タッチセンサパネルコントローラ及びタッチ検出装置
【課題】Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和する。
【解決手段】複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路は立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する。前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路を有し、波形モードに応じてスイッチ回路のスイッチ制御が行われる。
【解決手段】複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路は立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する。前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路を有し、波形モードに応じてスイッチ回路のスイッチ制御が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサパネルコントローラ及びこれを用いた半導体装置に関し、例えばタッチセンサパネルユニットが組み込まれた液晶ディスプレイパネルユニットに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
相互キャパシタンス方式によるマルチポイントタッチに対応するタッチセンサパネルは例えば駆動電極としてのY電極と検出電極としてのX電極が誘電体を介在して直交するように配置され、それぞれの交差部分にはクロス結合容量としての交点容量が形成される。交点容量の近傍に指や手によるキャパシタンスが存在すると当該ノードの相互キャパシタンスは指や手による合成キャパシタンスの分だけ減少する。タッチセンサパネルコントローラは、この相互キャパシタンスの変化がどの交点容量で発生したかを検出するために、Y電極を電極順にパルス駆動してパルス単位の充電動作を行なって、Y電極とX電極の交点部分の容量値をX電極を介して計測する動作を順次繰り返し、Y電極とX電極の交点部分の容量値の分布データを取得可能にする。このような相互キャパシタンス方式を用いてタッチセンサパネルを駆動制御するコントローラについて例えば特許文献1に記載がある。特許文献1では、Y電極を電極順に交流パルス駆動したとき当該Y電極に係る交点容量などを介してX電極に現れる電荷信号を積分回路で積分して、計測信号を得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2007/0257890A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者はタッチセンサパネルコントローラにおいて駆動パルスでY電極を駆動するときのノイズについて検討した。タッチセンサパネルに指が触れたときY電極とX電極の交点の容量値は高々1pF程度変化するだけであり、その変化を大きな信号によって取り出すために駆動パルスの電圧を高くすることについて検討した。すなわち、Y電極を高電圧でパルス駆動することにより、1回のパルス駆動によって交点の容量に蓄積される電荷量が増えるので、信号成分を拡大でき高いS/N比を得ることができる。
【0005】
しかしながら、タッチセンサパネルが液晶ディスプレイパネルに重ねて配置されることを考慮すると、Y電極を駆動するパルス電圧が高いと、パルスの立ち上がり及び立ち下がりで、液晶ディスプレイパネルは容量性カップリングによるノイズの影響を大きく受けて表示品質に劣化を生ずる虞のあることが本発明者によって明らかにされた。更に、液晶ディスプレイパネルの特性やタッチセンサパネルの実装形態応じて、ノイズの影響にも軽重があり、その差にも対処できるようにする必要性のあることが本発明者によって見出された。
【0006】
特許文献1にはタッチセンサパネルと液晶ディスプレイパネルとの関係が記載されているが、Y電極のパルス駆動電圧を高くしたときに問題となるノイズについて充分検討されていない。
【0007】
本発明の目的は、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができるタッチセンサパネルコントローラを提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができるタッチ検出装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路は立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明が適用された表示及び入力装置の全体的な構成を示す説明図である。
【図2】図2はタッチセンサパネルの電極構成を例示する説明図である。
【図3】図3はディスプレイパネルの電極構成を例示する説明図である。
【図4】図4はタッチセンサパネルコントローラの全体的な構成を例示するブロック図である。
【図5】図5はタッチセンサパネルの等価回路及び検出回路としての積分回路の一例を示す回路図である。
【図6】図6はY電極に対するパルス状の交流駆動の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】図7はY電極への入力パルス電圧と積分回路による検出動作のタイミングを例示するタイミングチャートである。
【図8】図8は液晶ディスプレイパネルの等価回路及び液晶ドライバの駆動回路を例示する回路図である。
【図9】図9はゲート電極の駆動タイミングを例示するタイミングチャートである。
【図10】図10はゲート電極に印加されるゲートパルスとドレイン電極に印加される階調電圧とのタイミング波形を例示するタイミングチャートである。
【図11】図11は駆動波形の立ち上がりと立ち下がりの途中波形を可変にする態様として波形の傾きと傾きの中間電圧とを可変にする例を示す説明図である。
【図12】図12は駆動波形の立ち上がりと立ち下がりの途中波形を可変にする態様として波形の傾きとの切り替えタイミングを可変にする例を示す説明図である。
【図13】図13は駆動回路における出力波形の可変選択部の構成を例示する回路図である。
【図14】図14は図13の可変選択部を介して生成されるパルス波形の一例を示す波形図である。
【図15】図15は図14の駆動波形が液晶ディスプレイパネルに与える影響を模式的に示す説明図である。
【図16】図16は駆動回路における出力波形の可変選択部の別の構成とこれに用いる電源回路の構成を例示する回路図である。
【図17】図17は図16の可変選択部及び電源回路を介して生成されるパルス波形の一例を示す波形図である。
【図18】図18は図17の駆動波形が液晶ディスプレイパネルに与える影響を模式的に示す説明図である。
【図19】図19はY電極に対する駆動パルス波形を単なる矩形波とする駆動回路を比較例として示す回路図である。
【図20】図20は図19で生成されるパルス波形の一例を示す波形図である。
【図21】図21は図20の駆動波形が液晶ディスプレイパネルに与える影響を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0016】
〔1〕<立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定される駆動パルス信号>
本発明の代表的な実施の形態に係るタッチセンサパネルコントローラ(3)は、複数のY電極(Y1〜YM)及びX電極(X1〜XN)によって複数の交点容量(Cxy)が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路(300,300A)と、前記交点の容量値を前記X電極を介して計測する検出回路(301)と、前記駆動回路及び検出回路を制御する制御回路(308)と、を有する。前記駆動回路は前記制御回路による制御に基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する。
【0017】
これによれば、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイなどの特性に応じて駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができるので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【0018】
〔2〕<駆動電圧を選択するスイッチ回路>
項1のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路(310,310A)を有し、前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0019】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対する可変設定を容易に実現することができる。
【0020】
〔3〕<駆動電圧と出力抵抗値を選択するスイッチ回路>
項1のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記駆動回路は、複数の駆動電圧(VL,GND,VH)の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値(R)を選択するスイッチ回路(310)を有し、前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0021】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することができる。
【0022】
〔4〕<グランド、正、負電圧の選択>
項3のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記スイッチ回路(310)は、グランド電圧(GND)、前記グランド電圧に対する正電圧(VH)、又は前記グランド電圧に対する負電圧(VL)を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチ(SW1〜SW3)と、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子(R)経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチ(SW4,SW5)と、を有する。
【0023】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することが容易になる。
【0024】
〔5〕<オーバードライブ>
項2のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記スイッチ回路(310A)は、順次低レベルから高レベルに向かう第1電圧(VLL)、第2電圧(VL)、第3電圧及(VH)び第4電圧(VHH)を選択する複数のスイッチ(SW1〜SW4)を有し、前記制御回路は、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する。
【0025】
これによれば、パルス波形の立ち上がりでは第3電圧を超えて第4電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第3電圧に戻り、パルス波形の立ち下がりでは第2電圧を下回る第1電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第2電圧に戻るパルス波形を生成することができる。特に駆動波形がY電極を一方から伝播するとき電極の遅延成分によって伝播信号の変化の鈍りが徐々に大きくなるが、オーバードライブ波形によってその鈍りの度合いが緩和され、Y電極に沿った位置に拘わらず、ノイズの影響を均一化することができる。ノイズの影響の均一化はノイズによる不所望な影響の緩和に資することができる。
【0026】
〔6〕<制御レジスタ>
項2のタッチセンサパネルコントローラにおいて前記制御回路は書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタ(320)を有する。
【0027】
れこれによれば波形モードの設定を容易に行うことができる。
【0028】
〔7〕<制御用のマイクロプロセッサ>
項6のタッチセンサパネルコントローラは、前記制御レジスタに対する波形モードの設定と前記検出回路による検出結果を利用したデータ処理を行なうマイクロプロセッサ(5)を更に有する。
【0029】
これによればデータプロセッサのソフトウェアを介して波形モードの設定を容易に行うことができる。
【0030】
〔8〕<立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定される駆動パルス信号>
本発明の別に実施の形態に係るタッチ検出装置は、複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネル(1)と、前記タッチセンサパネルの前記Y電極を駆動すると共に前記Y電極とX電極の交点毎の容量値を前記X電極経由で計測するタッチセンサパネルコントローラ(3)と、前記タッチセンサパネルコントローラから転送される前記Y電極とX電極の交点毎の容量値の分布データに基づいてデータ処理を行なうマイクロプロセッサ(5)と、を有する。前記タッチセンサパネルコントローラは、前記データプロセッサから指示された波形モードに基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号を出力してY電極を駆動する。
【0031】
これによれば、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイなどの特性に応じて駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができるので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【0032】
〔9〕<駆動電圧を選択するスイッチ回路>
項8のタッチ検出装置において、前記タッチセンサパネルコントローラは、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路(310,310A)を有し、前記マイクロプロセッサから指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0033】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対する可変設定を容易に実現することができる。
【0034】
〔10〕<駆動電圧と出力抵抗値を選択するスイッチ回路>
項8のタッチ検出装置において、前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値を選択するスイッチ回路(310)を有し、前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0035】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することができる。
【0036】
〔11〕<グランド、正、負電圧の選択>
項10のタッチ検出装置において、前記スイッチ回路(310)は、グランド電圧、前記グランド電圧に対する正電圧、又は前記グランド電圧に対する負電圧を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチ(SW1〜SW3)と、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチ(SW4、SW5)と、を有する。
【0037】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することが容易になる。
【0038】
〔12〕<オーバードライブ>
項9のタッチ検出装置において、前記スイッチ回路(310A)は、順次低レベルから高レベルに向かう、第1電圧、第2電圧、第3電圧及び第4電圧を選択する複数のスイッチ(SW11〜SW14)を有する。前記タッチセンサパネルコントローラは、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する。
【0039】
これによれば、パルス波形の立ち上がりでは第3電圧を超えて第4電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第3電圧に戻り、パルス波形の立ち下がりでは第2電圧を下回る第1電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第2電圧に戻るパルス波形を生成することができる。特に駆動波形がY電極を一方から伝播するとき電極の遅延成分によって伝播信号の変化の鈍りが徐々に大きくなるが、オーバードライブ波形によってその鈍りの度合いが緩和され、Y電極に沿った位置に拘わらず、ノイズの影響を均一化することができる。ノイズの影響の均一化はノイズによる不所望な影響の緩和に資することができる。
【0040】
〔13〕<制御レジスタ>
項8のタッチ検出装置において、前記タッチセンサパネルコントローラは書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタ(320)を有し、前記マイクロプロセッサは、前記制御レジスタに対する波形モードの設定を行なう。
【0041】
これによれば波形モードの設定を容易に行うことができる。
【0042】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0043】
図1には本発明が適用された表示及び入力装置の全体的な構成を示す説明図である。同図に示される表示及び入力装置は例えばPDAや携帯電話機などの携帯端末の一部を構成し、タッチセンサパネル(TP)1、ディスプレイパネルとしての液晶ディスプレイパネル(DSP)2、タッチセンサパネルコントローラ(TPC)3、及びディスプレイドライバとしての液晶ドライバ(DSPD)4を備える。
【0044】
タッチセンサパネルコントローラ3は、制御用のマイクロプロセッサとしてのサブシステム用のマイクロプロセッサ(SMPU)5の制御に基づいてタッチセンサパネル1を駆動してその交点容量のアレイから順次信号を取得して蓄積し、蓄積した信号を当該サブシステム用のマイクロプロセッサ5に返していく。ここでは、サブシステム用のマイクロプロセッサとは、ホストプロセッサ6に対してサブシステムを構成するためのマイクロプロセッサであることを意味する。
【0045】
タッチセンサパネル1は透過性(透光性)の電極や誘電体膜を用いて構成され、例えばビットマップ表示形態の液晶ディスプレイ2の表示面に重ねて配置される。ホストプロセッサ(HMPU)6は表示データを生成し、液晶表示ドライバ4はホストプロセッサ6から受け取った表示データを液晶ディスプレイ2に表示するための表示制御を行う。
【0046】
サブシステム用のマイクロプロセッサ5はタッチセンサパネルコントローラ3から受け取った信号に対してディジタルフィルタ演算を行い、これによってノイズが除去された信号に基づいてタッチセンサパネル3上で接触イベントが発生したときの座標を演算してホストプロセッサ6に与える。例えばホストプロセッサ6は液晶表示ドライバ4に与えて表示させた表示画面とサブシステム用のマイクロプロセッサ5から与えられた座標データとの関係から、タッチセンサパネル1による入力を解析する。
【0047】
図2にはタッチセンサパネルの電極構成が例示される。タッチセンサパネル1は横方向に形成された多数のY電極Y1〜YMと、縦方向に形成された多数のX電極X1〜XNとが相互に電気的に絶縁されて構成される。各電極はその延在方向の途中が方形状に成形されて容量電極を構成する。X電極に接続する容量電極とY電極に接続する容量電極との隙間に交点の容量が形成される。即ちX電極X1〜XNとY電極Y1〜YMの交点に容量(交点容量)が形成される。Y電極Y1〜YMは電極の配列順にパルス電圧が印加されて駆動される。
【0048】
図3にはディスプレイパネル2の電極構成が例示される。同図に示されるディスプレイパネル2の表示サイズは例えば480RGB×640の規模とされる。ディスプレイパネル2は横方向に形成された走査電極としてのゲート電極G1〜G640と縦方向に形成された信号電極としてのドレイン電極D1〜D1440とが配置され、その交点部分には選択端子が対応する走査電極に接続され、入力端子が対応する信号電極に接続された多数の表示セルが配置される。ゲート電極G1〜G640は例えば電極の配列順にパルスが印加されて駆動される。
【0049】
図4にはタッチセンサパネルコントローラ3の全体的な構成が例示される。タッチセンサパネルコントローラ1は駆動回路(YDRV)300、検出回路としての積分回路(INTGR)301、サンプルホールド回路(SH)302、セレクタ(SLCT)303、AD変換回路(ADC)304、RAM305、バスインタフェース回路(BIF)306、及びシーケンス制御回路(SQENC)308を有する。
【0050】
駆動回路300はY電極Y1〜YMをパルス状の交流駆動電圧によって電極の配列順に駆動する。要するに交点容量を走査駆動する。積分回路301は走査駆動された交点容量から順次検出信号を入力してその信号電荷を蓄積する。セレクタ303は積分回路で積分された電荷信号をX電極(X1〜XN)毎に選択し、選択された電荷信号はAD変換回路304で検出データに変換される。変換された検出データはRAM305に蓄積される。RAM305に蓄積された検出データはバスインタフェース回路306を介してサブシステム用のマイクプロセッサ5に供給され、ディジタルフィルタ演算及び座標演算に供される。
【0051】
シーケンス制御回路308は制御信号Csig1〜Csig6を用いて駆動回路300、積分回路301、サンプルホールド回路302、セレクタ303、AD変換回路304及びバスインタフェース回路306の動作を制御し、また、制御信号Csig7によってRAM305のアクセス制御を行う。特に制限されないが、駆動回路300がY電極に出力する複数の駆動電圧Vbst、積分回路301が入力するX電極の初期化電圧VHSP、及びその他の電源電圧VICはタッチセンサパネルコントローラ3の外部から供給される。
【0052】
図5にはタッチセンサパネル1の等価回路と検出回路としての積分回路301の一例が示される。タッチセンサパネルには、Y電極Y1〜YMとX電極X1〜XN電極がマトリクス状に配置され、その交点には、交点容量としての交点容量Cxyが形成される。
【0053】
積分回路301は、X電極X1〜XNをチャージするための電源VHSPと、X電極X1〜XNへの電源VHSPのチャージを制御するスイッチSW2、オペアンプAMPit、積分コンデンサCs、積分コンデンサCsをリセットするためのスイッチSW1によって構成される。なおスイッチSW1は検出に使用するコンデンサCsに重畳された電荷をリセットするスイッチであり、スイッチSW2はX電極X1〜XNに電源VHSPをチャージするためのスイッチである。
【0054】
図6にはY電極Y1〜YMへの入力波形の一例が示される。同図に例示されるようにY電極Y1〜YMには電極の配列順にパルス状の交流駆動電圧が入力される。尚、図6において駆動パルス信号はY電極1本あたり例えば9回パルス変化されている。
【0055】
図7にはY電極Y1〜YMへの入力パルス電圧と積分回路301による検出動作のタイミングが例示される。まず、スイッチSW2がオン状態にされて、X電極Xn(n=1〜N)を電源VHSPにチャージする非検出状態aに遷移させ、スイッチSWS1をオン状態にして、コンデンサCsをリセットする。次に、スイッチSW1とスイッチSW2をオフ状態にして、検出待受状態bに遷移する。検出待受状態bでは、X電極Xnは、電源VHSPに接続されない状況になり、仮想接地の構成である積分回路301で電圧レベルが保持される。そして、検出待受状態bに遷移した後に、Y電極Y1に振幅Vyの立ち上がりパルスを入力する(他のY電極Y2〜YMはローレベルに固定)。その結果、Y電極Y1上の交点容量Cxyを介してX電極Xnに電荷(=Vy×Cxy)が移動して検出回路301に入力され、オペアンプAMPitの出力VOUTnが変化する。なお、指でタッチすると対応する交点の容量は交点容量Cxyに対して容量値Cfだけ減少するため、例えば、タッチしたX電極がX2だとした場合、X電極X2のオペアンプAMPitに入力される電荷はVy×(Cxy−Cf)となり、オペアンプAMPitの出力VOUT2は非タッチの場合に比べて高くなる。このVOUTn(n=1〜N)をAD変換回路304でデジタル値の検出データに変換して、座標演算などに供せられる。
【0056】
図8には液晶ディスプレイパネル2の等価回路と液晶ドライバ4駆動回路が例示される。液晶ディスプレイパネル2は、ゲート電極G1〜G640とドレイン電極D1〜D1440がマトリクス状に配置され、その交点部分には、TFT(Thin Film Transistor)スイッチが形成される。TFTスイッチのソース側にはサブピクセルとなる液晶容量LCDの液晶画素電極Sが接続され、その液晶容量LCDの反対側の電極は共通電極(COM)になっている。ドレイン電極D1〜D1440には夫々ボルテージフォロアを構成するオペアンプAMPvfの出力が結合される。例えばドレイン電極D1のオペアンプAMPvfには赤色に対応する階調電圧VDR1、ドレイン電極D2のオペアンプAMPvfには緑色に対応する階調電圧VDG1が供給される。
【0057】
図9にはゲート電極G1〜G640への入力波形が例示される。ゲート電極G1〜G640には線順次でゲートパルスが入力される。
【0058】
図10にはゲート電極に印加されるゲートパルスとドレイン電極に印加される階調電圧とのタイミング波形が例示される。例えば、ゲート電極G1に振幅Vgのゲートパルスを入力し、ゲート電極G1上のTFTスイッチをオン状態にする。その後、ドレイン電極D1からTFTスイッチを介して選択された液晶画素電極Sに階調電圧VDR1を印加する。液晶画素電極Sの入力電圧はゲートパルスが立ち下がるタイミングで確定される。共通電極COMには基準電圧が印加されており、TFTスイッチがオフした後、1フレームの間、液晶容量LCDには基準電圧COMと階調電圧VDR1が保持されて、表示輝度が規定される。
【0059】
次に駆動回路300によるY電極の駆動パルス波形について説明する。図6及び図7に示されたY電極Y1〜YMの駆動波形は便宜上単なる矩形波形で図示されているが、実際には、その駆動波形は立ち上がりと立ち下がりの途中波形が可変可能に制御される。その制御は、サブシステム用のマイクロプロセッサ5が制御レジスタCREG320に設定する波形モードに従ってシーケンス制御回路308が制御信号Csig1で制御する。
【0060】
ここで、駆動波形の立ち上がりと立ち下がりの途中波形を可変にするとは、例えば図11に示される実線に対して破線のように波形の傾きと傾きの中間電圧V1,V2とを可変にすること、また、図12に例示される破線のように、波形の傾きとの切り替えタイミングT1,T2,T3を可変にすること、などとされる。
【0061】
図13には駆動回路における出力波形の可変選択部の構成例が示される。特に制限されないが、Y電極Y1〜YM毎に可変選択部310が配置され、夫々の可変選択部310には駆動電圧としてグランド電圧GND、前記グランド電圧GNDに対する正電圧VH、及び前記グランド電圧GNDに対する負電圧VLが共通に供給される。負電圧VL及び正電圧VHは、特に制限されないが、前記波形モードに応じて決定される可変電圧である。
【0062】
可変選択部310は、スイッチSW1〜SW5と抵抗素子Rを有し、スイッチSW1〜SW3の内の一つで選択された駆動電圧をそのまま対応するY電極に供給し、或いはスイッチSW4又はSW5で選択された駆動電圧を抵抗素子Rを介して対応するY電極に供給する。スイッチSW1〜SW5はクロック信号SCK1〜SCK5によって択一的に選択される。クロック信号SCK1〜SCK5は制御レジスタ320に設定された波形モードに応じてシーケンス制御回路308が生成する。例えば、シーケンス制御回路308はそのタイマカウンタ機能又はPWM(Pulse-width modulation)機能を用いてクロック信号SCK1〜SCK5を生成することができる。
【0063】
図14には可変選択部310を介して生成されるパルス波形の一例が示される。ここでは駆動信号の波高値はVH−VLであり、パルス周期ごとに、時刻t0でVL選択からGND選択に切り替え、時刻t1でGND選択からVH選択に切り替え、時刻t2でVH選択からGND選択に切り替え、時刻t3でGND選択からVL選択に切り替える制御が行われることによって、図示の波形が形成される。電圧VL,GND,VHの選択タイミングを切り替えることにより、また電圧VL,VHの値を変更することにより種々の波形を選択する事ができる。更に立ち上がり波形と立下り波形の傾きは、スイッチSW1,SW3を選択する場合に比べてスイッチSW4、SW5を選択する方が大きくなる。特に図14の例では、立ち上がりのときには時刻t1でスイッチSW4が選択されて傾きが小さくされ、立下り時には時刻t3でスイッチSW5が選択されて傾きが小さくされている。また、立ち上がりのときに時刻t1でスイッチSW1を選択して途中でスイッチSW4に切り替えることによってパルス形状の変化を更に緩やかにし、同じく立下り時に時刻t3でスイッチSW3を選択して途中でスイッチSW5に切り替えることによってパルス形状の変化を更に緩やかにすることも可能である。
【0064】
図15はY電極の駆動波形が液晶ディスプレイパネル2に与える影響を模式的に示す。RyはY電極Ynの分布配線抵抗、Cxyは前記交点容量である。Ccpは液晶ディスプレイパネル2とタッチセンサパネル1との分布結合容量を意味する。例えばY電極Ynがその起端から図14のパルス波形DW0を持つ駆動パルスで駆動されると、そのパルス波形はY電極Ynの終端に近着くほど、DW1,DW2,Dw3のように徐々に鈍りが大きくなる。このパルス波形は分布結合容量Ccpを介して液晶ディスプレイパネル2にノイズ波形NW1,NW2,NW3として伝播される。図15の波形からも明らかなように、駆動パルスのパルス波形は立ち上がりときにはその途中から傾きが小さくされ、立下り時にはその途中から傾きが小さくされているので、ノイズ波形NW1〜NW3は小さく抑えられ、且つ、ノイズ波形NW1〜NW3相互の大きさの差も小さくされる。
【0065】
したがって、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイパネル2などの特性に応じて駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができるので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【0066】
これに対して図19に例示されるようにY電極に対する駆動パルス波形を正電圧VHとグランド電圧GNDだけで生成する場合には、そのパルス波形は図20に例示されるような単なる矩形パルス波形とされる。パルス波形DW20がY電極Ynの起端から順次伝播されたパルス波形DW21,DW22,DW23は分布結合容量Ccpを介して液晶ディスプレイパネル2にノイズ波形NW21,NW22,NW23として与えられることになるが、図21の波形からも明らかなように、駆動パルスのパルス波形DW20は図15の場合と違い単なる矩形のパルス波形であるから、Y電極Ynの駆動源に近いほどノイズ波形の波高値が大きくなり、さらにY電極Ynの両端に位置してそのノイズ波形NW11とNW23に大きな差を生ずる。このように一つの液晶ディスプレイパネルに与えられるノイズ波形の分布が場所によって大きく相違し、しかもその最大値も大きくなると、液晶ディスプレイパネルの表示状態に大きな斑を生じ、表示性能が著しく劣化すると考えられる。本実施の形態のタッチセンサパネルコントローラ3を用いる場合には前述より明らかなように液晶ディスプレイパネル2に対するそのようなノイズの影響を緩和さらには抑制することができる。
【0067】
次に駆動回路300の変形例に係る駆動回路300Aについて説明する。
【0068】
図16には駆動回路300Aにおける出力波形の可変選択部の別の構成とこれに用いる電源回路の構成が例示される。特に制限されないが、Y電極Y1〜YM毎に可変選択部310Aが配置され、夫々の可変選択部310Aには、順次低レベルから高レベルに向かう、電圧VLL,VL,VH,VHHが共通に供給される。
【0069】
電圧VLL,VL,VH.VHHは、特に制限されないが、前記波形モードに応じて決定される可変電圧であり、電源回路330で生成される。例えば電圧VHHは、基準電圧Vrefを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が可変抵抗回路341と抵抗素子351によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路341の設定抵抗値に応じた正の高電圧を出力するオペアンプ331によって形成される。電圧VHは、基準電圧Vrefを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が可変抵抗回路342と抵抗素子352によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路342の設定抵抗値に応じた正の電圧を出力するオペアンプ332によって形成される。電圧VLは、グランド電圧GNDを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が基準電圧Vrefとの間で可変抵抗回路343と抵抗素子353によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路343の設定抵抗値に応じた負の電圧を出力するオペアンプ333によって形成される。電圧VLLは、グランド電圧GNDを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が基準電圧Vrefとの間で可変抵抗回路344と抵抗素子354によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路344の設定抵抗値に応じた負の低電圧を出力するオペアンプ334によって形成される。
【0070】
可変選択部310Aは、スイッチSW11〜SW14を有し、スイッチSW11〜SW14の内の一つで選択された駆動電圧が対応するY電極に供給される。スイッチSW11〜SW14はクロック信号SCK11〜SCK14によって択一的に選択される。クロック信号SCK11〜SCK14は制御レジスタ320に設定された波形モードに応じてシーケンス制御回路308が生成する。例えば、シーケンス制御回路308はそのタイマカウンタ機能又はPWM(Pulse-width modulation)機能を用いてクロック信号SCK11〜SCK14を生成することができる。
【0071】
図17には可変選択部310A及び電源回路330を介して生成されるパルス波形の一例が示される。ここでは駆動信号の波高値はVHH−VLLであり、パルス周期ごとに、時刻t0でVL選択からVHH選択に切り替え、時刻t1でVHH選択からVH選択に切り替え、時刻t2でVH選択からVLL選択に切り替え、時刻t3でVLL選択からVL選択に切り替える制御が行われることによって、図示の波形が形成される。電圧VL,VHH,VH,VLLの選択タイミングを切り替えることにより、また可変抵抗回路341〜344の抵抗値設定を変更することにより種々の波形を選択する事ができる。特に図17の例では、立ち上がりのときには電圧VLから電圧VHHにオーバードライブした後に電圧VHに安定化させ、立下り時には電圧VHから電圧VLLにオーバードライブした後に電圧VLに安定化させるオーバードライブが行なわれている。
【0072】
図18はY電極の駆動波形が液晶ディスプレイパネル2に与える影響を模式的に示す。RyはY電極Ynの分布配線抵抗、Cxyは前記交点容量である。Ccpは液晶ディスプレイパネル2とタッチセンサパネル1との分布結合容量を意味する。例えばY電極Ynがその起端から図18のパルス波形DW10を持つ駆動パルスで駆動されると、そのパルス波形はY電極Ynの終端に近着くほど、DW11,DW12,Dw13のように徐々に鈍りが大きくなる。ただし、その鈍りは、上記オーバードライブにより図15よりも緩やかである。このパルス波形は分布結合容量Ccpを介して液晶ディスプレイパネル2にノイズ波形NW11,NW12,NW13として伝播される。図18の波形からも明らかなように、Y電極Ynがオーバードライブ駆動され、その結果として、Y電極Ynの伝播波形は単なる矩形よりも鈍りが小さくされ、しかもその鈍りの相違はY電極Ynの両端で圧縮される。したがって、ノイズ波形NW11〜NW13は全体的に大きくなっても、ノイズ波形NW11〜NW13相互の大きさの差は図15に比べても、また、図21に比べても小さくされる。
【0073】
このように、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイパネル2などの特性に応じてY電極の駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができると共にオーバードライブ駆動を行なうので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響をY電極に沿って均一化することを可能にする。即ち、一つの液晶ディスプレイパネルに与えられるノイズ波形の分布が場所によって均一化されれば、仮にノイズ波高値が大きくても、液晶ディスプレイパネルの表示状態に大きな斑を生ずることはなく、この点で、表示性能の著しく劣化を抑制することが可能になる。
【0074】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0075】
例えば、タッチセンサパネルコントローラはサブシステム用のマイクロプロセッサを同一半導体チップに備えてシングルチップで構成されてもよい。また、タッチセンサパネルコントローラはサブシステム用のデータプロセッサとしてのマイクロプロセッサのほかに液晶ディスプレイドライバを同一半導体チップに備えてシングルチップで構成されてもよい。また、タッチセンサパネルコントローラは液晶ディスプレイドライバを同一半導体チップに備えてシングルチップで構成されてもよい。
【0076】
また、AD変換回路をX電極毎に設けてもよい。その場合にはサンプルホールド回路及びセレクタは不要である。また、Y電極を駆動するパルス波形は上記波形に限定されず適宜変更可能であり、それに用いる駆動電圧の種類についても適宜変更可能である。また、スイッチ回路としての可変選択部310,310AはY電極毎に配置したが、Y電極Y1〜YMに共通化して一つ設け、選択部で選択された電圧を供給するY電極をセレクタで選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 タッチセンサパネル(TP)
2 液晶ディスプレイパネル(DSP)
3 タッチセンサパネルコントローラ(TPC)
4 液晶ドライバ(DSPD)
5 サブシステム用のマイクロプロセッサ(SMPU)
6 ホストプロセッサ(HMPU)
Y1〜YM Y電極
X1〜XN X電極
Cxy 交点容量
300,300A 駆動回路
301 検出回路としての積分回路(INTGR)
308 シーケンス制御回路(SQENC)
320 制御レジスタ
310 可変選択部
GND グランド電圧
VH 正電圧
VL 負電圧
SW1〜SW5 スイッチ
R 抵抗素子
SCK1〜SCK5 クロック信号
310A 可変選択部
VLL,VL,VH,VHH 順次低レベルから高レベルに向かう電圧
330 電源回路
341〜344 可変抵抗回路
351〜354 抵抗素子
331〜334 オペアンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサパネルコントローラ及びこれを用いた半導体装置に関し、例えばタッチセンサパネルユニットが組み込まれた液晶ディスプレイパネルユニットに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
相互キャパシタンス方式によるマルチポイントタッチに対応するタッチセンサパネルは例えば駆動電極としてのY電極と検出電極としてのX電極が誘電体を介在して直交するように配置され、それぞれの交差部分にはクロス結合容量としての交点容量が形成される。交点容量の近傍に指や手によるキャパシタンスが存在すると当該ノードの相互キャパシタンスは指や手による合成キャパシタンスの分だけ減少する。タッチセンサパネルコントローラは、この相互キャパシタンスの変化がどの交点容量で発生したかを検出するために、Y電極を電極順にパルス駆動してパルス単位の充電動作を行なって、Y電極とX電極の交点部分の容量値をX電極を介して計測する動作を順次繰り返し、Y電極とX電極の交点部分の容量値の分布データを取得可能にする。このような相互キャパシタンス方式を用いてタッチセンサパネルを駆動制御するコントローラについて例えば特許文献1に記載がある。特許文献1では、Y電極を電極順に交流パルス駆動したとき当該Y電極に係る交点容量などを介してX電極に現れる電荷信号を積分回路で積分して、計測信号を得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2007/0257890A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者はタッチセンサパネルコントローラにおいて駆動パルスでY電極を駆動するときのノイズについて検討した。タッチセンサパネルに指が触れたときY電極とX電極の交点の容量値は高々1pF程度変化するだけであり、その変化を大きな信号によって取り出すために駆動パルスの電圧を高くすることについて検討した。すなわち、Y電極を高電圧でパルス駆動することにより、1回のパルス駆動によって交点の容量に蓄積される電荷量が増えるので、信号成分を拡大でき高いS/N比を得ることができる。
【0005】
しかしながら、タッチセンサパネルが液晶ディスプレイパネルに重ねて配置されることを考慮すると、Y電極を駆動するパルス電圧が高いと、パルスの立ち上がり及び立ち下がりで、液晶ディスプレイパネルは容量性カップリングによるノイズの影響を大きく受けて表示品質に劣化を生ずる虞のあることが本発明者によって明らかにされた。更に、液晶ディスプレイパネルの特性やタッチセンサパネルの実装形態応じて、ノイズの影響にも軽重があり、その差にも対処できるようにする必要性のあることが本発明者によって見出された。
【0006】
特許文献1にはタッチセンサパネルと液晶ディスプレイパネルとの関係が記載されているが、Y電極のパルス駆動電圧を高くしたときに問題となるノイズについて充分検討されていない。
【0007】
本発明の目的は、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができるタッチセンサパネルコントローラを提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができるタッチ検出装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路は立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明が適用された表示及び入力装置の全体的な構成を示す説明図である。
【図2】図2はタッチセンサパネルの電極構成を例示する説明図である。
【図3】図3はディスプレイパネルの電極構成を例示する説明図である。
【図4】図4はタッチセンサパネルコントローラの全体的な構成を例示するブロック図である。
【図5】図5はタッチセンサパネルの等価回路及び検出回路としての積分回路の一例を示す回路図である。
【図6】図6はY電極に対するパルス状の交流駆動の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】図7はY電極への入力パルス電圧と積分回路による検出動作のタイミングを例示するタイミングチャートである。
【図8】図8は液晶ディスプレイパネルの等価回路及び液晶ドライバの駆動回路を例示する回路図である。
【図9】図9はゲート電極の駆動タイミングを例示するタイミングチャートである。
【図10】図10はゲート電極に印加されるゲートパルスとドレイン電極に印加される階調電圧とのタイミング波形を例示するタイミングチャートである。
【図11】図11は駆動波形の立ち上がりと立ち下がりの途中波形を可変にする態様として波形の傾きと傾きの中間電圧とを可変にする例を示す説明図である。
【図12】図12は駆動波形の立ち上がりと立ち下がりの途中波形を可変にする態様として波形の傾きとの切り替えタイミングを可変にする例を示す説明図である。
【図13】図13は駆動回路における出力波形の可変選択部の構成を例示する回路図である。
【図14】図14は図13の可変選択部を介して生成されるパルス波形の一例を示す波形図である。
【図15】図15は図14の駆動波形が液晶ディスプレイパネルに与える影響を模式的に示す説明図である。
【図16】図16は駆動回路における出力波形の可変選択部の別の構成とこれに用いる電源回路の構成を例示する回路図である。
【図17】図17は図16の可変選択部及び電源回路を介して生成されるパルス波形の一例を示す波形図である。
【図18】図18は図17の駆動波形が液晶ディスプレイパネルに与える影響を模式的に示す説明図である。
【図19】図19はY電極に対する駆動パルス波形を単なる矩形波とする駆動回路を比較例として示す回路図である。
【図20】図20は図19で生成されるパルス波形の一例を示す波形図である。
【図21】図21は図20の駆動波形が液晶ディスプレイパネルに与える影響を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0016】
〔1〕<立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定される駆動パルス信号>
本発明の代表的な実施の形態に係るタッチセンサパネルコントローラ(3)は、複数のY電極(Y1〜YM)及びX電極(X1〜XN)によって複数の交点容量(Cxy)が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路(300,300A)と、前記交点の容量値を前記X電極を介して計測する検出回路(301)と、前記駆動回路及び検出回路を制御する制御回路(308)と、を有する。前記駆動回路は前記制御回路による制御に基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する。
【0017】
これによれば、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイなどの特性に応じて駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができるので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【0018】
〔2〕<駆動電圧を選択するスイッチ回路>
項1のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路(310,310A)を有し、前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0019】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対する可変設定を容易に実現することができる。
【0020】
〔3〕<駆動電圧と出力抵抗値を選択するスイッチ回路>
項1のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記駆動回路は、複数の駆動電圧(VL,GND,VH)の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値(R)を選択するスイッチ回路(310)を有し、前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0021】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することができる。
【0022】
〔4〕<グランド、正、負電圧の選択>
項3のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記スイッチ回路(310)は、グランド電圧(GND)、前記グランド電圧に対する正電圧(VH)、又は前記グランド電圧に対する負電圧(VL)を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチ(SW1〜SW3)と、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子(R)経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチ(SW4,SW5)と、を有する。
【0023】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することが容易になる。
【0024】
〔5〕<オーバードライブ>
項2のタッチセンサパネルコントローラにおいて、前記スイッチ回路(310A)は、順次低レベルから高レベルに向かう第1電圧(VLL)、第2電圧(VL)、第3電圧及(VH)び第4電圧(VHH)を選択する複数のスイッチ(SW1〜SW4)を有し、前記制御回路は、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する。
【0025】
これによれば、パルス波形の立ち上がりでは第3電圧を超えて第4電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第3電圧に戻り、パルス波形の立ち下がりでは第2電圧を下回る第1電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第2電圧に戻るパルス波形を生成することができる。特に駆動波形がY電極を一方から伝播するとき電極の遅延成分によって伝播信号の変化の鈍りが徐々に大きくなるが、オーバードライブ波形によってその鈍りの度合いが緩和され、Y電極に沿った位置に拘わらず、ノイズの影響を均一化することができる。ノイズの影響の均一化はノイズによる不所望な影響の緩和に資することができる。
【0026】
〔6〕<制御レジスタ>
項2のタッチセンサパネルコントローラにおいて前記制御回路は書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタ(320)を有する。
【0027】
れこれによれば波形モードの設定を容易に行うことができる。
【0028】
〔7〕<制御用のマイクロプロセッサ>
項6のタッチセンサパネルコントローラは、前記制御レジスタに対する波形モードの設定と前記検出回路による検出結果を利用したデータ処理を行なうマイクロプロセッサ(5)を更に有する。
【0029】
これによればデータプロセッサのソフトウェアを介して波形モードの設定を容易に行うことができる。
【0030】
〔8〕<立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定される駆動パルス信号>
本発明の別に実施の形態に係るタッチ検出装置は、複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネル(1)と、前記タッチセンサパネルの前記Y電極を駆動すると共に前記Y電極とX電極の交点毎の容量値を前記X電極経由で計測するタッチセンサパネルコントローラ(3)と、前記タッチセンサパネルコントローラから転送される前記Y電極とX電極の交点毎の容量値の分布データに基づいてデータ処理を行なうマイクロプロセッサ(5)と、を有する。前記タッチセンサパネルコントローラは、前記データプロセッサから指示された波形モードに基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号を出力してY電極を駆動する。
【0031】
これによれば、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイなどの特性に応じて駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができるので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【0032】
〔9〕<駆動電圧を選択するスイッチ回路>
項8のタッチ検出装置において、前記タッチセンサパネルコントローラは、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路(310,310A)を有し、前記マイクロプロセッサから指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0033】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対する可変設定を容易に実現することができる。
【0034】
〔10〕<駆動電圧と出力抵抗値を選択するスイッチ回路>
項8のタッチ検出装置において、前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値を選択するスイッチ回路(310)を有し、前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する。
【0035】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することができる。
【0036】
〔11〕<グランド、正、負電圧の選択>
項10のタッチ検出装置において、前記スイッチ回路(310)は、グランド電圧、前記グランド電圧に対する正電圧、又は前記グランド電圧に対する負電圧を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチ(SW1〜SW3)と、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチ(SW4、SW5)と、を有する。
【0037】
これによれば、駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形に対して波形の変化点及び波形の傾きを細かく設定することが容易になる。
【0038】
〔12〕<オーバードライブ>
項9のタッチ検出装置において、前記スイッチ回路(310A)は、順次低レベルから高レベルに向かう、第1電圧、第2電圧、第3電圧及び第4電圧を選択する複数のスイッチ(SW11〜SW14)を有する。前記タッチセンサパネルコントローラは、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する。
【0039】
これによれば、パルス波形の立ち上がりでは第3電圧を超えて第4電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第3電圧に戻り、パルス波形の立ち下がりでは第2電圧を下回る第1電圧に至るオーバードライブ波形を形成して第2電圧に戻るパルス波形を生成することができる。特に駆動波形がY電極を一方から伝播するとき電極の遅延成分によって伝播信号の変化の鈍りが徐々に大きくなるが、オーバードライブ波形によってその鈍りの度合いが緩和され、Y電極に沿った位置に拘わらず、ノイズの影響を均一化することができる。ノイズの影響の均一化はノイズによる不所望な影響の緩和に資することができる。
【0040】
〔13〕<制御レジスタ>
項8のタッチ検出装置において、前記タッチセンサパネルコントローラは書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタ(320)を有し、前記マイクロプロセッサは、前記制御レジスタに対する波形モードの設定を行なう。
【0041】
これによれば波形モードの設定を容易に行うことができる。
【0042】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0043】
図1には本発明が適用された表示及び入力装置の全体的な構成を示す説明図である。同図に示される表示及び入力装置は例えばPDAや携帯電話機などの携帯端末の一部を構成し、タッチセンサパネル(TP)1、ディスプレイパネルとしての液晶ディスプレイパネル(DSP)2、タッチセンサパネルコントローラ(TPC)3、及びディスプレイドライバとしての液晶ドライバ(DSPD)4を備える。
【0044】
タッチセンサパネルコントローラ3は、制御用のマイクロプロセッサとしてのサブシステム用のマイクロプロセッサ(SMPU)5の制御に基づいてタッチセンサパネル1を駆動してその交点容量のアレイから順次信号を取得して蓄積し、蓄積した信号を当該サブシステム用のマイクロプロセッサ5に返していく。ここでは、サブシステム用のマイクロプロセッサとは、ホストプロセッサ6に対してサブシステムを構成するためのマイクロプロセッサであることを意味する。
【0045】
タッチセンサパネル1は透過性(透光性)の電極や誘電体膜を用いて構成され、例えばビットマップ表示形態の液晶ディスプレイ2の表示面に重ねて配置される。ホストプロセッサ(HMPU)6は表示データを生成し、液晶表示ドライバ4はホストプロセッサ6から受け取った表示データを液晶ディスプレイ2に表示するための表示制御を行う。
【0046】
サブシステム用のマイクロプロセッサ5はタッチセンサパネルコントローラ3から受け取った信号に対してディジタルフィルタ演算を行い、これによってノイズが除去された信号に基づいてタッチセンサパネル3上で接触イベントが発生したときの座標を演算してホストプロセッサ6に与える。例えばホストプロセッサ6は液晶表示ドライバ4に与えて表示させた表示画面とサブシステム用のマイクロプロセッサ5から与えられた座標データとの関係から、タッチセンサパネル1による入力を解析する。
【0047】
図2にはタッチセンサパネルの電極構成が例示される。タッチセンサパネル1は横方向に形成された多数のY電極Y1〜YMと、縦方向に形成された多数のX電極X1〜XNとが相互に電気的に絶縁されて構成される。各電極はその延在方向の途中が方形状に成形されて容量電極を構成する。X電極に接続する容量電極とY電極に接続する容量電極との隙間に交点の容量が形成される。即ちX電極X1〜XNとY電極Y1〜YMの交点に容量(交点容量)が形成される。Y電極Y1〜YMは電極の配列順にパルス電圧が印加されて駆動される。
【0048】
図3にはディスプレイパネル2の電極構成が例示される。同図に示されるディスプレイパネル2の表示サイズは例えば480RGB×640の規模とされる。ディスプレイパネル2は横方向に形成された走査電極としてのゲート電極G1〜G640と縦方向に形成された信号電極としてのドレイン電極D1〜D1440とが配置され、その交点部分には選択端子が対応する走査電極に接続され、入力端子が対応する信号電極に接続された多数の表示セルが配置される。ゲート電極G1〜G640は例えば電極の配列順にパルスが印加されて駆動される。
【0049】
図4にはタッチセンサパネルコントローラ3の全体的な構成が例示される。タッチセンサパネルコントローラ1は駆動回路(YDRV)300、検出回路としての積分回路(INTGR)301、サンプルホールド回路(SH)302、セレクタ(SLCT)303、AD変換回路(ADC)304、RAM305、バスインタフェース回路(BIF)306、及びシーケンス制御回路(SQENC)308を有する。
【0050】
駆動回路300はY電極Y1〜YMをパルス状の交流駆動電圧によって電極の配列順に駆動する。要するに交点容量を走査駆動する。積分回路301は走査駆動された交点容量から順次検出信号を入力してその信号電荷を蓄積する。セレクタ303は積分回路で積分された電荷信号をX電極(X1〜XN)毎に選択し、選択された電荷信号はAD変換回路304で検出データに変換される。変換された検出データはRAM305に蓄積される。RAM305に蓄積された検出データはバスインタフェース回路306を介してサブシステム用のマイクプロセッサ5に供給され、ディジタルフィルタ演算及び座標演算に供される。
【0051】
シーケンス制御回路308は制御信号Csig1〜Csig6を用いて駆動回路300、積分回路301、サンプルホールド回路302、セレクタ303、AD変換回路304及びバスインタフェース回路306の動作を制御し、また、制御信号Csig7によってRAM305のアクセス制御を行う。特に制限されないが、駆動回路300がY電極に出力する複数の駆動電圧Vbst、積分回路301が入力するX電極の初期化電圧VHSP、及びその他の電源電圧VICはタッチセンサパネルコントローラ3の外部から供給される。
【0052】
図5にはタッチセンサパネル1の等価回路と検出回路としての積分回路301の一例が示される。タッチセンサパネルには、Y電極Y1〜YMとX電極X1〜XN電極がマトリクス状に配置され、その交点には、交点容量としての交点容量Cxyが形成される。
【0053】
積分回路301は、X電極X1〜XNをチャージするための電源VHSPと、X電極X1〜XNへの電源VHSPのチャージを制御するスイッチSW2、オペアンプAMPit、積分コンデンサCs、積分コンデンサCsをリセットするためのスイッチSW1によって構成される。なおスイッチSW1は検出に使用するコンデンサCsに重畳された電荷をリセットするスイッチであり、スイッチSW2はX電極X1〜XNに電源VHSPをチャージするためのスイッチである。
【0054】
図6にはY電極Y1〜YMへの入力波形の一例が示される。同図に例示されるようにY電極Y1〜YMには電極の配列順にパルス状の交流駆動電圧が入力される。尚、図6において駆動パルス信号はY電極1本あたり例えば9回パルス変化されている。
【0055】
図7にはY電極Y1〜YMへの入力パルス電圧と積分回路301による検出動作のタイミングが例示される。まず、スイッチSW2がオン状態にされて、X電極Xn(n=1〜N)を電源VHSPにチャージする非検出状態aに遷移させ、スイッチSWS1をオン状態にして、コンデンサCsをリセットする。次に、スイッチSW1とスイッチSW2をオフ状態にして、検出待受状態bに遷移する。検出待受状態bでは、X電極Xnは、電源VHSPに接続されない状況になり、仮想接地の構成である積分回路301で電圧レベルが保持される。そして、検出待受状態bに遷移した後に、Y電極Y1に振幅Vyの立ち上がりパルスを入力する(他のY電極Y2〜YMはローレベルに固定)。その結果、Y電極Y1上の交点容量Cxyを介してX電極Xnに電荷(=Vy×Cxy)が移動して検出回路301に入力され、オペアンプAMPitの出力VOUTnが変化する。なお、指でタッチすると対応する交点の容量は交点容量Cxyに対して容量値Cfだけ減少するため、例えば、タッチしたX電極がX2だとした場合、X電極X2のオペアンプAMPitに入力される電荷はVy×(Cxy−Cf)となり、オペアンプAMPitの出力VOUT2は非タッチの場合に比べて高くなる。このVOUTn(n=1〜N)をAD変換回路304でデジタル値の検出データに変換して、座標演算などに供せられる。
【0056】
図8には液晶ディスプレイパネル2の等価回路と液晶ドライバ4駆動回路が例示される。液晶ディスプレイパネル2は、ゲート電極G1〜G640とドレイン電極D1〜D1440がマトリクス状に配置され、その交点部分には、TFT(Thin Film Transistor)スイッチが形成される。TFTスイッチのソース側にはサブピクセルとなる液晶容量LCDの液晶画素電極Sが接続され、その液晶容量LCDの反対側の電極は共通電極(COM)になっている。ドレイン電極D1〜D1440には夫々ボルテージフォロアを構成するオペアンプAMPvfの出力が結合される。例えばドレイン電極D1のオペアンプAMPvfには赤色に対応する階調電圧VDR1、ドレイン電極D2のオペアンプAMPvfには緑色に対応する階調電圧VDG1が供給される。
【0057】
図9にはゲート電極G1〜G640への入力波形が例示される。ゲート電極G1〜G640には線順次でゲートパルスが入力される。
【0058】
図10にはゲート電極に印加されるゲートパルスとドレイン電極に印加される階調電圧とのタイミング波形が例示される。例えば、ゲート電極G1に振幅Vgのゲートパルスを入力し、ゲート電極G1上のTFTスイッチをオン状態にする。その後、ドレイン電極D1からTFTスイッチを介して選択された液晶画素電極Sに階調電圧VDR1を印加する。液晶画素電極Sの入力電圧はゲートパルスが立ち下がるタイミングで確定される。共通電極COMには基準電圧が印加されており、TFTスイッチがオフした後、1フレームの間、液晶容量LCDには基準電圧COMと階調電圧VDR1が保持されて、表示輝度が規定される。
【0059】
次に駆動回路300によるY電極の駆動パルス波形について説明する。図6及び図7に示されたY電極Y1〜YMの駆動波形は便宜上単なる矩形波形で図示されているが、実際には、その駆動波形は立ち上がりと立ち下がりの途中波形が可変可能に制御される。その制御は、サブシステム用のマイクロプロセッサ5が制御レジスタCREG320に設定する波形モードに従ってシーケンス制御回路308が制御信号Csig1で制御する。
【0060】
ここで、駆動波形の立ち上がりと立ち下がりの途中波形を可変にするとは、例えば図11に示される実線に対して破線のように波形の傾きと傾きの中間電圧V1,V2とを可変にすること、また、図12に例示される破線のように、波形の傾きとの切り替えタイミングT1,T2,T3を可変にすること、などとされる。
【0061】
図13には駆動回路における出力波形の可変選択部の構成例が示される。特に制限されないが、Y電極Y1〜YM毎に可変選択部310が配置され、夫々の可変選択部310には駆動電圧としてグランド電圧GND、前記グランド電圧GNDに対する正電圧VH、及び前記グランド電圧GNDに対する負電圧VLが共通に供給される。負電圧VL及び正電圧VHは、特に制限されないが、前記波形モードに応じて決定される可変電圧である。
【0062】
可変選択部310は、スイッチSW1〜SW5と抵抗素子Rを有し、スイッチSW1〜SW3の内の一つで選択された駆動電圧をそのまま対応するY電極に供給し、或いはスイッチSW4又はSW5で選択された駆動電圧を抵抗素子Rを介して対応するY電極に供給する。スイッチSW1〜SW5はクロック信号SCK1〜SCK5によって択一的に選択される。クロック信号SCK1〜SCK5は制御レジスタ320に設定された波形モードに応じてシーケンス制御回路308が生成する。例えば、シーケンス制御回路308はそのタイマカウンタ機能又はPWM(Pulse-width modulation)機能を用いてクロック信号SCK1〜SCK5を生成することができる。
【0063】
図14には可変選択部310を介して生成されるパルス波形の一例が示される。ここでは駆動信号の波高値はVH−VLであり、パルス周期ごとに、時刻t0でVL選択からGND選択に切り替え、時刻t1でGND選択からVH選択に切り替え、時刻t2でVH選択からGND選択に切り替え、時刻t3でGND選択からVL選択に切り替える制御が行われることによって、図示の波形が形成される。電圧VL,GND,VHの選択タイミングを切り替えることにより、また電圧VL,VHの値を変更することにより種々の波形を選択する事ができる。更に立ち上がり波形と立下り波形の傾きは、スイッチSW1,SW3を選択する場合に比べてスイッチSW4、SW5を選択する方が大きくなる。特に図14の例では、立ち上がりのときには時刻t1でスイッチSW4が選択されて傾きが小さくされ、立下り時には時刻t3でスイッチSW5が選択されて傾きが小さくされている。また、立ち上がりのときに時刻t1でスイッチSW1を選択して途中でスイッチSW4に切り替えることによってパルス形状の変化を更に緩やかにし、同じく立下り時に時刻t3でスイッチSW3を選択して途中でスイッチSW5に切り替えることによってパルス形状の変化を更に緩やかにすることも可能である。
【0064】
図15はY電極の駆動波形が液晶ディスプレイパネル2に与える影響を模式的に示す。RyはY電極Ynの分布配線抵抗、Cxyは前記交点容量である。Ccpは液晶ディスプレイパネル2とタッチセンサパネル1との分布結合容量を意味する。例えばY電極Ynがその起端から図14のパルス波形DW0を持つ駆動パルスで駆動されると、そのパルス波形はY電極Ynの終端に近着くほど、DW1,DW2,Dw3のように徐々に鈍りが大きくなる。このパルス波形は分布結合容量Ccpを介して液晶ディスプレイパネル2にノイズ波形NW1,NW2,NW3として伝播される。図15の波形からも明らかなように、駆動パルスのパルス波形は立ち上がりときにはその途中から傾きが小さくされ、立下り時にはその途中から傾きが小さくされているので、ノイズ波形NW1〜NW3は小さく抑えられ、且つ、ノイズ波形NW1〜NW3相互の大きさの差も小さくされる。
【0065】
したがって、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイパネル2などの特性に応じて駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができるので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響を緩和することができる。
【0066】
これに対して図19に例示されるようにY電極に対する駆動パルス波形を正電圧VHとグランド電圧GNDだけで生成する場合には、そのパルス波形は図20に例示されるような単なる矩形パルス波形とされる。パルス波形DW20がY電極Ynの起端から順次伝播されたパルス波形DW21,DW22,DW23は分布結合容量Ccpを介して液晶ディスプレイパネル2にノイズ波形NW21,NW22,NW23として与えられることになるが、図21の波形からも明らかなように、駆動パルスのパルス波形DW20は図15の場合と違い単なる矩形のパルス波形であるから、Y電極Ynの駆動源に近いほどノイズ波形の波高値が大きくなり、さらにY電極Ynの両端に位置してそのノイズ波形NW11とNW23に大きな差を生ずる。このように一つの液晶ディスプレイパネルに与えられるノイズ波形の分布が場所によって大きく相違し、しかもその最大値も大きくなると、液晶ディスプレイパネルの表示状態に大きな斑を生じ、表示性能が著しく劣化すると考えられる。本実施の形態のタッチセンサパネルコントローラ3を用いる場合には前述より明らかなように液晶ディスプレイパネル2に対するそのようなノイズの影響を緩和さらには抑制することができる。
【0067】
次に駆動回路300の変形例に係る駆動回路300Aについて説明する。
【0068】
図16には駆動回路300Aにおける出力波形の可変選択部の別の構成とこれに用いる電源回路の構成が例示される。特に制限されないが、Y電極Y1〜YM毎に可変選択部310Aが配置され、夫々の可変選択部310Aには、順次低レベルから高レベルに向かう、電圧VLL,VL,VH,VHHが共通に供給される。
【0069】
電圧VLL,VL,VH.VHHは、特に制限されないが、前記波形モードに応じて決定される可変電圧であり、電源回路330で生成される。例えば電圧VHHは、基準電圧Vrefを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が可変抵抗回路341と抵抗素子351によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路341の設定抵抗値に応じた正の高電圧を出力するオペアンプ331によって形成される。電圧VHは、基準電圧Vrefを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が可変抵抗回路342と抵抗素子352によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路342の設定抵抗値に応じた正の電圧を出力するオペアンプ332によって形成される。電圧VLは、グランド電圧GNDを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が基準電圧Vrefとの間で可変抵抗回路343と抵抗素子353によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路343の設定抵抗値に応じた負の電圧を出力するオペアンプ333によって形成される。電圧VLLは、グランド電圧GNDを非反転入力端子(+)に入力し、反転入力端子(−)にはその出力が基準電圧Vrefとの間で可変抵抗回路344と抵抗素子354によって分圧されて帰還され、可変抵抗回路344の設定抵抗値に応じた負の低電圧を出力するオペアンプ334によって形成される。
【0070】
可変選択部310Aは、スイッチSW11〜SW14を有し、スイッチSW11〜SW14の内の一つで選択された駆動電圧が対応するY電極に供給される。スイッチSW11〜SW14はクロック信号SCK11〜SCK14によって択一的に選択される。クロック信号SCK11〜SCK14は制御レジスタ320に設定された波形モードに応じてシーケンス制御回路308が生成する。例えば、シーケンス制御回路308はそのタイマカウンタ機能又はPWM(Pulse-width modulation)機能を用いてクロック信号SCK11〜SCK14を生成することができる。
【0071】
図17には可変選択部310A及び電源回路330を介して生成されるパルス波形の一例が示される。ここでは駆動信号の波高値はVHH−VLLであり、パルス周期ごとに、時刻t0でVL選択からVHH選択に切り替え、時刻t1でVHH選択からVH選択に切り替え、時刻t2でVH選択からVLL選択に切り替え、時刻t3でVLL選択からVL選択に切り替える制御が行われることによって、図示の波形が形成される。電圧VL,VHH,VH,VLLの選択タイミングを切り替えることにより、また可変抵抗回路341〜344の抵抗値設定を変更することにより種々の波形を選択する事ができる。特に図17の例では、立ち上がりのときには電圧VLから電圧VHHにオーバードライブした後に電圧VHに安定化させ、立下り時には電圧VHから電圧VLLにオーバードライブした後に電圧VLに安定化させるオーバードライブが行なわれている。
【0072】
図18はY電極の駆動波形が液晶ディスプレイパネル2に与える影響を模式的に示す。RyはY電極Ynの分布配線抵抗、Cxyは前記交点容量である。Ccpは液晶ディスプレイパネル2とタッチセンサパネル1との分布結合容量を意味する。例えばY電極Ynがその起端から図18のパルス波形DW10を持つ駆動パルスで駆動されると、そのパルス波形はY電極Ynの終端に近着くほど、DW11,DW12,Dw13のように徐々に鈍りが大きくなる。ただし、その鈍りは、上記オーバードライブにより図15よりも緩やかである。このパルス波形は分布結合容量Ccpを介して液晶ディスプレイパネル2にノイズ波形NW11,NW12,NW13として伝播される。図18の波形からも明らかなように、Y電極Ynがオーバードライブ駆動され、その結果として、Y電極Ynの伝播波形は単なる矩形よりも鈍りが小さくされ、しかもその鈍りの相違はY電極Ynの両端で圧縮される。したがって、ノイズ波形NW11〜NW13は全体的に大きくなっても、ノイズ波形NW11〜NW13相互の大きさの差は図15に比べても、また、図21に比べても小さくされる。
【0073】
このように、ノイズの影響を受ける液晶ディスプレイパネル2などの特性に応じてY電極の駆動パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりの途中波形を可変可能に設定することができると共にオーバードライブ駆動を行なうので、Y電極に対するパルス駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりに起因するノイズの影響をY電極に沿って均一化することを可能にする。即ち、一つの液晶ディスプレイパネルに与えられるノイズ波形の分布が場所によって均一化されれば、仮にノイズ波高値が大きくても、液晶ディスプレイパネルの表示状態に大きな斑を生ずることはなく、この点で、表示性能の著しく劣化を抑制することが可能になる。
【0074】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0075】
例えば、タッチセンサパネルコントローラはサブシステム用のマイクロプロセッサを同一半導体チップに備えてシングルチップで構成されてもよい。また、タッチセンサパネルコントローラはサブシステム用のデータプロセッサとしてのマイクロプロセッサのほかに液晶ディスプレイドライバを同一半導体チップに備えてシングルチップで構成されてもよい。また、タッチセンサパネルコントローラは液晶ディスプレイドライバを同一半導体チップに備えてシングルチップで構成されてもよい。
【0076】
また、AD変換回路をX電極毎に設けてもよい。その場合にはサンプルホールド回路及びセレクタは不要である。また、Y電極を駆動するパルス波形は上記波形に限定されず適宜変更可能であり、それに用いる駆動電圧の種類についても適宜変更可能である。また、スイッチ回路としての可変選択部310,310AはY電極毎に配置したが、Y電極Y1〜YMに共通化して一つ設け、選択部で選択された電圧を供給するY電極をセレクタで選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 タッチセンサパネル(TP)
2 液晶ディスプレイパネル(DSP)
3 タッチセンサパネルコントローラ(TPC)
4 液晶ドライバ(DSPD)
5 サブシステム用のマイクロプロセッサ(SMPU)
6 ホストプロセッサ(HMPU)
Y1〜YM Y電極
X1〜XN X電極
Cxy 交点容量
300,300A 駆動回路
301 検出回路としての積分回路(INTGR)
308 シーケンス制御回路(SQENC)
320 制御レジスタ
310 可変選択部
GND グランド電圧
VH 正電圧
VL 負電圧
SW1〜SW5 スイッチ
R 抵抗素子
SCK1〜SCK5 クロック信号
310A 可変選択部
VLL,VL,VH,VHH 順次低レベルから高レベルに向かう電圧
330 電源回路
341〜344 可変抵抗回路
351〜354 抵抗素子
331〜334 オペアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のY電極及びX電極によって複数の交点の容量が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路と、
前記交点の容量の容量値を前記X電極を介して計測する検出回路と、
前記駆動回路及び検出回路を制御する制御回路と、を有し、
前記駆動回路は前記制御回路による制御に基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する、タッチセンサパネルコントローラ。
【請求項2】
前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項1記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項3】
前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値を選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項1記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項4】
前記スイッチ回路は、グランド電圧、前記グランド電圧に対する正電圧、又は前記グランド電圧に対する負電圧を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチと、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチと、を有する、請求項3記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、順次低レベルから高レベルに向かう第1電圧、第2電圧、第3電圧及び第4電圧を選択する複数のスイッチを有し、
前記制御回路は、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する、請求項2記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項6】
前記制御回路は書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタを有する、請求項2記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項7】
前記制御レジスタに対する波形モードの設定と前記検出回路による検出結果を利用したデータ処理を行なうマイクロプロセッサを更に有する、請求項6記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項8】
複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネルと、
前記タッチセンサパネルの前記Y電極を駆動すると共に前記Y電極とX電極の交点毎の容量値を前記X電極経由で計測するタッチセンサパネルコントローラと、
前記タッチセンサパネルコントローラから転送される前記Y電極とX電極の交点毎の容量値の分布データに基づいてデータ処理を行なうデータプロセッサと、を有するタッチ検出装置であって、
前記タッチセンサパネルコントローラは、前記マイクロプロセッサから指示された波形モードに基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号を出力してY電極を駆動する、タッチ検出装置。
【請求項9】
前記タッチセンサパネルコントローラは、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路を有し、前記マイクロプロセッサから指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項8記載のタッチ検出装置。
【請求項10】
前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値を選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項8記載のタッチ検出装置。
【請求項11】
前記スイッチ回路は、グランド電圧、前記グランド電圧に対する正電圧、又は前記グランド電圧に対する負電圧を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチと、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチと、を有する、請求項10記載のタッチ検出装置。
【請求項12】
前記スイッチ回路は、順次低レベルから高レベルに向かう、第1電圧、第2電圧、第3電圧及び第4電圧を選択する複数のスイッチを有し、
前記タッチセンサパネルコントローラは、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する、請求項9記載のタッチ検出装置。
【請求項13】
前記タッチセンサパネルコントローラは書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタを有し、
前記マイクロプロセッサは、前記制御レジスタに対する波形モードの設定を行なう、請求項8記載のタッチ検出装置。
【請求項1】
複数のY電極及びX電極によって複数の交点の容量が形成されたタッチセンサパネルの前記Y電極を駆動する駆動回路と、
前記交点の容量の容量値を前記X電極を介して計測する検出回路と、
前記駆動回路及び検出回路を制御する制御回路と、を有し、
前記駆動回路は前記制御回路による制御に基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号をY電極に出力する、タッチセンサパネルコントローラ。
【請求項2】
前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項1記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項3】
前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値を選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項1記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項4】
前記スイッチ回路は、グランド電圧、前記グランド電圧に対する正電圧、又は前記グランド電圧に対する負電圧を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチと、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチと、を有する、請求項3記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、順次低レベルから高レベルに向かう第1電圧、第2電圧、第3電圧及び第4電圧を選択する複数のスイッチを有し、
前記制御回路は、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する、請求項2記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項6】
前記制御回路は書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタを有する、請求項2記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項7】
前記制御レジスタに対する波形モードの設定と前記検出回路による検出結果を利用したデータ処理を行なうマイクロプロセッサを更に有する、請求項6記載のタッチセンサパネルコントローラ。
【請求項8】
複数のY電極及びX電極によって複数の交点容量が形成されたタッチセンサパネルと、
前記タッチセンサパネルの前記Y電極を駆動すると共に前記Y電極とX電極の交点毎の容量値を前記X電極経由で計測するタッチセンサパネルコントローラと、
前記タッチセンサパネルコントローラから転送される前記Y電極とX電極の交点毎の容量値の分布データに基づいてデータ処理を行なうデータプロセッサと、を有するタッチ検出装置であって、
前記タッチセンサパネルコントローラは、前記マイクロプロセッサから指示された波形モードに基づいて立ち上がり及び立ち下がりの途中波形が可変可能に設定された駆動パルス信号を出力してY電極を駆動する、タッチ検出装置。
【請求項9】
前記タッチセンサパネルコントローラは、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するスイッチ回路を有し、前記マイクロプロセッサから指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項8記載のタッチ検出装置。
【請求項10】
前記駆動回路は、複数の駆動電圧の中から所要の駆動電圧を選択するとともに駆動電圧の出力抵抗値を選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、指示された波形モードに従って前記スイッチ回路のスイッチ制御信号を生成する、請求項8記載のタッチ検出装置。
【請求項11】
前記スイッチ回路は、グランド電圧、前記グランド電圧に対する正電圧、又は前記グランド電圧に対する負電圧を任意に選択して前記Y電極に出力する複数の第1スイッチと、前記正電圧又は負電圧を任意に選択して抵抗素子経由で前記Y電極に出力する複数の第2スイッチと、を有する、請求項10記載のタッチ検出装置。
【請求項12】
前記スイッチ回路は、順次低レベルから高レベルに向かう、第1電圧、第2電圧、第3電圧及び第4電圧を選択する複数のスイッチを有し、
前記タッチセンサパネルコントローラは、駆動パルスのパルス周期単位で、順次第2電圧選択、第4電圧選択、第3電圧選択及び第1電圧選択を制御する、請求項9記載のタッチ検出装置。
【請求項13】
前記タッチセンサパネルコントローラは書き換え可能に波形モードが設定される制御レジスタを有し、
前記マイクロプロセッサは、前記制御レジスタに対する波形モードの設定を行なう、請求項8記載のタッチ検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−234475(P2012−234475A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104295(P2011−104295)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(308017571)株式会社ルネサスエスピードライバ (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(308017571)株式会社ルネサスエスピードライバ (10)
【Fターム(参考)】
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