説明

タングステン電極自動交換装置

【課題】新電極の供給をスムーズに行うことができる電極供給機構を備えた電極自動交換装置を提供する。
【解決手段】溶接トーチ移動装置に取り付けた溶接用トーチによって被溶接物を繰返し溶接を行って、消耗したタングステン電極を溶接用トーチから引き抜いて、新しい電極を挿入する装置において、シリンダを設けてタングステン電極をクランプ・アンクランプする溶接用トーチと、使用済み電極引き抜き位置21Pまで移動させた溶接用トーチの使用済みタングステン電極を引き抜く使用済み電極引き抜き機構21と、複数本の新タングステン電極を収納した電極ホルダ32をスライドさせて、スライド方向先端の新タングステン電極が電極ガイドブロック39に当接して停止して電極供給位置22Pで供給する電極供給機構と、新タングステン電極を電極突き出し位置まで駆動源で移動させる電極移動機構とを備えたタングステン電極自動交換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して自動溶接するティグ自動溶接装置に備えられたタングステン電極の自動交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティグ溶接では、溶接時にタングステン電極(以下、電極という)が消耗するために、長時間に亘る溶接作業中に、複数回の電極を交換する作業が必要となる。この交換作業としては、溶接トーチに設けたネジ式のチャックを緩めて、溶接トーチから消耗した電極を引き抜き、別途用意した新しい電極を溶接トーチに挿入し、再度ネジを回転させチャックを締め直すことが行われる。
【0003】
近年、自動車の部品の溶接ではスパッタレス化の要求が多くなり、ロボットを使った炭酸ガス溶接からティグ溶接へと移行しつつある。しかし、ロボットを使ったティグの自動溶接においても、作業者が電極の消耗の状況を見ながら、適宜、上述した交換作業を行っていた。そこで、従来、図7及び図8に示す電極自動交換装置が提案されていた。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図7は、従来技術の電極自動交換システムの全体構成図である。同図において、例えば、溶接ロボットである溶接トーチ移動装置3の先端に溶接トーチ1を取り付けている。この溶接トーチ1の上部には、電極クランプシリンダ11を設けていて、電極4をクランプ・アンクランプする。そして、予め作成された教示プログラムに従って、溶接ロボット3と共に動作し、図示していない被溶接物を溶接する。電極自動交換装置2は、繰返し溶接を行うことによって消耗した使用済み電極を、溶接トーチ1から引き抜き、新しい電極を挿入する。
【0005】
図8は、上述の電極自動交換システムの中心機能となる従来技術の電極自動交換装置2を示す図である。同図において、電極自動交換装置2は、使用済み電極引き抜き位置21Pまで移動させた溶接トーチ1(図7参照)の使用済み電極を引き抜く使用済み電極引き抜き機構21と、複数本の新電極5を電極供給位置22Pで供給する電極供給機構22と、新電極5を電極突き出し位置24Pまで駆動源で移動させる電極移動機構23とを備えている。また、使用済み電極回収ボックス261、電極突出長調整機構25によって形成される。
【0006】
上記使用済み電極引き抜き機構21は、電極引き抜きチャック211が使用され、上記電極供給機構22は、電極供給位置22Pを有する電極供給トレー221が使用されている。そして、上記電極移動機構23は、電極押し出し移動機構23A及び電極回転移動機構23Bが使用されている。
【0007】
この電極押し出し移動機構23Aは、電極押し出しシリンダ234、ジョイント235、電極押し出し棒236及びガイドレール237によって形成されている。また、電極回転移動機構23Bは、上記の電極押し出し移動機構23Aの構成部品の他に、回転テーブル233が追加されている。電極突出長調整機構25は、電極装着有無検出器252及び電極突出長調整ブロック253によって形成されている。
【0008】
電極供給トレー221は、板状で回転テーブル233の一部である電極挿入溝232側に傾斜させて取り付けられている。電極供給トレー221の上部の電極供給位置22Pに交換用の新電極5を水平に設置すると、新電極5は円柱なので自重によって回転テーブル233の電極挿入溝232に向かって順次、転がりセットされる。電極挿入溝232の幅は電極の直径とほぼ同じ幅にセットされており、複数の電極が溝にセットされない構造を有している。電極供給トレー221の両サイドには、新電極5が電極挿入溝232に向かって移動し易く、また新電極5の落下防止のために両サイドにガイド部を備えている。
【0009】
回転テーブル233は、図示しない回転テーブルシリンダによって90度回転して水平にセットされた新電極5を垂直方向に移動させる。
【0010】
電極押し出しシリンダ234、電極押し出し棒236及びガイドレール237は、垂直方向でそれぞれ平行に設置され、電極押し出しシリンダ234と電極押し出し棒236とは、ジョイント235によって下端部で接続され一体構造を有している。電極押し出しシリンダ234は上下に移動可能で、電極押し出しシリンダ234が上方に移動すると、電極押し出し棒236もガイドレール237に沿って上方に移動する。
【0011】
電極押し出しシリンダ234が上方へ移動することによって、電極押し出し棒236も上方へ移動すると共に、回転テーブル233の電極挿入溝232内を挿通し新電極5を押し上げ電極突き出し位置24Pから新電極5の一部を突き出させる。電極突き出し位置24Pの径は新電極5の径とほぼ同じ大きさなので、新電極5は垂直方向に突き出される。
【0012】
新電極5を溶接トーチ1に挿入し、一旦、新電極5をクランプした後、溶接トーチ1を円錐台の電極突出長調整ブロック253の上面に当接させる。新電極5をアンクランプした状態で溶接トーチ1を下方部に移動させることによって、溶接トーチ1の内部に新電極5を押しこみ、突出長を調整する。
【0013】
図示しない電極引き抜きシリンダによって電極引き抜きチャック211が開閉し、消耗した電極4をクランプして、溶接トーチ1から引き抜き、電極引き抜きチャック211の下方部に設置された使用済み電極回収ボックス261に、消耗した使用済の電極4を収納する。
【0014】
電極装着有無検出器252は、上述した電極引き抜きチャック211にて完全に消耗した電極4が引き抜かれているか、また、上述した電極押し出し棒236によって供給された新電極5を溶接トーチ1がクランプしているかを確認するために使用する。
【0015】
以下、電極の自動交換作業を、[電極引き抜き動作]と[電極装着動作]とに分けて説明する。
【0016】
[電極引き抜き動作]
図9は、上述した電極自動交換装置2を使用して、溶接トーチ1から消耗した電極4を引き抜く動作を、溶接トーチ1の動作順(1)乃至(4)に従って説明する説明図である。
【0017】
(1)溶接トーチ1を使用済み電極引き抜き位置21P近傍の位置に移動させる。
【0018】
(2)使用済み電極引き抜き位置21Pに溶接トーチ1を移動させ、図示しない電極引き抜きシリンダによって電極引き抜きチャック211を開いた状態から閉じさせ、電極4をクランプする。次に溶接トーチ1に装備された電極クランプシリンダを動作させ、電極4をアンクランプして電極4が自由に動作できるようにする。このとき、溶接トーチ1の姿勢は図9に示すように垂直方向になるようにする。
【0019】
(3)溶接トーチ1を真上に移動させる。この動作によって、電極4は溶接トーチ1から引き抜かれ、電極引き抜きチャック211にクランプされる。上述した(2)とは逆に、電極引き抜きチャック211を開けて、電極4を自重によって使用済み電極回収ボックス261に落下させる。
【0020】
(4)溶接トーチ1を電極装着有無検出器252近傍の位置に移動させ、その位置から電極装着有無検出器252に向かって移動(図面では、図面奥から手前に移動させる)させ、溶接トーチ1から電極4が引き抜かれていることを確認させる。
【0021】
[電極装着動作]
図10は、上述した電極自動交換装置2を使用して、溶接トーチ1に新電極5を供給して装着するまでの動作を、溶接トーチ1の動作順(1)乃至(5)に従って説明する説明図である。
【0022】
(1)上述した電極引き抜き動作の後で、溶接トーチ1を電極自動交換装置2の近傍に移動させる。このとき、溶接トーチ1はアンクランプ状態にある。
【0023】
(2)電極突き出し位置24Pの真上の方向で、電極突き出し位置24Pに溶接トーチ1を移動させると共に、回転テーブル233の電極挿入溝232に水平にセットされた新電極5を図示しない回転テーブルシリンダによって垂直方向になるように回転させる。その後、電極押し出しシリンダ234によって電極押し出し棒236を上方に移動させ、新電極5を回転テーブル233の電極挿入溝232から押し出し、溶接トーチ1に挿入させる。
【0024】
(3)溶接トーチ1の電極クランプシリンダを動作させて、挿入された新電極5をクランプさせた後で、溶接トーチ1を真上に移動させる。この時点では、新電極5の突出長は任意の長さでよい。
【0025】
(4)溶接トーチ1を電極突出長調整ブロック253の上面に当接させる位置に移動させる。このとき、溶接トーチ1の姿勢は図10に示すように垂直方向になるようにする。新電極5をアンクランプして、新電極5の先端部を電極突出長調整ブロック253の上面に当接させたまま、溶接トーチ1を予め設定された突出長になる位置まで下方に移動させた後、新電極5をクランプして電極突出長を調整する。
【0026】
(5)溶接トーチ1を電極装着有無検出器252近傍の位置に移動させ、その位置から電極装着有無検出器252に向かって移動(図面では、図面奥から手前に移動させる)させ、溶接トーチ1に新電極5が装着されていることを確認する。
【0027】
電極押し出しシリンダ234を動作させて、電極押し出し棒236を下方に移動させた後、垂直方向になっている電極挿入溝232を水平方向に回転させる(元の状態に戻す)。電極挿入溝232が水平になった時点で、電極供給トレー221にセットされた複数の新電極5が電極供給トレー221上を電極挿入溝232に向かって順次、転がり、その内の1本が電極挿入溝232にセットされる。
【0028】
上述の電極引き抜き動作と電極装着動作とで説明した位置に溶接トーチ1を移動させて電極クランプシリンダ、電極押し出しシリンダ234等のシリンダを動作させることを予め溶接ロボット3に電極交換プログラムとして教示しておく。そして、別途作成済のティグ溶接用プログラムを何回か実行した後で電極交換プログラムを実行すれば、人手を介さずに長時間のティグ自動溶接を行える。しかし、後述する課題を有する。
【特許文献1】特開2002−307170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
上述した従来技術の電極自動交換装置2は、回転テーブル233の電極挿入溝232に水平にセットされた新電極5を、図示しない回転テーブルシリンダによって垂直方向になるように回転させる。その後、電極押し出しシリンダ234によって電極押し出し棒236を上方に移動させ、新電極5を回転テーブル233の電極挿入溝232から押し出し、溶接トーチ1に挿入させている。
【0030】
新電極5は、全く使用されていない電極ではなく、ティグ溶接によって電極の先端が消耗して丸くなった部分を尖らせた電極である。そのためにティグ溶接中の熱で少し曲がる場合がある。この場合、回転テーブル233に設けられた電極挿入溝232に新電極5が適切に入らず、電極押し出し棒236を上方に移動させたときに、新電極5を回転テーブル233の電極挿入溝232から押し出すことができないときがあった。このとき、電極の自動交換を行うことができないという不具合があった。さらに、この電極回転移動機構は大掛かりな構造のために、コストが高いという問題があった。
【0031】
本発明は、新電極の供給をスムーズに行うことができる電極供給機構を備えた電極自動交換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0032】
第1の発明は、溶接トーチ移動装置に取り付けた溶接用トーチによって被溶接物を繰返し溶接を行って消耗したタングステン電極を溶接用トーチから引き抜いて新しいタングステン電極を挿入するタングステン電極自動交換装置において、
シリンダを設けてタングステン電極をクランプ・アンクランプする溶接用トーチと、
使用済み電極引き抜き位置まで移動させた前記溶接用トーチの使用済みタングステン電極を引き抜く使用済み電極引き抜き機構と、
複数本の新タングステン電極を収納した電極ホルダをスライドさせて、スライド方向先端の新タングステン電極が電極ガイドブロックに当接して停止して電極供給位置で供給する電極供給機構と、
新タングステン電極を電極突き出し位置まで駆動源で移動させる電極押し出し移動機構とを備えたことを特徴とするタングステン電極自動交換装置である。
【0033】
第2の発明は、第1の発明に記載の電極供給機構が、
複数本の新タングステン電極を収納する前記電極ホルダと、
新タングステン電極の下端部が当接する電極ガイド板と、
前記電極ホルダが錘又はばねによる引っ張り力によってスライドする電極ホルダスライド機構と、
スライド方向先端の新タングステン電極が当接して停止する前記電極ガイドブロックと、
前記電極ガイド板と前記電極ガイドブロックとの間で前記電極突き出し位置の真下に設けられた電極挿入溝とを備えたことを特徴とするタングステン電極自動交換装置である。
【0034】
第3の発明は、第1の発明に記載の電極押し出し移動機構が、前記電極挿入溝に供給された新タングステン電極をシリンダによって押し出して前記電極突き出し位置まで移動させることを特徴とするタングステン電極自動交換装置である。
【0035】
第4の発明は、第2の発明に記載の電極ガイド板が、スライド方向先端が下方へ傾斜していることを特徴とするタングステン電極自動交換装置である。
【発明の効果】
【0036】
本発明の電極自動交換装置の電極供給機構は、電極ホルダをスライドさせて、スライド方向先端の新電極が電極ガイドブロックに当接して停止して、電極ホルダも停止する。そして、この新電極が引き抜かれると、再び電極ホルダが引っ張られて、次の新電極が電極挿入溝に位置される。この結果、電極供給機構の駆動源として、エアーや電気を使用せずに、複雑な機構を使用する必要がないために、電極供給機構をスムーズに動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明の電極自動交換装置30の正面図であり、図2は、本発明の電極自動交換装置30の背面図である。図1及び図2において、図8に示した従来技術の電極自動交換装置2と異なる電極供給機構31について説明する。その他の機能は、図8に示した機能と同符号を付して、説明を省略する。
【0038】
図1及び図2に示す電極供給機構31において、電極ホルダ32の溝には、後述する図3に示すように、複数本の新電極5がそれぞれ収納され、溝内で新電極5が上下に摺動できる状態にある。電極ホルダ32の下方に電極ガイド板33が設けられていて、新電極の下端部5aが、この電極ガイド板33に当接している。電極ホルダ32の背面に取付けられたシャフト34が、スライド溝35を挿通している。このシャフト34にワイヤ36の一端36aが接続されていて、他端36bが、ガイドローラ37に引っ掛けられて、錘38に接続されている。この結果、錘38による引っ張り力によって、シャフト34がスライド溝35に沿って移動し、シャフト34が取付けられた電極ホルダ32が移動する。
【0039】
電極ホルダ32のスライド方向側に、電極ガイドブロック39が設けられている。そして、電極ガイド板33と電極ガイドブロック39との間で電極突き出し位置24Pの真下に、電極挿入溝40が設けられている。このために、電極ホルダ32が、錘38によって引っ張られている状態で、スライド方向先端の新電極51(図3参照)が、電極ガイドブロック39に当接することによって、電極供給位置22Pに達し、電極ホルダ32が停止する。電極押し出し移動機構23Aの電極押し出し棒の上端236aが、この電極挿入溝40に配置されているとき、電極ガイドブロック39に当接した新電極の下端51a(図3参照)は、電極押し出し棒の上端236aと当接している。そして、電極移動機構23Aの電極押し出しシリンダ234によって、電極押し出し棒236が新電極51を押し出して、この新電極51を電極突き出し位置24Pまで移動させる。
【0040】
新電極5が全て使用されると、電極ホルダ32がスライドして、電極ホルダ32に取付けられた突起部42が、ホルダ内電極有無検出器41と接触して、新電極5が無くなったことが検出される。
【0041】
新電極51を電極挿入溝40に容易に挿入するために、電極ホルダ32がスライドしたときに、新電極5が下方へ下がるように、電極ガイド板33のスライド方向先端33aが、下方へ傾斜している。
【0042】
電極ホルダ32は、複数の新電極5を容易に収納することができるように、手前側に開くことができる構造である。なお、電極ホルダ32ごと取りはずして、予め複数の新電極5が収納された電極ホルダ32と交換するようにしてもよい。
【0043】
以下、図3乃至図6を参照して、動作を説明する。図3乃至図6は、本発明の電極自動交換装置30の電極供給機構31の動作を説明する図である。図3において、電極ホルダ32には、複数本の新電極5が収納されていて、電極ホルダ32が錘38(図2参照)による引っ張り力によってスライド方向に引っ張られている。そして、スライド方向先端の新電極51が、電極ガイドブロック39に当接することによって、電極ホルダ32が停止している。このとき、電極ガイドブロック39に当接した新電極の下端51aと電極移動機構23A(図1参照)の電極押し出し棒の上端236aが、電極挿入溝40に配置されていて、電極ガイドブロック39に当接した新電極の下端51aが、電極押し出し棒の上端236aと当接している。
【0044】
そして、図4に示すように、電極押し出し移動機構23Aの電極押し出しシリンダ234(図1参照)によって、電極押し出し棒236が新電極51を押し出して、この新電極51を電極突き出し位置24Pまで移動させる。このとき、電極押し出し棒236が電極ガイドブロック39に当接して、電極ホルダ32は停止された状態のままである。そして、溶接トーチ1の電極クランプシリンダを動作させて、溶接トーチ1に挿入された新電極51をクランプさせる。そして、溶接トーチ1を真上に移動させて、新電極51を抜き取る。
【0045】
そして、電極移動機構23Aの電極押し出しシリンダ234によって、電極押し出し棒236を下方に移動させて、元の位置に戻ると、図5に示すように、電極ホルダ32は、錘38の引っ張り力によってスライドする。そして、新電極52が電極ガイド板33に沿って電極挿入溝40まで滑り、電極ガイドブロック39に当接して停止し、電極ホルダ32も停止する。
【0046】
そして、ティグ溶接を行って、上述した図4と図5の動作を繰り返すことによって、図6に示すように、新電極5が全て無くなる。このとき、電極ホルダ32に取付けられた突起部42がホルダ内電極有無検出器41と接触して、新電極5が無くなったことが検出される。そして、電極ホルダ32を手前側に開いて、複数の新電極5を収納し、ティグ溶接を再開する。その他の動作は、図8に示した従来技術の電極自動交換装置2の動作と同じであるので、説明を省略する
【0047】
このように、本発明の電極自動交換装置30は、電極供給機構31として従来技術のような回転テーブルを使用することなしに、単に、電極ホルダ32を錘38の引っ張り力によってスライドさせて、スライド方向先端の新電極51が電極ガイドブロック39に当接して停止して、電極ホルダ32も停止する。そして、この新電極51が引き抜かれると、再び電極ホルダ32が錘38によって引っ張られて、次の新電極52が電極挿入溝40に位置される。この結果、電極供給機構31の駆動源として、エアーや電気を使用せずに、複雑な機構を使用する必要がないので、電極供給機構31を確実に、かつ、スムーズに動作させることができ、さらに、コストを低減することができる。
【0048】
なお、上述した図2に示した錘38の代わりにばねを使用して、その一端をワイヤの他端36bに接続し、ばねの他端を電極自動交換装置30に固定する。そして、ばねの引っ張り力によって、シャフト34をスライドさせて、電極ホルダ32をスライドさせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の電極自動交換装置30の正面図である。
【図2】本発明の電極自動交換装置30の背面図である。
【図3】本発明の電極自動交換装置30の電極供給機構31の動作を説明する図である。
【図4】図3に続く本発明の電極自動交換装置30の電極供給機構31の動作を説明する図である。
【図5】図4に続く本発明の電極自動交換装置30の電極供給機構31の動作を説明する図である。
【図6】図5に続く本発明の電極自動交換装置30の電極供給機構31の動作を説明する図である。
【図7】従来技術の電極自動交換システムの全体構成図である。
【図8】従来技術の電極自動交換装置2を示す図である。
【図9】電極自動交換装置2を使用して、溶接トーチ1から消耗した電極4を引き抜く動作を、溶接トーチ1の動作順に従って説明する説明図である。
【図10】電極自動交換装置2を使用して、溶接トーチ1に新電極5を供給して装着するまでの動作を、溶接トーチ1の動作順に従って説明する説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 溶接トーチ
2 電極自動交換装置
3 溶接トーチ移動装置(溶接ロボット)
4 電極
5 新電極
5a 新電極の下端部
11 電極クランプシリンダ
21 使用済み電極引き抜き機構
21P 使用済み電極引き抜き位置
22 電極供給機構
22P 電極供給位置
23 電極移動機構
23A 電極押し出し移動機構
23B 電極回転移動機構
24P 電極突き出し位置
25 電極突出長調整機構
30 電極自動交換装置
31 電極供給機構
32 電極ホルダ
33 電極ガイド板
33a 電極ガイド板のスライド方向先端
34 シャフト
35 スライド溝
36 ワイヤ
36a ワイヤの一端
36b ワイヤの他端
37 ガイドローラ
38 錘
39 電極ガイドブロック
40 電極挿入溝
41 ホルダ内電極有無検出器
42 突起部
51 新電極
51a 新電極の下端
52 新電極
211 チャック
221 電極供給トレー
232 電極挿入溝
233 回転テーブル
234 シリンダ
235 ジョイント
236 電極押し出し棒
236a 電極押し出し棒の上端
237 ガイドレール
252 電極装着有無検出器
253 電極突出長調整ブロック
261 電極回収ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチ移動装置に取り付けた溶接用トーチによって被溶接物を繰返し溶接を行って消耗したタングステン電極を溶接用トーチから引き抜いて新しいタングステン電極を挿入するタングステン電極自動交換装置において、
シリンダを設けてタングステン電極をクランプ・アンクランプする溶接用トーチと、
使用済み電極引き抜き位置まで移動させた前記溶接用トーチの使用済みタングステン電極を引き抜く使用済み電極引き抜き機構と、
複数本の新タングステン電極を収納した電極ホルダをスライドさせて、スライド方向先端の新タングステン電極が電極ガイドブロックに当接して停止して電極供給位置で供給する電極供給機構と、
新タングステン電極を電極突き出し位置まで駆動源で移動させる電極押し出し移動機構とを備えたことを特徴とするタングステン電極自動交換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電極供給機構が、
複数本の新タングステン電極を収納する前記電極ホルダと、
新タングステン電極の下端部が当接する電極ガイド板と、
前記電極ホルダが錘又はばねによる引っ張り力によってスライドする電極ホルダスライド機構と、
スライド方向先端の新タングステン電極が当接して停止する前記電極ガイドブロックと、
前記電極ガイド板と前記電極ガイドブロックとの間で前記電極突き出し位置の真下に設けられた電極挿入溝とを備えたことを特徴とするタングステン電極自動交換装置。
【請求項3】
請求項1記載の電極押し出し移動機構が、前記電極挿入溝に供給された新タングステン電極をシリンダによって押し出して前記電極突き出し位置まで移動させることを特徴とするタングステン電極自動交換装置。
【請求項4】
請求項2記載の電極ガイド板は、スライド方向先端が下方へ傾斜していることを特徴とするタングステン電極自動交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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