説明

タペンタドールの用量調節

本発明は、痛みの治療用の用量aのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Aおよび用量bのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Bを含み、用量a<用量bである、薬を製造するためのタペンタドールの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは徐放性剤形としての鎮痛薬タペンタドールの投与のための投与方法に関する。該投与方法は、副作用発症を低減または遅らせると同時に、所望の鎮痛効果を達成する。
【背景技術】
【0002】
化学名が(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)−フェノールであるタペンタドール(CG5503)は、中等度から中等度に重度の急性または慢性痛の治療に有効である中枢作用性の合成鎮痛薬である。該化合物は、遊離塩基またはその医薬的に許容される塩および溶媒和物として用いることができる。遊離塩基の調製は、欧州特許出願公開第693475号(特許文献1)から知られている。
【0003】
急性または慢性痛の患者は、有効であり、そして忍容性が良い鎮痛療法を必要とする。2つの伝統的なカテゴリーの鎮痛薬、すなわち、オピオイドおよび非ステロイド抗炎症薬(NSAID)は、両方とも有効であるが、潜在的に重篤な副作用を伴う。耐性および依存性に関する懸念のため、急性または慢性痛の治療にモルヒネおよびコデインなどの麻薬を使用することは極めて少ない。慢性NSAID療法を受けている患者は、毎年、最大20000例の死亡をもたらすと推定されている潰瘍および出血を含む重度の胃腸症状を発現する危険を冒している。
【0004】
このジレンマの解消のための代替物は、中等度から重度の痛みの管理を適応とする非NSAID鎮痛薬であるタペンタドールである。
【0005】
タペンタドールは、μオピオイド受容体(MOR)作動性およびノルエピネフリン(NE)再取込み阻害から成る二重の作用機序を有する治験用の中枢作用性鎮痛薬である。タペンタドールの有効性、安全性および薬物動態プロファイルから、該薬物は急性ならびに慢性痛の治療に有用である可能性があることがわかる。
【0006】
タペンタドールの活性は、代謝活性化と無関係であり、血液脳関門を容易に通過する1つの鏡像異性体にある。したがって、タペンタドールは、投与後に速やかな作用発現を示す。代謝酵素によるタペンタドールの生体内変化は不活性化をもたらす。すなわち、タペンタドールは活性代謝物を有さず、消失のための主要な代謝経路は第II段階のグルクロン酸抱合である。ヒドロキシル化およびN−脱メチル化などの第I段階の生体内変化は、タペンタドールの代謝運命にわずかな役割を果たすにすぎない。第I段階の代謝経路の関与がわずかであるため、タペンタドールは、薬物相互作用および個体間変動の可能性が低い(Tzschentke T. M.ら、Tapentadol Hydrochloride、Drugs of the Future 2006年、31、1053〜1061頁(非特許文献1)、Evans W. E.、Relling M. V.、Pharmacogenomics: Translating Functional Genomics into Rational Therapies. Science 1999年、286、487〜491頁(非特許文献2)を参照)。
【0007】
タペンタドールは忍容性が良好であるが、例えば、治療の早期の中止につながる可能性がある治療の開始時に傾眠などの不快な有害事象が起こり得る。タペンタドールの臨床試験で認められた最も頻繁に報告された有害事象は、中枢神経系(例えば、傾眠、めまい/眩暈、頭痛)および胃腸管(例えば、便秘、悪心、嘔吐)に関連している(Weber H.ら、Journal of Pain 2006年、7、S3頁(非特許文献3)、Kleinert R.ら、Journal of Pain 2006年、7、44頁(非特許文献4)を参照)。
【0008】
薬物誘発性の傾眠は日常生活の活動に負の影響を及ぼし、慢性痛患者の身体機能を損なう可能性があるため、傾眠の発生は特に問題である。それにより「生活の質」が損なわれる可能性がある。
【0009】
有害な副作用の発生を低減する様々な概念が、従来技術において知られている。例えば、食および飲酒習慣、製剤、および/または投与経路を変更することができる。さらに、問題の薬物の有害な副作用を抑制するために問題の薬物の投与と同時、その前または後に第2の薬物を併用投与することができる。しかし、これらの作用は、例えば、患者に患者の習慣による生活様式を変更させることによって患者の服薬遵守を損なわせることがある。さらに、投与様式を変更、例えば、経口から直腸に変更することは、多くの患者が不快で、非衛生的であると考えている。結果として生ずる患者の服薬遵守の低減は、必要とする薬物療法の打切りにつながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第693475号
【特許文献2】米国特許出願第2005−58706号
【特許文献3】米国特許第4,765,989号
【特許文献4】米国特許第4,783,337号
【特許文献5】米国特許第4,612,008号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Tzschentke T. M.ら、Tapentadol Hydrochloride、Drugs of the Future 2006年、31、1053〜1061頁
【非特許文献2】Evans W. E.、Relling M. V.、Pharmacogenomics: Translating Functional Genomics into Rational Therapies. Science 1999年、286、487〜491頁
【非特許文献3】Weber H.ら、Journal of Pain 2006年、7、S3頁
【非特許文献4】Kleinert R.ら、Journal of Pain 2006年、7、44頁
【非特許文献5】Ruoff G. E.、Slowing the Initial Titration Rate of Tramadol Improves Tolerability. Pharmacotherapy、1999年、19、88〜93頁
【非特許文献6】T. M. Tschentkeら、Drugs of the Future、2006年、31(12)、1053頁
【非特許文献7】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、A. R. Gennaro編、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa. (1985年)、特に第8部、第76章〜第93章
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
痛み、好ましくは慢性痛の治療におけるタペンタドールの忍容性を改善すること、特に、最も頻繁に報告された有害事象の1つである傾眠ならびに他の有害事象の頻度を、該化合物の有効性および患者の服薬遵守を低減せずに低下させることが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、特許請求の範囲の対象によって解決される。
【0014】
本発明は、
痛みの治療用の
− 用量aのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Aおよび
− 用量bのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位B
を含み、用量a<用量bである、薬を製造するためのタペンタドールの使用に関する。
【0015】
好ましくは、用量aのタペンタドールを第1の投与期間中に投与し、用量bのタペンタドールを前記第1の投与期間の後の第2の投与期間中に投与し、用量a<用量bである、痛みの治療用の薬剤の製造のためにタペンタドールを使用する。
【0016】
タペンタドールの比較的低い用量で治療を開始し、引き続いて、用量調節療法(a titration regimen)に従って増量することにより、タペンタドールの忍容性を改善することができることが驚くべきことに発見された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ブリスター包装の形の本発明による薬剤の好ましい実施形態を示す図である。
【図2】ブリスター包装の形の本発明による薬剤の好ましい実施形態を示す図である。
【図3】ブリスター包装の形の本発明による薬剤の好ましい実施形態を示す図である。
【図4】ブリスター包装の形の本発明による薬剤の好ましい実施形態を示す図である。
【図5】臨床試験で認められた傾眠の発生に対するタペンタドールの持続放出(PR)の用量調節の効果を示す図である。
【図6】臨床試験で認められた傾眠の発生に対するタペンタドールの持続放出(PR)の用量調節の効果を示す図である(例E−1およびE−2対比較例C−1およびC−2)。
【図7】タペンタドールの持続放出(PR)のための好ましい用量調節療法を示す概略図である。
【図8】臨床試験で認められた傾眠の発生に対するオキシコドンの放出制御(CR)の用量調節の効果を示す図である。
【図9A】比較臨床試験(比較例C−1)における投与後のタペンタドールの血清濃度(ng/ml)の分布の数学的解析を示すグラフである。
【図9B】比較臨床試験(比較例C−2)における投与後のタペンタドールの血清濃度(ng/ml)の分布の数学的解析を示すグラフである。
【図10A】本発明による臨床試験(例E−1)における投与後のタペンタドールの血清濃度(ng/ml)の分布の数学的解析を示すグラフである。
【図10B】本発明による臨床試験(例E−2)における投与後のタペンタドールの血清濃度(ng/ml)の分布の数学的解析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本明細書で用いているように、「タペンタドール」という語は、(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)−フェノール、その医薬的に許容される塩およびその溶媒和物を含むことを意図するものである。適切な医薬的に許容される塩としては、塩酸塩(タペンタドールHCl)、臭化水素酸および硫酸などの無機酸の塩、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、アセチルサリチル酸、ニコチン酸、アミノ安息香酸、α−リポ酸、馬尿酸およびアスパラギン酸などの有機酸の塩が挙げられる。好ましい塩は、塩酸塩である。
【0019】
本明細書の目的のために、タペンタドールの用量は、遊離塩基に関する。したがって、医薬的に許容される塩をその代わりに用いる場合には、その用量は、遊離塩基の等価用量に修正しなければならない。例えば、「200mg」の用量は、遊離塩基の200mgの量または遊離塩基の200mgに対応する医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物の等価量(例えば、塩酸塩の約233mg)を意味する。特に明示されていない場合、用量は「1回の投与当たり」であって、「1日当たり」ではない。
【0020】
痛みの治療用の薬を製造するためのタペンタドールの使用
タペンタドールは、中等度から重度の急性および慢性痛の治療に適応となる。
【0021】
臨床試験で、タペンタドールの持続放出(PR)が慢性関節痛(股関節または膝関節の骨関節症)および腰痛に対する有効な療法であることが示された。タペンタドールの持続放出(PR)が慢性癌痛および慢性有痛性糖尿病性末梢神経障害(DPN)の治療に有用であるという指摘もある。さらに、臨床試験で、タペンタドールの即時放出(IR)が急性歯痛、腱膜瘤切除後の急性痛および腹部手術後の急性痛の治療に有用であることが明らかにされた。さらに、進行中の試験は、股関節置換術後の急性痛、腹式子宮摘出術後の急性痛(内臓痛)および関節置換術を待っている患者における急性痛に関係している。
【0022】
タペンタドールは忍容性が良好であるが、不快な有害事象がタペンタドールによる治療の開始時に起こり得る。これらの副作用は、タペンタドール療法の早期の中止につながることがある。
【0023】
治療薬の用量調節は、抗うつ薬および抗けいれん薬などの中枢作用性薬に関連する有害事象を最小限にするために臨床医により時には用いられる。用量調節により、特定の薬剤に関連する有害な副作用が最小限になる可能性があるが、薬剤の効果の発現も遅れる可能性がある。
【0024】
例えば、薬剤トラマドールの緩やかな用量調節により、めまい、悪心および嘔吐などの特定の有害作用の頻度が低減することが報告された(Ruoff G. E.、Slowing the Initial Titration Rate of Tramadol Improves Tolerability. Pharmacotherapy、1999年、19、88〜93頁(非特許文献5))。しかし、この試験で、傾眠の頻度はトラマドールの緩やかな用量調節により有意に低下しなかったことも示された。トラマドールのこの特有の薬理学的挙動は、その固有の特性、特にそのラセミ性、その活性化代謝経路および活性代謝物の数、薬剤の全体的な有効性に対する個々の代謝物の相対的寄与の時間の経過に伴う変化、その5−HT再取込み阻害作用機序などに基づいている可能性がある。Ruoffらの結果は、特定の有害事象が影響を受けるかどうかは言うまでもなく、有害事象は一般的に薬剤の用量調節による影響を受けるかどうかは依然として予測できないという観念を裏づけるものである。
【0025】
用量調節療法によりタペンタドール療法を開始することにより、その治療有効性が維持されると同時にタペンタドールに関連する有害な副作用、特に傾眠が最小限となり、それにより治療中の該薬剤のより大きい忍容性がもたらされることが今回発見された。
【0026】
特に、傾眠などの中枢神経系に関連する有害事象を本発明による用量調節により最小限にすることができることが驚くべきことに発見された。胃腸管に関連する有害事象に関する限り、本発明によるタペンタドールの用量調節も有利である。
【0027】
さらに、長期投与療法の終了時に、薬物の中止後の軽度から中等度の離脱症状の発生がオキシコドンなどの他のオピオイドと比較して有意に少ないことが驚くべきことに発見された。したがって、全投与療法の終了時に薬物を漸減すること(下方用量調節)が必要であるという徴候はほとんどない。
【0028】
本発明の第1の態様は、
痛み、好ましくは慢性痛の治療用の
− 用量aのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Aおよび
− 用量bのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位B
を含み、用量a<用量bである、薬を製造するためのタペンタドールの使用に関する。
【0029】
本明細書の目的のために、「投与単位」は、1つの剤形または剤形の群から構成されていてよい。言い換えれば、投与単位Xは、n個の剤形を含む。ここで、nは≧1の整数である。
【0030】
=1の場合、投与単位Xは、1つの剤形を含む。n>1の場合、投与単位Xは、適合させ、同時に投与することを意図する剤形の群を含む。これに関連して、「同時に」は、正確に同時であることではなく、ほぼ同時、例えば、5分間まで、好ましくは1分間までの期間内であることを意味する。例えば、200mgのタペンタドールを含む投与単位は、全量のタペンタドール(200mg)を含む1つの剤形(n=1)、または剤形の群(n>1)、例えば、それぞれが100mgのタペンタドールを含む2つの剤形(n=2)若しくは例えば、2つがそれぞれ50mgのタペンタドールを含み、1つが100mgのタペンタドールを含む3つの剤形(n=3)若しくは例えば、それぞれが50mgのタペンタドールを含む4つの剤形(n=4)であってよい。
【0031】
したがって、用量xのタペンタドールの投与は、用量xのタペンタドールを含む1つの剤形から成る投与単位Xを投与するか、またはn個の剤形の群(n>1)から成る投与単位Xを投与することによって達成することができ、n個の剤形の前記群の全体は用量xのタペンタドールを含み、n個の剤形の群を適合させ、同時に投与することを意図する。
【0032】
好ましくは、本発明は、
痛みの治療用の
− 全体が用量aのタペンタドールを含むn個の剤形から成る少なくとも1つの投与単位A、および
− 全体が用量bのタペンタドールを含むn個の剤形から成る少なくとも1つの投与単位B
を含み、
用量a<用量bであり、
およびnは互いに独立に≧1の整数である、
薬を製造するためのタペンタドールの使用に関する。好ましくは、n=n、n>nまたはn<nである。
【0033】
好ましくは、投与単位Aおよび投与単位Bは、固体である。
【0034】
好ましい実施形態において、用量aのタペンタドールを少なくとも1日の第1の投与期間中に投与し、用量bのタペンタドールを前記第1の投与期間の後の少なくとも1日の第2の投与期間中に投与し、用量a<用量bである、痛み、好ましくは慢性痛の治療用の薬剤の製造にタペンタドールを使用する。
【0035】
好ましくは、用量aは、用量bの10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%、より好ましくは45〜70重量%の範囲内にある。
【0036】
好ましい実施形態において、用量aは、タペンタドールの薬剤学的に有効な痛みの治療用量を下回っている。前記タペンタドールの薬剤学的に有効な痛みの治療用量は、個々に異なっている可能性があり、所与の被検者について通常の実験により決定することができる。通常、最小の薬剤学的に有効な痛みの治療用量は、50mg超を1日2回(bid)である。比較的敏感な人における効果を示すのにタペンタドールの低い血清濃度で十分であり、比較的敏感でない人における効果を示すのにタペンタドールのより高い血清濃度が必要であることを考慮に入れると、好ましくは、有効な痛みの治療は、人の痛みの少なくとも5%の低減、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは人の痛みの少なくとも20%の低減とみなすべきである。予備臨床試験により、有意な痛みの治療効果は約5ng/ml(集団平均の約−2mm視覚的アナログスケール(VAS))から約300ng/ml(集団平均の約−15mm視覚的アナログスケール(VAS))までの範囲内の血清濃度で認められることが明らかになった。
【0037】
好ましくは、用量a:用量b([mg]:[mg])の比は、以下から成る群から選択される。
【0038】
【表1】

【0039】
好ましい実施形態において、in vitro条件下で、投与単位Aは、投与単位Bが用量bの50%を放出するより短いまたは長い期間に用量aの50%を放出する。当業者は適切なin vitro条件を十分に知っている。例えば、放出は、欧州薬局方、パドル法、100Upm、人工胃液に従って検討することができる。
【0040】
好ましい実施形態において、投与単位Aおよび投与単位Bを、経口、口腔、舌下、経粘膜、腰椎内、腹腔内、経皮、静脈内、筋肉内、腰椎内、皮内および皮下から成る群から好ましくは独立に選択される異なる経路により投与するようにする。しかし、最も好ましくは、投与単位Aおよび投与単位Bを同じ経路により、好ましくは経口により投与するようにする。
【0041】
好ましい実施形態において、該薬剤は、用量cのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Cをさらに含み、用量b<用量cである。好ましくは、用量aは、用量cの10〜65重量%、より好ましくは20〜55重量%の範囲内にあり、用量bは、用量cの35〜90重量%、より好ましくは45〜80重量%の範囲内にある。
【0042】
好ましい実施形態において、用量aのタペンタドールを少なくとも1日の第1の投与期間中に投与し、用量bのタペンタドールを前記第1の投与期間の後の少なくとも1日の第2の投与期間中に投与し、用量cのタペンタドールを前記第2の投与期間の後の少なくとも1日の第3の投与期間中に投与し、用量a<用量b<用量cである、痛み、好ましくは慢性痛の治療用の薬剤の製造にタペンタドールを使用する。
【0043】
好ましくは、用量a:用量b:用量c([mg]:[mg]:[mg])の比は、以下から成る群から選択される。
【0044】
【表2−1】

【0045】
【表2−2】

【0046】
好ましい実施形態において、該薬剤は、用量dのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Dをさらに含み、用量c<用量dである。
【0047】
好ましい実施形態において、用量aのタペンタドールを少なくとも1日の第1の投与期間中に投与し、用量bのタペンタドールを前記第1の投与期間の後の少なくとも1日の第2の投与期間中に投与し、用量cのタペンタドールを前記第2の投与期間の後の少なくとも1日の第3の投与期間中に投与し、用量dのタペンタドールを前記第3の投与期間の後の少なくとも1日の第4の投与期間中に投与し、用量a<用量b<用量c<用量dである、痛み、好ましくは慢性痛の治療用の薬剤の製造にタペンタドールを使用する。
【0048】
好ましくは、用量aは、用量dの10〜55重量%、より好ましくは15〜50重量%の範囲内にあり、用量bは、用量dの35〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%の範囲内にあり、用量cは、用量dの60〜95重量%、より好ましくは65〜90重量%の範囲内にある。
【0049】
より好ましくは、該薬剤は、用量eのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Eをさらに含み、用量d<用量eである。
【0050】
好ましい実施形態において、用量aのタペンタドールを少なくとも1日の第1の投与期間中に投与し、用量bのタペンタドールを前記第1の投与期間の後の少なくとも1日の第2の投与期間中に投与し、用量cのタペンタドールを前記第2の投与期間の後の少なくとも1日の第3の投与期間中に投与し、用量dのタペンタドールを前記第3の投与期間の後の少なくとも1日の第4の投与期間中に投与し、用量eのタペンタドールを前記第4の投与期間の後の少なくとも1日の第5の投与期間中に投与し、用量a<用量b<用量c<用量d<用量eである、痛みの治療用の薬剤の製造にタペンタドールを使用する。
【0051】
好ましくは、用量aは、用量eの10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の範囲内にあり、用量bは、用量eの30〜50重量%、より好ましくは35〜45重量%の範囲内にあり、用量cは、用量eの50〜70重量%、より好ましくは55〜65重量%の範囲内にあり、用量dは、用量eの70〜90重量%、より好ましくは75〜85重量%の範囲内にある。
【0052】
好ましくは、タペンタドールの1日投与量は、20〜550mg、より好ましくは30〜530mg、最も好ましくは40〜520mgの範囲内にある。
【0053】
好ましい実施形態において、投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eをそれぞれ1日1回(sid)投与するようにし、用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eは、それぞれ独立に20〜550mg、より好ましくは30〜530mg、最も好ましくは40〜520mgの範囲内にある。
【0054】
他の好ましい実施形態において、投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eをそれぞれ1日2回(bid)投与するようにし、用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eは、それぞれ独立に10〜275mg、より好ましくは15〜265mg、最も好ましくは20〜260mgの範囲内にある。
【0055】
他の好ましい実施形態において、投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eをそれぞれ1日3回(tid)投与するようにし、用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eは、それぞれ独立に6〜180mg、より好ましくは10〜175mg、最も好ましくは13〜170mgの範囲内にある。
【0056】
本発明による薬剤の好ましい実施形態において、投与単位Aはn個の剤形を含み、投与単位Bはn個の剤形を含み、任意選択の投与単位Cはn個の剤形を含み、任意選択の投与単位Dはn個の剤形を含み、任意選択の投与単位Eはn個の剤形を含み、n=nまたはn<nまたはn>nである。投与単位Xに属するn個の剤形は、同時に、すなわちほぼ同時に投与すべきである。好ましくは、n≦n≦任意選択のn≦任意選択のn≦任意選択のnである。
【0057】
本発明による薬剤は、タペンタドールの比較的低い用量(用量a)で、好ましくは25mg±5%、50mg±5%、75mg±5%または100mg±5%の用量で、より好ましくはタペンタドールの薬剤学的に有効な痛みの治療用量を下回る用量で治療を開始し、引き続いて、用量調節療法により用量を増加させること(用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量e)によりタペンタドールを投与するようにする。
【0058】
通常、初回量aは、1回だけでなく、数日間にわたり数回、好ましくは、特定の期間(第1の投与期間)中、例えば、3日間にわたり1日2回(bid)投与する。したがって、例えば、初回量aを
− 2つの投与単位Aを用いて前記第1の投与期間の初日に(例えば、1つの投与単位Aを前記初日の朝に投与し、1つの投与単位Aを夜に投与する)、
− 2つのさらなる投与単位Aを用いて前記第1の投与期間の2日目に(例えば、1つの投与単位Aを前記2日目の朝に投与し、1つの投与単位Aを夜に投与する)、および
− 2つのさらなる投与単位Aを用いて前記第1の投与期間の3日目に(例えば、1つの投与単位Aを前記3日目の朝に投与し、1つの投与単位Aを夜に投与する)
投与する。
【0059】
したがって、この例示した第1の投与期間中にタペンタドールを投与するために、それぞれが用量aのタペンタドールを含む合計6つの投与単位Aが必要である。
【0060】
その後、第1の投与期間の後に、用量調節療法によるタペンタドールの用量の増加を、例えば3日間の期間(第2の投与期間)中にも用量bを例えば、1日2回(bid)投与することによって実現することができる。したがって、例えば、引き続く用量bを
− 2つの投与単位Bを用いて前記第2の投与期間の初日に(例えば、1つの投与単位Bを前記初日の朝に投与し、1つの投与単位Bを夜に投与する)、
− 2つの投与単位Bを用いて前記第2の投与期間の2日目に(例えば、1つの投与単位Bを前記2日目の朝に投与し、1つの投与単位Bを夜に投与する)、および
− 2つのさらなる投与単位Bを用いて前記第2の投与期間の3日目に(例えば、1つの投与単位Bを前記3日目の朝に投与し、1つの投与単位Bを夜に投与する)
投与する。
【0061】
したがって、この例示した第2の投与期間中にタペンタドールを投与するために、それぞれが用量bのタペンタドールを含む合計6つの投与単位Bが必要である。
【0062】
その後、第2の投与期間の後に、用量調節療法によるタペンタドールの用量のさらなる増加は、用量c、dおよびeのタペンタドールを投与することにより、すなわち、第3、第4および第5の投与期間中にそれぞれ投与単位C、DおよびEを投与することにより任意に実現することができる。
【0063】
患者には、補足的無痛法として少なくとも6時間間隔で例えば25mgのタペンタドールの1回、2回またはそれを超える回数の投与を許容することができる。
【0064】
投与単位Xはn個の剤形を含むことができるので、以下の2つの場合を区別することができる。
− n=1の場合、投与単位Xの全ての投与は、用量xのタペンタドールを含む1つの剤形を用量調節療法中の各時点に投与することにより行う。
− n>1の場合、投与単位Xの全ての投与は、複数の剤形、すなわちn個の剤形を用量調節療法中の各時点に同時に投与することにより行い、n個の剤形のそれぞれが用量xを下回る量のタペンタドールを含むが、全てのn個の剤形の全体が用量xのタペンタドールを含む。投与単位Xのn個の剤形は、同じであるかまたは異なっていてよい。
【0065】
>1の場合、投与単位Xに属する剤形は、同じであるかまたは異なっていてよく、同じ包装または異なる包装で提供することができる。例えば、投与単位Xの用量xが250mgであり、nが2である場合、投与単位Xの2つの剤形の全体が250mgのタペンタドールの必要な用量xを含むように、第1の剤形が100mgのタペンタドールを含み、第2の剤形が150mgのタペンタドールを含んでいてよく、あるいは第1の剤形が200mgのタペンタドールを含み、第2の剤形が50mgのタペンタドールを含んでいてよい。当業者は、n個の剤形を同じ包装または異なる包装で提供することができることを認識している。例えば、200mgのタペンタドールを含む第1の剤形を第1の包装から取り出し、50mgのタペンタドールを含む第2の剤形を第2の包装から取り出し、250mgの用量のタペンタドールを含む投与単位を形成させるために両剤形を合わせることができる。
【0066】
この実施形態は、図1にさらに例示する。例えば、150mgの用量のタペンタドールを含む投与単位の投与は、以下のものを投与することによって実現することができる。
− 50mgのタペンタドールをそれぞれ含む3つの剤形(左);
− 50mgのタペンタドールを含む1つの剤形(左)および100mgのタペンタドールを含む1つの剤形(中央);または
− 150mgのタペンタドールを含む1つの剤形(右)。
【0067】
好ましくは、n、n、任意選択のn、任意選択のnおよび任意選択のnは、互いに独立に1、2、3、4または5である。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明による薬剤に含まれる全ての剤形は、異なり、かつ/またはn=n=任意選択のn=任意選択のn=任意選択のn=1である。
【0069】
他の好ましい実施形態において、本発明による薬剤に含まれる全ての剤形は、同じ、すなわち、同じ量のタペンタドールを含み、n<n<任意選択のn<任意選択のn<任意選択のnであり、より好ましくはn=1、n=2、任意選択のn=3、任意選択のn=4および任意選択のn=5である。好ましくは、用量a/n=用量b/n=任意選択の用量c/n=任意選択の用量d/n=任意選択の用量e/nである。
【0070】
好ましくは、本発明による薬剤は、1つまたは複数の投与単位A、1つまたは複数の投与単位B、任意選択の1つまたは複数の投与単位C、任意選択の1つまたは複数の投与単位Dおよび任意選択の1つまたは複数の投与単位Eを含む包装の形で提供する。
【0071】
例えば、本発明による薬剤は、それぞれが例えば50mg±5%のタペンタドールを含む36個の同じ剤形を含むブリスター包装の形で提供することができる。用量aが例えば50mg±5%のタペンタドールである場合、投与単位Aはそれぞれ1個の剤形(n=1)を含む。例えば、ブリスター包装における6個の剤形に投与単位Aと印をつけることができ、かつ/またはブリスター包装における他の剤形と局部的に分離することができる。用量bが例えば100mg±5%のタペンタドールである場合、投与単位Bはそれぞれ2個の剤形(n=2)を含む。例えば、ブリスター包装における12個の剤形を、各群が2個の剤形を含む6つの群に分けることができる。全ての群に投与単位Bと印をつけることができ、かつ/またはブリスター包装における他の剤形と局部的に分離することができる。用量cが例えば150mg±5%のタペンタドールである場合、投与単位Cはそれぞれ3個の剤形(n=3)を含む。例えば、ブリスター包装における18個の剤形を、各群が3個の剤形を含む6つの群に分けることができる。全ての群に投与単位Cと印をつけることができ、かつ/またはブリスター包装における他の剤形と局部的に分離することができる。本発明による薬剤のこの実施形態は、図2および3にさらに例示する。
【0072】
あるいは、本発明による薬剤は、それぞれが1個の剤形(n=1)から成る例えば18個の投与単位を含むブリスター包装の形で提供することができる。これらの投与単位は、それぞれが6個の剤形を含む3つの群に分けることができる。例えば、ブリスター包装における6個の剤形は、それぞれ用量a、例えば、50mg±5%のタペンタドールを含んでいてよく、投与単位Aと印をつけることができ、かつ/またはブリスター包装における他の剤形と局部的に分離することができる。ブリスター包装における他の6個の剤形は、それぞれ用量b、例えば、100mg±5%のタペンタドールを含んでいてよく、投与単位Bと印をつけることができ、かつ/またはブリスター包装における他の剤形と局部的に分離することができる。ブリスター包装における残りの6個の剤形は、それぞれ用量c、例えば、150mg±5%のタペンタドールを含んでいてよく、投与単位Cと印をつけることができ、かつ/またはブリスター包装における他の剤形と局部的に分離することができる。本発明による薬剤のこの実施形態は、図4にさらに例示する。
【0073】
好ましくは、本発明による薬剤は、複数の投与単位A、複数の投与単位B、任意選択の複数の投与単位C、任意選択の複数の投与単位Dおよび任意選択の複数の投与単位Eを含む。好ましくは、これらの投与単位は、順次、好ましくはアルファベット順に投与するようにする。好ましくは、全ての投与単位A(それぞれn個の剤形を含む)の全体を第1の投与期間中に投与するようにし、全ての投与単位B(それぞれn個の剤形を含む)の全体を、第1の投与期間の後、すなわち、全ての投与単位Aの全体の投与が完了した後の第2の投与期間中に投与するようにする。
【0074】
本発明の好ましい実施形態において、薬剤は、全ての投与単位Aを第1の投与期間中に投与するようにし、全ての投与単位Bを第1の投与期間の後の第2の投与期間中に投与するようにし、任意選択の全ての投与単位Cを第2の投与期間の後の第3の投与期間中に投与するようにし、任意選択の全ての投与単位Dを第3の投与期間の後の第4の投与期間中に投与するようにし、任意選択の全ての投与単位Eを第4の投与期間の後の第5の投与期間中に投与するように、順次、アルファベット順に好ましくは1日2回(bid)投与するようにされている複数の投与単位A、複数の投与単位B、任意選択の複数の投与単位C、任意選択の複数の投与単位Dおよび任意選択の複数の投与単位Eを含む包装の形で提供する。
【0075】
好ましくは、投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eをそれぞれ1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)投与するようにし、1日2回(bid)が特に好ましい。
【0076】
本発明の好ましい実施形態によれば、薬剤は以下を含む。
(i)少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第1の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与するようにされている上で定義した複数の投与単位A、
(ii)第1の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間、より好ましくは少なくとも11日間の第2の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与するようにされている上で定義した複数の投与単位B、
(iii)第2の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間、より好ましくは少なくとも14日間の第3の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与するようにされている上で定義した任意選択の複数の投与単位C、
(iv)第3の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第4の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与するようにされている上で定義した任意選択の複数の投与単位D、および
(v)第4の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第5の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与するようにされている上で定義した任意選択の複数の投与単位E。
【0077】
特に好ましくは、薬剤は、
(i)少なくともα日間連日の第1の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量aのタペンタドールを含む複数の投与単位A、
(ii)第1の投与期間の後の少なくともβ日間連日の第2の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量bのタペンタドールを含む複数の投与単位B、
(iii)第2の投与期間の後の少なくともχ日間連日の第3の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量cのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位C、
(iv)第3の投与期間の後の少なくともδ日間連日の第4の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量dのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位D、および
(v)第4の投与期間の後の少なくともε日間連日の第5の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量eのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位Eを含み、
a、b、c、d、eおよびα、β、χ、δ、εは、以下の必要条件P1〜9、Q1〜9、R1〜9およびS1〜9の群から選択される必要条件を満たしている。
【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
上の表において、例えば、「0/≧2」は、それぞれの用量を投与しない、すなわち、用量調節療法がこの段階を含まない(「0」)こと、またはそれぞれの用量を少なくとも2日間の投与期間中に投与する(≧2)ことを意味する。
【0083】
好ましくは、用量aのタペンタドールをα日間にわたり1日2回(bid)投与し、次いで用量bのタペンタドールをβ日間にわたり1日2回(bid)投与し、次いで任意選択の用量cのタペンタドールをχ日間にわたり1日2回(bid)投与し、次いで任意選択の用量dのタペンタドールをδ日間にわたり1日2回投与し、次いで任意選択の用量eのタペンタドールをε日間にわたり1日2回投与し、a、b、c、d、eおよびα、β、χ、δ、εが上の必要条件P1〜9、Q1〜9、R1〜9およびS1〜9の群から選択される必要条件を満たしている、痛みの治療用の薬剤の製造にタペンタドールを使用する。
【0084】
実施形態P〜Pは、特に骨関節症(股関節若しくは膝関節)に起因する慢性痛または腰痛の治療に特に有用である。
【0085】
実施形態Q〜Qは、特に骨関節症(股関節若しくは膝関節)に起因する慢性痛、腰痛または有痛性糖尿病性末梢神経障害(DPN)の治療に特に有用である。
【0086】
実施形態R〜Rは、特に骨関節症(股関節若しくは膝関節)に起因する慢性痛または腰痛の治療に特に有用である。
【0087】
実施形態S〜Sは、慢性痛、特に、慢性悪性腫瘍関連痛の治療に特に有用である。
【0088】
好ましくは、投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eならびに前記投与単位に属する剤形は、それぞれ各々が
− 経口投与するようにされており、かつ/または
− 固体であり、かつ/または圧縮され、かつ/またはフィルムコーティングされており、かつ/または
− 徐放性マトリクスからタペンタドールを放出し、かつ/または
− 投与単位の総重量に基づく0.001〜99.999重量%、より好ましくは0.1〜99.9重量%、より好ましくは1.0〜99.0重量%、より好ましくは2.5〜80重量%、最も好ましくは5.0〜50重量%、特に7.5〜40重量%の量のタペンタドールを含み、かつ/または
− 医薬的に許容される担体および/または医薬的に許容される賦形剤を含み、かつ/または
− 25〜2000mg、より好ましくは50〜1800mg、より好ましくは60〜1600mg、より好ましくは70〜1400mg、最も好ましくは80〜1200mg、最も好ましくは100〜1000mgの範囲内の総重量を有し、かつ/または
− 錠剤、カプセル、ペレット剤および顆粒から成る群から選択される。
【0089】
本発明による薬剤の他の好ましい実施形態において、用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eは、タペンタドールの平均血清濃度が1、2または3日までの初期段階の期間中を除く投与期間中のあらゆる時点に少なくとも0.1ng/ml、より好ましくは少なくとも1.0ng/ml、より好ましくは少なくとも2.0ng/ml、最も好ましくは少なくとも5.0ng/ml、特に少なくとも10ng/mlであるように独立に選択される。より好ましくは、タペンタドールの平均血清濃度は、1、2または3日までの初期段階の期間中を除く投与期間中のあらゆる時点に0.1〜10000ng/ml、より好ましくは1.0〜9000ng/ml、より好ましくは2.0〜8000ng/ml、より好ましくは3.0〜5000ng/ml、最も好ましくは4.0〜500ng/ml、特に5.0〜300ng/mlの範囲内にある。
【0090】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による療法に従う少なくとも3日間の期間中の1日2回(bid)の薬剤の投与後に、タペンタドールの平均血清濃度は、少なくとも15ng/mlまたは少なくとも20ng/ml、より好ましくは少なくとも25ng/mlまたは少なくとも30ng/ml、より好ましくは少なくとも35ng/mlまたは少なくとも40ng/ml、最も好ましくは少なくとも45ng/mlまたは少なくとも50ng/ml、特に少なくとも55ng/mlまたは少なくとも60ng/mlである。当業者は、タペンタドールおよびその代謝物の血清濃度をどのように測定するかを知っている。これに関連して、例えば、T. M. Tschentkeら、Drugs of the Future、2006年、31(12)、1053頁(非特許文献6)を参照することができる。
【0091】
好ましい実施形態において、タペンタドールを痛みの治療用の薬剤の製造に用い、薬剤の投与によって、
− 少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも3日間の先行する投与期間中の24時間後に、最高で27ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは最高で24ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは最高で20ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)のタペンタドールの平均血清濃度が達成され、
− 前記先行する投与期間後の少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも3日間の引き続く投与期間中の24時間後に、少なくとも27ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは少なくとも30ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは少なくとも33ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)のタペンタドールの平均血清濃度が達成される。
【0092】
他の好ましい実施形態において、タペンタドールを痛みの治療用の薬剤の製造に用い、薬剤の投与によって、
− 少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも3日間の先行する投与期間中の24時間後に、最高で45ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは最高で41ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは最高で37ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)のタペンタドールの平均血清濃度が達成され、
− 前記先行する投与期間後の少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも3日間の引き続く投与期間中の24時間後に、少なくとも45ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは少なくとも49ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは少なくとも53ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)のタペンタドールの平均血清濃度が達成される。
【0093】
他の好ましい実施形態において、タペンタドールを痛みの治療用の薬剤の製造に用い、薬剤の投与によって、
− 少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも3日間の先行する投与期間中の24時間後に、最高で62ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは最高で60ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは最高で57ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)のタペンタドールの平均血清濃度が達成され、
− 前記先行する投与期間後の少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも3日間の引き続く投与期間中の24時間後に、少なくとも62ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは少なくとも64ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)、より好ましくは少なくとも67ng/ml±75%(±67%、±50%、±40%、±30%または±20%)のタペンタドールの平均血清濃度が達成される。
【0094】
通常、先行する投与期間中に投与した用量から引き続く投与期間中に投与した用量にタペンタドールの用量を増加(または減少)させた場合に、所定の投与期間内に定常状態に達するには約24時間が必要である。
【0095】
好ましくは、タペンタドールを痛みの治療用の薬剤の製造に用い、
− タペンタドールをα日間の第1の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cαを得、
− 次いで、タペンタドールを前記第1の投与期間後のβ日間の第2の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cβを得、
− 次いで、場合によって、タペンタドールを前記第2の投与期間後のχ日間の第3の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cχを得、
− 次いで、場合によって、タペンタドールを前記第3の投与期間後のδ日間の第4の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cδを得、
− 次いで、場合によって、タペンタドールを前記第4の投与期間後のε日間の第5の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cεを得る。ここで、α、β、χ、δ、εおよびCα、Cβ、Cχ、Cδ、Cεは、以下の必要条件T1〜9、U1〜9、V1〜9およびW1〜9の群から選択される必要条件を満たしている。
【0096】
【表7】

【0097】
【表8】

【0098】
【表9】

【0099】
【表10】

【0100】
さらなる好ましい実施形態において、上の表における血清濃度Cα、Cβ、Cχ、Cδ、Cεの限界は、±75%の代わりに、±67%、より好ましくは±50%、より好ましくは±40%若しくは±35%、最も好ましくは±30%若しくは±25%、特に±20%、±15%、±10%若しくは±5%である。
【0101】
例えば、タペンタドールを前記第1の投与期間後のβ日間の第2の投与期間中に投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cβを得る場合、これは、第2の投与期間を開始してから24時間後に平均血清濃度が値Cβに達したことを意味する。通常、タペンタドールの用量を先行する投与期間中に投与した用量から次の投与期間中に投与する用量に増加させる(または減少させる)場合、所定の投与期間内で定常状態を達成するのに約24時間が必要である。
【0102】
本発明による薬剤のさらなる好ましい実施形態を本発明のさらなる態様に関して記述する。
【0103】
薬剤賦形剤
本発明による薬剤の投与単位AおよびBならびに場合によって存在する投与単位C、DおよびEは、それぞれ1つまたは複数の剤形を含んでいてよく、次にそれがタペンタドールのほかに、添加剤および/または補助物質を含んでいてよい。
【0104】
本発明の状況における適切な添加剤および/または補助物質は、生薬製剤を実現するための従来技術の専門家に知られている全ての物質である。これらの補助物質の選択および用いるべきその量は、投与単位/剤形が経口、静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、鼻内、口腔内または局所投与すべきかどうかに依存する。錠剤、咀嚼錠、コーティング錠、カプセル、顆粒、点滴剤、水薬またはシロップの製剤は、経口投与に適しており、液剤、懸濁剤、容易に再構成できる乾燥製剤およびスプレイは、非経口、局所および吸入投与に適している。直腸用の坐剤は、さらなる可能性のあるものである。皮膚を経る浸透を促進する物質を場合によって添加した、溶解した形のデポー剤担体フィルムまたはパッチの使用は、経皮投与用の適切な剤形の例である。経口投与単位/剤形用の補助物質および添加剤の例は、崩壊剤、滑剤、結合剤、充填剤、離型剤、任意選択の溶剤、着香料、糖、特に担体、希釈剤、色素、酸化防止剤等である。坐剤については、とりわけ、蝋および脂肪酸エステルを用いることができ、非経口投与用組成物については、担体物質、保存剤、懸濁補助剤等を用いることができる。
【0105】
剤形は、好ましくは0.05重量%〜99.5重量%、より好ましくは0.1〜90重量%、より好ましくは0.5〜80重量%、最も好ましくは1.0〜50重量%、特に5.0〜20重量%のタペンタドールを含む。
【0106】
補助物質は、例えば、水、エタノール、2−プロパノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコース、フルクトース、ラクトース、サッカロース、デキストロース、糖蜜、デンプン、変性デンプン、ゼラチン、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート、セラック、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、パラフィン、蝋、天然および合成ゴム、アラビアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、飽和および不飽和脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、食用油、ゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、大豆油、レシチン、乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリプロピレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビン酸、安息香酸、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カルシウム、カリ、リン酸カルシウム、リン酸第二カルシウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、タルク、カオリン、ペクチン、クロスポビドン、寒天およびベントナイトであってよい。
【0107】
本発明による投与単位/剤形は、制御放出性、遅延放出性、長時間放出性/延長放出性、持続放出性、反復作用放出性等であってよい。持続放出性投与単位/剤形が好ましい。
【0108】
本発明による投与単位/剤形は、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、A. R. Gennaro編、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa. (1985年)、特に第8部、第76章〜第93章(非特許文献7)に記載されているような医薬製剤の従来技術でよく知られている手段、装置、方法および工程を用いて調製される。
【0109】
したがって、例えば、錠剤などの固体製剤の場合、均一に分布したタペンタドールを含む固体組成物を形成するために、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸マグネシウム、リン酸第二カルシウムまたは医薬的に許容されるゴムなどの従来の錠剤成分ならびに例えば、水などの医薬希釈剤を用いてタペンタドールを顆粒化することができる。均一な分布とは、タペンタドールが組成物全体に均一に分布しており、そのため、これを同じ活性を有する錠剤、丸剤またはカプセルなどの単位剤形に容易に分割することができることを意味するとここでは理解される。次に固体組成物を単位剤形に分割する。本発明による投与単位は、遅延放出性を有する剤形を提供するために、コーティングするか、または他の方法でコンパウンド化することができる。適切なコーティング組成物は、とりわけ、重合酸ならびに重合酸と例えば、セラック、セチルアルコールおよび/または酢酸セルロースなどの物質との混合物である。
【0110】
タペンタドールは、経口、直腸内または経皮で用いることができる投与単位/剤形から遅延または長時間持続または持続した状態で放出させることができる。特に1日2回(bid)のみ服用しなければならない「1日2回(bid)」製剤の形の対応する製剤は、本発明による適応に特に好ましい(米国特許出願第2005−58706号(特許文献2)を参照)。
【0111】
タペンタドールの遅延または長時間持続または持続放出は、例えば、1〜80重量%、特に5〜80重量%の医薬的に許容されるマトリクス形成剤としての1つまたは複数の親水性または疎水性ポリマーを含み、また医薬的に許容されるマトリクス形成剤としての20℃の2重量%水溶液中で3000〜150000mPasの粘度(欧州薬局方毛細管粘度計を用いて測定)を有するセルロースエーテルおよび/またはセルロースエステルを含むマトリクス中にタペンタドールを含む投与単位/剤形によって達成することができる。好ましい医薬的に許容されるマトリクス形成剤としては、0.5mio g/モルを超える分子質量を有するポリエチレンオキシド、20℃の2重量%水溶液中で10000、特に50000mPasと150000mPasの間の粘度を有するセルロースエーテルおよび/またはセルロースエステルなどがある。特に適切な医薬的に許容されるマトリクス形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択することができ、特に、HPMCs、ヒドロキシエチルセルロースおよびHPCsから成る群から選択される。20℃の2重量%水溶液中で測定した、約100000mPasの粘度を有するHPMCsが最も好ましい。本発明による投与単位/剤形は、単純な錠剤として、またコーティングされた錠剤、例えば、フィルムコーティング錠または糖衣錠として存在していてよい。錠剤は、一般的に丸く、両凸形であるが、錠剤を分割することができる長円の形状の錠剤も可能である。サシェ若しくはカプセルに充填される、または崩壊性錠に圧縮することができる顆粒、球形剤、ペレット剤またはマイクロカプセルも本発明の範囲内で可能である。
【0112】
徐放性マトリクスの代わりに、有効成分の放出を遅らせるコーティングを有する通常放出性マトリクスを使用することも可能である。例えば、タペンタドールは、水性媒体中のタペンタドールの緩やかな放出を制御する材料で覆ったまたはコーティングした、微結晶セルロースならびに結合剤、充填剤、流動促進剤、滑沢剤および流動調節剤などの任意選択によるさらなる医薬補助剤の従来のマトリクスに含まれていてよい。適切なコーティング剤としては、例えば、水に不溶性の蝋およびポリメタクリレートなどのポリマー(Eudragit若しくは同様なもの)または水に不溶性のセルロース、特に、エチルセルロースなどがある。コーティング材料は、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロース、ポリソルベート80などの他の水溶性物質またはポリエチレングリコール、ラクトース若しくはマンニトールなどの親水性細孔形成剤も場合によって含んでいてよい。
【0113】
遅延放出性または長時間持続放出性または持続放出性剤形における徐放性マトリクス、あるいはタペンタドールの放出を遅らせるコーティングを施した通常放出性マトリクスの可能性の代替または補足として、浸透圧駆動による放出システムを用いて緩徐な放出を達成することもできる。浸透圧駆動による放出システムの実際の製造の実施形態および例は、米国特許第4,765,989号(特許文献3)、米国特許第4,783,337号(特許文献4)および米国特許第4,612,008号(特許文献5)に見いだすことができる。
【0114】
キット
本発明のさらなる態様は、上で定義した少なくとも1つの投与単位A、少なくとも1つの投与単位B、任意選択による少なくとも1つの投与単位C、任意選択による少なくとも1つの投与単位Dおよび任意選択による少なくとも1つの投与単位Eを含むキットに関する。
【0115】
本発明によるキットは、それぞれがn個の剤形を含む複数の投与単位A、それぞれがn個の剤形を含む複数の投与単位B、それぞれがn個の剤形を含む任意選択による複数の投与単位C、それぞれがn個の剤形を含む任意選択による複数の投与単位Dおよびそれぞれがn個の剤形を含む任意選択による複数の投与単位Eを含む包装を含むことが好ましく、n、n、任意選択のn、任意選択のnおよび任意選択のnは、好ましくは互いに独立に1、2、3、4または5である。
【0116】
好ましくは、個々の投与単位Xに属するn個の剤形は、グループ分けされ、かつ/または印をつけられ、かつ/または包装に含まれている他の投与単位および剤形からそれぞれ局部的に分離されている(図2および3を参照)。
【0117】
好ましい実施形態において、本発明によるキットに含まれている全ての剤形は、同じ、すなわち、同じ量のタペンタドールを含み、n<n<任意選択のn<任意選択のn<任意選択のnであり、より好ましくはn=1、n=2、任意選択のn=3、任意選択のn=4および任意選択のn=5である。好ましくは、用量a/n=用量b/n=任意選択の用量c/n=任意選択の用量d/n=任意選択の用量e/nである。
【0118】
他の好ましい実施形態において、投与単位Aに属する剤形は、投与単位Bに属する剤形と異なり、それはそしてまた、投与単位Cに属する剤形と異なり、等々である。好ましくは、n=n=任意選択のn=任意選択のn=任意選択のnである(図4を参照)。
【0119】
好ましくは、本発明によるキットは、用量aのタペンタドールをα日間にわたり1日2回(bid)、次いで用量bのタペンタドールをβ日間にわたり1日2回(bid)、次いで任意選択による用量cのタペンタドールをχ日間にわたり1日2回(bid)、次いで任意選択による用量dのタペンタドールをδ日間にわたり1日2回、次いで任意選択による用量eのタペンタドールをε日間にわたり1日2回投与するのに適するそれぞれ複数の投与単位および剤形を含み、a、b、c、d、eおよびα、β、χ、δ、εは、上の必要条件P1〜9、Q1〜9、R1〜9およびS1〜9の群から選択される必要条件を満たしている。
【0120】
本発明によるキットのさらなる好ましい実施形態を本発明のさらなる態様に関して記述する。
【0121】
あらかじめ決定した割れの部位を有する剤形
本発明の他の態様は、あらかじめ決定した割る部位に沿った割線(破断割線)の箇所で手で割ることができるように、剤形を少なくとも2つの部分に分割し、剤形を機械的に弱くする割線を含む、タペンタドールを含む医薬経口剤形に関する。該剤形は、好ましくは1日2回(bid)投与するようになされ、タペンタドールは遅延マトリクス中に埋め込まれている。マトリクスは、投与単位を割線の箇所で割ったときに剤形からのタペンタドールの遅延放出が減らないことを保証する。割線は、直線であるか、または十字の形をとっていてよい。割線が直線である場合、剤形を好ましくはほぼ同じ形状、大きさおよびタペンタドールの含量を有する2つに割ることができる。割線が十字の形をとる場合、剤形を2つに割り、次に各半分を好ましくはほぼ同じ形状、大きさおよびタペンタドールの含量を有する2つに割ることができる。好ましくは、剤形は40〜260mgのタペンタドールを含む。好ましくは、あらかじめ決定した割る部位に沿った割線の箇所で割った後に、各半分が約20〜約130mgのタペンタドールを含み、各1/4がそれぞれ約10〜約65mgのタペンタドールを含む。
【0122】
本発明による剤形は、用量調節療法を実現するのに用いることができる。例えば、タペンタドールを第1の投与期間中に100mg±5%の用量で、第2の投与期間中に200mg±5%の用量で1日2回(bid)投与すべき場合、本発明による剤形は合計200mg±5%のタペンタドールを含んでいてよい。第1の投与期間中の投与のために、各剤形を手で割り、約100mg±5%のタペンタドールを含む半分のみを投与する。第1の投与期間の後に、剤形を割らずに、そのまま投与する。
【0123】
剤形を割線に沿って割ったときに得られる本発明による剤形の個々の断片は、好ましくはそれぞれが、上で定義した用量a、用量b、用量c、用量dおよび用量eのいずれかにそれぞれ対応するタペンタドールの用量を含む。
【0124】
痛みを治療する方法
本発明のさらなる態様は、好ましくは本発明による薬剤を用いて用量調節療法によりタペンタドールを、それを必要とする人に投与することを含む痛みを治療する方法に関する。好ましくは、該療法において、タペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)投与するが、1日2回(bid)が特に好ましい。
【0125】
用量に関する限り、各療法を用量調節段階と継続段階に分けることができる。本明細書の目的のために、「用量調節」は、特定の投与期間の後に、最適用量に達するまでタペンタドールの用量を増加(または減少)させることを意味する。
【0126】
療法は、静的(強制的)または動的であってよい。
【0127】
好ましくは、療法は動的である。すなわち、個々の対象にとって最適の薬剤学的に有効な用量に達するまで、用量を連続的に増加させる。最適の用量は、個々に異なってよく、治療する痛みの種類および程度にも依存する。好ましくは、最適の用量は、患者の知覚において許容できる副作用を伴う痛みの意味のある改善をもたらす用量と定義される(最大治療ベネフィット)。該療法は、より低い発生率または重症度の傾眠などの副作用をもたらす。
【0128】
好ましくは、対象は現状の用量のタペンタドールによりもたらされる痛みの軽減の達成および副作用の発生をモニターする。一方で所望の痛みの低減、他方で有害事象の評価によって、対象はタペンタドールの用量を
− さらに増加させる(次の上方用量調節段階)、
− 現状のレベルを維持する(さらなる用量調節段階なし)または
− 減少させる(次の下方用量調節段階)
かどうかを決定する。
【0129】
好ましくは、用量調節段階中、タペンタドールを第1の投与期間に一定の初回(初期)用量で1日2回(bid)投与する。前記第1の投与期間の後に、タペンタドールを第2の投与期間に一定の第2の用量で1日2回(bid)投与する。但し、第2の用量は初回用量より高い。
【0130】
前記第2の投与期間の後に、用量調節段階を終了させることができる。すなわち、タペンタドールの投与を前記一定の第2の用量で1日2回(bid)継続し、それにより、継続段階を開始することができる。これらの状況下では、用量調節段階は、第2の投与期間中に投与したタペンタドールの用量をさらに増加(または減少)させないという事実により終了させる。あるいは、前記第2の投与期間の後に、用量調節段階を継続することができる。すなわち、タペンタドールを第3の投与期間に一定の第3の用量で1日2回(bid)投与する。但し、第3の用量は第2の用量より高い。
【0131】
前記第3の投与期間の後に、用量調節段階を終了させることができる。すなわち、タペンタドールの投与を前記一定の第3の用量で1日2回(bid)継続し、それにより、継続段階を開始することができる。あるいは、前記第3の投与期間の後に、用量調節段階を継続することができる。すなわち、タペンタドールを第4の投与期間に一定の第4の用量で1日2回(bid)投与する。この段階で、対象の個々の必要によって、用量をさらに増加または減少させることができる。
【0132】
好ましくは、用量調節段階は、異なる用量のタペンタドールを好ましくは1日2回(bid)投与し、それぞれ二相、三相、四相および五相療法となる少なくとも2投与期間、好ましくは3、4または5投与期間を含む。
【0133】
好ましくは、投与療法の用量調節段階は、少なくとも1、2、3、4、5、6または7日、より好ましくは少なくとも14日間、より好ましくは7〜28日、最も好ましくは14〜28日、特に14〜21日を含む。
【0134】
好ましい実施形態において、投与療法は、二相(2つの連続した投与期間)であり、1、2、3、4、5、6または7〜28日、より好ましくは7〜21日、最も好ましくは7〜14日を含み、第1の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、50mg±5%〜100mg±5%の範囲内にあり、第2の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、100mg±5%〜150mg±5%の範囲内にある。好ましくは、第2の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の2〜11日後、より好ましくは3〜7日後に始まる。
【0135】
他の好ましい実施形態において、投与療法は、三相(3つの連続した投与期間)であり、1、2、3、4、5、6または7〜28日、より好ましくは7〜21日、最も好ましくは7〜14日を含み、第1の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、25mg±5%〜100mg±5%の範囲内にあり、第2の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、50mg±5%〜150mg±5%の範囲内にあり、第3の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、100mg±5%〜200mg±5%の範囲内にある。好ましくは、第2の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の2〜11日後、より好ましくは3〜7日後に始まり、第3の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の5〜22日後、より好ましくは6〜14日後に始まる。
【0136】
他の好ましい実施形態において、投与療法は、四相(4つの連続した投与期間)であり、1、2、3、4、5、6または7〜28日、より好ましくは7〜21日、最も好ましくは14〜21日を含み、第1の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、25mg±5%〜100mg±5%の範囲内にあり、第2の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、50mg±5%〜150mg±5%の範囲内にあり、第3の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、100mg±5%〜200mg±5%の範囲内にあり、第4の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、150mg±5%〜250mg±5%の範囲内にある。好ましくは、第2の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の2〜11日後、より好ましくは3〜7日後に始まり、第3の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の5〜16日後、より好ましくは6〜14日後に始まり、第4の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の8〜22日後、より好ましくは9〜14日後に始まる。
【0137】
他の好ましい実施形態において、投与療法は、五相(5つの連続した投与期間)であり、1、2、3、4、5、6または7〜28日、より好ましくは7〜21日、最も好ましくは14〜21日を含み、第1の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、25mg±5%〜50mg±5%の範囲内にあり、第2の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、50mg±5%〜100mg±5%の範囲内にあり、第3の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、100mg±5%〜150mg±5%の範囲内にあり、第4の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、150mg±5%〜200mg±5%の範囲内にあり、第5の投与期間におけるタペンタドールの用量は、好ましくは1日2回(bid)、200mg±5%〜250mg±5%の範囲内にある。好ましくは、第2の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の2〜11日後、より好ましくは3〜7日後に始まり、第3の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の5〜16日後、より好ましくは6〜14日後に始まり、第4の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の8〜22日後、より好ましくは9〜14日後に始まり、第5の投与期間は、タペンタドールの最初の投与の11〜27日後、より好ましくは12〜17日後に始まる。
【0138】
投与すべき個々の用量は、全用量を含む1投与単位により、またはそれぞれが前記全用量の一部を含む複数の投与単位により投与することができる。例えば、100mgのタペンタドールの用量は、100mgを含む錠剤により、またはそれぞれが50mgを含む2つの錠剤により投与することができる。
【0139】
本発明による痛み、好ましくは慢性痛を治療する方法は、用量調節療法に従う。好ましくは、該方法は、
− 第1の投与期間中に用量aのタペンタドールを好ましくは1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)および
− 第1の投与期間後の第2の投与期間中に用量bのタペンタドールを好ましくは1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)
それを必要とする人に投与することを含み、
用量a<用量bである。
【0140】
好ましくは、第1の投与期間および第2の投与期間は、互いに無関係に少なくとも1日、より好ましくは少なくとも2日間、特に少なくとも3日間継続する。
【0141】
好ましくは、タペンタドールを経口投与する。好ましくは、タペンタドールを1日2回(bid)投与する。好ましくは、用量aは、用量bの10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%、より好ましくは45〜70重量%の範囲内にある。
【0142】
好ましい実施形態において、本発明による方法は、第2の投与期間の後の第3の投与期間中に用量cのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)経口投与することをさらに含み、用量b<用量cである。好ましくは、用量aは、用量cの10〜65重量%、より好ましくは20〜55重量%の範囲内にあり、用量bは、用量cの35〜90重量%、より好ましくは45〜80重量%の範囲内にある。
【0143】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による方法は、第3の投与期間の後の第4の投与期間中に用量dのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)経口投与することをさらに含み、用量c<用量d(または用量c>用量d)である。好ましくは、用量aは、用量dの10〜55重量%、より好ましくは15〜50重量%の範囲内にあり、用量bは、用量dの35〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%の範囲内にあり、用量cは、用量dの60〜95重量%、より好ましくは65〜90重量%の範囲内にある。
【0144】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による方法は、第4の投与期間の後の第5の投与期間中に用量eのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)経口投与することをさらに含み、用量d<用量e(または用量d>用量e)である。好ましくは、用量aは、用量eの10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の範囲内にあり、用量bは、用量eの30〜50重量%、より好ましくは35〜45重量%の範囲内にあり、用量cは、用量eの50〜70重量%、より好ましくは55〜65重量%の範囲内にあり、用量dは、用量eの70〜90重量%、より好ましくは75〜85重量%の範囲内にある。
【0145】
好ましくは、第1の投与期間、第2の投与期間、任意選択の第3の投与期間、任意選択の第4の投与期間および任意選択の第5の投与期間は、互いに独立に1〜21日、より好ましくは2〜14日を含む。
【0146】
好ましくは、本発明による方法は、
(i)少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第1の投与期間中に用量aのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)、
(ii)第1の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第2の投与期間中に用量bのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)、
(iii)場合によって、第2の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第3の投与期間中に用量cのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)、
(iv)場合によって、第3の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第4の投与期間中に用量dのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)、および
(v)場合によって、第4の投与期間の後の少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間の第5の投与期間中に用量eのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)
投与することを含む。
【0147】
好ましくは、1日当たりの投与回数を一致させる。すなわち、第1の投与期間中にタペンタドールを1日2回(bid)投与する場合、第2の投与期間中にもタペンタドールを好ましくは1日2回(bid)投与する。すなわち、1日1回(sid)でもなく、1日3回(tid)でもない。
【0148】
本発明による方法の好ましい実施形態において、用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eは、全ての投与期間の全ての日におけるタペンタドールの1日投与量が20〜550mg、より好ましくは30〜530mg、最も好ましくは40〜510mgの範囲内にあるように独立に選択される。
【0149】
特に好ましくは、本発明による方法は、
(i)少なくともα日間連日の第1の投与期間中に用量aのタペンタドールを1日2回(bid)、
(ii)第1の投与期間の後の少なくともβ日間連日の第2の投与期間中に用量bのタペンタドールを1日2回(bid)、
(iii)場合によって、第2の投与期間の後の少なくともχ日間連日の第3の投与期間中に用量cのタペンタドールを1日2回(bid)、
(iv)場合によって、第3の投与期間の後の少なくともδ日間連日の第4の投与期間中に用量dのタペンタドールを1日2回(bid)、および
(v)場合によって、第4の投与期間の後の少なくともε日間連日の第5の投与期間中に用量eのタペンタドールを1日2回(bid)
経口投与することを含み、
a、b、c、d、eおよびα、β、χ、δ、εは、上で記載した必要条件P1〜9、Q1〜9、R1〜9およびS1〜9の群から選択される必要条件を満たしている。
【0150】
特に好ましい実施形態において、対象は、50mg±5%の用量で1日2回(bid)経口投与する、タペンタドールによる治療を開始する。3日後に用量を100mg±5%に増加させる。これは、続けるべき最小用量である。対象の自由裁量により、次に上方用量調節を50mg±5%の増分で最低限3日間隔(6回連続投与)で行うことができる。許容される最大用量は、好ましくは250mg±5%である。対象の自由裁量により、時間の制限なしに同じ減分を用いた下方用量調節(好ましくは最小用量を下回らない)も許容される。
【0151】
他の特に好ましい実施形態において、対象は、50mg±5%の用量で1日2回(bid)経口投与する、タペンタドールによる治療を開始する。3日後に用量を100mg±5%に増加させる。これは、続けるべき最小用量である。対象は、次の4日間100mg±5%の用量にとどまる。その後、対象の自由裁量により、上方用量調節を50mg±5%の増分で最低限3日間隔(6回連続投与)で行うことができる。許容される最大用量は、好ましくは250mg±5%である。対象の自由裁量により、時間の制限なしに同じ減分を用いた下方用量調節(好ましくは最小用量を下回らない)も許容される。
【0152】
上の2つの実施形態は、特に骨関節症(股関節若しくは膝関節)に起因する慢性痛、腰痛、有痛性糖尿病性末梢神経障害(DPN)および悪性疼痛の治療に特に有用である。
【0153】
他の特に好ましい実施形態において、対象は、100mg±5%の用量で1日2回(bid)経口投与する、タペンタドールによる治療を開始する。これは、続けるべき最小用量である。対象の自由裁量により、次に上方用量調節を50mg±5%の増分で最低限3日間隔(6回連続投与)で行うことができる。許容される最大用量は、好ましくは250mg±5%である。対象の自由裁量により、時間の制限なしに同じ減分を用いた下方用量調節(好ましくは最小用量を下回らない)も許容される。
【0154】
この実施形態は、慢性痛、特に、慢性悪性腫瘍関連痛の治療に特に有用である。
【0155】
好ましくは、通常の初回量は、50mgのタペンタドール持続放出(PR)1日2回(bid)である。患者は、患者の知覚において許容できる副作用を伴う痛みの意味のある改善をもたらす用量と定義される最適の個別用量(最大治療ベネフィット)まで個別に用量調節を受ける。上方用量調節は、50mgタペンタドール持続放出(PR)1日2回(bid)の増分で時々行うことができる。下方用量調節は、同じ減分を用いるべきである。用いる用量は、痛み軽減をもたらす最低用量であるべきである。タペンタドールは、食物とともにまたは食物なしで投与することができる。
【0156】
好ましくは、通常の初回量は、50mgのタペンタドール持続放出(PR)1日2回(bid)である。患者は、患者の知覚において許容できる副作用を伴う痛みの意味のある改善をもたらす用量と定義される最適の個別用量(最大治療ベネフィット)まで個別に用量調節を受ける。上方用量調節は、50mgタペンタドール持続放出(PR)1日2回(bid)の増分で最低限3日間隔(6回連続投与)で行うことができる。同じ減分を用いた下方用量調節を時間の制限なしに行うことができる。用いる用量は、痛み軽減をもたらす最低用量であるべきである。最大用量は、250mgタペンタドール持続放出(PR)1日2回(bid)である。タペンタドールは、食物とともにまたは食物なしで投与することができる。
【0157】
本発明による方法の他の好ましい実施形態において、用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eは、タペンタドールの平均血清濃度が、1、2または3日の初期段階を除くあらゆる時点に0.1〜10000ng/ml、より好ましくは1.0〜9000ng/ml、より好ましくは2.0〜8000ng/ml、最も好ましくは3.0〜1000ng/ml、特に5.0〜300ng/mlの範囲内であるように独立に選択される。
【0158】
本発明による方法の好ましい実施形態において、
− タペンタドールをα日間の第1の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cαを得、
− 次いで、タペンタドールを前記第1の投与期間後のβ日間の第2の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cβを得、
− 次いで、場合によって、タペンタドールを前記第2の投与期間後のχ日間の第3の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cχを得、
− 次いで、場合によって、タペンタドールを前記第3の投与期間後のδ日間の第4の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cδを得、
− 次いで、場合によって、タペンタドールを前記第4の投与期間後のε日間の第5の投与期間中に好ましくは1日2回(bid)投与し、24時間後にタペンタドールの平均血清濃度Cεを得る。ここで、α、β、χ、δ、εおよびCα、Cβ、Cχ、Cδ、Cεは、以下の必要条件T1〜9、U1〜9、V1〜9およびW1〜9の群から選択される必要条件を満たしている。
【0159】
【表11】

【0160】
【表12】

【0161】
【表13】

【0162】
【表14】

【0163】
さらなる好ましい実施形態において、上の表における血清濃度Cα、Cβ、Cχ、Cδ、Cεの限界は、±75%の代わりに、±67%、より好ましくは±50%、より好ましくは±40%若しくは±35%、最も好ましくは±30%若しくは±25%、特に±20%、±15%、±10%若しくは±5%である。通常、先行する投与期間中に投与した用量から次の投与期間中に投与した用量にタペンタドールの用量を増加(または減少)させた場合に、所定の投与期間内に定常状態に達するには約24時間が必要である。
【0164】
上で既に述べたように、全投与療法は、一般的に用量調節段階とそれに続く継続段階を含む。好ましい実施形態において、全投与療法(用量調節段階+継続段階)は、少なくとも10日間連日、より好ましくは少なくとも20日間連日、より好ましくは少なくとも30日間連日、より好ましくは少なくとも50日間連日、最も好ましくは少なくとも70日間連日、特に少なくとも90日間連日を含む。
【0165】
好ましい実施形態において、全投与は、用量調節段階およびその後の継続段階が完了した後に終了させる。すなわち、継続段階の後に好ましくは第2の用量調節段階(例えば、下方用量調節、薬物漸減)を追加しない。言い換えれば、全投与療法の終了時に、タペンタドールの投与を好ましくは一度に終了させる。すなわち、継続段階における完全な用量(最後の正規の用量)から中間の用量を用いずにゼロに下げる。
【0166】
タペンタドールについて長期投与療法の終了時に、薬物の中止後の軽度から中等度の離脱症状の発生がオキシコドンなどの他のオピオイドと比較して有意に少ないことが驚くべきことに発見された。したがって、全投与療法の終了時に薬物を漸減すること(下方用量調節)が必要であるという徴候はほとんどない。
【0167】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態を本発明のさらなる態様に関連して述べる。
【0168】
タペンタドールの用量調節は、該化合物の鎮痛特性を維持すると同時に有害な効果に起因する中止を低減するのに有効である。これは、傾眠などの副作用のため鎮痛薬に耐える困難を以前に経験した患者の場合に特に当てはまる。この結果は、有害な副作用により薬剤の使用を中止した患者の累積割合に基づいている。

【0169】

以下の例は、本発明をより詳細に述べるものであり、本発明を例示するが、その範囲を限定するものではない。
A)比較例C−1(用量調節なし)
【0170】
デザイン:
股関節および/または膝関節骨関節症を有する患者における28日間にわたるオキシコドン持続放出(bid)20mgおよびプラセボと比較して3用量のタペンタドール持続放出(bid)(25mg、50mgおよび100mg)の有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検反復投与並行群試験
【0171】
被験者:
40〜75歳の男性および女性患者。
375人の患者をプラセボ、標準オピオイド、タペンタドールに無作為化した。
【0172】
投与方法:
1日目は夜のみ投与
2日目〜28日目はbid
29日目は朝のみ投与
B)比較例C−2(用量調節なし)
【0173】
デザイン:
慢性腰痛を有する患者におけるプラセボおよびトラマドール持続放出100mgと比較してタペンタドール持続放出25、50および100mgの有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検反復投与並行群試験
【0174】
被験者:
最後の90日のうちの少なくとも60日に正規の治療を必要とする少なくとも6カ月の腰痛の病歴を有する18〜75歳の男性および女性患者。
430例の患者をプラセボ、トラマドール100mg持続放出、3用量タペンタドールに無作為化した。
【0175】
投与方法:
28日間にわたり毎日1日2回
C)例E−1(強制用量調節−静的療法)
【0176】
デザイン:
膝の骨関節症に起因する慢性痛を有する患者におけるプラセボおよびオキシコドン制御放出(10mg、10mg、20mg)と比較して1日2回(bid)経口投与したタペンタドール持続放出(25mg、50mg、100mgおよび100mg、150mg、200mgタペンタドールの遊離塩基)の2つの用量調節療法の有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検並行群試験
【0177】
被験者:
膝の骨関節症の診断を有する40歳以上の男性および女性患者
【0178】
投与方法:
患者は、最初の3日間の用量調節段階の最低用量から開始し、4日目に中用量に上方用量調節した。被験者は、次の11日間にわたり該中用量を維持した。これらの11日の後に、患者は維持段階を開始し、残りの14日間にわたり最高用量の各療法を受けた。少なくとも3日間にわたり最高用量の投与を受けた後に最高用量に耐えることができなかった被験者には、中用量に下方用量調節することを許容した。下方用量調節は、固定用量維持段階中に1回のみ許容した。
D)例E−2(強制用量調節−静的療法)
【0179】
デザイン:
慢性腰痛に起因する中等度から重度の慢性痛を有する患者におけるタペンタドール持続放出(25mg−50mg−100mgおよび100mg−150mg−200mg)1日2回(bid)経口投与およびトラマドール持続放出(100mg−150mg−200mg)p.o.bidの2つの用量調節療法の有効性および安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検並行群試験
【0180】
被験者:
少なくとも3カ月の腰痛の診断を有する18歳以上の男性および女性患者
【0181】
投与方法:
患者は初回量を服用し、それらの投与方法における最低用量で3日間(すなわち、6回)継続した。6回の投与後に、患者はそれらの投与方法における中用量に用量調節し、この中用量で11日間(すなわち、22回)継続した。上方用量調節が必須であった。被験薬に耐えることができなかった患者は、試験から除外した。22回の投与の後に、患者は、それらの投与方法における最終用量に用量調節し、この最終用量で14日間継続した。
E)モデリングおよびシミュレーション(M&S)を用いて傾眠の発生に対するタペンタドールの用量調節の影響を推定すること
【0182】
PK/PDモデリングおよびシミュレーションを用いて用量調節が有害事象の発生に対してベネフィットをもたらすかどうかを検討した。用量調節の利点の推定は、一般的なオピオイドに関連する有害事象のインジケーターとしての傾眠に基づくものであった。それは、最も一般的に発生する有害事象の1つでもあり、したがって、十分な信頼度でのモデリングおよびシミュレーションを可能にする。
【0183】
濃度測定値は、両方とも用量調節を伴わない比較例C−1およびC−2からのものを利用した。同じ適応における例E−1およびE−2を用いて用量調節のもとでのPK/PD情報を得た。全ての試験において有害事象が認められた。
【0184】
集団PKモデルは、NONMEM V level 1.1を用いて全ての試験にわたって構築し、集団PK/PDモデルは、例E−1およびE−2の試験の傾眠について構築した。例E−1およびE−2の試験からのデータについて確立された傾眠に関するPK/PDモデルおよび4つの試験の全ての共変量を含まない集団PKモデルを考慮に入れて、Trial Simulator 2.1を用いてシミュレーションを行った。
【0185】
PK/PD傾眠の結果:
図5(タペンタドール−2次多項式適合による傾眠の観察対濃度)および図6(タペンタドール−6次多項式適合による傾眠の観察対濃度)は、比較例C−1およびC−2の試験において用量および濃度が明らかにより低いにもかかわらず、有害事象が、用量調節を用いた例E−1およびE−2の試験と比較してはるかに低い濃度で一般的に発生したことを明確に示している。
【0186】
図6から、十分な傾眠が存在していた濃度の範囲内で用量調節を伴うまたは伴わない試験の曲線はほぼ平行であったが、用量調節を適用しなかった場合により低い濃度に移動していたことがわかる。多項式回帰の末端の下方への曲りは、高濃度がないことが原因である。これは、高次多項式で通常認められる現象である。
【0187】
比較例C−1およびC−2の試験における曲線に類似性があり、データポイントの数が低いため、このPK/PD関係についてモデルを構築しなかった。その代わり、例E1およびE2で認められた数を適用した。そのため、比較例C−1およびC−2をシミュレートする結果は図5および6における曲線に類似しているであろう。
【0188】
モデリングにより得られた以下の式を用いて、用量調節の場合の傾眠の確率を確認した:ロジット=−3.4+0.000445*濃度^1.74
【0189】
固定用量の場合、以下の式を図5および6に基づいて上の式から得た:ロジット=−3.4+0.0009*濃度^1.74
【0190】
図7に臨床試験においてタペンタドールについて用いた用量調節療法の概略図を示す。
【0191】
PK/PDシミュレーションの結果
集団PKモデルならびに濃度と傾眠との関係を用いて、2000例の患者、用量調節を用いた1000例の患者(1週間58mg、1週間116mg、2週間233mgタペンタドールHCl)および用量調節を用いなかった1000例の患者(4週間233mg)をシミュレートした。被験者に4週目の治療中7日間にわたり1日3回傾眠を経験したかどうかを質問したときに両デザインにおける確率はどのようなものかをシミュレートした。シミュレーションの手順で脱落は考慮に入れなかった。
【0192】
結果から、傾眠エピソードの件数が用量調節を受けた群ではるかに低かったことが明確にわかる。全体的にみて、治療の最終週における傾眠エピソードの件数は、用量調節の群で15.5%であったのに対して、固定用量の群で33.2%であった。傾眠に関する質問をした各時点に達した濃度の平均値は、2投与群でほぼ同じであった。最終来院時の最終濃度に注目したとき、傾眠の発生率は、用量調節群で7.6%であったのに対して、固定用量群では12.9%であった。
【0193】
用量調節を用いなかった試験において、傾眠が172mgタペンタドール塩基の総1日投与量で患者の4.3%に発生した(両試験からのプールしたデータ)。しかし、強制用量調節を用いた試験において、傾眠が200mgの総1日投与量で患者の6%に発生し、400mgタペンタドール塩基の総1日投与量で患者の12%に発生した(プールしたデータ)。
F)比較−オキシコドンの用量調節
【0194】
図8(オキシコドン−直線適合による傾眠の観察対濃度)は、例E−1の用量調節療法に従ってオキシコドンを投与したとき、傾眠の抑制に関する同等な効果はないことを示している。
G)タペンタドールの血清濃度
【0195】
図9A/Bに比較臨床試験(比較例C−1およびC−2)における投与後のタペンタドールの濃度(ng/ml)の分布の数学的解析を示す。
【0196】
図10A/Bに本発明による臨床試験(例E−1およびE−2)における投与後のタペンタドールの濃度(ng/ml)の分布の数学的解析を示す。
H)例E−3(投与療法の終了)
【0197】
慢性腰痛または膝若しくは股関節の骨関節症による慢性痛を有する患者の無作為化二重盲検実薬・対照並行群変動用量多施設第III相試験においてタペンタドール即時放出(IR)の長期投与(90日)後のオピオイド離脱症状をオキシコドンIRと比較して評価した。患者(N=849)を4〜6時間ごとの変動用量のタペンタドールIR(50または100mg/投与;最大600mg/日)またはオキシコドンIR(10または15mg/投与;最大90mg/日)に4:1の比率で無作為に割り付けた。オピオイドの中止後の離脱症状を臨床オピオイド離脱スコア(Clinical Opioid Withdrawal Score)(COWS)および主観的オピオイド離脱スコア(Subjective Opioid Withdrawal Score)(SOWS)質問票を用いて検討した。被験薬を中止してから2〜4日後のCOWS評価に基づいて、軽度から中等度の離脱症状を報告した患者は、タペンタドールIR群(17%)においてオキシコドンIR群(29%)より有意に少なかった(コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いた名義P<0.05)。最終被験薬服用の2〜4日後の平均総SOWSスコアは、タペンタドールIR群(6.9)においてオキシコドンIR群(8.7)より低かった。対応するP値(分散モデルの分析)から、治療群間に有意な差はないことが明らかになった。さらに、最終被験薬服用の5日またはそれ以上の後では、平均総SOWSスコアは、タペンタドールIR群で6.3であり、オキシコドンIR群で7.0であった(有意な差はない)。これらの所見から、離脱の可能性はあるが、薬物漸減の必要の徴候はほとんどないことが示唆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛みの治療用の
用量aのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Aおよび
用量bのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位B
を含み、用量a<用量bである薬を製造するためのタペンタドールの使用。
【請求項2】
用量aが用量bの10〜90重量%の範囲内にある、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
薬剤が用量cのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Cをさらに含み、用量b<用量cである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
用量aが用量cの10〜65重量%の範囲内にあり、用量bが用量cの35〜90重量%の範囲内にある、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
薬剤が用量dのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Dをさらに含み、用量c<用量dである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の使用。
【請求項6】
用量aが用量dの10〜55重量%の範囲内にあり、用量bが用量dの35〜75重量%の範囲内にあり、用量cが用量dの60〜95重量%の範囲内にある、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
薬剤が用量eのタペンタドールを含む少なくとも1つの投与単位Eをさらに含み、用量d<用量eである、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
用量aが用量eの10〜30重量%の範囲内にあり、用量bが用量eの30〜50重量%の範囲内にあり、用量cが用量eの50〜70重量%の範囲内にあり、用量dが用量eの70〜90重量%の範囲内にある、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eがそれぞれ独立に10〜275mgの範囲内にある、請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用。
【請求項10】
薬剤が1つまたは複数の投与単位A、1つまたは複数の投与単位B、任意選択による1つまたは複数の投与単位C、任意選択による1つまたは複数の投与単位Dおよび任意選択による1つまたは複数の投与単位Eを含む包装の形である、請求項1〜9のいずれか一つに記載の使用。
【請求項11】
投与単位Aがn個の剤形を含み、投与単位Bがn個の剤形を含み、任意選択の投与単位Cがn個の剤形を含み、任意選択の投与単位Dがn個の剤形を含み、任意選択の投与単位Eがn個の剤形を含み、n=nまたはn<nまたはn>nである、請求項1〜10のいずれか一つに記載の使用。
【請求項12】
≦n≦任意選択のn≦任意選択のn≦任意選択のnである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
全ての剤形が同じであり、n<n<任意選択のn<任意選択のn<任意選択のnである、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
、n、任意選択のn、任意選択のnおよび任意選択のnが互いに独立に1、2、3、4または5である、請求項11〜13のいずれか一つに記載の使用。
【請求項15】
投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eを順次投与するようにする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の使用。
【請求項16】
投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eをアルファベット順に投与するようにする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eをそれぞれ1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)投与するようにする、請求項1〜16のいずれか一つに記載の使用。
【請求項18】
用量aがタペンタドールの薬剤学的に有効な痛みの治療用量を下回っている、請求項1〜17のいずれか一つに記載の使用。
【請求項19】
投与単位A、投与単位B、任意選択の投与単位C、任意選択の投与単位Dおよび任意選択の投与単位Eがそれぞれ固体である、請求項1〜18のいずれか一つに記載の使用。
【請求項20】
薬剤が
(i)少なくとも2日間の第1の投与期間中に投与するようにされている用量aのタペンタドールを含む複数の投与単位A、
(ii)第1の投与期間の後の少なくとも2日間の第2の投与期間中に投与するようにされている用量bのタペンタドールを含む複数の投与単位B、
(iii)第2の投与期間の後の少なくとも2日間の第3の投与期間中に投与するようにされている用量cのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位C、
(iv)第3の投与期間の後の少なくとも2日間の第4の投与期間中に投与するようにされている用量dのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位D、および
(v)第4の投与期間の後の少なくとも2日間の第5の投与期間中に投与するようにされている用量eのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位E
を含む、請求項1〜19のいずれか一つに記載の使用。
【請求項21】
薬剤が
(i)少なくともα日間連日の第1の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量aのタペンタドールを含む複数の投与単位A、
(ii)第1の投与期間の後の少なくともβ日間連日の第2の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量bのタペンタドールを含む複数の投与単位B、
(iii)第2の投与期間の後の少なくともχ日間連日の第3の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量cのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位C、
(iv)第3の投与期間の後の少なくともδ日間連日の第4の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量dのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位D、および
(v)第4の投与期間の後の少なくともε日間連日の第5の投与期間中に1日2回(bid)経口投与するようにされている、用量eのタペンタドールを含む任意選択の複数の投与単位Eを含み、
a、b、c、d、eおよびα、β、χ、δ、εが以下の必要条件P、Q、RまたはS
【表1】

を満たしている、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
痛みが神経障害性痛、悪性疼痛または慢性痛である、請求項1〜21のいずれか一つに記載の使用。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一つにおいて定義されている、少なくとも1つの投与単位A、少なくとも1つの投与単位B、任意選択による少なくとも1つの投与単位C、任意選択による少なくとも1つの投与単位Dおよび任意選択による少なくとも1つの投与単位Eを含むキット。
【請求項24】
あらかじめ決定した割る部位に沿った割線の箇所で手で割ることができるように、剤形を少なくとも2つの部分に分割し、剤形を機械的に弱くする割線を含み、あらかじめ決定した割る部位に沿った割線の箇所で割った後に各部分が約20〜約130mgのタペンタドールを含むように40〜260mgのタペンタドールを含む、タペンタドールを含む医薬経口剤形。
【請求項25】
割線が直線であるか、または十字の形をとっている、請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
第1の投与期間中に用量aのタペンタドールおよび
第1の投与期間後の第2の投与期間中に用量bのタペンタドール
をそれを必要とするヒトに投与することを含み、
用量a<用量bである
痛みを治療する方法。
【請求項27】
用量aおよび用量bのタペンタドールを経口投与する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
用量aおよび用量bのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)投与する、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
用量aが用量bの10〜90重量%の範囲内にある、請求項26〜28のいずれか一つに記載の方法。
【請求項30】
第2の投与期間後の第3の投与期間中に用量cのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)経口投与することをさらに含み、用量b<用量cである、請求項26〜29のいずれか一つに記載の方法。
【請求項31】
用量aが用量cの10〜65重量%の範囲内にあり、用量bが用量cの35〜90重量%の範囲内にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第3の投与期間後の第4の投与期間中に用量dのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)経口投与することをさらに含み、用量c<用量dである、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
用量aが用量dの10〜55重量%の範囲内にあり、用量bが用量dの35〜75重量%の範囲内にあり、用量cが用量dの60〜95重量%の範囲内にある、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第4の投与期間後の第5の投与期間中に用量eのタペンタドールを1日1回(sid)、1日2回(bid)または1日3回(tid)経口投与することをさらに含み、用量d<用量eである、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
用量aが用量eの10〜30重量%の範囲内にあり、用量bが用量eの30〜50重量%の範囲内にあり、用量cが用量eの50〜70重量%の範囲内にあり、用量dが用量eの70〜90重量%の範囲内にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
用量a、用量b、任意選択の用量c、任意選択の用量dおよび任意選択の用量eがタペンタドールの1日投与量が20〜550mgの範囲内に常にあるように独立に選択される、請求項26〜35のいずれか一つに記載の方法。
【請求項37】
(i)少なくともα日間連日の第1の投与期間中に用量aのタペンタドールを1日2回(bid)、
(ii)第1の投与期間の後の少なくともβ日間連日の第2の投与期間中に用量bのタペンタドールを1日2回(bid)、
(iii)場合によって、第2の投与期間の後の少なくともχ日間連日の第3の投与期間中に用量cのタペンタドールを1日2回(bid)、
(iv)場合によって、第3の投与期間の後の少なくともδ日間連日の第4の投与期間中に用量dのタペンタドールを1日2回(bid)、および
(v)場合によって、第4の投与期間の後の少なくともε日間連日の第5の投与期間中に用量eのタペンタドールを1日2回(bid)
経口投与することを含み、
a、b、c、d、eおよびα、β、χ、δ、εが以下の必要条件P、Q、RまたはS
【表2】

を満たしている、請求項26〜36のいずれか一つに記載の方法。
【請求項38】
タペンタドールを少なくとも30日間連日を含む療法で投与する、請求項26〜37のいずれか一つに記載の方法。
【請求項39】
療法の終了時に、薬物の漸減を伴わずにタペンタドールの投与を終了させる、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2010−531296(P2010−531296A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504517(P2010−504517)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003178
【国際公開番号】WO2008/128740
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】