤモデル作成方法によれば、突起の設計値に基づくサイズが基本ブロックモデル130に設定された要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)のサイズよりも小さいとき、突起を第1要素よりも小さい要素f1,f2,…,fk,fn(第2要素)によって分割した突起モデル200が作成される。すなわち、主構造体である基本ブロックモデル130と副構造体である突起とがそれぞれ独立した要素で分割され、それぞれ不連続な基本ブロックモデル130と突起モデルとを結合させる処理が実行される。また、要素のサイズにかかわらず、2つのモデルにおける節点を一致させることが困難な場合、具体的には、細溝10の壁面10a上のメッシュ表面モデル120の節点と、突起20の底面形状の外縁の節点とが一致できないとき、主構造体である基本ブロックモデル130と副構造体である突起とがそれぞれ独立した要素で分割され、それぞれ不連続な基本ブロックモデル130と突起モデルとを結合させる処理が実行される。
【0057】
これにより、突起モデルよりも大きな基本ブロックモデル130が突起モデルに設定された要素で分割されることによる要素数の増大を抑えることができ、演算量の増大を抑えることができる。
【0058】
また、本発明の実施形態に係るタイヤモデル作成方法によれば、細溝141,142,143,144,145,146,147の壁面を表した表面モデル100上に、ポリゴンメッシュを投影することによりメッシュ表面モデル120を作成し、メッシュ表面モデル120の複製体120Cを作成し、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとを所定の間隔を空けて対向して配置し、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素e1,e2,…,ek,enで埋め合わせることにより、基本ブロックモデル130を作成するため、例えば、四角形、三角形などの基本的な図形で表される要素を組み合わせて3次元モデルを作成する従来の方法に比べて、空気入りタイヤを要素に分割する処理が簡潔になる。
【0059】
また、要素の形状をポリゴンメッシュに設定したポリゴンを、本実施形態では、四角形要素に統一できるため、演算の収束性がよくなる。従って、精度の高いタイヤモデルを効率的に作成することができる。
【0060】
要素e1,e2,…,ek,enは、立方体、若しくは、立方体に近い直方体に近いほど、収束性が高くなる。
【0061】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0062】
実施形態に係るタイヤモデル作成方法では、細溝の形状のモデルを作成する場合について説明した。しかし、細溝に限らず、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向にも変化する形状のモデルの作成に適用可能である。例えば、サイドウォール部に形成される突起、タイヤ表面に形成されるその他の構造体などが挙げられる。
【0063】
実施形態では、本発明に係るタイヤモデル作成方法をGL解析におけるL解析で使用するモデルの作成に適用する場合について説明した。しかし、GL解析におけるタイヤモデルの作成に限定されない。
【0064】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例】
【0065】
表1に、実施形態のタイヤモデル作成方法によって表面形状のモデルを作成するのに要する計算期間と、四角形、三角形などの基本的な図形で表される要素を組み合わせて3次元モデルを作成する従来のタイヤモデル作成方法によって細溝の形状のモデルを作成するのに要する計算期間とを示す。
【表1】
【0066】
表1に示すように、実施形態のタイヤモデル作成方法では、従来の方法に比べて計算期間が短くなった。すなわち、実施形態のタイヤモデル作成方法によれば、空気入りタイヤを要素に分割する処理が簡潔になることが分かった。
【符号の説明】
【0067】
10…細溝、 10a…壁面、 10a…表面、 20…突起、 100…表面モデル、 110…基準平面、 120…メッシュ表面モデル、 120C…複製体、 130…基本ブロックモデル、 140…単位ブロックモデル、 141,142,143,144,145,146,147…細溝、 150…トレッドパターンモデル、 300…コンピュータ、 310…本体部、 320…入力部、 330…表示部
【技術分野】
【0001】
空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気入りタイヤの開発において、有限要素法などの数値解析手法や計算機環境の発達により、実際に空気入りタイヤを製造し、自動車に装着して走行試験を行わなくても、新たに設計した空気入りタイヤの走行性能や特性といったタイヤ性能の予測・評価が可能になってきた(例えば、特許文献1参照)。タイヤ性能予測方法を用いて、空気入りタイヤの設計・製造・評価といった開発サイクルの一部を数値解析で置き換えることで、空気入りタイヤの開発期間の短縮が実現されている。
【0003】
また、空気入りタイヤの高性能化に伴って、複雑な構造を正確に表している構造モデルを作成し、構造モデルを使って、より精度の高い解析を行いたいという要求が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3133738号公報 第2図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有限要素法では、要素のサイズを細かく定義すれば、複雑な構造のモデルを正確に作成することは可能であるが、要素数が増える。例えば、空気入りタイヤの場合、トレッドパターンの溝の構造を正確に表すモデルを作成することのできる要素サイズを設定すると、トレッド部よりも単純な骨格構造を分割する要素の数までもが増大するため、演算量が極端に増大する。そのため、タイヤモデルの作成に、実際の使用に堪えない演算時間を要し、タイヤ開発サイクルの一部を数値解析に置き換えることの利点が薄れるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複雑な表面形状を有する空気入りタイヤの精度の高いタイヤモデルを効率的に作成できるタイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は以下の特徴を備える。すなわち、本発明の第1の特徴は、主構造体と、前記主構造体上に配置された副構造体とを有する空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成方法であって、前記主構造体を前記第1要素に分割した主構造体モデルを作成するステップと、前記主構造体モデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体の設計値に基づくサイズとを比較するステップと、前記比較するステップにおいて、前記副構造体の設計値に基づくサイズの最小値が前記第1要素のサイズよりも小さいとき、前記副構造体を前記第1要素に不連続な別の第2要素に分割した副構造体モデルを作成するステップと、前記第1要素と、前記第1要素に不連続な前記第2要素とを結合させる処理を実行するステップとを有することを要旨とする。
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、副構造体の最小値が主構造体モデルに設定された第1要素のサイズよりも小さいとき、副構造体を、第1要素に不連続であり第1要素よりも小さい第2要素に分割した副構造体モデルが作成される。すなわち、主構造体と副構造体とがそれぞれ独立した要素で分割され、それぞれ不連続な第1要素と第2要素とを結合させる処理が実行される。
【0009】
これにより、副構造体モデルよりも大きな主構造体モデルが副構造体モデルに設定された要素で分割されることによる要素数の増大を抑えることができ、演算量の増大を抑えることができる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記空気入りタイヤの前記主構造体の表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデルを設定するステップと、前記表面モデルに対向する位置に基準となる基準平面を設定するステップと、前記基準平面に前記第1要素のサイズのポリゴンメッシュを設定するステップと、前記基準平面に設定されたポリゴンメッシュを前記表面モデルに投影するステップと、前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルの複製体を作成するステップと、前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置するステップと、前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体との間を前記第1要素で埋め合わせることにより基本ブロックモデルを作成するステップとを有し、前記比較するステップでは、前記基本ブロックモデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体のサイズとを比較することを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば、空気入りタイヤの前記主構造体の表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデル上に、前記第1要素のポリゴンメッシュを投影することによって表面モデルに第1要素を設定し、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルの複製体を作成し、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルと複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置し、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルと複製体との間をポリゴンメッシュの一辺と同じ長さの辺を含む要素で埋め合わせることにより、基本ブロックモデルを作成するため、例えば、四角形、三角形などの基本的な図形で表される要素を組み合わせて3次元モデルを作成する従来の方法に比べて、空気入りタイヤを要素に分割する処理が簡潔になる。また、要素の形状をポリゴンメッシュに設定したポリゴン(多角形)に統一できるため、演算の収束性がよくなる。従って、精度の高いタイヤモデルを効率的に作成することができる。
【0012】
本発明の第3の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記表面モデルは、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向の断面においても屈曲する細溝の壁面のモデルであり、複数の前記基本ブロックモデルから前記空気入りタイヤのトレッド面に形成された陸部ブロックの一つである単位ブロックモデルを作成するステップとを有し、前記単位ブロックモデルから前記タイヤモデルを作成することを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記主構造体に設定される前記第1要素及び前記第2要素は、四角形要素であることを要旨とする。
【0014】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の何れか一つの特徴に係り、前記基準平面に設定される前記ポリゴンメッシュは、正四角形であることを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第5の何れか一つの特徴に係るタイヤモデル作成方法を実行するタイヤモデル作成装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複雑な表面形状を有する空気入りタイヤのタイヤモデルを効率的に、かつ精度良く作成できるタイヤモデル作成方法、及びタイヤモデル作成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を用いて作成されたタイヤモデルを使ってタイヤ性能を評価する処理を説明するフローチャートである。
【図2】図2は、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、ステップS18の処理を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、3次元サイプの壁面の形状の一部を表す表面モデル100を表す図である。
【図5】図5は、ポリゴンメッシュが設定された基準平面を表す図である。
【図6】図6は、ポリゴンメッシュが投影された表面モデルを表す図である。
【図7】図7は、メッシュ表面モデルと複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置した状態を説明する図である。
【図8】図8は、メッシュ表面モデルと複製体との間を要素で埋め合わせて作成される基本ブロックモデルを表す図である。
【図9】図9は、細溝(サイプ)の壁面の表面に形成された突起を説明する概略図である。
【図10】図10は、第2要素f1,f2,…,fk,fnによって分割した突起モデル200を表す。
【図11】図11は、基本ブロックモデルと突起モデルとを結合する処理を説明する模式図である。
【図12】図12は、基本ブロックモデルからタイヤモデルを作成する処理を説明するフローチャートである。
【図13】図13は、基本ブロックモデルを用いて作成される単位ブロックモデルを表す図である。
【図14】図14は、単位ブロックモデルから形成されるトレッドパターンモデルの一例を表す図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するタイヤ性能予測装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るタイヤ性能予測方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)タイヤ性能評価方法、(2)タイヤモデル作成方法、(3)表面に形成される構造体のモデルの作成、(4)タイヤモデル作成装置、(5)作用・効果、(6)その他の実施形態について説明する。
【0019】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0020】
(1)タイヤ性能評価方法
図1は、空気入りタイヤの挙動を、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を用いて作成されたタイヤモデルを使って評価する処理を説明するフローチャートである。タイヤ性能を評価するためのタイヤモデルの解析方法の一例として、大域解析(Global・Analysis:以下、G解析という)と局所解析(Local・Analysis:以下、L解析という)とを組み合わせたGL解析(Global−Local・Analysis)について説明する。
【0021】
本出願人は、タイヤ性能予測方法に関連する技術(特許3133738号公報)を既に提案している。GL解析の詳細は、上記公報に開示されているため、以下では、概略について説明する。
【0022】
ステップS1では、タイヤ性能予測方法の評価対象の空気入りタイヤを設計する。具体的には、空気入りタイヤのタイヤのタイヤサイズ、形状、構造、材料、トレッドパターンなどを定める。
【0023】
ステップS2では、G解析が実行される。タイヤモデルを作成するための数値解析手法として、本実施形態では、有限要素法(FEM)を適用する。G解析では、ゴム、ベルト、プライ、鉄・有機繊維等でできた補強コード、補強コードをシート状に束ねた補強材などの空気入りタイヤの内部構造を有限要素法に従って作成したタイヤモデルと、路面を有限個の要素に分割した路面モデルとが設定される。例えば、路面状態により異なる摩擦係数μを設定することにより、乾燥(DRY)、濡れ(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面状態を再現できる。
【0024】
G解析では、トレッドパターンが無く、内部構造のみが設定されたタイヤモデル(スムースタイヤモデル)を路面モデル上において転動させたときの転動解析と変形計算とを実行し、転動解析と変形計算の結果から、基本的な溝と陸部の構造が設定されたトレッドパターンモデルの変形の軌跡を算出する。
【0025】
ステップS3では、ステップS2で算出されたトレッドパターンモデルの変形軌跡に基づいて、L解析を行う。L解析では、トレッドパターンモデルの少なくとも一部に詳細な構造が設定されたトレッドパターンモデルの物理量変化などを算出する。
【0026】
L解析では、トレッドパターンモデルを構成する陸部ブロックのひとつ(単位ブロックという)に細溝が形成された単位ブロックモデルが設定される。また、単位ブロックモデルが複数集合した部分ブロックモデルが設定される。
【0027】
部分ブロックモデルと路面モデルとの間の境界条件が、G解析において計算されたトレッドパターンモデルの変形軌跡に基づいて設定される。境界条件が設定された路面モデル上で部分ブロックモデルを転動させる転動計算と、変形計算の結果から、部分ブロックモデルに生じる物理量が算出される。
【0028】
算出された物理量に基づいて、部分ブロックモデルがトレッド部の全周に亘って形成された空気入りタイヤ全体に相当する完全タイヤモデルのタイヤ性能を予測することができる。
【0029】
ステップS4では、タイヤ挙動の評価を行う。目標とする性能が満足されないときは、ステップS4において否定され、ステップS5において、設計案を変更又は修正してL解析のみが繰り返される。性能が十分であるときは、ステップS4で肯定され、ステップS6において、ステップS1で設定した設計案のタイヤまたはステップS5で修正した設計案を採用し、本ルーチンを終了する。
【0030】
(2)タイヤモデル作成方法
本発明の実施形態に係るタイヤモデル作成方法は、ステップS3のL解析で解析する対象である、トレッドパターンモデルの少なくとも一部に詳細な構造が設定されたトレッドパターンモデルの作成に適用できる。
【0031】
以下、本発明の実施形態に係るタイヤモデル作成方法について、図面を参照して詳細に説明する。図2,図3は、本実施形態にかかるタイヤモデル作成方法を説明するフローチャートである。図4〜図10は、タイヤモデル作成方法の各ステップにおいて設定されるモデルを説明する模式図である。
【0032】
ステップS11では、空気入りタイヤの表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデルが設定される。空気入りタイヤの表面の形状の少なくとも一部とは、トレッドパターンモデルの表面形状であり、本実施形態では、溝や細溝(サイプ)と路面との接地面の形状だけでなく、溝や細溝(サイプ)の壁面の形状も含む。特に、本実施形態では、表面モデルは、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向の断面においても屈曲する、いわゆる3次元サイプの壁面の形状である。図4は、3次元サイプの壁面の形状の一部を表す表面モデル100を表す図である。
【0033】
ステップS12では、3次元サイプの壁面の表面モデル100に対向する位置に、基準となる基準平面110が設定される。基準平面110は、表面モデル100の投影面であり、矩形状である。
【0034】
ステップS13では、基準平面110に格子状のポリゴンメッシュが設定される。図5は、ポリゴンメッシュが設定された基準平面110を表す図である。本実施形態では、基準平面110に設定されるポリゴンメッシュの格子は、正四角形であることが好ましい。
【0035】
ステップS14では、基準平面110に設定されたポリゴンメッシュを表面モデル100に投影する。図6は、ポリゴンメッシュが投影されたメッシュ表面モデル120を表す。
【0036】
ステップS15では、ポリゴンメッシュが投影されたメッシュ表面モデル120の複製体120Cを作成する。
【0037】
ステップS16では、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとを所定の間隔を空けて対向して配置する(図7参照)。
【0038】
ステップS17では、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素(有限要素法におけるソリッド要素)e1,e2,…,ek,enで埋め合わせる。図8は、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素e1,e2,…,ek,enで埋め合わせたモデルを表す。要素e1,e2,…,ek,enは、立方体、若しくは、立方体に近い直方体であることが好ましい。本実施形態において、要素e1,e2,…,ek,enは、第1要素を構成する。
【0039】
ステップS17では、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素で埋め合わされることにより、基本ブロックモデル130が作成される。本実施形態において、基本ブロックモデル130は、主構造体を構成する。
【0040】
(3)表面に形成される構造体のモデルの作成
本実施形態では、次のステップS18において、基本ブロックモデル130の表面、すなわち、細溝(サイプ)の壁面の表面に形成された突起を含んだモデルを作成する。ステップS18の処理は、換言すれば、節点を共有できない不連続な要素を結合させる処理である。
【0041】
図3は、ステップS18の処理を説明するフローチャートである。本実施形態において、突起は、副構造体を構成する。図9は、実際の空気入りタイヤの細溝(サイプ)10の壁面10aに配置された突起20を説明する模式図である。空気入りタイヤの細溝(サイプ)10の壁面の表面10aは、基本ブロックモデル130で表される。
【0042】
ステップS181では、ステップS17までの処理において作成された基本ブロックモデル130が入力される。
【0043】
ステップS182では、基本ブロックモデル130上に配置される突起の設計値に基づくサイズと、基本ブロックモデル130に設定された要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)のサイズとを比較する。
【0044】
ステップS183では、突起の設計に基づくサイズの最小値が要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)のサイズよりも小さいとき、ステップS184に進む。具体的には、突起の各部位における寸法の最小値が第1要素における寸法の最大値よりも小さいとき、ステップS184に進む。または、細溝10の壁面10a上のメッシュ表面モデル120の節点と、突起20の底面形状の外縁の節点とを一致させることが可能か否か、判定する。節点を一致できなければ、ステップS184に進む。
【0045】
突起の各部位における寸法の最小値とは、例えば、突起が直方体であれば、幅、高さ、奥行きの最小値をいう。円柱形であれば、直径、高さの最小値をいう。また、不規則な形状を有する構造体であれば、厚み、長さ、奥行きの最小値をいう。
【0046】
ステップS184では、突起を基本ブロックモデル130に不連続な別の要素(第2要素)によって分割した突起モデルを作成する。図10は、要素f1,f2,…,fk,fn(第2要素)によって分割した突起モデル200を表す。
【0047】
図11は、結合処理を説明する模式図である。ステップS185では、要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)で分割された基本ブロックモデル130と、要素f1,f2,…,fk,fn(第2要素)で分割された突起モデルとを結合させる処理を実行する。
【0048】
以上説明したステップS181〜S185が実行されることにより、基本ブロックモデル130の表面、すなわち、細溝(サイプ)の壁面の表面に形成された突起を含んだモデルが作成される。
【0049】
する。
【0050】
図2,図3の処理の後に、上記各ステップにおいて作成された表面形状を有する基本構造のモデルである基本ブロックモデル130からタイヤモデルを作成する。
【0051】
図12は、基本ブロックモデル130からタイヤモデルを作成する処理を具体的に説明するフローチャートである。図13は、基本ブロックモデル130を用いて作成される単位ブロックモデル140を表す図である。単位ブロックモデル140は、トレッドパターンを構成する陸部ブロックのひとつに該当し、単位ブロックモデル140には、細溝141,142,143,144,145,146,147が形成されている。基本ブロックモデル130の表面は、細溝141,142,143,144,145,146,147の壁面に相当する。図14は、単位ブロックモデル140から形成されるトレッドパターンモデルの一例を説明する図である。
【0052】
ステップS21では、基本ブロックモデル130から単位ブロックモデル140が作成される。具体的には、例えば、図2,3に示したフローチャートに基づいて作成された、各細溝の壁面を有する基本ブロックモデル130が組み合わされることによって、単位ブロックモデル140が作成される。
【0053】
ステップS22では、単位ブロックモデル140からトレッドパターンモデルの少なくとも一部であるトレッドパターンモデル150が作成される。
【0054】
(4)タイヤ性能予測装置
図15には、本発明の実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するタイヤ性能予測装置としてのコンピュータ300の概略が示されている。図15に示すように、コンピュータ300は、半導体メモリー、ハードディスクなどの記憶部(不図示)、処理部(不図示)などを備えた本体部310と、入力部320と、表示部330とを備える。処理部は、図1を用いて説明したタイヤ性能予測方法、及び図2,3を用いて説明したタイヤモデル作成方法を実行する。
【0055】
コンピュータ300は、図示しないが着脱可能な記憶媒体と、この記憶媒体に対して書き込み・読み出しを可能にするドライバが備えられていてもよい。図1乃至図3を用いて説明したタイヤ性能予測方法、タイヤモデル作成方法を実行するプログラムを予め記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出されたプログラムを実行してもよい。コンピュータ300の記憶部にプログラムを格納(インストール)して実行してもよい。コンピュータ300は、図示しないが、例えば、ネットワークに接続可能であってもよい。ネットワークを介して、タイヤ性能予測方法、タイヤモデル作成方法を実行するプログラムを取得してもよい。
【0056】
(5)作用・効果
本実施形態に係るタイヤモデル作成方法によれば、突起の設計値に基づくサイズが基本ブロックモデル130に設定された要素e1,e2,…,ek,en(第1要素)のサイズよりも小さいとき、突起を第1要素よりも小さい要素f1,f2,…,fk,fn(第2要素)によって分割した突起モデル200が作成される。すなわち、主構造体である基本ブロックモデル130と副構造体である突起とがそれぞれ独立した要素で分割され、それぞれ不連続な基本ブロックモデル130と突起モデルとを結合させる処理が実行される。また、要素のサイズにかかわらず、2つのモデルにおける節点を一致させることが困難な場合、具体的には、細溝10の壁面10a上のメッシュ表面モデル120の節点と、突起20の底面形状の外縁の節点とが一致できないとき、主構造体である基本ブロックモデル130と副構造体である突起とがそれぞれ独立した要素で分割され、それぞれ不連続な基本ブロックモデル130と突起モデルとを結合させる処理が実行される。
【0057】
これにより、突起モデルよりも大きな基本ブロックモデル130が突起モデルに設定された要素で分割されることによる要素数の増大を抑えることができ、演算量の増大を抑えることができる。
【0058】
また、本発明の実施形態に係るタイヤモデル作成方法によれば、細溝141,142,143,144,145,146,147の壁面を表した表面モデル100上に、ポリゴンメッシュを投影することによりメッシュ表面モデル120を作成し、メッシュ表面モデル120の複製体120Cを作成し、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとを所定の間隔を空けて対向して配置し、メッシュ表面モデル120と複製体120Cとの間を要素e1,e2,…,ek,enで埋め合わせることにより、基本ブロックモデル130を作成するため、例えば、四角形、三角形などの基本的な図形で表される要素を組み合わせて3次元モデルを作成する従来の方法に比べて、空気入りタイヤを要素に分割する処理が簡潔になる。
【0059】
また、要素の形状をポリゴンメッシュに設定したポリゴンを、本実施形態では、四角形要素に統一できるため、演算の収束性がよくなる。従って、精度の高いタイヤモデルを効率的に作成することができる。
【0060】
要素e1,e2,…,ek,enは、立方体、若しくは、立方体に近い直方体に近いほど、収束性が高くなる。
【0061】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0062】
実施形態に係るタイヤモデル作成方法では、細溝の形状のモデルを作成する場合について説明した。しかし、細溝に限らず、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向にも変化する形状のモデルの作成に適用可能である。例えば、サイドウォール部に形成される突起、タイヤ表面に形成されるその他の構造体などが挙げられる。
【0063】
実施形態では、本発明に係るタイヤモデル作成方法をGL解析におけるL解析で使用するモデルの作成に適用する場合について説明した。しかし、GL解析におけるタイヤモデルの作成に限定されない。
【0064】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例】
【0065】
表1に、実施形態のタイヤモデル作成方法によって表面形状のモデルを作成するのに要する計算期間と、四角形、三角形などの基本的な図形で表される要素を組み合わせて3次元モデルを作成する従来のタイヤモデル作成方法によって細溝の形状のモデルを作成するのに要する計算期間とを示す。
【表1】
【0066】
表1に示すように、実施形態のタイヤモデル作成方法では、従来の方法に比べて計算期間が短くなった。すなわち、実施形態のタイヤモデル作成方法によれば、空気入りタイヤを要素に分割する処理が簡潔になることが分かった。
【符号の説明】
【0067】
10…細溝、 10a…壁面、 10a…表面、 20…突起、 100…表面モデル、 110…基準平面、 120…メッシュ表面モデル、 120C…複製体、 130…基本ブロックモデル、 140…単位ブロックモデル、 141,142,143,144,145,146,147…細溝、 150…トレッドパターンモデル、 300…コンピュータ、 310…本体部、 320…入力部、 330…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主構造体と、前記主構造体上に配置された副構造体とを有する空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成方法であって、
前記主構造体を前記第1要素に分割した主構造体モデルを作成するステップと、
前記主構造体モデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体の設計値に基づくサイズとを比較するステップと、
前記比較するステップにおいて、前記副構造体の設計値に基づくサイズの最小値が前記第1要素のサイズよりも小さいとき、前記副構造体を前記第1要素に不連続であり前記第1要素よりも小さい第2要素に分割した副構造体モデルを作成するステップと、
前記第1要素と、前記第1要素に不連続な前記第2要素とを結合させる処理を実行するステップと
を有するタイヤモデル作成方法。
【請求項2】
前記空気入りタイヤの前記主構造体の表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデルを設定するステップと、
前記表面モデルに対向する位置に基準となる基準平面を設定するステップと、
前記基準平面に前記第1要素のサイズのポリゴンメッシュを設定するステップと、
前記基準平面に設定されたポリゴンメッシュを前記表面モデルに投影するステップと、
前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルの複製体を作成するステップと、
前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置するステップと、
前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体との間を前記第1要素で埋め合わせることにより基本ブロックモデルを作成するステップとを有し、
前記比較するステップでは、前記基本ブロックモデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体のサイズとを比較する請求項1に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項3】
前記表面モデルは、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向の断面においても屈曲する細溝の壁面のモデルであり、
複数の前記基本ブロックモデルから前記空気入りタイヤのトレッド面に形成された陸部ブロックの一つである単位ブロックモデルを作成するステップとを有し、
前記単位ブロックモデルから前記タイヤモデルを作成する請求項2に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項4】
前記主構造体に設定される前記第1要素及び前記第2要素は、四角形要素である請求項3に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項5】
前記基準平面に設定される前記ポリゴンメッシュは、正四角形である請求項1乃至4の何れか一項に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のタイヤモデル作成方法を実行するタイヤモデル作成装置。
【請求項1】
主構造体と、前記主構造体上に配置された副構造体とを有する空気入りタイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成方法であって、
前記主構造体を前記第1要素に分割した主構造体モデルを作成するステップと、
前記主構造体モデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体の設計値に基づくサイズとを比較するステップと、
前記比較するステップにおいて、前記副構造体の設計値に基づくサイズの最小値が前記第1要素のサイズよりも小さいとき、前記副構造体を前記第1要素に不連続であり前記第1要素よりも小さい第2要素に分割した副構造体モデルを作成するステップと、
前記第1要素と、前記第1要素に不連続な前記第2要素とを結合させる処理を実行するステップと
を有するタイヤモデル作成方法。
【請求項2】
前記空気入りタイヤの前記主構造体の表面の形状の少なくとも一部を表す表面モデルを設定するステップと、
前記表面モデルに対向する位置に基準となる基準平面を設定するステップと、
前記基準平面に前記第1要素のサイズのポリゴンメッシュを設定するステップと、
前記基準平面に設定されたポリゴンメッシュを前記表面モデルに投影するステップと、
前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルの複製体を作成するステップと、
前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体とを所定の間隔を空けて対向して配置するステップと、
前記ポリゴンメッシュが投影された前記表面モデルと前記複製体との間を前記第1要素で埋め合わせることにより基本ブロックモデルを作成するステップとを有し、
前記比較するステップでは、前記基本ブロックモデルに設定された前記第1要素のサイズと前記副構造体のサイズとを比較する請求項1に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項3】
前記表面モデルは、タイヤ径方向、トレッド幅方向、タイヤ周方向の何れの方向の断面においても屈曲する細溝の壁面のモデルであり、
複数の前記基本ブロックモデルから前記空気入りタイヤのトレッド面に形成された陸部ブロックの一つである単位ブロックモデルを作成するステップとを有し、
前記単位ブロックモデルから前記タイヤモデルを作成する請求項2に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項4】
前記主構造体に設定される前記第1要素及び前記第2要素は、四角形要素である請求項3に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項5】
前記基準平面に設定される前記ポリゴンメッシュは、正四角形である請求項1乃至4の何れか一項に記載のタイヤモデル作成方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のタイヤモデル作成方法を実行するタイヤモデル作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−204153(P2011−204153A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73124(P2010−73124)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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