説明

タッチ指示装置及びタッチパネル装置

【課題】本発明は、静電容量方式でタッチ操作するタッチ指示装置及び該タッチ指示装置を備えたタッチパネル装置に関する。
【解決手段】液晶表示タッチパネル部2は、そのタッチ指示部3が、非導電性部材で円筒形状に形成されている枠体41の該内部空間内に、アクリルパネル13に対して離接する方向に操作移動可能に、該アクリルパネル13側の面に位置センサ31との間での静電容量を変化させる指示誘電体52の設けられた指示操作板51が配置されているとともに、枠体41の内部空間内における指示操作板51の操作移動を、アクリルパネル13から離れたオフ位置とアクリルパネル13に近接したオン位置との間の操作可能範囲に規制する抜け防止部材43と指示位置規制部材42を設け、付勢部材60で、指示操作板51をアクリルパネル13から離隔する方向に付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ指示装置及びタッチパネル装置に関し、詳細には、静電容量方式でタッチ操作するタッチ指示装置及びタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示と操作の双方を兼ねて耐久性、耐水性にも優れていることから、液晶表示パネル等の表示パネルの表面に、タッチパネルを重ね合わせた表示タッチパネルが用いられるようになってきており、表示パネルに機能ボタンを表示して、タッチ操作された位置に対応する機能ボタンに予め割り当てられている機能処理を実行できるようにしている。
【0003】
このようなタッチパネル装置としては、種々の方式があるが、その一つとして、静電容量方式のタッチパネル装置がある。静電容量方式のタッチパネル装置は、指で触れられるタッチパネルの表面と該タッチパネルの下側にマトリックス状に配設されている複数のタッチセンサとの間で発生する静電容量が、該タッチパネルの表面が指でタッチされることで、該タッチされた位置のタッチパネル表面と該タッチ位置に対向する位置のタッチセンサとの間の静電容量が変化し、この静電容量の変化がいずれのタッチセンサで発生したかを検出することでタッチ位置を検出する。
【0004】
ところが、タッチ操作を行うのに、表面電荷の変化のしにくい手袋を被せた手や義手等で操作すると、絶縁によりタッチパネルの表面静電気が変化しにくいため、タッチ操作を検出することができない。
【0005】
そこで、従来、指先のタッチパネル操作面に導電体を取り付けた静電容量式タッチパネル操作用手袋が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術にあっては、手袋の指部分に導電体を取り付けているため、タッチパネルを操作するたびに手袋を装着する必要があり、利用性が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、適切なタッチ操作を利用性が良好な状態で行うことのできるタッチ指示装置及びタッチパネル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、所定の非導電性部材で所定の筒形状に形成され該筒形状の内部空間がタッチ操作板と交差する方向に形成されている枠部材の該内部空間内に、該タッチ操作板に対して離接する方向に操作移動可能に、該タッチ操作板側の面にタッチセンサとの間での静電容量を変化させる対極部材の設けられた指示操作部材を配置するとともに、該枠部材の内部空間内における該指示操作部材の操作移動をタッチ操作板から所定距離だけ離れたオフ位置と該タッチ操作板に近接したオン位置との間の操作可能範囲に規制する規制部材を設け、付勢手段で、該指示操作部材を前記タッチ操作板から離隔する方向に付勢することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記付勢手段が、前記操作可能範囲内の途中位置であってタッチ操作がオフ状態である半押し位置において前記指示操作部材を所定の安定した半押し操作状態で維持する半押し状態維持構造を有していることを特徴としてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記付勢手段が、第1付勢手段と第2付勢手段を備え、前記第1付勢手段は、少なくとも前記半押し位置から前記オフ位置の間で前記指示操作部材を付勢し、前記第2付勢手段は、前記オン位置から前記半押し位置までの間で前記指示操作部材を付勢することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記指示操作部材が、透明部材で形成され、該指示操作操作部材の前記対極部材の上部略中央位置に操作位置を示す操作マークが付与されていることを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、前記枠部材が、その側面の周方向の一部が所定周方向幅に渡って前記操作方向に所定長さに渡って切り取られて前記内部空間と外部とを連通する開口部が形成されており、前記指示操作部材が、前記枠部材の前記開口部に進入する形状に形成され、前記対極部材が、前記開口部に位置する前記指示操作部材に設けられていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、厚手の手袋をはめた指や義手の指等の導電性を有していない状態の指等によってもタッチ操作を適切に行うことができ、利用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例を適用した操作表示部の概略平面図。
【図2】液晶表示パネル部の側面図。
【図3】コントローラのブロック構成図。
【図4】タッチ指示部の非操作時の側面断面図。
【図5】タッチ指示部のオン操作時の側面断面図。
【図6】タッチ操作検出処理を示すフローチャート。
【図7】第2実施例のスイッチ指示部における非操作状態、半押し状態及び操作状態における側面断面図。
【図8】第2実施例の他のスイッチ指示部における非操作状態、半押し状態及び操作状態における側面断面図。
【図9】第3実施例のタッチ指示部の正面図と平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図6は、本発明のタッチ指示装置及びタッチパネル装置の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明のタッチ指示装置及びタッチパネル装置の第1実施例を適用した機器の操作表示部1の平面図である。
【0017】
図1において、操作表示部1は、液晶表示タッチパネル部2、タッチ指示部(タッチ指示装置)3、タッチ指示格納部4、操作部5、音声出力部6及び電源スイッチ7等が設けられており、複合装置、複写装置、ファクシミリ装置等の機器の操作表示部である。
【0018】
タッチ指示部3は、後で詳細に説明するように、液晶表示タッチパネル部2の表面上を移動させてタッチ操作を行いたい位置で指示操作することでタッチ指示を行うのに使用され、タッチ指示格納部(格納部)4は、タッチ指示部3が使用されないときに格納される場所である。
【0019】
タッチ指示格納部4には、図示しないが、巻き取り機構部(巻き取り手段)が配設されており、巻き取り機構部とタッチ指示部3とは、ケーブル(ひも状部材)8で繋がれている。巻き取り機構部は、所定の巻き取り力でケーブル8の巻き取りを行うことで、タッチ指示部3が使用されるときには、少なくとも液晶表示タッチパネル部2の全表面に移動可能な状態でケーブル8を出し、タッチ指示部3への操作力がなくなると、ケーブル8を巻き取ってタッチ指示部3をタッチ指示格納部4に引き戻して格納させる。このタッチ指示格納部4は、その格納面が液晶表示タッチパネル部2の表面と同じ高さの面となっており、巻き取り機構部にケーブル8が巻き取られることで、タッチ指示部3が液晶表示タッチパネル部2の表面上を移動してタッチ指示格納部4にスムーズに入り、また、タッチ指示格納部4に格納されているタッチ指示部3を指Pによって滑らせた状態で液晶表示タッチパネル部2上に移動可能な状態となっている。
【0020】
操作部5は、機器に意図する操作を行わせるのに必要な操作を行うための各種操作キー(テンキー、ファンクションキー等)が設けられており、音声出力部6は、操作表示部1の操作音や操作表示部1または操作表示部1の適用されている機器から利用者に通知する各種情報を音声出力する。電源スイッチ7は、操作表示部1の適用されている機器の電源のオン/オフに使用される。
【0021】
液晶表示タッチパネル部2は、図2に示すように、液晶表示パネル部11、タッチパネル部12及びアクリルパネル(タッチ操作板)13が順次積層されており、液晶表示パネル部11は、通常の液晶表示パネル部等であって、機器から利用者に通知する各種情報や適宜の機能が割り当てられた機能ボタンを表示する。
【0022】
タッチパネル部12は、X軸方向とY軸方向に形成された検出ラインによってマトリックス状に位置センサ31(図3参照)が形成されており、指で触れられるアクリルパネル13の表面とアクリルパネル13の下側にマトリックス状に配設されている位置センサ31との間で発生する静電容量が、アクリルパネル13の表面が指Pやタッチ指示操作3によってタッチ操作されることで、該タッチされた位置のタッチパネル表面と該タッチ位置に対向する位置の位置センサ31との間の静電容量が変化して、この静電容量の変化がいずれの位置センサ31で発生したかを検出することでタッチ位置を検出する。
【0023】
液晶表示パネル部11とタッチパネル部12には、操作表示部1のコントローラ20が接続されており、コントローラ20は、制御部21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、タッチパネル制御部24及び液晶表示制御部25等を備えている。
【0024】
ROM(Read Only Memory)22内には、操作表示部1の動作制御を行うプログラム及び必要なシステムデータが格納されており、RAM23は、ワークメモリとして利用される。
【0025】
液晶表示制御部25は、制御部21のCPU21aの制御下で液晶表示パネル部11の駆動を制御して、機器から利用者に通知する各種情報や適宜の機能が割り当てられた機能ボタンを液晶表示パネル部11に表示させる。
【0026】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit )21a及び判定部21b等を備えており、CPU21aがROM22内のプログラムに基づいてRAM23をワークメモリとして利用しつつ操作表示部1の各部を制御して、操作表示部1としての処理を実行するとともに、後述するタッチ指示部3または素手の指Pを使用したタッチ操作制御処理を実行する。判定部21bは、後述するタッチ操作制御処理において、RAM23に保管されているタッチ閾値を用いて、タッチ操作が行われたか否かのタッチ判定処理を行う。
【0027】
タッチパネル制御部24は、上記位置センサ31、切替回路部32、発振回路部33及び変換部34等を備えており、位置センサ31は、上述のように、X軸方向とY軸方向に形成された検出ラインによってマトリックス状に多数形成されている。
【0028】
発振回路部33は、多数の位置センサ31のそれぞれとタッチ指示部3または指Pとの間に、該位置センサ31とタッチ指示部3または指Pとの間の静電容量に応じた発信周波数の検出信号を発生し、発信回路部33としては、RC発信回路等が用いられている。
【0029】
切替回路部32は、制御部21の制御下で発振回路33と多数の各位置センサ31との間のうちどの位置センサ31を検出対象とするかの切り替えを時分割で行う。
【0030】
変換部34は、発振回路部33によってタッチ指示部3または指Pと各位置センサ31との間の静電容量に応じて発生される周波数の高周波の検出信号を、該周端数に応じた検出電圧に変換して、制御部21の判定部21bに出力する。上記発振回路部33、切替回路部32及び変換部34は、全体として、アクリルパネル13上のタッチ指示部3とタッチ指示部3に対向する位置に形成されている位置センサ31との間に生成されてタッチ指示部3のタッチ操作状態に応じて変化する静電容量に基づくタッチ指示部3のタッチ操作状態を検出する操作状態検出手段として機能する。
【0031】
判定部(判定手段)21は、変換部34から入力される検出電圧を予めROM22等に保管されているスイッチオン閾値電圧と比較して該位置センサ31のオン/オフ、すなわち、該位置センサ31でタッチ指示部3が指示操作されたか、または、指Pがタッチ操作されたかを判定する。
【0032】
CPU21aは、判定部21bの判定結果に基づいて、液晶表示制御部25を該位置センサ31の位置に表示させている
そして、上記タッチ指示部3は、図4及び図5に示すように、収納部材40、収納部材40内で移動可能に保持されている指示部材50及び指示部材50をアクリルパネル13から離隔する方向に付勢する付勢部材60を備え、収納部材40は、略円筒形状に形成された枠体(枠部材)41と、収納部材40がアクリルパネル13上に指示操作可能な状態で置かれた状態(円筒の軸がアクリルパネル13の面と直交する状態)でアクリルパネル13側に位置して収納部材40内の指示部材50のアクリルパネル13側への移動位置を規制する指示位置規制部材42と、枠体41内の指示部材が枠体41外に抜けるのを防止する抜け防止部材43と、を備えている。収納部材40は、少なくとも枠体41が、非導電性部材(絶縁部材)で形成されており、枠体41は、少なくともアクリルパネル13と接触する面が、アクリルパネル13上をスムースに移動可能な状態に表面仕上げされている。なお、枠体41は、円筒形状に限るものではなく、四角筒、五角筒、六角筒筒の筒形状に形成されていれば、その形状は、限定されるものではない。
【0033】
指示部材50は、円筒形状の枠体41内でその軸方向に移動可能な所定厚さを有する円板形状に形成された指示操作板(指示操作部材)51と、指示操作板51のアクリルパネル13側の面に取り付けられた指示誘電体(対極部材)52と、を備えており、指示操作板51が、枠体41内で、指示位置規制部材42と抜け防止部材43の間で移動可能に収納されている。
【0034】
指示位置規制部材42は、図5に示すように、少なくとも指示操作板51の下面(アクリルパネル13側の面)に取り付けられた指示誘電体52が通過可能であるが、指示操作板51が通過不可能な大きさの中空部の形成されているリング形状に形成されており、指示誘電体52の厚さと指示操作板51の上面(アクリルパネル13とは反対側の面)は、指示操作板51の下面が指示位置規制部材42の上面に当接してアクリルパネル13方向への移動が規制された位置(オン位置)のときに、指示操作板51の下面に取り付けられている指示誘電体52の下面(アクリルパネル13側の面)がアクリルパネル13に接触または近接する位置となる関係に設定されている。また、抜け防止部材43は、指示操作板51が抜け落ちるのを適切に防止するとともに、指示操作板51をアクリルパネル13方向に指Pで押下操作するのに操作しやすい大きさの中空部の形成されているリング形状に形成されている。
【0035】
そして、上記付勢部材(付勢手段)60は、所定の弾性を有する弾性部材、例えば、板バネ等が用いられ、指示位置規制部材42上に配設されている。付勢部材60は、図3に示すように、指示操作板51を抜け防止部材43方向に付勢し、指示操作板51が押下操作されていない状態のときには、指示操作板51を抜け防止部材43に押し当てる状態(オフ位置)に付勢する。なお、指示操作板51は、上記抜け防止部材43に当接する位置であるオフ位置と指示位置規制部材42に当接する位置であるオン位置の間を操作可能範囲として移動する。
【0036】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の操作表示部1は、静電容量方式のタッチパネル部12上に備え付けられているタッチ指示部3をアクリルパネル13上の意図する位置で押下操作することで、手袋をはめた状態や義手によってもタッチ操作を適切かつ容易に行う。
【0037】
すなわち、操作表示部1は、液晶表示タッチパネル部2において、制御部21のCPU21aの制御によって液晶表示制御部25を介して液晶表示パネル部11に各種情報や機能ボタン等を表示し、通常の手袋をはめない素手の指Pでタッチ操作することで、機能ボタンのタッチ操作等を行うことができるだけでなく、タッチ指示格納部4に格納されているタッチ指示部3を引っ張り出して、意図する機能ボタン上で指示操作板51を押下操作(指示操作)することで、機能ボタンのタッチ操作等を行うことができる。
【0038】
すなわち、コントローラ20は、図6に示すように、タッチパネル制御部24の切替回路部32が、各位置センサ31と順次接続を行って(ステップS101)、各位置センサ31と指Pまたはタッチ指示部3の指示誘電体52との間で形成される静電容量に応じて周波数変調された検出信号を変換部34に出力し(ステップS102)、変換部34で、該検出信号の周波数に応じた検出電圧値に変換して制御部21の判定部21bに出力する(ステップS103)。
【0039】
すなわち、タッチ指示部3でタッチ操作を行う場合、位置センサ31における透過的な静電容量をCとすると、静電容量Cは、以下の等価式(1)で示される。
【0040】
C=ε*S/d・・・(1)
ここで、εは、近似的な強誘電体の比誘電率であり、Sは、指示誘電体52の表面積、dは、指示誘電体52と位置センサ31との距離である。
【0041】
判定部21bは、検出電圧をROM22等に予め保管されているスイッチオン閾値電圧と比較して該位置センサ31のオン/オフ、すなわち、該位置センサ31でタッチ指示部3が指示操作されたか、または、指Pがタッチ操作されたかを判定し(ステップS104)、タッチ操作が行われていないと判定すると、ステップS101に戻って、次の位置センサ31に対して同様にタッチ操作の有無を判定する(ステップS101〜S104)。
【0042】
ステップS104で、タッチ操作が行われたと判定部21bが判定すると、CPU21aは、該押下位置を確定してタッチ操作の受け付け処理を行い(ステップS105)、音声出力部6からブザー等のタッチ操作を受け付けた旨の通知出力を行った後、該タッチ位置に表示している機能ボタンに割り当てた機能に応じた処理を行ったり、液晶表示制御部25を介して液晶表示パネル部11の画面表示を変更する等の処理を行う(ステップS106)。
【0043】
そして、上記タッチ操作をタッチ指示部3で行う場合、利用者は、手袋をはめたままの指Pや義手の指P等でタッチ指示部3をタッチ指示格納部4から引っ張り出して液晶表示タッチパネル部2のアクリルパネル13上を滑らせて意図するタッチ位置に移動させる。このとき、タッチ指示部3は、収納部材40の枠体41の底面がアクリルパネル13上面と接触しながら移動するが、枠体41の底面が、アクリルパネル13上をスムースに移動可能な状態に表面仕上げがされているため、スムースに移動させることができる。
【0044】
利用者は、枠体41の軸中心を意図するタッチ位置へ移動させると、図5に示すように、指Pで指示部材50の指示操作板51をアクリルパネル13方向に、指示操作板51が指示位置規制部材42に当接するまで押下する。
【0045】
指示操作板51が押下されて、該指示操作板51の押下に応じて指示誘電体52がアクリルパネル13の方向に移動し、指示移動体51が指示位置規制部材42に当接する位置まで押下されると、指示誘電体52と該押下位置の位置センサ31との間の静電容量が、上述のように、判定部21bがタッチ操作オンを検出する状態の静電容量となる。
【0046】
利用者は、ブザー音等のタッチ操作受け付け通知があると、指示移動体51の押下操作を解除して、次にタッチ操作を行いたい位置にタッチ指示部3をアクリルパネル13面上を滑らせるようにして移動させて、上記同様に押下操作することで、順次タッチ操作を行うことができる。そして、全てのタッチ操作を完了すると、利用者は、タッチ指示部3から指を離す。
【0047】
タッチ指示部3は、利用者による操作が終了して離されると、ケーブル8によって巻き取り機構部に繋がれているため、巻き取り機構部によってケーブル8が巻き取られることで、タッチ指示格納部4に引き戻されて、タッチ指示格納部4に格納される。
【0048】
このように、本実施例の操作表示部1の液晶表示タッチパネル部2は、そのタッチ指示部3が、非導電性部材で円筒形状に形成され該円筒形状の内部空間がアクリルパネル13と交差する方向に形成されている枠体41の該内部空間内に、アクリルパネル13に対して離接する方向に操作移動可能に、該アクリルパネル13側の面に位置センサ31との間での静電容量を変化させる指示誘電体52の設けられた指示操作板51を配置するとともに、枠体41の内部空間内における指示操作板51の操作移動をアクリルパネル13から所定距離だけ離れたオフ位置とアクリルパネル13に近接したオン位置との間の操作可能範囲に規制する抜け防止部材43と指示位置規制部材42を設け、付勢部材60で、指示操作板51をアクリルパネル13から離隔する方向に付勢している。
【0049】
したがって、厚手の手袋をはめた指Pや義手の指P等の導電性を有していない状態の指P等によってタッチ指示部3の指示操作板51を操作することでタッチ操作を適切に行うことができ、利用性を向上させることができる。
【実施例2】
【0050】
図7は、本実施例のタッチ指示装置及びタッチパネル装置の第2実施例を適用した操作表示部のタッチ指示部70の側面断面図である。
【0051】
なお、本実施例は、上記第1実施例の操作表示部1と同様の操作表示部に適用したものであり、本実施例の説明においては、上記第1実施例と同様の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化するとともに、図示しない部分についても、必要に応じて第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
【0052】
図7において、タッチ指示部70は、第1実施例のタッチ指示部3と同様の収納部材40と収納部材40内で移動可能に保持されている指示部材50を備えているとともに、指示部材50をアクリルパネル13から離隔する方向に付勢する付勢部材71を備えている。なお、図7(a)は、非操作時のタッチ指示部70の側面断面図、図7(b)は、半押し状態のタッチ指示部70の側面断面図、図7(c)は、オン操作時のタッチ指示部70の側面断面図である。
【0053】
付勢部材(付勢手段)71は、所定の弾性を有する弾性部材、例えば、板バネ等が用いられ、指示位置規制部材42上に配設されて、図7(a)、(b)に示すように、指示操作板51を抜け防止部材43方向に付勢する。付勢部材71は、指示操作板51が押下操作されていない状態のときには、図7(a)に示すように、指示操作板51を抜け防止部材43に押し当てる状態で付勢し、指示操作板51が図7(c)に示す指示位置規制部材42に当接するタッチ操作位置と図7(a)に示す押下操作されていない非タッチ操作位置との中間の位置である図7(b)に示す半押し位置において、所定の安定した半押し状態で保持する機能を有している。付勢部材71は、例えば、板バネ等の板状の弾性体が使用されているときには、付勢部材71の指示位置規制部材42に取り付けられている端部とは反対側の端部が、図7(b)に示すように、この半押し位置で指示位置規制部材42に当接することで、所定の安定した半押し状態を保持する。そして、この半押し状態の指示操作板51は、指示誘電体52の位置が、判定部21bによってタッチ操作がオフと判定される位置に設定されている。すなわち、付勢部材71は、その半押し状態でその先端が指示位置規制部材42に当接して半押し状態を維持する半押し状態維持構造を有している。
【0054】
タッチ指示部70は、指示操作板51が、上記半押し位置から付勢部材71の付勢力に抗してさらに押下されると、図7(c)に示すように、指示操作板51は、指示位置規制部材42に当接するタッチ操作位置まで移動する。
【0055】
なお、図示しないがタッチ指示部70は、図示しないケーブル8によって、タッチ指示格納部4に配設されている巻き取り機構部と繋がれており、ケーブル8を介して巻き取り機構部によってタッチ指示格納部4に格納される。
【0056】
すなわち、本実施例のタッチ指示部70は、付勢部材71が、タッチ操作がオフの位置である半押し状態で指示操作板51を保持するため、図7(b)に示したように、タッチ操作がオフである指示操作板51を半押しした状態で、タッチ指示部70を、利用者が次にタッチ操作を行いたい位置へアクリルパネル13上を移動させることができ、タッチ指示部70の操作性を向上させることができる。
【0057】
このように、本実施例のタッチ指示部70は、付勢部材71が、操作可能範囲内の途中位置であってタッチ操作がオフ状態である半押し位置で指示操作板51を所定の安定した半押し操作状態で維持する半押し状態維持構造を有している。
【0058】
したがって、タッチ指示部70の指示操作板51に手袋をはめた指Pや義手の指Pを半押し状態で押し当てた状態で、アクリルパネル13上を次にタッチ操作したい場所にタッチ指示部70を移動させることができ、操作性をより一層向上させることができる。
【0059】
また、本実施例の場合、例えば、図8(a)〜(c)にタッチ指示部80を示すように、付勢部材として、第1付勢部材(第1付勢手段)81と第2付勢部材(第2付勢手段)82の2つを設けてもよい。なお、図8(a)は、非操作時のタッチ指示部80の側面断面図、図8(b)は、半押し状態のタッチ指示部80の側面断面図、図8(c)は、オン操作時のタッチ指示部80の側面断面図である。
【0060】
この場合、指示操作板51が半押し位置まで押し下げられるまでは、第1付勢部材81のみで指示操作板51をアクリルパネル13から離隔する方向に付勢し、指示操作板51が半押し位置まで押し下げられると、第2付勢部材82の付勢力が作用して、所定の安定した保持状態で半押し状態とする。すなわち、指示操作板51が抜け防止部材43に当接するオフ位置から半押し位置までの間は、第1付勢部材81のみが指示操作板51を付勢し、指示操作板51が半押し位置から指示位置規制部材42に当接するオン位置までの間は、第1付勢部材81と第2付勢部材82が指示操作板51を付勢する。
【0061】
このようにすると、指示操作板51の半押し状態をより一層安定した状態とすることができ、タッチ指示部70の操作性を向上させることができる。
【0062】
なお、半押し位置からオフ位置の間では、第1付勢部材のみが指示操作板51を付勢し、オン位置から半押し位置までの間では、第2付勢部材のみが指示操作板51を付勢するようにしてもよい。この場合、第1付勢部材よりも第2付勢部材の付勢力を所定量だけ大きく設定する。
【実施例3】
【0063】
図9は、本実施例のタッチ指示装置及びタッチパネル装置の第3実施例を適用した操作表示部のタッチ指示部90の正面図と平面図である。
【0064】
なお、本実施例は、上記第1実施例の操作表示部1と同様の操作表示部に適用したものであり、本実施例の説明においては、上記第1実施例と同様の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化するとともに、図示しない部分についても、必要に応じて第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
【0065】
図9(a)及び図9(b)において、タッチ指示部90は、第1実施例のタッチ指示部12及び第2実施例のタッチ指示部70と同様に、収納部材100と指示部材110及び図示しない付勢部材を備えている。収納部材100は、略五角形の枠体(枠部材)101と指示位置規制板(規制部材)102を有しており、第1実施例及び第2実施例で設けられていた抜け防止部材43は、本実施例の収納部材100では、枠体101と一体的に抜け防止部(規制部材)101aとして形成されている。枠体101は、その五角形の先端角部が切り取られて、枠体101の内部が外部に開口する開口部101bに形成されており、該開口部101bから枠体101内に外部から光が入りやすい構成となっている。
【0066】
枠体101内には、指示部材110が移動可能に収納されており、指示部材110は、枠体101の形状に合わせて略五角形に形成された指示操作板111と指示操作板111の裏面(アクリルパネル13側の面)に取り付けられた指示誘電体(対向部材)112で構成されている。指示操作板111の指示誘電体112の取り付けられている位置の中心には、図9(b)に示すように、タッチ操作位置を示す「+」印の操作位置マーク(操作マーク)Mが付与されており、操作位置マークMは、「+」印のマークに限るものではなく、タッチ操作位置を明確に分かるマークであれば適宜のマークを用いることができる。
【0067】
指示操作板111は、第1実施例及び第2実施例の指示操作板51と同様に、その全体が抜け防止部101aと指示位置規制板102との間で、図示しない付勢部材によって抜け防止部101a方向に付勢されていて、枠体101内で指示操作板111全体がアクリルパネル13方向とアクリルパネル13から離隔する方向に移動可能に収納されている。なお、指示操作板111は、上述のようにその全体がアクリルパネル13に対して移動する状態で枠体101内に収納されている場合に限るものではなく、例えば、指示誘電体112と反対側の端部で回動可能に枠体101に支持されていて、指示誘電体112側の端部がアクリルパネル13から離隔する方向に図示しない付勢部材で付勢されている構成となっていてもよい。この場合、指示操作板111の操作位置マークM部分が押下操作されると、指示誘電体112側の端部のみがアクリルパネル13方向に回動移動し、押下が解除されると、付勢部材によって枠体101の抜け防止部101aに当接する位置までアクリルパネル13から離隔する方向に回動する。
【0068】
そして、タッチ指示部90は、少なくとも指示操作板111が透明な部材で形成されており、指示操作板111を通してタッチ位置を視認できるようになっている。なお、枠体01や指示市来性部材102等の他の部材も透明な部材で形成してもよく、このようにすると、外部の光を指示操作板111と枠体101の開口部101bを通して取り入れるだけでなく、枠体101を通して枠体101内に取り込むことができ、意図するタッチ位置の視認性をより一層向上させることができる。
【0069】
なお、図示しないがタッチ指示部90は、図示しないケーブル8によって、タッチ指示格納部4に配設されている巻き取り機構部と繋がれており、ケーブル8を介して巻き取り機構部によってタッチ指示格納部4に格納される。
【0070】
すなわち、本実施例のタッチ指示部90は、利用者が指示操作板111を通してタッチ操作を行いたい位置を視認しながら移動され、意図するタッチ操作位置に指示誘電体102の上部に付与されている操作位置マークM部分が押下操作されると、コントローラ20が該押下操作を検知してタッチ検出を行う。
【0071】
したがって、タッチ操作位置の視認性を向上させることができ、より一層操作性を向上させることができる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、静電容量方式でタッチ操作を検出するタッチパネル装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 操作表示部
2 液晶表示タッチパネル部
3 タッチ指示部
4 タッチ指示格納部
5 操作部
6 音声出力部
7 電源スイッチ
8 ケーブル
11 液晶表示パネル部
12 タッチパネル部
13 アクリルパネル
20 コントローラ
21 制御部
21a CPU
21b 判定部
22 ROM
23 RAM
24 タッチパネル制御部
25 液晶表示制御部
31 位置センサ
32 切替回路部
33 発振回路
34 変換部
P 指
40 収納部材
41 枠体
42 指示位置規制部材
43 抜け防止部材
50 指示部材
51 指示操作板
52 指示誘電体
60 付勢部材
70 タッチ指示部
71 付勢部材
80 タッチ指示部
81 第1付勢部材
82 第2付勢部材
90 タッチ指示部
100 収納部材
101 枠体
101a 抜け防止部
101b 開口部
102 指示位置規制板
110 指示部材
111 指示操作板
112 指示誘電体
M 操作位置マーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2008−81896号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサに発生する静電容量の変化に基づいてタッチ操作板表面の所定の操作位置におけるタッチ操作のオン/オフ状態を検出するタッチパネル装置に用いられるタッチ指示装置であって、
所定の非導電性部材で所定の筒形状に形成され該筒形状の内部空間が前記タッチ操作板と交差する方向に形成されている枠部材と、
前記枠部材の前記内部空間内で前記タッチ操作板に対して離接する方向に操作移動可能に配設されている指示操作部材と、
前記指示操作部材の前記タッチ操作板側の面に設けられ該指示操作部材の操作位置に応じて前記タッチセンサとの間での前記静電容量を変化させる対極部材と、
前記枠部材の前記内部空間内における前記指示操作部材の前記操作移動を前記タッチ操作板から所定距離だけ離れたオフ位置と該タッチ操作板に近接したオン位置との間の操作可能範囲に規制する規制部材と、
前記指示操作部材を前記タッチ操作板から離隔する方向に付勢する付勢手段と、
を備えていることを特徴とするタッチ指示装置。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記操作可能範囲内の途中位置であってタッチ操作がオフ状態である半押し位置において前記指示操作部材を所定の安定した半押し操作状態で維持する半押し状態維持構造を有していることを特徴とする請求項1記載のタッチ指示装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、第1付勢手段と第2付勢手段を備え、前記第1付勢手段は、少なくとも前記半押し位置から前記オフ位置の間で前記指示操作部材を付勢し、前記第2付勢手段は、前記オン位置から前記半押し位置までの間で前記指示操作部材を付勢することを特徴とする請求項2記載のタッチ指示装置。
【請求項4】
前記指示操作部材は、透明部材で形成され、該指示操作操作部材の前記対極部材の上部略中央位置に操作位置を示す操作マークが付与されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のタッチ指示装置。
【請求項5】
前記枠部材は、その側面の周方向の一部が所定周方向幅に渡って前記操作方向に所定長さに渡って切り取られて前記内部空間と外部とを連通する開口部が形成されており、
前記指示操作部材は、前記枠部材の前記開口部に進入する形状に形成され、
前記対極部材は、前記開口部に位置する前記指示操作部材に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のタッチ指示装置。
【請求項6】
タッチ操作板表面の所定の操作位置でタッチのオン操作/オフ操作が行われるタッチ指示手段と、
該タッチ操作板上の前記タッチ指示手段と該タッチ指示手段に対向する位置に形成されているタッチセンサとの間に生成されて該タッチ指示手段のタッチ操作状態に応じて変化する静電容量に基づく該タッチ指示手段の該タッチ操作状態を検出する操作状態検出手段と、
前記操作状態検出手段の検出結果に応じて前記タッチ指示手段によるタッチ操作のオン/オフ状態を判定する判定手段と、
を備えたタッチパネル装置であって、
前記タッチ指示手段として、前記請求項1から請求項5のいずれかに記載のタッチ指示装置を備えていることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項7】
前記タッチパネル装置は、
前記タッチ操作板上から外れた位置であって該タッチ操作板と略同一平面上に形成された格納部と、
前記タッチ装置とひも状部材で連結され該ひも状部材を巻き取ることで該タッチ装置を前記格納部に格納する巻き取り手段と、
を備えていることを特徴とする請求項6記載のタッチパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−218175(P2010−218175A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63676(P2009−63676)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】