説明

タッチスクリーン要素

【課題】3組の交互配置電極が含まれる静電容量式二次元(2D)タッチパネル(100)を提供する。
【解決手段】第1組の電極(102)は、y方向に沿って離間配置され、これらは、いずれかの一端が接続ライン(107、108)に接続された抵抗片(105)によって、互いに電気的に接続される。また、第2組の電極(103)は、y方向に沿って配列され、これらは、仮想的非抵抗性第1接続(111)を介して、互いに電気的に接続される。また、第3組の電極(104)は、y方向に沿って配列され、これらは、仮想的非抵抗性第2接続(112)を介して、互いに電気的に接続される。第2及び第3組の電極は、電気的に相互導通せずに交互配置され、x方向に沿って勾配を提供して、x方向のタッチ位置を決定する。第1組の電極は、y方向に沿うタッチ位置を決定する。受動又は能動静電容量式検出手法を用いて、2Dタッチパネルから位置情報を取得し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、人間の指又はスタイラスによって動作可能な二次元タッチ検出面に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイス例として、特に、LCD、CRT及び他の種類のディスプレイ上のタッチスクリーンやタッチパッド、もしくはペン入力タブレット、又はフィードバック制御目的用の機械に用いられるエンコーダが挙げられる。特に本発明は、検出層が、パネル又はレンズ表面の背面に配置され、特に、例えば、携帯電話又は手持ち式メディアプレーヤ等の携帯デバイスにおいて、スクリーンの縁端に沿ってスペースの制約がある小型のタッチスクリーンに用いるために構築された二次元静電容量式タッチ検出面に関する。更に、本発明は、容量性の手影(hand_shadow)の影響を低減するニーズに対処する。
【0003】
本出願人による先行同時係属出願中の米国特許出願10/916,759号(米国特許出願公開2005/0041018号として公告)には、複数方向の電流の流れを防止する導電性ストライプを用いたために、又は可能性として、パターン化されていない特別な異方性導電性材料を利用することで、検出領域内において異方性の電気的特性を有する或るパターンの電気的に結合された導体配線がある。少なくとも4つの接続が、検出層の四隅の各々に1つずつ、指タッチに関連する信号を検出する静電容量検出回路に対して行われる。プロセッサが、比率方法を用いて、領域内におけるタッチの図心箇所を数学的に演算する。簡単な2次方程式又は他の方法によって、検出領域の二面だけに出現するピン・クッション歪みが補正される。
【0004】
本出願人による米国特許仮出願60/745,583号及びこれから派生した同時係属出願中の米国特許出願11/734,813号(公告未了)には、第1軸に沿って電気的に接続され、第2軸に沿って電気的に絶縁された複合パターンの電極であって、一方の軸上で抵抗的に生じた電場分布と、他方の軸上で静電容量的に生じた電場の分布と、を有する複合パターンの電極が記載されている。複数の接続部があり、それらの間には、抵抗性導電経路が、タッチ領域の二面各々に備えられ、デバイスへの少なくとも合計4つの検出回路接続部がある。1つの改善には、容量性手影の影響を低減するために、また、抵抗性要素の軸に沿って空間解像度を改善するために、各抵抗性経路に沿って3つ以上の接続を用いることが挙げられる。数学的な補正を必要とし得る検出領域の電気的な応答には、固有の歪みはない。第1比率演算は、一方の軸上での位置を演算するために用いられ、第2比率演算は、他方の軸上でのタッチ位置を導くために用いられる。
【0005】
用語「二次元静電容量式変換器」又は「2DCP」は、タッチスクリーン、タッチ検出パッド、近接検出領域、LCD、プラズマ、又はCRTスクリーン等のディスプレイ重ね合わせタッチスクリーン、機械的な装置又はフィードバックシステムのための位置検出、又は、特に限定しないが、容量検出メカニズムによって、物体又は人体部位の位置に関連して、少なくとも二次元座標、デカルト座標もしくはそれら以外のものについて報告可能な表面や容積を有する他の種類の制御面を指すために全体を通して用いられる。
【0006】
用語「二次元抵抗式変換器」又は「2DRT」は、純粋に電気的な原理に基づく、業界では、一般的に「抵抗式タッチスクリーン」として知られているタッチスクリーン又はペン入力デバイスを意味する。用語「2DxT」は、2DCT又は2DRTタイプいずれかの要素を意味する。
【0007】
用語「タッチ」は、全体を通して、人体部位による又は所望の出力を生成するのに充分な静電容量信号強度の機械的な構成要素によるタッチ又は近接を意味する。「近接」の意味では、タッチも、物理的接触のない2DCTを「指差す」ことを意味し得るが、この場合、2DCTは、所望の作用で反応するのに充分な物体の近接による容量に応答する。
【0008】
特に指定しない限り、用語「電極」は、検出面の活性領域内における静電容量式電界放出検出構造又は要素を意味する。用語「接続」は、検出電極と検出回路との間の電気的な接触を意味する。用語「物体」及び「指」は、ワイパ、ポインタもしくはスタイラス等の無生物又はその他の人間の指もしくは他の付属器官のいずれかを参照する際、同義的に用いられるが、この場合、そのいずれかが要素に隣接して存在することによって、電気的であるかそうでないかに関わらず、任意の回路の経路を介して、要素の一領域から回路系への局所的静電容量結合を生成する。「誘電体」は、特に、電極と、カバーパネル又は膜又はレンズ等の物体との間に介在された層を参照する際、プラスチック、ガラス、鉱物、木材又は他の物質等、任意の実質的に非導電性の材料を意味する。用語「タッチ」は、物体と電極との間の任意の静電容量的又は電気的な結合を意味し、また、物体と検出電極との間の直接的な物理的な接触、又は物体と物体/検出電極間に存在する誘電体との間の物理的な接触、又は物体と電極との間に誘電体の仲介層を含む場合もそうでない場合もある検出電極への非接触結合、のいずれかが含まれる。回路又はアルゴリズムに対して変更せずに又はわずかに変更して、広範なパラメータが可能であることから、特定の回路パラメータ又は方位の言及は、本発明に対して限定的であると解釈してはならず、特定のパラメータ及び方位は、説明の目的のためだけに言及する。
【0009】
多くの種類の2DCTは、ピン・クッションとして知られている幾何学的な歪みを被ることが知られており、これによって、報告されるタッチ座標は、検出面への電気的な作用のために誤りがある。これらの作用については、様々な他の特許に、例えば、ペッパー(Pepper)による米国特許4,198,539号において、更に詳細に述べられている。幾何学的な歪みに対する原因、解決策、及び解決策の問題点の優れた概要は、米国特許5,940,065号及び米国特許6,506,983号において、バッブ(Babb)らによる解釈に見出し得る。米国特許5,940,065号は、2つの主要な補正クラス、即ち、1)検出電極(1つ又は複数)又はその接続の設計又はそれに対する修正を伴う電気機械的方法、2)歪みを補正する数学的な公式の用途、について簡潔に記述している。
【0010】
構造化検出電極を用いて、検出要素及び駆動電子回路の複雑さを犠牲にして、歪みを抑制するタッチスクリーン設計が存在する。1つの例は、x−y配置の細い配線電極を開示するビンステッド(Binstead)による米国特許5,844,506号である。もう1つは、多重接続を備えた単方向棒の配列を開示するレッドメイン(Redmayne)による米国特許5,650,597号である。ケント(Kent)らによる米国特許6,297,811号は、個々の検出チャネルに各々接続された三角形の外形の用途について記述する。マブス(Mabusth)による米国特許4,550,221号は、行列手法の例であり、この場合、x及びy方向の電極は、互いに交差しなければならず、電極構造は、強制的に2つ以上の層を占有し、これによって、かなりの費用が追加され、また、LCDタッチスクリーンの場合、透明度が低下する。同時係属出願中の米国特許仮出願60/697,613号(GB2428306号として公告)は、更に、歪みがほとんどない又は全くない検出領域において交差を回避する電極を構成するための方法について記述するが、この方法は、依然として、相対的に極めて多くの接続を必要とする。これらの方法は、全て、良好な解像度を提供し得るが、極めて多くの接続を必要とし、従って、実現するには、多大の費用を要する。また、接続数が多いため、接続部への多数の配線を可能にするための検出領域周辺のスペースがほとんどない小型のタッチスクリーンへの用途が制限される。
【0011】
また、米国特許4,198,539号(ペッパー)又は米国特許5,650,597号(レッドメイン)等の行列又は電極対電極結合手法を用いる2DCTデバイスは、厚い材料を通して電界を投射する能力、又は、それらの電界をわずかに自由空間に投射して、「点スクリーン」を生成する能力が限定されている。米国特許4,198,539号(ペッパー)の場合、個々の電極は、極めて狭く、その結果、厚い誘電体を通して電界を投射するのに不可欠な表面積が限られ、その結果、そのような設計は、通常、薄い張り板が電極上にあるノート型コンピュータ等用のトラックパッドへの応用に限定される。米国特許5,650,597号(レッドメイン)の場合、電界は、隣接する電極ストライプ間で閉じられ、力線が短い経路に制限され、誘電体から出てくる残りの電界は、ほとんどない。そのような制限によって、タッチ信号強度が低下し、厚い誘電体層を備えた電極の利用が妨げられる。
【0012】
本出願人による同時係属出願中の米国特許出願10/916,759号(米国特許出願公開2005/0041018号として公告)又は米国特許4,198,539号及び米国特許5,650,597号等の、電極の抵抗に依存する電極を用いる2DCTデバイスは、較正プロセスによる補正が必要な非線形性又は装置間の不整合性の影響を受けやすい。そのような較正プロセスは、検出要素のコストを増大させ、また、時間の経過や、温度又は湿度又は光への露出等の環境条件により較正が簡単にずれることがあり、これによって、時間の経過に伴い電極の抵抗が変わることがある。検出要素の再較正の必要性は、市販上の深刻な不利な点である。
【0013】
本出願人の先行特許及び特許出願、即ち、米国特許5,730,165号、米国特許6,288,707号、米国特許6,466,036号、米国特許6,535,200号、米国特許6,452,514号、及び同時係属出願中の米国特許出願10/697,133号(米国特許出願公開2004/104826号として公告され、米国特許7,148,704号として付与)及び米国特許出願10/916,759号(米国特許出願公開2005/0041018号として公告)に記述された電子検出回路及び方法は、本明細書で述べる本発明と共に用い得るが、これらの回路及び方法は、限定するものとして解釈すべきでないことに留意されたい。様々な静電容量検出回路及解釈的論理を本発明と共に用いて、電極を駆動し、また、要求される出力を生成し得る。
【0014】
本出願人による同時係属出願中の米国特許出願10/697,133号(米国特許出願公開2004/104826号として公告され、米国特許7,148,704号として付与)には、図12と共に、個々の抵抗性IDストライプを用いて、タッチスクリーンを生成する方法が記述されている。これらのストライプは、これらのストライプへの接続が互いに独立していることから、並列に又は順次のいずれでも読み出し得る。更に、図6に関連して、隣接要素と指等の物体との間における挿入結合が記述されている。米国特許出願10/697,133号(米国特許出願公開2004/104826号として公告、また、米国特許7,148,704号として付与)は、本明細書において引用・参照する。
【0015】
本発明は、本出願人による米国特許6,288,707号の図4と同様である。この構成には、第1軸上の位置を決定する交互配置された三角形電極と、第2軸上の位置を決定する目盛り付きの棒電極とがある。米国特許6,288,707号において、三角形は、2つの対向する組で配線接続され、また、組当り1つの検出チャネルに接続される。また、矩形の棒は、2つの組で配線接続され、棒の幅の比は、第2軸に沿う固定された合計の高さ比と共に変動する。4つの接続が、この構成に必要である。
【0016】
従来、三角形状の電極を用いて電場勾配を生成することが知られており、例えば、ペン入力デバイスであるディム(Dym)らによる米国特許4,087,625号は、繰り返し形態の組の三角形電極14a、14bを用いて、静電容量電界を生成する。抵抗分圧器27、32は、一方の軸上で電場勾配を生成し、三角形は、他方の軸上で勾配を生成する。本開示は、電極配列それ自体における静電容量検出機能の利用方法については教示しないが、その代わり、ペンに依拠して、電場を捕らえる。本装置は、従って、人間のタッチを検出し得ない。
【0017】
ランドマイア(Landmeier)による米国特許4,659,874号は、1つの軸に沿って寸法が変わる同様な三角形パターンの組を有するペン入力デバイスを開示する。x寸法は、三角形状によって生成される電場勾配によって決定され、他方、y寸法は、y軸に沿って、三角形の底辺幅を変えることによって決定される。本発明は、能動ペンを用いて、信号を検出配列に注入する必要があり、また、人間のタッチに応答しない。この設計によって生成されるy軸電場勾配の1つの不利な点は、垂直軸に沿う利得が、フルスケールの読み取り値を提供するのに不充分であり、従って、これに伴い出力を適正な規模に直す必要があることである。また、所望の勾配効果をy軸に及ぼすには、パターンが、かなり大きくなることがあるため、応答が粗くなるのを防止することは、かなり困難である。
【0018】
また、パーセル(Purcell)による米国特許4,999,462号は、ペン入力デバイスによる三角形と、マイクロコンピュータから個々の各三角形への配線を用いる方法を開示するが、本方法では、ペンは、三角形の電極からの電界を捕らえる。このシステムも、人間のタッチを検出することが不可能である。
【0019】
ダーワン(Dhawan)による米国特許4,705,919号及びパーセル(Purcell)による米国特許4,952,757号は、三角形を用いるペン入力デバイスを更に開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
3つの独特な組の交互配置電極を用いる静電容量式2Dペンレス検出要素を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、3つの独特な組の交互配置電極を用いる静電容量式2Dペンレス検出要素である。第1(y)軸に沿う第1組の電極は、故意の抵抗片を介して、互いに電気的に接続され、前記第1軸に沿って配列された第2組の電極は、第1軸の第1側に沿う仮想的非抵抗性第1接続部を介して、互いに電気的に接続され、前記第1軸に沿う第3組の電極は、第1軸の第2側に沿う仮想的非抵抗性第2接続部を介して、互いに電気的に接続される。第2及び第3組の電極は、電気的に相互導通せずに交互配置され、第2(x)軸に沿って勾配を提供し、それ上のタッチ位置を決定する。第1組の電極は、第1(y)軸に沿うタッチ位置を決定する。
【0022】
幾つかの実施形態において、電極は、少なくとも4つの検出チャネルを有し、4つの全チャネルにおいて位相同期サンプリングを行う容量測定手段に接続される。検出チャネルの数は、能動検出が用いられる他の実施形態では、最小2つに低減され、位相同期サンプリングを少なくとも2つのチャネル上で行い得る。
【0023】
本発明の静電容量式タッチスクリーンは、特に、タッチスクリーンのサイズが重要な用途、即ち、小型のタッチスクリーン及び、例えば、マウストラックパッドに有用である。
一態様において、本発明は、タッチ又は近接を検出するためのペンレス2DCTを提供し、第1軸に沿ってほぼ平行な配列で配置された複数の棒から構成された第1電極組であって、電極が、作為的抵抗性電気経路を介して、互いに接続され、第1棒上に第1接続部を有し、第2棒上に第2接続部を有し、第1及び第2棒が、該組の終端棒である第1電極組と、第1軸に沿ってほぼ平行な配列で配置された複数の勾配電場生成形状から構成された第2電極組であって、電気的に互いに接続され、また、該組の1つの接続部を有する第2電極組と、第1軸に沿ってほぼ平行な配列で配置された複数の勾配電場生成形状から構成された第3電極組であって、電気的に互いに接続され、また、該組の1つの接続部を有する前記第3電極組と、が含まれ、第2及び第3電極組は、それらの容量が比率的に解析されると、第2軸に沿うタッチ位置を決定し、第1電極組は、該組に沿う少なくとも2つの点からの静電容量測定値が解析されると、第1軸に沿う位置を決定する。
【0024】
追加の接続は、第1と第2接続部との間の点において、第1電極組に対して成し得る。複数のそのような追加の接続があってよい。
幾つかの実施形態において、前記接続は、全ての接続を位相同期して動作させる静電容量検出手段のチャネルに対して有線配線し得る。静電容量検出手段には、実質的に一斉に切り換えられる電荷移動検出回路を含み得る。
【0025】
棒及び三角形の繰り返しパターンの寸法は、好適には、人間の指タッチの寸法以下であるように縮尺される。
本発明の1つの目的は、構造化電極を用いることによって、検出面における応答歪みを解消することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、駆動電子回路への低減された数の配線導体を有することによって、検出面周辺のスペースが限定された小さい形状係数のディスプレイに本発明を用い得るように、構造化電極に関連する接続数を低減することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、特に、透明検出電極の場合、電極材料の抵抗への検出面の依存を低減することにある。
本発明の他の目的は、工場又は現場での較正の必要性を低減又は解消するように、自動較正機能を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、誘電体パネルの背面上の電極に充分な信号強度を提供して、タッチによる箇所を正確に決定することにある。
本発明の他の目的は、能動検出領域において交差のない単一層の電極だけを用いて、コストを低減し、透明タッチスクリーン用途の場合、透明性を改善することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化アンチモン錫(ATO)、粉末状錫酸化物(FTO)、カーボンナノチューブ(CNT)ベースの膜等の互換透明導電性材料、又はアグファ・オーガコン(Agfa_Orgacon)等の導電性ポリマを提供することにある(以下、全てのそのような透明導電性材料は、便宜上、「ITO」と称する)。
【0030】
本発明の他の目的は、例えば、デバイスがゆっくりとサンプリングを行う又はサンプリングを全く行わずほとんどスリープするスリープモードと、ウェーク機能とを用い、これによって、タッチされた時、デバイスが、スピードを上げて、適切な応答速度を提供することによって、平均電力が小さい駆動回路を提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的は、検出面が、非タッチに反応するように、近接検出を提供して、例えば、それがインターフェイス接続されている製品に対してウェークアップ機能を提供し、それを低電力スリープ状態から離脱させることにある。
【0032】
本発明の他の目的は、極めて少ない数の構成要素を有し、また、マイクロコントローラ等のインテリジェント論理回路によって駆動される単純な駆動回路を提供することにある。
【0033】
本発明の他の目的は、タッチに応じて、顕著な局所的非線形性を生成しない電極を提供することにある。
本発明の他の目的は、タッチされる点以外の箇所において検出領域と重なり合う人間の手又は物体による手影の影響が低減された検出要素及び回路を提供することにある。
【0034】
本発明の更なる目的は、単一層上に全ての検出電極を有する、ユーザパネル又はレンズの下面に付着し得る本発明の電極及び配線を組み込んだ柔軟な検出層を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明のより良い理解のために、また、本発明を以下に作用させるかを示すために、一例として、添付図面を参照する。
図面を参照して、本発明の第1実施形態を図1に示す。図1は、(点線の外郭線として示す)使用可能なタッチ領域101を有する静電容量式タッチ検出配列100を平面図で示す。電極102a乃至gは、(yとして示す)第1軸を決定し、一方、電極103a乃至f及び104a乃至fは、(xとして示す)第2軸を決定する。実際には、本構成は、幾つかの用途において、x及びyについて逆にできる。x軸は、当分野において知られているように、三角形状によって生成される電場勾配によって決定される。左側及び右側接続111及び112は、これら電極上の静電容量負荷を検出し、x軸に沿うタッチ箇所の比率測定値を取得する回路(図示せず)にそれぞれ配線接続される。
【0036】
y軸は、電極の一方側に沿って走り、また、電極102a乃至gに接続する抵抗性要素105を用いることによって決定される。この軸上の電場勾配は、本出願人による同時係属出願中の米国特許出願10/697,133号(米国特許出願公開2004/104826号として公告、また、米国特許7,148,704号として付与)に基づく既知の方法で、105によって生成される。2つの主配線接続は、この抵抗性要素、即ち、頂部及び底部y検出接続107及び108に対してそれぞれ行われる。1つ又は複数の追加の配線接続は、オプションとして、終端棒102aと102gとの間において行われる。図1に示すのは、2つのそのような接続、即ち、中央下部接続109及び中央上部接続110であり、そのような接続(1つ又は複数)の理由は、合計5、6、又は、それ以上の合計の可能な接続について、次に説明する。抵抗性要素105は、1Kオームと10Mオームとの間の終端間抵抗を有するが、最適な性能は、ほとんどの実用的な設計において、20Kと1Mオームとの間の値で達成される。全体的な配列を薄くするには、要素105は、抵抗性膜から形成するのが最も良く、105用の材料には、厚膜抵抗器、ITO、導電性ポリマ等を含み得る。この膜は、ITO又は金属ベースの電極組の場合、電極102を重ね合わせるように成膜される。幾つかの用途では、例えば、スペースが問題ではない場合、一続きの個別抵抗器を用いることも可能である。
【0037】
左側配線導体111と電極102との間の交差は、左側接続111用の導体配線の成膜に先立って電極102上に成膜された薄膜誘電体領域106の助けを借りて決定される。通常、検出要素100は、1つの縁端上に配置されたコネクタ又は検出チップに配線接続されることから、配線107、108、109、110、111、及び112は、それらがコネクタ又はセンサチップに配線接続し得る(底部として示す)1つの縁端に導かれる。
【0038】
誘電体の背後に搭載された場合の静電容量式タッチスクリーンに関する1つの既知の問題、特に、低イプシロン及び/又は多大な厚さ及び全体サイズの問題は、本出願人による米国特許出願10/341,948号(米国特許出願公開2003/132922号として公告)に更に一般的に説明された「手影」の現象である。手影の問題は、特に、本発明でのように、用いられる電極接続の数が少なくなると、大きくなる。電極の数が多くなり接続が多くなると、必然的に、指タッチの点に対する応答を局所化することによって、その影響が低下する。しかしながら、多くの用途の場合、このことは、表示装置領域の両側に沿って狭い配線チャネル120、121が必要であるため、非実用的である。
【0039】
棒及び三角形の繰り返しパターンの寸法は、人間の指タッチ125の寸法以下であるように縮尺しなければならない。(図示するように)垂直の寸法におけるパターンスケールが、タッチ接触領域125より大きい場合、指がタッチ表面上でドラッグされる際、位置応答の非線形コギングが生じ得る。
【0040】
手影の1つの属性は、それが、本来、垂直視軸上において、これが人間の手の提示の同じ軸であるため、起こることである。従って、この軸に沿う3つ以上の接続を用いるだけで、手影の低減又は実際的な排除を支援し得る。従って、一方の軸は、他方の軸より多い接続を有すべきであり、また、接続数が多い軸は、手影の影響を最も被る軸、即ち、垂直(y)軸であるべきである。そのような構成は、非対称接続電極(ACE)と称する。
【0041】
従って、y軸における電界の局所化を支援する中央接続109及び110を提供し得る。これらの追加接続は、約2インチ(50mm)対角のタッチスクリーンでは不要であるが、3インチ(75mm)対角以上では、特に、低イプシロンを有し、電極配列への静電容量性指先結合を低下させるプラスチックの背後に検出配列100が配置される場合、手影低減に対して明らかに必要であることが実験的に分かった。中央接続109及び110は、y軸の約1/3の点において接続する。様々なACE構成では、手影の程度に依存して、1、2、3以上の追加の「中央」電極が存在し得る。一般的に、y軸が長くなれば、必要な中央電極の数が多くなる。
【0042】
次に、図2には、わずかに異なる構成の電極配列100を備えた第2実施形態を示す。この構成において、抵抗片105は、電極に用いられるものと同じ導電性材料によって置き換えられる。ITOの場合、シート抵抗の通常の値は、300オーム/□である。ITOそれ自体を抵抗性要素として用いるために、必要な終端間抵抗の相対的に高い値を達成する場合、経路長は、何らかの方法で大きくしなければならない。図2において、このことは、棒内における切り抜き部201により、電流を流すための追加経路として棒102を用いることによって達成される。また、棒対棒配線202は、電極材料から形成され、これにより、電極102、103、104及び配線202から構成される全構造は、同じ層上において1つのステップで作製される。誘電体106は、電極導体を左側x接続111から分離して、短絡を防止する。
【0043】
次に、図3において、電極配列100の更に他の構成であって、これによって、図1において105として示す必要な抵抗片が、y決定棒102自体に組み込まれる構成を備えた第3実施形態を示す。抵抗用の経路は、(図示するように)頂部から底部へ蛇行しており、抵抗性の経路202が、各棒を次の棒に接続している。電極パターンの頂部及び底部にある終端棒310、311は、抵抗性経路に加わらず、その結果、それらは、それらの接続配線107及び108に対して等電位である。右側x接続112は、依然として、右側三角形104に接続する必要があることから、追加の薄膜交差誘電体301が、三角形104と接続112の各々との間に必要である。
【0044】
点線の外郭線320及び325は、指接触及び手影の領域をそれぞれ示すが、これについては、更に以下に述べる。
図4は、タッチスクリーン電極組100を動作するためのACE機能回路400を示す。図示するように、各スイッチ組404、405及び406にスイッチ制御信号A、B、Cを送る単一のコントローラ401によって動作する6つの検出チャネルがある。電圧比較器403は、それぞれのカウンタ402の計数終了点を決定するために用いられる。生信号出力410乃至415は、後述する信号処理ブロックに導かれる。この回路は、本出願人による米国特許6,466,036号に基づき動作する。好適には、回路400全体は、ファームウェア制御の下で動作可能なマイクロコントローラに含まれる。
【0045】
図5は、生の信号410乃至415を使用可能な結果、即ち、最小x及びy座標+タッチ検出論理確認信号503に処理するために用いられる信号処理ブロック501を示す。更に、人間の手等、物体の近接の接近に反応する近接検出論理出力504を設け得る。座標出力502には、更に、信号強度に比例するZ軸結果を含み得るが、このことは、物体近接の決定を支援し、また、タッチ圧力の決定を支援し得る。
【0046】
x及びy結果用の信号処理は、本出願人自身による米国特許出願10/697,133号(米国特許出願公開2004/104826号として公告、米国特許7,148,704号として付与)を含む数多くの他の特許に述べられたように、比率法により実施される。信号強度、近接検出及びタッチ検出等のZ軸結果は、単純に、全ての検出チャネルからの信号の和の変化から導出される。この和の変化が、第1量を超過するならば、近接が宣言される。この和の変化が、第2のより大きな量を超過するならば、タッチが宣言される。和の変化それ自体は、Z軸信号結果である。
【0047】
ACE構成でのy軸決定は、図心計算、又は当分野において公知の電極接続点間の単純な線形補間を介して、のいずれかにより実施される。他の手段もまた用い得る。手影による信号分散は、本来、スクリーンの上部がタッチされる320が、ユーザの手のひら部分が下部を覆ってさまよい、320における結合より弱い容量性「影」作用325を生じる場合、出現する。結合325は、可変誤差項であり、予測できないやり方で、320の報告された位置を下方にオフセットさせ得る。従って、y軸演算では、下部電極接続108及び109から到着する信号は、上部領域がタッチされる場合(及びその逆の場合も)、相対的に抑制されなければならない。左側及び右側接続111及び112は、x軸だけを決定し、手影によるオフセット誤差項は、ほとんどない。
【0048】
また、図示したスリープタイマ506及びゲート制御発振器507は、低電力モードを可能にするために用いられ、特に、「スリープ状態にする」及び「タッチしてスリープからウェークする」モードにするために用いられる。主コントローラ(図示せず)は、信号送信経路509を介して、デバイスを1つ又は複数の低電力又はスリープモードにするモード命令をプロセッサ501に送り得る。また、ホストは、スリープ命令505を介して、デバイス全体をスリープ状態にし得る。505に応答して、スリープタイマ506は、同様に繰り返し可能な特定のウェークアップ遅延用に設定し得る。そのような遅延の後、506は、ゲート制御発振器507をイネーブル状態にし、出力408が、図4及び5の全回路を起動し得る。オプションとして、信号プロセッサ501は、近接又はタッチのいずれかを検出すると、506を「ウェーク」して、高速のタイマモード、即ち、信号508による発振器イネーブル間の遅延が小さい方のモードにし得る。高速モードは、近接又はタッチの全セッションの間、持続し、そして、低電力断続ウェークモード又は完全なスリープモードに戻し得る。モード信号509を用いて、スリープ間隔を決定し得る。クロック出力信号408と共に、制御信号510も、スイッチコントローラ401に導かれ、取り込み論理の動作を制御する。
【0049】
図6には、図4及び5の双方が含まれる完全な実際の具体例を示す。双方の図の論理、即ち、400及び500は、外部取り込みサンプリングコンデンサCs1乃至Cs6、407a乃至f及び電極配列100への接続だけを用いる自己完結型のマイクロコントローラ601内において実現される。ほとんどの標準マイクロコントローラは、それらの内部に、上述した機能及び動作を実行するために必要な全ての論理回路を含む。ESD抑制及び電磁気的適合のために、抵抗器603は、検出要素から何らかの減結合を提供するために用いられる。
【0050】
図1、2及び3に示した電極設計品は、ガラス等の誘電体パネルの背面に直接成膜し得る。ITOを用いて、検出領域を透明にして、LCD又は他のディスプレイ上で用い得る。
【0051】
他の一実施形態において、三角形電極は、電場勾配を生成し得る交互配置されたパターンを形成し得る。
図7は、そのような他の実施形態、即ち、第4実施形態による電極及び配線のパターンを概略的に示す。前述の実施形態の特徴に対応するものは、同じ参照数字でラベル表示されている。使用可能なタッチ領域101(点線の外郭線として示す)を備えた静電容量式タッチ検出配列100は、明らかに分かる。棒電極102a乃至eは、(yとして示す)第1軸を決定し、他方、電極103a乃至d及び104a乃至dは、(xとして示す)第2軸を決定する。本実施形態は、比率信号提供電極103a乃至d及び104a乃至dの形状を除き、第1実施形態と同じである。共延在の領域を形成する円滑な三角形のテーパの代わりに、x電極は、鋸歯形状を有し、この場合、x電極グループ103a乃至dと104a乃至dとの間の共延在は、y方向の鉗合により形成され、これによって、共延在電極対からの隣接ブロックは、x位置に特有の領域の確定比率を有する。
【0052】
共延在対のx電極から導出された比率信号における所望のx依存の変化は、依然として、作動領域、例えば、指接触領域が、適切なサイズであれば、鉗合形状によってy方向に提供された領域比率の点において達成される。鉗合構成は、それが、図において「w」として示された各鉗合単位の幅に対応するx位置情報の段階的な変化を提供することから、ボタン配列に主に用いられるセンサ領域にとって好適であり得る。このように、x及びy双方の位置情報には、ボタン配列の好適な具体例である段階的な感度を与え得る。
【0053】
第1実施形態と同様に、左側及び右側x検出接続111及び112は、これら電極への静電容量負荷を検出し、また、x軸に沿うタッチ箇所の比率測定値を得る回路(図示せず)に配線接続される。y軸は、電極の一方側に沿って走り、また、電極102a乃至eに接続する抵抗性要素105を用いることによって決定される。この軸の電場勾配は、第1実施形態のように、(細かく刻んだ線で示す)抵抗性要素105によって生成される。2つの主配線接続が、この抵抗性要素に対して行われる、即ち、接続107が頂部電極棒102eに、また、接続108が底部電極棒102aに接続される。1つ又は複数の追加の配線接続は、オプションとして、第1実施形態のように、終端棒間で行い得るが、図には示していない。抵抗性要素105は、1Kオームと10Mオームとの間の終端間抵抗を有するが、最適な性能は、ほとんどの実用的な設計において、20Kと1Mオームとの間の値で達成される。左側x導体配線111は、第1実施形態のように、薄い誘電体領域106によって棒102a乃至eから絶縁される。
【0054】
各電極は、4つを示すが、任意の所望の数の鋸歯ユニットを有し得ることを認識されるであろう。携帯電話又は計算器用のキーパッド等、ボタン配列用途の場合、ユニットの数は、図示するように、相対的に少なく、例えば、3乃至8の範囲内である。他方、擬似連続比率検出が要求される場合、鋸歯の数は、相対的に多く、例えば、10乃至50の範囲内である。同様に、y検出用の棒電極の数は、ボタン配列に適する粗い検出を提供するために、相対的に少なく、例えば、3乃至8の範囲内であり、又はy方向の擬似連続感度のために相対的に多く、例えば、10乃至50である。y検出棒電極が多い場合、中間接続109(図示せず)を設けると都合が良い。
【0055】
第4実施形態の静電容量式タッチ検出配列は、図4乃至6に関連して、第1乃至第3実施形態に対して上述したように実現でき、米国特許6,466,036号の教示内容に従うことを更に認識されるであろう。これは、システム基準電位(接地)に対する検出電極の容量の測定に依拠する受動静電容量式検出法である。既知の他の静電容量式検出法は、(単一検出電極とシステム接地との間よりもむしろ)2つの電極間の静電容量結合の測定に基づく能動検出である。2DCTに適用される能動静電容量式検出手法の根底にある原理については、本出願人による米国特許6,452,514号に述べられている。米国特許5,648,642号(シナプティクス(Synaptics)社)もまた、2DCTにおける能動静電容量検出について述べている。
【0056】
完全にするために、次に、能動検出での第4実施形態の電極パターンの動作について述べる。第1乃至第3実施形態の電極パターンも能動検出で同様に駆動し得ることを認識されるであろう。即ち、第4実施形態のブロック電極102及び103は、円滑なテーパの電極と交換してよく、また、上述した第1乃至第3実施形態のオプションは、棒電極102間に抵抗性の相互接続を形成するために利用可能である。
【0057】
図7を参照すると、能動検出回路は、棒電極102を駆動電極として、また、鋸歯電極103及び104を検出電極として用いる。棒電極102を相互接続する抵抗性経路は、分圧器を形成して、頂部棒電極102eが、レール電圧になり、底部棒電極102aが、接地電圧になり、中間棒電極102b乃至dが、ほぼ等しく離れた中間電圧になる。
【0058】
人体は、駆動電極と検出電極対との間の電場の一部を伝えて取り去ることから、2DCTに適用される能動検出の基本的な原理は、駆動電極と検出電極対との間の電場結合が、指タッチによって減衰されることである。駆動電極と検出電極との間で移動した電荷は、従って、タッチの結果、減少し、電荷蓄積のこの減少が、サンプリングコンデンサにおいて検出可能である。本回路に戻ると、電圧はしごが抵抗性経路105によって提供された状態では、サンプリングコンデンサでの蓄積電荷の減少の大きさは、駆動電極の駆動電圧と比例して変わることを認識されるであろう。その結果、検出信号の低下の大きさは、指タッチによってどの電極棒が影響を受けているか示す。このように、2DCTのy方向における垂直の解像度が提供される。従って、能動検出の具体例における抵抗性経路105は、受動検出具体例と異なる役割を有する。前者の場合、それは、分圧器としての役割を果たし、これに対して、後者の場合、それは、電流経路として機能する。
【0059】
x方向における水平解像度の場合、そのメカニズムは、概念的に、電極103及び104の対になったものによって得られた相対的な信号強度間において、即ち、103aと104aとの間及び103bと104bとの間などにおいて、比率解析が実施されるという点で受動検出具体例と同様である。これは、電荷移動の減衰の大きさが、指接触の下にある対になった検出電極103及び104の相対的な領域によって変わるためである。
【0060】
図8は、図7の第4実施形態の、又は実際、第1乃至第3実施形態の電極パターン及び配線構成に用いるための能動検出回路を示す。図の上部は、パネル左側のタッチパネルを通る概略縦断面であり、ここでは、電極103は、電極104より更に垂直方向に延在する。タッチパネルは、指813によってタッチするための上部表面811と、電極パターン及びコンタクトが従来のように構成されている下部表面812と、を有する誘電体パネル810から形成される。誘電体パネルは、当分野において知られているように、ガラス等の任意の適切な材料から、例えば、パイレックス(登録商標)ガラス、マイラー、テフロン(登録商標)、プラスチック化合物で作製し得る。好適なプラスチック化合物の例を、一例としてのみ、市販例として挙げられる幾つかの例で下表にリスト化する。
【0061】
【表1】

図の下及び右部分は、適切な相互接続及び個別構成要素を備えた制御回路を概略的に示す。そのような制御回路は、QRG社から一緒に入手可能なファームウェア制御下で動作されるQMatrix(登録商標)マイクロコントローラチップ等の従来の集積回路800によって提供される。
【0062】
図7から分かる電極102a乃至e、103a乃至d、及び104a乃至dは、パネル下表面812上に配置されている。電極102は、駆動チャネル又はXチャネルと称する駆動電極であり、接続108を介して、制御チップ800のピン803からチップ内部の適切な駆動バッファ801を通って、(概略的に示す)駆動パルスが供給される。駆動電極102a乃至eを相互接続する抵抗性経路105は、隣接する駆動電極間に介在された個別抵抗器105a乃至dを含むものとして示す。これは、上述した実施形態のいずれにでも利用可能な更なる設計オプションである。これらは、上述した必要な分圧機能を提供する。帰路が、駆動信号用に必要であり、これは、チップ800上の接地(アース)ピン802に接続されるライン107によって提供される。
【0063】
Yl及びY2検出チャネルと称する2つのグループの検出電極103及び104は、各々、共通にそれぞれライン111及び112に接続される。これら各ラインは、パネルからそれぞれのサンプリングコンデンサに転送される電荷を運ぶ。サンプリングコンデンサCSY1は、配線111によって伝達されるYlチャネルに電荷を蓄積する。サンプリングコンデンサCSY2は、配線112によって伝達されるY2チャネルに電荷を蓄積する。2つの独立した同じ検出回路が、この2つの検出チャネルに提供される。これらは、設計上の慣例であり、また、その内容を本明細書において引用・参照する本出願人による米国特許6,452,514号に開示された原理に従う。サンプリングコンデンサCSY1には、2つのスイッチ811及び812が跨るが、これらのスイッチは、適切に作動させると、測定に先立って、サンプリングコンデンサをリセットするために、また、サンプリングコンデンサに蓄積された電荷を、A/D変換器、増幅器、又はY1チャネルの信号強度を示す電圧レベルを捕捉する他の適切な回路要素等、適切な測定回路814に読み出すために用い得る。Y2チャネル回路は、厳密に同じであり、サンプリングコンデンサCSY2、スイッチ821及び822、及び測定回路824を備える。次に、測定回路814及び824によって取り込まれたデータは、垂直及び水平方向の位置情報を得るのに必要な比率解析を実施するために、数値処理によって組み合わせられる。この解析機能は、集積回路800に組み込んだり、又は外部的に実施したりし得る。上述したように、集積回路は、QRGから入手可能なQMatrixチップに実装し得る。QMatrixチップの動作原理については、米国特許6,452,514号に述べてあり、その内容は、特に、サンプリングコンデンサから信号を読み出すために用い得るスイッチング構成及びそれらの駆動シーケンスに関する詳細な情報に関連して、本明細書において引用・参照する。
【0064】
駆動及び検出電極は、誘電体パネル810の直ぐ隣に示してあるが、通常、これらは、接着材接合又は留め具によるなどの適切な手段によって誘電体パネル810の下部表面812に貼り付け得る適切なプラスチック材料からなる薄いフレキシブルシート等の共通基板上に支持されることを認識されるであろう。
【0065】
図8において、この能動検出の具体例は、全ての駆動電極が、制御チップの2つのピン802、803だけから共通に駆動され、また、2つの組の検出電極が、各々、それぞれの検出チャネルに共通に接続されていることから、極めて少ないピン数を提供することは、明らかである。
【0066】
要約すると、本明細書において述べたのは、接続及び信号処理を簡素化するために、各々、他とは独立に決定し得るように、互いに電気的に分離された別個のx及びy決定要素を用いる静電容量式タッチスクリーン又はマウストラックパッド検出要素である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態による電極のパターン及び配線を概略的に示す図。
【図2】更に小型に構築された本発明の第2実施形態による電極のパターン及び配線を概略的に示す図。
【図3】更に小型に構築され対称な本発明の第3実施形態による電極のパターン及び配線を概略的に示し、また、タッチ及び手影の領域を示す図。
【図4】本発明の電極を駆動するために便宜的に用い得る1つの形態の駆動回路を概略的に示す図。
【図5】本発明の信号を処理するために用いられるマイクロコントローラ等の信号プロセッサのブロック図を概略的に示す図。
【図6】図5の回路を実装するマイクロコントローラへの電極からの接続を示す図。
【図7】本発明の第4実施形態による電極のパターン及び配線を概略的に示す図。
【図8】図7の第4実施形態の、又は実際、第1乃至第3実施形態のいずれかの電極パターン及び配線構成に用いるための能動検出回路を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ又は近接を検出するためのペンレス二次元静電容量式変換器であって、
第1軸に沿ってほぼ平行な配列で配置された複数の電極から構成された第1電極組であって、前記電極は、抵抗性経路を介して互いに接続され、また、前記電極の内の第1電極上に第1接続部及び前記電極の内の第2電極上に第2接続部を有する前記第1電極組と、
第1軸に沿ってほぼ平行な配列で配置され、また、第1軸と交差する第2軸に沿って各々延在する複数の勾配電場生成用成形電極から構成された第2電極組であって、第2電極組の電極は、電気的に互いに接続され、また、1つの接続部を有する前記第2電極組と、
第1軸に沿ってほぼ平行な配列で配置され、また、各々第2軸に沿って延在する複数の勾配電場生成用成形電極から構成された第3電極組であって、第3電極組の電極は、電気的に互いに接続され、また、1つの接続部を有する前記第3電極組と、
を備え、第2及び第3電極組の電極は、共延在対で配置され、比率静電容量信号を提供し、
第2及び第3電極組の電極は、それぞれの静電容量信号の比率解析によって第2軸に沿うタッチ位置を決定させるそれぞれの静電容量信号を提供するように成形・寸法決定され、
第1電極組の電極を相互接続する抵抗性経路は、第1軸に沿うタッチ位置を決定させる静電容量信号を提供するように配置される、変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の変換器において、追加の接続が、第1と第2電極との間の電極において第1電極組に対して行われる、変換器。
【請求項3】
請求項2に記載の変換器において、前記追加接続が複数存在する、変換器。
【請求項4】
請求項3に記載の変換器において、前記接続は、静電容量式検出装置のチャネルに配線接続され、前記静電容量式検出装置は、全ての接続を位相同期して動作させるように構成される、変換器。
【請求項5】
請求項4に記載の変換器において、静電容量式検出装置には、ほぼ一斉に切り換えられるように構成された電荷移動検出回路が含まれる、変換器。
【請求項6】
前述の請求項のいずれかに記載の変換器において、第1、第2、及び第3電極組を形成する電極の平行配列は、人間の指タッチ以下であるように縮尺された繰り返し寸法を有する、変換器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の変換器において、第2及び第3電極組の電極は、それらの共延在距離上で相補的テーパを備えた共延在対で配置される、変換器。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の変換器において、第2及び第3電極組の電極は、それらの共延在距離上で変動面積の隣接ブロックを備えた共延在対で配置される、変換器。
【請求項9】
前述の請求項のいずれかに記載の変換器において、第1電極組の第1及び第2電極は、第1電極組の末端電極である、変換器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の変換器において、抵抗性経路には、第1電極組の電極上に延在する抵抗片が含まれる、変換器。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の変換器において、
抵抗性経路及び第1電極組の電極は、単一材料層に形成され、抵抗性経路には、第1電極組の隣接電極端を相互接続する複数の部位が含まれる、変換器。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の変換器において、
抵抗性経路には、抵抗性経路の電極及び相互接続部位が蛇行形状を形成するように、第1電極組の隣接電極を交互端において相互接続する複数の部位が含まれる、変換器。
【請求項13】
前述の請求項のいずれかに記載の変換器であって、更に、
第1電極組の電極に接続された出力を有し、また、電圧パルスが含まれる共通駆動信号を第1電極組に供給するように動作可能な駆動回路であって、抵抗性経路が、分圧器を形成し、電極毎に電圧パルスの電圧を段階的に推移させる前記駆動回路と、
それぞれの入力が第2及び第3電極組の電極にそれぞれ接続された第1及び第2検出回路であって、各検出回路には、前記電極組から転送された電荷の蓄積用サンプリングコンデンサと、サンプリングコンデンサに蓄積された電荷を検出するように配置された測定回路と、を含む前記第1及び第2検出回路と、
を備える変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−299409(P2007−299409A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−122803(P2007−122803)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(303033185)
【氏名又は名称原語表記】PHILIPP,Harald
【Fターム(参考)】