説明

タッチパネルの縁部把持検知方法およびそのタッチパネルの縁部把持検知方法に関するデバイス

【課題】タッチパネルの操作精度を向上させるタッチパネルの縁部把持検知方法およびそのタッチパネルの縁部把持検知方法に関するデバイスを提供する。
【解決手段】タッチパネルは縁部領域および操作領域を備える。タッチパネルの縁部把持検知方法は、a)縁部領域の状態が変化したか否かを決定するステップ206と、b)縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除するステップ214と、c)縁部領域の状態が変化する場合に第1の縁部信号を次の標準信号として更新するステップ212と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル技術に関し、特に、タッチパネルの縁部把持検知方法およびそのタッチパネルの縁部把持検知方法を利用するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、指や互換性のある他のタッチ物体を用いてのタッチによって電子デバイス上で直接動作を実行する技術が、日々の仕事や生活において幅広く応用されている。これらの電子デバイスはタッチパネルを通常採用して、タッチ動作を検出し、後続の動作のための関連する電気信号を生成する。異なるタッチ感知原理によれば、タッチパネルは、抵抗膜方式のもの、静電容量方式のもの、光学方式のもの、電磁誘導方式のもの、超音波方式のものを含む。静電容量方式のタッチパネルの動作原理は、指やタッチペンや他の導電物体を用いてのユーザによるタッチパネルのタッチを含み、このタッチは、タッチパネル上のタッチ位置での静電容量の変化をもたらす。
【0003】
図1は、従来技術の静電容量方式のタッチパネルの構成の概略図である。図1に示されるように、タッチパネル10は、第1軸方向に沿って配置される第1軸方向電極11と、第2軸方向に沿って配置される第2軸方向電極12と、を備える。第1軸方向電極11および第2軸方向電極12は互いに絶縁されると共に互いに交差されて、格子状の電極パターンを形成する。さらに、第1軸方向電極11および第2軸方向電極12は、金属線(不図示)によってプロセッサ(不図示)に接続される。
【0004】
タッチ物体20がタッチパネル10にタッチまたは接触すると、タッチパネル10の第1軸方向電極11および第2軸方向電極12の間の静電容量(相互キャパシタンス)が変化する、あるいは、第1軸方向電極11および接地の間、または第2軸方向電極12および接地の間の静電容量(自己キャパシタンス)が変化する。
【0005】
プロセッサは、第1軸方向電極11および第2軸方向電極12をそれぞれ走査し、"タッチ前"での静電容量と"タッチ後"での静電容量における変化を比較し、横軸方向座標および縦軸方向座標を確認する。これによって、タッチ物体20の位置座標を確実に得る。図1に示されるように、タッチ物体20の位置座標(X2,Y3)は、XおよびY軸方向の感知値に基づいて決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0012835号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0174679号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したタッチパネル10が例えばiPad(登録商標)のようなタッチデバイスに統合される場合、ユーザの手の掌がタッチパネル10の縁部領域を握るようにして、縁部把持22がしばしば発生する。縁部把持22によって引き起こされる静電容量の変化は、タッチパネルの通常の動作に影響を与えることがある。図2に示されるように、プロセッサは、X、Y軸方向の静電容量の変化に基づいてタッチ物体20の通常の座標を決定することができ、縁部把持22によってもたらされる誤ったタッチ位置(Xn,Yn−1)および(Xn,Yn+1)をもまた検知することができる。このため、タッチパネル10の不正確な動作がもたらされる。
【0008】
従って、縁部把持がタッチパネルの通常動作へ影響を与えることを防止するために、縁部把持が存在する場合に通常のタッチ位置の位置座標を正確に決定することが、解決すべき問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した問題を考慮してなされたものであり、一つの目的は、タッチパネルの縁部把持検知方法およびそのタッチパネルの縁部把持検知方法を利用するデバイスを提供して、縁部領域の状態およびデータを適切に検知すると共に動的に更新させることを可能とし、さらに、タッチパネルのタッチ信号から縁部信号を削除することである。これによって、通常のタッチ信号を得ると共に縁部把持によってもたらされるタッチパネルの通常動作への影響を減少させることができる。
【0010】
タッチパネルの縁部把持検知方法は、タッチパネルが縁部領域および操作領域を備え、方法は、縁部領域の状態が変化したか否かを決定するステップと、縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除するステップと、縁部領域の状態が変化する場合に第1の縁部信号を次の標準信号として更新するステップと、を備える。
【0011】
本発明の他の一つの目的は、タッチパネルの縁部把持検知に関するデバイスを提供することである。
【0012】
タッチパネルの縁部把持検知に関するデバイスは、タッチパネルは縁部領域および操作領域を備え、縁部領域の状態が変化したか否かを決定する第1の決定部と、縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除する削除部と、を備える。
【0013】
縁部把持検知方法を採用することで、タッチパネルの検知デバイスは、縁部領域の状態およびデータを適切に検知すると共に動的に更新することができる。本発明に係る方法においては、タッチパネルの縁部領域において縁部把持が発生すると、通常のタッチ信号を得るようにタッチパネルのタッチ信号から縁部信号が削除される。縁部把持によってもたらされるタッチパネルの通常動作への影響を回避することで、通常のタッチ位置の正確な位置の決定をもたらし、これによって、タッチパネルの操作精度を向上させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タッチパネルの操作精度を向上させることができる、タッチパネルの縁部把持検知方法およびそのタッチパネルの縁部把持検知方法に関するデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術の静電容量方式のタッチパネルの構成の概略図である。
【図2】図1に示したタッチパネルを縁部把持とともに示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの構成の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部領域の状態の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部領域の状態の遷移概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部領域の状態の遷移概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部領域の状態の遷移概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部領域の状態の遷移概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部把持検知方法のフローチャートである。
【図10】縁部把持が発生した間の、タッチパネルの動作の概略図である。
【図11】縁部信号が削除された後の通常のタッチ信号が得られることを示す概略図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部把持検知デバイスの構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図を参照して説明する特定の実施の形態は例示されるものであり、本発明はこれに限定されない。
【0017】
図3に示されるように、タッチパネル100は、複数の第1軸方向電極101および複数の第2軸方向電極102を備えている。第1軸方向電極101および第2軸方向電極102は互いに交差されると共に絶縁される。タッチパネル100の操作領域は、感知に利用され、かつ、感知電極を用いて配置される。操作領域は、縁部領域Aおよび操作領域Bに分割される。
【0018】
縁部領域Aは、少なくとも1つの左方縁部領域、右方縁部領域、上方縁部領域、および下方縁部領域を備える。ここでは一例として、左方縁部領域は、左から右へと配置された電極X1、X2、およびX3に対応する領域である。また、右方縁部領域は、左から右へと配置された電極Xn−2、Xn−1、およびXnに対応する領域である。
【0019】
同様にして、上方縁部領域は、上から下へと配置された電極Y1、Y2、およびY3に対応する領域である。また、下方縁部領域は、上から下へと配置された電極Yn−2、Yn−1、およびYnに対応する領域である。縁部領域のサイズはこれに限定されず、タッチパネル100の実際のサイズに基づいて決定することができる。
【0020】
タッチパネル100の縁部領域Aは、利用の状態に基づいて異なる状態に現れる。特に、本実施の形態では、図4に示されるように、5つの状態を定義することができる。状態1:縁部領域が縁部把持を有していない(把持なし)、状態2:左方縁部領域が縁部把持を有する(X−左方)、状態3:右方縁部領域が縁部把持を有する(X−右方)、状態4:上方縁部領域が縁部把持を有する(Y−上方)、状態5:下方縁部領域が縁部把持を有する(Y−下方)。
【0021】
状態遷移は、"縁部把持を有する"状態と"縁部把持を有しない"状態との間で発生しうる。図5は、初期状態における左方縁部領域の状態、つまり、縁部把持がない状態を示す。図5から図6にかけて、状態1(把持なし)から状態2(X−左方)への遷移プロセス、つまり、縁部把持22が左方縁部領域上に現れること、を示す。反対に、図6から図5にかけて、状態2(X−左方)から状態1(把持なし)への遷移プロセス、つまり、縁部把持22がタッチパネル100を離れた場合を示す。図7は、状態2(X−左方)から状態2'(X−左方)への遷移プロセスを示し、ここで、縁部把持22は左方縁部領域上で左および右に移動する。図8は、縁部把持22が左方縁部領域上で上および下に移動することを示す。
【0022】
前述した状態および状態遷移は、状態機械が記録して監視することができる。監視に必要なパラメータは、タッチ位置情報と、対応するタッチ位置の信号強度と、を主に含む。パラメータは、静電容量の感知値として具体的に見ることができる。
【0023】
左方縁部領域(X1、X2、およびX3)および上方縁部領域(Y1、Y2、およびY3)について、状態遷移の条件を例示して説明する。右方縁部領域の状態遷移は左方縁部領域の状態遷移に類似し、さらに、下方縁部領域の状態遷移は上方縁部領域の状態遷移に類似する。そのため、それら類似する内容についてはここではさらに説明しない。
【0024】
システムが初期化されると、状態機械は状態1に位置を定める。状態1が状態2に遷移される場合、条件1が考慮される。
条件1:左方縁部領域上の第1軸方向電極の静電容量の感知値の総和(CX1+CX2+CX3)が、第2の閾値(Th2)よりも大きくなり、かつ、他の全ての第1軸方向電極の静電容量の感知値の総和(CX4+CX5+・・・+CXn)が、第3の閾値(Th3)よりも小さくなり、かつ、タッチされた第1軸方向電極の個数が左方縁部領域上の第1軸方向電極の個数と等しいかそれより少ない、つまり、タッチされた電極の個数が3以下である。条件1が満たされると、状態機械は現在の縁部領域の状態を状態2として記録する。直前の縁部領域の状態が状態1である場合、そして、状態1は状態2に遷移する。
【0025】
状態2が状態1に遷移される場合、条件2が考慮される。
条件2:タッチされた左方縁部領域上の第1軸方向電極の個数が0である。条件2が満たされると、状態機械は、現在の縁部領域の状態を状態1として決定することができる。直前の縁部領域の状態が状態2である場合、そして、状態2は状態1に遷移する。
【0026】
状態2が状態2'に遷移される場合、条件3が考慮される。
条件3:条件1が満たされるときに、左方縁部領域上の任意の第1軸方向電極(X1、または、X2、またはX3)の静電容量の値の変化(ΔCX1、または、ΔCX2、または、ΔCX3)が第4の閾値(Th4)よりも大きい(これは、左方縁部領域の状態が図7に示されるように依然として縁部把持を有していることを示し、縁部把持22が位置Cから位置Dへと移動する)。
【0027】
または、他の条件として条件3'が考慮される。
条件3':条件1が満たされるときに、任意の第2軸方向電極(Y1、または、Y2、またはY3)の静電容量の感知値(CY1、または、CY2、または、CY3)の総和の変化が、第5の閾値(Th5)よりも大きい(これは、図8に示されるように、縁部把持22が位置Cから位置Eへと移動する。)。ここで、状態機械は現在の縁部領域の状態を状態2'として記録することができる。直前の縁部領域の状態が状態2である場合、そして、状態2は状態2'に遷移する。
【0028】
状態1が状態4に遷移される場合、条件4が考慮される。
条件4:上方縁部領域上の第2軸方向電極の静電容量の感知値の総和(CY1+CY2+CY3)が、第2の閾値(Th2)よりも大きくなり、かつ、他の全ての第2軸方向電極の静電容量の感知値の総和(CY4+CY5+・・・+CYn)が、第3の閾値(Th3)よりも小さくなり、かつ、タッチされた第2軸方向電極の個数が上方縁部領域上の第2軸方向電極の個数と等しいかそれより少ない、つまり、タッチされた電極の個数が3以下である。条件4が満たされると、状態機械は現在の縁部領域の状態を状態4として記録する。直前の縁部領域の状態が状態1である場合、そして、状態1は状態4に遷移する。
【0029】
状態4が状態1に遷移される場合、条件5が考慮される。
条件5:タッチされた上方縁部領域上の第2軸方向電極の個数が0である。条件5が満たされると、状態機械は、現在の縁部領域の状態を状態1として決定することができる。直前の縁部領域の状態が状態4である場合、そして、状態4は状態1に遷移する。
【0030】
状態4が状態4'に遷移される場合、条件6が考慮される。
条件6:条件4が満たされるときに、上方縁部領域上の任意の第2軸方向電極(Y1、または、Y2、またはY3)の静電容量の値の変化(ΔCY1、または、ΔCY2、または、ΔCY3)が第4の閾値(Th4)よりも大きい(これは、上方縁部領域の状態が縁部把持を有し、かつ、縁部把持22の位置が上縁部領域上で上から下へと移動する)。
【0031】
または、他の条件として条件6'が考慮される。
条件6':条件4が満たされるときに、任意の第1軸方向電極の静電容量の感知値(CX1、または、CX2、または、CX3)の総和の変化が、第5の閾値(Th5)よりも大きい(これは、縁部把持の位置が上方縁部領域上で左右に移動する)。ここで、状態機械は現在の縁部領域の状態を状態4'として記録することができる。直前の縁部領域の状態が状態4である場合、そして、状態4は状態4'に遷移する。
【0032】
前述した縁部把持が縁部領域上で発生すると、本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部把持検知方法が採用されて、縁部信号を削除して通常のタッチ信号を得る。より具体的には、検知方法は、a)縁部領域の状態が変化したか否かを決定するステップと、b)縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除するステップと、c)縁部領域の状態が変化する場合に第1の縁部信号を次の標準信号として更新するステップと、を備える。
【0033】
図9は、本発明の実施の形態に係るタッチパネルの縁部把持検知方法のフローチャートである。縁部把持検知方法は以下のステップを含む。
【0034】
ステップ200:操作が開始されるとタッチパネルを初期化し、XおよびY軸方向の静電容量の感知値を標準信号(標準値)として記録する。例えば、図5に示されるXおよびY軸方向の静電容量の感知値が、初期化時に記録される。
【0035】
ステップ202:タッチパネルの縁部領域および操作領域を走査する。例えば、第1軸方向電極101(X1,X2・・・Xn)および第2軸方向電極(Y1,Y2・・・Yn)をそれぞれ適切な順序で走査する。タッチパネルを指がタッチした場合、関連するタッチ位置に対応する電極上の静電容量が変化する。
【0036】
ステップ204:タッチパネル上のタッチ信号を得る。タッチ信号は、第1の縁部信号、つまり、縁部把持信号を含む。特に本実施の形態では、A/D変換を利用してタッチ信号をサンプリングおよび計算することができ、XおよびY軸方向の静電容量の感知信号の波形を得る。ここでは一例として、左方縁部領域上で縁部把持22が発生すると、図6に示す信号波形グラフが得られる。
【0037】
ステップ206:ステップ204で得られた第1の縁部信号を直前の縁部領域の状態と比較することで、縁部領域の状態が変化したか否かを決定する。ここでは一例として、ステップ200で記録された標準値と第1の縁部信号を比較することで、縁部領域の状態が変化したか否かを決定する。同時に、現在の縁部領域の状態が、前述した条件1から6によって確認される。
【0038】
ステップ212:ステップ206で縁部領域の状態が変化したと決定されると、第1の縁部信号を次の標準信号として更新し、現在の縁部領域の状態を記録する。
【0039】
ステップ202、204、206、および212は、ステップ206で縁部領域の状態に変化がなくなるまでの間、連続的に実行される。縁部領域の状態が安定した後、ステップ214が実行される。ステップ214で、第1の縁部信号(つまり、縁部把持信号)がステップ204で得られたタッチ信号から削除されて、通常のタッチ信号が得られる。
【0040】
図10および図11に示されるように、ここでは一例として、左方縁部領域が握られると、操作領域に通常のタッチ物体20が現れ、ステップ202および204を経て、図10に示す信号波形を得ることができる。図11に示される操作領域の通常タッチ信号が、第1の縁部信号(つまり、縁部把持信号)を削除することで得られ、これにより、通常のタッチ物体20の位置座標を解決する。
【0041】
前述したタッチパネルの縁部把持検知方法を考慮して、ステップ206でノイズ信号を第1の縁部信号として誤判定してしまうことを防止するために、さらに以下の処理を含む。
【0042】
ステップ208:同一の縁部領域を再度走査し、第2の縁部信号を得る。ここでは一例として、ステップ206でタッチパネルの左方縁部領域が縁部把持を有すると決定されると、ステップ208は左方縁部領域上の電極(X1、X2およびX3)を再び走査し、第2の縁部信号を得る。
【0043】
ステップ210:第2の縁部信号の強度が第1の閾値(T1)より大きいか否かを決定する。第2の縁部信号の強度が第1の閾値(T1)より大きい場合、縁部領域において縁部把持が依然として存在しており、ステップ212が実行されて、縁部領域の状態を記録し、第1の縁部信号を次の標準信号として更新することが見込まれる。反対に、第2の縁部信号の強度が第1の閾値(T1)より小さいかまたは等しい場合、ステップ206での第1の縁部信号はノイズ信号であることが見込まれる。
【0044】
次に、ステップ214が実行されて、第1の縁部信号を削除する。第1の縁部信号が0であるとき、つまり、縁部把持がないとき、ステップ214で削除される値は0である。ステップ208およびステップ210は確実に連続して複数の回数実行することができ、周期的な実行の頻度は、実験値に従って設定することができる。
【0045】
第1の実施の形態において、プロセス200→202→204→206が、前述したプロセスに従って適切な順序で実行される。ステップ206において、状態1が状態2に遷移した場合、プロセス208→210→212が、連続的に実行される。ステップ212において、状態2における縁部領域の状態と状態2に対応する縁部信号の両方が記録される。縁部領域の状態が再び変化しなくなるまでの間、プロセス202→204→206が繰り返し実行され、これによって、縁部信号が削除されて、通常のタッチ信号が得られる。
【0046】
第2の実施の形態において、プロセス200→202→204→206が、前述したプロセスに従って適切な順序で実行される。ステップ206において、状態2が状態1に遷移した場合、プロセス208→210が、連続的に実行される。ステップ208での持続する走査によって縁部把持を有しない第2の縁部信号が得られるため、ステップ210で第2の縁部信号が第1の閾値(T1)よりも小さい場合、プロセスは最後まで直接ステップ214に入る。
【0047】
第3の実施の形態において、プロセス200→202→204→206が、前述したプロセスに従って適切な順序で実行される。ステップ206において、状態1が状態2に遷移した場合、プロセス208→210が、連続的に実行される。ステップ210において、状態2が状態1に再び遷移したと決定された場合、つまり、ステップ208での持続する走査によって縁部把持を有しない第2の縁部信号が得られた場合、ここで、ステップ210において第2の縁部信号は第1の閾値(T1)よりも小さく、ステップ210での決定がNoであることを意味し、ステップ214が実行される。全体のプロセスは、最後まで、200→202→204→206→208→210→214を含む。
【0048】
第4の実施の形態において、プロセス200→202→204→206が、前述したプロセスに従って適切な順序で実行される。ステップ206において、状態1が状態2に遷移した場合、プロセス208→210が、連続的に実行される。ステップ210において、状態2が状態2'に遷移したと決定された場合、つまり、ステップ208での持続する走査によって縁部把持を有する第2の縁部信号が得られた場合、ここで、ステップ210において第2の縁部信号は第1の閾値(T1)よりも大きく、ステップ210での決定がYesであることを意味し、ステップ212が連続して実行される。縁部領域の状態2が記録されて、第1の縁部信号が次の標準信号として更新される。
【0049】
プロセス200→202→204→206が連続的に実行されて、ステップ204で状態2'に対応する縁部信号が得られ、このとき、この得られた縁部信号と、直前の縁部領域の状態での縁部信号、つまり、ステップ206での状態2に対応する縁部信号と比較される。縁部領域の状態はそして、プロセス208→210→212を実行し、ここで、ステップ212で記録された縁部領域の状態は状態2'であり、かつ、状態2'に対応する縁部信号は次の標準信号として更新される。ステップ206で縁部領域の状態が再び変化しなくなるまでの間、プロセス200→202→204→206が連続的に実行され、そして、縁部信号が削除されて、通常のタッチ信号を得る。
【0050】
第5の実施の形態において、プロセス200→202→204→206が、前述したプロセスに従って適切な順序で実行される。ステップ206において、状態2が状態1に遷移したと決定された場合、プロセス208→210が、連続的に実行される。
【0051】
ステップ210において、状態2が状態1に再び遷移したと決定され、ステップ208での持続する走査によって縁部把持を有する第2の縁部信号が得られた場合、ここで、ステップ210において第2の縁部信号は第1の閾値(T1)よりも大きい。これにより、ステップ210での決定がYesであり、ステップ212が実行されて、縁部領域の状態を状態1として記録し、状態1に対応する第1の縁部信号を次の標準信号として更新する。
【0052】
ステップ204で状態2'に対応する縁部信号が得られ、この得られた縁部信号が、直前の縁部領域の状態での縁部信号、つまり、ステップ206での状態1に対応する縁部信号と比較されるために、プロセス202→204→206が再び連続的に実行される。
【0053】
縁部領域の状態が変化した場合、プロセス208→210→212が実行され、ここで、ステップ212で記録された縁部領域の状態は状態2である。状態2に対応する縁部信号は次の標準信号として更新される。
【0054】
縁部領域の状態が再び変化しないとステップ206で決定されるまでの間、プロセス200→202→204→206が連続的に実行され、そして、縁部信号が削除されて、通常のタッチ信号を得る。
【0055】
異なるサイズの指やタッチ物体に適応するために、本実施の形態の開示によって提供されるタッチパネルの縁部把持検知方法は、記録された縁部領域の縁部信号に基づく、タッチパネルの縁部領域のサイズを調整するプロセスをもまた備える。ここでは一例として、電極X1およびX2の位置において縁部把持が発生すると、左方縁部領域は、電極X1およびX2に対応するタッチパネルの位置において調整することができる。
【0056】
本実施の形態の開示によって提供される縁部把持検知方法は、自己キャパシタンス方式の検知または他の検知の原理に基づく走査検知方法を利用することができる。自己キャパシタンス方式の検知または他の検知の原理に基づく走査検知方法は、前述したタッチ信号、第1の縁部信号、第2の縁部信号または標準信号などのような、それら全てが、タッチによって生み出される自己キャパシタンス方式の感知に基づくものである。
【0057】
前述したタッチパネルの縁部把持検知方法は、本実施の形態の開示によって提供されるタッチパネルの縁部把持検知デバイスによって、実装することができる。図12に示されるように、検知デバイス110およびタッチパネル100は電気的に接続され(不図示)、検知デバイス110は、第1の決定部113、削除部114、および記憶部115を主に備えている。
【0058】
第1の決定部113は、縁部領域の状態が変化したか否かを決定する。削除部114は、縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除する。記憶部115は、縁部領域の状態が変化した場合に第1の縁部信号を次の標準信号として更新する。
【0059】
他の実施の形態では、前述した検知デバイス110は、走査部111、取得部112、および第2の決定部116をさらに備える。走査部111は、タッチパネルの第1軸方向電極101および第2軸方向電極102を走査する。走査によって得られたタッチ信号は、取得部112に出力される。タッチ信号は、第1の縁部信号をさらに含む。取得部112は、タッチ信号のA/D変換を計算し、これによって、XおよびY軸方向の静電容量の感知信号の波形を取得する。
【0060】
第1の決定部113は、取得部112によって取得された第1の縁部信号を直前の縁部領域の状態での縁部信号と比較して、縁部領域の状態が変化したか否かを決定する。第1の決定部113による具体的な決定の条件および決定方法は、前述したタッチパネルの縁部把持検知方法と本質的に同一であり、ここではその説明を省略する。第1の決定部113が縁部領域の状態が変化していないと決定したとき、削除部114は、第1の縁部信号を削除して通常のタッチ信号を取得する。第1の決定部113が縁部領域の状態が変化したと決定したとき、記憶部115は、縁部領域の状態を記録し、第1の縁部信号を次の標準信号として更新する。
【0061】
ノイズ信号を第1の縁部信号として誤判定してしまうことを回避するために、第1の決定部113による決定がYesの場合、走査部111を利用して同一の縁部領域を走査し、第2の縁部信号を得る。
【0062】
検知デバイス110は、第2の決定部116をさらに備える。第2の決定部116は、第2の縁部信号の強度が閾値より大きいか否かを決定する。第2の縁部信号の強度が第1の閾値よりも大きい場合、記憶部115は、縁部領域の状態を記録し、第1の縁部信号を次の標準信号として更新する。ここで、第2の縁部信号が第1の閾値より小さいかまたは等しい場合、削除部114は、第1の縁部信号を削除する。
【0063】
異なるサイズの指やタッチ物体に適応するために、本実施の形態の開示によって提供されるタッチパネルの縁部把持検知方法は、調整部117をさらに備える。調整部117は、記憶部115に記録された第1の縁部信号に基づいて、タッチパネル100の縁部領域のサイズを調整する。
【0064】
本実施の形態の開示によって提供されるタッチパネル100の縁部把持検知デバイス110は、自己キャパシタンス方式の検知または他の検知の原理に基づく走査検知方法を利用することができる。自己キャパシタンス方式の検知または他の検知の原理に基づく走査検知方法は、前述したタッチ信号、第1の縁部信号、第2の縁部信号または標準信号などのような、それら全てが、タッチによって生み出される自己キャパシタンス方式の感知に基づくものである。
【0065】
前述したタッチパネルの縁部把持検知方法およびデバイスは、縁部領域の状態およびデータを適切に検知し、かつ、動的に更新することができる。縁部把持がタッチパネルの縁部領域上で発生し、タッチパネルのタッチ信号から縁部信号を削除する。これによって、通常のタッチ信号を取得し、縁部把持が発生した場合においても通常のタッチ位置を正確に決定可能とする。従って、縁部把持によってもたらされるタッチパネルの通常動作における影響が回避され、タッチパネルの操作精度が向上される。
【0066】
特定の実施の形態を示して説明したが、本発明の精神および範囲を離れることなくして、これに対する種々の変更および取り換えを行ってもよい。従って、本発明は説明として説明されたものであり、限定されるものでないことが理解される。
【符号の説明】
【0067】
10 タッチパネル、
11 第1軸方向電極、
12 第2軸方向電極、
20 タッチ物体、
22 縁部把持、
100 タッチパネル、
101 第1軸方向電極、
102 第2軸方向電極、
110 検知デバイス、
111 走査部、
112 取得部、
113 第1の決定部、
114 削除部、
115 記憶部、
116 第2の決定部、
117 調整部、
A 縁部領域、
B 操作領域、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルの縁部把持検知方法であって、
前記タッチパネルは縁部領域および操作領域を備え、
a)前記縁部領域の状態が変化したか否かを決定するステップと、
b)前記縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除するステップと、
c)前記縁部領域の状態が変化する場合に前記第1の縁部信号を次の標準信号として更新するステップと、を備える、
タッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項2】
前記ステップa)は、
さらに、前記第1の縁部信号を直前の前記縁部領域の状態での縁部信号と比較し、前記縁部領域の状態が変化したか否かを決定する、
請求項1に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項3】
前記第1の縁部信号を次の標準信号として更新するに先立ち、
d)同一の前記縁部領域を再度走査して第2の縁部信号を得るステップと、
e)前記第2の縁部信号の強度が第1の閾値より大きいか否かを決定するステップと、
f)前記縁部領域の状態を記録し、前記第2の縁部信号の強度が前記第1の閾値より大きい場合に前記第1の縁部信号を次の標準信号として更新するステップと、
g)前記第2の縁信号が前記第1の閾値より小さいかまたは等しい場合に前記第1の縁部信号を削除するステップと、をさらに備える、
請求項1または2に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項4】
前記タッチパネルは、複数の第1軸方向電極および第2軸方向電極を備える、
請求項1〜3いずれか1項に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項5】
前記ステップa)は、
さらに、前記縁部領域上の前記第1軸方向電極の信号強度の総和が第2の閾値より大きいか否かを決定し、
さらに、他の領域上の前記第1軸方向電極の信号強度の総和が第3の閾値より小さいか否かを決定し、タッチされた前記第1軸方向電極の個数が、前記縁部領域上の前記第1軸方向電極の個数より少ないかまたは等しいか否かを決定する、
請求項4に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項6】
前記ステップa)は、
さらに、前記縁部領域上の任意の前記第1軸方向電極の信号強度の変化が第4の閾値より大きいか否かを決定する、または、前記縁部領域上の任意の前記第2軸方向電極の信号強度の変化が第5の閾値より大きいか否かを決定する、
請求項5に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項7】
前記ステップa)は、
さらに、前記縁部領域上のタッチされた前記第1軸方向電極またはタッチされた前記第2軸方向電極の個数が0であるか否かを決定する、
請求項4に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項8】
前記ステップa)は、
さらに、前記縁部領域上の前記第2軸方向電極の信号強度の総和が第2の閾値より大きいか否かを決定し、
さらに、他の領域上の前記第2軸方向電極の信号強度の総和が第3の閾値より小さいか否かを決定し、
さらに、タッチされた前記第1軸方向電極の個数が、前記縁部領域上の前記第1軸方向電極の個数より少ないか等しいかまたは否かを決定する、
請求項4に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項9】
前記ステップa)は、
さらに、前記縁部領域上の任意の前記第2軸方向電極の信号強度の変化が第4の閾値より大きいか否かを決定する、または、前記縁部領域上の任意の前記第1軸方向電極の信号強度の変化が第5の閾値より大きいか否かを決定する、
請求項8に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項10】
前記ステップa)に先立ち、
前記縁部領域および前記操作領域を走査し、前記タッチパネル上のタッチ信号であって、前記第1の縁部信号を含むタッチ信号を得るステップをさらに備える、
請求項1〜9いずれか1項に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項11】
前記タッチ信号および前記第1の縁部信号の両方が、タッチによって生み出される自己キャパシタンスの変化に基づくものである、
請求項10に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法。
【請求項12】
タッチパネルの縁部把持検知方法に関するデバイスであって、
前記タッチパネルは縁部領域および操作領域を備え、
前記縁部領域の状態が変化したか否かを決定する第1の決定部と、
前記縁部領域の状態が変化しない場合に第1の縁部信号を削除する削除部と、
前記縁部領域の状態が変化する場合に前記第1の縁部信号を次の標準信号として記録する記憶部と、を備える、
タッチパネルの縁部把持検知方法に関するデバイス。
【請求項13】
前記縁部領域の状態が変化する場合に、同一の前記縁部領域を再び走査して第2の縁部信号を取得する走査部と、
前記第2の縁部信号の強度が第1の閾値より大きいか否かを決定する第2の決定部と、をさらに備え、
前記第2の縁部信号の強度が前記第1の閾値よりも大きい場合、前記記憶部は、前記縁部領域の状態を記録し、前記第1の縁部信号を次の標準信号として更新し、
さらに、前記第2の縁部信号が前記第1の閾値より小さいかまたは等しい場合、前記削除部は、前記第1の縁部信号を削除する、
請求項12に記載のタッチパネルの縁部把持検知方法に関するデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−65275(P2013−65275A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109334(P2012−109334)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(509205375)宸鴻科技(廈門)有限公司 (17)
【Fターム(参考)】