説明

タイヤ用ゴム組成物

【課題】 硬度、加工性、ウェット性能及び氷上摩擦力に優れたゴム組成物の提供。
【解決手段】 重量基準で、天然ゴム25%以上を含み、平均Tgが−50℃以下のジエン系ゴム100部、シリカを10〜60部(場合によってはウォラストナイトをシリカの1〜45%)、カーボンブラックをシリカと併せて55〜75部(又は更にウォラストナイトと併せて55〜90部)、含硫黄シランカップリング剤をシリカの3〜15%、プロセスオイルを合計で12〜50部(ウォラストナイトを配合する場合にはオイル8〜60部)、硫黄を合計で1.8〜2.6部、加硫ゴムの体積膨張率が8〜30%となる量の膨張剤(発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び/又は膨張黒鉛)を含むゴム組成物並びにそれを用いたスタッドレスタイヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は氷雪性能に優れたタイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは硬度、加工性、ウェットスキッド性能及び氷上摩擦力に優れた、特にスタッドレスタイヤ用トレッドとして使用するのに好適なタイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ用ゴム組成物にシリカを配合することによりタイヤのウェット性能を向上させ、タイヤの転がり抵抗を低くすることは知られており、実用化されている(特許文献1〜3)。ところで、空気入りタイヤ、特に冬用タイヤであるスタッドレスタイヤにおいては、低温で脆化したり、硬くなったりしないように、ガラス転移温度Tgの低いゴム、例えば天然ゴム(NR)やポリブタジエンゴム(BR)を使用することが必要となる(特許文献4)。しかし、Tgの低いゴム、特にBRはウェット性能や摩擦力が十分でなく、これを補完するためにシリカを配合することが試みられている。しかしながら、シリカを配合すると、ペイン効果(即ち、マトリックス中のフィラーの凝集構造が分散状になっているか、網目状になっているかの指標)が低くなり、マトリックス中でゴム分子が動きやすくなるため、ウェット性能は良いか、ダイスウェルが大きくなり加工性に問題が生じる結果となる。この問題を解決するためにはフィラーの配合量を多くしてダイスウェルを小さくすることも考えられるが、フィラーの配合量を多くするとスタッドレスタイヤ用ゴム組成物の肝要な物性である硬度が高くなり、これを抑えるためにオイルの配合量を増大させると加工性が悪化するという問題が生じる。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−215638号公報
【特許文献2】特開平3−252431号公報
【特許文献3】特開平5−51485号公報
【特許文献4】特開昭60−157945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、前述のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物の問題点を解決して、硬度、ウェット性能、加工性及び氷上摩擦力に優れたゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従えば、天然ゴム25重量%以上を含み、ゴム成分の平均ガラス転移温度Tgが−50℃以下のジエン系ゴム100重量部に対して、(i)BET比表面積が250m2/g以下のシリカを10〜60重量部、(ii)窒素吸着比表面積(N2SA)が90m2/g以上でDBP吸油量が70〜135ml/100gのカーボンブラックをシリカとの合計量で55〜75重量部、(iii)含硫黄シランカップリング剤をシリカ成分に対して3〜15重量%、(iv)プロセスオイルをゴムの油展成分との合計オイル量で12〜50重量部、(v)硫黄を含硫黄シランカップリング剤成分中の硫黄量との合計量で1.8〜2.6重量部、そして(vi)発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び膨張黒鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の膨張剤を、加硫ゴムの体積膨張率が8〜30%となる量で配合してなるゴム組成物並びにそれを用いた空気入りタイヤが提供される。
【0006】
本発明に従えば、また、天然ゴム25重量%以上を含み、ゴム成分の平均ガラス転移温度Tgが−50℃以下のジエン系ゴム100重量部に対して、(i)BET比表面積が250m2/g以下のシリカを10〜60重量部、(ii)平均粒子サイズが1〜100μmでアスペクト比が1〜9のウォラストナイトをシリカに対して8〜45重量%、(iii)窒素吸着比表面積(N2SA)が90m2/g以上でDBP吸油量が70〜135ml/100gのカーボンブラックをシリカとウォラストナイトとの合計量で55〜90重量部、(iv)含硫黄シランカップリング剤をシリカ及びウォラストナイトの合計量に対して3〜15重量%、(v)プロセスオイルをゴムの油展成分との合計量で5〜50重量部、そして(vi)硫黄を含硫黄シランカップリング剤成分中の硫黄量との合計量で1.8〜2.6重量部、そして(vii)発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び膨張黒鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の膨張剤を、加硫ゴムの体積膨張率が8〜30%となる量で配合してなるゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、天然ゴムを含むジエン系ゴムに、特定のシリカ(第二の態様では更にウォラストナイト)、カーボンブラックを、そして含硫黄シランカップリング剤、プロセスオイル及び膨張剤を、特定量配合することにより、氷雪性能を発揮できるレベルのゴム硬度(40〜55)と優れたウェットスキッド性能及び氷上摩擦力を併せ有するゴム組成物を得ることができ、更にこのゴム組成物は、押出し加工性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、天然ゴムを含むジエン系ゴムに、特定のシリカ、特定のカーボンブラック、膨張剤、含硫黄シランカップリング剤、プロセスオイル及び硫黄を特定量配合することにより(更に第二の態様では特定のウォラストナイトを特定量配合することにより)、加工性(押出しシュリンク性)とウェット性能が両立し、硬度や氷上性能(ウェットスキッド及び氷上摩擦力)にも優れたスタッドレスタイヤ用途に適したタイヤ用ゴム組成物を開発することに成功した。
【0009】
本発明者らは、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物にシリカを配合することの検討中に、押出しシュリンクによる加工性の問題に遭遇し、スタッドレス配合に最適なゴム硬度を考慮すると、ウェットスキッド特性を改良しながら押出し加工性を同時に改善するために適した、フィラーネットワークの量を増やすことができるフィラー配合量とオイル配合量の適値範囲が存在することを見出し、更に膨張剤を配合することによりゴム表面にゴムの膨張によってミクロな凹凸が形成され、その表面吸水機能によって優れた氷上摩擦力が得られることを見出した。
【0010】
本発明のゴム組成物は、天然ゴム25重量%以上を含むジエン系ゴム100重量部に、特定のシリカ10〜60重量部(第二の態様では更にシリカに対して、8〜45重量%のウォラストナイト)、特定のカーボンブラックをシリカとの総フィラー量として55〜75重量部(ウォラストナイトを含む場合には55〜90重量部)、シリカ(又はシリカとウォラストナイトの総量)に対して3〜15重量%の含硫黄シランカップリング剤、プロセスオイルを合計オイル量で12〜50重量部(ウォラストナイトを配合する場合には5〜50重量部)、硫黄分1.8〜2.6重量部含み、硬度、加工性(押出しシュリンク性)、ウェット性能及び氷上摩擦に優れたスタッドレスタイヤ用のタイヤ用ゴム組成物として好適である。
【0011】
本発明の第一及び第二の態様で使用するゴム成分としては、天然ゴムが25重量%以上、好ましくは30〜60重量%含むジエン系ゴムで、ゴム全体の平均Tgが−50℃以下、好ましくは−70〜−95℃のゴムを用いる。このTgが高いと低温でゴムが脆化する恐れがあるので冬タイヤ用として好ましくない。なお天然ゴムの配合量が多過ぎると押出加工性(NRはシュリンク大)に影響がでてくるおそれがある。本発明において使用することができるジエン系ゴムとしてはゴム全体の平均Tgが−50℃以下であれば、タイヤ用として使用されている任意のジエン系ゴム、例えばポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、合成イソプレンゴム(IR)などをあげることができる。
【0012】
本発明のゴム組成物にはBET比表面積(ISO5794−1に準拠して測定)が250m2/g以下、好ましくは150〜220m2/gのシリカを10〜60重量部、好ましくは20〜40重量部配合する。このBET比表面積が大きいとシリカ粒子が凝集して加工性が低下するので好ましくない。またシリカの配合量が少ないとウェット性能の改良効果が少ないので好ましくなく、逆に多いと加工性が低下するので好ましくない。
【0013】
本発明の第二の態様では、更に平均粒子サイズ(光散乱法にて測定)が1〜100μm、好ましくは2〜50μmで、アスペクト比(粒子の長径/短径比)が1〜9、好ましくは3〜8のウォラストナイトをシリカ配合量の8〜45重量%、好ましくは12〜25重量%配合する。本発明の第二の態様において使用するウォラストナイト(Wollastonite)(珪灰石)は化学式CaSiO3で示される珪酸塩鉱物で、天然鉱物として産出されるウォラストナイトは、石灰石と花崗岩の接触部で変成作用を受けて発達した鉱物で、色はガラス光沢のある白色、帯灰色、帯褐色を呈し、結晶形態は針状、塊状をなしている。主成分はSiO2とCaOをほぼ等量含有し、微量成分としてAl23,Fe23等を含有しており、天然に産出される低温型(β型)と合成の高温型(α型)がある。なお、ウォラストナイトは例えば巴工業株式会社より各種グレードが市販されており、本発明においてはこれらの市販品のうち、前記した平均粒径及びアスペクト比を有するものを使用することができる。このウォラストナイトの平均粒径が小さ過ぎると、ウォラストナイトの再凝集により分散性が低下し、ウェット性能が低下するので、好ましくない、逆に大き過ぎると分散性や補強性が低下し、結果としてウェット性能や氷上性能が低下するので好ましくない。ウォラストナイトのアスペクト比が小さ過ぎると混練時のせん断力によるウォラストナイトの微細化が進行しないために分散性が低下し、ウェット性能や氷上性能が低下するので好ましくなく、逆に大き過ぎると分散性が悪化し、結果としてウェット性能や氷上性能が低下するので好ましくない。ウォラストナイトの配合量が少な過ぎるとシリカの分散性が向上せず、さらに補強性の効果が得られないので好ましくなく、逆に多過ぎると分散性が悪化し、結果として硬度の上昇を引き起こし、氷上性能の悪化を引き起こすので好ましくない。
【0014】
本発明のゴム組成物にはフィラーとして更に窒素吸着比表面積(N2SA)(ASTM D3037にて測定)が90m2/g以上、好ましくは95〜130m2/gでDBP吸油量(JIS K6221にて測定)が70〜135ml/100g、好ましくは100〜115ml/100gのカーボンブラックを配合する。この窒素吸着比表面積が小さいとゴムの強度が十分に出ないので好ましくない。DBP吸油量が小さいと混合分散性が低下するので好ましくなく、逆に大きいと加工中の粘度が高くなりすぎるので好ましくない。本発明のゴム組成物に配合するカーボンブラックの量は、本発明の第一の態様ではシリカとの合計量で55〜75重量部、好ましくは60〜70重量部で、第二の態様ではシリカ及びウォラストナイトとの合計量で55〜90重量部、好ましくは65〜75重量部である。このフィラーの合計配合量が少ないと押し出し加工性が改善されないので好ましくなく、逆に多いと硬度の調整が困難になるので好ましくない。
【0015】
本発明のゴム組成物にはシリカ重量に対して(第二の態様ではシリカとウォラストナイトの合計量に対して)3〜15重量%、好ましくは6〜11重量%の含硫黄シランカップリング剤を配合する。この配合量が少ないとシリカによる補強性が発揮されないので好ましくなく、逆に多いと加工中に焼けを起こす恐れがあるので好ましくない。含硫黄シランカップリング剤の種類には特に限定はなく、従来からゴム組成物用として使用されている任意のものを使用することができる。具体的にはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。
【0016】
本発明のゴム組成物には従来からタイヤ用などのゴム組成物に配合されている任意のプロセスオイルを使用することができ、その配合量は第一の態様においては、油展ゴムのオイルを加えてオイルの合計量が12〜50重量部、好ましくは20〜35重量部、そして第二の態様ではオイルの合計量として5〜50重量部、好ましくは15〜35重量部である。このオイルの配合量が少ないと硬度を調整することができないので好ましくなく、逆に多いと混合加工性が悪化するので好ましくない。
【0017】
本発明のゴム組成物に配合する硫黄は従来からタイヤ用その他に使用されている任意の加硫用硫黄とすることができ、その配合量は含硫黄シランカップリング剤中の硫黄との合計量で1.8〜2.6重量部、好ましくは2.0〜2.3重量部である。この量が少ないとゴムの強度が低下するので好ましくなく、逆に多いとゴムの耐熱老化性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明に従えば、発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び膨張黒鉛から選ばれる少なくとも1種の膨張剤(膨張性材料)を、加硫ゴムの体積膨張率(ここで体積膨張率とは加硫ゴムの比重がゴム配合から求められる計算理論比重に対して低下している割合をいう)が10〜30%、好ましくは12〜18%となる量で配合する。かかる膨張剤の配合により、加硫ゴム内部に中空部位が形成され、ゴム表面にミクロな凹凸が生じ、その表面吸水機能によって優れた氷上摩擦力が得られると共に、中空部位が表面に露出することによってタイヤ走行時に道路表面の水膜を除去し、氷上性能も一層向上する。体積膨張率が少ないとかかる効果が十分得られず、また逆に多いとゴムの強度と耐摩耗性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明において使用する発泡剤としては、例えばN,N’−ジニトロンペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4−4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)があり、これらの発泡剤をゴム組成物に配合して加硫時に加硫ゴムを発泡させる。
【0020】
本発明においては膨張剤として発泡剤含有樹脂を用いることができる。
【0021】
この発泡剤含有樹脂を配合することによって、ゴムの加硫後の硬度を大きく低下させることなく、ゴム内部にマイクロカプセル状の樹脂被覆気泡を形成させ、摩擦後のゴム表面に出現する表面凹凸によるゴム/氷間のミクロな水膜除去と気泡とともに表面に露出した樹脂成分による氷表面への引っ掻き効果を同時に得ることによってゴム/氷間の摩擦力を大きく向上させることができる。ポリオレフィン樹脂によって予め被覆された発泡剤を配合するため、発泡剤の分解温度以下であれば樹脂の軟化点に関係なく加工温度を選ぶことができ、気泡周囲の樹脂による被覆層は効率よく確実に形成される。また、ポリオレフィン樹脂がジエン系ゴムと共架橋性を有しないために、樹脂層が高温の加工時又は加硫時にゴム相に不必要に拡散することがなく、ゴム相と樹脂部分が明確に分離したマイクロカプセル状の樹脂被覆気泡が得られるのが特徴である。更に、樹脂被覆によって気密性の改善された気泡では、加硫時のモールド接触面におけるガス抜けが起こりにくく、その結果、加硫ゴムは表層部から中心部までマイクロカプセル状気泡がより均一に分散した性状となる。このようなゴム組成物を用いた氷雪路面用タイヤは、使用初期から高い氷上摩擦力が発揮できるという特徴を持つ。
【0022】
本発明において、発泡剤含有樹脂を構成する樹脂成分はジエン系ゴムとは共架橋性を有しないものでなければならず、具体的にはポリオレフィン系樹脂を主成分としたものが用いられる。なお、ここで主成分とはポリオレフィン系樹脂が全樹脂成分の75重量%以上、好ましくは85重量%以上のものをいい、他の成分としては、例えば、オレフィンモノマーの未反応残基、重合開始剤や触媒等の残査、加工助剤、ポリオレフィン系樹脂以外のポリマー状樹脂等が挙げられる。この樹脂成分は、ジエン系ゴムとの共架橋を防ぐため分子の主鎖中に二重結合が残っていないものが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブチレン−1等の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができ、これらの混合物や共重合体も使用することができる。
【0023】
本発明の発泡剤含有樹脂の中の化学発泡剤の含有率は好ましくは5〜65重量%、更に好ましくは15〜50重量%である。この配合量が少な過ぎると空隙の形成効果が不充分となるおそれがあり、逆に多過ぎると形成される殻の厚みが薄くなり、マイクロカプセルとしての引っ掻き効果が不充分になるおそれがある。
【0024】
本発明の化学発泡剤の分解温度は好ましくは120〜180℃、更に好ましくは140〜160℃であるのが好ましい。この温度が低過ぎると混合、押出加工中に十分な大きさの樹脂被覆気泡を形成させることができない。なお、この分解温度が高過ぎる場合には尿素等の発泡助剤との併用によって分解温度を120〜180℃に調整することもできる。発泡助剤は、例えば永和化成工業社の「セルペースト」として入手可能である。
本発明に使用する化学発泡剤成分は、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、アゾ化合物、重炭酸塩の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができ、具体的にはアゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾシカルボキシレート(Ba/AC)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)等が挙げられ、これらは永和化成工業社の「ビニルホール」(ADCA)、「セルラー」(DPT)、「ネオセルボン」(OBSH)、「エクセラー」(DPT/ADCA)、「スパンセル」(ADCA/OBSH)、「セルボン」(NaHCO3)等が市販されている。
【0025】
発泡剤含有樹脂の粒子径は、10〜200μmであるのが好ましい。これより小さいとゴム表面に十分な大きさの凹凸を形成できず、大き過ぎるとゴムの機械的強度の低下が著しくなってしまう。このような発泡剤含有樹脂としては、例えば永和化成工業社から「セルパウダー」として市販されている。また、加硫ゴム組成物内に形成されるマイクロカプセル状気泡は球形であるが、原料段階での発泡剤含有樹脂の形状は球形である必要はない。
【0026】
本発明のゴム組成物に配合する熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であり、この粒子をその膨張開始温度以上の温度、通常140〜190℃の温度で加熱して膨張させることによってその熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封入した気体封入熱可塑性樹脂粒子となる。この熱膨張性マイクロカプセルの粒子径は、特に限定されないが、膨張前で5〜300μmであるものが好ましく、更に好ましくは粒径10〜200μmのものである。
【0027】
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、現在、松本油脂製薬(株)より商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」又は「マツモトマイクロスフェアーF−100」等として入手可能である。
【0028】
前記の気体封入熱可塑性樹脂粒子の外殻成分を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、また(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。なお、上記の熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損わない程度に部分的に架橋していてもかまわない。
【0029】
前記の熱により気化して気体を発生する液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルのような炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンのような塩素化炭化水素のような液体が挙げられる。
【0030】
本発明のゴム組成物に配合する膨張黒鉛(Expandable)は黒鉛粒子の層間に熱により気化する物質を内包する粒子サイズ30〜600μm、好ましくは100〜350μmの粉体物質であり、加硫時の熱によって膨張して黒鉛膨張体(Expanded Graphite)となることが好ましい。膨張黒鉛は炭素原子から形成されたシートが層状に重なった構造をしており、硫酸や硝酸などとともに酸処理(インターカレーション処理)することによって得られる。この膨張黒鉛は例えば加熱によりその層間物質の気化によって高膨張させて黒鉛膨張体(又は発泡黒鉛)とすることができる。膨張処理前は材質が硬いために混合による品質低下が起りにくく、また一定温度にて不可逆的に膨張するため、タイヤの加硫によってゴムマトリックス内部に空間を伴う異物を容易に形成させることができる。このようなゴムを用いたタイヤのトレッド部は磨耗時に表面凹凸が適度に形成され、氷とタイヤの接触面上の水膜を効率よく除去することによって氷上摩擦力の向上に働く。
【0031】
膨張黒鉛は既に公知の材料であり、公知の製法によって製造される。一般的には強酸物質と酸化剤との混合液に黒鉛粒子を浸漬し、インターカレーション処理により黒鉛粒子の層間に酸を挿入させて製造する。例えば強酸物質としては濃硫酸、酸化剤として硝酸が使われ、これにより粒子の層間に硫酸が挿入された膨張黒鉛が得られる。膨張黒鉛は熱処理によって層間化合物が揮発することによって層間が開き、膨張する。層間物質に硫酸が用いられる膨張黒鉛は通常300℃以上での熱処理によって膨張するが、層間物質の改質や他の低沸点酸化合物(例えば硝酸)の使用又は併用によって、膨張開始温度を300℃以下に下げた膨張黒鉛が製造、市販されている。本発明で対象となるジエン系ゴムを主成分としたゴム組成物の加工温度は200℃以下であり、本発明では膨張開始温度が190℃以下の膨張黒鉛を用いることによって所定の効果が発揮される。
【0032】
このような膨張開始温度が190℃以下の膨張黒鉛としては、例えば巴工業より米国のUCAR Graphtech社製の「グラフガード160−50」又は「グラフガード160−80」等が市販されており、入手可能である。膨張黒鉛は用語的には酸処理を行った直後の未膨張品(Expandable)を示すが、熱処理後の既膨張品(Expanded)のことを呼ぶ場合もある。本発明にてゴム組成物として配合される膨張黒鉛は熱処理前の未膨張品である。
【0033】
本発明においては、膨張黒鉛はゴム組成物の混練工程、押出し成形工程で膨張せず、加硫工程にて膨張させることが望ましく、膨張開始温度が好ましくは120〜190℃、更に好ましくは140〜170℃のものが用いられる。膨張開始温度が120℃未満であると、膨張黒鉛が混練り時、あるいは押出し加工時に膨張し、ゴム比重が工程途中で変化することにより加工性が損なわれるおそれがある。また、膨張開始温度が190℃を超える場合には加硫工程での加工温度を190℃以上に設定しなければならず、ゴム組成物の主成分であるジエン系ゴム分子の熱劣化が著しくなる傾向にある。一方、膨張黒鉛は炭素原子からなる骨格構造をとっているためにゴムマトリックスやカーボンブラックとの親和性が良好であり、ゴムに配合添加しても加硫ゴムの耐摩耗性能の低下が少ないという利点がある。
【0034】
本発明のゴム組成物はそのウェット性能を上げるためにシリカを配合する。一方、ゴム配合の低Tg化と強度確保の両立のためにゴム組成物の主成分であるゴム成分としては天然ゴム(NR)を配合するが、NRはゴム組成物の押出し加工性を悪化させるので、これをゴム組成物中のフィラー配合量を増やすことによって解決し、そしてフィラー配合量を多くするとスタッドレスタイヤ用途に必要な低硬度が満足できなくなるので、本発明ではオイルを高配合することによってこの問題を解決している。しかし、オイルを高配合して硬度調整すると加工性に問題を生じるおそれがあるので、ゴム組成物の加工性を更に改良するためにはウォラストナイトを配合することができ、これによってゴム組成物の硬度が下がるため、オイルの配合量が過多にならないように制御することができる。本発明に従えば、発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び膨張黒鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の膨張剤を、加硫ゴムの体積膨張率が10〜30%となる量で配合することによって、氷上摩擦力を更に高めるとともに発泡や膨張による硬度低下を利用してオイル配合量を減らして加工性が改善できる。
【0035】
本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、カーボンブラックやシリカ以外の他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋促進剤、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他のゴム組成物用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0037】
実施例1〜5及び比較例1〜5
以下の例において使用した配合成分は以下の通りである。
NR:TSR20(天然ゴム)
BR:Nipol 1220(日本ゼオン(株)製ハイシスBR)
sSBR:Nipol NS412(日本ゼオン(株)製溶液重合SBR(50%油展))
eSBR:Nipol 1712(日本ゼオン(株)製乳化重合SBR(37.5%油展))
CB:ショウブラックN220(昭和キャボット(株)製カーボンブラック、N2SA=119m2/g、DBP吸油量=114ml/100g)
シリカ:ニップシールAQ(日本シリカ工業(株)製BET比表面積=215m2/g)
亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業(株)製)
ステアリン酸:ビーズステアリン酸NY(日本油脂(株)製)
Si69:デグッサ社製シランカップリング剤(化学名:ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕テトラスルフィド)
6C:SANTOFLEX 6PPD(フレキシス社製)
オイル:ダイアナプロセスAH−20(出光興産(株)製プロセスオイル)
F100D:マイクロスフェアーF100D(松本油脂製薬(株)製熱膨張性マイクロカプセル、膨張開始温度140℃)
DPT:セルラーD(永和化成工業(株)製発泡剤)
F35:セルパウダーF35(永和化成工業(株)製発泡剤含有樹脂、OBSH35%含有)
硫黄:5%油展処理硫黄(鶴見化学工業(株)製)
CBS:ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業(株)製加硫促進剤)
【0038】
サンプルの調製
表Iに示す配合において、硫黄、加硫促進剤、発泡剤、膨張剤及び1/3量のオイル以外の配合成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて、約5分間混合し、約150℃に達した後にゴムをバンバリーミキサー外に放出させて室温冷却させた。同じバンバリーミキサーを用いて、このゴムと残量のオイルを約4分間混合し、バンバリーミキサー外に放出させてゴムを室温冷却した。さらに得られたゴムを、同じバンバリーミキサーを用いて、加硫促進剤、硫黄、発泡剤、膨張剤を加えて約3分間混合し、110℃以下の温度にてバンバリーミキサー外へ放出し、ロールミルにてシート状にし、室温冷却した。なお表Iに示す配合以外の共通配合成分は以下の通りである。
【0039】
亜鉛華:4重量部
ステアリン酸:1重量部
6C:3重量部
CBS:1.8重量部
【0040】
得られたゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を測定した。結果を表Iに示す。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で165℃で18分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Iに示す。
【0041】
ゴム物性評価試験法
硬度:165℃にて18分加硫したゴムの硬度はJIS K6253に準拠して室温にて測定した。
押出しシュリンク特性:モンサントプロセサビリティーテスター(MPT)を用いて、温度120℃、L/D=20:1、せん断速度100sec-1の条件下でダイスウェルを測定した。結果は実施例1の値を100として指数表示した。この値が小さいほどシュリンク性が優れていることを示す。
ウェットスキッド:ウェット摩擦力はASTM E303に準拠してスキッドテスターにて測定した。結果は実施例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほどウェットスキッド性能が優れていることを示す。
氷上摩擦力:各コンパウンドを6インチ四方、厚さ2mmのモールド内で165℃にて18分加硫し、加硫後に十分に水中冷却した。得られたシート状ゴム片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した(測定温度:−3.0℃、荷重:54N、ドラム回転速度:25km/h)。結果は実施例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほど氷上摩擦性能が優れていることを示す。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例6〜10及び比較例6〜10
以下の例において使用した配合成分はウォラストナイト以外は前述の通りである。ウォラストナイトはNyco社製Nyad 400(平均粒子サイズ:8μm、アスペクト比:8)を用いた。
【0044】
サンプルの調製
表IIの配合において、硫黄、加硫促進剤、発泡剤、膨張剤及び1/3量のオイル以外の配合成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて、約5分間混合し約150℃に達した後にゴムを混合機外に放出させて室温冷却し、同バンバリーミキサーにてこのゴムとオイルの残量を約4分間混合し、混合機外に放出させたゴムを室温冷却する。さらに得られたゴムを同バンバリーミキサーにて、加硫促進剤、発泡剤、膨張剤及び硫黄を加えて約3分間混合し、110℃以下の温度にて機外放出し、ロールミルにてシート状にした後に室温冷却した。
上記以外の共通配合内容
亜鉛華:4重量部
ステアリン酸:1重量部
6C:3重量部
CBS:1.8重量部
【0045】
得られたゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を測定した。結果は表IIに示す。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で165℃で18分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表IIに示す。
【0046】
ゴム物性評価試験法
測定
硬度:165℃にて18分加硫したゴムの硬度はJIS K6253に準拠して室温にて測定した。
押出しシュリンク特性:モンサントプロセサビリティーテスター(MPT)を用いて、温度120℃、L/D=20:1、せん断速度100sec-1の条件下でダイスウェルを測定した。結果は実施例6の値を100として指数表示した。この値が小さいほどシュリンク性が優れていることを示す。
ウェットスキッド:ウェット摩擦力はASTM E303に準拠してスキッドテスターにて測定した。結果は実施例6の値を100として指数表示した。この値が大きいほどウェットスキッド性能が優れていることを示す。
氷上摩擦力:各コンパウンドを6インチ四方、厚さ2mmのモールド内で165℃にて18分加硫し、加硫後に十分に水中冷却した。得られたシート状ゴム片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定温度は−3.0℃、荷重54N、ドラム回転速度は25km/h。結果は実施例6の値を100として指数表示した。この値が大きいほど氷上摩擦性能が優れていることを示す。
【0047】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0048】
以上の通り、本発明に従えば、天然ゴムを含む平均Tgが−50℃以下のジエン系ゴムに、特定のシリカ及びカーボンブラック(場合によっては特定のウォラストナイト)を特定量配合し、更に特定量の膨張剤、そして含硫黄シランカップリング剤、プロセスオイル及び硫黄を配合することにより、スタッドレスタイヤ用として必要な硬度を有し、かつ加工性とウェット性能とをバランスさせ、更に氷上摩擦力を高くすることができるので、空気入りタイヤ、特にスタッドレスタイヤのトレッドなどに有用なゴム組成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム25重量%以上を含み、ゴム成分の平均ガラス転移温度Tgが−50℃以下のジエン系ゴム100重量部に対して、(i)BET比表面積が250m2/g以下のシリカを10〜60重量部、(ii)窒素吸着比表面積(N2SA)が90m2/g以上でDBP吸油量が70〜135ml/100gのカーボンブラックをシリカとの合計量で55〜75重量部、(iii)含硫黄シランカップリング剤をシリカ成分に対して3〜15重量%、(iv)プロセスオイルをゴムの油展成分との合計オイル量で12〜50重量部、(v)硫黄を含硫黄シランカップリング剤成分中の硫黄量との合計量で1.8〜2.6重量部、そして(vi)発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び膨張黒鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の膨張剤を、加硫ゴムの体積膨張率が8〜30%となる量で配合してなるゴム組成物。
【請求項2】
天然ゴム25重量%以上を含み、ゴム成分の平均ガラス転移温度Tgが−50℃以下のジエン系ゴム100重量部に対して、(i)BET比表面積が250m2/g以下のシリカを10〜60重量部、(ii)平均粒子サイズが1〜100μmでアスペクト比が1〜9のウォラストナイトをシリカに対して8〜45重量%、(iii)窒素吸着比表面積(N2SA)が90m2/g以上でDBP吸油量が70〜135ml/100gのカーボンブラックをシリカとウォラストナイトとの合計量で55〜90重量部、(iv)含硫黄シランカップリング剤をシリカ及びウォラストナイトの合計量に対して3〜15重量%、(v)プロセスオイルをゴムの油展成分との合計量で5〜50重量部、そして(vi)硫黄を含硫黄シランカップリング剤成分中の硫黄量との合計量で1.8〜2.6重量部、そして(vii)発泡剤、発泡剤含有樹脂、熱膨張性マイクロカプセル及び膨張黒鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の膨張剤を、加硫ゴムの体積膨張率が8〜30%となる量で配合してなるゴム組成物。
【請求項3】
前記ゴム組成物の加硫ゴムの20℃における硬度が40〜55である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2007−39499(P2007−39499A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222857(P2005−222857)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】