説明

タッチパネル検査装置

【課題】 検査対象物がx軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配置される配線を有するタッチパネルのような検査物であっても、非接触検査方式にて検査を実施することで、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となるタッチパネル検査装置の提供。
【解決手段】 タッチパネル検査装置であって、前記検査対象となるx軸配線の導通検査を実施するために交流信号を供給する第一信号供給手段と、前記検査対象となるy軸配線の導通検査を実施するための交流信号を供給する第二信号供給手段と、前記検査対象となるx軸配線と隣接するy軸配線との短絡検査を実施するための交流信号を供給する第三信号供給手段と、前記検査対象の配線の導通及び短絡を検査するために、各供給手段からの交流信号を供給する複数の給電部と、該配線からの電気信号を検出する複数の検電部を有する検査ヘッド部と、前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上を所定軸方向に移動させる移動手段を有するを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル検査装置に関し、より詳しくは、非接触の供給電極及び検出電極を用いることによりタッチパネルを傷つけることなく、タッチパネルに形成される配線の導通及び短絡検査を迅速に且つ効率良く実施することができるタッチパネル検査装置に関する。
尚、本発明は、所謂タッチパネルに限らず、タッチパネルのように、X軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列される配線を有する検査対象物に対して検査を実施することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル(又は、タッチスクリーンやタッチ画面)と呼ばれるITO膜上に形成されるX軸方向及びY軸方向に形成されるマトリクス状に配置される配線を有する検査対象物は、X軸方向とY軸方向に配置される夫々の配線に夫々接触子(針状の導通プローブ)を接触させて、各配線の導通と隣接する配線との短絡の検査が実施されていた。
【0003】
しかしながら、このように接触子を各配線に接触させて検査を実施する方法では、ITO膜に形成される配線と接触子に安定性がなく、酸化膜による接触抵抗の不安定性から電気的特性が正確に測定できない問題を有していた。また、接触子が検査対象の配線と圧接されることになるため、配線に接触子が触れることによる打痕が形成される問題を有していた。
【0004】
一方、特許文献1に開示されるように、組み立てられたタッチパネル上の所定のタッチ入力位置の検出を精度良く行うことができるタッチパネル全体の抵抗値等の電気的特性を正確に検査する検査技術が提案されている。このように、組み立てられたタッチパネルの機能の電気的特性を検査する技術が開示されている。
しかしながら、上記の如き組立て前の配線の導通及び短絡を検査する技術は開示されていない。
【0005】
また従来、表面上に形成される配線を有するガラス基板として、プラズマディスプレイパネル(PDP)などが存在する。PDPのガラス基板は、一方向に複数の棒状の配線が形成されている。製造工程では、一方向に複数配列される配線の導通及び短絡を検査する必要がある。
【0006】
このようなPDPの検査装置として、特許文献2に開示されるような非接触検査技術が提案されている。この特許文献2に開示される非接触検査技術では、検査対象となる配線に信号を供給し、この配線から検出される信号と、この配線から4又は5パターン間隔離れた配線からの検出される信号を比較して差分を検出して検査を実施している。
【0007】
しかしながら、このような特許文献2に開示される技術は、一方向に並設される配線に対して検査を実施することが可能であり、タッチパネルのようなx軸方向とy軸方向にマトリクス状に配置される配線を検査することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−274225号公報
【特許文献2】特開2006−200992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、検査対象物がx軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配置される配線を有するタッチパネルのような検査物であっても、非接触検査方式にて検査を実施することで、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となるタッチパネル検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、複数の棒状の配線が並設されるx軸配線と、前記x軸配線とマトリクス状に配置されるとともに複数の棒状の配線が並設されるy軸配線とを有する検査物の、前記x軸配線とy軸配線の導通及び短絡を検査する検査装置であって、前記検査対象となるx軸配線の導通検査を実施するために交流信号を供給する第一信号供給手段と、前記検査対象となるy軸配線の導通検査を実施するための交流信号を供給する第二信号供給手段と、前記検査対象となるx軸配線と隣接するy軸配線との短絡検査を実施するための交流信号を供給する第三信号供給手段と、前記検査対象の配線の導通及び短絡を検査するために、各供給手段からの交流信号を供給する複数の給電部と、該配線からの電気信号を検出する複数の検電部を有する検査ヘッド部と、前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上を所定軸方向に移動させる移動手段と、前記検査ヘッド部の複数の給電部と前記複数の検電部と、前記第一乃至第三信号供給手段とを電気的に接続する接続手段と、前記複数のx軸配線の一端部と前記複数のy軸配線の一端部と全てに対して非接触で配置され、前記第一信号供給手段の一端と前記第二信号供給手段の一端と夫々電気的に接続される共通電極部と、前記検査ヘッド部からの検出信号を基に、x軸配線とy軸配線の夫々の導通及び短絡検査を実施する判定手段を有し、前記検査ヘッド部は、前記検査対象となるx軸配線の他端部に非接触で配置されるとともに、前記第一信号供給手段の他端と電気的に接続される第一給電部と、前記検査対象となるx軸配線の電気信号を検出するために、該x軸配線上に非接触で配置される第一検電部と、前記複数のy軸配線の他端部に夫々非接触で配置され、前記第二信号供給手段の他端又は前記第三信号供給手段の一端と電気的に接続される複数の第二給電部と、前記複数のy軸配線上の夫々に非接触で配置され、前記第二信号供給手段及び/又は前記第三信号供給手段が供給する交流信号に起因する電気信号を検出する複数の第二検電部と、前記第三信号供給手段の他端と電気的に接続されるとともに、前記検査対象となるx軸配線と非接触で配置される第三給電部と、を有することを特徴とするタッチパネル検査装置を提供する。
請求項2記載の発明は、前記第二信号供給手段が複数の第二給電部に供給する交流信号は、夫々周波数の相違する交流信号であることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル検査装置を提供する。
請求項3記載の発明は、第一乃至第三信号供給手段が供給する交流信号がいずれも周波数の相違する交流信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル検査装置を提供する。
請求項4記載の発明は、前記移動手段は、前記y軸配線の延設されるy軸方向に移動することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル検査装置を提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を悉く解決する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至4いずれに記載される発明によれば、検査対象物がx軸方向及びy軸方向にマトリクス状に配置される配線を有するタッチパネルのような検査物であっても、非接触検査方式にて検査を実施することで、検査時間を短縮して効率良く検査を実施することが可能となるタッチパネル検査装置を提供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の検査対象となるタッチパネルの一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】本検査装置の検査方法を説明するための概略模式図である。
【図3】本検査装置の検査方法を説明するための交流信号とパターン(配線)から検出される交流信号を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる検査装置の検査ヘッド3と共通電極部6の一実施形態を示す。
【図5】本検査装置が実施される場合の状態を示す概略平面図である。
【図6】x軸配線の導通検査を実施する場合を示す概略平面図である。尚、検査対象のx軸配線は図1のLine:X6を示している。
【図7】y軸配線の導通検査を実施する場合を示す概略平面図である。尚、検査対象のy軸配線は図1のLine:Y1を示している。
【図8】x軸配線とy軸配線の短絡検査を実施する場合を示す概略平面図である。尚、検査対象のx軸配線は図1のLine:X1を、y軸配線は図1のLine:Y1示している。
【図9】y軸配線の導通検査を実施する場合を示す概略平面図である。尚、検査対象のy軸配線は図1のLine:Y8を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本検査装置は、タッチパネルのようなx軸方向とy軸方向のマトリクス状に配置される複数の配線を有する基板やガラス基板に対して、検査効率を向上させることができる。
まず、本検査装置の検査対象となるタッチパネルについて説明する。
図1は、本発明の検査対象となるタッチパネルの一実施形態を示す概略平面図である。この図1のタッチパネルTPでは、ガラス基板状にx軸方向に配置されるx軸配線とy軸方向に配置されるy軸配線が夫々複数配置されている。この図1では、x軸配線が14本(符号で示されるLine:X1〜Line:X14)形成され、y軸配線が8本(符号で示されるLine:Y1〜Line:Y8)形成されている。
タッチパネルTPのx軸配線とy軸配線は、これらの配線にて画面上のタッチエリア(P1とP2で覆われる部分)を覆うように配置されるため、図1で示す如き1本のx軸配線(及びy軸配線)が幅広部と幅狭部が繰り返して形成されることにより、タッチエリア全体を覆うように形成される。このように形成されることにより、タッチパネルTPが使用された場合に、タッチされた箇所(接触箇所)がどのx軸配線とどのy軸配線上に位置するのかを検出することができる。
なお、x軸配線とy軸配線ともに、夫々14本と8本に限定されるものではなく、タッチパネル製造者によって適宜調整される。また、幅広部と幅狭部の長さやその大きさもタッチパネル製造者により適宜調整される。
【0014】
これらのx軸配線とy軸配線は、その一端がドライバなどの電子部品と接続が可能なようにタグ部Tが形成されており、他の電子部品との電気的接続部(タグ部T)が夫々延設されて形成されている。このタグ部Tは、タッチエリア(P1〜P2)から平面視において離間した場所に形成され、電気的接続ができるようにされている。図1のタッチパネルTPでは、紙面に向かって右側に夫々(x軸配線とy軸配線)のタグ部Tが形成されている。このタグ部Tは、タッチエリア以外の場所に一箇所に形成されることもできるし、x軸配線とy軸配線とタグ部Tが夫々周縁部に形成されるようにすることもできる。
【0015】
本検査装置(図示せず)は、第一信号供給手段21、第二信号供給手段22、第三信号供給手段23、検査ヘッド部3、移動手段4、接続手段5、共通電極部6と判定手段9を有してなる。
【0016】
第一信号供給手段21は、検査対象となるx軸配線の導通検査を実施するための第一交流信号を供給する。第一信号供給手段21は、180度位相の相違する二つの交流電源を、アースを介して接続されて構成される(図2で示される電源PW1と電源PW2参照)。
この第一信号供給手段21は、一端が共通電極部6と電気的に接続されており、他端が第一給電部71と電気的に接続されている。このため、第一信号供給手段21は、共有電極部6と第一給電部71を介して、x軸配線に検査用の交流信号を供給することになる。
【0017】
第二信号供給手段22は、検査対象となるy軸配線の導通検査を実施するための第二交流信号を供給する。この第二信号供給手段22は、第一信号供給手段21と同様に、180度位相の相違する二つの交流電源を、アースを介して接続されて構成される。この第二信号供給手段21は、一端が共通電極部6と電気的に接続されており、他端が第二給電部72と電気的に接続されている。このため、第二信号供給手段22は、共有電極部6と第二給電部72を介して、y軸配線に検査用の交流信号を供給することになる。
【0018】
この第二信号供給手段22は、タッチパネルTPに形成される全てのy軸配線に対して導通検査が実施できるように設けられる。具体的には、y軸配線の数と同じ数だけ相違する周波数の交流信号を設定し、夫々y軸配線に夫々の周波数の交流信号を供給する方法もあるし、2つの周波数の相違する交流信号を隣接するy軸配線に交互に供給することもできる。
なお、この第二信号供給手段22は、相違する周波数の交流信号分だけ複数の交流信号源を準備することが好ましい。
【0019】
第三信号供給手段23は、検査対象となるx軸配線と隣接して配置されるy軸配線との短絡検査を実施すための第三交流信号を供給する。
この第三信号供給手段23は、一端が第二給電部72と電気的に接続されており、他端が第三給電部73と電気的に接続されている。このため、第三信号供給手段23は、第二給電部72と第三給電部73を介して、x軸配線とy軸配線の短絡を検査する。
【0020】
本検査装置の検査原理を概略模式図を用いて説明する。図2は、本検査装置の検査方法について説明するための模式図である。本検査装置は、ガラス基板上に形成される配線Wの導通を検査するために、その配線Wの両端部に給電部Aと給電部Bを物理的に非接触で配置する。この給電部Aと給電部Bに180度相違する交流信号を供給する交流電源PW1と交流電源PW2から夫々周波数の同じで180度位相の相違する交流信号を供給する(図3の参照)。
2つの交流電源PW1・PW2から供給される交流信号は、給電部A(又は給電部B)に検査用の交流信号が供給され、給電部A(又は給電部B)から配線Wにこの交流信号が供給されると、配線Wと給電部Aは静電容量結合のため配線Wでは位相が90度進んだ電流が生じることになる。このとき、給電部Aと給電部Bは180度位相の相違する交流信号を配線Wに供給するため、配線Wに不良が存在しない場合(導通状態が良好である場合)には、2つの給電部から供給される交流信号の影響から信号が打ち消しあうことになる(図3で示されるパターン印加電流参照)。
このため、配線Wに生じた信号を検出するために配置される検出電極部Cは、0レベルでの信号を検出することになる。
【0021】
仮に、図3で示される配線W上の抵抗で示される箇所に導通不良(断線不良)が存在すれば、検出電極部Cは、給電部Aから供給される交流信号の影響を受ける信号を検出することになり、導通不良を検出することができる。
なお、この検出電極部は、図3の実施形態では、2つの検出電極部(C、D)が示されているが、片方の検出電極部のみを使用する構成としても良いし、両方の検出電極部を使用する構成としても良い。
【0022】
第一信号供給手段21乃至第三信号供給手段23が供給する交流信号は、全て相違する周波数に設定することもできる。この場合、導通又は短絡不良が検出された場合に、どの配線上に不良が存在するか否かを特定することができるようになる。
【0023】
図4は、本発明にかかる検査装置の検査ヘッド3と共通電極部6の一実施形態を示す。本発明にかかる検査ヘッド3は、検査対象の配線の導通及び短絡を検査するために、各供給手段からの交流信号を供給する複数の給電部と、該配線からの電気信号を検出する複数の検電部を有している。
【0024】
図4で示される検査ヘッド部3は、検査対象となるx軸配線の他端部に非接触で配置されるとともに、第一信号供給手段21の他端と電気的に接続される第一給電部71を有してなる。
この第一給電部71は、検査ヘッド部3のx軸配線の左端に位置するように配置される。この位置に配置されることにより、共通電極部6と第一給電部71がx軸配線x軸配線の端から端までの導通検査を実施することができる。
なお、この第一給電部71は、x軸配線の最も端部の幅広部上に配置されるように設けられている。
【0025】
検査対象となるx軸配線の電気信号を検出するために、x軸配線上に非接触で配置される第一検電部81を有している。この第一検電部81は、第一給電部71よりもx軸配線の幅広部に隣接する幅広部上に配置されている。この第一検電部81が配置される場所は、第一給電部71と共通電極部6の間であれば特に限定されないが、パネルエリア内の箇所が好ましい。
なお、第一給電部71と第一検電部81は、同じx軸配線上に非接触で配置される。
【0026】
第一検電部81は、上記の如く、検査対象のx軸配線(1本のx軸配線)上に配置されるが、x軸配線の電気信号を検出するために、二つの目の検電部(補助検電部)を設けることもできる。図4では、パネルエリアの右端のx軸配線の幅広部上に位置する場所に補助検電部83を配置することもできる。
【0027】
検査ヘッド部3は、複数のy軸配線の他端部に夫々非接触で配置され、第二信号供給手段22の他端又は第三信号供給手段23の一端と電気的に接続される複数の第二給電部72を有する。
この第二給電部72は、y軸配線の数(図1の実施例では8個)と同数の第二給電部72が設けられ、各第二給電部72が夫々y軸配線と物理的に非接触で配置される。
この第二給電部72は、第二信号供給手段22と第三信号供給手段23と接続されており、接続手段によりいずれか一方と接続されたり、両方と接続されたり制御される。
【0028】
検査ヘッド部3は、複数のy軸配線上の夫々に非接触で配置され、第二信号供給手段22及び/又は第三信号供給手段23が供給する交流信号に起因する電気信号を検出する複数の第二検電部82を有する。
この第二検電部82は、y軸配線の数(図1の実施例では8個)と同数の第二検電部82が設けられ、各第二検電部82が夫々y軸配線と物理的に非接触で配置される。
【0029】
図4で示される検査ヘッド部3では、y軸配線のタグ部の形状により、4本のy軸配線に対する第二給電部72と第二検電部82は、紙面に向かって検査ヘッド部3の上側に第二給電部72が配置され、この第二給電部72の配置されるy軸配線の幅広部よりも隣接位置にある幅広部の上方に第二検電部82が配置されている。残り4本のy軸配線に対しては、紙面に向かって検査ヘッド部3の下側に第二検電部82が配置され、この第二検電部82の配置されるy軸配線の幅広部よりも隣接位置にある幅広部の上方に第二給電部72が配置されている。
【0030】
検査ヘッド部3は、第三信号供給手段23の他端と電気的に接続されるとともに、検査対象となるx軸配線と非接触で配置される第三給電部73を有している。
この第三給電部73は、第一給電部71と第一検電部72と同じ検査対象となるx軸配線上に配置されている。この第三給電部73は、タッチエリア内のx軸配線の略中央部の幅広部上に配置されるように形成されている。
【0031】
本検査装置の検査ヘッド部3を示す図4では、第一給電部71を電極部X11で示し、第一検電部81を電極部X21で示し、複数の第二給電部72を電極部Y11、電極部Y21、電極部Y31、電極部Y41、電極部Y52、電極部Y62、電極部Y72、電極部Y82、で示され、第二検電部82を電極部Y12、電極部Y22、電極部Y32、電極部Y42、電極部Y51、電極部Y61、電極部Y71、電極部Y81で示しており、第三給電部73を電極部X51で示し、補助検電部83を電極部X91で示している。
これらの電極部は、配線の幅広部よりと同程度の大きさの形状(例えば、円形や矩形)を有して形成される。
【0032】
検査ヘッド部3は、上記の如き電極部を有する板状部材で形成されており、この検査ヘッド部3がガラス基板上を移動することにより検査を実施することになる。まず図4の如くこの検査ヘッド部3は、x軸配線の長さとy軸配線の幅広部2つ分の大きさを有するように形成されている。
【0033】
共通電極部6は、複数のx軸配線の一端部と前記複数のy軸配線の一端部と全てに対して非接触で配置され、第一信号供給手段の一端と第二信号供給手段の一端と夫々電気的に接続される。図5の実施形態では、x軸配線のタグ部Tとy軸配線のタグ部がガラス基板上の一箇所に集められており、これらのタグ部Tを全てに亘って物理的に非接触状態で配置されている。なお、この共通電極部6は、後述する検査ヘッド部と同時に移動してもよいが、後述する全ての配線と非接触状態を維持される。
【0034】
本検査装置は、検査ヘッド部3を検査物であるガラス基板の表面上を所定軸方向(図5ではy軸配線の長軸方向v)に移動させる。この移動手段は、リニアモータなどを利用した直線軌道を移動する機構を用いることができる。
【0035】
検査ヘッド部3の複数の給電部と複数の検電部と、第一乃至第三信号供給手段とを電気的に接続する接続手段を有する。この接続手段は、複数の切替スイッチを用いて適宜電気的接続を行う。
【0036】
本検査装置は、検査ヘッド部3からの検出信号を基に、x軸配線とy軸配線の夫々の導通及び短絡検査を実施する判定手段を有する。
この判定手段は、各検電部から検出される検査信号を基に、検査対象となるx軸配線とy軸配線の導通及び短絡を判定する。
検査対象となるx軸配線の導通を判定する場合には、第一給電部71と共通電極部6からの交流信号が供給され、第一検電部81が検出する信号が、第一給電部71から供給される交流信号に起因したものであるか、共通電極部6から供給される交流信号に起因したものであるか、どちらの影響も受けたものであるのかにより判定される。なお、いずれの給電部からの影響を受けて信号が打ち消されていた場合に導通良好と判定される。
【0037】
検査対象となるy軸配線の導通を判定する場合には、第二給電部72と共通電極部6からの交流信号が供給され、第二検電部82が検出する信号が、第二給電部72から供給される交流信号に起因したものであるか、共通電極部6から供給される交流信号に起因したものであるか、どちらの影響も受けたものであるのかにより判定される。なお、いずれの給電部からの影響を受けて信号が打ち消されていた場合に導通良好と判定される。
【0038】
検査対象となるx軸配線とy軸配線の短絡を判定する場合には、の第二給電部72と第三給電部73から第三信号供給手段23の交流信号が供給され、第二検電部82が検出する信号が、第二給電部72から供給される交流信号に起因したものであるか、第三給電部73から供給される交流信号に起因したものであるか、どちらの影響も受けたものであるのかにより判定される。この場合、短絡不良が存在する場合は、第二給電部72と第三給電部73からの交流信号が打ち打ち消し合うことになるか、第二給電部72からの信号の影響を受けることになる。
なお、短絡不良が存在しない場合には、第三給電部73からの信号の影響を受けることになる。
【0039】
タッチパネルTPのタグ部Tは、各配線のタグ部Tが複数並列的に配置されているため、隣接するタグ部Tとの短絡不良の問題があり、特に図1で示される如く、y軸配線のタグ部Tは短絡不良が生じる場合がある。
この場合には、検査対象のy軸配線と短絡検査対象となるy軸配線に配置される第二給電部72へ交流信号を供給することにより、第二検電部82が他のy軸配線からの交流信号を検出すれば、短絡不良を検出したことになる。
また、y軸配線の短絡を検出する交流信号は、周波数の相違する交流信号を設定しても良いし、交互に相違する周波数を設定して短絡を検出するように設定してもよい。
【0040】
以上の説明は、検査ヘッド部3が移動手段によりy軸配線の長軸方向に移動する場合の電極部と給電部の配置を示しており、検査ヘッド部3がx軸配線の長軸方向に移動する場合には、この電極部と給電部とのx軸とy軸対応が入れ替わり配置されることになる。
以上は本発明にかかるタッチパネル検査装置の構成である。
【0041】
次に本検査装置の動作を説明する。
本検査装置の所定位置にタッチパネルTPが配置されて、タッチパネルTPの検査が開始される(図5参照)。
図5で示される如く、検査ヘッド部3は、紙面に向かって下方に移動手段により移動される。
なお、図1のタッチパネルTPを検査する場合には、x軸配線上に第一検電部71と第一給電部81が配置され、y軸配線Line:Y1〜Y4までのy軸配線上に各第二給電部72と第二検電部82が配置された場合に検査が開始される。
【0042】
上記の如き検査が開始される場合には、x軸配線Line:X1の導通検査と、y軸配線Line:Y1〜Y4までの導通検査が検査される。
このとき、例えば、図6で示される如きx軸配線の導通検査が実施され、図7で示される如きy軸配線の導通検査が実施される。
上記のx軸配線とy軸配線の導通検査が実施されると、x軸配線(Line:X1)とこれらのy軸配線(line:Y1〜Y8)との短絡検査が実施される。
【0043】
次に、検査ヘッド部3が移動v方向に移動し、x軸配線Line:X2を検査対象として検査することになる。この場合、第一給電部71と第一検電部81がx軸配線Line:X2の幅広部上に配置されるまで移動する。
この場合、x軸配線Line:X1のときと同様、導通検査が実施され、各y軸配線との短絡検査が実施される。
【0044】
x軸配線の検査対象がx軸配線Line:X14となり、この導通検査が実施されると、次に、図9で示されるが如く、y軸配線Line:Y5〜Y8の導通検査が実施されることになる。
各検査工程において不良(導通不良や短絡不良)が検出されることになる。
以上が本発明の動作の説明である。
【符号の説明】
【0045】
21・・・第一信号供給手段
22・・・第二信号供給手段
23・・・第三信号供給手段
3・・・・検査ヘッド部
71・・・第一給電部
72・・・第二給電部
73・・・第三給電部
81・・・第一検電部
82・・・第二検電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状の配線が並設されるx軸配線と、前記x軸配線とマトリクス状に配置されるとともに複数の棒状の配線が並設されるy軸配線とを有する検査物の、前記x軸配線とy軸配線の導通及び短絡を検査する検査装置であって、
前記検査対象となるx軸配線の導通検査を実施するために交流信号を供給する第一信号供給手段と、
前記検査対象となるy軸配線の導通検査を実施するための交流信号を供給する第二信号供給手段と、
前記検査対象となるx軸配線と隣接するy軸配線との短絡検査を実施するための交流信号を供給する第三信号供給手段と、
前記検査対象の配線の導通及び短絡を検査するために、各供給手段からの交流信号を供給する複数の給電部と、該配線からの電気信号を検出する複数の検電部を有する検査ヘッド部と、
前記検査ヘッド部を前記検査物の表面上を所定軸方向に移動させる移動手段と、
前記検査ヘッド部の複数の給電部と前記複数の検電部と、前記第一乃至第三信号供給手段とを電気的に接続する接続手段と、
前記複数のx軸配線の一端部と前記複数のy軸配線の一端部と全てに対して非接触で配置され、前記第一信号供給手段の一端と前記第二信号供給手段の一端と夫々電気的に接続される共通電極部と、
前記検査ヘッド部からの検出信号を基に、x軸配線とy軸配線の夫々の導通及び短絡検査を実施する判定手段を有し、
前記検査ヘッド部は、
前記検査対象となるx軸配線の他端部に非接触で配置されるとともに、前記第一信号供給手段の他端と電気的に接続される第一給電部と、
前記検査対象となるx軸配線の電気信号を検出するために、該x軸配線上に非接触で配置される第一検電部と、
前記複数のy軸配線の他端部に夫々非接触で配置され、前記第二信号供給手段の他端又は前記第三信号供給手段の一端と電気的に接続される複数の第二給電部と、
前記複数のy軸配線上の夫々に非接触で配置され、前記第二信号供給手段及び/又は前記第三信号供給手段が供給する交流信号に起因する電気信号を検出する複数の第二検電部と、
前記第三信号供給手段の他端と電気的に接続されるとともに、前記検査対象となるx軸配線と非接触で配置される第三給電部と、
を有することを特徴とするタッチパネル検査装置。
【請求項2】
前記第二信号供給手段が複数の第二給電部に供給する交流信号は、夫々周波数の相違する交流信号であることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル検査装置。
【請求項3】
第一乃至第三信号供給手段が供給する交流信号がいずれも周波数の相違する交流信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル検査装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記y軸配線の延設されるy軸方向に移動することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−266338(P2010−266338A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118085(P2009−118085)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】