説明

タッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置

【課題】裏面電極接続部を用いてタッチパネル基板の裏面に設置された裏面電極に所定の電圧を供給する際に、作業性を向上させる。
【解決手段】タッチパネル基板と、フレキシブル配線基板とを備え、前記タッチパネル基板は、前面に形成される検出用電極と、裏面に形成される裏面電極とを有し、前記フレキシブル配線基板は、複数の端子が形成される端子部を有し、前記端子部は、第1端子部と第2端子部とを有し、前記第2端子部の端子の長さは、前記第1端子部の端子の長さよりも短く、前記フレキシブル配線基板は、前記第2端子部に連続し、前記第2端子部と反対側の一端にシールド用端子を有する裏面電極接続部を有し、前記裏面電極接続部が、前記タッチパネル基板の裏面側に折り曲げられ、前記シールド用端子が、前記タッチパネル基板の前記裏面電極に機械的・電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置に係わり、特に、静電容量結合方式のタッチパネルに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の普及において、“人にやさしい”グラフィカルユーザインターフェースを支えるタッチパネル技術が重要となってきている。このタッチパネル技術として、静電容量結合方式のタッチパネルが知られている。
一般に、タッチパネルは、表示パネル上に配置されるが、この表示パネルからは、表示のために発生する信号電圧の変動がノイズとして放射される。
そこで、静電容量結合方式のタッチパネルにおいて、表示パネルから発生するノイズの影響を抑えるために、タッチパネル基板の裏面に透明導電膜(シールド用の裏面電極)を設置するようにしたものが知られている。(下記特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−113498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1では、タッチパネル基板の裏面に設置されたシールド用の裏面電極に所定の電圧(例えば、接地電圧)を供給するために、タッチパネル基板の前面に裏面接続パッドを形成し、裏面接続パッドとシールド用の裏面電極とを、導電部材(例えば、導電性テープ)を介して接続するようにしている。ここで、前述の特許文献1では、裏面接続パッドは、配線を介して裏面用接続端子に接続され、裏面用接続端子は、フレキシブル配線基板に接続されている。
しかしながら、裏面接続パッドとシールド用の裏面電極とを導電部材で接続する前述の方法では、時間の経過により導電部材が剥がれ、信頼性が損なわれることが想定される。
そのため、フレキシブル配線基板に裏面電極接続部を設け、裏面電極接続部に形成されたシールド用端子を、シールド用の裏面電極に接続し、シールド用の裏面電極に所定の電圧を供給するようにしている。
しかしながら、裏面電極接続部を、タッチパネル基板の裏面側に折り曲げ、裏面電極接続部のシールド用端子を裏面電極に接続し、裏面電極に所定の電圧を供給する従来の方法では、タッチパネル基板から裏面電極接続部が大きくはみ出し、作業性が悪いという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、静電容量結合方式のタッチパネルにおいて、裏面電極接続部を用いてタッチパネル基板の裏面に設置された裏面電極に所定の電圧を供給する際に、作業性を向上させることが可能となる技術を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前述の静電容量結合方式のタッチパネルを備える表示装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)タッチパネル基板と、フレキシブル配線基板とを備え、前記タッチパネル基板は、前面に形成される検出用電極と、裏面に形成される裏面電極とを有し、前記フレキシブル配線基板は、複数の端子が形成される端子部を有し、前記端子部の複数の端子は、前記タッチパネル基板の任意の一辺に形成された接続端子に電気的・機械的に接続されるタッチパネルであって、前記端子部は、第1端子部と第2端子部とを有し、前記第2端子部の端子の長さは、前記第1端子部の端子の長さよりも短く、前記フレキシブル配線基板は、前記第2端子部に連続し、前記第2端子部と反対側の一端にシールド用端子を有する裏面電極接続部を有し、前記裏面電極接続部が、前記タッチパネル基板の裏面側に折り曲げられ、前記シールド用端子が、前記タッチパネル基板の前記裏面電極に機械的・電気的に接続されている。
(2)(1)において、前記第2端子部の端子の長さは、前記第1端子部の端子の長さの半分以下である。
【0006】
(3)(1)において、前記第2端子部の端子は、前記タッチパネルの動作に寄与しないダミー端子である。
(4)(1)において、前記裏面電極接続部が、前記タッチパネル基板の前記任意の一辺の端面に沿って前記タッチパネル基板の裏面側に折り曲げられ、前記シールド用端子が、前記タッチパネル基板の前記裏面電極に機械的・電気的に接続されている。
(5)(1)において、前記フレキシブル配線基板は、前記裏面電極に所定の電圧を供給するシールド用配線を有し、前記シールド用配線の一部は、前記第2端子部の端子の近傍で、前記タッチパネル基板の前記任意の一辺に沿って形成されている。
(6)(1)において、前記フレキシブル配線基板には、前記検出用電極を駆動する半導体チップが実装されている。
(7)(1)において、前記検出用電極は、複数のX電極と、前記複数のX電極と交差する複数のY電極とで構成される。
(8)表示パネルと、前記表示パネル上に配置されるタッチパネルとを有するタッチパネル付き表示装置であって、前記タッチパネルは、前記(1)ないし(7)のいずれか1項に記載のタッチパネル付き表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、静電容量結合方式のタッチパネルにおいて、裏面電極接続部を用いてタッチパネル基板の裏面に設置された裏面電極に所定の電圧を供給する際に、作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例のタッチパネル付き表示装置の断面構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例のタッチパネルのフレキシブル配線基板を説明するための模式図である。
【図3】本発明の実施例のタッチパネルにおいて、タッチパネル基板とフレキシブル配線基板との固定方法を説明するための図である。
【図4】従来のタッチパネルにおいて、タッチパネル基板とフレキシブル配線基板との固定方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例の液晶表示パネルの基本構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例のタッチパネルの概略構成を示す平面図である。
【図7】図6のA−A’線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図8】図6のB−B’線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例の前面パネルの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[実施例]
本実施例では、表示パネルの一例として液晶表示パネルを用いて説明するが、表示パネルとしては、タッチパネルを用いることができるものであれば良く、液晶表示パネルに限らず、有機発光ダイオード素子や表面伝導型電子放出素子を用いることも可能である。
図1は、本発明の実施例のタッチパネル付き表示装置の断面構造を示す断面図である。
本実施例の表示装置300は、図1に示すように、液晶表示パネル600と、液晶液示パネル600の観察者側の面上に配置された静電容量結合方式のタッチパネル400と、液晶表示パネル600の観察者側とは反対側の面下に配置されたバックライト700とを備えている。液晶表示パネル600としては、例えば、IPS方式、TN方式、VA方式等の液晶表示パネルが用いられている。
液晶表示パネル600は対向して配置された2枚の基板620と630とが貼り合わされて形成されており、2枚の基板の外側には偏光板601、602が設けられている。また、液晶表示パネル600とタッチパネル400とは樹脂・粘着フィルム等からなる第1の接着材501により接合されている。
さらに、タッチパネル400の外側には、アクリル樹脂またはガラスからなる前面保護板(フロントウインドウ、前面パネルとも呼ぶ)12が樹脂・粘着フィルム等からなる第2の接着材502により貼り合わされている。
前面保護板12には凹部612が設けられており、前面保護板12の厚さはタッチパネル400と重なる領域で薄く、周辺部で厚くなっている。これにより、本実施例では、検出感度を上げるとともに、前面保護板12の強度を確保している。
タッチパネル400の液晶表示パネル側には、ITOから成る透明導電層(本発明の裏面電極)603が設けられている。この透明導電層603は、液晶表示パネル600で発生する信号をシールドする目的で形成されている。
【0010】
液晶表示パネル600には多数の電極が設けられており、様々なタイミングで電極上に電圧が信号として印加されている。これらの液晶表示パネル600での電圧の変化は静電容量結合方式のタッチパネル400に設けられた電極に対してはノイズとなる。
そのため、タッチパネル400を液晶表示パネル600から電気的にシールドする必要があり、透明導電層603がシールド電極として設けられている。シールド電極として機能するように、透明導電層603には、所定の電圧がフレキシブル配線基板71等から供給されており、例えば、接地電圧とされている。
フレキシブル配線基板71はタッチパネル400の電極が形成される面(以下、前面と呼ぶ)に形成された接続端子(図示せず)に接続されるが、フレキシブル配線基板71は、透明導電層603が設けられる面(以下、裏面と呼ぶ)に接地電圧等の電圧を供給するための、裏面電極接続部(71−B)を有する。
なお、透明導電層603はノイズの影響を抑えるために、タッチパネル400に設けられた電極と同程度のシート抵抗値である150〜200Ω/□であることが望ましい。シールド用の透明導電層603がタッチパネル400に設けられた電極に比較して同程度、または低抵抗であればノイズを抑える効果が向上する。
タッチパネル400の裏面に設けられた透明導電層603には、接地電圧等の任意の電圧がフレキシブル配線基板71を介して供給される。
また、図1に示すように、本実施例では、スペーサ30を基板620とタッチパネル400との間に挿入している。液晶表示パネル600にタッチパネル400及びフロントウインドウ12を組み合わせた構造(ここではハイブリッド構造という)において、液晶表示パネル600の基板620のガラス強度が弱いという問題が生じる。
基板620では駆動回路50を搭載する領域が他方の基板630より突出しており1枚板の形状となっている。この駆動回路50の搭載領域で基板620が破損する不具合が生じる場合がある。そのため、基板620とタッチパネル400との間にスペーサ30を挿入し強度を向上させている。
【0011】
図2は、本発明の実施例のタッチパネルのフレキシブル配線基板71を説明するための模式図である。なお、図2は、あくまでも模式図であり、実際のフレキシブル配線基板71を示すものではない。
図2に示すように、フレキシブル配線基板71は、端子部(71−C)と、本体部(71−A)と、裏面電極接続部(71−B)とを有する。端子部(71−C)は、第1の端子群(7−A)を有する第1端子部(71−C−1)と、第2の端子群(7−B)を有する第2端子部(71−C−2)とで構成される。
第1の端子群(7−A)の各端子は、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の前面に形成された接続端子と、ACF(Anisotropic Conductive Film;異方性導電膜)により電気的・機械的に接続される。第2の端子群(7−B)は、フレキシブル配線基板をガラス基板に固定するための端子である。第2の端子群(7−B)を設けることにより、第1端子部(71−C−1)と第2端子部(71−C−2)とが略同じ高さになり、端子部(71−C)の全域にわたってACFによりガラス基板に固定できる。この場合、第2の端子群(7−B)は配線に接続されない。また、第2の端子群(7−B)の各端子に配線を接続し、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の前面に形成された接続端子と第2の端子群(7−B)とをACFにより電気的・機械的に接続してもよい。
また、フレキシブル配線基板71の本体部(71−A)には、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の前面に形成された検出電極を駆動する駆動回路(半導体チップ)150が実装される。この駆動回路150により入力位置の検出等が制御される。
なお、図2は、第1の端子群(7−A)と第2の端子群(7−B)の各端子が形成される面(以下、フレキシブル配線基板71の裏面)からフレキシブル配線基板71を見た状態を図示しており、駆動回路150は、フレキシブル配線基板71の表面側に形成される。
第1の端子群(7−A)の各端子は、配線(9−A)を介して、駆動回路150のそれぞれの入出力端子に接続されるが、第2の端子群(7−B)の各端子と、第2の端子群(7−B)の各端子に電気的・機械的に接続される接続端子(ガラス基板5の前面に形成された接続端子)とは、駆動回路150の入出力端子には接続されておらず、第2の端子群(7−B)の各端子は、タッチパネル400の動作に関与(または、寄与)しないダミーの端子、あるいは、ダミーの接続端子として設けられる。なお、実際は、第1の端子群(7−A)内の端子にもダミーの端子が含まれているが、図2では図示は省略している。
【0012】
フレキシブル配線基板71の本体部(71−A)の第1端子部(71−C−1)と反対側の一端には、外部信号入出力用の複数の端子からなる第3の端子群(7−C)が設けられる。第3の端子群(7−C)の各端子は、配線(9−B)を介して、駆動回路150のそれぞれの入出力端子に接続される。
また、フレキシブル配線基板71の裏面電極接続部(71−B)の第2端子部(71−C−2)と反対側の一端には、第4の端子群(7−D)が設けられる。この第4の端子群(7−D)には、シールド用の透明導電層603に所定の電圧(ここでは、GNDの接地電圧)を供給するためのシールド用端子が含まれる。シールド用端子には、GND配線(9−C)を介して、外部から所定の電圧(ここでは、GNDの接地電圧)が供給される。
第4の端子群(7−D)の各端子は、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の裏面に形成されたシールド用の透明導電層603と、ACFにより電気的・機械的に接続される。
図2では、シールド用の端子は2個の場合を想定しているが、第4の端子群(7−D)の全てを、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の裏面に形成されたシールド用の透明導電層603に、ACFにより電気的・機械的に接続してもよい。
なお、前述したように、駆動回路150は、フレキシブル配線基板71の表面側に形成され、フレキシブル配線基板71の各端子および配線は、フレキシブル配線基板71の裏面側に形成される。したがって、図示は省略するが、配線(9−A,9−B,9−C)の一部は、コンタクトホールを介して、フレキシブル配線基板71の表面側に形成された配線に接続されることはいうまでもない。
【0013】
図3は、本発明の実施例のタッチパネルにおいて、タッチパネル基板とフレキシブル配線基板71との固定方法を説明するための図である。また、図4は、従来のタッチパネルにおいて、タッチパネル基板とフレキシブル配線基板71との固定方法を説明するための図である。
なお、図3(a)、図4(a)は、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の任意の一辺の前面に、フレキシブル配線基板71を、ACFにより電気的・機械的に接続した状態を示す図、図3(b)、図4(b)は、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の裏面に、フレキシブル配線基板71の裏面電極接続部(71−B)を、ACFにより電気的・機械的に接続した状態を示す図である。
図4に示す従来のフレキシブル配線基板71では、第1の端子群(7−A)の長さと、第2の端子群(7−B)の長さとが同じであるのに対して、図3に示す本実施例のフレキシブル配線基板71では、第2の端子群(7−B)の長さが、第1の端子群(7−A)の長さよりも短くなっている。フレキシブル配線基板の端子は、端子が配列されている方向に幅を有し、端子が配列されている方向と垂直な方向に長さ(L1,L2)をもっている。
そのため、図4(a)のAに示すように、裏面電極接続部(71−B)を、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の裏面側に折り曲げて、ガラス基板5の裏面に形成されたシールド用の透明導電層603に、裏面電極接続部(71−B)の第4の端子群(7−D)を、ACFにより電気的・機械的に接続する場合、GND配線(9−C)が捻れて切断しないように、裏面電極接続部(71−B)のGND配線(9−C)が形成される領域以外の領域で、裏面電極接続部(71−B)を折り曲げる必要ある。
したがって、図4(b)のAに示すように、従来のタッチパネルでは、折り曲げた状態の裏面電極接続部(71−B)がガラス基板5の一辺(第1の端子群(7−A)と第2の端子群(7−B)とが接続される一辺)からはみ出すことになる。
そして、このような状態では、裏面電極接続部(71−B)の第4の端子群(7−D)を、所定の位置に位置決めするのに時間が掛かるという問題点があった。
【0014】
これに対して、図3(a)に示すように、本実施例では、フレキシブル配線基板71では、第2の端子群(7−B)の長さ(L2)が、第1の端子群(7−A)の長さ(L1)よりも短くされる。なお、本実施例において、第2の端子群(7−B)の長さ(L2)は、第1の端子群(7−A)の長さ(L1)の半分以下(L2≦L1/2)が望ましい。
したがって、本実施例では、図3(a)のAに示すように、フレキシブル配線基板71の裏面電極接続部(71−B)を、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の裏面側に折り曲げて、ガラス基板5の裏面に形成されたシールド用の透明導電層603に、裏面電極接続部(71−B)の第4の端子群(7−D)を、ACFにより電気的・機械的に接続する場合、GND配線(9−C)を、第2の端子群(7−B)の近傍でガラス基板5の任意の一辺に沿って形成し、即ち、GND配線(9−C)をガラス基板5の前面に位置させることが可能となるので、図3(b)に示すように、裏面電極接続部(71−B)を、ガラス基板5の一辺(第1の端子群(7−A)と第2の端子群(7−B)とが接続される一辺)に沿って折り曲げることが可能となる。
したがって、本実施例のタッチパネルでは、治具により、裏面電極接続部(71−B)を、ガラス基板5の一辺(第1の端子群(7−A)と第2の端子群(7−B)とが接続される一辺)に押し当てて折り曲げ、タッチパネル基板を構成するガラス基板5の裏面に形成されたシールド用の透明導電層603に、裏面電極接続部(71−B)の第4の端子群(7−D)を、ACFにより電気的・機械的に接続することができるので、従来のタッチパネルよりも作業性を向上させることが可能となる。
【0015】
次に、図5を用いて液晶表示パネル600について説明する。なお、図5は、液晶表示パネル600の基本構成を示すブロック図である。但し、図5では、液晶表示パネル600を説明するために、タッチパネル400については省略して示している。
前述したように、液晶表示装置は、液晶表示パネル600と、駆動回路50と、フレキシブル配線基板72と、バックライト700から構成される。液晶表示パネル600の一辺には、駆動回路50が設けられており、この駆動回路50により液晶表示パネル600に各種信号が供給される。液晶表示パネル600には、駆動回路50に外部からの信号を供給するためのフレキシブル配線基板72が電気的に接続されている。
液晶表示パネル600は、薄膜トランジスタ610、画素電極611、対向電極(コモン電極)615等が形成される基板620(以下、TFT基板とも呼ぶ)と、カラーフィルタ等が形成される基板630(以下、フィルタ基板とも呼ぶ)とを、所定の間隙を隔てて重ね合わせ、該両基板間の周縁部近傍に枠状に設けたシール材(図示せず)により、両基板を貼り合わせると共に、シール材の内側に液晶組成物を封入、封止し、さらに、両基板の外側に偏光板601、602(図2参照)を貼り付け、TFT基板620にフレキシブル配線基板72を接続して構成される。
なお、本実施例は、対向電極615がTFT基板620に設けられる所謂横電界方式の液晶表示パネルにも、対向電極615がフィルタ基板630に設けられる所謂縦電界方式の液晶表示パネルにも同様に適用される。
【0016】
図5においては、図中x方向に延在しy方向に並設される走査線(ゲート線とも呼ぶ)621と、y方向に延在しx方向に並設される映像線(ドレイン線とも呼ぶ)622とが設けられており、走査線621と映像線622とで囲まれる領域に画素部608が形成されている。
なお、液晶表示パネル600は多数の画素部608をマトリクス状に備えているが、図を解り易くするため、図5では画素部608を1つだけ示している。マトリクス状に配置された画素部608は表示領域609を形成し、各画素部608が表示画像の画素の役割をはたし、表示領域609に画像を表示する。
各画素部608の薄膜トランジスタ610は、ソースが画素電極611に接続され、ドレインが映像線622に接続され、ゲートが走査線621に接続される。この薄膜トランジスタ610は、画素電極611に表示電圧(階調電圧)を供給するためのスイッチとして機能する。
なお、ソース、ドレインの呼び方は、バイアスの関係で逆になることもあるが、ここでは、映像信号線622に接続される方をドレインと称する。また、画素電極611と対向電極615との間には液晶容量が形成される。
また、各画素部608の対向電極615は、対向電極信号線625に接続される。
駆動回路50は、TFT基板620を構成する透明な絶縁基板(ガラス基板、樹脂基板等)に配置される。駆動回路50は走査線621と映像信号線622と対向電極信号線625に接続している。
【0017】
TFT基板620には、フレキシブル配線基板72が接続されている。また、フレキシブル配線基板72にはコネクタ640が設けられている。コネクタ640は外部信号線と接続され、コネクタ640を介して外部から信号が入力される。コネクタ640と駆動回路50の間には配線631が設けられており、外部からの信号は駆動回路50に入力される。
また、フレキシブル配線基板72はバックライト700に定電圧を供給している。バックライト700は液晶表示パネル600の光源として使用される。なお、バックライト700は液晶表示パネル600の裏面または前面に設けられるが、図5では図を簡潔にするため、液晶表示パネル600と並べて表示している。
液晶表示パネル600の外部に設けられた制御装置(図示せず)から送出された制御信号、および外部電源回路(図示せず)から供給される電源電圧が、コネクタ640、配線631を介して駆動回路50に入力する。
外部から駆動回路50に入力する信号は、クロック信号、ディスプレイタイミング信号、水平同期信号、垂直同期信号等の各制御信号および表示用デ−タ(R・G・B)、表示モード制御コマンドであり、入力した信号を基に、駆動回路50は液晶表示パネル600を駆動する。
駆動回路50は1チップの半導体集積回路(LSI)から構成され、走査線621への走査信号の出力回路と、映像線622への映像信号の出力回路と、対向電極信号線625への対向電極電圧(コモン電圧)を出力する出力回路とを有している。
【0018】
駆動回路50は、内部で発生させる基準クロックに基づき、1水平走査時間毎に、順次液晶表示パネル600の各走査線621に“High”レベルの選択電圧(選択走査信号)を供給する。これにより、液晶表示パネル600の各走査線621に接続された複数の薄膜トランジスタ610が、1水平走査期間の間、映像線622と画素電極611との間を電気的に導通させる。
また、駆動回路50は画素が表示すべき階調に対応する階調電圧を映像線622に出力する。薄膜トランジスタ610がオン状態(導通)になると、映像線622から階調電圧(映像信号)が画素電極611に供給される。その後、薄膜トランジスタ610がオフ状態となることで画素が表示すべき映像に基づく階調電圧が画素電極611に保持される。
対向電極615には一定の対向電極電圧が印加されており、液晶表示パネル600は画素電極611と対向電極615との間の電位差により、間に挟まれた液晶分子の配向方向が変化し、光の透過率または反射率を変化させることで画像を表示する。
また、駆動回路50は交流化駆動を実施するため、対向電極信号線625に一定期間毎に極性が反転する対向電極電圧を出力するコモン反転駆動を行っている。
前述したように、これら液晶表示パネル600を駆動するための信号の変化が、タッチパネル400にはノイズとして検出される。よって、その対策が必要となった。特にタッチパネル400は液晶表示パネル600に表示される画像を基に利用者に入力を促す性質を有しており、液晶表示パネル600等の表示装置に重ねて設けられる必要があり、近接して重ねられる表示装置の発生するノイズの影響を強く受けることとなる。
【0019】
次に、図6ないし図8を用いて本発明の実施例のタッチパネルについて説明する。なお、図6は、本発明の実施例のタッチパネルの概略構成を示す平面図であり、図7は、図6のA−A’線に沿った断面構造を示す断面図、図8は、図6のB−B’線に沿った断面構造を示す断面図である。
図6に示すタッチパネル400では、第1の方向(例えばX方向)に延在し、前記第1の方向と交差する第2の方向(例えばY方向)に所定の配列ピッチで並設される複数のX電極2と、このX電極2と交差して前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に所定の配列ピッチで並設される複数のY電極1とを有している。
複数のX電極2の各々は、交差部2aと、この交差部2aの幅よりも広い幅の電極部2bとで構成される。複数のX電極2の各々は、ガラス基板5の観察者側の面上に層間絶縁膜16を介して配置され、その上層に形成された最上層保護膜19で覆われている。なお、ガラス基板5に代えて、例えば、透明な絶縁性基板を使用してもよい。
複数のY電極1の各々は、交差部1aと、この交差部1aの幅よりも広い幅の電極部1bとで構成される。複数のY電極1の各々の電極部1bは、X電極2と同層にX電極2とは分離して形成されている。即ち、複数のY電極1の各々の電極部1bは、X電極2と同様に、ガラス基板5の観察者側の面上に層間絶縁膜16を介して配置され、その上層に形成された最上層保護膜19で覆われている。
【0020】
複数のY電極1の各々の交差部1aは、ガラス基板5の観察者側の面上に配置され、その上層に形成された層間絶縁膜16で覆われている。Y電極1の交差部1aは、X電極2の交差部2aと平面的に交差し、この交差部2aを挟んで隣り合う2つの電極部1bに、層間絶縁膜16に形成されたコンタクトホール17を介してそれぞれ電気的にかつ機械的に接続されている。
タッチパネル400は、複数の電極1Y及び1Xが配置された中央領域と、この中央領域の周囲に配置された周辺領域とを有している。タッチパネル400の周辺領域には、図6に示すように、複数の電極1Y、複数のX電極2の各々と電気的に接続された複数の周辺配線6が配置されている。なお、Y電極1とX電極2は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)で形成されている。
また、図6〜図8では、Y電極1の交差部1aと周辺配線6とが、ガラス基板5上に同層で形成された例について説明したが、Y電極1の電極部1bと、X電極2の交差部2aと電極部2bとをガラス基板5上に同層で形成し、層間絶縁膜16上にY電極1の交差部1aを形成するようにしてもよい。
さらには、Y電極1と、X電極2とをそれぞれ異なる層に形成してもよい。
【0021】
次に、図9を用いて前面パネル12について説明する。図9は、前面パネル12をタッチパネル400側から見た概略斜視図である。前面パネル12には凹部612が形成されタッチパネル400が収納可能となっている。また、周辺部614は凹部612よりも厚く形成されており、周辺部614では十分な強度を確保している。また、周辺部614の一部に溝613を形成して、フレキシブル配線基板71が凹部612から外部に向け延在可能となっている。
この前面パネル12に設けた凹部612は、前面パネル12を削ることで形成可能である。また、筺体等に固定する前面パネル12の周辺部614の厚みは厚い方が装置落下等の強度に強く,アクリルの場合0.7mm〜1.0mm,ガラスの場合0.5mm〜1.0mmが望ましい。
しかし、タッチパネル400にとっては操作面の上につけるものが厚いと指で操作する時の感度が落ちるため薄くするのが望ましく、凹部612の厚さは、アクリルの場合は0.5mm以下、ガラスの場合0.8mm以下が望ましい。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 Y電極
1a,2a 交差部
1b,2b 電極部
2 X電極
5 ガラス基板
6,9−A,9−B,9−C,631 配線
7−A 第1の端子群
7−B 第2の端子群
7−C 第3の端子群
7−D 第4の端子群
12 前面保護板
16 層間絶縁膜
17 コンタクトホール
19 最上層保護膜
30 スペーサ
50,150 駆動回路
71,72 フレキシブル配線基板
71−A 本体部
71−B 裏面電極接続部
71−C 端子部
71−C−1 第1端子部
71−C−2 第2端子部
300 表示装置
400 タッチパネル
501 第1の接着材
502 第2の接着材
600 液晶表示パネル
601,602 偏光板
603 透明導電層
608 画素部
609 表示領域
610 薄膜トランジスタ
611 画素電極
612 凹部
613 溝
614 周辺部
615 対向電極(コモン電極)
621 走査線(ゲート線)
622 映像線(ドレイン線)
625 対向電極信号線
640 コネクタ
620,630 基板
700 バックライト
780 透明導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル基板と、
フレキシブル配線基板とを備え、
前記タッチパネル基板は、前面に形成される検出用電極と、裏面に形成される裏面電極とを有し、
前記フレキシブル配線基板は、複数の端子が形成される端子部を有し、
前記端子部の複数の端子は、前記タッチパネル基板の任意の一辺に形成された接続端子に電気的・機械的に接続されるタッチパネルであって、
前記端子部は、第1端子部と第2端子部とを有し、
前記第2端子部の端子の長さは、前記第1端子部の端子の長さよりも短く、
前記フレキシブル配線基板は、前記第2端子部に連続し、前記第2端子部と反対側の一端にシールド用端子を有する裏面電極接続部を有し、
前記裏面電極接続部が、前記タッチパネル基板の裏面側に折り曲げられ、前記シールド用端子が、前記タッチパネル基板の前記裏面電極に機械的・電気的に接続されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記第2端子部の端子の長さは、前記第1端子部の端子の長さの半分以下であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第2端子部の端子は、前記タッチパネルの動作に寄与しないダミー端子であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記裏面電極接続部が、前記タッチパネル基板の前記任意の一辺の端面に沿って前記タッチパネル基板の裏面側に折り曲げられ、前記シールド用端子が、前記タッチパネル基板の前記裏面電極に機械的・電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記フレキシブル配線基板は、前記裏面電極に所定の電圧を供給するシールド用配線を有し、
前記シールド用配線の一部は、前記第2端子部の端子の近傍で、前記タッチパネル基板の前記任意の一辺に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記フレキシブル配線基板には、前記検出用電極を駆動する半導体チップが実装されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記検出用電極は、複数のX電極と、
前記複数のX電極と交差する複数のY電極とで構成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項8】
表示パネルと、
前記表示パネル上に配置されるタッチパネルとを有するタッチパネル付き表示装置であって、
前記タッチパネルは、前記請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のタッチパネルであることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−212335(P2012−212335A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77945(P2011−77945)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】