説明

タルクを含む歯磨き剤組成物

本発明は、約1重量%〜約50重量%のタルク;約1重量ppm〜約3000重量ppmのフッ化物イオンを提供するフッ化物塩;約5重量%〜約50重量%の研磨艶出し物質;及び約30%〜約90%の1以上の水性キャリアを含む歯磨き剤組成物に関する。この歯磨き剤組成物は25℃におけるpHが約8以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨き剤組成物に関する。より詳細には、本発明はタルクを含む歯磨き剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水の中に天然に生ずる少量のフッ化物の存在が、生まれてから8歳までこのような水を消費する子供の永久歯の虫歯の発生を減少させるのに顕著な効果を有することは、一般に認識されている。同様の理由で、多くの地域社会において公共の上水道にフッ化物塩類が導入されてきた。しかしながら、虫歯予防のこの方法は、個人の井戸などのようなフッ化物の入っていない小さな民間の供給源から飲料水を得ている多くの人々にとっては、利用可能なものではない。さらに、一般の公共の水源へのフッ化物の添加は常に受け入れられたり許可されたりしているわけではない。
【0003】
歯科医、又は歯科衛生士による水性フッ化物溶液の局所適用は同様に虫歯に対する防御の優れた方策を提供する。フッ化第一スズ及びフッ化ナトリウムを含む、種々のフッ化化合物がこの態様で使用されてきた。フッ化物塩類の反う蝕特性を利用する別の方法は、このような物質を適合性の研磨剤と組み合わせて、歯科医又は歯科衛生士が専門性に基づいて使用するための予防的ペースト組成物を形成することを含む。
【0004】
上水道による、又は専門的処置によるフッ化物の療法の有用性の限界が、家庭で使用するための口腔組成物中にフッ化物含有歯磨き剤の形態でフッ化物塩類を組み込むための多大な努力へとつながった。前述のフッ化物含有化合物の使用により効果的な虫歯予防は得られたが、このような化合物は、歯磨き剤組成物への使用に容易に受け入れられるいくつかの他の成分、例えばタルクのような成分と配合された場合に、必ずしも安定ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タルクは、研磨剤として及び配合レオロジー改修剤として、焼成カオリンのような他の研磨剤と組み合わせて、歯磨き剤に使用されてきた(米国特許第4,428,928号参照)。しかしながら、タルクを種々のフッ化物含有歯磨き剤に配合する場合、タルクはフッ化物と反応して、可溶性フッ化物イオンの有効性の減少を引き起こす。したがって、フッ化物の(耐虫歯)有効性の著しい低下がないように、タルクとフッ化物の間に十分な適合性がある、タルクを含むフッ化物含有歯磨き剤組成物を提供することが、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、約1重量%〜約50重量%のタルク;約1重量ppm〜約3000重量ppmのフッ化物イオンを提供するフッ化物塩;約5重量%〜約50重量%の研磨艶出し物質;及び約30%〜約90%の1以上の水性キャリアを含む歯磨き剤組成物に関する。前記歯磨き剤組成物は、25℃におけるpHが約8以上である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書で使用する時、「含む」とは、最終結果に影響を与えないその他の工程や成分を付け加えることができるということを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0008】
(a)タルク
タルクは、化学名「水素化ケイ酸マグネシウム」を有し、本発明の歯磨き剤組成物の必須構成成分である。あらゆる種類のタルク(例えば、天然タルク、合成タルク又は変性タルク)を本発明の歯磨き剤組成物に使用することができる。好ましいタルクは、低コストであり入手し易い傾向にある天然タルク、例えばUSP等級の天然タルクである。
【0009】
本発明での使用に好適な他のタルクとしては、三好化成社(Miyoshi Kasei Inc.)(日本、埼玉、さいたま市)より供給される、メチコーン処理タルクが挙げられるが、これに限定されない。本明細書で有用な他のタルク類は、次の一般式、
2x2+23+(OH)4x+4・A2/nn-・zH2
を有する層状陰イオン性混合金属水酸化物類である高純度ハイドロタルサイト類であり、式中、M2x2+、M23+はそれぞれ二価及び三価の金属(類)であり、xは0.5間隔で0.5〜10の範囲であり、Aは水酸化物イオン及び有機イオンから成る群より選択される割込み型陰イオンであり、nは割込み型陰イオンの電荷であり、zは1〜6の整数である。このようなハイドロタルサイト類は、PCT国際公開特許WO96/23727(PCT patent publication No.WO96/23727)(ルベデア AG(LVEDEA AG)に譲渡、1996年8月8日公開)(米国特許第6,517,795号、6,514,473号、6,180,764号、及び米国特許公開20010001653A1(US publication no.20010001653A1)に対応)に記載されている。
【0010】
本発明の歯磨き剤組成物におけるタルクの濃度は、約1重量%〜約50重量%、好ましくは約5重量%〜約25重量%、より好ましくは約5重量%〜約15重量%である。
【0011】
(b)フッ化物塩
フッ化物塩もまた、本発明における歯磨き剤の必須構成成分である。好ましくはフッ化物塩は、フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化第一スズ、フッ化カリウム、フッ化亜鉛、フルオロリン酸ナトリウム類及びこれらの混合物から成る群より選択される。より好ましくは、フッ化物塩はフッ化ナトリウムである。他の好適なフッ化物塩類は、米国特許第4,108,979号(ミューラー(Muhler)ら、1978年8月22日発行)に記載されている。
【0012】
本明細書の組成物中に存在するフッ化物イオンを測定する方法は、以下の通りである(チャイナ・ナショナル・スタンダード(China National Standard):GB8372−2001):本発明の歯磨き剤と水の均質な練り歯磨きスラリーを、歯磨き剤と水の重量比が約1:4となるように調整し、このスラリーを遠心分離して澄んだ上清を得る。この上清とシトレート緩衝剤とを十分に混合し、この混合物を較正されたフッ化物イオン選択性電極(ISE)メーター、例えば、オリオンフッ化物特定イオンコンビネーション電極(Orion Fluoride-Specific Ion Combination Electrode)(オリオン・リサーチ社(Orion Research,Inc)、米国マサチューセッツ州べバリー、カミングズセンター500(500 Cummings Center,Beverly,MA,USA))に供し、フッ化物濃度を得る。本発明では、フッ化物塩は約1ppm〜約3000ppm、好ましくは約10ppm〜約1500ppmのフッ化物イオンを提供する。また、本発明の歯磨き剤組成物のフッ化物塩の濃度は、そのフッ化物塩のフッ化物イオン生成能力に応じて選択される。イオン生成能力は選択されるフッ化物イオンの種類によって変化する。ただし、フッ化ナトリウムを使用する場合の本発明の歯磨き剤組成物中のフッ化ナトリウム塩の好ましい濃度は、約0.001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.005重量%〜約0.5重量%である。
【0013】
(C)研磨艶出し物質
本明細書で有用な研磨艶出し物質は象牙質を過度に研磨しない、あらゆる物質から選択してよい。研磨艶出し物質は、好ましくはカルシウム含量が約23%未満である。典型的な研磨艶出し物質は、ゲル類及び沈殿類を含むシリカ類:アルミナ類:オルトホスフェート類、ポリメタホスフェート類及びピロホスフェート類を含むホスフェート類:及びこれらの混合物を含む。本明細書で有用な研磨艶出し物質のとりわけ好ましい例としては、シリカ類(さらに以下に記載する)、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、ベータピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿素とホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物などの樹脂性研磨物質、リン酸二カルシウム、アルミナ三水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム及び米国特許第3,070,510号(クーリー(Cooley)ら、1962年12月25日発行)において開示されたその他のものなどが挙げられる。研磨剤の混合物を使用してもよい。
【0014】
シリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に研磨することはなく、優れた歯の洗浄及び艶出し性能という特有の利益を有するために極めて好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ研磨艶出し物質は、一般に、約0.1〜約30μm、好ましくは約5〜約15μmの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈降シリカ、又はシリカキセロゲル類のようなシリカゲル類であってもよく、米国特許第3,538,230号(ペイダー(Pader)ら、1970年3月2日発行)及び米国特許第3,862,307号(ディギュリオ(DiGiulio)、1975年1月21日発行)に記載されている。W.R.グレース・アンド・カンパニー(W.R.Grace & Company)のダビソン化学部門(Davison Chemical Division)により、商品名「シロイド(Syloid)」として市販されているシリカキセロゲルが好ましい。また、J.M.ヒュ−バー社(J.M.Huber Corporation)によってゼオデント(Zeodent)の商品名で市販されているもの、特に表記「ゼオデント119」を持つシリカのような沈殿シリカ物質も好ましい。本明細書に記載されている歯磨き剤組成物中の研磨剤は一般に、組成物の約5重量%〜約50重量%、好ましくは口腔組成物の約7重量%〜約30重量%の濃度で存在する。
【0015】
(d)組成物のpH
本発明の歯磨き剤組成物はpHが25℃で約8以上、好ましくは約8〜約10、より好ましくは約8.5〜約9.5である。理論に制限されることは望まないが、本発明においては、中性又はアルカリ性のpHにより、本歯磨き剤組成物中でのタルクとフッ化物塩の適合性がもたらされると考えられる。
【0016】
pHを測定する方法は以下の通りである:本発明の歯磨き剤と水の均質なスラリーを、歯磨き剤と水の重量比が約1:3となるように調整し、このスラリーを較正した電位差測定機器ガラス電極、例えば、オリオンロスシュア−フローコンビネーション(Orion Ross Sure-Flow combination)VWR#34104−830(オリオン・リサーチ社(Orion Research Inc.)米国マサチューセッツ州べバリー、カミングズセンター500(500 Cummings Center,Beverly,MA,USA))に適用して、25℃でのpH値を得る。
【0017】
(e)キレート剤
キレート剤を組み込むことで、タルクとフッ化物との適合性がさらに改善され得ると考えられる。本明細書の組成物にキレート剤を加えることは望ましいが、必須ではない。好ましいキレート剤は、ホスフェート類、ピロホスフェート類、トリポリホスフェート類、シトレート類、カーボネート類、タータラート類、アセテート類、ジアセテート類、フィチン酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)、EHDP(エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸二ナトリウム)及びこれらの混合物から成る群より選択される。より好ましくは、ホスフェート類、ピロホスフェート類、トリポリホスフェート類及びこれらの混合物が使用される。本発明の歯磨き剤組成物におけるキレート剤の濃度は、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%である。キレート剤は、製造プロセスの間に直接歯磨き剤組成物中に加えることもできるし、タルクを処理するために最初にタルクとプレミックスしてから歯磨き剤組成物に添加することもできる。
【0018】
(f)水性キャリア
本組成物を調製する際に、組成物に1つ以上の水性キャリアを添加することが望ましい。こうした物質は当該技術分野では周知であり、調製される組成物に所望される物理的及び審美的特性に基づいて、当業者が容易に選択する。水性キャリアは典型的には、口腔組成物の約30重量%〜約90重量%、好ましくは約50%〜約85%を構成する。
【0019】
本組成物は典型的に、所望の粘稠度を提供するために、何らかの増粘物質又は結合剤を含有する。好ましい増粘剤は、カルボキシビニルポリマー類、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、並びにナトリウムカルボキシメチルセルロース及びナトリウムヒドロキシエチルセルロースのようなセルロースエーテル類の水溶性塩類である。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムなどの天然ゴムも使用することができる。さらに質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを、増粘剤の一部として使用することができる。増粘剤は歯磨き剤組成物の約0.1重量%〜約15重量%の量で使用できる。
【0020】
本明細書で望ましい組成物のもう1つの任意成分は湿潤剤である。湿潤剤は練り歯磨き剤組成物の空気中への暴露による硬化を回避するのに役立ち、特定の湿潤剤はまた練り歯磨き剤組成物に所望の甘味風味を付与することができる。本発明に使用するのに好適な湿潤剤には、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及び他の食用多価アルコール類が挙げられる。湿潤剤は一般に組成物の約0重量%〜70重量%、好ましくは約5重量%〜約50重量%を構成する。
【0021】
商業的に好適な口腔用組成物の調製に用いる水は、好ましくは、イオン含量が少なく、有機不純物を含むべきでない。歯磨き剤組成物は、組成物の約5重量%〜約70重量%、好ましくは約20重量%〜約65重量%の水を含有する。水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトール、シリカ、界面活性剤溶液及び/又は着色溶液のような他の物質により導入されるものを包含する。
【0022】
本組成物は一般的に泡立て剤と呼ばれる界面活性剤を含んでもよい。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定で泡立つものである。界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、陽イオン性、又はこれらの混合物であってもよい。本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8〜20個の炭素原子を有するアルキルサルフェート類の水溶性塩類(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8〜20個の炭素原子を有する脂肪酸類のスルホン化モノグリセリド類の水溶性塩類が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウム類は、この種類の陰イオン性界面活性剤の例である。他の好適な陰イオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムのようなサルコシネート類、タウレート類、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。陰イオン性界面活性剤の混合物も使用できる。多数の適した陰イオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されている。本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的には脂肪族又はアルキル−芳香族であってよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物として広く定義できる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマー類(商品名プルロニック(Pluronic)で販売)、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類(商品名トゥイーンズ(Tweens)で販売)、脂肪族アルコールエトキシレート類、アルキルフェノール類のポリエチレンオキシド縮合物、プロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物とエチレンオキシドの縮合物由来の生成物、脂肪族アルコール類のエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド類、長鎖第三級ホスフィンオキシド類、長鎖ジアルキルスルホキシド類及びそのような物質の混合物が挙げられる。本発明において有用な両性界面活性剤は、脂肪族第二級及び第三級アミン類の誘導体として広く記載されることができ、その際脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖状であることができ、また脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つは陰イオン性水溶性基、例えばカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。他の好適な両性界面活性剤はベタイン類、特に、ココアミドプロピルベタインである。両性界面活性剤の混合物も使用できる。これらの好適な非イオン性及び両性界面活性剤の多くが、米国特許第4,051,234号(ギースキー(Gieske)ら、1977年9月27日発行)に開示されている。本組成物は典型的には、1以上の界面活性剤を、組成物のそれぞれ約0.25重量%〜約12重量%、好ましくは約0.5重量%〜約8重量%の濃度で含む。
【0023】
二酸化チタンもまた本組成物に添加されてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に組成物の約0.25重量%〜約5重量%を構成する。
着色剤もまた本組成物に添加されてもよい。着色剤は水溶液の形態であってもよく、好ましくは1%の着色剤水溶液であってよい。着色溶液は、一般に組成物の約0.01重量%〜約5重量%を構成する。
【0024】
香味剤系もまた本組成物に添加され得る。好適な香味剤成分としては、冬緑油、ハッカ油、オランダハッカ油、クローブ芽油、メンソール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カッシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、アルファ−イリソン、マヨラナ、レモン、オレンジ、プロペニルグアエトール、シナモン、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4−シス−へプテナル、ジアセチル、メチル−パラ−三級−ブチルフェニルアセテート及びこれらの混合物が挙げられる。香味剤系は、一般に組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で組成物中に用いられる。
【0025】
甘味剤は組成物に添加できる。これらには、サッカリン、ブドウ糖、スクロース、ラクトース、マルトース、レブロース、アスパルテーム、ナトリウムシクラメート、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン類、アセスルファム及びこれらの混合物が挙げられる。種々の着色剤もまた本発明に組み込まれてもよい。甘味剤及び着色剤は、一般に組成物の約0.005重量%〜約5重量%の濃度で練り歯磨きに用いられる。
【0026】
本発明の歯磨き剤組成物は、タルクとフッ化物とのより高い適合性によって向上した安定性を有し、したがって、耐虫歯有効性を提供する。また、本発明の歯磨き剤組成物は向上したレオロジー特性を有し、タルクを含まない類似の配合物よりも高い密度を有するように製造できる。このようなより高い密度の配合物は、潜在的には全体としてより低コストで消費者に提供され得るが、歯磨き剤の有効性、特にフッ化物塩及び研磨艶出し物質に関する歯磨き剤の有効性は含まない。
【実施例】
【0027】
(実施例1〜6)
歯磨き剤組成物の以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態についてさらに記載し実証するものである。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変更が発明の精神及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明の制限として解釈されるべきではない。成分の全ての濃度は歯磨き剤組成物の重量パーセントである。
【0028】
【表1】

【0029】
前述の実施例の歯磨き剤組成物は以下のように調整される。
水とソルビトールを製造器中に混ぜ入れ、十分に分散するまで攪拌を続ける。次いで、すべての塩類及び増粘剤類を、ホモジナイザーを作動しながら容器に加える。次に、タルク及び他の研磨剤類(例えばシリカ)を容器に加えて、真空で(at vacuum)混合する。最後にアルキル硫酸ナトリウムと香味料を容器に加え、十分に分散するまで混合する。
【0030】
フッ化物イオン濃度及び歯磨き剤組成物のpHは以下のように測定してよい。実施例1の歯磨き剤組成物20.000gを秤量し、次いで容量が約50mLのぴったり閉まる蓋を有するプラスチック平底容器に入れる。組成物を水で希釈して100mLとし、十分に混合して均質なスラリーを得る。混合物を209rad/s(2000rpm)で30分間遠心分離して澄んだ上清を得る。この上清10mLをシトレート緩衝溶液5mL(クエン酸ナトリウム100g、酢酸60mL、塩化ナトリウム60g、水酸化ナトリウム30gを含有し、水で1000mLに希釈してpH=5.0〜5.5に調整)と混合し、この混合物をオリオンフッ化物特定イオンコンビネーション電極(Orion Fluoride-Specific Ion Combination Electrode)(Cat.#9609N、オリオン・リサーチ社(Orion Research,Inc.)、米国マサチューセッツ州べバリー、カミングズセンター500(500 Cummings Center,Beverly,MA,USA))に供して、フッ化物濃度の値を得る。フッ化物イオン濃度は約30.5ppmである。
【0031】
実施例1の歯磨き剤組成物3.998〜4.002gを秤量し、次いでガラスビーカーに入れ、次に脱イオン水11.998〜12.002gを加える。次に、混合物を攪拌棒で十分に攪拌して均質なスラリーを得る。このスラリーを較正したオリオンコンビネーション電極(Orion Combination Electrode)(VWR#34104−830、オリオン・リサーチ社(Orion Research,Inc.)、米国マサチューセッツ州べバリー、カミングズセンター500(500 Cummings Center,Beverly,MA,USA))に25℃で供し、pH値を得る。得られたpH値は約7.66〜約10.61である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨き剤組成物であって:
(1)約1重量%〜約50重量%のタルク;
(2)約1重量ppm〜約3000重量ppmのフッ化物イオンを提供するフッ化物塩
(3)約5重量%〜約50重量%の研磨艶出し物質;及び
(4)約30重量%〜約90重量%の1以上の水性キャリア;
を含み、前記歯磨き剤組成物は25℃におけるpHが約8以上である、歯磨き剤組成物。
【請求項2】
前記タルクは、天然タルク類、合成タルク類、変性タルク類、高純度ハイドロタルサイト類及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項3】
前記タルクは天然タルクである、請求項2に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項4】
約0.1重量%〜約20重量%のキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項5】
前記キレート剤は、ホスフェート類、ピロホスフェート類、トリポリホスフェート類、シトレート類、カーボネート類、タータラート類、アセテート類、ジアセテート類、フィチン酸、EDTA、EHDP及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項4に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項6】
前記フッ化物塩は、フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化第一スズ、フッ化カリウム、フッ化亜鉛、フルオロリン酸ナトリウム類及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項7】
前記フッ化物塩はフッ化ナトリウムである、請求項6に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項8】
前記水性キャリアは、増粘剤類、湿潤剤類、水、界面活性剤類、二酸化チタン、着色剤類、香味剤系類、甘味剤類及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の歯磨き剤組成物。
【請求項9】
前記研磨艶出し物質はシリカ研磨剤である、請求項1に記載の歯磨き剤組成物。

【公表番号】特表2006−501268(P2006−501268A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536168(P2004−536168)
【出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/028614
【国際公開番号】WO2004/024112
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】