タイルカーペット
【課題】その厚さ方向に通る空気の流速が小さくなったり、通気孔に汚れや目詰まりが生じたり、見栄えが悪くなるのを防止することができるタイルカーペットを提供する。
【解決手段】複数の貫通孔４４を有するパネル部材４２の上面に載置して用いられるタイルカーペット３０であって、複数のパイル繊維３４で構成されるパイル層３６と、前記パイル繊維３４の複数部分が保持されるバッキング層３２とを備え、少なくとも前記バッキング層３２を貫通する複数のスリット状の通気孔３８を形成した。
【効果】その厚さ方向に通る空気の流速が小さくなったり、通気孔に汚れや目詰まりが生じたり、見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【解決手段】複数の貫通孔４４を有するパネル部材４２の上面に載置して用いられるタイルカーペット３０であって、複数のパイル繊維３４で構成されるパイル層３６と、前記パイル繊維３４の複数部分が保持されるバッキング層３２とを備え、少なくとも前記バッキング層３２を貫通する複数のスリット状の通気孔３８を形成した。
【効果】その厚さ方向に通る空気の流速が小さくなったり、通気孔に汚れや目詰まりが生じたり、見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、床上にタイルを貼るように並べて配置されて用いられるタイルカーペットに関し、特に、その厚さ方向に空気が通るための通気孔を有するタイルカーペットに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のタイルカーペットとしては、例えば、図９に示すようなものがあった（第１の従来のタイルカーペット）。同図は、従来のタイルカーペット２が載置された通気性支持床４の一部を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、通気性支持床４には、複数の通気孔６が形成されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
上記従来のタイルカーペット２は、カーペット層１２とバッキング層１０とで構成される２層構造になっている。このタイルカーペット２のカーペット層１２は、例えば、厚さ方向に通気性を有するシート材に、実質的にカーペットを構成する繊維を植毛したような状態のカーペットにより構成され、このようなカーペット層１２の上記シート材がバッキング層１０の上面に、部分的に塗布される接着剤により貼付けられている。これによりタイルカーペット２は、その厚さ方向に通気性を有するようにしていた。
【０００４】
タイルカーペット２のバッキング層１０は、粉砕して形成された異形の、粒径２ｍｍから５ｍｍ位の多数のウレタンゴムのチップを周りから押し固めて、予じめそのチップの表面に塗布しておいたウレタン樹脂系のバインダーを加熱溶融させ、その溶融したバインダーを介して互いにチップ同士を付着させることにより、異形のチップ間に空隙ができるように形成したものである。
【０００５】
このようなタイルカーペット２と、このタイルカーペット２が載置された通気性支持床４によれば、これらが敷設された部屋において、この通気性支持床４の下側の空間に連通する不図示のエアーダクト等を設置することにより、この不図示のエアーダクト等から送り出される温度等が調整された空気を、通気性支持床４の通気孔６及びタイルカーペット２のカーペット層１２の細い通気孔とバッキング層１０の異形のチップ間を通って、タイルカーペット２上の室内空間に空気を供給するような、室内空間の空調を行うことができるようになっていた。
【０００６】
また、図１０は、上記第１の従来のタイルカーペット２とは異なる別のタイルカーペット１６（第２の従来のタイルカーペット）と、このタイルカーペット１６が載置された通気性支持床１８の一部を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、通気性支持床１８には、やはり複数の通気孔２０が形成されている。
【０００７】
また、上記第２の従来のタイルカーペット１６は、パイル繊維等により構成されたパイル層２４と、そのパイル繊維の複数部分を保持するバッキング層２２とで構成される、２層構造になっている。パイル層２４のパイル繊維の複数部分、すなわち、パイル繊維の互いに連続した複数のループ形状の折れ曲り連結部分は、バッキング層２２の表層部に保持されている。
【０００８】
このようなタイルカーペット１６は、そのパイル層２４とバッキング層２２の両方を貫通して連通する、水平断面が丸孔形状の複数の通気孔２６が、水平面において互いに略等間隔をおいて配置されて形成されている。
【０００９】
このようなタイルカーペット１６と、このタイルカーペット１６が上面に載置された通気性支持床１８によれば、上記した第１の従来のタイルカーペット２と通気性支持床４との組み合わせと同様に、これらが敷設された部屋において、この通気性支持床１８の下側の空間に連通する不図示のエアーダクト等を設置することにより、この不図示のエアーダクト等から送り出される温度等が調整された空気を、通気性支持床１８の通気孔２０及びタイルカーペット１６の通気孔２６を通して、やはりタイルカーペット１６上の室内空間に空気を供給するような、室内空間の空調を行うことができるようになっていた。
【特許文献１】特公平８−２９１２４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら、上記第１の従来のタイルカーペット２においては、バッキング層１０における互いに付着したチップ間の微細な空隙を空気が通るようになっているため、このタイルカーペット２をその厚さ方向に空気が通る際の抵抗が大きいので、空調を行う場合の時間当りの空気流量が少ない（流速が小さい）ため、タイルカーペット２上の室内温度が設定温度に達するまでに時間がかかるという問題があった。
【００１１】
また、上記従来のタイルカーペット２においては、バッキング層１０のチップ間の空隙は目が細かいわずかなものであるため、小さなゴミでも目詰まりしたり、重量物を載せた際につぶれてしまったりするという問題があった。
【００１２】
また、上記第２の従来のタイルカーペット１６においても、通気孔２６が水平断面が丸孔形状のため、やはり、その通気孔２６にゴミが溜まることにより目詰まりを生じ易いという問題があった。
【００１３】
また、上記第２の従来のタイルカーペット１６においては、複数の通気孔２６をパンチング加工により形成していたので、バッキング層２２の表層部に設けられているパイル層２４のパイル繊維がほつれ易いと共に、パンチング加工が可能となる丸孔の通気孔２６の径は目視で明瞭に判別できる程度の大きさになってしまうため、通気孔２６がゴミ溜りとなるおそれがあると共に、タイルカーペット１６の見栄えが悪くなるという問題があった。
【００１４】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その厚さ方向に通る空気の流速が小さくなったり、通気孔に汚れや目詰まりが生じたり、見栄えが悪くなるのを防止することができるタイルカーペットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
上記課題を解決するために、本発明によるタイルカーペットは、
複数の貫通孔を有するパネル部材の上面に載置して用いられるタイルカーペットであって、
複数のパイル繊維で構成されるパイル層と、
前記パイル繊維の複数部分が保持されるバッキング層とを備え、
少なくとも前記バッキング層を貫通する複数のスリット状の通気孔を形成した
ことを特徴とするものである。
【００１６】
また、本発明によるタイルカーペットは、
前記通気孔が、加工深さの調整が可能なレーザー加工により形成された
ことを特徴とするものである。
【００１７】
また、本発明によるタイルカーペットは、
前記通気孔が所定領域内に密集して形成された
ことを特徴とするものである。
【００１８】
また、本発明によるタイルカーペットは、
少なくとも前記通気孔の一部を前記パネル部材の貫通孔の一部と連通させた
ことを特徴とするものである。
【００１９】
また、本発明によるタイルカーペットは、
隣接する他のタイルカーペットとの間の目地を前記パネル部材相互間の目地とずらして配置した
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００２０】
このような本発明のタイルカーペットによれば、
複数の貫通孔を有するパネル部材の上面に載置して用いられるタイルカーペットであって、
複数のパイル繊維で構成されるパイル層と、
前記パイル繊維の複数部分が保持されるバッキング層とを備え、
少なくとも前記バッキング層を貫通する複数のスリット状の通気孔を形成したことにより、
水平面内においてある程度の大きさの空隙面積を確保できるため、そのタイルカーペットとパネル部材の厚さ方向に通る空気の流速（流量）の著しい低下を防止できる。
【００２１】
また、本発明のタイルカーペットによれば、通気孔がゴミ溜りとなることを防止できるため、スリット状通気孔の全体が目詰まりを生ずることはない。
また、通気孔をスリット状に形成したため通気孔が目立たなくできて、タイルカーペットの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【００２２】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
前記通気孔が、加工深さの調整が可能なレーザー加工により形成されたことにより、
前記通気孔を容易にスリット状に形成することができると共に、
加工深さの調整により前記パイル層のパイル繊維までレーザー加工しないようにして、パイル繊維にほつれが生じるのを防止することができる。
【００２３】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
前記通気孔が所定領域内に密集して形成されていることにより、
その厚さ方向に通る空気の流量を水平面内において局所的に増加させることができる。
【００２４】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
少なくとも前記通気孔の一部を前記パネル部材の貫通孔の一部と連通させたことにより、
タイルカーペットとパネル部材の厚さ方向に通る空気を、確実に、また円滑に流すことができる。
【００２５】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
隣接する他のタイルカーペットとの間の目地を前記パネル部材相互間の目地とずらして配置したことにより、
隣接するパネル部材の辺と辺の間の空隙からその厚さ方向に空気が流れた場合でも、タイルカーペットの目地が汚れることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明に係るタイルカーペットを実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図１から図７は、本発明の第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０について説明するために参照する図である。
【００２７】
本実施の形態に係るタイルカーペット３０は、図１に示すように、その平面形状が四辺形に形成されている。このタイルカーペット３０は、図２に示すように、塩化ビニール等により形成されたバッキング層３２と、パイル層３６とを備えた２層構造に構成されている。
【００２８】
すなわちタイルカーペット３０は、図３に詳細に示すように、パイル繊維３４の複数部分、すなわち、パイル繊維３４の互いに連続した複数のループ形状の折れ曲り連結部分が、バッキング層３２の表層部に保持されるように構成されている。
【００２９】
また、タイルカーペット３０のバッキング層３２には、図７にも示すように、複数の通気孔３８が形成されており、タイルカーペット３０の平面形状において、その長さに比べて遥かに狭い幅を有するスリット状に形成されている。
【００３０】
換言すれば、複数の通気孔３８のそれぞれは、図３に示すように、バッキング層３２をその厚さ方向に貫通するように形成されている。この複数の通気孔３８は、その加工深さを調整することができるレーザー加工により形成することができる。すなわち、レーザー加工によりバッキング層３２の厚さと同じ深さで、複数の通気孔３８を、バッキング層３２だけに形成することができる。
【００３１】
このように、複数の通気孔３８は、バッキング層３２だけに形成されて、パイル層３６には形成されないと共に、通気孔３８は長さに比べて遥かに狭い幅を有するスリット状に形成されていることにより、図３に示すように、通気孔３８はパイル層３６を構成するパイル繊維３４に覆われて目立たないようになっている。このため、図１においては、目立たない通気孔３８は破線により描かれている。
【００３２】
このため、パイル層３６を構成するパイル繊維３４を省略して、バッキング層３２だけを示すと、図７に示すようになる。同図においては、パイル繊維３４を省略して示しているので、複数の通気孔３８が目立つように実線で示されている。
【００３３】
また、図１に示すように、タイルカーペット３０の四辺形の平面領域を、仮想線Ｘ，Ｙにより図中縦横２列に配置される、同じ大きさの４つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の中央部分には、複数の通気孔３８が密集して形成されている。つまり、複数の通気孔３８は、タイルカーペット３０の所定領域内に密集して形成されるようになっている。
【００３４】
次に、このような本実施の形態に係るタイルカーペット３０が、どのように用いられるかについて説明する。
図４は、部屋内に設置されたフリーアクセスフロア５０の一部の領域と、このフリーアクセスフロア５０上に敷設された複数のタイルカーペット３０の一部を示す一部平面図である。
【００３５】
ここで、図４は、便宜上、フリーアクセスフロア５０上の一部領域において、タイルカーペット３０が敷設されていない状態を示しているが、実際にはタイルカーペット３０は、フリーアクセスフロア５０上の広さ全体にわたって敷設されている。
【００３６】
また、図４中において、タイルカーペット３０のそれぞれの複数の通気孔３８は、図面の複雑化を防止するために、図示していない。また、フリーアクセスフロア５０の、後述するパネル部材４２の複数のパネル貫通孔４４も、やはり、図面の複雑化を防止するために、図示していない。
【００３７】
フリーアクセスフロア５０は、水平面上に縦横に互いに隣り合うように整列して配置される複数のパネル部材４２と、このパネル部材４２の四隅のそれぞれを下側から支持する複数の支持脚５２を備えて構成されている。これにより、フリーアクセスフロア５０は、そのパネル部材４２の下側に床下空間を有するようになっている。このフリーアクセスフロア５０の床下空間には、不図示のエアーダクトが連通しており、温度等が調整された空気が供給されるようになっている。
【００３８】
また、フリーアクセスフロア５０のパネル部材４２のそれぞれは、図５に示すように、その平面形状が、図１に示すタイルカーペット３０の平面形状と同じ大きさの四辺形となるように形成されている。また、パネル部材４２は、図６に示すように、一定の厚さを有する板状に形成されている。
【００３９】
また、このパネル部材４２には、図５に示すように、その厚さ方向に貫通する複数の、長孔状のパネル貫通孔４４が形成されている。パネル部材４２の複数のパネル貫通孔４４は、図１に示すタイルカーペット３０の、図７に示すバッキング層３２の通気孔３８と同様に、図５に示すパネル部材４２の四辺形の平面領域を、仮想線Ｘ，Ｙにより縦横２列に配置される同じ大きさの４つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の、中央部分に密集して形成されている。
【００４０】
図４に示すように、複数のタイルカーペット３０は、フリーアクセスフロア５０上において、縦横に互いに隣り合うように整列して配置されている。これら複数のタイルカーペット３０のそれぞれは、図１に示すように、複数の通気孔３８が形成された領域以外の、仮想線Ｘ，Ｙのそれぞれを含むような十字状の領域と、四辺形の平面形状における四辺の各辺に沿う周縁部分とを足し合わせた領域、すなわち、漢字の「田」の字状の領域において、そのバッキング層３２（図２参照）が接着剤又は両面接着テープ等により、図４に示すフリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の上面に接着して固定されている。
【００４１】
図５においても同様に、パネル部材４２は、複数のパネル貫通孔４４が形成された領域以外の、仮想線Ｘ，Ｙのそれぞれを含むような十字状の領域と、四辺形の平面形状における四辺の各辺に沿う周縁部分とを足し合わせた領域、すなわち、やはり漢字の「田」の字状の領域において、そのパネル部材４２（図７参照）が接着剤又は両面接着テープ等により、図４に示すタイルカーペット３０のバッキング層３２の下面に接着して固定されるようになっている。
【００４２】
また、複数のタイルカーペット３０間の目地は、フリーアクセスフロア５０におけるパネル部材４２間の目地と、その四辺形の平面形状の各辺の丁度半分の長さ分だけ、前記各辺の縦横両方向のそれぞれに平行方向にずらして配置されている。
【００４３】
これにより、タイルカーペット３０は、フリーアクセスフロア５０のパネル部材４２間の目地を上方から塞ぐようになっていると共に、図７に示すバッキング層３２の通気孔３８の密集領域のそれぞれが、図５に示すようなパネル部材４２のパネル貫通孔４４の密集領域のそれぞれと、互いに重なり合うようになっているので、通気孔３８の一部とパネル貫通孔４４の一部を連通させることができる。
【００４４】
図４に示すタイルカーペット３０の上方の室内空間には、フリーアクセスフロア５０の床下空間から供給される空気が、このフリーアクセスフロア５０におけるパネル部材４２のパネル貫通孔４４（図５参照）、及びタイルカーペット３０の通気孔３８（図１参照）を通って吹き出すようになっている。
【００４５】
このような本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、複数のスリット状の通気孔３８がバッキング層３２に形成されていることにより、水平面内においてある程度の大きさの空隙面積を確保できるため、そのタイルカーペット３０とパネル部材４２の厚さ方向に通る空気の流速（流量）の著しい低下を防止することができる。
【００４６】
また、通気孔３８がゴミ溜りとなることを防止できるため、上記スリット状の通気孔３８の全体が目詰まりを生ずることを防止することができる。
また、通気孔３８のスリットの幅が長さよりもはるかに狭いので、図３に示すように、通気孔３８の上方をパイル繊維３４が覆って通気孔３８が目立たなくなるので、タイルカーペット３０の見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【００４７】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、その通気孔３８がレーザー加工により形成されていると共に、その加工深さをバッキング層３２の厚さと同じ寸法になるよう加工できることにより、パイル層３６のパイル繊維３４まではレーザー加工をしないため、パイル繊維３４のループ形状の一部が破損してほつれが生じるのを防止することができる。
【００４８】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、通気孔３８が、所定領域内に密集して形成されていることにより、その厚さ方向に通る空気の流量を水平面内において局所的に増加させることができるので、その所定領域内における、タイルカーペット３０の厚さ方向に通る空気の流速が小さくなることを防止することができる。
【００４９】
また、タイルカーペット３０は、図１に示すように、その通気孔３８が所定領域内に密集して形成されているので、このような通気孔３８が密集する所定領域以外の他の領域、すなわち、漢字の「田」の字状の領域において、このタイルカーペット３０のバッキング層３２を接着剤や接着両面テープ等によりフリーアクセスフロア５０に接着することができるため、接着剤や接着両面テープ等が通気孔３８を塞いでしまうことを防止することができる。
【００５０】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、その通気孔３８が密集して形成されている所定領域以外の他の領域、すなわち、漢字の「田」の字状の領域において、このタイルカーペット３０のバッキング層３２を接着剤や接着両面テープ等によりフリーアクセスフロア５０に接着するようになっているので、タイルカーペット３０をフリーアクセスフロア５０上に固定する際の作業効率を向上させることができる。
【００５１】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、タイルカーペット３０を、複数のパネル貫通孔４４を有するパネル部材４２の上面に配置し、タイルカーペット３０の通気孔３８の一部と、パネル貫通孔４４の一部とを連通させたことにより、タイルカーペット３０とパネル部材４２の厚さ方向に通る空気を、確実に、また円滑に流すことができる。
【００５２】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、タイルカーペット３０とパネル部材４２を互いに、それぞれの四辺形の各辺同士を、各辺の半分の長さ分ずつずらして配置することにより、タイルカーペット３０間の目地に汚れが生じることを防止することができる。
【００５３】
次に、図８は、本発明の第２の実施の形態に係るタイルカーペット６０について説明するために参照する図である。前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。
【００５４】
本実施の形態に係るタイルカーペット６０には、図８の左右方向の中央部に、上下方向の２本の二点鎖線で示すように、パイル層３６とバッキング層３２の両方をそれらの厚さ方向に貫通するような、複数の通気孔６２が形成されている点において、前記第１の実施の形態と異なるものである。
【００５５】
本実施の形態に係るタイルカーペット６０は、前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０と全く同様の態様で使用することができる。すなわち、本実施の形態に係るタイルカーペット６０は、前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０と同様に、図４に示すようにフリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の上に敷設することができる。
【００５６】
このような本実施の形態に係るタイルカーペット６０によれば、前記第１の実施の形態と略同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係るタイルカーペット６０によれば、コストの高いレーザー加工を用いなくとも、コストの安いプレス加工などにより加工できるので、その製造コストを安くすることができる。
【００５７】
なお、前記第１及び第２の実施の形態に係るタイルカーペット３０，６０は、図４に示すように、互いに隣り合うように縦横に整列して配置されるときの目地が、フリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の目地と、各辺の半分の長さだけずれるようになっていたが、そのずれる量は任意に設定することができる。或は、タイルカーペット３０とパネル部材４２の目地が一致するように配置されていてもよい。
【００５８】
また、前記実施の形態においては、図１，７に示すように、スリット状の通気孔３８を縦横二方向に伸びるように配置していたが、そのスリット状の通気孔は、一方向のみに伸びるように、或は、三方向以上に伸びるように配置してもよい。
【００５９】
また、前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０は、その複数の通気孔３８が、レーザー加工により形成されるようになっていたが、その加工深さが調整できるものであれば、プレスを用いたパンチング加工等の他の加工方法により形成されていてもよい。
【００６０】
また、前記第１の実施の形態においては、図１に示すように、タイルカーペット３０の四辺形の平面領域を、仮想線Ｘ，Ｙにより図中縦横２列に配置される、同じ大きさの４つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の中央部分に、複数の通気孔３８が密集して形成されている場合について説明したが、タイルカーペット３０の一部、例えば、図１の４つの四辺形に区切られた４つの領域の右上４分の１の四辺形の領域のみに密集させてもよい。
【００６１】
すなわち、タイルカーペット３０に形成される通気孔３８は、フリーアクセスフロア５０の使用上における、タイルカーペット３０の必要な箇所の領域のみに限定して、密集させて配置されるようにしてもよい。
【００６２】
また、前記パネル部材４２に形成されるパネル貫通孔４４も、フリーアクセスフロア５０の使用上における、パネル部材４２の必要な箇所の領域のみに限定して、密集させて配置されるようにしてもよい。
【００６３】
また、前記第１及び第２の実施形態においては、本発明のタイルカーペットをフリーアクセスフロアに適用した場合について説明したが、本発明のタイルカーペットはフリーアクセスフロア以外の他の物に対して適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【００６４】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０を示す平面図である。
【図２】図１に示すタイルカーペット３０の側面図である。
【図３】図２に示すタイルカーペット３０の部分拡大断面図である。
【図４】図１に示すタイルカーペット３０をフリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の上に敷設した状態を示す一部平面図である。
【図５】図４に示すパネル部材４２の１枚のみを示す平面図である。
【図６】図５に示すパネル部材４２の側面図である。
【図７】タイルカーペット３０のバッキング層３２のみを示す平面図である。
【図８】本発明の第２の実施の形態に係るタイルカーペット６０の部分拡大断面図である。
【図９】第１の従来のタイルカーペット２、及び通気性支持床４を示す部分拡大断面図である。
【図１０】第２の従来のタイルカーペット１６、及び通気性支持床１８を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【００６５】
２ タイルカーペット
４ 通気性支持床
６ 通気孔
１０ バッキング層
１２ カーペット層
１６ タイルカーペット
１８ 通気性支持床
２０ 通気孔
２２ バッキング層
２４ カーペット層
２６ 通気孔
３０ タイルカーペット
３２ バッキング層
３４ パイル繊維
３６ パイル層
３８ 通気孔
４２ パネル部材
４４ パネル貫通孔
５０ フリーアクセスフロア
５２ 支持脚
６０ タイルカーペット
６２ 通気孔
【技術分野】
【０００１】
本発明は、床上にタイルを貼るように並べて配置されて用いられるタイルカーペットに関し、特に、その厚さ方向に空気が通るための通気孔を有するタイルカーペットに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のタイルカーペットとしては、例えば、図９に示すようなものがあった（第１の従来のタイルカーペット）。同図は、従来のタイルカーペット２が載置された通気性支持床４の一部を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、通気性支持床４には、複数の通気孔６が形成されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
上記従来のタイルカーペット２は、カーペット層１２とバッキング層１０とで構成される２層構造になっている。このタイルカーペット２のカーペット層１２は、例えば、厚さ方向に通気性を有するシート材に、実質的にカーペットを構成する繊維を植毛したような状態のカーペットにより構成され、このようなカーペット層１２の上記シート材がバッキング層１０の上面に、部分的に塗布される接着剤により貼付けられている。これによりタイルカーペット２は、その厚さ方向に通気性を有するようにしていた。
【０００４】
タイルカーペット２のバッキング層１０は、粉砕して形成された異形の、粒径２ｍｍから５ｍｍ位の多数のウレタンゴムのチップを周りから押し固めて、予じめそのチップの表面に塗布しておいたウレタン樹脂系のバインダーを加熱溶融させ、その溶融したバインダーを介して互いにチップ同士を付着させることにより、異形のチップ間に空隙ができるように形成したものである。
【０００５】
このようなタイルカーペット２と、このタイルカーペット２が載置された通気性支持床４によれば、これらが敷設された部屋において、この通気性支持床４の下側の空間に連通する不図示のエアーダクト等を設置することにより、この不図示のエアーダクト等から送り出される温度等が調整された空気を、通気性支持床４の通気孔６及びタイルカーペット２のカーペット層１２の細い通気孔とバッキング層１０の異形のチップ間を通って、タイルカーペット２上の室内空間に空気を供給するような、室内空間の空調を行うことができるようになっていた。
【０００６】
また、図１０は、上記第１の従来のタイルカーペット２とは異なる別のタイルカーペット１６（第２の従来のタイルカーペット）と、このタイルカーペット１６が載置された通気性支持床１８の一部を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、通気性支持床１８には、やはり複数の通気孔２０が形成されている。
【０００７】
また、上記第２の従来のタイルカーペット１６は、パイル繊維等により構成されたパイル層２４と、そのパイル繊維の複数部分を保持するバッキング層２２とで構成される、２層構造になっている。パイル層２４のパイル繊維の複数部分、すなわち、パイル繊維の互いに連続した複数のループ形状の折れ曲り連結部分は、バッキング層２２の表層部に保持されている。
【０００８】
このようなタイルカーペット１６は、そのパイル層２４とバッキング層２２の両方を貫通して連通する、水平断面が丸孔形状の複数の通気孔２６が、水平面において互いに略等間隔をおいて配置されて形成されている。
【０００９】
このようなタイルカーペット１６と、このタイルカーペット１６が上面に載置された通気性支持床１８によれば、上記した第１の従来のタイルカーペット２と通気性支持床４との組み合わせと同様に、これらが敷設された部屋において、この通気性支持床１８の下側の空間に連通する不図示のエアーダクト等を設置することにより、この不図示のエアーダクト等から送り出される温度等が調整された空気を、通気性支持床１８の通気孔２０及びタイルカーペット１６の通気孔２６を通して、やはりタイルカーペット１６上の室内空間に空気を供給するような、室内空間の空調を行うことができるようになっていた。
【特許文献１】特公平８−２９１２４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら、上記第１の従来のタイルカーペット２においては、バッキング層１０における互いに付着したチップ間の微細な空隙を空気が通るようになっているため、このタイルカーペット２をその厚さ方向に空気が通る際の抵抗が大きいので、空調を行う場合の時間当りの空気流量が少ない（流速が小さい）ため、タイルカーペット２上の室内温度が設定温度に達するまでに時間がかかるという問題があった。
【００１１】
また、上記従来のタイルカーペット２においては、バッキング層１０のチップ間の空隙は目が細かいわずかなものであるため、小さなゴミでも目詰まりしたり、重量物を載せた際につぶれてしまったりするという問題があった。
【００１２】
また、上記第２の従来のタイルカーペット１６においても、通気孔２６が水平断面が丸孔形状のため、やはり、その通気孔２６にゴミが溜まることにより目詰まりを生じ易いという問題があった。
【００１３】
また、上記第２の従来のタイルカーペット１６においては、複数の通気孔２６をパンチング加工により形成していたので、バッキング層２２の表層部に設けられているパイル層２４のパイル繊維がほつれ易いと共に、パンチング加工が可能となる丸孔の通気孔２６の径は目視で明瞭に判別できる程度の大きさになってしまうため、通気孔２６がゴミ溜りとなるおそれがあると共に、タイルカーペット１６の見栄えが悪くなるという問題があった。
【００１４】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その厚さ方向に通る空気の流速が小さくなったり、通気孔に汚れや目詰まりが生じたり、見栄えが悪くなるのを防止することができるタイルカーペットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
上記課題を解決するために、本発明によるタイルカーペットは、
複数の貫通孔を有するパネル部材の上面に載置して用いられるタイルカーペットであって、
複数のパイル繊維で構成されるパイル層と、
前記パイル繊維の複数部分が保持されるバッキング層とを備え、
少なくとも前記バッキング層を貫通する複数のスリット状の通気孔を形成した
ことを特徴とするものである。
【００１６】
また、本発明によるタイルカーペットは、
前記通気孔が、加工深さの調整が可能なレーザー加工により形成された
ことを特徴とするものである。
【００１７】
また、本発明によるタイルカーペットは、
前記通気孔が所定領域内に密集して形成された
ことを特徴とするものである。
【００１８】
また、本発明によるタイルカーペットは、
少なくとも前記通気孔の一部を前記パネル部材の貫通孔の一部と連通させた
ことを特徴とするものである。
【００１９】
また、本発明によるタイルカーペットは、
隣接する他のタイルカーペットとの間の目地を前記パネル部材相互間の目地とずらして配置した
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００２０】
このような本発明のタイルカーペットによれば、
複数の貫通孔を有するパネル部材の上面に載置して用いられるタイルカーペットであって、
複数のパイル繊維で構成されるパイル層と、
前記パイル繊維の複数部分が保持されるバッキング層とを備え、
少なくとも前記バッキング層を貫通する複数のスリット状の通気孔を形成したことにより、
水平面内においてある程度の大きさの空隙面積を確保できるため、そのタイルカーペットとパネル部材の厚さ方向に通る空気の流速（流量）の著しい低下を防止できる。
【００２１】
また、本発明のタイルカーペットによれば、通気孔がゴミ溜りとなることを防止できるため、スリット状通気孔の全体が目詰まりを生ずることはない。
また、通気孔をスリット状に形成したため通気孔が目立たなくできて、タイルカーペットの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【００２２】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
前記通気孔が、加工深さの調整が可能なレーザー加工により形成されたことにより、
前記通気孔を容易にスリット状に形成することができると共に、
加工深さの調整により前記パイル層のパイル繊維までレーザー加工しないようにして、パイル繊維にほつれが生じるのを防止することができる。
【００２３】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
前記通気孔が所定領域内に密集して形成されていることにより、
その厚さ方向に通る空気の流量を水平面内において局所的に増加させることができる。
【００２４】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
少なくとも前記通気孔の一部を前記パネル部材の貫通孔の一部と連通させたことにより、
タイルカーペットとパネル部材の厚さ方向に通る空気を、確実に、また円滑に流すことができる。
【００２５】
また、本発明のタイルカーペットによれば、
隣接する他のタイルカーペットとの間の目地を前記パネル部材相互間の目地とずらして配置したことにより、
隣接するパネル部材の辺と辺の間の空隙からその厚さ方向に空気が流れた場合でも、タイルカーペットの目地が汚れることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明に係るタイルカーペットを実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図１から図７は、本発明の第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０について説明するために参照する図である。
【００２７】
本実施の形態に係るタイルカーペット３０は、図１に示すように、その平面形状が四辺形に形成されている。このタイルカーペット３０は、図２に示すように、塩化ビニール等により形成されたバッキング層３２と、パイル層３６とを備えた２層構造に構成されている。
【００２８】
すなわちタイルカーペット３０は、図３に詳細に示すように、パイル繊維３４の複数部分、すなわち、パイル繊維３４の互いに連続した複数のループ形状の折れ曲り連結部分が、バッキング層３２の表層部に保持されるように構成されている。
【００２９】
また、タイルカーペット３０のバッキング層３２には、図７にも示すように、複数の通気孔３８が形成されており、タイルカーペット３０の平面形状において、その長さに比べて遥かに狭い幅を有するスリット状に形成されている。
【００３０】
換言すれば、複数の通気孔３８のそれぞれは、図３に示すように、バッキング層３２をその厚さ方向に貫通するように形成されている。この複数の通気孔３８は、その加工深さを調整することができるレーザー加工により形成することができる。すなわち、レーザー加工によりバッキング層３２の厚さと同じ深さで、複数の通気孔３８を、バッキング層３２だけに形成することができる。
【００３１】
このように、複数の通気孔３８は、バッキング層３２だけに形成されて、パイル層３６には形成されないと共に、通気孔３８は長さに比べて遥かに狭い幅を有するスリット状に形成されていることにより、図３に示すように、通気孔３８はパイル層３６を構成するパイル繊維３４に覆われて目立たないようになっている。このため、図１においては、目立たない通気孔３８は破線により描かれている。
【００３２】
このため、パイル層３６を構成するパイル繊維３４を省略して、バッキング層３２だけを示すと、図７に示すようになる。同図においては、パイル繊維３４を省略して示しているので、複数の通気孔３８が目立つように実線で示されている。
【００３３】
また、図１に示すように、タイルカーペット３０の四辺形の平面領域を、仮想線Ｘ，Ｙにより図中縦横２列に配置される、同じ大きさの４つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の中央部分には、複数の通気孔３８が密集して形成されている。つまり、複数の通気孔３８は、タイルカーペット３０の所定領域内に密集して形成されるようになっている。
【００３４】
次に、このような本実施の形態に係るタイルカーペット３０が、どのように用いられるかについて説明する。
図４は、部屋内に設置されたフリーアクセスフロア５０の一部の領域と、このフリーアクセスフロア５０上に敷設された複数のタイルカーペット３０の一部を示す一部平面図である。
【００３５】
ここで、図４は、便宜上、フリーアクセスフロア５０上の一部領域において、タイルカーペット３０が敷設されていない状態を示しているが、実際にはタイルカーペット３０は、フリーアクセスフロア５０上の広さ全体にわたって敷設されている。
【００３６】
また、図４中において、タイルカーペット３０のそれぞれの複数の通気孔３８は、図面の複雑化を防止するために、図示していない。また、フリーアクセスフロア５０の、後述するパネル部材４２の複数のパネル貫通孔４４も、やはり、図面の複雑化を防止するために、図示していない。
【００３７】
フリーアクセスフロア５０は、水平面上に縦横に互いに隣り合うように整列して配置される複数のパネル部材４２と、このパネル部材４２の四隅のそれぞれを下側から支持する複数の支持脚５２を備えて構成されている。これにより、フリーアクセスフロア５０は、そのパネル部材４２の下側に床下空間を有するようになっている。このフリーアクセスフロア５０の床下空間には、不図示のエアーダクトが連通しており、温度等が調整された空気が供給されるようになっている。
【００３８】
また、フリーアクセスフロア５０のパネル部材４２のそれぞれは、図５に示すように、その平面形状が、図１に示すタイルカーペット３０の平面形状と同じ大きさの四辺形となるように形成されている。また、パネル部材４２は、図６に示すように、一定の厚さを有する板状に形成されている。
【００３９】
また、このパネル部材４２には、図５に示すように、その厚さ方向に貫通する複数の、長孔状のパネル貫通孔４４が形成されている。パネル部材４２の複数のパネル貫通孔４４は、図１に示すタイルカーペット３０の、図７に示すバッキング層３２の通気孔３８と同様に、図５に示すパネル部材４２の四辺形の平面領域を、仮想線Ｘ，Ｙにより縦横２列に配置される同じ大きさの４つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の、中央部分に密集して形成されている。
【００４０】
図４に示すように、複数のタイルカーペット３０は、フリーアクセスフロア５０上において、縦横に互いに隣り合うように整列して配置されている。これら複数のタイルカーペット３０のそれぞれは、図１に示すように、複数の通気孔３８が形成された領域以外の、仮想線Ｘ，Ｙのそれぞれを含むような十字状の領域と、四辺形の平面形状における四辺の各辺に沿う周縁部分とを足し合わせた領域、すなわち、漢字の「田」の字状の領域において、そのバッキング層３２（図２参照）が接着剤又は両面接着テープ等により、図４に示すフリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の上面に接着して固定されている。
【００４１】
図５においても同様に、パネル部材４２は、複数のパネル貫通孔４４が形成された領域以外の、仮想線Ｘ，Ｙのそれぞれを含むような十字状の領域と、四辺形の平面形状における四辺の各辺に沿う周縁部分とを足し合わせた領域、すなわち、やはり漢字の「田」の字状の領域において、そのパネル部材４２（図７参照）が接着剤又は両面接着テープ等により、図４に示すタイルカーペット３０のバッキング層３２の下面に接着して固定されるようになっている。
【００４２】
また、複数のタイルカーペット３０間の目地は、フリーアクセスフロア５０におけるパネル部材４２間の目地と、その四辺形の平面形状の各辺の丁度半分の長さ分だけ、前記各辺の縦横両方向のそれぞれに平行方向にずらして配置されている。
【００４３】
これにより、タイルカーペット３０は、フリーアクセスフロア５０のパネル部材４２間の目地を上方から塞ぐようになっていると共に、図７に示すバッキング層３２の通気孔３８の密集領域のそれぞれが、図５に示すようなパネル部材４２のパネル貫通孔４４の密集領域のそれぞれと、互いに重なり合うようになっているので、通気孔３８の一部とパネル貫通孔４４の一部を連通させることができる。
【００４４】
図４に示すタイルカーペット３０の上方の室内空間には、フリーアクセスフロア５０の床下空間から供給される空気が、このフリーアクセスフロア５０におけるパネル部材４２のパネル貫通孔４４（図５参照）、及びタイルカーペット３０の通気孔３８（図１参照）を通って吹き出すようになっている。
【００４５】
このような本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、複数のスリット状の通気孔３８がバッキング層３２に形成されていることにより、水平面内においてある程度の大きさの空隙面積を確保できるため、そのタイルカーペット３０とパネル部材４２の厚さ方向に通る空気の流速（流量）の著しい低下を防止することができる。
【００４６】
また、通気孔３８がゴミ溜りとなることを防止できるため、上記スリット状の通気孔３８の全体が目詰まりを生ずることを防止することができる。
また、通気孔３８のスリットの幅が長さよりもはるかに狭いので、図３に示すように、通気孔３８の上方をパイル繊維３４が覆って通気孔３８が目立たなくなるので、タイルカーペット３０の見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【００４７】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、その通気孔３８がレーザー加工により形成されていると共に、その加工深さをバッキング層３２の厚さと同じ寸法になるよう加工できることにより、パイル層３６のパイル繊維３４まではレーザー加工をしないため、パイル繊維３４のループ形状の一部が破損してほつれが生じるのを防止することができる。
【００４８】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、通気孔３８が、所定領域内に密集して形成されていることにより、その厚さ方向に通る空気の流量を水平面内において局所的に増加させることができるので、その所定領域内における、タイルカーペット３０の厚さ方向に通る空気の流速が小さくなることを防止することができる。
【００４９】
また、タイルカーペット３０は、図１に示すように、その通気孔３８が所定領域内に密集して形成されているので、このような通気孔３８が密集する所定領域以外の他の領域、すなわち、漢字の「田」の字状の領域において、このタイルカーペット３０のバッキング層３２を接着剤や接着両面テープ等によりフリーアクセスフロア５０に接着することができるため、接着剤や接着両面テープ等が通気孔３８を塞いでしまうことを防止することができる。
【００５０】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、その通気孔３８が密集して形成されている所定領域以外の他の領域、すなわち、漢字の「田」の字状の領域において、このタイルカーペット３０のバッキング層３２を接着剤や接着両面テープ等によりフリーアクセスフロア５０に接着するようになっているので、タイルカーペット３０をフリーアクセスフロア５０上に固定する際の作業効率を向上させることができる。
【００５１】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、タイルカーペット３０を、複数のパネル貫通孔４４を有するパネル部材４２の上面に配置し、タイルカーペット３０の通気孔３８の一部と、パネル貫通孔４４の一部とを連通させたことにより、タイルカーペット３０とパネル部材４２の厚さ方向に通る空気を、確実に、また円滑に流すことができる。
【００５２】
また、本実施の形態に係るタイルカーペット３０によれば、タイルカーペット３０とパネル部材４２を互いに、それぞれの四辺形の各辺同士を、各辺の半分の長さ分ずつずらして配置することにより、タイルカーペット３０間の目地に汚れが生じることを防止することができる。
【００５３】
次に、図８は、本発明の第２の実施の形態に係るタイルカーペット６０について説明するために参照する図である。前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。
【００５４】
本実施の形態に係るタイルカーペット６０には、図８の左右方向の中央部に、上下方向の２本の二点鎖線で示すように、パイル層３６とバッキング層３２の両方をそれらの厚さ方向に貫通するような、複数の通気孔６２が形成されている点において、前記第１の実施の形態と異なるものである。
【００５５】
本実施の形態に係るタイルカーペット６０は、前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０と全く同様の態様で使用することができる。すなわち、本実施の形態に係るタイルカーペット６０は、前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０と同様に、図４に示すようにフリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の上に敷設することができる。
【００５６】
このような本実施の形態に係るタイルカーペット６０によれば、前記第１の実施の形態と略同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係るタイルカーペット６０によれば、コストの高いレーザー加工を用いなくとも、コストの安いプレス加工などにより加工できるので、その製造コストを安くすることができる。
【００５７】
なお、前記第１及び第２の実施の形態に係るタイルカーペット３０，６０は、図４に示すように、互いに隣り合うように縦横に整列して配置されるときの目地が、フリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の目地と、各辺の半分の長さだけずれるようになっていたが、そのずれる量は任意に設定することができる。或は、タイルカーペット３０とパネル部材４２の目地が一致するように配置されていてもよい。
【００５８】
また、前記実施の形態においては、図１，７に示すように、スリット状の通気孔３８を縦横二方向に伸びるように配置していたが、そのスリット状の通気孔は、一方向のみに伸びるように、或は、三方向以上に伸びるように配置してもよい。
【００５９】
また、前記第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０は、その複数の通気孔３８が、レーザー加工により形成されるようになっていたが、その加工深さが調整できるものであれば、プレスを用いたパンチング加工等の他の加工方法により形成されていてもよい。
【００６０】
また、前記第１の実施の形態においては、図１に示すように、タイルカーペット３０の四辺形の平面領域を、仮想線Ｘ，Ｙにより図中縦横２列に配置される、同じ大きさの４つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の中央部分に、複数の通気孔３８が密集して形成されている場合について説明したが、タイルカーペット３０の一部、例えば、図１の４つの四辺形に区切られた４つの領域の右上４分の１の四辺形の領域のみに密集させてもよい。
【００６１】
すなわち、タイルカーペット３０に形成される通気孔３８は、フリーアクセスフロア５０の使用上における、タイルカーペット３０の必要な箇所の領域のみに限定して、密集させて配置されるようにしてもよい。
【００６２】
また、前記パネル部材４２に形成されるパネル貫通孔４４も、フリーアクセスフロア５０の使用上における、パネル部材４２の必要な箇所の領域のみに限定して、密集させて配置されるようにしてもよい。
【００６３】
また、前記第１及び第２の実施形態においては、本発明のタイルカーペットをフリーアクセスフロアに適用した場合について説明したが、本発明のタイルカーペットはフリーアクセスフロア以外の他の物に対して適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【００６４】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るタイルカーペット３０を示す平面図である。
【図２】図１に示すタイルカーペット３０の側面図である。
【図３】図２に示すタイルカーペット３０の部分拡大断面図である。
【図４】図１に示すタイルカーペット３０をフリーアクセスフロア５０のパネル部材４２の上に敷設した状態を示す一部平面図である。
【図５】図４に示すパネル部材４２の１枚のみを示す平面図である。
【図６】図５に示すパネル部材４２の側面図である。
【図７】タイルカーペット３０のバッキング層３２のみを示す平面図である。
【図８】本発明の第２の実施の形態に係るタイルカーペット６０の部分拡大断面図である。
【図９】第１の従来のタイルカーペット２、及び通気性支持床４を示す部分拡大断面図である。
【図１０】第２の従来のタイルカーペット１６、及び通気性支持床１８を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【００６５】
２ タイルカーペット
４ 通気性支持床
６ 通気孔
１０ バッキング層
１２ カーペット層
１６ タイルカーペット
１８ 通気性支持床
２０ 通気孔
２２ バッキング層
２４ カーペット層
２６ 通気孔
３０ タイルカーペット
３２ バッキング層
３４ パイル繊維
３６ パイル層
３８ 通気孔
４２ パネル部材
４４ パネル貫通孔
５０ フリーアクセスフロア
５２ 支持脚
６０ タイルカーペット
６２ 通気孔
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の貫通孔を有するパネル部材の上面に載置して用いられるタイルカーペットであって、
複数のパイル繊維で構成されるパイル層と、
前記パイル繊維の複数部分が保持されるバッキング層とを備え、
少なくとも前記バッキング層を貫通する複数のスリット状の通気孔を形成した
ことを特徴とするタイルカーペット。
【請求項２】
前記通気孔は、加工深さの調整が可能なレーザー加工により形成されたことを特徴とする請求項１に記載のタイルカーペット。
【請求項３】
前記通気孔が所定領域内に密集して形成されたことを特徴とする請求項１又は２に記載のタイルカーペット。
【請求項４】
少なくとも前記通気孔の一部を前記パネル部材の貫通孔の一部と連通させたことを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のタイルカーペット。
【請求項５】
隣接する他のタイルカーペットとの間の目地を前記パネル部材相互間の目地とずらして配置したことを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載のタイルカーペット。
【請求項１】
複数の貫通孔を有するパネル部材の上面に載置して用いられるタイルカーペットであって、
複数のパイル繊維で構成されるパイル層と、
前記パイル繊維の複数部分が保持されるバッキング層とを備え、
少なくとも前記バッキング層を貫通する複数のスリット状の通気孔を形成した
ことを特徴とするタイルカーペット。
【請求項２】
前記通気孔は、加工深さの調整が可能なレーザー加工により形成されたことを特徴とする請求項１に記載のタイルカーペット。
【請求項３】
前記通気孔が所定領域内に密集して形成されたことを特徴とする請求項１又は２に記載のタイルカーペット。
【請求項４】
少なくとも前記通気孔の一部を前記パネル部材の貫通孔の一部と連通させたことを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のタイルカーペット。
【請求項５】
隣接する他のタイルカーペットとの間の目地を前記パネル部材相互間の目地とずらして配置したことを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載のタイルカーペット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２００９−１７９９８４（Ｐ２００９−１７９９８４Ａ）
【公開日】平成２１年８月１３日（２００９．８．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１８９４３（Ｐ２００８−１８９４３）
【出願日】平成２０年１月３０日（２００８．１．３０）
【出願人】（０００２３３２３９）日立機材株式会社 (225)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年８月１３日（２００９．８．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１月３０日（２００８．１．３０）
【出願人】（０００２３３２３９）日立機材株式会社 (225)
【Ｆターム（参考）】
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