説明

タッチパネルの制御回路及び制御方法

【課題】タッチパネルの容量を検出するための制御回路及び制御方法を提供する。
【解決手段】制御回路は、検出配線の強度信号を得るためにタッチパネルの検出配線を充電する信号検出回路と、強度信号を周波数信号に変換し、周波数信号の周波数を強度信号のレベルに関連付ける強度/周波数変換ユニットと、対応する検出配線の信号量を得るために周波数信号を分析する周波数分析ユニットと、を含む。静電容量方式のタッチパネルのための制御回路42は、良好なSNRを有し、回路環境のノイズ信号によって影響を受け難く、チップの占有領域を削減するために簡単な要素で構成され、コストの削減に寄与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの制御回路及び制御方法に関し、特にタッチパネルの容量変化を検出する制御回路及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルに用いられるタッチ制御技術は、種々の検出原理に基づいて、抵抗方式、静電容量方式、表面弾性波方式、及び光学方式に分類することができる。
【0003】
図1及び図2は、それぞれ従来の静電容量方式のタッチパネルの制御回路のブロック図及び回路図である。制御回路10は、静電容量方式のタッチパネル12に電気的に接続されており、パルス生成器20、マルチプレクサ22、マルチプレクサ24、積分器26、サンプリング・ホールディング回路28、及びアナログ−デジタル変換器(以下、ADCと省略する)32を含む。
【0004】
パルス生成器20によって生成されたパルスは、マルチプレクサ22を介して静電容量方式のタッチパネル12のX軸駆動配線及びY軸駆動配線に伝送される、駆動信号として機能し、静電容量方式のタッチパネル12のY軸及びX軸の検出配線よって検出される容量変化の値は、マルチプレクサ24を介して積分器26に伝送される、タッチ制御検出信号として機能する。
【0005】
図2において、マルチプレクサ24を介して積分器26に伝送される、静電容量方式のタッチパネル12のタッチ制御検出信号は、パルス信号であり、積分器26は、複数のパルス信号を梯子波形信号(ladder-shaped wave signal)に積分し、サンプリング・ホールディング回路28にそれを伝送する。
【0006】
そして、図1において、サンプリング・ホールディング回路28は、積分器26によって積分された梯子波形信号を抽出し、その抽出された信号を直流(DC)電圧レベルに維持する。ADC32は、前述の抽出されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、信号処理を行うためにマイクロプロセッサ(不図示)に当該デジタル信号を伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5867111号明細書
【特許文献2】中国特許第101419522号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の制御回路10は、従来の静電容量方式のタッチパネル12に用いられ、少なくとも以下の欠点を有する。
a.回路環境において生成されるノイズ信号を有し、当該ノイズ信号は信号の一部として積分器26によって積分され、システム全体の低SNR(signal-noise ration)を招く。
b.後端回路によって処理することができる電圧に、静電容量方式のタッチパネル12の電荷を蓄積したり、伝送したりするための積分器26での時間が長い。長い積分時間は、静電容量方式のタッチパネル12のフレームレートに影響を及ぼす。この問題は、特定のハードウェア(例えばサンプリング・ホールディング回路28)の手段によって補うことができる。しかしながら、コストが嵩む。
c.積分器26、サンプリング・ホールディング回路28、及びデジタル−アナログ変換器32を用いることは、チップにおいて広い領域を占有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、良好なSNRを有するシステムとし、そして環境内で生成される、SNRを低くするノイズ信号によって制御回路が影響を受けない、タッチパネルの制御回路及び制御方法を提供する。また、制御回路は、効果的にチップ上の占有領域を削減したり、システム全体のコストを削減したりするために、簡単な構成要素で構成される。
【0010】
本発明の一形態に係るタッチパネルの制御回路は、検出配線の強度信号を得るためにタッチパネルの検出配線を充電する信号検出回路と、強度信号を周波数信号に変換し、周波数信号の周波数を強度信号のレベルに関連付ける強度/周波数変換ユニットと、対応する検出配線の信号量を得るために周波数信号を分析する周波数分析ユニットと、を備える。
【0011】
本発明に係る制御回路は、検出配線が第1軸方向の検出配線又は第2軸方向の検出配線である。
【0012】
本発明に係る制御回路は、信号検出回路が、検出配線の等価キャパシタを充電するために電源を供給し、強度信号を得るために内部キャパシタを充電するために等しい大きさの電源を対応するように供給する容量検出回路である。
【0013】
本発明に係る制御回路は、容量検出回路によって生成される強度信号の電圧Voutは以下の式1で求められる。
【数1】

ここで、Lは容量検出回路のトランジスタaのゲート長さ、Wはトランジスタaのゲート幅、Lは容量検出回路のトランジスタbのゲート長さ、Wはトランジスタbのゲート幅、VDDは供給電圧、Vはトランジスタの臨界電圧、Cは検出配線の等価容量の合計及び制御回路の制御基板の浮遊容量、Cは容量検出回路の内部容量である。
【0014】
本発明に係る制御回路は、容量検出回路が、容量検出回路の強度信号を安定させる緩衝増幅回路と、容量検出回路の強度信号のレベルを調整及び拡大するレベルシフタと、を含む。
【0015】
本発明に係る制御回路は、強度/周波数変換ユニットが電圧制御発振器であり、周波数分析ユニットは、周波数カウンタ又は周波数識別器である。
【0016】
本発明に係る制御回路は、第1のマルチプレクサが、検出配線を順番に選択するために、信号検出回路に電気的に接続されており、第2のマルチプレクサは、強度/周波数変換ユニットに伝送するための強度信号を順番に検出するために、信号検出回路に電気的に接続されている。
【0017】
本発明は、またタッチパネルを制御する方法を提供し、当該方法は、検出配線の強度信号を得るためにタッチパネルの検出配線を充電し、強化信号を周波数信号に変換し、周波数信号の周波数を対応する検出配線の強度信号のレベルに関連付け、対応する検出配線の信号量を得るために周波数信号を分析する。
【0018】
本発明に係るタッチパネルを制御する方法は、充電する工程において、検出配線の等価キャパシタを充電するために電源を信号検出回路によって供給し、強度信号を得るために内部キャパシタを充電するために等しい大きさの電源を対応するように供給する。
【0019】
本発明に係るタッチパネルを制御する方法は、検出配線に充電するための電源を順に伝送し、強度信号を順に伝送する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、従来の静電容量方式のタッチパネルの制御回路のブロック図である。
【図2】図2は、従来の静電容量方式のタッチパネルの制御回路の回路図である。
【図3】図3は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルのシステムのブロック図である。
【図4】図4は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルによって検出される容量変化を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明に係る容量検出回路の回路図である。
【図6】図6は、本発明に係る容量検出回路の等価回路図である。
【図7】図7は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルの容量検出回路の出力端子での電圧Voutと検出配線の容量Cとの関係を示す図である。
【図8】図8は、本発明に係る他の容量検出回路の回路図である。
【図9】図9は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルの他のシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るタッチパネルの制御回路は、信号検出回路、強度/周波数変換ユニット、周波数分析ユニット、及びマルチプレクサを含む。
【0022】
信号検出回路は、タッチパネルの第1軸方向及び第2軸方向の検出配線を充電したり、各々の検出配線の強度信号を得たりするために用いられる。強度/周波数変換ユニットは、強度信号を周波数信号に変換し、当該周波数信号の周波数を対応する強度信号に対応させる。周波数分析ユニットは、対応する検出配線の信号量を得るために周波数信号を分析し、制御回路の外側のマイクロコントローラに当該信号量を伝送する。第1のマルチプレクサは、検出配線を順番に選択するために、信号検出回路に電気的に接続されている。第2のマルチプレクサは、強度信号を順番に選択するために、信号検出回路に電気的に接続されており、強度信号を強度/周波数変換ユニットに伝送する。
【0023】
本発明に係るタッチパネルの制御回路の本質的な動作を図面に基づいて以下に述べる。
【0024】
図3は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルのシステムのブロック図である。図3において、制御回路42は、マルチプレクサ44、前述の信号検出回路として機能する容量検出回路46、マルチプレクサ48、前述の強度/周波数変換ユニットとして機能する電圧制御発振器50、及び前述の周波数分析ユニットとして機能する周波数カウンタ52を含む。マルチプレクサ44及び48は、多対一スイッチ又は複数の一対一スイッチを用いることができ、周波数識別器は、周波数分析ユニットとして用いることもできる。
【0025】
図4を参照する。指等が静電容量方式のタッチパネル40の接触点Pに接触すると、X軸及びY軸の等価キャパシタの容量変化が当該接触点P近傍で生じ、接触点Pの座標位置は、そのような変化に基づいて後端のマイクロコントローラ54によって算出される。静電容量方式のタッチパネル40の中央位置でのX軸及びY軸の検出配線によって検出される等価キャパシタの容量は最も大きく、X軸及びY軸の検出配線によって検出される等価キャパシタの容量は中央位置から離れるに従って小さくなる。
【0026】
マルチプレクサ44は、静電容量方式のタッチパネル40の各X軸及びY軸の検出配線に電気的に接続されている。マルチプレクサ44の切り替えは、タッチパネル40の各々のX軸及びY軸の検出配線によって検出される等価キャパシタの容量を順に容量検出回路46に伝送するために、制御回路42の外側のマイクロコントローラ54によって制御される。
【0027】
容量検出回路46は、マルチプレクサ44を介してX軸及びY軸の検出配線に充電電力を供給し、各々のX軸及びY軸の検出配線によって検出された等価キャパシタの容量を得る。X軸及びY軸の検出配線の一方に充電されると、容量検出回路46は、検出配線を充電した電流に基づいて、内部キャパシタを充電するための等しい充電電流を供給し、そして、本発明に係る容量検出回路の回路図である図5、及び本発明に係る容量検出回路の等価回路図である図6に示すように、充電された内部キャパシタは、両終端で強度信号である電圧を形成する。容量検出回路46の内部キャパシタCは、容量検出回路46の強度信号のレベルを調整可能な種々のキャパシタを用いることができる。
【0028】
図5において、トランジスタm3及びトランジスタm4は、例えばカレントミラーの充電/放電回路を構成し、クロックレートck1はトランジスタm1のゲートから入力され、クロックレートck2はトランジスタm2及びm5のゲートから入力される。クロックレートck1及びck2は、マイクロコントローラ54によって、トランジスタm1、m2及びm5夫々のゲートに入力される。クロックレートck1及びck2は、トランジスタm1、m2及びm5の導通及び閉鎖を制御する。本形態におけるトランジスタのタイプは、NMOS(N-channel Metal Oxide Semiconductor)、PMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)、NPN BJT(Bipolar Junction Transistor)、又はPNP BJTを用いることに制限されない。
【0029】
容量検出回路46の動作原理は、充電と放電との2つの段階を含む。クロックレートck1が低く(低ポテンシャル)、クロックレートck2が低いとき(それは充電状態)、トランジスタm1が導通し、トランジスタm2及びm5が閉鎖し、そして供給電圧VDDは、入力端子(トランジスタm1とm2との間の接続)からマルチプレクサ44を介して静電容量方式のタッチパネル40の検出配線に供給されるために、即ち検出配線の等価キャパシタを充電するために、トランジスタm3及びm1を介して通り過ぎる充電電流として機能する(回路基板の信号経路によって生成される浮遊容量(stray capacitor)を含む。)。内部キャパシタCを充電することによって生成される電圧が容量検出回路46によって得られる強度信号であり、強度信号が充電された検出配線の等価キャパシタの容量に対応するとき、トランジスタm3及びm4は、カレントミラー回路を構成するので、トランジスタm4を介して通り過ぎる電流は、トランジスタm3を介して通過する電流と等しく、内部キャパシタCを充電する。クロックレートck1が高く(高ポテンシャル)、クロックレートck2が高いとき(それは閉鎖状態)、トランジスタm1が閉鎖され、トランジスタm2及びm5は導通する。静電容量方式のタッチパネル40の検出配線に供給される電流は、入力端子からマルチプレクサ44を介してグランド端子にトランジスタm2によって放電され、充電された内部キャパシタC1は、トランジスタm5を介してグランド端子に放電される。
【0030】
式を導くことを促進するために、図5の容量検出回路46は、静電容量方式のタッチパネル40の検出配線の等価キャパシタ(回路基板の接続配線によって生成される浮遊キャパシタを含む。)である等価キャパシタCが、図6の等価回路図の単純化モデルに導入される。
【0031】
図6の等価回路に基づく推定された結果は、以下のように式(2)で示すことができる。
【数2】

ここで、μはトランジスタの電子移動度、COXはトランジスタの酸化物の厚さの誘電率の比、Wはトランジスタのゲート幅、Lはトランジスタのゲート長さ、VGSはトランジスタのゲートとソースとの間の電圧差、Vはトランジスタの臨界電圧(critical voltage)である。
【0032】
電流Iが期間tの間で静電容量方式のタッチパネル40の検出配線の等価キャパシタCを充電した後に、容量検出回路46の入力端子で生成される電圧差Vは式(3)で示すことができる。
【数3】

出力端子での電圧Voutは、容量検出回路46の回路形態に基づいて以下のように推定することができ、トランジスタの特性は式(4)で示すことができる。
【数4】

ここで、Voutは容量検出回路46の出力端子での電圧、Lはトランジスタm3のゲート長さ、Wはトランジスタm3のゲート幅、Lはトランジスタm4のゲート長さ、Wはトランジスタm4のゲート幅である。
【0033】
従って、容量検出回路46の出力端子での電圧Voutは、図7に示すように、C/Cに比例する。図7は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルの容量検出回路の出力端子での電圧Voutと、検出配線の等価容量と、の関係を示す図である。
【0034】
図7において、静電容量方式のタッチパネル40に接触した指の位置で検出配線によって検出される等価キャパシタCの容量は大きいことがわかる(例えば、図7に示す等価キャパシタCの最大容量は2.5pF)。そのため、容量検出回路46が容量を検出した後に得られる電圧Vout(即ち、強度信号)は、比較的大きい。また、検出配線によって検出される等価キャパシタCの容量は、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置から離れるに従って小さくなる(例えば、図7に示す等価キャパシタCの容量は、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置から離れるに従って小さくなり、順に2.0pF、1.5pF、及び0.5pFである。)。そのため、容量検出回路46が容量を検出した後に得られる電圧Voutは、等価キャパシタCの容量が小さくなるにつれて、ますます小さくなる。
【0035】
本発明に係る他の容量検出回路の回路図である図8に示すように、より良い回路特性を有する容量検出回路を実現するために、容量検出回路60のトランジスタm4とトランジスタm5とが接続された位置に接続され、他の負荷効果によって影響を受けないために、容量検出回路60の出力電圧Voutを安定させるために用いられ、例えば後端電圧制御発振器(VCO)50(図3を参照)のような、緩衝増幅回路(例えば、バッファー・ソースフォロワを含む。)62を有する。緩衝増幅回路62は、レベルシフタ64に接続されており、レベルシフタ64は、また例えば容量検出回路60の出力電圧Voutのレベルを調整及び増幅し、調整されて増幅された出力電圧Voutを、電圧制御発振器50のような後端回路に伝送する、プログラマブル利得増幅器を含むことができる。
【0036】
図5の容量検出回路46は、複数のNMOS、PMOS、NPNBJT、又はPNPBJTを有する回路である。従来の容量検出回路10は、パルス生成器20、積分器26及びサンプリング・ホールディング回路28を有する大きな回路であり、それに比べて、本形態の容量検出回路46は、コストが安価で、チップでの占有領域が小さく、性能に優れ、そして低い供給電圧(例えば、3V〜1.8V)をサポートすることができる。
【0037】
図3において、マルチプレクサ48は、容量検出回路46の出力端子に電気的に接続されており、容量検出回路46の出力端子での電圧(即ち、強度信号)Voutを電圧制御発振器50に伝送するために、マルチプレクサ48の切り替えがマイクロコントローラ54によって制御される。
【0038】
電圧制御発振器50は、発振する周波数が入力電圧を用いて制御される、電子発振回路である。言い換えると、高い電圧が電圧制御発振器50に入力され、高い出力周波数が電圧制御発振器50によって生成される。
【0039】
容量検出回路46の出力端子での直流電圧である電圧Voutは、マルチプレクサ48を介して電圧制御発振器50に入力される。指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した場所における検出配線によって検出される等価キャパシタCの容量は大きく、容量検出回路46が容量を検出した後に得られる電圧Voutは比較的高い。そのため、電圧Voutが高い間、電圧制御発振器50は高い出力周波数を生成する。他方、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した場所近傍における検出配線によって検出された等価キャパシタCの容量は小さく、容量検出回路46が容量を検出した後に得られる電圧Voutは比較的低い。そのため、電圧Voutが低い間、電圧制御発振器50は低い出力周波数を生成する。
【0040】
電圧制御発振器50は、生成した出力周波数を周波数カウンタ52(又は周波数識別器)に入力し、周波数カウンタ52(又は周波数識別器)は、電圧制御発振器50によって入力された出力周波数をカウントし、対応する検出配線によって検出された等価キャパシタCの容量の信号量であるカウント値を得る。
【0041】
マイクロコントローラ54は、静電容量方式のタッチパネル40の幾つかの検出配線によって検出される等価キャパシタCの容量を容量検出回路46に伝送するためにマルチプレクサ44を制御し、周波数カウンタ52(又は周波数識別器)は、電圧制御発振器50によって生成され、幾つかの検出配線によって検出される等価キャパシタCの容量に対応する出力周波数を得る。図4に示すように、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置におけるX軸及びY軸の検出配線によって検出される等価キャパシタの容量は大きく、それ故に指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置におけるX軸及びY軸の検出配線に対応する周波数カウンタ52(又は周波数識別器)によってカウントされるカウント値は大きい。他方、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置近傍のX軸及びY軸の検出配線によって検出される等価キャパシタの容量は小さく、それ故に指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置近傍におけるX軸及びY軸の検出配線に対応する周波数カウンタ52(又は周波数識別器)によってカウントされるカウント値は小さい。そのため、マイクロコントローラ54は、X軸の検出配線の等価キャパシタの容量同志及びY軸の検出配線の等価キャパシタの容量同志を、周波数カウンタ52(又は周波数識別器)から得るカウント値に基づいて比較し、比較後に、マイクロコントローラ54は、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置を判別できるように、少なくとも一つのX軸及びY軸の検出配線の等価キャパシタの容量を得る。この少なくとも一つのX軸及びY軸の検出配線の等価キャパシタの容量は、他のX軸及びY軸の検出配線の等価キャパシタの容量より高い。
【0042】
本形態に係る制御回路42は、以下の効果を有する。
a.静電容量方式のタッチパネル40への供給電圧が次第に下がった(5V、3V、1.8V、1.2V)とき、高い周波数信号で動作する制御回路42のSNRが低い供給電圧によって影響を受け難くなるように、電圧制御発振器50は低い供給電圧の状態下で高い周波数信号を生成することができる。
【0043】
b.電圧制御発振器50が高い周波数(例えば、MHz−GHzの範囲)の信号で動作することができ、電圧制御発振器50によって出力される発振した周波数は環境下でノイズ信号によって影響を受けないので、回路環境によって生成されるノイズ信号は、制御回路42のSNRを低下させない。
【0044】
c.指が静電容量方式のタッチパネル40に接触することよって検出される等価キャパシタの容量は、電圧制御発振器50によって生成される発振した周波数の広い変化範囲をもたらし、それ故に制御回路42が高いSNRを有するように、環境下のノイズ信号によって影響を受け難くなる。
【0045】
図9は、本発明に係る静電容量方式のタッチパネルの他のシステムのブロック図である。図9の静電容量方式のタッチパネルは、図3の静電容量方式のタッチパネル40と同様の効果及び構成を有し、それ故に等しい符号が用いられ、それらの説明が省略されている。図9において、制御回路70は、マルチプレクサ721、722、…、72N、容量検出回路741、742、…、74N、マルチプレクサ761、762、…、76N、電圧制御発振器781、782、…、78N、及び周波数カウンタ801、802、…、80N(周波数識別器を用いることもできる。)を含む。マルチプレクサ721、容量検出回路741、マルチプレクサ761、電圧制御発振器781、及び周波数カウンタ801は、図3の制御回路42の構成とそれぞれ等しく、等しい機能を有する。マルチプレクサ722、容量検出回路742、マルチプレクサ762、電圧制御発振器782、及び周波数カウンタ802は、図3の制御回路42の構成とそれぞれ等しく、等しい機能を有する。ここで、Nは2以上の整数であり、静電容量方式のタッチパネル40への指の接触に応じて、システム全体の処理時間を考慮して適宜決定される。
【0046】
マルチプレクサ721、722、…、72Nは、静電容量方式のタッチパネル40のX軸及びY軸の検出配線に沿って電気的に接続され、そして、X軸及びY軸の検出配線の等価キャパシタの容量に対応する強度信号を生成するために、静電容量方式のタッチパネル40のX軸及びY軸の検出配線によって検出される等価キャパシタの容量を、容量検出回路741、742、…、74Nに同時に伝送するために、マルチプレクサ721、722、…、72Nの切り替えは、制御回路70の外側のマイクロコントローラ82によって制御される。各電圧制御発振器781、782、…、78Nは、強度信号に基づいて出力周波数を生成し、そして同調して周波数カウンタ801、802、…、80N(又は周波数識別器)に出力周波数を入力する。各周波数カウンタ801、802、…、80Nは、出力周波数に基づいてカウント値を生成し、そして同調してマイクロコントローラ82にカウント値を入力する。マイクロコントローラ82は、指が静電容量方式のタッチパネル40に接触した位置を判別するためにこれらのカウント値を比較する。
【0047】
大型の静電容量方式のタッチパネル40は、多くのX軸及びY軸の検出配線を有する。
図3の回路構成を有する制御回路42が大型の静電容量方式のタッチパネル40への指の接触に反応するために用いられるとき、必然的に長い反応時間が必要である。等しい構成要素のセットを複数有する図9の制御回路70を大型の静電容量方式のタッチパネル40への指の接触の反応を同調して処理するために用いると、反応時間を飛躍的に短縮することができる。
【0048】
他の形態において、多くの回路要素によって静電容量方式のタッチパネル40の広い領域を占有することを避けるために、N個のマルチプレクサ761、762、…、76N、N個の電圧制御発振器781、782、…、78N、及びN個の周波数カウンタ801、802、…、80Nは、1つのマルチプレクサ、1つの電圧制御発振器、及び1つの周波数カウンタ(又は1つの周波数識別器)に置き換えることができる。多重処理は、N個のマルチプレクサ721、722、…、72Nと共に用いられるN個の容量検出回路741、742、…、74Nによって行われ、当該1つのマルチプレクサ及び当該1つの電圧制御発振器は、容量検出回路74Xによって出力される強度信号の時分割処理を行い(N個のマルチプレクサ721、722、…72Nを制御するためにマイクロコントローラ82によって時分割信号を生成することができる。)、当該1つの周波数カウンタ(又は当該1つの周波数識別器)は、当該1つの電圧制御発振器の出力周波数を処理し、マイクロコントローラ82にカウント値を伝送する。
【0049】
本発明に係るタッチパネルの制御回路及び制御方法は、制御回路が良好なSNRを有し、環境下で生成される、SNRを低くするノイズ信号の影響が少なく、また、制御回路は、チップの占有領域を効果的に削減するために簡単な構成要素で構成され、システム全体のコストを削減できる、効果を有する。
【0050】
本発明を望ましい形態及び実例となる図面に基づいて上述したが、それに限定されない。幾つもの変更、省略、及び改変は、本発明のスコープから逸脱しない範囲で、当業者によって上述の構成及び形態に基づいて行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
10 制御回路
12 静電容量方式のタッチパネル
20 パルス生成器
22 マルチプレクサ
26 積分器
28 サンプリング・ホールディング回路
32 アナログ−デジタル変換器
40 静電容量方式のタッチパネル
42 制御回路
44 マルチプレクサ
46 容量検出回路
48 マルチプレクサ
50 電圧制御発振器
54 マイクロコントローラ
60 容量検出回路
62 緩衝増幅回路
64 レベルシフタ
70 制御回路
82 マイクロコントローラ
721 マルチプレクサ
722 マルチプレクサ
72N マルチプレクサ
741 容量検出回路
742 容量検出回路
74N 容量検出回路
761 マルチプレクサ
762 マルチプレクサ
76N マルチプレクサ
781 電圧制御発振器
782 電圧制御発振器
78N 電圧制御発振器
801 周波数カウンタ
802 周波数カウンタ
80N 周波数カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出配線の強度信号を得るためにタッチパネルの検出配線を充電する信号検出回路と、
前記強度信号を周波数信号に変換し、前記周波数信号の周波数を前記強度信号のレベルに関連付ける強度/周波数変換ユニットと、
対応する検出配線の信号量を得るために前記周波数信号を分析する周波数分析ユニットと、
を備える、タッチパネルの制御回路。
【請求項2】
前記検出配線は、第1軸方向の検出配線又は第2軸方向の検出配線である、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記信号検出回路は、前記検出配線の等価キャパシタを充電するために電源を供給し、前記強度信号を得るために内部キャパシタを充電するために等しい大きさの電源を対応するように供給する容量検出回路である、請求項1又は2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記容量検出回路によって生成される強度信号の電圧Voutは以下の式(5)で求められる、請求項3に記載の制御回路。
【数5】

ここで、Lは前記容量検出回路のトランジスタaのゲート長さ、Wはトランジスタaのゲート幅、Lは前記容量検出回路のトランジスタbのゲート長さ、Wはトランジスタbのゲート幅、VDDは供給電圧、Vは前記トランジスタの臨界電圧、Cは検出配線の等価容量の合計及び前記制御回路の制御基板の浮遊容量、Cは前記容量検出回路の内部容量である。
【請求項5】
前記容量検出回路は、前記容量検出回路の強度信号を安定させる緩衝増幅回路と、前記容量検出回路の強度信号のレベルを調整及び拡大するレベルシフタと、を含む、請求項3又は4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記強度/周波数変換ユニットは、電圧制御発振器であり、
前記周波数分析ユニットは、周波数カウンタ又は周波数識別器である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項7】
第1のマルチプレクサは、前記検出配線を順番に選択するために、前記信号検出回路に電気的に接続されており、
第2のマルチプレクサは、前記強度/周波数変換ユニットに伝送するための前記強度信号を順番に検出するために、前記信号検出回路に電気的に接続されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項8】
検出配線の強度信号を得るためにタッチパネルの前記検出配線を充電し、
前記強化信号を周波数信号に変換し、前記周波数信号の周波数を対応する検出配線の強度信号のレベルに関連付け、
対応する検出配線の信号量を得るために前記周波数信号を分析する、タッチパネルを制御する方法。
【請求項9】
前記充電する工程において、前記検出配線の等価キャパシタを充電するために電源を信号検出回路によって供給し、前記強度信号を得るために内部キャパシタを充電するために等しい大きさの電源を対応するように供給する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検出配線に充電するための前記電源を順に伝送し、
前記強度信号を順に伝送する、請求項8又は9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54729(P2013−54729A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160313(P2012−160313)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(504272327)宸鴻光電科技股▲分▼有限公司 (30)
【氏名又は名称原語表記】TPK TOUCH SOLUTIONS INC.
【住所又は居所原語表記】6F,NO.13−18,Sec.6, Min Quan E.Rd.,Neihu Dist.,Taipei,Taiwan.
【Fターム(参考)】