説明

タクロリムスの医薬組成物

経口タクロリムス組成物は、可溶化液体形態にあるタクロリムスを含むコアを有する小カプセルを含む。小カプセルは、胃腸管全体の至るところに予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する。組成物は、例えば固形臓器移植拒絶の治療または予防のために用いられうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクロリムスを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
タクロリムスは、マクロライド剤であり、細胞内タンパク質、FKBP-12に結合すると考えられる工程を通じてT細胞活性化を阻害する。次いでタクロリムス-FKBP-12、カルシウム、カルモジュリン、およびカルシニューリンの疎水性複合体が形成され、カルシニューリンのホスファターゼ活性が阻害される。この効果は、リンホカイン(インターロイキン-2、γインターフェロンなど)の形成のために遺伝子転写を開始すると考えられる核成分である、活性化T細胞核内因子(NF-AT)の脱リン酸化および転位を予防しうる。結果生じるT細胞活性化の阻害は、強力な免疫抑制をもたらす(プログラフ(Prograf(登録商標))患者情報パンフレット(アステラス))。
【0003】
タクロリムスは、臓器移植後患者において臓器拒絶を予防するために主に用いられる。臓器移植後1週間で、タクロリムスの全血トラフ濃度を標的範囲内(最初の3ヶ月間は10〜20 ng/ml、およびその後5〜15 ng/ml(Yasuhara et al., (1995) Transplantation Proceedings, 27, 1108-1110)に維持するためにタクロリムス用量は調整される。トラフ(12時間)血中濃度が下記の範囲内に維持される場合、患者の大部分はうまく管理されうる:肝臓移植については、効果的な範囲は最初の3ヶ月間は5〜20 ng/mL、その後5〜15 ng/mLである;腎臓移植については、効果的な範囲は最初の3ヶ月間は10〜20 ng/mL、その後5〜15 ng/mLである;心臓移植については、効果的な範囲は最初の3ヶ月間は10〜20 ng/mL、その後5〜15 ng/mLである;および肺移植については、効果的な範囲は最初の月については10〜20 ng/mL、その後5〜15 ng/mLである。臓器拒絶の発症は、より低い血中濃度と関連すると分かった一方で、15ng/mlよりも高い血中濃度で有害作用が発生した(Masuda et al., (2006) Pharmacology and Therapeutics, 112, 184-198)。
【0004】
タクロリムスは胃腸管の異なった領域から異なって吸収され、小腸から最適に吸収され、回腸および結腸については吸収効率が小腸について観察されたよりも半減する。また、食物効果が観察される。胃腸管からの吸収後、薬物効果が従来のIR錠剤の経口投与後8〜12時間持続する。総投与量は典型的には1日当たり2.5〜10 mgの範囲内であるが、例外的な場合には20 mg/日に上昇する。従来の投与計画(dosage regimes)下では、タクロリムスは1日2回与えられ、典型的には第1の用量が朝食前に与えられ、第2の用量が夕方前に与えられる。有害作用は、小腸からの最初の急速吸収のために、上記の治療的血漿濃度をもたらすが、これは免疫抑制のために、腎毒性、神経毒性および患者感染の発生を含むタクロリムス治療と関連する。
【0005】
タクロリムスの1日1回製剤が知られている。製剤工程は、タクロリムスが無水エタノール、エチルセルロース、ヒプロメロースおよびラクトース一水和物と共に顆粒化される工程からなる。ヒプロメロースシステムは、ポリマーゲル層を形成することによって薬物放出特性を変化させ、エチルセルロース拡散マトリックスシステムは、透水および薬物放出を制御することによって放出特性を変化させる。結果生じるペーストを乾燥させ、サイジングし、中間体顆粒を生産する。次いで顆粒をラクトース一水和物およびステアリン酸マグネシウムと混合し、混合物をカプセルに充填する。製剤は、6〜12時間で90%薬物放出の溶解をもたらす。この1日1回製剤についての1つの潜在的問題は、薬物血漿濃度において最初のスパイクをもたらし、不要な副作用の原因となる可能性を有することである。
【0006】
それゆえ、これらの問題の少なくともいくつかに対処するであろう改善されたタクロリムスの組成物が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の記載
本発明では、可溶化液体形態にあるタクロリムスを含むコアを有する小カプセルであり、胃腸管全体の至るところに予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する小カプセルを含む、経口タクロリムス組成物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1の実施態様では、小カプセルは小腸において予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する。
【0009】
1の実施態様では、小カプセルは回腸において予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する。
【0010】
1の実施態様では、小カプセルは結腸において予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する。
【0011】
1の場合では、タクロリムスはコア内で0.5〜25% w/wの量にて、好ましくは2.5〜15% w/wの量にて存在する。
【0012】
1の実施態様では、使用環境にさらされたときに、30%未満のタクロリムスが1時間以内に放出され、好ましくは使用環境にさらされたときに、20%未満のタクロリムスが1時間以内に放出される。
【0013】
1の実施態様では、使用環境にさらされたときに、60%未満のタクロリムスが4時間以内に放出され、好ましくは使用環境にさらされたときに、35%未満のタクロリムスが4時間以内に放出される。
【0014】
1の実施態様では、使用環境にさらされたときに、90%未満のタクロリムスが12時間以内に放出され、好ましくは使用環境にさらされたときに、65%未満のタクロリムスが12時間以内に放出される。
【0015】
1の場合では、使用環境にさらされたときに、100%以下のタクロリムスが24時間以内に放出される。
【0016】
1の実施態様では、使用環境にさらされたときに、20%未満のタクロリムスが1時間以内に放出され、35%未満のタクロリムスが4時間以内に放出され、65%未満のタクロリムスが12時間以内に放出され、実質的に全ての残存するタクロリムスが12〜24時間の間に放出される。
【0017】
小カプセルは、可溶化タクロリムスを含む固体シェルを含みうる。小カプセルは、放出特性を提供するように加工されうる。放出制御は、ポリマーコーティングに起因しうる。ポリマー材料は、例えばメタクリレート、またはエチルセルロースでありうる。ポリマー材料は、メタクリレートおよびエチルセルロースの混成でありうる。
【0018】
1の実施態様では、コーティングは溶解増強剤を含む。溶解増強剤は、胃腸管に通常は存在する細菌によって分解されうる。溶解増強剤は、1以上のペクチン、アミロースおよびアルギン酸塩から選択されうる。溶解増強剤は、0.5〜2% w/wの量のエチルセルロースにて存在しうる。
【0019】
1の実施態様では、コアはタクロリムス、可溶化剤、共乳化剤、界面活性剤、透過増強剤および担体を含む。可溶化剤は、エタノールを含みうる。可溶化剤は、トリグリセリドを含みうる。共乳化剤は、脂肪酸エステル複合体を含みうる。界面活性剤は、脂肪酸エステル複合体を含みうる。透過増強剤は、脂肪酸エステル複合体を含みうる。担体は、疎水性液体を含みうる。疎水性液体は、オリーブ油などの油を含みうる。
【0020】
1の実施態様では、組成物はタクロリムス含有小カプセルの第1集合およびタクロリムス含有小カプセルの第2集合を含む。第1集合は、非コーティング小カプセルを含みうる。第2集合は、コーティング小カプセルを含みうる。
【0021】
1の実施態様では、組成物は10〜40% w/wの非コーティング小カプセルおよび60〜90% w/wのコーティング小カプセルを含む。
【0022】
1の場合では、約25% w/wの非コーティング小カプセルおよび約75% w/wのコーティング小カプセルが存在する。
【0023】
1の実施態様では、タクロリムスが全身吸収を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出される。
【0024】
タクロリムスは、予備全身性粘膜吸収を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出されうる。
【0025】
タクロリムスは、局所的胃腸活性を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出されうる。
【0026】
タクロリムスは、時間治療を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出されうる。
【0027】
1の実施態様では、製剤は粘膜接着剤または生体接着剤などの接着剤を含む。
【0028】
小カプセルは、硬ゼラチンカプセル、スプリンクル、または錠剤にて投与されうる。
【0029】
1の実施態様では、小カプセルはタクロリムスの溶解度を最大にする賦形剤をさらに含む。組成物は、回腸においてタクロリムスの透過性を最大にする賦形剤を含みうる。回腸透過性増強賦形剤は、1以上のカプリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、SNAC、キトサンおよびその誘導体、脂肪酸、界面活性剤、リポソーム、トリグリセリド、ポリエーテル、胆汁酸塩、一酸化窒素ドナー、トリグリセリド、ヒドロキシラーゼ阻害剤ならびに/または抗酸化剤から選択されうる。
【0030】
別の実施態様では、組成物は結腸においてタクロリムスの透過性を最大にする賦形剤を含む。結腸透過性増強賦形剤は、1以上のカプリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、SNAC、キトサンおよびその誘導体、脂肪酸、界面活性剤、リポソーム、トリグリセリド、ポリエーテル、胆汁酸塩、一酸化窒素ドナー、トリグリセリド、ヒドロキシラーゼ阻害剤ならびに/または抗酸化剤から選択されうる。
【0031】
組成物は、回腸および結腸においてタクロリムスの治療可能性を増強する賦形剤を含みうる。賦形剤は、1以上の吸収制限剤、吸収増強剤、界面活性剤、共界面活性剤、共溶媒、オメガ3油などの精油、ニームなどの天然植物抽出物、イオン交換樹脂、アゾ結合などの細菌分解性共役リンカー、アミロース、グアーガム、ペクチン、キトサン、イヌリンおよびシクロデキストリンなどの多糖から選択されうる。
【0032】
1の実施態様では、組成物は胃腸管の至るところでの吸収に続くタクロリムスの全身バイオアベイラビリティを増強する賦形剤を含む。小腸における吸収に続くタクロリムスの全身バイオアベイラビリティを増強する賦形剤は、PgPポンプ阻害剤を含む排出ポンプ阻害剤、およびシトクロムP450 3A阻害剤を含む代謝阻害剤を含みうる。
【0033】
組成物は、小腸におけるタクロリムスの吸収と関連する全身性副作用を減少させる賦形剤も含みうる。小腸におけるタクロリムスの吸収と関連する全身性副作用を減少させる賦形剤は、クルクミノイド、フラバノイドなど、またはより具体的にはクルクミン、βカロチン、α-トコフェロール、アスコルビン酸もしくはラザロイドを含む抗酸化剤を含みうる。
【0034】
組成物は、24時間を超えて吸収を促進する。
【0035】
組成物は、固形臓器移植拒絶の治療または予防のために;移植片対宿主病の治療または予防のために;胃腸移植片対宿主病の治療または予防のために;炎症性腸疾患の治療または予防において;潰瘍性大腸炎の治療または予防において;クローン病の治療または予防において用いられうる。
【0036】
組成物は、単一経口剤形にて別の医薬品有効成分と組み合わせられうる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、添付する図を参照として、例としてのみ与えられるその実施態様の下記の説明からより明らかに理解されるであろうが、図の説明は下記の通りである。
【0038】
【図1】図1は、非コーティングタクロリムス小カプセルについての溶解特性を示すグラフである;
【図2】図2は、12.5%オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)、次いで25%オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でコーティングされたタクロリムス小カプセルについての溶解特性を示すグラフである;
【図3】図3は、複合タクロリムス小カプセルについての溶解特性を示すグラフである−30%が非コーティング(即時放出)であり、70%が12.5%オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)、次いで25%オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でコーティングされている;
【図4】図4は、15%重量増加オイドラギット(Eudragit(商標))についての15%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)−コーティングタクロリムス小カプセルについての溶解特性を示すグラフである;
【図5】図5は、15%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)/25%重量増加シュアリース(Surlease(登録商標))−コーティングタクロリムス小カプセルについての溶解特性を示すグラフである;
【図6】図6は、15%重量増加可変RS/RLコーティングについての溶解特性を示すグラフである;および
【図7】図7は、本発明の製剤にて用いられる型の液体充填小カプセルの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な記載
本発明は、タクロリムスの1日1回製剤を提供する。組成物は、医薬的に許容しうる担体または賦形剤と組み合わせた、治療的に有効な量のタクロリムスの制御放出を提供する。結果生じる24時間制御放出は、改善された薬物動態特性を可能にし、潜在的により有効で、より安全で、便利な製剤をもたらすであろう。
【0040】
活性医薬品の制御放出は、薬剤が活性型にてその受容体または作用部位と相互作用するように利用可能である場合にのみ真に有用である。薬剤が完全に可溶型ではない場合、その目的の受容体と相互作用をし、またはその目的の作用を発揮する可能性はなさそうである。本発明は、可溶型または易溶型にて形態からのタクロリムスの放出を可能にする薬物送達型である。
【0041】
本発明は、可溶型または易溶型にてタクロリムスの放出を許容するため、特にタクロリムスなどの不十分な水溶性、場合によっては限定的な安定性または短い半減期を有する小分子薬物について真の1日1回の薬物製剤を可能にするが、これは薬物が小腸においてのみならず結腸においても吸収されるためである。
【0042】
本発明は、経口薬物送達技術を提供し、胃腸管全体の至るところに予備可溶化または易溶化薬物の放出を許容し、それと共に制御放出製剤を提供し、小腸、回腸および/または結腸において可溶性タクロリムスの放出および吸収を許容し、多様なバイオアベイラビリティを示した疎水性薬剤である真の1日1回製剤を保証する。
【0043】
移植後臓器拒絶の改善された管理、さらに自己免疫疾患のために、胃腸管全体の至るところにタクロリムスの1日1回の送達を可能にすることに加えて、結腸特異的放出製剤の開発は、結腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病(Chron's disease)、胃腸移植片対宿主病(GI-GVHD)、過敏性腸症候群を含み、これらに限定されない)の増強された治療用の効果的な薬物送達機構として有利であり、それによって高局所濃度が達成され得、一方で上部GITにおける薬物の放出または不要な全身吸収のために起こる副作用を最小化する。
【0044】
即時放出(IR)剤形が定期的な間隔で投与される伝統的な剤形は、典型的にパルス状の血漿特性を生じさせるが、これは摂取の時間と関連し、通常そのような摂取に続く短期間内に生じる。剤形からの放出が急速または「即時型」である場合、連続的な投与時点の間で明らかなトラフまたは低血漿濃度を有する各IR用量の投与後、血漿薬物濃度においてピークが観察される。そのような投与計画(dosage regimes)に起因するパルス状の血漿特性は、薬理学的および治療的効果に影響し得、それによってある種の薬物治療について有益なまたは有害な結果をもたらす。場合によっては、ピーク間の有効成分の血漿濃度の減少は、ウォッシュアウト(wash-out)期間をもたらし、さまざまな型の薬物に対する患者耐性の減少または予防の一因となりうる。パルス状の放出型は、さまざまな薬物について良好であることがわかったが、他の多くはそのような送達システムが有効ではなく、結腸特異的、または低溶解度小分子および生物医薬品を含むある種の薬物クラスの真の1日1回型の開発について特に良好ではない。
【0045】
タクロリムスは、限定的な結腸吸収を示した薬物の一例である。
【0046】
有毒な副作用を予防し、一方で小腸、回腸および結腸を含む胃腸管全体からの吸収を増強する制御放出型が必要である。
【0047】
上記で引用されたタクロリムスの例は製剤化が困難であるとわかり、真の1日1回型は開発が困難であるとわかった。この問題を克服するために、胃腸標的放出と共に、溶解度、透過性および安定性増強のいずれかの態様を組み合わせる可能性を有する増強された送達システムが必要である。
【0048】
さらに、クローン病およびGI-GVHDなどの、小腸を含む胃腸管全体に影響しうる疾患については、限定的な全身吸収を示す予備可溶化タクロリムスの持続放出型が望ましい。
【0049】
タクロリムスは、HIV増殖に必須のT細胞活性化を阻害するため、HIV複製の予防用の予防薬として有用でありうる。ウイルスの複製は宿主T細胞の増殖機能に依存するため、HIV-1、HIV-2および関連レトロウイルス株の特定の場合、T細胞有糸分裂の阻害はウイルスの複製を抑制するであろう。感染に続いて胃腸管内で急速に起こるHIV複製の予防用の予防薬として、本発明における製剤は、単独で、または他の免疫抑制剤および抗レトロウイルス剤、例えばシクロスポリン、ラパマイシン、ピシバニール、ミコフェノール酸、アザチオプリン、プレドニゾロン、シクロホスファミド、ブレキナル、セキニビール(sequinivir)およびレフルノミドであり、これらに限定されないが、これらとの併用療法にて用いられる場合有用であるだろう。ウイルスの複製は宿主T細胞の増殖機能に依存するため、HIV-1、HIV-2および関連レトロウイルス株の特定の場合、T細胞有糸分裂の阻害はウイルスの複製を抑制するであろう。
【0050】
免疫抑制剤として、タクロリムス製剤は、単独または他の有効成分と組み合わせて、免疫介在組織または臓器移植片拒絶の予防用に投与される場合有用である。これらの効果に苦しむ移植組織および臓器の例は、心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、膵臓、小腸(intestinum tenue)、肢、筋肉、神経、十二指腸、小腸(small-bowel)、膵島細胞など;および骨髄移植によって引き起こされた移植片対宿主病である。本発明の製剤による免疫応答の制御は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosis)、高免疫グロブリンE、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、進行性全身性硬化症、重症筋無力症、1型糖尿病、ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎など;さらにHIV(ヒト免疫不全ウイルス)などの病原微生物によって起こる感染症などの自己免疫疾患の治療における有用性も見出すであろう。ウイルスの複製は宿主T細胞の増殖機能に依存するため、HIV-1、HIV-2および関連レトロウイルス株の特定の場合、T細胞有糸分裂の阻害はウイルスの複製を抑制するであろう。
【0051】
本発明の製剤についてのさらなる使用は、単独または他の有効成分と組み合わせて、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎さらに湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎(seborrhoeis dermatitis)、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、血管炎、紅班症、皮膚性好酸球増加症、エリテマトーデス、挫瘡および円形脱毛症などの炎症性および過剰増殖性皮膚疾患、ならびに免疫介在性疾患の皮膚症状;角結膜炎、春季カタル、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐白斑(conical leukoma)、角膜上皮ジストロフィー(dystrophia epithelialis corneae)、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症(Graves' opthalmopathy)、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、多発性骨髄腫などのさまざまな眼疾患(自己免疫やその他);COPD、喘息(例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息および塵埃{じんあい}喘息)、特に慢性または難治性喘息(例えば遅発型喘息および気道過敏症)、気管支炎、アレルギー性鼻炎などの疾患を含む閉塞性気道疾患;胃潰瘍、虚血性疾患によって起こる血管損傷および血栓症などの粘膜および血管の炎症の治療および予防を含む。さらに、内膜平滑筋細胞筋肉過形成、再狭窄および血管閉塞などの過剰増殖性血管疾患、特に生物学的または機械的介在血管傷害に続く過剰増殖性血管疾患は、本発明の化合物によって治療または予防されうる。
【0052】
本発明の製剤について他の治療可能な疾患は、単独または他の有効成分と組み合わせて、虚血性腸疾患;壊死性腸炎、熱傷と関連する腸病変およびロイコトリエンB4介在疾患;セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症などの腸炎症/アレルギー;胃腸管から離れた症候性の症状を有する食物関連アレルギー性疾患(例えば片頭痛、鼻炎および湿疹);間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群および糖尿病性腎障害などの腎疾患;多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発神経炎(polyneuritis)、多発性神経炎(multiple neuritis)、単神経炎および神経根症などの神経疾患;甲状腺機能亢進症およびバセドウ病などの内分泌疾患;赤芽球癆、再生不良性貧血症(aplastic anemia)、再生不良性貧血症(hypoplastic anemia)、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫溶血性貧血症、無顆粒球症、悪性貧血症、巨赤芽球性貧血症および赤血球形成不全などの血液疾患;骨粗鬆症などの骨疾患;サルコイドーシス、肺線維症および特発性間質性肺炎などの呼吸器疾患;皮膚筋炎、尋常性白斑症、尋常性魚鱗癬、光アレルギー性過敏症および皮膚性T細胞リンパ腫などの皮膚疾患;動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎および心筋症などの循環器疾患;強皮症、ウェゲナー肉芽腫症およびシェーグレン症候群などのコラーゲン疾患;脂肪症;好酸球性筋膜炎;歯肉、歯周組織、歯槽骨および歯のセメント質の病変などの歯周疾患;糸球体腎炎などのネフローゼ症候群;脱毛を予防し、もしくは発芽を提供しならびに/または発毛および育毛を促進することによる男性型脱毛症(male pattern aleopecia)または老人性脱毛症;筋ジストロフィー;膿皮症およびセザリー症候群;アジソン病;活性酸素介在疾患、例えば保存、移植または虚血性疾患(例えば、血栓症および心筋梗塞(cardiac infraction))によって起こる臓器(心臓、肝臓、腎臓および消化管など)の虚血再灌流傷害などの臓器傷害、さらに神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、血管性認知症など):エンドトキシンショック、偽膜性大腸炎および薬物または放射線によって起こる大腸炎などの腸疾患;虚血性急性腎不全および慢性腎不全などの腎疾患;肺酸素または薬物(例えば、傍皮質(paracort)およびブレオマイシン)によって起こる中毒症、肺癌および肺気腫などの肺疾患;白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症、老人性黄斑変性症、硝子瘢痕化(vitreal scarring)および角膜アルカリ熱傷などの眼疾患;多形性紅班、線状IgA水疱性(ballous)皮膚炎およびセメント皮膚炎などの皮膚炎;その他歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染(例えば大気汚染)によって起こる疾患、老化、発癌(carcinogenis)、癌の転移および高山病など;ヒスタミンまたはロイコトリエン-C4放出によって起こる疾患;腸管ベーチェット病、血管ベーチェット病または神経ベーチェット病、さらに口腔、皮膚、眼、外陰部、関節、精巣上体、肺、腎臓などに影響するベーチェット病などのベーチェット病を含むであろうが、これらに限定されない。
【0053】
さらに本発明の製剤は、単独または他の有効成分と組み合わせて、免疫原性疾患(例えば自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変および硬化性胆管炎から成る群などの慢性自己免疫肝疾患)、部分肝臓切除、急性肝臓壊死(例えば毒素、ウイルス性肝炎、ショックまたは無酸素によって起こる壊死)、Bウイルス肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変(アルコール性肝硬変など)ならびに劇症肝不全、遅発性肝不全および「急性慢性(acute-on-chronic)」肝不全(慢性肝疾患による急性肝臓不全)などの肝不全などの肝疾患の治療用および予防用に有用であり、それらの有用な活性、例えば化学療法効果の増強(augmention)、サイトメガロウイルス(cytonegalovirus)感染症、特にHCMV(ヒトサイトメガロウイルス感染症の活性の予防または治療、抗炎症活性などのためにさらにさまざまな疾患用に有用である。
【0054】
本発明の製剤は、単独または他の有効成分と組み合わせて、患者の中で免疫抑制を治療するためにワクチンとして用いられうる。疾患からの免疫の獲得用に体内に導入された抗原も免疫抑制剤として作用し、それゆえ抗体が体で生産されず、免疫が獲得されないことが時折見られる。本発明の製剤をワクチンとして体内へ導入することによって、好ましくない免疫抑制を克服し得、免疫を獲得しうる。
【0055】
本発明の製剤は、薬物耐性標的細胞の化学増感における有用性も見出しうる。多剤耐性(MDR)細胞の化学療法剤への感受性を増加させることができるため、タクロリムスはP-糖タンパク質の有効なモジュレーターであると知られ、抗癌薬に結合し、P-糖タンパク質を阻害することによって抗癌薬の作用を阻害する物質である。本発明の製剤は、5-フルオロウラシル、シスプラチン、メトトレキサート、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびアドリアマイシン、コルヒチンおよびビンクリスチンなどの臨床的に有用な抗腫瘍薬に対して現れた耐性を克服するのに同様に有効でありうると考えられる。
【0056】
本発明は、固体形態におけるタクロリムスの製剤を可能にする。経口投与用の液体剤形は、医薬的に許容しうるエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。活性シクロスポリンに加えて、液体剤形は当該技術分野で一般に用いられる不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒など、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラブラフィル(Labrafil(商標))範囲、ラブラフラク(Labrafrac(商標))範囲、ゲルシレ(Gelucire(商標))範囲、油(特に綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、魚油、ニーム油およびゴマ油)、ポリエーテル(特に、ジメチルイソソルビド、ジメチルイソオジド(dimethyl isoodide)およびジメチルイソマンニド(dimethly isomannide)、ならびに1:3〜1:8の多様な比にあるC8-C22脂肪酸のグリセリルモノエステルと、C8-C22脂肪酸のヘキサグリセリルからペンタデカグリセリルモノエステルの混合物などの物質)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などを含みうる。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤などのアジュバントも含みうる。液体製剤は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、ならびにトラガカント、ならびにその混合物を含みうる。
【0057】
本発明は、広範囲の制御放出ポリマーコーティングが適用されることを許容する。コーティング物質は、市販のアクリルベースポリマー、メタクリルベースポリマー、エチルセルロースベースポリマー(オイドラギット(Eudragit(商標))およびシュアリース(Surelease(登録商標))範囲などであるが、これらに限定されない)、さらに他のポリマーと、天然多糖(アミロース、ペクチン、アルギン酸塩、アミロペクチン、キトサン、ガラクトマンナン、グアーガムおよびそのいずれかの誘導体を含み、これらに限定されない)とのいずれかの組み合わせを含み得、どのように、どこで、いつ薬物が内在する、または埋め込まれた固体、半固体または液体形態から放出されるかをカスタマイズする可能性を有する。本明細書にて引用された全ての例において、いずれかの特異的ポリマーはいずれかの他のポリマーと交換され、または組み合わせられ得、想定される好ましい最適な治療結果に従う必要な放出特性を可能にする。
【0058】
膜制御剤形を含むさまざまな実施態様において、ポリマー材料はメタクリル酸コポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、またはその混合物を含む。オイドラギットS(EUDRAGIT(商標)S)およびオイドラギットL(EUDRAGIT(商標)L)(エボニック(Evonik))などのメタクリル酸コポリマーは、本発明の制御放出製剤における使用に適切である。これらのポリマーは、胃耐性で腸溶性のポリマーである。それらのポリマーフィルムは、純水および希酸に不溶である。それらのカルボン酸の含有量に依存して、それらはより高いpHで溶解する。オイドラギットS(EUDRAGIT(商標)S)およびオイドラギットL(EUDRAGIT(商標)L)は、ポリマーコーティングにおける単一成分として、またはいずれかの比での組み合わせにて用いられうる。ポリマーの組み合わせを用いることによって、ポリマー材料はオイドラギットL(EUDRAGIT(商標)L)およびオイドラギットS(EUDRAGIT(商標)S)が別々に可溶なpHの間のpHで溶解性を示しうる。
【0059】
膜コーティングは、少なくとも1つの医薬的に許容しうる水溶性ポリマーの主成分(すなわち、全ポリマー含有量の50%を越える成分)、および任意に少なくとも1つの医薬的に許容しうる水不溶性ポリマーの副成分(すなわち、全ポリマー含有量の50%未満の成分)を含むポリマー材料を含みうる。あるいは、膜コーティングは、少なくとも1つの医薬的に許容しうる水不溶性ポリマーの主成分(すなわち、全ポリマー含有量の50%を越える成分)、および任意に少なくとも1つの医薬的に許容しうる水溶性ポリマーの副成分(すなわち、全ポリマー含有量の50%未満の成分)を含むポリマー材料を含みうる。
【0060】
オイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS)およびオイドラギットRL(EUDRAGIT(商標)RL)(エボニック(Evonik))などのアンモニオメタクリレートコポリマーは、本発明の放出制御製剤における使用に適切である。これらのポリマーは、全生理的pH範囲にわたり、純水、希酸、緩衝液、または消化液に不溶性である。ポリマーは、pHとは無関係に水および消化液の中で膨張する。膨張状態では、それらは水および溶解活性剤に透過性がある。ポリマーの透過性は、ポリマー内でのエチルアクリレート(EA)基、メチルメタクリレート(MMA)基、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド(TAMCl)基の比に依存する。EA:MMA:TAMCl比が1:2:0.2であるそれらのポリマー(オイドラギットRL(EUDRAGIT(商標)RL))は、比が1:2:0.1であるポリマー(オイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS))よりも透過性がある。オイドラギットRL(EUDRAGIT(商標)RL)のポリマーは、高透過性の不溶性ポリマーである。オイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS)のポリマーは、低透過性の不溶性フィルムである。
【0061】
アミノメタクリレートコポリマーは、いずれかの望ましい比にて組み合わせられ得、比は薬物放出の速度を変化させるために変化されうる。例えば、90:10のオイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS):オイドラギットRL(EUDRAGIT(商標)RL)の比が用いられうる。あるいは、オイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS):オイドラギットRL(EUDRAGIT(商標)RL)の比は、約100:0〜約80:20、もしくは約100:0〜約90:10、またはその間のいずれかの比でありうる。そのような製剤では、より透過性がないポリマー、オイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS)は、一般的にポリマー材料の大部分を含むであろうが、より可溶なRLは、溶解すると、ギャップを作ることを許容し、それを通じて溶質はコアに入り得、溶解した医薬有効成分は制御様式にて逃げる。
【0062】
薬物の放出における目的の遅延を達成するために、ポリマー材料内でアミノメタクリレートコポリマーは、メタクリル酸コポリマーと組み合わせられうる。アンモニオメタクリレートコポリマー(例えば、オイドラギットRS(EUDRAGIT(商標)RS))とメタクリル酸コポリマーの比は、約99:1〜約20:80の範囲にて用いられうる。2つの型のポリマーが同一のポリマー材料にも組み合わせられ、またはコアに適用される別々の被膜として提供されうる。
【0063】
オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)は、メタクリル酸、メチルアクリレート、およびメチルメタクリレートから成るアニオン性水性ベースアクリルポリマー分散であり、pH感受性がある。このポリマーは、より少ないカルボキシル基を含み、それゆえより高いpH(> 6.5)で溶解する。そのようなシステムの利点は、従来の粉末重層技術および流動層コーティング技術を用いて合理的な処理時間で大規模に容易に製造されうることである。グプタ(Gupta)らによる研究(Int J Pharm, 213: 83-91, 2001)で、オイドラギットFS 30 D(Eudragit FS 30 D)は、pH 6.5まで薬物放出に抵抗することによって、その結腸送達のための可能性を示し、オイドラギットRL(Eudragit(商標)RL)およびRSの組み合わせは、結腸のpHで5-ASAの持続送達に成功することが証明された。したがって、オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)は単独で、または他の制御放出ポリマーと共に、結腸特異的に小カプセル製剤の送達を可能にする優れた可能性を有する。
【0064】
上記のオイドラギット(EUDRAGIT(商標))ポリマーに加えて、多数の他のそのようなコポリマーが薬物放出を制御するために用いられうる。これらは、オイドラギットNE(EUDRAGIT(商標)NE)およびオイドラギットNM(EUDRAGIT(商標)NM)範囲などのメタクリレートエステルコポリマーを含む。オイドラギット(EUDRAGIT(商標))ポリマーについてのさらなる情報は、「ポリメタクリレートコーティングシステムの化学および適用性(Chemistry and Application Properties of Polymethacrylate Coating Systems)」、医薬剤形のための水性ポリマーコーティング(Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms)、ジェイムズ・マクギニティー(James McGinity)、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker Inc.)、ニューヨーク、pg 109-114に見られる。
【0065】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のいくつかの誘導体も、pH依存溶解度を示す。信越化学工業(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.)は、HPMCを無水フタル酸でエステル化し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)を生産したが、それは上部腸管内で急速に溶解する。HPMCPの、いくつかの型の可塑剤への限定的な適合性のために、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)が開発された。HPMCAS構造におけるイオン化カルボキシル基の存在は、ポリマーが高pHで可溶化する原因となる(LFグレードについては> 5.5、およびHFグレードについては> 6.8)。このポリマーは、さまざまな可塑剤と優れた適合性を示し、水中での再分散用の粉末形態にて、信越化学工業(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から商標名AQOAT(登録商標)で市販されている。
【0066】
シュアリース(Surelease(登録商標))分散は、フィルム形成ポリマー;可塑剤および安定剤の特有の組み合わせである。持続放出および味遮蔽適用のために設計されているため、シュアリース(Surelease)は使い易く、エチルセルロースを放出速度制御ポリマーとして用いる、完全に水性のコーティングシステムである。分散は、相対的にpH非感受性の再現可能な特性を伴う薬物放出速度を調整するための柔軟性を提供する。薬物放出の主要手段は、シュアリース(Surelease)分散膜を通じた拡散により、フィルムの厚さによって直接的に制御される。適用されるシュアリース(Surelease(登録商標))の増加または減少する量は、放出の速度を容易に変化しうる。シュアリース(Surelease)分散については、再現可能な薬物放出特性は、開発からスケールアップおよび生産工程までを通じて一貫して正確である。
【0067】
上記のオイドラギット(EUDRAGIT(商標))およびシュアリース(Surelease(登録商標))ポリマーに加えて、他の腸溶性、またはpH依存性ポリマーが用いられうる。そのようなポリマーは、フタレート基、ブチレート基、スクシネート基、および/またはメリテート基を含みうる。そのようなポリマーは、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースハイドロゲンフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、スターチアセテートフタレート、アミロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、およびポリビニルブチレートフタレートを含み、これらに限定されない。さらに、適合する場合、いずれかのポリマーの組み合わせが混合され得、付加的な制御または標的放出特性を提供する。
【0068】
コーティング膜は、ポリマー材料の透過性を増加させるための少なくとも1つの可溶性賦形剤をさらに含みうる。適切には、少なくとも1つの可溶性賦形剤は可溶性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖、および糖アルコールの中から選択される。そのような可溶性賦形剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートなどの界面活性剤、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸、および酒石酸などの有機酸、デキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトース、およびスクロースなどの糖、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、およびキシリトールなどの糖アルコール、キサンタンゴム、デキストリン、ならびにマルトデキストリンを含み、これらに限定されない。いくつかの実施態様で、ポリビニルピロリドン、マンニトール、および/またはポリエチレングリコールが可溶性賦形剤として用いられうる。ポリマーの全乾燥重量に基づいて、少なくとも1つの可溶性賦形剤が重量で約1%〜約10%の範囲の量にて用いられうる。コーティング工程はいずれかの適切な方法によって行われ得、例えばGLATT、ACCELACOTA、Vector、Diosna、O'Hara、HICOATERなどの穿孔パンシステムまたは他のそのようなコーティング工程装置を用いることによって行われうる。シームレス小カプセルは、米国5,882,680(Freund)に記載されている方法を用いて製造されうるが、その全ての内容を言及することにより本明細書に組み込んでいる。
【0069】
放出における遅延または伸長を作り出すなどの放出の速度の変化は、あらゆる方法で達成されうる。機構は、腸内の局所的pHに依存または独立し得、目的の効果を達成するために局所的酵素活性にも依存しうる。放出制御製剤の例は当該技術分野で周知であり、例えば米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;および第5,733,566号に記載されている。
【0070】
多数の加工剤形が、下記の使用に適切である。そのような型のより詳細な考察は、例えば「医薬制御放出技術のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology)」(D. L. Wise (ed.), Marcel Decker, Inc., New York (2000));そして、「制御薬物送達についての論文:原理、最適化、および適用(Treatise on Controlled Drug Delivery: Fundamentals、Optimization、and Applications)」(A. Kydonieus (ed.), Marcel Decker, Inc., New York, (1992))にも見られ、そのそれぞれの関連のある内容は、この目的のために言及することにより本明細書に組み込んでいる。放出制御製剤の例は、膜調節、マトリックス、浸透圧、およびイオン交換システムを含み、これらに限定されない。上記で示唆したように、これらの全ては、単一ユニットまたは多重ユニット剤形の形態にありうる。
【0071】
膜調節持続放出剤形については、半透過性膜が興味のある有効成分を含む製剤を包囲しうる。半透過性膜は、程度の差はあるが水および溶質の両方に透過性のあるものを含む。この膜は、水不溶性および/または水溶性ポリマーを含み得、pH依存および/またはpH独立溶解度特性を示しうる。これらの型のポリマーは、下記で詳細に記載されている。一般的に、ポリマー膜の特性は、例えば、膜の組成物によって決定されうるが、剤形からの放出の性質を決定するであろう。
【0072】
特に本発明は、放出制御が適切な場合には、コア製剤成分、シェル組成物またはシェルコーティングのいずれか1つに依存する、小カプセルまたは小球の製剤を提供する。小カプセルまたは小球は1以上の異なった溶液の表面張力の利用を通じて生産され得、溶液は特定の直径を有する開口部またはノズルを通じて放出され、特定周波数および重力流にさらされた場合、球形を形成し、冷却空気流に入り、または冷却もしくは硬化溶液および外側シェル溶液に入る場合、ゲル化または凝固する。これはシームレス小球の形成を簡単に記載する。先行技術によると、コア溶液は主に疎水性溶液または懸濁液である。外側シェル溶液は、いずれかのゲル形成剤であり得、通常はゼラチンベースまたはアルギン酸塩ベース(gelatine- or alginate-based based)であるが、制御放出を可能にするポリマーまたは他の物質も含みうる。しかしながら、親水性溶液も中間体溶液の存在と共にカプセル化され得、親水性コア溶液と外側シェルとの直接接触を回避しうる。単一開口部を有するノズルについては、シェル/コア混合懸濁液の小カプセルまたはビーズが処理されうる。2つの開口部(中心および外側)を有するノズルについては、疎水性溶液がカプセルに包まれうる。適切な場合には、コアおよび/またはシェルの両方が、混合または押出に先立って湿式または乾式押出機構によって処理され、融解されまたは流動化された物質または物質合成物から成りうることが可能でありうる。理想的には、薬物含有量および放出一貫性を可能にするために、全ての工程が、相対的に滑らかな面を有し、非常に平らなコーティング層が均一な様式にて加えられるのを促進する極めて均一な形態をもたらすであろうことが好ましい。1以上の開口部を有するノズルで、さまざまな適用のためのシームレス小カプセルは、小カプセル処理装置を用いて処理され得、Freund Spherex、ITAS/Lambo GlobexまたはInotech処理装置によって可能にされるが、これらに限定されない。上記で概要を述べたように、コーティング工程はいずれかの適切な方法によって行われ得、例えばGLATT、Vector、ACCELACOTA、Diosna、O'Haraおよび/またはHICOATER処理装置などの穿孔パンシステムまたは流動化ベースシステムを用いることによって行われうる。
【0073】
結果は、作用中に1以上の有効成分を単峰性、二峰性または多峰性様式にて送達する放出制御組成物である。本発明はさらに、そのような多重小カプセルまたは小球制御放出組成物を含む固体経口剤形、小袋または他の経口送達可能型に関し、さらに二峰性または多峰性様式にて1以上の有効成分を患者に送達するための方法に関する。さらに本発明は、吸収を最大化し、ペイロードに保護を与え、疾患腸組織の治療を最適化し、または経口バイオアベイラビリティを増強するために、胃腸管の特定領域への経口送達製剤の標的放出を許容する。さらに本発明は、疾患治療および疾患管理を改善し、自然な体の概日リズムから恩恵を受けうるために、1以上の医薬有効成分が連続してまたは同時に投与されることを可能にする。本発明は、局所的腸疾患の治療の増強のために、またはペプチドおよびタンパク質などの生物医薬品を含む活性医薬品の吸収を促進するために、医薬有効成分の回腸および結腸への放出も許容する。
【0074】
本発明において、全身バイオアベイラビリティが重大な意味を持つ薬物については、腸管または結腸内腔から血液またはリンパ系への活性剤の輸送が最大化される。薬物の物理化学的特性は広く変化するため、異なった薬物クラスの吸収は、親水性、疎水性から親油性まで、胃腸管に沿って胃から結腸まで通過するに従ってさまざまな範囲まで吸収される。一般に、より親油性の薬物が、親水性の薬物よりも全腸からより容易に吸収される。親油性薬物は不十分な透過性を示すため、それらはしばしばマイクロエマルションまたは他のエマルションとして製剤化され、胆汁酸塩との相互作用を許容し、小腸において吸収を増強する。親水性腸透過性を増強するために、さまざまな方法が採用されてきたが、それは活性剤により脂質様の性質を与え、小腸透過性の増強、およびそれによる全身バイオアベイラビリティの増強を許容する脂質ベース共役の開発を含む。潜在的適用は、リンパ系における標的転移性癌細胞に対する抗癌剤、ワクチン、免疫賦活剤を含む免疫モジュレーターを含み、これらに限定されないが、免疫賦活剤は肝臓において広範囲な初回通過効果を経る薬物であり、短腸を有する患者において活性医薬の相対的半減期を増強し、無傷の小腸には吸収は限定的である。小腸を通じてのみ全身的に吸収される限定的な半減期を有する小分子の吸収が必要である場合、制御放出フローティングシステムの開発は、システムはこの場合には制御放出多重小カプセルであるが、胃環境において浮揚性であり、本発明によって可能にされうる。
【0075】
本発明は、薬物送達の観点から大部分は見落とされてきた結腸における薬物送達に関する。主に、電解質バランスを調節し、複合糖質構造をさらに分解するために発達しているため、結腸内腔から体内への有意な水の流れがある。その上、結腸には複合糖質を分解する天然細菌叢が存在し、有効な排出を保証し、必要性の高い繊維およびいくつかの栄養吸収を提供する。結腸に生息するタンパク質分解酵素および他の酵素の濃度がかなり低い場合、タンパク質およびペプチド、さらに炭水化物および核酸などの他の生体物質にとってそれはさらにより良性の環境である。薬物送達の観点から、結腸は数多くの興味深い可能性を示す:細菌は酸分解、さらにpH差に耐性がある制御放出コーティングを分解するために利用されうる;良性の環境は、生物医薬品を含む活性医薬が、局所的に結腸に放出される場合に、分解される可能性を低くすることを保証する;ほとんど連続的な結腸内腔から血流への液体の流れが、親水性物質を腸から内腔へ輸送するために利用されうる。最終的に、10〜20時間の範囲の結腸における長い通過時間は、より良い居住地ならびに結腸粘液および上皮細胞との相互作用の可能性を提供し、吸収の増強をもたらす。
【0076】
技術的に、本発明は基本的1層または多層小カプセル、調節コア、シェルまたはコーティングのさまざまな変化に基づいており、薬物または他の活性もしくは不活性物質の溶解度および透過性の増強を許容し、さまざまな型の腸管、粘膜または全身分解に感受性のある薬物または物質に保護を与え、治療的活性または不活性物質の予め決定した胃腸管の領域への標的放出を許容する。
【0077】
上記小カプセル加工に加えて、本発明は小カプセルまたは小球の粘膜接着剤または生体接着剤でのコーティングを提供し、脆弱なペイロードの放出に先立って、それらが最初に粘膜に接着することを保証するであろう。可能な利点は、活性物質のさらなる保護のみならず、吸収部位の近位での有効成分の放出を含む。吸収は部分的に、有効成分にさらされた表面領域、さらに腸管腔側から腸管底側への濃度勾配と関連するため、より高い局所的であるが分散した濃度は、親水性薬物のみならず、親油性または疎水性薬物の吸収の増強も保証する、より大きな可能性を有する。
【0078】
疎水性および親油性薬物の有効な結腸送達に対する障害は、結腸が食糧および他の物質を可溶化するように進化しなかった一方で、むしろ電解質バランスを保証し、繊維分解および発酵を最大化するように進化したことである。結腸は、親水性物質が非常に浸透しやすいままである。予備可溶化型または易溶型にて疎水性または親油性薬物を結腸に送達し、それらを結腸において放出することによって、吸収の可能性が有意に増強される。本発明は、液体または加水分解性半固体もしくは固体にある予備可溶化または易溶薬物の小カプセルコアへのカプセル化、次いでシェルが腸管もしくは結腸制御放出ポリマーを含むための調節、または同じものでシェルをコーティングすることを許容する。結果、最大治療有効性または全身吸収のために、最適化された製剤が腸管に沿った特定部位で放出される。
【0079】
同様に、水性環境または細菌リッチ環境にて容易に分解される製剤の送達は、結腸特異的制御放出ポリマーでコーティングされ、または細菌によって分解される物質を含む場合、感受性物質を胃環境または腸管環境から保護する可能性を有し、さらにそれらが結腸において無傷で放出され、一度遊離すると容易に吸収されるであろうことを保証する。酸化還元感受性ポリマーベースマトリックス、ペクチンベースマトリックス、アルギン酸塩ベースマトリックス、キトサンベースマトリックスもしくは他の細菌感受性ポリマーベースマトリックス、コーティングまたは他の持続放出製剤、液体、半固体もしくは固体は、1層もしくは多層小カプセルに包まれ得、または1層もしくは多層小カプセル上にコーティングされうる。
【0080】
本発明の製剤は、多重ユニットまたは単一ユニット製剤として存在しうる。本明細書で用いられている「多重ユニット」という用語は、例えばサイズ、形状、または形態を問わず、分離もしくは凝集した小カプセル、小球、粒子、ビーズ、ペレット、顆粒、錠剤、またはその混合物が複数あることを意味する。単一ユニット製剤は、例えば錠剤、硬ゼラチンカプセル、カプレット、および丸剤を含む。
【0081】
本発明の方法および製剤は、放出制御および即時放出特性を示す成分の全ての可能な組み合わせを含むことを意図する。例えば、本発明の製剤および/または方法は、持続放出および即時放出特性、遅延放出および即時放出特性の両方、もしくは持続放出および遅延放出特性の両方、または3つ全ての特性の組み合わせを示す成分を含みうる。例えば、即時放出および持続放出成分の両方を含む多重小カプセルまたは多重小球製剤は、カプセル内にて組み合わせられ得、次いで腸溶性コーティングでコーティングされ、遅延放出効果を提供する。または、例えば、遅延および持続放出カプレットはカプレット内にて結合剤と結合した複数の分離した持続放出粒子を含み得、腸溶性コーティングでコーティングされ、溶解の遅延を作り出す。
【0082】
本明細書で用いられている「放出制御」製剤または剤形という用語は、製剤から薬物の目的の放出を達成する医薬品を含む。放出制御製剤は、有効成分が目的の標的にさらされる様式を変化させるように設計されうる。例えば放出制御製剤は、活性剤の送達を完全に遠位大腸に集中させるように設計され得、盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、および下行結腸と続き、S状結腸で終わる。あるいは、例えば放出制御組成物は、薬物の送達を近位小腸に集中させるように設計され得、十二指腸から始まり、回腸で終わる。さらに他の例では、放出制御製剤は活性剤を空腸にて放出し始め、それらの放出を横行結腸または直腸にて終了するように設計されうる。可能性および組み合わせは多数であり、明らかにこれらの例に限定されない。
【0083】
「放出制御」という用語は、「持続放出」および「遅延放出」製剤、さらに持続放出および遅延放出特性の両方を有する製剤を含む。「持続放出」製剤は、薬物が放出され、または目的部位を標的とする期間を伸ばしうる。「遅延放出」製剤は、特定期間、医薬活性化合物の放出を遅延させるように設計されうる。そのような製剤は、本明細書では「遅延放出」もしくは「遅発性」製剤または剤形と呼ばれる。本発明の放出制御製剤は、遅延および持続放出の両方を示す製剤、例えば一定期間後または物理化学的変化が生じた後にのみ放出し始め、例えば次いで長期間にわたって放出し続ける製剤を含む。
【0084】
本明細書で用いられている「即時放出製剤」という用語は、約50%を超える有効成分が約2時間未満内に剤形から放出される製剤を記載することを意味する。そのような製剤も、本明細書では「従来の製剤」と呼ばれる。
【0085】
本明細書で用いられている「周囲のpHから独立した薬物放出特性」という語句は、非腸溶性またはその透過および溶解度特性が環境の、すなわち外部のpHで変化しないポリマーシステムを含む薬物組成物を効果的に意味する。すなわち、溶解などの放出特性を有する薬物組成物は、実質的にpHによって影響されず、また環境のpH変化に関係しない。これは、放出特性が環境のpHに従って変化するpH依存の放出特性と比較される。
【0086】
ある種の中鎖および長鎖脂肪酸が腸管上皮効果を発揮し、本来であれば不透過性であるかまたは限定的な透過性を示しうる物質に対する腸管膜の透過性の増加をもたらすことが知られている。中鎖トリグリセリドはカプリン酸ナトリウムを含み、これに限定されないが、回腸または結腸におけるよりも小腸において吸収を大幅に増強する(結果は添付した)。イン・サイチュでラット腸係蹄からのインスリン吸収について、長鎖多価不飽和脂肪酸、主にエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の効果を調べる研究において、スズキ(Suzuki)らはEPAおよびDHAの両方は、インスリン吸収を強力に増強し、直腸および結腸の投与後に低血糖を誘発することを示した。腸管粘膜の構造においてDHAは肉眼での形態変化を誘発しなかった(Suzuki et al, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol 87, 10: Pgs. 1196-1202); 1998)。したがって、中鎖トリグリセリドは腸透過性を増強する一方で、DHAは上皮細胞にいかなる深刻な損傷を誘発することなくインスリンならびにおそらくペプチドおよびタンパク質を含む他の高分子の腸管吸収を促進する可能な方法であることは明らかである。不十分な透過性を有する物質と中鎖または長鎖脂肪酸との組み合わせおよび腸または結腸の局所領域への標的送達は、本来であれば不十分な透過性しかない物質の吸収を増強する可能性を有する。本発明は物質のカプセル化を通じてそのような送達を可能にしようとするが、物質はゼラチン、ペクチン、アルギン酸塩またはキトサンの1つまたは混合物を含み、これらに限定されないゲル化剤を用いて多価不飽和脂肪酸と共に製剤化され、付加的な結腸特異的コーティングを有し、または有さない。
【0087】
したがって、本発明の主な利点は、結腸からの吸収のための結腸送達の増強または罹患腸組織および結腸組織の治療に関する一方で、本発明は本来であれば結腸において可溶性ではないであろう疎水性および親油性薬物の持続吸収の開発も許容する。さらには、本発明は新規の併用療法、さらに異なった時点で放出される1または多数の薬物を含む独創的な時間治療の開発も促進する。
【0088】
腸疾患
胃腸疾患は、重大な世界的健康問題を引き起こす。炎症性腸疾患は、その属がクローン病および潰瘍性大腸炎を含むさまざまな疾患を含むが、アメリカ合衆国内で毎年ほぼ100万の人々に影響する。2つの最も一般的な腸の炎症疾患、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)は、まとめて炎症性腸疾患(IBD)として知られる。これらの疾患は、近位腸(胃および上部小腸)よりむしろ遠位腸(下部小腸、大腸、および直腸)の疾患である。2つの中で、潰瘍性大腸炎は主に結腸に影響し、一方でクローン病はむしろ遠位小腸に影響する。
【0089】
標的放出/持続吸収の増強/副作用の減少
タクロリムスは異なった胃腸管の領域から異なって吸収され、小腸から最適に吸収され、回腸および結腸については吸収効率が小腸について観察されたよりも半減する。また、食物効果が観察される。胃腸管からの吸収後、薬物効果が従来のIR錠剤の経口投与後8〜12時間持続する。総投与量は典型的には1日当たり2.5〜10 mgの範囲内であるが、例外的な場合には20 mg/日に上昇する。従来の投与計画(dosage regimes)下では、タクロリムスは1日2回与えられ、典型的には第1の用量が朝食前に与えられ、第2の用量が夕方前に与えられる。有害作用は、小腸からの最初の急速吸収のために、上記の治療的血漿濃度をもたらすが、これは免疫抑制のために、腎毒性および患者感染の発生を含むタクロリムス治療と関連する。有毒な副作用を予防する一方で、回腸および結腸からの吸収を増強する制御放出型が必要である。タクロリムスを小カプセル型に製剤化することは、そのコアは予備可溶化であるが、結腸からのタクロリムスの吸収を増強する可能性を有する。また、持続放出型の開発を通じて、コア製剤を加工して持続放出を可能にするか、または表面を持続放出ポリマーでコーティングすることを通じて、ピーク血漿薬物濃度を減少させ、それによって腎毒性、神経毒性および過剰な免疫抑制を含む潜在的な用量関連副作用を減少させるであろう。
【0090】
炎症性腸疾患(IBD)
それらは異なったIBD疾患であるが、UCおよびCDの両方を治療するために同一の薬物が一般に用いられる。それらの治療にて一般に用いられる薬物は、ステロイド(例えば、ブデソニドおよび他のコルチコステロイド、ならびにプレドニゾンおよびヒドロコルチゾンなどの副腎ステロイド);インターロイキン-10などのサイトカイン;抗生物質;アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、シクロスポリンなどの免疫調節剤、ならびに抗腫瘍壊死因子(TNF)剤、例えばTNFに対して産生される可溶性TNF受容体および抗体;さらに、亜鉛などの抗炎症剤を含む。IBD用に最も一般的に処方される薬剤は、スルファサラジン(サリチル-アゾ-スルファピリジン、または「SASP」)およびメサラジンを含む関連5-アミノサリチル酸(「5-ASA」)製剤を含む。
【0091】
回腸(小腸の最も遠い部分)の炎症のためにクローン病は回腸炎(iletis)として知られる。小腸および大腸の両方が関係する場合、疾患はクローン腸炎(または回結腸炎)と呼ばれる。他の記述的な用語は、同様に用いられうる。診断は、一般にX線または結腸内視鏡検査によってなされる。治療は、抗炎症剤、免疫抑制剤、または抗生物質の薬物療法を含む。重症の場合には、外科手術が必要となりうる。クローン病は、世界中で盛んに研究されている分野であり、罹患患者の生命を改善することを約束する新たな治療法が研究されている。
【0092】
胃腸移植片対宿主病(GI-GVHD)
GI GVHDは生命にかかわる疾患であり、骨髄および幹細胞移植の失敗の最も一般的な原因の1つである。これらの治療は、白血病患者および他の癌患者を治療し、残存疾患を除去し、再発の可能性を減少させるためにますます用いられている。患者の体が臓器を拒絶しうる固形臓器移植と異なり、GVHDにおいてはドナー細胞が患者の体、最も頻繁には腸、肝臓および皮膚を攻撃し始める。軽度から中等度のGI GVHD患者は、典型的に食欲不振、吐き気、嘔吐および下痢の症状にかかる。治療しないまま放置すると、GI GVHDは胃腸管の内層における潰瘍に進行し得、その最も重症型では、致死的になりうる。プレドニゾンなどの全身免疫抑制剤は、GI GVHD用の現在の標準的な治療薬であるが、感染症および衰弱のために高死亡率と関連する。さらに、これらの薬物は米国または欧州連合においてGI GVHDの治療用に認可されておらず、むしろこの適応症用の試験的治療として適応外のものが用いられる。
【0093】
本発明は、タクロリムスの結腸への結腸標的放出を許容し、新規の経口、局所作用能動的療法であり、GI GVHDを予防し、制御するために現在用いられているプレドニゾンなどの全身免疫抑制薬物の必要性を減少させるであろう。プレドニゾンなどの薬物は、患者の免疫系を弱める不要で潜在的に危険な副作用を有し、日和見感染症に感受性にし、さらに骨髄および幹細胞移植の意図する抗癌効果を実質的に阻害する。結腸標的タクロリムス療法は、全身免疫抑制薬物の必要性を減少させるように設計され、それによって骨髄および幹細胞移植の結果を改善する。
【0094】
タクロリムスは、適応内であろうと適応外であろうと、IBD用の一般的治療薬として認識され、この目的用に広く用いられている。しかしながら、タクロリムス療法は、下記で詳細を述べる副作用を含む問題を提示し続けうる。さらに、両方ともに最大ではないが半減期および有効性特性を示し、高用量および1日複数回用量、より低い応答および緩解率、ならびにより高い再発率に反映され、その作用部位および作用機構ならびに遠位腸の細胞への送達の効率に関連する。小腸からの広範囲なタクロリムス吸収は、治療効果の部位および好ましい送達部位である腸内の遠位部位でのその利用を減少させ、それによって高用量が投与されることを必要とする。理想的には、化合物は未変化の形態にて遠位腸(回腸および/または結腸)に到達すべきであり、そこからの親化合物として体循環に吸収されるべきではない。親化合物としての近位および/または遠位部位からの体循環への吸収は、吸収薬物およびその全身作用と関連する副作用をもたらす。現存するタクロリムスの経口剤形、すなわち軟ゼラチンカプセルまたは硬ゼラチンカプセルは、制御放出または回腸/結腸標的放出に適さない。
【0095】
全身性副作用および高用量を頻繁に投与する必要性を克服するために、本発明は、第1にタクロリムスを可溶化製剤として製剤化し、ゲル化剤でカプセル化し、小カプセルを生産することを提案する。カプセル化剤は制御放出ポリマーを含み得、回腸または結腸においてのみ放出し、またはポリマーもしくは同一の結果をもたらす他のコーティングでコーティングされうる。利点は数倍あり、以下を含む:腎毒性を含む用量関連毒性をもたらすことが知られている活性タクロリムスの全身吸収を減少させ、可溶型にて十分な用量のタクロリムスを放出し、さらに結腸の至るところにタクロリムスが広域分布する。さらに、粘膜付着剤をカプセル化シェルに組み込み、またはカプセル化シェルを粘膜付着剤でコーティングすることは、疾患組織の近位に有効成分を放出するのに先立って小カプセルが結腸粘液層と接触することを保証しうる。ある種のクローン病サブグループについては、小腸を含む胃腸管の至るところでの放出を可能にすることが必要とされうる。同様にGI-GVHDについては、小腸から結腸まで胃腸管全体の至るところで持続放出を有することが有益でありうる。
【0096】
本発明は、少なくとも1つのタクロリムス含有小カプセルの集合であって、患者に投与した際、胃腸管全体の至るところに、または胃腸管に沿って予め特定した領域で単峰性の、二峰性のまたは多峰性の放出特性を示すタクロリムス含有小カプセルの集合を含む多重小カプセル放出制御組成物を提供する。
【0097】
多重小カプセルまたは小球放出制御組成物は、少なくとも2つのタクロリムス含有小カプセルの集合であって、患者に投与した際、二峰性のまたは多峰性の放出特性を示し、治療的に有効な薬物動態パラメータの範囲内で血漿特性をもたらすタクロリムス含有小カプセルの集合を含みうる。
【0098】
1の場合では、本発明は少なくとも2つのタクロリムス含有小カプセルの集合であって、患者に投与した際、パルス状の放出特性を示すタクロリムス含有小カプセルの集合を含む、多重小カプセル放出制御組成物を提供する。
【0099】
別の場合では、本発明は少なくとも2つのタクロリムス小カプセルの集合であって、患者に投与した際、パルス状の血漿特性をもたらすタクロリムス小カプセルの集合を含む多重小カプセル放出制御組成物を提供する。
【0100】
本発明は、少なくとも2つの有効成分含有小カプセルの集合であって、患者に投与した際、少なくとも剤形の投与によって生じた血漿特性と実質的に同様の血漿特性、1の即時放出および他の持続放出が連続して与えられる血漿特性を生じる有効成分含有小カプセルの集合を含む、多重小カプセル放出制御組成物も提供する。
【0101】
1の場合では、本発明は多重小カプセル放出制御組成物を提供し、それによってタクロリムスは回腸または結腸にて放出され、そこでは有効成分は吸収されないが、局所的に活性でありうる。
【0102】
本発明において、小カプセルコア組成物は液体形態にある賦形剤を含み得、シェルもしくはコーティングと共に、または独立して制御放出または持続放出を許容する。そのような形態は、さまざまな温度調節脂質ベース、ワックス状賦形剤を含み得、ガッテフォッセ(Gattefosse)社ゲルシレ(Gelucire(登録商標))範囲の飽和トリグリセリドまたはサソル(Sasol)社ウィテプソル(Witepsol(登録商標))範囲の飽和トリグリセリドを含み、これらに限定されないが、これらは胃腸環境にさらされた場合にかなりの持続放出を示す。
【0103】
小カプセルコア組成物は、半液体または固体形態にある賦形剤を含み得、シェルもしくはコーティングと共に、または独立して制御放出または持続放出を許容し、またはコアは全小カプセルもしくは小球を含む。
【0104】
医薬的に許容しうる賦形剤は、担体、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤(humectants)、崩壊剤、溶液遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤(wetting agents)、吸収剤、潤滑剤、安定剤、着色剤、緩衝剤、分散剤、防腐剤、有機酸、および有機塩基から選択されうる。
【0105】
本発明の放出制御組成物は、即時放出コアおよび半透過性膜を含みうる。いくつかの実施態様で、本発明の放出制御組成物は放出制御半固体コアおよび半透過性膜を含みうる。
【0106】
本発明は、本来であれば容易に小腸において吸収されるが限定的な結腸吸収を示す薬物の持続放出も提供するが、これは薬物または他の物質が予備可溶化された製剤の標的放出を通じて可能となる。そのような薬物の例は、タクロリムスを含む。
【0107】
腎毒性を減少させ、炎症性腸疾患の治療における有効性を増加させ、または糖尿病関連腎臓障害の治療における有効性を増強するために、本発明は、クルクミンなどでこれに限定されないクルクミノイドなどで、これに限定されない抗酸化剤または核内因子κB阻害剤と組み合わせた持続放出タクロリムスの開発も許容する。
【0108】
移植後治療の管理を増強するために、本発明はミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate motefil)および/または他の免疫モジュレーターと組み合わせた、持続放出タクロリムス、シロリムス、シクロスポリンもしくはその誘導体の開発も許容する。
【0109】
本発明は、1用量のタクロリムス、またはその医薬的に許容しうる塩、エステルおよびプロドラッグ、ならびに少なくとも1つの医薬的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む炎症性腸疾患の治療方法も含む。そのような製剤は、回腸および/または結腸における放出を保証するために優先的に開発される。
【0110】
本発明のさらに別の実施態様は、タクロリムスおよびクルクミンなどでこれに限定されないクルクミノイドを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与し、回腸または結腸を標的とするそれらの放出を伴うことを含む炎症性腸疾患の治療方法に関する。
【0111】
本発明の別の実施態様は、ニーム油、アロエベラならびにEPA、DHAおよびCLAを含むオメガ範囲の多価不飽和油などの精油を含む天然植物抽出物、海洋抽出物または他の抽出物であって、ベリー抽出物、トリパラ(tripala)、ウコン(tumeric)、リスベラトロール、レゾルシノール脂質/フェノール性脂質、フラバノイドおよびそのいずれかの天然または合成誘導体などでこれらに限定されない植物抽出物を有し、または有さない天然植物抽出物、海洋抽出物または他の抽出物の送達と組み合わせた持続放出タクロリムスの開発に関する。
【0112】
本発明の別の実施態様は、胃腸管に沿ってどこにでも放出される上記の例のいずれかの組み合わせを含む医薬組成物に関する。
【0113】
本発明の別の実施態様は、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストリンまたはその変形などの担体を有し、それらの胃腸管に沿った特定部位への放出を標的とする薬物の非共有結合性形態(non-covalent complexion)に関する。
【0114】
本発明のさらなる実施態様は、共役薬物を含む製剤の標的胃腸放出であるが、共役は全身血管系またはリンパ血管系への吸収を予防するが、局所的腸管治療効果を保持する。
【0115】
本発明のさらなる実施態様は、難溶性の有効成分を含む製剤の標的胃腸放出であるが、難溶性の有効成分は特に賦形剤、ドデカン酸ナトリウム(C12)、カプリン酸ナトリウム(C10)および/またはパルミチン酸ナトリウム(C16)などでこれらに限定されない透過増強剤と共に製剤化された小分子および生物医薬品を含む。
【0116】
本発明において、臓器移植片拒絶用の治療の開発において、医薬品有効成分は互換的であり、タクロリムスのいずれか1つまたはEPA、DHA、天然植物抽出物、天然海洋抽出物もしくはsiRNAコンストラクトを含みうる他の生体物質および有効成分のいずれか1つとの組み合わせを含む。
【0117】
本発明において、炎症性腸疾患用の治療の開発において、医薬品有効成分は互換的であり、タクロリムスのいずれか1つまたはEPA、DHA、天然植物抽出物、天然海洋抽出物もしくはsiRNAコンストラクトを含みうる他の生体物質および有効成分のいずれか1つとの組み合わせを含む。
【0118】
本発明において、移植片対宿主病用の治療の開発において、医薬品有効成分は互換的であり、タクロリムスのいずれか1つまたはEPA、DHA、天然植物抽出物、天然海洋抽出物もしくはsiRNAコンストラクトを含みうる他の生体物質および有効成分のいずれか1つとの組み合わせを含む。
【0119】
本発明において、抗原、アジュバント、エマルション、油、および小分子を含む免疫調節物質は互換的であり、siRNAコンストラクトを含みうるワクチン、経口免疫寛容モジュレーターおよびアレルゲンモジュレーターの開発用に利用されうる。
【0120】
本発明は、1以上の層を含み、従来のシームレス小カプセル工程、改変した溶融押出、ノンパレイルコーティング、ノンパレイル薬物重層または目的剤形の生産を可能にする他の工程を用いて生産される固体小カプセル、半固体小カプセルまたは液体充填小カプセルの開発を許容する。
【0121】
本発明は、本発明の多重小カプセル放出制御組成物を含む固体経口剤形を提供し、前述の小カプセルは1層または多層である。2層の場合、小カプセルは制御放出ポリマーもしくは他のコーティングを有するゲル化剤から成るシェル、または制御放出ポリマーもしくは他の物質から成るシェルを有する。
【0122】
本発明は、小児、高齢者または嚥下障害を患う他の患者集合への簡便な投与用の、本発明の多重小カプセル放出制御組成物を含む小袋型も提供する。
【0123】
本発明は、下記の実施例からより明らかに理解されるであろう。
【0124】
実施例
図7は、制御放出ポリマーコーティングを有する液体充填小カプセルを図示する。この型は、適切なゲル化剤Cを用いてカプセル化された有効成分Lを含み、さらにコーティングされ得、胃腸管に沿って制御放出または標的放出を許容する。有効成分は、増強された可溶化型または透過型にある。空白の矢印は、薬物分子Mの外部媒体への放出を表すが、そこでは放出された際、完全に可溶である;
【実施例1】
【0125】
実施例1 1日1回タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した。タクロリムスを適切な容量のエタノールに溶解した。一度溶解すると、溶液を適切なラブラフィル(Labrafil)およびオリーブ油の混合液と混合した。シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、コア製剤はある程度の持続放出を可能にする。
【0126】
【表1】

第1表:1日1回タクロリムス
【実施例2】
【0127】
実施例2
実施例1の非コーティング小カプセルからのタクロリムス放出:図1の溶解特性は、全小カプセル容量のパーセンテージとして表した下記の小カプセルからのタクロリムスの放出を示す:1時間以内で55%未満である;4時間以内で80%未満である;12時間以内で90%未満であり、24時間で100%以下である。
【実施例3】
【0128】
実施例3
12.5%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)、次いで25%重量増加オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でコーティングされた実施例1の小カプセルからのタクロリムス放出:図2の溶解特性は、全小カプセル容量のパーセンテージとして表した下記の小カプセルからのタクロリムスの放出を示す:1時間以内で10%未満である;4時間以内で30%未満である;12時間以内で75%未満であり、24時間で100%以下である。これは1日1回の全身吸収製剤または回腸/結腸特異的製剤のいずれかに適している。
【実施例4】
【0129】
実施例4
30%(効力による)の非コーティングおよび70%(効力による)の12.5%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)、次いで25%重量増加オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)コーティングを含む、実施例1の小カプセルの混成からのタクロリムス放出:図3の溶解特性は、全小カプセル容量のパーセンテージとして表した下記の小カプセルからのタクロリムスの放出を示す:1時間以内で20%未満である;4時間以内で35%未満である;12時間以内で65%未満であり、24時間で100%以下である。
【実施例5】
【0130】
実施例5
15%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)でコーティングされた実施例1の小カプセルからのタクロリムス放出:図4の溶解特性は、全小カプセル容量のパーセンテージとして表した下記の小カプセルからのタクロリムスの放出を示す:1時間以内で30%未満である;4時間以内で50%未満である;12時間以内で85%未満であり、24時間で100%以下である。
【実施例6】
【0131】
実施例6
15%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)、次いで25%重量増加オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でコーティングされた実施例1の小カプセルからのタクロリムス放出:図5の溶解特性は、全小カプセル容量のパーセンテージとして表した下記の小カプセルからのタクロリムスの放出を示す:1時間以内で10%未満である;4時間以内で30%未満である;12時間以内で75%未満であり、24時間で100%以下である。これは1日1回の全身吸収製剤または、特に回腸/結腸特異的製剤のいずれかに適している。
【実施例7】
【0132】
実施例7
オイドラギットRS(Eudragit(商標)RS)およびオイドラギットRL(Eudragit(商標)RL)の下記の比での組み合わせでコーティングされた、実施例1の小カプセルからのタクロリムス放出−90:10、95:05および50:50:図6の溶解特性は、全小カプセル容量のパーセンテージとして表した下記の小カプセルからのタクロリムスの放出を示す:1時間以内で20%を越え、50%未満である;4時間以内で35%を越え、60%未満である;12時間以内で65%を越え、90%未満であり、24時間で90%を越える。
【実施例8】
【0133】
実施例8 1日1回タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した:タクロリムスを適切な容量のゲルシレ33/01(Gelcuire 33/01)に加え、加熱し、溶解するまで撹拌した。一度溶解すると、溶液を適切な容量のオリーブ油と混合した。
シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。
小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、コア製剤は本質的に持続放出である。
【0134】
【表2】

第2表:1日1回タクロリムス
95:5の比のオイドラギットRS(Eudragit(商標)RS):オイドラギットRL(Eudragit(商標)RL)を含む持続放出コーティング。組み合わせは、95:5オイドラギットRS:RL(Eudragit(商標))を含み、さらにオイドラギットFS30D(Eudragit FS30D)でコーティングされている。
【実施例9】
【0135】
実施例9 1日1回タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した:タクロリムスを適切な容量のゲルシレ44/01(Gelcuire 44/01)に加え、加熱し、溶解するまで撹拌した。一度溶解すると、溶液を適切な容量の魚油と混合した。
シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。
小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、コア製剤は本質的に持続放出である。
【0136】
【表3】

第3表:1日1回タクロリムス
タクロリムスは非コーティング小カプセルから次のように放出される:4時間以内に50%が放出される;12時間以内に100%が放出される。1日1回製剤を可能にするために、小カプセルは持続放出ポリマー、または結腸特異的ポリマーおよび持続放出ポリマーの組み合わせのいずれかでコーティングされるであろう。持続放出コーティングは、シュアリース(Surelease(登録商標))を含み、コーティング溶液内に高分子量または低分子量ペクチンを含み、または含まず、小カプセルをpH感受性オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でさらにコーティングし、またはしない。
【実施例10】
【0137】
実施例10 回腸および結腸特異的タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した。タクロリムスを適切な容量のエタノールに溶解した。一度溶解すると、溶液を適切なラブラフィル(Labrafil)およびオリーブ油の混合液と混合した。シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、ある程度の標的および/または放出を可能にするために、コア製剤は回腸および/または結腸特異的放出ポリマーコーティングの付加を含む。
【0138】
【表4】

第4表:回腸および結腸特異的タクロリムス
回腸および結腸特異的製剤を可能にするために、小カプセルを持続放出ポリマー、または結腸特異的ポリマーおよび持続放出ポリマーの組み合わせのいずれかでコーティングする。持続放出コーティングは、12.5%重量増加オイドラギットRS30D(Eudragit(商標)RS30D)、次いで25%重量増加オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でコーティングされた小カプセルを含む。
【実施例11】
【0139】
実施例11:回腸および結腸特異的タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した。タクロリムスを適切な容量のエタノールに溶解した。一度溶解すると、溶液をラブラフィル(Labrafil)およびニーム油の適切な混合液と混合した。シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、コア製剤はある程度の持続放出を可能にする。
【0140】
【表5】

第5表:回腸および結腸特異的タクロリムス
回腸および結腸特異的製剤を可能にするために、小カプセルは持続放出ポリマー、または結腸特異的ポリマーおよび持続放出ポリマーの組み合わせのいずれかでコーティングされうる。
【実施例12】
【0141】
実施例12:回腸および結腸特異的タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した。タクロリムスを適切な容量のエタノールに溶解した。一度溶解すると、溶液をラブラフィル(Labrafil)および魚油の適切な混合液と混合した。シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、コア製剤はある程度の持続放出を可能にする。
【0142】
【表6】

第6表:回腸および結腸特異的タクロリムス
回腸および結腸特異的製剤を可能にするために、小カプセルは30%重量増加を有する2:1 w/wの比のシュアリース(Surelease(登録商標))およびUSPペクチンの組み合わせとしての持続放出ポリマーのいずれかでコーティングされうる。
【実施例13】
【0143】
実施例13:回腸および結腸特異的タクロリムス
コア製剤は、次のように調製した。ポリエチレングリコール400、モノオレイン酸グリセリルおよびモノオレイン酸デカグリセリルを溶液中、50℃で混合した。タクロリムスを、プロピレングリコールおよびリノール酸トコフェロールと共に加え、混合物を溶解するまで不活性ガスブランケット下で撹拌した。シェル溶液は、次のように調製した:適切な量のゼラチンおよびソルビトールを水に加え、溶液内で70℃まで加熱した。小カプセルはスフェレックス・ラボ(Spherex Labo)を用いて調製し、2層小カプセルを生産したが、そのコアは増強された可溶化製剤および透過性製剤のタクロリムスを含む。その上、コア製剤はある程度の持続放出を可能にする。
【0144】
【表7】

第7表:回腸および結腸特異的タクロリムス
回腸および結腸特異的製剤を可能にするために、小カプセルは30%重量増加を有する2:1 w/wの比のシュアリース(Surelease(登録商標))およびUSPペクチンの組み合わせとしての持続放出ポリマーのいずれかでコーティングされうる。
【0145】
実施例13−コーティング
下記の選択肢が開発され、検査された:
オイドラギットRS(Eudragit(商標)RS)−タクロリムス含有小カプセルをオイドラギットRS(Eudragit(商標)RS)でコーティングし、オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でさらにコーティングし、またはしなかった。
【0146】
シュアリース(Surelease(登録商標))−タクロリムス含有小カプセルをシュアリース(Surelease(登録商標))でコーティングし、オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でさらにコーティングし、またはしなかった。
【0147】
シュアリース(Surelease(登録商標))およびペクチン−タクロリムス含有小カプセルをシュアリース(Surelease(登録商標))でコーティングし、コーティング溶液内に高分子量または低分子量ペクチンを含み、または含まず、小カプセルをpH感受性オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でさらにコーティングし、またはしなかった。
【0148】
シュアリース(Surelease(登録商標))およびアルギン酸塩−タクロリムス含有小カプセルをシュアリース(Surelease(登録商標))でコーティングし、コーティング溶液内にアルギン酸塩を含み、または含まず、小カプセルをpH感受性オイドラギットFS30D(Eudragit(商標)FS30D)でさらにコーティングし、またはしなかった。
【0149】
持続放出コーティングは、30%重量増加を有する2:1 w/wの比のシュアリース(Surelease(登録商標))およびUSPペクチンの組み合わせを含みうる。あるいは、持続放出コーティングは、22%の重量増加を有するオイドラギットRS(Eudragit(商標)RS)を含みうる。
【0150】
1日1回製剤は、非コーティングおよびコーティング小カプセルの混合を典型的に含み、6〜12時間の間に0〜50%放出、および12〜24時間の間に0〜100%放出を提供するであろう。
【0151】
本発明は、単一固定組み合わせ剤形または別々に投与されるものとして、別の治療的または予防的(propylactically)活性物質(active entity or entities)と組み合わせたタクロリムス製剤の使用を想定する。
【0152】
固形臓器移植拒絶の治療または予防のために、他の免疫抑制剤が単独またはタクロリムスもしくはその誘導体と組み合わせて考慮されうる。これらは、アベチムス、デフォロリムス、エベロリムス、グスペリムス、ピメクロリムス、シロリムス、シクロスポリン、テムシロリムスなどでこれらに限定されないさまざまな他のカルシニューリン阻害剤;コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレニソロン、メチルプレジリソロン(Methylpredilisolone)、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾンまたはパラメタゾンなどでこれらに限定されないグルココルチコステロイド(glucocorticosteriods);アナキンラ、アザチオプリン、レフルノミド、メトトレキサート、ミコフェノール酸、サリドマイドなどでこれらに限定されない細胞増殖抑制剤;T細胞受容体に結合する抗CD3 OKT3などの抗体;イムノフィリン受容体結合剤 シロリムス;インターフェロン;オピオイド;インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ククミンおよびカテキンを含み、これらに限定されないTNFα-結合タンパク質;ならびにイノシン一リン酸脱水素酵素の非競合的、選択的および可逆的阻害剤として作用する酸のミコフェノール酸モフェチルを含み、これらに限定されない。上記リストは、共役NOドナーを含むように加工されたものを含む、その誘導体を含む。
【0153】
本発明は上記の実施態様に限定されず、詳細に変化してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶化液体形態にあるタクロリムスを含むコアを有する小カプセルであり、胃腸管全体の至るところに予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する小カプセルを含む、経口タクロリムス組成物。
【請求項2】
小カプセルが小腸において予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
小カプセルが回腸において予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する、請求項1または請求項2記載の組成物。
【請求項4】
小カプセルが結腸において予備可溶化タクロリムスを放出する放出特性を有する、請求項1〜請求項3のいずれか記載の組成物。
【請求項5】
タクロリムスがコア内で0.5〜25% w/wの量にて、好ましくは2.5〜15% w/wの量にて存在する、請求項1または請求項4記載の組成物。
【請求項6】
使用環境にさらされたときに、30%未満のタクロリムスが1時間以内に放出される、請求項1または請求項5のいずれか記載の組成物。
【請求項7】
使用環境にさらされたときに、20%未満のタクロリムスが1時間以内に放出される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
使用環境にさらされたときに、60%未満のタクロリムスが4時間以内に放出される、請求項1〜請求項7のいずれか記載の組成物。
【請求項9】
使用環境にさらされたときに、35%未満のタクロリムスが4時間以内に放出される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
使用環境にさらされたときに、90%未満のタクロリムスが12時間以内に放出される、請求項1〜請求項9のいずれか記載の組成物。
【請求項11】
使用環境にさらされたときに、65%未満のタクロリムスが12時間以内に放出される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
使用環境にさらされたときに、100%以下のタクロリムスが24時間以内に放出される、請求項1〜請求項11のいずれか記載の組成物。
【請求項13】
使用環境にさらされたときに、20%未満のタクロリムスが1時間以内に放出され、35%未満のタクロリムスが4時間以内に放出され、65%未満のタクロリムスが12時間以内に放出され、実質的に全ての残存するタクロリムスが12〜24時間の間に放出される、請求項1〜請求項12のいずれか記載の組成物。
【請求項14】
小カプセルが可溶化タクロリムスを含む固体シェルを含む、請求項1〜請求項13のいずれか記載の組成物。
【請求項15】
小カプセルが放出特性を提供するように加工される、請求項1〜請求項14のいずれか記載の組成物。
【請求項16】
放出制御がポリマーコーティングに起因する、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
ポリマー材料がメタクリレートである、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
ポリマー材料がエチルセルロースである、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
ポリマー材料がメタクリレートおよびエチルセルロースの混成である、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
コーティングが溶解増強剤を含む、請求項17〜請求項19のいずれか記載の組成物。
【請求項21】
溶解増強剤が胃腸管に通常は存在する細菌によって分解される、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
溶解増強剤が1以上のペクチン、アミロースおよびアルギン酸塩から選択される、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
溶解増強剤が0.5〜2% w/wの量のエチルセルロースにて存在する、請求項20〜請求項22のいずれか記載の組成物。
【請求項24】
コアがタクロリムス、可溶化剤、共乳化剤、界面活性剤、透過増強剤および担体を含む、請求項14〜請求項23のいずれか記載の組成物。
【請求項25】
可溶化剤がエタノールを含む、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
可溶化剤がトリグリセリドを含む、請求項24記載の組成物。
【請求項27】
共乳化剤が脂肪酸エステル複合体を含む、請求項24記載の組成物。
【請求項28】
界面活性剤が脂肪酸エステル複合体を含む、請求項24記載の組成物。
【請求項29】
透過増強剤が脂肪酸エステル複合体を含む、請求項24記載の組成物。
【請求項30】
担体が疎水性液体を含む、請求項24記載の組成物。
【請求項31】
疎水性液体が油を含む、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
油がオリーブ油である、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
組成物がタクロリムス含有小カプセルの第1集合およびタクロリムス含有小カプセルの第2集合を含む、請求項1〜請求項32のいずれか記載の組成物。
【請求項34】
第1集合が非コーティング小カプセルを含む、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
第2集合がコーティング小カプセルを含む、請求項33または請求項34記載の組成物。
【請求項36】
10〜40% w/wの非コーティング小カプセルおよび60〜90% w/wのコーティング小カプセルを含む、請求項33記載の組成物。
【請求項37】
約25% w/wの非コーティング小カプセルおよび約75% w/wのコーティング小カプセルを含む、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
タクロリムスが全身吸収を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出される、請求項1〜請求項37のいずれかの組成物。
【請求項39】
タクロリムスが予備全身性粘膜吸収を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出される、請求項1〜請求項37のいずれかの組成物。
【請求項40】
タクロリムスが局所的胃腸活性を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出される、請求項1〜請求項37のいずれかの組成物。
【請求項41】
タクロリムスが時間治療を最大にする形態にて胃腸管に沿って放出される、請求項1〜請求項37のいずれかの組成物。
【請求項42】
製剤が粘膜接着剤または生体接着剤などの接着剤を含む、請求項1〜請求項41のいずれかの組成物。
【請求項43】
小カプセルが硬ゼラチンカプセル、スプリンクル、または錠剤にて投与される、請求項1〜請求項42のいずれかの組成物。
【請求項44】
小カプセルがタクロリムスの溶解度を最大にする賦形剤をさらに含む、請求項1〜請求項43のいずれか記載の組成物。
【請求項45】
回腸においてタクロリムスの透過性を最大にする賦形剤をさらに含む、請求項1〜請求項44のいずれか記載の組成物。
【請求項46】
回腸透過性増強賦形剤が1以上のカプリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、SNAC、キトサンおよびその誘導体、脂肪酸、界面活性剤、リポソーム、トリグリセリド、ポリエーテル、胆汁酸塩、一酸化窒素ドナー、トリグリセリド、ヒドロキシラーゼ阻害剤ならびに/または抗酸化剤から選択される、請求項45記載の組成物。
【請求項47】
結腸においてタクロリムスの透過性を最大にする賦形剤をさらに含む、請求項1〜請求項46のいずれか記載の組成物。
【請求項48】
結腸透過性増強賦形剤が1以上のカプリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、SNAC、キトサンおよびその誘導体、脂肪酸、界面活性剤、リポソーム、トリグリセリド、ポリエーテル、胆汁酸塩、一酸化窒素ドナー、トリグリセリド、ヒドロキシラーゼ阻害剤ならびに/または抗酸化剤から選択される、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
回腸および結腸においてタクロリムスの治療可能性を増強する賦形剤をさらに含む、請求項1〜請求項48のいずれか記載の組成物。
【請求項50】
賦形剤が1以上の吸収制限剤、吸収増強剤、界面活性剤、共界面活性剤、共溶媒、オメガ3油などの精油、ニームなどの天然植物抽出物、イオン交換樹脂、アゾ結合などの細菌分解性共役リンカー、アミロース、グアーガム、ペクチン、キトサン、イヌリンおよびシクロデキストリンなどの多糖から選択される、請求項49記載の組成物。
【請求項51】
胃腸管の至るところでの吸収に続くタクロリムスの全身バイオアベイラビリティを増強する賦形剤をさらに含む、請求項1〜請求項50のいずれか記載の組成物。
【請求項52】
小腸における吸収に続くタクロリムスの全身バイオアベイラビリティを増強する賦形剤が、PgPポンプ阻害剤を含む排出ポンプ阻害剤、およびシトクロムP450 3A阻害剤を含む代謝阻害剤を含む、請求項51記載の組成物。
【請求項53】
小腸におけるタクロリムスの吸収と関連する全身性副作用を減少させる賦形剤をさらに含む、請求項1〜請求項52のいずれか記載の組成物。
【請求項54】
小腸におけるタクロリムスの吸収と関連する全身性副作用を減少させる賦形剤が、クルクミノイド、フラバノイドなど、またはより具体的にはクルクミン、βカロチン、α-トコフェロール、アスコルビン酸もしくはラザロイドを含む抗酸化剤を含む、請求項53記載の組成物。
【請求項55】
組成物が24時間を超えて吸収を促進する、請求項1〜請求項54のいずれか記載の組成物。
【請求項56】
固形臓器移植拒絶の治療または予防のための、請求項1〜請求項55のいずれか記載の組成物。
【請求項57】
移植片対宿主病の治療または予防のための、請求項1〜請求項55のいずれか記載の組成物。
【請求項58】
胃腸移植片対宿主病の治療または予防の、請求項57記載の組成物。
【請求項59】
炎症性腸疾患の治療または予防における使用のための、請求項1〜請求項55のいずれか記載の組成物。
【請求項60】
潰瘍性大腸炎の治療または予防における使用のための、請求項1〜請求項55のいずれか記載の組成物。
【請求項61】
クローン病の治療または予防における使用のための、請求項1〜請求項55のいずれか記載の組成物。
【請求項62】
単一経口剤形にて別の医薬品有効成分と組み合わせられうる、請求項1〜請求項55のいずれか記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−523554(P2010−523554A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501661(P2010−501661)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/IE2008/000039
【国際公開番号】WO2008/122966
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509276490)シグモイド・ファーマ・リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】Sigmoid Pharma Limited
【Fターム(参考)】