説明

タッチパネルおよびタッチパネルを備えた表示装置

【課題】輝度低下せず視認性に優れたいタッチパネルを備えた表示装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】タッチパネル18を構成する金属パターン層90の目に見えないほどに微細な金属パターン91を、カラーフィルタ87のRGBパターン92と重ならない位置に設ける。これにより、金属パターン91でバックライトユニット81の発する光をさえぎることが無く、輝度の低下を回避するとともにタッチパネル機能を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の画像や映像を表示する画像表示部の前面に配置され、接触操作により、所定の入力を行うためのタッチパネル及びこのタッチパネルを配した表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備えた表示装置は、車載ディスプレイ装置や、PNDやポータブルマルチメディアプレーヤーなどのモバイル機器等に広く用いられ、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示部の前面に配置し、その表面を触れることによって、この触れた部分が対応する情報を信号にして入力することができるようになっている。
【0003】
タッチパネルとしては、操作者の指の接触による静電容量の変化を検出する静電容量方式タッチパネルが広く用いられている。
【0004】
また、タッチパネルに用いられる透明電導膜は、一般に、錫を添加した酸化インジウムの皮膜(ITO膜)で構成されていが、原料の資源枯渇が問題となっており、代替材料が求められている。
【0005】
ITO膜の代替として、透明基材上に肉眼では見えないほど十分に微細な金属パターンを形成したものが知られている。
【0006】
従来、自発的に得られる又は印刷技術の結果として得られる秩序的又は無秩序的なパターンにあって導電性及び/または透明性を有するナノ粉末により、基材を皮膜する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0007】
あるいは、外観に優れた透明導電膜を簡単な工程で製造できる方法として、有機溶剤相中に導電性粒子を含むW/O型エマルジョンからなる塗布液を、基材上に塗布し、乾燥させる第1の工程と、加熱処理により、前記基材上の導電性粒子を焼結させる第2の工程と、焼結した導電性粒子と硫黄または硫黄化合物とを反応させる第3の工程を有する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0008】
また、液晶パネルの上に外付けのタッチパネルを乗せた従来の一般的な形式以外にディスプレイパネルにタッチパネル機能を内蔵した、内蔵型タッチ・パネル技術が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2005−530005号公報
【特許文献2】特開2008−41445号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】浅見直樹発行「タッチ・パネル最前線」日経BP社、2010年9月10日初版発行、P.116−125
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のタッチパネルを備えた表示装置においては、ITO膜の代替とし
て、透明基材上に肉眼では見えないほど十分に微細な金属パターンを形成したものを用いた場合、金属パターンが表示面上の光出力領域(カラーフィルタのカラーパターンが存在する領域など)を覆うことにより、画像表示部の透過率が低下し、視認性が低下するという課題があった。
【0012】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ITO膜の代替として、肉眼では見えないほど十分に微細な金属パターンを用いて、輝度の低下を生じず、視認性を確保することができる、タッチパネルおよびタッチパネルを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、タッチパネルが、区画部によって区画された光出力領域から外部へ向けて出力される光によって画像を表示する表示装置の前面に配置されるタッチパネルであって、導電性部材からなる金属パターンと、前記金属パターンが配置され光透過性の部材からなる金属パターン層とを備え、前記金属パターンは、通常使用状態において正面方向から見た場合に、前記区画部(を構成する区画線)に重なる位置に配置された構成および表示装置がこのタッチパネルを備えた構成を有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来どおりのタッチパネルの機能を実現しつつ、画像表示部からの光の透過率が金属パターン層により低下することを回避して視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるタッチパネルを備えた表示装置を含む車載装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における簡略的な構造図
【図3】本発明の実施の形態1における画像表示部と金属パターンの位置関係を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における画像表示部と金属パターンの位置関係の他の例を示す図であって、(a)はカラーパターンのそれぞれを囲む四角形を形成して金属パターンが配置された例を示す図(b)は1画素に対応するRGBパターンを取り囲んで形成される六角形が複数連なった例を示す図(c)はカラーパターンのそれぞれを囲む六角形を形成して金属パターンが配置された例を示す図(d)はカラーパターンの任意の隣設する複数のパターンが一つの四角形によって囲まれる例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における金属パターン層をタッチパネル基材に形成した場合の簡略的な構造図
【図6】本発明の実施の形態2における簡略的な構造図
【図7】本発明の実施の形態2における金属パターンの例を示す図
【図8】本発明の実施の形態2における金属パターン層をタッチパネル基材に形成した場合の簡略的な構造図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるタッチパネルおよびタッチパネルを備えた表示装置について、図面を用いて説明する。
【0017】
ただし、以下の説明ではタッチパネルを備えた表示装置として車載用のナビゲーション装置を例示して説明するため、このタッチパネルを備えた表示装置を含む車載用ナビゲーション装置を単に「車載装置」として説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態1におけるタッチパネルを備えた表示装置を含む車載装置のブロック図である。
【0019】
本実施の形態1における車載装置は、経路案内などを行うナビゲーション機能や、たとえばDVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記録された音響映像の再生を行うオーディオビジュアル再生機能などを備える。
【0020】
図1において、車載装置10は、記憶部11、外部入力部12、スピーカ13、画像表示部17、タッチパネル18、制御部20、DVD/CDドライブ22、GPS受信機23、車速センサ24、ジャイロ25を備えている。
【0021】
ただし、DVD/CDドライブ22、GPS受信機23、車速センサ24、ジャイロ25、スピーカ13は、それぞれ車載装置10の内部に一体に設けられている必要はなく、それぞれと車載装置10とが電気的に接続取り外し可能な構成としても良い。また、画像表示部17とタッチパネル18は、構造的に一体の構成としても良い。
【0022】
記憶部11は、HDDやSDカード、車載装置内部のプリント基板上に実装されたフラッシュメモリーなどのデータ記憶装置であり、単一種類のものを用いてもよく、複数種類の併用でも良い。
【0023】
記憶部11には、画像表示部17に表示するアイコンサイズ(アイコンの大きさ、あるいはアイコンの表示領域)やアイコンレイアウト、車載装置10の動作を制御するために必要な基本プログラム、さらに、画像表示の制御のためのプログラムや、ナビゲーション機能の実行、あるいはオーディオビジュアル再生機能の実行に用いられるアプリケーションソフトや、ナビゲーションのための地図に関するデータベースや、電話番号などのデータベースなど、各種プログラムおよび各種データベースが格納される。
【0024】
また、記憶部11には、一般的な記憶部と同様に、各種プログラムや各種データ等を展開する領域、画像が展開される領域などが設けられている。
【0025】
外部入力部12は車載装置10に接続可能な外部機器から出力された信号を入力するために設けられていて、例えばDVDやCDなどのメディアを再生して得られる映像信号や音声信号、あるいは、デジタルテレビなどからの映像信号や音声信号を入力することができる。
【0026】
スピーカ13は、車載装置10への操作を車載装置10が受け付けたことを操作者へ伝えるための効果音や、外部機器から外部入力部12に入力された音声や、車載装置10に内蔵されている例えばDVD/CDドライブ22で再生された音声や音楽などを出力するために設けられている。
【0027】
画像表示部17は、記憶部11に記憶された、オープニング画面やメニュー画面、外部機器から外部入力部12に入力された映像や静止画などの各データを表示するためなどに設けられており、本実施の形態1では一般的な液晶ディスプレイが用いられている。
【0028】
すなわち、画像表示部17とは、偏光フィルタや液晶やガラス基板やカラーフィルタなどを含む液晶パネルと、冷陰極管あるいはLED及び導光板などの液晶パネルの光源に用いられるバックライトユニットと、画像表示のための各種信号を制御するICなどの電子部品と、液晶やバックライトユニットや電子部品を駆動するための電源ユニットが含まれて構成される。ただしこの場合、電源ユニットは画像表示部17と別体に設けられても良い。
【0029】
タッチパネル18は、画像表示部17の内部または表面に設けられ、金属パターンを用いた導電層を有しており、車載装置10への入力操作は、操作者が画像表示部17に表示された該当箇所(アイコン表示の場合は画像表示部に表示されているアイコンの位置、地図表示の場合は、画像表示部に表示されている任意の場所など)に接触操作する(所定の速さで接触あるいは近接させる)ことによって生じた静電容量の変化量の情報と、操作された位置の情報とが制御部20へ出力されることで行われる。
【0030】
制御部20は、マイクロプロセッサおよびマイクロプロセッサを動作させるための電気回路を含み、記憶部11に記憶された制御プログラムを実行して、各種の制御処理を行う。また制御部20は制御部20が制御処理した結果得られた画像データを画像表示部17に表示するよう制御処理を行う。
【0031】
また、制御部20はさらに、タッチパネル18から信号を取得し、この信号に基づいて操作者の画像表示部に接触した位置を算出し、算出した位置の情報を記憶部11に記憶されている画像表示部が接触された位置に割り当てられた情報と照合する。そして操作者の指が接触した位置に表示されたアイコンやメニューやスイッチなどに定義されている機能を実行する。
【0032】
また制御部20に用いるマイクロプロセッサは一つでも良いし、DVD再生やオーディオ再生など機能ごとに複数のマイクロプロセッサを用いても良い。
【0033】
DVD/CDドライブ22は、音声ソース(または音声データ)や映像ソース(または映像データ)が保存されたディスクを再生するために設けられている。
【0034】
GPS受信機23は、GPS衛星からの信号を受信するために設けられている。
【0035】
車速センサ24は、車輌からの車速信号を受信し、車輌の移動速度を判別するために設けられている。
【0036】
ジャイロ25は、車輌の回転量や上下方向の変化量や加速度を検出するために設けられている。
【0037】
以上のように構成された車載装置10について、図2乃至図5を用いて、そのタッチパネルおよび表示部の詳細を説明する。
【0038】
本実施の形態1において、タッチパネル18は静電容量式タッチパネルであり、導電層である金属パターン層が1層である表面型静電容量式タッチパネルである。
【0039】
図2は本実施の形態1における画像表示部17とタッチパネル18の構造を説明するための簡略的な構造図である。
【0040】
車載装置10が通常使用されると想定される設置状態(通常使用状態)において操作者が車載装置10を正面方向から見た場合、画像表示部17は操作者の視点から遠い順に、バックライトユニット81、第一の偏光フィルタ82、TFTガラス基板83、第一の透明電極84、液晶85、第二の透明電極86、カラーフィルタ87、CFガラス基板88、第二の偏光フィルタ89、が配置された構成である。
【0041】
本実施の形態において、タッチパネル18は金属パターン層90を備え、金属パターン層90と金属パターン層90に隣接する材質とを絶縁するための絶縁層または絶縁コーテ
ィング(図示しない)で構成されている。
【0042】
金属パターン層90は、後述するとおり、画像表示部17のCFガラス基板88にフォトエッチングにて均等に配列される金属パターンからなり、CFガラス基板88と第二の偏光フィルタ89の間に配置される。
【0043】
ただし、金属パターンは導電性の部材からなるものであり、Agワイヤや、アルミやタンタルやモリブデンなどの合金や、Agワイヤ・インクや、カーボンナノチューブなどが用いられる。
【0044】
なお、上述の「均等」とは、操作者の接触操作を検出するためのスリットを金属パターン上に形成する前の状態において、単位面積当たりの金属パターンの抵抗値が略同一であることを指す。
【0045】
タッチパネル18は、金属パターン層90の4箇所の電極から矩形波や正弦波などのパルス状の電流を流して、第二の偏光フィルタ89に操作者が指で触れることにより金属パターン層90と操作者の指と金属パターン層90との間に静電容量が形成され、操作者が触れた位置により異なる電流値の変動を検知することで操作者が触れた位置を算出している。
【0046】
本実施の形態においても、表面型静電容量式タッチパネルの一般的な技術を適用することで実現可能であるため、その詳細を省略する。
本実施の形態において、画像表示部17に液晶ディスプレイが用いられるが、操作者(あるいは視聴者)は、バックライトユニット81が装置の外部へ向けて発する光を、第一の偏光フィルタ82、TFTガラス基板83、第一の透明電極84、液晶85、第二の透明電極86、カラーフィルタ87、CFガラス基板88、金属パターン層90、第二の偏光フィルタ89を通過したものを画像や映像として見ることとなる。
【0047】
すなわち、タッチパネル18が画像表示部17の操作者(あるいは視聴者)の前面側に設けられることによって、金属パターン層90の金属パターンが映像や画像を形成するための光が放出されている領域(光出力領域)さえぎられないことが装置として望ましい。したがって、本実施の形態においては、以下に説明する構成を採る。
【0048】
図3は本実施の形態1における画像表示部17と金属パターン層90の金属パターン91の位置関係を説明するための簡略図であり、操作者の視線、すなわち画像表示部17から垂直の方向から見た図である(操作者の視線方向と表示面とが垂直)。
【0049】
本実施の形態における画像表示部17は、光の透過を画素ごとに制御し、カラーフィルタ87を用いて色を表現する。
【0050】
カラーフィルタ87には、複数のRGBパターン92が配列されており、1つのRGBパターン92は、3種類のカラーパターンである、赤、緑、青それぞれの色のRパターン92a、Gパターン92b、Bパターン92cから成る。また、この1つのRGBパターンに1つの画素が対応している。
【0051】
ただし、本実施の形態においては、カラーフィルタ87が備えるカラーパターンを3つとしているが、このほかに、例えば黄色のカラーパターン(Yパターン)などを加えた4つのカラーパターンを備えたものが用いられてもよく、さらに多くのあるいは少ない種類のカラーパターンを備えたものが用いられるようにしても良い。
【0052】
さらに、カラーフィルタ87には、Rパターン92a、Gパターン92b、Bパターン92cのそれぞれの領域を仕切り(区画し)、なおかつ複数のRGBパターンを仕切る(区画する)、ブラックマトリックス93が設けられている。
【0053】
ブラックマトリックス93は、RGBの色の混色を解消し画像をくっきりさせるためのものであり、RGBの間に設けられ遮光膜の役割をもつものであるため、バックライトユニット81が発する光を積極的に透過させないものである。
【0054】
本実施の形態においては、このブラックマトリックス93に重なる位置にのみ金属パターン91が配置される。より詳細には、金属パターン91は、ブラックマトリックス93を構成する直線部分(区画線)と重なる位置にのみ配置される。
【0055】
換言すると、操作者(視聴者)が画像表示部17の表示面に対して垂直の方向から画像表示部17を見た状態において、金属パターン91はブラックマトリックス93の手前側においてブラックマトリックス93に重なって配置される。
【0056】
あるいは、金属パターン91はRGBパターン92と重ならないように配置されていると言い換えることができる。
【0057】
このように構成されることによって、バックライトユニット81から発せられて、カラーフィルタ87のRGBパターン92を通過した光が、金属パターン層90の金属パターン91がさえぎることは無く、従来どおりのタッチパネル機能を実現しつつ、高い視認性が確保できる。
【0058】
以上のように本実施の形態によれば、カラーフィルタのRGBパターンと重ならないように金属パターンをCFガラス基材に形成することにより、透過率の低下を防ぎ視認性を確保したまま、タッチパネル機能を実現できる。
【0059】
なお、本実施の形態においては、画像表示部17に液晶ディスプレイが用いられているため、ブラックマトリックス93が区画部として機能し(ブラックマトリックス93を構成する)、ブラックマトリックス93が区画する領域である光出力領域にカラーパターンが設けられている。
【0060】
例えば、画像表示部17に有機ELディスプレイが用いられる場合は、隣設する有機EL素子の間に設けられたセパレータを区画部として用いる、あるいは、画像表示部17にプラズマディスプレイが用いられる場合は隣接する蛍光体の間に設けられた隔壁を区画部として用いることで、種々の表示装置に適用することができる。
【0061】
ただし、金属パターン91は、必ずしもブラックマトリックス93の全てに重なるように設けられている必要は無く、また、図3を用いて説明した金属パターン91が金属パターン層90に形成する形状は、1画素に対応するRGBパターン92を取り囲む四角形が複数連なる格子状のものであったが、これ以外にも、図4を用いて以下に説明するとおり、多種多様なものが採用され得る。
【0062】
図4は、本発明の実施の形態1における画像表示部と金属パターンの位置関係の他の例を示す図であって、操作者の視線、すなわち画像表示部17から垂直の方向から見た図である(操作者の視線方向と表示面とが垂直)。
【0063】
図4(a)に示す例は、カラーフィルタ87上に設けられたRパターン92a、Gパターン92b、Bパターン92cのそれぞれを囲む四角形を形成して金属パターン91が配
置された例である。
【0064】
図4(b)に示す例は、1画素に対応するRGBパターン92を取り囲んで形成される六角形が複数連なった形状のものである。
この場合、正面視左右に隣設するRGBパターンを仕切るブラックマトリックスの幅よりも、正面視上下に隣設するRGBパターンを仕切るブラックマトリックスの幅のほうが広いため、六角形の上下の頂点と隣設する他の六角形の頂点とを直線的に結んだ形状としているが、六角形の上下の頂点と隣設する他の六角形の頂点とを共通にする形状としてもよい。更に、六角形は八角形でもその他の多角形であってもよい。
【0065】
図4(c)に示す例は、カラーフィルタ87上に設けられたRパターン92a、Gパターン92b、Bパターン92cのそれぞれを囲む六角形を形成して金属パターン91が配置された例である。
【0066】
この場合も、正面視上下に存在する複数の六角形の金属パターンそれぞれの接続関係は、図4(b)で示された例のように、直線で接続されていても、頂点が共通する状態で接続されていてもよく、形状も六角形以外の多角形が用いられてもよい。
【0067】
図4(d)に示す例は、カラーフィルタ87上に設けられた複数のRパターン92a、Gパターン92b、Bパターン92cのうち、任意の隣設する複数のパターンが一つの四角形によって囲まれている形状である。
【0068】
図4(d)に示す例では、複数のRパターン92a、Gパターン92b、Bパターン92cのうち、任意の3つのパターンが囲まれている例を示しているが、任意の2つが囲まれている形状としてもよいし、囲まれえるRパターン、Gパターン、Bパターンの数が1枚の金属パターン層90において一定でなくても良い。
【0069】
さらに、正面視縦方向に延びる金属パターン91が、金属パターン層において一直線にならずに、ランダムに配置されていてもよい。
【0070】
ただし、上述の説明で「隣設」とは、互いに隣り合って設けられた、あるいは互いに隣り合って配置された状態を示す。
【0071】
なお、図3および図4(b)、図4(d)を用いて説明した金属パターン91の形状に関し、1画素相当数のカラーパターンを囲む金属パターン91の形状としたのは、1つのカラーパターンだけを囲むだけのものよりも、金属パターン91およびブラックマトリックス93の相互の位置決めをする場合に、製造上その精度を出しやすいためである。
【0072】
また、金属パターン91が形成する最小の領域は、操作者の指と画像表示部17の表面との接触面積よりも大きくならない程度であれば、金属パターン91の形状は、上述のもの以外に4つ以上のカラーパターンを一つのまとまりとして囲むものであってもよい。
【0073】
上述のとおり、図4を用いて金属パターン91の形状を上述のごとく示したが、画像表示部17の製造過程において、金属パターン91のこれらの形状を全体的に、あるいは部分的に、適宜採用することによって、以下のことが可能となる。
【0074】
すなわち、金属パターン層90とその周辺の第二の透明電極86や、車載装置10の構造部品などとの間に発生する寄生容量や、金属パターン層90の面抵抗値を所望の値に調整することが容易にでき、画像表示部17や構造部品などの構造に応じて操作者が使いやすい反応性(操作性)のタッチパネルの設計が可能になる。
【0075】
なお、金属パターン層90は、金属パターン91をフォトエッチングして形成するものとしたが、金属パターン層90は、CFガラス基板88以外のタッチパネル基材94に構成されてもよく、その場合は、画像表示部17とタッチパネル18を分離することができ、他の画像表示部17に流用することができるので、大きな製造設備の変更が不要である。
【0076】
図5を用いて、金属パターン層90をCFガラス基板88以外のタッチパネル基材94に形成した場合の構造を説明する。
【0077】
画像表示部17は操作者の視点から遠い順に、バックライトユニット81、第一の偏光フィルタ82、TFTガラス基板83、第一の透明電極84、液晶85、第二の透明電極86、カラーフィルタ87、CFガラス基板88、第二の偏光フィルタ89、と配置されている。
【0078】
タッチパネル18はフィルムやガラスなどのタッチパネル基材94、タッチパネル基材94にフォトエッチングなどにより形成された金属パターン層90、金属パターン層90を保護するためのオーバーレイ95で構成されている。
【0079】
以上説明したとおり、図3、図4で示したように画像表示部17とタッチパネル18の位置を調整することにより、視認性を確保したまま、タッチパネルの機能が実現できる。さらに、画像表示部17からの光の透過率が低下することを回避できるので、画像表示部のバックライトの発光量を低減しても視認性が確保でき、表示装置の消費電力を削減することができる。
【0080】
なお、上記実施の形態の説明においては、液晶ディスプレイをもちいた例を説明したが、画像表示部17として有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや有機ELディスプレイを用いた装置についても、同様に適用することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における車載装置10について図面を参照しながら説明する。
【0081】
本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
実施の形態2と実施の形態1との相違点は、タッチパネルが第一の金属パターン層と第二の金属パターン層との2つの金属パターン層を含んで構成されていることであり、すなわち、指先の多点検出が可能な投影型の静電容量方式のタッチパネルに適用できることにある。
【0083】
図6は本実施の形態2における画像表示部17とタッチパネル18の構造を説明するための簡略的な構造図である。
【0084】
画像表示部17は操作者の視点から遠い順に、バックライトユニット81、第一の偏光フィルタ82、TFTガラス基板83、第一の透明電極84、液晶85、第二の透明電極86、カラーフィルタ87、CFガラス基板88、第二の偏光フィルタ89、と配置されている。
【0085】
タッチパネル18は、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97と隣接する材質との絶縁のための絶縁層または絶縁コーティング(図示しない)で構成されており
、画像表示部17のCFガラス基板88にフォトエッチングにて作成され、CFガラス基板88と第二の偏光フィルタ89の間に構成されている。
【0086】
図7は第一の金属パターン層96を構成する金属パターン91とスリット98の説明をするための図である。
【0087】
第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97は、肉眼では見えないほどの十分に微細な金属パターン91で構成されている。
【0088】
金属パターン91は、肉眼では見えないほどの十分に微細なスリット98によって分割されている。
【0089】
タッチパネル18は、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97で構成されており、操作者が第二の偏光フィルタ89をふれることによる第一の金属パターン層96や第二の金属パターン層97との静電容量の変化を検出し、操作者が触れた座標を算出しているが、投影型静電容量式タッチパネルの一般的な技術を適用することで実現可能なため、その詳細を省略する。
【0090】
本実施の形態2における画像表示部17と第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97の金属パターン91との位置関係は、図3乃至図4にて説明した実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0091】
以上のように本実施の形態によれば、カラーフィルタのRGBパターンと重ならないように2層の金属パターンをCFガラス基材に形成することにより、透過率の低下を防ぎ視認性を確保しつつ、投影型静電容量式タッチパネルの機能を実現できる。
【0092】
なお、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97は、タッチパネル基材94に構成されてもよく、タッチパネル基材94に金属パターンを形成した場合は、画像表示部17とタッチパネル18を分離することができ、一般的な画像表示部17を使用することができ、大きな製造設備の変更が不要である。
【0093】
図8を用いて、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97をタッチパネル基材94に形成した場合の構造を説明する。
【0094】
画像表示部17は操作者の視点から遠い順に、バックライトユニット81、第一の偏光フィルタ82、TFTガラス基板83、第一の透明電極84、液晶85、第二の透明電極86、カラーフィルタ87、CFガラス基板88、第二の偏光フィルタ89、と配置されている。
【0095】
タッチパネル18はフィルムやガラスなどのタッチパネル基材94、タッチパネル基材94にフォトエッチングなどにより形成された第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97、金属パターン層を保護するためのオーバーレイ95で構成されている。
【0096】
第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97を構成する金属パターン91は、図3、図4で示したように画像表示部17とタッチパネル18の位置を超背することにより、視認性を確保したまま、タッチパネルの機能が実現できる。
【0097】
なお、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97をタッチパネル基材94の異なる面に形成しても良く、この場合、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97の間を電気的に絶縁する絶縁層が不要になり、簡単な工程で作成できる。
【0098】
さらには、第一の金属パターン層96と第二の金属パターン層97の位置関係は任意でもよく、この場合、画像表示部17の製造過程で最適な工程で金属パターン層を作成でき、製造上の自由度が高まる。また、この場合、第二の透明電極86や車載装置10の構造部品などによるノイズや静電容量への影響の少ない構造をとることができ、多様な機器に適用できるようになる。
【0099】
また、実施の形態1と同様に、画像表示部17からの光の透過率が低下することを回避できるため表示装置の消費電力を削減することができるが、本実施の形態のように、複数の金属パターン層を設けているにもかかわらず透過率を低下させる要因が無いので、多点検出を行なうような、複数の金属パターン層を必要とするタッチパネルに適用することは非常に有用である。
【0100】
なお、本実施の形態においても実施の形態1同様に、画像表示部17として有機EL(Electro Luminescence)を利用したディスプレイを適用することができる。
【0101】
以上説明した本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
すなわち、区画部によって区画された光出力領域から外部へ向けて出力される光によって画像を表示する表示装置の前面に配置されるタッチパネルであって、導電性部材からなる金属パターンと、前記金属パターンが配置され光透過性の部材からなる金属パターン層とを備え、前記金属パターンは、通常使用状態において正面方向から見た場合に、前記区画部を構成する区画線に重なる位置にのみ配置されたタッチパネルが含まれる。
【0102】
ここで、「画像」とは、記憶部11に記憶された地図や静止画のみならず、DVD/CDドライブ22で再生される動画や、外部入力部12から入力されるデジタルテレビなどの「映像」も含まれる。
【0103】
この構成により、透過率の低下を防ぎ視認性を充分確保した状態でタッチパネル機能を実現できる。
【0104】
また、前記金属パターン層はガラス基材からなり、前記金属パターンが前記金属パターン層に印刷されて設けられたタッチパネルも含まれる。
【0105】
この構成により従来どおりのカラーフィルターの製造工程や、画像表示部のTFTの製造工程が利用でき、あらたに大規模な製造工程を追加(あるいは変更)する必要が無い。ここで、印刷とは、フォトエッチングがその代表例であるが、インクジェット法によるものでもよい。
【0106】
インクジェット法の場合、フォトエッチングの工程のような大規模な製造工程の追加が不要であり、低コストで微細な金属パターンを形成できる。
【0107】
さらに、前記金属パターン層ははフィルム基材からなり、前記金属パターンが前記金属パターン層に印刷されて設けられたタッチパネルが含まれる。
【0108】
この構成により、持ち運び可能な機器(モバイル機器あるいはポータブル機器)も適用することが可能な軽量なタッチパネルや、車輌内部の造詣の曲面面に合わせた曲面タッチパネルに使用することができる。
【0109】
さらに、前記金属パターン層は、一様な金属パターンがスリットにより分割され、操作者がタッチパネルに触れた位置を算出する際に、ある一方向の座標を検出して、操作者が
触れた位置を制御部20に算出させるための第1の金属パターン層と、一様な金属パターンがスリットにより分割され、操作者がタッチパネルに触れた位置を算出する際に、第1の金属パターン層で算出される方向とは平行でない方向の座標を検出して、操作者が触れた位置を制御部20に算出させるための第2の金属パターンとからなるタッチパネルも含まれる。
【0110】
この構成により、多点検出を行うような複数層の金属パターンを必要とするタッチパネルに適用することができる。
【0111】
また、上記タッチパネルとして、多点検出をおこなう自己容量方式または相互容量方式のタッチパネルに適用し、前記金属パターン層は、一様な金属パターンがスリットにより分割され、操作者からのタッチ検出を行なうための信号を印加する信号印加層と、操作者からのタッチ検出を行なうための信号を検出する信号検出層とを備える構成としても良い。
【0112】
この構成により、多点検出をおこなう自己容量方式や相互容量方式のタッチパネルに適用することができる。
【0113】
さらに、前記第1の金属パターンが前記金属パターン層の一方の面に設けられ、前記第2の金属パターンが前記金属パターン層の他方の面に設けられたことを特徴とするタッチパネルが含まれる。
【0114】
この構成により、第一の金属パターンと第二の金属パターンとの間の絶縁が不要となり製造工程を簡略化することができるとともに、軽く薄いタッチパネルが実現できる。
【0115】
そして、本実施の形態における技術を以下に示す構成として表示装置に適用することができる。
【0116】
すなわち、表示装置を構成する複数の層のうち、所定の隣接する2つの層の間に上記タッチパネルを設けた構成に適用できる。
【0117】
この構成により、操作者の指と金属パターン層との間に形成される静電容量の検出が容易な構成をとることができ、さまざまな構成のタッチパネルに適用できる。
【0118】
さらに、上記表示装置は、前記区画部によって区画された光出力領域にカラーフィルタが設けられたCFガラス基板と、前記CFガラス基板を通過した光を偏光する偏光板とを備えた液晶表示装置であり、前記タッチパネル(金属パターン層)がCFガラス基板と偏光板との間に配置された構成に適用することができる。
【0119】
この構成により、カラーフィルター製造工程にて金属パターン層を形成でき、かつ金属パターン層を覆うようなオーバーレイが不要となるため、製造工程やオーバーレイなどの部材の追加が不要になり、軽く薄いタッチパネルが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明のタッチパネルを備えた表示装置は、画像表示部の視認性を確保したままタッチパネルを構成することができるため、タッチパネルが使用されるカーナビゲーションや車載ディスプレイ装置などの車載装置や、PNDやポータブルマルチメディアプレーヤーなどのモバイル機器等に有用である。
【符号の説明】
【0121】
10 車載装置
11 記憶部
12 外部入力部
13 スピーカ
17 画像表示部
18 タッチパネル
20 制御部
22 DVD/CDドライブ
23 GPS受信機
24 車速センサ
25 ジャイロ
81 バックライトユニット
82 第一の偏光フィルタ
83 TFTガラス基板
84 第一の透明電極
85 液晶
86 第二の透明電極
87 カラーフィルタ
88 CFガラス基板
89 第二の偏光フィルタ
90 金属パターン層
92 RGBパターン
93 ブラックマトリックス
94 タッチパネル基材
95 オーバーレイ
96 第一の金属パターン層
97 第二の金属パターン層
98 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画部によって区画された光出力領域から外部へ向けて出力される光によって画像を表示する表示装置の前面に配置されるタッチパネルであって、
導電性部材からなる金属パターンと、前記金属パターンが配置され光透過性の部材からなる金属パターン層とを備え、
前記金属パターンは、通常使用状態において正面方向から見た場合に、前記区画部を構成する区画線に重なる位置に配置されたことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記金属パターン層はガラス基材からなり、前記金属パターンが前記金属パターン層に印刷されて設けられたことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記金属パターン層はフィルム基材からなり、前記金属パターンが前記金属パターン層に印刷されて設けられたことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記金属パターン層は、操作者が触れた位置を算出するために一方向の座標を検出する第1の金属パターンが設けられた第1の金属パターン層と、第1の金属パターン層で算出される方向とは平行でない他方向の座標を検出する第2の金属パターンが設けられた第2の金属パターン層とからなる請求項1記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記第1の金属パターン層が前記金属パターン層の一方の面に設けられ、前記第2の金属パターン層が前記金属パターン層の他方の面に設けられたことを特徴とする請求項4記載のタッチパネル。
【請求項6】
多点検出をおこなう自己容量方式または相互容量方式のタッチパネルに適用され、前記金属パターン層は、操作者からのタッチ検出を行なうための信号を印加する信号印加層と、操作者からのタッチ検出を行なうための信号を検出する信号検出層とを備えることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記信号印加層が前記金属パターン層の一方の面に設けられ、前記信号検出層が前記金属パターン層の他方の面に設けられたことを特徴とする請求項6記載のタッチパネル。
【請求項8】
区画部によって区画された光出力領域から外部へ向けて出力される光によって画像を表示する表示装置であって、
導電性部材からなる金属パターンと、前記金属パターンが配置され光透過性の部材からなる金属パターン層とを有したタッチパネルを備え、
前記金属パターンは、通常使用状態において正面方向から見た場合に、前記区画部を構成する区画線に重なる位置に配置されたことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
前記金属パターン層はガラス基材からなり、前記金属パターンが前記金属パターン層に印刷されて設けられたことを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
前記金属パターン層ははフィルム基材からなり、前記金属パターンが前記金属パターン層に印刷されて設けられたことを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項11】
前記金属パターン層は、操作者が触れた位置を算出するために一方向の座標を検出する第1の金属パターンが設けられた第1の金属パターン層と、第1の金属パターン層で算出される方向とは平行でない他方向の座標を検出する第2の金属パターンが設けられた第2の金属パターン層とからなることを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の金属パターンが前記金属パターン層の一方の面に設けられ、前記第2の金属パターンが前記金属パターン層の他方の面に設けられたことを特徴とする請求項11記載の表示装置。
【請求項13】
前記タッチパネルは、多点検出をおこなう自己容量方式または相互容量方式のタッチパネルであって、前記金属パターン層は、操作者からのタッチ検出を行なうための信号を印加する信号印加層と、操作者からのタッチ検出を行なうための信号を検出する信号検出層とを備えることを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項14】
前記信号印加層が前記金属パターン層の一方の面に設けられ、前記信号検出層が前記金属パターン層の他方の面に設けられたことを特徴とする請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示装置は、前記区画部によって区画された光出力領域にカラーフィルタが設けられたCFガラス基板と、前記CFガラス基板を通過した光を偏光する偏光板とを備えた液晶表示装置であり、前記タッチパネルがCFガラス基板と偏光板との間に配置されたことを特徴とする請求項8記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198740(P2012−198740A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61952(P2011−61952)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】