説明

タイルシート及び該タイルシートの製造方法

【課題】 比較的大きな荷重に耐え、所要の柔軟性を有する、タイルの施工性を向上するに適したタイルシート及び該タイルシートの製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、目地間隙sを介して縦横に配列した複数個のタイルT相互を、目地間隙内に橋渡された可撓性を有する紫外線硬化性樹脂Bにより接合されてなり、前記紫外線硬化性樹脂が、光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマー並びに該モノマーと相溶性のあるオリゴマー又は/及びポリマーを主成分とし、これに光反応開始剤を混合してなる紫外線硬化性接着剤組成物を、紫外線照射により硬化してなり、0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有するものであることを特徴とするタイルシートUである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装タイルの施工性を向上するに適したタイルシート及び該タイルシートの製造方法に関するものである。この、タイルシートは、複数個のタイルをシート状としてなり、該タイルシートの施工は、接着モルタルを介して建築物壁面に接着され、目地にモルタルを埋め込んだ後、施工面を洗浄して仕上げられる。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタイルシートとしては、澱粉糊等を用い、複数個のタイルを縦横に配列し、紙を表面に接着してなるものが提供されていた。しかるにこのタイルシートにあっては、接着モルタルを介して建築物壁面に接着された後、タイルの表面に水をかけて、紙をはがす作業が必要な上、はがした紙が大量の廃棄物となるため、その改善が現場から強く求められていた。そこで、タイル同士を熱硬化性接着剤によって点接着し、シート状としたタイルシートが提案された。この方法では、熱硬化性接着剤として塩化ビニールプラスチゾル、アクリルゾル、ウレタン等を使用し、点付けしたタイルシートを、接着モルタルを介して壁面躯体に貼り付け、直ちに目地にモルタルを埋め込んで仕上げをするものであり、作業性は大幅に改善される。しかしこの方法は、熱硬化性接着剤を硬化させるため、160度以上の温度で、15分以上加熱しなければならず、これを一連のラインで生産する場合には、移動中に15分以上の滞留を可能とする数十mに及ぶ長い加熱炉を要し、加工装置が大型化し、大量のエネルギーを必要とし、生産性が悪く、高コストになりがちであった。
【0003】
そこで、複数のタイルを所定の間隔に離間させた状態で一体に連結するために、紫外線硬化性樹脂を用いたものが、特許文献1で提案された。これは、複数のタイルを所定の目地間隙で離間させた状態に配置し、前記複数のタイル間に紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線の照射により前記紫外線硬化性樹脂を硬化させることにより前記複数のタイルを一体に連結するものである。
【特許文献1】特開2001−140449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1で開示された構成は、紫外線を照射するだけでよいから、製造容易性が期待されるものの、文献中には最適な紫外線硬化性樹脂が具体的に提案されていず、また通常市販されているものでは、タイルとの密着性が悪く、適度の柔軟性が確保できない。このためかかる構成は、実現されるに至っていない。ちなみに文献では、重合可能なアクリルオリゴマー、アクリルモノマー、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、チオール化合物、アクリル変性ポリブタジエンなどを原料とするものを用いることができると示唆しているものの、複数のタイルを一体化するため、比較的大きな荷重に耐える必要があり、しかも接合する躯体の壁面に沿って整一に接合される柔軟性を備えた構成とするには、さらなる研究を要するものである。
本発明は、比較的大きな荷重に耐え、所要の柔軟性を有する、タイルの施工性を向上するに適したタイルシート及び該タイルシートの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、目地間隙を介して縦横に配列した複数個のタイル相互を、目地間隙内に橋渡された可撓性を有する紫外線硬化性樹脂により接合されてなり、前記紫外線硬化性樹脂が、光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマー並びに該モノマーと相溶性のあるオリゴマー又は/及びポリマーを主成分とし、これに光反応開始剤を混合してなる紫外線硬化性接着剤組成物を、紫外線照射により硬化してなり、0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有するものであることを特徴とするタイルシートである。ここでオリゴマーとしては、光反応性(メタ)アクリロイル基含有オリゴマーが好適となる。
0.5Mpa未満の強度であると、タイルシートが弱くなりすぎ、タイルの自重を支えきれず、伸びたり破断したりする。30%未満の伸び率であると、該接着剤が硬くなりすぎ、該タイルシートを建築物壁面に取り付ける場合、シートが硬すぎ壁面の変化に追従しにくくなり、作業性を害する。
【0006】
このタイルシートは、目地を介して縦横に配列した複数個のタイル相互の、その目地間隙内に、光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマー並びに該モノマーと相溶性のあるオリゴマー又は/及びポリマーを主成分とし、これに光反応開始剤を混合してなる紫外線硬化性接着剤組成物を各タイル相互を橋渡しするように供給し、接着剤組成物に紫外線照射して硬化することにより作成される。
【0007】
このタイルシートに用いられる紫外線硬化性樹脂は、引っ張り強度が0.5Mpa以上望ましくは0.8Mpaで、伸び率が30%以上望ましくは50%以上の紫外線硬化性樹脂によって達成されることが、種々の研究の結果、確認された。 4.5×2丁タイルの300×300mm角タイルシートを作成する場合、タイルシート全体の重量が1050g程度あり、0.5Mpa以上の引っ張り強度があればタイルシート全体を支えることができ、また30%以上の伸び率があれば、躯体に追従しやすくなるからである。
【0008】
このタイルシートに用いられる紫外線硬化性接着剤組成物は、光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマー並びに該モノマーと相溶性のあるオリゴマー又は/及びポリマーを主成分とし、これに光反応開始剤とを混合してなり、前記モノマーが(メタ)アクリレートモノマーであり、該(メタ)アクリレートモノマーのアクリロイル基が、モノマー組成中で単官能モノマーが55%以上、2官能以上の多官能モノマーが45%以下であるものが、紫外線硬化後0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有するものとして用いられる。
【0009】
このような紫外線硬化性接着剤組成物は、その組成中のモノマー、オリゴマー、ポリマーの一部または全部が、水酸基、カルボキシル基及びその塩類、エポキシ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、メルカプト基、燐酸基、ニトロ基等の官能基の1種または2種以上を含有するものが用いられる。
これらは、タイルとの密着性を高め、タイルと接着剤が剥離しにくくしたり、接着剤の凝集力を強め、引張りに対する抗張力を高めるなどの接着剤改質効果があり、これにより紫外線硬化性樹脂の接着性を向上させることができる。
【0010】
上述のポリマー又は/及びオリゴマーがウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース等の群から選ばれた1種または2種以上含有してなるものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタイルシートは、紫外線硬化性樹脂を用いて、各タイルを縦横に結合してなるものであり、その製造にあっては接着剤組成物に紫外線照射して硬化することにより容易に作成される。
【0012】
また、0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有するものであるから、タイルシート全体を支えることができ、またタイルを接合する躯体の表面に追従しやすくなり、該接合面に凹凸や変形があっても、容易に接合される。
【0013】
このタイルシートは、連結シートでタイル全体を覆うものではないから、施工後の剥離が不要である。また各タイルの裏面にモルタルを塗って接合した後、さら目地にモルタルを埋め込むことにより施工されるものであるから、タイル間に橋渡し状に供給した紫外線硬化性樹脂はモルタル内に隠蔽され、施工後に露出することは無いため、後処理を要することなく、美麗な仕上げが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を詳細に説明する。
図1、2で示すように、本発明のシートタイルUは、例えばタイルTが縦横に目地間隙sを介して整一配列され、その目地間隙s内に紫外線硬化性樹脂Bが橋渡し状に配設され、各タイルTを固結してなるものである。この紫外線硬化性樹脂Bは、0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有する可撓性のある特性を有することを特徴としている。このため、4.5×2丁タイルの300×300mm角タイルシートを作成する場合、タイルシート全体の重量が1050g程度あり、これを垂直面に施工する場合には、大きな荷重がかかることとなるが、かかる引張り強度を有するため、タイルシートがその自重に耐え切れず、その接合部で分断することがない。また、タイルシートが貼着施工される躯体の接合面は、必ずしも整一な面ではないが、30%以上の伸び率を有する可撓性のある特性を有するため、その接合面の凹凸に倣って、面接触させることが可能となる。
【0015】
このタイルシートUは、例えば図3,4で示すように、平板状の搭載治具1にタイルを目地間隙を置いて列設し、目地間隙s内に紫外線硬化性接着剤組成物を供給して、紫外線照射することにより、容易に製造することができる。
すなわち、搭載治具1は、目地間隙sを形成するための凸条スペーサ4が底面部に突成され、該凸条スペーサ4によりタイルTの縦横寸法に合致した搭載面部3を縦横に形成している。搭載治具1底面部には、目地間隙sの凸条スペーサ2の両側位置で、孔部5が形成される。この搭載治具1には、底板2が下面に設けられ、孔部5を有底状としている。この孔部5には、反射鏡8と透孔板10とが埋設される。
【0016】
そして、搭載治具1の搭載面部3に、タイルTを敷設した後、各目地間隙s内の孔部5の中央上に紫外線硬化性接着剤組成物を点状に注入する。さらに、この搭載治具1をベルトコンベヤC等で、移送しながら、光源Lにより、紫外線を照射する。この照射工程により、紫外線硬化性接着剤組成物は紫外線を受け、各成分が架橋して硬化する。このとき、紫外線は、紫外線硬化性接着剤組成物の両側の光通過部7,7から透孔板10を透過して、反射鏡8で反射して、紫外線硬化性接着剤組成物に下方からも照射される。このため、紫外線硬化性接着剤組成物はその上下から紫外線が照射されることとなり、その硬化が均一になされることとなる。この紫外線照射時間は10秒間程度であり、このためベルトコンベヤCで走行させながら照射したとしても、装置の大型化を要することは無く、これによりタイルシートUは、小型装置により容易に製造されることとなる。
【0017】
本発明の実施に係る紫外線硬化性接着剤組成物は、光反応性(メタ)アクリレートモノマー(アクリロイル基含有モノマー)、光反応性(メタ)アクリレートオリゴマー(アクリロイル基含有オリゴマー)、有機物ポリマーを主成分とし、光反応開始剤、必要に応じてこれにビニルエーテル化合物等を混合してなり、必要によって増感剤、有機物ポリマー、無機改質剤等を添加したものである。さらに粘度を低下させ、塗布量を調節させる目的で、有機溶剤、可塑剤等によって希釈したりしてもよい。
【0018】
かかる構成にあって、紫外線硬化性接着剤組成物は、光反応性(メタ)アクリレートモノマーと光反応性(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とする構成と、光反応性(メタ)アクリレートモノマーと有機物ポリマーを主成分とする構成とに区分される。
【0019】
この紫外線硬化性樹脂のひっぱり強度と伸び率は、(メタ)アクリレートモノマー組成中で、アクリロイル基が、単官能であるモノマーが55%以上、望ましくは60%以上、アクリロイル基が2官能以上であるモノマーが45%以下望ましくは40%以下であることによって達成される。多官能アクリロイル基モノマーが40%以上になると硬化物が硬く、伸び率が低下するからである。
【0020】
光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマーとしては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート、2官能の(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
前記2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型ジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールF型ジアクリレート、ビスフェノールA型ジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸ジアクリレート等が挙げられる。
【0022】
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2―ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートや、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
(メタ)アクリロイル基含有オリゴマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、オリゴ(メタ)アクリレート、アルキド(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでもポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレートは、特にタイルとの密着力が強く柔軟性のある紫外線硬化性樹脂を得る上で望ましい。
【0024】
前記ビニルエーテル化合物としては、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチレングリコルモノビニルエーテル、エチレングリコルジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテルなどの1価および2価のアルコールのモノビニルエーテルおよびジビニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
本発明では、紫外線硬化性接着剤組成物中のモノマー、オリゴマー、ポリマーの一部または全部に、水酸基、カルボキシル基及びその塩類、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、メルカプト基、燐酸基、燐酸エステル基、イソシアネート基、ニトロ基等の官能基を有するものを用いることによって紫外線硬化性樹脂の接着性を向上させることができる。これらはタイルとの密着性を高め、タイルと接着剤が剥離しにくくなり、接着剤の凝集力を強め、引張りに対する抗張力を高めるなどの接着剤改質効果があるからである。
【0026】
このようなモノマーを例示すれば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリストールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリストールトリアクリレート、2-ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アトロパ酸シトラコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸及びこれらカルボン酸のアンモニウム塩やアミン塩あるいはアルカリ(土類)金属塩、ω−カルボキシーポリカプロラクトンモノアクリレート、アクリル酸ダイマー、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、カヤマーPM-2(日本化薬株式会社製)、カヤマーPM-21(日本化薬株式会社製)、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-イソシアトエチル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0027】
前記有機物ポリマーとしては、更に、天然高分子物質類や前記したアクリレート以外の合成高分子物質類も選ばれ、必要に応じて本発明の接着剤に添加しても良い。天然高分子物質類や合成高分子物質類としては、例えば、各種のビニルエステル樹脂類、ブロックイソシアネート、ポリイソシアネート化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂ポリマーまたはオリゴマーおよびその誘導体ポリエポキシド類、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アクリル樹脂類、アルキド樹脂類、尿素樹脂類、メラミン樹脂類、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル系共重合体類、ポリブタジエン系エラストマー、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類、ニトロセルロース類、セルロースアセテートブチレート等セルロース誘導体類;アマニ油、桐油、大豆油、ヒマシ油またはエポキシ化油類の如き油脂類等が挙げられる。
【0028】
なかでもブロックイソシアネート、ポリイソシアネート化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂ポリマーまたはオリゴマーおよびその誘導体ポリエポキシド類、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド、ニトロセルロース等がタイルとの密着性を高めるので望ましい。
【0029】
該接着剤組成物には必要に応じて、例えばフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、プロセスオイル等の可塑剤、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール等の有機溶剤を加えることが出きる。また該接着剤組成物には必要に応じて、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、オイル染料等の着色顔料、着色染料、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、粘土鉱物粉体、ロックウール粉体、ガラス繊維粉体、アスベスト粉体、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、沈降性炭酸マグネシウム、ステアリン酸金属塩等の無機物粉体等を加えることができる。
【0030】
本発明でいう光反応開始剤とは例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントンまたはアントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。これらの化合物は、メチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンを増感剤として併用するのが一般的である。
【0031】
別のタイプの光重合開始剤としては、例えば、分子内開裂によってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等が挙げられる。
【0032】
かくして該接着剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレートモノマーから選ばれた1種または2種以上の混合物に、必要に応じてこれらオリゴマー、モノマーと相溶性のあるポリマー、オリゴマーからえらばれた1種または2種以上を添加し、光反応開始剤と、必要に応じてその増感剤、増粘剤や希釈剤、着色剤等を添加して作成される。
【0033】
上述した接着剤組成物は、たとえば離型処理された盤上にタイルを整列させ、このタイル間に接着剤を点状に注入し、次に紫外線を照射し、該紫外線硬化性樹脂を硬化させタイルシートを作成する。紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプは、高圧水銀灯などの紫外線を効率的に発生する光源から紫外線を照射し、硬化させる。タイルの裏に回って光の届かない箇所はたとえばタイルシートを反転させ、光を当てることによって硬化させたり、離型処理された盤に透光性を有するガラス、プラスチックスを用い、裏面からも光を照射させるか、この透光盤に光の反射面を設け、上から照射した光を反射面で反射させることにより、上から照射した場合に影になる箇所も同時に硬化させることによって達成される。
【0034】
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
攪拌機、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、2官能ポリエステルポリオール(アデカポリエステルNS-2400 旭電化工業株式会社製)1000重量部、イソホロンジイソシアネート225重量部を加え、攪拌しながら90℃に昇温し、3時間反応させた。この反応物に、2-ヒドロキシエチルアクリレト120重量部、ターシャリーブチルハイドロキノン0.5重量部を加え、80℃にてさらに3時間反応させ、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0036】
上記オリゴマー100重量部に、2ヒドロキシエチルアクリレート30重量部、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート15重量部、アクリル酸10重量部、ジメチルアミノメチルメタアクリレート10重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕5重量部、アミノアルコール2重量部、酸化チタン0.05重量部、カーボンブラック0.005重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)3重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例2】
【0037】
攪拌機、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、プラクセル220(ポリカプロラクトンジオール ダイセル化学工業株式会社製)1000重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート150重量部、を加え、攪拌しながら90℃に昇温し、3時間反応させた。この反応物に、2-ヒドロキシエチルアクリレト95重量部、ターシャリーブチルハイドロキノン0.5重量部重量部をさらに加え、80℃にてさらに3時間反応させ、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0038】
上記オリゴマーに100重量部に、アロニックスM-5600(アクリル酸ダイマー 東亞合成株式会社製)30重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート30重量部、1.6ヘキサンジオールジアクリレート10重量部、γ−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン2重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕5重量部、アミノアルコール2重量部、酸化チタン0.05重量部、カーボンブラック0.005重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)3重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例3】
【0039】
攪拌機、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、URIC H-56(ひまし油ポリオール 伊藤製油株式会社製)1310重量部、トリレンジイソシアネート315重量部を加え攪拌しながら90℃に昇温し、3時間反応させた。この反応物に、2-ヒドロキシプロピルアクリレート210重量部ターシャリーブチルハイドロキノン0.5重量部をさらに加え、80℃にてさらに3時間反応させ、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0040】
上記オリゴマーに100重量部に、アロニックスM-5600(アクリル酸ダイマー 東亞合成株式会社製)30重量部、4ヒドロキシブチルアクリレート30重量部、γ−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン2重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕5重量部、アミノアルコール2重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)3重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例4】
【0041】
攪拌機、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、3官能ポリエーテルポリオール(アデカポリエーテルG-1500 旭電化工業株式会社製)1000重量部、トリレンジイソシアネート345重量部、を加え、攪拌しながら90℃に昇温し、3時間反応させた。この反応物に、2―ヒドロキシエチルアクリレト235重量部、12%ジブチルチンジラウレート0.2重量部、ターシャリーブチルハイドロキノン0.5重量部重量部をさらに加え、80℃にてさらに3時間反応させ、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0042】
上記ウレタンアクリレートオリゴマー60重量部に、エスレックBL-3(ブチラール樹脂 積水化学株式会社製)30量部を4ヒドロキシブチルアクリレート70重量部にて混合溶解したもの100重量部、N−ビニル2−ピロリドン20重量部、γ−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン2重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕5重量部、アミノアルコール2重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)3重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例5】
【0043】
CN2256(ポリエルテルポリオール サートマー・ジャパン株式会社製)60重量部、2-ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、30重量部、1.6ヘキサンジオールジアクリレート10重量部、ω−カルボキシーポリカプロラクトンモノアクリレート10重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕2重量部、アミノアルコール1重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例6】
【0044】
エポトートYD-011(東都化成株式会社製エポキシ樹脂)60重量部を4-ヒドロキシブチルアクリレート40重量部にて混合し溶解した。
【0045】
上記混合物に実施例2で得たウレタンアクリレートオリゴマー150重量部、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート10重量部、カヤマーPM-2(日本化薬株式会社製)4重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕5重量部、アミノアルコール3重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)4重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例7】
【0046】
攪拌機、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、アデカポリエーテルP-3000(2官能ポリエーテルポリオール 旭電化工業株式会社製)1500重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート135重量部、12%ジブチルチンジラウレート0.3重量部を加え、攪拌しながら90℃に昇温し、3時間反応させた。この反応物に、4―ヒドロキシブチルアクリレト87重量部、ターシャリーブチルハイドロキノン0.5重量部をさらに加え、80℃にてさらに3時間反応させ、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0047】
エポトートYD-011(東都化成株式会社製エポキシ樹脂)60重量部を4-ヒドロキシブチルアクリレート40重量部にて混合し溶解した溶液に、上記ウレタンアクリレートオリゴマー90重量部、カヤマーPM-2(日本化薬株式会社製)4重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕6重量部、アミノアルコール3重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)5重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【実施例8】
【0048】
バイロン550(東洋紡績株式会社製飽和ポリエステル樹脂)35重量部を4-ヒドロキシブチルアクリレート40重量部、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート30重量部、ポリエチレングリコール600アクリレート(東亞合成株式会社製アロニックスM-260)5重量部にて混合溶解した。この溶液に、アクリル酸マグネシウム4重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕4重量部、アミノアルコール2重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)3重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【0049】
<比較例1>
実施例2で得られたウレタンアクリレートオリゴマーを100重量部、アロニックスM-5600(アクリル酸ダイマー 東亞合成株式会社製)20重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート20重量部、1.6ヘキサンジオールジアクリレート30重量部、γ−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン2重量部、光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕5重量部、アミノアルコール2重量部、酸化チタン0.5重量部、カーボンブラック0.01重量部、アエロジル200(日本アエロジル(株式会社製)3重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【0050】
<比較例2>
実施例1にてえられたウレタンアクリレートオリゴマーを100重量部、ラウリルアクリレート30重量部、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート30重量部、ポリエチレングリコール600アクリレート(東亞合成株式会社製アロニックスM-260)5重量部光重合開始剤〔イルガキュア184(チバ・スペシャリテイーケミカル社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン)〕4重量部、アミノアルコール2重量部、アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)4重量部を加え、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
【0051】
実施例1から実施例7及び比較例1から2の特性を検証するため、図3,4で示した搭載治具1にタイルTを敷設して整列させ、実施例1から実施例7及び比較例1にて作成された紫外線硬化性接着剤組成物を、同図のように各目地間隙s内に約10mm幅1.5mm厚で注入した。そして150W/cmの高圧水銀ランプを光源Lとして用いて、上記紫外線硬化性樹脂の塗膜箇所に紫外線を10秒間照射し(ランプからの距離25mm)、硬化被膜を形成した。
作成されたタイルシートの上端2箇所を手で持ちあげ、軽く数回ゆすった後のタイルシートの状態を観察し、その接着性を確認した。またこのタイルシートを接着箇所で90度折り曲げ、接着剤の状態を観察した。
【0052】
さらに実施例1から実施例8及び比較例1にて作成された紫外線硬化性樹脂を、離型処理された盤上に約1.5mm厚に塗布し、150W/cmの高圧水銀ランプを用いて、上記紫外線硬化性樹脂の塗膜箇所に紫外線を10秒間照射し(ランプからの距離25mm)、硬化被膜を形成した。この硬化皮膜を、JIS K7113に準拠し、皮膜の引っ張り強度、伸び率をTECHNO GRAPH 10KN(ミネベア株式会社製)にて測定した。以下にその試験結果を示す。
【0053】
【表1】

【0054】
接着性試験:比較例2はタイルへの密着が悪く、シートを持ち上げたときにタイル界面から接着剤が剥離した。他のものでは異常が起きなかった。
曲げ試験:比較例1は容易に曲げることができず、部分的に接着剤にクラックが入った。比較例2は曲げることにより、接着剤がタイル界面から剥離した。
【0055】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明にかかるタイルシートUの平面図である。
【図2】タイルTの接合態様を示す縦断面図である。
【図3】タイルTを敷設した搭載治具1の平面図である。
【図4】タイルTを敷設した搭載治具1の縦断面図である。
【符号の説明】
【0057】
U タイルシート
T タイル
B 紫外線硬化性
s 目地間隙
1 搭載治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地間隙を介して縦横に配列した複数個のタイル相互を、目地間隙内に橋渡された可撓性を有する紫外線硬化性樹脂により接合されてなり、
前記紫外線硬化性樹脂が、光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマー並びに該モノマーと相溶性のある光反応性オリゴマー又は/及び有機物ポリマーを主成分とし、これに光反応開始剤を混合してなる紫外線硬化性接着剤組成物を、紫外線照射により硬化してなり、0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有するものであることを特徴とするタイルシート。
【請求項2】
目地間隙を介して縦横に配列した複数個のタイル相互の、その目地間隙内に、光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマー又は/及び光反応性ビニルモノマー並びに該モノマーと相溶性のあるオリゴマー又は/及びポリマーを主成分とし、これに光反応開始剤を混合してなる紫外線硬化性接着剤組成物を、各タイル相互を橋渡しするように供給し、接着剤組成物に紫外線照射して硬化することにより、0.5Mpa以上の引っ張り強度で、かつ30%以上の伸び率を有する可撓性のある紫外線硬化性樹脂を生成し、該紫外線硬化性樹脂により複数個のタイル相互を接合してタイルシートを作成することを特徴とするタイルシートの製造方法。
【請求項3】
オリゴマーが光反応性(メタ)アクリロイル基含有オリゴマーであることを特徴とする請求項2に記載のタイルシートの製造方法。
【請求項4】
紫外線硬化性接着剤組成物中の光反応性(メタ)アクリロイル基含有モノマーのアクリロイル基が、モノマー組成中で単官能モノマーが55重量%以上、2官能以上の多官能モノマーが45重量%以下であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のタイルシートの製造方法。
【請求項5】
紫外線硬化性接着剤組成物が、その組成中のモノマー、オリゴマー、ポリマーの一部または全部が、水酸基、カルボキシル基又は/及びその塩類、エポキシ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、メルカプト基、燐酸基、ニトロ基等の官能基の1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載のタイルシートの製造方法。
【請求項6】
紫外線硬化性接着剤組成物が、その組成中のポリマー又は/及びオリゴマーがウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース等の群から選ばれた1種または2種以上含有してなるものであることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載のタイルシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−191496(P2009−191496A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32241(P2008−32241)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(396015828)アルファ化研株式会社 (6)
【出願人】(508045837)有限会社旭工芸クリエイト (1)
【Fターム(参考)】