説明

タッチパネル式入力装置

【課題】触覚フィードバックおよび音響フィードバック機能を備えると共に、小型化および省電力化を図る。
【解決手段】ディスプレイ装置に表示された画像の表示位置に対応する位置における接触を検出して入力信号を発生させるタッチパネル2を有するタッチパネル式入力装置であって、平板状のタッチパネル2に対して垂直方向に駆動し、タッチパネル2に振動を与える圧電アクチュエータ6と、タッチパネル2が発生した入力信号に基づいて、音響信号または触覚信号の少なくとも一方を駆動信号として出力するデジタルシグナルプロセッサ4と、デジタルシグナルプロセッサ4から出力された駆動信号に基づいて圧電アクチュエータ6を駆動するD級アンプ5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚フィードバック機能を有するタッチパネル式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルの表面は平坦で滑らかであるため、機械的なスイッチと比較すると、ユーザは、正しく操作できているのかどうかを判断し難いという事情があった。このため、従来から、操作するユーザの指先に振動を与えて操作の感覚をフィードバックするタッチパネルが提案されている。このように、操作するユーザの指先に振動を与えるフィードバック方式は、触覚フィードバックと呼称されている。
【0003】
図6は、従来のタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。このタッチパネル式入力装置50は、触覚フィードバック機能を有しており、携帯情報端末(PDA)や高機能携帯電話(スマートフォン)に組み込まれている。携帯情報端末や携帯電話は、音を発生させるためのスピーカ51とそのスピーカを駆動するためのパワーアンプ52を備えている。また、タッチパネル53は、タッチパネル回路54に接続され、タッチパネル53から得られる信号を処理することによって、タッチパネル53のパネル面でユーザの指先が接触する位置を表す信号を発生させる。
【0004】
携帯情報端末や携帯電話に内蔵されている制御ユニット55は、タッチパネル53上の接触位置を表す信号を受理し、その位置に応じて所定の触覚振動を発生させるように、波形整形回路56に制御信号を出力する。その制御信号に基づいて、波形整形回路56は、圧電アクチュエータ57を駆動する信号をドライバ回路58に出力し、それによって圧電アクチュエータ57が触覚を再現する振動を発生する。
【0005】
図7は、特開2007−34938号公報に記載された触覚フィードバック機能を備えたタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。このタッチパネル式入力装置60は、触覚フィードバックを行なうと共に音響を発生させて音響フィードバックを行なう機能を兼ね備えている。すなわち、圧電アクチュエータ57によって、触覚を再現する振動を発生させると共に、圧電アクチュエータ57または圧電アクチュエータ57が取り付けられたタッチパネル53から音響を発生させる。
【0006】
制御ユニット55は、タッチパネル53上の接触位置を表す信号を受理し、その位置に応じて所定の触覚振動を発生させるように、インターフェイス回路61を介して波形整形回路56に制御信号を出力すると共に、ミキシング回路62に音響信号を出力する。波形成形回路56は、制御信号に基づいて、圧電アクチュエータ57を駆動する信号をミキシング回路62に出力する。ミキシング回路62は、音響信号と触覚信号を混合してこれらの混合信号をパワーアンプ63に出力する。パワーアンプ63は、入力された混合信号に基づいて、圧電アクチュエータ57を駆動させる。これにより、圧電アクチュエータ57が触覚を再現する振動を発生すると共に、圧電アクチュエータ57または圧電アクチュエータ57が取り付けられたタッチパネル53が音響を発生する。
【特許文献1】特開2007−34938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6に示したタッチパネル式入力装置では、スピーカ51とは別に触覚フィードバック用のアクチュエータ57やそれを駆動するためのドライバ回路58が必要であるため、装置が大きくなり、また、コスト増を招くなどの問題がある。また、図7に示したタッチパネル式入力装置では、触覚フィードバックと音響の発生を行なうために、圧電アクチュエータ57または圧電アクチュエータ57が取り付けられたタッチパネル53にスピーカとして機能させるため、大型化の問題は解消できるものの、振動を発生させる信号と、音を発生させる信号とが別々に取り扱われるため、インターフェイス61やミキシング回路62等の回路を必要とし、コストアップは否めない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、触覚フィードバックおよび音響フィードバック機能を備えると共に、小型化および省電力化を図ることができるタッチパネル式入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のタッチパネル式入力装置は、ディスプレイ装置に表示された画像の表示位置に対応する位置における接触を検出して入力信号を発生させるタッチパネルを有するタッチパネル式入力装置であって、平板状の前記タッチパネルに対して垂直方向に駆動し、前記タッチパネルに振動を与える圧電アクチュエータと、前記タッチパネルが発生した入力信号に基づいて、音響信号または触覚信号の少なくとも一方を駆動信号として出力するデジタルシグナルプロセッサと、前記デジタルシグナルプロセッサから出力された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動するD級アンプと、を備えることを特徴としている。
【0010】
このように、圧電アクチュエータを駆動するためにD級アンプを用いるため、発熱を小さく抑えることができ、その結果、熱を拡散するヒートシンクが不要となり、小型化を図ることが容易となる。また、圧電素子は容量性を持つため、D級アンプに必要なLCフィルタのコンデンサを不要とすることができる。また、信号処理を行なう上で有利なデジタルシグナルプロセッサを用いるため、触覚信号と音響信号とを混合させて混合信号としてD級アンプに入力することができる。これにより、装置の小型化およびコスト削減を実現することが可能となる。
【0011】
(2)また、本発明のタッチパネル式入力装置において、前記圧電アクチュエータは、圧電素子が積層化したバイモルフ型の圧電アクチュエータであることを特徴としている。
【0012】
このように、圧電アクチュエータは、バイモルフ型であるので、ユニモルフ型よりも強力な駆動力を発揮することが可能となる。また、圧電素子が積層化しているので、単層よりも低い電圧で駆動することが可能となる。これにより、携帯情報端末や携帯電話に好適なタッチパネル式入力装置を実現することが可能となる。
【0013】
(3)また、本発明のタッチパネル式入力装置は、振動センサを有する筆記用具と、前記筆記用具が使用されることによって前記振動センサが振動を検出したときに発生した電気信号を記憶するメモリと、を備え、前記タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、前記デジタルシグナルプロセッサは、前記メモリに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、前記D級アンプは、前記メモリから読み出された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴としている。
【0014】
このように、タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、筆記用具が使用されることによって振動センサが振動を検出したときに発生した電気信号を読み出して駆動信号として出力するので、ユーザがスタイラスペンを使用したときに、ユーザに対してあたかも筆記用具を使用している感覚を与えることが可能となる。
【0015】
(4)また、本発明のタッチパネル式入力装置において、前記圧電アクチュエータが筆記用具によって前記タッチパネルに与えられた振動を検出して出力した電気信号の直流成分をカットするハイパスフィルタと、前記直流成分がカットされた電気信号を記憶するメモリと、を備え、前記デジタルシグナルプロセッサは、前記タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、前記メモリに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、前記D級アンプは、前記メモリから読み出された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴としている。
【0016】
このように、圧電アクチュエータが振動センサの機能を果たすので、筆記用具に振動センサを設ける必要が無くなる。また、タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、圧電アクチュエータが筆記用具によってタッチパネルに与えられた振動を検出して出力した電気信号を読み出して駆動信号として出力するので、ユーザがスタイラスペンを使用したときに、ユーザに対してあたかも筆記用具を使用している感覚を与えることが可能となる。
【0017】
(5)また、本発明のタッチパネル式入力装置は、筆記用具が使用されたときに紙面に対して与えられる振動に相当する電気信号を予め記憶するメモリを備え、前記デジタルシグナルプロセッサは、前記タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、前記メモリに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、前記D級アンプは、前記メモリから読み出された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴としている。
【0018】
このように、筆記用具が使用されたときに紙面に対して与えられる振動に相当する電気信号を予め記憶するので、振動センサを設ける必要が無くなる。また、タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、筆記用具が使用されたときに紙面に対して与えられる振動に相当する電気信号を読み出して駆動信号として出力するので、ユーザがスタイラスペンを使用したときに、ユーザに対してあたかも筆記用具を使用している感覚を与えることが可能となる。
【0019】
(6)また、本発明のタッチパネル式入力装置において、前記D級アンプは、出力部がBTL(Bridged Transless)構成を採るD級アンプであることを特徴としている。
【0020】
このように、実質的にD級アンプを2つ用意して、一方を逆相駆動するBTL構成を採るため、負荷電圧を見かけ上2倍にすることができる。その結果、より大きな振動または音響を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、圧電アクチュエータを駆動するためにD級アンプを用いるため、発熱を小さく抑えることができ、その結果、熱を拡散するヒートシンクが不要となり、小型化を図ることが容易となる。また、圧電素子は容量性を持つため、D級アンプに必要なLCフィルタのコンデンサを不要とすることができる。また、信号処理を行なう上で有利なデジタルシグナルプロセッサを用いるため、触覚信号と音響信号とを混合させて混合信号としてD級アンプに入力することができる。これにより、装置の小型化およびコスト削減を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。このタッチパネル式入力装置1は、触覚フィードバック機能と音響フィードバック機能とを有している。タッチパネル2は、図示しないディスプレイ装置に表示された画像の表示位置に対応する位置における接触を検出して入力信号を発生する。タッチパネル回路3は、タッチパネル2から得られる信号を処理することによって、タッチパネル2のパネル面でユーザの指先が接触する位置を表す信号を発生させる。
【0023】
デジタルシグナルプロセッサ4は、タッチパネル2上の接触位置を表す信号を受信し、その位置に応じて所定の音響および触覚振動を発生させるように、音響信号と触覚信号とを混合した混合信号をD級アンプ5に出力する。デジタルシグナルプロセッサ4では、音響信号と触覚信号との区別をすることは無く、両者を混合させて出力する。
【0024】
D級アンプ5は、デジタルシグナルプロセッサ4から入力された混合信号に基づいて、圧電アクチュエータ6を駆動する。D級アンプ5は、入力されたアナログ信号をPWM(Pulse Wide Modulation)信号に変換し、スイッチング回路を通したPWM信号をLCフィルタに通すことにより電力的に増幅されたアナログ信号を出力するアンプである。圧電素子は容量性を持つため、D級アンプに必要なLCフィルタのコンデンサを不要とすることができる。また、容量性負荷である圧電素子(圧電アクチュエータ)を駆動すると、電流の位相が電圧と90度ずれるため、発熱が大きいのに対し、D級アンプはスイッチングにより増幅するため、発熱が小さく、熱を拡散するヒートシンクが不要となることから、小型化にも有利である。
【0025】
図2は、D級アンプの概略構成を示すブロック図である。D級アンプ5は、PWM変調を行なうPWM回路5a、FETを駆動するFETドライバ5b、2つのFET5c、およびチョークコイル5dから構成される。PWM回路5aは、入力信号に対してパルス幅変調を行ない、FETドライバ5bは、パルス幅変調された信号に基づいてFET5cを駆動する。FET5cの出力信号は、チョークコイル5dを介して出力される。このチョークコイル5dと圧電アクチュエータ6が持つ容量により、D級アンプに必要なLCフィルタが形成される。すなわち、圧電アクチュエータ6が容量性を有するため、本実施形態では、LCフィルタにおけるコンデンサが不要となっている。このようなD級アンプ5で圧電アクチュエータ6を駆動することにより、圧電アクチュエータ6または圧電アクチュエータ6が取り付けられたタッチパネル2が音響を発生する。なお、図2において、Mute信号は、D級アンプ5内の出力段のMOSFET5cをオフするための信号である。
【0026】
ここで、D級アンプ5は、出力部がBTL(Bridged Transless)構成を採っても良い。図3は、BTL構成を採ったD級アンプの概略構成を示す図である。図3において、D級アンプ5−2は、PWM変調を行なうPWM回路5a−2、FETを駆動する2つのFETドライバ5b−2、4つのFET5c−2、2つのチョークコイル5d、およびNOT回路5eから構成される。PWM回路5a−2は、入力信号に対してパルス幅変調を行なう。NOT回路5eは、PWM回路5a−2の出力の位相を反転する。2つのFETドライバ5b−2は、パルス幅変調された信号に基づいて各FET5c−2を駆動する。各FET5c−2の出力信号は、それぞれチョークコイル5d−2を介して出力される。このチョークコイル5d−2と圧電アクチュエータ6−2が持つ容量により、D級アンプに必要なLCフィルタが形成される。このように、実質的にD級アンプを2つ用意して、一方を逆相駆動するBTL構成を採ることにより、負荷電圧を見かけ上2倍にすることができる。その結果、より大きな振動または音響を得ることが可能となる。なお、図3において、Mute信号は、D級アンプ5−2内の出力段のMOSFET5c−2をオフするための信号である。
【0027】
なお、ユーザによるタッチパネル2の操作については、指で触っても良いし、図1に示すように、スタイラスペン7を用いても良い。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。第2の実施形態では、触覚振動の基となる波形データを読み取るための振動センサ11を筆記用具(例えば、鉛筆11a)に設けた。より具体的には、鉛筆11aの内部または先端部に、圧電素子等を使った振動を電気信号に変換する振動センサ11を組み込んでいる。ユーザが鉛筆11aを用いて紙に文字を書くと、紙と鉛筆11aの芯との間で発生する振動が鉛筆11aに伝わり、鉛筆11aに組み込まれた振動センサ11により、振動が電気信号に変換される。その電気信号は、増幅回路12とデジタルシグナルプロセッサ4内部の図示しないD/A変換器を経て、デジタルシグナルプロセッサ4内部のメモリ4aに記憶される。
【0029】
次に、ユーザがスタイラスペン7を使ってタッチパネル2に文字を入力する時、メモリ4aに記憶された電気信号を読み出して、タッチパネル2に組み込まれた圧電アクチュエータ6を駆動させ、タッチパネル2を振動させる。これにより、ユーザはスタイラスペン7で文字入力しているのに、あたかも鉛筆を使って紙に文字を書いているような感触をユーザに与えることが可能となる。
【0030】
例えば、鉛筆の代わりに、ボールペンに振動センサを取り付け、ボールペンで書いた時の振動をメモリ4aに記憶しても良い。この構成により、スタイラスペン7で文字入力している時に、タッチパネル2の圧電アクチュエータ6から振動を再現すれば、スタイラスペン7によって、ボールペンの“書き味”を持たせた文字入力が可能となる。
【0031】
なお、メモリ4aに、鉛筆やボールペンなどの筆記用具が使用されたときに紙面に対して与えられる振動に相当する電気信号を予め記憶させておいても良い。この場合、デジタルシグナルプロセッサ4は、タッチパネル2がスタイラスペン7の接触を検出したときに、メモリ4aに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、D級アンプ5は、メモリ4aから読み出された駆動信号に基づいて圧電アクチュエータ6を駆動する。この構成によっても、ユーザがスタイラスペンを使用したときに、ユーザに対してあたかも筆記用具を使用している感覚を与えることが可能となる。
【0032】
また、タッチパネル2でユーザの筆圧を検出することができる場合は、筆圧に応じて圧電アクチュエータ6が発生する振動を変えても良い。例えば、メモリ4aに、鉛筆やボールペンを使用した場合の筆圧に対応した複数種類の電気信号を記憶させておく。そして、タッチパネル2で検出した筆圧に応じてメモリ4aから読み出す電気信号を変更し、筆圧に応じて異なる振動を発生させる。これにより、筆圧に応じて振動や音が変わる本物の鉛筆やボールペンをスタイラスペンの使用時に再現することが可能となる。なお、図4において、Mute信号は、D級アンプ5内出力段(図2参照)のMOSFET5cをオフするための信号である。
【0033】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係るタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。第3の実施形態では、第2の実施形態のように振動センサを筆記用具(鉛筆)に組み込むのではなく、タッチパネル2に組み込まれた圧電アクチュエータ6を振動センサとして用いる。例えば、図示していないが、タッチパネル2の上に紙を置き、鉛筆で紙に文字や線を書くと、そのとき発生した振動がタッチパネル2を介し圧電アクチュエータ6に伝わる。圧電材料の特性として、圧電アクチュエータ6に振動が印加されると圧電アクチュエータ6の端子間に電圧が発生する。それを増幅回路12により増幅し、電気信号としてメモリ4aに記憶する。
【0034】
この時、圧電アクチュエータ6には振動による電気信号とは別に、鉛筆によるタッチパネル2への筆圧による直流的な電圧も発生している。そこで、圧電アクチュエータ6と増幅回路12との間にHPF(High Pass Filter:ハイパスフィルタ)13を挿入することで、直流成分をカットし、筆記による振動のみを電気信号として記録する。
【0035】
次に、ユーザがスタイラスペン7を使ってタッチパネル2に文字入力する時、メモリ4aに記憶された電気信号を読み出して、タッチパネル2に組み込まれた圧電アクチュエータ6によりタッチパネル2を振動させる。これにより、ユーザがスタイラスペン7で文字入力しているのに、あたかも鉛筆を使って紙に文字を書いているような感触をユーザに与えることができる。なお、図5において、Mute信号は、D級アンプ5内出力段(図2参照)のMOSFET5cをオフするための信号である。D級アンプ5によって、その出力電圧が決められてしまうので、圧電アクチュエータ6により振動を電気信号に変換する時は、デジタルシグナルプロセッサ4からMute信号をD級アンプ5に出力して、D級アンプ5の出力部をOFFにする。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチパネル式入力装置によれば、圧電アクチュエータ6を駆動するためにD級アンプ5を用いるため、発熱を小さく抑えることができ、その結果、熱を拡散するヒートシンクが不要となり、小型化を図ることが容易となる。また、圧電素子は容量性を持つため、D級アンプ5に必要なLCフィルタのコンデンサを不要とすることができる。また、信号処理を行なう上で有利なデジタルシグナルプロセッサ4を用いるため、触覚信号と音響信号とを混合させて混合信号としてD級アンプ5に入力することができる。これにより、装置の小型化およびコスト削減を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。
【図2】D級アンプの概略構成を示すブロック図である。
【図3】BTL構成を採ったD級アンプの概略構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係るタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係るタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。
【図6】従来のタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。
【図7】従来のタッチパネル式入力装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 タッチパネル式入力装置
2 タッチパネル
3 タッチパネル回路
4 デジタルシグナルプロセッサ
4a メモリ
5 D級アンプ
5a PWM回路
5b FETドライバ
5c FET
5d チョークコイル
5−2 D級アンプ
5a−2 PWM回路
5b−2 FETドライバ
5c−2 FET
5d−2 チョークコイル
6 圧電アクチュエータ
6−2 圧電アクチュエータ
7 スタイラスペン
11 振動センサ
11a 鉛筆
12 増幅回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置に表示された画像の表示位置に対応する位置における接触を検出して入力信号を発生させるタッチパネルを有するタッチパネル式入力装置であって、
平板状の前記タッチパネルに対して垂直方向に駆動し、前記タッチパネルに振動を与える圧電アクチュエータと、
前記タッチパネルが発生した入力信号に基づいて、音響信号または触覚信号の少なくとも一方を駆動信号として出力するデジタルシグナルプロセッサと、
前記デジタルシグナルプロセッサから出力された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動するD級アンプと、を備えることを特徴とするタッチパネル式入力装置。
【請求項2】
前記圧電アクチュエータは、圧電素子が積層化したバイモルフ型の圧電アクチュエータであることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル式入力装置。
【請求項3】
振動センサを有する筆記用具と、
前記筆記用具が使用されることによって前記振動センサが振動を検出したときに発生した電気信号を記憶するメモリと、を備え、
前記タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、前記デジタルシグナルプロセッサは、前記メモリに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、
前記D級アンプは、前記メモリから読み出された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2記載のタッチパネル式入力装置。
【請求項4】
前記圧電アクチュエータが筆記用具によって前記タッチパネルに与えられた振動を検出して出力した電気信号の直流成分をカットするハイパスフィルタと、
前記直流成分がカットされた電気信号を記憶するメモリと、を備え、
前記デジタルシグナルプロセッサは、前記タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、前記メモリに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、
前記D級アンプは、前記メモリから読み出された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2記載のタッチパネル式入力装置。
【請求項5】
筆記用具が使用されたときに紙面に対して与えられる振動に相当する電気信号を予め記憶するメモリを備え、
前記デジタルシグナルプロセッサは、前記タッチパネルがスタイラスペンの接触を検出したときに、前記メモリに記憶されている電気信号を読み出して駆動信号として出力し、
前記D級アンプは、前記メモリから読み出された駆動信号に基づいて前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2記載のタッチパネル式入力装置。
【請求項6】
前記D級アンプは、出力部がBTL構成を採るD級アンプであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のタッチパネル式入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−169612(P2009−169612A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6183(P2008−6183)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】