説明

タッチパネルシステムおよび電子機器

【課題】多様な種類のノイズを確実に除去することのできるタッチパネルシステムを提供する。
【解決手段】タッチパネルシステム1pは、センスライン33ごとの出力信号を受信し、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分として、センスライン方向における静電容量の差分を算出する減算部41aを備える。減算部41aは、互いに隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルシステムおよびそれを備えた電子機器に関し、特に、表示装置等により発生するノイズの除去(キャンセル)を確実に効果的に行うことが可能であるタッチパネルシステムおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン等の携帯情報機器、自動券売機等の自動販売機を始めとする様々な電子機器に、タッチパネルシステムの搭載が急速に進んでいる。
【0003】
このようなタッチパネルシステムは、通常、表示装置の上部(前面)に、タッチパネルが積層された構造となっている。このため、タッチパネル上に設けられたセンサは、表示装置に発生するクロック等のノイズだけでなく、その他外来からのノイズの影響を受けやすい。このようなノイズは、タッチ操作の検出感度の低下につながる。
【0004】
特許文献1には、このようなノイズ対策が施されたタッチパネルシステム(座標入力装置)が記載されている。特許文献1のタッチパネルシステムは、ノイズを除去するために、ノイズ処理部を備えている。図19は、特許文献1のタッチパネルシステムに設けられたノイズ処理部100を示すブロック図である。図19に示すように、ノイズ処理部100は、フィルタ部101と、論理反転部102と、加算部103とを備えている。フィルタ部101は、図示しないタッチパネルに設けられたセンサからの出力信号(アナログ信号)を受信する。さらに、フィルタ部101は、その入力信号に含まれるAC信号成分を、ノイズ信号として抽出する。論理反転部102は、抽出されたノイズ信号の位相を、180度反転させる。加算部103は、フィルタ部101に入力されたノイズ信号を含む入力信号に、位相を180度反転させたノイズ信号を加算する。
【0005】
このように、特許文献1のタッチパネルシステムでは、フィルタ部101で抽出されたノイズ信号を反転し、反転された信号が、センサからの入力信号(アナログ信号)に加算される。つまり、センサからの入力信号に含まれるノイズ成分に、ノイズ成分と同レベルの反転した信号が加算される。これにより、センサからの入力信号に重畳されたノイズが相殺される。従って、センサからの入力信号に含まれるノイズの影響を低減することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−125744号公報(2001年5月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のタッチパネルシステムは、AC信号成分以外のノイズを除去することができないという問題がある。
【0008】
具体的には、上述のように、特許文献1のタッチパネルシステムは、センサからの入力信号に対し、その入力信号に含まれるAC信号成分をノイズとして扱う。このAC信号は、フィルタ部101で抽出された後、論理反転部102で位相が180度反転される。そして、加算部103では、反転された信号が、AC信号成分を含む入力信号に加算される。このように、特許文献1においては、フィルタ部101においてAC信号成分を抽出する処理が、ノイズ処理上、最も重要となる。
【0009】
しかし、特許文献1には、フィルタ部101の構成が詳細に開示されていない。このため、特許文献1のタッチパネルシステムが、どの程度ノイズを除去することができるかは不明である。また、特許文献1では、アナログ信号に含まれるAC信号成分がノイズとして扱われる。つまり、特許文献1のタッチパネルシステムでは、基本的にインパルスノイズのみを除去することが想定されており、インパルスノイズ以外のノイズが、除去対象外となっている。このため、インパルスノイズ以外の多種多様なノイズを確実にキャンセルすることができない。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様な種類のノイズを確実に除去することのできるタッチパネルシステムおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、
タッチパネルと、
上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記センスライン方向における静電容量の差分を算出し、
上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))のうち、一方のセンスライン(Sn−1)の信号との差分である第1の差分((Sn−1)−Sn)の算出、および、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分((Sn+1)−Sn)を算出することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、減算部が、互いに隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることとなる。これにより、主センサの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
【0013】
また、上記の構成によれば、タッチパネルが並列駆動され、復号部が、減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
【0014】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記センスラインから選択されたセンスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))は、上記減算部への入力を切換えるスイッチに接続されており、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnは、上記減算部に直接接続されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))は、スイッチを介して減算部に接続されているのに対し、センスラインSnは、スイッチを介さず、直接減算部に接続されている。これにより、スイッチ数を低減することができる。従って、タッチパネルシステムをLSI等に実装する際の面積の削減、および、消費電力の削減が可能となる。さらに、スイッチングノイズにも強いタッチパネルシステムを提供することができる。
【0016】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第3のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第3のAD変換部でデジタル信号を用いて算出された、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出してもよい。
【0017】
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
【0018】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第4のAD変換部を備え、
上記第4のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分をデジタル信号に変換してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0020】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する全差動増幅器を備えていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、全差動増幅器によって、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0022】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、非タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部と、タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された、非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算し、静電容量の差分分布を較正する較正部とを備える構成であってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、非タッチ操作時情報記憶部が、復号部で復号化された非タッチ操作時における静電容量の差分分布を記憶している。そして、較正部は、タッチ操作時の静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算する。つまり、較正部は、(タッチ操作時の静電容量の差分分布)−(非タッチ操作時の静電容量の差分分布)を算出する。従って、タッチパネルに内在するオフセットをキャンセルすることができる。
【0024】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部を備えることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、判定部が、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分に基づいて、タッチ操作の有無を判定する。従って、タッチ操作の有無を正確に判定することができる。
【0026】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記判定部は、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換することによって、タッチ情報を抽出することが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分が判定部に入力される。判定部は、互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、判定部に格納された正および負の閾値との比較とを用いて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成する。さらに、判定部は、その増減表を2値化することにより、増減表が2値画像に変換される。これにより、変換された2値画像には、タッチ位置候補が抽出される。従って、この2値画像に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識することにより、タッチ操作の有無に加えて、タッチ情報をより正確に認識することができる。
【0028】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、表示装置をさらに備え、上記タッチパネルは、上記表示装置の前面に設けられていることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、タッチパネルが表示装置の前面に設けられているため、表示装置に発生するノイズを確実に除去することができる。
【0030】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電解放出ディスプレイであることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、表示装置が、日常的な電子機器に多用されている各種ディスプレイから構成されている。従って、汎用性の高いタッチパネルシステムを提供することができる。
【0032】
本発明に係る電子機器は、上記の課題を解決するために、前記いずれかのタッチパネルシステムを備えることを特徴としている。
【0033】
従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明に係るタッチパネルシステムは、減算部が上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))のうち、一方のセンスライン(Sn−1)の信号との差分である第1の差分((Sn−1)−Sn)の算出、および、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分((Sn+1)−Sn)を算出する構成である。すなわち、減算部が、ノイズの相関性がより高い、互いに隣接するセンスライン間の差分信号値を取得する。これにより、主センサの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図2】図1のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のタッチパネルシステムにおける減算部で処理される信号の波形を示す図である。
【図4】本発明に係る別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図5】図4のタッチパネルシステムにおいて、副センサ群を備えないタッチパネルを示す概略図である。
【図6】図4のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図8】図7のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。
【図9】従来のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式を示す図である。
【図10】本発明のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式(直交系列駆動方式)を示す図である。
【図11】図9の駆動方式のタッチパネルによって、図10の駆動方式のタッチパネルと同等の感度を得るために必要な処理を示す図である。
【図12】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムであって、直交系列駆動方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムを示す概略図である。
【図13】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図14】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図15】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図16】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図17】図16のタッチパネルシステムにおける全差動増幅器の一例を示す回路図である。
【図18】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図19】特許文献1のタッチパネルシステムに設けられたノイズ処理部を示すブロック図である。
【図20】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図21】図20のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。
【図22】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図23】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図24】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図25】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図26】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図27】図22のタッチパネルシステムにおける判定部の基本処理を示すフローチャートである。
【図28】図27のフローチャートにおけるタッチ情報の認識方法を示す模式図である。
【図29】上記タッチパネルシステムを搭載した携帯電話機の構成を示す機能ブロック図である。
【図30】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【図31】本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0037】
〔実施の形態1〕
(1)タッチパネルシステム1の構成
図1は、本発明の実施の一形態に係るタッチパネルシステム1の基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1は、表示装置2、タッチパネル3、タッチパネルコントローラ4、およびドライブライン駆動回路5を備えており、ノイズキャンセル機能を有する。以下では、使用者が利用する側を、前面(または上方)として説明する。
【0038】
表示装置2は、図示しない表示画面(表示部)を備えている。表示画面には、操作用の各種アイコンや、使用者の操作指示に応じた文字情報等が表示される。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED;field emission display)等から構成される。これらのディスプレイは、日常的な電子機器に多用されており、汎用性の高いタッチパネルシステム1が構成される。表示装置2は、任意の構成とすればよく、特に限定されない。
【0039】
タッチパネル3は、使用者が指またはペン等により、タッチパネル3の表面をタッチ(押圧)操作することによって、各種の操作指示を入力する。タッチパネル3は、表示画面を覆うように、表示装置2の前面(上部)に積層されている。
【0040】
タッチパネル3は、同一面上(同一面内)に設けられた2つのセンサ(主センサ31,副センサ32を各1個)を備えている。主センサ31と副センサ32とは、互いに隣接して設けられている。主センサ31および副センサ32は、いずれも静電容量方式のセンサである。静電容量方式のセンサが設置されたタッチパネル3は、透過率が高く、耐久性も有するという利点を有する。
【0041】
主センサ(主センサ部)31は、タッチパネル3上のタッチ操作される領域(タッチ領域)に設けられており、使用者によるタッチパネル3のタッチ操作を検出する。タッチ操作には、ダブルクリック操作、スライド操作、シングルクリック操作、ドラッグ操作等が含まれる。主センサ31は、線状電極からなるセンスライン33を備えている。センスライン33の一端は、タッチパネルコントローラ4に接続されている。これにより、主センサ31で検出された信号は、センスライン33を介して、タッチパネルコントローラ4に出力される。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作に応じた信号が、タッチパネルコントローラ4に出力される。
【0042】
副センサ(副センサ部)32は、タッチパネル3に反映されるノイズ成分を検出する。副センサ32は、タッチパネル3上のタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている。このため、副センサ32は、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネルシステム1で発生する各種ノイズを検出する。このように、副センサ32は、主センサ31とは異なり、タッチ操作に応じた信号は検出しない。つまり、副センサ32は、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネル3に発生するノイズを検出するようになっている。
【0043】
副センサ32は、線状電極からなるサブセンスライン34を備えている。サブセンスライン34は、センスライン33に対して、平行である(センスライン33と同一方向に延びている)。サブセンスライン34の一端は、タッチパネルコントローラ4に接続されている。これにより、副センサ32で検出された信号は、サブセンスライン34を介して、タッチパネルコントローラ4に出力される。
【0044】
一方、タッチパネル3は、センスライン33およびサブセンスライン34に直交するように交差したドライブライン35を備えている。ドライブライン35は、線状電極からなるものである。センスライン33またはサブセンスライン34とドライブライン35との交差部分には、静電容量が形成されている。すなわち、センスライン33とドライブライン35との間、および、サブセンスライン34とドライブライン35との間には、それぞれ、静電容量が形成されている。ドライブライン35は、ドライブライン駆動回路(センサ駆動部)5に接続されており、ドライブライン35には、タッチパネルシステム1の起動時に、一定周期で電位が印加される。
【0045】
センスライン33、サブセンスライン34、およびドライブライン35は、いずれも、例えば、ITO(Indium Thin Oxide:酸化インジウムスズ)などの透明な配線材料から形成することができる。センスライン33、サブセンスライン34、およびドライブライン35は、タッチパネル3におけるセンサ電極であるともいえる。
【0046】
なお、ドライブライン35は、透明基板または透明フィルム(図示せず)上に設けられている。さらに、ドライブライン35は、絶縁層(図示せず)により被覆されている。この絶縁層上には、センスライン33およびサブセンスライン34が設けられている。このように、センスライン33またはサブセンスライン34と、ドライブライン35とは、絶縁層を介して互いに絶縁されると共に、容量結合している。センスライン33およびサブセンスライン34は、保護層(図示せず)により被覆されている。つまり、タッチパネル3では、保護層が、最も前面側(使用者側)に配置されている。
【0047】
タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3の主センサ31および副センサ32から入力された信号(データ)を読み取る。タッチパネルシステム1は、静電容量方式のセンサを備えているため、タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3で発生した静電容量を検出する。具体的にはタッチパネルコントローラ4は、センスライン33−ドライブライン35間の静電容量の変化、サブセンスライン34−ドライブライン35間の静電容量の変化を検出する。タッチパネルコントローラ4は、減算部41、座標検出部42、およびCPU43を備えている。
【0048】
減算部41は、主センサ31から出力された信号を受信するための入力端子(主センサ出力用の入力端子)と、副センサ32から出力された信号を受信するための入力端子(副センサ出力用の入力端子)とを備えている。減算部41は、主センサ出力用の入力端子に入力された信号から、副センサ出力用の入力端子に入力された信号を減算する。減算部41で減算処理された信号は、座標検出部42に出力される。なお、減算部41に入力される信号は、デジタル信号であっても、アナログ信号であってもよい。すなわち、減算部41への入力信号は、減算部41の構成に応じた信号であればよい。
【0049】
座標検出部42は、減算部41で減算処理された信号に基づいて、タッチ操作の有無情報を検出する。例えば、座標検出部42は、減算部41からの出力信号値が所定の閾値以上の場合、タッチ操作「有」の信号を、CPU43に出力する。なお、タッチパネルシステム1では、主センサ31が単数であるため、座標検出部42は、タッチ操作の有無情報を検出する。一方、主センサ31が複数の場合、座標検出部42は、使用者のタッチ位置の座標値も検出することになる。
【0050】
CPU43は、座標検出部42から出力された情報を一定間隔で取り込み、取り込んだ情報に応じて表示装置2に出力等を行う。
【0051】
ドライブライン駆動回路5は、ドライブライン35に接続されており、タッチパネルシステム1の起動時に、ドライブライン35に一定周期で電位を印加する。
【0052】
(2)タッチパネルシステム1のノイズ処理
タッチパネルシステム1は、タッチパネルコントローラ4で検出される静電容量の変化に基づいて、タッチ操作の有無を検出する。しかし、タッチパネル3が表示装置2の前面(使用者側)に接着されている。このため、タッチパネルシステム1は、表示装置2が発生するクロック等のノイズだけでなく、その他外来からのノイズの影響を受けやすい。その結果、タッチ操作の検出感度(座標検出部42の検出感度)が低下してしまう。
【0053】
そこで、タッチパネルシステム1は、このようなノイズを除去する対策として、副センサ32と減算部41とを備えている。図2に基づいて、タッチパネルシステム1のノイズキャンセル処理について説明する。図2は、タッチパネルシステム1の基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
【0054】
タッチパネルシステム1を起動すると、ドライブライン駆動回路5からドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3にタッチ操作を行うと、主センサ31および副センサ32の両センサが、減算部41に信号を出力する。
【0055】
ここで、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3に反映される。このため、主センサ31および副センサ32では、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、主センサ31からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、副センサ32はタッチ操作を検出しないようになっている。このため、副センサ32からの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F201)。
【0056】
タッチパネルシステム1では、主センサ31と副センサ32とが、互いに同一面内に設けられており、かつ、互いに隣接して設けられている。このため、主センサ31の出力信号に含まれるノイズ信号値と、副センサ32の出力信号に含まれるノイズ信号値とは、基本的に同じ値であるとみなすことができる。そこで、タッチパネルコントローラ4内に存在する減算部41は、主センサ31からの入力信号(信号値)から、副センサ32からの入力信号(信号値)を減算する処理を実行する(F202)。つまり、減算部41は、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとる。これにより、主センサ31からの出力信号から、ノイズ信号が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。
【0057】
このようにして減算処理された信号(タッチ操作本来の信号)は、タッチパネルコントローラ4内に存在する座標検出部42に出力される(F203)。これにより、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される。座標検出部42は、タッチ操作本来の信号処理により、タッチ操作の有無を検出する。従って、座標検出部42の検出感度(タッチ操作の有無の検出精度など)の低下を抑制することができる。
【0058】
このように、タッチパネルシステム1では、減算部41が、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとり、多様なノイズ成分が含まれるセンスライン33からの入力信号から、ノイズ成分をキャンセルする。つまり、減算部41は、センスライン33からの入力信号からノイズ信号を除去し、タッチ操作により生じた本来の信号を抽出する。従って、多様な種類のノイズを確実にキャンセルすることのできるタッチパネルシステム1を提供することができる。
【0059】
一方、タッチパネルシステム1のノイズキャンセル処理を視覚的に示すと、図3のようになる。図3は、タッチパネルシステム1における減算部41で処理される信号の波形を示す図である。図3の(a)は主センサ31からの出力信号、図3の(b)は副センサ32からの出力信号、図3の(c)は減算部41で処理された信号を示している。図3に示す各信号は、使用者がタッチ操作したときの信号である。
【0060】
タッチパネルシステム1では、使用者がタッチ操作を行うと、タッチ操作を検出する主センサ31の容量が増加する(図3の(a))。つまり、主センサ31(センスライン33)からの出力信号値が増加する。しかし、タッチ操作されたときの主センサ31からの出力信号には、タッチ操作本来の信号だけでなく、各種ノイズ(表示装置2が発生するクロック等のノイズ、外来からのノイズ)信号が加算されている。
【0061】
一方、副センサ32は、タッチ操作を検出しないため、副センサ32(サブセンスライン)の容量は、タッチ操作によっては増加しない。つまり、副センサ32からの出力信号には、タッチ操作の信号は含まれず、タッチパネル3に反映されたノイズ成分が含まれる(図3の(b))。
【0062】
減算部41は、主センサ31からの出力信号から、副センサ32からの出力信号を減算する(図3の(a)の信号値−図3の(b)の信号値)。この減算処理によって、図3の(c)のような、主センサ31からの出力信号から、副センサ32から出力されたノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が得られる。さらに、座標検出部42には、タッチ操作本来の信号が入力されるため、タッチ操作の検出精度は低下しない。
【0063】
以上のように、本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル3上の同一面内(同一面上)に、主センサ31と副センサ32とが設けられている。これにより、主センサ31および副センサ32からのいずれの出力信号にも、タッチパネル3に反映された各種ノイズ信号が含まれる。さらに、減算部41が、タッチ操作による信号とノイズ信号とを含む主センサ31からの出力信号と、ノイズ信号を含む副センサ32からの出力信号との差分をとる。これにより、主センサ31の出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3に反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
【0064】
なお、特許文献1のタッチパネルシステムにおいて、除去対象となるノイズ成分は、ノイズ成分を含む信号中のAC信号成分である。これに対し、タッチパネルシステム1においては、主センサ31および副センサ32からの出力信号に、各種ノイズ成分が含まれている。このため、タッチパネルシステム1において除去対象となるノイズ成分は、AC信号成分に限られない。従って、タッチパネルシステム1は、タッチパネル3に反映されるあらゆるノイズを全てキャンセルすることができる。
【0065】
タッチパネルシステム1において、副センサ32は、主センサ31と共に、タッチパネル3の同一面内に設けられていればよい。これにより、主センサ31および副センサ32のいずれにおいても、タッチパネル3に反映されるノイズ成分(ノイズ信号)を検出することができる。ただし、副センサ32は、タッチパネル3のタッチ操作を検出しないようになっていることが好ましい。この構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ32で検出されなくなるため、副センサ32からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部41の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
【0066】
タッチパネルシステム1のように、副センサ32がタッチパネル3上の使用者がタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている場合、タッチ操作による信号が副センサ32で検出されなくなる。このため、副センサ32は、使用者がタッチ操作することなく、タッチパネルに反映されたノイズを検出するが、タッチ操作による信号を検出しないようになっている。従って、副センサ32が、タッチ操作を検出するのを確実に回避することができる。
【0067】
副センサ32によってノイズ成分を検出する上では、副センサ32は、できる限り、主センサ31の近くに設けられていることが好ましく、主センサ31に隣接して設けられていることがより好ましい。これにより、主センサ31と副センサ32とが、ほぼ同一条件に配置される。特に、副センサ32が、主センサ31に隣接して設けられている場合、主センサ31と副センサ32とが、最も接近して配置される。このため、副センサ32からの出力信号に含まれるノイズ信号値は、主センサ31からの出力信号に含まれるノイズ信号値と同一であるとみなすことができる。これにより、減算部41による減算処理によって、タッチパネル3に反映されたノイズ成分を、より確実に除去することができる。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
【0068】
本実施形態では、静電容量方式のタッチパネル3を備えたタッチパネルシステム1について説明した。しかし、タッチパネル3の動作原理(センサの動作方式)は、静電容量方式に限定されるものではない。例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、または電磁誘導結合方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムも、同様に、ノイズキャンセル機能を発揮する。また、表示装置2の種類も問わずに、ノイズキャンセル機能を発揮する。
【0069】
本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル式の各種電子機器に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、電子フォトフレーム、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、電子ブック、家電製品(電子レンジ,洗濯機等)、券売機、ATM(Automated Teller Machine)、カーナビゲーション等を挙げることができる。これにより、タッチ操作の検出感度の低下を効果的に抑制することのできる電子機器を提供することができる。
【0070】
〔実施の形態2〕
(1)タッチパネルシステム1aの構成
図4は、本発明に係る別のタッチパネルシステム1aの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1aの基本的な構成は、実施の形態1のタッチパネルシステム1と略同様である。以下では、タッチパネルシステム1との相違点を中心に、タッチパネルシステム1aについて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0071】
タッチパネルシステム1aは、タッチパネル3aに設けられたセンサの構成が、タッチパネルシステム1と異なる。すなわち、タッチパネル3aが、複数の主センサ31からなる主センサ群31a、および、複数の副センサ32からなる副センサ群32aを備えている。タッチパネルシステム1aは、使用者によるタッチ操作の有無だけでなく、使用者のタッチ操作の位置情報(座標)も検出する。
【0072】
具体的には、タッチパネルシステム1aでは、タッチパネル3aは、タッチパネル3aの同一面上(同一面内)に、主センサ群31aと、副センサ群32aとを備えている。主センサ群31aと、副センサ群32aとは、互いに隣接して設けられている。主センサ群31aおよび副センサ群32aは、いずれも静電容量方式のセンサから構成されている。
【0073】
主センサ群(主センサ部)31aは、タッチパネル3a上のタッチ操作される領域(タッチ領域)に設けられており、使用者によるタッチパネル3aのタッチ操作を検出する。主センサ群31aは、格子状に配置された複数の主センサ31から構成されている。主センサ群31aは、L本(Lは2以上の整数)のセンスライン33を備えている。各センスライン33は、互いに平行に、かつ、等間隔に設けられている。各センスライン33上には、M個(Mは2以上の整数)の主センサ31が配置されている。
【0074】
各センスライン33の一端は、タッチパネルコントローラ4の減算部41に接続されている。これにより、主センサ31で検出された信号は、各センスライン33を介して、減算部41に出力される。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作に応じた信号が、減算部41に出力される。
【0075】
副センサ群(副センサ部)32aは、タッチパネル3aに反映されるノイズ成分を検出する。副センサ群32aは、タッチパネル3a上のタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている。このため、副センサ群32aは、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネルシステム1aで発生する各種ノイズを検出する。このように、副センサ群32aは、主センサ群31aとは異なり、タッチ操作に応じた信号は検出しないようになっている。つまり、副センサ群32aは、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサに発生するノイズを検出するようになっている。副センサ群32aは、1本のサブセンスライン34を備えている。サブセンスライン34は、各センスライン33に対して平行である(センスライン33と同一方向に延びている)。サブセンスライン34上には、M個(Mは2以上の整数)の副センサ32が配置されている。つまり、各センスライン33上に配置された主センサ31の個数と、サブセンスライン34上に配置された副センサ32の個数とは、同一である。
【0076】
サブセンスライン34の一端は、タッチパネルコントローラ4の減算部41に接続されている。これにより、副センサ群32aで検出された信号は、サブセンスライン34を介して、減算部41に出力される。
【0077】
一方、タッチパネル3aは、各センスライン33およびサブセンスライン34に直交するように交差した、M本(Mは2以上の整数)のドライブライン35を備えている。各ドライブライン35は、互いに平行に、かつ、等間隔に設けられている。各ドライブライン35上には、L個(Lは2以上の整数)の主センサ31と、1個の副センサ32とが配置されている。さらに、各センスライン33またはサブセンスライン34と、各ドライブライン35との交差部分には、静電容量が形成されている。すなわち、各センスライン33と各ドライブライン35との間、および、サブセンスライン34と各ドライブライン35との間には、それぞれ、静電容量が形成されている。ドライブライン35は、図示しないドライブライン駆動回路に接続されており、ドライブライン35には、タッチパネルシステム1aの起動時に、一定周期で電位が印加される。
【0078】
このように、タッチパネル3aでは、横方向に設けられたセンスライン33およびサブセンスライン34と、縦方向に設けられたドライブライン35とが、二次元マトリクス状に配置されている。なお、センスライン33、サブセンスライン34、ドライブライン35の本数、長さ、幅、間隔等は、タッチパネルシステム1aの用途またはタッチパネル3aのサイズ等により任意に設定することができる。
【0079】
(2)タッチパネルシステム1aのノイズ処理
タッチパネルシステム1aは、タッチパネルコントローラ4で検出される静電容量の変化に基づいて、タッチ操作の有無およびタッチされた位置を検出する。しかし、タッチパネルシステム1aにおいても、タッチパネルシステム1と同様に、各種ノイズの影響を受けやすい。このため、タッチ操作の検出感度(座標検出部の検出感度)が低下してしまう。具体的には、図5は、図4のタッチパネルシステム1aにおいて、副センサ群32aを備えないタッチパネル3bを示す概略図である。図5のように、タッチパネル3bは、主センサ群31aのみを備え、副センサ群32aを備えていない。すなわち、図5のタッチパネル3bは、ノイズ対策前の構成である。この場合、タッチパネル3bが、各種ノイズの影響を受けてしまう。従って、各センスライン33から出力された信号には、各種ノイズ成分が含まれ、タッチ操作の検出感度が低下してしまう。
【0080】
そこで、タッチパネルシステム1aでは、このようなノイズを除去する対策として、副センサ群32aと減算部41とを備えている。図6に基づいて、タッチパネルシステム1aのノイズキャンセル処理について説明する。図6は、タッチパネルシステム1aの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
【0081】
タッチパネルシステム1aを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3aにタッチ操作を行うと、主センサ群31aおよび副センサ群32aの両センサ群が、減算部41に信号を出力する。具体的には、使用者がタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定の主センサ31の容量が増加する。つまり、その主センサ31(センスライン33)からの出力信号値が増加する。タッチパネルシステム1aは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34からの出力信号を、減算部41に出力する。
【0082】
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3aに反映される。このため、主センサ群31aおよび副センサ群32aでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、主センサ群31aからの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、副センサ群32aはタッチ操作を検出しないようになっている。このため、副センサ群32aからの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F501)。
【0083】
タッチパネルシステム1aでは、主センサ群31aと副センサ群32aとが、互いに同一面内に設けられており、かつ、互いに隣接して設けられている。このため、主センサ群31aの出力信号に含まれるノイズ信号値と、副センサ群32aの出力信号であるノイズ信号値とは、基本的に同じ値であるとみなすことができる。そこで、タッチパネルコントローラ4内に存在する減算部41は、主センサ群31aからの入力信号(信号値)から、副センサ群32aからの入力信号(信号値)を減算する処理を実行する(F502)。つまり、減算部41は、各センスライン33とサブセンスライン34との差分をとる。これにより、主センサ群31aからの出力信号から、ノイズ信号が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。
【0084】
このようにして減算処理された信号は、タッチパネルコントローラ4内に存在する座標検出部42に出力される(F503)。これにより、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される。座標検出部42は、タッチ操作本来の信号処理により、タッチ操作の有無およびタッチ位置(座標)を検出する。従って、座標検出部42の検出感度(タッチ操作の有無の検出精度、タッチ位置の検出感度など)の低下を抑制することができる。
【0085】
なお、タッチパネルシステム1aでは、タッチ位置に対応する特定の主センサ31を含むセンスライン33からの出力信号が、図3の(a)のような波形を有し、副センサ群32a(サブセンスライン34)からの出力信号が、図3の(b)のような波形を有する。減算部41は、主センサ群31aからの出力信号から、副センサ群32aからの出力信号を減算する。この減算処理によって、図3の(c)のような、主センサ群31aからの出力信号から、副センサ群32aから出力されたノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が得られる。さらに、座標検出部42には、タッチ操作本来の信号が入力されるため、タッチ操作の検出精度もタッチ位置の検出精度も低下しない。このため、実際のタッチ位置と、座標検出部42で検出された検出位置とのズレを小さくすることができる。
【0086】
以上のように、タッチパネルシステム1aは、ドライブライン35を駆動しつつ、使用者がタッチ操作を行うことによる主センサ群31aの容量値の変化をセンスライン33にて読み取る。また、ノイズ成分をサブセンスライン34にて読み取る。さらに、減算部41にて、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとり、ノイズ成分を除去(キャンセル)することができる。
【0087】
タッチパネルシステム1aは、主センサ群31aが、縦方向および横方向にマトリクス状に配置された複数の主センサ31から構成されている。これにより、タッチパネルシステム1と同様の効果に加えて、座標検出部42にて、タッチされた座標を検出することができる。つまり、タッチ操作の有無と共に、タッチ位置(座標値)を検出することができる。
【0088】
タッチパネルシステム1と同様に、タッチパネルシステム1aにおいても、除去対象となるノイズ成分は、AC信号成分に限られない。従って、タッチパネルシステム1aも、タッチパネル3aに反映されるあらゆるノイズを全てキャンセルすることができる。
【0089】
〔実施の形態3〕
(1)タッチパネルシステム1bの構成
図7は、本発明に係る別のタッチパネルシステム1bの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1bの基本的な構成は、実施の形態2のタッチパネルシステム1aと略同様である。以下では、タッチパネルシステム1aとの相違点を中心に、タッチパネルシステム1bについて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1,2にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0090】
タッチパネル3bは、実施の形態2のタッチパネルシステム1aのタッチパネル3aと同様の構成である。すなわち、タッチパネル3bは、複数本(図7では5本)のドライブライン35と、各ドライブライン35に交差する複数本(図7では7本)のセンスライン33と、各ドライブライン35に直交し、センスライン33と平行な1本のサブセンスライン34とを備えている。センスライン33とドライブライン35、および、サブセンスライン34とドライブライン35とは、それぞれ互いに絶縁され、かつ、容量結合している。
【0091】
以下では、1本のサブセンスライン34と、7本のセンスライン33とからなる8本のセンス/サブセンス配列を、配列(1)〜配列(8)として区別して説明する。
【0092】
タッチパネルコントローラ4は、入力側から順に、スイッチSW、減算部41、記憶部45a〜45d、加算部46を備えている。なお、図示しないが、タッチパネルコントローラ4は、座標検出部42とCPU43も備えている(図1)。このように、タッチパネルシステム1bは、タッチパネルコントローラ4の構成が、タッチパネルシステム1,1aとは異なる。
【0093】
スイッチSWは、センスライン33またはサブセンスライン34から減算部41に入力される信号を切り替える。より詳細には、スイッチSWは、上下に2つの端子を備えており、一方の端子が選択される。図7は、スイッチSWが下側の端子を選択した状態である。
【0094】
減算部41は、スイッチSWで選択された配列(1)〜(8)の信号の差分信号処理を行う。すなわち、減算部41は、隣接するセンスライン33間の差分信号処理、および、隣接するセンスライン33とサブセンスライン34との差分信号処理を行う。例えば、図7のように、スイッチSWにより下側の端子が選択されている場合、減算部41は、配列(8)−配列(7)、配列(6)−配列(5)、配列(4)−配列(3)、および配列(2)−配列(1)の各差分信号処理を行う。一方、図示しないが、スイッチSWにより上側の端子が選択されている場合、減算部41は、配列(7)−配列(6)、配列(5)−配列(4)、および配列(3)−配列(2)の各差分信号処理を行う。
【0095】
記憶部45a〜45dは、スイッチSWにより一方の端子が選択された場合の減算部41による差分処理された信号(差分処理信号)を記憶する。記憶部45a〜45dに記憶された差分処理信号は、加算部46に出力される。なお、スイッチSWにより他方の端子が選択された場合、差分処理信号は、記憶部45a〜45dを経由せず、直接加算部46に出力される。
【0096】
加算部46は、減算部41および記憶部45a〜45dから入力される、隣接するセンスライン33の差分処理信号を加算し、加算処理した結果を出力する。また、加算部46は、記憶部45aに記憶されたサブセンスライン34とそれに隣接するセンスライン33との差分処理信号(配列(2)−配列(1))を出力する。加算部46は、最終的に、配列(2)−配列(1)、配列(3)−配列(1)、配列(4)−配列(1)、配列(5)−配列(1)、配列(6)−配列(1)、配列(7)−配列(1)、配列(8)−配列(1)の各信号を出力する。つまり、加算部46から出力される信号は、センスライン33に含まれるノイズ信号(配列(1)の信号)が除去されている。しかも、減算部41は隣接するセンスライン33間の差分信号処理を行っている。従って、ノイズ信号がより確実に除去された信号が、加算部46から出力される。
【0097】
(2)タッチパネルシステム1bのノイズ処理
図7および図8に基づいて、タッチパネルシステム1bのノイズ処理について説明する。図8は、タッチパネルシステム1bの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
【0098】
タッチパネルシステム1bを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3bにタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定のセンスライン33の容量が増加する。つまり、そのセンスライン33からの出力信号値が増加する。タッチパネルシステム1bは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34からの出力信号を、タッチパネルコントローラ4に出力する。このように、タッチパネルシステム1bは、ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34の容量変化を検出し、タッチ操作の有無およびタッチ位置を検出する。
【0099】
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3bに反映される。このため、主センサ群31aおよび副センサ群32aでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、センスライン33からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、サブセンスライン34はタッチ操作を検出しないようになっている。このため、サブセンスライン34からの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F601)。
【0100】
次に、スイッチSWにおいて、下側の端子を選択する(F602)。そして、減算部41において、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、サブセンスライン34に近い方のセンスライン(センスラインSn+1)との間の差分を取る(センスライン(Sn+1)−Sn:第1の差分)。このとき、サブセンスライン34に最も近いセンスライン33については、サブセンスライン34との差分(第3の差分)を取る(F603)。
【0101】
図7の配列(1)〜(8)の場合、減算部41は、
・配列(2)−配列(1)(この差分値をAとする)
・配列(4)−配列(3)(この差分値をCとする)
・配列(6)−配列(5)(この差分値をEとする)
・配列(8)−配列(7)(この差分値をGとする)
の4つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF603では、サブセンスライン34を含む配列(1)〜(8)の差分信号処理を行う。
【0102】
減算部41で算出された差分値A,C,E,Gは、記憶部45a〜45dに記憶される。すなわち、記憶部45aは差分値A,記憶部45bは差分値C、記憶部45cは差分値E、記憶部45dは差分値Gを、それぞれ記憶する(F604)。
【0103】
次に、下側の端子が選択されているスイッチSWを、上側の端子を選択する(閉ざす)ように切り替える(F605)。そして、減算部41において、F603と同様に処理する。すなわち、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、サブセンスライン34に遠い方のセンスライン(センスラインSn−1)との間の差分信号処理(センスラインSn−(Sn−1)):第2の差分)を行う。(F606)。
【0104】
図7の配列(1)〜(8)の場合、減算部41は、
・配列(3)−配列(2)(この差分値をBとする)
・配列(5)−配列(4)(この差分値をDとする)
・配列(7)−配列(6)(この差分値をFとする)
の3つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF606では、サブセンスライン34を含まない配列(2)〜(7)の差分信号処理を行う。
【0105】
次に、加算部46は、ステップF606で求めた差分値B,D,Fと、記憶部45a〜45dに記憶された差分値A,C,E,Gの加算処理を行う。つまり、スイッチSWにより下側の端子が選択された場合の差分値(差分値A,C,E,G)と、上側の端子が選択された場合の差分値(差分値B,D,F)とを加算する(F607)。
【0106】
図7の配列(1)〜(8)の場合、加算部46は、まず記憶部45aに記憶された差分値A(配列(2)−配列(1)信号)と、減算部41から出力された差分値B(配列(3)−配列(2)信号)を加算する。この加算処理は、
差分値A+差分値B={配列(2)−配列(1)}+{配列(3)−配列(2)}
=配列(3)−配列(1)(この差分値を差分値Hとする)
となり、配列(3)−配列(1)信号が取得できる。加算部46は、このような処理を順次進める。
【0107】
すなわち、この差分値H(配列(3)−配列(1)信号)に、記憶部45bに記憶された差分値C(配列(4)−配列(3)信号)を加算する。その結果、配列(4)−配列(1)信号(差分値I)が取得できる。
【0108】
次に、この差分値I(配列(4)−配列(1)信号)に、減算部41から出力された差分値D(配列(5)−配列(4)信号)を加算する。その結果、配列(5)−配列(1)信号(差分値J)が取得できる。
【0109】
次に、この差分値J(配列(5)−配列(1)信号)に、記憶部45cに記憶された差分値E(配列(6)−配列(5)信号)を加算する。その結果、配列(6)−配列(1)信号(差分値K)が取得できる。
【0110】
次に、この差分値K(配列(6)−配列(1)信号)に、減算部41から出力された差分値F(配列(7)−配列(6)信号)を加算する。その結果、配列(7)−配列(1)信号(差分値L)が取得できる。
【0111】
次に、この差分値L(配列(7)−配列(1)信号)に、記憶部45dに記憶された差分値G(配列(8)−配列(7)信号)を加算する。その結果、配列(8)−配列(1)信号(差分値M)が取得できる。
【0112】
なお、記憶部45aに記憶された差分値A(つまり、配列(2)−配列(1)信号)については、加算部46で加算処理をされずに出力される。
【0113】
このように、加算部46からは、
・配列(2)−配列(1)信号=差分値A
・配列(3)−配列(1)信号=差分値H
・配列(4)−配列(1)信号=差分値I
・配列(5)−配列(1)信号=差分値J
・配列(6)−配列(1)信号=差分値K
・配列(7)−配列(1)信号=差分値L
・配列(8)−配列(1)信号=差分値M
の各信号が出力される。
【0114】
図7においては、配列(2)〜配列(8)がセンスライン33であり、配列(1)がサブセンスライン34である。加算部46による加算処理の結果、配列(2)〜配列(8)の各信号から、配列(1)の信号(ノイズ信号)が除去される。このため、加算部46からの出力信号は、センスライン33の信号に含まれるノイズ信号を除去したものとなり、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。ノイズ信号が除去された加算部46の出力信号は、タッチパネルコントローラ4内の座標検出部42に出力される。つまり、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される(F608)。
【0115】
以上のように、タッチパネルシステム1bは、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることになる。さらに、各センスライン33の出力信号から、サブセンスライン34の信号(ノイズ信号)も除去される。従って、タッチパネルシステム1bは、第1、第2の実施の形態のタッチパネルシステム1,1aに比べて、より確実にノイズを除去することができる。
【0116】
また、加算部46の加算処理を、サブセンスライン34側から順に(サブセンスライン34からの距離が近い順に)行うことによって、加算処理結果を次の加算処理に利用しながら、加算処理を進め、ノイズを除去することができる。
【0117】
〔実施の形態4〕
本発明のタッチパネルシステムの駆動方法は、特に限定されるものではないが、直交系列駆動方式であることが好ましい。言い換えれば、ドライブライン35を並列駆動することが好ましい。図9は、従来のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式を示す図である。図10は、本発明のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式(直交系列駆動方式)を示す図である。
【0118】
図9は、タッチパネルから抽出した1つのセンスラインに、4つのセンサがある場合を示している。図9で示すように、従来のタッチパネルシステムは、ドライブラインの駆動に際し、駆動するドライブラインには+Vボルトを印加し、ドライブラインを逐次駆動するようになっている。
【0119】
具体的には、1回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの1回目の測定結果(X1)は、
X1=C1×V/Cint
となる。
【0120】
同様に、2回目のドライブラインの駆動は、左から2番目のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの2回目の測定結果(X2)は、
X2=C2×V/Cint
となる。
【0121】
3回目のドライブラインの駆動は、左から3番目のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの3回目の測定結果(X3)は、
X3=C3×V/Cint
となる。
【0122】
4回目のドライブラインの駆動は、最も右側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの4回目の測定結果(X4)は、
X4=C4×V/Cint
となる。
【0123】
これに対し、図10も図9と同様に、タッチパネルから抽出した1つのセンスラインに、4つのセンサがある場合を示している。図10のように、直交系列駆動方式の場合、ドライブラインの駆動に際し、全てのドライブラインに、+Vボルト、あるいは、−Vボルトを印加する。つまり、直交系列駆動方式では、ドライブラインが並列駆動される。
【0124】
具体的には、1回目のドライブラインの駆動は、全てのセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの1回目の測定結果(Y1)は、
Y1=(C1+C2+C3+C4)×V/Cint
となる。
【0125】
2回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに−Vボルト、左から3番目のセンサに+Vボルト、最も右側のセンサに−Vボルトを印加する。これにより、Voutの2回目の測定結果(Y2)は、
Y2=(C1−C2+C3−C4)×V/Cint
となる。
【0126】
3回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに+Vボルト、左から3番目のセンサに−Vボルト、最も右側のセンサに−Vボルトを印加する。これにより、Voutの3回目の測定結果(Y3)は、
Y3=(C1+C2−C3−C4)×V/Cint
となる。
【0127】
4回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに−Vボルト、左から3番目のセンサに−Vボルト、最も右側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの4回目の測定結果(Y4)は、
Y4=(C1−C2−C3+C4)×V/Cint
となる。
【0128】
図10において、容量値(C1、C2、C3、C4)の値は、出力系列(Y1、Y2、Y3、Y4)と直交符号diとの内積演算により求めることが可能である。この式が成立するのは、直交符号diの直交性のためである。ここで符号diとは、各ドライブラインに印加した正負の電圧の符号を示す。すなわち、符号d1は、最も左側のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,+1,+1,+1」となる。符号d2は、左から2番目のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,−1,+1,−1」となる。符号d3は左から3番目のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,+1,−1,−1」となる。符号d4は最も左側のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,−1,−1,+1」となる。
【0129】
C1、C2、C3、C4の値を、出力系列Y1、Y2、Y3、Y4と、符号d1、d2、d3、d4との内積演算により求めると、
C1=1×Y1+1×Y2+1×Y3+1×Y4=4C1×V/Cint
C2=1×Y1+(−1)×Y2+1×Y3+(−1)×Y4=4C2×V/Cint
C3=1×Y1+1×Y2+(−1)×Y3+(−1)×Y4=4C3×V/Cint
C4=1×Y1+(−1)×Y2+(−1)×Y3+(−1)×Y4
=4C3×V/Cint
となる。
【0130】
このように、符号diの直交性により、符号diと出力系列Yiとの内積演算によりCiが求められる。この結果を、図9に示す従来の駆動方式と比較すると、同一の駆動回数で4倍の値を検出できることとなる。図11は、図9の駆動方式のタッチパネルによって、図10の駆動方式のタッチパネルと同等の感度を得るために必要な処理を示す図である。図11のように、図9の駆動方式で、図10の駆動方式と同等の感度を得るためには、同一ドライブラインの駆動を4回繰り返し、その結果を加算する必要がある。すなわち、ドライブラインの駆動時間は、4倍となる。逆に言えば、図10に示す駆動方式によって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/4に短縮される。従って、タッチパネルシステムの省電力化が可能となる。
【0131】
図12は、このような直交系列駆動方式のタッチパネル3を備えたタッチパネルシステム1cを示す概略図である。すなわち、図12のタッチパネルシステム1cは、図10で示した4本のドライブライン、1本のセンスラインを一般化して示している。
【0132】
具体的には、タッチパネルシステム1cは、M本のドライブライン35とL本のセンスライン33(M,Lはいずれも自然数)の間に、マトリクス状に静電容量が形成されている。タッチパネルシステム1cでは、これら静電容量のマトリックスCij(i=1,...,M,j=1,...,L)に対し、+1と−1から構成される互いに直交する符号長Nの符号di=(di1,...,diN)(i=1,...,M)を用いて、+1の場合は+Vボルト、−1の場合は−VボルトになるようにM本のドライブライン35を並列に全て同時に駆動する。そして、センスライン33毎に読み出した出力系列sj=(sj1,...,sjN)(j=1,...,L)と、符号diとの内積演算di・sj=Σ(k=1,...,N)dik・sjkにより、容量値Cijを推定するようになっている。タッチパネルシステム1cは、このような内積演算を行うために、電荷積分器(演算部)47を備えている。電荷積分器47からの出力信号(Vout)の信号強度は、
Vout=Cf×Vdrive×N/Cint
によって求められる。
【0133】
出力系列sjは、
sj=(sj1,...,sjN)
=(Σ(k=1,...,M)Ckj×dk1,...,Σ(k=1,...,M)Ckj×dkN)×(Vdrive/Cint)
=(Σ(k=1,...,M)Ckj×(dk1,...,dkN)×(Vdrive/Cint)
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×dk)×(Vdrive/Cint)
となる。
【0134】
符号diと出力系列sjとの内積は、
di・sj=di・(Σ(k=1,...,M)(Ckj×dk)×(Vdrive/Cint))
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×di・dk)×(Vdrive/Cint)
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×N×δik)×(Vdrive/Cint) [δik=1 if i=k, 0 if else]
=Cij×N×(Vdrive/Cint)
となる。
【0135】
このように、タッチパネルシステム1cによれば、直交系列駆動方式によりタッチパネル3を駆動する。このため、符号diと出力系列sjとの内積を算出することにより、容量Cijの信号がN(符号長)倍されて求まると一般化される。この駆動方式による効果は、ドライブライン35の本数Mに依存せず、キャパシタの信号強度はN倍になる。また、逆に言えば、直交系列駆動方式を採用することによって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブラインの駆動回数を減らすことができる。従って、タッチパネルシステム1cの省電力化が可能となる。
【0136】
すなわち、図9に示すように、タッチパネルを逐次駆動する場合、ドライブライン数が多い場合、タッチパネルに必要な感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が長くなる。その結果、タッチパネルの応答時間が遅くなる。これに対し、本実施形態のタッチパネルシステム1cのように、タッチパネルを並列駆動する場合、ドライブラインの駆動回数を減らす(駆動時間を短縮する)ことができる。このため、たとえドライブラインが多くても、タッチパネルの応答時間を速くすることもできる。
【0137】
〔実施の形態5〕
図13は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1dの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1dは、上述した図7で示されるノイズキャンセル機能付きタッチパネルシステム1bに対し、図10,図12で示されるタッチパネルシステム1cにおけるドライブライン35の直交系列駆動方式を適用したものである。タッチパネルシステム1dの動作については、上述したタッチパネルシステム1b,1cと同様であるため、説明を省略する。
【0138】
タッチパネルシステム1dによれば、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることになる。さらに、各センスライン33の出力信号から、サブセンスライン34の信号(ノイズ信号)も除去される。従って、タッチパネルシステム1dは、第1、第2の実施の形態のタッチパネルシステム1,1aに比べて、より確実にノイズを除去することができる。さらに、容量Cijの信号が、N(符号長)倍されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、キャパシタの信号強度がN倍になる。また、直交系列駆動方式を採用することによって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブラインの駆動回数を減らすことができる。従って、タッチパネルシステム1dの省電力化が可能となる。
【0139】
〔実施の形態6〕
図14は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1eの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1eは、減算部41の構成が異なる。
【0140】
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、AD変換部(第1のAD変換部)48とデジタル減算器(図示せず)とを備えている。
【0141】
これにより、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)は、減算部41のAD変換部48にて、デジタル信号に変換される。デジタル減算器は、変換されたデジタル信号を用いて、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。
【0142】
このように、タッチパネルシステム1eは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
【0143】
〔実施の形態7〕
図15は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1fの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1fは、減算部41の構成が異なる。
【0144】
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、差動増幅器49とAD変換部48とを備えている。
【0145】
これにより、差動増幅器49は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48(第2のAD変換部)は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0146】
このように、タッチパネルシステム1fは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0147】
〔実施の形態8〕
図16は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1gの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1gは、減算部41の構成が異なる。タッチパネルシステム1gは、図15のタッチパネルシステム1fにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
【0148】
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、全差動増幅器50とAD変換部48とを備えている。
【0149】
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0150】
図17は、全差動増幅器50の一例を示す回路図である。全差動増幅器50は、差動増幅器に対称に、2対の静電容量およびスイッチが配置されている。具体的には、非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)とには、隣接するセンスライン33からの信号が入力される。差動増幅器の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)との間、および、差動増幅器の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)の間には、同じ容量(フィードバック容量)が接続されている。さらに、反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)との間、および、非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)のと間には、それぞれスイッチが接続されている。
【0151】
このように、タッチパネルシステム1gは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0152】
〔実施の形態9〕
図18は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1hの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1hは、減算部41の構成及びタッチパネル3bの駆動方式が異なる。タッチパネルシステム1hは、図15のタッチパネルシステム1fにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
【0153】
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、全差動増幅器50とAD変換部48とを備えている。
【0154】
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0155】
さらに、タッチパネルシステム1hにおいて、タッチパネル3bの駆動方式として、図10,図12,図13で示す直交系列駆動方式を適用している。この場合、図10に示すように、4本のドライブラインを駆動する電圧は、2回目〜4回目の場合は+Vの印加と−Vの印加が同数の2回であるのに対し、1回目の場合は+Vの印加が4回となっている。このため、1回目の出力系列Y1の出力値が、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値と比して大きくなる。このため、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値に、ダイナミックレンジを合わせると、1回目の出力系列Y1が飽和してしまうことになる。
【0156】
そこで、タッチパネルシステム1hの減算部41は、全差動増幅器50を備えている。さらに、全差動増幅器50は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するものを採用している。つまり、この全差動増幅器50は、コモンモード入力レンジが広い。これにより、全差動増幅器50が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。また、全差動増幅器50への入力信号の差分が増幅される。従って、どのような直交系列駆動方式のタッチパネル3bを組み合わせても、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。なお、全差動増幅器50の一例は、上述した図17の通りである。
【0157】
このように、タッチパネルシステム1hは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。さらに、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器50を備えているため、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
【0158】
〔実施の形態10〕
実施の形態1〜9では、副センサ32(サブセンスライン34)を備えたタッチパネルシステムについて説明した。しかし、本発明のタッチパネルシステムにおいて、副センサ32は、必須の構成ではない。本実施形態では、副センサ32を備えていないタッチパネルシステムについて説明する。
【0159】
図20は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1iの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1iは、互いに隣接するセンスライン33の差分信号を算出する減算部41aを備えている。
【0160】
より具体的には、タッチパネル3cは、複数本(図20では5本)のドライブライン35と、各ドライブライン35に交差する複数本(図20では8本)のセンスライン33とを備えている。センスライン33とドライブライン35とは、それぞれ互いに絶縁され、かつ、容量結合している。
【0161】
タッチパネルコントローラ4は、入力側から順に、スイッチSW、減算部41a、記憶部45a〜45dを備えている。なお、図示しないが、タッチパネルコントローラ4は、座標検出部42とCPU43も備えている(図1参照)。
【0162】
減算部41aは、主センサ31から出力された信号を受信するための入力端子(主センサ出力用の入力端子)を備えている。減算部41aは、主センサ31からの信号を受信し、互いに隣接するセンスライン33の信号を減算し、差分値(差分信号)を算出する。減算部41aで減算処理された信号は、座標検出部42(図1参照)に出力される。
【0163】
このように、タッチパネルシステム1iは、副センサ32(サブセンスライン34)を備えない点、および、減算部41aの処理が、上述の実施形態のタッチパネルシステムと異なる。
【0164】
スイッチSWは、センスライン33から減算部41aに入力される信号を切り替える。より詳細には、スイッチSWは、上下に2つの端子を備えており、一方の端子が選択される。図20は、スイッチSWが下側の端子を選択した状態である。
【0165】
減算部41aは、スイッチSWで選択された配列(1)〜(8)の信号の差分信号処理を行う。すなわち、減算部41aは、隣接するセンスライン33間の差分信号処理を行う。例えば、図20のように、スイッチSWにより下側の端子が選択されている場合、減算部41aは、配列(8)−配列(7)、配列(6)−配列(5)、配列(4)−配列(3)、および配列2)−配列(1)の各差分信号処理を行う。一方、図示しないが、スイッチSWにより上側の端子が選択されている場合、減算部41aは、配列(7)−配列(6)、配列(5)−配列(4)、および配列(3)−配列(2)の各差分信号処理を行う。
【0166】
記憶部45a〜45dは、スイッチSWにより一方の端子が選択された場合の減算部41aによる差分処理された信号(差分処理信号)を記憶する。なお、スイッチSWにより他方の端子が選択された場合、差分処理信号は、記憶部45a〜45dを経由せず、直接出力される。
【0167】
(2)タッチパネルシステム1iのノイズ処理
図20および図21に基づいて、タッチパネルシステム1iのノイズ処理について説明する。図21は、タッチパネルシステム1iの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
【0168】
タッチパネルシステム1iを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3cにタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定のセンスライン33の容量が変化する。つまり、そのセンスライン33からの出力信号値が変化する。タッチパネルシステム1iは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33からの出力信号を、タッチパネルコントローラ4に出力する。このように、タッチパネルシステム1iは、ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33の容量変化を検出し、タッチ操作の有無およびタッチ位置を検出する。
【0169】
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3cに反映される。このため、主センサ群31bでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、センスライン33からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている(F701)。
次に、スイッチSWにおいて、下側の端子を選択する(F702)。そして、減算部41aにおいて、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、一方のセンスライン(センスラインSn+1)との間の差分を取る(センスライン(Sn+1)−Sn:第1の差分)(F703)。
【0170】
図20の配列(1)〜(8)の場合、減算部41aは、
・配列(2)−配列(1)(この差分値をAとする)
・配列(4)−配列(3)(この差分値をCとする)
・配列(6)−配列(5)(この差分値をEとする)
・配列(8)−配列(7)(この差分値をGとする)
の4つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF703では、センスライン33における配列(1)〜(8)の差分信号処理を行う。
【0171】
減算部41aで算出された差分値A,C,E,Gは、記憶部45a〜45dに記憶される。すなわち、記憶部45aは差分値A,記憶部45bは差分値C、記憶部45cは差分値E、記憶部45dは差分値Gを、それぞれ記憶する(F704)。
【0172】
次に、下側の端子が選択されているスイッチSWを、上側の端子を選択する(閉ざす)ように切り替える(F705)。そして、減算部41aにおいて、F703と同様に処理する。すなわち、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、他方のセンスライン(センスラインSn−1)との間の差分信号処理(センスラインSn−(Sn−1)):第2の差分)を行う。(F706)。
図20の配列(1)〜(8)の場合、減算部41aは、
・配列(3)−配列(2)(この差分値をBとする)
・配列(5)−配列(4)(この差分値をDとする)
・配列(7)−配列(6)(この差分値をFとする)
の3つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF706では、配列(2)〜(7)の差分信号処理を行う。
【0173】
以上のように、タッチパネルシステム1iは、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることとなる。すなわち、主センサ群31aの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3cに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
【0174】
〔実施の形態11〕
図22は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1jの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1jは、上述した図20で示されるノイズキャンセル機能付きタッチパネルシステム1iに対し、ドライブライン35を並列駆動するドライブライン駆動回路(図示せず)を適用したものである。さらに、タッチパネルシステム1jは、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部58と、非タッチ操作時に復号部58で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部61と、タッチ操作時に復号部58で復号化された静電容量の差分分布を較正する較正部62とを備えている。タッチパネルシステム1jの動作については、上述したタッチパネルシステム1iと同様であるため、説明を省略する。そこで、以下では、減算部41a、復号部58、非タッチ操作時情報記憶部61、および較正部62での処理を中心に説明する。また、以下では、並列駆動のための符号列として、直交系列またはM系列を用いる例について説明する。
【0175】
具体的には、ドライブラインの1番目からM番目までを並列駆動する符号系列(成分は1または−1)を、
= (d11,d12,・・・,d1N
= (d21,d22,・・・,d2N



= (dM1,dM2,・・・,dMN
とする。以下のこの系列を、直交系列、あるいは、符号長N(=2^n−1)のM系列をシフトした系列とする。このような系列では、以下の式が成立するという性質を有する。
【0176】
【数1】

【0177】
この系列に対応するセンスライン33の差分出力系列「Sj, P(j=1,..,[L/2], P=1,2)(Lはセンスライン33の数、[n]=nの整数部分)」を、
j,1:スイッチSWが下側の時のd〜 dに対する出力系列
j,2:スイッチSWが上側の時のd〜 dに対する出力系列
と定義する。
【0178】
また、センスライン33方向の容量値の差分分布「(∂sC)kj,P(k=1,…,M, j=1,..,[L/2], P=1, 2)」を、
(∂sC)kj,1=Ck,2j− Ck,2j−1
(∂sC)kj,2=Ck,2j+1− Ck,2j
と定義する。
【0179】
この場合、並列駆動による容量のセンスライン方向の差分出力は、以下の式のようになる。
【0180】
【数2】

【0181】
復号部58は、減算部41aで算出された静電容量の差分値(つまりセンスライン33方向の容量値の差分分布)を復号化する。具体的には、ドライブライン33を並列駆動する符号系列と、センスライン33方向の容量値の差分分布との内積を演算する。従って、復号部58による復号後の内積値は、以下の式のようになる。
【0182】
【数3】

【0183】
このように、復号部58では、復号後の内積値d・sj,P の主成分として、センスライン33方向の容量値の差分分布(∂sC)kj,PがN倍され算出される。従って、内積値d・sj,P を、センスライン33方向の容量値の差分分布(∂sC)ij,Pの推定値とすることにより、その容量値の信号強度をN倍(符号長倍)にした読み出しが可能になる。
【0184】
一方、上述のように、センスライン33の差分出力系列Sj,P(P=1,2)を定義することによって、隣り合うセンスライン33に共通に重畳されるコモンモードノイズは、キャンセルされる。従って、SNRが高い差分容量の読み出しが可能となる。
【0185】
以上のように、タッチパネルシステム1jによれば、タッチパネル3cが並列駆動され、復号部58が、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、図9に示す従来の駆動方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブライン35の駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブライン35の駆動回数を減らすことができる。従ってタッチパネルシステム1jの省電力化が可能となる。
【0186】
また、タッチパネルシステム1jにおいて、較正部62が、タッチ操作時に算出された互いに隣接するセンスライン33の差分(すなわち、タッチパネル3c全体における差分値の分布)から、非タッチ操作時に算出された互いに隣接するセンスライン33の差分(=タッチパネル全体における差分値の分布)を減算することが好ましい。すなわち、上述のような差分信号処理を、タッチ操作前後で行うと共に、タッチ操作前後の差分値信号を減算することが好ましい。例えば、タッチ操作の無い初期状態(非タッチ操作時)の差分分布(∂sC)kj,Pの推定値を非タッチ操作時情報記憶部61に記憶しておく。そして、較正部62が、タッチ操作時の差分分布(∂sC)kjの推定値から、非タッチ操作時情報記憶部61に記憶された非タッチ操作時の差分分布(∂sC)kj,Pの推定値を差し引く。このように、較正部62は、タッチ操作時の静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部61に記憶された非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算する(タッチ操作時の差分値信号−非タッチ操作時の差分値信号)。従って、タッチパネル3cに内在するオフセットをキャンセルすることができる。
【0187】
このように、タッチパネルシステム1jでは、タッチパネル3cに内在する容量バラツキに起因する差成分は無くなり、タッチ操作に起因する差成分のみが検出される。M系列の場合は、直交系列では入らない誤差成分(δi j =-1/N if else i≠j)の混入がある。しかし、この誤差成分はタッチ操作に起因するものだけになるため、N=63または127のようにNを大きくすれば、SNRの劣化は少ない。
【0188】
〔実施の形態12〕
図23は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1kの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1kは、減算部41aの構成が異なる。
【0189】
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、AD変換部(第3のAD変換部)48aとデジタル減算器(図示せず)とを備えている。
【0190】
これにより、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)は、減算部41aのAD変換部48aにて、デジタル信号に変換される。デジタル減算器は、変換されたデジタル信号を用いて、図20のタッチパネルシステム1i,1jと同様に減算処理を行う。
【0191】
このように、タッチパネルシステム1kは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
【0192】
〔実施の形態13〕
図24は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1mの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1mは、減算部41aの構成が異なる。
【0193】
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、差動増幅器49とAD変換部48a(第4のAD変換部)とを備えている。
【0194】
これにより、差動増幅器49は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0195】
このように、タッチパネルシステム1mは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0196】
〔実施の形態13A〕
図30は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1pの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1pは、図24のタッチパネルシステム1mと比べて、スイッチSWの構成が異なる。すなわち、図30のタッチパネルシステム1pにおいては、スイッチSWの接続を工夫することにより、図24のタッチパネルシステム1mよりもスイッチSW数が低減されている。
【0197】
具体的には、図24のタッチパネルシステム1mにおいては、全てのセンスライン33が、各々スイッチSWに接続されている。つまり、センス配列(配列(1)〜配列(8))が、スイッチSWを介して、減算部41a(差動増幅器49)に接続されている。そして、スイッチSWによって、配列(1)〜配列(8)の減算部41aへの接続状態(オンまたはオフ)が切換えられる。言い換えれば、タッチパネルシステム1mにおいては、各差動増幅器49に対して、差動増幅器49の図中下側の入力には、センスラインSnおよびセンスライン(Sn−1)からの入力がスイッチSWを介して接続され、差動増幅器49の図中上側の入力には、センスライン(Sn+1)およびセンスラインSnからの入力がスイッチSWを介して接続されているといえる。例えば、配列(6)をセンスラインSnとした場合、配列(6)と配列(7)とが、スイッチSWを介して、差動増幅器49の図中上側の入力に接続され、配列(6)と配列(5)とが、スイッチSWを介して、差動増幅器49の図中上側の入力に接続されるようになっている。
【0198】
これに対し、図30のタッチパネルシステム1pにおいては、一部のセンスライン33は、スイッチSWに接続されるのに対し、残りの一部のセンスライン33は、スイッチSWを介さず、直接減算部41a(差動増幅器49)に接続されている。つまり、図30では、奇数のセンス配列(配列(1),配列(3),配列(5),配列(7),配列(9))は、スイッチSWに接続されている。これに対し、偶数のセンス配列(配列(2),配列(4),配列(6),配列(8))は、スイッチSWを介さず、直接減算部41a(差動増幅器49)に接続されている。言い換えれば、タッチパネルシステム1pにおいては、各差動増幅器49に対して、差動増幅器49の図中下側の入力には、センスライン(Sn+1)とセンスライン(Sn−1)からの入力が、スイッチSWを介して接続され、差動増幅器49の図中上側の入力には、センスラインSnからの入力が、スイッチSWを介さずに直接、差動増幅器49に接続されている。例えば、配列(6)をセンスラインSnとした場合、配列(7)と配列(5)とが、スイッチSWを介して、差動増幅器49の図中下側の入力に接続され、配列(6)が、スイッチSWを介さずに直接、差動増幅器49の図中上側の入力に接続されるようになっている。
【0199】
以上のように、タッチパネルシステム1pでは、センスライン33(センスラインSn)に隣接する2つのセンスライン33(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))は、スイッチSWを介して減算部41aに接続されているのに対し、センスライン33(センスラインSn)は、スイッチSWを介さず、直接減算部41a(差動増幅器49)に接続されている。これにより、タッチパネルシステム1mに比べて、スイッチSWの数を低減することができる。従って、タッチパネルシステム1pをLSI等に実装する際の面積の削減、および、消費電力の削減が可能となる。さらに、スイッチングノイズにも強いタッチパネルシステム1pを提供することができる。
【0200】
なお、上述のように、図24のタッチパネルシステム1mと、図30のタッチパネルシステム1pとは、スイッチSWの構成が異なる。しかし、いずれのタッチパネルシステム1m,1pも、隣接するセンスライン33の差分を算出することには変わりは無い。すなわち、図24においても、図追加1においても、センスラインSnと(Sn−1)の差分と、(Sn+1)とSnの差分を算出している。すなわち、減算部41aが、互いに隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることとなる。これにより、主センサ群31bの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3cに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
【0201】
また、タッチパネルシステム1pでは、図22のタッチパネルシステム1jと同様に、タッチパネル3cが並列駆動され、復号部58が、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化することが好ましい。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブライン33の駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。言い換えれば、タッチパネル3cを並列駆動する場合、従来のようにタッチパネルを逐次駆動する場合に比べて、ドライブライン35の駆動回数を減らす(駆動時間を短縮する)ことができる。このため、たとえドライブライン35が多くても、タッチパネル3cの応答時間を速くすることもできる。
【0202】
なお、図30のタッチパネルシステム1pに示すスイッチSWの構成については、図31に示すタッチパネルシステム1qのスイッチSWの構成であっても良い。図31は、タッチパネルシステム1pの変形例を示すタッチパネルシステム1qの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1qでは、センスライン33の差動増幅器49への接続状態が、タッチパネルシステム1pとは逆になっている。すなわち、タッチパネルシステム1qにおいては、各差動増幅器49に対して、差動増幅器49の図中下側の入力には、センスラインSnからの入力が、スイッチSWを介さずに直接接続され、差動増幅器49の図中上側の入力には、センスライン(Sn+1)とセンスライン(Sn−1)からの入力が、スイッチSWを介して接続されている。例えば、配列(6)をセンスラインSnとした場合、配列(7)と配列(5)とが、スイッチSWを介して、差動増幅器49の図中上側の入力に接続され、配列(6)が、スイッチSWを介さずに直接、差動増幅器49の図中下側の入力に接続されるようになっている。このようなタッチパネルシステム1qであっても、タッチパネルシステム1pと同様の効果が得られる。
【0203】
〔実施の形態14〕
図25は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1nの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1nは、減算部41aの構成が異なる。タッチパネルシステム1nは、図24のタッチパネルシステム1mにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
【0204】
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、全差動増幅器50とAD変換部48aとを備えている。
【0205】
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0206】
このように、タッチパネルシステム1nは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0207】
〔実施の形態15〕
図26は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1oの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1oは、減算部41aの構成が異なる。タッチパネルシステム1oは、図26のタッチパネルシステム1mにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
【0208】
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、全差動増幅器50とAD変換部48aとを備えている。
【0209】
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0210】
さらに、タッチパネルシステム1oにおいて、タッチパネル3cの駆動方式として、図10,図12,図22で示す直交系列駆動方式を適用している。この場合、図10に示すように、4本のドライブラインを駆動する電圧は、2回目〜4回目の場合は+Vの印加と−Vの印加が同数の2回であるのに対し、1回目の場合は+Vの印加が4回となっている。このため、1回目の出力系列Y1の出力値が、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値と比して大きくなる。このため、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値に、ダイナミックレンジを合わせると、1回目の出力系列Y1が飽和してしまうことになる。
【0211】
そこで、タッチパネルシステム1oの減算部41aは、全差動増幅器50を備えている。
【0212】
さらに、全差動増幅器50は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するものを採用している。つまり、この全差動増幅器50は、コモンモード入力レンジが広い。これにより、全差動増幅器50が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。また、全差動増幅器50への入力信号の差分が増幅される。従って、どのような直交系列駆動方式のタッチパネル3cを組み合わせても、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。なお、全差動増幅器50の一例は、上述した図17の通りである。
【0213】
このように、タッチパネルシステム1oは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。さらに、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器50を備えているため、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
【0214】
〔実施の形態16〕
次に、上述の実施形態に係るタッチパネルシステムによるタッチ操作の認識方法について説明する。以下では、図22のタッチパネルシステムテム1jを例に説明するが、他の実施形態のタッチパネルシステムテムについても同様である。タッチパネルシステム1jは、減算部41aおよび復号部58で算出された互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部59を備えている。なお、判定部59には、較正部62で較正処理された信号(静電容量の差分分布)、または、較正部62で較正処理されていない信号(静電容量の差分分布)が入力される。較正部62で較正処理されていない信号が、判定部59に入力される場合、復号部58で復号化された静電容量の差分分布が、判定部59に直接入力されることになる。以下では、較正部62で較正処理されていない信号が、判定部59に入力される場合について説明する。しかし、較正処理された信号が、判定部59に入力される場合も同様である。
【0215】
図27は、図22のタッチパネルシステム1jにおける判定部59の基本処理を示すフローチャートである。図28は、図27のフローチャートにおけるタッチ情報の認識方法を示す模式図である。
【0216】
図27のように、判定部59は、まず、減算部41aおよび復号部59で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分値(差分情報)「(∂sC)ij,P」を取得する(F801)。次に、この差分値を、判定部59に格納された正の閾値THpおよび負の閾値THmと比較し、増減表を作成する(F802)。この増減表は、例えば、図28の(a)に示すような、3値化された増減表である。
【0217】
次に、3値化された増減表を2値画像に変換(2値化)する(F803)。例えば、図28の(a)の増減表において、センスラインS1〜センスラインS7の順(図中右向き)にスキャンする場合、増減表に「+」が出たら次の「−」がでるまですべて「1」、「−」がでたらスキャン方向と逆方向(図中左向き)に遡って全て「1」に変換する。これにより、図28の(b)に示すような2値化されたデータが得られる。
【0218】
次に、2値化されたデータからタッチ情報を抽出するため、連結成分を抽出する(F804)。例えば、図28の(b)において、隣り合うドライブライン上で、同じセンスライン位置に「1」が重なった場合は、同一の連結成分であるとみなし、タッチ位置候補とする。すなわち、図28の(c)において、枠で囲った「1」は同一の連結成分であるとみなし、タッチ位置候補として抽出する。
【0219】
最後に、抽出されたタッチ位置候補に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識する(F805)。
【0220】
このように、判定部59は、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分に基づいて、タッチ操作の有無を判定する。従って、タッチ操作の有無を正確に判定することができる。
【0221】
さらに、上述の例では、判定部59が、減算部41aで算出された互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、正および負の閾値(THp,THm)との比較に基づいて、各センスライン33の信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換する。すなわち、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分が判定部59に入力される。判定部59は、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、判定部59に格納された正および負の閾値(THp,THm)との比較とを用いて、各センスライン33の信号の差分分布を3値化した増減表を作成する。さらに、判定部59は、その増減表を2値化することにより、増減表が2値画像に変換される。これにより、変換された2値画像には、タッチ位置候補が抽出される。従って、この2値画像に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識することにより、タッチ操作の有無に加えて、タッチ情報をより正確に認識することができる。
【0222】
〔実施の形態17〕
図29は、タッチパネルシステム1を搭載した携帯電話機10の構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機(電子機器)10は、CPU51と、RAM53と、ROM52と、カメラ54と、マイクロフォン55と、スピーカ56と、操作キー57と、タッチパネルシステム1とを備えている。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
【0223】
CPU51は、携帯電話機10の動作を制御する。CPU51は、たとえばROM52に格納されたプログラムを実行する。操作キー57は、携帯電話機10のユーザによる指示の入力を受ける。RAM53は、CPU51によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー57を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM52は、データを不揮発的に格納する。
【0224】
また、ROM52は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの書込みおよび消去が可能なROMである。なお、図20には示していないが、携帯電話機10が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
【0225】
カメラ54は、ユーザの操作キー57の操作に応じて、被写体を撮影する。なお、撮影された被写体の画像データは、RAM53や外部メモリ(たとえば、メモリカード)に格納される。マイクロフォン55は、ユーザの音声の入力を受付ける。携帯電話機10は、当該入力された音声(アナログデータ)をデジタル化する。そして、携帯電話機10は、通信相手(たとえば、他の携帯電話機)にデジタル化した音声を送る。スピーカ56は、たとえば、RAM53に記憶された音楽データなどに基づく音を出力する。
【0226】
タッチパネルシステム1は、タッチパネル3とタッチパネルコントローラ4とドライブライン駆動回路5と表示装置2とを有している。CPU51は、タッチパネルシステム1の動作を制御する。CPU51は、例えばROM52に記憶されたプログラムを実行する。RAM53は、CPU51によるプログラムの実行により生成されたデータを揮発的に格納する。ROM52は、データを不揮発的に格納する。
【0227】
表示装置2は、ROM52、RAM53に格納されている画像を表示する。表示装置2は、タッチパネル3に重ねられているか、タッチパネル3を内蔵している。
【0228】
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。
【0229】
〔1〕複数のセンサを持つタッチパネルと、前記センサからの信号を入力し、データを読み取るタッチパネルコントローラとからなるタッチパネルシステムに関して、前記タッチパネルは、使用者がタッチ操作を行うことにより信号を入力する主センサと、前記主センサと同じタッチパネル上に設置された副センサとを備え、前記タッチパネルコントローラは、前記主センサからの信号と前記副センサからの信号を受信し、前記主センサからの信号から、前記副センサからの信号を減算する減算手段とを有することを特徴とするタッチパネルシステム。
【0230】
〔2〕前記副センサが、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサに発生するノイズを検出することを特徴とする上記〔1〕に記載のタッチパネルシステム。
【0231】
〔3〕前記主センサと前記副センサとが隣接して設置されていることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載のタッチパネルシステム。
【0232】
〔4〕表示装置と、前記表示装置の表示画面の上部等に配置され、複数のセンサ群をマトリクス状に配置したタッチパネルと、前記センサ群からの信号を入力し、データを読み取るタッチパネルコントローラとからなるタッチパネルシステムに関して、前記タッチパネルは、使用者がタッチ操作を行うことにより信号を入力する主センサ群と、前記主センサ群と同じタッチパネル上に設置された副センサ群とを備え、前記タッチパネルコントローラは、前記主センサ群からの信号と前記副センサ群からの信号を受信し、前記主センサ群からの信号から、前記副センサ群からの信号を減算する減算手段とを有することを特徴とするタッチパネルシステム。
【0233】
〔5〕前記副センサ群が、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサ群に発生するノイズを検出することを特徴とする上記〔4〕に記載のタッチパネルシステム。
【0234】
〔6〕前記主センサ群と前記副センサ群とが隣接して設置されていることを特徴とする上記〔4〕または〔5〕に記載のタッチパネルシステム。
【0235】
〔7〕前記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FEDディスプレイであることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のタッチパネルシステム。
【0236】
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかのタッチパネルシステムを備えたことを特徴とする電子機器。
【0237】
上記各構成によれば、タッチパネル内に、タッチ操作を検出する主センサ部と、ノイズ検出用の副センサ部とを備え、減算部が、主センサ部と副センサ部との信号の差分を取る。これにより、主センサ部からの出力信号からノイズ信号が除去され、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。それゆえ、除去対象となるノイズ成分は、ノイズを含む信号中のAC信号成分に限られることなく、タッチパネルに反映されるノイズ成分の全てである。つまり、基本的にノイズ成分を全てキャンセルすることが可能であるタッチパネルシステムおよび電子機器を提供することが可能となる。
【0238】
本発明に係るタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、上記タッチパネルのタッチ操作を検出する主センサ部と、上記主センサ部が設けられたタッチパネル上の面と同一面内に設けられた副センサ部とを備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記主センサ部および副センサ部からの信号を受信し、上記主センサ部からの信号から、上記副センサ部からの信号を減算する減算部を備えることを特徴としている。
【0239】
上記の構成によれば、タッチパネル上の同一面内(同一面上)に、主センサ部と副センサ部とが設けられている。これにより、主センサ部および副センサ部からのいずれの出力信号にも、タッチパネルに反映された各種ノイズ信号が含まれる。さらに、減算部が、タッチ操作による信号とノイズ信号とを含む主センサ部からの出力信号と、ノイズ信号を含む副センサ部からの出力信号との差分をとる。これにより、主センサ部の出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
【0240】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、複数のセンスラインを備え、上記副センサ部は、センスラインと同一方向に延びるサブセンスラインを備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、
センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))を算出すると共に、
サブセンスラインとサブセンスラインに隣接するセンスラインとの差分である第3の差分を算出し、
上記タッチパネルコントローラは、上記第1の差分と第2の差分と第3の差分とを加算する加算部を備えることが好ましい。
【0241】
上記の構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
【0242】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記センスラインおよびサブセンスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインまたはサブセンスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、互いに直交する符号長の符号を用いて、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記センスラインおよびサブセンスラインごとの出力信号を読み出し、その出力信号と上記符号とを内積し、上記静電容量の容量値を算出する演算部を備えていてもよい。
【0243】
上記の構成によれば、タッチパネルが直交系列駆動方式により駆動される。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
【0244】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第1のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第1のAD変換部でデジタル信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出するようになっていてもよい。
【0245】
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
【0246】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第2のAD変換部を備え、
上記第2のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記第1の差分〜第3の差分をデジタル信号に変換するようになっていてもよい。
【0247】
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0248】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出する全差動増幅器を備えることが好ましい。
【0249】
上記の構成によれば、全差動増幅器によって、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
【0250】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記全差動増幅器は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するようになっていることが好ましい。
【0251】
上記の構成によれば、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器を備えている。これにより、全差動増幅器が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。従って、全差動増幅器からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
【0252】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記加算部は、上記サブセンスラインからの距離が近い順に加算処理を進め、加算結果を次の加算処理に用いるようになっていることが好ましい。
【0253】
上記の構成によれば、加算部が、加算結果を利用しながら、サブセンスラインから離れる方向に順次加算処理を進める。従って、加算処理速度を高めることができる。
【0254】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記副センサ部は、上記タッチパネルのタッチ操作を検出しないようになっていてもよい。
【0255】
上記の構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ部で検出されないため、副センサ部からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ部で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
【0256】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記副センサ部は、上記タッチパネル上のタッチ操作されない領域に設けられていてもよい。
【0257】
上記の構成によれば、副センサ部が、使用者がタッチ操作する領域(タッチ領域)を避けて設けられている。このため、副センサ部は、使用者がタッチ操作することなく、タッチパネルに反映されたノイズを検出するが、タッチ操作による信号を検出しない。従って、副センサ部が、タッチ操作を検出するのを確実に回避することができる。
【0258】
つまり、上記の構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ部で検出されないため、副センサ部からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ部で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
【0259】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部と副センサ部とが、互いに隣接して設けられていることが好ましい。
【0260】
上記の構成によれば、主センサ部と副センサ部とが、最も接近して配置される。つまり、主センサ部と副センサ部とが、略同一条件の配置状態となる。このため、副センサ部からの出力信号に含まれるノイズ信号値は、主センサ部からの出力信号に含まれるノイズ信号値と同一であるとみなすことができる。これにより、減算部による減算処理によって、タッチパネルに反映されたノイズ成分を、より確実に除去することができる。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
【0261】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、1個の主センサからなるものであってもよい。
【0262】
上記の構成によれば、主センサ部が、単数の主センサから構成されている。これにより、タッチ操作の有無を検出することのできるタッチパネルシステムを提供することができる。
【0263】
本発明に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、マトリクス状に配置された複数の主センサからなるものであってもよい。
【0264】
上記の構成によれば、主センサ部が、マトリクス状に配置された複数の主センサから構成されている。これにより、タッチ操作の有無と共にタッチ位置を検出することのできるタッチパネルシステムを提供することができる。
【0265】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、各実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本発明の範囲に含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0266】
本発明は、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、電子フォトフレーム、携帯情報端末、電子ブック、家電製品、券売機、ATM、カーナビゲーション等、タッチパネル式の各種電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0267】
1p タッチパネルシステム
1q タッチパネルシステム
2 表示装置
3c タッチパネル
4 タッチパネルコントローラ
10 携帯電話機(電子機器)
31b 主センサ群(センサ部)
33 センスライン
35 ドライブライン
41a 減算部
47 電荷積分器(演算部)
48a AD変換部(第3のAD変換部,第4のAD変換部)
49 差動増幅器
50 全差動増幅器
58 復号部
59 判定部
61 非タッチ操作時情報記憶部
62 較正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記センスライン方向における静電容量の差分を算出し、
上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))のうち、一方のセンスライン(Sn−1)の信号との差分である第1の差分((Sn−1)−Sn)の算出、および、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分((Sn+1)−Sn)を算出することを特徴とするタッチパネルシステム。
【請求項2】
上記センスラインから選択されたセンスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスライン(Sn−1),センスライン(Sn+1))は、上記減算部への入力を切換えるスイッチに接続されており、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnは、上記減算部に直接接続されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第3のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第3のAD変換部でデジタル信号を用いて算出された、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第4のAD変換部を備え、
上記第4のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項5】
上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する全差動増幅器を備えることを特徴とする請求項3または4に記載のタッチパネルシステム。
【請求項6】
非タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部と、
タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された、非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算し、静電容量の差分分布を較正する較正部とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項7】
上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項8】
上記判定部は、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換することによって、タッチ情報を抽出することを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルシステム。
【請求項9】
表示装置をさらに備え、
上記タッチパネルは、上記表示装置の前面に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項10】
上記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイであることを特徴とする請求項9に記載のタッチパネルシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムを備えることを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−92872(P2013−92872A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233928(P2011−233928)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】