説明

タッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置

【課題】タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができるタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置を提供する。
【解決手段】使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記タッチ検出電極に隣接して水滴の接触を検出する水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記使用者の操作の有無を判定する判定基準である検知閾値を設定変更することを特徴とするタッチスイッチ検出装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、タッチスイッチ検出装置に関し、具体的には静電容量方式のタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量方式のタッチスイッチ検出装置に使用者が水をこぼしたり、鍋から吹きこぼれた調理物がタッチキーにかかったりした場合の誤動作を防止するために、タッチキーの電極部の周辺に線状の水検出電極を設けたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1(特開2005−166392号公報)に記載された装置は、水検出電極の出力によって動作停止や報知などを行っている。
【0003】
ここで、静電容量方式のタッチスイッチ検出装置を給水装置などの水廻りの機器の操作スイッチとして使用する場合には、水がタッチ検出用電極の近傍に直接かかることを想定する必要がある。しかしながら、特許文献1(特開2005−166392号公報)に記載された装置において、タッチキーの近傍に水などが直接かかった場合には、その水などが水検出電極に接触することはない。そのため、この場合には誤作動を防止できないおそれがある。また、複数のタッチキーが配置されている場合には、隣接したタッチキー同士が水滴で繋がるおそれがある。この場合には、一方のタッチキーを操作しても、他方のタッチキーも操作されているように検出されるおそれがある。
【特許文献1】特開2005−166392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができるタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記タッチ検出電極に隣接して水滴の接触を検出する水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記使用者の操作の有無を判定する判定基準である検知閾値を設定変更することを特徴とするタッチスイッチ検出装置が提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、使用者の接触による静電容量の変化を検出する複数のタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する複数の水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、最大の絶対値を有する検出出力を出力した前記タッチ検出電極に関する操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、使用者の接触による静電容量の変化を検出する複数のタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する複数の水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記タッチ検出電極とそれに隣接するタッチ検出電極との検出出力同士の差分の絶対値が、使用者の操作が有ったか否かを判定する判定基準である差分閾値の範囲内となったときに、前記隣接するタッチ検出電極の前記使用者の操作は無かったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、上記のいずれかのタッチスイッチ検出装置と、給水流路を開閉する電磁弁と、前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする給水装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができるタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記タッチ検出電極に隣接して水滴の接触を検出する水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記使用者の操作の有無を判定する判定基準である検知閾値を設定変更することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、タッチ検出電極に隣接して水検出電極が配設されているため、水を検出する水検出電極によりタッチ検出電極の周辺部に水があることを検出できる。そのため、水の影響を考慮したタッチ検出電極の検出が可能となり、水滴などによる誤動作を防止できる。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記タッチ検出電極は、複数設けられ、前記水検出電極は、前記タッチ検出電極同士の間に隣接してそれぞれ設けられ、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、水滴が付いたことを検出した前記水検出電極に隣接する前記タッチ検出電極の前記検知閾値を設定変更することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。 このタッチスイッチ検出装置によれば、それぞれのタッチ検出電極が水により繋がっていても、それぞれのタッチ検出電極の間に水検出電極が配設されているため、その間にある水を的確に検出できる。それにより、複数電極を同時に押した操作などのように、使用者が操作したタッチ検出電極をより的確に判断することができる。
【0012】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記操作判定部は、前記タッチ検出電極の検出出力の絶対値が前記検知閾値の絶対値以上である場合に、前記使用者の操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、水検出電極により周辺部に有る水を判断して、その状態に応じてタッチ検出電極の検出出力を判断する。そのため、そのタッチ検出電極の検出出力のアナログ値に応じた演算を行うことなく、その絶対値が検知閾値の絶対値以上である場合に限って使用者の操作が有ったと判定できるため、複雑な信号処理をしなくても簡略的に人の操作と水滴の付着とをより的確に判断することができる。
【0013】
また、第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、水滴が付いたことを検出していない場合よりも大きい絶対値を有する検知閾値に設定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、水検出電極が水の付着を検出すると、タッチ検出電極と水検出電極とが繋がっている可能性があり、タッチ検出電極の見かけ上の面積が増加したようになるので、それを補正した検知閾値に設定する。これにより、その操作による静電容量が大きくなっても、良好な操作性を維持したままで水滴による誤作動をより的確に防止することができる。
【0014】
また、第5の発明は、使用者の接触による静電容量の変化を検出する複数のタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する複数の水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、最大の絶対値を有する検出出力を出力した前記タッチ検出電極に関する操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、二以上のタッチ検出電極に繋がって水滴が付いた場合には、複数のタッチ検出電極に検出出力が生じる。このとき、その操作した指からの距離が離れるにつれて、そのタッチ検出電極の検出出力が小さくなる。そのため、最大の絶対値を有する検出出力を出力したタッチ検出電極を、使用者が操作したタッチ検出電極と推定することにより、操作を的確に判断することができる。
【0015】
また、第6の発明は、使用者の接触による静電容量の変化を検出する複数のタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する複数の水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記タッチ検出電極とそれに隣接するタッチ検出電極との検出出力同士の差分の絶対値が、使用者の操作が有ったか否かを判定する判定基準である差分閾値の範囲内となったときに、前記隣接するタッチ検出電極の前記使用者の操作は無かったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、絶対値でなく相対値で判断するので、絶対値で判断する場合よりも温度等の変化に強く、より的確に操作を判断することができる。
【0016】
また、第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明のタッチスイッチ検出装置と、給水流路を開閉する電磁弁と、前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする給水装置である。
この給水装置によれば、水滴がタッチ検出電極にかかっても、より正確な操作判断をして吐水動作を行うことができる。
【0017】
また、第8の発明は、第7の発明において、前記操作判定部は、前記電磁弁の開閉状態に応じて、前記検知閾値を設定変更することを特徴とする給水装置である。
この給水装置によれば、水滴がかかりやすい機器の状況に応じて検知閾値を変更できるため、より正確な操作判断を行うことができる。
【0018】
また、第9の発明は、第8の発明において、前記操作判定部は、前記電磁弁が開状態の場合は、前記電磁弁が閉状態の場合よりも大きい絶対値を有する検知閾値に設定することを特徴とする給水装置である。
この給水装置によれば、電磁弁が開状態の場合には、タッチ検出電極に水がかかりやすく、また止水するときに濡れた手で操作されることが多いため、そのタッチ検出電極の操作に関する水滴の影響を考慮してより正確な操作判断を行うことができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置のタッチスイッチ部を例示する模式図である。
なお、図1(a)は、タッチスイッチ部の表面側から眺めた模式図であり、図1(b)は、タッチスイッチ部の側面から眺めた模式図である。
【0020】
タッチスイッチ部200は、タッチ検出電極210a、210b、210cと、水検出電極220a、220b、220c、220dと、スイッチ表示部230a、230b、230cと、タッチパネル240と、を有している。タッチ検出電極210a、210b、210cは、タッチパネル240の裏面側に設けられている。また、スイッチ表示部230a、230b、230cは、タッチパネル240の表面側であって、タッチ検出電極210a、210b、210cのそれぞれに対応する位置(図1(b)において直上の位置)に設けられている。
【0021】
水検出電極220a、220b、220c、220dは、タッチ検出電極と同様に、タッチパネル240の裏面側に設けられている。水検出電極220aは、図1においてタッチ検出電極210aの左側方に設けられている。一方、水検出電極220dは、図1においてタッチ検出電極210cの右側方に設けられている。また、水検出電極220bは、タッチ検出電極210aとタッチ検出電極210bとの間に設けられている。一方、水検出電極220cは、タッチ検出電極210bとタッチ検出電極210cとの間に設けられている。
【0022】
タッチ検出電極210a、210b、210cは、後に詳述するように、使用者の接触による静電容量の変化を検出する。また、水検出電極220a、220b、220c、220dは、水の接触を検出する。使用者がタッチパネル240の表面側からスイッチ表示部230a、230b、230cに触れると、タッチ検出電極210a、210b、210cは、指との静電容量結合を介して検出を行う。
【0023】
図2は、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置およびこれを用いた給水装置を例示する模式図である。
本実施形態のタッチスイッチ検出装置100は、タッチスイッチ部200(図1参照)と、使用者の操作の有無を判定する操作判定部300と、を備えている。また、操作判定部300は、切替回路310と、発振回路320と、検波回路330と、LPF(Low Pass Filter)340と、増幅回路350と、制御部360と、電磁弁駆動回路370と、を有している。
【0024】
切替回路310は、制御部360からの指示を受け、タッチ検出電極210a、210b、210cと、水検出電極220a、220b、220c、220dと、のそれぞれの回路を所定時間間隔で切り替えている。また、発振回路320は高周波信号を出力し、その高周波信号に基づいて高周波電圧を形成してタッチ検出電極210a、210b、210cと、水検出電極220a、220b、220c、220dと、のそれぞれに印加する。使用者がタッチ検出電極210a、210b、210cのいずれにも指で触れていない場合には、タッチ検出電極210a、210b、210cに印加される高周波電圧の電圧振幅(発振強度)は変化せず、検波回路330へ出力される。
【0025】
これに対して、使用者がタッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに指で触れている場合には、指で触れているタッチ検出電極と大地との間の静電容量が変化する。その結果、指で触れているタッチ検出電極に印加される高周波電圧の電圧振幅(発振強度)は静電容量の変化に応じて変化し、検波回路330へ出力される。検波回路330は、タッチ検出電極210a、210b、210cの電圧値を検知信号としてLPF340へ出力する。
【0026】
LPF340へ出力された検知信号は、高周波帯域の電圧が除去されて増幅回路350に出力される。増幅回路350に出力された検知信号は、増幅された状態で制御部360に出力される。制御部360は、この検知信号(検出出力)をA/D(アナログ・ディジタル変換器)変換し、その変換結果に基づき電磁弁駆動回路370に制御指令を与えている。
【0027】
本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、例えば給水装置などに用いられる。図2に表した給水装置500は、タッチスイッチ検出装置100と、電磁弁520と、吐水口530と、を備えている。ここで、タッチ検出電極210aは例えば「湯/水切替スイッチ」、タッチ検出電極210bは例えば「流量調整スイッチ」、タッチ検出電極210cは例えば「吐水/止水切替スイッチ」、としての機能を有することができる。
【0028】
制御部360は、タッチ検出電極210a、210b、210cから出力された信号に基づいて、使用者の操作の有無を判断し、電磁弁駆動回路370に吐止水動作を指示する。電磁弁駆動回路370は、制御部360から出力された指示に基づいて電磁弁520の開閉動作を駆動する。これにより、給水装置500の吐水口530からの吐水が制御される。
【0029】
図3は、タッチ検出電極の乾いたタッチ動作時に出力された増幅回路後の電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
図3に表したグラフ図の縦軸は電圧値(100mV/div)を表し、横軸は時間(50ms/div)を表している。
【0030】
使用者がタッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに乾いた指で触れると、図2に関して前述したように、指で触れているタッチ検出電極と大地との間の静電容量が変化し、そのタッチ検出電極から出力された電圧値の検知信号は変化する。また、タッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに乾いた指で触れた場合、指先の変化に伴って、指で触れているタッチ検出電極に対する指の接触面積が徐々に大きくなっていくため、そのタッチ検出電極から出力された電圧値は下がることになる。その後、この電圧値は増幅回路350にて反転増幅される。そのため、図3に表したグラフ図のように、指で触れているタッチ検出電極から出力され、増幅回路350を介した電圧値(検出出力)は徐々に上昇していく。なお、増幅回路350が反転増幅ではなく、非反転増幅を行う場合には、使用者がタッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに指で触れると、増幅回路350を介した電圧値は低下していく。すなわち、増幅回路350が反転増幅を行うか、あるいは非反転増幅を行うかによって、使用者がタッチ検出電極に指で触れた場合の増幅回路350を介した電圧値が上昇するか否かが決まる。これは、タッチ検出電極に水滴が付いた場合(図4参照)、あるいは濡れたタッチ検出電極を指で押した(図5参照)についても同様である。以下、増幅回路350が反転増幅を行う場合を例に挙げて説明する。
【0031】
使用者がタッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに指で触れている場合には、指で触れているタッチ検出電極と大地との間の静電容量が変化した(大きくなった)ままの状態となる。そのため、図3に表したグラフ図のように、指で触れている間には、タッチ検出電極から出力された電圧値は上昇したままで略一定となる。
【0032】
その後、使用者が触れているタッチ検出電極から乾いた指を離すときも、指先の変形に伴ってタッチ検出電極に対する指の接触面積が徐々に小さくなっていくため、そのタッチ検出電極から出力された電圧値は徐々に低下していく。乾いた指がタッチ検出電極から完全に離れると、そのタッチ検出電極から出力された電圧値は、図3に表したグラフ図のように、乾いた指で触れる前の電圧値まで低下し略一定となる。
【0033】
図4は、タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いたときに出力された増幅回路後の電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
なお、図4に表したグラフ図の縦軸および横軸は、図3に表したグラフ図と同様に、それぞれ電圧値(100mV/div)および時間(50ms/div)を表している。
【0034】
タッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに水滴が付くと、水滴が付いたタッチ検出電極と水滴との間の静電容量が変化し、そのタッチ検出電極から出力された電圧値の検知信号は変化する。タッチ検出電極に水滴が付いた場合には、乾いた指で触れる場合と比較すると、タッチ検出電極に対する水滴の接触面積は速く広がる。そのため、図4に表したグラフ図のように、水滴が付いたタッチ検出電極から出力された電圧値の変化率(上昇率)は、乾いた指で触れた場合の上昇率よりも大きい。
【0035】
ここで、水滴が付いたタッチ検出電極と水滴との間の静電容量は、指で触れているタッチ検出電極と大地との間の静電容量と比較すると小さいため、水滴がタッチ検出電極に付いたままの状態であっても、図4に表したように、電圧値は徐々に低下していく。これは、水滴が付いたタッチ検出電極と水滴との間の静電容量は比較的に小さいため、そのタッチ検出電極と水滴との間における放電が飽和する時間が比較的に短いためである。そのため、タッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに水滴が付いた場合には、乾いた指で触れた場合と略同じ電圧値まで上昇した後、その電圧値は徐々に低下していく。
【0036】
なお、水検出電極220a、220b、220c、220dの少なくともいずれかに水滴が付いた場合も、タッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに水滴が付いた場合と同様に考えることができる。
【0037】
図5は、濡れたタッチ検出電極を指で押したときに出力された増幅回路後の電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
図5に表したグラフ図の縦軸および横軸は、図3に表したグラフ図と同様に、それぞれ電圧値(100mV/div)および時間(50ms/div)を表している。
【0038】
使用者が濡れたタッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに指で触れると、水滴は触れたタッチ検出電極に対して素早く広がる。そのため、水滴が無い場合よりも大きい上昇率で電圧値は上昇する。さらに、指が水で濡れているため、濡れている分だけタッチ検出電極に対する見かけ上の接触面積は広がる。そのため、水滴が無い場合よりも静電容量が大きく、その結果、水滴が有る場合に使用者がタッチ検出電極に指で触れている間の電圧値は、図5に表したように、水滴が無い場合に指で触れている間の電圧値よりも大きい(図3参照)。
【0039】
その後、使用者が触れているタッチ検出電極から濡れた指を離すと、指に付いた水の一部はタッチ検出電極に残る。このとき、そのタッチ検出電極から濡れた指を離した直後では、水滴の表面張力によって、指とタッチ検出電極とは水滴を介して一定の高さまで接触した状態となる。そして、水滴の表面張力が壊れる臨界点において、そのタッチ検出電極と指とは急に離れる。タッチ検出電極に残った水と、そのタッチ検出電極と、の間における放電はすでに飽和しているため、乾いた指でタッチ検出電極を押した場合よりも大きい低下率で電圧値は低下する。
【0040】
図3および図4に関して説明したように、タッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかを乾いた指で押した場合の電圧値と、タッチ検出電極210a、210b、210cの少なくともいずれかに水滴が付いた場合の電圧値と、は略同じ電圧値まで上昇する。したがって、水滴がタッチ検出電極に付くと、操作判定部300は使用者の操作が有ったと判断して誤動作を生ずるおそれがある。そこで、本発明の一実施形態によれば、タッチ検出電極の検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断して、誤動作を防止することができる。以下、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
【0041】
図6は、タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。なお、図6(a)は、タッチ検出電極に乾いた指で押した状態を表す模式図であり、図6(b)は、水検出電極から出力された電圧値を表す模式図であり、図6(c)は、タッチ検出電極から出力された電圧値を表す模式図である。また、図6(b)および図6(c)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸は時間を表している。
【0042】
使用者がタッチ検出電極210を乾いた指で押すと、図6(c)に表したように、タッチ検出電極から出力された電圧値は徐々に上昇する。一方、水検出電極220a、220bから出力された電圧値は、図6(b)に表したように、使用者がタッチ検出電極210を乾いた指で押した場合でも上昇せずに略一定となる。これは、水検出電極220a、220bと指との静電容量結合が無視できるほど小さいためである。
【0043】
このような場合、本実施形態の操作判定部300は、使用者の操作が有ったか否かを判定する判定基準である検知閾値を変更しない。すなわち、予め設定された検知閾値であって、水滴が無い場合の検知閾値に基づいて、操作判定部300は、使用者の操作が有ったか否かを判定する。図6(c)に表したように、タッチ検出電極210から出力された電圧値の絶対値が検知閾値の絶対値以上となった場合には、操作判定部300は使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0044】
なお、予め設定された検知閾値であって、水滴が無い場合の検知閾値の絶対値は、低い値に設定しておくことがより好ましい。これにより、使用者の操作に対する感度がより良くなり、通常の操作感がより良くなる。
【0045】
図7は、タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いた場合を例示する模式図である。なお、図7(a)は、タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いた状態を表す模式図であり、図7(b)は、水検出電極から出力された電圧値を表す模式図であり、図7(c)は、タッチ検出電極から出力された電圧値を表す模式図である。また、図7(b)および図7(c)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸は時間を表している。
【0046】
図7(a)に表したように、例えば水検出電極220bに水滴が付くと、図7(b)に表したように、水検出電極220bから出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する。このとき、本実施形態の操作判定部300は、水検出電極220bから出力された電圧値が上昇したことを検知すると、水滴が無い場合の検知閾値よりも大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更することができる。
【0047】
一方、タッチ検出電極210に水滴が付いた場合も同様に、図7(c)に表したように、タッチ検出電極から出力された電圧値は上昇する。このとき、その電圧値の絶対値は水滴が無い場合の検知閾値の絶対値以上となるが、設定変更された検知閾値(水滴が有る場合の検知閾値)の絶対値以上とはならない。したがって、この場合には、操作判定部300は使用者の操作が無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
【0048】
なお、図4に関して前述したように、水滴がタッチ検出電極に付いたままの状態であっても電圧値は徐々に低下していくが、操作判定部300はこの電圧値の低下に伴って検知閾値の絶対値が低下しないようにすることができる。すなわち、設定変更した検知閾値をより大きい絶対値のままで保持することができる。そして、タッチ検出電極210および水検出電極220bから出力された電圧値が、水滴が付く前の電圧値まで低下すると、付いていた水滴が無くなったと考えることができる。そのため、出力された電圧値が、水滴が付く前の電圧値まで低下すると、設定変更した検知閾値の保持を解除し、予め設定された検知閾値であって、水滴が無い場合の検知閾値に設定することができる。
【0049】
図8は、濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。なお、図8(a)は、濡れたタッチ検出電極を指で押した状態を表す模式図であり、図8(b)は、水検出電極から出力された電圧値を表す模式図であり、図8(c)は、タッチ検出電極から出力された電圧値を表す模式図である。また、図8(b)および図8(c)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸は時間を表している。
【0050】
まず、図7に関して前述したように、例えば水検出電極220bおよびタッチ検出電極210に水滴が付いた場合には、図8(b)および図8(c)に表したように、出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する。この場合、検知閾値はより大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更されるため、タッチ検出電極210から出力された電圧値の絶対値が設定変更された検知閾値の絶対値以上となることはない。したがって、この状態においては、操作判定部300は使用者の操作は無かったと判定する。
【0051】
続いて、水滴が付いたタッチ検出電極210を使用者が指で押した場合には、図5に関して前述したように、そのタッチ検出電極210から出力された電圧値は、水滴が無い場合よりも大きい電圧値まで上昇する。したがって、図8(c)に表したように、その電圧値の絶対値が設定変更された検知閾値(水滴が有る場合の検知閾値)の絶対値以上となる場合がある。このように、タッチ検出電極210から出力された電圧値の絶対値が検知閾値の絶対値以上となった場合には、操作判定部300は使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0052】
水検出電極に水滴が付くことによって、検知閾値はより大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更されるが、使用者がタッチ検出電極を押したときの出力信号もより大きくなるため、操作感は乾いた指で押した場合と略同じである。すなわち、水検出電極に水滴が付いた場合にだけ、検知閾値をより大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更するため、本実施形態のタッチスイッチ検出装置100は、良好な操作性を維持したままで水滴による誤作動をより的確に防止することができる。
【0053】
次に、複数のタッチ検出電極が設けられた場合のタッチスイッチ検出装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図9は、タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。なお、図9(a)は、タッチ検出電極に乾いた指で押した状態を表す模式図であり、図9(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
また、図10は、濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。なお、図10(a)は、濡れたタッチ検出電極を指で押した状態を表す模式図であり、図10(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
図9(b)および図10(b)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸はタッチ検出電極および水検出電極の項目を表している。
【0054】
図9(a)に表したように、タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いていない場合に、例えばタッチ検出電極210aを乾いた指で押した場合には、図6に表した場合と同様に、タッチ検出電極210aから出力された電圧値は上昇する。その結果、その電圧値の絶対値は検知閾値の絶対値以上となるため、操作判定部300はタッチ検出電極210aに関する操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0055】
一方、図10(a)に表したように、タッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bに水滴が繋がって付いている場合に、例えばタッチ検出電極210aを押したときには、図10(b)に表したように、タッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bから出力された電圧値は上昇する。これは、タッチ検出電極210aと、水検出電極220bおよびタッチ検出電極210bと、が水滴により繋がっているためである。水滴により繋がっているため、使用者がタッチ検出電極210aに指で触れたことにより、水検出電極220bおよびタッチ検出電極210bと、大地と、の間の静電容量も変化する。
【0056】
そのため、使用者がタッチ検出電極210aのみを押した場合であっても、タッチ検出電極210bから出力された電圧値の絶対値が検知閾値の絶対値以上となる場合がある。この場合には、操作判定部は、使用者がタッチ検出電極210aと、タッチ検出電極210bと、を同時に押していると判断する。したがって、タッチスイッチ検出装置は、使用者の意図していない動作を行うおそれがある。
【0057】
これに対して、本実施形態の操作判定部300は、水検出電極から出力された電圧値が上昇したことを検知すると、その水検出電極に隣接するタッチ検出電極の検知閾値をより大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更することができる。したがって、タッチ検出電極210bから出力された電圧値が上昇したとしても、図10(b)に表したように、その電圧値の絶対値は設定変更された検知閾値の絶対値以上とはならない。したがって、操作判定部300はタッチ検出電極210bに関する操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
【0058】
また、使用者はタッチ検出電極210aを押しているため、図10(b)に表したように、タッチ検出電極210aから出力された電圧値の絶対値は設定変更された検知閾値の絶対値以上となる。これは、濡れている分だけタッチ検出電極210aに対する見かけ上の接触面積が広がるためである。したがって、操作判定部300は、タッチ検出電極210aに関する操作は有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0059】
これにより、操作判定部300は、タッチ検出電極210bに関する操作は無かったと判定し、タッチ検出電極210aに関する操作のみが有ったと判定することができる。隣接するタッチ検出電極に水滴が繋がって付いている場合であっても、本実施形態の操作判定部300は、使用者の操作をより的確に判断することができる。
【0060】
図11は、隣接するタッチ検出電極を乾いた指で同時に押した場合を例示する模式図である。なお、図11(a)は、隣接するタッチ検出電極に乾いた指で同時に押した状態を表す模式図であり、図11(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
また、図12は、隣接する濡れたタッチ検出電極を指で同時に押した場合を例示する模式図である。なお、図12(a)は、隣接する濡れたタッチ検出電極を指で同時に押した状態を表す模式図であり、図12(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
図11(b)および図12(b)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸はタッチ検出電極および水検出電極の項目を表している。
【0061】
図11(a)に表したように、タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いていない場合に、例えばタッチ検出電極210aおよび210bを乾いた指で同時に押した場合には、タッチ検出電極210aおよび210bから出力された電圧値は上昇する。その結果、それらの電圧値の絶対値は検知閾値の絶対値以上となるため、操作判定部300はタッチ検出電極210aおよび210bが同時に押されたと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0062】
一方、図12(a)に表したように、例えばタッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bに水滴が繋がって付いている場合には、本実施形態の操作判定部300は、水検知電極220bに隣接するタッチ検出電極210aおよび210bの検知閾値をより大きな絶対値を有する検知閾値に設定変更する。このとき、使用者が例えばタッチ検出電極210aおよび210bを同時にした場合には、タッチ検出電極210aおよび210bから出力された電圧値の絶対値は、設定変更された検知閾値の絶対値以上となる。これは、濡れている分だけタッチ検出電極210aおよび210bに対する見かけ上の接触面積が広がるためである。したがって、この場合においても、操作判定部300はタッチ検出電極210aおよび210bが同時に押されたと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0063】
このように、操作判定部300は、水滴が付いた水検出電極に隣接するタッチ検出電極の検知閾値をより大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更することができる。これにより、例えばタッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bに水滴が繋がって付いている場合であっても、使用者が隣接するタッチ検出電極を同時に押しているか否かをより的確に判断することができる。
【0064】
図13は、濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。なお、図13(a)は、濡れたタッチ検出電極を指で押した状態を表す模式図であり、図13(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
図13(b)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸はタッチ検出電極および水検出電極の項目を表している。
【0065】
図13(a)に表したように、例えばタッチ検出電極210a、210b、210cおよび水検出電極220b、220cに水滴が繋がって付いている場合には、本実施形態の操作判定部300は、水検知電極220b、220cに隣接するタッチ検出電極210a、210b、210cの検知閾値をより大きな絶対値を有する検知閾値に設定変更する。これにより、前述したように、使用者が例えばタッチ検出電極210aを押した場合であっても、タッチ検出電極210b、210cに関する操作は無かったと判定し、タッチ検出電極210aに関する操作のみが有ったと判定することができる。
【0066】
また、本実施形態の操作判定部300は、水滴が付いた水検出電極に隣接するタッチ検出電極の中で一番大きい絶対値を有する電圧値が出力されたタッチ検出電極に関する操作が有ったと判定することができる。すなわち、図13に例示した場合において、水検出電極220b、220cに隣接するタッチ検出電極210a、210b、210cの中で、一番大きい電圧値を出力したのはタッチ検出電極210aである。そのため、操作判定部300は、タッチ検出電極210aに関する操作のみが有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0067】
このようにすることで、二以上のタッチ検出電極に繋がって水滴が付いた場合であっても、本実施形態の操作判定部300は、使用者が操作したタッチ検出電極をより的確に判断することができる。
【0068】
なお、前述したように、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、例えば給水装置などに用いられる。電磁弁520が開放している場合には、タッチスイッチ検出装置100が用いられた給水装置が使用者によって使用され、使用者の手が濡れている可能性が高い。また、電磁弁520が開放している場合には、その装置が使用者によって使用され、洗浄物などに対する反射により、タッチスイッチ部200に水滴が付く可能性が高い。そこで、本実施形態の操作判定部300は、電磁弁520が開放している場合には、使用者がタッチ検出電極を濡れた指で押す可能性が高いと推定し、水滴が無い場合の検知閾値よりも大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更することができる。
【0069】
これにより、水滴がタッチ検出電極にかかっても、より正確な操作判断をして吐水動作を行うことができる。また、電磁弁が開放状態の場合には、タッチ検出電極に水がかかりやすく、また止水するときに濡れた手で操作されることが多いため、そのタッチ検出電極の操作に関する水滴の影響を考慮してより正確な操作判断を行うことができる。
【0070】
次に、検知閾値を設定変更することなく、人の操作と、水滴の付着と、をより的確に判断するタッチスイッチ検出装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図14は、濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。なお、図14(a)は、濡れたタッチ検出電極を指で押した状態を表す模式図であり、図14(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
図14(b)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸はタッチ検出電極および水検出電極の項目を表している。
【0071】
タッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bに水滴が繋がって付いている場合に、例えばタッチ検出電極210aを押したときには、前述したように、タッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bから出力された電圧値は上昇する。
【0072】
ここで、本具体例の操作判定部300は、水検出電極220bから出力された電圧値が上昇したことを検知した場合には、タッチ検出電極210aから出力された電圧値と、タッチ検出電極210bから出力された電圧値と、の差分を算出する。この差分の絶対値が、使用者の操作が有ったか否かを判定する判定基準である差分閾値の範囲内となった場合に、操作判定部300は、タッチ検出電極210a、210bに水滴が付いた状態で、使用者がタッチ検出電極210aを操作したと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。すなわち、操作判定部300は、タッチ検出電極210aに隣接したタッチ検出電極210bの使用者による操作は無かったと判定する。
【0073】
これにより、本具体例のタッチスイッチ検出装置100は、検知閾値を設定変更することなく、タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかをより的確に判断することができる。そのため、二以上の検知閾値を設定する必要がなく、簡略的に、人の操作と水滴の付着とをより的確に判断することができる。
【0074】
図15は、隣接する濡れたタッチ検出電極を指で同時に押した場合を例示する模式図である。なお、図15(a)は、隣接する濡れたタッチ検出電極を指で同時に押した状態を表す模式図であり、図15(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
図15(b)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸はタッチ検出電極および水検出電極の項目を表している。
【0075】
タッチ検出電極210a、210b、および水検出電極220bに水滴が繋がって付いている場合に、例えばタッチ検出電極210aおよび210bを同時に押したときには、タッチ検出電極210aおよび210bから出力された電圧値は略同じ値まで上昇する。したがって、操作判定部300は、タッチ検出電極210aから出力された電圧値と、タッチ検出電極210bから出力された電圧値と、の差分値を略「0」として算出する。
【0076】
その結果、操作判定部300は、使用者がタッチ検出電極210a、210bを同時に操作したと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。つまり、本具体例の動作によれば、1つのタッチ検出電極を押した場合だけではなく、2つ以上のタッチ検出電極を同時に押した場合であっても、検知閾値を設定変更することなく、簡略的に、人の操作と水滴の付着とをより的確に判断することができる。
【0077】
図16は、タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。なお、図16(a)は、タッチ検出電極に乾いた指で押した状態を表す模式図であり、図16(b)は、タッチスイッチ部から出力された電圧値を表す模式図である。
図16(b)に表したグラフ図の縦軸は電圧値を表し、横軸はタッチ検出電極および水検出電極の項目を表している。
【0078】
タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いていない場合に、例えばタッチ検出電極210aを乾いた指で押したときには、タッチ検出電極210aから出力された電圧値のみが上昇する。つまり、タッチ検出電極210b、210cから出力された電圧値は変化しない。したがって、タッチ検出電極210aから出力された電圧値と、タッチ検出電極210b、210cから出力された電圧値と、の差分の絶対値は、タッチ検出電極210aから出力された電圧値の上昇分と略同じになる。
【0079】
その結果、この差分の絶対値は差分閾値の範囲外となるため、操作判定部300は、使用者がタッチ検出電極210aを乾いた指で操作したと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。つまり、本具体例の動作によれば、タッチ検出電極が乾いている場合であっても、検知閾値を設定変更することなく、簡略的に、人の操作と水滴の付着とをより的確に判断することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作判定部300は、水検出電極に水滴が付いたことを検知すると、水滴が無い場合の検知閾値よりも大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更することができる。これにより、本実施形態のタッチスイッチ検出装置100は、良好な操作性を維持したままで水滴による誤作動をより的確に防止することができる。また、本実施形態の操作判定部300は、水滴が付いた水検出電極に隣接するタッチ検出電極の検知閾値をより大きい絶対値を有する検知閾値に設定変更することができる。これにより、二以上のタッチ検出電極に繋がって水滴が付いた場合であっても、使用者が操作したタッチ検出電極をより的確に判断することができる。さらに、本実施形態の操作判定部300は、水検出電極に水滴が付いたことを検知すると、タッチ検出電極から出力された電圧値同士の差分を算出することができる。これにより、検知閾値を設定変更することなく、簡略的に、水滴による誤作動をより的確に防止することができる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、タッチスイッチ部200などが備える各要素の形状、配置などや水検出電極の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。水検出電極については、タッチ検出電極の左右側方に設けられている場合を例に挙げて説明したが、タッチ検出電極の上下側にさらに設けられていてもよい。このようにすれば、水滴がタッチスイッチ部200に付いたことをより確実に検出することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置のタッチスイッチ部を例示する模式図である。
【図2】本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置およびこれを用いた給水装置を例示する模式図である。
【図3】タッチ検出電極の乾いたタッチ動作時に出力された増幅回路後の電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
【図4】タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いたときに出力された増幅回路後の電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
【図5】濡れたタッチ検出電極を指で押したときに出力された増幅回路後の電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
【図6】タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。
【図7】タッチ検出電極および水検出電極に水滴が付いた場合を例示する模式図である。
【図8】濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。
【図9】タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。
【図10】濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。
【図11】隣接するタッチ検出電極を乾いた指で同時に押した場合を例示する模式図である。
【図12】隣接する濡れたタッチ検出電極を指で同時に押した場合を例示する模式図である。
【図13】濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。
【図14】濡れたタッチ検出電極を指で押した場合を例示する模式図である。
【図15】隣接する濡れたタッチ検出電極を指で同時に押した場合を例示する模式図である。
【図16】タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0083】
100 タッチスイッチ検出装置、 200 タッチスイッチ部、 210、210a、210b、210c タッチ検出電極、 220a、220b、220b、220c、220d 水検出電極、 230a、230b、230c スイッチ表示部、 240 タッチパネル、 300 操作判定部、 310 切替回路、 320 発振回路、 330 検波回路、 340 LPF、 350 増幅回路、 360 制御部、 370 電磁弁駆動回路、 500 給水装置、 520 電磁弁、 530 吐水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記タッチ検出電極に隣接して水滴の接触を検出する水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、
前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、
を備え、
前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記使用者の操作の有無を判定する判定基準である検知閾値を設定変更することを特徴とするタッチスイッチ検出装置。
【請求項2】
前記タッチ検出電極は、複数設けられ、
前記水検出電極は、前記タッチ検出電極同士の間にそれぞれ設けられ、
前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、水滴が付いたことを検出した前記水検出電極に隣接する前記タッチ検出電極の前記検知閾値を設定変更することを特徴とする請求項1記載のタッチスイッチ検出装置。
【請求項3】
前記操作判定部は、前記タッチ検出電極の検出出力の絶対値が前記検知閾値の絶対値以上である場合に、前記使用者の操作が有ったと判定することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチスイッチ検出装置。
【請求項4】
前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、水滴が付いたことを検出していない場合よりも大きい絶対値を有する前記検知閾値に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のタッチスイッチ検出装置。
【請求項5】
使用者の接触による静電容量の変化を検出する複数のタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する複数の水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、
前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、
を備え、
前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、最大の絶対値を有する検出出力を出力した前記タッチ検出電極に関する操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置。
【請求項6】
使用者の接触による静電容量の変化を検出する複数のタッチ検出電極と、水滴の接触を検出する複数の水検出電極と、を有するタッチスイッチ部と、
前記タッチ検出電極の検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、
を備え、
前記操作判定部は、前記水検出電極の検出出力に基づいて前記タッチスイッチ部に水滴が付いたことを検出した場合は、前記タッチ検出電極とそれに隣接するタッチ検出電極との検出出力同士の差分の絶対値が、使用者の操作が有ったか否かを判定する判定基準である差分閾値の範囲内となったときに、前記隣接するタッチ検出電極の前記使用者の操作は無かったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のタッチスイッチ検出装置と、
給水流路を開閉する電磁弁と、
前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、
前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする給水装置。
【請求項8】
前記操作判定部は、前記電磁弁の開閉状態に応じて、前記検知閾値を設定変更することを特徴とする請求項7記載の給水装置。
【請求項9】
前記操作判定部は、前記電磁弁が開状態の場合は、前記電磁弁が閉状態の場合よりも大きい絶対値を有する検知閾値に設定することを特徴とする請求項8記載の給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−239649(P2009−239649A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83545(P2008−83545)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】