説明

タグとリーダとの間の認識距離測定装置

【課題】タグとリーダとの間の認識距離測定装置を提供する。
【解決手段】内壁に電磁波吸収体が備えられた単位セルが少なくとも一つ以上一列に連結されて構成された電子波無反響チャンバと、電子波無反響チャンバの一側端部のセルに位置し、アンテナを通じて電磁波を放出する電磁波発生部と、電子波無反響チャンバ内で移動する電界プローブを通じて電磁波発生部から放出された電磁波の電界強度を測定する電磁波測定部と、備えるタグとリーダとの間の認識距離測定装置である。これにより、タグとリーダとの間の距離及び角度による正確な電界強度を測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグとリーダとの間の認識距離測定装置に係り、さらに詳細には、移動性及び拡張性が容易な電子波無反響チャンバを利用して、タグとリーダとの間の距離別の正確な電界強度を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタグとリーダとの認識距離の測定方法としては、タグとリーダアンテナとの距離を手動で測定した後、認識如何を判断して概略的な距離を抽出する方法、及び電子波無反響チャンバを利用して測定する方法がある。
【0003】
前者の方法は、正確な認識距離を測定することが不可能であり、後者の方法は、アンテナチャンバ内のどの位置で測定するかによって電磁波吸収体の吸収率が異なって、正確な距離測定が難しいという短所があり、一度設置した後に移動することが不可能であり、かつアンテナチャンバを拡張し難い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、移動性及び拡張性が容易な電子波無反響チャンバを提供し、タグとリーダとの間の距離及び角度別に正確な電界強度を測定することによって、位置によるタグの認識如何を正確に判断し、アンテナのパターンを分析するタグとリーダとの間の認識距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するための本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置の一実施形態は、内壁に電磁波吸収体が備えられた単位セルが少なくとも一つ以上一列に連結された電子波無反響チャンバと、前記電子波無反響チャンバの一側端部のセルに位置し、アンテナを通じて電磁波を放出する電磁波発生部と、前記電子波無反響チャンバ内で移動する電界プローブを通じて前記電磁波発生部から放出された電磁波の電界強度を測定する電磁波測定部と、を備える。
【0006】
これにより、タグとリーダとの間の距離及び角度による正確な電界強度を測定できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自動制御によって位置による正確な政界強度を測定すると同時に、測定データの分析用グラフを提供することによって、測定時間の短縮及び信頼性を向上させる。そして、タグとリーダ間の距離、角度、そして高さなど、任意の位置でのタグ認識如何をさらに正確に判断し、その位置での正確な電界強度を測定することによって、RFID(Radio Frequency Identification)システム開発時、タグ及びリーダの信頼性ある性能を判断できる。
【0008】
また、本発明の電子波無反響チャンバは、タグ及びリーダの正確な認識距離の測定以外に、タグ及びリーダアンテナの放射パターンを測定することによって、既存の大型アンテナチャンバの役割を行えるという長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照して、本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明による電子波無反響チャンバの単位セルを示す図面である。
【0011】
タグとリーダとの間の認識距離を正確に測定するためには、電磁波が反響されない無反響チャンバが必須的である。本発明は、固定されたサイズの電子波無反響チャンバを提供することではなく、移動性及び拡張性を容易にするために、いくつかの単位セルを組合わせて構成される電子波無反響チャンバを提供する。
【0012】
具体的に、図1の単位セル100は、電磁波吸収体110及びセル連結フレーム120及びタグ支持台移動通路130で構成される。単位セルの内壁には、電磁波を吸収するために炭素系列の電磁波吸収体110が位置する。セル連結フレーム120は、セルとセルとを連結できる連結部材であって、ユーザは、セル連結フレームを通じて所望のサイズほど単位セルを一列に連結できる。タグ支持台移動通路130は、電界強度を測定する電界プローブが装着された支持台(図2A及び図2B参照)がセルの間を移動できる経路である。
【0013】
タグとリーダとの間の認識距離測定に対する信頼性ある値を得るためには、電子波無反響チャンバの電磁波遮蔽効果は、所望の全ての周波数帯域で−100dBより小さく、電子波無反響チャンバ内の全ての位置での電磁波吸収率は、−25dB以下に設計されることが望ましい。
【0014】
図2A及び図2Bは、本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置の構造を示す図面である。
【0015】
図2A及び図2Bを参照すれば、本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置は、いくつかのセルで連結された電子波無反響チャンバ、電磁波を放出する電磁波発生部及び放出された電磁波の電界強度を測定する電磁波測定部で構成される。
【0016】
具体的に、電子波無反響チャンバは、図1に示した単位セルがいくつか連結されて生成される。特に、電子波無反響チャンバの両側端部のセルは、電磁波発生部及び電磁波測定部が備えられるセルである。
【0017】
電磁波発生部は、電子波無反響チャンバの一側端部のセルに位置し、外部コネクタ210、アンテナ支持台220、リーダアンテナ230及びステッピングモータ240で構成される。外部コネクタ210は、外部RFリーダ器と電磁波発生部のリーダアンテナ230とを連結する。したがって、外部RFリーダ器から発生した電磁波は、外部コネクタ210を通じて電子波無反響チャンバ内のリーダアンテナ230に伝達され、リーダアンテナ230は、伝達された電磁波を電子波無反響チャンバ内に放出する。
【0018】
アンテナ支持台220は、電子波無反響チャンバの端部のセルにロッド状に形成され、ロッドの端部にはアームが形成されており、そのアームにリーダアンテナ230を固定する。そして、アンテナ支持台220の下側には、ステッピングモータ240が装着されていて、アンテナ支持台230の高さ変化、すなわち、上下移動を制御し、アームの回転運動を制御する。したがって、ステッピングモータ240の制御によってアンテナ支持台220に固定されたリーダアンテナ230は、一定範囲内で上下移動または回転できる。
【0019】
電磁波測定部は、電磁波発生部が位置したセルと反対片の端部のセルに位置し、第1ステッピングモータ250、第2ステッピングモータ260、タグ支持台270及び電界プローブ280で構成される。
【0020】
電界プローブ280は、電磁波発生部のリーダアンテナ230を通じて放出された電磁波の電界強度を測定する。タグ支持台270は、ロッド状に形成され、一定長さのアームが形成されており、そのアームに電界プローブ280が固定される。そして、タグ支持台270の下側には、第2ステッピングモータ260が装着されてタグ支持台270の上下移動及びタグ支持台のアームの回転運動を制御する。
【0021】
第1ステッピングモータ250は、電子波無反響チャンバの両端部のセルの間でタグ支持台が移動できるように制御する。すなわち、第1ステッピングモータ250は、電界プローブ280が固定されたタグ支持台270を一側端部のセルから他側端部のセル(または電磁波発生部)までセル100内のタグ支持台移動通路(図1の130)を通じて前後に移動できるように制御する。したがって、第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータを通じてタグ支持台270に固定された電界プローブ280は、電子波無反響チャンバ内で上下、左右移動及び回転が可能である。
【0022】
図3は、本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置の一実施形態を示す図面である。
【0023】
図3は、図2に示した認識距離測定装置200内の各種ステッピングモータの制御及び電界強度を把握する制御部300,310,320を備える。図3を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
まず、電子波無反響チャンバの一側端部のセルに位置した外部コネクタ210を通じて外部RFIDリーダと連結する。そして、リーダアンテナ230の正中心と一致するように電界プローブ280を位置させる。このとき、リーダアンテナ230と電界プローブ280との間の距離は、約5cmほどの間隔を維持することが望ましい。
【0025】
電磁波発生部のステッピングモータ240及び電磁波測定部のステッピングモータ250,260は、それぞれ位置制御部300に連結される。位置制御部300は、中央制御部310と連結され、ユーザが中央制御部310を通じてステッピングモータの位置情報を入力すれば、入力された位置情報によって電磁波発生部及び電磁波測定部のステッピングモータ240,250,260を制御する。そして、中央制御部310は、位置制御部300によって制御された位置による電磁波の電界強度を電界プローブ280を通じて測定する。ステッピングモータ240,250,260の制御は、何れも位置制御部300を通じて制御されるか、または電磁波発生部の第1ステッピングモータ250は、位置制御部300によって制御され、残りのステッピングモータ240,260は、中央制御部310によって直接制御されるように構成できる。
【0026】
中央制御部310は、電界プローブ280の位置による電界強度データを収集する。中央制御部310による位置による電界強度の収集が完了すれば、ユーザは、電界プローブ280及びタグ支持台270を除去した後、タグまたはタグが付着された物を電子波無反響チャンバ内に位置させる。そして、電界プローブを通じて電界強度を測定した方法でタグとリーダアンテナとの間の認識如何を測定する。
【0027】
パターン分析部320は、電子波無反響チャンバの活用性を向上させるために、タグ及びリーダの放射パターンを測定する。具体的に、タグ及びリーダをタグ支持台270に位置させ、アンテナ支持台220に周波数に適した標準アンテナを位置させた後、一般的な近域長アンテナ測定システムと同一に構成した後、タグ及びリーダの放射パターンを測定する。
【0028】
これにより、角度高さによるタグとリーダアンテナとの間の認識如何が分かり、任意の地点でタグが認識にされない場合に対するリーダとの距離、角度、高さ、そして電界強度に関するデータ分析が可能である。以後、このような分析データは、タグとリーダとの間の性能を表すのに基準資料として活用が可能である。
【0029】
以上、本発明についてその望ましい実施形態を中心に説明した。当業者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態に具現されうるということが分かるであろう。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に現れており、それと同等な範囲内にある全ての差異点は、本発明に含まれていると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
RFIDタグとタグリーダ器との間の認識距離の測定に使用するか、またはタグリーダ器アンテナの放射パターンの測定に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による電子波無反響チャンバの単位セルを示す図面である。
【図2A】本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置の構造を示す図面である。
【図2B】本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置の構造を示す図面である。
【図3】本発明によるタグとリーダとの間の認識距離測定装置の一実施形態を示す図面である。
【符号の説明】
【0032】
110 電子波吸収体
120 セル連結フレーム
200 認識距離測定装置
210 外部コネクタ
220 アンテナ支持台
230 リーダアンテナ
240 ステッピングモータ
250 第1ステッピングモータ
260 第2ステッピングモータ
270 タグ支持台
280 電界プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁に電磁波吸収体が備えられた単位セルが少なくとも一つ以上一列に連結された電磁波無反響チャンバと、
前記電子波無反響チャンバの一側端部のセルに位置し、アンテナを通じて電磁波を放出する電磁波発生部と、
前記電子波無反響チャンバ内で移動する電界プローブを通じて前記電磁波発生部から放出された電磁波の電界強度を測定する電磁波測定部と、を備えることを特徴とするタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項2】
前記単位セルは、炭素系列の電磁波吸収体を内壁に備えたことを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項3】
前記電磁波発生部は、前記アンテナを上下移動及び一定の半径に回転させることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項4】
電磁波発生部は、
電磁波を放出するアンテナと、
前記アンテナと外部RFIDリーダ器とを連結する外部コネクタと、
所定長さのロッドに位置したアームの端部に前記アンテナを固定し、前記ロッドの上下運動及び前記アームの回転運動を行うアンテナ支持台と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項5】
記電磁波測定部は、
前記電界プローブを前記無反響チャンバ内でセルの間を直線移動するか、または上下移動及び一定の半径に回転させることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項6】
前記電磁波測定部は、
前記電磁波発生部から放出された電磁波の電界強度を測定する電界プローブと、
前記電界プローブを所定長さのロッドに位置したアームの端部に固定し、前記ロッドの上下運動及び前記アームの回転運動を行うタグ支持台と、
前記タグ支持台を前記電子波無反響チャンバの両端部のセルの間で移動させるステッピングモータと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項7】
前記電磁波発生部のアンテナの上下移動及び回転を制御し、前記電磁波測定部の電界プローブの移動を制御する位置制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項8】
前記アンテナと前記電界プローブとの間の相対的な位置による電界強度を把握する中央制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。
【請求項9】
前記電磁波測定部にタグ及びリーダを位置させ、前記電磁波発生部に前記タグ及びリーダに適した標準アンテナを位置させた後、近域長アンテナの測定方法を通じて前記タグ及びリーダの放射パターンを測定するパターン分析部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタグとリーダとの間の認識距離測定装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−322915(P2006−322915A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379671(P2005−379671)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】