タイヤ空気圧検出装置
【課題】タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行えるようにする。
【解決手段】各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときに異常情報を車体8側の制御装置4に伝える。各送信機2a〜2dでは定期送信周期よりも短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視する。これにより、従来のように車体側の受信機でタイヤ空気圧異常を判定する場合と比較して、より短い周期でタイヤ空気圧の監視を行うことができる。また、短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視しているため、タイヤ空気圧が低下したときには急減圧でも緩減圧でも早急に制御装置4に伝え、警報表示機6を介してドライバに伝えることができる。したがって、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報を行うことが可能となる。
【解決手段】各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときに異常情報を車体8側の制御装置4に伝える。各送信機2a〜2dでは定期送信周期よりも短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視する。これにより、従来のように車体側の受信機でタイヤ空気圧異常を判定する場合と比較して、より短い周期でタイヤ空気圧の監視を行うことができる。また、短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視しているため、タイヤ空気圧が低下したときには急減圧でも緩減圧でも早急に制御装置4に伝え、警報表示機6を介してドライバに伝えることができる。したがって、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報を行うことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサの検出結果を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置が知られている。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪内に、圧力センサ等のセンシング部が備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センシング部での検出結果が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出結果が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われる。
【0003】
また、従来のタイヤ空気圧検出装置として、送信機より所定の送信周期でタイヤ空気圧の検出結果を受信機側に送信するという定期送信を行い、送信機にてタイヤ空気圧の急減圧が検出されると、定期送信の頻度を上げて送信するようにしているものもある。このように定期送信の送信頻度を上げることで、受信機側にタイヤ空気圧が急減圧したことが的確に伝えられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−334328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のようにタイヤ空気圧が急減圧した際に定期送信の頻度を上げるようにする場合、タイヤ空気圧の急減圧には対応できるが緩減圧には対応できない。すなわち、急減圧に関しては、タイヤ空気圧の減少勾配が所定の閾値以上になるため定期送信の送信頻度を上げられるが、緩減圧の場合には、タイヤ空気圧の減少勾配が所定の閾値未満となるため定期送信の送信頻度は上がらない。このため、緩減圧時にタイヤ空気圧の低下を即時に検出することが困難であった。
【0006】
また、従来のタイヤ空気圧検出装置の場合、送信機側で定期送信の送信頻度を上げて送信するなどの対策を行っているものの、受信機が送信機の伝える情報に基づいてタイヤ空気圧を判定することになる。このため、より細かなタイヤ空気圧測定が行えるように、定期送信の送信周期を短くしようとすると、単位時間当たり送信回数が多くなって電池寿命短縮に繋がる。送信機側では、特にデータ送信の際の電力消費量が大きく、単位時間当たりの送信回数が多くなることは電池寿命の観点からは不利となる。特に、常時急減圧時のように送信頻度を多くすると、なおさら電池寿命の低下に繋がることになる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行えるタイヤ空気圧検出装置を提供することを第1の目的とする。また、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行え、かつ、電池寿命の低下を抑制できるタイヤ空気圧検出装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、送信機(2)にて、センシング部(21)が取得したタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときには異常情報を送信することで、その旨を受信手段(3、4)に伝えると共に、受信手段(3、4)からタイヤ空気圧の低下の警報を指示する警報情報を出力することで、警報表示機(6)にてタイヤ空気圧の低下の警報を行うようにしたタイヤ空気圧検出装置であって、送信機(2)は、所定のサンプリング周期毎に当該送信機(2)が取り付けられた車輪(7a〜7d)のタイヤ空気圧を取得すると共に、取得したタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たすか否かを判定する警報条件判定手段(400)にてタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たしたと判定されると、受信手段(3、4)に対して異常情報を送信する異常情報送信手段(410)を有していることを特徴としている。
【0009】
このように、各送信機(2)でタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときに異常情報を車体(8)側の受信手段(3、4)に伝えるようにしている。このため、従来と比較してより短い周期でタイヤ空気圧の監視を行うことができ、タイヤ空気圧が低下したときには急減圧でも緩減圧でも早急に受信手段(3、4)に伝え、警報表示機(6)を介してドライバに伝えることができる。したがって、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報を行うことが可能となる。
【0010】
この場合、請求項2に記載したように、送信機(2)では、定期送信周期毎にセンシング部(21)で取得したタイヤ空気圧に関する情報が送信されるようにし、定期送信周期をサンプリング周期複数周期分以上とすることができる。
【0011】
このように、送信機(2)でタイヤ空気圧の監視のみならず警報判定を行えるようにしているため、受信手段(3、4)側で短時間毎にタイヤ空気圧の監視を行わなくても良くなり、定期送信周期を長くすることができる。このため、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行え、かつ、電池寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、受信手段(3、4)は、警報条件として用いる警報閾値情報を記憶しており、受信手段(3、4)から警報閾値情報を受け取り、アンテナ(51)を通じて複数個の車輪(7a〜7d)それぞれに取り付けられた送信機(2)に送信するアンテナドライバ(5)を備え、送信機(2)は、アンテナ(51)から送信された警報閾値情報を受信すると共に当該警報閾値情報を読み出して記憶し、警報条件として用いることを特徴としている。
【0013】
このように、受信手段(3、4)側に警報閾値情報を記憶しておき、それを送信機(2)に伝えるようにすることができる。この警報閾値情報を警報条件として用いることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、送信機(2)は、記憶した警報閾値情報を読み出す読出手段(510、610、700)と、読出手段(510、610、700)にて読み出された警報閾値情報が正規データであるか否かを判定する判定手段(520、620、710)と、判定手段(520、620、710)による判定結果を示すデータをセットして受信手段(3、4)に送信する送信手段(530〜550、630〜650、720〜730)とを有していることを特徴としている。
【0015】
このように、各送信機(2)に記憶された警報閾値情報が正規データであるか否かを判定させることが可能となる。そして、正規データが記憶されていなければ、例えば、受信手段(3、4)より送信機(2)のうち少なくとも正規データが記憶されていないものに対して、再び警報閾値情報を記憶させる処理を実行する。これにより、異常時に警報閾値情報を再設定することが可能となり、正規データに基づいて、正しくタイヤ空気圧の低下や急減圧を検出することが可能となる。
【0016】
例えば、請求項5に記載したように、受信手段(3、4)にて、送信機(2)に対して警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせる際に要求トリガを出力したときに、送信機(2)の要求トリガ受信手段(500)で要求トリガを受信したことを判定し、読出手段(510)による警報閾値情報の読し出しや、判定手段(520)による警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行うようにすることができる。また、請求項6に記載したように、送信機(2)が所定の定期送信毎にタイヤ空気圧の検出結果を送信する定期送信のタイミングで、読出手段(610)による警報閾値情報の読し出しや、判定手段(620)による警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせるようにすることもできる。また、請求項7に記載したように、所定の制御周期毎に、読出手段(700)による警報閾値情報の読し出しや、判定手段(710)による警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせるようにすることもできる。
【0017】
請求項8に記載の発明では、送信機(2)は、記憶した警報閾値情報を読み出す読出手段(810)と、読出手段(810)にて読み出された警報閾値情報に関するデータをセットして受信手段(3、4)に送信する送信手段(830)とを有し、受信手段(3、4)は、送信機(2)が送信した警報閾値情報に関するデータを受信し、警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴としている。
【0018】
このように、各送信機(2)に記憶された警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を受信手段(3、4)側で行うこともできる。このようにしても、請求項4と同様の効果を得ることができる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】各車輪7a〜7d側に取り付けられる送信機2a〜2dと、車体8側に備えられるRF受信機3や制御装置4およびアンテナドライバ5のブロック構成を示した図である。
【図3】車体8側に備えられた制御装置4のマイクロコンピュータ41が行う処理を示したフローチャートである。
【図4】各車輪7a〜7dに備えられた送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22が行う処理を示したフローチャートである。
【図5】従来のタイヤ空気圧の異常判定と本実施形態の異常判定の相違を示したタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図10】閾値確認時の動作を示したタイミングチャートである。
【図11】他の実施形態で説明する閾値確認時の動作を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。図1の紙面上下方向が車両1の前後方向に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2(2a〜2d)、RF受信機3、制御装置4、アンテナドライバ5やアンテナ51および警報表示機6を備えて構成されている。
【0024】
図1に示すように、送信機2a〜2dは、車両1における各車輪7a〜7dに取り付けられる。送信機2a〜2dは、所定のサンプリング周期毎に車輪7a〜7dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、所定の定期送信周期および異常検出時にその検出結果を示すタイヤ空気圧に関するデータをフレーム内に格納してRF送信する。また、RF受信機3や制御装置4は、車両1における車体8側に取り付けられるもので、送信機2a〜2dから送信されたフレームをRF受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧検出を行うものである。これらRF受信機3や制御装置4が本発明の受信手段に相当する。図2に、各車輪7a〜7d側に取り付けられる送信機2a〜2dと、車体8側に備えられるRF受信機3や制御装置4およびアンテナドライバ5のブロック構成を示す。
【0025】
図2(a)に示すように、送信機2(2a〜2d)は、センシング部21、マイクロコンピュータ22、アンテナ23および電池24を備えた構成となっており、電池24からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
【0026】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。
【0027】
マイクロコンピュータ22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた一般的なものであり、制御部(第1制御部)や送信部などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2a〜2dを特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
【0028】
マイクロコンピュータ22は、アンテナ23を通じて警報閾値と警報変化閾値を含む警報閾値情報を受信し、この警報閾値情報を記憶する。また、マイクロコンピュータ22は、所定のサンプリング周期毎にセンシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理することで送信機2が取り付けられた車輪7a〜7dのタイヤ空気圧を検出する。このサンプリング周期毎に検出したタイヤ空気圧と警報閾値情報とに基づいて、タイヤ空気圧の低下を検出する。具体的には、タイヤ空気圧を警報閾値と比較し、タイヤ空気圧が警報閾値以下になるとタイヤ空気圧の低下と判定したり、タイヤ空気圧の変化勾配を警報変化閾値と比較し、タイヤ空気圧が警報変化閾値以上になるとタイヤ空気圧の急減圧と判定する。そして、タイヤ空気圧の低下や急減圧が検出されると、タイヤ空気圧に異常があることを示す異常情報を各送信機2a〜2dのID情報と共にフレームに格納し、それをRF電波にてRF受信機3側に送信する。また、マイクロコンピュータ22は、タイヤ空気圧の異常が検出されていない通常時には、サンプリング周期毎検出されるタイヤ空気圧に関するデータを所定の送信周期毎にRF受信機3側に送信する定期送信を行っている。この定期送信の送信周期は、サンプリング周期よりも長く設定されており、送信されるタイヤ空気圧に関するデータとしては、例えば送信周期に最も近いサンプリング周期に検出されたタイヤ空気圧とされる。
【0029】
このように構成される送信機2a〜2dは、例えば、各車輪7a〜7dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、上記したように、各送信機2a〜2dに備えられたアンテナ23を通じて、所定の送信タイミングの際にフレームを送信することで、RF受信機3側にタイヤ空気圧に関するデータを送信するようになっている。
【0030】
また、図2(b)に示すように、RF受信機3は、受信アンテナ31および受信回路32を備えた構成とされる。受信アンテナ31は、各送信機2a〜2dから送られてくるフレームを受信するためのものである。受信アンテナ31は、車体8に固定されており、各車輪7a〜7dそれぞれの送信機2a〜2dから送信されたフレームを受信する。受信アンテナ31は、例えば車両1のピラーおよび天井(ルーフ内)に配置される。受信回路32は、受信アンテナ31によって受信された各送信機2a〜2dからの送信フレームを入力し、そのフレームを制御装置4に送る入力部としての機能を果たす。
【0031】
制御装置4は、第2制御部に相当するもので、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータ41によって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従ってタイヤ空気圧検出処理を行う。具体的には、制御装置4は、フレームに格納された各送信機2a〜2dのID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪7a〜7dのタイヤ空気圧検出を行う。そして、受信したフレームがタイヤ空気圧に異常があることを示す異常情報が含まれていれば、警報情報を警報表示機6に伝える。制御装置4と警報表示機6は直接的に配線で接続されていても良いし、車内LAN等の通信回線を通じて接続されていても良い。
【0032】
また、制御装置4は、各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧の低下の判定に用いる警報閾値情報をCPU内に備えられたROM、RAMまたはEEPROM等のメモリ(記憶素子)内に格納(記憶)してある。制御装置4は、この警報閾値情報を読み出し、アンテナドライバ5を通じて各送信機2a〜2dに伝える動作も行っている。警報閾値情報としては、上記したようなタイヤ空気圧と比較される警報閾値や、タイヤ空気圧の変化勾配と比較される警報変化閾値をメモリ内に格納してある。
【0033】
なお、本実施形態では、制御装置4は、主に送信機2a〜2dからの送信フレームに格納された異常情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するようにしている。しかしながら、定期送信されてきた送信フレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、制御装置4でもタイヤ空気圧の低下が検出されるようにしても良い。
【0034】
アンテナドライバ5は、アンテナ51(51a〜51d)とドライバ回路52とを備えた構成とされている。アンテナ51a〜51dは、各車輪7a〜7dの近傍に設置され、各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報を例えばLF電波として送信する。ドライバ回路52は、各アンテナ51a〜51dから各送信機2a〜2dへの警報閾値情報を示すLF電波の送信を行う出力部としての機能を果たす。
【0035】
警報表示機6は、警報部として機能するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプ、ナビゲーションシステムのディスプレイやメータ内のマルチディスプレイ等によって構成される。この警報表示機6は、例えば制御装置4からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を警報する。
【0036】
次に、上記のように構成されたタイヤ空気圧検出装置によるタイヤ空気圧検出処理について説明する。図3は、車体8側に備えられた制御装置4のマイクロコンピュータ41が行う処理を示したフローチャートである。また、図4は、各車輪7a〜7dに備えられた送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22が行う処理を示したフローチャートである。以下、これらの図を参照して、制御装置4と各送信機2a〜2dで実行される処理について説明する。
【0037】
まず、制御装置4は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、図3(a)に示す警報閾値情報送信処理を実行する。ステップ100では、マイクロコンピュータ41のメモリに格納された警報閾値情報を読み出す。警報閾値情報としては、検出されるタイヤ空気圧の絶対値と比較される警報閾値に関する情報と、タイヤ空気圧の単位時間当たりの変化と比較される警報変化閾値がある。警報閾値や警報変化閾値については、直接数値として設定されている値を用いても良いし、推奨圧から算出された値を用いても良い。なお、ここでは警報閾値情報として警報閾値と警報変化閾値を例に挙げたが、いずれか一方のみ、例えば警報閾値のみであっても構わない。
【0038】
次に、ステップ110では、ステップ100で読み出した警報閾値情報の出力処理を行う。すなわち、アンテナドライバ5に対して警報閾値情報と共に閾値設定コマンドを格納したフレームを伝え、各アンテナ51a〜51dより各送信機2a〜2dにそのフレームを送信させる。これにより、各送信機2a〜2dでそのフレームが受信されると、送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22が閾値設定コマンドの指示に基づいて警報閾値情報に含まれる警報閾値や警報変化閾値のデータを読み出して記憶し、閾値データ設定完了を示す信号が出力される。このため、ステップ120では、その閾値データ設定完了を示す信号を受け取り、受け取ると送信機2a〜2d側で正常設定されたことが確認されたとして、警報閾値情報送信処理を完了する。ここで閾値データ設定完了を示す信号を受け取らなかった場合には、再度、ステップ100、110の処理を繰り返し行ってリトライすることで、確実に各送信機2a〜2dで警報閾値や警報変化閾値が設定されるようにすることができる。
【0039】
なお、ここではステップ120で閾値データ設定完了を示す信号の受信を行うようにしたが、この処理はより確実に各送信機2a〜2dで警報閾値や警報変化閾値が設定されるようにするためのものであり、必要に応じて行えば良い。また、リトライによってステップ100、110の処理を繰り返す場合には、一定回数のリトライを行っても有効な返信がなければ、電波が届き難い状況もしくは送信機2a〜2dの不良などと考えられるため、タイムアウトを設けるようにするのが好ましい。リトライを行う場合、送信機2a〜2dのうち閾値データ設定完了を示す信号を受信していないものに対してのみリトライを行うようにしても良い。
【0040】
また、図3(a)に示す警報閾値情報送信処理とは別フローとして、異常情報受信処理を行っている。この処理は、図3(a)の警報閾値情報送信処理が終了してから行われるようにすればよいが、警報閾値情報送信処理と無関係に行っても構わない。
【0041】
まず、ステップ200では異常情報受信の有無を判定する。異常情報とは、後述するように、送信機2a〜2dで検出されたタイヤ空気圧が警報閾値以下になった場合、もしくは、タイヤ空気圧の変化勾配が警報変化閾値以上になった場合に、タイヤ空気圧に異常が発生したとして送信される情報である。本ステップでは、この異常情報を受け取ったか否かを判定している。ここで、異常情報を受信するまで待機し、異常情報を受信すると、ステップ210に進んで警報情報を警報表示機6に送信する。これにより、警報表示機6は、受信した警報情報に基づいて、タイヤ空気圧が低下した旨の表示を行うことにより、ドライバにタイヤ空気圧の低下を警報する。
【0042】
一方、各送信機2a〜2dでは、マイクロコンピュータ22が電池24からの電力供給に基づいて、所定の制御周期毎に図4(a)に示す警報閾値設定処理を行うと共に、所定のサンプリング周期毎に図4(b)に示すタイヤ空気圧監視処理を行っている。
【0043】
図4(a)に示す警報閾値設定処理では、まず、ステップ300において閾値設定コマンドの受信の有無について判定する。上記したように、制御装置4側において、図3(a)のステップ110で警報閾値情報と共に閾値設定コマンドを格納したフレームが送信されると、そのフレームが各受信機2a〜2dで受信される。各受信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22は、この閾値設定コマンドが格納されたフレームを受信すると、本ステップで閾値設定コマンドの受信有りと判定する。
【0044】
ここで閾値設定コマンドの受信が有るまで待機し、閾値設定コマンドの受信有りと判定されると、ステップ310に進んで受信したフレームに格納されている警報閾値情報を読み込む。そして、ステップ320で警報閾値情報をCPU内に備えられたROM、RAMまたはEEPROM等のメモリ等に記憶し、閾値データ設定完了を示す信号を送信したのち、処理を終了する。このとき、メモリ等への記憶として、EEPROM等の記憶素子に警報閾値情報を記憶する場合、書換え寿命を考慮して、毎回異なるメモリ領域に記憶するようにすると好ましい。
【0045】
また、図4(b)に示すタイヤ空気圧監視処理では、警報閾値設定処理で記憶した警報閾値情報に基づいてタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧の低下を検出する。まず、ステップ400において、警報条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、所定のサンプリング周期毎にセンシング部21に備えられた圧力センサ21aや温度センサ21bにて圧力や温度を検出し、その検出結果に基づいて各送信機2a〜2dは、自分自身が取り付けられた車輪7a〜7dのタイヤ空気圧を演算する。そして、このタイヤ空気圧が警報閾値以下になった場合、もしくはタイヤ空気圧の変化勾配、例えば今回のサンプリング周期と前回のサンプリング周期それぞれのタイヤ空気圧の差が警報変化閾値以上になった場合に、警報条件を満たしたとしている。
【0046】
ここで警報条件を満たすまで待機し、警報条件を満たすとステップ410に進んでタイヤ空気圧が低下したことを示す異常情報をRF電波にて送信する。この異常情報が受信機3で受信されると、それが制御装置4に伝えられることで、上記した図3(b)のステップ200で異常情報受信有りと判定され、警報表示機6による警報情報の表示が行われることになる。
【0047】
このように、各送信機2a〜2dは、自分自身が取り付けられた車輪7a〜7dのタイヤ空気圧が低下していることを自分自身で検出し、タイヤ空気圧が低下している場合に、その旨を示す異常情報を車体8側の制御装置4に伝えるようにしている。このため、急減圧の場合に限らず緩減圧の場合にも、タイヤ空気圧が低下したときに、即座にそれを制御装置4に伝えることが可能となる。
【0048】
なお、図4(b)中には、定期送信のフローについて図示しないしていないが、定期送信も行っている。定期送信の周期は、サンプリング周期複数周期分以上に設定される。そして、所定のサンプリング周期毎に演算されたタイヤ空気圧に関する情報を定期送信の周期毎に、各送信機2a〜2dから送信するようにしている。このとき、上記したように各送信機2a〜2dが自分自身でタイヤ空気圧の低下を検出できることから、従来のように車体側の受信機でタイヤ空気圧の低下を判定している場合と比べて、定期送信の周期を長くすることができる。つまり、従来のように車体側の受信機でタイヤ空気圧の低下を判定する場合には、定期送信の周期を短くして短時間毎にタイヤ空気圧を監視しないと、タイヤ空気圧が急減圧した場合に対処できない。これに対して、本実施形態のように、送信機2a〜2d側でタイヤ空気圧の低下を検出できるようにし、サンプリング周期を短くすることで、タイヤ空気圧の急減圧にも即座にタイヤ空気圧が低下したことを示す異常情報を送信することができ、かつ、基本的にはサンプリングを行っているだけでデータ送信は行っていないため消費電力も少なくできる。このため、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行え、かつ、電池寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0049】
図5は、従来のタイヤ空気圧の異常判定と本実施形態の異常判定の相違を示したタイミングチャートである。この図に示されるように、従来では、定期送信の周期毎にしかタイヤ空気圧に関する情報が車体側の受信機に伝えられないため、定期送信の周期の途中で圧力異常が発生しても、次の定期送信の周期が来るまで異常が伝えられない。これに対して、本実施形態のように、各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視し、異常発生時に制御装置4にそれを伝える形態とすれば、サンプリング周期も短くできるし、圧力異常発生時に即座にそれを制御装置4に伝えることが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときに異常情報を車体8側の制御装置4に伝えるようにしている。そして、各送信機2a〜2dでは定期送信周期よりも短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視するようにしているため、従来と比較してより短い周期でタイヤ空気圧の監視を行うことができる。また、短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視しているため、タイヤ空気圧が低下したときには急減圧でも緩減圧でも早急に制御装置4に伝え、警報表示機6を介してドライバに伝えることができる。したがって、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報を行うことが可能となる。
【0051】
また、送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視できるため、車体8側の制御装置4で細かくタイヤ空気圧を監視する必要が無くなる。このため、定期送信の周期を長くすることができ、定期送信のための消費電力を低減することが可能となり、電池寿命の低下を抑制することも可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤ空気圧検出装置は、第1実施形態に対して、各送信機2a〜2dへの警報閾値情報の確認要求が行えるようにしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
上記第1実施形態では、閾値データ設定完了を示す信号を出力することで警報閾値情報に含まれる警報閾値や警報変化閾値のデータを記憶したことを示したが、本実施形態では、記憶したデータが正しい正規データであるか否かを判別できるようにしている。
【0054】
具体的には、制御装置4は、各送信機2a〜2dに対して記憶したデータが正しい正規データであるか否かを判別させたいときに、閾値確認要求をアンテナドライバ5に出力する。例えば、図示しないイグニッションスイッチをオンしたタイミングや、前回閾値確認要求を出してから所定周期経過したときなどに、閾値確認要求を出す。これに基づき、アンテナドライバ5のドライバ回路52は、閾値確認要求や閾値確認データを含むLF電波を各アンテナ51a〜51dから出力させ、それを各送信機2a〜2dに受信させる。そして、各送信機2a〜2dは、閾値確認要求を含むLF電波を受信すると、図6に示したフローチャートを実行する。
【0055】
すなわち、各送信機2a〜2dは図6に示す閾値確認処理を所定の制御周期毎に実行している。そして、ステップ500に示される要求トリガ受信判定において、要求トリガに相当するLF電波を受信するまで待機しており、ステップ500で受信したと判定されると、そのLF電波(要求トリガ)の受信強度を測定すると共にステップ510以降の処理を実行する。
【0056】
ステップ510では、格納された警報閾値情報読み出し処理を行う。この処理では、マイクロコンピュータ22のCPU内に備えられたROM、RAMまたはEEPROM等のメモリ(記憶素子)に格納された警報閾値に関するデータの読み出しを行う。警報閾値に関するデータとは、アンテナドライバ5を通じて車体側から送られて記憶した現在の警報閾値情報を意味しているが、予めミラーデータとして記憶してある警報閾値情報(以下、単にミラーデータという)がある場合には、そのミラーデータも含まれる。
【0057】
続いて、ステップ520に進み、ステップ510で読み出した警報閾値に関するデータが正規データであるか否かを判定する。例えば、受信したLF電波内に含まれる閾値確認データとステップ510で読み出した警報閾値情報とを照合し、これらが一致しているか否かを判定する。また、ステップ510で読み出した警報閾値情報とミラーデータとを照合し、これらが一致しているか否かを判定するようにしても良い。
【0058】
なお、ステップ520において、各送信機2で記憶された警報閾値情報が消失している場合には、正規データではないと判別する。
【0059】
このステップ520で肯定判定されればステップ530に進んで正常時送信データをタイヤ空気圧に関するデータと同じフレームもしくは別のフレームにセット(格納)する。同様に、ステップ520で否定判定されればステップ540に進んで異常時送信データをタイヤ空気圧に関するデータと同じフレームもしくは別のフレームにセット(格納)する。例えば、送信フレーム中に正常か異常かを示すべく割り当てられた1ビットまた数ビットを用いて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットする。
【0060】
そして、ステップ550に進み、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信を避けるために、LF電波の受信強度に応じた遅延を持たせて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームをRF送信する。これにより、RF受信機3にて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームが受信され、制御装置4にて、各送信機2a〜2dが記憶した警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。
【0061】
このように、各送信機2にて記憶された警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。そして、正規データが記憶されていなければ、制御装置4より送信機2a〜2dのうち少なくとも正規データが記憶されていないものに対して、再び警報閾値情報を記憶させる処理を実行する(図3参照)。これにより、異常時に警報閾値情報を再設定することが可能となり、正規データに基づいて、正しくタイヤ空気圧の低下を検出することが可能となる。また、異常時には、その状態を警報表示機6などを通じてドライバに伝えることもできる。
【0062】
なお、上記では、LF電波内の閾値確認データとステップ510で読み出した警報閾値情報とを照合した。これに代えて、もしくは、これに加えて、読み出した警報閾値情報からエラーコレクションコード(ECC)やフレームチェックコード(FCC)のキャラクタを抽出して照合したり、パリティーチェックを行うようにして正規データであるか否かを判定しても良い。また、ミラーデータを有している場合には、そのミラーデータを用いて現在の警報閾値情報を自己修復するようにしても良い。その場合、異常時送信データをセットするときに、同時に自己修復を行ったことを示すデータもセットするようにすることができる。
【0063】
また、上記ステップ550で異常時送信データをセットしたフレームをRF送信した後に、そのフレームを送信した送信機2a〜2dに対して再設定のための警報閾値情報が送られてこないこともあり得る。その場合には、再設定のための警報閾値情報が送られてくるまで、異常時送信データをセットしたフレームのRF送信を繰り返し行うようにしても良い。
【0064】
また、RF送信を行うフレームのビット数に余裕がある場合には、正常時送信データもしくは異常時送信データに加えて、現在設定されている警報閾値情報についてもフレーム中にセットしても良い。その場合、現在設定されている警報閾値情報について、制御装置4側で正常であるか異常であるかを判定することもできる。例えば、警報閾値情報からECCやFCCのキャラクタを抽出して照合したり、パリティーチェックを行うようにして正規データであるか否かを判定したり、ミラーデータを備え、ミラーデータと照合して正規データであるか否かを判定したりすることができる。
【0065】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、各送信機2a〜2dに警報閾値情報の確認を行わせるようにしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
本実施形態では、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングに第2実施形態と同様の警報閾値情報のチェックを行う。このタイミング以外については、第2実施形態と同様である。
【0067】
各送信機2a〜2dは、所定の制御周期毎に図7に示したフローチャートを実行しており、ステップ600に示される空気圧送信タイミング判定において、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングであると判定されると、ステップ610以降の処理を実行する。
【0068】
具体的には、ステップ610〜640では、第2実施形態で説明した図6のステップ510〜540と同様の処理を実行する。ただし、ステップ620では、閾値確認データを受信していないため、例えばステップ610で読み出した警報閾値情報とミラーデータとを照合し、これらが一致しているか否かを判定している。また、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットするフレームについては、タイヤ空気圧に関するデータを格納するフレームと別フレームであっても良いが、定期送信のタイミングであることから、これらのフレームを同じフレームにすると好ましい。このようにすれば、この後行われるフレーム送信を1つにまとめることができ、消費電力低減に伴う電池寿命の向上を図ることができる。
【0069】
この後、ステップ650に進み、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームをRF送信する。これにより、RF受信機3にて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームが受信され、制御装置4に、各送信機2a〜2dが記憶した警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。
【0070】
このように、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングのときに、各送信機2a〜2dに警報閾値情報の確認を行わせるようにしても良い。これにより、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、定期送信と共に警報閾値情報が正規データであるか否かの判定結果を送ることで、その判定結果を送るためのみのRF送信が必要なくなるため、消費電力低減が図れ、電気寿命の向上を図ることができる。
【0071】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態も、各送信機2a〜2dに警報閾値情報の確認を行わせるようにしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
本実施形態では、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングにかかわらず、所定の制御周期毎に第3実施形態と同様の警報閾値情報のチェックを行う。このタイミング以外については、ほぼ第2実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
各送信機2a〜2dは、所定の制御周期毎に図8に示したフローチャートを実行しており、所定の制御周期毎にステップ700〜730の処理を実行する。ステップ700、710では、第3実施形態で説明した図6のステップ610、620と同様の処理を実行する。そして、ステップ710で否定判定されたときにはステップ720に進んでステップ640と同様の処理を実行するが、肯定判定されたときにはそのまま処理を終了する。現在の警報閾値情報が正規データであった場合に正常時送信データをセットしたフレームを送信しても良いが、正常であれば何も応答しなくても良いことから、そのまま処理を終了しても良い。このようにすれば、消費電力低減による電池寿命向上を図ることができる。
【0074】
また、ステップ720で異常時送信データをタイヤ空気圧に関するデータと同じフレームもしくは別のフレームにセット(格納)する。そして、ステップ730に進んで異常時送信データをセットしたフレームをRF送信すると共に閾値データ再送要求を送信する。このときの閾値データ再送要求については、そのコマンドを異常時送信データをセットしたフレーム内に格納しておけば、1度のフレーム送信で異常時送信データと閾値データ再送要求のデータの両方の送信が行える。
【0075】
このように、所定の制御周期毎に各送信機2a〜2dに警報閾値情報のチェックを行わせるようにしても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、異常時送信データをセットしたフレームをRF送信すると共に閾値データ再送要求を送信するようにした。しかしながら、第2、第3実施形態と同様、異常時送信データに基づいて正規データが記憶されていないことを認識し、制御装置4より送信機2a〜2dのうち少なくとも正規データが記憶されていないものに対して、再び警報閾値情報を記憶させる処理を実行するようにしても良い。勿論、第2、第3実施形態に対しても、本実施形態のように、送信機2a〜2dから正規データが記憶されていなかったときに閾値データ再送要求が出されるようにしても良い。
【0076】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を送信機2a〜2dで行うのではなく、送信機2a〜2dから記憶している現在の警報閾値情報を制御装置4側に送信し、制御装置4側で判定させるようにする。
【0077】
本実施形態では、警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を実行する警報閾値情報確認のタイミングになると、制御装置4に閾値確認要求処理を実行させる。例えば、所定周期毎もしくは各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報を送信してから所定時間経過後などのタイミングに閾値確認要求処理を実行させる。具体的には、そのタイミングに、各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報確認を行わせるために、アンテナドライバ5のドライバ回路52を通じて各アンテナ51a〜51dより読み出しコマンドを示すLF電波を出力する。
【0078】
各送信機2a〜2dは、所定の制御周期毎に図9に示したフローチャートを実行しており、ステップ800に示される読み出しコマンド受信判定において、読み出しコマンドを受信したと判定されると、ステップ810以降の処理を実行する。
【0079】
ステップ810では、各送信機2a〜2dは、第2実施形態で説明した図6のステップ510と同様、格納された警報閾値情報読み出し処理を行う。また、必要に応じて警報閾値情報を符号化(例えば、データ長短縮や冗長性付加)したり、読み出した警報閾値情報からECCやFCCのキャラクタもしくはパリティーチェック用のデータを抽出したりする。勿論、符号化などを行わずに警報閾値情報の生値をそのまま用いても良い。つまり、生値の警報閾値情報と符号化などを行った警報閾値情報とにかかわらず、警報閾値情報に関するデータであれば構わない。
【0080】
そして、ステップ820に進み、警報閾値情報の生値もしくは符号化などを行った生成データを送信機固有のID情報などと共にRF送信データへ配列することで送信フレームを作成する。
【0081】
その後、ステップ830に進んでRF送信タイミングでデータ送信を行う。例えば、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信を避けるために、LF電波の受信強度に応じた遅延を持たせて、RF送信データをセットしたフレームをRF送信する。
【0082】
例えば、図1に示したように、アンテナ51が各車輪7a〜7dに対応した数備えられている場合には、図10に示すタイミングチャートのような動作を行う。すなわち、各アンテナ51a〜51dより順番に閾値確認要求を示すLF電波を出力すると、各送信機2a〜2dのうち各アンテナ51a〜51dと対応する車輪7a〜7dに取り付けられたものからその都度警報閾値情報が返信される。このとき、各アンテナ51a〜51dから順番に閾値確認要求が出され、閾値確認要求のLF電波を受信すると各送信機2a〜2dより警報閾値情報を返信するようにすれば、各送信機2a〜2dから異なるタイミングで警報閾値情報の返信が行われることになる。したがって、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信が発生することはない。
【0083】
なお、警報閾値情報の返信があったときに、次のアンテナ51からのLF電波の送信を行うようにすればよいが、有効な返信が無いことも有り得る。その場合には、再度LF電波を送信してリトライすることもできる。その場合でも、一定回数のリトライを行っても有効な返信がなければ、電波が届き難い状況もしくは送信機2a〜2dの不良などと考えられるため、タイムアウトを設けるようにするのが好ましい。
【0084】
このようにして生値もしくは符号化等を行った警報閾値情報が格納されたフレームが送信されると、それがRF受信機3で受信される。そして、制御装置4に送られることで、各送信機2a〜2dが記憶した警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。このように、各送信機2から警報閾値情報を送信させ、制御装置4側で警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することも可能となる。
【0085】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、各車輪7a〜7dに対応して4つのアンテナ51a〜51dを備え、各アンテナ51a〜51dより各車輪7a〜7dに取り付けられた送信機2a〜2dに個々に警報閾値情報を格納したフレームが送信されるようにしている。しかしながら、これは単なる一例を示したに過ぎず、例えば、両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対応したアンテナと両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対応したアンテナの2つを備えるようにしても良いし、全車輪7a〜7dの各送信機2a〜2dすべてにフレーム送信が行える1つのアンテナとしても構わない。
【0086】
アンテナを2つとする場合、例えば一方のアンテナを車両フロント寄りに配置しつつ両前輪7a、7bから異なる距離に配置し、他方のアンテナ51を車両リア寄りに配置しつつ両後輪7c、7dから異なる距離に配置する形態とする。この場合、一方のアンテナ51にて両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対してLF電波を出力し、他方のアンテナ51にて両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対してLF電波を出力すれば良い。
【0087】
このような形態とされる場合でも、上記各実施形態と同様の動作を行うことができる。例えば、第5実施形態のように閾値確認要求を行う場合には、図11に示すタイミングチャートのような動作を行う。
【0088】
すなわち、両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対して閾値確認要求を示すLF電波を出力すると、アンテナ51から両前輪7a、7bまでの距離が異なることから、送信機2a、2bでのLF電波の受信強度が異なった値になる。このため、受信強度に応じた遅延を持たせてRF送信が行われるようにすることで、各送信機2a、2bから順番に異なるタイミングで警報閾値情報を返信させることができる。同様に、その後、両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対して閾値確認要求を示すLF電波を出力すると、アンテナ51から両後輪7c、7dまでの距離が異なることから、送信機2c、2dでのLF電波の受信強度が異なった値になる。このため、受信強度に応じた遅延を持たせてRF送信が行われるようにすることで、各送信機2c、2dから順番に異なるタイミングで警報閾値情報を返信させることができる。したがって、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信が発生することはない。
【0089】
なお、アンテナ51を2つ用いる場合でも、警報閾値情報の返信があったときに、次のアンテナ51からのLF電波の送信を行うようにすればよいが、有効な返信が無いことも有り得る。その場合には、再度LF電波を送信してリトライすることもできる。その場合でも、一定回数のリトライを行っても有効な返信がなければ、電波が届き難い状況もしくは送信機2a〜2dの不良などと考えられるため、タイムアウトを設けるようにするのが好ましい。
【0090】
(2)また、各車輪7a〜7dの警報閾値や警報変化閾値などの警報閾値情報について、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dとで同じであっても良いし、異なるようにしても良い。
【0091】
各車輪7a〜7dの警報閾値情報が同じ場合、アンテナ51が4つの場合には、各車輪7a〜7dに対して同時にもしくはそれぞれ異なるタイミングで警報閾値情報を送信することができる。また、アンテナ51が2つの場合には、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dに対して順番に警報閾値情報を送信しても良いし、同時に警報閾値情報を送信しても良い。この場合にも、各送信機2a〜2dで警報閾値情報が正常に記憶されると閾値データ設定完了を示す信号が返信されてくるが、その返信がなければ一定回数のリトライを行うようにすると好ましい。リトライを行う場合、送信機2a〜2dのうち閾値データ設定完了を示す信号を受信していないものに対してのみリトライを行うようにしても良い。
【0092】
また、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dとで異なるようにする場合も同様のことが言える。すなわち、アンテナ51が4つの場合には、各車輪7a〜7dに対して同時にもしくはそれぞれ異なるタイミングで警報閾値情報を送信することができる。また、アンテナ51が2つの場合には、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dに対して順番に警報閾値情報を送信しても良いし、同時に警報閾値情報を送信しても良い。ただし、これらの場合、両前輪7a、7bと対応するアンテナ51から前輪用の警報閾値情報を送信し、両後輪7c、7dと対応するアンテナ51から後輪用の警報閾値情報を送信する。このとき、各送信機2a〜2dが各車輪7a〜7dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する車輪位置検出機能を備えたタイヤ空気圧検出装置である場合において、車輪位置検出が完了済みであれば、警報閾値情報に対象とする送信機のID情報を付加しても良い。このようにすれば、仮に各送信機2a〜2dで2つのアンテナ51から送信されたLF電波が両方共受信されたとしても、対象とするLF電波を特定することが可能となる。逆に、車輪位置検出が完了前であれば、各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報を送信する前に、車輪位置検出を実行して完了させるようにする動作を行うようにしておき、その結果を待ってから各送信機2a〜2dへの警報閾値情報の送信を行うようにしても良い。
【0093】
なお、警報閾値情報を伝えるアンテナ51が4つもしくは2つの場合は、上記したように、両前輪7a、7bの送信機2a、2bと両後輪7c、7dの送信機2c、2dとに対してそれぞれ異なる警報閾値情報を送信すれば良い。しかしながら、アンテナ51が1つの場合には、次のようにして行うことになる。
【0094】
すなわち、各送信機2a〜2dに受信強度を測定させるようにし、アンテナ51からは両前輪7a、7bの警報閾値情報と両後輪7c、7dの警報閾値情報を送信する際に異なる信号強度の電波で送信するようにする。また、各送信機2a〜2dでは、警報閾値情報の受信を許可する最低受信強度を設定しておく。そして、アンテナ51を両前輪7a、7bか両後輪7c、7dのいずれか一方に近づけるように配置する。このようにすることで、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dのうちアンテナ51から近いほうの送信機2では異なる警報閾値情報を受信した時に受信強度の強い方側が自分自身の警報閾値情報であると判定することができる。また、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dのうちアンテナ51から遠い方の送信機2では最低受信強度を超える電波に含まれた警報閾値情報を自分自身の警報閾値情報であると判定することができる。
【0095】
(3)上記実施形態では、警報閾値情報の送信についてはLF電波を使用し、タイヤ空気圧の低下を示す異常情報の送信についてはRF電波を使用するようにしているが、どのような電波を用いるかについては任意に選択可能である。
【0096】
(4)上記実施形態では、RF受信機3を1つのみ設ける場合について説明したが、各送信機2a〜2dに対応して複数備えられていても良い。この場合も、全車輪7a〜7dの各送信機2a〜2dすべてに対応した数備えられていても良いし、両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対応したものと両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対応したものの2つであっても良い。また、RF受信機3のうちのアンテナ31のみを複数個にしても良い。
【0097】
(5)上記実施形態では、警報条件として、タイヤ空気圧の低下の条件を示したが、タイヤ空気圧の低下のみでなく、タイヤ空気圧の増加や温度の上昇についても警報条件とすることができる。例えば、タイヤ空気圧が規定値以上に増加した場合や、タイヤ内の温度が規定値以上のときに警報を行うようにしても良い。
【0098】
また、警報条件については、各車輪7a〜7dそれぞれ独立して異なる条件に設定することも可能である。勿論、前後輪それぞれで異なる条件に設定することも可能である。その場合、各送信機2a〜2dに対して送信される電波が混信することを避けるべく、各送信機2a〜2dの固有のID情報を警報閾値情報と共に付すことで、各送信機2a〜2dが自分自身の警報閾値情報を受信したか否かについて判定できるようにすると良い。
【0099】
(6)なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。具体的には、ステップ400に示す処理を実行する部分が警報条件判定手段に相当し、ステップ210に示す処理を実行する部分が異常情報送信手段に相当する。
【符号の説明】
【0100】
1 車両
2(2a〜2d) 送信機
3 RF受信機
4 制御装置
5 アンテナドライバ
6 警報表示機
7a〜7d 車輪
8 車体
21 センシング部
22、41 マイクロコンピュータ
23、31、51 アンテナ
32 受信回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサの検出結果を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置が知られている。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪内に、圧力センサ等のセンシング部が備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センシング部での検出結果が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出結果が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われる。
【0003】
また、従来のタイヤ空気圧検出装置として、送信機より所定の送信周期でタイヤ空気圧の検出結果を受信機側に送信するという定期送信を行い、送信機にてタイヤ空気圧の急減圧が検出されると、定期送信の頻度を上げて送信するようにしているものもある。このように定期送信の送信頻度を上げることで、受信機側にタイヤ空気圧が急減圧したことが的確に伝えられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−334328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のようにタイヤ空気圧が急減圧した際に定期送信の頻度を上げるようにする場合、タイヤ空気圧の急減圧には対応できるが緩減圧には対応できない。すなわち、急減圧に関しては、タイヤ空気圧の減少勾配が所定の閾値以上になるため定期送信の送信頻度を上げられるが、緩減圧の場合には、タイヤ空気圧の減少勾配が所定の閾値未満となるため定期送信の送信頻度は上がらない。このため、緩減圧時にタイヤ空気圧の低下を即時に検出することが困難であった。
【0006】
また、従来のタイヤ空気圧検出装置の場合、送信機側で定期送信の送信頻度を上げて送信するなどの対策を行っているものの、受信機が送信機の伝える情報に基づいてタイヤ空気圧を判定することになる。このため、より細かなタイヤ空気圧測定が行えるように、定期送信の送信周期を短くしようとすると、単位時間当たり送信回数が多くなって電池寿命短縮に繋がる。送信機側では、特にデータ送信の際の電力消費量が大きく、単位時間当たりの送信回数が多くなることは電池寿命の観点からは不利となる。特に、常時急減圧時のように送信頻度を多くすると、なおさら電池寿命の低下に繋がることになる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行えるタイヤ空気圧検出装置を提供することを第1の目的とする。また、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行え、かつ、電池寿命の低下を抑制できるタイヤ空気圧検出装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、送信機(2)にて、センシング部(21)が取得したタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときには異常情報を送信することで、その旨を受信手段(3、4)に伝えると共に、受信手段(3、4)からタイヤ空気圧の低下の警報を指示する警報情報を出力することで、警報表示機(6)にてタイヤ空気圧の低下の警報を行うようにしたタイヤ空気圧検出装置であって、送信機(2)は、所定のサンプリング周期毎に当該送信機(2)が取り付けられた車輪(7a〜7d)のタイヤ空気圧を取得すると共に、取得したタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たすか否かを判定する警報条件判定手段(400)にてタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たしたと判定されると、受信手段(3、4)に対して異常情報を送信する異常情報送信手段(410)を有していることを特徴としている。
【0009】
このように、各送信機(2)でタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときに異常情報を車体(8)側の受信手段(3、4)に伝えるようにしている。このため、従来と比較してより短い周期でタイヤ空気圧の監視を行うことができ、タイヤ空気圧が低下したときには急減圧でも緩減圧でも早急に受信手段(3、4)に伝え、警報表示機(6)を介してドライバに伝えることができる。したがって、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報を行うことが可能となる。
【0010】
この場合、請求項2に記載したように、送信機(2)では、定期送信周期毎にセンシング部(21)で取得したタイヤ空気圧に関する情報が送信されるようにし、定期送信周期をサンプリング周期複数周期分以上とすることができる。
【0011】
このように、送信機(2)でタイヤ空気圧の監視のみならず警報判定を行えるようにしているため、受信手段(3、4)側で短時間毎にタイヤ空気圧の監視を行わなくても良くなり、定期送信周期を長くすることができる。このため、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行え、かつ、電池寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、受信手段(3、4)は、警報条件として用いる警報閾値情報を記憶しており、受信手段(3、4)から警報閾値情報を受け取り、アンテナ(51)を通じて複数個の車輪(7a〜7d)それぞれに取り付けられた送信機(2)に送信するアンテナドライバ(5)を備え、送信機(2)は、アンテナ(51)から送信された警報閾値情報を受信すると共に当該警報閾値情報を読み出して記憶し、警報条件として用いることを特徴としている。
【0013】
このように、受信手段(3、4)側に警報閾値情報を記憶しておき、それを送信機(2)に伝えるようにすることができる。この警報閾値情報を警報条件として用いることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、送信機(2)は、記憶した警報閾値情報を読み出す読出手段(510、610、700)と、読出手段(510、610、700)にて読み出された警報閾値情報が正規データであるか否かを判定する判定手段(520、620、710)と、判定手段(520、620、710)による判定結果を示すデータをセットして受信手段(3、4)に送信する送信手段(530〜550、630〜650、720〜730)とを有していることを特徴としている。
【0015】
このように、各送信機(2)に記憶された警報閾値情報が正規データであるか否かを判定させることが可能となる。そして、正規データが記憶されていなければ、例えば、受信手段(3、4)より送信機(2)のうち少なくとも正規データが記憶されていないものに対して、再び警報閾値情報を記憶させる処理を実行する。これにより、異常時に警報閾値情報を再設定することが可能となり、正規データに基づいて、正しくタイヤ空気圧の低下や急減圧を検出することが可能となる。
【0016】
例えば、請求項5に記載したように、受信手段(3、4)にて、送信機(2)に対して警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせる際に要求トリガを出力したときに、送信機(2)の要求トリガ受信手段(500)で要求トリガを受信したことを判定し、読出手段(510)による警報閾値情報の読し出しや、判定手段(520)による警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行うようにすることができる。また、請求項6に記載したように、送信機(2)が所定の定期送信毎にタイヤ空気圧の検出結果を送信する定期送信のタイミングで、読出手段(610)による警報閾値情報の読し出しや、判定手段(620)による警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせるようにすることもできる。また、請求項7に記載したように、所定の制御周期毎に、読出手段(700)による警報閾値情報の読し出しや、判定手段(710)による警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせるようにすることもできる。
【0017】
請求項8に記載の発明では、送信機(2)は、記憶した警報閾値情報を読み出す読出手段(810)と、読出手段(810)にて読み出された警報閾値情報に関するデータをセットして受信手段(3、4)に送信する送信手段(830)とを有し、受信手段(3、4)は、送信機(2)が送信した警報閾値情報に関するデータを受信し、警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴としている。
【0018】
このように、各送信機(2)に記憶された警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を受信手段(3、4)側で行うこともできる。このようにしても、請求項4と同様の効果を得ることができる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】各車輪7a〜7d側に取り付けられる送信機2a〜2dと、車体8側に備えられるRF受信機3や制御装置4およびアンテナドライバ5のブロック構成を示した図である。
【図3】車体8側に備えられた制御装置4のマイクロコンピュータ41が行う処理を示したフローチャートである。
【図4】各車輪7a〜7dに備えられた送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22が行う処理を示したフローチャートである。
【図5】従来のタイヤ空気圧の異常判定と本実施形態の異常判定の相違を示したタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態で説明する各送信機2a〜2dが実行する閾値確認処理の詳細を示したフローチャートである。
【図10】閾値確認時の動作を示したタイミングチャートである。
【図11】他の実施形態で説明する閾値確認時の動作を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。図1の紙面上下方向が車両1の前後方向に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2(2a〜2d)、RF受信機3、制御装置4、アンテナドライバ5やアンテナ51および警報表示機6を備えて構成されている。
【0024】
図1に示すように、送信機2a〜2dは、車両1における各車輪7a〜7dに取り付けられる。送信機2a〜2dは、所定のサンプリング周期毎に車輪7a〜7dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、所定の定期送信周期および異常検出時にその検出結果を示すタイヤ空気圧に関するデータをフレーム内に格納してRF送信する。また、RF受信機3や制御装置4は、車両1における車体8側に取り付けられるもので、送信機2a〜2dから送信されたフレームをRF受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧検出を行うものである。これらRF受信機3や制御装置4が本発明の受信手段に相当する。図2に、各車輪7a〜7d側に取り付けられる送信機2a〜2dと、車体8側に備えられるRF受信機3や制御装置4およびアンテナドライバ5のブロック構成を示す。
【0025】
図2(a)に示すように、送信機2(2a〜2d)は、センシング部21、マイクロコンピュータ22、アンテナ23および電池24を備えた構成となっており、電池24からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
【0026】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。
【0027】
マイクロコンピュータ22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた一般的なものであり、制御部(第1制御部)や送信部などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2a〜2dを特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
【0028】
マイクロコンピュータ22は、アンテナ23を通じて警報閾値と警報変化閾値を含む警報閾値情報を受信し、この警報閾値情報を記憶する。また、マイクロコンピュータ22は、所定のサンプリング周期毎にセンシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理することで送信機2が取り付けられた車輪7a〜7dのタイヤ空気圧を検出する。このサンプリング周期毎に検出したタイヤ空気圧と警報閾値情報とに基づいて、タイヤ空気圧の低下を検出する。具体的には、タイヤ空気圧を警報閾値と比較し、タイヤ空気圧が警報閾値以下になるとタイヤ空気圧の低下と判定したり、タイヤ空気圧の変化勾配を警報変化閾値と比較し、タイヤ空気圧が警報変化閾値以上になるとタイヤ空気圧の急減圧と判定する。そして、タイヤ空気圧の低下や急減圧が検出されると、タイヤ空気圧に異常があることを示す異常情報を各送信機2a〜2dのID情報と共にフレームに格納し、それをRF電波にてRF受信機3側に送信する。また、マイクロコンピュータ22は、タイヤ空気圧の異常が検出されていない通常時には、サンプリング周期毎検出されるタイヤ空気圧に関するデータを所定の送信周期毎にRF受信機3側に送信する定期送信を行っている。この定期送信の送信周期は、サンプリング周期よりも長く設定されており、送信されるタイヤ空気圧に関するデータとしては、例えば送信周期に最も近いサンプリング周期に検出されたタイヤ空気圧とされる。
【0029】
このように構成される送信機2a〜2dは、例えば、各車輪7a〜7dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、上記したように、各送信機2a〜2dに備えられたアンテナ23を通じて、所定の送信タイミングの際にフレームを送信することで、RF受信機3側にタイヤ空気圧に関するデータを送信するようになっている。
【0030】
また、図2(b)に示すように、RF受信機3は、受信アンテナ31および受信回路32を備えた構成とされる。受信アンテナ31は、各送信機2a〜2dから送られてくるフレームを受信するためのものである。受信アンテナ31は、車体8に固定されており、各車輪7a〜7dそれぞれの送信機2a〜2dから送信されたフレームを受信する。受信アンテナ31は、例えば車両1のピラーおよび天井(ルーフ内)に配置される。受信回路32は、受信アンテナ31によって受信された各送信機2a〜2dからの送信フレームを入力し、そのフレームを制御装置4に送る入力部としての機能を果たす。
【0031】
制御装置4は、第2制御部に相当するもので、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータ41によって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従ってタイヤ空気圧検出処理を行う。具体的には、制御装置4は、フレームに格納された各送信機2a〜2dのID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪7a〜7dのタイヤ空気圧検出を行う。そして、受信したフレームがタイヤ空気圧に異常があることを示す異常情報が含まれていれば、警報情報を警報表示機6に伝える。制御装置4と警報表示機6は直接的に配線で接続されていても良いし、車内LAN等の通信回線を通じて接続されていても良い。
【0032】
また、制御装置4は、各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧の低下の判定に用いる警報閾値情報をCPU内に備えられたROM、RAMまたはEEPROM等のメモリ(記憶素子)内に格納(記憶)してある。制御装置4は、この警報閾値情報を読み出し、アンテナドライバ5を通じて各送信機2a〜2dに伝える動作も行っている。警報閾値情報としては、上記したようなタイヤ空気圧と比較される警報閾値や、タイヤ空気圧の変化勾配と比較される警報変化閾値をメモリ内に格納してある。
【0033】
なお、本実施形態では、制御装置4は、主に送信機2a〜2dからの送信フレームに格納された異常情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するようにしている。しかしながら、定期送信されてきた送信フレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、制御装置4でもタイヤ空気圧の低下が検出されるようにしても良い。
【0034】
アンテナドライバ5は、アンテナ51(51a〜51d)とドライバ回路52とを備えた構成とされている。アンテナ51a〜51dは、各車輪7a〜7dの近傍に設置され、各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報を例えばLF電波として送信する。ドライバ回路52は、各アンテナ51a〜51dから各送信機2a〜2dへの警報閾値情報を示すLF電波の送信を行う出力部としての機能を果たす。
【0035】
警報表示機6は、警報部として機能するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプ、ナビゲーションシステムのディスプレイやメータ内のマルチディスプレイ等によって構成される。この警報表示機6は、例えば制御装置4からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を警報する。
【0036】
次に、上記のように構成されたタイヤ空気圧検出装置によるタイヤ空気圧検出処理について説明する。図3は、車体8側に備えられた制御装置4のマイクロコンピュータ41が行う処理を示したフローチャートである。また、図4は、各車輪7a〜7dに備えられた送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22が行う処理を示したフローチャートである。以下、これらの図を参照して、制御装置4と各送信機2a〜2dで実行される処理について説明する。
【0037】
まず、制御装置4は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、図3(a)に示す警報閾値情報送信処理を実行する。ステップ100では、マイクロコンピュータ41のメモリに格納された警報閾値情報を読み出す。警報閾値情報としては、検出されるタイヤ空気圧の絶対値と比較される警報閾値に関する情報と、タイヤ空気圧の単位時間当たりの変化と比較される警報変化閾値がある。警報閾値や警報変化閾値については、直接数値として設定されている値を用いても良いし、推奨圧から算出された値を用いても良い。なお、ここでは警報閾値情報として警報閾値と警報変化閾値を例に挙げたが、いずれか一方のみ、例えば警報閾値のみであっても構わない。
【0038】
次に、ステップ110では、ステップ100で読み出した警報閾値情報の出力処理を行う。すなわち、アンテナドライバ5に対して警報閾値情報と共に閾値設定コマンドを格納したフレームを伝え、各アンテナ51a〜51dより各送信機2a〜2dにそのフレームを送信させる。これにより、各送信機2a〜2dでそのフレームが受信されると、送信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22が閾値設定コマンドの指示に基づいて警報閾値情報に含まれる警報閾値や警報変化閾値のデータを読み出して記憶し、閾値データ設定完了を示す信号が出力される。このため、ステップ120では、その閾値データ設定完了を示す信号を受け取り、受け取ると送信機2a〜2d側で正常設定されたことが確認されたとして、警報閾値情報送信処理を完了する。ここで閾値データ設定完了を示す信号を受け取らなかった場合には、再度、ステップ100、110の処理を繰り返し行ってリトライすることで、確実に各送信機2a〜2dで警報閾値や警報変化閾値が設定されるようにすることができる。
【0039】
なお、ここではステップ120で閾値データ設定完了を示す信号の受信を行うようにしたが、この処理はより確実に各送信機2a〜2dで警報閾値や警報変化閾値が設定されるようにするためのものであり、必要に応じて行えば良い。また、リトライによってステップ100、110の処理を繰り返す場合には、一定回数のリトライを行っても有効な返信がなければ、電波が届き難い状況もしくは送信機2a〜2dの不良などと考えられるため、タイムアウトを設けるようにするのが好ましい。リトライを行う場合、送信機2a〜2dのうち閾値データ設定完了を示す信号を受信していないものに対してのみリトライを行うようにしても良い。
【0040】
また、図3(a)に示す警報閾値情報送信処理とは別フローとして、異常情報受信処理を行っている。この処理は、図3(a)の警報閾値情報送信処理が終了してから行われるようにすればよいが、警報閾値情報送信処理と無関係に行っても構わない。
【0041】
まず、ステップ200では異常情報受信の有無を判定する。異常情報とは、後述するように、送信機2a〜2dで検出されたタイヤ空気圧が警報閾値以下になった場合、もしくは、タイヤ空気圧の変化勾配が警報変化閾値以上になった場合に、タイヤ空気圧に異常が発生したとして送信される情報である。本ステップでは、この異常情報を受け取ったか否かを判定している。ここで、異常情報を受信するまで待機し、異常情報を受信すると、ステップ210に進んで警報情報を警報表示機6に送信する。これにより、警報表示機6は、受信した警報情報に基づいて、タイヤ空気圧が低下した旨の表示を行うことにより、ドライバにタイヤ空気圧の低下を警報する。
【0042】
一方、各送信機2a〜2dでは、マイクロコンピュータ22が電池24からの電力供給に基づいて、所定の制御周期毎に図4(a)に示す警報閾値設定処理を行うと共に、所定のサンプリング周期毎に図4(b)に示すタイヤ空気圧監視処理を行っている。
【0043】
図4(a)に示す警報閾値設定処理では、まず、ステップ300において閾値設定コマンドの受信の有無について判定する。上記したように、制御装置4側において、図3(a)のステップ110で警報閾値情報と共に閾値設定コマンドを格納したフレームが送信されると、そのフレームが各受信機2a〜2dで受信される。各受信機2a〜2dのマイクロコンピュータ22は、この閾値設定コマンドが格納されたフレームを受信すると、本ステップで閾値設定コマンドの受信有りと判定する。
【0044】
ここで閾値設定コマンドの受信が有るまで待機し、閾値設定コマンドの受信有りと判定されると、ステップ310に進んで受信したフレームに格納されている警報閾値情報を読み込む。そして、ステップ320で警報閾値情報をCPU内に備えられたROM、RAMまたはEEPROM等のメモリ等に記憶し、閾値データ設定完了を示す信号を送信したのち、処理を終了する。このとき、メモリ等への記憶として、EEPROM等の記憶素子に警報閾値情報を記憶する場合、書換え寿命を考慮して、毎回異なるメモリ領域に記憶するようにすると好ましい。
【0045】
また、図4(b)に示すタイヤ空気圧監視処理では、警報閾値設定処理で記憶した警報閾値情報に基づいてタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧の低下を検出する。まず、ステップ400において、警報条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、所定のサンプリング周期毎にセンシング部21に備えられた圧力センサ21aや温度センサ21bにて圧力や温度を検出し、その検出結果に基づいて各送信機2a〜2dは、自分自身が取り付けられた車輪7a〜7dのタイヤ空気圧を演算する。そして、このタイヤ空気圧が警報閾値以下になった場合、もしくはタイヤ空気圧の変化勾配、例えば今回のサンプリング周期と前回のサンプリング周期それぞれのタイヤ空気圧の差が警報変化閾値以上になった場合に、警報条件を満たしたとしている。
【0046】
ここで警報条件を満たすまで待機し、警報条件を満たすとステップ410に進んでタイヤ空気圧が低下したことを示す異常情報をRF電波にて送信する。この異常情報が受信機3で受信されると、それが制御装置4に伝えられることで、上記した図3(b)のステップ200で異常情報受信有りと判定され、警報表示機6による警報情報の表示が行われることになる。
【0047】
このように、各送信機2a〜2dは、自分自身が取り付けられた車輪7a〜7dのタイヤ空気圧が低下していることを自分自身で検出し、タイヤ空気圧が低下している場合に、その旨を示す異常情報を車体8側の制御装置4に伝えるようにしている。このため、急減圧の場合に限らず緩減圧の場合にも、タイヤ空気圧が低下したときに、即座にそれを制御装置4に伝えることが可能となる。
【0048】
なお、図4(b)中には、定期送信のフローについて図示しないしていないが、定期送信も行っている。定期送信の周期は、サンプリング周期複数周期分以上に設定される。そして、所定のサンプリング周期毎に演算されたタイヤ空気圧に関する情報を定期送信の周期毎に、各送信機2a〜2dから送信するようにしている。このとき、上記したように各送信機2a〜2dが自分自身でタイヤ空気圧の低下を検出できることから、従来のように車体側の受信機でタイヤ空気圧の低下を判定している場合と比べて、定期送信の周期を長くすることができる。つまり、従来のように車体側の受信機でタイヤ空気圧の低下を判定する場合には、定期送信の周期を短くして短時間毎にタイヤ空気圧を監視しないと、タイヤ空気圧が急減圧した場合に対処できない。これに対して、本実施形態のように、送信機2a〜2d側でタイヤ空気圧の低下を検出できるようにし、サンプリング周期を短くすることで、タイヤ空気圧の急減圧にも即座にタイヤ空気圧が低下したことを示す異常情報を送信することができ、かつ、基本的にはサンプリングを行っているだけでデータ送信は行っていないため消費電力も少なくできる。このため、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報が行え、かつ、電池寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0049】
図5は、従来のタイヤ空気圧の異常判定と本実施形態の異常判定の相違を示したタイミングチャートである。この図に示されるように、従来では、定期送信の周期毎にしかタイヤ空気圧に関する情報が車体側の受信機に伝えられないため、定期送信の周期の途中で圧力異常が発生しても、次の定期送信の周期が来るまで異常が伝えられない。これに対して、本実施形態のように、各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視し、異常発生時に制御装置4にそれを伝える形態とすれば、サンプリング周期も短くできるし、圧力異常発生時に即座にそれを制御装置4に伝えることが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、各送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視し、タイヤ空気圧が低下したときに異常情報を車体8側の制御装置4に伝えるようにしている。そして、各送信機2a〜2dでは定期送信周期よりも短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視するようにしているため、従来と比較してより短い周期でタイヤ空気圧の監視を行うことができる。また、短いサンプリング周期でタイヤ空気圧を監視しているため、タイヤ空気圧が低下したときには急減圧でも緩減圧でも早急に制御装置4に伝え、警報表示機6を介してドライバに伝えることができる。したがって、タイヤ空気圧が緩減圧した場合にも、異常発生からより短時間に警報を行うことが可能となる。
【0051】
また、送信機2a〜2dでタイヤ空気圧を監視できるため、車体8側の制御装置4で細かくタイヤ空気圧を監視する必要が無くなる。このため、定期送信の周期を長くすることができ、定期送信のための消費電力を低減することが可能となり、電池寿命の低下を抑制することも可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤ空気圧検出装置は、第1実施形態に対して、各送信機2a〜2dへの警報閾値情報の確認要求が行えるようにしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
上記第1実施形態では、閾値データ設定完了を示す信号を出力することで警報閾値情報に含まれる警報閾値や警報変化閾値のデータを記憶したことを示したが、本実施形態では、記憶したデータが正しい正規データであるか否かを判別できるようにしている。
【0054】
具体的には、制御装置4は、各送信機2a〜2dに対して記憶したデータが正しい正規データであるか否かを判別させたいときに、閾値確認要求をアンテナドライバ5に出力する。例えば、図示しないイグニッションスイッチをオンしたタイミングや、前回閾値確認要求を出してから所定周期経過したときなどに、閾値確認要求を出す。これに基づき、アンテナドライバ5のドライバ回路52は、閾値確認要求や閾値確認データを含むLF電波を各アンテナ51a〜51dから出力させ、それを各送信機2a〜2dに受信させる。そして、各送信機2a〜2dは、閾値確認要求を含むLF電波を受信すると、図6に示したフローチャートを実行する。
【0055】
すなわち、各送信機2a〜2dは図6に示す閾値確認処理を所定の制御周期毎に実行している。そして、ステップ500に示される要求トリガ受信判定において、要求トリガに相当するLF電波を受信するまで待機しており、ステップ500で受信したと判定されると、そのLF電波(要求トリガ)の受信強度を測定すると共にステップ510以降の処理を実行する。
【0056】
ステップ510では、格納された警報閾値情報読み出し処理を行う。この処理では、マイクロコンピュータ22のCPU内に備えられたROM、RAMまたはEEPROM等のメモリ(記憶素子)に格納された警報閾値に関するデータの読み出しを行う。警報閾値に関するデータとは、アンテナドライバ5を通じて車体側から送られて記憶した現在の警報閾値情報を意味しているが、予めミラーデータとして記憶してある警報閾値情報(以下、単にミラーデータという)がある場合には、そのミラーデータも含まれる。
【0057】
続いて、ステップ520に進み、ステップ510で読み出した警報閾値に関するデータが正規データであるか否かを判定する。例えば、受信したLF電波内に含まれる閾値確認データとステップ510で読み出した警報閾値情報とを照合し、これらが一致しているか否かを判定する。また、ステップ510で読み出した警報閾値情報とミラーデータとを照合し、これらが一致しているか否かを判定するようにしても良い。
【0058】
なお、ステップ520において、各送信機2で記憶された警報閾値情報が消失している場合には、正規データではないと判別する。
【0059】
このステップ520で肯定判定されればステップ530に進んで正常時送信データをタイヤ空気圧に関するデータと同じフレームもしくは別のフレームにセット(格納)する。同様に、ステップ520で否定判定されればステップ540に進んで異常時送信データをタイヤ空気圧に関するデータと同じフレームもしくは別のフレームにセット(格納)する。例えば、送信フレーム中に正常か異常かを示すべく割り当てられた1ビットまた数ビットを用いて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットする。
【0060】
そして、ステップ550に進み、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信を避けるために、LF電波の受信強度に応じた遅延を持たせて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームをRF送信する。これにより、RF受信機3にて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームが受信され、制御装置4にて、各送信機2a〜2dが記憶した警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。
【0061】
このように、各送信機2にて記憶された警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。そして、正規データが記憶されていなければ、制御装置4より送信機2a〜2dのうち少なくとも正規データが記憶されていないものに対して、再び警報閾値情報を記憶させる処理を実行する(図3参照)。これにより、異常時に警報閾値情報を再設定することが可能となり、正規データに基づいて、正しくタイヤ空気圧の低下を検出することが可能となる。また、異常時には、その状態を警報表示機6などを通じてドライバに伝えることもできる。
【0062】
なお、上記では、LF電波内の閾値確認データとステップ510で読み出した警報閾値情報とを照合した。これに代えて、もしくは、これに加えて、読み出した警報閾値情報からエラーコレクションコード(ECC)やフレームチェックコード(FCC)のキャラクタを抽出して照合したり、パリティーチェックを行うようにして正規データであるか否かを判定しても良い。また、ミラーデータを有している場合には、そのミラーデータを用いて現在の警報閾値情報を自己修復するようにしても良い。その場合、異常時送信データをセットするときに、同時に自己修復を行ったことを示すデータもセットするようにすることができる。
【0063】
また、上記ステップ550で異常時送信データをセットしたフレームをRF送信した後に、そのフレームを送信した送信機2a〜2dに対して再設定のための警報閾値情報が送られてこないこともあり得る。その場合には、再設定のための警報閾値情報が送られてくるまで、異常時送信データをセットしたフレームのRF送信を繰り返し行うようにしても良い。
【0064】
また、RF送信を行うフレームのビット数に余裕がある場合には、正常時送信データもしくは異常時送信データに加えて、現在設定されている警報閾値情報についてもフレーム中にセットしても良い。その場合、現在設定されている警報閾値情報について、制御装置4側で正常であるか異常であるかを判定することもできる。例えば、警報閾値情報からECCやFCCのキャラクタを抽出して照合したり、パリティーチェックを行うようにして正規データであるか否かを判定したり、ミラーデータを備え、ミラーデータと照合して正規データであるか否かを判定したりすることができる。
【0065】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、各送信機2a〜2dに警報閾値情報の確認を行わせるようにしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
本実施形態では、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングに第2実施形態と同様の警報閾値情報のチェックを行う。このタイミング以外については、第2実施形態と同様である。
【0067】
各送信機2a〜2dは、所定の制御周期毎に図7に示したフローチャートを実行しており、ステップ600に示される空気圧送信タイミング判定において、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングであると判定されると、ステップ610以降の処理を実行する。
【0068】
具体的には、ステップ610〜640では、第2実施形態で説明した図6のステップ510〜540と同様の処理を実行する。ただし、ステップ620では、閾値確認データを受信していないため、例えばステップ610で読み出した警報閾値情報とミラーデータとを照合し、これらが一致しているか否かを判定している。また、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットするフレームについては、タイヤ空気圧に関するデータを格納するフレームと別フレームであっても良いが、定期送信のタイミングであることから、これらのフレームを同じフレームにすると好ましい。このようにすれば、この後行われるフレーム送信を1つにまとめることができ、消費電力低減に伴う電池寿命の向上を図ることができる。
【0069】
この後、ステップ650に進み、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームをRF送信する。これにより、RF受信機3にて、正常時送信データもしくは異常時送信データをセットしたフレームが受信され、制御装置4に、各送信機2a〜2dが記憶した警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。
【0070】
このように、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングのときに、各送信機2a〜2dに警報閾値情報の確認を行わせるようにしても良い。これにより、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、定期送信と共に警報閾値情報が正規データであるか否かの判定結果を送ることで、その判定結果を送るためのみのRF送信が必要なくなるため、消費電力低減が図れ、電気寿命の向上を図ることができる。
【0071】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態も、各送信機2a〜2dに警報閾値情報の確認を行わせるようにしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
本実施形態では、タイヤ空気圧に関するデータの定期送信のタイミングにかかわらず、所定の制御周期毎に第3実施形態と同様の警報閾値情報のチェックを行う。このタイミング以外については、ほぼ第2実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
各送信機2a〜2dは、所定の制御周期毎に図8に示したフローチャートを実行しており、所定の制御周期毎にステップ700〜730の処理を実行する。ステップ700、710では、第3実施形態で説明した図6のステップ610、620と同様の処理を実行する。そして、ステップ710で否定判定されたときにはステップ720に進んでステップ640と同様の処理を実行するが、肯定判定されたときにはそのまま処理を終了する。現在の警報閾値情報が正規データであった場合に正常時送信データをセットしたフレームを送信しても良いが、正常であれば何も応答しなくても良いことから、そのまま処理を終了しても良い。このようにすれば、消費電力低減による電池寿命向上を図ることができる。
【0074】
また、ステップ720で異常時送信データをタイヤ空気圧に関するデータと同じフレームもしくは別のフレームにセット(格納)する。そして、ステップ730に進んで異常時送信データをセットしたフレームをRF送信すると共に閾値データ再送要求を送信する。このときの閾値データ再送要求については、そのコマンドを異常時送信データをセットしたフレーム内に格納しておけば、1度のフレーム送信で異常時送信データと閾値データ再送要求のデータの両方の送信が行える。
【0075】
このように、所定の制御周期毎に各送信機2a〜2dに警報閾値情報のチェックを行わせるようにしても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、異常時送信データをセットしたフレームをRF送信すると共に閾値データ再送要求を送信するようにした。しかしながら、第2、第3実施形態と同様、異常時送信データに基づいて正規データが記憶されていないことを認識し、制御装置4より送信機2a〜2dのうち少なくとも正規データが記憶されていないものに対して、再び警報閾値情報を記憶させる処理を実行するようにしても良い。勿論、第2、第3実施形態に対しても、本実施形態のように、送信機2a〜2dから正規データが記憶されていなかったときに閾値データ再送要求が出されるようにしても良い。
【0076】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を送信機2a〜2dで行うのではなく、送信機2a〜2dから記憶している現在の警報閾値情報を制御装置4側に送信し、制御装置4側で判定させるようにする。
【0077】
本実施形態では、警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を実行する警報閾値情報確認のタイミングになると、制御装置4に閾値確認要求処理を実行させる。例えば、所定周期毎もしくは各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報を送信してから所定時間経過後などのタイミングに閾値確認要求処理を実行させる。具体的には、そのタイミングに、各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報確認を行わせるために、アンテナドライバ5のドライバ回路52を通じて各アンテナ51a〜51dより読み出しコマンドを示すLF電波を出力する。
【0078】
各送信機2a〜2dは、所定の制御周期毎に図9に示したフローチャートを実行しており、ステップ800に示される読み出しコマンド受信判定において、読み出しコマンドを受信したと判定されると、ステップ810以降の処理を実行する。
【0079】
ステップ810では、各送信機2a〜2dは、第2実施形態で説明した図6のステップ510と同様、格納された警報閾値情報読み出し処理を行う。また、必要に応じて警報閾値情報を符号化(例えば、データ長短縮や冗長性付加)したり、読み出した警報閾値情報からECCやFCCのキャラクタもしくはパリティーチェック用のデータを抽出したりする。勿論、符号化などを行わずに警報閾値情報の生値をそのまま用いても良い。つまり、生値の警報閾値情報と符号化などを行った警報閾値情報とにかかわらず、警報閾値情報に関するデータであれば構わない。
【0080】
そして、ステップ820に進み、警報閾値情報の生値もしくは符号化などを行った生成データを送信機固有のID情報などと共にRF送信データへ配列することで送信フレームを作成する。
【0081】
その後、ステップ830に進んでRF送信タイミングでデータ送信を行う。例えば、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信を避けるために、LF電波の受信強度に応じた遅延を持たせて、RF送信データをセットしたフレームをRF送信する。
【0082】
例えば、図1に示したように、アンテナ51が各車輪7a〜7dに対応した数備えられている場合には、図10に示すタイミングチャートのような動作を行う。すなわち、各アンテナ51a〜51dより順番に閾値確認要求を示すLF電波を出力すると、各送信機2a〜2dのうち各アンテナ51a〜51dと対応する車輪7a〜7dに取り付けられたものからその都度警報閾値情報が返信される。このとき、各アンテナ51a〜51dから順番に閾値確認要求が出され、閾値確認要求のLF電波を受信すると各送信機2a〜2dより警報閾値情報を返信するようにすれば、各送信機2a〜2dから異なるタイミングで警報閾値情報の返信が行われることになる。したがって、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信が発生することはない。
【0083】
なお、警報閾値情報の返信があったときに、次のアンテナ51からのLF電波の送信を行うようにすればよいが、有効な返信が無いことも有り得る。その場合には、再度LF電波を送信してリトライすることもできる。その場合でも、一定回数のリトライを行っても有効な返信がなければ、電波が届き難い状況もしくは送信機2a〜2dの不良などと考えられるため、タイムアウトを設けるようにするのが好ましい。
【0084】
このようにして生値もしくは符号化等を行った警報閾値情報が格納されたフレームが送信されると、それがRF受信機3で受信される。そして、制御装置4に送られることで、各送信機2a〜2dが記憶した警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することが可能となる。このように、各送信機2から警報閾値情報を送信させ、制御装置4側で警報閾値情報が正規データであるか否かを判別することも可能となる。
【0085】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、各車輪7a〜7dに対応して4つのアンテナ51a〜51dを備え、各アンテナ51a〜51dより各車輪7a〜7dに取り付けられた送信機2a〜2dに個々に警報閾値情報を格納したフレームが送信されるようにしている。しかしながら、これは単なる一例を示したに過ぎず、例えば、両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対応したアンテナと両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対応したアンテナの2つを備えるようにしても良いし、全車輪7a〜7dの各送信機2a〜2dすべてにフレーム送信が行える1つのアンテナとしても構わない。
【0086】
アンテナを2つとする場合、例えば一方のアンテナを車両フロント寄りに配置しつつ両前輪7a、7bから異なる距離に配置し、他方のアンテナ51を車両リア寄りに配置しつつ両後輪7c、7dから異なる距離に配置する形態とする。この場合、一方のアンテナ51にて両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対してLF電波を出力し、他方のアンテナ51にて両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対してLF電波を出力すれば良い。
【0087】
このような形態とされる場合でも、上記各実施形態と同様の動作を行うことができる。例えば、第5実施形態のように閾値確認要求を行う場合には、図11に示すタイミングチャートのような動作を行う。
【0088】
すなわち、両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対して閾値確認要求を示すLF電波を出力すると、アンテナ51から両前輪7a、7bまでの距離が異なることから、送信機2a、2bでのLF電波の受信強度が異なった値になる。このため、受信強度に応じた遅延を持たせてRF送信が行われるようにすることで、各送信機2a、2bから順番に異なるタイミングで警報閾値情報を返信させることができる。同様に、その後、両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対して閾値確認要求を示すLF電波を出力すると、アンテナ51から両後輪7c、7dまでの距離が異なることから、送信機2c、2dでのLF電波の受信強度が異なった値になる。このため、受信強度に応じた遅延を持たせてRF送信が行われるようにすることで、各送信機2c、2dから順番に異なるタイミングで警報閾値情報を返信させることができる。したがって、各送信機2a〜2dの送信タイミングが一致することによる混信が発生することはない。
【0089】
なお、アンテナ51を2つ用いる場合でも、警報閾値情報の返信があったときに、次のアンテナ51からのLF電波の送信を行うようにすればよいが、有効な返信が無いことも有り得る。その場合には、再度LF電波を送信してリトライすることもできる。その場合でも、一定回数のリトライを行っても有効な返信がなければ、電波が届き難い状況もしくは送信機2a〜2dの不良などと考えられるため、タイムアウトを設けるようにするのが好ましい。
【0090】
(2)また、各車輪7a〜7dの警報閾値や警報変化閾値などの警報閾値情報について、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dとで同じであっても良いし、異なるようにしても良い。
【0091】
各車輪7a〜7dの警報閾値情報が同じ場合、アンテナ51が4つの場合には、各車輪7a〜7dに対して同時にもしくはそれぞれ異なるタイミングで警報閾値情報を送信することができる。また、アンテナ51が2つの場合には、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dに対して順番に警報閾値情報を送信しても良いし、同時に警報閾値情報を送信しても良い。この場合にも、各送信機2a〜2dで警報閾値情報が正常に記憶されると閾値データ設定完了を示す信号が返信されてくるが、その返信がなければ一定回数のリトライを行うようにすると好ましい。リトライを行う場合、送信機2a〜2dのうち閾値データ設定完了を示す信号を受信していないものに対してのみリトライを行うようにしても良い。
【0092】
また、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dとで異なるようにする場合も同様のことが言える。すなわち、アンテナ51が4つの場合には、各車輪7a〜7dに対して同時にもしくはそれぞれ異なるタイミングで警報閾値情報を送信することができる。また、アンテナ51が2つの場合には、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dに対して順番に警報閾値情報を送信しても良いし、同時に警報閾値情報を送信しても良い。ただし、これらの場合、両前輪7a、7bと対応するアンテナ51から前輪用の警報閾値情報を送信し、両後輪7c、7dと対応するアンテナ51から後輪用の警報閾値情報を送信する。このとき、各送信機2a〜2dが各車輪7a〜7dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する車輪位置検出機能を備えたタイヤ空気圧検出装置である場合において、車輪位置検出が完了済みであれば、警報閾値情報に対象とする送信機のID情報を付加しても良い。このようにすれば、仮に各送信機2a〜2dで2つのアンテナ51から送信されたLF電波が両方共受信されたとしても、対象とするLF電波を特定することが可能となる。逆に、車輪位置検出が完了前であれば、各送信機2a〜2dに対して警報閾値情報を送信する前に、車輪位置検出を実行して完了させるようにする動作を行うようにしておき、その結果を待ってから各送信機2a〜2dへの警報閾値情報の送信を行うようにしても良い。
【0093】
なお、警報閾値情報を伝えるアンテナ51が4つもしくは2つの場合は、上記したように、両前輪7a、7bの送信機2a、2bと両後輪7c、7dの送信機2c、2dとに対してそれぞれ異なる警報閾値情報を送信すれば良い。しかしながら、アンテナ51が1つの場合には、次のようにして行うことになる。
【0094】
すなわち、各送信機2a〜2dに受信強度を測定させるようにし、アンテナ51からは両前輪7a、7bの警報閾値情報と両後輪7c、7dの警報閾値情報を送信する際に異なる信号強度の電波で送信するようにする。また、各送信機2a〜2dでは、警報閾値情報の受信を許可する最低受信強度を設定しておく。そして、アンテナ51を両前輪7a、7bか両後輪7c、7dのいずれか一方に近づけるように配置する。このようにすることで、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dのうちアンテナ51から近いほうの送信機2では異なる警報閾値情報を受信した時に受信強度の強い方側が自分自身の警報閾値情報であると判定することができる。また、両前輪7a、7bと両後輪7c、7dのうちアンテナ51から遠い方の送信機2では最低受信強度を超える電波に含まれた警報閾値情報を自分自身の警報閾値情報であると判定することができる。
【0095】
(3)上記実施形態では、警報閾値情報の送信についてはLF電波を使用し、タイヤ空気圧の低下を示す異常情報の送信についてはRF電波を使用するようにしているが、どのような電波を用いるかについては任意に選択可能である。
【0096】
(4)上記実施形態では、RF受信機3を1つのみ設ける場合について説明したが、各送信機2a〜2dに対応して複数備えられていても良い。この場合も、全車輪7a〜7dの各送信機2a〜2dすべてに対応した数備えられていても良いし、両前輪7a、7bの送信機2a、2bに対応したものと両後輪7c、7dの送信機2c、2dに対応したものの2つであっても良い。また、RF受信機3のうちのアンテナ31のみを複数個にしても良い。
【0097】
(5)上記実施形態では、警報条件として、タイヤ空気圧の低下の条件を示したが、タイヤ空気圧の低下のみでなく、タイヤ空気圧の増加や温度の上昇についても警報条件とすることができる。例えば、タイヤ空気圧が規定値以上に増加した場合や、タイヤ内の温度が規定値以上のときに警報を行うようにしても良い。
【0098】
また、警報条件については、各車輪7a〜7dそれぞれ独立して異なる条件に設定することも可能である。勿論、前後輪それぞれで異なる条件に設定することも可能である。その場合、各送信機2a〜2dに対して送信される電波が混信することを避けるべく、各送信機2a〜2dの固有のID情報を警報閾値情報と共に付すことで、各送信機2a〜2dが自分自身の警報閾値情報を受信したか否かについて判定できるようにすると良い。
【0099】
(6)なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。具体的には、ステップ400に示す処理を実行する部分が警報条件判定手段に相当し、ステップ210に示す処理を実行する部分が異常情報送信手段に相当する。
【符号の説明】
【0100】
1 車両
2(2a〜2d) 送信機
3 RF受信機
4 制御装置
5 アンテナドライバ
6 警報表示機
7a〜7d 車輪
8 車体
21 センシング部
22、41 マイクロコンピュータ
23、31、51 アンテナ
32 受信回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(7a〜7d)それぞれに取り付けられ、取り付けられた車輪(7a〜7d)におけるタイヤ空気圧を取得するセンシング部(21)を有すると共に、前記センシング部(21)が取得したタイヤ空気圧が低下していることを示す異常情報を送信する送信機(2)と、
車体(8)側に備えられ、前記異常情報を受信すると、前記タイヤ空気圧の低下の警報を指示する警報情報を出力する受信手段(3、4)と、
前記受信手段(3、4)からの前記警報情報に基づいて、タイヤ空気圧の低下の警報を行う警報表示機(6)と、を有してなるタイヤ空気圧検出装置において、
前記送信機(2)は、所定のサンプリング周期毎に当該送信機(2)が取り付けられた車輪(7a〜7d)のタイヤ空気圧を取得すると共に、取得したタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たすか否かを判定する警報条件判定手段(400)と、前記警報条件判定手段(400)にてタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たしたと判定されると、前記受信手段(3、4)に対して異常情報を送信する異常情報送信手段(410)と、を有していることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項2】
前記送信機(2)は、定期送信周期毎に前記センシング部(21)で取得した前記タイヤ空気圧に関する情報を送信しており、前記定期送信周期が前記サンプリング周期複数周期分以上とされていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項3】
前記受信手段(3、4)は、前記警報条件として用いる警報閾値情報を記憶しており、
前記受信手段(3、4)から前記警報閾値情報を受け取り、アンテナ(51)を通じて前記複数個の車輪(7a〜7d)それぞれに取り付けられた前記送信機(2)に送信するアンテナドライバ(5)を備え、
前記送信機(2)は、前記アンテナ(51)から送信された前記警報閾値情報を受信すると共に当該警報閾値情報を読み出して記憶し、前記警報条件として用いることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項4】
前記送信機(2)は、
記憶した前記警報閾値情報を読み出す読出手段(510、610、700)と、
前記読出手段(510、610、700)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定する判定手段(520、620、710)と、
前記判定手段(520、620、710)による判定結果を示すデータをセットして前記受信手段(3、4)に送信する送信手段(530〜550、630〜650、720〜730)とを有していることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項5】
前記受信手段(3、4)は、前記送信機(2)に対して前記警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせる際に要求トリガを出力し、
前記送信機(2)は、前記要求トリガを受信したことを判定する要求トリガ受信手段(500)を有し、該要求トリガ受信手段(500)にて前記要求トリガを受信したと判定されると、前記読出手段(510)による前記警報閾値情報の読し出しを行ったのち、前記判定手段(520)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項6】
前記送信機(2)は、所定の定期送信毎にタイヤ空気圧の検出結果を送信する定期送信を行っており、該定期送信のタイミングに、前記読出手段(610)による前記警報閾値情報の読し出しを行ったのち、前記判定手段(620)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項7】
前記送信機(2)は、所定の制御周期毎に、前記読出手段(700)による前記警報閾値情報の読し出しを行ったのち、前記判定手段(710)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項8】
前記送信機(2)は、
記憶した前記警報閾値情報を読み出す読出手段(810)と、
前記読出手段(810)にて読み出された前記警報閾値情報に関するデータをセットして前記受信手段(3、4)に送信する送信手段(830)とを有し、
前記受信手段(3、4)は、前記送信機(2)が送信した前記警報閾値情報に関するデータを受信し、前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(7a〜7d)それぞれに取り付けられ、取り付けられた車輪(7a〜7d)におけるタイヤ空気圧を取得するセンシング部(21)を有すると共に、前記センシング部(21)が取得したタイヤ空気圧が低下していることを示す異常情報を送信する送信機(2)と、
車体(8)側に備えられ、前記異常情報を受信すると、前記タイヤ空気圧の低下の警報を指示する警報情報を出力する受信手段(3、4)と、
前記受信手段(3、4)からの前記警報情報に基づいて、タイヤ空気圧の低下の警報を行う警報表示機(6)と、を有してなるタイヤ空気圧検出装置において、
前記送信機(2)は、所定のサンプリング周期毎に当該送信機(2)が取り付けられた車輪(7a〜7d)のタイヤ空気圧を取得すると共に、取得したタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たすか否かを判定する警報条件判定手段(400)と、前記警報条件判定手段(400)にてタイヤ空気圧が低下して警報条件を満たしたと判定されると、前記受信手段(3、4)に対して異常情報を送信する異常情報送信手段(410)と、を有していることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項2】
前記送信機(2)は、定期送信周期毎に前記センシング部(21)で取得した前記タイヤ空気圧に関する情報を送信しており、前記定期送信周期が前記サンプリング周期複数周期分以上とされていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項3】
前記受信手段(3、4)は、前記警報条件として用いる警報閾値情報を記憶しており、
前記受信手段(3、4)から前記警報閾値情報を受け取り、アンテナ(51)を通じて前記複数個の車輪(7a〜7d)それぞれに取り付けられた前記送信機(2)に送信するアンテナドライバ(5)を備え、
前記送信機(2)は、前記アンテナ(51)から送信された前記警報閾値情報を受信すると共に当該警報閾値情報を読み出して記憶し、前記警報条件として用いることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項4】
前記送信機(2)は、
記憶した前記警報閾値情報を読み出す読出手段(510、610、700)と、
前記読出手段(510、610、700)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定する判定手段(520、620、710)と、
前記判定手段(520、620、710)による判定結果を示すデータをセットして前記受信手段(3、4)に送信する送信手段(530〜550、630〜650、720〜730)とを有していることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項5】
前記受信手段(3、4)は、前記送信機(2)に対して前記警報閾値情報が正規データであるか否かの判定を行わせる際に要求トリガを出力し、
前記送信機(2)は、前記要求トリガを受信したことを判定する要求トリガ受信手段(500)を有し、該要求トリガ受信手段(500)にて前記要求トリガを受信したと判定されると、前記読出手段(510)による前記警報閾値情報の読し出しを行ったのち、前記判定手段(520)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項6】
前記送信機(2)は、所定の定期送信毎にタイヤ空気圧の検出結果を送信する定期送信を行っており、該定期送信のタイミングに、前記読出手段(610)による前記警報閾値情報の読し出しを行ったのち、前記判定手段(620)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項7】
前記送信機(2)は、所定の制御周期毎に、前記読出手段(700)による前記警報閾値情報の読し出しを行ったのち、前記判定手段(710)にて読み出された前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項8】
前記送信機(2)は、
記憶した前記警報閾値情報を読み出す読出手段(810)と、
前記読出手段(810)にて読み出された前記警報閾値情報に関するデータをセットして前記受信手段(3、4)に送信する送信手段(830)とを有し、
前記受信手段(3、4)は、前記送信機(2)が送信した前記警報閾値情報に関するデータを受信し、前記警報閾値情報が正規データであるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−6588(P2013−6588A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101024(P2012−101024)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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