説明

タイルの取付ユニット、タイル取付方法及びタイル取付構造

【課題】タイルを連結することにより形成された大面積の連結タイルを一度の取付作業で外壁に取り付けることにより、取付作業を行う作業者の負担を軽減することができると共に、作業時間を短縮することのできるタイル取付ユニットを提供する。
【解決手段】建物の外壁30の上下方向に隣接するタイル23、・・・の裏面23bを建物の外壁30の上下方向に延伸するタイル連結体21、・・・に貼り付け、タイル23、・・・の表面23a側に設けられるタイル保持枠10とタイル連結体21、・・・とをタイル連結体21、・・・のそれぞれの上縁部に固定される連結プレート22を介して連結し、タイル保持枠10を吊り下げて、タイル連結体21、・・・の上下両縁部を建物の外壁30に固定手段によりそれぞれ固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁等の化粧部材であるタイルを連結して、そのタイルを建物の壁面に取付けるためのタイル取付ユニット、タイル取付方法及びタイル取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁に化粧部材であるタイルを貼り付ける方法として、予め複数のタイルを連結しておき、一度の作業で外壁の所定範囲にタイルを貼り付ける方法が知られている。
【0003】
この従来の方法では、外壁の上下方向に隣接するタイルの裏面に接着テープ等の軟質シート状物を貼着してタイルを連結したり、紐状若しくは網状の連結部材をタイルの裏面に接着したりすることによりタイルを連結している(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特許第3028283号公報
【特許文献2】特許第3458435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の方法により連結されるタイルは、所定枚数のタイルを連結した小面積のものであり、外壁を埋め尽くすまでこのタイルを繰り返し取り付けなければならないので、取付作業の効率が悪く、作業時間が長期化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、タイルを連結することにより形成された大面積の連結タイルを一度の取付作業で外壁に取り付けることにより、取付作業を行う作業者の負担を軽減することができると共に、作業時間を短縮することのできるタイル取付ユニット、タイル取付方法及びタイル取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、建物の外壁の上下方向に隣接するタイルの裏面が前記建物の外壁の上下方向に延伸するタイル連結体に貼り付けられ、前記タイルの表面側に配設されるタイル保持枠と前記タイル連結体とが該タイル連結体の上縁部に固定される連結部材を介して連結され、前記タイル連結体の上下両縁部を前記建物の外壁にそれぞれ固定させる固定手段が備えられていることを特徴とする。
【0007】
また、前記タイル連結体に延伸方向に沿って複数の引っ掛け部が備えられていてもよく、前記タイルの裏面に形成された溝部を前記引っ掛け部に引っ掛けることができる。
【0008】
また、本発明は、前記タイル取付ユニットを用いて建物の壁面にタイルを取り付けるタイル取付方法であって、前記タイル連結体に前記タイルを貼り付けた状態で前記タイルの表面側に前記タイル保持枠を設置すると共に前記タイル連結体と前記タイル保持枠を連結し、前記タイル保持枠を吊り下げて前記タイル連結体の上下両縁部を前記建物の壁面に前記固定手段を介してそれぞれ固定することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、タイル取付構造であって、建物の外壁の上下方向に隣接するタイルの裏面が前記建物の外壁の上下方向に延伸するタイル連結体に貼り付けられ、前記タイル連結体の上下両縁部が固定手段によって前記建物の外壁にそれぞれ固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成された本発明は、建物の外壁の上下方向に隣接するタイルの裏面が前記建物の外壁の上下方向に延伸するタイル連結体に貼り付けられ、前記タイルの表面側に配設されるタイル保持枠と前記タイル連結体とが該タイル連結体の上縁部に固定される連結部材を介して連結され、前記タイル連結体の上下両縁部を固定手段を介して前記建物の外壁にそれぞれ固定することにより、複数のタイルを連結することにより形成された大面積のタイルを一度の取付作業で建物の外壁に取付けることができる。
【0011】
このため、タイルの取付作業を行う作業者の負担を軽減することができると共に、作業時間を短縮することができる。
【0012】
また、タイル連結体の上下両縁部を建物の外壁に固定する固定手段を備えているので、連結されたタイルを建物の外壁に接着剤によって接着させる際に、接着剤が完全に硬化するまでの間に連結されたタイルの自重によって外壁に対するタイルの取付位置がずれてしまう事態を防止することができる。
【0013】
さらに、連結部材を介してタイル連結体と連結されたタイル保持枠を吊り下げて運搬するので、例えば、タイル連結体を吊り下げることによってタイル連結体が変形し、貼り付けられたタイルが剥がれてしまうような事態を防止することができる。
【0014】
また、タイルの表面側にタイル保持枠を配設するので、タイル保持枠によってタイルを保持しながら建物の外壁に設置することができる。
【0015】
これにより、連結されたタイルの吊り下げ時などにおいて、タイル連結体からタイルが剥がれることを防止することができる。
【0016】
さらに、前記タイル連結体に延伸方向に沿って複数の引っ掛け部を設け、前記タイルの裏面に形成された溝部を前記引っ掛け部に引っ掛けることにより、建物の火災時等においてタイルとタイル連結体とを接着させる接着剤が軟化しても、タイルがタイル連結体から脱落することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態のタイル取付ユニット100の概略構成を示した分解斜視図である。
【0019】
まず、構成から説明すると、タイル取付ユニット100は、図1に示すようにタイル23が貼り付けられたセットタイル20と、そのセットタイル20が備えるタイル23の表面23a側に配設されるタイル保持枠10とから概略構成されている。
【0020】
このセットタイル20は、図1に示すように建物の外壁30の上下方向に隣接するタイル23、・・・の裏面23bが、外壁30の幅方向に所定の間隔を置いて配設された金属製で長尺薄板状のタイル連結体21、・・・に貼り付けられると共に、外壁30の上下方向に延伸するタイル連結体21、・・・のそれぞれの上縁部に跨るように連結部材としての矩形状の連結プレート22が固定されることによりなる。
【0021】
この連結プレート22の上枠部22aには、その長手方向でタイル連結体21と交差する部分にボルト29が挿通され、このボルト29と図示しないナットとにより連結プレート22とタイル連結体21とが連結固定されている。
【0022】
一方、連結プレート22の下枠部22bには、その長手方向でタイル連結体21と交差する部分にビス挿通孔25が形成され、セットタイル20を外壁30に設置後にこのビス挿通孔25にビスを挿通してセットタイル20を外壁30にビス止め固定するようになっている。
【0023】
また、連結プレート22には、その長手方向に間隔を置いた2箇所に上枠部22aと下枠部22bとを跨り、タイル保持枠10側に張り出す断面略L字状の張出連結体26、26が固定されている。
【0024】
さらに、この張出連結体26、26のタイル保持枠10側に張り出す部分の先端縁部には、セットタイル20とタイル保持枠10とを連結する際に用いるビス挿通用の孔26a、26aが形成されている。
【0025】
また、外壁30と対向する上枠部22aの面には、図1、2に示すように引っ掛け部28、28が一体に形成されている。
【0026】
この引っ掛け部28、28は、図1、6に示すように外壁30が備える板状の外壁下地材35の壁面35aの上縁に沿うように形成された引っ掛け板32に引っ掛けられるようになっている。
【0027】
また、この引っ掛け板32は、外壁下地材35の上面上に固定された平面視コ字状の支持体31に固定されている(図1を参照)。
【0028】
一方、このセットタイル20のタイル23の表面23a側に配設されるタイル保持枠10は、枠組となる平面視矩形状で開口を有する木枠14と吊り具固定板12との間に合成樹脂からなる板状のプラスチックガラス13が挟み込まれることによりなる。
【0029】
また、この木枠14の平面視矩形状の開口部14aの中央部には、その中空部分を左右2つに分割するように柱状の押え部材14bが開口部14aの上下に跨って備えられている(図1を参照)。
【0030】
さらに、セットタイル20に対向する吊り具固定板12の面には、矩形状の吊りプレート11がビス17により固定され、一方で、木枠14の下面には断面視L字状の連結プレート15がビス18bにより固定されている(図2を参照)。
【0031】
この吊りプレート11には、図1、2に示すようにセットタイル20に対向する吊りプレート11の面を上下方向に延伸する吊り板部11b、11bが一体に形成され、この吊り板部11b、11bは吊りプレート11の上枠部11dの上縁から上方に突出している。
【0032】
また、この吊り板部11b、11bの上枠部11dの上縁から突出する上端縁部には、吊り下げ用のフックなどによってタイル保持枠10を吊り下げるための吊り孔11c、11cがそれぞれ形成されている。
【0033】
さらに、吊りプレート11には、図1、2に示すように上枠11dと下枠11eに跨り、吊りプレート11から木枠14側に張り出す張出連結体11a、11aが吊り板部11b、11bから延出されるように一体に形成されている。
【0034】
また、この張出連結体11a、11aの底面は、ビス18a、18aにより木枠14の上面にビス止め固定される。
【0035】
一方、木枠14の下面に固定された連結プレート15の下方に張り出す張出部15aには、図1、2に示すようにその長手方向に沿ってタイル連結体21、・・・の本数と同数の貫通孔16、・・・が形成されている。
【0036】
尚、この貫通孔16は、ビス41を木枠14側からセットタイル20側に通過させることができる程度の径の大きさに形成されており、貫通孔16を介してタイル連結体21の下縁部にビス16を直接打ち込むことができるようになっている。
【0037】
次に、本実施の形態のタイル取付ユニット100を用いて建物の壁面30にタイル23を取り付けるタイル取付方法について図1〜9を参照しながら説明する。
【0038】
すなわち、複数のタイル23をタイル連結体21、・・・により連結し、タイル23の表面23a側にタイル保持枠10を設置すると共に、タイル連結体21、・・・に連結プレート22を固定してタイル取付ユニット100とし、タイル保持枠10を吊り下げてセットタイル20を外壁30に固定する場合について説明する。
【0039】
まず、タイル23の貼り付け作業から説明すると、図3に示すように傾斜台52によって傾斜するように設置されたタイル貼付け用の枠体51が備える枠溝51aの底面部に、その幅方向に間隔を置いてタイル連結体21、・・・を配設する。
【0040】
そして、タイル連結体21、・・・を配設後、枠体51の枠溝51aの底面から起立する枠縁にタイル23を押し当ててタイル23の横方向の位置合わせを行いながらタイル連結体21、・・・の上下方向にタイル23を段状に貼り付ける。
【0041】
尚、図4に示すようにタイル連結体21には、その延伸方向に沿ってタイル23の裏面23b側に突出する引っ掛け部としての引っ掛け片24が複数形成されている。
【0042】
この引っ掛け片24にタイル23の裏面23bに形成された溝部としての凹溝23cの上縁23dを引っ掛けて、タイル23の裏面23bとタイル連結体21の表面とを接着剤で接着させることによりタイル23を貼り付ける。
【0043】
これにより、建物の火災時等において接着剤が軟化しても、タイル23がタイル連結体21から脱落することを防止することができる。
【0044】
そして、タイルを貼り付けて枠体51の凹溝51aに敷き詰めた後、図5に示すように傾斜台52を取り外して枠体51を地面上に設置した状態で、タイル保持枠10をタイル23の表面23a側に設置する。
【0045】
さらに、図示はしていないが、地面上に設置された枠体51をタイル連結体21やタイル保持枠10などと一緒にひっくり返してタイル保持枠10を地面上に設置し、枠体51をタイル保持枠10の上側に載置した状態にする。この状態で、枠体51を取り外す。
【0046】
尚、上記したタイル貼付作業後において枠体51と一緒にセットタイル20をひっくり返しているが、このような状態でもタイル連結体21、・・・に固定されたタイル23、・・・は、タイル保持枠10のプラスチックガラス13に下方から表面保持されるので、剥がれ落ちたりすることはない。
【0047】
しかも、プラスチックガラス13は木枠14と木枠14が備える押え部材14bによってセットタイル20側に押圧されており、板状のプラスチックガラス13の撓みを抑制しているので、タイル23、・・・は良好に表面保持される(図5を参照)。
【0048】
枠体51を取り外した後、タイル連結体21、・・・に連結プレート22を固定すると共に、連結プレート22の張出連結体26を吊りプレート11の開口部11fに挿通してタイル保持枠10の吊り具固定板12に吊りプレート11を固定する(図1、6を参照)。
【0049】
そして、張出連結体26のビス挿通用の孔26aにビス26bを挿通して、張出連結体26をタイル保持枠10の木枠14の上面に固定することにより、タイル23の前面23a側に設けられたタイル保持枠10とセットタイル20のタイル連結体21、・・・とを連結プレート22を介して連結する(図6を参照)。
【0050】
さらに、木枠14に連結プレート15を固定すると共に、連結プレート15の張出部15aを、タイル連結体21、・・・の下端縁部と隣り合わせに接触させて両者を粘着テープ43などにより繋ぎ合わせて置く(図6を参照)。
【0051】
木枠14に各種プレートを固定後、タイル連結体21の外壁30側の面とタイル23の裏面23bに接着剤を塗布する。
【0052】
尚、接着剤はセットタイル20の幅方向に繋ぎ合わされた各段のタイル23、・・・とタイル連結体21、・・・とに塗布されるが、各段の3つのタイル23、・・・同士の継ぎ目を跨がないように塗布することが好ましい。
【0053】
接着剤を塗布した後、図6に示すように運搬用のクレーン等に備えられた吊り下げ用のフック44を吊り板部11bの吊り孔11cに挿通してタイル保持枠10を吊り下げて、タイル取付ユニット100を外壁30付近まで移動させる。
【0054】
そして、昇降移動させたタイル取付ユニット100を、連結プレート22に形成された引っ掛け部28の引っ掛け溝28aを外壁30が備える引っ掛け板32の上縁部に引っ掛けて、タイル取付ユニット100を外壁30に設置する。
【0055】
タイル取付ユニット100を外壁30設置後、外壁30に対するタイル取付ユニット100の位置調整を行う。
【0056】
まず、外壁30に対するタイル取付ユニット100の幅方向の位置調整は、図1の外壁下地材35の壁面35aの上下方向に沿って延在するように固定された断面L字状のガイドプレート44に、セットタイル20の幅方向の側縁部分に位置するタイル23、・・・を押し当てて、タイル取付ユニット100の外壁30に対する幅方向の位置合わせを行う。
【0057】
また、図示はしていないがタイル取付ユニット100の上下方向の位置調整は、外壁下地材35の壁面35aの上下方向の所定位置に予め位置合わせ用のタイルを複数個固定しておき、そのタイルの位置にタイル連結体21に貼り付けられた所定の段のタイル23の位置を合わせることにより調整を行う。
【0058】
尚、プラスチックガラス13が透明なので、取付作業者はセットタイル20のタイル23を目視しながら容易に位置合わせ用のタイルに位置合わせすることができる。
【0059】
また、このタイル取付ユニット100の上下方向の調整は、タイル取付ユニット100が吊り下げられた状態のまま昇降させて大まかな位置合わせを行い、バール等の工具で微調整を行う。
【0060】
タイル取付ユニット100の位置調整後、図7、8に示すようにセットタイル20の連結プレート22の下枠22bに形成されたビス挿通孔25にビス42を挿通してタイル連結体21と外壁下地材35にビス42を打ち込むことによりタイル連結体21の上縁部を外壁30に仮固定する。
【0061】
また、タイル取付ユニット100の下縁側の連結プレート15に形成された孔16に固定手段としてのビス41を挿通すると共に、タイル連結体21にビス41を打ち込むことによってタイル連結体21の下縁部を外壁下地材35にビス止め固定する(図7を参照)。
【0062】
そして、吊り下げ用のフック44を取り外し、タイル保持枠10の連結プレート15とタイル連結体21とを繋ぎ合せていた粘着テープ43を剥がし、タイル保持枠10の木枠14の上面に固定していた連結プレート22の張出連結体26、26を取り外してタイル保持枠10を吊りプレート11と一緒にセットタイル20から取り外す(図示省略)。
【0063】
あるいは、セットタイル20の裏面の不陸により、接着の甘い箇所があるような場合は、そのままタイル保持枠10を取り付けたまま(セットタイル20を押し付けた格好)セットタイル20を養生して、一晩若しくはそれ以上の時間をおいてタイル23、・・・に塗布した接着剤を完全に乾燥硬化させる。そして、接着剤の硬化後、タイル保持枠10を取り外してもよい。
【0064】
タイル保持枠10をセットタイル20から取り外した後、連結プレート22の開口部22c内に露出するタイル連結体21部分に固定手段としてのビス19を打ち込んで外壁下地材35に打ち込むことによりタイル連結体21を外壁30に本固定する(図7、8を参照)。
【0065】
タイル連結体21を固定後、外壁30の引っ掛け板32と支持体31を取り外して図9に示すような状態にし、タイル連結体21の外壁下地材35の上端から突出する部分を切断し、タイル連結体21、・・・に固定された連結プレート22を取り外して一連のタイルの貼り付け作業を完了する。
【0066】
尚、タイル貼付完了時のタイル取付構造は、図9に示すように建物の外壁30の上下方向に隣接するタイル23、・・・が外壁30の上下方向に延伸するタイル連結体21に貼り付けられ、タイル連結体21の上下両縁部がビス19、41によって外壁30にそれぞれ固定された構造となっている。
【0067】
また、タイル連結体21を外壁30に固定した後に、タイル連結体21の上部を切断しているが、タイル連結体21と連結プレート22とを連結するボルト29を簡単に取り外せる場合やタイル連結体21と連結プレート22とをクランプ等で挟み込むことによって連結する場合には、切断作業を行わずに連結プレート22をタイル連結体21から取り外すことができる。
【0068】
このように構成された本発明は、建物の外壁30の上下方向に隣接するタイル23、・・・の裏面23bを建物の外壁30の上下方向に延伸するタイル連結体21、・・・に貼り付け、タイル23、・・・の表面23a側に配設されるタイル保持枠10とタイル連結体21、・・・とをタイル連結体21、・・・のそれぞれの上縁部に固定される連結プレート22を介して連結し、タイル保持枠10を吊り下げてタイル連結体21、・・・の上下両縁部をビス19によって建物の外壁30にそれぞれ固定することにより、複数のタイル23、・・・を連結することにより形成された大面積で且つ重量の大きなセットタイル20を一度の取付作業で建物の外壁30に取付けすることができる。
【0069】
このため、タイルの取付作業を行う作業者の負担を軽減できると共に、作業時間を短縮することができる。
【0070】
また、タイル連結体21、・・・の上下両縁部を建物の外壁30にビス止め固定するので、セットタイル20を建物の外壁30に接着させる際、接着剤が完全に硬化するまでの間にセットタイル20の自重によって外壁30に対するセットタイル20の取付位置がずれてしまう事態を防止することができる。
【0071】
さらに、連結プレート22を介してタイル連結体21、・・・と連結されたタイル保持枠10を吊り下げて運搬するので、例えば、タイル連結体21、・・・を吊り下げることによってタイル連結体21、・・・が変形し、貼り付けられたタイル23が剥がれてしまうような事態を防止することができる。
【0072】
また、タイル23の表面23a側にタイル保持枠10を設けるので、タイル23をタイル保持枠10によって保持しながら建物の外壁30に設置することができる。
【0073】
これにより、セットタイル20の吊り下げ時などにおいて、タイル連結体21、・・・からタイル23が剥がれることを防止することができる。
【0074】
さらに、タイル連結体21に形成された引っ掛け片部24にタイル23の裏面23bに形成された凹溝23cの上縁23dを引っ掛けることにより、建物の火災時等において接着剤が軟化しても、タイル23がタイル連結体21から脱落することを防止することができる。
【0075】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0076】
例えば、前記実施の形態では、外壁30の幅方向に配設された複数のタイル連結体21、・・・にタイル23、・・・を貼り付けるようにしているが、これに限定されるものではなく、外壁30の幅方向に延伸する板状の部材を上下方向に複数繋ぎ合せたタイル連結体にタイル23、・・・を貼り付けたものでセットタイルを形成してもよい。
【0077】
また、前記実施の形態では、ビス19、41を固定手段として用いてタイル連結体21を外壁30に固定しているが、タイル連結体21の上下両縁部に挿通孔を固定手段として形成して、その挿通孔にビス19、41を挿通してタイル連結体21を外壁30に容易に固定できるようにしてもよい。
【0078】
さらに、前記実施の形態では、タイル23、・・・を連結する部材として長尺薄板状のタイル連結体21を用いているが、これに限定されるものではなく、短尺のタイル連結体を外壁30の上下方向に延伸するように連結したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の最良の実施の形態のタイル取付ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1のタイル保持枠とセットタイルをそれぞれA、B方向に見た際の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】タイル貼付作業時の状態を説明する斜視図である。
【図4】タイル連結体にタイルを貼り付けた状態を示す拡大図である。
【図5】タイルを貼付け後にタイルの表面上にタイル保持枠を設置した状態を示す斜視図である。
【図6】図1のA、B方向に見たセットタイルとタイル保持枠と一体にして吊り下げたタイル取付ユニットを図1のC方向に見た建物の外壁に運搬する際の状態を示す縦断面図である。
【図7】セットタイルとタイル保持枠とを建物の外壁に固定した状態を示す縦断面図である。
【図8】図7のセットタイルとタイル保持枠とを建物の外壁に固定した状態においてタイル取付ユニットの上部を拡大した拡大図である。
【図9】タイル取付ユニット設置作業完了時の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0080】
10 タイル保持枠
19 ビス(固定手段)
21 タイル連結体
22 連結プレート(連結部材)
23 タイル
23a 表面
23b 裏面
23c 凹溝(溝部)
24 引っ掛け片(引っ掛け部)
30 外壁
41 ビス(固定手段)
100 タイル取付ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁の上下方向に隣接するタイルの裏面が前記建物の外壁の上下方向に延伸するタイル連結体に貼り付けられ、
前記タイルの表面側に配設されるタイル保持枠と前記タイル連結体とが該タイル連結体の上縁部に固定される連結部材を介して連結され、
前記タイル連結体の上下両縁部を前記建物の外壁にそれぞれ固定させる固定手段が備えられていることを特徴とするタイル取付ユニット。
【請求項2】
前記タイル連結体に延伸方向に沿って複数の引っ掛け部が備えられ、前記タイルの裏面に形成された溝部を前記引っ掛け部に引っ掛けることを特徴とする請求項1に記載のタイル取付ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のタイル取付ユニットを用いて建物の壁面にタイルを取り付けるタイル取付方法であって、
前記タイル連結体に前記タイルを貼り付けた状態で前記タイルの表面側に前記タイル保持枠を設置すると共に前記タイル連結体と前記タイル保持枠を連結し、前記タイル保持枠を吊り下げて前記タイル連結体の上下両縁部を前記建物の壁面に前記固定手段を介してそれぞれ固定することを特徴とするタイル取付方法。
【請求項4】
建物の外壁の上下方向に隣接するタイルの裏面が前記建物の外壁の上下方向に延伸するタイル連結体に貼り付けられ、
前記タイル連結体の上下両縁部が固定手段によって前記建物の外壁にそれぞれ固定されていることを特徴とするタイル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−297787(P2007−297787A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124654(P2006−124654)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】