タンパク質−タンパク質相互作用を解析する方法
本発明は、検定化合物、又は複数の化合物の混合物が、対象の二つのタンパク質間の相互作用を調節するか否かを測定するための方法に関する。前記測定は、その内の一方が、前記第1タンパク質、タンパク質分解分子のための開裂部位と、遺伝子のアクチベーターとを含む二つの組換え分子を使用することによって可能とされる。第2の組換え分子は、前記第2タンパク質と、前記タンパク質分解分子とを含む。もしも前記検定化合物が前記第1タンパク質に結合すれば、反応が開始され、それによって、前記アクチベーターが開裂されて、レポーター遺伝子を活性化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、対象分子間の相互作用を測定するための方法に関する。詳しくは、本発明は、細胞内におけるレポーター遺伝子の活性化を測定することによって、前記検定化合物と称される特定の物質が、二つ以上の特定の対象タンパク質間の相互作用を調節するか否かの測定に関し、ここで、前記調節又はその不在から、前記活性化、又はその欠如が起こる。前記測定は、トランスフォーム細胞又はトランスフェクション細胞を使用して行われ、これらのトランスフォーム細胞及びトランスフェクション細胞、更に、それらをトランスフォーム又はトランスフェクトするのに使用される薬剤も本発明の特徴を構成する。
【背景技術】
【0002】
背景と関連技術
レセプターのリガンドの同定によって例示される、タンパク質/タンパク質相互作用の研究が非常に注目されている。所与のレセプターに対する1つ又は複数のリガンドが既知であるとしても、より効果的な、又はより選択性の高いリガンドを同定することには利益がある。以下、このような方法で研究することが可能なクラスのタンパク質の非限定的具体例としてGPCRについてここでは説明する。
【0003】
Gタンパク質共役レセプター、以後、“GPCR”と言う、は、ヒトに関して知られている最大のクラスの細胞表面レセプターである。GPCRによって認識されるリガンドには、ホルモン、神経伝達物質、糖蚤白質、脂質、ヌクレオチド及びイオンが含まれる。それらは、光、嗅覚、フェロモン、及び味覚に対するレセプターとしても作用する。これらの多様な役割からして、それらが、種々の条件下で有用な薬剤を求める鋭意研究の対象となっていることは恐らく驚くべきことではない。その成功率は驚異的である。事実、ハワード(Howard)ほか, Trends Pharmacol. Sci., 22:132-140(2001)は、市販の薬剤の50%以上がそのようなレセプターに対して作用するものである、と推定している。ここで「GPCR」と称するものは、第7膜貫通型ドメイン(7TM)構造によって特徴付けられるGPCRのスーパーファミリーレセプターの任意のメンバーを指す。これらのレセプターの具体例は、非限定的に、クラスA又は「ロドプシン様」レセプター、クラスB又は「セクレチン様」レセプター、クラスC又は「代謝調節型グルタミン酸様」レセプター、Frizzled and Smoothened関連レセプター、接着レセプターファミリー、又はEGF−7TM/LNB−7TMレセプター、アディポネクチンレセプター及びそれに関連のレセプター、及び、嗅覚、味覚、鋤鼻及びフェロモン関連レセプターを含む化学感受性レセプター、を含む。例として、ヒトのGPCRスーパーファミリーは、非限定的に、Vassilatisほか Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100:4903-4908(2002)、タケダ(Takeda)ほか, FEBS Letters, 520:97-101 (2002)、フレデリックソン(Fredricksson)ほか, Mol. Pharmacol., 63:1256-1272(2003); グルスマン(Glusman)ほか, Genome Res., 11:685-702 (2001); 及びゾズーリャ(Zozulya)ほか, Genome Biol., 2:0018.1-0018.12(2001)、を含み、これらの全てをここに参考文献として合体させる。
【0004】
GPCR機能による作用の機序がある程度明らかにされている。簡単に説明すると、GPCRがリガンドに結合すると、高次構造の変化が起こり、細胞生理機能における変化をもたらすカスケードの反応を刺激する。GPCRは、細胞内、ヘテロ三量体のグアニンヌクレオチド結合タンパク質、又は“Gタンパク質”の活性を変化させることによってシグナルを伝達するものである、と考えられている。リガンドとレセプターとの複合体は、グアニンヌクレオチドの交換と、Gタンパク質ヘテロ三量体のα及びβγサブユニットへの解離を刺激する。
【0005】
GTP−結合αサブユニットとβγ二量体との両方が、アデニリルシクラーゼとホスホリパーゼC(PLC)を含む、種々の細胞作動性タンパク質を調節するべく作用することができる。従来のGPCRの細胞に基づく解析では、レセプター活性を、アデニリルシクラーゼによって作り出されるcAMPの蓄積などのGタンパク質調節性作動経路の出力、又は、PLC活性によって刺激される細胞内カルシウムの遊離を測定することによってモニタする。
【0006】
従来のGタンパク質に基づくシグナル伝達解析は、二つの主要な問題により、いくつかの標的用に開発することが困難であった。
【0007】
第1に、異なるGPCRが異なるGタンパク質調節性シグナル伝達経路に結合し、Gタンパク質に基づく解析は、標的レセプターの特定の作用又は経路への共役を強要するために、標的レセプターのGタンパク質特異性を知っていることに依存するか、若しくは、細胞系の操作(engineering)を必要とする。第2に、全ての細胞は、多数の内在性GPCR、又、その他のシグナル伝達因子を発現する。その結果、測定される作動経路は、標的GPCRの他に、他の内在性分子によっても調節されるかもしれず、それによって誤った結果を導く可能性がある。
【0008】
Gタンパク質活性の調節が、リガンド/GPCR結合の唯一の結果であるわけではない。共にここに参考文献として合体させるルットレル(Lu ttrell)ほか, J. Cell Sci., 115:455-465(2002)と、ファーガソン(Ferguson), Pharmacol., Rev., 53:1-24(2001)、は、GPCRシグナルの終結をもたらすその他の活性を検討している。これらの終結プロセスは、過剰な細胞刺激を防止し、細胞外シグナルとそれに対応する細胞内経路との間の一時的な連鎖を強制する。
【0009】
アゴニストのGPCRへの結合の場合、GPCR分子のC末端のセリンとトレオニン残基がリン酸化される。このリン酸化は、GPCRキナーゼ、又は“GRK”、ファミリーによって引き起こされる。アゴニスト複合、C末端リン酸化GPCRは、レセプターシグナル伝達を「抑止(arrest)」するアレスチン ファミリーのメンバーと相互作用する。この結合によって、レセプターがGタンパク質に共役することが抑制され、それによってレセプターが内部移行のために標的化され、その後、分解および/又は再循環が起こる。従って、リガンドのGPCRへの結合が、GPCRとアレスチンタンパク質との間の相互作用を「調節する」ということができる。なぜなら、リガンドのGPCRへの結合がアレスチンをGPCRに結合させ、これによって、その活性を調節するからである。以後、「モジュレーター」又はそのいずれかの形態が使用される場合、それは、単純に、本発明の二つのタンパク質が、検定化合物の存在下において、この検定化合物の不在下におけるこれら二つのタンパク質の相互作用との比較において、相互作用する何らかの変化を言うものとする。例えば、前記検定化合物の存在は、二つのタンパク質の相互作用を強化又は促進、あるいはそれを弱化、抑制、又はなんらかの方法、態様又は形態で減少させ、それをその後検出可能とするかもしれない。
【0010】
この背景情報から、GPCRの活性化及び抑制を解析するための別の方法が導かれた。これらの方法は、アレスチンとの相互作用をモニタリングすることを含む。この方法の大きな利点は、Gタンパク質経路の知識が不要であることである。
【0011】
ここに参考文献として合体される、オークレイ(Oakley)ほか, Assay Drug Dev. Technol, 1:21-30(2002)及び米国特許第5,891,646、及び6,110,693号は、活性化されたレセプターへの、細胞質の蛍光標識アレスチン分子の再分布が測定される解析について記載している。これらの方法は、アレスチンの再局在化とレセプター活性化を測定するために、細胞の高解像度撮像に依存している。これが複雑な入れ込んだ手続きであることを当業者は認識するであろう。
【0012】
これらの点を扱ったその他種々の米国特許及び特許出願も発行、出願されている。例えば、ボーン(Bohn)ほかの米国特許第6,528,271号は、疼痛管理薬剤をスクリーニングする解析を扱っており、ここでは、β−アレスチンのインヒビターが測定されている。第2004/0002119,2003/0157553,2003/0143626、及び2002/0132327号等の公開米国特許出願も、すべて、GPCRに関する種々の形態の解析について記載している。公開出願第2002/0106379号は、下記の例に使用される構造物(construct)を記載している。但し、それはここに記載される本発明を教示、示唆するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、特定のタンパク質/タンパク質相互作用のモジュレーターのモニタリングおよび/又は測定のための、より単純な解析を開発することにあり、ここでは、前記タンパク質は、非限定的に、レセプター、特にGPCR等の膜結合タンパク質を含む。これがいかにして達成されるかは以下の例から理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
従って、本発明によれば、検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するための方法が提供され、この方法は、前記化合物を、(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部のための開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(a)と、(i)前記検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質に対するその相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(b)とでトランスフォーム又はトランスフェクトされた細胞に接触させる工程と、前記レポーター遺伝子の活性を、前記化合物が前記タンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かの測定として、測定する工程とを含む。
【0015】
前記第1検定タンパク質は、膜結合タンパク質、特に、GPCR、等の膜貫通レセプターとすることができる。具体的な膜貫通レセプターとしては、β2−アドレナリン作動性レセプター(ADRB2)、アルギニンバソプレッシンレセプター2(AVPR2)、セロトニンレセプター1a(HTR1A)、m2ムスカリン性アセチルコリンレセプター(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター5(CCR5)、ドーパミンD2レセプター(DRD2)、カッパーオピオイドレセプター(OPRK)、又はα1a−アドレナリン作動性レセプター(ADRA1A)があるが、但し、いずれの場合においても、本発明がこれらの特定の実施例に限定されるものではないと理解される。例えば、チロシンキナーゼであるインスリン成長因子−1レセプター(IGF−1R)等の分子や、エストロゲンレセプター1(ESR1)やエストロゲンレセプター2(ESR2)等の通常は膜結合型ではないタンパク質がある。前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼとすることができる。前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、tTAやGAL4等の転写因子とすることができる。前記第2タンパク質は、アレスチンなどの抑制型タンパク質とすることができる。前記細胞は、真核細胞又は原核細胞とすることができる。前記レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどの外来性遺伝子とすることができる。
【0016】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、前記第2検定タンパク質との相互作用を増加させるように改変することができる。そのような改変は、非限定的に、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む。例えば、前記C末端領域を、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8b,CCR4又はGPCRのC末端をコードするヌクレオチド配列によって置換することができる。
【0017】
前記方法は、1つ以上の検定化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程を含むことができ、前記サンプルのそれぞれは、前記単数又は複数の検定化合物によって接触され、ここで、前記細胞サンプルのそれぞれが、上述した核酸分子でトランスフォーム又はトランスフェクトされている。そして、前記方法は、前記検定化合物のいずれかが特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するべく前記複数のサンプル中におけるレポーター遺伝子の活性を測定する工程を含むことができる。前記方法は、そのそれぞれがその他すべてと異なる1つの検定化合物を前記サンプルのそれぞれと接触させる工程、又は、前記サンプルのそれぞれを前記複数の検定化合物の混合物と接触させる工程を含むことができる。
【0018】
別実施例において、検定化合物が単数又は複数の対象のタンパク質相互作用を調節するか否かを測定する方法が提供され、この方法は、前記化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程を含み、前記細胞サンプルのそれぞれが、(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、プロテアーゼのための開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む第1の核酸分子(a)と、(i)前記対象検定化合物の存在下におけるその前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列とを含む第2の核酸分子(b)とを含み、ここで、前記第1検定タンパク質は前記複数のサンプルのそれぞれにおいて他の第1検定タンパク質と異なり、そして、前記方法は、更に、前記複数のサンプルのうちの1つ又は複数における前記レポーター遺伝子の活性を、単数又は複数の対象のタンパク質相互作用の調節の測定として測定する工程を含む。
【0019】
前記第2検定タンパク質は、各サンプルにおいて異なるもの、又は、各サンプルにおいて同じものとすることができる。前記サンプルのすべてを、共通の容器(receptacle)内で組み合わせることができ、各サンプルは、異なる対の第1及び第2検定タンパク質を含む。或いは、各サンプルを、異なる容器内で検定することができる。所与のサンプル中の前記レポーター遺伝子は、その他のサンプル中のレポーター遺伝子と異なるものとすることができる。検定化合物の前記混合物は、脳脊髄液、尿、血液、血清、膿汁、腹水、滑液、組織抽出物、又は浸出物等の生体試料を含む、又は生体試料内に含まれるもの、とすることができる。
【0020】
更に別の実施例において、(i)前記第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞中においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(a)、そして、(i)前記検定化合物の存在下におけるその前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(b)とで、トランスフォーム又はトランスフェクトされた組換え細胞が提供される。
【0021】
前記核酸分子の一方又は両方を、前記細胞のゲノムに安定的に組み込むことができる。前記細胞は、更に、前記レポーター遺伝子によってもトランスフォーム又はトランスフェクトされたものとすることができる。前記第1検定タンパク質は、膜貫通レセプター、特にGPCR、等の膜結合タンパク質とすることができる。具体的な膜貫通レセプターは、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aを含む。
【0022】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼとすることができる。前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、tTAやGAL4等の転写因子とすることができる。前記第2タンパク質は、抑制型タンパク質とすることができる。前記細胞は、真核細胞又は原核細胞とすることができる。前記レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどの外来性遺伝子とすることができる。前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、たとえば前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換すること等によって、前記第2タンパク質との相互作用を増加させるように改変することができる。前記C末端領域は、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8B,CCR4又はGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置換することができる。
【0023】
更に別の実施例において、(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む、単離核酸分子を提供する。前記検定タンパク質は、膜貫通レセプターのような、膜結合タンパク質である。膜貫通タンパク質の特定タイプはGPCRである。特定の膜貫通レセプターとして、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK又はADRA1Aを含む。プロテアーゼ、又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病核内封入Aプロテアーゼであり得る。前記レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は、tTA又はGAL4等の転写因子であり得る。上記のように、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されるとして理解するものではない。
【0024】
更に別の実施例において、単離核酸分子を含む発現ベクターが提供され、これは、(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含み、更に、プロモーターに操作連結されている。
【0025】
更に別の実施例において、単離核酸分子が提供され、これは、(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列とを含む。前記検定タンパク質は、アレスチンなどの抑制型タンパク質とすることができる。
【0026】
また、(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列とを含む単離核酸分子を含む発現ベクターが提供され、前記核酸は、更に、プロモーターに操作連結されている。
【0027】
更に別の実施例は、以下の発現によって生成される融合タンパク質を含む。
【0028】
(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、そして(iii)前記細胞中でのレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、を含み、更に、プロモーターに操作連結されている、単離核酸分子。
【0029】
または、(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む、単離核酸分子。
【0030】
更に別の実施例において、検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するのに有用な検定キットが提供され、これは、以下のそれぞれの分離部分を有する。前記第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列(i)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む核酸分子(a)と、(i)前記検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質とのその相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(b)と、前記(a)及び(b)のそれぞれを互いに対して分離して保持するための容器手段。
【0031】
前記第1検定タンパク質は、膜貫通レセプター等の膜結合タンパク質とすることができる。1つの具体的タイプの膜貫通レセプターはGPCRである。具体的な膜貫通タンパク質は、GPCRである。具体的な膜貫通レセプターは、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aを含む。前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼとすることができる。前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、tTAやGAL4等の転写因子とすることができる。前記第2タンパク質は、アレスチンなどの抑制型タンパク質とすることができる。前記キットは、更に、レポーター遺伝子をコードする単離核酸分子の別の部分を含むことができる。前記レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどをコードすることができる。前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、例えば、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換すること等によって、前記第2検定タンパク質との相互作用を増加させるように改変することができる。前記C末端領域のヌクレオチド配列を、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8B,CCR4又はGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
尚、ここに記載されるすべての方法又は組成物は、ここに記載されるすべての方法又は組成物に関して実施可能であると理解される。クレームおよび/又は明細書中における「含む(comprising)」という用語との“a”や“an”という単語の使用は、“one”(「1つ」)を意味するかもしれないが、「単数又は複数」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」として意味とも撞着しないものと理解される。
【0033】
本発明のこれら及びその他の実施例は、以下の説明及び貼付の図面を参照して考慮されることにより、よりよく判断、理解されるであろう。但し、以下の説明は、本発明の種々の実施例及びその多数の具体的詳細を示すものではあるが、これは限定のためではなく例示のために提供されているものである、ということが理解されるべきである。本発明の本質から逸脱することなく、本発明の範囲内において、多くの置換、変更、追加および/又は再構成が可能であり、本発明は、そのような置換、変更、追加および/又は再構成を含むものである。
【0034】
図面の簡単な説明
以下の図面は、本明細書の一部を形成するものであり、かつ、本発明のいくつかの態様を例示することを意図したものである。本発明は、これらの図面の1つ又は複数をここに提供される具体的実施例の詳細説明と共に参照することによってより良く理解されるであろう。
【0035】
図1は、一例として、リガンド−レセプター結合を使用する本発明の概念的基礎を図示している。
【0036】
図2a及び2bは、アゴニストとアンタゴニストとの両方に対して、本発明による解析の標的の反応が用量依存性であることを示している。
【0037】
図3は、用量反応曲線が、別の標的と別のアゴニストでも生じることを示している。
【0038】
図4は、D2ドーパミンレセプターを使用した、本発明によって得られた結果を図示している。
【0039】
図5a及び5bは、二つの分子を同時に研究することが可能であることを示す解析の結果を図示している。
【0040】
図6は、別の「マルチプレックス」解析、即ち、二つの分子が同時に研究される解析の結果を図示している。
【0041】
図7は、EGFR活性を測定する解析から得られたデータを示している。
【0042】
図8は、ヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するように構成された、本発明による解析から得られたデータを示している。
【0043】
図9は、図7を作り出すのに使用された細胞におけるIFN−αの用量反応曲線を図示している、図7の結果をより詳細に示している。
【0044】
図10は、別の転写因子と別の細胞ラインが使用された別の実施例の結果を示している。
【0045】
好適実施例の詳細な説明
本発明は、対象物質が、レセプター、例えば、膜貫通レセプター等の膜結合タンパク質などの第1検定タンパク質と、アレスチンファミリーのメンバーなどの第2検定タンパク質との相互作用を調節するか否かを測定するための方法に関する。この方法は、真核細胞又は原核細胞とすることができる細胞を、二つの構造物によってコトランスフォーム又はコトランスフェクトすることを含む。前記第1構造物は、(i)膜貫通レセプターなどの前記第1検定タンパク質と(ii)プロテアーゼの開裂部位、をコードする配列、そして(iii)レポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードする配列とを含む。前記第2構造物は、(i)前記第1検定タンパク質とのその相互作用が測定される及び/決定される第2検定タンパク質をコードする配列、そして(ii)前記第1構造物の一部である前記開裂部位に対して作用するのに十分な、プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、を含む。特に好適な実施例において、これらの構造物は、細胞内に安定的に取り込まれる。
【0046】
本発明の一実施例の特徴が、図1に図示されている。簡単に説明すると、標準技術を使用して、転写因子をコードするDNAを、膜貫通レセプター分子等の研究対象の第1検定タンパク質をコードするDNAに融合させる。この融合は、実験に使用される宿主細胞によって内在性に発現されないプロテアーゼに対する認識開裂部位を含めることによって達成される。
【0047】
この第1融合タンパク質をコードするDNAは、前記第1検定タンパク質、例えば、前記レセプター、に対して融合された前記転写因子に依存するプロモーター要素の制御下で、それもレポーター遺伝子配列をも含む細胞に導入され、それによって発現される。もしも前記外来性プロテアーゼが存在しないのであれば、前記転写因子は前記第1検定タンパク質に対して係留(tethered)されたまま留まり、核に侵入して前記レポーター遺伝子の発現を刺激することは出来ない。
【0048】
第2融合タンパク質を作り出すためにも組換え技術を使用することができる。図示されている実施例において、アレスチンファミリーのメンバーをコードするDNAが、前記外来性プロテアーゼをコードするDNA分子に融合され、これによって、前記第2検定タンパク質、即ち、前記アレスチンファミリーメンバー、を含む第2融合タンパク質が得られる。
【0049】
次に、解析が行われ、ここで、前記第2融合タンパク質が、前記第1融合タンパク質と共に発現され、検定化合物が、好ましくは、特定の時間、前記細胞と接触される。もしも前記検定化合物が、前記二つの検定タンパク質の相互作用を、例えば、これら第1及び第2検定タンパク質の会合を、刺激、促進又は増強することによって、調節するならば、これによって前記転写因子の遊離が起こり、さらに、この因子が核へと移動して、前記レポーター遺伝子の発現を誘発する。前記レポーター遺伝子の活性が測定される。
【0050】
別のシステムにおいて、前記二つの検定タンパク質は、前記検定化合物の不在下で相互作用し、検定化合物によってこれら二つの検定タンパク質を解離させ、それらの相互作用を減少又は抑制させることも可能である。そのような場合、前記検定化合物の存在下において、前記細胞中の自由な、機能的に活性である転写因子のレベルが減少し、これによって、タンパク質分解が減少し、レポーター遺伝子の活性の検出可能な減少が起こる。
【0051】
記載の実施例において、前記第2検定タンパク質である、前記アレスチンタンパク質は、アゴニストの存在下において前記レセプターに結合する。しかし、レセプターは1つのタイプのタンパク質に過ぎないので、前記解析は、レセプター分子の使用に依存せず、又、アゴニスト結合が、関連することが可能な唯一の相互作用であるのでもない。膜貫通タンパク質が注目されることは明らかではあるが、いかなるタンパク質でも十分である。更に、レセプターに対するアゴニストの結合が、解析することが可能な唯一のタイプの結合ではない。本発明によって、アンタゴニスト自身を測定することが可能であり、又、異なるアンタゴニストおよび/又はアゴニストの相対的強度を測定することも可能である。
【0052】
本発明のその他の詳細は、その課題を製造、使用するための具体的な方法と技術を含むものであり、それらについて以下説明する。
【0053】
I.発現構造物とトランスフォーメーション
「ベクター」という用語は、そこでそれが複製することが可能な細胞への導入のためにその中に核酸配列を挿入することが可能なキャリア核酸分子を称するのに使用される。核酸配列は、「外来性」であることができ、これは、それが、その中にベクターが導入される前記細胞に対して異質であること、又は、前記配列が細胞内の配列に対しては同質であるが、宿主細胞核酸内の、その配列が通常は見られない位置にある、ということを意味する。ベクターは、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、及び植物ウイルス)、及び人工染色体(例えば、YAC)を含む。当業者は、標準組換え技術(例えば、マニアティス(Maniatis)ほか, Molecular Cloning, A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor, 1990)及びオースベル(Ausubel)ほか, 1994, Current Protocols In Molecular Biology(John Wiley & Sons, 1996)ともにここに参考文献として合体させる)によって十分にベクターを構築することができるであろう。
【0054】
「発現ベクター」という用語は、転写されることが可能なRNAをコードする核酸を含むすべてのタイプの遺伝子構造物を指す。いくつかのケースにおいて、RNA分子は、次に、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドに翻訳される。他のケースにおいて、これらの配列は、例えば、アンチセンス分子又はリボザイムの生成において翻訳されない。発現ベクターは、特定の宿主細胞中での、操作連結されたコード配列の転写と可能な翻訳とのために必要な核酸配列をいう、種々の「制御配列」を含むことができる。転写と翻訳を制御する制御配列に加えて、ベクターと発現ベクターは、他の機能を果たす、上述したヌクレオチド配列を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施例において、クローニングと遺伝子伝達用に、プラスミドベクターが考えられる。一般に、宿主細胞に適合する種由来のレプリコンと制御配列を含むプラスミドベクターが、これらの宿主との関連において使用される。前記ベクターは、一般に、複製部位と、トランスフォーム細胞中において表現型選択を提供することが可能なマーキング配列を坦持する。1つの非限定的具体例において、E. coliが、多くの場合、E. coli種由来のプラスミドであるpBR322の誘導体を使用してトランスフォームされる。pBR322は、アンピシリンとテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含み、従って、トランスフォーム細胞を同定するための容易な手段を提供する。前記pBRプラスミド、又は、その他の細菌性プラスミド、又はファージは、更に、例えば、それ自身のタンパク質の発現のために細菌性組織体によって使用可能なプロモーターも含まなければならないか、あるいは、含むように改変されなければならない。
【0056】
更に、宿主微生物組織に適合するレプリコンと制御配列を含むファージベクターを、これら宿主との関連において、トランスフォームベクターとして使用することが可能である。例えば、ファージラムダGEMTM−11を、例えば、E. coli. LE392等の宿主細胞、をトランスフォームするために使用可能な組換えファージベクターを作成するのに利用することができる。
【0057】
前記発現ベクターを含む、例えば、E. coli等の細菌性宿主細胞は、例えばLB等の様々な適当な培地で成長させることができる。ある種のベクター中における前記組換えタンパク質の発現は、当業者によって理解されるように、宿主細胞を、ある種のプロモーターに対して特異的な物質に接触させることによって、例えば、IPTGを培地に添加することや、インキュベーションをより高い温度に切り替える、等、によって誘発させることができる。前記細菌を、更に追加時間、一般に、2時間から24時間、培養した後、前記細胞を、遠心分離によって収集し、残滓の培地を除去するために洗浄する。
【0058】
多くの原核生物ベクターも、真核生物宿主細胞をトランスフォームするために使用することができる。しかし、真核生物宿主細胞中でタンパク質を発現する特定の目的のために改変されたベクターを選択することが望ましい。そのような細胞中における調節されたおよび/又は高レベルの発現用に発現システムが構成されている。例えば、共にここに参考文献として合体させる米国特許第5,871,986及び4,879,236号に記載され、例えば、INVITROGEN(登録商標)からMAXBAC(登録商標)2.0という名前で、そして、CLONTECH(登録商標)からBACKPACK(登録商標) BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEMという名前で購入することが可能な、昆虫細胞/バキュロウイルスシステムによって、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現を作り出すことが可能である。
【0059】
発現システムのその他の例としては、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROL(登録商標) Inducible Mammalian Expression Systemがあり、これは、合成エクジソン誘導可能レセプター、又はそのpET発現システム、E. coli発現システム、を含む。誘導可能発現システムのもう1つの例は、INVITROGEN(登録商標)から入手可能であり、これは、T−REX(登録商標)(テトラサイクリン調節発現)システム、全長CMVプロモーターを使用する誘導可能哺乳動物発現システム、を坦持している。INVITROGEN(登録商標)は、更に、Pichia methanolica発現システムと呼ばれる酵母発現システムを提供しており、これは、メチロトローフ酵母、Pichia methanolica中での組換えタンパク質の高レベル産生用に構成されている。当業者は、核酸配列又は、その同族のポリペプチド、タンパク質、又はペプチド、を作り出すためにいかにして、発現構造物等のベクターを発現させるかを理解するであろう。
【0060】
調節性シグナル
前記構造物は、プロモーター、ポリA配列、等の追加の5’および/又は3’要素を含むことができる。これらの要素は、宿主細胞由来、即ち、宿主細胞と同種のものとすることができ、或いは、それらは、別の源由来、即ち、異種のものとすることができる。
【0061】
「プロモーター」とは、転写の開始と速度とがそこで制御される核酸配列の領域である制御配列である。それは、RNAポリメラーゼやその他の転写因子などの調節タンパク質及び分子が結合して、核酸配列の特定の転写を開始することができる遺伝子要素を含むことができる。「操作配置」、「操作連結」、「制御下」及び「転写制御下」という文言は、プロモーターが、核酸配列に対して、その配列の転写開始および/又は発現を制御するために正しい機能位置および/又は配向にあることを意味する。
【0062】
プロモーターは、一般に、RNA合成のための開始部位を位置決めする作用をする配列を含む。これの最も良く知られた例は、TATAボックスであるが、哺乳動物の末端デオキシヌクレオチジル転移酵素遺伝子のためのプロモーターや、SV40後期遺伝子のためのプロモーター等の、TATAボックスが欠如したいくつかのプロモーターにおいて、その開始部位上に位置する別の要素が、それ自身、開始場所の固定に役立つ。追加のプロモーター要素は、転写開始の頻度を調節する。通常、これらは、開始部位の30〜110bp上流側領域に位置するが、多数のプロモーターが開始部位の下流側にも機能要素を含むことが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下」に置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、その選択されたプロモーターの「下流側」(即ち、その3’)におく。「上流側」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0063】
プロモーター要素間の間隔は多くの場合フレキシブルであるので、要素が反転、又は、互いに対して移動された場合でも、プロモーター機能は保存される。tkプロモーターでは、プロモーター要素間の間隔は、活性が低下し始める前に、50bpの距離へと増加させることができる。プロモーターによっては、個々の要素が協働的又は独立的に作用して転写を活性化するように機能することができるようである。プロモーターは、「エンハンサー」と共に使用してもよいし、使用しなくてもよく、「エンハンサー」とは、核酸配列の転写活性に関与するシス作動性の調節配列をいう。
【0064】
プロモーターは、例えば、コードセグメントおよび/又はエクソンの上流側に位置する5’−非コード配列を単離することによって得られるように、核酸分子と自然に会合したものとすることができる。そのようなプロモーターは、「外来性」と称することができる。同様に、エンハンサーも、核酸分子と自然に会合して、その配列の下流側又は上流側のいずれかに位置するものとすることができる。或いは、コード核酸セグメントを、その自然な環境においては核酸分子と正常には会合しないプロモーターである、組換え又は異種プロモーターの制御下に置くことによってある種の利点が得られる。組換え又は異種エンハンサーは、更に、その自然な環境において核酸分子と正常に会合しないエンハンサーも指す。そのようなプロモーター又はエンハンサーは、他の遺伝子のプロモーター又はエンハンサー、他のいずれかのウイルス、又は原核又は真核細胞から分離したプロモーター又はエンハンサー、そして「自然発生」でない、即ち、異なる転写調節領域の異なる要素、および/又は発現を変える変異、を含むプロモーター又はエンハンサーを含むことができる。例えば、組換えDNA構造物に最も一般的に使用されるプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、及びトリプトファン(trp)プロモーターシステムを含む。プロモーター及びエンハンサーの核酸配列を合成的に作り出すことに加えて、配列は、ここに開示される組成物と関連して、組換クローニングおよび/又はPCR(登録商標)を含む核酸増幅技術を使用することによっても作り出すことができる(ここに参考文献として合体させる米国特許第4,683,202及び5,928,906号を参照)。更に、ミトコンドリア、クロロプラストなどの非核オルガネラ内の配列の転写および/又は発現を指令する制御配列も使用することが考えられる。
【0065】
勿論、発現のために選択された、オルガネラ、細胞タイプ、組織、器官又は、生物内でDNAセグメントの発現を効果的に指令するプロモーターおよび/又はエンハンサーを使用することが重要である。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、細胞タイプの組み合わせを知っている(例えば、ここに参考文献として合体させるサムブルック(Sambrook)ほか, 1989を参照)。使用されるプロモーターは、組換えタンパク質および/又はペプチドの大量生産において有利であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指令するべく、適切な条件下において、構成的、組織特異的、誘導可能および/又は有用なものとすることができる。前記プロモーターは、外来性又は内在性とすることができる。
【0066】
更に、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(例えば、Eukaryotic Promoter Data Base EPDB, www.epd.isb-sib.ch/を参照)も、発現を駆動するために使用することが可能であろう。T3,T7又はSP6細胞質発現システムの使用がもう一つの可能な実施例である。真核細胞は、もしも、適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部として、又は追加の遺伝子発現構造物として、提供されるのであれば、ある種の細菌プロモーターからの細胞質転写を支援することができる。
【0067】
コード配列の効率的な翻訳のためには、特定の開始シグナルも必要であるかもしれない。これらのシグナルは、ATG開始コドン又は隣接の配列を含む。前記ATG開始コドンを含む外来性翻訳制御シグナルを提供する必要があるかもしれない。当業者は、これを容易に判断して必要なシグナルを提供することが可能であろう。インサート全体が確実に翻訳されるようにするためには、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームに対して「イン・フレーム(in frame)」でなければならないことがよく知られている。前記外来性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然のもの、又は合成のものとすることができる。適当な転写エンハンサー要素を含ませることによって、発現の効率を高めることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施例において、配列内リボソーム進入部位(IRES)要素を使用して、多重遺伝子群、又は多シストロン性メッセージを作り出す。IRES要素は、5’メチル化Cap依存翻訳のリボソーム走査モデルを迂回して、内部部位で翻訳を開始することができる(ペルティエ(Pelletier)およびソーネンバーグ(Sonenberg), Nature, 334:320-325 (1988))。ピコルナウイルスファミリーの二つのメンバー(ポリオと脳心筋炎)からのIRES要素が、哺乳動物メッセージからのIRES(マセジャック(Macejak)およびサーノウ(Sarnow), Nature, 353:90-94 (1991))1991)と共に、記載されている((ペルティエ(Pelletier)およびソーネンバーグ(Sonenberg)、上述)。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに結合させることができる。それぞれがIRESによって分離された、複数のオープンリーディングフレームを同時に転写して、多シストロン性メッセージを作り出すことができる。IRES要素の性質により、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームにアクセス可能である。1つのメッセージを転写するために1つのプロモーター/エンハンサーを使用して、複数の遺伝子を効率的に発現させることができる(それぞれをここに参考文献として合体させる米国特許第5,925,565及び5,935,819号を参照)。
【0069】
他のベクター配列要素
ベクターは、マルチクローニング部位(MCS)を含むことができ、これは、そのいずれもが、ベクターを消化するための標準組換え技術で連結可能な複数の制限酵素部位を含んでいる核酸領域である(例えば、ここに参考文献として合体させるカーボネッリ(Carbonelli)ほか, FEMS Microbiol. Lett. 172 (1): 75-82 (1999), レヴェンソン(Levenson)ほか, Hum. Gene Ther. 9(8): 1233-1236(1988)及びコセア(Cocea), Biotechniques, 23(5): 814-816(1997)を参照)。「制限酵素消化」とは、核酸分子内の特定の位置においてのみ作用する酵素による、核酸分子の触媒作用的な開裂をいう。これらの制限酵素の多くは、市販されている。そのような酵素の使用は当業者によって広く理解されている。多くの場合、ベクターは、外来性配列をベクターに結合させることを可能にするためにMCS内で切断する制限酵素を使用して、線形化(linearized)又は断片化される。「連結(ligation)」とは、互いに対して隣接、又は隣接しないものとすることが可能な、二つの核酸フラグメント間にリン酸ジエステル結合を形成するプロセスをいう。制限酵素と連結反応に関連する技術は、組換え技術の当業者にとって周知である。
【0070】
大半の転写された真核RNA分子は、一次転写物からイントロンを除去するためにRNAスプライシングを受けることになる。ゲノム真核配列を含むベクターは、タンパク質発現のための転写物の適切なプロセッシングを確保するために、ドナーおよび/又はアクセプタースプライシング部位を必要とするかもしれない(例えば、ここに参考文献として合体させるチャンドラー(Chandler)ほか1997を参照)。
【0071】
本発明の前記ベクター又は構造物は、一般に、少なくとも1つの終止シグナルを含む。「終止シグナル」又は「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特定の終止に関連するDNA配列を含む。従って、いくつかの実施例において、RNA転写物の生成を終止させる終止シグナルが考えられる。所望のメッセージレベルを達成するためにターミネーターが生体内で必要とされるかもしれない。
【0072】
真核システムにおいて、前記ターミネーター領域は、更に、ポリアデニル化部位を露出させるべく新しい転写物の部位特異的開裂を可能にする特定のDNA配列を含むことができる。これは、特定の内在性ポリメラーゼに、転写物の3’末端へ、約200のアデノシン残基(ポリA)の伸長を追加するようにシグナル伝達する。このポリA尾部によって改変されたRNA分子は、より安定的であると考えられ、より効率的に翻訳される。従って、真核細胞に関連する他の実施例において、ターミネーターがRNAの開裂のためのシグナルを含むことが好ましく、そのターミネーターシグナルによってメッセージのポリアデニル化が促進されることが更に好ましい。前記ターミネーターおよび/又はポリアデニル化部位要素は、メッセージレベルを高め、カセットからそれを介した他の配列への読取を最小化するように作用することができる。
【0073】
本発明で使用されることが考えられるターミネーターは、非限定的に、例えば、ウシ成長ホルモンターミネーター、SV40ターミネーターなどのウイルス性の終止配列、を含む遺伝子の終止配列を含む、ここに記載されている、又は当業者に知られている任意の公知の転写のターミネーターを含む。いくつかの実施例において、前記終止シグナルは、配列切断などによる、翻訳不能および/又は転写不能配列などの、転写可能又は翻訳可能な配列の欠如とすることができる。
【0074】
発現、特に真核発現において、通常、転写物の適切なポリアデニル化を行うためのポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功に必須であるとは考えられず、任意のそのような配列を使用することが可能である。好適実施例は、SV40ポリアデニル化シグナル又はウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含み、これらは共に、簡便かつ容易に入手可能であり、種々の標的細胞において良好に作用することが知られている。ポリアデニル化によって、転写物の安定性を増大させることができ、或いは、細胞質輸送を容易にすることができる。
【0075】
宿主細胞中においてベクターを良好に増殖させるために、それは、そこで複製を開始させる特定のヌクレオチド配列である、単数又は複数の由来の複製起点(しばしば“ori”と呼ばれる)部位を含むことができる。或いは、宿主細胞が酵母である場合には、自己複製配列(ARS)を使用することができる。
【0076】
トランスフォーメーション方法
本発明で使用される核酸送達のための適当な方法は、それによって、核酸分子(例えばDNA)を、ここに記載されているように、又は、当業者に知られているように、細胞に導入することが可能な実質的に全ての方法を含むものと考えられる。そのような方法は、非限定的に、生体外(ex vivo)トランスフェクション(ウィルソン(Wilson)ほか, Science, 244:1344-1346(1989), ナベル(Nabel)ほか, Science, 244:1342-1344(1989), 微量注入(ハーラン(Harlan)およびウェイントラウブ(Weintraub), J. Cell Biol, 101(3): 1094-1099 (1985); 米国特許第5,789,215号、ここに参考文献として合体させる)を含む、注入(ここにそのそれぞれを参考文献として合体させる、米国特許第5,994,624,5,981,274,5,945,100,5,780,448,5,736,524,5,702,932,5,656,610,5,589,466及びNo.5,580,859ッ号)、エレクトロポーレーション(米国特許第5,384,253号、ここに参考文献として合体させる; トゥル‐カパ(Tur-Kapa)ほか, Mol. Cell Biol., 6:716-718(1986); ポッター(Potter)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:7161-7165(1984)、リン酸カルシウム沈殿(グラハム(Gr aham)およびファン・デア・エブ(Van Der Eb); Virology, 52: 456-467(1973); Chen(チェン)及びOkayama(オカヤマ), Mol. Cell Biol., 7(8): 2745-2752(1987); リッペ(Rippe)ほか, Mol. Cell Biol., 10:689-695(1990); DEAEデキストラン、その後にポリエチレングリコールの使用(ゴパル(Gopal), Mol. Cell Biol., 5:1188-190(1985)、直接音波装填(direct sonic loading)(フェッチハイマー(Fechheimer)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89(17): 8463-8467(1987); リポソーム媒介トランスフェクション(ニコラウ(Nicolau)およびセネ(Sene), Biochem. & Biophys. Acta., 721:185-190 (1982); フラレー(Fraley)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 76:3348-3352 (1979); ニコラウ(Nicolau)ほか, Meth. Enzym., 149:157-176(1987); ワン(Wong)ほか, Gene, 10:879-894 (1980); カネダ(Kaneda)ほか, Science, 243:375-378 (1989); カトウ(Kato)ほか, J. Biol. Chem.,266: 3361-3364 (1991)及びレセプター媒介トランスフェクション(ウー(Wu)およびウー(Wu), J. Biol. Chem., 262: 4429-4432 (1987); ウー(Wu)およびウー(Wu), (1988); プロトプラストのPEG−媒介トランスフォーメーション(オミラレー(Omirulleh)ほか, Plant Mol. Biol., 21(3): 415-428(1987)、米国特許第4,684,611及び4,952,500号、そのそれぞれをここに参考文献として合体させる)、乾燥/抑制媒介DNA取り込み(desiccation/inhibition-mediated DNA uptake)(ポトリカス(Potrykus)ほかMol. Gen. Genet., 199(2): 169-177(1985)およびこれらの方法の任意の組み合わせ、のようなDNAの直接送達を含む。
【0077】
II.解析システムの構成要素
ここに記載の方法と同様、本発明の特徴である生産物も好適実施例を有する。例えば、「三部構造物」即ち、検定タンパク質と、開裂部位と活性化タンパク質とをコードする配列を含む構造物、において、前記検定タンパク質は、好ましくは、GPCRファミリーのメンバーなどの膜貫通レセプターなどの膜結合タンパク質である。これらの配列は、それらがコードするタンパク質のC末端を、第2タンパク質に対するより良好で強力な相互作用を有するように改変することができる。そのような改変は、例えば、GPCRなどの前記検定タンパク質のC末端領域を、全てを前に定義した、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2PLI,CCR4、CXCR2/IL−8,CCR4又はGRPRのC末端コード領域で置換することを含む。
【0078】
前記レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は、転写因子(例えば、tTA、GAL4等)等の、核内で作用するタンパク質とすることができ、或いは、それは、他のタンパク質による核内反応へ導く、カスケード反応を開始させる分子とすることができる。当業者には、そのようなカスケード反応は周知であろう。
【0079】
前記第2構造物は、上述したように、前記第1タンパク質と相互作用して、なんらかの測定可能な現象をもたらすタンパク質をコードする領域を含む。このタンパク質は、前記第1タンパク質の、アクチベーター、インヒビター、より一般的には、「調節物質(modulator)」、とすることができる。特に前記第1タンパク質がGPCRである場合には、アレスチンファミリーのメンバーが好適であるが、特に前記第1タンパク質がGPCRでない場合には、他のタンパク質コード領域も使用可能である。これらの二部構造物の第2部分は前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードし、これは、前記第1構造物によってコードされた融合タンパク質から活性化分子を除去するように作用する。
【0080】
しかし、次の追加の実施例に記載されているように、これらの好適実施例は本発明を限定するものではない。
【0081】
宿主細胞
ここでの使用において、「細胞」、「細胞ライン」、及び「細胞培養物」という用語は、相互交換可能に使用することができる。これらの用語は全て、更に、その任意又はすべての後続世代であるところの、それらの後代(progeny)も含む。尚、全ての後代は、意図的又は不意の変異によって同じではないかもしれない、と理解される。前記宿主細胞は、一般に、前記第1検定タンパク質とともに、融合タンパク質の一部である転写因子によって活性化されるスクリーニング可能又は選択可能なマーカを発現するように操作(engineered)されたものとされるであろう。
【0082】
異種核酸配列を発現する意味において、「宿主細胞」は、ベクターを複製することが可能な、および/又は、ベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することが可能な原核又は真核細胞をいう。宿主細胞が核酸分子によって「トランスフェクト」又は「トランスフォーム」される場合、それらは、「操作(engineered)」又は「組換え」細胞、或いは、例えばベクターなどの外来性核酸配列が導入された細胞、呼ばれる。従って、組換え細胞は、組換えによって導入された核酸を含まない自然発生細胞から区別可能である。
【0083】
多種多様な細胞ライン及び培養物が宿主細胞として利用可能であり、それらは、生体培養物と遺伝物質とのアーカイブとして役立っている組織であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を通じて入手することが可能である(www.atcc.org)。当業者は、適当な宿主を、ベクターのバックボーンと求められる結果とに基づいて決定することができる。例えば、プラスミド又はコスミドを、多くのベクターの複製のために原核宿主細胞に導入することができる。ベクター複製および/又は発現のために利用可能な細胞タイプは、非限定的に、E. coli(例えば、E. coli RR1株, E. coli LE392, E. coli B, E. coli X 1776(ATTC No. 31537)更に、E. coli W3110(F−,ラムダ、原栄養体, ATTC No. 273325),DH5α、JM109、及びKC8、等の細菌、枯草菌(Bacillus subtilis)等のバシラス、Salmonella typhimurium, Serratia marcescens, 種々のシュードモナス属等の、他の腸内細菌、更に、SURE(登録商標)Competent Cells 及びSOLOPACKTM Gold Cells(STRATAGENE(登録商標),La Jolla)等の多数の市販されている細菌性宿主を含む。いくつかの実施例において、E.coli LE392等の細菌細胞が、ファージウイルス用の宿主細胞として特に考えられる。
【0084】
ベクターの複製および/又は発現のための宿主細胞の具体例は、非限定的に、HeLa, NIH3T3, Jurkat, 293, COS, CHO, Saos及びPC12を含む。種々の細胞タイプ及び組織由来の多くの宿主細胞が利用可能であり、当業者に知られている。同様に、ウイルス性ベクターを、真核又は原核宿主細胞、特に、そのベクターの複製又は発現を許容するもの、と使用することができる。
【0085】
検定タンパク質
本発明は、その物理的相互作用が知られている、又は、推測される、任意の二つのタンパク質の使用を意図している。これらのタンパク質は、融合タンパク質として、すなわち、転写因子に融合された第1検定タンパク質と、この第1融合タンパク質中の開裂部位、前記転写因子を遊離する開裂の部位、を認識するプロテアーゼに融合された第2検定タンパク質、として存在する。これら検定タンパク質/融合物のに必要とされることは、(a)第1検定タンパク質が、開裂の前に核内に局所化できないこと、そして(b)プロテアーゼが、第2タンパク質への融合と、第1検定タンパク質の第2検定タンパク質への結合との両方の後でも活性状態に留まる必要があること、のみである。
【0086】
前記第1構造物に関して、前記第1検定タンパク質は、例えば、自然膜結合タンパク質、又は、標準技術によって、膜結合になるように操作されたもの、とすることができる。前記第1検定タンパク質は、例えば、GPCR類のいずれかのような膜貫通レセプター、あるいは、非限定的に、レセプターチロシンキナーゼ、レセプターセリントレオニンキナーゼ、サイトカインレセプター、等を含む、その他の対象の膜貫通レセプターとすることができる。更に、タンパク質の部分は、全長第1検定タンパク質として同様に作用するであろうことがよく知られているので、第1検定タンパク質のそのような活性部分も、ここでのタンパク質の定義に含まれる。
【0087】
当業者にとって明らかになるであろうが、本発明は、任意のタンパク質との相互作用を解析するために使用することが可能であり、GPCRなどの膜結合レセプターの解析にその範囲が限定されるものではない。例えば、非限定的に、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)、例えばIGF1R、例えば上皮成長因子(EGFR)、ErbB2/HER2/Neu又は関連のRTK;レセプターセリン/トレオニンキナーゼ、例えば、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)、アクチビン、又は骨形成タンパク質(BMP)レセプター;サイトカインレセプター、例えば、インターロイキン、エリスロポエチン,G−CSF,GM−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)のためのインターフェロンファミリーのためのレセプター及びレプチンレセプター:エストロゲンレセプター1(ESR1)、 エストロゲンレセプター2(ESR2)等の必ずしも自然には膜結合ではないその他のレセプター、を含む他のクラスの膜貫通レセプターの活性が含まれる。それぞれのケースにおいて、前記方法は、対象レセプターを含むキメラタンパク質の発現を指令する改変レセプター構造物によって細胞をトランスフェクションする工程を含み、前記構造物には、プロテアーゼ開裂部位と、それに後続の、転写因子をコードする核酸分子とが付着している。前記細胞は、前述の部位を認識し開裂する前記プロテアーゼに融合された相互作用タンパク質から成るキメラタンパク質の発現を指令する第2構造物と同時トランスフェクションされる。EGFR等のRTKの場合、この相互作用タンパク質は、ホスホリパーゼC(PLC)等のSH2(Srcホモロジードメイン2)含有タンパク質又はその一部、又は、Srcホモロジー2ドメイン含有トランスフォームタンパク質1(SHC1)から構成することができる。TGFβ、アクチビン、BMPレセプターなどのレセプターセリン/トレオニンキナーゼの場合、この相互作用タンパク質は、Smadタンパク質又はその一部とすることができる。インターフェロン−α/β又はインターフェロン−γガンマレセプターなどのサイトカインレセプターの場合、この相互作用タンパク質は、非限定的に、Stat1,Stat2等の転写(STAT)タンパク質、ヤヌスキナーゼ(JAK)タンパク質Jak1,Jak2又はTyk2、又はそれらの一部の、シグナルトランスデューサ及び活性化物質とすることができる。それぞれの場合において、前記トランスフェクト細胞は、前記レセプターに融合された前記転写因子によって調節されるレポーター遺伝子を含む。次に、前記トランスフェクト細胞を、特定の期間、検定化合物で処理し、この検定期間の最後に前記レポーター遺伝子の活性を測定する解析を行う。もしも、検定化合物が対象のレセプターを活性化すれば、前記対象レセプターと前記相互作用タンパク質との間の相互作用が刺激され、それによって前記プロテアーゼ部位が開裂し、融合された転写因子が遊離され、これを、レポーター遺伝子活性における増加として測定することが可能となる。
【0088】
他の可能な検定タンパク質の対としては、抗体−リガンド、酵素−基質、二量化タンパク質、シグナル伝達カスケードの成分、その他周知のタンパク質の対がある。
【0089】
レポーター
レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、検出可能なシグナルをもたらす、遺伝子、発現又は欠如に対する影響を与える任意のタンパク質とすることができる。典型的なタンパク質レポーターは、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素(CAT)、β−グルクロニダーゼ(glucuronidase)(GUS)又はβ−ガラクトシダーゼ等の酵素を含む。又、グリーン蛍光タンパク質、レッド蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、アルカリフォスファターゼ等の蛍光及び化学発光タンパク質も考えられる。
【0090】
転写因子とリプレッサ
本発明に拠れば、操作された宿主細胞内でのレポーター遺伝子の発現を活性化するために転写因子が使用される。これら転写因子は、一般に、それらのDNA結合ドメインの構造に応じて分類され、それらは一般に、(a)ジンクフィンガー、(b)へリックス−ターン−へリックス(helix-turn-helix)、(c)ロイシンジッパー(leucine zipper)、(d)へリックス−ループ−へリックス(helix-loop-helix)、又は(e)高移動性グループである。転写因子の活性化ドメインが、転写装置(RNAポリメラーゼ)の成分又は、その他の調節タンパク質と相互作用し、それによってDNA結合の効率に影響を与える。
【0091】
Rel/核内因子 kB(NF−kB)と活性化タンパク質−1(AP−1)とが、最もよく研究されている転写因子ファミリーに含まれる。それらは、炎症や腫瘍形成などの病理的結果をもたらす、シグナル伝達経路の重要な成分として同定されている。その他の転写因子ファミリーは、熱ショック/E2Fファミリー、POUファミリー及びATFファミリーを含む。tTAやGAL4等の特定の転写因子が本発明の使用に考えられる。
【0092】
転写因子は、使用可能な1つの分子クラスであるが、前記解析を改造して、測定可能なシグナルがシグナル発生器のダウンレギュレーション又は細胞死である、転写リプレッサ分子の使用を可能にすることもできる。
【0093】
プロテアーゼ及び開裂部位
プロテアーゼは、特定の部位において他のタンパク質を開裂する十分に特徴付けられている酵素である。1つのファミリー、Ser/Thrプロテアーゼは、セリン及びトレオニン残基で開裂する。他のプロテアーゼは、システイン又はチオールプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、ジ及びトリペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、及びペプチジルペプチダーゼを含む。これらの選択は、当業者次第であり、勿論、ここに記載されている分子に限定される必要はない。酵素が触媒ドメインを有し、これらを全長プロテアーゼの代わりに使用することが可能であることはよく知られている。そのようなものも本発明に含まれる。1つの具体的実施例は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼ又は、その活性部分である。当業者に明らかなように、その他のプロテアーゼの特定の開裂部位も使用可能である。
【0094】
検定タンパク質の改変
前記第1検定タンパク質は、この解析において前記相互作用タンパク質に対するその結合を増強するように改変することができる。例えば、ある種のGPCRは、リガンド刺激により、アレスチンにより安定的に、又はより高い親和性で結合し、この増強された相互作用は、別々のドメイン、例えば、C末端尾部におけるセリンとトレオニン残基のクラスター、によって媒介されることが知られている(オークレイ(Oakley)ほか, J.Biol.Chem. 274:32248-32257,1999及びオークレイ(Oakley)ほか, J.Biol.Chem. 276:19452-19460, 2001)。これを一例として使用して、レセプターなどの膜結合タンパク質の親和性を増加するために、レセプターコード配列自身を、それが結合するタンパク質で改変できることが明らかである。そのような改変の具体例は、上述したもののような、レセプターなどの膜結合タンパク質のC末端領域の、それの、結合タンパク質に対してより高い親和性を有するがレセプター機能には影響しない別のレセプターの対応領域との置換を含む、改変である。例16及び20は、本発明のこの特徴の実施例を示すものである。
【0095】
更に、前記第2検定タンパク質を、前記第1検定タンパク質とのその相互作用を増強するべく改変することができる。例えば、前記解析は、アゴニスト−占有GPCRに、より安定的に、又は、リン酸化−独立様式で結合することが知られている、アレスチンなどの、第2検定タンパク質の点変異体、切断体又はその他のバリアントを含むことができる(コヴォーア(Kovoor)ほか, J. Biol. Chem., 274: 6831-6834,1999)。
【0096】
III.解析形態
上述したように、本発明は、その一実施例において、二つの検定タンパク質の、同じ細胞内で発現された時の、相互作用を評価する簡単な方法を提供する。第1構造物は、上述したように、それ自身、レポーター遺伝子アクチベーターをコードする配列に連結されている、プロテアーゼ又はプロテアーゼ部分のための開裂部位をコードする配列に連結されている第1タンパク質をコードする配列を含む。ここで、「連結」とは、記載した配列が、融合して、全ての要素を含む1つのポリペプチドに翻訳可能な、1つの完全なオープンリーディングフレームを作り出すことを意味する。これらは、別のタンパク質又はペプチドをコードする又はコードしないものとすることができる追加のヌクレオチド配列によって分離されたものであっても、又は分離されないものであってもよい。前記組換え細胞に挿入される第2構造物も、上述した、即ち、それは、第2タンパク質と、前記プロテアーゼ又はプロテアーゼ部分をコードする配列との両方を含む。これらの要素は協働で、標的タンパク質相互作用に対するその作用が追求される候補物質と組み合わされて基本解析形態を構成する。
【0097】
しかし、本発明は、そのそれぞれが、ここに記載のクラスのタンパク質などの、タンパク質の活性化によって刺激される、異種のレポーター遺伝子を同時に使用することによって、1つ以上の、レセプターなどの膜結合タンパク質を解析するのにも使用することができる。例えば、これは、異なるレセプター構造物及び異なるレポーター遺伝子でトランスフェクトされた細胞を混合すること、又は、各検定レセプターに異なる転写因子を融合し、検定化合物での処理後の各レポーター遺伝子の活性を測定することによって、達成することができる。例えば、対象分子が第1レセプターを活性化するか否か、さらに、第2レセプターとの相互作用によって、副作用が発現されるか否か、を決定することが望ましいかもしれない。そのような場合、例えば、第1レセプターと第1レポーター、lacZのような、とをコードする第1細胞ラインと、第2レセプターと第2レポーター、GFP等のような、とをコードする第2細胞ラインとを使用することができる。そのようなシステムの好適実施例が、例17と18に見られる。前記二つの細胞ラインを混合し、対象の化合物を添加し、一方に対する明確な作用と、他方に対する作用の欠如を求めることができる。
【0098】
尚、本発明は、一対の相互作用検定タンパク質が検定される解析と、より好ましくは、ここで「マルチプレックス(multiplex)」解析と称するものが使用される解析との両方に関する。そのような解析は、様々な方法で実行可能であるが、いずれの場合でも、一対以上の検定タンパク質が同時に検定される。これは、例えば、そのそれぞれが、各相互作用タンパク質の対を検定するべく、トランスフォーム又はトランスフェクトされている複数の細胞のサンプルを提供することによって達成可能である。これらの異なるトランスフォーム細胞は、1つの容器内で同時に組み合わせ、検定することができ、或いは、各タイプの形質転換体を別々の容器に入れて、その後検定することも可能である。
【0099】
ここに記載のマルチプレックス解析に使用される前記細胞は、同じであっても、又は同じでなくてもよい。同様に、使用されるレポーターシステムは、各サンプルにおいて同じであっても、又は同じでなくてもよい。前記サンプル又は複数のサンプルが、例えばマイクロアレイのウェルなどの、容器に入れられた後、単数又は複数の化合物を、容器にセットされた複数の相互作用タンパク質の対に対してスクリーニングすることができる。
【0100】
前記構造物によって発現される前記融合タンパク質も、本発明の特徴である。当業者にとって明らかになるであろう本発明のその他の態様は、前記融合タンパク質を同定することが可能な抗体、更に、タンパク質の存在を測定するための種々のタンパク質に基づく解析、又、遺伝子の発現を測定する、PCRによる解析などの、ハイブリダイゼーション解析である。
【0101】
IV.キット
ここに記載の組成物のいずれも、キットとして構成することができる。従って、このキットは、本発明の前記ベクター又は細胞のための適当な容器手段と、本発明に使用可能な追加の任意の試薬とを含むものとなる。
【0102】
前記キットは、適当に分割された本発明の組成物を含む。これらのキットの構成部分は、水性媒体中又は凍結乾燥状態でパッケージ化することができる。前記キットの容器手段は、一般に、その中に、成分が配置される、好ましくは、適当に分取される、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器又はその他の容器手段を含む。キット中に1つ以上の構成部分が含まれる場合は、このキットは、更に、それらの中にそれらの追加構成部分を別々に入れることが可能な、第2、第3、又はその他追加の容器を含むものとされる。但し、種々の組み合わせの構成部分を1つのバイアル中に含ませることも可能である。本発明のキットは、更に、通常、市販のために、試薬容器を密に封じ込めるための手段を備える。そのような容器は、その中に所望のバイアルが保持される射出成形又は吹出し成形容器を含むことができる。
【0103】
前記キットの構成部分が単数又は複数の溶液として提供される場合、その溶液は、水溶液であり、殺菌水溶液が特に好ましい。但し、前記キットの構成部分は、乾燥粉末(単数又は複数)として提供することも可能である。試薬および/又は成分が乾燥粉末として提供される場合、その粉末は、適当な溶剤の添加によって再構築することができる。前記溶剤も、別の容器手段に入れて提供することも考えられる。
【実施例】
【0104】
V.例
本発明を説明する具体的実施例は、下記の例から理解されるであろう。但し、本発明はこれらに限定されるものと解釈されてはならない。
【0105】
例1
標準命名法に 従って、以下“ADRB2”と称するヒトβ2アドレナリンレセプターをコードするDNAを使用して、融合構造物を形成した。そのヌクレオチド配列は、GenBankにおいて、受入番号NM_ 000024(配列識別番号1)で得られる。ここに参考文献として合体させるゴッセン(Gossen)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA , 87: 5547-5551(1992)に記載されているテトラサイクリン調節性トランスアクチベーターtTAも使用された。ここに参考文献として合体させるパークス(Parks)ほか, Anal. Biochem., 216: 413-417 (1994)に記載されている、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼに対する認識及び開裂部位をコードする配列が、前記融合コード遺伝子のこれらの配列の間に挿入されている。前記CMVプロモーター領域を、ADRB2コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、前記tTA領域の下流側に配置した。
【0106】
先ず、内部BamHI及びBgIII制限部位が欠如した形態のADRB2を作り出すことによって融合構造物を調製した。更に、内在性の終止コドンを、ユニークなBamHI部位によって置換した。
【0107】
これを行うためにオーバラッピングPCRを使用した。詳述すると、前記コード領域の5’部分を、
gattgaagat ctgccttctt gctggc(配列識別番号2)、及び、
gcagaacttg gaagacctgc ggagtcc(配列識別番号3)によって増幅した。
一方、前記コード領域の3’部分を、
ggactccgca ggtcttccaa gttctgc(配列識別番号4)、及び、
ttcggatcct agcagtgagt catttgt(配列識別番号5)によって増幅した。
【0108】
その結果得られたPCR産物は、27ヌクレオチドのオーバーラッピング配列を有し、これらを標準アガロースゲル電気泳動によって精製した。これらを互いに混合し、配列識別番号2と配列識別番号5とで増幅した。
【0109】
前記内因性の開始コドンがTEV NIa−Pro開裂部位によって置換されるようにtTAのコード領域を改変するのにもPCRが使用された。7アミノ酸配列ENLYFQS(配列識別番号6)によって形成されている前記開裂部位は、ここに参考文献として合体させるパークス(Parks)ほか, Anal. Biochem., 216: 413-417(1994)によって教示されている。7番目のアミノ酸は、P1’位置として知られており、これを他のアミノ酸と置換することによって、TEV NIa−Proによる開裂の効率が減少することが知られている。カプスト(Kapust)ほか, Biochem. Bophys. Res. Commun., 294: 949-955(2002)を参照。
【0110】
第7アミノ酸がTyrに変更されたバリアント、及び、それがLeuに変更されたバリアントを作成した。これらによって、天然の高効率部位と比較して、中及び低効率の開裂部位が得られた。
【0111】
前記天然高効率部位をコードするDNA配列を、tTAコード領域に二つの工程で付加した。簡単に説明すると、
ccggatcctc tagattagat aaaagtaaag tg(配列識別番号7)、及び
gactcgagct agcagtatcc tcgcgccccc taccc(配列識別番号8)、でのPCRによって、BamHI及びXbaI制限部位を5’末端に付加し、XhoI制限部位をtTAコード領域の3’末端に付加した。そして、TEV NIa−Pro開裂部位を、BamHIとXbaI部位の間で下記の配列、
gagaacctgt acttccag(配列識別番号9)に、オリゴヌクレオチドを連結することによって5’末端に付加した。
【0112】
このDNA配列を、以下を使用したPCRによって前記中及び低効率開裂部位をコードするように改変した。
ENLYFQY(配列識別番号12)の場合は、
ggatccgaga acctgtactt ccagtacaga tta(配列識別番号10)、及び、
ctcgagagat cctcgcgccc cctacccacc(配列識別番号11)、そして
ENLYFQL(配列識別番号14)の場合は、
ggatccgaga acctgtactt ccagctaaga tta(配列識別番号13)、及び、
ctcgagagat cctcgcgccc cctacccacc(配列識別番号11)。
【0113】
これらのPCR工程によって、更に、BamHI制限部位5’が各開裂部位をコードする配列に、そして、XhoI制限部位3’がtTA終止コドンに導入された。
【0114】
このようにして改変されたADRB2コード領域を、前記コード領域のヌクレオチド位置260で切断するPstIと、BamHIとで消化した。この3’フラグメントを、予めBamHI及びXhoIで消化しておいたTEV NIa−Pro開裂部位によって改変されたtTAの前記三つのバリアントと連結し、得られた複合体を、予めPstIとXhoIとで消化しておいたpBlueScript IIにクローニングした。
【0115】
再度、
gcggccgcca ccatgaacgg taccgaaggc cca(配列識別番号15)、及び、
ctggtgggtg gcccggtacc a(配列識別番号16)を、使用したPCRによって、前記ADRB2コード領域の開始コドンの5’にNotI制限部位が導入された。
【0116】
改変ADRB2コード領域の前記5’フラグメントを、NotIとPstIとの消化によって単離し、これを、予め消化しておいたADRB2−TEV−NIa−Pro開裂部位tTA融合の3’フラグメントの構造物のそれぞれに連結し、融合タンパク質をコードする三つの全長構造物を作成した。
【0117】
各構造物を、NotIとXhoIとで消化し、次に、NotIとXhoIとで消化された、市販の発現ベクターpcDNA3に挿入した。
【0118】
例2
第2の構造物も作成し、ここでは、以後“βアレスチン2又はARRB2”と称する(GenBank, NM_004313)(配列識別番号17)のコード配列を、TEVタンパク質のTEV NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(即ち、成熟NIaプロテアーゼのアミノ酸189−424、残基2040−2279)に連結した。これを行うために、ARRB2をコードするDNA配列を、BamHI制限部位をその5’末端に付加するように改変した。更に、この配列を、内在性の終止コドンをBamHI部位で置換するように改変した。下記のオリゴヌクレオチド、
caggatcctc tggaatggg gagaaaccg ggacc(配列識別番号18)、及び、
ggatccgcag agttgatcat catagtcgc(配列識別番号19)が使用された。得られたPCR産物を、市販のベクターpGEM−T EASY(Promega)にクローニングした。前記pGEM−T EASYベクターのマルチクローニング部位は、ARRBの開始コドンへのEcoRI部位5’を含む。
【0119】
次に、コロジエイ(Kolodziej)ほか, Meth. Enzymol., 194: 508-519(1991)に従って、前記TEV NIa−Proコード領域を、前記内在性の開始コドンをBglII部位によって置換し、3’末端に、インフルエンザヘマグルチニンエピトープYPYDVPDYA(配列識別番号20)をコードする配列を挿入し、その後、終止コドンとNotI制限部位とするように改変した。これは、
agatctagct tgtttaaggg accacgtg(配列識別番号21)、および、
gcggccgctc aagctaac tggaacatca tatgggtacg agtacaccaa ttcattcatg at(配列識別番号22)、を使用するPCRによって達成された。
【0120】
得られた改変ARRB2コード領域をEcoRIとBamHIとで消化し、他方、改変TEVコード領域を、BglIIとNotIで開裂した。両フラグメントを、市販のpcDNA3発現ベクターに連結し、EroRIとNotIで消化した。
【0121】
例3
ADRB2−TEV−NIa−Pro開裂部位t−TA及びARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合タンパク質をコードするプラスミドを、HEK−293T細胞と、tTA依存プロモーターの制御下で、安定的にβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を取り込んだ、HEK−293Tの誘導体である、「クローン41」とにトランスフェクトした。約5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン、100μg/ml G418及び5μg/mlプリマイシン(purimycin)を添加したDMEM培地中で、24ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を次の日、50%のコンフルエンシーにまで増殖させ、次に、0.4μgのプラスミドDNA、及び2μlのFugene(脂質とその他の物質を含有する専売のトランスフェクション試薬)を使用してトランスフェクトした。この混合物を、100μlのDMEM培地中で組み合わせ、細胞の添加の前に、室温で15分間インキュベートした。トランスフェクション細胞を、検定8〜20時間前に、レセプターのための公知のアゴニストである薬剤を添加することによってインキュベートし、その後、薬剤添加後、16−24時間インキュベートした。
【0122】
例4
前記細胞内のβ−ガラクトシダーゼのレベルを、先ず、ここに参考文献として合体させるマクグレガー(MacGregor)ほか, Somat. Cell Mol. Genet., 13: 253-265(1987)によって教示されているように、これらの細胞を、発色性物質、即ち、“X−gal”によって染色することによって測定した。培養後、細胞を、カルシウムとマグネシウムを含むD−PBS中で二回洗浄し、4%パラホルムアルデヒド中で5分間固定し、その後、追加の二回、それぞれ10分間、D−PBS、カルシウム及びマグネシウムによって洗浄した。固定された細胞を、予め、カルシウムとマグネシウムとを含むD−PBS中で、4% X−Gal保存液の1:40希釈によって調製しておいた、5mMのフェリシアン化カリウム、5mMのフェロシアン化カリウム、2mMのMgCl2、0.1% X−Gal、とインキュベートした。
【0123】
前記反応物を、暗所で室温にて3〜4時間から一晩インキュベートした。基質溶液を除去し、細胞を、ガラスカバーグラス下で、モヴィオール(mowiol)封入剤(10% モヴィオール、0.1% 1.4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、24%グリセロール)で封入した。
【0124】
その結果、前記ADRB2−TEV−NIa−Pro開裂部位t−TAプラスミドのみ、又は、ARRB2−TEV−NIaプロテアーゼプラスミドのみのいずれによってトランスフェクトされた細胞も、β−ガラクトシダーゼを発現しないことが示された。両プラスミドでトランスフェクトされた小さな割合の細胞は、恐らくは、刺激を受けなかったADRB2とARRB2との間の相互作用の基礎レベルにより、β−ガラクトシダーゼを発現した。約3−5倍の多くの細胞が、共にADRB2アゴニストである、10μMイソプロテレノール又は10μMのエピネフリンでの処理後、前記レポーター遺伝子を発現した。
【0125】
前記細胞をADRB2アンタゴニストのアルプレノロール(10μM)で5分間前処理した時、β−ガラクトシダーゼ発現細胞におけるアゴニスト誘導増加は阻止され、そして、アルプレノロールのみでの処理では明白な効果は無かった。
【0126】
これらの結果は、アゴニスト結合とGPCR刺激とを、レポーター遺伝子の転写活性化に結びつけることができる、ということを示している。
【0127】
例5
細胞中におけるレポーター遺伝子活性のレベルをより正確に定量化し、分析におけるシグナル対バックグランド比を最大化するために一組の実験を行った。これは、β−ガラクトシダーゼ活性のための市販の化学発光解析を使用してレポーター遺伝子誘導のレベルを測定することによって達成された。クローン41細胞を、ADRB2−tTA融合構造物、前記高、中または低効率開裂部位のいずれかを含む、及び上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミド、でトランスフェクトした。細胞を、トランスフェクション後、1μMのイソプロテレノールで処理しないか、又は20時間処理し、薬剤添加の24時間後に発光解析を行った。簡単に説明すると、細胞培養後、培地を除去し、50μlの溶解緩衝液(100mMリン酸カリウム、pH7.8,0.2% Triton X−100)を各ウェルに添加した。細胞を、緩やかに攪拌しながら、室温で5分間のインキュベーションによって溶解させた。溶解物を収集し、市販の製品によって分析した。
【0128】
全てのケースにおいて、アゴニストでの処理によって、β−ガラクトシダーゼのレベルが増加した。しかし、未処理の細胞でのレポーター遺伝子活性のバックグランドレベルは、中及び高効率部位に対して、低効率開裂部位で最低であった。更に、アゴニスト処理によって、中効率開裂部位での2.8倍と高効率開裂部位での1.2倍に対して、低効率開裂部位でトランスフェクトされた細胞中でのレポーター遺伝子活性は4.8倍の刺激をもたらした。従って、低効率プロテアーゼ開裂部位を使用することによって最高のシグナル対バックグランド比が得られる。
【0129】
例6
これらの実験は、レポーター遺伝子発現におけるアゴニスト刺激増加が、アゴニストによるレセプターの結合と活性化に依存することを証明するために構成された。
【0130】
これを行うために、そのそれぞれが、アゴニスト イソプロテレノールへの親和性の大幅な低下をもたらす、位置113における1つのアミノ酸のDからSへの変更を有する前記レセプターの変異体を含んでいることを除いて、上述したプロトコルに従って、前記ADRB2−tTA融合タンパク質のバリアントを作成した。ストレーダー(Strader)ほか, J. Biol. Chem. 266: 5-8 (1991)を参照。それぞれ異なる開裂部位をもつ三つの形態の変異体レセプター−tTA融合構造物が形成された。
【0131】
前記ADRB2−tTA、D113S点変異を含む、及び上述したADRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミド、でコトランスフェクトされたクローン41細胞中でβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルを測定した。これらの活性検定は、上述したものと全く同様に行われた。その結果、アゴニスト、イソプロテレノールは、前記変異ADRB−tTA融合構造物を発現する細胞中においてレポーター遺伝子発現を刺激しないことが示された。
【0132】
例7
これらの実験は、レポーター遺伝子発現のアゴニスト刺激増加が、TEV NIa−ProのARRB2への融合に依存するか否かを調べるために構成された。
【0133】
これを行うために、前記低効率開裂部位を含むADRB2−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミドか、又は、ホスホリパーゼCのSH2ドメインへの対照TEV−NIa融合物のいずれかとでコトランスフェクトされたクローン41細胞中でβ−ガラクトシダーゼのレベルを測定した。これらの活性検定は、上述したものとまったく同様に行われた。その結果、レポーター遺伝子発現のアゴニスト刺激増加は、TEVプロテアーゼがARRB2に融合された場合にのみ検出され、無関係のポリペプチドに融合された場合には検出されないことが示された。
【0134】
例8
これらの実験は、遺伝子発現が標的レセプターのアゴニストによって選択的に誘導されるか否か、或いは、それがその他の分子によって刺激することが可能であるか否か、を調べるために構成された。
【0135】
ATPは、HEK−293T細胞によって内在的に発現される、Gタンパク質共役レセプターP2Y1及びP2Y2に対するアゴニストである。
【0136】
前記低効率開裂部位を含むADRB2−tTA融合構造物と上述のアレスチン−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトされ、イソプロテレノール、ATPで処理された又は処理されない、クローン41細胞を使用して実験を行った。これらの解析は、上述した通りに行われた。
【0137】
その結果、レポーター遺伝子活性の誘導は、標的レセプターの活性化に対して特異的であることが示された。別のGPCR経路の刺激は無関係であった。
【0138】
例9
前記低効率開裂部位を含むADRB2−tTA融合構造物と上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトされ、種々の量の、アドレナリンレセプターアゴニスト、イソプロテレノール及びエピネフリンのいずれか1つで処理されたクローン41細胞を使用して1セットの実験を行った。これらの解析は、上述した通りに行われた。図2aに示されているその結果は、これら二つのリガンドによるレポーター遺伝子発現の刺激の用量−反応曲線を示している。各ポイントは、三つの実験から得られた平均値を表している。
【0139】
コトランスフェクションクローン41細胞を、異なる濃度でアドレナリンレセプターアンタゴニスト、アルプレノロールで15分間前処理し、その後、1μMのエピネフリンでの処理を行うという1セットの実験を上述したようにして行った。図2bに示されているその結果は、このアンタゴニストの用量−抑制曲線を示している。
【0140】
例10
Gタンパク質共役アルギニンバソプレッシンレセプター2(AVPR2)の分析を確立するために類似のセットの構造体を作成した。AVPR2コード領域(GenBank受入番号: NM_000054)(配列識別番号23)を、プライマー、
gaattcatgc tcatggcgtc caccac(配列識別番号24)、及び、
ggatcccgat gaagtgtcct tggccag(配列識別番号25)でPCRを使用して、5’末端にEcoRIを配置し、そして終止コドンをBamHI部位によって置換するように改変した。
【0141】
前記改変AVPR2コード領域を、EcoRIとBamHIとで切断しておいた、上述の三つのADRB2−tTA構造物に連結した。これによって、ADRB2の全コード配列がAVPR2のコード配列によって置換された。
【0142】
クローン41細胞を、前記低効率開裂部位を含むAVPR2−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とによってコトランスフェクトし、種々の濃度(1pM〜2μM)の、[Arg8]バソプレッシン、AVPR2のアゴニスト、を使用して解析を行った。図3に示すそのデータは、以前に刊行されたデータ(オークレー(Oakley)ほか, Assay and Drug Development Technologies, 1: 21-30、(2002))と一致する、3.3nMのEC50をもつ、このアゴニストの用量反応曲線を示している。最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の約40倍の誘導が得られた。
【0143】
例11
Gタンパク質共役セロトニンレセプター1a(HRT1A)の解析を確立するために、類似セットの実験を行った。前記HTR1Aコード領域(Genbank受入番号NM_000524)(配列識別番号26)を、プライマー、
gaattcatgg atgtgctcag ccctgg(配列識別番号27)、及び、
ggatccctgg cggcagaact tacac(配列識別番号28)、でのPCRを使用して、5’末端にEcoRI部位を配置し、終止コドンをBamHI部位によって置換するべく改変した。
【0144】
前記改変HTR1Aコード領域を、EcoRIとBamHIとで切断された上述のAVPR2−tTA構造物に連結した。これによって、AVPR2の全コード配列が、HTR1Aのコード配列によって置換された。その結果得られた構造体を、以後“HTR1A−tTA”と称する。
【0145】
クローン41細胞を、前記低効率開裂部位を含むHTR1A−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合構造物とによってコトランスフェクトし、10μM 8−ヒドロキシ−DPAT HBr(OH−DPAT)、HTR1Aのアゴニスト、更に、10μMのセロトニン、HTR1Aの天然アゴニスト、とを使用して解析を行った。これらの解析は上述したようにして行われた。OH−DPATへの最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の6.3倍の誘導が得られ、セロトニンへの最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の4.6倍の誘導が得られた。
【0146】
例12
Gタンパク質共役m2ムスカリンアセチルコリンレセプター(CHRM2)のための解析を確立するために類似の構造体を作成した。CHRM2コード領域(Genbank受入番号NM_000739)(配列識別番号29)を、プライマー、
gaattcatga ataactcaac aaactcc(配列識別番号30)、及び、
agatctcctt gtagcgccta tgttc(配列識別番号31)、でのPCRを使用して、5’末端にEcoRI部位を配置し、終止コドンをBgIII部位によって置換するべく改変した。
【0147】
前記改変CHRM2コード領域を、EcoRIとBamHIとで切断された上述のAVPR2−tTA構造物に連結した。これによって、AVPR2の全コード配列が、CHRM2のコード配列によって置換された。
【0148】
クローン41細胞を、前記高効率開裂部位を含むCHRM2−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合構造物によってコトランスフェクトし、ここで、ARRB2−プロテアーゼ融合タンパク質が、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)プロモーターの制御下で発現され、10μMのカルバミルコリンC1(カルバコール(carbochol))、CHRM2のアゴニスト、を使用して、上述したように解析を行った。カルバコールへの最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の7.2倍の誘導が得られた。
【0149】
例13
Gタンパク質共役ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター5(CCR5)の解析を確立するためにα構造物も作成した。CCR5コード領域(Genbank受入番号NM_000579)(配列識別番号32)を、プライマー、
gcggccgcat ggattatcaa gtgtcaagtc c(配列識別番号33)、及び、
ggatccctgg cggcagaact tacac(配列識別番号34)、でのPCRを使用して、5’末端にNotI部位を配置し、終止コドンをBamHI部位によって置換するべく改変した。
【0150】
CCR5コード領域を、プライマー、
ggtctccaat tcatggatta tcaagtgtca agt(配列識別番号35)、及び、
gacgacagcc aggtacctat c(配列識別番号36)、を使用して、それが切断された時に、EcoRI切断DNAと適合するヌクレオチド突出部分を残す、5’末端にBsaI部位を配置するようにも改変した。
【0151】
前記第1の改変コード領域をClaIとBamHIとで切断し、第2のものをBsaIとClaIとで切断した。これら両フラグメントを、EcoRIとBamHIとで切断しておいた、AVPR2−tTA構造物に上述したように連結させた。これによって、AVPR2の全コード配列がCCR5のコード配列によって置換された。
【0152】
前記低効率開裂部位を含むCCR5−tTA融合構造物を、上述のHEK細胞ライン“クローン41”の誘導体であるが、CMVプロモーターの制御下で安定的に組み込まれたARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合遺伝子を含む、“クローン34”細胞にトランスフェクトした。1μg/mlの「Regulated on Activation, Normal T-Cell Expressed and Secreted」(RANTES)、CCR5に対する公知のアゴニスト、を使用して解析を行った。上述したように測定された、RANTESに対する最大反応によって、バックグランドに対するレポーター遺伝子発現の約40倍の誘導が得られた。
【0153】
例14
次に、Gタンパク質共役ドーパミン2レセプター(DRD2)の解析を確立するために一組の構造物を作成した。DRD2コード領域(Genbank受入番号NM_000795)(配列識別番号37)を、プライマー、
gaattcatgg atccactgaa tctgtcc(配列識別番号38)、及び、
agatctgcag tggaggatct tcagg(配列識別番号39)、を使用して、5’末端にEcoRI部位を配置し、終止コドンをBgIII部位によって置換するべく改変した。
【0154】
改変されたDRD2コード領域を、EcoRIとBamHIとによって切断された、AVPR2−tTA構造物に上述したようにして連結した。これによって、AVPR2の全コード配列がDRD2のコード配列によって置換された。
【0155】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2のアゴニスト、を使用して解析を行った。その結果を、上述した解析と同様にして測定した。ドーパミンに対する最大反応によって、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の2.7倍の誘導が得られた。
【0156】
例15
これらの実験は、アゴニスト占有GPCRを安定的に結合するアレスチン変異体を使用した解析の増強を証明するように構成された。先ず、β−アレスチン−1(ARRB1)に対するTEV NIaプロテアーゼの融合物を構築した。ARRB1のコード領域(Genbank受入番号. NM_004041)(配列識別番号40)を、プライマー、
ggtaccatgg gcgacaaagg gacgcgagtg(配列識別番号41)、そして、
ggatcctctg ttgttgagct gtggagagcc tgtaccatcc tcctcttc(配列識別番号42)、での使用したPCRを使用して、5’末端にAsp718部位を配置し、終止コドンをBamHI部位で置換するべく改変した。
【0157】
その結果得られた改変ARRB1コード領域を、Asp718とEcoRI、そして、EcoRIとBamHIとで切断し、他方、上述した改変TEV NIa−Proコード領域は、BgIIIとNotIで切断した。三つ全部のフラグメントを、Asp718とNotIとで消化しておいた、市販のpcDNA3発現ベクターに連結した。
【0158】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、ARRB1−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、D2レセプターのアゴニスト、を上述したように使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大の反応で、バックグランドに対するレポーター遺伝子発現の2.1倍の誘導が得られた。
【0159】
ARRB1のアミノ酸382以後の切断によって、GRK−媒介リン酸化と独立した、アゴニスト結合GPCRに対する親和性が増大するこが報告されている(コヴォーア エイ(Kovoor A.)ほか,J. Biol. Chem. 274 (11): 6831-6834 (1999))。本解析におけるそのような「常時活性型のconstitutively active)」アレスチンの使用を示すために、β−アレスチン−1のコード領域を、上述した配列識別番号41、及び、
ggatccattt gtgtcaagtt ctatgag(配列識別番号43)、でのPCRを使用して、5’末端にAsp718部位を配置し、アミノ酸382のあとにBamHI部位を配置するべく、改変した。
【0160】
これによって、全長コード領域よりも36アミノ酸短いARRb1コード領域が得られる。これによって得られた改変ARRB1コード領域、“ARRB1(Δ383)”と称する、を、Asp718とEcoRI、そしてEcoRIとBamHIで切断し、他方、上述の前記改変TEV NIa−Proコード領域をBgIIIとNotIで切断した。これら三つのフラグメント全部を、市販のpcDNA3発現ベクターに連結し、Asp718とNotIで消化した。
【0161】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、ARRB2(Δ383)−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とによってコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2レセプターに対するアゴニスト、を上述したように使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の8.3倍の誘導が得られた。
【0162】
前記ARRB2コード領域の同等の切断の作用を調べるために、ARRB2のコード領域を、プライマー、
ggtaccatgg gggagaaacc cgggacc(配列識別番号44)、及び、
ggatcctgtg gcatagttgg tatc(配列識別番号45)、でPCRを使用して、5’末端にAsp718部位を配置し、3’末端の81のヌクレオチドをBamHI部位で置換するように改変した。
【0163】
これによって、全長コード領域よりも27アミノ酸短いARRB2コード領域が得られる。これによって得られた改変ARRB2コード領域を、Asp718とBamHIで切断し、他方、上述の改変TEV NIa−Proコード領域をBgIIIとNotIとで切断した。両フラグメントを、市販のpcDNA3発現ベクターに連結し、AsP718とNotIで消化した。
【0164】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、ARRB2(Δ383)−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とによってコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2レセプターに対するアゴニスト、を上述したように使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の2.1倍の誘導が得られた。
【0165】
図4に示すこれらの結果は、DRD2ドーパミンレセプター解析が、前記アレスチン変異体ARRB1(Δ383)を使用して最高のシグナル対バックグランドを示すことを証明している。
【0166】
例16
この組の実験は、相互作用タンパク質に対する親和性を増大させるように構成されたレセプター改変体を使用した解析の増強を証明するために行われた。この例において、検定レセプターのC末端尾部ドメインが、高い親和性でアレスチンと結合することが知られているレセプターである、AVPR2からの対応の尾部ドメインによって置換された。これらの例において、前記融合結合部(junction)が、通常、レセプターC−末端の推定パルミトイル化部位の直後の位置に対応する、第7膜貫通螺旋の末端における保存NPXXYモチーフの後の15〜18のアミノ酸に作られた。
【0167】
先ず、PCRを使用して、前記低効率TEV開裂部位とtTA転写因子の前に、AVPR2からのC末端の29アミノ酸をコードするDNAフラグメントを作成した。このフラグメントは、又、最初の二つのアミノ酸(Ala,A及びArg,R)が、BssHII制限部位GCGCGCによってコードされるようにも構成されている。これは、プライマー、
tgtgcgcgcg gacgcacccc acccagcctg ggt(配列識別番号46)、及び、
ctcgagagat cctcgcgccc cctacccacc(配列識別番号11)、によって、上述した低効率開裂部位を有するAVPR2−tTA構造物を増幅することによっ達成された。
【0168】
次に、DRD2のコード領域を、5’末端にEcoRIを配置し、コード領域の最後のアミノ酸(Cys−443)の後にBssHII部位を挿入するように改変した。これはプライマー、
gaattcatgg atccactgaa tctgtcc(配列識別番号47)、及び、
tgtgcgcgcg cagtggagga tcttcaggaa ggc(配列識別番号48)、でPCRを使用して行われた。
【0169】
得られた改変D2コード領域を、EcoRIとBssHIIで切断し、その結果得られたAVPR2 C−末端尾部−低効率開裂部位−tTAフラグメントを、BssHIIとBamHIで切断した。両フラグメントを、上述したAVPR2−低効率開裂部位−tTA構造物に連結し、EcoRIとBamHIで切断した。
【0170】
クローン41細胞を、前記低効率TEV開裂部位を含むDRD2−AVPR2尾部−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2レセプターのアゴニスト、を使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応によって、バックグランドのレポーター遺伝子発現の約60倍の誘導が得られた。
【0171】
5’末端にAsp718部位を挿入し、Cys−341の後にBssHII部位を配置することによって、前記ADRB2レセプターコード領域を改変した構造物を作成した。これは、プライマー、
gcggccgcca ccatgaacgg taccgaaggc cca(配列識別番号49)、及び、
tgtgcgcgcg cacagaagct cctggaaggc(配列識別番号50)、でPCRを使用することによって行われた。
【0172】
前記改変ADRB2レセプターコード領域を、EcoRIとBssHIIとで切断し、前記AVPR2 C−末端尾部−低効率開裂部位−tTAフラグメントを、BssHIIとBamHIで切断した。両フラグメントを、上述したAVPR2−低効率開裂部位−tTA構造物に連結し、EcoRIとBamHIで切断した。得られた構造物が“ADRB2−AVPR2尾部−tTA”である。(前述した米国特許公開出願2002/0106379、特に、配列識別番号3を参照)。
【0173】
クローン41細胞を、前記低効率TEV開裂部位を含むADRB2−AVPR2尾部−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのイソプロテレノール、ADRB2レセプターのアゴニスト、を使用して解析を行った。イソプロテレノールに対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約10倍の誘導が得られた。
【0174】
Cys−345の後にBssHII部位を配置することによって、カッパーオピオイドレセプター(OPRK:Genbank受入番号: NM_000912)(配列識別番号51)コード領域を改変した構造物を作成した。これは、プライマー、
ggtctacttg atgaattcct ggcc(配列識別番号52)、及び、
gcgcgcacag aagtcccgga aacaccg(配列識別番号53)、でPCRを使用して行われた。
【0175】
前記改変OPRKレセプターコード領域をEcoRIとBssHIIで切断し、AVPR2 C−末端尾部−低効率開裂部位−tTAフラグメントを、BssHIIとXhoIで切断した。両フラグメントを、前記改変OPRKレセプター配列を含むプラスミドに連結し、予めEcoRIとXhoIによって消化しておいた、Asp718(5’)とXhoI(3’)でpcDNA3.1+にクローニングした。
【0176】
クローン41細胞を、前記低効率開裂部位を含むOPRK−AVPR2尾部−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのU−69593、OPRKのアゴニスト、を使用して解析を行った。U−69593に対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約12倍の誘導が得られた。
【0177】
例17
この実験は、マルチプレックス形態を同時に使用して二つの検定レセプターの活性を測定する解析の使用を示すように構成された。
【0178】
クローン41細胞と、tTA−依存性プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子の安定的な組み込みを含むHEK−293T細胞ラインである「クローン1H10」細胞とのそれぞれを、24−ウェルの培養皿にプレーティングし、キメラADRB2−AVPR2尾部−tTA又は上述のDRD2−AVPR2尾部−tTA融合構造物のそれぞれと、一過性にトランスフェクトした。これら一過性トランスフェクションは、各ウェル当たり、100μlの培地と、0.4μgのDNAと、2μlのFuGene試薬を使用して行われた。24時間のインキュベーションの後、ADRB2−AVPR2尾部−tTAを発現するクローン41細胞とDRD2−AVPR2尾部−tTAを発現するクローン1H10細胞とを、トリプシン処理し、同量で混合し、96ウェルプレートの12のウェルに再プレーティングした。三つ組のウェルを、薬剤の添加無しでインキュベートするか、もしくは、1μMのイソプロテレノール、1μMのドーパミン、又は1μMの両アゴニストの混合物、のいずれかで即座に処理した。細胞を、リガンド添加後、約24時間で、レポーター遺伝子活性について解析した。培地を捨て、細胞を、40μlの溶解緩衝液[100mM リン酸カリウム pH7.8,0.2% Triton X−100]中に溶解し、細胞溶解物を、ベータ−ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼ活性について、市販の発光検出用試薬を使用して解析した。
【0179】
その結果が図5Aと5Bとに示されている。イソプロテレノールでの処理によって、ベータ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子活性の約7倍の誘導が起こったのに対して、ルシフェラーゼ活性は変化しないままであった。ドーパミンでの処理によってルシフェラーゼ活性の3.5倍の誘導が起こったのに対して、ベータ−ガラクトシダーゼ活性は変化しないままであった。イソプロテレノールとドーパミン両方での処理は、ベータ−ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼ活性の7倍、及び3倍の誘導がそれぞれ起こった。
【0180】
例18
この実験は、マルチプレックス形態を同時に使用して二つの検定レセプターの活性を測定する解析の使用を説明するように構成された。
【0181】
クローン41細胞の誘導体であり、安定的に組み込まれたARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質遺伝子を含む、「クローン34.9」細胞を、上述したOPRK−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合構造物と一過性にトランスフェクトした。これと平行して、tTA−依存性プロモーターの制御下で安定的に組み込まれたルシフェラーゼ遺伝子を含むHEK−293T細胞ラインである「クローンHTL5B8.1」細胞を、上述のADRB−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合構造物と一過性にトランスフェクトした。各ケースにおいて、5x105の細胞を、6ウェル皿の各ウェルにプレーティングし、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418、及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM中で24時間培養した。細胞を、100μlのDMEM、0.5μgのOPRK−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNAと、2.5μlのFugene(「クローン34.9細胞」)で、又は、100μlのDMEM、0.5μgのADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNA,0.5μlのARRB2−TEV NIaプロテアーゼDNA及び5μgのFugene(「クローンHTL 5B8.1細胞」)で、一過性にトランスフェクトした。一過性にトランスフェクトされた細胞を、約24時間培養し、次に、トリプシン処理し、等量で混合し、96ウェルプレートのウェルに再プレーティングした。細胞を、10μM−U−69593、10μMのイソプロテレノール又はこれら両方のアゴニストの10μMの混合物、での処理の前に24時間インキュベートした。各実験条件において16のウェルを解析した。24時間後、細胞を溶解し、そしてベータ−ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性を上述のように解析した。その結果を図6に示す。U−69593での処理によって、ベータ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子活性の約15倍の誘導が起こったのに対して、ルシフェラーゼ活性は変化しないままであった。イソプロテレノールでの処理ではルシフェラーゼ活性の145倍の誘導が行ったのに対して、ベータ−ガラクトシダーゼ活性は変化しないままであった。U−69593とイソプロテレノールとの両方での処理ではベータ−ガラクトシダーゼとルシフェラーゼ活性の、それぞれ、9倍と136倍の誘導が起こった。
【0182】
例19
この例は、本発明の解析における異なる転写因子とプロモーターの使用を示すために行われた。
【0183】
AVPR2をコードし、上述したTEV−NIa−Proに対する低効率開裂部位を含むアミノ酸リンカーGSENLYFQLR(配列識別番号54)をコードするDNA配列にインフレームに融合され、イーストGAL4タンパク質(GenBank受入番号P04386)(配列識別番号55)のアミノ酸2−147をコードし、その後、リンカー、即ち、配列PELGSASAELTMVF(配列識別番号56)のリンカーが続き、その後、ネズミ核因子カツパ−B鎖p65タンパク質(GenBank受入番号A37932)(配列識別番号57)のアミノ酸368−549が続くDNA配列にインフレーム融合された、融合構造物を作成した。前記CMVプロモーターを、AVPR2コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、GAL4−NFkB領域の下流側に配置した。この構造物を、AVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4と命名した。
【0184】
HUL 5C1.1は、市販されているpFR−LUC、GAL4上流側活性化配列(UAS)の制御下で安定的に組み込まれたルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む、HEK−293T細胞の誘導体である。
【0185】
このAVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4プラスミドを、上述したβ−アレスチン2−TEV N1aプロテアーゼと、HUL 5C1.1細胞にコトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を、次の日、50%のコンフルエンシーに達するまで培養し、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、85μlのDMEMと、0.1μgのAVPR2−TEV−Nia−Pro開裂(Leu)−GAL4DNAと、0.1μgのARRB2−TEV N1aプロテアーゼDNAと、1μlのFugeneからなる各ウェル当たり10μlの混合物で、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を10μMのバソプレッシンでの処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。これらの条件下において、バソプレッシンでの処理によって、レポーター遺伝子活性の180倍の増加が行った。
【0186】
例20
このセットの実験は、相互作用タンパク質の親和性を増加させるように構成された他のレセプター改変体を使用した解析の増強を示すために行われた。この例において、検定レセプターのC末端尾部ドメインが、下記のレセプターの1つの対応の尾部ドメインと置換された。即ち、アペリン(apelin) Jレセプター−AGTRL1(受入番号NM_005161(配列識別番号58)、ガストリン遊離ペプチドレセプター−GRPR(受入番号NM_005314)(配列識別番号59)、プロテイナーゼ活性化レセプター2−F2RL1(受入番号NM_005242)(配列識別番号60)、CCR4(受入番号NM_005508)(配列識別番号61)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター4−CXCR4(受入番号NM_003467)(配列識別番号62)及びインターロイキン8レセプター、ベータ−CXCR2/IL8b(受入番号NM_001557)(配列識別番号63)。
【0187】
先ず、PCRを使用して、上述のレセプターのC末端尾部をコードするDNAフラグメントを作成した。これらのフラグメントは、最初の二つのアミノ酸(Ala,A及びArg,R)が、BssHII制限部位によってコードされるように構成された。
【0188】
前記AGTRL1 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gccagagcag gtgcgca(配列識別番号64)、及び、
gaggatccgt caaccacaag ggtctc(配列識別番号65)、で増幅した。
【0189】
。
前記GRPR C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gcctgatcat ccggtct(配列識別番号66)、及び、
gaggatccga cataccgctc gtgaca(配列識別番号67)、で増幅した。
【0190】
前記F2RL1 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgca gtgtccgcac tgtaaagc(配列識別番号68)、及び、
gaggatccat aggaggtctt aacagt(配列識別番号69)、で増幅した。
【0191】
前記CCR4 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gcctttttgt gctctgc(配列識別番号70)、及び、
gaggatccca gagcatcatg aagatc(配列識別番号71)、で増幅した。
【0192】
前記CXCR2/IL8b C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gcttgatcag caagggac(配列識別番号72)、及び、
gaggatccga gagtagtgga agtgtg(配列識別番号73)、で増幅した。
【0193】
前記CXCR4 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg ggtccagcct caagate(配列識別番号74)、及び、
gaggatccgc tggagtgaaa acttga(配列識別番号75)、で増幅した。
【0194】
これらのレセプターの改変C−末端尾部ドメインをコードする得られたDNAフラグメントを、BssHIIとBamHIで切断し、フラグメントを、OPRKレセプターコード領域にインフレームで連結し、前述したOPRK−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA発現構造物中で、AVPR2−C−末端尾部フラグメントと置換した。
【0195】
前述したHTL5B8.1細胞を、上述した改変OPRKコード領域−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA構造物、及びβ−アレスチン2−TEV NIaプロテアーゼ融合物のそれぞれで、コトランスフェクトした。1ウェル当り約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、85μlのDMEM、0.25μgのAVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4 DNAと、0.25μgのARRB2−TEV NIaプロテアーゼDNA、及び2.5μlのFugene(脂質及びその他の物質を含む専売のトランスフェクション試薬)とからなる、各ウェル当たり10μlの混合物でトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を10μMのU−69593での処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。これらの条件下において、U−69593での処理によって、前記改変OPRKレセプターのそれぞれにおいて、レポーター遺伝子活性の下記の相対的増加が生じた。即ち、OPRK−AGTRL1 C−末端尾部−30倍、OPRK−GRPR C−末端尾部−312倍、OPRK−F2RL1 C−末端尾部−69.5倍、OPRK−CCR4 C−末端尾部−3.5倍、OPRK−CXCR4 C−末端尾部−9.3倍、OPRK−IL8b C−末端尾部−113倍。
【0196】
例21
この実験は、上述したARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質を安定的に発現する細胞ラインを作成するように構成された。
【0197】
EF1αプロモーターの制御下でARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質を発現するとともに、チミジンキナーゼ(TK)プロモーターの制御下でハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するプラスミドを作成した。
【0198】
このプラスミドを、HTL5B8.1にトランスフェクトし、このプラスミドの安定ゲノム組み込みを含むクローンを、100μg/mlのハイグロマイシンの存在下での培養によって選択した。耐性クローンを単離、及び拡張し、上述したADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAプラスミドのトランスフェクションによってスクリーニングした。この手順を使用して選択された三つの細胞ラインを、“HTLA 4C2.10”,“HTLA 2C11.6”及び“HTLA 5D4”と命名した。各ウェルに対して約2.5x104の細胞を、10%の胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418,3μg/mlのピューロマイシン、及び100μg/mlのハイグロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、85μlのDMEM、0.25μgのAVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4 DNA、0.5μlのFugeneとからなる、各ウェル当たり10μlの混合物でトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を10μMのイソプロテレノールでの処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。これらの条件下において、イソプロテレノールでの処理によって、前記三つの細胞ラインにおいて、レポーター遺伝子活性の、それぞれ、112倍(“HTLA 4C2.10”)、56倍(“HTLA 2C11.6”)及び180倍(“HTLA 5D4”)のそれぞれ増加が得られた。
【0199】
例22
この実験は、上述のARRB2−TEV NIaプロテアーゼと、ADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合タンパク質とを安定的に発現する細胞ラインを作成するように構成された。
【0200】
前記ハイグロマイシン耐性遺伝子を含むARRB2−TEV NIaプロテアーゼプラスミドを、上述したADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合タンパク質プラスミドとともに、HTL5B8.1細胞にトランスフェクトし、これらプラスミドの安定ゲノム組み込みを含むクローンを、100μg/mlのハイグロマイシンの存在下での培養によって選択した。耐性クローンを単離、及び拡張し、10μMのイソプロテレノールでの処理によってスクリーニングし、レポーター遺伝子の誘導を上述したように測定した。この手順を使用して選択された三つの細胞ラインを、“HTLAR 1E4”,“HTLAR 1C10”及び“HTLAR 2G2”と命名した。イソプロテレノールでの6時間の処理によって、前記三つの細胞ラインにおいて、それぞれ、208倍(“HTLAR 1E4”),197倍(“HTLAR 1C10”)及び390倍(“HTLAR 2G2”)のレポーター遺伝子活性の増加が得られた。
【0201】
例23
この実験は、レセプターチロシンキナーゼ上皮増殖因子レセプター(EGFR)の活性を測定するための解析の使用を説明するために構成された。
【0202】
上述した、テトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合された、G enBank受入番号NM_005228(配列識別番号76)として入手可能な、ヒトEGFRをコードするDNAを含む第1融合構造物を作成した。これらの配列の間には、上述した、TEV NIa−Proのための低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含むアミノ酸配列GGSGSENLYFQL(配列識別番号77)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記上皮増殖因子レセプターコード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、EGFR−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAと命名する。
【0203】
上述した、成熟TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームで融合された、アミノ酸538〜759(GenBank受入番号NP_002651.2)(配列識別番号78)と、アミノ酸2040〜2279(GenBank受入番号AAA47910)(配列識別番号79)とにそれぞれ対応する、ヒト ホスホリパーゼC ガンマ 1の二つの2H2ドメインをコードするDNAを含む、第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸NSSGGNSGS(配列識別番号80)をコードするリンカーDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記PLC−ガンマ SH2ドメインのコード配列の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV NIaプロテアーゼ配列の下流側に配置した。この構造物を、PLC ガンマ 1−TEVと命名する。
【0204】
前記EGFR−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAとPLC ガンマ 1−TEVの融合構造物を、上述したクローンHTL5B8.1細胞にトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、100μlのDMEM、0.4μgのpcDNA3 DNA(「キャリア」ベクターDNA)、0.04μgのEGFR−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNA、0.04μgのPLC ガンマ 1−TEV DNA、2μlのFugene(脂質及びその他の物質を含む専売のトランスフェクション試薬)とからなる、各ウェル当たり15μlの混合物でトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、特定のレセプターアゴニスト及びインヒビターでの処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。その結果を図7に示す。
【0205】
2.5ng/mlのヒト上皮増殖因子(このリガンドに対するEC80に対応)の添加によって、ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の12.3倍の増加が得られたのに対して、100ng/mlのヒト形質転換増殖因子−アルファの添加によって18.3倍の増加が得られた。ヒト上皮増殖因子添加前のチロシンキナーゼインヒビターでの前処理(70μM AG−494;0.3μM AG−1478;2mM RG−130022)によって、レポーター遺伝子活性の誘導は阻止された。
【0206】
例24
この実験は、ヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するための解析の使用を説明するように構成された。
【0207】
上述した、テトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合された、GenBank受入番号NM_000629 (配列識別番号81)として入手可能な、ヒトインターフェロンレセプターI(IFNAR1)(557のアミノ酸)をコードするDNAを含む融合構造物を作成した。これらの配列の間には、上述したTEV NIa−Proに対する低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号82)コードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記ヒトインターフェロンレセプターI(IFNAR1)コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAと命名する。
【0208】
アミノ酸2040〜2279(GenBank 受入番号AAA47910)(配列識別番号84)に対応する、上述した、TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームに融合された、GenBank受入番号L41942(配列識別番号83)として入手可能な、ヒトインターフェロンレセプター2、スプライスバリアント2(IFNAR2.2)(515のアミノ酸)をコードするDNAを使用して第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸配列RS(Arg−Ser)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、ヒトインターフェロンレセプター2(IFNAR2.2)コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV領域の下流側に配置した。この構造物を、IFNAR2.2−TEVと命名する。
【0209】
GenBank受入番号NM_007315(配列識別番号85)として入手可能なヒト シグナル伝達性転写因子1(STAT1)、GenBank受入番号NM_005419(配列識別番号86)として入手可能なヒト シグナル伝達性転写因子22(STAT2)の遺伝子がCMVプロモーター領域の制御下で発現される発現構造物も生成した。これらの構造物を、それぞれ、CMV−STAT1及びCMV−STAT2と命名した。
【0210】
前記IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAとIFNAR2.2−TEVの融合構造物を、CMV−STAT1とCMV−STAT2と共に、上述したHTL5B8.1細胞に一過性にトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418及び5μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングし及び培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTA、IFNAR2.2−TEV、CMV−STAT1、及びCMV−STAT2 DNAのそれぞれ15ng又は、60ngの対照pcDNAプラスミドで、各ウェル当たり0.3μlのFugeneと共に、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、5000U/mlのヒトインターフェロン−アルファ又は5000U/mlのヒトインターフェロン−ベータでの処理の前、8〜20時間培養した。インターフェロン添加時、培地を吸引し、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、3μg/mlのピューロマイシン及び500μg/mlのG418を添加した293 SMF II培地で置換した。インターフェロン処理された細胞を、上述したようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性を解析する前に、更に18〜20時間培養した。結果を図8に示す。5000U/mlのIFN−αでの処理によってレポーター遺伝子活性が15倍増加したのに対して、5000U/mlのIFN−βでの処理によって10倍増加した。前記対照プラスミドpcDNA3とトランスフェクトされたHTL5B8.1細胞のインターフェロン処理ではレポーター遺伝子活性に効果は無かった。図9は、上述したIFNAR1(ENLYFQ(L)−tTa,IFNAR2.2−TEV,STAT1及びSTAT2発現構造物でトランスフェクトされたHTL5B8.1細胞におけるIFN−αに対して生成された用量−反応曲線を図示している。
【0211】
例25
この実験は、別の転写因子と別の細胞ラインを使用したヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するための解析の使用を説明すべく構成された。
【0212】
上述のGAL4−NF−kB−融合物をコードするDNA配列にインフレーム融合された、ヒト インターフェロンレセプターI(IFNAR1)をコードするDNAを使用して融合構造物が形成された。これらの配列の間には、上述した、TEV NIa−Proに対する低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含む、アミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号87)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、ヒト インターフェロンレセプターI(IFNAR1)コード領域の上流側に配置し、そして、ポリA配列を、GAL4−NF−kB領域の下流側に配置した。この構造物を、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−GAL4−NF−kBと命名する。
【0213】
次に、CHO−K1細胞を、5つのプラスミド、即ち、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−GAL4−NF−kB,IFNAR2.2−TEV,CMV−STAT1,CMV−STAT2、及びpFR−Luc、GAL4−依存プロモーターの制御下でのルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミド、の混合物と一過性でトランスフェクトした。各ウェル当たり約1.0x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリンを添加したDMEM培地中でのトランスフェクションの24時間前、96ウェルプレートに播種した。次の日、細胞を、各ウェルにつき、10ngのレポータープラスミド(pFR−Luc)と20ngの上述した発現構造物のそれぞれ、又は、10ngのレポータープラスミドと80ngの対照pcDNA3プラスミドを、各ウェル当たり0.3μlのFugeneと共に、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、5000U/mlのヒト インターフェロン アルファでの処理の前、8〜20時間培養した。インターフェロン添加時、培地を吸引し、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリンを添加したDMEM培地と置換した。インターフェロン処理された細胞を、上述したようなルシフェラーゼレポーター遺伝子活性について解析する前、更に6時間培養した。結果を図10に示す。前記レポーター、IFNAR及びSTAT構造物でトランスフェクトされたCHO−K1細胞のIFN−α処理によってレポーター遺伝子活性が3倍増加したのに対して、前記レポーター及び対照プラスミドでトランスフェクトした細胞のインターフェロン処理ではレポーター遺伝子活性に効果が無かった。
【0214】
例26
この組の実験は、前記相互作用タンパク質に対する検定レセプターの親和性を増加させるように構成されたレセプター改変体を使用する解析の更なる増強を説明すべく行われた。これらの例において、前記検定レセプターと、GRPR(Genbank受入番号NM_005314)(配列識別番号59)のC末端尾部ドメインとの間の融合接合部を、前記第7膜貫通螺旋の端部の保存NPXXYモチーフの後のアミノ酸17〜23として作成した。
【0215】
先ず、PCRを使用して、推定パルミトイル化部位の後の二つのアミノ酸から始まるGRPRからC末端42のアミノ酸をコードするDNAフラグメント(以後、GRPR 42aaと称する)を作成した。前記フラグメントは、C末端尾部の最初のアミノ酸の前に、TCTAGAのXbaI制限部位によってコードされる二つのアミノ酸(Ser,S及びArg,R)があり、終止コドンが、BamHI制限部位GGATCCによってコードされる二つのアミノ酸(Gly,G及びSer,S)によって置換されるように構成された。これは、プライマー、
tctagaggcctgatcatccggtctcac(配列識別番号88)、及び、
gaggatccgacataccgctcgtgaca(配列識別番号67)、でGRPRコード領域を含むプラスミドを増幅することによって達成された。
【0216】
次に、OPRK(Genbank受入番号NM_000912)(配列識別番号51)のコード領域をPro−347の後に、XbaI部位を挿入するように改変した。これは、プライマー、
ggtctacttgatgaattcctggcc(配列識別番号52)、及び、
tctagatggaaaacagaagtcccggaaac(配列識別番号89)、でのPCRを使用して行われた。
【0217】
更に、ADRA1A(Genbank受入番号NM_000680)(配列識別番号90)のコード領域を、Lys−349の後にXbaI部位を挿入するように改変した。これは、プライマー、
ctcggatatctaaacagctgcatcaa(配列識別番号91)、及び、
tctagactttctgcagagacactggattc(配列識別番号92)、でPCRを使用して行われた。
【0218】
更に、DRD2(Genbank受入番号NM_000795(配列識別番号37)のコード領域を、二つのアミノ酸(Leu及びArg)とCys−343の後にXbaI部位とを挿入するように改変した。これは、プライマー、
gaattcatggatccactgaatctgtcc(配列識別番号38)、及び、
tctagatcgaaggcagtggaggatcttcagg(配列識別番号93)、でPCRを使用して行われた。
【0219】
前記改変OPRKレセプターコード領域をEcoRIとXbaIとで切断し、前記GRPR 42aaC−末端尾部フラグメントをXbaIとBamHIとで切断した。両フラグメントを、EcoRIとBamHIとで消化しておいた、上述した、AVPR2 C−末端尾部低効率開裂部位tTAを備えるOPRKレセプターを含むプラスミドに連結した。
【0220】
前記改変ADRA1Aレセプターコード領域を、EcoRVとXbaIとで切断し、前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物をXbaIとXhoIとで切断した。両フラグメントを、EcoRVとXhoIとで消化しておいた前記ADRA1Aレセプターを含むプラスミドに連結した。
【0221】
前記改変DRD2レセプターコード領域を、EcoRIとXbaIとで切断し、そして前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物をXbaIとXhoIとで切断した。両フラグメントを、EcoRIとXhoIで消化されたpcDNA6プラスミドに連結した。
【0222】
上述したHTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μM U−69593、OPRKのアゴニスト、を使用して解析を行った。U−69593に対する最大反応によって、レポーター遺伝子活性の約200倍の増加が得られた。
【0223】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むADRA1A−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μのエピネフリン、ADRA1Aのアゴニスト、を使用して解析を行った。エピネフリンに対する最大反応によって、レポーター遺伝子活性の約14倍の増加が得られた。
【0224】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むDRD2−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μMのドーパミン、DRD2のアゴニスト、を使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応によって、レポーター遺伝子活性の約30倍の増加が得られた。
【0225】
例27
この組の実験は、相互作用タンパク質に対する親和性を増大させるように構成された異なる組の検定レセプター改変を使用した解析の更なる増強を証明するために行われた。これらの例において、検定レセプターのC末端尾部ドメインが、GRPRの内在性のC末端尾部ドメインの一部と置換された。
【0226】
先ず、PCRを使用して、切断されたGRPR尾部をコードするDNAフラグメント、具体的には、Gly−343からAsn−365への23アミノ酸をコードする配列、を作成した。このフラグメントは、C末端尾部の最初のアミノ酸の前に、XbaI制限部位TCTAGAによってコードされる二つのアミノ酸(Ser,SとArg,R)があり、Ser−366が、BamHI制限部位GGATCCによってコードされる二つのアミノ酸(Gly,GとSer,S)によって置換されるように構成された。これは、プライマー、
tctagaggcctgatcatccggtctcac(配列識別番号94)、及び、
cggatccgttggtactcttgagg(配列識別番号95)、でGRPRコード領域を含むプラスミドを増幅することによって達成された。
【0227】
次に、前記切断されたフラグメント(以下、GRPR 23aa尾部と称する)を、XbaIとBamHIとで切断し、XbaIとBamHIで消化した、上述した低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物に挿入した。
【0228】
同様に、前記GRPR 23aa尾部フラグメントを、XbaIとBamHIとで切断し、XbaIとBamHIで消化した、上述した低効率開裂部位を含むADRA1A−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物に挿入した。
【0229】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 23aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μMのU−69593、OPRKのアゴニスト、を使用して解析を行った。U−69593に対する最大反応によって、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約115倍の誘導が得られた。
【0230】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むADRA1A−GRPR 23aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μMのエピネフリン、ADRA1Aのアゴニスト、を使用して解析を行った。エピネフリンに対する最大反応によって、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約102倍の誘導が得られた。
【0231】
例28
この実験は、レセプター チロシンキナーゼ インスリン様増殖因子−1レセプター(IGF1R)の活性を測定、具体的には、細胞内シグナリングタンパク質SHC1(Srcホモロジー2ドメイン−含有トランスフォーミングタンパク質1)のリガンド誘導性の補充をモニタリングすることによって測定、するための解析の使用を示すように構成された。
【0232】
上述した、テトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合された、GenBank受入番号NM_000875(配列識別番号96)として入手可能な、ヒトIGF−1RをコードするDNAを含む第1融合構造物を作成した。これらの配列の間には、上述した、TEV NIa−Proに対する低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号82)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記IGF1Rコード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、IGF1R−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAと命名する。
【0233】
上述した、成熟TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームで融合されたアミノ酸1〜238(GenBank受入番号BC014158)(配列識別番号97)、アミノ酸2040〜2279(GenBank受入番号AAA47910)(配列識別番号79)に対応する、ヒトSHC1のPTBドメインをコードするDNAを含む、第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸NSGS(配列識別番号98)をコードするリンカーDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記SHC1 PTBドメインコード配列の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV NIaプロテアーゼ配列の下流側に配置した。この構造物を、SHC1−TEVと命名する。
【0234】
前記IGF1R−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAとSHC1−TEVの融合構造物を、上述したクローンHTL5B8.1細胞にトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418、及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、100μlのDMEMと、0.2μgのIGF1R−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNA、0.2μgのSHC1−TEV DNA、2μlのFugene(脂質及びその他の物質を含む専売のトランスフェクション試薬)とからなる、各ウェル当たり15μlの混合物で、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を特定のレセプターアゴニストでの処理の前に、約16時間培養した。24時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。
【0235】
1μMのヒトインスリン様成長因子1の添加によって、ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の90倍の増加が得られた。
【0236】
例29
この実験は、正常に膜結合しない二つの検定タンパク質の相互作用を測定する解析の使用を説明するように構成された。この例において、前記解析を使用して、核ステロイドホルモンレセプター、ESR1(エストロゲンレセプター1またはERアルファ)、及びESR2(エストロゲンレセプター2又はERベータ)のリガンド誘導性の二量化を測定した。この例において、ESR1は、転写因子tTAに融合され、他方、TEV NIa−Proプロテアーゼの開裂部位を、ESR1とtTA配列の間に挿入する。このESR1−tTA融合物を、前記膜貫通タンパク質CD8の前記細胞内、C−末端への融合によって前記膜に係留させる。CD8は、本質的に、ESR1を細胞膜の細胞質側に係留する不活性足場(scaffold)として作用する。それに融合された転写因子は、ESR2とプロテアーゼとの相互作用までは、核に入ることができない。任意の膜貫通タンパク質を使用することが可能であろう。このCD8−ESR1−TEV NIa Pro開裂−tTA融合タンパク質は、tTA−依存性レポーター遺伝子を含有する細胞ラインにおいて、ESR2とTEV NIa−Proプロテアーゼとから成る第2融合タンパク質と共に、発現される。ESR1とESR2とのエストロゲン誘導性の二量化は、それによって、膜結合融合物からのtTA転写因子の遊離を誘因し、これが、その後のレポーター遺伝子活性の誘導によって検出される。
【0237】
Genbank受入番号NM_000125(配列識別番号100)として入手可能な、ヒトESR1(596のアミノ酸)をコードするDNA配列にインフレームで融合された、Genbank受入番号NM_001768(配列識別番号99)として入手可能な、ヒトCD8遺伝子(235のアミノ酸)をコードするDNAを含む融合構造物を作成した。これらの配列の間には、前記アミノ酸配列GRA(Gly−Arg−Ala)をコードするDNA配列が挿入されている。次に、これによって得られた構造物を、上述したテトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合する。これらの配列の間には、上述したTEV NIa−Proの低効率開裂部位,ENLFQL(配列識別番号14)を含む、アミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号82)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを前記ヒトCD8コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、CD8−ESR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAと命名する。
【0238】
アミノ酸2040〜2279(GenBank受入番号AAA47910)(配列識別番号84)に対応する、上述した、前記TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームで融合された、Genbank受入番号NM_001437(配列識別番号101)で入手可能な、ヒトエストロゲンレセプターベータ(ESR2)(530のアミノ酸)をコードするDNAを使用して第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸RS(Arg−Ser)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーター領域を、前記ヒトエストロゲンレセプターベータ(ESR2)コード配列の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV領域の下流側に配置した。この構造物を、ESR2−TEVと命名する。
【0239】
前記CD8−ESR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAとESR2−TEVの融合構造物を、pCDNA3と共に、上述したHTL5B8.1細胞に一過性にトランスフェクトした。約2.0x104の細胞を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに蒔種し、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418及び5μg/mlのピューロマイシンを添加した無フェノールDMEM培地中で培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を、各ウェル当たり、5ngのESR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAと、15ngのESR2−TEVと、40ngのpCDNA3との混合物と、03μlのFugeneと共にトランスフェクトした。トランスフェクションの6時間後、細胞を、PBSで洗浄し、50nM 17−β−エストラジオールでの処理の処理の前、24時間、血清無しで、100μlの無フェノールDMEM中でインキュベートした。リガンド処理された細胞を、上述したようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性を解析する前に、更に18〜20時間培養した。50nMの17−β−エストラジオールでの処理によって、レポーター遺伝子活性の16倍の増加が得られた。
【0240】
本発明のその他の特徴は、当業者には明らかであろうから、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】一例として、リガンド−レセプター結合を使用する本発明の概念的基礎を示す図。
【図2a】アゴニストとアンタゴニストとの両方に対して、本発明による解析の標的の反応が用量依存性であることを示す図。
【図2b】アゴニストとアンタゴニストとの両方に対して、本発明による解析の標的の反応が用量依存性であることを示す図。
【図3】用量反応曲線が、別の標的と別のアゴニストでも生じることを示す図。
【図4】D2ドーパミンレセプターを使用した、本発明によって得られた結果を示す図。
【図5a】二つの分子を同時に研究することが可能であることを示す解析の結果を示す図。
【図5b】二つの分子を同時に研究することが可能であることを示す解析の結果を示す図。
【図6】別の「マルチプレックス」解析、即ち、二つの分子が同時に研究される解析の結果を示す図。
【図7】EGFR活性を測定する解析から得られたデータを示す図。
【図8】ヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するように構成された、本発明による解析から得られたデータを示す図。
【図9】図7を作り出すのに使用された細胞におけるIFN−αの用量反応曲線を図示し、図7の結果をより詳細に示す図。
【図10】別の転写因子と別の細胞ラインが使用された別の実施例の結果を示す図。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、対象分子間の相互作用を測定するための方法に関する。詳しくは、本発明は、細胞内におけるレポーター遺伝子の活性化を測定することによって、前記検定化合物と称される特定の物質が、二つ以上の特定の対象タンパク質間の相互作用を調節するか否かの測定に関し、ここで、前記調節又はその不在から、前記活性化、又はその欠如が起こる。前記測定は、トランスフォーム細胞又はトランスフェクション細胞を使用して行われ、これらのトランスフォーム細胞及びトランスフェクション細胞、更に、それらをトランスフォーム又はトランスフェクトするのに使用される薬剤も本発明の特徴を構成する。
【背景技術】
【0002】
背景と関連技術
レセプターのリガンドの同定によって例示される、タンパク質/タンパク質相互作用の研究が非常に注目されている。所与のレセプターに対する1つ又は複数のリガンドが既知であるとしても、より効果的な、又はより選択性の高いリガンドを同定することには利益がある。以下、このような方法で研究することが可能なクラスのタンパク質の非限定的具体例としてGPCRについてここでは説明する。
【0003】
Gタンパク質共役レセプター、以後、“GPCR”と言う、は、ヒトに関して知られている最大のクラスの細胞表面レセプターである。GPCRによって認識されるリガンドには、ホルモン、神経伝達物質、糖蚤白質、脂質、ヌクレオチド及びイオンが含まれる。それらは、光、嗅覚、フェロモン、及び味覚に対するレセプターとしても作用する。これらの多様な役割からして、それらが、種々の条件下で有用な薬剤を求める鋭意研究の対象となっていることは恐らく驚くべきことではない。その成功率は驚異的である。事実、ハワード(Howard)ほか, Trends Pharmacol. Sci., 22:132-140(2001)は、市販の薬剤の50%以上がそのようなレセプターに対して作用するものである、と推定している。ここで「GPCR」と称するものは、第7膜貫通型ドメイン(7TM)構造によって特徴付けられるGPCRのスーパーファミリーレセプターの任意のメンバーを指す。これらのレセプターの具体例は、非限定的に、クラスA又は「ロドプシン様」レセプター、クラスB又は「セクレチン様」レセプター、クラスC又は「代謝調節型グルタミン酸様」レセプター、Frizzled and Smoothened関連レセプター、接着レセプターファミリー、又はEGF−7TM/LNB−7TMレセプター、アディポネクチンレセプター及びそれに関連のレセプター、及び、嗅覚、味覚、鋤鼻及びフェロモン関連レセプターを含む化学感受性レセプター、を含む。例として、ヒトのGPCRスーパーファミリーは、非限定的に、Vassilatisほか Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100:4903-4908(2002)、タケダ(Takeda)ほか, FEBS Letters, 520:97-101 (2002)、フレデリックソン(Fredricksson)ほか, Mol. Pharmacol., 63:1256-1272(2003); グルスマン(Glusman)ほか, Genome Res., 11:685-702 (2001); 及びゾズーリャ(Zozulya)ほか, Genome Biol., 2:0018.1-0018.12(2001)、を含み、これらの全てをここに参考文献として合体させる。
【0004】
GPCR機能による作用の機序がある程度明らかにされている。簡単に説明すると、GPCRがリガンドに結合すると、高次構造の変化が起こり、細胞生理機能における変化をもたらすカスケードの反応を刺激する。GPCRは、細胞内、ヘテロ三量体のグアニンヌクレオチド結合タンパク質、又は“Gタンパク質”の活性を変化させることによってシグナルを伝達するものである、と考えられている。リガンドとレセプターとの複合体は、グアニンヌクレオチドの交換と、Gタンパク質ヘテロ三量体のα及びβγサブユニットへの解離を刺激する。
【0005】
GTP−結合αサブユニットとβγ二量体との両方が、アデニリルシクラーゼとホスホリパーゼC(PLC)を含む、種々の細胞作動性タンパク質を調節するべく作用することができる。従来のGPCRの細胞に基づく解析では、レセプター活性を、アデニリルシクラーゼによって作り出されるcAMPの蓄積などのGタンパク質調節性作動経路の出力、又は、PLC活性によって刺激される細胞内カルシウムの遊離を測定することによってモニタする。
【0006】
従来のGタンパク質に基づくシグナル伝達解析は、二つの主要な問題により、いくつかの標的用に開発することが困難であった。
【0007】
第1に、異なるGPCRが異なるGタンパク質調節性シグナル伝達経路に結合し、Gタンパク質に基づく解析は、標的レセプターの特定の作用又は経路への共役を強要するために、標的レセプターのGタンパク質特異性を知っていることに依存するか、若しくは、細胞系の操作(engineering)を必要とする。第2に、全ての細胞は、多数の内在性GPCR、又、その他のシグナル伝達因子を発現する。その結果、測定される作動経路は、標的GPCRの他に、他の内在性分子によっても調節されるかもしれず、それによって誤った結果を導く可能性がある。
【0008】
Gタンパク質活性の調節が、リガンド/GPCR結合の唯一の結果であるわけではない。共にここに参考文献として合体させるルットレル(Lu ttrell)ほか, J. Cell Sci., 115:455-465(2002)と、ファーガソン(Ferguson), Pharmacol., Rev., 53:1-24(2001)、は、GPCRシグナルの終結をもたらすその他の活性を検討している。これらの終結プロセスは、過剰な細胞刺激を防止し、細胞外シグナルとそれに対応する細胞内経路との間の一時的な連鎖を強制する。
【0009】
アゴニストのGPCRへの結合の場合、GPCR分子のC末端のセリンとトレオニン残基がリン酸化される。このリン酸化は、GPCRキナーゼ、又は“GRK”、ファミリーによって引き起こされる。アゴニスト複合、C末端リン酸化GPCRは、レセプターシグナル伝達を「抑止(arrest)」するアレスチン ファミリーのメンバーと相互作用する。この結合によって、レセプターがGタンパク質に共役することが抑制され、それによってレセプターが内部移行のために標的化され、その後、分解および/又は再循環が起こる。従って、リガンドのGPCRへの結合が、GPCRとアレスチンタンパク質との間の相互作用を「調節する」ということができる。なぜなら、リガンドのGPCRへの結合がアレスチンをGPCRに結合させ、これによって、その活性を調節するからである。以後、「モジュレーター」又はそのいずれかの形態が使用される場合、それは、単純に、本発明の二つのタンパク質が、検定化合物の存在下において、この検定化合物の不在下におけるこれら二つのタンパク質の相互作用との比較において、相互作用する何らかの変化を言うものとする。例えば、前記検定化合物の存在は、二つのタンパク質の相互作用を強化又は促進、あるいはそれを弱化、抑制、又はなんらかの方法、態様又は形態で減少させ、それをその後検出可能とするかもしれない。
【0010】
この背景情報から、GPCRの活性化及び抑制を解析するための別の方法が導かれた。これらの方法は、アレスチンとの相互作用をモニタリングすることを含む。この方法の大きな利点は、Gタンパク質経路の知識が不要であることである。
【0011】
ここに参考文献として合体される、オークレイ(Oakley)ほか, Assay Drug Dev. Technol, 1:21-30(2002)及び米国特許第5,891,646、及び6,110,693号は、活性化されたレセプターへの、細胞質の蛍光標識アレスチン分子の再分布が測定される解析について記載している。これらの方法は、アレスチンの再局在化とレセプター活性化を測定するために、細胞の高解像度撮像に依存している。これが複雑な入れ込んだ手続きであることを当業者は認識するであろう。
【0012】
これらの点を扱ったその他種々の米国特許及び特許出願も発行、出願されている。例えば、ボーン(Bohn)ほかの米国特許第6,528,271号は、疼痛管理薬剤をスクリーニングする解析を扱っており、ここでは、β−アレスチンのインヒビターが測定されている。第2004/0002119,2003/0157553,2003/0143626、及び2002/0132327号等の公開米国特許出願も、すべて、GPCRに関する種々の形態の解析について記載している。公開出願第2002/0106379号は、下記の例に使用される構造物(construct)を記載している。但し、それはここに記載される本発明を教示、示唆するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、特定のタンパク質/タンパク質相互作用のモジュレーターのモニタリングおよび/又は測定のための、より単純な解析を開発することにあり、ここでは、前記タンパク質は、非限定的に、レセプター、特にGPCR等の膜結合タンパク質を含む。これがいかにして達成されるかは以下の例から理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
従って、本発明によれば、検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するための方法が提供され、この方法は、前記化合物を、(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部のための開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(a)と、(i)前記検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質に対するその相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(b)とでトランスフォーム又はトランスフェクトされた細胞に接触させる工程と、前記レポーター遺伝子の活性を、前記化合物が前記タンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かの測定として、測定する工程とを含む。
【0015】
前記第1検定タンパク質は、膜結合タンパク質、特に、GPCR、等の膜貫通レセプターとすることができる。具体的な膜貫通レセプターとしては、β2−アドレナリン作動性レセプター(ADRB2)、アルギニンバソプレッシンレセプター2(AVPR2)、セロトニンレセプター1a(HTR1A)、m2ムスカリン性アセチルコリンレセプター(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター5(CCR5)、ドーパミンD2レセプター(DRD2)、カッパーオピオイドレセプター(OPRK)、又はα1a−アドレナリン作動性レセプター(ADRA1A)があるが、但し、いずれの場合においても、本発明がこれらの特定の実施例に限定されるものではないと理解される。例えば、チロシンキナーゼであるインスリン成長因子−1レセプター(IGF−1R)等の分子や、エストロゲンレセプター1(ESR1)やエストロゲンレセプター2(ESR2)等の通常は膜結合型ではないタンパク質がある。前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼとすることができる。前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、tTAやGAL4等の転写因子とすることができる。前記第2タンパク質は、アレスチンなどの抑制型タンパク質とすることができる。前記細胞は、真核細胞又は原核細胞とすることができる。前記レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどの外来性遺伝子とすることができる。
【0016】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、前記第2検定タンパク質との相互作用を増加させるように改変することができる。そのような改変は、非限定的に、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む。例えば、前記C末端領域を、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8b,CCR4又はGPCRのC末端をコードするヌクレオチド配列によって置換することができる。
【0017】
前記方法は、1つ以上の検定化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程を含むことができ、前記サンプルのそれぞれは、前記単数又は複数の検定化合物によって接触され、ここで、前記細胞サンプルのそれぞれが、上述した核酸分子でトランスフォーム又はトランスフェクトされている。そして、前記方法は、前記検定化合物のいずれかが特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するべく前記複数のサンプル中におけるレポーター遺伝子の活性を測定する工程を含むことができる。前記方法は、そのそれぞれがその他すべてと異なる1つの検定化合物を前記サンプルのそれぞれと接触させる工程、又は、前記サンプルのそれぞれを前記複数の検定化合物の混合物と接触させる工程を含むことができる。
【0018】
別実施例において、検定化合物が単数又は複数の対象のタンパク質相互作用を調節するか否かを測定する方法が提供され、この方法は、前記化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程を含み、前記細胞サンプルのそれぞれが、(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、プロテアーゼのための開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む第1の核酸分子(a)と、(i)前記対象検定化合物の存在下におけるその前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列とを含む第2の核酸分子(b)とを含み、ここで、前記第1検定タンパク質は前記複数のサンプルのそれぞれにおいて他の第1検定タンパク質と異なり、そして、前記方法は、更に、前記複数のサンプルのうちの1つ又は複数における前記レポーター遺伝子の活性を、単数又は複数の対象のタンパク質相互作用の調節の測定として測定する工程を含む。
【0019】
前記第2検定タンパク質は、各サンプルにおいて異なるもの、又は、各サンプルにおいて同じものとすることができる。前記サンプルのすべてを、共通の容器(receptacle)内で組み合わせることができ、各サンプルは、異なる対の第1及び第2検定タンパク質を含む。或いは、各サンプルを、異なる容器内で検定することができる。所与のサンプル中の前記レポーター遺伝子は、その他のサンプル中のレポーター遺伝子と異なるものとすることができる。検定化合物の前記混合物は、脳脊髄液、尿、血液、血清、膿汁、腹水、滑液、組織抽出物、又は浸出物等の生体試料を含む、又は生体試料内に含まれるもの、とすることができる。
【0020】
更に別の実施例において、(i)前記第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞中においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(a)、そして、(i)前記検定化合物の存在下におけるその前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(b)とで、トランスフォーム又はトランスフェクトされた組換え細胞が提供される。
【0021】
前記核酸分子の一方又は両方を、前記細胞のゲノムに安定的に組み込むことができる。前記細胞は、更に、前記レポーター遺伝子によってもトランスフォーム又はトランスフェクトされたものとすることができる。前記第1検定タンパク質は、膜貫通レセプター、特にGPCR、等の膜結合タンパク質とすることができる。具体的な膜貫通レセプターは、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aを含む。
【0022】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼとすることができる。前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、tTAやGAL4等の転写因子とすることができる。前記第2タンパク質は、抑制型タンパク質とすることができる。前記細胞は、真核細胞又は原核細胞とすることができる。前記レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどの外来性遺伝子とすることができる。前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、たとえば前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換すること等によって、前記第2タンパク質との相互作用を増加させるように改変することができる。前記C末端領域は、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8B,CCR4又はGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置換することができる。
【0023】
更に別の実施例において、(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む、単離核酸分子を提供する。前記検定タンパク質は、膜貫通レセプターのような、膜結合タンパク質である。膜貫通タンパク質の特定タイプはGPCRである。特定の膜貫通レセプターとして、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK又はADRA1Aを含む。プロテアーゼ、又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病核内封入Aプロテアーゼであり得る。前記レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は、tTA又はGAL4等の転写因子であり得る。上記のように、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されるとして理解するものではない。
【0024】
更に別の実施例において、単離核酸分子を含む発現ベクターが提供され、これは、(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)前記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含み、更に、プロモーターに操作連結されている。
【0025】
更に別の実施例において、単離核酸分子が提供され、これは、(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列とを含む。前記検定タンパク質は、アレスチンなどの抑制型タンパク質とすることができる。
【0026】
また、(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列とを含む単離核酸分子を含む発現ベクターが提供され、前記核酸は、更に、プロモーターに操作連結されている。
【0027】
更に別の実施例は、以下の発現によって生成される融合タンパク質を含む。
【0028】
(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、そして(iii)前記細胞中でのレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、を含み、更に、プロモーターに操作連結されている、単離核酸分子。
【0029】
または、(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む、単離核酸分子。
【0030】
更に別の実施例において、検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するのに有用な検定キットが提供され、これは、以下のそれぞれの分離部分を有する。前記第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列(i)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む核酸分子(a)と、(i)前記検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質とのその相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするするヌクレオチド配列と、(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、とを含む核酸分子(b)と、前記(a)及び(b)のそれぞれを互いに対して分離して保持するための容器手段。
【0031】
前記第1検定タンパク質は、膜貫通レセプター等の膜結合タンパク質とすることができる。1つの具体的タイプの膜貫通レセプターはGPCRである。具体的な膜貫通タンパク質は、GPCRである。具体的な膜貫通レセプターは、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aを含む。前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼとすることができる。前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、tTAやGAL4等の転写因子とすることができる。前記第2タンパク質は、アレスチンなどの抑制型タンパク質とすることができる。前記キットは、更に、レポーター遺伝子をコードする単離核酸分子の別の部分を含むことができる。前記レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼやルシフェラーゼなどをコードすることができる。前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、例えば、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換すること等によって、前記第2検定タンパク質との相互作用を増加させるように改変することができる。前記C末端領域のヌクレオチド配列を、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8B,CCR4又はGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
尚、ここに記載されるすべての方法又は組成物は、ここに記載されるすべての方法又は組成物に関して実施可能であると理解される。クレームおよび/又は明細書中における「含む(comprising)」という用語との“a”や“an”という単語の使用は、“one”(「1つ」)を意味するかもしれないが、「単数又は複数」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」として意味とも撞着しないものと理解される。
【0033】
本発明のこれら及びその他の実施例は、以下の説明及び貼付の図面を参照して考慮されることにより、よりよく判断、理解されるであろう。但し、以下の説明は、本発明の種々の実施例及びその多数の具体的詳細を示すものではあるが、これは限定のためではなく例示のために提供されているものである、ということが理解されるべきである。本発明の本質から逸脱することなく、本発明の範囲内において、多くの置換、変更、追加および/又は再構成が可能であり、本発明は、そのような置換、変更、追加および/又は再構成を含むものである。
【0034】
図面の簡単な説明
以下の図面は、本明細書の一部を形成するものであり、かつ、本発明のいくつかの態様を例示することを意図したものである。本発明は、これらの図面の1つ又は複数をここに提供される具体的実施例の詳細説明と共に参照することによってより良く理解されるであろう。
【0035】
図1は、一例として、リガンド−レセプター結合を使用する本発明の概念的基礎を図示している。
【0036】
図2a及び2bは、アゴニストとアンタゴニストとの両方に対して、本発明による解析の標的の反応が用量依存性であることを示している。
【0037】
図3は、用量反応曲線が、別の標的と別のアゴニストでも生じることを示している。
【0038】
図4は、D2ドーパミンレセプターを使用した、本発明によって得られた結果を図示している。
【0039】
図5a及び5bは、二つの分子を同時に研究することが可能であることを示す解析の結果を図示している。
【0040】
図6は、別の「マルチプレックス」解析、即ち、二つの分子が同時に研究される解析の結果を図示している。
【0041】
図7は、EGFR活性を測定する解析から得られたデータを示している。
【0042】
図8は、ヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するように構成された、本発明による解析から得られたデータを示している。
【0043】
図9は、図7を作り出すのに使用された細胞におけるIFN−αの用量反応曲線を図示している、図7の結果をより詳細に示している。
【0044】
図10は、別の転写因子と別の細胞ラインが使用された別の実施例の結果を示している。
【0045】
好適実施例の詳細な説明
本発明は、対象物質が、レセプター、例えば、膜貫通レセプター等の膜結合タンパク質などの第1検定タンパク質と、アレスチンファミリーのメンバーなどの第2検定タンパク質との相互作用を調節するか否かを測定するための方法に関する。この方法は、真核細胞又は原核細胞とすることができる細胞を、二つの構造物によってコトランスフォーム又はコトランスフェクトすることを含む。前記第1構造物は、(i)膜貫通レセプターなどの前記第1検定タンパク質と(ii)プロテアーゼの開裂部位、をコードする配列、そして(iii)レポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードする配列とを含む。前記第2構造物は、(i)前記第1検定タンパク質とのその相互作用が測定される及び/決定される第2検定タンパク質をコードする配列、そして(ii)前記第1構造物の一部である前記開裂部位に対して作用するのに十分な、プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、を含む。特に好適な実施例において、これらの構造物は、細胞内に安定的に取り込まれる。
【0046】
本発明の一実施例の特徴が、図1に図示されている。簡単に説明すると、標準技術を使用して、転写因子をコードするDNAを、膜貫通レセプター分子等の研究対象の第1検定タンパク質をコードするDNAに融合させる。この融合は、実験に使用される宿主細胞によって内在性に発現されないプロテアーゼに対する認識開裂部位を含めることによって達成される。
【0047】
この第1融合タンパク質をコードするDNAは、前記第1検定タンパク質、例えば、前記レセプター、に対して融合された前記転写因子に依存するプロモーター要素の制御下で、それもレポーター遺伝子配列をも含む細胞に導入され、それによって発現される。もしも前記外来性プロテアーゼが存在しないのであれば、前記転写因子は前記第1検定タンパク質に対して係留(tethered)されたまま留まり、核に侵入して前記レポーター遺伝子の発現を刺激することは出来ない。
【0048】
第2融合タンパク質を作り出すためにも組換え技術を使用することができる。図示されている実施例において、アレスチンファミリーのメンバーをコードするDNAが、前記外来性プロテアーゼをコードするDNA分子に融合され、これによって、前記第2検定タンパク質、即ち、前記アレスチンファミリーメンバー、を含む第2融合タンパク質が得られる。
【0049】
次に、解析が行われ、ここで、前記第2融合タンパク質が、前記第1融合タンパク質と共に発現され、検定化合物が、好ましくは、特定の時間、前記細胞と接触される。もしも前記検定化合物が、前記二つの検定タンパク質の相互作用を、例えば、これら第1及び第2検定タンパク質の会合を、刺激、促進又は増強することによって、調節するならば、これによって前記転写因子の遊離が起こり、さらに、この因子が核へと移動して、前記レポーター遺伝子の発現を誘発する。前記レポーター遺伝子の活性が測定される。
【0050】
別のシステムにおいて、前記二つの検定タンパク質は、前記検定化合物の不在下で相互作用し、検定化合物によってこれら二つの検定タンパク質を解離させ、それらの相互作用を減少又は抑制させることも可能である。そのような場合、前記検定化合物の存在下において、前記細胞中の自由な、機能的に活性である転写因子のレベルが減少し、これによって、タンパク質分解が減少し、レポーター遺伝子の活性の検出可能な減少が起こる。
【0051】
記載の実施例において、前記第2検定タンパク質である、前記アレスチンタンパク質は、アゴニストの存在下において前記レセプターに結合する。しかし、レセプターは1つのタイプのタンパク質に過ぎないので、前記解析は、レセプター分子の使用に依存せず、又、アゴニスト結合が、関連することが可能な唯一の相互作用であるのでもない。膜貫通タンパク質が注目されることは明らかではあるが、いかなるタンパク質でも十分である。更に、レセプターに対するアゴニストの結合が、解析することが可能な唯一のタイプの結合ではない。本発明によって、アンタゴニスト自身を測定することが可能であり、又、異なるアンタゴニストおよび/又はアゴニストの相対的強度を測定することも可能である。
【0052】
本発明のその他の詳細は、その課題を製造、使用するための具体的な方法と技術を含むものであり、それらについて以下説明する。
【0053】
I.発現構造物とトランスフォーメーション
「ベクター」という用語は、そこでそれが複製することが可能な細胞への導入のためにその中に核酸配列を挿入することが可能なキャリア核酸分子を称するのに使用される。核酸配列は、「外来性」であることができ、これは、それが、その中にベクターが導入される前記細胞に対して異質であること、又は、前記配列が細胞内の配列に対しては同質であるが、宿主細胞核酸内の、その配列が通常は見られない位置にある、ということを意味する。ベクターは、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、及び植物ウイルス)、及び人工染色体(例えば、YAC)を含む。当業者は、標準組換え技術(例えば、マニアティス(Maniatis)ほか, Molecular Cloning, A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor, 1990)及びオースベル(Ausubel)ほか, 1994, Current Protocols In Molecular Biology(John Wiley & Sons, 1996)ともにここに参考文献として合体させる)によって十分にベクターを構築することができるであろう。
【0054】
「発現ベクター」という用語は、転写されることが可能なRNAをコードする核酸を含むすべてのタイプの遺伝子構造物を指す。いくつかのケースにおいて、RNA分子は、次に、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドに翻訳される。他のケースにおいて、これらの配列は、例えば、アンチセンス分子又はリボザイムの生成において翻訳されない。発現ベクターは、特定の宿主細胞中での、操作連結されたコード配列の転写と可能な翻訳とのために必要な核酸配列をいう、種々の「制御配列」を含むことができる。転写と翻訳を制御する制御配列に加えて、ベクターと発現ベクターは、他の機能を果たす、上述したヌクレオチド配列を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施例において、クローニングと遺伝子伝達用に、プラスミドベクターが考えられる。一般に、宿主細胞に適合する種由来のレプリコンと制御配列を含むプラスミドベクターが、これらの宿主との関連において使用される。前記ベクターは、一般に、複製部位と、トランスフォーム細胞中において表現型選択を提供することが可能なマーキング配列を坦持する。1つの非限定的具体例において、E. coliが、多くの場合、E. coli種由来のプラスミドであるpBR322の誘導体を使用してトランスフォームされる。pBR322は、アンピシリンとテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含み、従って、トランスフォーム細胞を同定するための容易な手段を提供する。前記pBRプラスミド、又は、その他の細菌性プラスミド、又はファージは、更に、例えば、それ自身のタンパク質の発現のために細菌性組織体によって使用可能なプロモーターも含まなければならないか、あるいは、含むように改変されなければならない。
【0056】
更に、宿主微生物組織に適合するレプリコンと制御配列を含むファージベクターを、これら宿主との関連において、トランスフォームベクターとして使用することが可能である。例えば、ファージラムダGEMTM−11を、例えば、E. coli. LE392等の宿主細胞、をトランスフォームするために使用可能な組換えファージベクターを作成するのに利用することができる。
【0057】
前記発現ベクターを含む、例えば、E. coli等の細菌性宿主細胞は、例えばLB等の様々な適当な培地で成長させることができる。ある種のベクター中における前記組換えタンパク質の発現は、当業者によって理解されるように、宿主細胞を、ある種のプロモーターに対して特異的な物質に接触させることによって、例えば、IPTGを培地に添加することや、インキュベーションをより高い温度に切り替える、等、によって誘発させることができる。前記細菌を、更に追加時間、一般に、2時間から24時間、培養した後、前記細胞を、遠心分離によって収集し、残滓の培地を除去するために洗浄する。
【0058】
多くの原核生物ベクターも、真核生物宿主細胞をトランスフォームするために使用することができる。しかし、真核生物宿主細胞中でタンパク質を発現する特定の目的のために改変されたベクターを選択することが望ましい。そのような細胞中における調節されたおよび/又は高レベルの発現用に発現システムが構成されている。例えば、共にここに参考文献として合体させる米国特許第5,871,986及び4,879,236号に記載され、例えば、INVITROGEN(登録商標)からMAXBAC(登録商標)2.0という名前で、そして、CLONTECH(登録商標)からBACKPACK(登録商標) BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEMという名前で購入することが可能な、昆虫細胞/バキュロウイルスシステムによって、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現を作り出すことが可能である。
【0059】
発現システムのその他の例としては、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROL(登録商標) Inducible Mammalian Expression Systemがあり、これは、合成エクジソン誘導可能レセプター、又はそのpET発現システム、E. coli発現システム、を含む。誘導可能発現システムのもう1つの例は、INVITROGEN(登録商標)から入手可能であり、これは、T−REX(登録商標)(テトラサイクリン調節発現)システム、全長CMVプロモーターを使用する誘導可能哺乳動物発現システム、を坦持している。INVITROGEN(登録商標)は、更に、Pichia methanolica発現システムと呼ばれる酵母発現システムを提供しており、これは、メチロトローフ酵母、Pichia methanolica中での組換えタンパク質の高レベル産生用に構成されている。当業者は、核酸配列又は、その同族のポリペプチド、タンパク質、又はペプチド、を作り出すためにいかにして、発現構造物等のベクターを発現させるかを理解するであろう。
【0060】
調節性シグナル
前記構造物は、プロモーター、ポリA配列、等の追加の5’および/又は3’要素を含むことができる。これらの要素は、宿主細胞由来、即ち、宿主細胞と同種のものとすることができ、或いは、それらは、別の源由来、即ち、異種のものとすることができる。
【0061】
「プロモーター」とは、転写の開始と速度とがそこで制御される核酸配列の領域である制御配列である。それは、RNAポリメラーゼやその他の転写因子などの調節タンパク質及び分子が結合して、核酸配列の特定の転写を開始することができる遺伝子要素を含むことができる。「操作配置」、「操作連結」、「制御下」及び「転写制御下」という文言は、プロモーターが、核酸配列に対して、その配列の転写開始および/又は発現を制御するために正しい機能位置および/又は配向にあることを意味する。
【0062】
プロモーターは、一般に、RNA合成のための開始部位を位置決めする作用をする配列を含む。これの最も良く知られた例は、TATAボックスであるが、哺乳動物の末端デオキシヌクレオチジル転移酵素遺伝子のためのプロモーターや、SV40後期遺伝子のためのプロモーター等の、TATAボックスが欠如したいくつかのプロモーターにおいて、その開始部位上に位置する別の要素が、それ自身、開始場所の固定に役立つ。追加のプロモーター要素は、転写開始の頻度を調節する。通常、これらは、開始部位の30〜110bp上流側領域に位置するが、多数のプロモーターが開始部位の下流側にも機能要素を含むことが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下」に置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、その選択されたプロモーターの「下流側」(即ち、その3’)におく。「上流側」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0063】
プロモーター要素間の間隔は多くの場合フレキシブルであるので、要素が反転、又は、互いに対して移動された場合でも、プロモーター機能は保存される。tkプロモーターでは、プロモーター要素間の間隔は、活性が低下し始める前に、50bpの距離へと増加させることができる。プロモーターによっては、個々の要素が協働的又は独立的に作用して転写を活性化するように機能することができるようである。プロモーターは、「エンハンサー」と共に使用してもよいし、使用しなくてもよく、「エンハンサー」とは、核酸配列の転写活性に関与するシス作動性の調節配列をいう。
【0064】
プロモーターは、例えば、コードセグメントおよび/又はエクソンの上流側に位置する5’−非コード配列を単離することによって得られるように、核酸分子と自然に会合したものとすることができる。そのようなプロモーターは、「外来性」と称することができる。同様に、エンハンサーも、核酸分子と自然に会合して、その配列の下流側又は上流側のいずれかに位置するものとすることができる。或いは、コード核酸セグメントを、その自然な環境においては核酸分子と正常には会合しないプロモーターである、組換え又は異種プロモーターの制御下に置くことによってある種の利点が得られる。組換え又は異種エンハンサーは、更に、その自然な環境において核酸分子と正常に会合しないエンハンサーも指す。そのようなプロモーター又はエンハンサーは、他の遺伝子のプロモーター又はエンハンサー、他のいずれかのウイルス、又は原核又は真核細胞から分離したプロモーター又はエンハンサー、そして「自然発生」でない、即ち、異なる転写調節領域の異なる要素、および/又は発現を変える変異、を含むプロモーター又はエンハンサーを含むことができる。例えば、組換えDNA構造物に最も一般的に使用されるプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、及びトリプトファン(trp)プロモーターシステムを含む。プロモーター及びエンハンサーの核酸配列を合成的に作り出すことに加えて、配列は、ここに開示される組成物と関連して、組換クローニングおよび/又はPCR(登録商標)を含む核酸増幅技術を使用することによっても作り出すことができる(ここに参考文献として合体させる米国特許第4,683,202及び5,928,906号を参照)。更に、ミトコンドリア、クロロプラストなどの非核オルガネラ内の配列の転写および/又は発現を指令する制御配列も使用することが考えられる。
【0065】
勿論、発現のために選択された、オルガネラ、細胞タイプ、組織、器官又は、生物内でDNAセグメントの発現を効果的に指令するプロモーターおよび/又はエンハンサーを使用することが重要である。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、細胞タイプの組み合わせを知っている(例えば、ここに参考文献として合体させるサムブルック(Sambrook)ほか, 1989を参照)。使用されるプロモーターは、組換えタンパク質および/又はペプチドの大量生産において有利であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指令するべく、適切な条件下において、構成的、組織特異的、誘導可能および/又は有用なものとすることができる。前記プロモーターは、外来性又は内在性とすることができる。
【0066】
更に、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(例えば、Eukaryotic Promoter Data Base EPDB, www.epd.isb-sib.ch/を参照)も、発現を駆動するために使用することが可能であろう。T3,T7又はSP6細胞質発現システムの使用がもう一つの可能な実施例である。真核細胞は、もしも、適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部として、又は追加の遺伝子発現構造物として、提供されるのであれば、ある種の細菌プロモーターからの細胞質転写を支援することができる。
【0067】
コード配列の効率的な翻訳のためには、特定の開始シグナルも必要であるかもしれない。これらのシグナルは、ATG開始コドン又は隣接の配列を含む。前記ATG開始コドンを含む外来性翻訳制御シグナルを提供する必要があるかもしれない。当業者は、これを容易に判断して必要なシグナルを提供することが可能であろう。インサート全体が確実に翻訳されるようにするためには、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームに対して「イン・フレーム(in frame)」でなければならないことがよく知られている。前記外来性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然のもの、又は合成のものとすることができる。適当な転写エンハンサー要素を含ませることによって、発現の効率を高めることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施例において、配列内リボソーム進入部位(IRES)要素を使用して、多重遺伝子群、又は多シストロン性メッセージを作り出す。IRES要素は、5’メチル化Cap依存翻訳のリボソーム走査モデルを迂回して、内部部位で翻訳を開始することができる(ペルティエ(Pelletier)およびソーネンバーグ(Sonenberg), Nature, 334:320-325 (1988))。ピコルナウイルスファミリーの二つのメンバー(ポリオと脳心筋炎)からのIRES要素が、哺乳動物メッセージからのIRES(マセジャック(Macejak)およびサーノウ(Sarnow), Nature, 353:90-94 (1991))1991)と共に、記載されている((ペルティエ(Pelletier)およびソーネンバーグ(Sonenberg)、上述)。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに結合させることができる。それぞれがIRESによって分離された、複数のオープンリーディングフレームを同時に転写して、多シストロン性メッセージを作り出すことができる。IRES要素の性質により、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームにアクセス可能である。1つのメッセージを転写するために1つのプロモーター/エンハンサーを使用して、複数の遺伝子を効率的に発現させることができる(それぞれをここに参考文献として合体させる米国特許第5,925,565及び5,935,819号を参照)。
【0069】
他のベクター配列要素
ベクターは、マルチクローニング部位(MCS)を含むことができ、これは、そのいずれもが、ベクターを消化するための標準組換え技術で連結可能な複数の制限酵素部位を含んでいる核酸領域である(例えば、ここに参考文献として合体させるカーボネッリ(Carbonelli)ほか, FEMS Microbiol. Lett. 172 (1): 75-82 (1999), レヴェンソン(Levenson)ほか, Hum. Gene Ther. 9(8): 1233-1236(1988)及びコセア(Cocea), Biotechniques, 23(5): 814-816(1997)を参照)。「制限酵素消化」とは、核酸分子内の特定の位置においてのみ作用する酵素による、核酸分子の触媒作用的な開裂をいう。これらの制限酵素の多くは、市販されている。そのような酵素の使用は当業者によって広く理解されている。多くの場合、ベクターは、外来性配列をベクターに結合させることを可能にするためにMCS内で切断する制限酵素を使用して、線形化(linearized)又は断片化される。「連結(ligation)」とは、互いに対して隣接、又は隣接しないものとすることが可能な、二つの核酸フラグメント間にリン酸ジエステル結合を形成するプロセスをいう。制限酵素と連結反応に関連する技術は、組換え技術の当業者にとって周知である。
【0070】
大半の転写された真核RNA分子は、一次転写物からイントロンを除去するためにRNAスプライシングを受けることになる。ゲノム真核配列を含むベクターは、タンパク質発現のための転写物の適切なプロセッシングを確保するために、ドナーおよび/又はアクセプタースプライシング部位を必要とするかもしれない(例えば、ここに参考文献として合体させるチャンドラー(Chandler)ほか1997を参照)。
【0071】
本発明の前記ベクター又は構造物は、一般に、少なくとも1つの終止シグナルを含む。「終止シグナル」又は「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特定の終止に関連するDNA配列を含む。従って、いくつかの実施例において、RNA転写物の生成を終止させる終止シグナルが考えられる。所望のメッセージレベルを達成するためにターミネーターが生体内で必要とされるかもしれない。
【0072】
真核システムにおいて、前記ターミネーター領域は、更に、ポリアデニル化部位を露出させるべく新しい転写物の部位特異的開裂を可能にする特定のDNA配列を含むことができる。これは、特定の内在性ポリメラーゼに、転写物の3’末端へ、約200のアデノシン残基(ポリA)の伸長を追加するようにシグナル伝達する。このポリA尾部によって改変されたRNA分子は、より安定的であると考えられ、より効率的に翻訳される。従って、真核細胞に関連する他の実施例において、ターミネーターがRNAの開裂のためのシグナルを含むことが好ましく、そのターミネーターシグナルによってメッセージのポリアデニル化が促進されることが更に好ましい。前記ターミネーターおよび/又はポリアデニル化部位要素は、メッセージレベルを高め、カセットからそれを介した他の配列への読取を最小化するように作用することができる。
【0073】
本発明で使用されることが考えられるターミネーターは、非限定的に、例えば、ウシ成長ホルモンターミネーター、SV40ターミネーターなどのウイルス性の終止配列、を含む遺伝子の終止配列を含む、ここに記載されている、又は当業者に知られている任意の公知の転写のターミネーターを含む。いくつかの実施例において、前記終止シグナルは、配列切断などによる、翻訳不能および/又は転写不能配列などの、転写可能又は翻訳可能な配列の欠如とすることができる。
【0074】
発現、特に真核発現において、通常、転写物の適切なポリアデニル化を行うためのポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功に必須であるとは考えられず、任意のそのような配列を使用することが可能である。好適実施例は、SV40ポリアデニル化シグナル又はウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含み、これらは共に、簡便かつ容易に入手可能であり、種々の標的細胞において良好に作用することが知られている。ポリアデニル化によって、転写物の安定性を増大させることができ、或いは、細胞質輸送を容易にすることができる。
【0075】
宿主細胞中においてベクターを良好に増殖させるために、それは、そこで複製を開始させる特定のヌクレオチド配列である、単数又は複数の由来の複製起点(しばしば“ori”と呼ばれる)部位を含むことができる。或いは、宿主細胞が酵母である場合には、自己複製配列(ARS)を使用することができる。
【0076】
トランスフォーメーション方法
本発明で使用される核酸送達のための適当な方法は、それによって、核酸分子(例えばDNA)を、ここに記載されているように、又は、当業者に知られているように、細胞に導入することが可能な実質的に全ての方法を含むものと考えられる。そのような方法は、非限定的に、生体外(ex vivo)トランスフェクション(ウィルソン(Wilson)ほか, Science, 244:1344-1346(1989), ナベル(Nabel)ほか, Science, 244:1342-1344(1989), 微量注入(ハーラン(Harlan)およびウェイントラウブ(Weintraub), J. Cell Biol, 101(3): 1094-1099 (1985); 米国特許第5,789,215号、ここに参考文献として合体させる)を含む、注入(ここにそのそれぞれを参考文献として合体させる、米国特許第5,994,624,5,981,274,5,945,100,5,780,448,5,736,524,5,702,932,5,656,610,5,589,466及びNo.5,580,859ッ号)、エレクトロポーレーション(米国特許第5,384,253号、ここに参考文献として合体させる; トゥル‐カパ(Tur-Kapa)ほか, Mol. Cell Biol., 6:716-718(1986); ポッター(Potter)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:7161-7165(1984)、リン酸カルシウム沈殿(グラハム(Gr aham)およびファン・デア・エブ(Van Der Eb); Virology, 52: 456-467(1973); Chen(チェン)及びOkayama(オカヤマ), Mol. Cell Biol., 7(8): 2745-2752(1987); リッペ(Rippe)ほか, Mol. Cell Biol., 10:689-695(1990); DEAEデキストラン、その後にポリエチレングリコールの使用(ゴパル(Gopal), Mol. Cell Biol., 5:1188-190(1985)、直接音波装填(direct sonic loading)(フェッチハイマー(Fechheimer)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89(17): 8463-8467(1987); リポソーム媒介トランスフェクション(ニコラウ(Nicolau)およびセネ(Sene), Biochem. & Biophys. Acta., 721:185-190 (1982); フラレー(Fraley)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 76:3348-3352 (1979); ニコラウ(Nicolau)ほか, Meth. Enzym., 149:157-176(1987); ワン(Wong)ほか, Gene, 10:879-894 (1980); カネダ(Kaneda)ほか, Science, 243:375-378 (1989); カトウ(Kato)ほか, J. Biol. Chem.,266: 3361-3364 (1991)及びレセプター媒介トランスフェクション(ウー(Wu)およびウー(Wu), J. Biol. Chem., 262: 4429-4432 (1987); ウー(Wu)およびウー(Wu), (1988); プロトプラストのPEG−媒介トランスフォーメーション(オミラレー(Omirulleh)ほか, Plant Mol. Biol., 21(3): 415-428(1987)、米国特許第4,684,611及び4,952,500号、そのそれぞれをここに参考文献として合体させる)、乾燥/抑制媒介DNA取り込み(desiccation/inhibition-mediated DNA uptake)(ポトリカス(Potrykus)ほかMol. Gen. Genet., 199(2): 169-177(1985)およびこれらの方法の任意の組み合わせ、のようなDNAの直接送達を含む。
【0077】
II.解析システムの構成要素
ここに記載の方法と同様、本発明の特徴である生産物も好適実施例を有する。例えば、「三部構造物」即ち、検定タンパク質と、開裂部位と活性化タンパク質とをコードする配列を含む構造物、において、前記検定タンパク質は、好ましくは、GPCRファミリーのメンバーなどの膜貫通レセプターなどの膜結合タンパク質である。これらの配列は、それらがコードするタンパク質のC末端を、第2タンパク質に対するより良好で強力な相互作用を有するように改変することができる。そのような改変は、例えば、GPCRなどの前記検定タンパク質のC末端領域を、全てを前に定義した、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2PLI,CCR4、CXCR2/IL−8,CCR4又はGRPRのC末端コード領域で置換することを含む。
【0078】
前記レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は、転写因子(例えば、tTA、GAL4等)等の、核内で作用するタンパク質とすることができ、或いは、それは、他のタンパク質による核内反応へ導く、カスケード反応を開始させる分子とすることができる。当業者には、そのようなカスケード反応は周知であろう。
【0079】
前記第2構造物は、上述したように、前記第1タンパク質と相互作用して、なんらかの測定可能な現象をもたらすタンパク質をコードする領域を含む。このタンパク質は、前記第1タンパク質の、アクチベーター、インヒビター、より一般的には、「調節物質(modulator)」、とすることができる。特に前記第1タンパク質がGPCRである場合には、アレスチンファミリーのメンバーが好適であるが、特に前記第1タンパク質がGPCRでない場合には、他のタンパク質コード領域も使用可能である。これらの二部構造物の第2部分は前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードし、これは、前記第1構造物によってコードされた融合タンパク質から活性化分子を除去するように作用する。
【0080】
しかし、次の追加の実施例に記載されているように、これらの好適実施例は本発明を限定するものではない。
【0081】
宿主細胞
ここでの使用において、「細胞」、「細胞ライン」、及び「細胞培養物」という用語は、相互交換可能に使用することができる。これらの用語は全て、更に、その任意又はすべての後続世代であるところの、それらの後代(progeny)も含む。尚、全ての後代は、意図的又は不意の変異によって同じではないかもしれない、と理解される。前記宿主細胞は、一般に、前記第1検定タンパク質とともに、融合タンパク質の一部である転写因子によって活性化されるスクリーニング可能又は選択可能なマーカを発現するように操作(engineered)されたものとされるであろう。
【0082】
異種核酸配列を発現する意味において、「宿主細胞」は、ベクターを複製することが可能な、および/又は、ベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することが可能な原核又は真核細胞をいう。宿主細胞が核酸分子によって「トランスフェクト」又は「トランスフォーム」される場合、それらは、「操作(engineered)」又は「組換え」細胞、或いは、例えばベクターなどの外来性核酸配列が導入された細胞、呼ばれる。従って、組換え細胞は、組換えによって導入された核酸を含まない自然発生細胞から区別可能である。
【0083】
多種多様な細胞ライン及び培養物が宿主細胞として利用可能であり、それらは、生体培養物と遺伝物質とのアーカイブとして役立っている組織であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を通じて入手することが可能である(www.atcc.org)。当業者は、適当な宿主を、ベクターのバックボーンと求められる結果とに基づいて決定することができる。例えば、プラスミド又はコスミドを、多くのベクターの複製のために原核宿主細胞に導入することができる。ベクター複製および/又は発現のために利用可能な細胞タイプは、非限定的に、E. coli(例えば、E. coli RR1株, E. coli LE392, E. coli B, E. coli X 1776(ATTC No. 31537)更に、E. coli W3110(F−,ラムダ、原栄養体, ATTC No. 273325),DH5α、JM109、及びKC8、等の細菌、枯草菌(Bacillus subtilis)等のバシラス、Salmonella typhimurium, Serratia marcescens, 種々のシュードモナス属等の、他の腸内細菌、更に、SURE(登録商標)Competent Cells 及びSOLOPACKTM Gold Cells(STRATAGENE(登録商標),La Jolla)等の多数の市販されている細菌性宿主を含む。いくつかの実施例において、E.coli LE392等の細菌細胞が、ファージウイルス用の宿主細胞として特に考えられる。
【0084】
ベクターの複製および/又は発現のための宿主細胞の具体例は、非限定的に、HeLa, NIH3T3, Jurkat, 293, COS, CHO, Saos及びPC12を含む。種々の細胞タイプ及び組織由来の多くの宿主細胞が利用可能であり、当業者に知られている。同様に、ウイルス性ベクターを、真核又は原核宿主細胞、特に、そのベクターの複製又は発現を許容するもの、と使用することができる。
【0085】
検定タンパク質
本発明は、その物理的相互作用が知られている、又は、推測される、任意の二つのタンパク質の使用を意図している。これらのタンパク質は、融合タンパク質として、すなわち、転写因子に融合された第1検定タンパク質と、この第1融合タンパク質中の開裂部位、前記転写因子を遊離する開裂の部位、を認識するプロテアーゼに融合された第2検定タンパク質、として存在する。これら検定タンパク質/融合物のに必要とされることは、(a)第1検定タンパク質が、開裂の前に核内に局所化できないこと、そして(b)プロテアーゼが、第2タンパク質への融合と、第1検定タンパク質の第2検定タンパク質への結合との両方の後でも活性状態に留まる必要があること、のみである。
【0086】
前記第1構造物に関して、前記第1検定タンパク質は、例えば、自然膜結合タンパク質、又は、標準技術によって、膜結合になるように操作されたもの、とすることができる。前記第1検定タンパク質は、例えば、GPCR類のいずれかのような膜貫通レセプター、あるいは、非限定的に、レセプターチロシンキナーゼ、レセプターセリントレオニンキナーゼ、サイトカインレセプター、等を含む、その他の対象の膜貫通レセプターとすることができる。更に、タンパク質の部分は、全長第1検定タンパク質として同様に作用するであろうことがよく知られているので、第1検定タンパク質のそのような活性部分も、ここでのタンパク質の定義に含まれる。
【0087】
当業者にとって明らかになるであろうが、本発明は、任意のタンパク質との相互作用を解析するために使用することが可能であり、GPCRなどの膜結合レセプターの解析にその範囲が限定されるものではない。例えば、非限定的に、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)、例えばIGF1R、例えば上皮成長因子(EGFR)、ErbB2/HER2/Neu又は関連のRTK;レセプターセリン/トレオニンキナーゼ、例えば、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)、アクチビン、又は骨形成タンパク質(BMP)レセプター;サイトカインレセプター、例えば、インターロイキン、エリスロポエチン,G−CSF,GM−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)のためのインターフェロンファミリーのためのレセプター及びレプチンレセプター:エストロゲンレセプター1(ESR1)、 エストロゲンレセプター2(ESR2)等の必ずしも自然には膜結合ではないその他のレセプター、を含む他のクラスの膜貫通レセプターの活性が含まれる。それぞれのケースにおいて、前記方法は、対象レセプターを含むキメラタンパク質の発現を指令する改変レセプター構造物によって細胞をトランスフェクションする工程を含み、前記構造物には、プロテアーゼ開裂部位と、それに後続の、転写因子をコードする核酸分子とが付着している。前記細胞は、前述の部位を認識し開裂する前記プロテアーゼに融合された相互作用タンパク質から成るキメラタンパク質の発現を指令する第2構造物と同時トランスフェクションされる。EGFR等のRTKの場合、この相互作用タンパク質は、ホスホリパーゼC(PLC)等のSH2(Srcホモロジードメイン2)含有タンパク質又はその一部、又は、Srcホモロジー2ドメイン含有トランスフォームタンパク質1(SHC1)から構成することができる。TGFβ、アクチビン、BMPレセプターなどのレセプターセリン/トレオニンキナーゼの場合、この相互作用タンパク質は、Smadタンパク質又はその一部とすることができる。インターフェロン−α/β又はインターフェロン−γガンマレセプターなどのサイトカインレセプターの場合、この相互作用タンパク質は、非限定的に、Stat1,Stat2等の転写(STAT)タンパク質、ヤヌスキナーゼ(JAK)タンパク質Jak1,Jak2又はTyk2、又はそれらの一部の、シグナルトランスデューサ及び活性化物質とすることができる。それぞれの場合において、前記トランスフェクト細胞は、前記レセプターに融合された前記転写因子によって調節されるレポーター遺伝子を含む。次に、前記トランスフェクト細胞を、特定の期間、検定化合物で処理し、この検定期間の最後に前記レポーター遺伝子の活性を測定する解析を行う。もしも、検定化合物が対象のレセプターを活性化すれば、前記対象レセプターと前記相互作用タンパク質との間の相互作用が刺激され、それによって前記プロテアーゼ部位が開裂し、融合された転写因子が遊離され、これを、レポーター遺伝子活性における増加として測定することが可能となる。
【0088】
他の可能な検定タンパク質の対としては、抗体−リガンド、酵素−基質、二量化タンパク質、シグナル伝達カスケードの成分、その他周知のタンパク質の対がある。
【0089】
レポーター
レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質は、検出可能なシグナルをもたらす、遺伝子、発現又は欠如に対する影響を与える任意のタンパク質とすることができる。典型的なタンパク質レポーターは、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素(CAT)、β−グルクロニダーゼ(glucuronidase)(GUS)又はβ−ガラクトシダーゼ等の酵素を含む。又、グリーン蛍光タンパク質、レッド蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、アルカリフォスファターゼ等の蛍光及び化学発光タンパク質も考えられる。
【0090】
転写因子とリプレッサ
本発明に拠れば、操作された宿主細胞内でのレポーター遺伝子の発現を活性化するために転写因子が使用される。これら転写因子は、一般に、それらのDNA結合ドメインの構造に応じて分類され、それらは一般に、(a)ジンクフィンガー、(b)へリックス−ターン−へリックス(helix-turn-helix)、(c)ロイシンジッパー(leucine zipper)、(d)へリックス−ループ−へリックス(helix-loop-helix)、又は(e)高移動性グループである。転写因子の活性化ドメインが、転写装置(RNAポリメラーゼ)の成分又は、その他の調節タンパク質と相互作用し、それによってDNA結合の効率に影響を与える。
【0091】
Rel/核内因子 kB(NF−kB)と活性化タンパク質−1(AP−1)とが、最もよく研究されている転写因子ファミリーに含まれる。それらは、炎症や腫瘍形成などの病理的結果をもたらす、シグナル伝達経路の重要な成分として同定されている。その他の転写因子ファミリーは、熱ショック/E2Fファミリー、POUファミリー及びATFファミリーを含む。tTAやGAL4等の特定の転写因子が本発明の使用に考えられる。
【0092】
転写因子は、使用可能な1つの分子クラスであるが、前記解析を改造して、測定可能なシグナルがシグナル発生器のダウンレギュレーション又は細胞死である、転写リプレッサ分子の使用を可能にすることもできる。
【0093】
プロテアーゼ及び開裂部位
プロテアーゼは、特定の部位において他のタンパク質を開裂する十分に特徴付けられている酵素である。1つのファミリー、Ser/Thrプロテアーゼは、セリン及びトレオニン残基で開裂する。他のプロテアーゼは、システイン又はチオールプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、ジ及びトリペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、及びペプチジルペプチダーゼを含む。これらの選択は、当業者次第であり、勿論、ここに記載されている分子に限定される必要はない。酵素が触媒ドメインを有し、これらを全長プロテアーゼの代わりに使用することが可能であることはよく知られている。そのようなものも本発明に含まれる。1つの具体的実施例は、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼ又は、その活性部分である。当業者に明らかなように、その他のプロテアーゼの特定の開裂部位も使用可能である。
【0094】
検定タンパク質の改変
前記第1検定タンパク質は、この解析において前記相互作用タンパク質に対するその結合を増強するように改変することができる。例えば、ある種のGPCRは、リガンド刺激により、アレスチンにより安定的に、又はより高い親和性で結合し、この増強された相互作用は、別々のドメイン、例えば、C末端尾部におけるセリンとトレオニン残基のクラスター、によって媒介されることが知られている(オークレイ(Oakley)ほか, J.Biol.Chem. 274:32248-32257,1999及びオークレイ(Oakley)ほか, J.Biol.Chem. 276:19452-19460, 2001)。これを一例として使用して、レセプターなどの膜結合タンパク質の親和性を増加するために、レセプターコード配列自身を、それが結合するタンパク質で改変できることが明らかである。そのような改変の具体例は、上述したもののような、レセプターなどの膜結合タンパク質のC末端領域の、それの、結合タンパク質に対してより高い親和性を有するがレセプター機能には影響しない別のレセプターの対応領域との置換を含む、改変である。例16及び20は、本発明のこの特徴の実施例を示すものである。
【0095】
更に、前記第2検定タンパク質を、前記第1検定タンパク質とのその相互作用を増強するべく改変することができる。例えば、前記解析は、アゴニスト−占有GPCRに、より安定的に、又は、リン酸化−独立様式で結合することが知られている、アレスチンなどの、第2検定タンパク質の点変異体、切断体又はその他のバリアントを含むことができる(コヴォーア(Kovoor)ほか, J. Biol. Chem., 274: 6831-6834,1999)。
【0096】
III.解析形態
上述したように、本発明は、その一実施例において、二つの検定タンパク質の、同じ細胞内で発現された時の、相互作用を評価する簡単な方法を提供する。第1構造物は、上述したように、それ自身、レポーター遺伝子アクチベーターをコードする配列に連結されている、プロテアーゼ又はプロテアーゼ部分のための開裂部位をコードする配列に連結されている第1タンパク質をコードする配列を含む。ここで、「連結」とは、記載した配列が、融合して、全ての要素を含む1つのポリペプチドに翻訳可能な、1つの完全なオープンリーディングフレームを作り出すことを意味する。これらは、別のタンパク質又はペプチドをコードする又はコードしないものとすることができる追加のヌクレオチド配列によって分離されたものであっても、又は分離されないものであってもよい。前記組換え細胞に挿入される第2構造物も、上述した、即ち、それは、第2タンパク質と、前記プロテアーゼ又はプロテアーゼ部分をコードする配列との両方を含む。これらの要素は協働で、標的タンパク質相互作用に対するその作用が追求される候補物質と組み合わされて基本解析形態を構成する。
【0097】
しかし、本発明は、そのそれぞれが、ここに記載のクラスのタンパク質などの、タンパク質の活性化によって刺激される、異種のレポーター遺伝子を同時に使用することによって、1つ以上の、レセプターなどの膜結合タンパク質を解析するのにも使用することができる。例えば、これは、異なるレセプター構造物及び異なるレポーター遺伝子でトランスフェクトされた細胞を混合すること、又は、各検定レセプターに異なる転写因子を融合し、検定化合物での処理後の各レポーター遺伝子の活性を測定することによって、達成することができる。例えば、対象分子が第1レセプターを活性化するか否か、さらに、第2レセプターとの相互作用によって、副作用が発現されるか否か、を決定することが望ましいかもしれない。そのような場合、例えば、第1レセプターと第1レポーター、lacZのような、とをコードする第1細胞ラインと、第2レセプターと第2レポーター、GFP等のような、とをコードする第2細胞ラインとを使用することができる。そのようなシステムの好適実施例が、例17と18に見られる。前記二つの細胞ラインを混合し、対象の化合物を添加し、一方に対する明確な作用と、他方に対する作用の欠如を求めることができる。
【0098】
尚、本発明は、一対の相互作用検定タンパク質が検定される解析と、より好ましくは、ここで「マルチプレックス(multiplex)」解析と称するものが使用される解析との両方に関する。そのような解析は、様々な方法で実行可能であるが、いずれの場合でも、一対以上の検定タンパク質が同時に検定される。これは、例えば、そのそれぞれが、各相互作用タンパク質の対を検定するべく、トランスフォーム又はトランスフェクトされている複数の細胞のサンプルを提供することによって達成可能である。これらの異なるトランスフォーム細胞は、1つの容器内で同時に組み合わせ、検定することができ、或いは、各タイプの形質転換体を別々の容器に入れて、その後検定することも可能である。
【0099】
ここに記載のマルチプレックス解析に使用される前記細胞は、同じであっても、又は同じでなくてもよい。同様に、使用されるレポーターシステムは、各サンプルにおいて同じであっても、又は同じでなくてもよい。前記サンプル又は複数のサンプルが、例えばマイクロアレイのウェルなどの、容器に入れられた後、単数又は複数の化合物を、容器にセットされた複数の相互作用タンパク質の対に対してスクリーニングすることができる。
【0100】
前記構造物によって発現される前記融合タンパク質も、本発明の特徴である。当業者にとって明らかになるであろう本発明のその他の態様は、前記融合タンパク質を同定することが可能な抗体、更に、タンパク質の存在を測定するための種々のタンパク質に基づく解析、又、遺伝子の発現を測定する、PCRによる解析などの、ハイブリダイゼーション解析である。
【0101】
IV.キット
ここに記載の組成物のいずれも、キットとして構成することができる。従って、このキットは、本発明の前記ベクター又は細胞のための適当な容器手段と、本発明に使用可能な追加の任意の試薬とを含むものとなる。
【0102】
前記キットは、適当に分割された本発明の組成物を含む。これらのキットの構成部分は、水性媒体中又は凍結乾燥状態でパッケージ化することができる。前記キットの容器手段は、一般に、その中に、成分が配置される、好ましくは、適当に分取される、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器又はその他の容器手段を含む。キット中に1つ以上の構成部分が含まれる場合は、このキットは、更に、それらの中にそれらの追加構成部分を別々に入れることが可能な、第2、第3、又はその他追加の容器を含むものとされる。但し、種々の組み合わせの構成部分を1つのバイアル中に含ませることも可能である。本発明のキットは、更に、通常、市販のために、試薬容器を密に封じ込めるための手段を備える。そのような容器は、その中に所望のバイアルが保持される射出成形又は吹出し成形容器を含むことができる。
【0103】
前記キットの構成部分が単数又は複数の溶液として提供される場合、その溶液は、水溶液であり、殺菌水溶液が特に好ましい。但し、前記キットの構成部分は、乾燥粉末(単数又は複数)として提供することも可能である。試薬および/又は成分が乾燥粉末として提供される場合、その粉末は、適当な溶剤の添加によって再構築することができる。前記溶剤も、別の容器手段に入れて提供することも考えられる。
【実施例】
【0104】
V.例
本発明を説明する具体的実施例は、下記の例から理解されるであろう。但し、本発明はこれらに限定されるものと解釈されてはならない。
【0105】
例1
標準命名法に 従って、以下“ADRB2”と称するヒトβ2アドレナリンレセプターをコードするDNAを使用して、融合構造物を形成した。そのヌクレオチド配列は、GenBankにおいて、受入番号NM_ 000024(配列識別番号1)で得られる。ここに参考文献として合体させるゴッセン(Gossen)ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA , 87: 5547-5551(1992)に記載されているテトラサイクリン調節性トランスアクチベーターtTAも使用された。ここに参考文献として合体させるパークス(Parks)ほか, Anal. Biochem., 216: 413-417 (1994)に記載されている、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼに対する認識及び開裂部位をコードする配列が、前記融合コード遺伝子のこれらの配列の間に挿入されている。前記CMVプロモーター領域を、ADRB2コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、前記tTA領域の下流側に配置した。
【0106】
先ず、内部BamHI及びBgIII制限部位が欠如した形態のADRB2を作り出すことによって融合構造物を調製した。更に、内在性の終止コドンを、ユニークなBamHI部位によって置換した。
【0107】
これを行うためにオーバラッピングPCRを使用した。詳述すると、前記コード領域の5’部分を、
gattgaagat ctgccttctt gctggc(配列識別番号2)、及び、
gcagaacttg gaagacctgc ggagtcc(配列識別番号3)によって増幅した。
一方、前記コード領域の3’部分を、
ggactccgca ggtcttccaa gttctgc(配列識別番号4)、及び、
ttcggatcct agcagtgagt catttgt(配列識別番号5)によって増幅した。
【0108】
その結果得られたPCR産物は、27ヌクレオチドのオーバーラッピング配列を有し、これらを標準アガロースゲル電気泳動によって精製した。これらを互いに混合し、配列識別番号2と配列識別番号5とで増幅した。
【0109】
前記内因性の開始コドンがTEV NIa−Pro開裂部位によって置換されるようにtTAのコード領域を改変するのにもPCRが使用された。7アミノ酸配列ENLYFQS(配列識別番号6)によって形成されている前記開裂部位は、ここに参考文献として合体させるパークス(Parks)ほか, Anal. Biochem., 216: 413-417(1994)によって教示されている。7番目のアミノ酸は、P1’位置として知られており、これを他のアミノ酸と置換することによって、TEV NIa−Proによる開裂の効率が減少することが知られている。カプスト(Kapust)ほか, Biochem. Bophys. Res. Commun., 294: 949-955(2002)を参照。
【0110】
第7アミノ酸がTyrに変更されたバリアント、及び、それがLeuに変更されたバリアントを作成した。これらによって、天然の高効率部位と比較して、中及び低効率の開裂部位が得られた。
【0111】
前記天然高効率部位をコードするDNA配列を、tTAコード領域に二つの工程で付加した。簡単に説明すると、
ccggatcctc tagattagat aaaagtaaag tg(配列識別番号7)、及び
gactcgagct agcagtatcc tcgcgccccc taccc(配列識別番号8)、でのPCRによって、BamHI及びXbaI制限部位を5’末端に付加し、XhoI制限部位をtTAコード領域の3’末端に付加した。そして、TEV NIa−Pro開裂部位を、BamHIとXbaI部位の間で下記の配列、
gagaacctgt acttccag(配列識別番号9)に、オリゴヌクレオチドを連結することによって5’末端に付加した。
【0112】
このDNA配列を、以下を使用したPCRによって前記中及び低効率開裂部位をコードするように改変した。
ENLYFQY(配列識別番号12)の場合は、
ggatccgaga acctgtactt ccagtacaga tta(配列識別番号10)、及び、
ctcgagagat cctcgcgccc cctacccacc(配列識別番号11)、そして
ENLYFQL(配列識別番号14)の場合は、
ggatccgaga acctgtactt ccagctaaga tta(配列識別番号13)、及び、
ctcgagagat cctcgcgccc cctacccacc(配列識別番号11)。
【0113】
これらのPCR工程によって、更に、BamHI制限部位5’が各開裂部位をコードする配列に、そして、XhoI制限部位3’がtTA終止コドンに導入された。
【0114】
このようにして改変されたADRB2コード領域を、前記コード領域のヌクレオチド位置260で切断するPstIと、BamHIとで消化した。この3’フラグメントを、予めBamHI及びXhoIで消化しておいたTEV NIa−Pro開裂部位によって改変されたtTAの前記三つのバリアントと連結し、得られた複合体を、予めPstIとXhoIとで消化しておいたpBlueScript IIにクローニングした。
【0115】
再度、
gcggccgcca ccatgaacgg taccgaaggc cca(配列識別番号15)、及び、
ctggtgggtg gcccggtacc a(配列識別番号16)を、使用したPCRによって、前記ADRB2コード領域の開始コドンの5’にNotI制限部位が導入された。
【0116】
改変ADRB2コード領域の前記5’フラグメントを、NotIとPstIとの消化によって単離し、これを、予め消化しておいたADRB2−TEV−NIa−Pro開裂部位tTA融合の3’フラグメントの構造物のそれぞれに連結し、融合タンパク質をコードする三つの全長構造物を作成した。
【0117】
各構造物を、NotIとXhoIとで消化し、次に、NotIとXhoIとで消化された、市販の発現ベクターpcDNA3に挿入した。
【0118】
例2
第2の構造物も作成し、ここでは、以後“βアレスチン2又はARRB2”と称する(GenBank, NM_004313)(配列識別番号17)のコード配列を、TEVタンパク質のTEV NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(即ち、成熟NIaプロテアーゼのアミノ酸189−424、残基2040−2279)に連結した。これを行うために、ARRB2をコードするDNA配列を、BamHI制限部位をその5’末端に付加するように改変した。更に、この配列を、内在性の終止コドンをBamHI部位で置換するように改変した。下記のオリゴヌクレオチド、
caggatcctc tggaatggg gagaaaccg ggacc(配列識別番号18)、及び、
ggatccgcag agttgatcat catagtcgc(配列識別番号19)が使用された。得られたPCR産物を、市販のベクターpGEM−T EASY(Promega)にクローニングした。前記pGEM−T EASYベクターのマルチクローニング部位は、ARRBの開始コドンへのEcoRI部位5’を含む。
【0119】
次に、コロジエイ(Kolodziej)ほか, Meth. Enzymol., 194: 508-519(1991)に従って、前記TEV NIa−Proコード領域を、前記内在性の開始コドンをBglII部位によって置換し、3’末端に、インフルエンザヘマグルチニンエピトープYPYDVPDYA(配列識別番号20)をコードする配列を挿入し、その後、終止コドンとNotI制限部位とするように改変した。これは、
agatctagct tgtttaaggg accacgtg(配列識別番号21)、および、
gcggccgctc aagctaac tggaacatca tatgggtacg agtacaccaa ttcattcatg at(配列識別番号22)、を使用するPCRによって達成された。
【0120】
得られた改変ARRB2コード領域をEcoRIとBamHIとで消化し、他方、改変TEVコード領域を、BglIIとNotIで開裂した。両フラグメントを、市販のpcDNA3発現ベクターに連結し、EroRIとNotIで消化した。
【0121】
例3
ADRB2−TEV−NIa−Pro開裂部位t−TA及びARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合タンパク質をコードするプラスミドを、HEK−293T細胞と、tTA依存プロモーターの制御下で、安定的にβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を取り込んだ、HEK−293Tの誘導体である、「クローン41」とにトランスフェクトした。約5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン、100μg/ml G418及び5μg/mlプリマイシン(purimycin)を添加したDMEM培地中で、24ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を次の日、50%のコンフルエンシーにまで増殖させ、次に、0.4μgのプラスミドDNA、及び2μlのFugene(脂質とその他の物質を含有する専売のトランスフェクション試薬)を使用してトランスフェクトした。この混合物を、100μlのDMEM培地中で組み合わせ、細胞の添加の前に、室温で15分間インキュベートした。トランスフェクション細胞を、検定8〜20時間前に、レセプターのための公知のアゴニストである薬剤を添加することによってインキュベートし、その後、薬剤添加後、16−24時間インキュベートした。
【0122】
例4
前記細胞内のβ−ガラクトシダーゼのレベルを、先ず、ここに参考文献として合体させるマクグレガー(MacGregor)ほか, Somat. Cell Mol. Genet., 13: 253-265(1987)によって教示されているように、これらの細胞を、発色性物質、即ち、“X−gal”によって染色することによって測定した。培養後、細胞を、カルシウムとマグネシウムを含むD−PBS中で二回洗浄し、4%パラホルムアルデヒド中で5分間固定し、その後、追加の二回、それぞれ10分間、D−PBS、カルシウム及びマグネシウムによって洗浄した。固定された細胞を、予め、カルシウムとマグネシウムとを含むD−PBS中で、4% X−Gal保存液の1:40希釈によって調製しておいた、5mMのフェリシアン化カリウム、5mMのフェロシアン化カリウム、2mMのMgCl2、0.1% X−Gal、とインキュベートした。
【0123】
前記反応物を、暗所で室温にて3〜4時間から一晩インキュベートした。基質溶液を除去し、細胞を、ガラスカバーグラス下で、モヴィオール(mowiol)封入剤(10% モヴィオール、0.1% 1.4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、24%グリセロール)で封入した。
【0124】
その結果、前記ADRB2−TEV−NIa−Pro開裂部位t−TAプラスミドのみ、又は、ARRB2−TEV−NIaプロテアーゼプラスミドのみのいずれによってトランスフェクトされた細胞も、β−ガラクトシダーゼを発現しないことが示された。両プラスミドでトランスフェクトされた小さな割合の細胞は、恐らくは、刺激を受けなかったADRB2とARRB2との間の相互作用の基礎レベルにより、β−ガラクトシダーゼを発現した。約3−5倍の多くの細胞が、共にADRB2アゴニストである、10μMイソプロテレノール又は10μMのエピネフリンでの処理後、前記レポーター遺伝子を発現した。
【0125】
前記細胞をADRB2アンタゴニストのアルプレノロール(10μM)で5分間前処理した時、β−ガラクトシダーゼ発現細胞におけるアゴニスト誘導増加は阻止され、そして、アルプレノロールのみでの処理では明白な効果は無かった。
【0126】
これらの結果は、アゴニスト結合とGPCR刺激とを、レポーター遺伝子の転写活性化に結びつけることができる、ということを示している。
【0127】
例5
細胞中におけるレポーター遺伝子活性のレベルをより正確に定量化し、分析におけるシグナル対バックグランド比を最大化するために一組の実験を行った。これは、β−ガラクトシダーゼ活性のための市販の化学発光解析を使用してレポーター遺伝子誘導のレベルを測定することによって達成された。クローン41細胞を、ADRB2−tTA融合構造物、前記高、中または低効率開裂部位のいずれかを含む、及び上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミド、でトランスフェクトした。細胞を、トランスフェクション後、1μMのイソプロテレノールで処理しないか、又は20時間処理し、薬剤添加の24時間後に発光解析を行った。簡単に説明すると、細胞培養後、培地を除去し、50μlの溶解緩衝液(100mMリン酸カリウム、pH7.8,0.2% Triton X−100)を各ウェルに添加した。細胞を、緩やかに攪拌しながら、室温で5分間のインキュベーションによって溶解させた。溶解物を収集し、市販の製品によって分析した。
【0128】
全てのケースにおいて、アゴニストでの処理によって、β−ガラクトシダーゼのレベルが増加した。しかし、未処理の細胞でのレポーター遺伝子活性のバックグランドレベルは、中及び高効率部位に対して、低効率開裂部位で最低であった。更に、アゴニスト処理によって、中効率開裂部位での2.8倍と高効率開裂部位での1.2倍に対して、低効率開裂部位でトランスフェクトされた細胞中でのレポーター遺伝子活性は4.8倍の刺激をもたらした。従って、低効率プロテアーゼ開裂部位を使用することによって最高のシグナル対バックグランド比が得られる。
【0129】
例6
これらの実験は、レポーター遺伝子発現におけるアゴニスト刺激増加が、アゴニストによるレセプターの結合と活性化に依存することを証明するために構成された。
【0130】
これを行うために、そのそれぞれが、アゴニスト イソプロテレノールへの親和性の大幅な低下をもたらす、位置113における1つのアミノ酸のDからSへの変更を有する前記レセプターの変異体を含んでいることを除いて、上述したプロトコルに従って、前記ADRB2−tTA融合タンパク質のバリアントを作成した。ストレーダー(Strader)ほか, J. Biol. Chem. 266: 5-8 (1991)を参照。それぞれ異なる開裂部位をもつ三つの形態の変異体レセプター−tTA融合構造物が形成された。
【0131】
前記ADRB2−tTA、D113S点変異を含む、及び上述したADRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミド、でコトランスフェクトされたクローン41細胞中でβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルを測定した。これらの活性検定は、上述したものと全く同様に行われた。その結果、アゴニスト、イソプロテレノールは、前記変異ADRB−tTA融合構造物を発現する細胞中においてレポーター遺伝子発現を刺激しないことが示された。
【0132】
例7
これらの実験は、レポーター遺伝子発現のアゴニスト刺激増加が、TEV NIa−ProのARRB2への融合に依存するか否かを調べるために構成された。
【0133】
これを行うために、前記低効率開裂部位を含むADRB2−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミドか、又は、ホスホリパーゼCのSH2ドメインへの対照TEV−NIa融合物のいずれかとでコトランスフェクトされたクローン41細胞中でβ−ガラクトシダーゼのレベルを測定した。これらの活性検定は、上述したものとまったく同様に行われた。その結果、レポーター遺伝子発現のアゴニスト刺激増加は、TEVプロテアーゼがARRB2に融合された場合にのみ検出され、無関係のポリペプチドに融合された場合には検出されないことが示された。
【0134】
例8
これらの実験は、遺伝子発現が標的レセプターのアゴニストによって選択的に誘導されるか否か、或いは、それがその他の分子によって刺激することが可能であるか否か、を調べるために構成された。
【0135】
ATPは、HEK−293T細胞によって内在的に発現される、Gタンパク質共役レセプターP2Y1及びP2Y2に対するアゴニストである。
【0136】
前記低効率開裂部位を含むADRB2−tTA融合構造物と上述のアレスチン−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトされ、イソプロテレノール、ATPで処理された又は処理されない、クローン41細胞を使用して実験を行った。これらの解析は、上述した通りに行われた。
【0137】
その結果、レポーター遺伝子活性の誘導は、標的レセプターの活性化に対して特異的であることが示された。別のGPCR経路の刺激は無関係であった。
【0138】
例9
前記低効率開裂部位を含むADRB2−tTA融合構造物と上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトされ、種々の量の、アドレナリンレセプターアゴニスト、イソプロテレノール及びエピネフリンのいずれか1つで処理されたクローン41細胞を使用して1セットの実験を行った。これらの解析は、上述した通りに行われた。図2aに示されているその結果は、これら二つのリガンドによるレポーター遺伝子発現の刺激の用量−反応曲線を示している。各ポイントは、三つの実験から得られた平均値を表している。
【0139】
コトランスフェクションクローン41細胞を、異なる濃度でアドレナリンレセプターアンタゴニスト、アルプレノロールで15分間前処理し、その後、1μMのエピネフリンでの処理を行うという1セットの実験を上述したようにして行った。図2bに示されているその結果は、このアンタゴニストの用量−抑制曲線を示している。
【0140】
例10
Gタンパク質共役アルギニンバソプレッシンレセプター2(AVPR2)の分析を確立するために類似のセットの構造体を作成した。AVPR2コード領域(GenBank受入番号: NM_000054)(配列識別番号23)を、プライマー、
gaattcatgc tcatggcgtc caccac(配列識別番号24)、及び、
ggatcccgat gaagtgtcct tggccag(配列識別番号25)でPCRを使用して、5’末端にEcoRIを配置し、そして終止コドンをBamHI部位によって置換するように改変した。
【0141】
前記改変AVPR2コード領域を、EcoRIとBamHIとで切断しておいた、上述の三つのADRB2−tTA構造物に連結した。これによって、ADRB2の全コード配列がAVPR2のコード配列によって置換された。
【0142】
クローン41細胞を、前記低効率開裂部位を含むAVPR2−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とによってコトランスフェクトし、種々の濃度(1pM〜2μM)の、[Arg8]バソプレッシン、AVPR2のアゴニスト、を使用して解析を行った。図3に示すそのデータは、以前に刊行されたデータ(オークレー(Oakley)ほか, Assay and Drug Development Technologies, 1: 21-30、(2002))と一致する、3.3nMのEC50をもつ、このアゴニストの用量反応曲線を示している。最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の約40倍の誘導が得られた。
【0143】
例11
Gタンパク質共役セロトニンレセプター1a(HRT1A)の解析を確立するために、類似セットの実験を行った。前記HTR1Aコード領域(Genbank受入番号NM_000524)(配列識別番号26)を、プライマー、
gaattcatgg atgtgctcag ccctgg(配列識別番号27)、及び、
ggatccctgg cggcagaact tacac(配列識別番号28)、でのPCRを使用して、5’末端にEcoRI部位を配置し、終止コドンをBamHI部位によって置換するべく改変した。
【0144】
前記改変HTR1Aコード領域を、EcoRIとBamHIとで切断された上述のAVPR2−tTA構造物に連結した。これによって、AVPR2の全コード配列が、HTR1Aのコード配列によって置換された。その結果得られた構造体を、以後“HTR1A−tTA”と称する。
【0145】
クローン41細胞を、前記低効率開裂部位を含むHTR1A−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合構造物とによってコトランスフェクトし、10μM 8−ヒドロキシ−DPAT HBr(OH−DPAT)、HTR1Aのアゴニスト、更に、10μMのセロトニン、HTR1Aの天然アゴニスト、とを使用して解析を行った。これらの解析は上述したようにして行われた。OH−DPATへの最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の6.3倍の誘導が得られ、セロトニンへの最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の4.6倍の誘導が得られた。
【0146】
例12
Gタンパク質共役m2ムスカリンアセチルコリンレセプター(CHRM2)のための解析を確立するために類似の構造体を作成した。CHRM2コード領域(Genbank受入番号NM_000739)(配列識別番号29)を、プライマー、
gaattcatga ataactcaac aaactcc(配列識別番号30)、及び、
agatctcctt gtagcgccta tgttc(配列識別番号31)、でのPCRを使用して、5’末端にEcoRI部位を配置し、終止コドンをBgIII部位によって置換するべく改変した。
【0147】
前記改変CHRM2コード領域を、EcoRIとBamHIとで切断された上述のAVPR2−tTA構造物に連結した。これによって、AVPR2の全コード配列が、CHRM2のコード配列によって置換された。
【0148】
クローン41細胞を、前記高効率開裂部位を含むCHRM2−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合構造物によってコトランスフェクトし、ここで、ARRB2−プロテアーゼ融合タンパク質が、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)プロモーターの制御下で発現され、10μMのカルバミルコリンC1(カルバコール(carbochol))、CHRM2のアゴニスト、を使用して、上述したように解析を行った。カルバコールへの最大の反応によって、バックグランドレベルに対して、レポーター遺伝子発現の7.2倍の誘導が得られた。
【0149】
例13
Gタンパク質共役ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター5(CCR5)の解析を確立するためにα構造物も作成した。CCR5コード領域(Genbank受入番号NM_000579)(配列識別番号32)を、プライマー、
gcggccgcat ggattatcaa gtgtcaagtc c(配列識別番号33)、及び、
ggatccctgg cggcagaact tacac(配列識別番号34)、でのPCRを使用して、5’末端にNotI部位を配置し、終止コドンをBamHI部位によって置換するべく改変した。
【0150】
CCR5コード領域を、プライマー、
ggtctccaat tcatggatta tcaagtgtca agt(配列識別番号35)、及び、
gacgacagcc aggtacctat c(配列識別番号36)、を使用して、それが切断された時に、EcoRI切断DNAと適合するヌクレオチド突出部分を残す、5’末端にBsaI部位を配置するようにも改変した。
【0151】
前記第1の改変コード領域をClaIとBamHIとで切断し、第2のものをBsaIとClaIとで切断した。これら両フラグメントを、EcoRIとBamHIとで切断しておいた、AVPR2−tTA構造物に上述したように連結させた。これによって、AVPR2の全コード配列がCCR5のコード配列によって置換された。
【0152】
前記低効率開裂部位を含むCCR5−tTA融合構造物を、上述のHEK細胞ライン“クローン41”の誘導体であるが、CMVプロモーターの制御下で安定的に組み込まれたARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合遺伝子を含む、“クローン34”細胞にトランスフェクトした。1μg/mlの「Regulated on Activation, Normal T-Cell Expressed and Secreted」(RANTES)、CCR5に対する公知のアゴニスト、を使用して解析を行った。上述したように測定された、RANTESに対する最大反応によって、バックグランドに対するレポーター遺伝子発現の約40倍の誘導が得られた。
【0153】
例14
次に、Gタンパク質共役ドーパミン2レセプター(DRD2)の解析を確立するために一組の構造物を作成した。DRD2コード領域(Genbank受入番号NM_000795)(配列識別番号37)を、プライマー、
gaattcatgg atccactgaa tctgtcc(配列識別番号38)、及び、
agatctgcag tggaggatct tcagg(配列識別番号39)、を使用して、5’末端にEcoRI部位を配置し、終止コドンをBgIII部位によって置換するべく改変した。
【0154】
改変されたDRD2コード領域を、EcoRIとBamHIとによって切断された、AVPR2−tTA構造物に上述したようにして連結した。これによって、AVPR2の全コード配列がDRD2のコード配列によって置換された。
【0155】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2のアゴニスト、を使用して解析を行った。その結果を、上述した解析と同様にして測定した。ドーパミンに対する最大反応によって、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の2.7倍の誘導が得られた。
【0156】
例15
これらの実験は、アゴニスト占有GPCRを安定的に結合するアレスチン変異体を使用した解析の増強を証明するように構成された。先ず、β−アレスチン−1(ARRB1)に対するTEV NIaプロテアーゼの融合物を構築した。ARRB1のコード領域(Genbank受入番号. NM_004041)(配列識別番号40)を、プライマー、
ggtaccatgg gcgacaaagg gacgcgagtg(配列識別番号41)、そして、
ggatcctctg ttgttgagct gtggagagcc tgtaccatcc tcctcttc(配列識別番号42)、での使用したPCRを使用して、5’末端にAsp718部位を配置し、終止コドンをBamHI部位で置換するべく改変した。
【0157】
その結果得られた改変ARRB1コード領域を、Asp718とEcoRI、そして、EcoRIとBamHIとで切断し、他方、上述した改変TEV NIa−Proコード領域は、BgIIIとNotIで切断した。三つ全部のフラグメントを、Asp718とNotIとで消化しておいた、市販のpcDNA3発現ベクターに連結した。
【0158】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、ARRB1−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、D2レセプターのアゴニスト、を上述したように使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大の反応で、バックグランドに対するレポーター遺伝子発現の2.1倍の誘導が得られた。
【0159】
ARRB1のアミノ酸382以後の切断によって、GRK−媒介リン酸化と独立した、アゴニスト結合GPCRに対する親和性が増大するこが報告されている(コヴォーア エイ(Kovoor A.)ほか,J. Biol. Chem. 274 (11): 6831-6834 (1999))。本解析におけるそのような「常時活性型のconstitutively active)」アレスチンの使用を示すために、β−アレスチン−1のコード領域を、上述した配列識別番号41、及び、
ggatccattt gtgtcaagtt ctatgag(配列識別番号43)、でのPCRを使用して、5’末端にAsp718部位を配置し、アミノ酸382のあとにBamHI部位を配置するべく、改変した。
【0160】
これによって、全長コード領域よりも36アミノ酸短いARRb1コード領域が得られる。これによって得られた改変ARRB1コード領域、“ARRB1(Δ383)”と称する、を、Asp718とEcoRI、そしてEcoRIとBamHIで切断し、他方、上述の前記改変TEV NIa−Proコード領域をBgIIIとNotIで切断した。これら三つのフラグメント全部を、市販のpcDNA3発現ベクターに連結し、Asp718とNotIで消化した。
【0161】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、ARRB2(Δ383)−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とによってコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2レセプターに対するアゴニスト、を上述したように使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の8.3倍の誘導が得られた。
【0162】
前記ARRB2コード領域の同等の切断の作用を調べるために、ARRB2のコード領域を、プライマー、
ggtaccatgg gggagaaacc cgggacc(配列識別番号44)、及び、
ggatcctgtg gcatagttgg tatc(配列識別番号45)、でPCRを使用して、5’末端にAsp718部位を配置し、3’末端の81のヌクレオチドをBamHI部位で置換するように改変した。
【0163】
これによって、全長コード領域よりも27アミノ酸短いARRB2コード領域が得られる。これによって得られた改変ARRB2コード領域を、Asp718とBamHIで切断し、他方、上述の改変TEV NIa−Proコード領域をBgIIIとNotIとで切断した。両フラグメントを、市販のpcDNA3発現ベクターに連結し、AsP718とNotIで消化した。
【0164】
クローン41細胞を、前記中効率開裂部位を含むDRD2−tTA融合構造物と、ARRB2(Δ383)−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とによってコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2レセプターに対するアゴニスト、を上述したように使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の2.1倍の誘導が得られた。
【0165】
図4に示すこれらの結果は、DRD2ドーパミンレセプター解析が、前記アレスチン変異体ARRB1(Δ383)を使用して最高のシグナル対バックグランドを示すことを証明している。
【0166】
例16
この組の実験は、相互作用タンパク質に対する親和性を増大させるように構成されたレセプター改変体を使用した解析の増強を証明するために行われた。この例において、検定レセプターのC末端尾部ドメインが、高い親和性でアレスチンと結合することが知られているレセプターである、AVPR2からの対応の尾部ドメインによって置換された。これらの例において、前記融合結合部(junction)が、通常、レセプターC−末端の推定パルミトイル化部位の直後の位置に対応する、第7膜貫通螺旋の末端における保存NPXXYモチーフの後の15〜18のアミノ酸に作られた。
【0167】
先ず、PCRを使用して、前記低効率TEV開裂部位とtTA転写因子の前に、AVPR2からのC末端の29アミノ酸をコードするDNAフラグメントを作成した。このフラグメントは、又、最初の二つのアミノ酸(Ala,A及びArg,R)が、BssHII制限部位GCGCGCによってコードされるようにも構成されている。これは、プライマー、
tgtgcgcgcg gacgcacccc acccagcctg ggt(配列識別番号46)、及び、
ctcgagagat cctcgcgccc cctacccacc(配列識別番号11)、によって、上述した低効率開裂部位を有するAVPR2−tTA構造物を増幅することによっ達成された。
【0168】
次に、DRD2のコード領域を、5’末端にEcoRIを配置し、コード領域の最後のアミノ酸(Cys−443)の後にBssHII部位を挿入するように改変した。これはプライマー、
gaattcatgg atccactgaa tctgtcc(配列識別番号47)、及び、
tgtgcgcgcg cagtggagga tcttcaggaa ggc(配列識別番号48)、でPCRを使用して行われた。
【0169】
得られた改変D2コード領域を、EcoRIとBssHIIで切断し、その結果得られたAVPR2 C−末端尾部−低効率開裂部位−tTAフラグメントを、BssHIIとBamHIで切断した。両フラグメントを、上述したAVPR2−低効率開裂部位−tTA構造物に連結し、EcoRIとBamHIで切断した。
【0170】
クローン41細胞を、前記低効率TEV開裂部位を含むDRD2−AVPR2尾部−tTA融合構造物と、上述したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)、DRD2レセプターのアゴニスト、を使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応によって、バックグランドのレポーター遺伝子発現の約60倍の誘導が得られた。
【0171】
5’末端にAsp718部位を挿入し、Cys−341の後にBssHII部位を配置することによって、前記ADRB2レセプターコード領域を改変した構造物を作成した。これは、プライマー、
gcggccgcca ccatgaacgg taccgaaggc cca(配列識別番号49)、及び、
tgtgcgcgcg cacagaagct cctggaaggc(配列識別番号50)、でPCRを使用することによって行われた。
【0172】
前記改変ADRB2レセプターコード領域を、EcoRIとBssHIIとで切断し、前記AVPR2 C−末端尾部−低効率開裂部位−tTAフラグメントを、BssHIIとBamHIで切断した。両フラグメントを、上述したAVPR2−低効率開裂部位−tTA構造物に連結し、EcoRIとBamHIで切断した。得られた構造物が“ADRB2−AVPR2尾部−tTA”である。(前述した米国特許公開出願2002/0106379、特に、配列識別番号3を参照)。
【0173】
クローン41細胞を、前記低効率TEV開裂部位を含むADRB2−AVPR2尾部−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのイソプロテレノール、ADRB2レセプターのアゴニスト、を使用して解析を行った。イソプロテレノールに対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約10倍の誘導が得られた。
【0174】
Cys−345の後にBssHII部位を配置することによって、カッパーオピオイドレセプター(OPRK:Genbank受入番号: NM_000912)(配列識別番号51)コード領域を改変した構造物を作成した。これは、プライマー、
ggtctacttg atgaattcct ggcc(配列識別番号52)、及び、
gcgcgcacag aagtcccgga aacaccg(配列識別番号53)、でPCRを使用して行われた。
【0175】
前記改変OPRKレセプターコード領域をEcoRIとBssHIIで切断し、AVPR2 C−末端尾部−低効率開裂部位−tTAフラグメントを、BssHIIとXhoIで切断した。両フラグメントを、前記改変OPRKレセプター配列を含むプラスミドに連結し、予めEcoRIとXhoIによって消化しておいた、Asp718(5’)とXhoI(3’)でpcDNA3.1+にクローニングした。
【0176】
クローン41細胞を、前記低効率開裂部位を含むOPRK−AVPR2尾部−tTA融合構造物と、上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物とでコトランスフェクトし、10μMのU−69593、OPRKのアゴニスト、を使用して解析を行った。U−69593に対する最大反応で、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約12倍の誘導が得られた。
【0177】
例17
この実験は、マルチプレックス形態を同時に使用して二つの検定レセプターの活性を測定する解析の使用を示すように構成された。
【0178】
クローン41細胞と、tTA−依存性プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子の安定的な組み込みを含むHEK−293T細胞ラインである「クローン1H10」細胞とのそれぞれを、24−ウェルの培養皿にプレーティングし、キメラADRB2−AVPR2尾部−tTA又は上述のDRD2−AVPR2尾部−tTA融合構造物のそれぞれと、一過性にトランスフェクトした。これら一過性トランスフェクションは、各ウェル当たり、100μlの培地と、0.4μgのDNAと、2μlのFuGene試薬を使用して行われた。24時間のインキュベーションの後、ADRB2−AVPR2尾部−tTAを発現するクローン41細胞とDRD2−AVPR2尾部−tTAを発現するクローン1H10細胞とを、トリプシン処理し、同量で混合し、96ウェルプレートの12のウェルに再プレーティングした。三つ組のウェルを、薬剤の添加無しでインキュベートするか、もしくは、1μMのイソプロテレノール、1μMのドーパミン、又は1μMの両アゴニストの混合物、のいずれかで即座に処理した。細胞を、リガンド添加後、約24時間で、レポーター遺伝子活性について解析した。培地を捨て、細胞を、40μlの溶解緩衝液[100mM リン酸カリウム pH7.8,0.2% Triton X−100]中に溶解し、細胞溶解物を、ベータ−ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼ活性について、市販の発光検出用試薬を使用して解析した。
【0179】
その結果が図5Aと5Bとに示されている。イソプロテレノールでの処理によって、ベータ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子活性の約7倍の誘導が起こったのに対して、ルシフェラーゼ活性は変化しないままであった。ドーパミンでの処理によってルシフェラーゼ活性の3.5倍の誘導が起こったのに対して、ベータ−ガラクトシダーゼ活性は変化しないままであった。イソプロテレノールとドーパミン両方での処理は、ベータ−ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼ活性の7倍、及び3倍の誘導がそれぞれ起こった。
【0180】
例18
この実験は、マルチプレックス形態を同時に使用して二つの検定レセプターの活性を測定する解析の使用を説明するように構成された。
【0181】
クローン41細胞の誘導体であり、安定的に組み込まれたARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質遺伝子を含む、「クローン34.9」細胞を、上述したOPRK−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合構造物と一過性にトランスフェクトした。これと平行して、tTA−依存性プロモーターの制御下で安定的に組み込まれたルシフェラーゼ遺伝子を含むHEK−293T細胞ラインである「クローンHTL5B8.1」細胞を、上述のADRB−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合構造物と一過性にトランスフェクトした。各ケースにおいて、5x105の細胞を、6ウェル皿の各ウェルにプレーティングし、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418、及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM中で24時間培養した。細胞を、100μlのDMEM、0.5μgのOPRK−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNAと、2.5μlのFugene(「クローン34.9細胞」)で、又は、100μlのDMEM、0.5μgのADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNA,0.5μlのARRB2−TEV NIaプロテアーゼDNA及び5μgのFugene(「クローンHTL 5B8.1細胞」)で、一過性にトランスフェクトした。一過性にトランスフェクトされた細胞を、約24時間培養し、次に、トリプシン処理し、等量で混合し、96ウェルプレートのウェルに再プレーティングした。細胞を、10μM−U−69593、10μMのイソプロテレノール又はこれら両方のアゴニストの10μMの混合物、での処理の前に24時間インキュベートした。各実験条件において16のウェルを解析した。24時間後、細胞を溶解し、そしてベータ−ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性を上述のように解析した。その結果を図6に示す。U−69593での処理によって、ベータ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子活性の約15倍の誘導が起こったのに対して、ルシフェラーゼ活性は変化しないままであった。イソプロテレノールでの処理ではルシフェラーゼ活性の145倍の誘導が行ったのに対して、ベータ−ガラクトシダーゼ活性は変化しないままであった。U−69593とイソプロテレノールとの両方での処理ではベータ−ガラクトシダーゼとルシフェラーゼ活性の、それぞれ、9倍と136倍の誘導が起こった。
【0182】
例19
この例は、本発明の解析における異なる転写因子とプロモーターの使用を示すために行われた。
【0183】
AVPR2をコードし、上述したTEV−NIa−Proに対する低効率開裂部位を含むアミノ酸リンカーGSENLYFQLR(配列識別番号54)をコードするDNA配列にインフレームに融合され、イーストGAL4タンパク質(GenBank受入番号P04386)(配列識別番号55)のアミノ酸2−147をコードし、その後、リンカー、即ち、配列PELGSASAELTMVF(配列識別番号56)のリンカーが続き、その後、ネズミ核因子カツパ−B鎖p65タンパク質(GenBank受入番号A37932)(配列識別番号57)のアミノ酸368−549が続くDNA配列にインフレーム融合された、融合構造物を作成した。前記CMVプロモーターを、AVPR2コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、GAL4−NFkB領域の下流側に配置した。この構造物を、AVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4と命名した。
【0184】
HUL 5C1.1は、市販されているpFR−LUC、GAL4上流側活性化配列(UAS)の制御下で安定的に組み込まれたルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む、HEK−293T細胞の誘導体である。
【0185】
このAVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4プラスミドを、上述したβ−アレスチン2−TEV N1aプロテアーゼと、HUL 5C1.1細胞にコトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を、次の日、50%のコンフルエンシーに達するまで培養し、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、85μlのDMEMと、0.1μgのAVPR2−TEV−Nia−Pro開裂(Leu)−GAL4DNAと、0.1μgのARRB2−TEV N1aプロテアーゼDNAと、1μlのFugeneからなる各ウェル当たり10μlの混合物で、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を10μMのバソプレッシンでの処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。これらの条件下において、バソプレッシンでの処理によって、レポーター遺伝子活性の180倍の増加が行った。
【0186】
例20
このセットの実験は、相互作用タンパク質の親和性を増加させるように構成された他のレセプター改変体を使用した解析の増強を示すために行われた。この例において、検定レセプターのC末端尾部ドメインが、下記のレセプターの1つの対応の尾部ドメインと置換された。即ち、アペリン(apelin) Jレセプター−AGTRL1(受入番号NM_005161(配列識別番号58)、ガストリン遊離ペプチドレセプター−GRPR(受入番号NM_005314)(配列識別番号59)、プロテイナーゼ活性化レセプター2−F2RL1(受入番号NM_005242)(配列識別番号60)、CCR4(受入番号NM_005508)(配列識別番号61)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター4−CXCR4(受入番号NM_003467)(配列識別番号62)及びインターロイキン8レセプター、ベータ−CXCR2/IL8b(受入番号NM_001557)(配列識別番号63)。
【0187】
先ず、PCRを使用して、上述のレセプターのC末端尾部をコードするDNAフラグメントを作成した。これらのフラグメントは、最初の二つのアミノ酸(Ala,A及びArg,R)が、BssHII制限部位によってコードされるように構成された。
【0188】
前記AGTRL1 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gccagagcag gtgcgca(配列識別番号64)、及び、
gaggatccgt caaccacaag ggtctc(配列識別番号65)、で増幅した。
【0189】
。
前記GRPR C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gcctgatcat ccggtct(配列識別番号66)、及び、
gaggatccga cataccgctc gtgaca(配列識別番号67)、で増幅した。
【0190】
前記F2RL1 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgca gtgtccgcac tgtaaagc(配列識別番号68)、及び、
gaggatccat aggaggtctt aacagt(配列識別番号69)、で増幅した。
【0191】
前記CCR4 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gcctttttgt gctctgc(配列識別番号70)、及び、
gaggatccca gagcatcatg aagatc(配列識別番号71)、で増幅した。
【0192】
前記CXCR2/IL8b C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg gcttgatcag caagggac(配列識別番号72)、及び、
gaggatccga gagtagtgga agtgtg(配列識別番号73)、で増幅した。
【0193】
前記CXCR4 C−末端フラグメントは、プライマー、
tgtgcgcgcg ggtccagcct caagate(配列識別番号74)、及び、
gaggatccgc tggagtgaaa acttga(配列識別番号75)、で増幅した。
【0194】
これらのレセプターの改変C−末端尾部ドメインをコードする得られたDNAフラグメントを、BssHIIとBamHIで切断し、フラグメントを、OPRKレセプターコード領域にインフレームで連結し、前述したOPRK−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA発現構造物中で、AVPR2−C−末端尾部フラグメントと置換した。
【0195】
前述したHTL5B8.1細胞を、上述した改変OPRKコード領域−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA構造物、及びβ−アレスチン2−TEV NIaプロテアーゼ融合物のそれぞれで、コトランスフェクトした。1ウェル当り約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、85μlのDMEM、0.25μgのAVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4 DNAと、0.25μgのARRB2−TEV NIaプロテアーゼDNA、及び2.5μlのFugene(脂質及びその他の物質を含む専売のトランスフェクション試薬)とからなる、各ウェル当たり10μlの混合物でトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を10μMのU−69593での処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。これらの条件下において、U−69593での処理によって、前記改変OPRKレセプターのそれぞれにおいて、レポーター遺伝子活性の下記の相対的増加が生じた。即ち、OPRK−AGTRL1 C−末端尾部−30倍、OPRK−GRPR C−末端尾部−312倍、OPRK−F2RL1 C−末端尾部−69.5倍、OPRK−CCR4 C−末端尾部−3.5倍、OPRK−CXCR4 C−末端尾部−9.3倍、OPRK−IL8b C−末端尾部−113倍。
【0196】
例21
この実験は、上述したARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質を安定的に発現する細胞ラインを作成するように構成された。
【0197】
EF1αプロモーターの制御下でARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質を発現するとともに、チミジンキナーゼ(TK)プロモーターの制御下でハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するプラスミドを作成した。
【0198】
このプラスミドを、HTL5B8.1にトランスフェクトし、このプラスミドの安定ゲノム組み込みを含むクローンを、100μg/mlのハイグロマイシンの存在下での培養によって選択した。耐性クローンを単離、及び拡張し、上述したADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAプラスミドのトランスフェクションによってスクリーニングした。この手順を使用して選択された三つの細胞ラインを、“HTLA 4C2.10”,“HTLA 2C11.6”及び“HTLA 5D4”と命名した。各ウェルに対して約2.5x104の細胞を、10%の胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418,3μg/mlのピューロマイシン、及び100μg/mlのハイグロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、85μlのDMEM、0.25μgのAVPR2−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−GAL4 DNA、0.5μlのFugeneとからなる、各ウェル当たり10μlの混合物でトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を10μMのイソプロテレノールでの処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。これらの条件下において、イソプロテレノールでの処理によって、前記三つの細胞ラインにおいて、レポーター遺伝子活性の、それぞれ、112倍(“HTLA 4C2.10”)、56倍(“HTLA 2C11.6”)及び180倍(“HTLA 5D4”)のそれぞれ増加が得られた。
【0199】
例22
この実験は、上述のARRB2−TEV NIaプロテアーゼと、ADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合タンパク質とを安定的に発現する細胞ラインを作成するように構成された。
【0200】
前記ハイグロマイシン耐性遺伝子を含むARRB2−TEV NIaプロテアーゼプラスミドを、上述したADRB2−AVPR2尾部−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA融合タンパク質プラスミドとともに、HTL5B8.1細胞にトランスフェクトし、これらプラスミドの安定ゲノム組み込みを含むクローンを、100μg/mlのハイグロマイシンの存在下での培養によって選択した。耐性クローンを単離、及び拡張し、10μMのイソプロテレノールでの処理によってスクリーニングし、レポーター遺伝子の誘導を上述したように測定した。この手順を使用して選択された三つの細胞ラインを、“HTLAR 1E4”,“HTLAR 1C10”及び“HTLAR 2G2”と命名した。イソプロテレノールでの6時間の処理によって、前記三つの細胞ラインにおいて、それぞれ、208倍(“HTLAR 1E4”),197倍(“HTLAR 1C10”)及び390倍(“HTLAR 2G2”)のレポーター遺伝子活性の増加が得られた。
【0201】
例23
この実験は、レセプターチロシンキナーゼ上皮増殖因子レセプター(EGFR)の活性を測定するための解析の使用を説明するために構成された。
【0202】
上述した、テトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合された、G enBank受入番号NM_005228(配列識別番号76)として入手可能な、ヒトEGFRをコードするDNAを含む第1融合構造物を作成した。これらの配列の間には、上述した、TEV NIa−Proのための低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含むアミノ酸配列GGSGSENLYFQL(配列識別番号77)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記上皮増殖因子レセプターコード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、EGFR−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAと命名する。
【0203】
上述した、成熟TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームで融合された、アミノ酸538〜759(GenBank受入番号NP_002651.2)(配列識別番号78)と、アミノ酸2040〜2279(GenBank受入番号AAA47910)(配列識別番号79)とにそれぞれ対応する、ヒト ホスホリパーゼC ガンマ 1の二つの2H2ドメインをコードするDNAを含む、第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸NSSGGNSGS(配列識別番号80)をコードするリンカーDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記PLC−ガンマ SH2ドメインのコード配列の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV NIaプロテアーゼ配列の下流側に配置した。この構造物を、PLC ガンマ 1−TEVと命名する。
【0204】
前記EGFR−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAとPLC ガンマ 1−TEVの融合構造物を、上述したクローンHTL5B8.1細胞にトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、100μlのDMEM、0.4μgのpcDNA3 DNA(「キャリア」ベクターDNA)、0.04μgのEGFR−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNA、0.04μgのPLC ガンマ 1−TEV DNA、2μlのFugene(脂質及びその他の物質を含む専売のトランスフェクション試薬)とからなる、各ウェル当たり15μlの混合物でトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、特定のレセプターアゴニスト及びインヒビターでの処理の前に、約16時間培養した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。その結果を図7に示す。
【0205】
2.5ng/mlのヒト上皮増殖因子(このリガンドに対するEC80に対応)の添加によって、ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の12.3倍の増加が得られたのに対して、100ng/mlのヒト形質転換増殖因子−アルファの添加によって18.3倍の増加が得られた。ヒト上皮増殖因子添加前のチロシンキナーゼインヒビターでの前処理(70μM AG−494;0.3μM AG−1478;2mM RG−130022)によって、レポーター遺伝子活性の誘導は阻止された。
【0206】
例24
この実験は、ヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するための解析の使用を説明するように構成された。
【0207】
上述した、テトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合された、GenBank受入番号NM_000629 (配列識別番号81)として入手可能な、ヒトインターフェロンレセプターI(IFNAR1)(557のアミノ酸)をコードするDNAを含む融合構造物を作成した。これらの配列の間には、上述したTEV NIa−Proに対する低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号82)コードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記ヒトインターフェロンレセプターI(IFNAR1)コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAと命名する。
【0208】
アミノ酸2040〜2279(GenBank 受入番号AAA47910)(配列識別番号84)に対応する、上述した、TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームに融合された、GenBank受入番号L41942(配列識別番号83)として入手可能な、ヒトインターフェロンレセプター2、スプライスバリアント2(IFNAR2.2)(515のアミノ酸)をコードするDNAを使用して第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸配列RS(Arg−Ser)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、ヒトインターフェロンレセプター2(IFNAR2.2)コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV領域の下流側に配置した。この構造物を、IFNAR2.2−TEVと命名する。
【0209】
GenBank受入番号NM_007315(配列識別番号85)として入手可能なヒト シグナル伝達性転写因子1(STAT1)、GenBank受入番号NM_005419(配列識別番号86)として入手可能なヒト シグナル伝達性転写因子22(STAT2)の遺伝子がCMVプロモーター領域の制御下で発現される発現構造物も生成した。これらの構造物を、それぞれ、CMV−STAT1及びCMV−STAT2と命名した。
【0210】
前記IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAとIFNAR2.2−TEVの融合構造物を、CMV−STAT1とCMV−STAT2と共に、上述したHTL5B8.1細胞に一過性にトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418及び5μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングし及び培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTA、IFNAR2.2−TEV、CMV−STAT1、及びCMV−STAT2 DNAのそれぞれ15ng又は、60ngの対照pcDNAプラスミドで、各ウェル当たり0.3μlのFugeneと共に、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、5000U/mlのヒトインターフェロン−アルファ又は5000U/mlのヒトインターフェロン−ベータでの処理の前、8〜20時間培養した。インターフェロン添加時、培地を吸引し、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、3μg/mlのピューロマイシン及び500μg/mlのG418を添加した293 SMF II培地で置換した。インターフェロン処理された細胞を、上述したようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性を解析する前に、更に18〜20時間培養した。結果を図8に示す。5000U/mlのIFN−αでの処理によってレポーター遺伝子活性が15倍増加したのに対して、5000U/mlのIFN−βでの処理によって10倍増加した。前記対照プラスミドpcDNA3とトランスフェクトされたHTL5B8.1細胞のインターフェロン処理ではレポーター遺伝子活性に効果は無かった。図9は、上述したIFNAR1(ENLYFQ(L)−tTa,IFNAR2.2−TEV,STAT1及びSTAT2発現構造物でトランスフェクトされたHTL5B8.1細胞におけるIFN−αに対して生成された用量−反応曲線を図示している。
【0211】
例25
この実験は、別の転写因子と別の細胞ラインを使用したヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するための解析の使用を説明すべく構成された。
【0212】
上述のGAL4−NF−kB−融合物をコードするDNA配列にインフレーム融合された、ヒト インターフェロンレセプターI(IFNAR1)をコードするDNAを使用して融合構造物が形成された。これらの配列の間には、上述した、TEV NIa−Proに対する低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含む、アミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号87)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、ヒト インターフェロンレセプターI(IFNAR1)コード領域の上流側に配置し、そして、ポリA配列を、GAL4−NF−kB領域の下流側に配置した。この構造物を、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−GAL4−NF−kBと命名する。
【0213】
次に、CHO−K1細胞を、5つのプラスミド、即ち、IFNAR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−GAL4−NF−kB,IFNAR2.2−TEV,CMV−STAT1,CMV−STAT2、及びpFR−Luc、GAL4−依存プロモーターの制御下でのルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミド、の混合物と一過性でトランスフェクトした。各ウェル当たり約1.0x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリンを添加したDMEM培地中でのトランスフェクションの24時間前、96ウェルプレートに播種した。次の日、細胞を、各ウェルにつき、10ngのレポータープラスミド(pFR−Luc)と20ngの上述した発現構造物のそれぞれ、又は、10ngのレポータープラスミドと80ngの対照pcDNA3プラスミドを、各ウェル当たり0.3μlのFugeneと共に、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、5000U/mlのヒト インターフェロン アルファでの処理の前、8〜20時間培養した。インターフェロン添加時、培地を吸引し、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリンを添加したDMEM培地と置換した。インターフェロン処理された細胞を、上述したようなルシフェラーゼレポーター遺伝子活性について解析する前、更に6時間培養した。結果を図10に示す。前記レポーター、IFNAR及びSTAT構造物でトランスフェクトされたCHO−K1細胞のIFN−α処理によってレポーター遺伝子活性が3倍増加したのに対して、前記レポーター及び対照プラスミドでトランスフェクトした細胞のインターフェロン処理ではレポーター遺伝子活性に効果が無かった。
【0214】
例26
この組の実験は、前記相互作用タンパク質に対する検定レセプターの親和性を増加させるように構成されたレセプター改変体を使用する解析の更なる増強を説明すべく行われた。これらの例において、前記検定レセプターと、GRPR(Genbank受入番号NM_005314)(配列識別番号59)のC末端尾部ドメインとの間の融合接合部を、前記第7膜貫通螺旋の端部の保存NPXXYモチーフの後のアミノ酸17〜23として作成した。
【0215】
先ず、PCRを使用して、推定パルミトイル化部位の後の二つのアミノ酸から始まるGRPRからC末端42のアミノ酸をコードするDNAフラグメント(以後、GRPR 42aaと称する)を作成した。前記フラグメントは、C末端尾部の最初のアミノ酸の前に、TCTAGAのXbaI制限部位によってコードされる二つのアミノ酸(Ser,S及びArg,R)があり、終止コドンが、BamHI制限部位GGATCCによってコードされる二つのアミノ酸(Gly,G及びSer,S)によって置換されるように構成された。これは、プライマー、
tctagaggcctgatcatccggtctcac(配列識別番号88)、及び、
gaggatccgacataccgctcgtgaca(配列識別番号67)、でGRPRコード領域を含むプラスミドを増幅することによって達成された。
【0216】
次に、OPRK(Genbank受入番号NM_000912)(配列識別番号51)のコード領域をPro−347の後に、XbaI部位を挿入するように改変した。これは、プライマー、
ggtctacttgatgaattcctggcc(配列識別番号52)、及び、
tctagatggaaaacagaagtcccggaaac(配列識別番号89)、でのPCRを使用して行われた。
【0217】
更に、ADRA1A(Genbank受入番号NM_000680)(配列識別番号90)のコード領域を、Lys−349の後にXbaI部位を挿入するように改変した。これは、プライマー、
ctcggatatctaaacagctgcatcaa(配列識別番号91)、及び、
tctagactttctgcagagacactggattc(配列識別番号92)、でPCRを使用して行われた。
【0218】
更に、DRD2(Genbank受入番号NM_000795(配列識別番号37)のコード領域を、二つのアミノ酸(Leu及びArg)とCys−343の後にXbaI部位とを挿入するように改変した。これは、プライマー、
gaattcatggatccactgaatctgtcc(配列識別番号38)、及び、
tctagatcgaaggcagtggaggatcttcagg(配列識別番号93)、でPCRを使用して行われた。
【0219】
前記改変OPRKレセプターコード領域をEcoRIとXbaIとで切断し、前記GRPR 42aaC−末端尾部フラグメントをXbaIとBamHIとで切断した。両フラグメントを、EcoRIとBamHIとで消化しておいた、上述した、AVPR2 C−末端尾部低効率開裂部位tTAを備えるOPRKレセプターを含むプラスミドに連結した。
【0220】
前記改変ADRA1Aレセプターコード領域を、EcoRVとXbaIとで切断し、前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物をXbaIとXhoIとで切断した。両フラグメントを、EcoRVとXhoIとで消化しておいた前記ADRA1Aレセプターを含むプラスミドに連結した。
【0221】
前記改変DRD2レセプターコード領域を、EcoRIとXbaIとで切断し、そして前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物をXbaIとXhoIとで切断した。両フラグメントを、EcoRIとXhoIで消化されたpcDNA6プラスミドに連結した。
【0222】
上述したHTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μM U−69593、OPRKのアゴニスト、を使用して解析を行った。U−69593に対する最大反応によって、レポーター遺伝子活性の約200倍の増加が得られた。
【0223】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むADRA1A−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μのエピネフリン、ADRA1Aのアゴニスト、を使用して解析を行った。エピネフリンに対する最大反応によって、レポーター遺伝子活性の約14倍の増加が得られた。
【0224】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むDRD2−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μMのドーパミン、DRD2のアゴニスト、を使用して解析を行った。ドーパミンに対する最大反応によって、レポーター遺伝子活性の約30倍の増加が得られた。
【0225】
例27
この組の実験は、相互作用タンパク質に対する親和性を増大させるように構成された異なる組の検定レセプター改変を使用した解析の更なる増強を証明するために行われた。これらの例において、検定レセプターのC末端尾部ドメインが、GRPRの内在性のC末端尾部ドメインの一部と置換された。
【0226】
先ず、PCRを使用して、切断されたGRPR尾部をコードするDNAフラグメント、具体的には、Gly−343からAsn−365への23アミノ酸をコードする配列、を作成した。このフラグメントは、C末端尾部の最初のアミノ酸の前に、XbaI制限部位TCTAGAによってコードされる二つのアミノ酸(Ser,SとArg,R)があり、Ser−366が、BamHI制限部位GGATCCによってコードされる二つのアミノ酸(Gly,GとSer,S)によって置換されるように構成された。これは、プライマー、
tctagaggcctgatcatccggtctcac(配列識別番号94)、及び、
cggatccgttggtactcttgagg(配列識別番号95)、でGRPRコード領域を含むプラスミドを増幅することによって達成された。
【0227】
次に、前記切断されたフラグメント(以下、GRPR 23aa尾部と称する)を、XbaIとBamHIとで切断し、XbaIとBamHIで消化した、上述した低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物に挿入した。
【0228】
同様に、前記GRPR 23aa尾部フラグメントを、XbaIとBamHIとで切断し、XbaIとBamHIで消化した、上述した低効率開裂部位を含むADRA1A−GRPR 42aa尾部−tTA融合構造物に挿入した。
【0229】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むOPRK−GRPR 23aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μMのU−69593、OPRKのアゴニスト、を使用して解析を行った。U−69593に対する最大反応によって、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約115倍の誘導が得られた。
【0230】
HTLA 2C11.6細胞を、前記低効率開裂部位を含むADRA1A−GRPR 23aa尾部−tTA融合構造物でトランスフェクトし、10μMのエピネフリン、ADRA1Aのアゴニスト、を使用して解析を行った。エピネフリンに対する最大反応によって、バックグランドに対してレポーター遺伝子発現の約102倍の誘導が得られた。
【0231】
例28
この実験は、レセプター チロシンキナーゼ インスリン様増殖因子−1レセプター(IGF1R)の活性を測定、具体的には、細胞内シグナリングタンパク質SHC1(Srcホモロジー2ドメイン−含有トランスフォーミングタンパク質1)のリガンド誘導性の補充をモニタリングすることによって測定、するための解析の使用を示すように構成された。
【0232】
上述した、テトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合された、GenBank受入番号NM_000875(配列識別番号96)として入手可能な、ヒトIGF−1RをコードするDNAを含む第1融合構造物を作成した。これらの配列の間には、上述した、TEV NIa−Proに対する低効率開裂部位,ENLYFQL(配列識別番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号82)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記IGF1Rコード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、IGF1R−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAと命名する。
【0233】
上述した、成熟TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームで融合されたアミノ酸1〜238(GenBank受入番号BC014158)(配列識別番号97)、アミノ酸2040〜2279(GenBank受入番号AAA47910)(配列識別番号79)に対応する、ヒトSHC1のPTBドメインをコードするDNAを含む、第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸NSGS(配列識別番号98)をコードするリンカーDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを、前記SHC1 PTBドメインコード配列の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV NIaプロテアーゼ配列の下流側に配置した。この構造物を、SHC1−TEVと命名する。
【0234】
前記IGF1R−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTAとSHC1−TEVの融合構造物を、上述したクローンHTL5B8.1細胞にトランスフェクトした。約2.5x104の細胞を、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418、及び3μg/mlのピューロマイシンを添加したDMEM培地中で、96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞を、次の日50%のコンフルエンシーに達するまで増殖させ、細胞への添加の前に室温で15分間インキュベートしておいた、100μlのDMEMと、0.2μgのIGF1R−TEV−NIa−Pro開裂(Leu)−tTA DNA、0.2μgのSHC1−TEV DNA、2μlのFugene(脂質及びその他の物質を含む専売のトランスフェクション試薬)とからなる、各ウェル当たり15μlの混合物で、トランスフェクトした。トランスフェクト細胞を特定のレセプターアゴニストでの処理の前に、約16時間培養した。24時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述したように解析した。
【0235】
1μMのヒトインスリン様成長因子1の添加によって、ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の90倍の増加が得られた。
【0236】
例29
この実験は、正常に膜結合しない二つの検定タンパク質の相互作用を測定する解析の使用を説明するように構成された。この例において、前記解析を使用して、核ステロイドホルモンレセプター、ESR1(エストロゲンレセプター1またはERアルファ)、及びESR2(エストロゲンレセプター2又はERベータ)のリガンド誘導性の二量化を測定した。この例において、ESR1は、転写因子tTAに融合され、他方、TEV NIa−Proプロテアーゼの開裂部位を、ESR1とtTA配列の間に挿入する。このESR1−tTA融合物を、前記膜貫通タンパク質CD8の前記細胞内、C−末端への融合によって前記膜に係留させる。CD8は、本質的に、ESR1を細胞膜の細胞質側に係留する不活性足場(scaffold)として作用する。それに融合された転写因子は、ESR2とプロテアーゼとの相互作用までは、核に入ることができない。任意の膜貫通タンパク質を使用することが可能であろう。このCD8−ESR1−TEV NIa Pro開裂−tTA融合タンパク質は、tTA−依存性レポーター遺伝子を含有する細胞ラインにおいて、ESR2とTEV NIa−Proプロテアーゼとから成る第2融合タンパク質と共に、発現される。ESR1とESR2とのエストロゲン誘導性の二量化は、それによって、膜結合融合物からのtTA転写因子の遊離を誘因し、これが、その後のレポーター遺伝子活性の誘導によって検出される。
【0237】
Genbank受入番号NM_000125(配列識別番号100)として入手可能な、ヒトESR1(596のアミノ酸)をコードするDNA配列にインフレームで融合された、Genbank受入番号NM_001768(配列識別番号99)として入手可能な、ヒトCD8遺伝子(235のアミノ酸)をコードするDNAを含む融合構造物を作成した。これらの配列の間には、前記アミノ酸配列GRA(Gly−Arg−Ala)をコードするDNA配列が挿入されている。次に、これによって得られた構造物を、上述したテトラサイクリン制御トランスアクチベーターtTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にインフレームで融合する。これらの配列の間には、上述したTEV NIa−Proの低効率開裂部位,ENLFQL(配列識別番号14)を含む、アミノ酸配列GSENLYFQL(配列識別番号82)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーターを前記ヒトCD8コード領域の上流側に配置し、ポリA配列を、tTA領域の下流側に配置した。この構造物を、CD8−ESR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAと命名する。
【0238】
アミノ酸2040〜2279(GenBank受入番号AAA47910)(配列識別番号84)に対応する、上述した、前記TEV NIaプロテアーゼの触媒ドメインをコードするDNA配列にインフレームで融合された、Genbank受入番号NM_001437(配列識別番号101)で入手可能な、ヒトエストロゲンレセプターベータ(ESR2)(530のアミノ酸)をコードするDNAを使用して第2融合構造物を作成した。これらの配列の間には、アミノ酸RS(Arg−Ser)をコードするDNA配列が挿入されている。前記CMVプロモーター領域を、前記ヒトエストロゲンレセプターベータ(ESR2)コード配列の上流側に配置し、ポリA配列を、TEV領域の下流側に配置した。この構造物を、ESR2−TEVと命名する。
【0239】
前記CD8−ESR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAとESR2−TEVの融合構造物を、pCDNA3と共に、上述したHTL5B8.1細胞に一過性にトランスフェクトした。約2.0x104の細胞を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに蒔種し、10%胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418及び5μg/mlのピューロマイシンを添加した無フェノールDMEM培地中で培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を、各ウェル当たり、5ngのESR1−TEV−NIa−Pro開裂(L)−tTAと、15ngのESR2−TEVと、40ngのpCDNA3との混合物と、03μlのFugeneと共にトランスフェクトした。トランスフェクションの6時間後、細胞を、PBSで洗浄し、50nM 17−β−エストラジオールでの処理の処理の前、24時間、血清無しで、100μlの無フェノールDMEM中でインキュベートした。リガンド処理された細胞を、上述したようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性を解析する前に、更に18〜20時間培養した。50nMの17−β−エストラジオールでの処理によって、レポーター遺伝子活性の16倍の増加が得られた。
【0240】
本発明のその他の特徴は、当業者には明らかであろうから、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】一例として、リガンド−レセプター結合を使用する本発明の概念的基礎を示す図。
【図2a】アゴニストとアンタゴニストとの両方に対して、本発明による解析の標的の反応が用量依存性であることを示す図。
【図2b】アゴニストとアンタゴニストとの両方に対して、本発明による解析の標的の反応が用量依存性であることを示す図。
【図3】用量反応曲線が、別の標的と別のアゴニストでも生じることを示す図。
【図4】D2ドーパミンレセプターを使用した、本発明によって得られた結果を示す図。
【図5a】二つの分子を同時に研究することが可能であることを示す解析の結果を示す図。
【図5b】二つの分子を同時に研究することが可能であることを示す解析の結果を示す図。
【図6】別の「マルチプレックス」解析、即ち、二つの分子が同時に研究される解析の結果を示す図。
【図7】EGFR活性を測定する解析から得られたデータを示す図。
【図8】ヒトI型インターフェロンレセプターの活性を測定するように構成された、本発明による解析から得られたデータを示す図。
【図9】図7を作り出すのに使用された細胞におけるIFN−αの用量反応曲線を図示し、図7の結果をより詳細に示す図。
【図10】別の転写因子と別の細胞ラインが使用された別の実施例の結果を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するための方法であって、以下でトランスフォーム又はトランスフェクトされた細胞に、前記化合物を接触させる工程、
(a)下記を含む核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部に対する開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び
(iii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、そして、
(b)下記を含む核酸分子、
(i)前記検定化合物の存在下における、前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、
及び、前記化合物が前記タンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かの測定として、前記レポーター遺伝子の活性を測定する工程、とを含む、
検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するための方法。
【請求項2】
前記第1検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前記第2タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抑制型タンパク質がアレスチンであり、前記第1タンパク質は膜貫通レセプターである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞が、真核細胞である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レポーター遺伝子が、外来性遺伝子である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記外来性遺伝子が、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2検定タンパク質との相互作用を増加させるように改変されている請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記改変が、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記C末端領域の前記ヌクレオチド配列が、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2PL1,CXCR2/IL−8B,CCR4又はGRPRのC末端領域の全部又は一部をコードするヌクレオチド配列によって置換されている請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の検定化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程を含み、前記サンプルのそれぞれは、前記単数又は複数の前記化合物によって接触され、ここで、前記細胞サンプルのそれぞれが、(a)及び(b)によってトランスフォーム又はトランスフェクトされており、前記化合物のいずれかが前記特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するべく前記複数のサンプル中におけるレポーター遺伝子の活性を測定する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記膜結合タンパク質が、β2−アドレナリン作動性レセプター(ADRB2)、アルギニンバソプレッシンレセプター2(AVPR2)、セロトニンレセプター1a(HTR1A)、m2ムスカリン性アセチルコリンレセプター(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター5(CCR5)、ドーパミンD2レセプター(DRD2)、カッパーオピオイドレセプター(OPRK)、又はADRA1Aである請求項2に記載の方法。
【請求項18】
そのそれぞれがその他すべてと異なる1つの検定化合物と、前記サンプルのそれぞれを接触させる工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルのそれぞれを前記検定化合物の混合物と接触させる工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
検定化合物が単数又は複数の対象のタンパク質相互作用を調節するか否かを測定する方法であって、前記検定化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程であって、前記細胞サンプルのそれぞれが、
(a)以下を含む第1核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼのための開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び、
(iii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(b)以下を含む第2核酸分子、
(i)前記対象検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列、によってトランスフォーム又はトランスフェクトされており、ここで、前記第1検定タンパク質は前記複数のサンプルのそれぞれにおいて他の第1検定タンパク質と異なる、工程、及び、
前記複数のサンプルのうちの1つ又は複数における前記レポーター遺伝子の活性を、単数又は複数の対象タンパク質の相互作用の調節の測定として測定する工程、を含む、
検定化合物が単数又は複数の対象のタンパク質相互作用を調節するか否かを測定する方法。
【請求項21】
前記第2検定タンパク質が、各サンプルにおいて異なる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2検定タンパク質が、各サンプルにおいて同じである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルのすべてが共通の容器内で組み合わせられ、そして、各サンプルが異なる対の第1検定タンパク質と第2検定タンパク質を含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
各サンプルが、異なる容器内で検定される請求項20に記載の方法。
【請求項25】
あるサンプル内の前記レポーター遺伝子が、他のサンプル内のレポーター遺伝子と異なる請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物の混合物が、生体試料を含む請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記生体試料が、脳脊髄液、尿、血液、血清、膿汁、腹水、滑液、組織抽出物、又は浸出物である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)以下を有する核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び、
(iii)細胞中においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、そして、
(b)以下を有する核酸分子、
(i)前記検定化合物の存在下におけるその前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、
によってトランスフォーム又はトランスフェクトされている組換え細胞。
【請求項29】
前記核酸分子の一方又は両方が、前記細胞のゲノムに安定的に組み込みまれている請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項30】
前記細胞が、前記レポーター遺伝子によってトランスフォーム又はトランスフェクトされている請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項31】
前記第1検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項32】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項31に記載の組換え細胞。
【請求項33】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項32に記載の組換え細胞。
【請求項34】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項35】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項36】
前記膜結合タンパク質が、ADBR2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、又はOPRKである請求項31に記載の組換え細胞。
【請求項37】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項38】
前記前記第2タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項39】
前記抑制型タンパク質がアレスチンであり、前記第1タンパク質が膜貫通レセプターである請求項38に記載の組換え細胞。
【請求項40】
前記細胞が、真核細胞である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項41】
前記細胞が、原核細胞である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項42】
前記レポーター遺伝子が、外来性遺伝子である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項43】
前記外来性遺伝子が、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする請求項42に記載の組換え細胞。
【請求項44】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2タンパク質との相互作用を増加させるように改変されている請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項45】
前記改変が、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む請求項44に記載の組換え細胞。
【請求項46】
前記C末端領域の前記ヌクレオチド配列が、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2PL1,CXCR2/IL−8B又は CC4のC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置換されている請求項44に記載の組換え細胞。
【請求項47】
(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び、
(iii)細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
を5’から3’の順番で含む単離核酸分子。
【請求項48】
前記検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項47に記載の単離核酸分子。
【請求項49】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項48に記載の単離核酸分子。
【請求項50】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項49に記載の単離核酸分子。
【請求項51】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項47に記載の単離核酸分子。
【請求項52】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項47に記載の単離核酸分子。
【請求項53】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項52に記載の単離核酸分子。
【請求項54】
前記膜結合タンパク質が、ADBR2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、又はOPRKである請求項48に記載の単離核酸分子。
【請求項55】
請求項47に記載の単離核酸分子を含み、プロモーターに操作連結されている発現ベクター。
【請求項56】
(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び、
(ii)開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、
を含む単離核酸分子。
【請求項57】
前記検定タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項56に記載の単離核酸分子。
【請求項58】
前記抑制型タンパク質が、アレスチンである請求項57に記載の単離核酸分子。
【請求項59】
請求項56に記載の単離核酸分子を含み、プロモーターに操作連結されている発現ベクター。
【請求項60】
請求項47に記載の単離核酸分子の発現によって生成される融合タンパク質。
【請求項61】
請求項56に記載の単離核酸分子の発現によって生成される融合タンパク質。
【請求項62】
検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するのに有用な検定キットであって、
(a)以下を含む核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、
(iii)細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(b)以下を含む核酸分子、
(i)前記検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質とのその相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするするヌクレオチド配列、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、そして、
(c)前記(a)及び(b)のそれぞれを互いに対して分離して保持するための容器手段、
それぞれの別部分を含む、検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するのに有用な検定キット。
【請求項63】
前記第1検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項62に記載の検定キット。
【請求項64】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項63に記載の検定キット。
【請求項65】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項64に記載の検定キット。
【請求項66】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項62に記載の検定キット。
【請求項67】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項62に記載の検定キット。
【請求項68】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項67に記載の検定キット。
【請求項69】
前記第2タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項62に記載の検定キット。
【請求項70】
前記抑制型タンパク質がアレスチンであり、前記第1タンパク質が膜貫通レセプターである請求項69に記載の検定キット。
【請求項71】
レポーター遺伝子をコードする単離核酸分子の別部分を含む請求項61に記載の検定キット。
【請求項72】
前記レポーター遺伝子が、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする請求項71に記載の検定キット。
【請求項73】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2タンパク質との相互作用を増加させるように改変されている請求項62に記載の検定キット。
【請求項74】
前記改変が、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む請求項73に記載の検定キット。
【請求項75】
前記C末端領域の前記ヌクレオチド配列が、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8B,又はCCR4をコードするヌクレオチド配列によって置換されている請求項74に記載の検定キット。
【請求項76】
前記膜結合タンパク質が、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、又はOPRKである請求項63に記載の検定キット。
【請求項1】
検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するための方法であって、以下でトランスフォーム又はトランスフェクトされた細胞に、前記化合物を接触させる工程、
(a)下記を含む核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部に対する開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び
(iii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、そして、
(b)下記を含む核酸分子、
(i)前記検定化合物の存在下における、前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、
及び、前記化合物が前記タンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かの測定として、前記レポーター遺伝子の活性を測定する工程、とを含む、
検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するための方法。
【請求項2】
前記第1検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前記第2タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抑制型タンパク質がアレスチンであり、前記第1タンパク質は膜貫通レセプターである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞が、真核細胞である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レポーター遺伝子が、外来性遺伝子である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記外来性遺伝子が、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2検定タンパク質との相互作用を増加させるように改変されている請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記改変が、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記C末端領域の前記ヌクレオチド配列が、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2PL1,CXCR2/IL−8B,CCR4又はGRPRのC末端領域の全部又は一部をコードするヌクレオチド配列によって置換されている請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の検定化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程を含み、前記サンプルのそれぞれは、前記単数又は複数の前記化合物によって接触され、ここで、前記細胞サンプルのそれぞれが、(a)及び(b)によってトランスフォーム又はトランスフェクトされており、前記化合物のいずれかが前記特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するべく前記複数のサンプル中におけるレポーター遺伝子の活性を測定する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記膜結合タンパク質が、β2−アドレナリン作動性レセプター(ADRB2)、アルギニンバソプレッシンレセプター2(AVPR2)、セロトニンレセプター1a(HTR1A)、m2ムスカリン性アセチルコリンレセプター(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター5(CCR5)、ドーパミンD2レセプター(DRD2)、カッパーオピオイドレセプター(OPRK)、又はADRA1Aである請求項2に記載の方法。
【請求項18】
そのそれぞれがその他すべてと異なる1つの検定化合物と、前記サンプルのそれぞれを接触させる工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルのそれぞれを前記検定化合物の混合物と接触させる工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
検定化合物が単数又は複数の対象のタンパク質相互作用を調節するか否かを測定する方法であって、前記検定化合物を複数の細胞サンプルに接触させる工程であって、前記細胞サンプルのそれぞれが、
(a)以下を含む第1核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼのための開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び、
(iii)前記細胞内においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(b)以下を含む第2核酸分子、
(i)前記対象検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列、によってトランスフォーム又はトランスフェクトされており、ここで、前記第1検定タンパク質は前記複数のサンプルのそれぞれにおいて他の第1検定タンパク質と異なる、工程、及び、
前記複数のサンプルのうちの1つ又は複数における前記レポーター遺伝子の活性を、単数又は複数の対象タンパク質の相互作用の調節の測定として測定する工程、を含む、
検定化合物が単数又は複数の対象のタンパク質相互作用を調節するか否かを測定する方法。
【請求項21】
前記第2検定タンパク質が、各サンプルにおいて異なる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2検定タンパク質が、各サンプルにおいて同じである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルのすべてが共通の容器内で組み合わせられ、そして、各サンプルが異なる対の第1検定タンパク質と第2検定タンパク質を含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
各サンプルが、異なる容器内で検定される請求項20に記載の方法。
【請求項25】
あるサンプル内の前記レポーター遺伝子が、他のサンプル内のレポーター遺伝子と異なる請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物の混合物が、生体試料を含む請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記生体試料が、脳脊髄液、尿、血液、血清、膿汁、腹水、滑液、組織抽出物、又は浸出物である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)以下を有する核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び、
(iii)細胞中においてレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、そして、
(b)以下を有する核酸分子、
(i)前記検定化合物の存在下におけるその前記第1検定タンパク質との相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、
によってトランスフォーム又はトランスフェクトされている組換え細胞。
【請求項29】
前記核酸分子の一方又は両方が、前記細胞のゲノムに安定的に組み込みまれている請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項30】
前記細胞が、前記レポーター遺伝子によってトランスフォーム又はトランスフェクトされている請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項31】
前記第1検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項32】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項31に記載の組換え細胞。
【請求項33】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項32に記載の組換え細胞。
【請求項34】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項35】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項36】
前記膜結合タンパク質が、ADBR2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、又はOPRKである請求項31に記載の組換え細胞。
【請求項37】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項38】
前記前記第2タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項39】
前記抑制型タンパク質がアレスチンであり、前記第1タンパク質が膜貫通レセプターである請求項38に記載の組換え細胞。
【請求項40】
前記細胞が、真核細胞である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項41】
前記細胞が、原核細胞である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項42】
前記レポーター遺伝子が、外来性遺伝子である請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項43】
前記外来性遺伝子が、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする請求項42に記載の組換え細胞。
【請求項44】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2タンパク質との相互作用を増加させるように改変されている請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項45】
前記改変が、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む請求項44に記載の組換え細胞。
【請求項46】
前記C末端領域の前記ヌクレオチド配列が、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2PL1,CXCR2/IL−8B又は CC4のC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置換されている請求項44に記載の組換え細胞。
【請求項47】
(i)検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、及び、
(iii)細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
を5’から3’の順番で含む単離核酸分子。
【請求項48】
前記検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項47に記載の単離核酸分子。
【請求項49】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項48に記載の単離核酸分子。
【請求項50】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項49に記載の単離核酸分子。
【請求項51】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項47に記載の単離核酸分子。
【請求項52】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項47に記載の単離核酸分子。
【請求項53】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項52に記載の単離核酸分子。
【請求項54】
前記膜結合タンパク質が、ADBR2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、又はOPRKである請求項48に記載の単離核酸分子。
【請求項55】
請求項47に記載の単離核酸分子を含み、プロモーターに操作連結されている発現ベクター。
【請求項56】
(i)検定化合物の存在下において別の検定タンパク質とのその相互作用が測定される検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び、
(ii)開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、
を含む単離核酸分子。
【請求項57】
前記検定タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項56に記載の単離核酸分子。
【請求項58】
前記抑制型タンパク質が、アレスチンである請求項57に記載の単離核酸分子。
【請求項59】
請求項56に記載の単離核酸分子を含み、プロモーターに操作連結されている発現ベクター。
【請求項60】
請求項47に記載の単離核酸分子の発現によって生成される融合タンパク質。
【請求項61】
請求項56に記載の単離核酸分子の発現によって生成される融合タンパク質。
【請求項62】
検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するのに有用な検定キットであって、
(a)以下を含む核酸分子、
(i)第1検定タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii)プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部の開裂部位をコードするヌクレオチド配列、
(iii)細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(b)以下を含む核酸分子、
(i)前記検定化合物の存在下における前記第1検定タンパク質とのその相互作用が測定される第2検定タンパク質をコードするするヌクレオチド配列、
(ii)前記開裂部位に対して特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの一部をコードするヌクレオチド配列、そして、
(c)前記(a)及び(b)のそれぞれを互いに対して分離して保持するための容器手段、
それぞれの別部分を含む、検定化合物が対象の特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するか否かを測定するのに有用な検定キット。
【請求項63】
前記第1検定タンパク質が、膜結合タンパク質である請求項62に記載の検定キット。
【請求項64】
前記膜結合タンパク質が、膜貫通レセプターである請求項63に記載の検定キット。
【請求項65】
前記膜貫通レセプターが、GPCRである請求項64に記載の検定キット。
【請求項66】
前記プロテアーゼ又はプロテアーゼの一部が、タバコエッチ病ウイルス核内封入Aプロテアーゼである請求項62に記載の検定キット。
【請求項67】
前記レポーター遺伝子を活性化する前記タンパク質が、転写因子である請求項62に記載の検定キット。
【請求項68】
前記転写因子が、tTA又はGAL4である請求項67に記載の検定キット。
【請求項69】
前記第2タンパク質が、抑制型タンパク質である請求項62に記載の検定キット。
【請求項70】
前記抑制型タンパク質がアレスチンであり、前記第1タンパク質が膜貫通レセプターである請求項69に記載の検定キット。
【請求項71】
レポーター遺伝子をコードする単離核酸分子の別部分を含む請求項61に記載の検定キット。
【請求項72】
前記レポーター遺伝子が、β−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼをコードする請求項71に記載の検定キット。
【請求項73】
前記第1検定タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2タンパク質との相互作用を増加させるように改変されている請求項62に記載の検定キット。
【請求項74】
前記改変が、前記第1検定タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、元の配列よりも前記第2検定タンパク質に対する親和性の高いアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によって置換することを含む請求項73に記載の検定キット。
【請求項75】
前記C末端領域の前記ヌクレオチド配列が、AVPR2,AGTRLI,GRPR,F2RL1,CXCR2/IL−8B,又はCCR4をコードするヌクレオチド配列によって置換されている請求項74に記載の検定キット。
【請求項76】
前記膜結合タンパク質が、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、又はOPRKである請求項63に記載の検定キット。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−528713(P2007−528713A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518902(P2006−518902)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021887
【国際公開番号】WO2005/007822
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506008629)センティジェン・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド (1)
【出願人】(506009372)ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021887
【国際公開番号】WO2005/007822
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506008629)センティジェン・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド (1)
【出願人】(506009372)ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (1)
【Fターム(参考)】
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