説明

タブテープおよびその製造方法

【課題】タブテープおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、ベースフィルムの上に入出力端子パターンを含む回路パターン領域を形成する回路パターン領域形成工程と、前記ベースフィルムに備えられるスプロケットホールを含む移送領域にベースフィルムの表面が露出する露出領域を形成する露出領域形成工程とを含んで構成される。本発明によると、ドライブIC、チップ/ドライブIC、およびパネルを組立てる処理の際に、駆動ローラによって摩擦が発生するスプロケットホール部位にCu又は金属パターン層が存在しないことから、Cuのパーティクルなどの異物が発生せず、回路パターンが形成されているところ以外の領域のベースフィルムを、回路パターンの形成された部分よりも相対的に薄くエッチングされた構造で形成することにより、回路パターンのショートを防止できる信頼性のある製品を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブテープおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージには様々な形態があるが、特に、内部接続方式としてインナーリードボンディング(Inner Lead Bonding;ILB)技術を用いるなど、独自の実装方式として進歩してきたタブ(TAB;Tape Automated Bonding)技術がある。タブ技術は、パッケージの組み立て工程をリール・トゥ・リール(reel to reel)で連続して製造する技術であって、この技術により製造されたパッケージを通常タブパッケージという。
【0003】
図1は、このような従来のタブパッケージを実現するタブテープの実際の様子を示すものである。
【0004】
図示されたように、タブテープは、スプロケットホール29の形成された領域(S)の表面が、メッキ処理された金属メッキ層(S)の表面に露出した構造を備える。これは、絶縁フィルムの上に金属メッキを行って回路パターンを実現する工程において必然的にCu又はCu+Snなどの金属層を処理し、回路パターンの形成後、スプロケットホールの周辺部にはCu金属層が形成される構造で金属層が露出することになる。
【0005】
しかしながら、上述した構造のタブパッケージを構成するタブテープは、ベースフィルムの片面に導電性金属層(例えば、Cu層、Cu+Sn層)が形成されるので、ディスプレイ装備の駆動時、Cuの表面又はSnの表面のスクラッチが必然的に生じ、これにより異物が発生して転移されることによる不良が発生しやすく、特にパネルとドライブICを組立てるときに、このようなCuのパーティクルが生じることにより、パネル工程の生産性の低下および異物不良の増加による信頼性が低下するという問題が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ドライブIC、チップ/ドライブIC、およびパネルを組立てる処理の際に、駆動ローラによって摩擦が発生するスプロケットホール部位にCu又は金属パターン層が存在しないことから、Cuのパーティクルなどの異物が発生せず、回路パターンが形成されているところ以外の領域のベースフィルムを、回路パターンが形成された部分よりも相対的に薄くエッチングされた構造で形成することにより、回路パターンのショートを防止できる信頼性のある製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための手段として本発明は、ベースフィルムの上に入出力端子パターンを含む回路パターン領域を形成する回路パターン領域形成工程と、前記ベースフィルムの外側のスプロケットホールを含む移送領域に、ベースフィルムの表面が露出する露出領域を形成する露出領域形成工程とを含むタブテープの製造方法を提供する。
【0008】
なお、本発明に係る製造工程中、前記回路パターン領域形成工程は、a1)前記ベースフィルムの上にシード金属層又は導電金属層を積層する段階と、a2)前記導電金属層を選択的にエッチングして回路パターンを形成する段階と、を含んでなる。
【0009】
また、前記a2)段階以後に、前記回路パターンが形成されているところ以外の領域で前記ベースフィルム上のシード金属層を除去するa3)段階をさらに含んで構成することができる。
【0010】
なお、前記a3)段階は、エッチング液によってシード金属層を除去する段階で構成され、前記エッチング液は、Ni又はCr成分を溶解させることができるエッチング液を用いることが望ましい。
【0011】
上述した製造工程において、前記回路パターン領域および露出領域の形成工程は、フォトレジストを塗布し、回路パターン領域と前記移送領域に選択的除去領域パターンを備えたフォトマスクを用いて露光・現像して、前記ベースフィルムの表面が露出する領域を同時に形成することで実施できる。
【0012】
さらに、前記露出領域の形成工程は、前記移送領域の前記スプロケットホールの外部に金属パターンを備えるために、前記シード金属層と導電金属層とをエッチングすることで実施できる。
【0013】
上述した製造工程では、前記回路パターン領域および露出領域の形成工程以後に、前記ベースフィルムの露出表面の一部をエッチングするエッチング液処理工程をさらに行うことができる。
【0014】
さらに、上述した製造工程で前記ベースフィルムとしてはポリイミドフィルムを適用することができる。
【0015】
また、本発明に係る製造工程は、前記回路パターン面にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つ又はこれらの二元もしくは三元合金を用いて単層或いは多層にメッキ処理層を形成する表面活性化工程をさらに含むことができる。
【0016】
上述した製造工程により製造されるタブテープは、次のような構造で実現できる。
即ち、本発明のタブテープは、ベースフィルムの上に形成される入出力端子パターンを含む回路パターン領域と、前記ベースフィルムの両側に形成されるスプロケットホールを含む移送領域とを備え、前記移送領域は、前記ベースフィルムが露出する露出領域を含む構造を備えることができる。
【0017】
この場合、前記回路パターン領域における前記ベースフィルムの露出領域の厚さ又は前記移送領域の露出領域の厚さは、前記ベースフィルムが露出しない領域の厚さより薄くすることができる。
【0018】
なお、前記回路パターンと前記ベースフィルムとの間にNi又はCrを含むシード金属層を備えることができる。
【0019】
また、上述した本発明に係るタブテープは、前記回路パターン面にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つ又はこれらの二元もしくは三元合金により形成された単層又は多層のメッキ処理層をさらに備えることができる。
【0020】
本発明に係るタブテープにおける前記移送領域の露出領域は、前記スプロケットホールの外部領域に形成される金属パターンをさらに含んで構成することができる。
【0021】
特に、このような金属パターンは、前記スプロケットホールに隣接する構造で形成されるか、前記スプロケットホールと離隔される構造であるか、或いは前記スプロケットホールと離隔されるライン構造の金属パターンを少なくとも1つ以上含む構造で形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ドライブIC、チップ/ドライブIC、およびパネルを組立てる処理の際に、駆動ローラによって摩擦が発生するスプロケットホール部位にCu層又は金属層が存在しないことから、Cuのパーティクルなどの異物が発生せず、これにより信頼性のある製品を形成できるという効果がある。
また、ベースフィルムの露出部分の厚さが、露出しない部分の厚さよりも厚い構造で形成し、回路パターンの短絡の危険を除去することにより、信頼性のあるタブテープを実現できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術に係るTABテープパッケージを示す概念図である。
【図2】本発明に係るTABテープの構成を示す構成図である。
【図3】本発明に係るTABテープの製造手順図である。
【図4】本発明に係るTABテープの工程概念図である。
【図5】本発明に係るTABテープの構造の断面概念図である。
【図6】本発明に係るTABテープの構造の他の実施例の断面概念図である。
【図7】本発明に係るTABテープを構成する移送領域の拡大図である。
【図8】従来のTABテープと本発明に係る製造方法によるTABテープの移送領域での異物の発生程度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、タブテープの両側に形成されるスプロケットホールを備えた移送領域の金属層を選択的にエッチングして除去することにより、ベースフィルム領域が露出する露出領域を形成し、金属パーティクルの発生を根本的に除去して製品の信頼性を高め、回路パターンが形成されているところ以外のベースフィルムをエッチングによって一部除去して回路パターン間の短絡を防止できるタブテープを提供することをその要旨とする。
【0025】
そのために、本発明は、ベースフィルムの上に入出力端子パターンを含む回路パターン領域を形成する回路パターン領域形成工程と、前記ベースフィルムの外側のスプロケットホールを含む移送領域に、ベースフィルムの表面が露出する露出領域を形成する露出領域形成工程とを含むタブテープの製造方法を提供する。
【0026】
このような製造方法により製造された本発明に係るタブテープは、ベースフィルムの上に形成される入出力端子パターンを含む回路パターン領域と、前記ベースフィルムの両側に形成されるスプロケットホールを含む移送領域とを備えるが、前記移送領域は、前記ベースフィルムが露出する露出領域を含む構造を備えることができる。この場合、前記回路パターン領域において前記ベースフィルムの露出領域の厚さ又は前記移送領域の露出領域の厚さは、前記ベースフィルムが露出しない領域の厚さ以下に形成されるようにすることができる。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る構成および作用を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。明細書全体に亘って同一な構成要素に対しては同一な符号を付し、これについての重複説明は省略する。
【0028】
図2を参照すると、これは、本発明に係るタブ(TAB)テープの概略的な構成を示すものであって、TABテープの一般的な構成を示し、特に、スプロケットホール150を含む移送領域(X)を備えることを示す。また、本発明に係るタブテープは、TCP又はCOFのいずれの構造にも用いることができ、特にCOFパッケージに用いたものを望ましい一例として説明する。
【0029】
本発明に係るタブパッケージを構成するタブテープは、大きく分けて出力回路パターン130、入力回路パターン140と、チップが実装されるインナーリード領域120と、そして後でロールによって移送されるようにスプロケットホール150が形成された移送領域(X)とを含んでなる。
【0030】
本発明に係る前記移送領域(X)は、移送領域を形成する層の点から見て従来の移送領域と大きな違いがある。本発明では、この移送領域内にベースフィルムが露出する構造とし、即ち、Cu又はSnなどの金属パターン層が形成されない領域が存在するようにして、異物の問題を顕著に減少させることができるという利点がある。
【0031】
図3および図4は、本発明に係るタブテープの製造手順図および工程概念図を示すものである。同図に示すように、本発明に係るタブテープの製造方法は、ベースフィルムの上に入出力端子パターンを含む回路パターン領域を形成する回路パターン領域形成工程と、前記ベースフィルムの外側のスプロケットホールを含む移送領域に、ベースフィルムの表面を露出させる露出領域形成工程とを含んでなる。
【0032】
(実施例1)
(1)回路パターンおよび移送領域の露出領域形成段階
具体的に、図4の工程図を参照すると、先ず、ベースフィルム110の上にシード金属層111又は導電金属層112を形成する。もちろん、この場合、機械的穿孔工程によってスプロケットホール(H)が形成された移送領域(X)までシード金属層111又は導電金属層112が形成される(S1段階)。 この場合、前記ベースフィルム110としては、ポリイミドフィルム、ポリイミドアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエステルイミドフィルムおよび液晶ポリマーフィルムなどが挙げられる。特に、本発明では、絶縁フィルム基板としてポリイミドフィルムを用いることが望ましい。ポリイミドフィルムのような絶縁フィルムは、シード金属層の形成時の熱による変形が小さく、また、エッチング時に使用されるエッチング液や、洗浄時に使用されるアルカリ溶液などにあまり浸食されないように耐酸性・耐アルカリ性を有し、また、シード金属層の形成時の加熱により変形されない程度の耐熱性を有している。
【0033】
前記シード金属層は、本実施例ではベースフィルムの上に形成された構造として説明するが、これは、ベースフィルムと導電金属層との密着性を向上させるためのものであり、形成しなくてもよい。このようなシード金属層は、ポリイミドフィルムの表面に蒸着法、又はスパッタリング法などのような乾式製膜法を用いて形成することが望ましい。前記シード金属層は、導電金属層とベースフィルムとの密着性を向上させる機能を果す。
【0034】
次に、前記導電金属層112の上面にフォトレジスト113を積層し、フォトマスク114を介して露光により回路パターンをパターニングする工程が行われる(S2段階)。 特に、この場合、前記移送領域に対応するフォトレジストは、露光時に遮光することにより、図示したように、フォトレジストの現像時に感光パターンが除去されるようにする(もちろん、ネガ型感光剤を用いる場合は、逆に露光が行われるようにすることは自明であろう)。後述するが、前記移送領域(X)に対応する部分に金属パターンのメッキ層を形成する場合には、一定のパターンにより感光パターンの一部が残されることもある。
【0035】
その後、S3段階では、パターニングされたフォトレジスト113を介し、前記導電金属層112を選択的にエッチングして回路パターンを形成することにより、回路パターン領域を形成する工程が行われる。この場合、図には移送領域に該当する導電金属層を全て除去するように示されているが、後述するスプロケットホールの周辺に所定の金属パターンを形成する場合には、一定部分の金属パターンが残されるように選択的エッチングできることはもちろんである。
【0036】
回路パターンを形成するためのエッチング剤は、主に金属のCu成分をエッチングするエッチング液を用いることができ、一例として塩化第二鉄を主成分とするエッチング液、塩化第二銅を主成分とするエッチング液、硫酸+過酸化水素などを用いることができる。このようなエッチング液は、シード金属層の一部分を微細にエッチングする機能を有し、後でシード金属層の除去をより容易にする機能も同時に有する。
【0037】
(2)シード金属層の除去段階
本発明の一実施例のように、シード金属層が備えられた構造では、図4のS4段階に示されたように、回路パターンの形成された部分以外のシード金属層を除去する工程が行われる。さらに、前記移送領域(X)はシード金属層を全て除去するか、或いは移送領域(X)に金属パターンのある場合には、この金属パターン以外の部分でシード金属層を除去してベースフィルムを露出させる。
【0038】
前記シード金属層は、本発明の望ましい実施例ではNi又はCrを含む金属層で実現されるので、この2つの成分を共に除去できるエッチング液を用いてエッチングする。このようなエッチング液としては、硫酸塩酸混合液や、過マンガン酸カリウム・KOH水溶液、重クロム酸カリウム水溶液および、過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液を適用することができる。
【0039】
上述の工程により、本発明は、図4で実現した構造の様々なタブテープを提供することができる。即ち、本発明は、タブテープを構成する移送領域の金属層又は金属メッキ層を選択的に又は全面除去してベースフィルムが露出する露出領域を形成することにより、金属異物の発生を顕著に減少させることができるという利点がある。具体的には、本発明に係る「金属パターン」は、前記スプロケットホールの外部領域に形成されるが、スプロケットホールに隣接するか、或いは離隔される形態のパターン構造を備えることができるようにする。即ち、既存の移送領域全体に形成される金属層を選択的に除去し、ベースフィルムの移送作業時に、ロールに巻き取られる機械的強度を確保するための「金属パターン」を除いては、全てベースフィルムが露出するように除去される露出領域を確保することをその要旨とし、このような露出領域の形成パターンの変更は本発明の要旨に含まれることは自明であろう。
【0040】
(実施例2-ベースフィルムのエッチング工程を含む)
(1)ベースフィルムのエッチング
上述したS4段階の工程により、本発明に係るタブテープの機械的強度を実現し、且つ金属異物の形成を最小化できる構造のタブテープを実現することができる。以下では、本発明に係る他の実施形態を説明する。即ち、本製造工程は、S4段階の工程以後にベースフィルムをエッチングする工程を追加して実施することができる。
【0041】
上述した工程で過マンガン酸カリウム・KOH水溶液、重クロム酸カリウム水溶液および、過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液などのエッチング液を調節してベースフィルムの一定部分をエッチングするエッチング工程をさらに行うことができる。上述したエッチング液は、一実施例として適用したものであり、これに限定されるものではない。
【0042】
図4を参照すると、S1〜S4段階でのように、前記回路パターンおよび移送領域の露出領域の形成工程以後に、S5段階に示されたように、前記ベースフィルム110が露出する表面をエッチング液で処理してベースフィルム自体を一部除去できるようにする。即ち、回路パターンの形成された部分以外のベースフィルム領域が除去され、これにより、回路パターンの形成された部分のベースフィルムの厚さと、回路パターンが形成されない部分のベースフィルムの厚さとが、異なることになる。具体的には、回路パターンのない部分がより薄くなり、回路パターンの短絡を防ぐ機能を果すようになる。
【0043】
もちろん、本発明のシード層をエッチング液で除去する際にベースフィルムを同時に処理できるが、シード層のない工程で処理する場合には、別に上述したエッチング液などを用いてベースフィルムをエッチングする工程を進めることができる。
【0044】
図5および図6は、上述した実施例2の工程を行った結果であって、本発明のタブテープの構造を示す断面概念図である。
【0045】
即ち、本発明に係るタブテープは、ベースフィルム110の上に形成される入出力端子パターン112を含む回路パターン領域と、前記ベースフィルムの両側に形成されるスプロケットホール(H)を含む移送領域(X)とを備える構造で形成され、特に、前記移送領域は、前記ベースフィルムの一定部分が露出する露出領域を含む構造で形成される。
【0046】
即ち、移送領域は、金属層により被覆された構造でなく、スプロケットホールの主面に金属層のない構造であり、それによりタブテープの移送作業時に金属異物が発生することを防止することができる。
【0047】
また、本発明に係るタブテープにおけるベースフィルム110は、基本的にS4段階の構造で示したように均一な厚さを備えることができるが、ベースフィルム自体をエッチングする工程がさらに備えられる場合(S5段階)には、回路パターン領域で前記ベースフィルムが露出する領域の厚さ(B)又は前記移送領域の露出領域の厚さ(C)は、前記ベースフィルムが露出しない領域の厚さ(A)より薄く形成されることになる。
【0048】
また、前記回路パターン112と前記ベースフィルム110との間には、例えばシード金属層111が備えられ、前記シード金属層としては、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、シリコン、パラジウム、チタニウム、バナジウム、鉄、コバルト、マンガン、アルミニウム、亜鉛、錫およびタンタルなどが挙げられる。これらの金属は単独又は組み合わせて用いることができる。シード金属層は、これらの金属中でもニッケル、クロム又はこれらの合金を用いて形成することが望ましい。
【0049】
なお、前記回路パターン112の表面には、表面活性化工程により前記回路パターン面にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つ又はこれらの二元もしくは三元合金を用いて単層又は多層のメッキ処理層(図示せず)をさらに備えることができる。
【0050】
また、図6に示すように、移送領域(X)に一定の金属パターン170を形成する構造で実施する場合には、スプロケットホール(H)の外側に金属パターン170が備えられ、この金属パターン170が形成された部分以外の移送領域において露出するベースフィルムの厚さ(C)も上述したように露出しない部分よりも薄くなる。
【0051】
図7は、上述した本発明に係る移送領域(X)を実現する実施例を説明する概念図である。
【0052】
図7(a)に示された構造を参照すると、本発明に係る移送領域(X)は、ベースフィルムが露出する露出領域160と一定の間隔を置いて形成されるスプロケットホール150を含んでいる。そして、前記スプロケットホールと離隔される一定の距離にメッキライン170が少なくとも1以上形成される構造で実現することができる。即ち、スプロケットホールの周辺に金属メッキ層パターンを形成させることができ、本実施例では、この「金属パターン」がメッキライン170の構造で形成されたことを例示している。
【0053】
図7(b)は、スプロケットホールの周辺領域に「金属パターン」でスプロケットホールを取り囲む構造体171が形成された構造を示すものである。図示された構造では、規則的にスプロケットホール150の周り全体を取り囲む構造体を例示しているが、前記スプロケットホールの周辺部の少なくとも1つ以上にだけこのような構造体を形成することも可能であることはもちろんである。
【0054】
即ち、本発明に係る「金属パターン」は、前記スプロケットホールの外部領域に形成される金属パターンであるが、スプロケットホールに隣接するか、或いは離隔される形態のパターン構造を全て含む概念である。即ち、本発明は、既存の移送領域全体に形成される金属層を選択的に除去し、ベースフィルムの移送作業時にロールに巻き取られる機械的強度を確保するための「金属パターン」を除いては、全てベースフィルムが露出するように除去される露出領域を確保することをその要旨とし、このような露出領域の形成パターンの変更は本発明の範囲に含まれることは自明であろう。
【0055】
図7(c)は、上述した「金属パターン」をスプロケットホールの外部に隣接するメッキライン172で形成した例を示したものである。もちろん、図7(d)に示されたように、前記移送領域の金属層を全て除去して移送領域全体に露出領域を形成することも可能であり、この場合、ベースフィルムの厚さを調節して機械的強度を確保することができる。
【0056】
図8は、本発明に係る製造方法により製造した実際のタブテープの移送領域を示すものである。
【0057】
図8(a)は、移送領域(X1)にCu又はCu+Sn層がそのまま形成された従来のタブテープを示しており、その右側に提示したものは、スプロケットホールの周辺に異物の発生程度が多いことを示している。
【0058】
図8(b)は、本発明に係る移送領域(X2)に露出領域を形成し、メッキラインで構成される金属メッキ層パターンを形成した構造を示すものであり、右側に見えるスプロケットホールの周辺の拡大図から分かるように、Snなどの金属異物がほとんど発生しないことを確認することができる。
【0059】
図8(c)は、本発明に係る移送領域(X3)に露出領域を形成し、スプロケットホールと隣接する周辺部に金属メッキ層パターンを形成した構造を示すものであり、右側に見えるスプロケットホールの周辺の拡大図から分かるように、これもSnなどの金属異物がほとんど発生しないことを確認することができる。
【0060】
図8(d)は、本発明に係る移送領域(X4)の金属層を全体的に除去した構造を示すものであり、Snなどの異物がほとんど発生しないことが分かる。
【符号の説明】
【0061】
110 ベースフィルム
120 インナーリード領域
130、140 出力および入力回路パターン
150、H スプロケットホール
160 露出領域
170 金属パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの上に入出力端子パターンを含む回路パターン領域を形成する回路パターン領域形成工程と、
前記ベースフィルムに備えられるスプロケットホールを含む移送領域にベースフィルムの表面が露出する露出領域を形成する露出領域形成工程と、
を含むタブテープの製造方法。
【請求項2】
前記回路パターン領域形成工程は、
a1)前記ベースフィルムの上にシード金属層又は導電金属層を積層する段階と、
a2)前記導電金属層を選択的にエッチングして回路パターンを形成する段階と、
を含んでなる請求項1に記載のタブテープの製造方法。
【請求項3】
前記a2)段階以後に、
前記回路パターンが形成されているところ以外の領域で前記ベースフィルム上のシード金属層を除去するa3)段階をさらに含む、請求項2に記載のタブテープの製造方法。
【請求項4】
前記a3)段階は、
エッチング液によってシード金属層を除去する段階で構成され、
前記エッチング液は、Ni又はCr成分を溶解させることができるエッチング液を用いる、請求項3に記載のタブテープの製造方法。
【請求項5】
前記回路パターン領域および露出領域を形成する工程は、
フォトレジストを塗布し、前記回路パターン領域と前記移送領域に選択的除去領域パターンを備えたフォトマスクを用いて露光・現像し、
前記ベースフィルムの表面が露出する領域を同時に形成することで実施される、請求項3に記載のタブテープの製造方法。
【請求項6】
前記露出領域形成工程は、
前記移送領域の前記スプロケットホールの外部に金属パターンを備えるために、前記シード金属層と導電金属層とをエッチングすることで実施される、請求項5に記載のタブテープの製造工程。
【請求項7】
前記回路パターン領域および露出領域の形成工程以後に、
前記ベースフィルムの露出表面の一部をエッチングするエッチング液処理工程がさらに行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタブテープの製造工程。
【請求項8】
前記ベースフィルムはポリイミドフィルムである、請求項7に記載のタブテープの製造工程。
【請求項9】
前記回路パターン面にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つ又はこれらの二元もしくは三元合金を用いて単層又は多層にメッキ処理層を形成する表面活性化工程をさらに含む、請求項7に記載のタブテープの製造方法。
【請求項10】
ベースフィルムの上に形成される入出力端子パターンを含む回路パターン領域と、
前記ベースフィルムの両側に形成されるスプロケットホールを含む移送領域と、
を備え、
前記移送領域は前記ベースフィルムが露出する露出領域を含むタブテープ。
【請求項11】
前記回路パターン領域における前記ベースフィルムの露出領域の厚さ又は前記移送領域の露出領域の厚さは、前記ベースフィルムが露出しない領域の厚さより薄くされている、請求項10に記載のタブテープ。
【請求項12】
前記回路パターンと前記ベースフィルムとの間にNi又はCrを含むシード金属層が備えられる、請求項11に記載のタブテープ。
【請求項13】
前記回路パターン面にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つ又はこれらの二元もしくは三元合金により形成された単層又は多層のメッキ処理層をさらに含む、請求項12に記載のタブテープ。
【請求項14】
前記移送領域に備えられる露出領域は、前記スプロケットホールの外部領域に形成される金属パターンをさらに含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載のタブテープ。
【請求項15】
前記金属パターンは、前記スプロケットホールに隣接する構造で形成される金属パターンである、請求項14に記載のタブテープ。
【請求項16】
前記金属パターンは、前記スプロケットホールと離隔される構造の金属パターンである、請求項14に記載のタブテープ。
【請求項17】
前記金属パターンは、前記スプロケットホールと離隔されるライン構造の金属パターンを少なくとも1以上含む構造で形成される、請求項14に記載のタブテープ。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図8】
image rotate