説明

タイヤ試験装置

【課題】分離力による上チャックの回転軸の下チャックの回転軸に対するずれを効果的に抑制する。
【解決手段】タイヤ試験装置1は、下フレーム20に支持された鉛直フレーム30a,30b、鉛直フレーム30a,30b間に架け渡された鉛直方向に移動可能なビーム40、ビーム40の長手方向中央に取り付けられた上チャック45、下フレームに取り付けられた下チャック25等を含む。ビーム40は、上方の待機位置から下降し、上下チャック25,45が係合してタイヤ10を挟持した状態で、固定される。鉛直方向から見て、上チャック45回転軸45xと、これを挟んで等距離間隔で配置された鉛直フレーム30a,30bにおけるビーム40の支持点30xとが、直線上にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの性能試験を行うためのタイヤ試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ試験装置において、下フレーム(基部62)と、下フレームに立設された門型フレームと、下フレームに取り付けられた下チャックと、門型フレームのビーム(交差梁64)に取り付けられた上チャックと、を有するものが知られている(特許文献1参照)。当該タイヤ試験装置では、下チャックと上チャックとでタイヤを挟持した状態でタイヤの内部空間に空気を供給し、下チャック及び上チャックにそれぞれ設けられた回転部材を回転させることでタイヤを回転させつつ、各種の性能試験を行う。
【0003】
タイヤの内部空間に空気が供給されると、当該内部空間の空気圧による力(以下、「分離力」と称す。)が上チャックに作用し、上チャックは下チャックから離隔しようとする。分離力は、上チャックからビームを介して鉛直フレーム(支柱)、そして下フレームへと伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4011632号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1において、上チャックは、ビームの長手方向中央ではなく、2本の鉛直フレーム(支柱)の一方の(探査機56が設けられた)支柱により近接した位置に取り付けられている。そのため、フレーム各部の構造等にもよるが、上チャックに作用する上記分離力によってビーム(交差梁64)が変形し、当該変形によって上チャックが鉛直線に対して傾斜する傾向にあり、上チャックの回転軸が下チャックの回転軸に対して傾斜してしまうという問題が生じ得る。上チャック及び下チャックの回転軸のずれは、試験精度に悪影響を及ぼすため、できる限り抑制する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、分離力による上チャックの回転軸の下チャックの回転軸に対するずれを効果的に抑制可能なタイヤ試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、下フレームと、前記下フレームに支持され、前記下フレームから鉛直方向上方に延在する一対の鉛直フレームと、前記一対の鉛直フレームに支持され、前記一対の鉛直フレーム間に架け渡されたビームと、前記下フレームに取り付けられ、鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能な下回転部材を含む下チャックと、前記ビームの長手方向中央に取り付けられ、前記下チャックと係合可能であり、前記下回転部材と共に鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能な上回転部材を含む上チャックと、前記上チャックを鉛直方向に移動させる移動手段と、前記上チャックを鉛直方向に関して移動不能に固定する固定手段と、前記固定手段によって前記上チャックが固定され、且つ、前記上チャックと前記下チャックとが係合してタイヤを挟持すると共に前記タイヤの内部空間を封止した状態において、前記内部空間に空気を供給する空気供給手段とを備え、前記空気供給手段によって空気の供給が行われるとき、鉛直方向から見て前記上回転部材の回転軸とこれを挟んで等距離間隔で配置された前記一対の鉛直フレームにおける前記ビームの支持点とが直線上にあることを特徴とするタイヤ試験装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、分離力による上チャックの回転軸の下チャックの回転軸に対するずれを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤ試験装置を含む、タイヤ試験システム全体を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った面から見た、本発明の第1実施形態に係タイヤ試験装置の側面図である。
【図3】下チャックを示す部分側面図である(下リムは不図示)。
【図4】本発明の第2実施形態に係るタイヤ試験装置を含む、タイヤ試験システム全体を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った面から見た、本発明の第2実施形態に係タイヤ試験装置の側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るタイヤ試験装置の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るタイヤ試験装置1を含むタイヤ試験システム100の全体構成について説明する。
【0012】
タイヤ試験システム100は、タイヤ試験装置1に加え、入口コンベア2、センターコンベア3、及び、出口コンベア4を有する。各コンベア2,3,4は、試験対象となるタイヤ10を搬送方向Dに搬送する。なお、タイヤ試験システム100によるタイヤ10の試験方法については、後に詳述する。
【0013】
次に、図1〜図3を参照し、タイヤ試験装置1の構成について説明する。
【0014】
タイヤ試験装置1は、図2に示すように、下フレーム20、下フレーム20上に取り付けられた一対の鉛直フレーム30a,30b、鉛直フレーム30a,30b間に架け渡された鉛直方向に移動可能なビーム40、下フレーム20に取り付けられた下チャック25、及び、ビーム40に取り付けられた上チャック45を有する。
【0015】
下フレーム20は、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、H型、I型等の鋼材からなり、水平方向(図1に示す直線Lに沿った方向)に延在している。図1に示すように、下フレーム20の長手方向中心は、センターコンベア3の中心と略一致している。
【0016】
直線Lは、図1に示すように、タイヤ10の搬送方向Dに対して直交せず鋭角又は鈍角をなしている。本実施形態において、直線Lは、ドラム50側が搬送方向D上流側に傾斜するよう、配置されている。したがって、直線Lにおける搬送方向D上流側に形成された、当該直線Lの搬送方向Dに対する角度は、センターコンベア3の中心を頂点とするドラム50側の角度θが鋭角、センターコンベア3の中心を頂点とするドラム50と反対側の角度が鈍角(180度−θ)となっている。ここで、角度θは、20〜80度(入口コンベア2及びドラム50の配置を考慮すると、好ましくは35〜65度)であり、本実施形態では略50度である。
【0017】
鉛直フレーム30a,30bは、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、角型鋼管からなり、下フレーム20の上面にボルト・ナット等を介して固定されている。鉛直フレーム30a,30bは、図1に示すように下フレーム20の長手方向中心から直線Lに沿って互いに等距離離隔した位置に配置されると共に、図2に示すように下フレーム20から鉛直方向上方に延在している。鉛直フレーム30a,30bにおける互いに対向する側面には、それぞれリニアモーションガイド34a,34bが取り付けられている。また、鉛直フレーム30a,30bにはそれぞれボールネジ31a,31bが設けられている。ボールネジ31a,31bは、鉛直フレーム30a,30bそれぞれの内部空間内において、鉛直方向に延在している。本実施形態では、強度に差が生じないよう実質的に同一の形状とされている一対の鉛直フレーム30a,30bが、図1に示すように、下フレーム20の長手方向中心に対して回転対称に配置されている。
【0018】
ビーム40は、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、H型、I型等の鋼材からなり、両端がボールネジ31a,31bそれぞれのナットと接続されており、ボールネジ31a,31b及びリニアモーションガイド34a,34bを介して一対の鉛直フレーム30a,30bに支持されている。ビーム40は、鉛直フレーム30a,30b間で水平方向に延在しつつ、ボールネジ31a,31bの回転に伴ってリニアモーションガイド34a,34bにガイドされつつ鉛直方向上方又は下方に移動する。ビーム40の鉛直方向に関する位置は、鉛直フレーム30bに設けられた直線センサ(リニアセンサとも言う)35により検出される。また、ビーム40は、その長手方向中心を境として強度に差が生じないように構成されている。本実施形態では、図1に示すように、ビーム40は、その長手方向中心(上チャック45の回転中心)に対して回転対称な形状を有する。
【0019】
ボールネジ31a,31bのそれぞれに、モータ32a,32b及び電磁ブレーキ33a,33bが設けられている。即ち、ボールネジ31a,31bは、別々のモータ32a,32bによって同期駆動され、また、モータ32a,32bとの間に設けられている電磁ブレーキ33a,33bにより回転が停止される。
【0020】
上チャック45は、図2に示すように、ビーム40の長手方向中央に取り付けられており、ボールネジ31a,31bの回転に伴って、ビーム40に保持されつつ一対の鉛直フレーム30a,30bに沿って鉛直方向上方又は下方に移動し、また、電磁ブレーキ33a,33bにより、ビーム40と共に鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能に固定される。即ち、電磁ブレーキ33a,33bは、分離力による上下チャック25,45の相対的移動(ビーム40の鉛直方向の移動)を禁止する。
【0021】
下チャック25は、下フレーム20の長手方向中央に配置されている。下チャック25は、下フレームに移動不能に固定された下ハウジング26、下ハウジング26内に配置された下スピンドル27、下スピンドル27内に配置されたプランジャ28、及び、下スピンドル27の上端に固定された下リム29を含む。下スピンドル27は、モータ27m(図1参照)の駆動により、鉛直方向に沿った軸を中心として回転する。プランジャ28は、下スピンドル27と共に鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能であると共に、下スピンドル27が鉛直方向に伸縮不能であるのに対し、エアシリンダ28a,28bの駆動により鉛直方向に伸縮(下スピンドル27に対して相対移動)可能である。プランジャ28は、鉛直方向に細長い棒部材であり、その鉛直方向上端28pは、外側面が鉛直方向に対して傾斜した傾斜面を含むテーパー形状の凸部となっている。また、プランジャ28の内部には、鉛直方向に沿って、下端から上端28p近傍に亘って、空気供給穴28xが形成されている。空気供給穴28xは、プランジャ28の下端に配置されたロータリージョイント28yに接続されている。下リム29は、下スピンドル27の上端を囲むように配置されており、下スピンドル27と共に鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能である。
【0022】
上チャック45は、ビームに固定された上ハウジング46と、上ハウジング46内に配置された上スピンドル47、及び、上スピンドル47の下端に固定された上リム49を含む。上スピンドル47の鉛直方向下端47pは、プランジャ28の上端28pの凸部と係合可能な凹部を有する。即ち、当該凹部の内側面は、鉛直方向に対して上記凸部と同じ角度で傾斜した傾斜面である。上リム49は、上スピンドル47の下端を囲むように配置されており、上スピンドル47と共に鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能である。
【0023】
上チャック45及び下チャック25は、下フレーム20の長手方向中心において、互いに鉛直方向に対向する位置に配置されている。即ち、下チャック25の下スピンドル27、プランジャ28、及び下リム29、並びに、上チャック45の上スピンドル47及び上リム49の回転軸は、下フレーム20の長手方向中心と一致している。
【0024】
次に、図1及び図2を参照し、タイヤ試験システム100によるタイヤ10の試験方法について説明する。なお、以下に述べるタイヤ試験システム100各部の動作は、タイヤ試験システム100のコントローラ(図示せず)によって制御される。
【0025】
先ず、タイヤ10は、図1に示す入口コンベア2上に導入され、入口コンベア2上でビード部に潤滑剤を塗布される。その後タイヤ10は、入口コンベア2からセンターコンベア3上に受け渡される。センターコンベア3は、下リム29の上方における当該コンベア3上にタイヤ10が搬送された後、タイヤ10を保持しつつ下降し、タイヤ10を図2に示す下チャック25の下リム29上に載置する。
【0026】
ビーム40は、タイヤ10が入口コンベア2からセンターコンベア3上に送り出される間、待機位置となる最上昇位置にて停止している。
なお、ビーム40は、上チャック45がタイヤ10に干渉しない待機位置にて、停止していてもよい。待機位置は、タイヤ10の幅に応じて、上リム49がタイヤ10に干渉しない程度のできるだけ下方の位置に、設定されることにより、上チャック45の待機位置から後述の試験位置に向けての下降にかかる時間を短縮することができる。
【0027】
ビーム40は、上述したセンターコンベア3の下降開始と同時に、待機位置から下方への移動を開始すると同時に、プランジャ28がエアシリンダ28a,28bの駆動によって上方への延伸を開始する。ビーム40の移動はボールネジ31a,31bの回転に伴うものであり、直線センサ35によってビーム40の位置を監視しつつモータ32a,32bの駆動が制御される。そして、ビーム40の位置がプランジャ28の凸部と上スピンドル47の凹部との係合位置に近づいたことを直線センサ35により検知すると、モータ32a,32bが減速するように制御される。ビーム40は、上記係合位置に達した後、上チャック45によりプランジャ28を押し下げつつ、さらに下降する。ビーム40が上記係合位置から試験位置(リム29,49の間隔がタイヤ10に応じた規定のビード幅となる位置)に至ったことを直線センサ(リニアセンサとも言う)28d(図3参照)により検知すると、モータ32a,32bが停止してボールネジ31a,31bの回転が停止される。また、電磁ブレーキ33a,33bによるボールネジ31a,31bの回り止め作用により、ビーム40が鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能に固定される。
【0028】
これにより、上下チャック25,45の回転軸が位置合わせされる。
【0029】
なお、ビーム40(上チャック45)の鉛直方向の位置検出は、直線センサ35による検出結果を用いて行ってもよいし、或いは、直線センサ35に代えて、ビーム40(上チャック45)の鉛直方向に関する位置を検出するリミットスイッチのような検出手段による検出結果を用いて行ってもよい。直線センサ35やリミットスイッチは、検出結果としてビーム40が下限位置(例えば下限位置は、上記したような上端28pと下端47pとが係合する位置)に到達する直前にビーム40の速度を低下させるトリガーとなる信号を出力するように設けるだけでなく、ビーム40が上限位置に到達する直前にビーム40の速度を低下させるトリガーとなる信号を出力するように設けることが望ましい。
【0030】
また、プランジャ28と共に移動している上チャック45の位置を検出し位置決めするための検出手段は、例えば、プランジャ28のガイド部材28g(図3参照)に取り付けられた直線センサ28dの他、プランジャ28自体に取り付けられた直線センサ又はエアシリンダ28a,28bに内蔵された直線センサ等であってよい。いずれの場合も、検出手段により検出されるプランジャ28の延伸距離に基づいて、位置決めを行えばよい。
【0031】
なお、上記の例では、直線センサ35の検出結果によって、ビーム40(上チャック45)の鉛直方向に関する位置の検出を行い、直線センサ28dの検出結果によって、上チャック45を試験位置(リム29,49の間隔がタイヤ10に応じた規定のビード幅となる位置)に位置決めするようにしたが、直線センサ35の検出結果によって、ビーム40(上チャック45)の鉛直方向に関する位置の検出と、上チャック45の試験位置(リム29,49の間隔がタイヤ10に応じた規定のビード幅となる位置)への位置決めを行うようにしてもよい。
この場合、ビーム40は、センターコンベア3の下降開始と同時に、待機位置から下方への移動を開始する。ビーム40の移動はボールネジ31a,31bの回転に伴うものであり、直線センサ35によってビーム40の位置を監視しつつ各モータ32a,32bの駆動が制御される。そして、上チャック45が上記試験位置に到達すると、電磁ブレーキ33a,33bによりボールネジ31a,31bの回転が停止され、ビーム40が鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能に固定される。このときプランジャ28の上端28pは図2に示すよりも下方に位置している。
その後、プランジャ28がエアシリンダ28a,28bの駆動によって上方に延伸し、プランジャ28の上端28pと上スピンドル47の下端47pとが係合する。これにより、上下チャック25,45の回転軸が位置合わせされる。
【0032】
上記のようにして上チャック45が鉛直方向に関して位置合わせされた状態で移動不能に固定され、上下チャック25,45が係合したとき、上下チャック25,45間に挟持されたタイヤ10の内部空間は封止されている。この状態において、ロータリージョイント28yにつながる電磁弁が駆動され、空気供給穴28xを介してタイヤ10の内部空間に圧縮空気が供給される。そしてタイヤ10の空気圧が所定の圧力となったタイミングで、圧縮空気の供給が停止される。
【0033】
その後、モータ27mの駆動が開始され、下スピンドル27と共にプランジャ28及び下リム29並びに上チャック45の上スピンドル47及び上リム49が同じ軸回りに回転し、タイヤ10が回転する。これと同時に、ドラム50が図1の紙面上において搬送方向Dと直交する方向に沿って前進し、タイヤ10の側面を押圧することにより、タイヤ10に荷重を付加する。このときドラム50は、一対の鉛直フレーム30a,30bの間を、鉛直方向から見て搬送方向Dと直交する方向に、移動する。
【0034】
そして、タイヤ10の各種性能試験が終了すると、モータ27mの駆動が停止され、下スピンドル27等の回転が停止する。その後、ロータリージョイント28yにつながる電磁弁が開放されることにより、タイヤ10の空気圧が減少する。そして電磁ブレーキ33a,33bが開放された後、タイヤストリッパ48の駆動によって上リム49からタイヤ10が剥離される。
【0035】
その後、ビーム40が上チャック45と共に上昇を開始すると同時に、図1に示すセンターコンベア3も上昇を開始する。センターコンベア3の上昇により、タイヤ10は下リム29から剥離され、センターコンベア3上に載置される。その後タイヤ10は、センターコンベア3により出口コンベア4上に受け渡され、出口コンベア4上で適宜のマーキングが施される。
【0036】
以上に述べたように、本実施形態に係るタイヤ試験装置1によると、タイヤ10の内部空間に圧縮空気が供給されるとき、図1に示すように、鉛直方向から見て、上チャック45の回転軸45x(上スピンドル47の回転軸であって、ビーム40に対する上チャック45の取り付け位置の中心と同じ)と、これを挟んで等距離間隔で配置された一対の鉛直フレーム30a,30bにおけるビーム40の支持点30x(鉛直フレーム30a,30bの中心位置と同じ)とが同一の直線上にある。したがって、上チャック45に作用する分離力は、上チャック45からビーム40の長手方向両端に向けて均等に伝達される。したがって、ビーム40の長手方向に関する曲げや引張等の機械的応力は上チャック45を挟んで対称となり、上チャック45に鉛直方向上方の分離力が作用する。これにより、分離力による上チャック45の回転軸の下チャック25の回転軸に対する傾きやずれを効果的に抑制することができる。
【0037】
図1に示すように、鉛直方向から見て、下フレーム20における一対の鉛直フレーム30a,30bの支持点(鉛直方向から見て上記支持点30xと同じ位置にある。)を結ぶ直線が搬送方向Dに対して鋭角又は鈍角をなす。これにより、鉛直方向から見て、搬送方向Dと直交する方向に関するタイヤ試験装置1のサイズを小さくすることができる。
【0038】
試験時において、ドラム50が、一対の鉛直フレーム30a,30bの間を、鉛直方向から見て搬送方向Dと直交する方向に、移動する。このように、鉛直フレーム30a,30bをドラム50の移動やタイヤ10の搬送に干渉しないよう配置しつつ、搬送方向Dと直交する方向に関するタイヤ試験装置1の小型化を実現可能である。
【0039】
ビーム40が鉛直方向に移動可能であり、また、ビーム40を鉛直方向に移動させるボールネジ31a,31bが、ビーム40ではなく、鉛直フレーム30a,30bに設けられている。例えばビーム40が鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能であって、上チャック45をビーム40に対して鉛直方向に移動させるアクチュエータをビーム40に設ける場合に比べ、タイヤ試験装置1全体としての高さを抑制することができる。
【0040】
ビーム40を鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能に固定する電磁ブレーキ33a,33bが、ビーム40ではなく、鉛直フレーム30a,30bに設けられている。例えばビーム40が鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能であって、上チャック45をビーム40に対して鉛直方向に移動させる構成において、上チャック45をビーム40に対して移動不能に固定するロック機構をビームに設ける場合に比べ、タイヤ試験装置1全体としての高さを抑制することができる。
【0041】
直線センサ35による検出結果に基づいて、上チャック45の上昇端や試験位置の直前で移動速度を減速させることができるので、上チャック45の移動範囲に亘って移動速度を低下させる必要がなく、サイクルタイム低下を抑制することができる。
【0042】
ビーム40を鉛直方向に移動させるアクチュエータとして、好ましくはサーボモータ32a,32bで駆動するボールネジ31a,31bを用いることにより、上チャック45の下チャック25に対する鉛直方向の位置決めを精度良く行うことができる。
【0043】
一対のボールネジ31a,31bのそれぞれに、当該ボールネジ31a,31bの回転を停止させることでロック機構として機能する、電磁ブレーキ33a,33bが設けられている。これにより、ビーム40を鉛直フレーム30a,30bに固定するロック機構を採用した場合に比べ、タイヤ試験装置1の構成の簡略化が可能である。
【0044】
一対のボールネジ31a,31bは、別々のモータ32a,32bによって、同期駆動される。これにより、1つのモータからの駆動力を2つのボールネジに伝達する駆動機構を採用した場合に比べ、タイヤ試験装置1の構成の簡略化が可能である。
【0045】
鉛直フレーム30a,30bに、ビーム40の移動をガイドするリニアモーションガイド34a,34bが取り付けられている。直動ガイド部材としてリニアモーションガイド34a,34bを利用することで、ビーム40の滑らかな移動を実現することができる。
【0046】
上下チャック25,45の回転軸の位置合せが、下チャック25のプランジャ28を用いて行われる。したがって、上チャック45にプランジャ及びこれを駆動するためのアクチュエータを設ける必要がなく、上チャック45の構成の簡素化・軽量化が実現される。特に、本実施形態のように、上チャック45を保持したビーム40を鉛直方向に移動させる場合、上チャック45の軽量化が重要であるため、当該構成が有効である。また、上チャック45の構成の簡素化により、上チャック45の高さを抑制可能であり、ひいてはタイヤ試験装置1全体としての高さを抑制することができる。
【0047】
下チャック25のプランジャ28の凸部と、上スピンドル47の凹部との係合により、上下チャック25,45の係合が実現される。これにより、凹凸が本実施形態と逆の場合(即ち、プランジャ28に凹部が形成されている場合)に比べ、プランジャ28の構成の簡素化・製作性の向上・軽量化・コストダウンが可能である。
【0048】
上チャック45の下チャック25に対する鉛直方向の位置決めを、上述したように、プランジャ28と上スピンドル47とが係合した後、検出手段(直線センサ28d)により検出されるプランジャ28の鉛直方向に関する位置に基づいて行うことにより、位置決め精度を向上させることができる。
【0049】
また、タイヤ試験装置1によると、タイヤ10のサイドウォールの強度が低い場合にも対応可能である。即ち、タイヤ10は横に寝かせた状態(サイドウォールが水平面に沿った状態)で搬送されるため、サイドウォールの強度が低い場合、サイドウォールが撓んでビード部が垂れ下り、ビード幅が規定の幅よりも小さくなってしまうことがある。この場合、上チャック45を試験位置に下降させても上リム49がタイヤ10に接触しないため、タイヤ10の内部空間に供給された圧縮空気が外部に逃げてしまい、タイヤ10の空気圧を所定の圧力にすることができない。そこで、このような問題を軽減するため、コントローラによって、以下のような制御を行う。即ち、先ず、上リム49がタイヤ10のビードに接触する位置(試験位置よりも、例えば25mm程度、下方の位置)までビーム40を下降させ、その後、タイヤ10の内部空間の空気圧が試験時よりも低い空気圧となるよう、当該内部空間に圧縮空気を供給する。これによりタイヤ10は、ビードと上リム49との接触を保ちつつ、圧縮空気の供給によって膨らむ。そしてビードと上リム49との接触を保ちつつ、ビーム40を若干上昇させ、上チャック45を試験位置に復帰させる。そして、電磁ブレーキ33a,33bによりビーム40を固定し、さらにプランジャ28と上スピンドル47とを係合させた後、タイヤ10の内部空間の空気圧が試験時の空気圧となるよう、当該内部空間に圧縮空気を供給する。この後、上述と同様に、タイヤ10を回転させつつ各種性能試験を行うことができる。
【0050】
次いで、図4及び図5を参照し、本発明の第2実施形態に係るタイヤ試験装置201について説明する。なお、上述した構成要素と同じ構成要素については、同じ参照番号を付してその説明を省略する。タイヤ試験装置201は、以下の点を除き、第1実施形態のタイヤ試験装置1と略同じ構成である。
【0051】
ビーム240は、全体として、水平方向に延在する直線状ではなく、長手方向中央が上方に向かって突出した形状を有する。具体的には、ビーム240は、長手方向中央において水平方向に延在した直線状の水平部と、水平部の長手方向一端及び他端のそれぞれから斜め下方に延びた2つの傾斜部とを含む。ビーム240の長手方向両端(即ち、2つの傾斜部における水平部と反対側の端部)は、中央よりも下方に位置し、当該両端において鉛直フレーム230a,230bの後述するガイドシャフト234a,234bによってガイドされている。ビーム240の当該形状により、ビーム240がガイドされる位置を下げることができ、鉛直フレーム230a,230bの高さを抑制することができ、ひいては装置201全体としての高さを抑制することができる。
【0052】
ガイドシャフト234a,234bは、角筒形ではなく円柱形又は円筒形であり、例えば円形鋼管からなる。
【0053】
鉛直フレーム230a,230bにはそれぞれ、ガイドシャフト234a,234bが取り付けられている。ビーム240の両端部にはそれぞれ、ガイドシャフト234a,234bにガイドされるガイドブッシュ、及び、ガイドシャフト234a,234bを外周から把持する機構を有するロックユニット233a,233bが取り付けられている。ガイドシャフト234a,234bは、ビーム240の移動をガイドする他、鉛直フレーム230a,230bによるビーム240の支持力を補強する。ロックユニット233a,233bは、くさびスリーブ及びクランプリングを内蔵したものであり、ビーム240を鉛直フレーム230a,230bに設けられているガイドシャフト234a,234bに対して移動不能に固定させる。即ち、ロックユニット233a,233bは、分離力による上下チャック25,45の相対的移動(ビーム240の鉛直方向の移動)を禁止する。
【0054】
ビーム240を鉛直方向上方又は下方に移動させるボールネジ231a,231bは、鉛直フレーム230a,230bの内部空間に配置されている。また、ボールネジ231a,231bは、ドライブシャフト237a,237bによって互いに接続されている。ドライブシャフト237a,237bはそれぞれ、ボールネジ231a,231bの下端に設けられたギアボックス236a,236bを介してボールネジ231a,231bと接続されている。また、ドライブシャフト237a,237bは、ギアボックス232gを介して互いに接続されており、モータ232の駆動によって回転する。
【0055】
ビーム240の鉛直方向に関する位置は、鉛直フレーム230aに沿ってその近傍に設けられた直線センサ235により検出される。
【0056】
上チャック45は、鉛直方向に延在するロッド245Rを介してビーム240の長手方向中央に取り付けられており、ビーム240に対して、移動不能ではなく、ロッド245Rの上端部分に設けられたスライド241によって、鉛直方向に移動可能である。スライド241の下端(ロッド245Rの略中央)には、上チャック45のスライド241による移動可能範囲の上限を規定するストッパ242が設けられている。図5において、上チャック45はスライド241による移動可能範囲の下限に位置している。スライド241による上チャック45の移動可能範囲は、例えば25mmであり、タイヤ10の幅等に応じて設定してよい。
【0057】
上チャック45は、下チャック25とでタイヤ10をチャックするとき以外、上チャック45自体の重力、又は、ビーム240に対して上チャック45を鉛直方向に移動させるアクチュエータ(例えば油圧シリンダ等。図示せず)の力によって、ビーム240に対するスライド241による移動可能範囲の下限に配置されている。即ち、ビーム240がセンターコンベア3の下降開始と同時に待機位置から下方への移動を行う間も、上チャック45は移動可能範囲の下限に配置された状態を維持する。ビーム240は、待機位置から下降し、上リム49がタイヤ10のビードに接触する位置(試験位置よりも、例えば25mm、下方の位置)において、鉛直フレーム230a,230bに対して移動不能に固定される。その後、タイヤ10の内部空間の空気圧が試験時よりも低い空気圧となるよう、当該内部空間に圧縮空気が供給される。このとき、上チャック45は、ビードと上リム49との接触を保ちつつ、当該空気圧によってスライド241を介して鉛直方向に移動し、ストッパ242に接触する位置(ビーム240に対するスライド241による移動可能範囲の上限であり、試験位置に相当する位置)で停止する。このようにして上チャック45を試験位置に復帰させた後、プランジャ28と上スピンドル47とを係合させ、タイヤ10の内部空間の空気圧が試験時の空気圧となるよう、当該内部空間に圧縮空気を供給する。この後、上述と同様に、タイヤ10を回転させつつ各種性能試験を行うことができる。
【0058】
以上に述べたように、本実施形態に係るタイヤ試験装置201によると、第1実施形態と同様、タイヤ10の内部空間に圧縮空気が供給されるとき、図4に示すように、鉛直方向から見て、上チャック45の回転軸45x(ビーム240に対する上チャック45の取り付け位置の中心と同じ)と、これを挟んで等距離間隔で配置された一対の鉛直フレーム230a,230bにおけるビーム240の支持点230x(鉛直方向から見て分離力が作用する位置である鉛直フレーム230a,230bの中心位置と同じ)とが同一の直線上にある。したがって、上チャック45に作用する分離力は、上チャック45からビーム240の長手方向両端に向けて均等に伝達される。したがって、ビーム240の長手方向に関する曲げや引張等の機械的応力は上チャック45を挟んで対称となり、上チャック45に鉛直方向上方の分離力が作用する。これにより、分離力による上チャック45の回転軸の下チャック25の回転軸に対するずれを効果的に抑制することができる。
【0059】
その他、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成によって、同様の効果が得られる。また、本実施形態は、第1実施形態と異なる構成により、下記の効果が得られる。
【0060】
即ち、一対のボールネジ231a,231bは、ドライブシャフト237a,237bによって互いに接続されており、モータ232によって同期駆動される。これにより、ボールネジ231a,231bの同期駆動を一つのモータによって精度良く行うことができる。
【0061】
鉛直フレーム230a,230bに、ビーム240の移動をガイドするガイドシャフト234a,234bが取り付けられている。直動ガイド部材としてガイドシャフト234a,234bを利用することで、ビーム240の安定した移動を実現することができる。
【0062】
また、試験時に上記のような制御(ビーム240を一旦上リム49がタイヤ10のビードに接触する位置まで下降させる等の制御)を行うことにより、タイヤ10のサイドウォールの強度が低い場合にも対応可能である。なお、アクチュエータによって上チャック45を移動可能範囲の下限に配置する場合、アクチュエータによって上チャック45に作用する鉛直方向下方の力は、タイヤ10の内部空間の空気圧が上記低い空気圧となったときに上チャック45に作用する分離力(鉛直方向上方の力)よりも、小さく設定される。このような鉛直方向下方の力を上チャック45に作用させておくことで、タイヤ10の内部空間の空気圧が上記低い空気圧となるよう圧縮空気の供給が行われたときに、上チャック45が勢い良く上昇してストッパ242と激しく衝突するのを防止することができる。
【0063】
次いで、図6を参照し、本発明の第3実施形態に係るタイヤ試験装置301について説明する。なお、上述した構成要素と同じ構成要素については、同じ参照番号を付してその説明を省略する。タイヤ試験装置301は、以下の点を除き、第1実施形態のタイヤ試験装置1と略同じ構成である。
【0064】
鉛直フレーム30a,30b(図6には一方の鉛直フレーム30aのみ示されている。)にはそれぞれ、ボールネジ31a,31b、モータ32a,32b、及び電磁ブレーキ33a,33b(図2参照)ではなく、油圧シリンダ331,331が設けられている。油圧シリンダ331,331は、鉛直フレーム30a,30bそれぞれの内部空間内において、鉛直方向に延在し、ビーム340の長手方向両端を下側から支持している。各油圧シリンダ331のピストンロッドの先端にビーム340の長手方向の各端部が固定されている。油圧シリンダ331,331のピストンの移動に応じてビーム340が鉛直フレーム30a,30bに沿って鉛直方向に移動し、ピストンの停止によってビーム340が鉛直フレーム30a,30bに対して移動不能に固定される。なお、ビーム340は、油圧シリンダ331,331及びリニアモーションガイド34a,34bを介して、一対の鉛直フレーム30a,30bに支持されている。
【0065】
本実施形態に係るタイヤ試験装置301によると、ビーム340を鉛直方向に移動させるアクチュエータ及びビーム340の固定手段として油圧シリンダ331,331を用いたことにより、装置全体の構成を簡素化することができる。なお、ビーム340(上チャック)の位置を検出するための位置検出手段として、油圧シリンダ内蔵型の直線センサを用いれば、位置検出手段を別途取り付ける場合よりも、装置構成を簡素化することができる。
【0066】
次いで、本発明の第4実施形態に係るタイヤ試験装置について説明する。本実施形態に係るタイヤ試験装置は、以下の点を除き、第3実施形態のタイヤ試験装置301と略同じ構成である。
【0067】
本実施形態では、油圧シリンダ331,331が鉛直フレーム30a,30bの機能をも果たす。即ち、鉛直フレーム30a,30b及びリニアモーションガイド34a,34bが省略されており、ビーム340はその両端がそれぞれ油圧シリンダ331,331によって支持されている。
【0068】
本実施形態に係るタイヤ試験装置によると、構成部材の数を低減することができ、装置全体の構成のさらなる簡素化が可能である。
【0069】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0070】
上チャック及び下チャックの構成は、上述の実施形態で示したもの以外に、任意に変更可能である。例えば、プランジャと上回転部材との雄雌は逆(即ち、プランジャ28に凹部が形成されている構成)でもよい。
【0071】
試験時におけるタイヤ試験システム及び本発明に係るタイヤ試験装置の各部の制御方法は、上述の実施形態で示したもの以外に、任意に変更可能である。例えば、タイヤのサイドウォールの強度を検出し、強度が所定強度よりも低い場合に、上述のようなサイドウォールの強度が低い場合にも対応可能な制御を行ってよい。
【0072】
ビームの移動をガイドするガイド部材は、リニアモーションガイドやガイドシャフトに限定されず、その他様々な部材を適用可能である。
【0073】
第2実施形態において、鉛直フレーム230a,230bを省略し、ガイドシャフト234a,234bを大径化して十分な強度を持たせるようにすることで、ガイドシャフト234a,234bのみでビーム240を支持してもよい。
【0074】
第2実施形態において、ロックユニット233a,233bを省略し、ドライブシャフト237a,237bにボールネジ231a,231bの回転を停止させるブレーキ手段(ディスクブレーキや電磁ブレーキ)を設けてもよい。
【0075】
第2実施形態において、一対のボールネジ231a,231bを接続する接続部材は、ドライブシャフト237a,237bに限定されず、その他様々な部材(例えば駆動ベルト)を適用可能である。
【0076】
第2実施形態において、スライド241のギャップ部分(図5に示すビーム240の長手方向中央の下面とストッパ242との間)に、例えば板材からなるスペーサを設け、上チャック45のスライド241による移動可能範囲の上限を調整してもよい。
【0077】
本発明の実施形態において、ロック機構は、電磁ブレーキ以外にも、ディスクブレーキ、爪(鉛直フレームに形成された溝に嵌合してロックする爪)、ボールネジに搭載された円形部材にピンを差し入れることで構成される機構、その他任意の方式のブレーキ、その他様々なものを適用可能である。また、ロック機構は、一対のボールネジ31a,31bのそれぞれに対して、二箇所ずつ設けてもよい。一つのボールネジに対して二つのロック機構を設けることにより、その二つの内の一方が故障した場合でも、もう一つでロック機能を働かせることができ、ロック機能の確実性を高めることができる。
【0078】
本発明の実施形態において、第1検出手段は、上述の実施形態のような直線センサ35に限定されず、その他様々な部材を適用可能である。例えば、モータ32a,32bをエンコーダが付属するサーボモータとして、そのエンコーダを第1検出手段としてもよい。
【0079】
本発明の実施形態において、移動手段及び固定手段は、上述の実施形態で示すものに限定されず、その他様々な部材を適用可能である。また、移動手段及び固定手段は、鉛直フレーム内に設けられることに限定されない。
【0080】
本発明の実施形態において、ビームは、鉛直方向に移動可能であることに限定されず、鉛直フレームに対して移動不能に固定されていてもよい。この場合、上チャックをビームに対して鉛直方向に移動させるアクチュエータを設け、アクチュエータの駆動により上チャックをビームに対して鉛直方向に移動させればよい。
【0081】
本発明の実施形態において、図1に示すように、鉛直方向から見て、下フレームにおける一対の鉛直フレームの支持点を結ぶ直線(支持点30xを結ぶ直線)は、搬送方向Dに対して直交してもよい(即ち、図1において角度θが90度であってもよい)。
【符号の説明】
【0082】
1;201;301 タイヤ試験装置
10 タイヤ
20 下フレーム
25 下チャック
26 下ハウジング
27 下スピンドル(下回転部材)
28 プランジャ
28d 直線センサ(第2検出手段)
28p 上端
28x 空気供給穴(空気供給手段)
29 下リム
30a,30b;230a,230b 鉛直フレーム
30x;230x 支持点
31a,31b;231a,231b ボールネジ(移動手段,アクチュエータ)
32a,32b モータ
33a,33b 電磁ブレーキ(固定手段,ロック機構)
34a,34b リニアモーションガイド
35;235 直線センサ(第1検出手段)
40;240;340 ビーム
45 上チャック
45x 上チャックの回転軸(上回転部材の回転軸)
46 上ハウジング
47 上スピンドル(上回転部材)
47p 下端
49 上リム
50 ドラム(荷重付加部材)
100 タイヤ試験システム
232 モータ
233a,233b ロックユニット(固定手段,ロック機構)
234a,234b ガイドシャフト
237a,237b ドライブシャフト(接続部材)
241 スライド
331 油圧シリンダ(移動手段,アクチュエータ,鉛直フレーム,固定手段)
D タイヤ搬送方向
L 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下フレームと、
前記下フレームに支持され、前記下フレームから鉛直方向上方に延在する一対の鉛直フレームと、
前記一対の鉛直フレームに支持され、前記一対の鉛直フレーム間に架け渡されたビームと、
前記下フレームに取り付けられ、鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能な下回転部材を含む下チャックと、
前記ビームの長手方向中央に取り付けられ、前記下チャックと係合可能であり、前記下回転部材と共に鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能な上回転部材を含む上チャックと、
前記上チャックを鉛直方向に移動させる移動手段と、
前記上チャックを鉛直方向に関して移動不能に固定する固定手段と、
前記固定手段によって前記上チャックが固定され、且つ、前記上チャックと前記下チャックとが係合してタイヤを挟持すると共に前記タイヤの内部空間を封止した状態において、前記内部空間に空気を供給する空気供給手段とを備え、
前記空気供給手段によって空気の供給が行われるとき、鉛直方向から見て前記上回転部材の回転軸とこれを挟んで等距離間隔で配置された前記一対の鉛直フレームにおける前記ビームの支持点とが直線上にあることを特徴とするタイヤ試験装置。
【請求項2】
鉛直方向から見て、前記下フレームにおける前記一対の鉛直フレームの支持点を結ぶ直線が、前記タイヤの前記下チャックに向けての搬送方向に対して、鋭角又は鈍角をなすことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験装置。
【請求項3】
前記上チャックと前記下チャックとの間に挟持された前記タイヤに荷重を付加する荷重付加部材が、前記一対の鉛直フレームの間を、鉛直方向から見て前記搬送方向と直交する方向に、移動することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ試験装置。
【請求項4】
前記移動手段が、前記上チャックを保持した前記ビームを前記一対の鉛直フレームに沿って鉛直方向に移動させ、
前記固定手段が、前記上チャックを保持した前記ビームを前記一対の鉛直フレームに対して移動不能に固定し、
前記移動手段が、前記鉛直フレームに設けられたアクチュエータを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。
【請求項5】
前記固定手段は、前記鉛直フレームに設けられたロック機構を含むことを特徴とする請求項4に記載のタイヤ試験装置。
【請求項6】
鉛直方向に関する前記上チャックの前記下チャックに対する位置を検出する第1検出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記一対の鉛直フレームのそれぞれに設けられた、鉛直方向に延在する一対のボールネジであることを特徴とする請求項5に記載のタイヤ試験装置。
【請求項8】
前記一対のボールネジのそれぞれ又は前記一対のボールネジそれぞれを駆動するドライブシャフトに、当該ボールネジの回転を停止させることで前記ロック機構として機能する、電磁ブレーキが設けられていることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ試験装置。
【請求項9】
前記一対のボールネジは、別々のモータによって、同期駆動されることを特徴とする請求項7又は8に記載のタイヤ試験装置。
【請求項10】
前記一対のボールネジは、接続部材によって互いに接続されており、前記接続部材を駆動するモータによって、同期駆動されることを特徴とする請求項7又は8に記載のタイヤ試験装置。
【請求項11】
前記アクチュエータ及び前記固定手段が油圧シリンダであることを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤ試験装置。
【請求項12】
前記油圧シリンダが前記鉛直フレームとして機能することを特徴とする請求項11に記載のタイヤ試験装置。
【請求項13】
前記鉛直フレームに、前記ビームの移動をガイドするリニアモーションガイドが取り付けられていることを特徴とする請求項4、5、7〜12のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。
【請求項14】
前記鉛直フレームに、前記ビームの移動をガイドするガイドシャフトが取り付けられていることを特徴とする請求項4、5、7〜12のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。
【請求項15】
前記下チャックは、
前記下フレームに移動不能に固定された下ハウジングと、
前記下ハウジング内に配置された前記下回転部材と、
前記下回転部材内に配置され、前記下回転部材と共に鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能、且つ、鉛直方向に伸縮可能な、鉛直方向上端に鉛直方向に対して傾斜した傾斜面を有する共に、前記空気供給手段として機能する空気供給穴が内部に形成されたプランジャとを含み、
前記上チャックは、
前記ビームに固定された上ハウジングと、
前記上ハウジング内に配置され、鉛直方向下端に前記プランジャの前記上端と係合する傾斜面を有する、前記上回転部材とを含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。
【請求項16】
前記プランジャの前記上端が前記傾斜面を含むテーパー形状の凸部を有し、前記上回転部材の前記下端が前記傾斜面を含む凹部を有することを特徴とする請求項15に記載のタイヤ試験装置。
【請求項17】
前記上回転部材と前記下回転部材とが前記傾斜面により係合した後、前記プランジャの鉛直方向に関する位置に基づいて、鉛直方向に関する前記上チャックの前記下チャックに対する位置を制御することを特徴とする請求項15又は16に記載のタイヤ試験装置。
【請求項18】
前記移動手段によって前記上チャックを鉛直方向下方に移動させ、前記上チャックに含まれるリムが前記タイヤのビードに接触する位置で、前記固定手段によって前記上チャックを鉛直方向に関して移動不能に固定する第1位置制御手段と、
前記第1位置制御手段による制御が行われた後、前記内部空間の空気圧が試験時よりも低い空気圧となるよう、前記空気供給手段によって前記内部空間に空気を供給する第1空気圧制御手段と、
前記第1空気圧制御手段による制御が行われた後、前記移動手段によって前記上チャックを鉛直方向上方に移動させ、前記上チャックと前記下チャックとの鉛直方向の間隔が前記タイヤの幅に応じた間隔となる位置で、前記固定手段によって前記上チャックを鉛直方向に関して移動不能に固定する第2位置制御手段と、
前記第2位置制御手段による制御が行われた後、前記内部空間の空気圧が試験時の空気圧となるよう、前記空気供給手段によって前記内部空間に空気を供給する第2空気圧制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。
【請求項19】
前記移動手段が、前記上チャックを保持した前記ビームを前記一対の鉛直フレームに沿って鉛直方向に移動させ、
前記固定手段が、前記上チャックを保持した前記ビームを前記一対の鉛直フレームに対して移動不能に固定し、
前記上チャックが、スライドを介して、前記ビームに対して鉛直方向に移動可能に、前記ビームに取り付けられており、
前記移動手段によって、前記ビームに対する前記スライドによる移動可能範囲の下限に配置された前記上チャックを、前記ビームと共に鉛直方向下方に移動させ、前記上チャックに含まれるリムが前記タイヤのビードに接触する位置で、前記固定手段によって前記ビームを鉛直方向に関して移動不能に固定する第3位置制御手段と、
前記第3位置制御手段による制御が行われた後、前記内部空間の空気圧が試験時よりも低い空気圧となるよう、前記空気供給手段によって前記内部空間に空気を供給し、前記上チャックを、当該空気圧によって前記スライドを介して鉛直方向に移動させ、前記下チャックとの鉛直方向の間隔が前記タイヤの幅に応じた間隔となる位置に到達させる、第3空気圧制御手段と、
前記第3空気圧制御手段による制御が行われた後、前記内部空間の空気圧が試験時の空気圧となるよう、前記空気供給手段によって前記内部空間に空気を供給する第4空気圧制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のタイヤ試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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