説明

タック除去方法及びタック除去剤組成物

【課題】
施工された室温湿気硬化型組成物の表面のタックを除去することによって、外観汚染がなく、防汚性に優れた表面を形成し得るタック除去方法及びタック除去剤組成物を提供する。
【解決手段】
施工された室温湿気硬化型組成物の表面をアルカリ水溶液で処理するようにした。前記アルカリ水溶液が無機塩水溶液であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タック除去方法及びタック除去剤組成物に関し、特に防汚性に優れた表面を形成し得るタック除去方法及びタック除去剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加水分解性珪素基を有する重合体並びにポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマー等を主成分とする室温湿気硬化型組成物は、柔軟性を有し接着性、耐候性がよいことから接着剤、シーリング材及び塗料などの広範な用途に使用される。しかしながら、この組成物はその配合組成や硬化条件等によっては、硬化後の表面にタックが残存することにより大気中の粉塵等が付着し外観を損なうなどの問題がある。
【0003】
この改善策として、硬化物の表面に汚れ付着防止剤(タック除去剤)を塗布する方法がある(特許文献1〜6)。しかしこれらは高価なフッ素重合体または有機錫化合物、有害な有機溶剤を用いるなど、コスト、環境面での問題点がある。一方、硬化性組成物中に汚れ付着防止効果を有する成分を含有する組成物が提示されている(特許文献7,8)。しかし、これらの組成物は、依然として汚れ付着防止効果が不十分であり、またこれらの成分が硬化物表面に移行し汚れ防止効果を発揮するまでに時間がかかり、その間に汚れが付着するという問題があった。
【特許文献1】特開平2−182767号公報
【特許文献2】特開平7−118572号公報
【特許文献3】特開平9−118843号公報
【特許文献4】特開平10−265716号公報
【特許文献5】特開2001−329210号公報
【特許文献6】特開2001−354950号公報
【特許文献7】特開平5−65400号公報
【特許文献8】特開平8−269315号公報
【特許文献9】特開昭53−134095号公報
【特許文献10】特開昭63−112642号公報
【特許文献11】特開2003−238795号公報
【特許文献12】特開2000−169544号公報
【特許文献13】特開2004−059782号公報
【特許文献14】特開2004−51830号公報
【特許文献15】特開2003−138151号公報
【特許文献16】特開2001−40037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来技術に伴う問題を解決するものであって、表面のタックを除去することによって外観汚染がなく、防汚性に優れた表面を形成し得るタック除去方法及びタック除去剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、本発明のタック除去方法は、施工された室温湿気硬化型組成物の表面をアルカリ水溶液で処理することを特徴とする。前記アルカリ水溶液が無機塩水溶液であることが好ましい。
【0006】
本発明のタック除去剤組成物は、室温湿気硬化型組成物の表面処理に用いられるアルカリ水溶液であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施工された室温湿気硬化型組成物の表面のタックを除去することができるので、屋外暴露における粉塵等の付着を防止するという効果を達成することができる。また、本発明によれば、優れた外観性と防汚性を有する塗料塗膜、シーリング材表面及び接着剤表面等を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0009】
本発明方法は、施工された室温湿気硬化型組成物の表面をアルカリ水溶液で処理することにより、該室温湿気硬化型組成物の表面のタック(べたつき)を除去することを特徴とする。本発明のタック除去剤組成物は本発明方法に使用可能なアルカリ水溶液であり、室温湿気硬化型組成物の表面を該組成物で処理することにより、室温湿気硬化型組成物の表面のタックを除去することができる。
【0010】
本発明において、アルカリ水溶液としては、アルカリ性の水溶液であれば特に限定はないが、pH9以上の水溶液が好ましい。アルカリ水溶液の成分としては、例えば、有機塩類、有機アミン類、無機塩類、金属酸化物、金属水酸化物などが挙げられる。有機塩類の具体例としては、オクチル酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン類の具体例としては、ブチルアミン、アミルアミン、アニリンなどが挙げられる。無機塩類の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。金属酸化物の具体例としては、酸化カルシウム、酸化ナトリウムなどが挙げられる。金属水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。この中で無機塩類を用いることが取扱いの容易性などの点から、より好適である。
【0011】
アルカリ水溶液には、その効果を損なわない範囲で他の成分、例えば界面活性剤、溶剤、可塑剤、増粘剤などを加えることができる。アルカリ水溶液に界面活性剤を加えることにより、湿気硬化型組成物への濡れ性を向上することができる。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。
【0012】
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
【0013】
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。
【0014】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104105、82、465、オルフィンSTGなど)、などが挙げられる。
【0015】
アルカリ水溶液による処理方法としては、スプレー等による散布、塗布、浸漬等の通常の塗装方法を用いることができる。本発明方法において、処理の時期は硬化型組成物の未硬化時でも硬化した後でもよいが、未硬化時の処理が防汚染性の点からより好ましい。
【0016】
本発明に用いられる前記室温湿気硬化型組成物としては、室温で湿気により硬化する組成物であれば特に限定されないが、加水分解性珪素基を有する重合体を含有する湿気硬化型組成物、並びにポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタン組成物等が好ましい。
【0017】
前記加水分解性珪素基を有する重合体としては、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる珪素含有基、すなわち加水分解性珪素基を含有する有機重合体が使用される。
【0018】
加水分解性珪素基は、特に限定はないが、分子内に1〜6個含まれるのが一般的である。加水分解性珪素基の位置は特に限定されず、有機重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよく、両方にあってもよいが、分子鎖末端にあることが好ましい。更に、加水分解性珪素基は、架橋しやすく製造しやすい下記一般式(1)で示されるものが好ましい。
【0019】
【化1】

【0020】
〔式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Rが複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。Xは水酸基又は加水分解性基であり、ハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基から選択される基が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が最も好ましい。Xが複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。nは1、2又は3であり、2が最も好ましい。〕
【0021】
前記加水分解性珪素基を有する重合体において、加水分解性珪素基が複数存在する場合、これらは同じであっても異なっていても良く、さらに、前記式(1)中のnの数も同じであっても異なっていても良い。また、含有される加水分解性珪素基の異なる有機重合体を2種以上用いても良い。
【0022】
前記加水分解性珪素基を有する重合体における重合体は、特に限定されないが、例えば、特許文献9〜16等に開示されているような、主鎖がそれぞれオルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン系重合体、ビニル変性ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体、ポリイソブチレン系重合体及びこれらの共重合体が好適な例として挙げることができ、(メタ)アクリル系重合体が特に好ましい。これら重合体(a)は1種のみで用いても良く、2種以上併用してもよい。具体的には、加水分解性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、加水分解性珪素基を有するアクリル系重合体、加水分解性珪素基を有するアクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体、並びにこれらの混合物が好適な例として挙げられる。
【0023】
前記加水分解性珪素基を有する重合体は、耐候性の点から、加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体を含むことが特に好ましい。該加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体を単独で用いることが耐候性の点からは好ましいが、作業性や伸び等の物性を向上させるためには、該加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体と他の加水分解性珪素基を有する有機重合体との混合物を用いることが好ましい。具体的には、耐候性の点からは、前記加水分解性珪素基を有する重合体が加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体、又は該加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体と他の加水分解性珪素基を有する有機重合体、好ましくは加水分解性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との混合物であり、重合体における加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体の含有割合が、10重量%〜100重量%であることが好ましく、50重量%〜100重量%であることがより好ましく、90重量%〜100重量%であることがさらに好ましい。また、伸び及び作業性等の物性の点からは、加水分解性珪素基を有する重合体における加水分解性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の含有割合が、10重量%〜100重量%であることが好ましく、30重量%〜100重量%であることがより好ましく、60重量%〜100重量%であることがさらに好ましい。
【0024】
前記加水分解性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体としては、加水分解性珪素基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系有機重合体がより好ましい。該加水分解性珪素基を末端に有する(メタ)アクリル系重合体の製造法は、特に限定されないが、制御ラジカル重合法が好ましく、リビングラジカル重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法がさらに好ましい。
【0025】
前記加水分解性珪素基を有する重合体の製造法は、特に限定されず、公知の合成法を利用することができる。前記加水分解性珪素基含有有機重合体として、加水分解性珪素基を含有し、主鎖がアクリル系重合体等のビニル系重合体であるものを用いる場合、ラジカル重合法で合成されたビニル系重合体を用いることが好ましい。
【0026】
ラジカル重合法は、重合開始剤として、アゾ系化合物、過酸化物等を用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる一般的なラジカル重合法と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することができる制御ラジカル重合法に分けられる。本発明においては、制御ラジカル重合法で合成されたビニル系重合体がより効果的である。
【0027】
制御ラジカル重合法は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行うことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる連鎖移動剤法と、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長するリビングラジカル重合法に分けられる。
【0028】
リビングラジカル重合法は、任意の分子量を有し、分子量分布が狭く、粘度の低い重合体を得ることができ、且つ特定の官能基を有するモノマーを任意の位置に導入することが可能であるため、特に好ましい。なお、本発明において、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合に加え、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合もリビング重合に含まれるものである。
【0029】
リビングラジカル重合法としては、コバルトポリフィリン錯体を用いる方法、ニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いる方法、有機ハロゲン化合物やハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)法等が挙げられる。リビングラジカル重合法は特に限定はされないが、原子移動ラジカル重合法が好ましい。なお、本発明において、リバース原子移動ラジカル重合法、即ち、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡を生み出す方法も原子移動ラジカル重合法に含まれるものである。
【0030】
連鎖移動剤法としては、ハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法や、水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法等が挙げられる。
【0031】
例えば、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として、アクリル系単量体を主成分とするビニル系単量体をラジカル重合することにより、ハロゲンを末端に有するアクリル系重合体が製造される。本発明で用いられる加水分解性珪素基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体は、該ハロゲンを末端に有するアクリル系重合体のハロゲンを加水分解性珪素基に変換することにより得ることができる。変換方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0032】
前記加水分解性珪素基を有する重合体の数平均分子量は3,000〜30,000が好ましく、5,000〜20,000が更に好ましく、一般に変成シリコーン樹脂と呼ばれるものを挙げることができる。これらの具体例としては、株式会社カネカ製の製品名サイリルSAT200、MSポリマーMA903等、旭硝子株式会社製の製品名エクセスターS3630等を挙げることができる。
【0033】
前記ポリイソシアネート化合物とは、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、一般的には1分子中にイソシアネート基を2〜5個含む化合物が好ましく、アルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基等にイソシアネートを2以上結合しているものがより好ましい。
【0034】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1)トリレンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)、3・3’−ジメチル−4・4’−ビフェニレンジイソシアネート、1・4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4・4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、1・4−シクロヘキシルジイソシアネート、1−メチル−2・4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、2・4・4−トリメチル−1・6−ジイソシアナト−ヘキサン等のジイソシアネート、2)4・4’・4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアナト)チオフォスフェート等のトリイソシアネート、3)前記イソシアネート類のウレタン化変性品、イソシアヌレート化変性品、カルボジイミド化変性品、ビューレット化変性品、粗製トリレンイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート等の多官能性イソシアネート等が挙げられる。
【0035】
前記ウレタンプレポリマーは、公知の複数のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを広く使用可能であり、前記各種有機ポリイソシアネート化合物と、ポリオール、ポリアミン等の1分子中に2個以上の活性水素を持つ公知の化合物とを公知の方法で反応させて得られる。ポリウレタンプレポリマー中には遊離イソシアネート基が残存している。
【0036】
1分子中に2個以上の活性水素を持つ公知の化合物としては、具体的には、ヒドロキシル基を2個以上、又はアミノ基を1個以上、又はメルカプト基を2個以上、又はヒドロキシル基とアミノ基を有する化合物、又はヒドロキシル基とメルカプト基を有する化合物があり、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、しょ糖等の多価アルコール,アニリン、トリレンジアミン、p,p’−ジアミノ−ジフェニルメタン等の芳香族アミン,エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族アミン,又はアルカノールアミン等が挙げられる。また、これら化合物あるいはこれら化合物の混合物にプロピレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合して得たポリエーテルポリオール類、前記ポリエーテルポリオール類のヒドロキシル基をアミノ基に変換して得られるポリエーテルポリアミン類が挙げられる。
【0037】
また、2個以上の活性水素を持つ公知の化合物として、例えば、ポリテトラメチレンエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリエチレンアジペートのようなポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、ヒマシ油のような高級脂肪酸のエステル類、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールにビニルモノマーをグラフトして得たポリマーポリオール類、一分子中に一個以上の活性水素を持つ公知のエチレン性不飽和単量体を共重合して得られる化合物、メルカプト基を有するエーテル類等が挙げられる。
【0038】
ウレタンプレポリマーの製造方法は公知の方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば、ポリイソシアネート化合物と活性水素を持つ化合物とを100℃にて数時間反応させて製造することができる。そのイソシアネート基含有量は0.5〜20重量%が好ましい。
【0039】
本発明において前記室温湿気硬化型組成物が、塗料、シーリング材又は接着剤であることが好ましい。前記加水分解性珪素基を有する重合体を含有する湿気硬化型組成物としては、例えば、セメダイン株式会社製のPOSシールLM、タイルエース等を挙げることができる。前記湿気硬化型ウレタン組成物としては、例えば、セメダイン株式会社製のS−750が挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0041】
タック除去剤組成物として以下の組成物1〜5を合成し下記の実施例に用いた。
組成物1:炭酸ナトリウム10gを水90gに溶解し、組成物1(pH11)を得た。
組成物2:炭酸ナトリウム1gを水99gに溶解し、組成物2(pH10)を得た。
組成物3:水酸化ナトリウム5gを水95gに溶解し、組成物3(pH13)を得た。
組成物4:ブチルアミン10gを水90gに溶解し、組成物4(pH10)を得た。
組成物5:2エチルヘキシル酸を水に100gに飽和になるまで溶解し(合成条件23℃、溶解度0.25g/100g)、組成物5(pH3)を得た。
【0042】
(実施例1〜4)
室温湿気硬化型組成物として、下記の塗料用組成物を合成した。
塗料用組成物:加水分解性珪素基を有する重合体として、(株)カネカ製の製品名サイリルSAT200を100重量部、充填剤として炭酸カルシウム(商品名ホワイトンSB、白石工業(株)製)250重量部、顔料として酸化チタン10重量部、可塑剤として分子量約3,000のポリプロピレングリコール100重量部、硬化触媒として日東化成(株)製ネオスタンU−100を2重量部、接着付与剤として信越化学工業(株)製KBM603を2重量部、それぞれ配合し、高粘度用混合撹拌機を使用して常温、減圧にて混合し、塗料用組成物を得た。
【0043】
前記塗料用組成物をスレート板にへらで1mm厚に塗布した後、該塗料用組成物に対してタック除去剤組成物をスプレー塗布して処理した。タック除去剤組成物及びスプレーの塗布時期(塗料用組成物の塗布直後又は塗布から1日後)の条件を表1に示す。スプレー塗布後、塗料用組成物を常温で1日硬化させ、タックの有無を指触により観察した。なお、実施例1〜10で用いた室温湿気硬化型組成物はいずれも塗布後1日で硬化するものであり、塗布から1日後のスプレー塗布は硬化後の処理である。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
(比較例1〜3)
比較例1及び2として、前記組成物1の代わりに組成物5(酸性水溶液、比較例1)、又は水(比較例2)で処理した以外は実施例1と同様の方法により試験を行った。比較例3として、スプレー塗布による処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法により試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例5〜7及び比較例4,5)
室温湿気硬化型組成物として、変成シリコーンシーリング材(POSシールLM、セメダイン(株)製)を用いて、実施例1と同様に実験を行った。タック除去剤組成物による処理条件を表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
(実施例8〜10及び比較例6,7)
室温湿気硬化型組成物として、ウレタンシーリング材(S750、セメダイン(株)製)を用いて、実施例1と同様に実験を行った。タック除去剤組成物による処理条件を表3に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
表1〜表3に示した如く、実施例1〜10では表面のタックが除去されたのに対し、比較例1〜7ではいずれもタックが著しく残っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工された室温湿気硬化型組成物の表面をアルカリ水溶液で処理することを特徴とするタック除去方法。
【請求項2】
前記アルカリ水溶液が無機塩水溶液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
室温湿気硬化型組成物の表面処理に用いられるアルカリ水溶液であることを特徴とするタック除去剤組成物。

【公開番号】特開2006−231303(P2006−231303A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53993(P2005−53993)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000108111)セメダイン株式会社 (92)
【Fターム(参考)】