説明

タグ管理システム

【課題】室内などの比較的狭い領域において、無線通信を利用して人あるいは物品の位置を低コスト、かつ、高精度で特定し、それらを管理する。
【解決手段】位置管理サーバー装置12と、リーダーライター装置14Aを介してサーバー装置との間で無線通信を行うとともに、他のICタグとの間で直接無線通信を行うことが可能な複数のICタグを備えた位置管理システム10において、複数のICタグは、位置管理サーバー装置12により、予め設置位置あるいは設置対象物が特定されている固定ICタグ17A、17Bと、固定ICタグ17A、17Bと無線通信を行うことにより、当該固定ICタグ17A、17Bに対応づけられて位置管理サーバー装置12により位置管理がなされる移動ICタグ20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグ管理システムに係り、特に人に携帯させ、あるいは、移動可能な物品に貼り付ける等した無線通信機能を有するアクティブ型のICタグの位置を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象となる物品の位置を検出するための手法として、ICタグを利用した様々な手法が提案されている。
例えば、特許文献1においては、物品の位置管理をするために、物品それぞれにつけたICタグと、物品情報の管理のために部屋毎に設けたICタグの2種類を部屋毎に設置するアンテナによって読み取って、位置を管理するシステムについて提案している。
また、特許文献2においては、それぞれユニークな特定のタイミングで発光するICタグを撮像装置で撮影することで、リアルタイムの位置検出を行う構成について提案している。
また、特許文献3は、ICタグの位置特定のために、複数のアンテナから段階的に送信出力を変えて質問波を送ることで(位置を電波強度の差から三角測量する)決定する構成について提案している。
また、特許文献4は、受信信号強度から位置を決定する構成を提案しており、この場合において、誤差の大きい電波強度測定に、確率分布を持ち込んで重み付けすることにより精度を向上する旨が開示されている。
【特許文献1】特開2000−113077号公報
【特許文献2】特開2000−227948号公報
【特許文献3】特開2001−116583号公報
【特許文献4】特開2004−112482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、いずれの技術も、いずれかの部屋内などのように大雑把な位置を特定することはできるものの、人や物品を室内のさらに細かい位置、例えば、本棚の何番目の段とか、いずれの机に着席しているか等の部屋よりも小さな領域で無線通信を利用して位置を特定するのには、必ずしも適してはいないという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、室内などの比較的狭い領域において、無線通信を利用して人あるいは物品の位置を低コスト、かつ、高精度で特定し、それらを管理することが可能なタグ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、サーバー装置と、リーダーライター装置を介して前記サーバー装置との間で無線通信を行うとともに、他のICタグとの間で直接無線通信を行うことが可能な複数のICタグとを備えたタグ管理システムにおいて、前記複数のICタグは、前記サーバー装置により、予め設置位置あるいは設置対象物が特定されている第1のICタグと、前記第1のICタグと無線通信を行うことにより、当該第1のICタグに対応づけられて前記サーバー装置により位置管理がなされる第2のICタグと、を備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、複数のICタグは、サーバー装置により、予め設置位置あるいは設置対象物が特定されている第1のICタグと、第1のICタグと無線通信を行うことにより、当該第1のICタグに対応づけられてサーバー装置により管理される第2のICタグと、を備えているので、第1のICタグと第2のICタグとの通信を行わせることにより、第2のICタグの位置として設置位置あるいは設置対象物を容易に特定して管理が行える。
【0007】
本発明の第2態様は、第1態様において、前記第1のICタグは、所定の位置に固定設置され、前記サーバー装置は、前記第1のICタグを特定する情報を前記所定の位置に対応づけて記憶し、前記第1のICタグと無線通信可能な前記第2のICタグを特定することにより、当該第2のICタグの位置を検出することを特徴とする。
上記構成によれば、第2のICタグの位置は、第1のICタグが固定設置された所定の位置にあることを容易に検出でき、位置管理を容易に行える。
【0008】
本発明の第3態様は、第1態様において、前記第1のICタグは、前記設置対象物としての所定の物品と一体に設けられ、前記サーバー装置は、前記第1のICタグを特定する情報を前記所定の物品に対応づけて記憶し、前記第1のICタグと無線通信可能な前記第2のICタグを特定することにより、当該第2のICタグと前記物品との対応関係を検出し、当該第2のICタグの所在管理を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、第2のICタグの所在は、第1のICタグの所在と一致し、第1のICタグが設けられた所定の物品の所在管理を行うことにより、第2のICタグの所在管理(位置管理)が容易に行える。
【0009】
本発明の第4態様は、第1態様ないし第3態様のいずれかにおいて、前記リーダーライター装置は、前記第2のICタグに向けてID問い合わせを行い、その後、前記第1のICタグに向けて問い合わせトリガーを送信し、前記第1のICタグは、前記問い合わせトリガーに同期して、自己のIDを送信し、前記第2のICタグは、前記第1のICタグのIDを受信し、前記リーダーライター装置からの所在問い合わせに応じて、前記第1のICタグのIDを所在情報として送信する、ことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、第2のICタグは、第1のICタグのIDを受信し、リーダーライター装置からの所在問い合わせに応じて、第1のICタグのIDを所在情報として送信するので、一つのリーダーライター装置の制御下で複数の第2のICタグが自己の所在情報を送信することができ、第2のICタグの所在管理が行えるとともに、システムの構築が容易となる。
【0011】
本発明の第5態様は、第1態様ないし第3態様のいずれかにおいて、前記リーダーライター装置は、前記第2のICタグに向けてID問い合わせを行い、前記第2のICタグからのIDを受信すると所定時間待機状態となり、自己のIDを送信した前記第2のICタグは、前記第1のICタグにID問い合わせを行い、このID問い合わせによる前記第1のICタグのIDを受信し、前記リーダーライター装置からの所在問い合わせに応じて、前記第1のICタグのIDを所在情報として送信する、ことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、自己のIDを送信した第2のICタグは、第1のICタグにID問い合わせを行い、このID問い合わせによる第1のICタグのIDを受信し、リーダーライター装置からの所在問い合わせに応じて、前記第1のICタグのIDを所在情報として送信するので、リーダーライター装置の処理負荷を増大させることなく、一つのリーダーライター装置の制御下で複数の第2のICタグが自己の所在情報を送信することができ、第2のICタグの所在管理が行えるとともに、システムの構築が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る位置(所在)管理システムの概要構成図である。
位置管理システム10は、位置データベース(DB)11を有し、位置管理を行う位置管理サーバー装置12と、ループアンテナ13Aを有し、位置管理サーバー装置12にインターネット、LAN(有線あるいは無線)などの通信ネットワーク15を介して接続され、部屋A内に配置されたリーダーライター装置14Aと、ループアンテナ13Bを有し、位置管理サーバー装置12に通信ネットワーク15を介して接続され、部屋B内に配置されたリーダーライター装置14Bと、部屋A内の机、本棚などの部屋A内での配置が固定的(容易に移動できない場合も含む)とされる備品16A、16Bにそれぞれ固定され、非接触無線通信機能を備えたアクティブ型の固定ICタグ17A、17Bと、部屋B内の机、本棚などの部屋B内での配置が固定的とされる備品18A、18Bにそれぞれ固定され、非接触無線通信機能を備えたアクティブ型の固定ICタグ19A、19Bと、人に装着されるIDカードに組み込まれたり、移動可能なボックス、書籍などの物品に固定されたりする移動ICタグ20と、を備えている。
【0014】
まず、固定ICタグ17A、17B、19A、19B及び移動ICタグ20の構成について説明する。
固定ICタグ17A、17B、19A、19Bと、移動ICタグ20と、は同様の構成であるので、移動ICタグ20の構成について説明する。
図2は、移動ICタグの機能構成ブロック図である。
移動ICタグ20は、当該移動ICタグ20を特定するための固定タグIDを格納するメモリ22と、磁界通信を行う無線通信用のRF部24と、これらを制御する制御部26と、リーダーライター装置14A、14Bの各々のループアンテナ13A、13Bから放射された磁界成分(磁界)あるいは固定ICタグ17A、17B、19A、19Bから放射された磁界成分を受信するアンテナ28とを備え、リーダーライター装置14A、14Bあるいは固定ICタグ17A、17B、19A、19Bが放射する磁界成分を受信し、その磁界成分の受信に応答して自己の固定タグIDあるいは位置情報としての固定ICタグ17A、17B、19A、19Bの固定タグIDを送信する。
【0015】
次にリーダーライター装置14A、14Bの構成について説明する。
リーダーライター装置14A、14Bは、同一構成であるので、リーダーライター装置14Aについて説明する。
図3は、リーダーライター装置の機能構成ブロック図である。
リーダーライター装置14Aは、図4に示すように、各部を中枢的に制御する制御部30と、ループアンテナ13Aを介して固定ICタグ17A、17Bあるいは移動ICタグ20と通信する無線通信部32と、有線LAN或いは無線LAN等の通信ネットワーク15に接続されるネットワークインタフェース(I/F)34とを有している。
【0016】
無線通信部32は、図示しない無線通信用のRF回路やベースバンド回路を有し、制御部30の制御の下、例えば1秒に5回程度の一定時間ごとに、ループアンテナ13Aに流れる電流を変化させて磁界の変化を生じさせることで磁界通信を行うための磁界成分を放射する。この磁界通信の種類としては、移動ICタグ20に対する固定タグIDの問い合わせ、位置情報問い合わせや、固定ICタグ17A、17Bに対する位置情報としての固定タグIDの問い合わせ等がある。
そして、通信可能領域ARA内に移動ICタグ20が存在する場合には、その移動ICタグ20から固定タグIDが送信され、無線通信部32が受信する。
さらに無線通信部32は、移動ICタグ20から固定タグIDを受信した場合には、当該移動ICタグ20の位置情報の収集を開始するためのトリガー信号を移動ICタグ20及び固定ICタグ17A、17Bに送信し、このトリガー信号に同期させて、後述する位置情報収集処理を行うことになる。
【0017】
制御部30は、プログラム実行手段としてのCPUや、このCPUのワークエリアとして用いられるRAM、各種プログラムを格納するROM等を備えて構成されており、本実施形態では、無線通信部32から入力された固定タグID及び位置情報に対して、現在の時刻をタイムスタンプとして付与するタイムスタンプ付与部38と、固定タグID及び位置情報に対して、自装置(或いは自装置に接続されたループアンテナ13)に一意に予め割り当てられた装置IDを付与する装置ID付与部39とを有している。
そして、制御部30は、無線通信部32によって固定タグID及び位置情報が受信されるごとに、タイムスタンプ及び装置IDを付与し、ネットワークI/F34から通信ネットワーク15を介して位置管理サーバー装置12に順次送信する。
【0018】
次に実施形態の位置情報収集処理について説明する。
図4は、位置情報収集処理のタイミングチャートである。
この場合において、図1に示すように、移動ICタグ20は、部屋A内に位置しており、固定ICタグ17Aおよび固定ICタグ17Bのうち、より固定ICタグ17Aに近い位置に位置しているものとする。
まず、リーダーライター装置14Aは、予め定められた比較的長い周期(例えば10秒に1回)で通信可能エリア(本実施形態では、部屋A内全ての領域)内に移動ICタグ20が存在するか否かを確認するために、時刻t1において、移動ICタグ対応のブロードキャスト通信で移動ICタグ20に対してID問い合わせを行う。
この場合において、ブロードキャスト通信は移動ICタグ20のみが受信対象となるように、移動ICタグ20と同様の移動型のICタグのみが応答するようなIDアドレスに設定されている。したがって、固定ICタグ17A、17Bは、このID問い合わせを無視することとなる。
【0019】
そして、移動ICタグ20が部屋A内に存在する場合には、リーダーライター装置14AからのID問い合わせを受信し、時刻t2において自己の固定タグIDをリーダーライター装置14Aに送信する。
具体的には、アンテナ28及びRF部24を介してID問い合わせを受信した制御部26は、メモリ22から固定タグIDを読み出して、RF部24およびアンテナ28を介してリーダーライター装置14Aに送信する。
この結果、リーダーライター装置14Aは送信された移動ICタグ20の固定タグIDを受信することとなる。
そして、リーダーライター装置14Aの制御部30は、時刻t3において、無線通信部32及びループアンテナ13Aを介してブロードキャスト通信で移動ICタグ20、固定ICタグ17A、17Bに対して後述する位置情報要求に同期したトリガー信号をブロードキャスト通信により送信する。
【0020】
このトリガー信号は、移動ICタグ20、固定ICタグ17A及び固定ICタグ17Bの位置情報収集処理の同期をとるためのものであり、移動ICタグ20、固定ICタグ17A及び固定ICタグ17Bの全てに受信されることとなる。すなわち、このブロードキャスト通信で送信されるトリガー信号は、固定ICタグ17A、17Bに固定タグIDの送信を実行させるためのものであり、移動ICタグ20に対しては、所定のタイミング(本実施形態では、時刻t4)において、当該リーダーライター装置14Aの通信エリア内にいる全ての固定ICタグ17A、17Bが一斉に固定タグIDを送信するタイミングを通知するためのものである。
【0021】
この結果、移動ICタグ20は、自己の動作モードを自己位置情報をリーダーライター装置14Aに通知するための自己位置(ロケーション)決定モードとし、受信待ち状態となる。なお、この自己位置決定モードは、リーダーライター装置14Aに自己の位置情報を送信した時点で解除される。
そして、この時刻t3のトリガー信号に同期して時刻t4において、固定ICタグ17A及び固定ICタグ17Bは、移動ICタグ20のみが受信対象となるように、移動ICタグ20と同様の移動型のICタグのみが応答するようなIDアドレスに設定してブロードキャスト通信を行って、自己の固定タグIDを送信する。
【0022】
ところで、移動ICタグ20は、磁界通信を行っているため、その性質上、距離の3乗で減衰することとなり、場所により大きく信号出力が変動するので、特定の固定ICタグの近傍では、他の固定ICタグの通信は雑音とみなされ、1度には最も磁界強度の高い一つの固定ICタグとしか通信を行えない。
したがって、時刻t4において、移動ICタグ20は、より空間的に近い位置に配置されている固定ICタグ17Aの固定タグIDを受信し、図示しないレジスタに格納することととなる。一方、固定ICタグ17Bの固定タグIDは受信されることなく破棄されることとなる。なお、時刻t4において、固定タグIDの読み取りに失敗した場合は、固定タグIDに代えて失敗コードを図示しないレジスタに格納することとなる。
【0023】
この場合において、複数の固定ICタグの間の中点位置近傍では混信のため読み取れない可能性があるが、それは、特定の位置(ロケーション)に到達していない状態と解釈してもよく、実用上問題はない。さらに、各固定ICタグ17A、17B内のクロックの位相を合わせる手段はないとともに、それぞれに固有のバラつきを有しているので、固定ICタグ17A、17Bを同一のハードウェア及びファームウエアで構成したとしても、若干のタイミング差が生じるが、通信速度の観点からすると、無視できる程度のタイミング差となっており、この点でも実用上の問題は生じない。
そして、リーダーライター装置14Aは、時刻t3のトリガー送信タイミングに同期して時刻t5において、移動ICタグ対応のブロードキャスト通信で移動ICタグ20に対して位置情報要求を行う。
【0024】
リーダーライター装置14Aからの位置情報要求を受信した移動ICタグ20は、時刻t4において受信した固定ICタグ17Aの固定タグIDを自己の位置情報として送信し、自己位置決定モードを解除する。なお、固定タグIDに代えて失敗コードを送信した場合には、自己位置決定モードを継続する。
一方、リーダーライター装置14Aの制御部30は、移動ICタグ20から受信した位置情報としての固定ICタグの固定タグIDが有効である場合には、移動ICタグ20の固定タグID、移動ICタグ20の位置情報としての固定ICタグ17Aの固定タグIDに、タイムスタンプ付与部38により受信日時に相当するタイムスタンプを付与し、装置ID付与部39により自己の装置IDを付与し、位置管理サーバー装置12に通信ネットワーク15を介して送信する。また、移動ICタグ20から受信したのが位置情報としての固定ICタグの固定タグIDではなく、失敗コードであった場合には、サーバーにその旨を通知するとともに、次回のID問い合わせを行うこととなる。
また、上述した位置情報取得の処理を定期的に繰り返すことで、その期間で移動ICタグ20の位置情報を収集することが可能となる。
以上の説明では、移動ICタグ20が同一の部屋A内で位置検出を行うものであったが、図1に示すように、部屋Aから部屋Bに移動した場合には、リーダーライター装置14Bにより同様に部屋B内の通信可能領域ARB内で移動ICタグ20の位置検出がなされることとなる。
【0025】
図5は、他の位置情報収集処理のタイミングチャートである。
図5のタイミングチャートが、図4のタイミングチャートと異なる点は、リーダーライター装置14Aがトリガー信号を送信するのに代えて、移動ICタグ20が固定ICタグ17A、17Bに対してID問い合わせを行う点である。
まず、リーダーライター装置14Aは、予め定められた比較的長い周期で通信可能エリア内に移動ICタグ20が存在するか否かを確認するために、時刻t11において、移動ICタグ対応のブロードキャスト通信で移動ICタグ20に対してID問い合わせを行う。これによりリーダーライター装置14Aは、所定時間(時刻t15に至るまで)待機状態であるサイレントモードに移行する。
【0026】
そして、移動ICタグ20が部屋A内に存在する場合には、リーダーライター装置14AからのID問い合わせを受信し、時刻t12において自己の固定タグIDをリーダーライター装置14Aに送信する。
この結果、リーダーライター装置14Aは送信された移動ICタグ20の固定タグIDを受信することとなる。
この結果、移動ICタグ20は、自己の動作モードを自己位置情報をリーダーライター装置14Aに通知するための自己位置(ロケーション)決定モードとし、受信待ち状態となる。
【0027】
そして、移動ICタグ20の26は、時刻t13において、RF部24およびアンテナ28を介してブロードキャスト通信で自己の通信エリア内に属する全ての固定ICタグ、すなわち、固定ICタグ17A、17Bに対してID問い合わせを行う。
そして、固定ICタグが移動ICタグ20の通信エリア内に存在する場合には、移動ICタグ20からのID問い合わせを受信し、時刻t14において、固定ICタグ17A及び固定ICタグ17Bは、全ての移動ICタグ(本実施形態では、移動ICタグ20)が受信対象となるように、移動型のICタグのみが応答するようなIDアドレスに設定してブロードキャスト通信を行って、自己の固定タグIDを送信する。
【0028】
したがって、移動ICタグ20は、時刻t14において、より空間的に近い位置に配置されている固定ICタグ17Aの固定タグIDを受信し、図示しないレジスタに格納することととなる。一方、固定ICタグ17Bの固定タグIDは受信されることなく破棄されることとなる。なお、時刻t14において、ID読み取りに失敗した場合は、固定タグIDに代えて失敗コードを図示にないレジスタに格納することとなる。
【0029】
一方、リーダーライター装置14Aは、時刻t11のID問い合わせタイミングあるいは時刻t12のID受信タイミングに同期して時刻t15において、移動ICタグ対応のブロードキャスト通信で移動ICタグ20に対して位置情報要求を行う。
リーダーライター装置14Aからの位置情報要求を受信した移動ICタグ20は、時刻t4において受信した固定ICタグ17Aの固定タグIDを自己の位置情報として送信し、自己位置決定モードを解除する。
【0030】
一方、リーダーライター装置14Aの制御部30は、移動ICタグ20から受信した位置情報としての固定ICタグの固定タグIDが有効である場合には、移動ICタグ20の固定タグID、移動ICタグ20の位置情報としての固定ICタグ17Aの固定タグIDに、タイムスタンプ付与部38により受信日時に相当するタイムスタンプを付与し、装置ID付与部39により自己の装置IDを付与し、位置管理サーバー装置12に通信ネットワーク15を介して送信する。
また、図4の他意味イングチャートの場合と同様に、上述した位置情報取得の処理を定期的に繰り返すことで、その期間で移動ICタグ20の位置情報を収集することが可能となる。
【0031】
以上の説明のように、各実施形態によれば、会議室程度の広い領域の位置(ロケーション)検出に適するリーダーライター装置を用いたインフラアンテナ通信と、机、棚程度の狭いロケーション検出に適するICタグ間の局所通信を併用することで、場所に応じて検出精度を有する位置検出を柔軟に行えるようになった。
【0032】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
以上の説明においては、移動ICタグ20が移動した位置を固定ICタグ17A、17Bの設置位置で特定していたが、固定ICタグを搬送用ケースなどの移動可能な物品(設置対象物)に貼り付けておき、当該物品と一体となって移動ICタグを有する物品が移動していることを特定するとともに、固定ICタグの位置を外部のリーダーライター装置により特定することで移動ICタグの位置を管理するように構成することも可能である。
この構成によれば、移動ICタグを有する物品が複数収納された搬送用ケースなどの物品との対応関係を管理して、配送管理などに用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る位置(所在)管理システムの概要構成図である。
【図2】移動ICタグの機能構成ブロック図である。
【図3】リーダーライター装置の機能構成ブロック図である。
【図4】位置情報収集処理のタイミングチャートである。
【図5】他の位置情報収集処理のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10…位置管理システム、12…位置管理サーバー装置、13A、13B…ループアンテナ、14A、14B…リーダーライター装置、15…通信ネットワーク、16A、16B、18A、18B…備品、17A、17B、19A、19B…固定ICタグ、20…移動ICタグ、A、B…部屋、ARA、ARB…通信可能領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバー装置と、リーダーライター装置を介して前記サーバー装置との間で無線通信を行うとともに、他のICタグとの間で直接無線通信を行うことが可能な複数のICタグと、を備えたタグ管理システムにおいて、
前記複数のICタグは、前記サーバー装置により、予め設置位置あるいは設置対象物が特定されている第1のICタグと、前記第1のICタグと無線通信を行うことにより、当該第1のICタグに対応づけられて前記サーバー装置により位置管理がなされる第2のICタグと、を備えることを特徴とするタグ管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のタグ管理システムにおいて、
前記第1のICタグは、所定の位置に固定設置され、
前記サーバー装置は、前記第1のICタグを特定する情報を前記所定の位置に対応づけて記憶し、
前記第1のICタグと無線通信可能な前記第2のICタグを特定することにより、当該第2のICタグの位置を検出することを特徴とするタグ管理システム。
【請求項3】
請求項1記載のタグ管理システムにおいて、
前記第1のICタグは、前記設置対象物としての所定の物品と一体に設けられ、
前記サーバー装置は、前記第1のICタグを特定する情報を前記所定の物品に対応づけて記憶し、
前記第1のICタグと無線通信可能な前記第2のICタグを特定することにより、当該第2のICタグと前記物品との対応関係を検出し、当該第2のICタグの所在管理を行うことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のタグ管理システムにおいて、
前記リーダーライター装置は、前記第2のICタグに向けてID問い合わせを行い、その後、前記第1のICタグに向けて問い合わせトリガーを送信し、
前記第1のICタグは、前記問い合わせトリガーに同期して、自己のIDを送信し、
前記第2のICタグは、前記第1のICタグのIDを受信し、前記リーダーライター装置からの所在問い合わせに応じて、前記第1のICタグのIDを所在情報として送信する、
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のタグ管理システムにおいて、
前記リーダーライター装置は、前記第2のICタグに向けてID問い合わせを行い、前記第2のICタグからのIDを受信すると所定時間待機状態となり、
自己のIDを送信した前記第2のICタグは、前記第1のICタグにID問い合わせを行い、このID問い合わせによる前記第1のICタグのIDを受信し、前記リーダーライター装置からの所在問い合わせに応じて、前記第1のICタグのIDを所在情報として送信する、
ことを特徴とするタグ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−160674(P2010−160674A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2269(P2009−2269)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】