説明

タグ集合体製造装置及びタグ集合体製造方法

【課題】無線タグラベルを作成する際に、各無線タグ回路素子に対し最適な通信態様で無線通信を行えるタグ集合体を製造することができるタグ集合体製造装置及びタグ集合体製造方法を提供する。
【解決手段】複数の無線タグ回路素子Toを所定順序で収容可能なタグテープロールを製造するためのタグテープロール製造装置であって、タグ挿入器226により取り付けられる各無線タグ回路素子Toの特性を検査するタグチェッカー270と、このタグチェッカー270の検査結果を、当該検査した無線タグ回路素子Toの次に取り付けられる無線タグ回路素子Toに無線通信を介し書き込む信号処理回路275、高周波回路274及び検査アンテナ272とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を記憶するIC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備え情報の送受信を行う無線タグ回路素子を所定順序で収容可能なタグ集合体を製造するタグ集合体製造装置及びタグ集合体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。ラベル状の無線タグラベルに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、資産管理や、オフィスでの文書管理や、人の胸部に着用する名札等、様々な分野において実用化されつつある。
【0003】
このように種々の利用法がある無線タグラベルであるが、この無線タグラベルを作成する際には、無線タグ回路素子を所定順序で収容したタグ集合体から各無線タグ回路素子を順次搬送し、この搬送の際に、各無線タグ回路素子のアンテナに対し、装置側で生成した所定の無線タグ情報を装置側アンテナを介して送信し、無線タグ回路素子のアンテナに接続されたIC回路部の無線タグ情報に順次アクセス(読み取り又は書き込む)することにより、無線タグラベルが完成する。
【0004】
従来、上記タグ集合体を製造するタグ集合体製造装置として、第1テープ(ベースシート)を供給する第1供給ローラ(ロール)と、この第1供給ローラから繰り出された第1テープに情報を記憶する無線タグ回路素子(電気回路)を所定間隔で取り付けるためのタグ取り付け手段(回路シート並設手段)と、第2テープ(カバーシート)を供給する第2供給ローラ(ロール)と、この第2供給ローラから繰り出された第2テープのタグ貼り合わせ位置に第2粘着材層を形成する第2粘着材層形成手段(接着剤層形成手段)と、上記無線タグ回路素子が所定間隔で取り付けられた第1テープと上記タグ貼り合わせ位置に第2粘着材層が形成された第2テープとが貼り合わせられ生成したタグテープを巻き取り、タグテープロールとする巻取ローラとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−6596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術には以下の課題が存在する。
【0007】
一般に、無線タグ回路素子の製造時において、実際には、各無線タグ回路素子ごとの通信感度やIC回路部のメモリ書込電圧、書込時間などのアクセス条件等のタグ特性値データは、本来の設計仕様値の前後にある程度のばらつきが生じる。このとき、上記従来技術のタグ集合体製造装置では、このような特性値にばらつきのある無線タグ回路素子が所定順序で収容されたタグ集合体が製造される。したがって、この製造されたタグ集合体から各無線タグ回路素子を順次搬送し、無線タグ情報の読み取り又は書き込みを行うことにより無線タグラベルを作成する場合、上述したように各無線タグ回路素子のタグ特性値にはばらつきがあるため、無線タグ情報の読み取り又は書き込みの際に最適な通信態様で無線通信を行うことができなかった。
【0008】
本発明の目的は、無線タグラベルを作成する際に、各無線タグ回路素子に対し最適な通信態様で無線通信を行えるタグ集合体を製造することができるタグ集合体製造装置及びタグ集合体製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、複数のタグラベル用無線タグ回路素子を所定順序で収容可能なタグ集合体を製造するためのタグ集合体製造装置であって、前記複数の無線タグ回路素子の特性を検査する検査手段と、この検査手段の検査結果を、前記タグ集合体に備えられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に無線通信を介し書き込む書き込み手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本願第1発明においては、タグ集合体に所定順序で収容される複数のタグラベル用無線タグ回路素子の特性を検査手段で検査し、書き込み手段がその検査結果(タグ特性値情報)を検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込み、タグ集合体を完成させる。これにより、タグラベル作成装置においてその完成したタグ集合体を用いて無線タグラベルを作成する場合、各タグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行う際には、タグ集合体に備えられた上記検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された各タグラベル用無線タグ回路素子のタグ特性値情報を読み出すことで、当該特性値情報に合致した態様で通信を行うことが可能となる。したがって、無線タグ回路素子の製造時において、タグ特性値データにばらつきが生じていたとしても、各タグラベル用無線タグ回路素子ごとに通信態様を制御して最適な通信態様を実現することができる。この結果、全無線タグ回路素子にて一律のタグ特性値データにて通信を行う場合に比べて、エネルギの無駄や通信上の悪影響の発生を防止できる。
【0011】
第2の発明は、上記第1発明において、前記書き込み手段は、前記検査手段で検査した前記無線タグ回路素子の特性を、前記タグ集合体に所定順序で収容された複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における前記検査した無線タグ回路素子に後続する前記無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とする。
【0012】
本願第2発明においては、検査手段で検査した無線タグ回路素子の特性を、タグ集合体に所定順序で収容された複数のタグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における検査した無線タグ回路素子に後続する無線タグ回路素子に書き込み、タグ集合体を完成させる。これにより、例えばタグ集合体が複数のタグラベル用無線タグ回路素子が長手方向に配列されたタグテープをリール部材に巻き取って形成したタグテープロールであり、タグラベル作成装置においてこのタグテープロールからタグテープを繰り出して無線タグラベルを作成する場合のように、タグ集合体製造時の順序配列と反対の順序配列となった各タグラベル用無線タグ回路素子に対し順次情報の送受信を行い無線タグラベルを作成する場合には、送受信を行う対象である無線タグ回路素子の前段に位置する無線タグ回路素子に記憶されたタグ特性値情報を読み出すことで、通信対象である無線タグ回路素子の特性に確実に合致した態様で通信を行うことが可能となる。
【0013】
第3の発明は、上記第2発明において、前記書き込み手段は、前記検査手段で検査した前記無線タグ回路素子の特性を、前記順序配列における前記検査した無線タグ回路素子の次の前記無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とする。
【0014】
これにより、タグラベル作成装置において、タグ集合体製造時の順序配列と反対の順序配列となった各タグラベル用無線タグ回路素子へ情報の送受信を行い無線タグラベルを作成する場合には、送受信を行う対象である無線タグ回路素子の1つ手前に位置する無線タグ回路素子に記憶されたタグ特性値情報を読み出すことで、各無線タグ回路素子に対して当該無線タグ回路素子の特性に確実に合致した態様で通信を行うことが可能となる。
【0015】
第4の発明は、上記第3発明において、前記書き込み手段は、前記タグ集合体に所定順序で収容された複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における最初の無線タグ回路素子に対し、この無線タグ回路素子が最終の順序位置にあることを示す位置情報を書き込むことを特徴とする。
【0016】
本願第4発明においては、書き込み手段により、タグ集合体に所定順序で収容された複数のタグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における最初の無線タグ回路素子に対し、この無線タグ回路素子が最終の順序位置にあることを示す位置情報を書き込む。これにより、例えばタグ集合体が複数のタグラベル用無線タグ回路素子を長手方向に配列させたタグテープをリール部材に巻き取って形成したタグテープロールであり、タグラベル作成装置においてこのタグテープロールからタグテープを繰り出して無線タグラベルを作成する場合のように、タグ集合体製造時の順序配列と反対の順序配列となった各タグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行い無線タグラベルを作成する場合には、最終の無線タグ回路素子へ送受信を行う際に上記最終の順序位置であることを示す位置情報を検出することにより、タグテープロールが終端となったことを検出することが可能となる。
【0017】
第5の発明は、上記第1発明において、前記書き込み手段は、前記タグ集合体に収容された全ての前記タグラベル用無線タグ回路素子についての検査結果を前記タグ集合体に備えられた前記検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とする。
【0018】
本願第5発明においては、書き込み手段により、タグ集合体に収容される全ての無線タグ回路素子についての検査結果(タグ特性値情報)を検査結果記憶用無線タグ回路素子にまとめて書き込み、タグ集合体を完成させる。これにより、タグラベル作成装置においてその完成したタグ集合体を用いて無線タグラベルを作成する場合、タグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行う前に、タグ集合体に備えられた上記検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された全てのタグラベル用無線タグ回路素子についてのタグ特性値情報を読み出すことで、各無線タグ回路素子に対し当該特性に合致した態様で通信を行うことが可能となる。
【0019】
第6の発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記タグ集合体は、前記タグラベル用無線タグ回路素子をテープ長手方向に所定の間隔で連続的に複数個配置したタグテープと、このタグテープをその外周側に巻回すリール部材と、それらタグテープ及びリール部材を内包する筐体とを備えた第1カートリッジであり、前記検査結果記憶用無線タグ回路素子は、前記筐体に設けられていることを特徴とする。
【0020】
本願第6発明においては、タグテープの長手方向に所定の間隔で配列された全タグラベル用無線タグ回路素子の特性を検査手段で検査し、書き込み手段がその検査結果(タグ特性値情報)を筐体に設けられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込み、上記タグテープを筐体に内包されるリール部材に巻き回すことにより第1カートリッジを完成させる。これにより、タグラベル作成装置においてこの第1カートリッジからタグテープを繰り出して無線タグラベルを作成する場合、タグテープに備えられるタグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行う前に、筐体に設けられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された全タグラベル用無線タグ回路素子についてのタグ特性値情報を読み出すことで、各無線タグ回路素子に対し当該特性に合致した態様で通信を行うことができる。
【0021】
第7の発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記タグ集合体は、前記タグラベル用無線タグ回路素子がそれぞれ設けられた平紙状の複数のラベル素材と、これら複数の平紙状のラベル素材を平積み方向に積層して収納するトレイ部材とを備えた第2カートリッジであり、前記検査結果記憶用無線タグ回路素子は、前記トレイ部材に設けられていることを特徴とする。
【0022】
本願第7発明においては、平紙状のラベル素材にそれぞれ設けられたタグラベル用無線タグ回路素子の特性を検査手段で検査し、書き込み手段がその検査結果(タグ特性値情報)をトレイ部材に設けられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込み、上記ラベル素材を平積み方向に積層することにより第2カートリッジを完成させる。これにより、タグラベル作成装置においてこの第2カートリッジからラベル素材を繰り出して無線タグラベルを作成する場合、ラベル素材に備えられるタグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行う前に、トレイ部材に設けられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された全タグラベル用無線タグ回路素子についてのタグ特性値情報を読み出すことで、各無線タグ回路素子に対し当該特性に合致した態様で通信を行うことができる。
【0023】
第8の発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記タグ集合体は、前記タグラベル用無線タグ回路素子をテープ長手方向に所定の間隔で連続的に複数個配置したタグテープと、このタグテープをその外周側に巻回すリール部材とを備えたタグテープロールであり、前記検査結果記憶用無線タグ回路素子は、前記リール部材に内蔵されていることを特徴とする。
【0024】
本願第8発明においては、タグテープの長手方向に所定の間隔で配列された全タグラベル用無線タグ回路素子の特性を検査手段で検査し、書き込み手段がその検査結果(タグ特性値情報)をリール部材に内蔵された検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込み、上記タグテープをリール部材に巻き回すことによりタグテープロールを完成させる。これにより、タグラベル作成装置においてこのタグテープロールからタグテープを繰り出して無線タグラベルを作成する場合、タグテープに備えられるタグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行う前に、リール部材に内蔵された検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された全タグラベル用無線タグ回路素子についてのタグ特性値情報を読み出すことで、各無線タグ回路素子に対し当該特性に合致した態様で通信を行うことができる。
【0025】
第9の発明は、上記第1乃至第8発明のいずれかにおいて、前記書き込み手段は、前記タグ集合体に所定順序で収容された複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における最後の無線タグ回路素子に対し、前記タグ集合体に収容された全ての前記タグラベル用無線タグ回路素子についての検査結果を書き込むことを特徴とする。
【0026】
これにより、例えばタグ集合体が複数のタグラベル用無線タグ回路素子を長手方向に配列させたタグテープをリール部材に巻き取って形成したタグテープロールであり、タグラベル作成装置においてこのタグテープロールからタグテープを繰り出して無線タグラベルを作成する場合のように、タグ集合体製造時の順序配列と反対の順序配列となった各タグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行い無線タグラベルを作成する場合には、全てのタグラベル用無線タグ回路素子についてのタグ特性値情報が記憶された無線タグ回路素子が最初の順序に位置することになる。その結果、最初に全タグラベル用無線タグ回路素子についてのタグ特性値情報を読み出した上で各無線タグ回路素子へ送受信をすることができるので、各無線タグ回路素子に対し当該特性に合致した態様で通信を行うことができる。
【0027】
第10の発明は、上記第1乃至第9発明のいずれかにおいて、前記タグラベル用無線タグ回路素子は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続され情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えており、前記検査手段は、前記無線タグ回路素子の特性として前記無線タグ回路素子の感度を検査し、前記書き込み手段は、前記検査した無線タグ回路素子の感度情報を書き込むことを特徴とする。
【0028】
これにより、製造されたタグ集合体を用いてタグラベル作成装置で無線タグラベルを作成する場合、各タグラベル用無線タグ回路素子へ情報の送受信を行う際には、タグ集合体に備えられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された各タグラベル用無線タグ回路素子の感度情報を読み出すことで、当該感度情報に合致した送信出力で通信を行うことができる。したがって、無線タグ回路素子の製造時において、各無線タグ回路素子の感度にばらつきが生じていたとしても、各タグラベル用無線タグ回路素子ごとに送信出力を制御して最適な通信を実現することができる。この結果、全無線タグ回路素子にて一律の送信出力にて通信を行う場合に比べて、エネルギの無駄や通信上の悪影響の発生を防止できる。
【0029】
第11の発明は、上記第10発明において、前記検査手段は、前記無線タグ回路素子の感度を検査するための送信出力を段階的に増加させる送信出力制御手段を有することを特徴とする。
【0030】
本願第11発明においては、送信出力制御手段により、無線タグ回路素子の感度を検査するための送信出力を段階的に増加させる。すなわち、アクセス失敗となるような比較的小さい送信出力で無線タグ回路素子との通信を実行した後、アクセス成功と判定されるまで送信出力を段階的に徐々に増加させる。これにより、必要最小限の送信出力で無線タグ回路素子の感度を検査することができる。
【0031】
第12の発明は、上記第1乃至第11発明のいずれかにおいて、複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子を被取り付け材に対し所定間隔で取り付けるタグ取り付け手段を備え、前記検査手段は、前記タグ取り付け手段で前記無線タグ回路素子を前記被取り付け材に取り付ける前にその特性を検査することを特徴とする。
【0032】
本願第12発明では、タグ取り付け手段でタグラベル用無線タグ回路素子を被取り付け材に取り付ける前に、検査装置でその特性を検査する。これにより、例えば検査結果が正常な特性値より著しく外れたような場合に、その異常な無線タグ回路素子をタグ取り付け手段から外して被取り付け材に取り付けないようにすることが可能となる。その結果、製造されるタグ集合体の品質を向上することができる。
【0033】
上記目的を達成するために、第13の発明は、複数のタグラベル用無線タグ回路素子を所定順序で収容可能なタグ集合体を製造するためのタグ集合体製造方法であって、前記複数の無線タグ回路素子の特性を検査し、この検査結果を、前記タグ集合体に備えられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に無線通信を介し書き込むことを特徴とする。
【0034】
本願第13発明においては、タグ集合体に所定順序で収容される複数のタグラベル用無線タグ回路素子の特性を検査手段で検査し、書き込み手段がその検査結果(タグ特性値情報)を検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込み、タグ集合体を完成させる。これにより、タグラベル作成装置においてその完成したタグ集合体を用いて無線タグラベルを作成する場合、各タグラベル用無線タグ回路素子へ送受信を行う際には、タグ集合体に備えられた上記検査結果記憶用無線タグ回路素子に記憶された各タグラベル用無線タグ回路素子のタグ特性値情報を読み出すことで、当該特性値情報に合致した態様で通信を行うことが可能となる。したがって、無線タグ回路素子の製造時において、タグ特性値データにばらつきが生じていたとしても、各タグラベル用無線タグ回路素子ごとに通信態様を制御して最適な通信態様を実現することができる。この結果、全無線タグ回路素子にて一律のタグ特性値データにて通信を行う場合に比べて、エネルギの無駄や通信上の悪影響の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、無線タグラベルを作成する際に、各無線タグ回路素子に対し最適な通信態様で無線通信を行えるタグ集合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1は、上記本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態であるタグテープロール製造装置の全体概略構造を表す概念図である。図1において、このタグテープロール製造装置は、第1テープ200A(詳細構造は後述)と第2テープ200B(被取り付け材。詳細構造は後述)とを貼り合わせ、かつその貼り合わせるそれら2つのテープの間に無線タグ回路素子To(タグラベル用無線タグ回路素子)を備えた無線タグTgを挿入することにより基材テープ210(タグテープ)を作成し、この基材テープ210を巻回してタグテープロールを製造するようになっている。
【0038】
すなわち、タグテープロール製造装置は、上記第1テープ200Aが巻回された第1テープロール211と、この第1テープロール211を駆動する第1テープ軸駆動モータ212と、上記第2テープ200Bが巻回された第2テープロール213と、この第2テープロール213を駆動する第2テープ軸駆動モータ214と、上記第1及び第2テープロール211,213から繰り出された第1テープ200A及び第2テープ200Bを貼り合わせたテープのうち、セパレータ209(詳細は後述)を除く他の層からなる上記基材テープ210をリール部材215aの外周に沿って巻き取る基材テープロール215と、このリール部材215aを駆動する基材テープ軸駆動モータ216と、上記セパレータ209をリール部材217aの外周に沿って巻き取るセパレータロール217と、このリール部材217aを駆動するセパレータ軸駆動モータ218と、上記第1及び第2テープ200A,200Bのテープ搬送経路に沿って上記第1及び第2テープロール211,213と上記基材テープロール215及びセパレータロール217との間に設けられ、上記第1及び第2テープロール211,213から上記第1及び第2テープ200A,200Bを繰り出すためにそれらテープ200A,200Bに駆動力を付与する搬送ローラ219A(駆動側)及び219B(従動側)と、駆動側搬送ローラ219Aを駆動する搬送ローラ駆動モータ220(搬送ローラ駆動手段)とを有する。
【0039】
また、このタグテープロール製造装置はさらに、第1テープ200Aのテープ搬送経路に沿って第1テープロール211と搬送ローラ219A,219Bとの間に設けられ、繰り出される第1テープ200Aのテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第1ダンサローラ221と、上記第1テープ200Aに基づき生成された基材テープ210のテープ搬送経路に沿って搬送ローラ219A,219Bと基材テープロール215との間に設けられ、基材テープ210のテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第2ダンサローラ222と、第2テープ200Bのテープ搬送経路に沿って第2テープロール213と搬送ローラ219A,219Bとの間に設けられ、繰り出される第2テープ200Bのテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第3ダンサローラ223と、上記第2テープ200Bに基づき生成されたセパレータ209のテープ搬送経路に沿って搬送ローラ219A,219Bとセパレータロール217との間に設けられ、セパレータ209のテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第4ダンサローラ224と、上記第1〜第4ダンサローラ221〜224をそれぞれ上記交差方向(この例ではテープ搬送路と直交方向)に進退させるエアシリンダ262A,262B,262C,262Dと、上記第1テープロール211から繰り出された第1テープ200A及び上記第2テープロール213から繰り出された第2テープ200Bとを押圧し貼り合わせる貼り合わせローラ225A,225Bとを有する。
【0040】
さらに、このタグテープロール製造装置は、上記貼り合わせローラ225A,225Bによって貼り合わせられる第1テープ200A及び第2テープ200Bの間に、情報を記憶するIC回路部151(後述の図5参照)とこのIC回路部151に接続され情報の送受信を行うタグ側アンテナ152(後述の図5参照)とを備えた無線タグ回路素子Toを含む無線タグTgを、所定間隔で取り付けるタグ挿入器226(タグ取り付け手段)と、このタグ挿入器226により取り付けられる無線タグTgに備えられる無線タグ回路素子Toが正常であるか否かを判定するために、当該無線タグ回路素子Toのタグ特性(ここでは無線タグ回路素子Toの感度。以下、「タグ感度」と記載する)を検査するタグチェッカー270(検査手段)と、上記基材テープ210を所定長さに切断するためのカッタ227と、コントローラ230と、搬送ローラ219A,219Bの上記テープ搬送方向下流側に、その搬送経路(図1中水平方向)に臨むように(この例ではテープの図示上側の面に正対するように)設けられ、対応する検出信号をコントローラ230へ入力するフォトセンサ228と、基材テープ210に備えられる無線タグTgの無線タグ回路素子Toとの間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信によりタグ感度情報の書き込みを行うアンテナ271と、上記タグチェッカー270に設けられ、上記タグ挿入器226により取り付けられる無線タグTgに備えられる無線タグ回路素子Toのタグ感度を測定するための検査アンテナ272と、上記搬送ローラ219A,219B及びローラ240A(後述)の近傍に設けられ、搬送ローラ219A,219B及び上記セパレータ209を剥離された基材テープ210に発生した静電気を除去する複数の除電ブラシ280とを有する。なお、上記タグ感度とは、IC回路部151(チップ)自体の感度(動作可能な最小電力)とタグ側アンテナ152のゲインとの組み合わせをさす。
【0041】
またさらに、このタグテープロール製造装置は、上記アンテナ271,検査アンテナ272を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセス(書き込み又は読み取り)を行うための高周波回路274と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路275と、前述した第1テープ軸駆動モータ212の駆動制御を行う第1テープ駆動回路231と、前述した第2テープ軸駆動モータ214の駆動制御を行う第2テープ駆動回路232と、前述した基材テープ軸駆動モータ216の駆動制御を行う基材テープ駆動回路233と、前述したセパレータ軸駆動モータ218の駆動制御を行うセパレータ駆動回路234と、前述した搬送ローラ駆動モータ220の駆動制御を行う搬送ローラ駆動回路235と、上記カッタ227を駆動して切断動作を行わせるソレノイド236と、そのソレノイド236を制御するソレノイド駆動回路237と、コントローラ230から入力された電気信号に応じた開度に制御される開閉弁(図示せず)を備え、図示しない気体源からの気体を上記電気信号に対応した圧力の作動ガスとしてエアシリンダ262A,262B,262C,262Dへとそれぞれ供給する電気−空気変換手段として機能する電空レギュレータ265A,265B,265C,265Dと、上記電空レギュレータ265A,265B,265C,265Dの上記開閉弁をそれぞれ制御する図示しないレギュレータ駆動回路と、上記ダンサローラ221,222,223,224をその先端部に回転可能に支持し、上記エアシリンダ262A,262B,262C,262Dによって回動支点周りに回動可能なテンションアーム267A,267B,267C,267Dと、この例では上記回動支点近傍に設けられ、上記テンションアーム267A,267B,267C,267Dの角度を検出することで対応するテープ200A,210,200B,209の張力をそれぞれ検出する角度センサ268A,268B,268C,268Dとを有する。
【0042】
第1テープロール211は、上記第1テープ軸駆動モータ212により駆動されるリール部材211aの周りに、第1テープ200Aが巻回されている。同様に、第2テープロール213は、上記第2テープ軸駆動モータ214により駆動されるリール部材213aの周りに、第2テープ200Bが巻回されている。また、基材テープロール215は、リール部材215aが上記基材テープ軸駆動モータ216により駆動されることにより、基材テープ210がその周りに巻回される。同様に、セパレータロール217は、リール部材217aが上記セパレータ軸駆動モータ218により駆動されることにより、セパレータ209がその周りに巻回される。
【0043】
上記エアシリンダ262A〜Dのそれぞれは、ピストン262aと、シリンダ本体262bとを備えており、シリンダ本体262bに内包されたピストン262aが電空レギュレータ265A〜Dからそれぞれ供給される作動ガスによって進退されることにより、ピストン262aに連結された上記テンションアーム267A〜Dを回動支点まわりに回動させ、これによってダンサローラ221,222,223,224の位置を変化させテープ200A,210,200B,209の張力を制御するようになっている。
【0044】
なお進退アクチュエータとして、エアシリンダ262に代えてソレノイドの電磁力を用いた直接駆動や、電動モータ(リニアモータ、パルスモータを含む各種モータ)等を用いてもよい。
【0045】
コントローラ230は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPUと、ROM及びRAM等から構成されるメモリ276とを有し、このメモリ276のRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
【0046】
上記構成において、主として搬送ローラ219A,219Bの搬送駆動力により、第1テープ200Aが上記第1テープロール211より繰り出され、ダンサローラ221を経て、貼り合わせローラ225A,225Bへと供給される。同様に、第2テープロール213より繰り出された第2テープ200Bも、ダンサローラ223及びローラ273を経て、貼り合わせローラ225A,225Bへと供給される。そして、これら第1テープ200A及び第2テープ200Bが貼り合わせローラ225A,225Bで貼り合わされる貼り合わせ位置のテープ搬送方向上流側において、タグ挿入器226により無線タグTgが順次第2テープ200Bに取り付けられる。その後、貼り合わせローラ225A,225Bにより第1テープ200A及び無線タグTgが取り付けられた第2テープ200Bが貼り合わされる。なお、上記タグ取り付けは、所定の挿入箇所(例えば等間隔配置)になったら第1テープ200A及び第2テープ200Bの搬送駆動を停止して挿入を行う、いわゆる間欠搬送駆動方式となっている(このときの位置決めはセンサ228の検出信号に応じて制御する。詳細は後述)。このとき、この間欠搬送により所定の挿入箇所で第1テープ200A及び第2テープ200Bの搬送駆動を停止したときには、基材テープ210に備えられる無線タグTg(無線タグ回路素子To)が上記アンテナ271の近傍(書き込み位置)に位置するようになっている。
【0047】
このようにして貼り合わされさらにタグが挿入されたテープは、搬送ローラ219A,219Bの下流側に位置するローラ240A,240Bにおいて、第2テープ200Bに備えられていたセパレータ層200Bdからなるセパレータ209と、それ以外の部分からなる基材テープ210とに分離される。基材テープ210はリール部材215aに巻き取られていき、所定の長さになったらカッタ227によって切断を行う。一方、セパレータ209は、リール部材217aによって巻き取られ回収される。以上の結果、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次形成された上記基材テープ210がリール部材215aに巻回され、基材テープロール215が作製される。
【0048】
図2(a)は、第1テープ200Aの詳細断面構造を表す図1中P−P断面による横断面図である。第1テープ200Aは、この例では4層構造となっており、第1テープロール211の外側に巻かれる側(図2(a)中下側)よりその反対側(図2(a)中上側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着材層200Aa、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのテープ基材層200Ab、適宜の粘着材からなる粘着材層200Ac、カットマーク付きセパレータ層200Adの順序で積層され構成されている。なお、このセパレータ層200Adは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着材層200Acにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
【0049】
図2(b)は、無線タグTgの詳細断面構造を表す図1中Q−Q断面による横断面図である。図2(b)において、無線タグTgは、略シート状のタグ基材160と、このタグ基材160の裏側(図2(b)中下側)に設けられ、情報の送受信を行うタグ側アンテナ152と、このタグ側アンテナ152に接続するように情報を更新可能に(書き換え可能rewritableに)記憶するIC回路部151(後述の図5参照)を備えたICチップ保持部材161とを備えている。なお、上記タグ側アンテナ152及びIC回路部151によって無線タグ回路素子Toが構成されている。
【0050】
図2(c)は、第2テープ200Bの詳細断面構造を表す図1中R−R断面による横断面図である。第2テープ200Bは、この例では4層構造となっており、外側に巻かれる側(図2(c)中上側)よりその反対側(図2(c)中下側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着材層200Ba、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのテープ基材層200Bb、適宜の粘着材からなる粘着材層200Bc、セパレータ層200Bdの順序で積層され構成されている。なお、このセパレータ層200Bdは、最終的に上記リール部材217aに巻回され、セパレータロール217として回収される。
【0051】
図3は、上記のようにして作成された基材テープ210の詳細断面構造を表す図1中S−S断面による横断面図である。基材テープ210は、上記4層構造の第1テープ200Aと4層構造の第2テープ200Bとの間に無線タグTgが挿入配置された後、前述のようにセパレータ層200Bdがリール部材217aで巻き取られて除去されることでこの例では10層構造となっている。すなわち、リール部材215aの外側に巻かれる側(図3中上側)よりその反対側(図3中下側)へ向かって、上記セパレータ層200Ad、粘着材層200Ac、テープ基材層200Ab、粘着材層200Aa、タグ基材160、タグ側アンテナ152、ICチップ保持部材161、粘着材層200Ba、テープ基材層200Bb、粘着材層200Bcの順序で積層され構成されている。
【0052】
図4は、上記高周波回路274の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路274は、コントローラ230により切り替えられるアンテナスイッチ(切替)回路341と、このアンテナスイッチ回路341を経てアンテナ271,272を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ271,272により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
【0053】
アンテナスイッチ回路341は、周知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、コントローラ230からの選択信号によりアンテナ271,272のいずれかを送受分離器34に接続するものである。
【0054】
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151(後述の図5参照)の無線タグ情報にアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路275から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路275からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波(無線タグ情報)を、コントローラ230からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯やマイクロ波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナスイッチ回路341を経てアンテナ271,272いずれかに伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0055】
受信部33は、アンテナ271,272により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算し復調する受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ271,272により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に位相が90°遅れた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路275に入力されて処理される。
【0056】
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路275に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグテープロール製造装置では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0057】
図5は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図5において、無線タグ回路素子Toは、タグテープロール製造装置側のアンテナ271,272とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
【0058】
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
【0059】
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグテープロール製造装置側のアンテナ271,272からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152が受信した搬送波を変調し、アンテナ152より反射波として再送信する。
【0060】
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0061】
クロック抽出部156は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部155にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部155に供給する。
【0062】
ここで、上記構成である本実施形態のタグテープロール製造装置の最も大きな特徴は、タグ挿入器226により取り付けられる無線タグTgの無線タグ回路素子Toの(書き込み時及び読み取り時における)タグ感度を検査し、その検査結果を当該検査した無線タグ回路素子Toを有する無線タグTgの次に取り付けられる無線タグTgの無線タグ回路素子To(検査結果記憶用無線タグ回路素子)に書き込みつつ、タグテープロールを製造することにある。以下、この詳細について説明する。
【0063】
図6は、上記コントローラ230で実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0064】
この図6において、まずステップS101において、基材テープ210の上記リール部材215aへの巻き回し作業が完了したかどうかを判定する。この判定は、例えば上記巻き回し作業を終えた操作者により、図示しない操作手段等を介し巻き回し作業が完了した旨の操作信号が入力されたかどうかを判定することにより行われる。巻き回し作業が完了した場合には判定が満たされて次のステップS102に移る。
【0065】
ステップS102では、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグのナンバー(順番)を表す識別子jを1に、アンテナ271を介して無線通信による情報(タグ感度)の書き込みが行われたタグ数を表す識別子k及びフラグF1,F2(後述)を0にリセットする。
【0066】
次のステップS103では、図示しない操作手段等を介し入力された基材テープの作成開始の旨の操作信号に応じ、テープ駆動を開始する。すなわち、搬送ローラ駆動回路235に制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動力によって第1テープ200A、第2テープ200Bを第1テープロール211及び第2テープロール213から繰り出し駆動させる。なおこのとき併せて、第1及び第2テープ駆動回路231,232と基材テープ駆動回路233及びセパレータ駆動回路234にも制御信号が出力され、第1及び第2テープ軸駆動モータ212,214と基材テープ軸駆動モータ216及びセパレータ軸駆動モータ218も駆動される。これにより、第1テープロール211から第1テープ200Aが繰り出されるとともに第2テープロール213から第2テープ200Bが繰り出されて、貼り合わせローラ225A,225Bで貼り合わされて一体化され、搬送ローラ219A,219B側へと搬送される。
【0067】
なお、本フロー中には特に記載していないが、上記ステップS103でテープ駆動を開始する際には、第1及び第2テープ軸駆動モータ212,214と基材テープ軸駆動モータ216及びセパレータ軸駆動モータ218のモータ速度を制御すると共に、エアシリンダ262A〜Dでテンションアーム267A〜Dを回動させ、角度センサ268A〜Dで検出したテンションアーム267A〜Dの角度から算出したテープ搬送時における各テープ200A,200B,209,210の張力が適宜の値となるように張力制御(以下適宜、「駆動時テープ張力制御」と記載する)を行う。なお、この駆動時テープ張力制御は、テープ駆動中において常時行われるようになっている。
【0068】
次のステップS104では、リール部材215aで巻き取られていく基材テープ210が、所定の巻取終了位置に達したかどうかを判定する。具体的には、基材テープ210中の無線タグTgの取り付け個数が所定の個数に達したかどうかによって判定を行う。例えば40個の無線タグTgが取り付けられたかどうかによって判定を行う。通常の巻取開始直後はこの判定が満たされず、次のステップS105に移る。
【0069】
ステップS105では、上記のようにして搬送されるテープが無線タグTgを挿入されるべき所定の位置になったかどうかを判定する。このときの判定は、前述した第1テープ200Aのセパレータ層200Ad表面の所定箇所に例えば等ピッチで設けられた図示しないマークのフォトセンサ228による検出結果に基づき行えばよい。判定が満たされたら、ステップS106に移る。
【0070】
ステップS106では、搬送ローラ駆動回路235に再び制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動を停止させて第1テープロール211及び第2テープロール213からの第1テープ200A、第2テープ200Bの繰り出し駆動を停止させる。なおこのとき、第1及び第2テープ軸駆動モータ212,214と基材テープ軸駆動モータ216及びセパレータ軸駆動モータ218については、上記駆動時テープ張力制御によって自動的に駆動停止することとなる。
【0071】
なお、本フロー中には特に記載していないが、上記ステップS106でテープ駆動を停止する際には、このようにしてテープ駆動が停止した際にテープの位置ずれが生じないようにするために、供給側である第1テープ200A及び第2テープ200Bの張力が、巻取側である基材テープ210とセパレータ209の張力と略等しくなるように張力制御(以下適宜、「停止時テープ張力制御」と記載する)を行う。
【0072】
次のステップS107では、テープ搬送により無線タグTg(無線タグ回路素子To)が上記アンテナ271による書き込み位置に到達したかどうかを示すフラグF1が、到達していないことを示す0であるかどうかを判定する。具体的には、無線タグTgが書き込み位置に到達したかどうかは、タグ挿入器226により取り付けた無線タグTgのナンバーjがN1に到達したかどうか(後述のステップS115参照)により判定される。なお、上記N1は、タグ挿入器226により所定の間隔で無線タグTgが取り付けられた際に、タグ挿入器226による無線タグTgの取り付け位置からアンテナ271による書き込み位置までの間に基材テープ210(第2テープ200B)に配設される無線タグTgの数であり、例えば10程度に設定される。そして、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグTgのナンバーjが上記N1となったときに初めて無線タグTg(無線タグ回路素子To)がアンテナ271による書き込み位置に到達するようになっている。フラグF1が0である場合には、無線タグTgが書き込み位置に到達していないと見なされ、判定が満たされて次のステップS108に移る。
【0073】
次のステップS108では、タグチェッカー270によって、タグ挿入器226により取り付けられる無線タグTgに備えられる無線タグ回路素子Toの読み取り時及び書き込み時におけるタグ感度を測定する。この無線タグ回路素子Toのタグ感度の測定は次のようにして行われる。すなわち、まずアンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、検査アンテナ272が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切替える。そして、上記高周波回路274の送信部32に備えられる可変送信アンプ39に「TX_PWR」信号を出力し、後述の図7に示すように送信部32の無線タグ回路素子Toに対するアクセスパワー(出力電力量)値を段階的に増加させつつ、信号処理回路275で生成した無線タグ情報としての「Scroll ID」信号を高周波回路274を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。その結果、無線タグ回路素子Toから返信があったときのアクセスパワーからタグ感度を算出する。このようにして、読み取り時におけるタグ感度を算出する。
【0074】
次に、書き込み時におけるタグ感度を測定する。上記と同様にして高周波回路274の送信部32に備えられる可変送信アンプ39に「TX_PWR」信号を出力し、後述の図8に示すように送信部32の無線タグ回路素子Toに対するアクセスパワー(出力電力量)値を段階的に増加させつつ、信号処理回路275で生成した「Program」信号を送信して情報の書き込みを行うとともにその書き込み内容を確認する「Verify」信号を送信して返信を促す。その結果、上記「Verify」信号に対応して無線タグ回路素子Toから返信があったときのアクセスパワーからタグ感度を算出する。このようにして、書き込み時におけるタグ感度を算出する。
【0075】
次のステップS109では、上記ステップS108で算出したタグ感度が所定の正常な範囲値内であるかどうかを判定する。タグ感度が正常な範囲値内でない場合には、判定が満たされずにステップS110に移り、タグ挿入器226に制御信号を出力して、上記正常でないと判定された無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTgの次の無線タグTgの取付準備を行わせる。そして、先のステップS108に戻り、再びタグ感度測定を行う。なお、上記正常でないと判定された無線タグTgについては例えばタグ挿入器226の外部に自動的に(又は操作者の操作により)排出され、第2テープ200Bに取り付けられないようになっている。一方、タグ感度が所定の正常な範囲値内である場合には、判定が満たされて次のステップS111に移る。
【0076】
ステップS111では、上記正常であると判定された無線タグ回路素子Toのタグ感度(j番目の無線タグTgに備えられる無線タグ回路素子Toのタグ感度)を上記メモリ276に保存する。
【0077】
次のステップS112では、上述したように所定のタグ挿入位置においてテープ駆動が停止した状態で、タグ挿入器226に制御信号を出力し、上記正常であると判定された無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTg(j番目の無線タグTg)を第2テープ200Bに取り付ける。なおこのとき、上記のようにタグが正常であれば自動的に無線タグTgを挿入するのではなく、挿入を行うかどうかを操作者に確認する表示を行い、これに対応した指示入力が操作者からなされた場合にのみ無線タグTgの挿入を行うようにしてもよい。
【0078】
次のステップS113では、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグのナンバー(順番)を表す上記識別子jに1を加算する。その後、ステップS114に移り、上記ステップS103と同様、搬送ローラ駆動回路235に制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動力によって第1テープ200A、第2テープ200Bの搬送駆動を再開する。なおこの場合にも、上記ステップS103の場合と同様にして、テープ搬送時において各テープ200A,200B,209,210の張力を調整する駆動時テープ張力制御を行う。
【0079】
次のステップS115では、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグのナンバー(順番)を表す上記識別子jが上記N1以上であるかどうかを判定する。識別子jがN1より少ない場合には、基材テープ210中の無線タグTg(無線タグ回路素子To)がアンテナ271による書き込み位置に到達していないと見なされ、判定が満たされずにステップS104に戻る。一方、上記ステップS104〜ステップS115を繰り返すことにより、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグのナンバー(順番)を表す上記識別子jがN1に達すると、基材テープ210中の無線タグTg(無線タグ回路素子To)がアンテナ271による書き込み位置に到達したと見なされ、判定が満たされて次のステップS116に移る。
【0080】
ステップS116では、無線タグTg(無線タグ回路素子To)がアンテナ271による書き込み位置に到達したかどうかを示す上記フラグF1を、到達していることを示す1にする。
【0081】
次にステップS117では、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグのナンバー(順番)を表す上記識別子jがN2以上であるかどうかを判定する。上記N2は、タグテープロール製造装置において、一巻きの第1テープロール211及び第2テープロール213より繰り出される第1テープ200A及び第2テープ200Bから製造される基材テープ210に取り付けられる無線タグTgの総数であり、上記識別子jがこのN2に達するとタグ挿入器226によるタグ取り付けが終了されるようになっている。上記識別子jがN2より少ない場合には、判定が満たされずにステップS104に戻る。一方、上記ステップS104〜ステップS117を繰り返すことにより、上記識別子jがN2に達すると、タグ挿入器226によるタグ取り付けが終了したと見なされ、判定が満たされて次のステップS118に移る。
【0082】
ステップS118では、タグ挿入器226によるタグ取り付けが終了したかどうかを示す上記フラグF2を、終了していることを示す1にし、先のステップS104に戻る。
【0083】
上記のステップS104〜ステップS115を繰り返し、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグのナンバー(順番)を表す上記識別子jがN1に達すると、上述したようにステップS116でフラグF1=1としてステップS104に戻る。これにより、先のステップS107で判定が満たされなくなり、次のステップS119に移る。
【0084】
ステップS119では、アンテナ271を介して無線通信による情報の書き込みが行われたタグ数を表す上記識別子kが0であるかどうかを判定する。最初の無線タグTgがアンテナ271の書き込み位置に到達したときには、書き込みが行われたタグ数は0であるので、判定が満たされてステップS120に移り、上記メモリ276からエンド情報を読み出す。なお、このエンド情報は、当該タグがタグテープロールに備えられる複数のタグ中の最終の順序位置にあるタグであることを示す情報であり、予めメモリ276に記憶されているものである。一方、書き込みが行われたタグ数が0でない場合には、判定が満たされずにステップS121に移り、メモリ276に記憶された各無線タグTg(無線タグ回路素子To)のタグ感度の中からk番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)のタグ感度情報を読み出す。その後、次のステップS122に移る。
【0085】
ステップS122では、上記ステップS120で読み出したエンド情報又はステップS121で読み出したk番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)のタグ感度情報を、k+1番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)に書き込む。このタグ感度情報の書き込みは次のようにして行われる。すなわち、まずアンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、アンテナ271が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切替える。そして、上記タグID及びタグ感度の情報を無線タグ回路素子ToのIC回路部151のメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路275に出力する。これに基づき信号処理回路275で「Program」信号が生成されて高周波回路274の送信部32及びアンテナ271を介してk+1番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)に送信され、そのIC回路部151のメモリ部157に情報が書き込まれる。
【0086】
なお、上記では、最初の無線タグTgに対し、エンド情報をメモリ276から読み込んで書き込むようにしたが、これに限られず、例えば信号処理回路275でエンド情報に対応する信号を生成して書き込むようにしてもよい。
【0087】
次のステップS123では、情報の書き込みが行われたタグ数を表す上記識別子kに1を加算して次のステップS124に移る。
【0088】
ステップS124では、タグ挿入器226によるタグ取り付けが終了したかどうかを示す上記フラグF2が、終了していることを示す1であるかどうかを判定する。フラグF2が0であればタグ取り付けは終了していないので、判定が満たされずに先のステップS108に戻る。フラグF2が1であればタグ取り付けが終了しているので、判定が満たされて先のステップS114に戻る。
【0089】
上記のようにしてステップS104〜ステップS107→ステップS119〜ステップS124→ステップS108〜ステップS117等を繰り返す間に、リール部材215aで巻き取られた基材テープロール215中の無線タグTgの取り付け個数が所定の個数に達したら、先のステップS104の判定が満たされ、次のステップS125に移る。
【0090】
ステップS125では、上記ステップS106と同様、搬送ローラ駆動回路235に再び制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動を停止させて第1テープロール211及び第2テープロール213からの第1テープ200A、第2テープ200Bの繰り出し駆動を停止させる。なおこのとき、上記ステップS106の場合と同様に、テープ駆動が停止した際における供給側である第1テープ200A及び第2テープ200Bの張力が巻取側である基材テープ210とセパレータ209の張力と略等しくなるように停止時張力制御を行う。
【0091】
次のステップS126では、ソレノイド駆動回路237に制御信号を出力してソレノイド236を駆動し、カッタ227を用いて基材テープ210を切断(分断)する。これにより、所定の長さの基材テープ210が巻回されたタグテープロール(以下、適宜タグテープロール215と記載する)が完成する。
【0092】
なお、上記では特に説明しなかったが、通常、最初にタグテープロールの製造作業を開始する際には、タグ挿入器226による無線タグTgの取り付け位置からリール部材215aによる基材テープ210の巻取り位置までには無線タグTgが取り付けられない余白部分(例えば10個程度の無線タグTg取付分の長さである)が存在する。この余白部分については、その余白部分が終了する位置(最初に無線タグTgが取り付けられた位置のややテープ搬送方向下流側位置)がカッタ227のところにきたとき、カッタ227で切断することにより、切除されるようになっている。その後、上記余白部分を切除された基材テープ210がリール部材215aに巻き回されると、ステップS101の判定が満たされてステップS102以降の手順によりタグテープロールの製造が開始される。
【0093】
その後、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグTgがテープ搬送によってアンテナ271による書き込み位置に到達するまでは、ステップS104〜ステップS115を繰り返す。最初の無線タグTgが書き込み位置に到達すると、ステップS116でフラグF1=1となるので、その後はステップS104〜ステップS107→ステップS119〜ステップS124→ステップS108〜ステップS117を繰り返す。これにより、タグ挿入器226により無線タグTgを取り付けつつ、k番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)のタグ感度をk+1番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)に書き込みながら、生成される基材テープ210をリール部材215aに巻き取る。このステップS104〜ステップS107→ステップS119〜ステップS124→ステップS108〜ステップS117を繰り返しつつ、所定の長さの基材テープ210をリール部材215aに巻き取ると、ステップS104の判定が満たされてステップS126で基材テープが切断され、一巻きのタグテープロールが出来上がる。その後、操作者によって切断後の基材テープ210のリール部材215aへの巻き回し作業が完了すると、ステップS101の判定が満たされて、再びステップS104〜ステップS107→ステップS119〜ステップS124→ステップS108〜ステップS117を繰り返し、タグ挿入器226により無線タグTgを取り付けつつ、k番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)のタグ感度をk+1番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)に書き込みながら、基材テープ210をリール部材215aに巻き取る。以上を繰り返すことで複数のタグテープロールが製造される。そして、上記ステップS104〜ステップS107→ステップS119〜ステップS124→ステップS108〜ステップS117を繰り返す間に、タグ挿入器226による無線タグTgの取り付けが終了するとステップS118でフラグF2=1となるので、その後はステップS104〜ステップS107→ステップS119〜ステップS124→ステップS114〜ステップS118を繰り返す。これにより、タグ取り付け終了後も、k番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)のタグ感度をk+1番目の無線タグTg(無線タグ回路素子To)に書き込む書き込み処理が行われ、所定の長さの基材テープ210をリール部材215aに巻き取ると、ステップS126で基材テープが切断され、最後のタグテープロールが出来上がる。
【0094】
図7は、上記ステップS108において読み取り時のタグ感度を測定する際に「Scroll ID」信号の出力を段階的に増加させることを説明するための図であり、図8は、同じく上記ステップS108において書き込み時のタグ感度を測定する際に「Program」信号及び「Verify」信号の出力を段階的に増加させることを説明するための図である。
【0095】
図9は、以上のようにして製造された上記タグテープロール215に備えられる無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157の記憶内容を概念的に示す図である。この図9に示すように、タグテープロール215から繰り出される基材テープ210に備えられる各無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157には、当該無線タグ回路素子Toの次に繰り出される無線タグ回路素子Toのタグ感度(書き込み/読み取り時)がそれぞれ記憶されている。また、タグテープロール215から最後に繰り出される無線タグ回路素子Toには、タグ感度情報の代わりにエンド情報が記憶されている。なお、最初に繰り出される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報については、後述するようにカートリッジ100の筐体100Aに設けられる無線タグ回路素子TAに記憶されるようになっている。
【0096】
以上のようにして製造されるタグテープロール215は、透明なカバーフィルムが巻回されたロール等とともに筐体に収納され、カートリッジ100(タグ集合体、第1カートリッジ)として形成される。このカートリッジ100を図示しないタグラベル作成装置に装着することにより、上記タグテープロール215を用いた無線タグラベルの作成が行われる。図10は、このカートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
【0097】
この図10において、カートリッジ100は、筐体100Aと、この筐体100A内に配置され帯状の上記基材テープ210が巻回された上記タグテープロール215と、上記基材テープ210と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された上記第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープで構成される場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ210と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープとしつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ107と、上記筐体100Aの外周面におけるタグラベル作成装置本体側のカートリッジアンテナ(図示せず)とほぼ向かい合う位置に設けられた無線タグ回路素子TAとを有する。
【0098】
前述したように、タグテープロール215は、リール部材215aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次配設された上記基材テープ210を巻回している。
【0099】
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ210と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
【0100】
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ(図示せず)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記圧着ローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
【0101】
無線タグ回路素子TAには、タグテープロール215に備えられる複数の無線タグ回路素子Toのうち、最初に繰り出される(言い換えればタグテープロールの製造時にタグ挿入器226により最後に取り付けられた)無線タグ回路素子Toのタグ感度がそのIC回路部151に記憶されている。これにより、タグラベル作成時に、タグラベル作成装置側の制御回路(図示せず)がこの無線タグ回路素子TAのタグ感度情報を読み込み高周波回路(図示せず)を制御することにより、タグテープロール215から最初に繰り出される無線タグ回路素子Toに対し最適な通信態様でアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ことができるようになっている。
【0102】
上記構成のカートリッジ100において、上記タグテープロール215より繰り出された基材テープ210は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ210と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されて当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
【0103】
そして、カートリッジ100がタグラベル作成装置本体のカートリッジホルダ部(図示せず)に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ210及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ(図示せず)の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述の圧着ローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、圧着ローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、タグテープロール215から基材テープ210が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(図示せず)が印刷される。そして、上記基材テープ210と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープとして形成され、カートリッジ100外へと搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。また、タグテープロール215の繰り出し近傍にはガイドローラ120が設けられており、タグテープロール215の残量により外径Dが変化しても装置側のアンテナ14と無線タグラベルTの位置関係が所定の範囲となるように規制するようになっている。
【0104】
以上において、信号処理回路275と高周波回路274とアンテナ271とが、請求項1記載の検査結果記憶用無線タグ回路素子に無線通信を介し書き込む書き込み手段を構成する。また、コントローラ230と信号処理回路275と送信部32とが、請求項11記載のタグ側アンテナの感度を検査するための送信出力を段階的に増加させる送信出力制御手段を構成する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態のタグテープロール製造装置においては、基材テープ210の製造時には、主として搬送ローラ219A,219Bの搬送駆動力により、第1テープ200Aが上記第1テープロール211より繰り出され貼り合わせローラ225A,225Bへと供給される。同様に、第2テープロール213より繰り出された第2テープ200Bも貼り合わせローラ225A,225Bへと供給される。そして、これら第1テープ200A及び第2テープ200Bが所定量搬送されるごとに一旦搬送が停止され、これら第1テープ200A及び第2テープ200Bが貼り合わせローラ225A,225Bで貼り合わされる上流側において、第2テープ200Bにタグ挿入器226により無線タグTgが取り付けられる。取付後、再び搬送が開始される。このようなテープの搬送及び停止を繰り返す間欠搬送駆動を行うことにより、無線タグTgが所定の間隔ごとに挿入される。そして、このような多層積層構造のテープが搬送ローラ219A,219Bよりさらに下流側に搬送されてローラ240A,240Bにおいてセパレータ209が分離除去され、それ以外の部分からなる基材テープ210がリール部材215aに巻き取られる。このようにして、無線タグ回路素子Toをテープ長手方向に所定等間隔で備えた基材テープ210を巻回したタグテープロールを製造する。
【0106】
このとき、本実施形態においては、上述したようにタグテープロールに所定順序で収容される複数の無線タグ回路素子Toのタグ特性(本実施形態ではタグ感度)をタグチェッカー270により検査し、その検査結果であるタグ特性情報を後続する(言い換えればテープ搬送方向上流側の)次の無線タグ回路素子Toに書き込み、タグテープロールを完成させる。その結果、タグラベル作成装置においてその完成したタグテープロールから基材テープ210を繰り出し、この基材テープ210に備えられる複数の無線タグ回路素子Toに対し無線通信によるアクセス(書き込み又は読み取り)を行うことにより無線タグラベルを作成する場合、先行して繰り出される無線タグ回路素子Toに後続して繰り出される無線タグ回路素子Toのタグ特性が記憶されていることになる。したがって、無線タグ回路素子Toへの情報読み取り又は書き込みを行う際に、予めこれより前の無線タグ回路素子Toより読み出された当該無線タグ回路素子Toのタグ特性情報を用いることで、当該特性に合致した態様(本実施形態ではタグ感度に合致したアクセスパワー値)で通信を行うことができる。したがって、無線タグ回路素子Toの製造時においてタグ特性値データにばらつきが生じていたとしても、タグラベル作成時には各無線タグ回路素子Toごとに通信態様を制御して最適な通信態様を実現することができる。この結果、例えば全無線タグ回路素子Toに対して一律のタグ特性値データにて通信を行う場合に比べて、エネルギの無駄や通信上の悪影響の発生を防止できる。
【0107】
また、本実施形態では特に、製造されるタグテープロールに所定順序で収容される複数の無線タグTgのうち、最初にリール部材215aに巻き取られる無線タグTgの無線タグ回路素子Toに対し、この無線タグ回路素子Toが最終の順序位置にあることを示すエンド情報を書き込む。これにより、タグラベル作成装置においてその完成したタグテープロールから基材テープ210を繰り出し、この基材テープ210に備えられる複数の無線タグ回路素子Toに対し無線通信によるアクセス(書き込み又は読み取り)を行うことにより無線タグラベルを作成する場合には、最終の無線タグ回路素子Toへ送受信を行う際に上記エンド情報を読み取ることにより、タグテープロールが終端となったことを検出することができる。
【0108】
また、本実施形態では特に、タグ挿入器226により取り付けられる無線タグ回路素子Toのタグ感度の検査をタグチェッカー270で行う際、アクセスパワー(出力電力量)値を段階的に増加させつつ「Scroll ID」信号(または「Program」「Verify」信号)を検査対象の無線タグ回路素子Toに送信し返信を促すようにする。すなわち、アクセス失敗となるような比較的小さい送信出力で無線タグ回路素子Toとの通信を実行した後、アクセス成功と判定されるまで送信出力を段階的に徐々に増加させる。これにより、必要最小限の送信出力で無線タグ回路素子Toの感度を検査することができ、エネルギの無駄の発生を抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態では特に、タグ挿入器226で無線タグ回路素子Toを第2テープ200Bに取り付ける前にタグチェッカー270でそのタグ感度を検査し、タグ感度が正常な値の範囲内にない場合には、当該無線タグ回路素子Toを有する無線タグTgを第2テープ200Bに取り付けないようにする。これにより、製造されるタグテープロールには所定の性能を有した無線タグTgのみを有することになり、無線通信機能の信頼性を向上することができる。
【0110】
なお、本発明は、上記一実施形態に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0111】
(1)自分タグの書き込み感度と次タグの読み出し感度情報を記憶させる場合
上記実施形態においては、タグ挿入器226により取り付けられる無線タグ回路素子Toの書き込み時及び読み取り時におけるタグ感度を検査し、その検査結果を当該検査した無線タグ回路素子Toの次に取り付けられる無線タグ回路素子Toに書き込むことにより、無線タグラベル作成の際には、前述の図9に示すように各無線タグ回路素子Toにその次に供給される無線タグ回路素子Toの書き込み及び読み取り時のタグ感度が記憶されるようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば各無線タグ回路素子Toに、当該無線タグ回路素子Toの書き込み時におけるタグ感度情報と、その次に供給される無線タグ回路素子Toの読み取り時におけるタグ感度情報とを記憶させるようにしてもよい。
【0112】
図11は、本変形例において製造されたタグテープロールに備えられる無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157の記憶内容を概念的に示す図であり、前述の図9に対応する図である。この図11に示すように、本変形例では、タグテープロールから繰り出される基材テープ210に備えられる各無線タグ回路素子Toには、当該無線タグ回路素子Toの書き込み時におけるタグ感度情報が記憶されるとともに、当該無線タグ回路素子Toの次に供給される無線タグ回路素子Toの読み取り時におけるタグ感度情報が記憶されている。
【0113】
本変形例のタグテープロールを作成する際には、前述した図6のフローチャート中のステップS121において、メモリ276からk番目の無線タグ回路素子Toのタグ感度(読み取り時)とk+1番目の無線タグ回路素子Toのタグ感度(書き込み時)を読み出すようにし、それらの情報を次のステップS122においてk+1番目の無線タグ回路素子Toに書き込むようにすればよい。
【0114】
本変形例によれば、製造したタグテープロールを用いて無線タグラベルを作成する場合に、タグテープロールより先行して供給される無線タグ回路素子Toから次の無線タグ回路素子Toの読み取り時のタグ感度情報の読み取りを行う際に、当該無線タグ回路素子Toの書き込み時のタグ感度情報を併せて読み取ることができるので、その読み取りを行った後に当該無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報の書き込みを行う際には、読み取った書き込み時のタグ感度情報を用いてタグ感度に合致したアクセスパワーで書き込みを行うことができる。
【0115】
(2)全タグの検査結果を1つのタグに記憶させる場合
上記実施形態では、各無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を当該無線タグ回路素子Toの次に取り付けられる無線タグ回路素子Toにそれぞれ書き込み、最後に取り付けられる無線タグ回路素子Toのタグ感度情報についてのみカートリッジ100の筐体100Aに設けられる無線タグ回路素子TAに記憶させるようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば製造されるタグテープロールに備えられる全ての無線タグ回路素子Toの感度情報を無線タグ回路素子TA(検査結果記憶用無線タグ回路素子)に一括して記憶させるようにしてもよい。
【0116】
この場合、前述した図6のフローチャート中のステップS119〜ステップS124における各無線タグ回路素子Toへの感度情報の書き込みを行わないようにし、全ての無線タグ回路素子Toの感度データをメモリ276に保存させておいて、製造したタグテープロールを収納したカートリッジ筐体100Aに設けた無線タグ回路素子TAにメモリ276から読み出した全タグの感度情報を一括して書き込むようにすればよい。
【0117】
本変形例においても、無線タグラベルを作成する際に、最初に筐体100Aに設けた無線タグ回路素子TAから全ての無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み出すことにより、各無線タグ回路素子Toに対し当該タグ特性に合致した態様で通信を行うことができる。
【0118】
なお、このようにタグテープロールに備えられる全無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を1つの無線タグ回路素子に書き込む場合、書き込み対象となるタグは上記カートリッジ筐体100Aに設けた無線タグ回路素子TAに限られない。すなわち、例えばタグテープロール製造時にタグ挿入器226で最後に取り付けられる無線タグ回路素子To(検査結果記憶用無線タグ回路素子)に書き込むようにしてもよい。この場合、タグラベル作成時にはその最後に取り付けた無線タグ回路素子Toが最初にタグテープロールから繰り出されることになるので、当該最初に繰り出される無線タグ回路素子Toから全ての無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み出せば、その後繰り出される各無線タグ回路素子Toに対し当該タグ特性に合致した態様で通信を行うことができる。
【0119】
(3)タグ集合体のバリエーション
上記実施形態では、タグ集合体の形態として、基材テープ210をリール部材215aの周りに巻回して製造したタグテープロールを筐体100A内に収納したいわゆるロール型のタグカートリッジを例にとって説明したが、これに限られない。例えば、図12に示すように、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置される長尺平紙状あるいは短冊状のテープ(またはシート)92となるように基材テープ210を切断しつつ、それらテープ92(ラベル素材、被取り付け材)を所定のトレイ部材91Aにスタックしてカートリッジ化したいわゆるトレイ型のカートリッジ91(第2カートリッジ)を製造するようにしてもよい。この場合、無線タグラベル作成時には、このカートリッジ91をタグラベル作成装置側のカートリッジホルダ(図示せず)に装着して、上記トレイ部材91Aからテープ92を移送、搬送して印字及び書き込みを行う。
【0120】
なお、本変形例において、上記(2)で説明したように、カートリッジ91に備えられる全ての無線タグ回路素子Toの感度情報をトレイ部材91Aに設けた無線タグ回路素子TA(検査結果記憶用無線タグ回路素子)に一括して記憶させるようにしてもよい。
【0121】
本変形例においても、無線タグラベルを作成する際に、各無線タグ回路素子Toに対し最適な通信態様で無線通信を行えるという上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0122】
さらに、特に図示して説明はしないが、上記実施形態のようなカートリッジ方式に限られず、製造したタグテープロール215を直接タグラベル作成装置側に装着する構成としてもよい。この場合、上記実施形態ではカートリッジ筐体100Aに設けた無線タグ回路素子TA(検査結果記憶用無線タグ回路素子)を、例えばタグテープロール215のリール部材215aに内蔵する構成とすればよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0123】
(4)その他
(i)タグ感度以外の特性情報を書き込む
上記実施形態では、無線タグ回路素子Toの特性の検査において、各無線タグ回路素子Toから返信があったときのアクセスパワーからタグ感度を算出し、このタグ感度情報を次の無線タグ回路素子Toに書き込むようにしたが、これに限られず、タグ感度を算出せずに、返信があったときのアクセスパワー情報をそのまま次の無線タグ回路素子Toに書き込むようにしてもよい。さらには、他のタグ特性情報として、無線タグ回路素子ToのIC回路部151のメモリ部157のメモリ書込電圧、書込時間などのアクセス条件等を書き込むようにしてもよい。この場合にも、無線タグラベル作成時に各無線タグ回路素子Toと無線通信を行う際に、先行する無線タグ回路素子Toからそれらアクセス条件を読み出し、そのメモリ書込電圧、書込時間などのアクセス条件に対応するように高周波回路21の送信部32を設定することにより、後続する当該無線タグ回路素子Toに対して各タグのアクセス条件に合致した通信態様でアクセスを行うことができる。
【0124】
(ii)次のタグでなく、複数おいて後続するタグに書き込む場合
上記実施形態では、各無線タグ回路素子Toのタグ感度を測定し、その測定結果を当該検査した無線タグ回路素子Toの次に取り付けられる無線タグ回路素子Toに書き込むようにしたが、これに限られない。すなわち、次でなくとも、例えば1つおき、または2つ以上おいて後続して取り付けられる無線タグ回路素子Toに対して書き込むようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0125】
(iii)ノンラミネートのタグテープロールを製造する場合
また、以上においては、無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ210とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせるいわゆるラミネート方式のタグテープロールを製造する場合を例に説明したが、これに限られず、基材テープに備えられたカバーフィルムに印字を行ういわゆるノンラミネートタイプのタグテープロールを製造する場合に本発明を適用してもよい。この場合、複数の無線タグ回路素子Toを感熱テープに設けてタグテープロールを製造し、無線タグラベルの作成時には、複数の発熱素子を有する印字ヘッドにより感熱テープの表面に印字を印刷するようにしてもよいし、上記実施形態のようなインクリボンを用いた印字としてもよい。
【0126】
なお、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Verify」信号、「Program」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0127】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0128】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態であるタグテープロール製造装置の全体概略構造を表す概念図である。
【図2】第1テープの詳細断面構造を表す図1中P−P断面による横断面図、無線タグの詳細断面構造を表す図1中Q−Q断面による横断面図、及び第2テープの詳細断面構造を表す図1中R−R断面による横断面図である。
【図3】本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態により作成された基材テープの詳細断面構造を表す図1中S−S断面による横断面図である。
【図4】本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態に備えられる高周波回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図5】無線タグ回路素子の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図6】本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態に備えられるコントローラで実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図7】読み取り時のタグ感度を測定する際に「Scroll ID」信号の出力を段階的に増加させることを説明するための図である。
【図8】書き込み時のタグ感度を測定する際に「Program」信号及び「Verify」信号の出力を段階的に増加させることを説明するための図である。
【図9】本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態により製造されたタグテープロールに備えられる無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部の記憶内容を概念的に示す図である。
【図10】本発明のタグ集合体製造装置の一実施形態により製造されたタグテープロールが収納されて形成されるカートリッジの詳細構造を説明するための説明図である。
【図11】自分タグの書き込み感度と次タグの読み出し感度情報を記憶させる場合の変形例における、製造されたタグテープロールに備えられる無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部の記憶内容を概念的に示す図である。
【図12】トレイ型カートリッジを用いる変形例におけるカートリッジの概念的斜視図である。
【符号の説明】
【0130】
32 送信部(送信出力制御手段)
91 カートリッジ(第2カートリッジ)
91A トレイ部材
92 テープ(ラベル素材、被取り付け材)
100 カートリッジ(タグ集合体、第1カートリッジ)
100A 筐体
151 IC回路部
152 タグ側アンテナ
200B 第2テープ(被取り付け材)
210 基材テープ(タグテープ)
215 タグテープロール
215a リール部材
226 タグ挿入器(タグ取り付け手段)
230 コントローラ(送信出力制御手段)
270 タグチェッカー(検査手段)
271 アンテナ(書き込み手段)
274 高周波回路(書き込み手段)
275 信号処理回路(書き込み手段、送信出力制御手段)
To 無線タグ回路素子(タグラベル用無線タグ回路素子、検査結果記憶用無線タグ回路素子)
TA 無線タグ回路素子(検査結果記憶用無線タグ回路素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタグラベル用無線タグ回路素子を所定順序で収容可能なタグ集合体を製造するためのタグ集合体製造装置であって、
前記複数の無線タグ回路素子の特性を検査する検査手段と、
この検査手段の検査結果を、前記タグ集合体に備えられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に無線通信を介し書き込む書き込み手段と
を有することを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項2】
請求項1記載のタグ集合体製造装置において、
前記書き込み手段は、前記検査手段で検査した前記無線タグ回路素子の特性を、前記タグ集合体に所定順序で収容された複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における前記検査した無線タグ回路素子に後続する前記無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項3】
請求項2記載のタグ集合体製造装置において、
前記書き込み手段は、前記検査手段で検査した前記無線タグ回路素子の特性を、前記順序配列における前記検査した無線タグ回路素子の次の前記無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項4】
請求項3記載のタグ集合体製造装置において、
前記書き込み手段は、前記タグ集合体に所定順序で収容された複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における最初の無線タグ回路素子に対し、この無線タグ回路素子が最終の順序位置にあることを示す位置情報を書き込むことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項5】
請求項1記載のタグ集合体製造装置において、
前記書き込み手段は、前記タグ集合体に収容された全ての前記タグラベル用無線タグ回路素子についての検査結果を前記タグ集合体に備えられた前記検査結果記憶用無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタグ集合体製造装置において、
前記タグ集合体は、前記タグラベル用無線タグ回路素子をテープ長手方向に所定の間隔で連続的に複数個配置したタグテープと、このタグテープをその外周側に巻回すリール部材と、それらタグテープ及びリール部材を内包する筐体とを備えた第1カートリッジであり、
前記検査結果記憶用無線タグ回路素子は、前記筐体に設けられている
ことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタグ集合体製造装置において、
前記タグ集合体は、前記タグラベル用無線タグ回路素子がそれぞれ設けられた平紙状の複数のラベル素材と、これら複数の平紙状のラベル素材を平積み方向に積層して収納するトレイ部材とを備えた第2カートリッジであり、
前記検査結果記憶用無線タグ回路素子は、前記トレイ部材に設けられている
ことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタグ集合体製造装置において、
前記タグ集合体は、前記タグラベル用無線タグ回路素子をテープ長手方向に所定の間隔で連続的に複数個配置したタグテープと、このタグテープをその外周側に巻回すリール部材とを備えたタグテープロールであり、
前記検査結果記憶用無線タグ回路素子は、前記リール部材に内蔵されている
ことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のタグ集合体製造装置において、
前記書き込み手段は、前記タグ集合体に所定順序で収容された複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子の順序配列における最後の無線タグ回路素子に対し、前記タグ集合体に収容された全ての前記タグラベル用無線タグ回路素子についての検査結果を書き込むことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のタグ集合体製造装置において、
前記タグラベル用無線タグ回路素子は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続され情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えており、
前記検査手段は、前記無線タグ回路素子の特性として前記無線タグ回路素子の感度を検査し、前記書き込み手段は、前記検査した無線タグ回路素子の感度情報を書き込むことを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項11】
請求項10記載のタグ集合体製造装置において、
前記検査手段は、前記無線タグ回路素子の感度を検査するための送信出力を段階的に増加させる送信出力制御手段を有することを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載のタグ集合体製造装置において、
複数の前記タグラベル用無線タグ回路素子を被取り付け材に対し所定間隔で取り付けるタグ取り付け手段を備え、
前記検査手段は、前記タグ取り付け手段で前記無線タグ回路素子を前記被取り付け材に取り付ける前にその特性を検査することを特徴とするタグ集合体製造装置。
【請求項13】
複数のタグラベル用無線タグ回路素子を所定順序で収容可能なタグ集合体を製造するためのタグ集合体製造方法であって、
前記複数の無線タグ回路素子の特性を検査し、
この検査結果を、前記タグ集合体に備えられた検査結果記憶用無線タグ回路素子に無線通信を介し書き込む
ことを特徴とするタグ集合体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−108892(P2007−108892A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297089(P2005−297089)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】