説明

タバコ加工産業の棒状の物品を把持するための装置

【課題】
タバコ加工産業の棒状の物品の取扱いを、機械的にしっかりとした装置によって改善し、棒状の物品の取扱いを優しく行なう。
【解決手段】
グリップヘッド(10)が、円形に配設された複数のグリップトング(14)を備え、これらグリップトング(14)が、グリップヘッド閉鎖装置(30)によって操作可能であり、グリップヘッド(10)とグリップヘッド閉鎖装置(30)間の相対移動によりグリップヘッド(10)とグリップヘッド閉鎖装置(30)が協働して、円形に配設されたグリップトング(14)の横断面の直径が変更可能であることを特徴とする、タバコ加工産業の棒状の物品(20)を把持するための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ加工産業の棒状の物品を把持するための装置に関する。本発明は、更に、このような装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ加工産業の棒状の物品とは、本発明の範囲内では、特にフィルタ棒、タバコスティック、フィルタシガレットとする。
【0003】
タバコ加工産業の前記棒状の物品の製造又は次処理をする場合、棒状の物品を長手方向軸の方向に移動させること又は回転させることが、時々必要になる。
【0004】
更に、例えば、試験運転又は実験運転で個々の喫煙物の製造もしくは加工をするための特許文献1から、喫煙物の周囲を保持する保持装置が設けられた、喫煙物内に流動性の媒体を導入するための装置が公知である。この場合、保持装置は、喫煙物グループの収容部の長手方向軸を中心として回転可能に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第100 52 409号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、タバコ加工産業の棒状の物品の取扱いを、機械的にしっかりとした装置によって改善し、棒状の物品の取扱いを優しく行なうことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、グリップヘッドが、円形に配設された複数のグリップトングを備え、これらグリップトングが、グリップヘッド閉鎖装置によって操作可能であり、グリップヘッドとグリップヘッド閉鎖装置間の相対移動によりグリップヘッドとグリップヘッド閉鎖装置が協働して、円形に配設されたグリップトングの横断面の直径が変更可能であることを特徴とする、タバコ加工産業の棒状の物品を把持するための装置によって解決される。
【0008】
本発明は、グリップヘッドの終端部の移動可能なトングが、グリップトングもしくはグリップヘッドとグリップヘッド閉鎖装置間の相対移動によりグリップトングとグリップヘッド閉鎖装置が協働して、円形に配設されたグリップトングの横断面の直径が変更可能であり、これにより、グリップヘッドとグリップヘッド閉鎖装置間の相対的な、特に直線的な移動が行なわれた場合に、横断面の直径が、縮小又は拡大されるとの思想に基づく。
【0009】
例えば、グリップヘッド閉鎖装置は、円錐形のリングによって形成され、グリップヘッドに配設されたグリップトングが、形成されたリングの円錐内に直線的に可動に配設されている。特に、グリップトングは、一方が開放した空所を形成し、この空所内に、棒状の物品又はその上端が導入可能であるか、収容される。
【0010】
このため、グリップヘッドは、直線的に移動可能であるか、直線的に移動される。グリップトングが配設されたグリップヘッドがグリップヘッド閉鎖装置に対して相対的な直線的な移動を行なうことにより、グリップトングの横断面の直径が狭まるので、グリップヘッド閉鎖装置と協働して、グリップトングは、半径方向に円形に配設されたグリップトングの中心点に向かって、グリップヘッドの直線的な移動方向に対して横、特に垂直、に移動される。グリップヘッドが、グリップヘッド閉鎖装置から引き出されると、グリップヘッドが開き、これにより、グリップトングが、半径方向外側に向かって移動して開き、中心点に対するグリップトングの半径方向の間隔が、グリップヘッドが後方に移動している間に拡大する。
【0011】
更に、一形成では、グリップヘッド閉鎖装置が、グリップヘッドの特に相対的な移動方向に対して、円形に配設されたグリップトングの横断面の直径を小さくするために、横断面が先細る又は横断面が狭まるように形成されているか、横断面の先細り部もしくは横断面の狭まる部分を有するように形成されており、これにより、例えば、円錐形に形成されたグリップヘッド閉鎖装置にグリップヘッドを導入した時に、グリップトングが、棒状の物品の先端部と接触させられる。特に、連続的な移動によって、グリップヘッドは、把持すべき棒状の物品の方向に移動され、これにより、グリップヘッドが、優しく、把持すべき棒状の物品の端面側の先端部に当接し、これにより、棒状の物品が、把持及び保持される。この場合、グリップトングは、棒状の物品の先端部の周囲を包囲する。
【0012】
特に、グリップトングの外面は、グリップヘッド閉鎖装置と接触可能であり、これにより、特に円錐形に狭まるグリップヘッド閉鎖装置又は特に円錐形に拡大するグリップヘッド閉鎖装置と協働して、グリップトングの外面は、グリップヘッド閉鎖装置の内面と接触させられ、これにより、連続的に、円形に配設されたグリップトングの中心点に対する半径方向の間隔が、従って、円形に配設されたグリップトングの横断面の直径が、変更可能であるか、調整される。
【0013】
有利なことに、グリップトングは、内面に、弾性材料を、特にトング終端部に備え、これにより、棒状の物品の機械的に敏感で脆弱な先端部は、優しく、グリップトングの内面に把持及び保持される。特に、グリップトングの内側のトング終端部を弾性材料で内張りすることによって、先端部を保持及び把持する際に、棒状の物品のシリンダ状の形状を維持することができる。
【0014】
加えて、好ましい実施形は、グリップトングが、グリップヘッドの弾性セグメントとして形成されていることによって際立っているので、例えば、棒状の物品の先端部に対するグリップトングの接触を解除するためにグリップヘッドを後退運動させた時に、グリップトングは、自動的にグリップヘッド終端部の開放位置に移行するか、グリップトングが弾性的に復元することに基づいてグリップトングの接触を解除するために、グリップヘッドの緩みもしくは開放工程が容易になる。
【0015】
更に、発展形では、グリップトングが、外面上の特に外側の終端部もしくは外面の終端部に、特にランプ状の隆起部を有するように形成されている場合が、好ましい。
【0016】
加えて、装置の形成においては、グリップヘッド閉鎖装置が、リング状に及び/又は内面を円錐形に形成され、グリップヘッドを包囲し、グリップヘッド閉鎖装置の円錐形の形成部分にグリップヘッドが導入可能であることが有利である。
【0017】
このため、グリップヘッド閉鎖装置は、グリップヘッドに面した、円錐形に形成された差込み面又は開口を備え、この差込み面又は開口にグリップヘッドが導入される。
【0018】
特に、更には、グリップヘッド閉鎖装置は、特にグリップヘッドのための差込み面に、摩擦を減少させるコーティングを備え、これにより、グリップトングのためのガイド壁に対するグリップトングの外面の容易な摺動が容易になる。
【0019】
加えて、課題は、前記のように形成された、タバコ加工産業の棒状の物品を把持するための、特に棒状の物品の終端部を把持するための装置の使用によって解決される。繰返しを回避するために、これまでの説明を参照されたい。
【0020】
棒状の物品を把持するための本発明による装置もしくはグリップ装置により、タバコ加工産業の棒状の物品を、把持、保持、場合によっては位置決めすることが可能である。この場合、装置は、グリッパ又はグリップヘッドを有し、このグリッパ又はグリップヘッドは、可動の内部部品として、グリップヘッド閉鎖装置である特に円錐形のリング内に配設されえており、グリップヘッドの開閉のためもしくはグリップヘッドのグリップトングの開閉のために、リングに対して直線的に移動される。
【0021】
グリップヘッドが円錐形のリング内で前方に向かって移動されると、円形に配設されたグリップトングによって形成されたグリップトングの開口もしくはグリップヘッド開口の横断面が小さくなり、これにより、棒状の物品の先端部を把持及び固定することが可能である。グリップヘッドがグリップヘッド閉鎖装置と協働して移動されると、円形に配設されたグリップトングの横断面の直径が小さくなり、これにより、グリップヘッドが、棒状の物品を把持及び保持する。
【0022】
グリップヘッドが再び引き戻されると、グリップヘッドは開放され、セグメントとして形成されたグリップトングの弾性的な形成により、棒状の物品の終端部からのグリップヘッドの引離しが自動的に行なわれるので、棒状の物品の保持された終端部が再び解放される。
【0023】
特に、グリップヘッドの移動により、円形に配設されたグリップトングの横断面の直径が調整され、グリップヘッドの移動距離により、相応に生じるグリップトングの内径もしくは横断面の直径が決まる。
【0024】
その他の本発明の特徴は、本発明の実施形の説明、それぞれの請求項及び添付図に記載されている。本発明の実施形は、個々の特徴又は複数の特徴の組合せを可能にする。
【0025】
以下で、本発明を、一般的な発明思想を限定することなく、図面に関連させた実施例に基づいて説明するが、言葉で詳細に説明されていない全ての発明の細部については、図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】タバコ加工産業の棒状の物品を把持するあめのグリップヘッドの斜視図を概略的に示す。
【図2a】開放状態のグリップヘッドの側面図と横断面図を、左側部分と右側部分に概略的に示す。
【図2b】棒状の物品が把持された閉鎖状態のグリップヘッドの側面図と横断面図を、左側部分と右側部分に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
各図において、同じ又は同種の要素もしくは相応の部分は、同じ符号を備えるので、繰り返して紹介することを省略する。
【0028】
図1は、棒状の物品を把持するためもしくは棒状の物品の先端部を把持するためのグリップヘッド10を、斜視図で概略的に示す。グリップヘッド10は、チューブ状の部分12を有し、このチューブ状の部分の終端部に、グリップヘッド10の周方向に6つのグリップトング14が円形に配設されている。
【0029】
横断面で円形に配設されたググリップトング14を有するリップヘッド10のグリップヘッド終端部は、樽状又は2重切頭円錐の形態で広げられるように形成されており、グリップヘッド開口18を備え、円形に配設されたグリップトング14によってグリップヘッド終端部に形成されたグリップヘッド開口18の直径は、グリップトング14の無負荷状態で、チューブ状の部分12の直径よりも大きい。
【0030】
特に、グリップトング12が星状に配設されたグリップヘッド10の終端部は、2重切頭円錐状に形成されており、グリップトング14は、グリップヘッド10内の空所を包囲もしくは形成するので、この空所内に、先端部もしくは棒状の物品が収容されるか、収容可能である。
【0031】
グリップトング14は、弾性的なセグメントとしてチューブ状の部分12に形成されているので、グリップトング14の無負荷状態で、グリップトング14の前面側の自由端は、部分円状の湾曲部によって、大きい直径を有する円を形成する。
【0032】
グリップトング14の内面は、弾性層16によって内張りされており、これにより、棒状の物品への優しい当接もしくは把持が可能になる。例えば、グリップトング14の内面の弾性層16は、シリコンゴム等から製造されている。
【0033】
図2a及び2bには、図の右側部分に、グリップヘッド10の横断面図が図示されており、グリップヘッド10は、図2aでは開放状態で図示され、図2bでは閉鎖状態で図示されている。
【0034】
図2a及び2bの左側部分には、グリップヘッド10の側面図が図示されており、グリップヘッド10の中心に棒状の物品20が把持されている(図2b)。図2a及び2bには、それぞれ、概略的に示したタバコ加工産業の棒状の物品20の先端部が、例えばフィルタ棒の先端部が、部分的に概略的に図示されている。
【0035】
棒状の物品20の先端部を把持するために、グリップヘッド10のグリップトング14が、グリップヘッド10を包囲するリング30の円錐形の切欠きもしくは開口32内に導入される。棒状の物品20の軸方向のグリップヘッド10の直線的な移動により、グリップトング14の外面の隆起部が、リング32の円錐形の開口32の内面と接触させられ、グリップヘッド10が直線的に移動しつつ、グリップトング終端部もしくはグリップトング14が、開口横断面を、グリップヘッド10に対して横、特に垂直、に狭め、従って、グリップヘッド開口18を小さくし、グリップヘッド10が前進されつつ、同時に、グリップヘッド10の終端部が、棒状の物品20の外面と接触させられるので、グリップトング14が、棒状の物品20の先端部の周囲に当接する。
【0036】
グリップヘッド10の閉鎖状態もしくは把持位置が、図2bに図示されている。この場合、グリップトング14の内面の弾性層16が、棒状の物品の円形に形成された終端部に当接し、棒状の物品20を包囲する。
【0037】
グリップヘッド10と、グリップヘッドもしくはグリップヘッド10のグリップトング14と協働するように設けられた、グリップヘッド閉鎖装置であるリング30とから成る、棒状の物品20を把持するための本発明による装置は、脆弱な棒状の物品の機械的に敏感な終端部の把持及び取扱いを可能にする。
【0038】
リング30の内面の円錐形に狭まる開口32に基づいて、ランプ状の隆起部を有するように形成されたグリップトング14の外面が、リング30の開口32の内面と接触させられ、特に、リング30の円錐形の内面もしくは差込み面は、リングの内面に対するグリップトング14の容易な摺動を可能にするために、摩擦を小さくする層を備える。
【0039】
図2a及び2bに図示した把持装置は、個々の棒状の物品20を優しくかつ簡単に把持及び位置決めするためのタバコ加工産業の装置の、例えば検査装置等の、一部である。
【0040】
図2aに書き込んだリングの内面から外に向かう方向とは反対にもしくは反対方向にグリップヘッド10を後退運動させることにより、グリップトング14の弾性液な復元力に基づいて、グリップトングは、グリップヘッド10の後退運動中に、棒状の物品20を解放するために、棒状の物品20の先端部から引離される。
【0041】
図2a及び2bに示した装置の場合、有利なことに、グリップヘッド閉鎖装置として設けられたリング30が、不動に形成されており、グリップヘッド10が、不動のもしくは固定のリングに対して相愛的に移動される。この場合、特に、把持すべき棒状の物品20は、リング30の開口に相応に位置決めもしくは位置調整される。
【0042】
前記全ての特徴、図面だけから読み取ることのできる特徴、及び他の特徴と組み合わせて開示された個々の特徴は、単独でも、組み合わせても本発明に重要であると見なされる。本発明の実施形は、個々の特徴又は複数の特徴の組合せによって実現可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 グリップヘッド
12 チューブ状の部分
14 グリップトング
16 弾性層
18 グリップヘッド開口
20 棒状の物品
30 リング
32 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ加工産業の棒状の物品(20)を把持するための装置において、
グリップヘッド(10)が、円形に配設された複数のグリップトング(14)を備え、これらグリップトング(14)が、グリップヘッド閉鎖装置(30)によって操作可能であり、グリップヘッド(10)とグリップヘッド閉鎖装置(30)間の相対移動によりグリップヘッド(10)とグリップヘッド閉鎖装置(30)が協働して、円形に配設されたグリップトング(14)の横断面の直径が変更可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
グリップヘッド(10)が、直線的に移動可能であるか、直線的に移動されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
グリップヘッド閉鎖装置(30)が、グリップヘッド(10)の特に相対的な移動方向に対して、円形に配設されたグリップトング(14)の横断面の直径を小さくするために、横断面が先細るように形成されているか、横断面の先細り部を有するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
グリップトング(14)の外面が、グリップヘッド閉鎖装置(30)と接触可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
グリップトング(14)が、内面に、弾性材料(16)を、特にトング終端部に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
グリップトング(14)が、グリップヘッド(10)の弾性セグメントとして形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
グリップトング(14)が、外面の終端部に、特にランプ状の隆起部を有するように形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
グリップヘッド閉鎖装置(30)が、リング状に形成され、グリップヘッド(10)を包囲することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
グリップヘッド閉鎖装置(30)が、グリップヘッド(10)に面した、円錐形に形成された差込み面を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
グリップヘッド閉鎖装置(30)が、特にグリップヘッド(10)のための差込み面に、摩擦を減少させるコーティングを備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
タバコ加工産業の棒状の物品を把持するための、特に棒状の物品の終端部を把持するための請求項1〜10のいずれか1つに記載の装置の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公開番号】特開2011−167189(P2011−167189A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31605(P2011−31605)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(595112018)ハウニ・マシイネンバウ・アクチエンゲゼルシヤフト (123)
【Fターム(参考)】