説明

タンタル錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法。

【課題】タンタル錯体を提供すること。
【解決手段】式(1)


(式中、Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、R〜Rは、水素原子、アラルキル基等を表し、R〜R10は、水素原子、アリール基等を表し、Xは任意のハロゲン原子を表し、Yは、アニオン性配位子を表し、Zは中性配位子を表す。)で示されるタンタル錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンタル錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロペンタジエン配位子を有するタンタル錯体は、オレフィンの二量化反応の触媒となることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、メチルメタクリレートの重合用触媒となることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、ノルボルネンの立体選択的開環メタセシス重合の触媒となることが知られている(例えば、非特許文献3参照)ほか、多くの用途が期待される有用な金属錯体である。一方、シクロペンタジエンとフェノールが架橋された配位子を有する金属錯体としては、第4族遷移金属錯体がオレフィン重合用触媒として知られている(例えば、特許文献1参照)が、タンタル錯体については、フェノールとインデンを結合させた配位子を持つ錯体が合成されているものの(例えば、非特許文献4参照)、シクロペンタジエンとフェノールが架橋された配位子を有する本発明のタンタル錯体、及びこの錯体をオレフィン重合用触媒として用いた例は知られていない。
【特許文献1】特開平9−87313号公報
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.1980,102,5610.
【非特許文献2】Angew.Chem.Int.Ed.2001,40,960.
【非特許文献3】Adv.Synth.Catal.2005,47,323.
【非特許文献4】Organometallics 2003,22,4658.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、オレフィン重合用触媒成分として利用することが可能な新規なタンタル錯体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、オレフィンを重合させることが可能な触媒成分として有用なタンタル錯体を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、[1]式(1)


(式中、Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、
、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
、R、R、R、R及びR10は同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
ここで、R〜R10において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、
、R、R及びRの隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、RとRは結合して環を形成していてもよく、R、R、R及びR10の隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、
は任意のハロゲン原子を表し、Yは、アニオン性配位子を表し、Zは中性配位子を表し、kは0〜3までの整数を表し、mは0〜3までの整数を表し、nは0以上の整数を表す。ただし、k+m<4である。)
で示されるタンタル錯体;
[2]式(2)

(式中、A、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、前記と同じ意味を表し、R11は炭化水素基又は三置換シリル基を表す)
で示される置換シクロペンタジエン化合物と塩基を反応させた後、式(3)


(式中、X、Y、Z、k、m及びnは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で示されるタンタル化合物を反応させることによる式(1)で示されるタンタル錯体の製造方法;
[3]式(1)で示されるタンタル錯体からなるオレフィン重合用触媒成分;
[4]該オレフィン重合用触媒成分と、下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒;
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式EAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3)一般式E{−Al(E)−O−}AlEで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2)一般式 G(BQで表されるホウ素化合物
(B3)一般式 (L−H)(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。);
及び、[5]該オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明により得られる新規なタンタル錯体は、例えば、オレフィンの重合反応の触媒として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
前記式(1)で示されるタンタル錯体(以下、タンタル錯体(1)と略す。)において式(4)

(式中R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で示されるシクロペンタジエニル型アニオン骨格を有する基としては、例えばシクロぺンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロぺンタジエニル基、n−プロピルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、sec−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、n−オクチルシクロぺンタジエニル基、テトラヒドロインデニル基、オクタヒドロフルオレニル基、フェニルシクロぺンタジエニル基、ナフチルシクロぺンタジエニル基、トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、トリフェニルシリルシクロぺンタジエニル基、tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基などの置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基、
インデニル基、メチルインデニル基、ジメチルインデニル基、エチルインデニル基、n−プロピルインデニル基、イソプロピルインデニル基、n−ブチルインデニル基、sec−ブチルインデニル基、tert−ブチルインデニル基、n−ペンチルインデニル基、ネオペンチルインデニル基、n−ヘキシルインデニル基、n−オクチルインデニル基、n−デシルインデニル基、フェニルインデニル基、メチルフェニルインデニル基、ナフチルインデニル基、などの置換もしくは無置換のインデニル基、
フルオレニル基、2−メチルフルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基、2−エチルフルオレニル基、2,7−ジエチルフルオレニル基、2−n−プロピルフルオレニル基、2,7−ジ−n−プロピルフルオレニル基、2−イソプロピルフルオレニル基、2,7−ジイソプロピルフルオレニル基、2−n−ブチルフルオレニル基、2−sec−ブチルフルオレニル基、2−tert−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−n−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−sec−ブチルフルオレニル基、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、2−n−ペンチルフルオレニル基、2−ネオペンチルフルオレニル基、2−n−ヘキシルフルオレニル基、2−n−オクチルフルオレニル基、2−n−デシルフルオレニル基、2−n−ドデシルフルオレニル基、2−フェニルフルオレニル基、2,7−ジ−フェニルフルオレニル基、2−メチルフェニルフルオレニル基、2−ナフチルフルオレニル基などの置換もしくは無置換のフルオレニル基が挙げられ、
好ましくはシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基などが挙げられる。
【0008】
タンタル錯体(1)及び式(2)で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下、置換シクロペンタジエニル化合物(2)と略す。)においてAで示される元素の周期律表の第14族元素としては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子などが例示され、好ましくはケイ素原子が例示される。
【0009】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子が挙げられる。
【0010】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びn−エイコシル基が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、ハロゲン置換の炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、これらのアルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0011】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが例示され、好ましはフェニル基が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、ハロゲン置換の炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、これらのアリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0012】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが例示され、好ましくはベンジル基が挙げられる。
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10においてハロゲン置換の炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としてはこれらのアラルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0013】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭化水素基で置換されたシリル基の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示される。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の一置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された二置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された三置換シリル基などが例示され、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基が挙げられる。
これらの置換シリル基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
【0014】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
ハロゲン置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、これらのアルコキシ基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0015】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素原子数6〜20のアリールオキシ基などが例示される。又はロゲン置換の炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、上記炭素原子数6〜20のアリールオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0016】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、これらのアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0017】
置換基R、R、R及びRにおける炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基とは、3つの炭化水素基で置換されたシリルオキシ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの前記と同様の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−ブチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基などが例示され、好ましくはトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基が挙げられる。
これらの置換シリルオキシ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
【0018】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10において、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基などが例示され、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基等が挙げられる。
これらの置換アミノ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
【0019】
置換基R、R、R及びRにおいて、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたホスフィノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、n−エイコシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基の具体例としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ−n−プロピルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジ−n−ブチルホスフィノ基、ジ−sec−ブチルホスフィノ基、ジ−tert−ブチルホスフィノ基、ジ−イソブチルホスフィノ基、tert−ブチルイソプロピルホスフィノ基、ジ−n−ヘキシルホスフィノ基、ジ−n−オクチルホスフィノ基、ジ−n−デシルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、ビストリメチルシリルホスフィノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルホスフィノ基などが例示され、好ましくはジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基が挙げられる。
これらの置換ホスフィノ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
【0020】
置換基R、R、R及びRにおいて、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環あるいはチオフェンを形成していてもよい。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−デシルチオ基、フェニルチオ基などが例示される。
これらの置換チオ基を構成する炭化水素基としては、上記のような炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
【0021】
、R、R及びRのうち隣接する2つの置換基並びにR、R、R及びR10のうち隣接する2つの置換基は、任意に結合して環を形成していてもよく、RとRは結合して環を形成していてもよい。
【0022】
、R、R及びRのうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環としては、例えば、飽和の、又は不飽和の炭化水素環、チオフェン環、チアゾ−ル環、チアゾリン環、チアジアゾ−ル環、ピリジン環などのヘテロ環が例示される。
【0023】
、R、R及びR10のうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環及びRとRが結合して形成される環としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが例示される。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが例示される。
【0024】
本発明のタンタル錯体(1)としては、例えば、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−ナフトキシ)トリクロロタンタル、
【0025】
ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−ナフトキシ)トリクロロタンタル、
【0026】
ジエチルシリレン(インデニル)(2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(インデニル)(2−ナフトキシ)トリクロロタンタル、
【0027】
ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−フェニル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(2−ナフトキシ)トリクロロタンタル
【0028】
ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−フェニル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル、ジエチルシリレン(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)(2−ナフトキシ)トリクロロタンタルなどが挙げられ、ジエチルシリレンをジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、エチルメチルシリレン、メチルフェニルシリレン、イソプロピリデン、ジエチルメチレン、トリクロロをトリフルオロ、トリブロモ、トリヨードとしたものも同様に例示される。
【0029】
タンタル錯体(1)は、式(2)で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下、置換シクロペンタジエン化合物(2)と略す。)と塩基を反応させた後、式(3)で示されるタンタル化合物(以下、タンタル化合物(3)と略す。)を作用させる方法によって製造することができる。
【0030】
置換基R11における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などの炭素原子数2〜10のアルケニル基;ベンジル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基などの炭素原子数7〜12のアラルキル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基などのアルコキシアルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば、2−クロロ−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0031】
置換基R11における3置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
【0032】
かかる置換基R11としては、収率よくタンタル錯体(1)を製造し得る観点から、好ましくはアルケニル基であり、さらに好ましくはアリル基である。
【0033】
置換シクロペンタジエン化合物(2)は例えば、公知の技術(例えば、特許文献1参照)に従って、製造することができる。
【0034】
かかる置換シクロペンタジエン化合物(2)としては、例えば、(2−アリロキシフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(シクロペンタジエニル)ジエチルシラン。
【0035】
(2−アリロキシフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン。
【0036】
(2−アリロキシフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(インデニル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(インデニル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(インデニル)ジエチルシラン。
【0037】
(2−アリロキシフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン。
【0038】
(2−アリロキシフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン−9−イル)ジエチルシランなどが挙げられ、ジエチルシランをジメチルシラン、ジフェニルシラン、エチルメチルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルメタン、ジエチルメタンとしたものも同様に例示される。
【0039】
タンタル錯体(1)及びタンタル化合物(3)において、置換基Xのハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示され、好ましくは塩素原子が挙げられる。
【0040】
タンタル化合物(3)において、置換基Xのハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示され、好ましくは塩素原子が挙げられる。
【0041】
タンタル錯体(1)及びタンタル化合物(3)において、置換基Yで表されるアニオン性配位子としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ネオペンチル基、フェニル基、ネオペンチリデン基、メトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、クレゾキシ基、トリメチルフェノキシ基、ベンジル基があげられ、好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基又はベンジル基が挙げられる。
【0042】
タンタル錯体(1)及びタンタル化合物(3)において、置換基Zで表される中性配位子としては、オレフィン類、芳香族化合物類、エーテル類、スルフィド類、アミン類、ニトリル類、ホスフィン類又はホスフィンオキサイド類などが挙げられる。
Zで示される中性配位としては、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1,3−ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、スチルベン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ベンゾフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、1−(メチルチオ)プロパン、ジフェニルスルフィド、1,2−ビス(メチルチオ)エタン、3,6−ジチアオクタン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、チアシクロヘキサン、チアシクロオクタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリフェニルアミン、トリ(p−トリルアミン)、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン,N−メチルピロール,N−メチルイミダゾール、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、アセトニトリル、エチルシアニド、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド、トリ−tert−ブチルホスフィンオキサイド、トリ−n−ヘキシルホスフィンオキサイド、トリシクロヘキシルホスフィンオキサイド、ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド又はトリベンジルホスフィンオキサイドなどが挙げられ、好ましくはオレフィン類、芳香族化合物類、スルフィド類、エーテル類又はアミン類が挙げられ、さらに好ましくはエーテル類又はアミン類が挙げられる。
【0043】
kは0〜3の整数を表し、0〜2が好ましく、0又は2がより好ましい。mは0〜3の整数を表し、0又は2が好ましい。nは0以上の整数を表し、0〜2が好ましく、0又は2がより好ましい。尚、k+m<4である。
【0044】
かかるタンタル化合物(3)としては、例えば、ハロゲン化タンタル化合物、ハロゲン化アルキルタンタル化合物等をあげることができ、より具体的には、五フッ化タンタル、五塩化タンタル、五臭化タンタル、五ヨウ化タンタル、塩化四フッ化タンタル、二塩化三フッ化タンタル、三塩化二フッ化タンタル、四塩化フッ化タンタル、臭化四フッ化タンタル、二臭化三フッ化タンタル、三臭化二フッ化タンタル、四臭化フッ化タンタル、ヨウ化四フッ化タンタル、二ヨウ化三フッ化タンタル、三ヨウ化二フッ化タンタル、四ヨウ化フッ化タンタル、臭化四塩化タンタル、二臭化三塩化タンタル、三臭化二塩化タンタル、四臭化塩化タンタル、塩化四ヨウ化タンタル、二塩化三ヨウ化タンタル、三塩化二ヨウ化タンタル、四塩化ヨウ化タンタル、臭化四ヨウ化タンタル、二臭化三ヨウ化タンタル、三臭化二ヨウ化タンタル、四臭化ヨウ化タンタル、三フッ化タンタル、三塩化タンタル、三臭化タンタル、三ヨウ化タンタル、塩化二フッ化タンタル、二塩化フッ化タンタル、臭化二フッ化タンタル、二臭化フッ化タンタル、二フッ化ヨウ化タンタル、フッ化二ヨウ化タンタル、臭化二塩化タンタル、二臭化塩化タンタル、二塩化ヨウ化タンタル、塩化二ヨウ化タンタル、二臭化ヨウ化タンタル、臭化二ヨウ化タンタル、四フッ化メチルタンタル、三フッ化ジメチルタンタル、二フッ化トリメチルタンタル、四塩化メチルタンタル、三塩化ジメチルタンタル、二塩化トリメチルタンタル、四臭化メチルタンタル、三臭化ジメチルタンタル、二臭化トリメチルタンタル、四ヨウ化メチルタンタル、三ヨウ化ジメチルタンタル、二ヨウ化トリメチルタンタル、四フッ化フェニルタンタル、三フッ化ジフェニルタンタル、二フッ化トリフェニルタンタル、四塩化フェニルタンタル、三塩化ジフェニルタンタル、二塩化トリフェニルタンタル、四臭化フェニルタンタル、三臭化ジフェニルタンタル、二臭化トリフェニルタンタル、四ヨウ化フェニルタンタル、三ヨウ化ジフェニルタンタル、二ヨウ化トリフェニルタンタル、ベンジル四フッ化タンタル、ジベンジル三フッ化タンタル、トリベンジル二フッ化タンタル、ベンジル四塩化タンタル、ジベンジル三塩化タンタル、トリベンジル二塩化タンタル、ベンジル四臭化タンタル、ジベンジル三臭化タンタル、トリベンジル二臭化タンタル、ベンジル四ヨウ化タンタル、ジベンジル三ヨウ化タンタル、トリベンジル二ヨウ化タンタル、四フッ化ヒドリドタンタル、三フッ化ジヒドリドタンタル、二フッ化トリヒドリドタンタル、四塩化ヒドリドタンタル、三塩化ジヒドリドタンタル、二塩化トリヒドリドタンタル、四臭化ヒドリドタンタル、三臭化ジヒドリドタンタル、二臭化トリヒドリドタンタル、四ヨウ化ヒドリドタンタル、三ヨウ化ジヒドリドタンタル又は二ヨウ化トリヒドリドタンタル等をあげることができ、またこれらの化合物のエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1,3−ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、スチルベン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ベンゾフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、1−(メチルチオ)プロパン、ジフェニルスルフィド、1,2−ビス(メチルチオ)エタン、3,6−ジチアオクタン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、チアシクロヘキサン、チアシクロオクタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリフェニルアミン、トリ(p−トリルアミン) 、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン,N−メチルピロール,N−メチルイミダゾール、ピリジン又はN,N−ジメチルアミノピリジンの付加体であってもよい。
【0045】
このうちでも五塩化タンタル、五臭化タンタル、臭化四塩化タンタル、二臭化三塩化タンタル、三臭化二塩化タンタル、四臭化塩化タンタル、三塩化タンタル、三臭化タンタル、四塩化メチルタンタル、三塩化ジメチルタンタル、二塩化トリメチルタンタル、四臭化メチルタンタル、三臭化ジメチルタンタル、二臭化トリメチルタンタル、四塩化フェニルタンタル、三塩化ジフェニルタンタル、二塩化トリフェニルタンタル、四臭化フェニルタンタル、三臭化ジフェニルタンタル、二臭化トリフェニルタンタル、四塩化ベンジルタンタル、三塩化ジベンジルタンタル、二塩化トリベンジルタンタル、四臭化ベンジルタンタル、三臭化ジベンジルタンタル又は二臭化トリベンジルタンタルが好ましく、五塩化タンタル、五臭化タンタル、三臭化二塩化タンタル、二臭化三塩化タンタル、三塩化ジメチルタンタル、三臭化ジメチルタンタルがより好ましい。
【0046】
置換シクロペンタジエン化合物(2)と反応させる塩基としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム、アリルリチウムなどの有機リチウム化合物といった有機アルカリ金属化合物;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物、ナトリウムメトキシド、カリウムブトキシドなどの金属アルコキシドなどが挙げられる。かかる塩基の使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(2)1モルあたり、通常、0.5〜5モルである。
【0047】
置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基との反応においては、塩基と共にアミン化合物を用いることもできる。かかるアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、アニリン、エチレンジアミンなどの第1級アミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−デシルアミン、ピロリジン、ヘキサメチルジシラザン、ジフェニルアミンなどの第2級アミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの第3級アミン化合物が挙げられる。かかるアミン化合物の使用量は、塩基1モルあたり、通常、10モル以下、好ましくは0.5〜10モル、さらに好ましくは1〜3モルである。
【0048】
置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基を反応させた後、タンタル化合物(3)を反応させる方法においては、通常、溶媒に置換シクロペンタジエン化合物(2)及び塩基を加えた後、タンタル化合物(3)を加えることによって行うことができる。置換シクロペンタジエン化合物(2)及び塩基を加えた後に固体が析出することがあるが、この場合には、反応系から取り出した該固体を前記と同様の溶媒に加え、次いでタンタル化合物(3)を加えてもよい。
【0049】
タンタル化合物(3)の使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(2)1モルあたり、通常、0.5〜3モル、好ましくは0.7〜1.5モルである。
【0050】
反応温度は、通常、−100℃から溶媒の沸点までであり、塩基として有機アルカリ金属化合物を用いる場合は、−80℃から60℃の範囲であることが好ましい。
【0051】
反応は、通常、反応に対して不活性な溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが例示される。かかる溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(2)1重量部あたり、通常、1〜200重量部、好ましくは3〜50重量部である。
【0052】
得られた反応混合物から通常の方法、例えば、生成した沈殿を濾別後、濾液を濃縮してタンタル錯体を析出させた後、これを濾取する方法などによって目的の遷移金属錯体を得ることができる。
【0053】
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明のオレフィン重合用触媒は、タンタル錯体(1)をオレフィン重合用触媒成分とするオレフィン重合用触媒であり、タンタル錯体(1)と他の共触媒成分とを接触させて得られる。該オレフィン重合用触媒としては、タンタル錯体(1)と下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒が挙げられる。。
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式EAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3)一般式E3{−Al(E)−O−}Al(Eで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2)一般式 G(BQで表されるホウ素化合物
(B3)一般式 (L−H)(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は二置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
【0054】
(A1)一般式EAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムハクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムである。
【0055】
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン又は(A3)一般式E{−Al(E)−O−}AlEで表される構造を有する線状のアルミノキサンにおけるE及びEとしては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基が挙げられる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E及びEはそれぞれ独立にメチル基又はイソブチル基であり、bは2〜40であり、cは1〜40である。
【0056】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に限定はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン又は脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を、結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて作る方法などが挙げられる。
【0057】
(B1)一般式BQで表されるホウ素化合物において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子である。Q〜Qは、好ましくは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数2〜20の2置換アミノ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0058】
(B1)一般式BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等があげられ、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0059】
(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物において、Gは無機又は有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q〜Qは上記の(B1)におけるQ〜Qと同様である。
【0060】
(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物において、無機のカチオンであるGには、例えば、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるGには、例えば、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。また、(BQとしては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4ートリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0061】
(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0062】
(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物において、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q〜Qは上記の(B1)におけるQ〜Qと同様である。
【0063】
(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物において、(L−H)には、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどがあげられ、(BQには、前述と同様のものが挙げられる。
【0064】
(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0065】
化合物(B)としては、通常、(B1)一般式BQで表されるホウ素化合物、(B2)一般式G(BQで表されるホウ素化合物又は(B3)一般式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物のいずれかを用いる。
【0066】
オレフィン重合用触媒の製造での各触媒成分を接触させる方法においては、任意の2つの触媒成分を予め接触させて、その後もう一つの触媒成分を接触させてもよい。また、各触媒成分は重合反応装置中で接触させてもよく、各触媒成分を重合反応装置中に任意の順序で別々に投入してもよく、任意の2つ以上の触媒成分を予め接触させたものを投入してもよい。タンタル錯体(1)と(A1)有機アルミニウム化合物とを予め接触させることが好ましく、モノマーの不存在下で、タンタル錯体(1)と(A1)有機アルミニウム化合物とを予め接触させることが好ましい。
【0067】
各触媒成分の使用量としては、化合物(A)(アルミニウム原子換算)/タンタル錯体(1)のモル比は、通常0.1〜10000、好ましくは5〜2000である。化合物(A)として(A1)有機アルミニウム化合物を用いる場合、化合物(A)/タンタル錯体(1)のモル比は、より好ましくは0.3〜500、さらに好ましくは0.5〜100である。また、化合物(B)/タンタル錯体(1)のモル比は、通常0.01〜100、好ましくは0.5〜10である。
【0068】
各触媒成分を溶液状態で使う場合の濃度については、タンタル錯体(1)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットル、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルであり、化合物(A)の濃度は、アルミニウム原子換算で、通常0.01〜500ミリモル/リットル、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットルであり、化合物(B)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットル、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。
【0069】
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、タンタル錯体(1)をオレフィン重合用触媒成分とするオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するものである。
【0070】
重合に使用するオレフィンとしては、鎖状オレフィン、環状オレフィン等を用いることができ、1種類のオレフィンを用いて単独重合を行ってもよく、2種類以上のオレフィンを用いて共重合を行ってもよい。通常、該オレフィンとしては、炭素原子数2〜20のオレフィンが用いられる。
【0071】
鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテンなどの炭素原子数3〜20のα−オレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,9−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、1,13−テトラデカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−エチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの共役ジエンなどを挙げることができる。
【0072】
環状オレフィンとしては、脂環族化合物として、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセンなどのモノオレフィン;5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、7−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7−エチル−2,5−ノルボルナジエン、7−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、7−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ペンチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ヘキシル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−メチルエチル−2,5−ノルボルナジエン、7−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、7−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、7−フルオロ−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジクロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−メチル−2,5−ノルボルナジエン、1−エチル−2,5−ノルボルナジエン、1−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、1−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、1−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、ビニルシクロヘキセンなどの非共役ジエン;1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどの共役ジエンなどをあげることができる。また、芳香族化合物として、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
【0073】
オレフィンの共重合を行う場合のオレフィンの組み合わせとしては、例えば、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセンなどの鎖状オレフィン/鎖状オレフィンの組み合わせ;エチレン/ビニルシクロヘキサン、エチレン/ノルボルネン、エチレン/テトラシクロドデセン、エチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、プロピレン/ビニルシクロヘキサン、プロピレン/ノルボルネン、プロピレン/テトラシクロドデセン、プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの鎖状オレフィン/環状オレフィンの組み合わせなどをあげることができる。
【0074】
重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素(ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等)又はハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド等)を溶媒として用いる溶媒重合又はスラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、連続式重合又は回分式重合のどちらでも可能である。
【0075】
重合温度は、−50℃〜300℃の範囲を取り得るが、特に、−20℃〜250℃の範囲が好ましい。重合圧力は、常圧〜90MPaが好ましい。重合時間は、一般的に、目的とする重合体の種類、反応装置によって適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、本発明は重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
【0077】
<タンタル錯体の製造>
物性測定は次の方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)
装置:日本電子社製 EX270、又は、Bruker社製 DPX−300
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl又はC
試料濃度:10mg/0.5mL(CDCl又はC
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、MENUF NON、OBNUC 1H、積算回数16回
パルス角度:45度
繰り返し時間:ACQTM 3秒、PD 4秒
内部標準:CDCl(7.26ppm)、C(7.15ppm)
【0078】
(2)質量スペクトル
[電子イオン化質量分析(EI−HRMS)]
装置:日本電子社製 JMS−T100GC
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:280℃
データ処理装置:MS−56010MP
MASS RANGE:m/z 35−800
[電子イオン化質量分析(EI−MS)]
装置:日本電子社製 JMS−AX505W
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:230℃
データ処理装置:MS−MP8020D
MASS RANGE:m/z 35−1000
【0079】
[実験例1]
「(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシランの合成」

窒素下で、2−アリロキシ−1−ブロモ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン(60.00g、211.86mmol)をトルエン693mLに溶解させた。−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムの1.58Mヘキサン溶液(174.32mL、275.42mmol)を滴下し、−10℃まで徐々に昇温させた。−10℃で1.5時間攪拌した後、−78℃に冷却した。ジエチルジクロロシラン(99.86g、635.59mmol)を一気に加えて、室温まで徐々に昇温させた。50℃で1時間攪拌した後、溶媒を減圧濃縮した。ヘキサンを加えて、セライト濾過し、溶媒を減圧濃縮した。さらに70℃で減圧濃縮を3時間続けて、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシランを得た。得られた(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシランはさらに精製することなしに、次の反応に利用した。
H−NMR(C、δ(ppm)):0.99−1.20(m、10H)、1.39(s、9H)、2.14(s、3H)、4.23−4.30(m、2H)、5.03−5.10(m、1H)、5.40−5.50(m、1H)、5.70−5.83(m、1H)、7.24(s、1H)、7.56(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):324(M)、309、273、248、233、121、93、81、57、41
【0080】
「(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシランの合成」

窒素下で水素化ナトリウム(60wt%、5.01g、125.19mmol)に、THF102mLを加えた。この水素化ナトリウムのTHFスラリーを50℃に昇温した。アニリン(0.53g、5.69mmol)を加え、50℃でさらに1時間攪拌した。1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエン(12.75g、104.33mmol)をTHF26mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、水素ガスの発生が収まるまで50℃でさらに2時間攪拌した。20℃まで冷却した後、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)クロロジエチルシラン(30.82g、94.84mmol)をトルエン26mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で3時間攪拌を続けた。10%の炭酸水素ナトリウム水溶液64mLと10%の炭酸ナトリウム水溶液64mLを0℃に冷却した混合溶液へ得られた反応溶液を滴下して反応を停止させ、トルエン64mLを加えて分液した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧濃縮することにより、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシランを定量的に得た。得られた(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシランはさらに精製することなしに、次の反応に利用した。
H−NMR(CDCl、δ(ppm)):0.69−1.10(m、10H)、1.38(s、9H)、1.72(s、6H)、1.76(s、6H)、2.29(s、3H)、3.51(s、1H)、4.35−4.45(m、2H)、5.25−5.32(m、1H)、5.50−5.60(m、1H)、5.96−6.15(m、1H)、6.99(s、1H)、7.18(s、1H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):410(M)、381、340、325、288、259、233、219、205、191、177、162、147、105、91、75、57、41
【0081】
「ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル(以下、タンタル錯体と記す。)の合成」

窒素下、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルシラン(5.00g、12.17mmol)、トリエチルアミン(5.54g、54.78mmol)のトルエン溶液(80mL)に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.57Mヘキサン溶液(16.28mL、25.57mmol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させた後、室温で3.5時間攪拌した。得られた混合物を、別の容器で五塩化タンタル(5.23g、14.61mmol)をトルエン(7mL)に懸濁させ−78℃に冷却した混合物へ送液し、室温まで徐々に昇温させた。60℃まで昇温させた後、60℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮した後、ヘプタンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、溶媒を減圧下で濃縮した。ペンタンを加えて沈殿した固体を濾過して少量のペンタンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、ジエチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)トリクロロタンタル(0.14g、収率1.8%)をオレンジ色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm)):1.00−1.32(m、10H)、1.40(s、9H)、2.38(s、3H)、2.53(s、6H)、2.57(s、6H)、7.08(s、1H)、7.29(s、1H)
精密質量測定(EI−HRMS):標準物質としてパーフルオロケロセンを用い高分解能質量分析を行い、タンタル錯体のm/zを精密に求めた。求められたm/zは654.1005となり、組成式C2436ClOSiTaの理論値654.1081とよい一致を示した。
【0082】
<エチレン−α−オレフィン共重合体の製造>
【0083】
物性測定は次の方法で行った。
【0084】
(1)共重合体中の1−ヘキセン単位含有量(SCB、単位:1/1000C)
赤外分光光度計(Bruker社製 EQUINOX55)を用いて、赤外分光法により求めた。なお、ブチル分岐の特性吸収は、1378cm−1〜1303cm−1のピークを用い、1−ヘキセン単位含有量は、エチレン−1−ヘキセン共重合体1000炭素当たりのブチル分岐数として表した。
【0085】
(2)分子量及び分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記の条件で測定した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
装置:送液装置(LCポンプ)Gilson社製 Model305(ポンプヘッド25.SC)
カラム:PolymerLaboratories社製 PLgel Mixed−B 10μm(7.5mmφ×300mm)
測定温度:160℃
移動相:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:共重合体1mg/1,2,4−トリクロロベンゼン1mL
流量:2mL/分
標準物質:(標準PS分子量)5,000、10,050、28,500、65,500、185,400、483,000、1,013,000、3,390,000
【0086】
[実験例2]
実験例1で得られたタンタル錯体をオレフィン重合用触媒成分として、Symyx社製PPR(48連オートクレーブ)を用いて下記重合条件によりエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0mL、1−ヘキセン60μLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウム(以下TIBAと記す)のヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmol、及びタンタル錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=150,000、分子量分布(Mw/Mn)=1.4、共重合体中の1−ヘキセン単位含有量(SCB)=6のポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、1.0×10g製造した。
【0087】
<エチレン単独重合体の製造>
実験例1で得られたタンタル錯体をオレフィン重合用触媒成分として、Symyx社製PPR(48連オートクレーブ)を用いて下記重合条件によりエチレンの単独重合を行った。
【0088】
「実験例3」
オートクレーブに窒素下で、トルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、アルミノキサン(東ソー・ファインケム社製 MMAO、5.8重量%Al)100μmol(Al原子換算値)、タンタル錯体0.10μmolを加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、2.0×10g製造した。
【0089】
「実験例4」
メチルアルミノキサンの代わりに、TIBAのヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、ペンタフルオロフェニルボラン0.30μmolを用いた以外は実験例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、1.0×10g製造した。
【0090】
「実験例5」
メチルアルミノキサンの代わりに、TIBAのヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmolを用いた以外は実験例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、1.9×10g製造した。
【0091】
「実験例6」
メチルアルミノキサンの代わりに、TIBAのヘキサン溶液40μL(関東化学社製、TIBA濃度1.0mol/L)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.30μmolを用いた以外は実験例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1molあたり、1時間あたり、2.5×10g製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)


(式中、Aは元素の周期律表の第14族元素を表し、
、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたホスフィノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
、R、R、R、R及びR10は同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、
ここで、R〜R10において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及び炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、
、R、R及びRの隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、RとRは結合して環を形成していてもよく、R、R、R及びR10の隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、
は任意のハロゲン原子を表し、Yは、アニオン性配位子を表し、Zは中性配位子を表し、kは0〜3までの整数を表し、mは0〜3までの整数を表し、nは0以上の整数を表す。ただし、k+m<4である。)
で示されるタンタル錯体。
【請求項2】
Aがケイ素原子である請求項1に記載のタンタル錯体。
【請求項3】
式(2)

(式中、A、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、前記と同じ意味を表し、R11は炭化水素基又は三置換シリル基を表す。)
で示される置換シクロペンタジエン化合物と塩基を反応させた後、式(3)


(式中、X、Y、Z、k、m及びnは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で示されるタンタル化合物を反応させることを特徴とする請求項1に記載の式(1)で示されるタンタル錯体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の式(1)で示されるタンタル錯体からなるオレフィン重合用触媒成分。
【請求項5】
請求項4に記載のオレフィン重合用触媒成分と、下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
化合物(A):下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1)一般式EAlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物;
(A2)一般式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン;
(A3)一般式E{−Al(E)−O−}Al(Eで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1)一般式 BQで表されるホウ素化合物;
(B2)一般式 G(BQで表されるホウ素化合物;
(B3)一般式 (L−H)(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
【請求項6】
請求項5に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合させるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2007−211158(P2007−211158A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33544(P2006−33544)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】