説明

タッチパネル

【課題】 表示パネルの表面側に配置されるタッチパネルであって、その表面側を全体として平坦な状態にでき、見栄えも向上できるタッチパネルを提供する。
【解決手段】 上部基板(11)の外周部側で下部基板(17)側の表面に対峙する下面には、不透明部材かななる不透明領域(14)が形成され、上部基板(11)の下面及び不透明領域(14)の下面に透明電極(15)を形成するとともに、不透明領域(14)の下面に形成された透明電極(15)の下面に金属電極(16)が形成され、下部基板(17)の上部基板(11)に対峙する部分には透明電極(18)が形成され、上部基板(11)の不透明領域(14)が形成された部分と下部基板(17)の周縁部との間がシール部(19)を介して対向させるよう配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、携帯端末機あるいはパーソナルコンピュータ等の電子機器における表示パネルの表面側に配置されるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機あるいは携帯端末機等の各種電子機器の高機能化あるいは多様化が進むに伴い、液晶等の表示パネルの前面に光透過性のタッチパネルを装着し、このタッチパネルを通して背面側の表示パネルの表示を視認しながら、指あるいはペン等でタッチパネル表面を押圧操作することにより、電子機器の各機能の切換等の操作を行うことができるものが使用されている。
【0003】
このような表示パネルの前面に光透過性のタッチパネルを装着した携帯電話機や携帯端末機等においては、図4に示すように、表示パネル1の表面側に配置されるタッチパネル2は、その外周部分の上面側がケース3の上端部に形成された押え部4により押さえられる形状に形成されるとともに、そのタッチパネル2の内側周囲の配線部分がこの押え部4により、見えないように覆われた構造になっているものが知られている。このようなタッチパネル2では、その外周部分の上面側がケース3上端部の押え部4で覆われた形状に形成されているため、表面側が全体として平坦性に欠けた構造のものであった。
【0004】
一方、近年では、携帯電話機や携帯端末機等においては、タッチパネルの外周部が平坦に形成されていることが要望されている。このようなタッチパネルの表面側を平坦な構造にするためには、図5に示すように、外周側に小さな支持用の突起6を形成したケース5を使用し、表示パネル1の表面側に配置されるタッチパネル2の上面をケース5の内側上端部に一致させた状態で装着し、そのタッチパネル2上面及びケース5上面周囲の突起6の間を平坦化させる表示板7を貼り付けたものとすることができる。このような表示板7は、透明な薄い材料であるプラスチックフィルム8等からなり、ケース5の上端部及びタッチパネル2の周囲の配線部分が見えないように不透明な材料からなる黒枠印刷部9等を施したものを使用することができる。
【0005】
上記のようにタッチパネル2の上面に表示板7を貼り付けたものでは、透明な薄いプラスチックフィルム8等の材料を使用した場合には、表面にうねりが生じることで見栄に問題が生じやすくなり、またタッチ操作により薄いプラスチックフィルム8の表面に傷が付き易い欠点を生じることがあった。これに対して、この表示板7の材料をプラスチックフィルムでなく、ガラス等を使用した場合には、うねり等の問題を解決して見栄えを良くすることが可能であるが、適切な厚さのガラス板を使用する必要があるため、全体として重くなる欠点が生じることがあった。
【0006】
なお、携帯電話や携帯端末等の電子機器において、液晶等の表示素子の前面に光透過性のタッチパネルを装着して、このタッチパネルを通して背面の表示素子の表面を視認しながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の各機能の切換を行うためのタッチパネルが知られている(特許文献1)。また、液晶ディスプレイの表示画面上に配置し、透視した画面の表示の指示に従って使用者が表示画面を指やペンで直接押してデータの入力が行われるタッチパネルが知られている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−011598号公報(第2〜3ページ、図1)
【特許文献2】特開2005−339199号公報(第7〜9ページ、図1〜5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、近年では、携帯電話や携帯端末等の電子機器において、表示パネルの表面側に配置されるタッチパネルの外周部が平坦に形成されていることが要望されていることに対し、上面に薄いプラスチックフィルム等を使用した表示板を貼り付けたものを使用した場合には、表面にうねりが生じることで見栄に問題が生じやすく、またタッチ操作により表面に傷が付き易い欠点を生じることがあった。さらに、この表示板としてガラス板を使用する場合には、そのガラス板としてある程度の厚みが要求されるため、全体として重くなる欠点が生じることがあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、携帯電話機あるいは携帯端末機等の表示パネルの表面側に配置されるタッチパネルであって、その表面側を全体として平坦な状態にできるとともに見栄えも向上できるタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明にあっては、表示パネルの上面に配置される透明な上部基板及び下部基板から構成されるタッチパネルにおいて、前記上部基板の外周部側で前記下部基板側の表面に対峙する下面には、不透明部材からなる不透明領域が形成され、該上部基板の下面及び前記不透明領域の下面に透明電極を形成するとともに、前記不透明領域の下面に形成された前記透明電極の下面に金属電極が形成され、前記下部基板の前記上部基板に対峙する部分には透明電極が形成され、前記上部基板の不透明領域が形成された部分と前記下部基板の周縁部との間がシール部を介して対向させるよう配置されていることを特徴とするものである。携帯電話機あるいは携帯端末機等の表示パネルの表面側に配置されるタッチパネルで、その表面側を全体として平坦な状態にできるとともに見栄えも向上できる。
【0011】
請求項2に記載の発明にあっては、前記上部基板の周辺側は、該上部基板の表面より突出しない側面支持部により支持されていることを特徴とするものである。上部基板の周辺側が表面より突出しない側面支持部により支持されていることで、上部基板の表面側を全体として平坦にできる。
【0012】
請求項3に記載の発明にあっては、前記不透明領域を形成する不透明部材は、色彩を有するアクリル系のカラーフォトレジストまたは印刷塗料からなる不透明膜であることを特徴とするものである。不透明膜を色彩を有するアクリル系のカラーフォトレジストまたは印刷塗料とすることで、任意の色彩を採用することができる。
【0013】
請求項4記載の発明にあっては、前記上部基板及び下部基板は、透明な材料からなるガラスまたはプラスチックのいずれかであることを特徴とするものである。上部基板及び下部基板の材料をガラスまたはプラスチックのいずれかの材料を使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
表示パネルの上面に配置される透明な上部基板及び下部基板から構成されるタッチパネルにおいて、上部基板の外周部側で下部基板側の表面に対峙する下面には、不透明部材かななる不透明領域が形成され、上部基板の下面及び不透明領域の下面に透明電極を形成するとともに、不透明領域の下面に形成された透明電極の下面に金属電極が形成され、下部基板の上部基板に対峙する部分には透明電極が形成され、上部基板の不透明領域が形成された部分と下部基板の周縁部との間がシール部またはドットまたは接着剤を介して対向させるよう配置されていることで、その表面側を全体として平坦な状態にできるとともに見栄えも向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図示の一実施形態により具体的に説明する。図1は本発明実施形態のタッチパネルを説明する側面図、図2はタッチパネルの平面図である。
【0016】
本発明実施形態のタッチパネル10は、例えば、携帯電話機等の電子機器に設けられるものであり、その携帯電話機を構成する表示器側のケース21の表面側に近い内側に配置された表示パネル20の表面側に設けられているものである。このタッチパネル10は、表面が平坦な長方形状に形成された上部基板11と、この上部基板11の下面側を覆うように取付けられた下部基板17とから構成されている。この下部基板17は、一方側の端部が上部基板11よりやや短く形成され、その部分に電極取出部24が設けられている。この電極取出部24が設けられた側の上面はタッチパネル10の上部基板11と同じ程度の厚さの板状の側面支持部22で覆われ、かつ板状の側面支持部22が設けられた側でない上部基板11と下部基板17の周囲部分は、ケース21上部に形成された突起状の側面支持部23に当接されて保持されるようになっている。すなわち、タッチパネル10は、その周囲の板状の側面支持部22及び突起状の側面支持部23により覆われるとともに、その上面側が全体的に平坦になるように取付けられている。
【0017】
次に、上記のタッチパネル10の製造方法を具体的に説明する。図3は本発明実施形態のタッチパネルの製造方法を説明する図である。なお、図においてタッチパネル10は、図2におけるB―B線断面図を示しており、形状もその構造を説明するために強調した大きさとしている。
【0018】
図3(1)に示すように、タッチパネル10を構成する、所定の大きさの矩形状に形状された上部基板11は、例えば、携帯電話機等に使用されるものとして、縦が7〜8cm、横が4〜5cm程度の大きさで、厚さが0.2〜5mm程度の透明なガラス材を使用することができる。この上部基板11の表面には、不透明な材料から成る任意の色彩、例えば、黒色のアクリル系のフォトレジストからなる不透明膜12が、例えば、0.5〜2μm程度の厚さにで、または印刷5μm程度塗布される不透明膜である。
【0019】
次に、図3(2)に示すように、上部基板11の不透明膜12が形成された上面側に露光孔13aが形成されたマスク13により上部基板11の不透明膜12の表面を露光する。このマスク13の露光孔13aは、上部基板11の周囲部分の表面の不透明膜12が露光されるように形成されたものである。
【0020】
次に、図3(3)に示すように、上部基板11の露光された周囲部分に現像により不透明領域14を形成する。この不透明領域14は、図2に示すように、表示パネル20の表面側の周縁上部からタッチパネル10の上部基板11の内側周囲が上面側から見えないようにするものである。
【0021】
次に、図3(4)に示すように、不透明領域14が形成された上部基板11の表面に所定の膜厚として、例えば、100〜1000Å程度の厚さからなる透明導電膜を形成し、パターンエッチングにより上透明電極15が形成される。
【0022】
次に、図3(5)に示すように、不透明領域14が形成された領域の上透明電極15の上部に、銀(Ag)あるいはアルミニュ(Al)等を印刷あるいはスパッタ成膜配線により、例えば、100Å〜1μm程度の厚さからなる金属電極16を形成する。これにより上部基板11を形成することができる。
【0023】
次に、図3(6)に示すように、同様の方法により上部基板11と同じ程度の厚さの透明なガラス材などからなる下部基板17の表面に透明電極18を形成する。また、同様にして、100Å〜1μm程度の厚さからなる金属電極16を形成する。続いて上部基板11の金属電極16の形成側と、下部基板17の透明電極18が形成された側との間が所定の間隔に形成されるように、シール部19を介して対向させた状態に配置することによりタッチパネル10が形成される。
【0024】
上記のように形成されたタッチパネル10は、図1に示すように、表示パネル20の上面に配置されて取付けられる。このタッチパネル10は、不透明領域が形成されていない領域の下面に相当する部分に表示パネル20の上面に位置してタッチパネル10の上面側から表示パネル20の表示を見ることができ、かつ表示パネル20上部のタッチパネル10の不透明な金属電極16が不透明領域14により隠された状態となっている。
【0025】
上記構成のタッチパネル10では、板状の側面支持部22に囲われるとともに、他方の周辺部が上部基板11及び下部基板17と同じ程度の厚さからなる突起状の側面支持部23により囲われて装着されていることで、表面側を全体として平坦な状態にできるとともに見栄えも向上させることができる。表示パネル20の上面側に配置され、その一方の周辺部が上部基板11と同じ程度の厚さの側面支持部22が設けられ、タッチパネル10の周囲は、上部基板11の周囲の不透明領域14が形成された表面に不透明な金属電極16が形成されているため、この金属電極16が不透明領域14に隠されて見えないようになっている。従って、携帯電話機あるいは携帯端末機等の表示パネルの表面側に配置される本発明のタッチパネル10は、その表面側が全体として突起状の側面支持部23及び板状の側面支持部22と同じ平坦な状態にでき、かつ見栄えも向上させることができる。
【0026】
なお、上記実施形態において、上部基板11及び下部基板17をガラス材を使用した例を説明したが、アクリル樹脂あるいは他の樹脂材を使用することができ、厚さについても任意にできる。また、タッチパネルの方式に関しても静電方式あるいはアナログ方式のいずれにも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
携帯電話機あるいは携帯端末機等の表示パネルの表面側に配置されるタッチパネルで、その表面側を全体として平坦な状態にでき、見栄えも向上できるタッチパネルタッチパネルに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明実施形態のタッチパネルの断面図である。
【図2】本発明実施形態のタッチパネルの平面図である。
【図3】本発明実施形態のタッチパネルの製造方法を説明する図である。
【図4】従来のタッチパネルの構成を説明する断面図である。
【図5】従来のタッチパネルで表面に表示板を設けた断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 タッチパネル
11 上部基板
12 不透明部材
13 マスク
13a 露光孔
14 不透明領域
15 透明電極
16 金属電極
17 下部基板
18 透明電極
19 シール部
20 表示パネル
21 支持ケース
22,23 側面支持部
24 電極取出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの上面に配置される透明な上部基板及び下部基板から構成されるタッチパネルにおいて、
前記上部基板の外周部側で前記下部基板側の表面に対峙する下面には、不透明部材からなる不透明領域が形成され、該上部基板の下面及び前記不透明領域の下面に透明電極を形成するとともに、前記不透明領域の下面に形成された前記透明電極の下面に金属電極が形成され、前記下部基板の前記上部基板に対峙する部分には透明電極が形成され、前記上部基板の不透明領域が形成された部分と前記下部基板の周縁部との間がシール部を介して対向させるよう配置されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記上部基板の周辺側は、該上部基板の表面より突出しない側面支持部により支持されていることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記不透明領域を形成する不透明部材は、色彩を有するアクリル系のカラーフォトレジストまたは印刷塗料からなる不透明膜であることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記上部基板及び下部基板は、透明な材料からなるガラスまたはプラスチックのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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