タンパク質加水分解産物およびそれを作製する方法
タンパク質加水分解産物を産生する方法を記載する。その方法は、タンパク質を含む溶液を提供する、およびその溶液のpHを約10.4以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程を含み得る。さらなる工程は、その塩基性タンパク質溶液にプロテアーゼ酵素を加え、それはそのタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物に変換する。タンパク質加水分解産物組成物および水溶性食品添加物も記載される。添加物は、タンパク質基質のタンパク質加水分解によって形成された、タンパク質加水分解産物の混合物を含み得る。そのタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、米国仮特許出願第60/756,456号(2006年1月4日出願)、発明の名称「PROTEIN HYDROLYSATES AND METHOD OF MAKING」(その内容全体は、全ての目的のために参考として本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
長年の間、栄養士は、タンパク質を多く含み、そして飽和脂肪の少ない食品を推奨してきた。これらの推奨は多くの場合、高脂肪の食事、糖分を多く含むペストリー、キャンディーバー、およびソフトドリンクを、ゆで卵の白身、インゲンマメ、および脱脂乳のたまらなく魅力的な代替物と考える消費者によって無視される。健康な食品および美味しい食品の間の、時には対立するゴールを試み、そして折り合いをつけるために、製造業者は、人気のある食品中のより健康的でない物質を、より健康的な成分で置換する。例えば、従来のアイスクリーム中の飽和脂肪および糖のいくらかを、タンパク質および糖代用品で置換し得、それはアイスクリームを低カロリーに、そして脂肪および加工糖の量を少なくする。脂肪および炭水化物をタンパク質で置換することは、パスタおよびキャンディーバーのような食品にさえ及んだ。
【0003】
成分置換のために使用するタンパク質の重要な供給源は、酪農業界に由来し、ここでは乳清およびカゼインのような大量のタンパク質を、酪農乳から分離し得る。例えば乳清タンパク質は、チーズ産生の天然の副産物であり、それはタンパク質代用品として付加価値を有する。しかしこれらのタンパク質の天然形式は、それらを多くの場合脂肪および炭水化物の良くない代用品とする物理的および感覚受容性性質を有する。天然タンパク質はまた、吸湿性である傾向があり、そしてその付近の水分を吸収する。結果として、固体の食品は乾燥した味がし得、そして液体の飲み物でさえ、チョークのような後味を有し得る。
【0004】
タンパク質、主に乳清タンパク質の組み込みは、それらを食品製品に主なタンパク質源として組み込むことを阻む、多くの問題に直面した。例えば、乳清タンパク質の沈殿および/またはゲル化を引き起こす、熱処理の間のそのタンパク質の不安定性のために、乳清タンパク質を常温で長期保存可能な飲料に組み込むことは制限される。さらに、主に乳清タンパク質をほとんど含まない、または全く含まないバーと比較したバーの早すぎる硬化のために、乳清タンパク質を栄養バーに組み込むことは、貯蔵寿命のより短いバーを生じる。
【0005】
乳製品タンパク質をより魅力的な食品代用品とするために、大きな天然タンパク質を、プロテアーゼ酵素によってより小さなタンパク質断片(タンパク質加水分解産物と呼ばれる)に加水分解する。より小さなタンパク質断片は、一般的に開始タンパク質より、より水溶性であり、そしてより吸湿性が低い。それらを飲料に溶解して濃縮タンパク質ドリンクを産生し、そして固体食品に加えてなめらかな、よりチョークのようでない味を与え得る。しかし、天然タンパク質を断片へ切断することも、重要な欠点を有する:タンパク質加水分解産物は、通常非常に苦く、そして全てのタンパク質加水分解産物が熱安定性であるわけではない。
【0006】
苦味の増加は、タンパク質断片の、人の味蕾の苦味受容体の達する能力の増加に起因する。タンパク質断片の疎水性アミノ酸側鎖が、これらの受容体に達し得た場合に、苦味を感じる。大きな天然タンパク質は大きすぎて、苦味を活性化する側鎖は、苦味受容体へ誘導するのに困難であり、天然タンパク質は苦味ではなくマイルドな味がする。
【0007】
タンパク質加水分解産物の苦味の増加は、食品科学者が、そのQ値として知られる、加水分解産物の平均疎水性を決定することによって、苦味およびタンパク質サイズ間の関係を定量するのに十分予測可能である。タンパク質加水分解産物を構成するアミノ酸グループの数(n)を数え、そしてタンパク質が人の口内で溶解する時の各アミノ酸グループの自由エネルギーの変化(Δg)を合計することによって、Q値を計算する。タンパク質加水分解産物のQ値を計算する等式は以下のようである:
【0008】
【数1】
Q値が高いほど、タンパク質は苦味がある可能性が高い。アミノ酸グループの数(n)が、Q値の等式の分母であるので、アミノ酸グループの数が小さいほど(すなわちタンパク質が小さいほど)、Q値は高くなり、タンパク質が苦味を有する可能性が増加する。研究は、1400を超えるQ値を有するほとんどのタンパク質加水分解産物は顕著な苦味があり、一方1300より低いQ値を有するものは、苦味がないことを示す。
【0009】
タンパク質加水分解産物の苦味を評価する別の手順は、加水分解産物の水性溶液を、増加する濃度の塩酸キニーネまたはカフェインのような標準苦味物質と比較することである。加水分解産物が、特定の濃度の標準物質と同じ程度苦味があるなら、それらはその濃度レベルの標準物質と同等の苦味を有すると言われる。加水分解産物の苦味を、苦味標準物質溶液の特定の濃度(または濃度範囲)の当量として定量的に表し得る。
【0010】
食品および飲料の製造者は、タンパク質加水分解産物の苦味に対処するために、いくつかのアプローチを試みた。これらは、甘味糖、および他の香味料で苦味を遮断する試みを含む。望ましい食品の風味を維持しながらタンパク質の苦味を消す香味料は、高価であり、そして開発するのが難しくあり得、そして典型的にはあまり苦味を遮断しない。苦味を抑制するために、加水分解または加水分解タンパク質のろ過の間に、苦味除去酵素の使用も採用されたが、あまり成功しなかった。
【0011】
別のアプローチにおいて、食品製造者は、タンパク質加水分解産物をより小さなペプチドユニットへ切断すること、時にはタンパク質を個々のアミノ酸へ切断することさえ試みた。タンパク質のこれらのサイズまでの徹底的な加水分解は、より大きな加水分解産物で感じられる苦味を抑制することが示された。しかし、苦味は通常、ペプチドからの石鹸のような、および培養液のような不快な臭いに置き換わり、苦味のある加水分解産物よりわずかに味がよいのみである。さらに、多くの場合、加水分解の後でさえ、苦味および後味は依然として顕著である。
【0012】
明らかに、乳製品タンパク質のような大きな天然タンパク質を、味がよく、そして加工中も安定なタンパク質加水分解産物へ変換し得るなら、大きな、そしてほとんど未開発の市場が現実化し得る。そのような変換過程は、乳清のような乳製品タンパク質副産物の価値ある市場を作るだけでなく、それらは消費者が、依然として食べるのが楽しい、より健康的な食品に継ぎ目なく移行することも可能にする。有用な、味のよいタンパク質加水分解産物を産生するこれらの過程、およびそれらから作られる様々な食品および飲料が、本発明によって記載される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の簡単な要旨)
本発明の実施態様は、タンパク質加水分解産物を産生する方法に関連する。その方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そして溶液のpHを約10.4以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程を含み得る。その方法はまた、塩基性タンパク質溶液にプロテアーゼ酵素を加えることを含み得、それは溶液中のタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0014】
本発明の実施態様はさらに、上記で記載した方法によって産生したタンパク質加水分解産物組成物を含む。その組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上の間、熱安定性である。その組成物はまた、約0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有し得る。
【0015】
本発明の実施態様はまた、タンパク質加水分解産物を産生するさらなる方法を含む。これらの方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そしてそのタンパク質溶液を約50°F以下まで冷却する工程を含み得る。その方法はまた、溶液のpHを約8以上に調整し、そしてプロテアーゼ酵素を、冷却した塩基性タンパク質溶液に加えることを含み得、それはタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0016】
本発明の実施態様はさらにまた、タンパク質加水分解産物を産生するさらなる方法を含む。これらの方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そして溶液のpHを約8以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程を含み得る。その塩基性溶液を、約30分以上の間混合し得、そしてプロテアーゼ酵素を、その塩基性タンパク質溶液に加え得る。そのプロテアーゼ酵素は、タンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0017】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質加水分解産物を産生するさらなる方法も含む。その方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そして溶液のpHを約8以上に調整する工程を含み得る。その方法はさらに、非アルカリ性プロテアーゼ酵素を、その塩基性タンパク質溶液に加えることを含み得、それはタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0018】
本発明の実施態様はまたさらに、乳清タンパク質加水分解産物を産生するまたさらなる方法を含む。その方法は、重量で約10%の乳清タンパク質濃縮物を含む溶液を提供し、そしてその溶液を約45°Fに冷却する工程を含み得る。さらなる工程は、水性水酸化ナトリウムをその溶液に加えることによって、溶液のpHを約10.4に調整すること、その溶液を45°Fの温度で30分間混合すること、およびBacillus由来のプロテアーゼ酵素(例えばProtamexR(Novozymes A/S、Krogshoejvej 36、2880 Badsvaerd Denmark))を溶液に加えることを含み得、ここでプロテアーゼ酵素を乳清タンパク質濃縮物の重量で約0.5%の量で加える。その溶液を、24時間、またはpHが約9.5以下になるまで混合し得、ここでそのプロテアーゼ酵素は、乳清タンパク質の少なくとも一部を乳清タンパク質加水分解産物へ変換する。さらなる工程は、その溶液を約90°Fから約140°Fで、約30から約300分間インキュベートすること、溶液を約180°Fまで約10分間加熱してから、水を溶液から除去すること、そして次いで溶液を乾燥して乳清タンパク質加水分解産物を含む固体組成物を形成することを含み得る。
【0019】
本発明の実施態様はまたさらに、乳清タンパク質加水分解産物を産生するまたさらなる方法を含む。その方法は、重量で約10%の乳清タンパク質濃縮物を含む溶液を提供し、そしてその溶液を約45°Fに冷却する工程を含み得る。さらなる工程は、水性水酸化ナトリウムおよびリン酸三カリウムをその溶液に加えることによって、その溶液のpHを約10.4に調整すること、その溶液を45°Fの温度で30分間混合すること、およびBacillus由来のプロテアーゼ酵素(例えばProtamexR(Novozymes A/S、Krogshoejvej 36、2880 Badsvaerd Denmark))を溶液に加えることを含み得、ここでそのプロテアーゼ酵素を重量で乳清タンパク質濃縮物の約0.5%の量で加える。その溶液を、24時間、またはpHが約9.5以下になるまで混合し得、ここでそのプロテアーゼ酵素は、乳清タンパク質の少なくとも一部を乳清タンパク質加水分解産物へ変換する。さらなる工程は、その溶液を約90°Fから約140°Fで、約30から約300分間インキュベートすること、その溶液を約180°Fまで約10分間加熱してから、水を溶液から除去すること、そして次いでその溶液を乾燥して乳清タンパク質加水分解産物を含む固体組成物を形成することを含み得る。
【0020】
本発明の実施態様はまた、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物を含み得る、水溶性食品添加物を含み得る。混合物中のタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0021】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。混合物中のタンパク質加水分解産物は、約1300以下の平均Q値を有する。
【0022】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。混合物中のタンパク質加水分解産物は、0.003mg/mlの塩酸キニーネより低いキニーネ当量を有する。
【0023】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。水性溶液中のタンパク質加水分解産物は、約7%のタンパク質を含み、そして0.03mg/mlの塩酸キニーネより低いキニーネ当量を有する。
【0024】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。水性溶液中のタンパク質加水分解産物は、約7%のタンパク質を含み、そして約180°Fから約300°Fで、約1秒から約50分間熱安定性である。
【0025】
本発明の実施態様はまた、タンパク質を加えた菓子を産生する方法も含み得る。その方法は、甘味料および固形脂肪を最初の混合物と混合し、そして最初の混合物を固形脂肪が溶解し始めるまで加熱する工程を含み得る。その方法はまた、タンパク質加水分解産物を含む化合物を、溶解した混合物に加えることを含み得、ここでそのタンパク質加水分解産物は約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する。液体乳製品のようなさらなる成分も、溶解した混合物に加えて、タンパク質強化菓子混合物を形成し得る。その方法はさらに、菓子混合物を菓子へ調理することを含み得る。
【0026】
本発明の実施態様はまたさらに、タンパク質強化飲料を産生する方法を含み得る。その方法は、水およびタンパク質加水分解産物を、最初の混合物に混合することを含み得、ここでそのタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する。その方法はまた、1つ以上のさらなる成分を水に加えて未加工の飲料を形成すること、およびその未加工の飲料を加熱してタンパク質強化飲料を形成することも含み得る。
【0027】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質加水分解産物の組成物を含み得る。その組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上熱安定性であり得る。それらはまた、約0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有し得る。
【0028】
さらなる実施態様および特徴を、部分的に以下の説明において述べ、そして部分的には明細書の調査時に当業者に明らかとなり、または本発明の実施によって学び得る。本発明の特徴および利点を、明細書において記載された手段、組み合わせ、および方法によって現実化および達成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
タンパク質添加物および人気のある食品および飲料における成分代用品としてふさわしいサイズプロファイルを有する、タンパク質加水分解産物の混合物が記載される。加水分解産物の平均サイズは、よい溶解性および吸湿性の性質を有するのに十分小さく、しかし苦味を感じない程度に十分大きい範囲に入る。これらの加水分解産物を、高度に塩基性の水性溶液(例えば10より高いpHを有する溶液)中の天然タンパク質全体から得ることができる。塩基性タンパク質溶液中のタンパク質溶解酵素が、タンパク質をタンパク質加水分解産物へ切断する。
【0030】
加水分解過程の温度、pHおよび他のパラメーターを、タンパク質溶解酵素が天然タンパク質を過剰に加水分解しないよう調節する。異なる条件下では、加水分解産物は通常、さらにより小さいタンパク質断片へ切断され得るので、その過程を、天然タンパク質の部分的タンパク質分解として説明し得る(部分的タンパク質加水分解とも呼ばれる)。典型的な産生されたタンパク質加水分解産物は、人の味蕾上の苦味受容体に達するのが困難なほど十分大きく、しかし食品および飲料に加えたときに有意にゲル化、凝集、沈殿、濃縮、または硬化するほど大きくはない。
【0031】
タンパク質加水分解産物
タンパク質加水分解産物を、他の種類のタンパク質の中で、大豆タンパク質、および乳製品タンパク質(例えば乳清、カゼイン)、コムギタンパク質、キャノーラタンパク質、トウモロコシタンパク質、野菜タンパク質、穀物タンパク質、および動物タンパク質のような、天然食物タンパク質の酵素的加水分解によって産生し得る。数字的には、そのタンパク質加水分解産物は、約2000から約10000ダルトンの平均分子量を有し得る。そのタンパク質加水分解産物は、約67%またはそれより少ない、分子量が6000より低いタンパク質を有し得る。実施態様はまた、約2000から約5000ダルトンの平均分子量を有し得るタンパク質加水分解産物を含む。一般的に、より小さいタンパク質加水分解産物は、より大きなQ値を有する傾向があり、苦味を有する可能性が高いことを示す。より高いパーセンテージの加水分解産物がより小さな分子量(例えば約2000ダルトンより小さい)を有するほど、消費者が苦味を感じる可能性が高い。下記の分子量プロファイルデータが示すように、約45%またはそれより少ないタンパク質加水分解産物が2000ダルトンより低い分子量を有する加水分解産物は、ほとんどまたは全く検出可能な苦味を有さない。
【0032】
加熱時に凝集しやすいタンパク質を産物に含みすぎるのを避けるために、高分子量を有する加水分解産物のパーセンテージも調節し得る。タンパク質加水分解産物中の平均分子量加水分解産物は、それが産生された天然タンパク質よりも有意に高い水における溶解性を有する。この溶解性は、加熱後に水に溶解したままである加水分解産物の量を指す。あらゆる溶質(加水分解産物を含む)の溶解性は、他の条件の中で、温度、pH、イオン強度、ミネラルの存在、および溶媒の型のような、溶液の条件に依存して変動し得る。タンパク質に関して、いくつかのタンパク質は、104−122°Fのような、中程度の温度でさえ化学的変性を受け得るので、溶解性の温度への依存は、さらに複雑である。
【0033】
タンパク質の変性において、タンパク質の一次構造を規定するアミノ酸間の共有結合を切断せずに、タンパク質の形、サイズおよび物理的性質が変化する。タンパク質変性のよく知られている例は、卵をゆでる時に起こる:熱湯からの熱が、透明で流れやすい生卵の白身のタンパク質を、不透明な、ゴム状の固体へと変性させる。水はアミノ酸の共有結合をより小さなペプチドへ切断するのに十分なほど熱くないが、卵タンパク質を、造りなおし、そしてもつれさせて堅ゆで卵にするのに十分なエネルギーを提供する。
【0034】
ほとんどの場合、タンパク質変性は、水におけるタンパク質の溶解度を減少させる。変性の間に起こる形の変化は、多くの場合、より多くのタンパク質の非極性、疎水性官能基を外部環境へと露出させる。これは、極性の溶媒である水が、タンパク質分子を包囲し、そしてそれに結合する能力を減少させる。それに加えて、変性は多くの場合タンパク質をほどき、そしてその露出した枝および鎖は他のタンパク質とからまる。タンパク質の凝集は迅速に雪だるま式に増大し、タンパク質がゲルに凝集するおよび/または懸濁液または沈殿へと凝固することを引き起こし得る。
【0035】
タンパク質の変性およびその溶解度に対する影響は、食品および飲料メーカーに普通でない難題を提示する。塩および砂糖のような食品成分は、温度が上昇するにつれてより溶解度が高くなる。それらは、食品調製過程における加熱および低温殺菌工程の間に、凝集または沈殿しない。しかし、タンパク質(大豆、乳、および他の食品由来の大きな天然タンパク質を含む)は、反対の性質を有し、そして温度が上昇すると食品から分離する傾向がある。タンパク質を加えた製品は、粘着性の、または砂のような感触を発現し、それはほとんどの消費者が、まずくはないにしても魅力的でないと感じる。
【0036】
タンパク質加水分解産物は、それらが切断されたもとのタンパク質より小さいので、それらは一般的に、同じ程度には変性または水を吸収しない。それらは通常、より少ない疎水性グループが露出し、そしてそれらはそれほどほどき得る分岐および鎖を有さず、そして近くの加水分解産物とからまらない。天然食品タンパク質の変性によって引き起こされる問題は、加水分解産物が依然として2000から10000ダルトン以上の分子量の、比較的大きな分子である場合でさえ、多くの場合その加水分解産物においては弱まる。従って、もとのタンパク質を、完全な加水分解の3から8%のみ加水分解する、部分的酵素加水分解でさえ、依然としてそのタンパク質加水分解産物の溶解度を、タンパク質全体と比較して、50%から80%以上増加させ得る。しかし、部分的に加水分解されたタンパク質は、依然として加熱した場合ゲル化および/または沈殿し得ることに注意するべきである。下記の分子量プロファイルデータは、5000ダルトン以上の分子量のタンパク質加水分解産物を約33%またはそれより少なく含む加水分解産物は、タンパク質添加食品を産生および熱処理するために使用される温度で、ほとんどまたは全く認められる砂のような感触を生じない。
【0037】
タンパク質の変性はまた、天然食品タンパク質の吸湿性を増加させ得る(すなわち、変性タンパク質は、より多くの水分を吸収する傾向がある)。これは、飲料および固体食品両方の味のよさに影響を与え得る:飲料および他の液体食品において、吸湿性タンパク質は、飲む人の舌から水分を奪い、乾燥した、チョークのような後味を引き起こし得る。固体食品において、吸湿性タンパク質は水分を吸収し、そして食品に乾燥した、新鮮でない感触および口当たりを残す。タンパク質加水分解産物は一般的に、開始タンパク質より吸湿性が低く、そして変性タンパク質より有意に吸湿性が低い。
【0038】
タンパク質加水分解産物を産生する代表的な過程
タンパク質加水分解産物を、開始タンパク質の酵素的加水分解(すなわちタンパク質分解)によって産生し得る。加水分解環境は、開始タンパク質およびプロテアーゼ酵素の水性混合物を含み得、ここで温度、pHおよび他の混合物のパラメーターを調節して、本発明によるタンパク質加水分解産物を産生する。図1は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を産生する過程100の工程の概観を提供するフローチャートである。
【0039】
タンパク質加水分解産物産生過程100は、開始タンパク質の水性混合物を提供すること102を含み、それは大豆、乳清、カゼイン、および/または他の食品タンパク質のような、1つ以上の天然食品タンパク質を含み得る。そのタンパク質を濃縮し得、開始タンパク質が混合物全体の5%以上(重量によって)を構成する。その混合物を次いで室温以下(例えば約45°F)に冷却し得る104。
【0040】
混合物のpHを、約10以上(例えば約10.4のpH)まで上げる106ために、塩基および/または金属イオン封鎖剤を加え得る。その塩基は、水酸化ナトリウムのような強塩基の濃縮水性溶液であり得(例えば重量で40%のNaOH)、それを天然タンパク質混合物に注ぐ。その金属イオン封鎖剤は、混合物中の陽イオン(例えばカルシウムイオン)を隔離する化合物の、濃縮水性溶液であり得る。金属イオン封鎖剤の例は、リン酸塩、ピロリン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、炭酸塩、およびクエン酸塩を含み得る。例えば、その金属イオン封鎖剤は、1つ以上の二リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二カリウム、二リン酸四カリウム、二リン酸二マグネシウム、三リン酸五ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸アンモニウム、トリポリリン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸、ラクトビオン酸、リン酸、ピロリン酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ラクトビオン酸ナトリウム、および/またはトリポリリン酸ナトリウムカリウムを含み得る。金属イオン封鎖剤のさらなる例は、他の金属イオン封鎖剤の中で、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、および/またはピロリン酸四ナトリウムを含む。塩基性タンパク質混合物を次いで、一定時間(例えば30分から12時間)混合し得、それからプロテアーゼ酵素を加えて108タンパク質の加水分解を開始する。そのプロテアーゼ酵素は、高いpH(例えば8および11の間の範囲のpH)でタンパク質加水分解を触媒し得る、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、または中性プロテアーゼであり得る。
【0041】
プロテアーゼ触媒加水分解反応においてタンパク質が切断される場合、加水分解産物の1つにはカルボン酸官能基が残される。この酸性官能基の形成は、混合物のpHを下げる。タンパク質加水分解が進行するにつれて、混合物のpHは下がり続けるので、pHをモニターすること110は、加水分解の程度の洞察を提供し得る。例えば、約10.4から約9.5へのpHの変化は、加水分解が、タンパク質加水分解産物が望ましい分子量プロファイル(例えば分子量中央値が約2000から約5000ダルトンの範囲)の付近である点まで進んだことを知らせ得る。混合物が標的pHまで下がったら、低温加水分解反応を停止し得る。
【0042】
あるいは、反応の終了点は、時間に基づき得る。関連する反応条件(温度、開始材料、pH等のような)が反応の間、予測可能な推移に従う場合、時間につれた加水分解産物組成物も予測可能であり得る。加水分解産物の分子量プロファイルが望ましい分布に近くなったときに、反応を停止し得る。だから、例えばプロテアーゼを開始タンパク質混合物に加えた時108から、加水分解産物が、本発明の実施態様による平均分子量および/または分子量の分布プロファイルに近くなる、前もって決定した時間(例えば10から24時間)まで、反応の時間を設定し得る。
【0043】
これにインキュベーション段階112が続き得、ここでその加水分解産物を、インキュベーション温度(例えば約90°Fから約140°F)で、インキュベーション時間(例えば約30から約300分)の間加熱する。加水分解反応の終了は、高温段階114を含み得、ここでその混合物をより高い温度(例えば約180°F)で、より短い時間(例えば約10分)加熱して、酵素を不活性化する。あるいは、その混合物を、さらに高い温度(例えば約250°F)で、さらにより短い時間(例えば約5秒以上)加熱し得る。
【0044】
触媒的加水分解が終わった後、加水分解産物混合物を濃縮し得116、その後最終産物118を乾燥する。その混合物を、例えばろ過および/または混合物から水を蒸発させることによって濃縮し得る。水の大部分を、熱、真空蒸発、および/またはろ過によって除去し得る。残った加水分解産物留出物を、他の過程の中で、スプレー乾燥、加熱乾燥、および蒸発のような従来の乾燥過程によって乾燥し得る。
【0045】
タンパク質加水分解産物を産生する代表的な装置
図2は、本発明の実施態様によってタンパク質加水分解産物を産生する装置200の単純化した概略図を示す。その装置200は、乳製品過程(例えばチーズ産生過程)から得られた天然乳清タンパク質混合物を低温殺菌するための殺菌機202を含み得る。低温殺菌した乳清タンパク質混合物を、WPCを水性浸透物と分離するフィルター204で、乳清タンパク質濃縮物へ濃縮し得る。あるいは(またはそれに加えて)、乳清タンパク質混合物中の水を、エバポレーターユニット(示していない)で蒸発させて、乳清タンパク質を濃縮し得る。
【0046】
次いでWPCを、温度を調節し得る維持タンク206に入れる。その維持タンク206を、維持タンクに水を加えるための水供給源208を含む、多くの成分供給源と組み合わせ得る。成分供給源はまた、塩基性物質(例えば水性水酸化ナトリウム)のための塩基供給源210、タンクに加え得る金属イオン封鎖剤(例えばリン酸三カリウム)のための金属イオン封鎖剤供給源213、および加え得る酵素のための酵素供給源212を含み得る。
【0047】
維持タンクに加えたWPCを、水供給源208から水を加えることによって希釈し、そして塩基供給源210から塩基性物質を加えることによって塩基性にし得る。例えば、乳清タンパク質を、重量で80%の最初の濃度の乳清タンパク質から、重量で約25%以下(例えば重量で約20%、重量で約15%、重量で約5%等)まで希釈するために水を加え得る。水性希釈は、乳清タンパク質混合物のpHを上げるために、塩基供給源210からの塩基性物質の添加を伴い得る(または次に続く)。塩基性物質は、濃縮水酸化ナトリウムのような、強塩基の濃縮水性溶液であり得る。塩基性物質はまた、リン酸三カリウムのような、金属イオン封鎖剤を含み得る。測定した乳清タンパク質混合物のpHが、約10以上(例えば約10.4)のような特定のpHに達するまで、塩基性物質を加え得る。
【0048】
塩基供給源210から塩基性物質を加えた後、塩基性乳清タンパク質混合物を、維持タンク206内で、低温(例えば45°F)で一定期間(例えば約30分から約5時間)維持し得る。塩基性乳清タンパク質混合物を、維持期間の間混合し得る。次いでプロテアーゼ酵素を酵素供給源212から加えて、タンパク質加水分解の最初の段階を開始し得る。この段階において、塩基性乳清タンパク質混合物およびプロテアーゼの混合物を、低温で(例えば約50°F、約45°F等より低い)、約24時間またはそれより短い期間(例えば10時間)、維持タンク206内で維持し得る。この「冷たいインキュベーション」段階の間、プロテアーゼ酵素の活性は、天然タンパク質鎖の加水分解を触媒する、その最高速度より実質的に低くあり得る。
【0049】
反応過程の特定の理論に拘束されることを意図しないで、加水分解をより遅く、そして比較的高いpHで行うことは、タンパク質構造を開いて、そうでなければ不溶性のタンパク質コアを後に残す、通常球状のタンパク質の外側周辺ではなく、タンパク質が天然タンパク質鎖の中間点に近い点で加水分解されるようにすると考えられる。従って、冷たいインキュベーションは、長いおよび短いタンパク質断片の産生よりも、だいたい同じサイズ(例えば開始タンパク質の約半分のサイズ)のタンパク質加水分解産物の産生に有利である。統計学的に、冷たいインキュベーション活性は、より従来的な、大きなおよび小さな加水分解断片両方の大きな集団を有する、双峰集団分布と比較して、よりベルカーブに見える加水分解産物の分布に有利なようである。
【0050】
維持タンク206における冷たいインキュベーション後、「温かいインキュベーション」加水分解段階のために、タンクの温度を、より短い時間(例えば約2時間またはそれより短く、約40分等)で、より高い温度(例えば約120°F)に調節し得る。この段階において、プロテアーゼ酵素の活性は、最高の触媒速度である(または近づく)。温かいインキュベーションは、望ましい断片の範囲(例えば約2000から5000ダルトン)に加水分解された、天然タンパク質およびより大きなタンパク質加水分解産物の量を増加させる。
【0051】
温かいインキュベーション段階の終わりに、タンパク質加水分解産物混合物を、維持タンク206から加熱ユニット214へ移し得、ここでプロテアーゼ酵素を不活性化する温度(例えば約180°F以上、約190°F等)まで混合物の温度を上げ、そしてタンパク質加水分解反応を停止する。加熱ユニット214は、熱源(例えば加熱した水、スチーム、加熱コイル等)と熱的に接触した、1つ以上の曲がった、ねじれた、および/またはコイル状の導管を含み得る。タンパク質加水分解産物混合物は、その導管を通り、混合物の温度を迅速に熱源と平衡化する。いくつかの例において、殺菌機202も、プロテアーゼ酵素を不活性化するための加熱ユニット214として使用し得る。
【0052】
冷たいおよび温かいインキュベーションの間、加水分解混合物のpHもモニターし得る。pHメーター(示していない)を維持タンク206内に設置して、混合物のpHの定期的なまたは恒常的な測定を提供し得る。タンパク質加水分解は、タンパク質加水分解産物の1つにカルボン酸グループを形成するので、塩基性の乳清タンパク質混合物のpHは、10超から約9.5またはそれより低く低下する。より早い速度でカルボン酸グループが形成される温かいインキュベーションの間に、pHの低下は加速し得る。いくつかの実施態様において、pHを、いつ冷たいインキュベーション段階を終了するべきかに関する指標として使用し得る。例えば、加水分解混合物のpHが9.5より低く低下した場合、冷たいインキュベーション段階を時間に関わらず終了し得る。他の実施態様において、冷たいインキュベーション段階は、前もって決定した時間の間続き得る。
【0053】
プロテアーゼ酵素の高温不活性化に続いて、タンパク質加水分解産物混合物を濃縮し得る。加水分解産物の濃縮は、ろ過ユニット216を通して混合物をろ過して、未透過物中の加水分解産物を、透過物中の水性成分から分離することを含み得る。加水分解産物混合物をまた、混合物から水を蒸発させるエバポレーター(示していない)で濃縮し得る。
【0054】
次いで濃縮したタンパク質加水分解産物を、乾燥ユニット218で乾燥し得る。乾燥ユニット218は、スプレードライヤーであり得、それはタンパク質加水分解産物を霧状にして、それらを暖かい、乾燥した環境にさらして、それが残留水分を迅速に蒸発させ、そしてタンパク質加水分解産物の粉末を生じる。乾燥産物を包装し、そして食品製造過程でタンパク質添加物として使用する準備ができるまで保存し得る。
【0055】
装置200の説明で使用したタンパク質源は乳清タンパク質であったが、他のタンパク質を、タンパク質加水分解産物を産生するその装置および方法で使用し得ることが認識される。例えば、装置200を、カゼインのような他の乳製品タンパク質、および他の食品源の中で、大豆、ナッツ、野菜、および動物由来のタンパク質と共に使用し得る。
【0056】
タンパク質加水分解産物で産生した食品の例
図3は、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物を含む、タンパク質添加菓子を産生する方法の工程を含むフローチャートを示す。これらの菓子は、特にキャラメル、チョコレート、ファッジ、タフィー(taffies)、ヌガー、ガム、アイスクリーム、タンパク質/栄養または食事置換バー、およびタフィー(toffees)を含み得る。例えば、方法300は、タンパク質加水分解産物を含む、タンパク質添加キャラメル菓子を産生する工程を含む。その方法300は、砂糖、コーンシロップ等のような甘味料を含む成分を、バターまたはマーガリンと混合すること302を含み得る。バターおよび/またはマーガリンが溶けるまで、成分を加熱および攪拌し得る304。
【0057】
タンパク質加水分解産物を、溶解した成分に加える前に、2つの部分に分け得る。タンパク質加水分解産物の最初の部分を、他の成分とまず前もって混ぜることなく、溶解した成分に直接加え得る306。タンパク質加水分解産物の2番目の部分を、残りの溶解した成分に加える前に、加糖コンデンスミルクを含むさらなる成分と混合し得る308。混合物を攪拌しながら、全ての成分の混合物を、キャラメル製品が指定された温度(例えば223°F)に達するまで調理し得る310。調理後、混合物を冷却し312、キャラメル製品を固まらせ得る。固体キャラメルを切断、または他の方法で望ましい形(例えば立方体、塊、バー、軸、シート、ロール、球等)に形成し得る。表1は、タンパク質強化キャラメルの1つの実施態様において使用された、成分、およびその重量による相対的な量を提供する。
【0058】
(表1−典型的なタンパク質強化キャラメルの成分)
【0059】
【表1】
表1に列挙したものに加えて(またはその代わりに)様々なさらなる成分を使用し得ることが認識される。例えば、グラニュー糖およびコーンシロップを、他の型の甘味料で補足または置換し得る。マーガリンを、バターで補足または置換し得る。バニラに加えて、またはその置換として、さらなる香料を使用し得る。成分の相対的な量も、変動し得る。
【0060】
本発明のタンパク質加水分解産物を含み得るタンパク質添加食品は、固体に限らない。加水分解産物を、他の飲料の中で、ソーダ、コーヒー、シェイク、瓶詰めの水、スポーツドリンク、フルーツジュース、乳幼児用ミルク、および乳製品飲料を含む液体飲料にも加え得る。図4は、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物を含むタンパク質強化飲料を産生する方法400のフローチャートを示す。その方法400は、他の成分の中で、水、レシチン、油、および香料を含み得る成分を、高速ミキサーで混合すること402を含み得る。その方法はまた、他の乾燥成分の中で、タンパク質加水分解産物、砂糖、マルトデキストリン、ココア、カラゲーナン、およびビタミンを乾燥混合すること404も含み得る。液体混合物を、高速混合過程406において乾燥混合物に加え得る。液体および乾燥成分の混合物をまた、加熱し得る408。加熱工程の例は、混合物を約190°Fの温度で約10分間加熱することを含み得る。例はまた、混合物を超高温(UHT)加熱過程にかけることも含み、ここで混合物を約220°Fで短時間(例えば2秒間)加熱する。表2は、タンパク質強化飲料の1つの実施態様において使用される、成分およびその重量による相対的な量のリストを提供する。
【0061】
(表2−典型的なタンパク質強化飲料の成分)
【0062】
【表2】
上記のタンパク質添加キャラメルの成分と同様に、表2に列挙したものに加えて(またはその代わりに)、様々なさらなる成分を使用し得ることが認識される。例えば、砂糖を、他の型の甘味料で補足または置換し得る。キャノーラ油を、他の型の油で補足または置換し得る。飲料の風味、舌ざわり、および/または粘性を増強するために、さらなる成分も加え得る。あるいは、低pHのフルーツ飲料、例えばオレンジ、レモン、またはシトラスブレンド飲料を産生するために、酸味料を加え得る。成分の相対的な量も変動し得る。
【0063】
上記の例で産生されるタンパク質添加食品は、本発明のタンパク質加水分解産物でタンパク質強化し得る食品の全てを含んだリストではないことも認識される。加水分解産物を、例えばチーズ、パン、パスタ、スープ、ペストリー、シリアル、ライス、および多くの他の種類の食品に加え得ることが企図される。
【実施例】
【0064】
実施例1:天然乳清タンパク質由来のタンパク質加水分解産物
タンパク質加水分解産物を、モッツァレラチーズ製造の副産物である、乳清タンパク質濃縮物(WPC)から産生した。その過程は、チーズ凝乳から分離した生の乳清混合物から限外ろ過を用いて濃縮した、重量で80%のWPCから始まる。80%のWPCを、温度をコントロールした維持タンクに移し、そこでそれを水と混合して、重量で10.3%の希釈乳清タンパク質溶液を産生する。維持タンクは、タンパク質加水分解産物混合物の1000lbのバッチを維持し得、ここで128.75lbの80%WPC(すなわち12.875%の固体)を、水と混合して、希釈乳清タンパク質溶液を形成する。
【0065】
次いで希釈乳清タンパク質溶液を、水酸化ナトリウムを維持タンクに加えることによって塩基性にする。塩基を希釈乳清タンパク質溶液に加える前に、NaOHの調製は、重量で40%のNaOHの水性溶液の濃度を、20%のNaOHに希釈することから始まる。1000lbのバッチのために、15lbの40%NaOHを使用して、乳清混合物のpHを10.45に上げる。まず塩基を完全に混合するために適当な時間をおき、次いでサンプリングして、そしてpHメーターを用いてpHを測定することによってpHを測定する。塩基性乳清タンパク質溶液を、約45°Fまたはそれ以下で、5時間維持タンクにおいてから、プロテアーゼ酵素を加える。
【0066】
プロテアーゼ酵素の添加は、タンパク質加水分解産物を形成するために、タンパク質触媒の冷たいインキュベーション段階を開始する。この実験において、プロテアーゼ酵素は、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼであり、そしてDenmarkのNoxozymesによってProtamexRの商標で市販されている。それを塩基性乳清タンパク質混合物に、基質の重量で約0.5%のレベルで加える。1000lbのバッチのために、約0.515lbのProtamexを加える。乾燥粉末として輸送されるその酵素を、希釈乳清タンパク質混合物に加える前に、水でスラリーにする。それは水に可溶性であり、そして1グラムあたり1.5 Ansonユニットの申告活性を有し、約7.5のpHおよび約50℃(122°F)の温度を含む最適活性条件を有する。それはpHが4の場合、50℃(122°F)またはそれより高くで、30分で不活性化し得、そしてpHが8の場合、85℃(185°F)またはそれより高くで、約10分で不活性化し得る。
【0067】
冷たいインキュベーション段階は、45°Fで24時間続く。酵素加水分解によって産生されたタンパク質加水分解産物は、混合物のpHを低下させる末端のカルボン酸グループを有する。24時間の最後において、測定した混合物のpHは約9.5である。
【0068】
次いで混合物を温かいインキュベーション段階で120−130°Fで加熱し、それは70分間続く。このインキュベーション段階において、酵素活性は最も高く、そしてpHはさらに下がる。70分の最後において、混合物を195°Fで10分間加熱することによって、酵素を不活性化する。混合物を250°Fで2秒間加熱することによって、UHT工程においても不活性化し得る。次いでタンパク質加水分解産物をスプレー乾燥してさらに水を分離し、そして粉末産物を産生する。
【0069】
サンプルの分子量プロファイルを、高圧サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって決定する。タンパク質加水分解産物サンプルを、まずMilliQ水(2.5mL)で30分間再水和し、そして次いで移動相で1:1の比で希釈し、そして13,500×gで3分間遠心する。上清を0.22μmのPVDF膜でろ過してから、カラムに注入する(約1%のタンパク質)。クロマトグラムの全エリアを統合し、そして全表面のパーセンテージとして表された6つの分子量範囲(すなわち>10kDa、5−10kDa、2−5kDa、1−2kDa、0.5−1kDa、および<0.5kDa)に分ける。表3は、HPSEC分析において使用したさらなる条件を列挙する。
【0070】
(表3:タンパク質加水分解産物のHPSEC分析に使用した条件)
【0071】
【表3】
6つのサンプルのHPSECクロマトグラムを、図5A−Fにそれぞれ示し、そして6つのサイズ範囲における加水分解産物分子量の分布を、下記の表4に列挙する。
【0072】
(表4:異なるタンパク質加水分解産物サンプルの分子量プロファイル)
【0073】
【表4】
最初の3つのタンパク質加水分解産物サンプル(すなわち、WPH−LFC 85分、WPH−LFC 135分、およびWPH−LFC コンボ)を、本発明の方法によって産生した。これらのサンプルの分子量プロファイルは、加水分解産物の大部分が1から10kDaの範囲で形成され、2000および5000ダルトンの間の平均分子量を有することを示す。これらのサンプルは、すぐれた感覚受容性の質を有し、そして検出可能な苦味を有さない。溶液中15%のタンパク質までの溶液も、凝集および他の方法で変性することなく、高温(例えば15psiで約212°Fで15分間)で加熱し得、それらは様々な食品のタンパク質添加物としてすぐれた候補となる。
【0074】
次の2つのタンパク質加水分解産物サンプル(すなわち、WPH市販のサンプル1および2)は、従来の方法によって産生された、タンパク質添加物として使用するためのタンパク質加水分解産物の市販で入手可能なサンプルであった。これらのサンプルの分子量プロファイルは、平均して、0.5kDaより小さい分子量を有する最も小さい加水分解産物のパーセンテージが2倍以上であることを示した。これらの小さい加水分解産物の濃度が高いことは、サンプルの感覚受容性の質を損ない、それは両方とも顕著に強い苦味を有する。これらの市販のサンプルはまた、高熱処理に影響されやすく、そしてゲル化するかまたは沈殿した。
【0075】
最後に、最後のサンプル(すなわち加水分解していない乳清タンパク質)は、タンパク質加水分解過程で使用した天然WPCの比較サンプルであった。このサンプルの分布の大部分は、10kDaより大きな最も高い分子量のカテゴリーに集中していた。天然WPCサンプルにおいて苦味は検出されなかったが、予測されるように、加熱した場合かなり変性した。
【0076】
上記で記載した分子量プロファイルは、タンパク質加水分解の程度のパーセンテージ(すなわち%DH)をただ測定するよりも、タンパク質加水分解産物の苦味および他の感覚受容性の質の、より正確な予測量である。加水分解の程度の測定は、通常加水分解反応によってタンパク質において標的ペプチド結合が切断された程度を測定する。しかし、50%のDHは、必ずしも最初のタンパク質の半分が加水分解されたことを意味しない。その代わりに、特定のプロテアーゼ酵素によって加水分解され得るペプチド結合の50%が加水分解されたことを意味する。さらに、%DHの値は、できた加水分解産物断片のサイズを示さない。上記で議論したように、多くの小さい加水分解断片を産生する触媒タンパク質加水分解過程は、苦味を有する可能性がより高い。
【0077】
実施例2A:天然乳清タンパク質由来のLFC−WPHタンパク質加水分解産物
モッツァレラチーズ製造の副産物である乳清タンパク質濃縮物(WPC)からタンパク質加水分解産物を産生する。その過程は、限外ろ過を用いて濃縮して、80%の乳清タンパク質未透過物を形成した、スイートホエイから始まる。80%の乳清タンパク質未透過物を、温度をコントロールした維持タンクに移し、そこでそれを水と混合して、重量で10.3%の希釈乳清タンパク質溶液を産生する。希釈乳清タンパク質溶液は、約9532ポンドの加水分解されていない乳清固体を含む。
【0078】
次いで希釈乳清タンパク質溶液を、水酸化ナトリウムおよびリン酸三カリウムを維持タンクに加えることによって塩基性にする。維持タンクに、159ポンドのリン酸三カリウム、続いて水酸化ナトリウムを、pHが10.5に達するまで加える。塩基性乳清タンパク質溶液を、約45°F以下に、5時間置いて、それからプロテアーゼ酵素を加える。加水分解反応の残りの工程は、実施例1に従う。この実施例によって産生したタンパク質加水分解産物を、「LFC−WPH」サンプルとして、熱安定性および苦味に関して試験した。
【0079】
比較実施例2B:NZDBタンパク質加水分解産物
Schlothauerらに対する、「Bioactive whey protein hydrolysate」と題する、そしてNew Zealand Dairy Boardに属する、米国特許第6,919,314号で記載された過程によって、タンパク質加水分解産物を産生し、その内容全体は本明細書中で全ての目的のために参考文献に組み込まれる。これらのタンパク質加水分解産物(「NZDB加水分解産物」)を産生する過程は、水酸化ナトリウム(NaOH)で7.0のpHに調整した、乳清タンパク質濃縮物の10%(wt)溶液から始まる。次いでその中性溶液を、122°Fの温度まで加熱し、それからプロテアーゼ酵素Neutraseを、酵素の濃度が0.3%(wt)に達するまで加えた。
【0080】
乳清タンパク質およびプロテアーゼ酵素溶液を、1時間反応させてから、リン酸を加えてpHを5.0に低下させた。次いで溶液の温度を、30分間149°Fへ上げ、そして水を除去してタンパク質加水分解産物(「NZDB加水分解産物」と呼ばれる)を産生した。
【0081】
実施例3:タンパク質加水分解産物の苦味の測定
実施例2AおよびBで記載された過程によって産生した乳清タンパク質加水分解産物、およびいくつかの市販で入手可能なタンパク質加水分解産物(すなわち、Hilmar Ingredients、Hilmar、CAによって産生されたHilmar8350、およびHilmar8390;およびDavisco Foods International,Inc、Eden Prairie、MNによって産生されたBiozate1)の苦味を定量するために測定を行った。サンプルの苦味レベルを、加水分解されていないタンパク質溶液中の塩酸キニーネと同等の濃度に基づいて定量した。キニーネの濃度の増加は、加水分解していないタンパク質溶液の苦味を増加させるので、より濃いキニーネ溶液の苦味と同等であると発見されたタンパク質加水分解物溶液は、より濃度の低いキニーネ溶液と同等の加水分解産物より、定量的により苦い。
【0082】
7.5%(重量による)のタンパク質加水分解産物を含む水性溶液を、0から0.03mg/mlまでの不連続な量で塩酸キニーネを含む、加水分解していないタンパク質の7.5%(重量による)の水性溶液に対して、感覚評価に関して試験した。感覚パネルを、5日間(1日あたり1つの加水分解産物サンプル)にわたって行った。パネリストは、乳清タンパク質加水分解産物サンプルを試食し、そして次いでどの塩酸キニーネサンプルが、加水分解産物サンプル中の苦味のレベルに最もマッチするかを同定するよう依頼された。各パネルからの加重平均が、各乳清タンパク質加水分解産物サンプルに対応する、等価な塩酸キニーネ濃度を定量した。表5は、この感覚パネルの結果を示す。塩酸キニーネ当量が低いほど、タンパク質加水分解産物は苦くない。
【0083】
(表5:乳清タンパク質加水分解産物の苦味プロファイル)
【0084】
【表5】
重量で7.5%の同等の濃度において、加水分解産物は、その苦味レベルが有意に異なっていた。実施例2Aによって産生されたLFC−WPHタンパク質加水分解産物は、同じ濃度でHilmar8350、Hilmar8390、およびBiozate1タンパク質加水分解産物より数倍苦味が少なかった。NZDB加水分解産物サンプルのみが、LFC−WPH加水分解産物と同等の苦味のレベルを有していた。
【0085】
様々な濃度の乳清タンパク質加水分解産物で、さらなる苦味の測定を行った。重量で7%、10%、13%、および16%の乳清タンパク質である、水性の開始乳清タンパク質溶液から産生されたタンパク質加水分解産物溶液に関して、苦味レベルを定量した。これらの溶液から産生されたタンパク質加水分解産物サンプルを、0.005から0.73mg/mlの範囲の塩酸塩の水性溶液と比較した。パネリストは、乳清タンパク質加水分解産物サンプルを試食し、そして次いでどの塩酸キニーネサンプルが、各開始タンパク質濃度のタンパク質加水分解産物サンプルに最もマッチするかを同定するよう依頼された。この感覚分析の結果を、表7に示す。
【0086】
(表7:様々なタンパク質濃度におけるタンパク質加水分解産物の苦味)
【0087】
【表6】
表7は、最初の溶液中のタンパク質濃度が増加すると、加水分解産物の苦味が増加することを示す。2つのサンプル、WPH−LFCおよびNZDB加水分解産物のみが、試験した全てのタンパク質濃度において、摂取するために許容できるほど十分低い苦味レベルを有していた。残りの加水分解産物サンプルは、7%のタンパク質濃度でさえ、飲料、栄養バーまたは他の種類の食品製品または栄養補助食品の許容可能な添加物とするには苦すぎた。試食パネリストはまた、WPH−LFCおよびNZDB加水分解産物サンプルを除いて、タンパク質加水分解産物は、培養液のような、および「濡れたイヌのような」味および臭いを有していたとコメントし、それもまたそれらを食品または飲料添加物として望ましくないものにする。それに加えて、NZDB加水分解産物サンプルは、WPH−LFCサンプルと同等の味を有していたが、それは望ましくないレベルのチョークのような感じを有していた。
【0088】
実施例4:タンパク質加水分解産物の熱安定性の測定
様々な乳清タンパク質加水分解産物の熱安定性を測定した。市販のタンパク質加水分解産物サンプル、実施例2によって産生された乳清タンパク質加水分解産物、Biozate1(Davisco Foods International,Inc、Eden Prairie、MN)およびHilmar Ingredients(Hilmar、CA)を、室温の蒸留水に、様々なタンパク質濃度で可溶化した(表6を参照のこと)。可溶化したタンパク質加水分解産物の10mlのサンプルを、バイアル(Bellco Glass 18×150mm)に分け、20mmのセプタム栓(septum stopper)で密封し、そして20mmのクリンパを用いて、アルミニウムシールで動かないようにした。バイアルを、255°Fにセットした油浴(Lauda ProlineシリーズPVI5c)中に沈めた。指定された時間(10、20、30および40分)にバイアルを油浴から取り出しし、そしてすぐに氷浴に置いてサンプルを冷却した。加熱処理の終了から30分後、全てのサンプルを、タンパク質の沈殿、ゲル化、および凝固の徴候に関して調査した。熱安定性の結果を、表6に示す。
【0089】
(表6:市販の加水分解産物サンプルの熱安定性)
【0090】
【表7】
表6は、市販で入手可能なタンパク質加水分解産物サンプルの多くが、工業用の熱処理条件で熱安定性ではないことを示す。このデータはさらに、上記の実施例2Aによって調製されたタンパク質加水分解産物(表6で「WPH−LFC」サンプルとして記載されている)は、広い範囲のタンパク質濃度および加熱時間で熱安定性であることを示す。Biozate1サンプルのみが、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物と同等の熱安定性を示した。これは、Biozate1サンプルは、乳清タンパク質単離物(>90%のタンパク質)由来であり、そして従ってタンパク質加水分解産物の熱安定性を低下させ得るミネラルを含まないという事実によって説明し得る。実施例2Aによって調製したタンパク質加水分解産物は、天然の乳清タンパク質開始材料に存在するミネラルを除去する必要なく、同じレベルの熱安定性を達成し得る。
【0091】
実施例5:乳清タンパク質加水分解産物のクロマトグラフィーの特徴
加水分解していないWPC(Leprino Foods、Denver、CO)、LFC−WPH、Biozate1(Davisco Foods International,Inc、Eden Prairie、MN)、NZDB加水分解産物、およびHilmar Ingredients(Hilmar、CA)のサンプルを、キャピラリー電気泳動(「CE」)装置に流して、サンプルのプロファイルを得た。通常のWPC以外は全て加水分解した。各サンプルのCEプロファイルを、IBM NetVistaコンピューター(IBM Corp.、Armonk、NY、USA)を用いて、System GoldソフトウェアによってコントロールするP/ACETMMDQキャピラリー電気泳動システム(Beckman、Fullerton、CA、USA)を用いて得た。72cmの有効長、50μmIDのコーティングしていない溶融シリカキャピラリーカラム(Beckman、Fullerton、CA、USA)を、P/ACEカートリッジ内に組み立てた。加水分解産物由来のサンプル(3mg/mL)溶液を、脱イオン水中で調製し、そして0.22μmのAcrodiscRフィルター(Pall Corp.、Ann Arbor、MI、USA)を通してろ過してから、1psiの圧力で15秒間注入した。泳動リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH2.5)を、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、USA)から得た。CE分析を、214nmにおけるUV検出を用いて、一定の電圧(27kV)および温度(25℃)で、全部で60分間行った。CEクロマトグラムを図6A−Fに示す。
【0092】
図6Aは、加水分解していない乳清タンパク質濃縮物のCEクロマトグラムを示す。図6Bは、上記の実施例2Aによって産生されたタンパク質加水分解産物のCEクロマトグラムを示す。図6C−Fは、NZDBおよび市販で入手可能なタンパク質加水分解産物の比較CEクロマトグラムを示す:図6Cは、Biozate1タンパク質加水分解産物のクロマトグラムを示す;図6Dは、NZDBタンパク質加水分解産物のクロマトグラムを示す;および図6EおよびFは、それぞれHilmar8350および8390のタンパク質加水分解産物のクロマトグラムである。クロマトグラムは、タンパク質加水分解産物サンプルは有意に異なる製品プロファイルを有することを示し、それはそれらの異なる苦味および熱安定性の特徴(他の特徴の中で)に関連し得る。特定の理論に拘束されることを望まないが、特定の乳清タンパク質成分の加水分解が、乳清タンパク質加水分解産物中の苦味のほとんどの原因であることが示唆された。開始乳清タンパク質は、他のタンパク質の中で、ベータ−ラクトグロブリン、アルファ−ラクトアルブミン、および血清アルブミンを含むタンパク質の混合物である。アルファ−ラクトアルブミンの加水分解産物は、有意に苦く、そして他の開始乳清タンパク質(例えばベータ−ラクトグロブリン)の加水分解に有利である加水分解過程は、より苦味の少ないタンパク質加水分解サンプルを産生すると考えられる。従って、研究されたタンパク質加水分解産物サンプルの苦味のバリエーションは、少なくとも部分的には、アルファ−ラクトアルブミンおよびベータ−ラクトグロブリン開始タンパク質の間の、加水分解の相対的な程度により得る。
【0093】
上記の実施例からのデータは、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物(例えばWPH−LFCサンプル)は、少ない苦味/望ましい風味のプロファイルおよび様々な熱処理の適用に関して高い熱安定性の両方を有することを示す。対照的に、NZDB加水分解産物サンプルは、低い熱安定性を有し、一方Biozate1サンプルは、測定したタンパク質濃度の全てにわたって非常に苦かった。Hilmarタンパク質加水分解産物は、他の培養液のような風味に加えて、低い熱安定性および高い苦味の両方を示した。
【0094】
図7および8は、このデータをあわせて、発明の加水分解産物は、他のタンパク質加水分解産物サンプルには見られない、高い熱安定性および低い苦味の組み合わせを有することを示す。図7は、様々なタンパク質加水分解産物サンプルの熱安定性に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示し、一方図8は様々なタンパク質加水分解産物サンプルの苦味に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示す。あわせると、図7および8は、LFC−WPHタンパク質加水分解産物サンプルは、255°Fで10分間より高い熱安定性および、0.03mg/mlより少ない塩酸キニーネの当量によって測定される苦味を有していたことを示す。
【0095】
いくつかの実施態様を記載してきて、本発明の意図から離れることなく、様々な修飾、代替の構築物、および同等物を使用し得ることが、当業者によって認識される。さらに、不必要に本発明を不明確にするのを避けるために、多くの周知の過程および要素を説明しなかった。よって、上記の説明は、本発明の範囲を制限するものと取るべきではない。
【0096】
値の範囲が提供される場合、文脈が明らかに他を規定しなければ、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限および下限の間の、間にあるそれぞれの値も、明確に開示される。述べられた範囲内のあらゆる述べられた値または間にある値および、その述べられた範囲のあらゆる他の述べられた値または間にある値の間の、より小さな範囲それぞれが含まれる。これらのより小さな範囲の上限および下限は、その範囲内に独立に含まれ得る、または除外され得る、そして述べられた範囲内のあらゆる明確に除外された限界を条件として、どちらかの限界がそのより小さな範囲に含まれる、どちらの限界も含まれない、またはどちらの限界も含まれる各範囲も、本発明に含まれる。述べられた範囲が1つまたは両方の限界を含む場合、それらの含まれた限界のどちらかまたは両方を除外する範囲も含まれる。
【0097】
本明細書中および添付の請求で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を規定しなければ、複数の言及を含む。従って、例えば「過程」への言及は、複数のそのような過程を含み、そして「電極」への言及は、1つ以上の電極および当業者に公知のその同等物への言及を含む、等である。
【0098】
本明細書および続く請求において使用される場合、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含む(include)」、「含むこと(including)および「含む(includes)」という用語は、述べられた特徴、整数、構成要素、または工程の存在を特定することを意図するが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、またはグループの存在または追加を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を産生する過程における工程の概観を提供するフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を産生する装置の例を説明する。
【図3】図3は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を用いてタンパク質添加菓子を産生する方法の工程を含むフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を用いてタンパク質強化飲料を産生する工程を示すフローチャートである。
【図5A】図5Aは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5B】図5Bは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5C】図5Cは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5D】図5Dは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5E】図5Eは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5F】図5Fは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図6】図6A〜図6Fは、タンパク質加水分解サンプルの比較キャピラリー電気泳動のグラフを示す。
【図7】図7は、様々なタンパク質加水分解産物サンプルの、熱安定性に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示す;そして
【図8】図8は、様々なタンパク質加水分解産物サンプルの、苦味に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示す
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、米国仮特許出願第60/756,456号(2006年1月4日出願)、発明の名称「PROTEIN HYDROLYSATES AND METHOD OF MAKING」(その内容全体は、全ての目的のために参考として本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
長年の間、栄養士は、タンパク質を多く含み、そして飽和脂肪の少ない食品を推奨してきた。これらの推奨は多くの場合、高脂肪の食事、糖分を多く含むペストリー、キャンディーバー、およびソフトドリンクを、ゆで卵の白身、インゲンマメ、および脱脂乳のたまらなく魅力的な代替物と考える消費者によって無視される。健康な食品および美味しい食品の間の、時には対立するゴールを試み、そして折り合いをつけるために、製造業者は、人気のある食品中のより健康的でない物質を、より健康的な成分で置換する。例えば、従来のアイスクリーム中の飽和脂肪および糖のいくらかを、タンパク質および糖代用品で置換し得、それはアイスクリームを低カロリーに、そして脂肪および加工糖の量を少なくする。脂肪および炭水化物をタンパク質で置換することは、パスタおよびキャンディーバーのような食品にさえ及んだ。
【0003】
成分置換のために使用するタンパク質の重要な供給源は、酪農業界に由来し、ここでは乳清およびカゼインのような大量のタンパク質を、酪農乳から分離し得る。例えば乳清タンパク質は、チーズ産生の天然の副産物であり、それはタンパク質代用品として付加価値を有する。しかしこれらのタンパク質の天然形式は、それらを多くの場合脂肪および炭水化物の良くない代用品とする物理的および感覚受容性性質を有する。天然タンパク質はまた、吸湿性である傾向があり、そしてその付近の水分を吸収する。結果として、固体の食品は乾燥した味がし得、そして液体の飲み物でさえ、チョークのような後味を有し得る。
【0004】
タンパク質、主に乳清タンパク質の組み込みは、それらを食品製品に主なタンパク質源として組み込むことを阻む、多くの問題に直面した。例えば、乳清タンパク質の沈殿および/またはゲル化を引き起こす、熱処理の間のそのタンパク質の不安定性のために、乳清タンパク質を常温で長期保存可能な飲料に組み込むことは制限される。さらに、主に乳清タンパク質をほとんど含まない、または全く含まないバーと比較したバーの早すぎる硬化のために、乳清タンパク質を栄養バーに組み込むことは、貯蔵寿命のより短いバーを生じる。
【0005】
乳製品タンパク質をより魅力的な食品代用品とするために、大きな天然タンパク質を、プロテアーゼ酵素によってより小さなタンパク質断片(タンパク質加水分解産物と呼ばれる)に加水分解する。より小さなタンパク質断片は、一般的に開始タンパク質より、より水溶性であり、そしてより吸湿性が低い。それらを飲料に溶解して濃縮タンパク質ドリンクを産生し、そして固体食品に加えてなめらかな、よりチョークのようでない味を与え得る。しかし、天然タンパク質を断片へ切断することも、重要な欠点を有する:タンパク質加水分解産物は、通常非常に苦く、そして全てのタンパク質加水分解産物が熱安定性であるわけではない。
【0006】
苦味の増加は、タンパク質断片の、人の味蕾の苦味受容体の達する能力の増加に起因する。タンパク質断片の疎水性アミノ酸側鎖が、これらの受容体に達し得た場合に、苦味を感じる。大きな天然タンパク質は大きすぎて、苦味を活性化する側鎖は、苦味受容体へ誘導するのに困難であり、天然タンパク質は苦味ではなくマイルドな味がする。
【0007】
タンパク質加水分解産物の苦味の増加は、食品科学者が、そのQ値として知られる、加水分解産物の平均疎水性を決定することによって、苦味およびタンパク質サイズ間の関係を定量するのに十分予測可能である。タンパク質加水分解産物を構成するアミノ酸グループの数(n)を数え、そしてタンパク質が人の口内で溶解する時の各アミノ酸グループの自由エネルギーの変化(Δg)を合計することによって、Q値を計算する。タンパク質加水分解産物のQ値を計算する等式は以下のようである:
【0008】
【数1】
Q値が高いほど、タンパク質は苦味がある可能性が高い。アミノ酸グループの数(n)が、Q値の等式の分母であるので、アミノ酸グループの数が小さいほど(すなわちタンパク質が小さいほど)、Q値は高くなり、タンパク質が苦味を有する可能性が増加する。研究は、1400を超えるQ値を有するほとんどのタンパク質加水分解産物は顕著な苦味があり、一方1300より低いQ値を有するものは、苦味がないことを示す。
【0009】
タンパク質加水分解産物の苦味を評価する別の手順は、加水分解産物の水性溶液を、増加する濃度の塩酸キニーネまたはカフェインのような標準苦味物質と比較することである。加水分解産物が、特定の濃度の標準物質と同じ程度苦味があるなら、それらはその濃度レベルの標準物質と同等の苦味を有すると言われる。加水分解産物の苦味を、苦味標準物質溶液の特定の濃度(または濃度範囲)の当量として定量的に表し得る。
【0010】
食品および飲料の製造者は、タンパク質加水分解産物の苦味に対処するために、いくつかのアプローチを試みた。これらは、甘味糖、および他の香味料で苦味を遮断する試みを含む。望ましい食品の風味を維持しながらタンパク質の苦味を消す香味料は、高価であり、そして開発するのが難しくあり得、そして典型的にはあまり苦味を遮断しない。苦味を抑制するために、加水分解または加水分解タンパク質のろ過の間に、苦味除去酵素の使用も採用されたが、あまり成功しなかった。
【0011】
別のアプローチにおいて、食品製造者は、タンパク質加水分解産物をより小さなペプチドユニットへ切断すること、時にはタンパク質を個々のアミノ酸へ切断することさえ試みた。タンパク質のこれらのサイズまでの徹底的な加水分解は、より大きな加水分解産物で感じられる苦味を抑制することが示された。しかし、苦味は通常、ペプチドからの石鹸のような、および培養液のような不快な臭いに置き換わり、苦味のある加水分解産物よりわずかに味がよいのみである。さらに、多くの場合、加水分解の後でさえ、苦味および後味は依然として顕著である。
【0012】
明らかに、乳製品タンパク質のような大きな天然タンパク質を、味がよく、そして加工中も安定なタンパク質加水分解産物へ変換し得るなら、大きな、そしてほとんど未開発の市場が現実化し得る。そのような変換過程は、乳清のような乳製品タンパク質副産物の価値ある市場を作るだけでなく、それらは消費者が、依然として食べるのが楽しい、より健康的な食品に継ぎ目なく移行することも可能にする。有用な、味のよいタンパク質加水分解産物を産生するこれらの過程、およびそれらから作られる様々な食品および飲料が、本発明によって記載される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の簡単な要旨)
本発明の実施態様は、タンパク質加水分解産物を産生する方法に関連する。その方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そして溶液のpHを約10.4以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程を含み得る。その方法はまた、塩基性タンパク質溶液にプロテアーゼ酵素を加えることを含み得、それは溶液中のタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0014】
本発明の実施態様はさらに、上記で記載した方法によって産生したタンパク質加水分解産物組成物を含む。その組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上の間、熱安定性である。その組成物はまた、約0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有し得る。
【0015】
本発明の実施態様はまた、タンパク質加水分解産物を産生するさらなる方法を含む。これらの方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そしてそのタンパク質溶液を約50°F以下まで冷却する工程を含み得る。その方法はまた、溶液のpHを約8以上に調整し、そしてプロテアーゼ酵素を、冷却した塩基性タンパク質溶液に加えることを含み得、それはタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0016】
本発明の実施態様はさらにまた、タンパク質加水分解産物を産生するさらなる方法を含む。これらの方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そして溶液のpHを約8以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程を含み得る。その塩基性溶液を、約30分以上の間混合し得、そしてプロテアーゼ酵素を、その塩基性タンパク質溶液に加え得る。そのプロテアーゼ酵素は、タンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0017】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質加水分解産物を産生するさらなる方法も含む。その方法は、タンパク質を含む溶液を提供し、そして溶液のpHを約8以上に調整する工程を含み得る。その方法はさらに、非アルカリ性プロテアーゼ酵素を、その塩基性タンパク質溶液に加えることを含み得、それはタンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する。
【0018】
本発明の実施態様はまたさらに、乳清タンパク質加水分解産物を産生するまたさらなる方法を含む。その方法は、重量で約10%の乳清タンパク質濃縮物を含む溶液を提供し、そしてその溶液を約45°Fに冷却する工程を含み得る。さらなる工程は、水性水酸化ナトリウムをその溶液に加えることによって、溶液のpHを約10.4に調整すること、その溶液を45°Fの温度で30分間混合すること、およびBacillus由来のプロテアーゼ酵素(例えばProtamexR(Novozymes A/S、Krogshoejvej 36、2880 Badsvaerd Denmark))を溶液に加えることを含み得、ここでプロテアーゼ酵素を乳清タンパク質濃縮物の重量で約0.5%の量で加える。その溶液を、24時間、またはpHが約9.5以下になるまで混合し得、ここでそのプロテアーゼ酵素は、乳清タンパク質の少なくとも一部を乳清タンパク質加水分解産物へ変換する。さらなる工程は、その溶液を約90°Fから約140°Fで、約30から約300分間インキュベートすること、溶液を約180°Fまで約10分間加熱してから、水を溶液から除去すること、そして次いで溶液を乾燥して乳清タンパク質加水分解産物を含む固体組成物を形成することを含み得る。
【0019】
本発明の実施態様はまたさらに、乳清タンパク質加水分解産物を産生するまたさらなる方法を含む。その方法は、重量で約10%の乳清タンパク質濃縮物を含む溶液を提供し、そしてその溶液を約45°Fに冷却する工程を含み得る。さらなる工程は、水性水酸化ナトリウムおよびリン酸三カリウムをその溶液に加えることによって、その溶液のpHを約10.4に調整すること、その溶液を45°Fの温度で30分間混合すること、およびBacillus由来のプロテアーゼ酵素(例えばProtamexR(Novozymes A/S、Krogshoejvej 36、2880 Badsvaerd Denmark))を溶液に加えることを含み得、ここでそのプロテアーゼ酵素を重量で乳清タンパク質濃縮物の約0.5%の量で加える。その溶液を、24時間、またはpHが約9.5以下になるまで混合し得、ここでそのプロテアーゼ酵素は、乳清タンパク質の少なくとも一部を乳清タンパク質加水分解産物へ変換する。さらなる工程は、その溶液を約90°Fから約140°Fで、約30から約300分間インキュベートすること、その溶液を約180°Fまで約10分間加熱してから、水を溶液から除去すること、そして次いでその溶液を乾燥して乳清タンパク質加水分解産物を含む固体組成物を形成することを含み得る。
【0020】
本発明の実施態様はまた、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物を含み得る、水溶性食品添加物を含み得る。混合物中のタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0021】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。混合物中のタンパク質加水分解産物は、約1300以下の平均Q値を有する。
【0022】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。混合物中のタンパク質加水分解産物は、0.003mg/mlの塩酸キニーネより低いキニーネ当量を有する。
【0023】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。水性溶液中のタンパク質加水分解産物は、約7%のタンパク質を含み、そして0.03mg/mlの塩酸キニーネより低いキニーネ当量を有する。
【0024】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質基質の酵素加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物から作られた、水溶性食品添加物を含み得る。水性溶液中のタンパク質加水分解産物は、約7%のタンパク質を含み、そして約180°Fから約300°Fで、約1秒から約50分間熱安定性である。
【0025】
本発明の実施態様はまた、タンパク質を加えた菓子を産生する方法も含み得る。その方法は、甘味料および固形脂肪を最初の混合物と混合し、そして最初の混合物を固形脂肪が溶解し始めるまで加熱する工程を含み得る。その方法はまた、タンパク質加水分解産物を含む化合物を、溶解した混合物に加えることを含み得、ここでそのタンパク質加水分解産物は約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する。液体乳製品のようなさらなる成分も、溶解した混合物に加えて、タンパク質強化菓子混合物を形成し得る。その方法はさらに、菓子混合物を菓子へ調理することを含み得る。
【0026】
本発明の実施態様はまたさらに、タンパク質強化飲料を産生する方法を含み得る。その方法は、水およびタンパク質加水分解産物を、最初の混合物に混合することを含み得、ここでそのタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する。その方法はまた、1つ以上のさらなる成分を水に加えて未加工の飲料を形成すること、およびその未加工の飲料を加熱してタンパク質強化飲料を形成することも含み得る。
【0027】
本発明の実施態様はさらに、タンパク質加水分解産物の組成物を含み得る。その組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上熱安定性であり得る。それらはまた、約0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有し得る。
【0028】
さらなる実施態様および特徴を、部分的に以下の説明において述べ、そして部分的には明細書の調査時に当業者に明らかとなり、または本発明の実施によって学び得る。本発明の特徴および利点を、明細書において記載された手段、組み合わせ、および方法によって現実化および達成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
タンパク質添加物および人気のある食品および飲料における成分代用品としてふさわしいサイズプロファイルを有する、タンパク質加水分解産物の混合物が記載される。加水分解産物の平均サイズは、よい溶解性および吸湿性の性質を有するのに十分小さく、しかし苦味を感じない程度に十分大きい範囲に入る。これらの加水分解産物を、高度に塩基性の水性溶液(例えば10より高いpHを有する溶液)中の天然タンパク質全体から得ることができる。塩基性タンパク質溶液中のタンパク質溶解酵素が、タンパク質をタンパク質加水分解産物へ切断する。
【0030】
加水分解過程の温度、pHおよび他のパラメーターを、タンパク質溶解酵素が天然タンパク質を過剰に加水分解しないよう調節する。異なる条件下では、加水分解産物は通常、さらにより小さいタンパク質断片へ切断され得るので、その過程を、天然タンパク質の部分的タンパク質分解として説明し得る(部分的タンパク質加水分解とも呼ばれる)。典型的な産生されたタンパク質加水分解産物は、人の味蕾上の苦味受容体に達するのが困難なほど十分大きく、しかし食品および飲料に加えたときに有意にゲル化、凝集、沈殿、濃縮、または硬化するほど大きくはない。
【0031】
タンパク質加水分解産物
タンパク質加水分解産物を、他の種類のタンパク質の中で、大豆タンパク質、および乳製品タンパク質(例えば乳清、カゼイン)、コムギタンパク質、キャノーラタンパク質、トウモロコシタンパク質、野菜タンパク質、穀物タンパク質、および動物タンパク質のような、天然食物タンパク質の酵素的加水分解によって産生し得る。数字的には、そのタンパク質加水分解産物は、約2000から約10000ダルトンの平均分子量を有し得る。そのタンパク質加水分解産物は、約67%またはそれより少ない、分子量が6000より低いタンパク質を有し得る。実施態様はまた、約2000から約5000ダルトンの平均分子量を有し得るタンパク質加水分解産物を含む。一般的に、より小さいタンパク質加水分解産物は、より大きなQ値を有する傾向があり、苦味を有する可能性が高いことを示す。より高いパーセンテージの加水分解産物がより小さな分子量(例えば約2000ダルトンより小さい)を有するほど、消費者が苦味を感じる可能性が高い。下記の分子量プロファイルデータが示すように、約45%またはそれより少ないタンパク質加水分解産物が2000ダルトンより低い分子量を有する加水分解産物は、ほとんどまたは全く検出可能な苦味を有さない。
【0032】
加熱時に凝集しやすいタンパク質を産物に含みすぎるのを避けるために、高分子量を有する加水分解産物のパーセンテージも調節し得る。タンパク質加水分解産物中の平均分子量加水分解産物は、それが産生された天然タンパク質よりも有意に高い水における溶解性を有する。この溶解性は、加熱後に水に溶解したままである加水分解産物の量を指す。あらゆる溶質(加水分解産物を含む)の溶解性は、他の条件の中で、温度、pH、イオン強度、ミネラルの存在、および溶媒の型のような、溶液の条件に依存して変動し得る。タンパク質に関して、いくつかのタンパク質は、104−122°Fのような、中程度の温度でさえ化学的変性を受け得るので、溶解性の温度への依存は、さらに複雑である。
【0033】
タンパク質の変性において、タンパク質の一次構造を規定するアミノ酸間の共有結合を切断せずに、タンパク質の形、サイズおよび物理的性質が変化する。タンパク質変性のよく知られている例は、卵をゆでる時に起こる:熱湯からの熱が、透明で流れやすい生卵の白身のタンパク質を、不透明な、ゴム状の固体へと変性させる。水はアミノ酸の共有結合をより小さなペプチドへ切断するのに十分なほど熱くないが、卵タンパク質を、造りなおし、そしてもつれさせて堅ゆで卵にするのに十分なエネルギーを提供する。
【0034】
ほとんどの場合、タンパク質変性は、水におけるタンパク質の溶解度を減少させる。変性の間に起こる形の変化は、多くの場合、より多くのタンパク質の非極性、疎水性官能基を外部環境へと露出させる。これは、極性の溶媒である水が、タンパク質分子を包囲し、そしてそれに結合する能力を減少させる。それに加えて、変性は多くの場合タンパク質をほどき、そしてその露出した枝および鎖は他のタンパク質とからまる。タンパク質の凝集は迅速に雪だるま式に増大し、タンパク質がゲルに凝集するおよび/または懸濁液または沈殿へと凝固することを引き起こし得る。
【0035】
タンパク質の変性およびその溶解度に対する影響は、食品および飲料メーカーに普通でない難題を提示する。塩および砂糖のような食品成分は、温度が上昇するにつれてより溶解度が高くなる。それらは、食品調製過程における加熱および低温殺菌工程の間に、凝集または沈殿しない。しかし、タンパク質(大豆、乳、および他の食品由来の大きな天然タンパク質を含む)は、反対の性質を有し、そして温度が上昇すると食品から分離する傾向がある。タンパク質を加えた製品は、粘着性の、または砂のような感触を発現し、それはほとんどの消費者が、まずくはないにしても魅力的でないと感じる。
【0036】
タンパク質加水分解産物は、それらが切断されたもとのタンパク質より小さいので、それらは一般的に、同じ程度には変性または水を吸収しない。それらは通常、より少ない疎水性グループが露出し、そしてそれらはそれほどほどき得る分岐および鎖を有さず、そして近くの加水分解産物とからまらない。天然食品タンパク質の変性によって引き起こされる問題は、加水分解産物が依然として2000から10000ダルトン以上の分子量の、比較的大きな分子である場合でさえ、多くの場合その加水分解産物においては弱まる。従って、もとのタンパク質を、完全な加水分解の3から8%のみ加水分解する、部分的酵素加水分解でさえ、依然としてそのタンパク質加水分解産物の溶解度を、タンパク質全体と比較して、50%から80%以上増加させ得る。しかし、部分的に加水分解されたタンパク質は、依然として加熱した場合ゲル化および/または沈殿し得ることに注意するべきである。下記の分子量プロファイルデータは、5000ダルトン以上の分子量のタンパク質加水分解産物を約33%またはそれより少なく含む加水分解産物は、タンパク質添加食品を産生および熱処理するために使用される温度で、ほとんどまたは全く認められる砂のような感触を生じない。
【0037】
タンパク質の変性はまた、天然食品タンパク質の吸湿性を増加させ得る(すなわち、変性タンパク質は、より多くの水分を吸収する傾向がある)。これは、飲料および固体食品両方の味のよさに影響を与え得る:飲料および他の液体食品において、吸湿性タンパク質は、飲む人の舌から水分を奪い、乾燥した、チョークのような後味を引き起こし得る。固体食品において、吸湿性タンパク質は水分を吸収し、そして食品に乾燥した、新鮮でない感触および口当たりを残す。タンパク質加水分解産物は一般的に、開始タンパク質より吸湿性が低く、そして変性タンパク質より有意に吸湿性が低い。
【0038】
タンパク質加水分解産物を産生する代表的な過程
タンパク質加水分解産物を、開始タンパク質の酵素的加水分解(すなわちタンパク質分解)によって産生し得る。加水分解環境は、開始タンパク質およびプロテアーゼ酵素の水性混合物を含み得、ここで温度、pHおよび他の混合物のパラメーターを調節して、本発明によるタンパク質加水分解産物を産生する。図1は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を産生する過程100の工程の概観を提供するフローチャートである。
【0039】
タンパク質加水分解産物産生過程100は、開始タンパク質の水性混合物を提供すること102を含み、それは大豆、乳清、カゼイン、および/または他の食品タンパク質のような、1つ以上の天然食品タンパク質を含み得る。そのタンパク質を濃縮し得、開始タンパク質が混合物全体の5%以上(重量によって)を構成する。その混合物を次いで室温以下(例えば約45°F)に冷却し得る104。
【0040】
混合物のpHを、約10以上(例えば約10.4のpH)まで上げる106ために、塩基および/または金属イオン封鎖剤を加え得る。その塩基は、水酸化ナトリウムのような強塩基の濃縮水性溶液であり得(例えば重量で40%のNaOH)、それを天然タンパク質混合物に注ぐ。その金属イオン封鎖剤は、混合物中の陽イオン(例えばカルシウムイオン)を隔離する化合物の、濃縮水性溶液であり得る。金属イオン封鎖剤の例は、リン酸塩、ピロリン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、炭酸塩、およびクエン酸塩を含み得る。例えば、その金属イオン封鎖剤は、1つ以上の二リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二カリウム、二リン酸四カリウム、二リン酸二マグネシウム、三リン酸五ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸アンモニウム、トリポリリン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸、ラクトビオン酸、リン酸、ピロリン酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ラクトビオン酸ナトリウム、および/またはトリポリリン酸ナトリウムカリウムを含み得る。金属イオン封鎖剤のさらなる例は、他の金属イオン封鎖剤の中で、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、および/またはピロリン酸四ナトリウムを含む。塩基性タンパク質混合物を次いで、一定時間(例えば30分から12時間)混合し得、それからプロテアーゼ酵素を加えて108タンパク質の加水分解を開始する。そのプロテアーゼ酵素は、高いpH(例えば8および11の間の範囲のpH)でタンパク質加水分解を触媒し得る、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、または中性プロテアーゼであり得る。
【0041】
プロテアーゼ触媒加水分解反応においてタンパク質が切断される場合、加水分解産物の1つにはカルボン酸官能基が残される。この酸性官能基の形成は、混合物のpHを下げる。タンパク質加水分解が進行するにつれて、混合物のpHは下がり続けるので、pHをモニターすること110は、加水分解の程度の洞察を提供し得る。例えば、約10.4から約9.5へのpHの変化は、加水分解が、タンパク質加水分解産物が望ましい分子量プロファイル(例えば分子量中央値が約2000から約5000ダルトンの範囲)の付近である点まで進んだことを知らせ得る。混合物が標的pHまで下がったら、低温加水分解反応を停止し得る。
【0042】
あるいは、反応の終了点は、時間に基づき得る。関連する反応条件(温度、開始材料、pH等のような)が反応の間、予測可能な推移に従う場合、時間につれた加水分解産物組成物も予測可能であり得る。加水分解産物の分子量プロファイルが望ましい分布に近くなったときに、反応を停止し得る。だから、例えばプロテアーゼを開始タンパク質混合物に加えた時108から、加水分解産物が、本発明の実施態様による平均分子量および/または分子量の分布プロファイルに近くなる、前もって決定した時間(例えば10から24時間)まで、反応の時間を設定し得る。
【0043】
これにインキュベーション段階112が続き得、ここでその加水分解産物を、インキュベーション温度(例えば約90°Fから約140°F)で、インキュベーション時間(例えば約30から約300分)の間加熱する。加水分解反応の終了は、高温段階114を含み得、ここでその混合物をより高い温度(例えば約180°F)で、より短い時間(例えば約10分)加熱して、酵素を不活性化する。あるいは、その混合物を、さらに高い温度(例えば約250°F)で、さらにより短い時間(例えば約5秒以上)加熱し得る。
【0044】
触媒的加水分解が終わった後、加水分解産物混合物を濃縮し得116、その後最終産物118を乾燥する。その混合物を、例えばろ過および/または混合物から水を蒸発させることによって濃縮し得る。水の大部分を、熱、真空蒸発、および/またはろ過によって除去し得る。残った加水分解産物留出物を、他の過程の中で、スプレー乾燥、加熱乾燥、および蒸発のような従来の乾燥過程によって乾燥し得る。
【0045】
タンパク質加水分解産物を産生する代表的な装置
図2は、本発明の実施態様によってタンパク質加水分解産物を産生する装置200の単純化した概略図を示す。その装置200は、乳製品過程(例えばチーズ産生過程)から得られた天然乳清タンパク質混合物を低温殺菌するための殺菌機202を含み得る。低温殺菌した乳清タンパク質混合物を、WPCを水性浸透物と分離するフィルター204で、乳清タンパク質濃縮物へ濃縮し得る。あるいは(またはそれに加えて)、乳清タンパク質混合物中の水を、エバポレーターユニット(示していない)で蒸発させて、乳清タンパク質を濃縮し得る。
【0046】
次いでWPCを、温度を調節し得る維持タンク206に入れる。その維持タンク206を、維持タンクに水を加えるための水供給源208を含む、多くの成分供給源と組み合わせ得る。成分供給源はまた、塩基性物質(例えば水性水酸化ナトリウム)のための塩基供給源210、タンクに加え得る金属イオン封鎖剤(例えばリン酸三カリウム)のための金属イオン封鎖剤供給源213、および加え得る酵素のための酵素供給源212を含み得る。
【0047】
維持タンクに加えたWPCを、水供給源208から水を加えることによって希釈し、そして塩基供給源210から塩基性物質を加えることによって塩基性にし得る。例えば、乳清タンパク質を、重量で80%の最初の濃度の乳清タンパク質から、重量で約25%以下(例えば重量で約20%、重量で約15%、重量で約5%等)まで希釈するために水を加え得る。水性希釈は、乳清タンパク質混合物のpHを上げるために、塩基供給源210からの塩基性物質の添加を伴い得る(または次に続く)。塩基性物質は、濃縮水酸化ナトリウムのような、強塩基の濃縮水性溶液であり得る。塩基性物質はまた、リン酸三カリウムのような、金属イオン封鎖剤を含み得る。測定した乳清タンパク質混合物のpHが、約10以上(例えば約10.4)のような特定のpHに達するまで、塩基性物質を加え得る。
【0048】
塩基供給源210から塩基性物質を加えた後、塩基性乳清タンパク質混合物を、維持タンク206内で、低温(例えば45°F)で一定期間(例えば約30分から約5時間)維持し得る。塩基性乳清タンパク質混合物を、維持期間の間混合し得る。次いでプロテアーゼ酵素を酵素供給源212から加えて、タンパク質加水分解の最初の段階を開始し得る。この段階において、塩基性乳清タンパク質混合物およびプロテアーゼの混合物を、低温で(例えば約50°F、約45°F等より低い)、約24時間またはそれより短い期間(例えば10時間)、維持タンク206内で維持し得る。この「冷たいインキュベーション」段階の間、プロテアーゼ酵素の活性は、天然タンパク質鎖の加水分解を触媒する、その最高速度より実質的に低くあり得る。
【0049】
反応過程の特定の理論に拘束されることを意図しないで、加水分解をより遅く、そして比較的高いpHで行うことは、タンパク質構造を開いて、そうでなければ不溶性のタンパク質コアを後に残す、通常球状のタンパク質の外側周辺ではなく、タンパク質が天然タンパク質鎖の中間点に近い点で加水分解されるようにすると考えられる。従って、冷たいインキュベーションは、長いおよび短いタンパク質断片の産生よりも、だいたい同じサイズ(例えば開始タンパク質の約半分のサイズ)のタンパク質加水分解産物の産生に有利である。統計学的に、冷たいインキュベーション活性は、より従来的な、大きなおよび小さな加水分解断片両方の大きな集団を有する、双峰集団分布と比較して、よりベルカーブに見える加水分解産物の分布に有利なようである。
【0050】
維持タンク206における冷たいインキュベーション後、「温かいインキュベーション」加水分解段階のために、タンクの温度を、より短い時間(例えば約2時間またはそれより短く、約40分等)で、より高い温度(例えば約120°F)に調節し得る。この段階において、プロテアーゼ酵素の活性は、最高の触媒速度である(または近づく)。温かいインキュベーションは、望ましい断片の範囲(例えば約2000から5000ダルトン)に加水分解された、天然タンパク質およびより大きなタンパク質加水分解産物の量を増加させる。
【0051】
温かいインキュベーション段階の終わりに、タンパク質加水分解産物混合物を、維持タンク206から加熱ユニット214へ移し得、ここでプロテアーゼ酵素を不活性化する温度(例えば約180°F以上、約190°F等)まで混合物の温度を上げ、そしてタンパク質加水分解反応を停止する。加熱ユニット214は、熱源(例えば加熱した水、スチーム、加熱コイル等)と熱的に接触した、1つ以上の曲がった、ねじれた、および/またはコイル状の導管を含み得る。タンパク質加水分解産物混合物は、その導管を通り、混合物の温度を迅速に熱源と平衡化する。いくつかの例において、殺菌機202も、プロテアーゼ酵素を不活性化するための加熱ユニット214として使用し得る。
【0052】
冷たいおよび温かいインキュベーションの間、加水分解混合物のpHもモニターし得る。pHメーター(示していない)を維持タンク206内に設置して、混合物のpHの定期的なまたは恒常的な測定を提供し得る。タンパク質加水分解は、タンパク質加水分解産物の1つにカルボン酸グループを形成するので、塩基性の乳清タンパク質混合物のpHは、10超から約9.5またはそれより低く低下する。より早い速度でカルボン酸グループが形成される温かいインキュベーションの間に、pHの低下は加速し得る。いくつかの実施態様において、pHを、いつ冷たいインキュベーション段階を終了するべきかに関する指標として使用し得る。例えば、加水分解混合物のpHが9.5より低く低下した場合、冷たいインキュベーション段階を時間に関わらず終了し得る。他の実施態様において、冷たいインキュベーション段階は、前もって決定した時間の間続き得る。
【0053】
プロテアーゼ酵素の高温不活性化に続いて、タンパク質加水分解産物混合物を濃縮し得る。加水分解産物の濃縮は、ろ過ユニット216を通して混合物をろ過して、未透過物中の加水分解産物を、透過物中の水性成分から分離することを含み得る。加水分解産物混合物をまた、混合物から水を蒸発させるエバポレーター(示していない)で濃縮し得る。
【0054】
次いで濃縮したタンパク質加水分解産物を、乾燥ユニット218で乾燥し得る。乾燥ユニット218は、スプレードライヤーであり得、それはタンパク質加水分解産物を霧状にして、それらを暖かい、乾燥した環境にさらして、それが残留水分を迅速に蒸発させ、そしてタンパク質加水分解産物の粉末を生じる。乾燥産物を包装し、そして食品製造過程でタンパク質添加物として使用する準備ができるまで保存し得る。
【0055】
装置200の説明で使用したタンパク質源は乳清タンパク質であったが、他のタンパク質を、タンパク質加水分解産物を産生するその装置および方法で使用し得ることが認識される。例えば、装置200を、カゼインのような他の乳製品タンパク質、および他の食品源の中で、大豆、ナッツ、野菜、および動物由来のタンパク質と共に使用し得る。
【0056】
タンパク質加水分解産物で産生した食品の例
図3は、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物を含む、タンパク質添加菓子を産生する方法の工程を含むフローチャートを示す。これらの菓子は、特にキャラメル、チョコレート、ファッジ、タフィー(taffies)、ヌガー、ガム、アイスクリーム、タンパク質/栄養または食事置換バー、およびタフィー(toffees)を含み得る。例えば、方法300は、タンパク質加水分解産物を含む、タンパク質添加キャラメル菓子を産生する工程を含む。その方法300は、砂糖、コーンシロップ等のような甘味料を含む成分を、バターまたはマーガリンと混合すること302を含み得る。バターおよび/またはマーガリンが溶けるまで、成分を加熱および攪拌し得る304。
【0057】
タンパク質加水分解産物を、溶解した成分に加える前に、2つの部分に分け得る。タンパク質加水分解産物の最初の部分を、他の成分とまず前もって混ぜることなく、溶解した成分に直接加え得る306。タンパク質加水分解産物の2番目の部分を、残りの溶解した成分に加える前に、加糖コンデンスミルクを含むさらなる成分と混合し得る308。混合物を攪拌しながら、全ての成分の混合物を、キャラメル製品が指定された温度(例えば223°F)に達するまで調理し得る310。調理後、混合物を冷却し312、キャラメル製品を固まらせ得る。固体キャラメルを切断、または他の方法で望ましい形(例えば立方体、塊、バー、軸、シート、ロール、球等)に形成し得る。表1は、タンパク質強化キャラメルの1つの実施態様において使用された、成分、およびその重量による相対的な量を提供する。
【0058】
(表1−典型的なタンパク質強化キャラメルの成分)
【0059】
【表1】
表1に列挙したものに加えて(またはその代わりに)様々なさらなる成分を使用し得ることが認識される。例えば、グラニュー糖およびコーンシロップを、他の型の甘味料で補足または置換し得る。マーガリンを、バターで補足または置換し得る。バニラに加えて、またはその置換として、さらなる香料を使用し得る。成分の相対的な量も、変動し得る。
【0060】
本発明のタンパク質加水分解産物を含み得るタンパク質添加食品は、固体に限らない。加水分解産物を、他の飲料の中で、ソーダ、コーヒー、シェイク、瓶詰めの水、スポーツドリンク、フルーツジュース、乳幼児用ミルク、および乳製品飲料を含む液体飲料にも加え得る。図4は、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物を含むタンパク質強化飲料を産生する方法400のフローチャートを示す。その方法400は、他の成分の中で、水、レシチン、油、および香料を含み得る成分を、高速ミキサーで混合すること402を含み得る。その方法はまた、他の乾燥成分の中で、タンパク質加水分解産物、砂糖、マルトデキストリン、ココア、カラゲーナン、およびビタミンを乾燥混合すること404も含み得る。液体混合物を、高速混合過程406において乾燥混合物に加え得る。液体および乾燥成分の混合物をまた、加熱し得る408。加熱工程の例は、混合物を約190°Fの温度で約10分間加熱することを含み得る。例はまた、混合物を超高温(UHT)加熱過程にかけることも含み、ここで混合物を約220°Fで短時間(例えば2秒間)加熱する。表2は、タンパク質強化飲料の1つの実施態様において使用される、成分およびその重量による相対的な量のリストを提供する。
【0061】
(表2−典型的なタンパク質強化飲料の成分)
【0062】
【表2】
上記のタンパク質添加キャラメルの成分と同様に、表2に列挙したものに加えて(またはその代わりに)、様々なさらなる成分を使用し得ることが認識される。例えば、砂糖を、他の型の甘味料で補足または置換し得る。キャノーラ油を、他の型の油で補足または置換し得る。飲料の風味、舌ざわり、および/または粘性を増強するために、さらなる成分も加え得る。あるいは、低pHのフルーツ飲料、例えばオレンジ、レモン、またはシトラスブレンド飲料を産生するために、酸味料を加え得る。成分の相対的な量も変動し得る。
【0063】
上記の例で産生されるタンパク質添加食品は、本発明のタンパク質加水分解産物でタンパク質強化し得る食品の全てを含んだリストではないことも認識される。加水分解産物を、例えばチーズ、パン、パスタ、スープ、ペストリー、シリアル、ライス、および多くの他の種類の食品に加え得ることが企図される。
【実施例】
【0064】
実施例1:天然乳清タンパク質由来のタンパク質加水分解産物
タンパク質加水分解産物を、モッツァレラチーズ製造の副産物である、乳清タンパク質濃縮物(WPC)から産生した。その過程は、チーズ凝乳から分離した生の乳清混合物から限外ろ過を用いて濃縮した、重量で80%のWPCから始まる。80%のWPCを、温度をコントロールした維持タンクに移し、そこでそれを水と混合して、重量で10.3%の希釈乳清タンパク質溶液を産生する。維持タンクは、タンパク質加水分解産物混合物の1000lbのバッチを維持し得、ここで128.75lbの80%WPC(すなわち12.875%の固体)を、水と混合して、希釈乳清タンパク質溶液を形成する。
【0065】
次いで希釈乳清タンパク質溶液を、水酸化ナトリウムを維持タンクに加えることによって塩基性にする。塩基を希釈乳清タンパク質溶液に加える前に、NaOHの調製は、重量で40%のNaOHの水性溶液の濃度を、20%のNaOHに希釈することから始まる。1000lbのバッチのために、15lbの40%NaOHを使用して、乳清混合物のpHを10.45に上げる。まず塩基を完全に混合するために適当な時間をおき、次いでサンプリングして、そしてpHメーターを用いてpHを測定することによってpHを測定する。塩基性乳清タンパク質溶液を、約45°Fまたはそれ以下で、5時間維持タンクにおいてから、プロテアーゼ酵素を加える。
【0066】
プロテアーゼ酵素の添加は、タンパク質加水分解産物を形成するために、タンパク質触媒の冷たいインキュベーション段階を開始する。この実験において、プロテアーゼ酵素は、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼであり、そしてDenmarkのNoxozymesによってProtamexRの商標で市販されている。それを塩基性乳清タンパク質混合物に、基質の重量で約0.5%のレベルで加える。1000lbのバッチのために、約0.515lbのProtamexを加える。乾燥粉末として輸送されるその酵素を、希釈乳清タンパク質混合物に加える前に、水でスラリーにする。それは水に可溶性であり、そして1グラムあたり1.5 Ansonユニットの申告活性を有し、約7.5のpHおよび約50℃(122°F)の温度を含む最適活性条件を有する。それはpHが4の場合、50℃(122°F)またはそれより高くで、30分で不活性化し得、そしてpHが8の場合、85℃(185°F)またはそれより高くで、約10分で不活性化し得る。
【0067】
冷たいインキュベーション段階は、45°Fで24時間続く。酵素加水分解によって産生されたタンパク質加水分解産物は、混合物のpHを低下させる末端のカルボン酸グループを有する。24時間の最後において、測定した混合物のpHは約9.5である。
【0068】
次いで混合物を温かいインキュベーション段階で120−130°Fで加熱し、それは70分間続く。このインキュベーション段階において、酵素活性は最も高く、そしてpHはさらに下がる。70分の最後において、混合物を195°Fで10分間加熱することによって、酵素を不活性化する。混合物を250°Fで2秒間加熱することによって、UHT工程においても不活性化し得る。次いでタンパク質加水分解産物をスプレー乾燥してさらに水を分離し、そして粉末産物を産生する。
【0069】
サンプルの分子量プロファイルを、高圧サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって決定する。タンパク質加水分解産物サンプルを、まずMilliQ水(2.5mL)で30分間再水和し、そして次いで移動相で1:1の比で希釈し、そして13,500×gで3分間遠心する。上清を0.22μmのPVDF膜でろ過してから、カラムに注入する(約1%のタンパク質)。クロマトグラムの全エリアを統合し、そして全表面のパーセンテージとして表された6つの分子量範囲(すなわち>10kDa、5−10kDa、2−5kDa、1−2kDa、0.5−1kDa、および<0.5kDa)に分ける。表3は、HPSEC分析において使用したさらなる条件を列挙する。
【0070】
(表3:タンパク質加水分解産物のHPSEC分析に使用した条件)
【0071】
【表3】
6つのサンプルのHPSECクロマトグラムを、図5A−Fにそれぞれ示し、そして6つのサイズ範囲における加水分解産物分子量の分布を、下記の表4に列挙する。
【0072】
(表4:異なるタンパク質加水分解産物サンプルの分子量プロファイル)
【0073】
【表4】
最初の3つのタンパク質加水分解産物サンプル(すなわち、WPH−LFC 85分、WPH−LFC 135分、およびWPH−LFC コンボ)を、本発明の方法によって産生した。これらのサンプルの分子量プロファイルは、加水分解産物の大部分が1から10kDaの範囲で形成され、2000および5000ダルトンの間の平均分子量を有することを示す。これらのサンプルは、すぐれた感覚受容性の質を有し、そして検出可能な苦味を有さない。溶液中15%のタンパク質までの溶液も、凝集および他の方法で変性することなく、高温(例えば15psiで約212°Fで15分間)で加熱し得、それらは様々な食品のタンパク質添加物としてすぐれた候補となる。
【0074】
次の2つのタンパク質加水分解産物サンプル(すなわち、WPH市販のサンプル1および2)は、従来の方法によって産生された、タンパク質添加物として使用するためのタンパク質加水分解産物の市販で入手可能なサンプルであった。これらのサンプルの分子量プロファイルは、平均して、0.5kDaより小さい分子量を有する最も小さい加水分解産物のパーセンテージが2倍以上であることを示した。これらの小さい加水分解産物の濃度が高いことは、サンプルの感覚受容性の質を損ない、それは両方とも顕著に強い苦味を有する。これらの市販のサンプルはまた、高熱処理に影響されやすく、そしてゲル化するかまたは沈殿した。
【0075】
最後に、最後のサンプル(すなわち加水分解していない乳清タンパク質)は、タンパク質加水分解過程で使用した天然WPCの比較サンプルであった。このサンプルの分布の大部分は、10kDaより大きな最も高い分子量のカテゴリーに集中していた。天然WPCサンプルにおいて苦味は検出されなかったが、予測されるように、加熱した場合かなり変性した。
【0076】
上記で記載した分子量プロファイルは、タンパク質加水分解の程度のパーセンテージ(すなわち%DH)をただ測定するよりも、タンパク質加水分解産物の苦味および他の感覚受容性の質の、より正確な予測量である。加水分解の程度の測定は、通常加水分解反応によってタンパク質において標的ペプチド結合が切断された程度を測定する。しかし、50%のDHは、必ずしも最初のタンパク質の半分が加水分解されたことを意味しない。その代わりに、特定のプロテアーゼ酵素によって加水分解され得るペプチド結合の50%が加水分解されたことを意味する。さらに、%DHの値は、できた加水分解産物断片のサイズを示さない。上記で議論したように、多くの小さい加水分解断片を産生する触媒タンパク質加水分解過程は、苦味を有する可能性がより高い。
【0077】
実施例2A:天然乳清タンパク質由来のLFC−WPHタンパク質加水分解産物
モッツァレラチーズ製造の副産物である乳清タンパク質濃縮物(WPC)からタンパク質加水分解産物を産生する。その過程は、限外ろ過を用いて濃縮して、80%の乳清タンパク質未透過物を形成した、スイートホエイから始まる。80%の乳清タンパク質未透過物を、温度をコントロールした維持タンクに移し、そこでそれを水と混合して、重量で10.3%の希釈乳清タンパク質溶液を産生する。希釈乳清タンパク質溶液は、約9532ポンドの加水分解されていない乳清固体を含む。
【0078】
次いで希釈乳清タンパク質溶液を、水酸化ナトリウムおよびリン酸三カリウムを維持タンクに加えることによって塩基性にする。維持タンクに、159ポンドのリン酸三カリウム、続いて水酸化ナトリウムを、pHが10.5に達するまで加える。塩基性乳清タンパク質溶液を、約45°F以下に、5時間置いて、それからプロテアーゼ酵素を加える。加水分解反応の残りの工程は、実施例1に従う。この実施例によって産生したタンパク質加水分解産物を、「LFC−WPH」サンプルとして、熱安定性および苦味に関して試験した。
【0079】
比較実施例2B:NZDBタンパク質加水分解産物
Schlothauerらに対する、「Bioactive whey protein hydrolysate」と題する、そしてNew Zealand Dairy Boardに属する、米国特許第6,919,314号で記載された過程によって、タンパク質加水分解産物を産生し、その内容全体は本明細書中で全ての目的のために参考文献に組み込まれる。これらのタンパク質加水分解産物(「NZDB加水分解産物」)を産生する過程は、水酸化ナトリウム(NaOH)で7.0のpHに調整した、乳清タンパク質濃縮物の10%(wt)溶液から始まる。次いでその中性溶液を、122°Fの温度まで加熱し、それからプロテアーゼ酵素Neutraseを、酵素の濃度が0.3%(wt)に達するまで加えた。
【0080】
乳清タンパク質およびプロテアーゼ酵素溶液を、1時間反応させてから、リン酸を加えてpHを5.0に低下させた。次いで溶液の温度を、30分間149°Fへ上げ、そして水を除去してタンパク質加水分解産物(「NZDB加水分解産物」と呼ばれる)を産生した。
【0081】
実施例3:タンパク質加水分解産物の苦味の測定
実施例2AおよびBで記載された過程によって産生した乳清タンパク質加水分解産物、およびいくつかの市販で入手可能なタンパク質加水分解産物(すなわち、Hilmar Ingredients、Hilmar、CAによって産生されたHilmar8350、およびHilmar8390;およびDavisco Foods International,Inc、Eden Prairie、MNによって産生されたBiozate1)の苦味を定量するために測定を行った。サンプルの苦味レベルを、加水分解されていないタンパク質溶液中の塩酸キニーネと同等の濃度に基づいて定量した。キニーネの濃度の増加は、加水分解していないタンパク質溶液の苦味を増加させるので、より濃いキニーネ溶液の苦味と同等であると発見されたタンパク質加水分解物溶液は、より濃度の低いキニーネ溶液と同等の加水分解産物より、定量的により苦い。
【0082】
7.5%(重量による)のタンパク質加水分解産物を含む水性溶液を、0から0.03mg/mlまでの不連続な量で塩酸キニーネを含む、加水分解していないタンパク質の7.5%(重量による)の水性溶液に対して、感覚評価に関して試験した。感覚パネルを、5日間(1日あたり1つの加水分解産物サンプル)にわたって行った。パネリストは、乳清タンパク質加水分解産物サンプルを試食し、そして次いでどの塩酸キニーネサンプルが、加水分解産物サンプル中の苦味のレベルに最もマッチするかを同定するよう依頼された。各パネルからの加重平均が、各乳清タンパク質加水分解産物サンプルに対応する、等価な塩酸キニーネ濃度を定量した。表5は、この感覚パネルの結果を示す。塩酸キニーネ当量が低いほど、タンパク質加水分解産物は苦くない。
【0083】
(表5:乳清タンパク質加水分解産物の苦味プロファイル)
【0084】
【表5】
重量で7.5%の同等の濃度において、加水分解産物は、その苦味レベルが有意に異なっていた。実施例2Aによって産生されたLFC−WPHタンパク質加水分解産物は、同じ濃度でHilmar8350、Hilmar8390、およびBiozate1タンパク質加水分解産物より数倍苦味が少なかった。NZDB加水分解産物サンプルのみが、LFC−WPH加水分解産物と同等の苦味のレベルを有していた。
【0085】
様々な濃度の乳清タンパク質加水分解産物で、さらなる苦味の測定を行った。重量で7%、10%、13%、および16%の乳清タンパク質である、水性の開始乳清タンパク質溶液から産生されたタンパク質加水分解産物溶液に関して、苦味レベルを定量した。これらの溶液から産生されたタンパク質加水分解産物サンプルを、0.005から0.73mg/mlの範囲の塩酸塩の水性溶液と比較した。パネリストは、乳清タンパク質加水分解産物サンプルを試食し、そして次いでどの塩酸キニーネサンプルが、各開始タンパク質濃度のタンパク質加水分解産物サンプルに最もマッチするかを同定するよう依頼された。この感覚分析の結果を、表7に示す。
【0086】
(表7:様々なタンパク質濃度におけるタンパク質加水分解産物の苦味)
【0087】
【表6】
表7は、最初の溶液中のタンパク質濃度が増加すると、加水分解産物の苦味が増加することを示す。2つのサンプル、WPH−LFCおよびNZDB加水分解産物のみが、試験した全てのタンパク質濃度において、摂取するために許容できるほど十分低い苦味レベルを有していた。残りの加水分解産物サンプルは、7%のタンパク質濃度でさえ、飲料、栄養バーまたは他の種類の食品製品または栄養補助食品の許容可能な添加物とするには苦すぎた。試食パネリストはまた、WPH−LFCおよびNZDB加水分解産物サンプルを除いて、タンパク質加水分解産物は、培養液のような、および「濡れたイヌのような」味および臭いを有していたとコメントし、それもまたそれらを食品または飲料添加物として望ましくないものにする。それに加えて、NZDB加水分解産物サンプルは、WPH−LFCサンプルと同等の味を有していたが、それは望ましくないレベルのチョークのような感じを有していた。
【0088】
実施例4:タンパク質加水分解産物の熱安定性の測定
様々な乳清タンパク質加水分解産物の熱安定性を測定した。市販のタンパク質加水分解産物サンプル、実施例2によって産生された乳清タンパク質加水分解産物、Biozate1(Davisco Foods International,Inc、Eden Prairie、MN)およびHilmar Ingredients(Hilmar、CA)を、室温の蒸留水に、様々なタンパク質濃度で可溶化した(表6を参照のこと)。可溶化したタンパク質加水分解産物の10mlのサンプルを、バイアル(Bellco Glass 18×150mm)に分け、20mmのセプタム栓(septum stopper)で密封し、そして20mmのクリンパを用いて、アルミニウムシールで動かないようにした。バイアルを、255°Fにセットした油浴(Lauda ProlineシリーズPVI5c)中に沈めた。指定された時間(10、20、30および40分)にバイアルを油浴から取り出しし、そしてすぐに氷浴に置いてサンプルを冷却した。加熱処理の終了から30分後、全てのサンプルを、タンパク質の沈殿、ゲル化、および凝固の徴候に関して調査した。熱安定性の結果を、表6に示す。
【0089】
(表6:市販の加水分解産物サンプルの熱安定性)
【0090】
【表7】
表6は、市販で入手可能なタンパク質加水分解産物サンプルの多くが、工業用の熱処理条件で熱安定性ではないことを示す。このデータはさらに、上記の実施例2Aによって調製されたタンパク質加水分解産物(表6で「WPH−LFC」サンプルとして記載されている)は、広い範囲のタンパク質濃度および加熱時間で熱安定性であることを示す。Biozate1サンプルのみが、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物と同等の熱安定性を示した。これは、Biozate1サンプルは、乳清タンパク質単離物(>90%のタンパク質)由来であり、そして従ってタンパク質加水分解産物の熱安定性を低下させ得るミネラルを含まないという事実によって説明し得る。実施例2Aによって調製したタンパク質加水分解産物は、天然の乳清タンパク質開始材料に存在するミネラルを除去する必要なく、同じレベルの熱安定性を達成し得る。
【0091】
実施例5:乳清タンパク質加水分解産物のクロマトグラフィーの特徴
加水分解していないWPC(Leprino Foods、Denver、CO)、LFC−WPH、Biozate1(Davisco Foods International,Inc、Eden Prairie、MN)、NZDB加水分解産物、およびHilmar Ingredients(Hilmar、CA)のサンプルを、キャピラリー電気泳動(「CE」)装置に流して、サンプルのプロファイルを得た。通常のWPC以外は全て加水分解した。各サンプルのCEプロファイルを、IBM NetVistaコンピューター(IBM Corp.、Armonk、NY、USA)を用いて、System GoldソフトウェアによってコントロールするP/ACETMMDQキャピラリー電気泳動システム(Beckman、Fullerton、CA、USA)を用いて得た。72cmの有効長、50μmIDのコーティングしていない溶融シリカキャピラリーカラム(Beckman、Fullerton、CA、USA)を、P/ACEカートリッジ内に組み立てた。加水分解産物由来のサンプル(3mg/mL)溶液を、脱イオン水中で調製し、そして0.22μmのAcrodiscRフィルター(Pall Corp.、Ann Arbor、MI、USA)を通してろ過してから、1psiの圧力で15秒間注入した。泳動リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH2.5)を、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、USA)から得た。CE分析を、214nmにおけるUV検出を用いて、一定の電圧(27kV)および温度(25℃)で、全部で60分間行った。CEクロマトグラムを図6A−Fに示す。
【0092】
図6Aは、加水分解していない乳清タンパク質濃縮物のCEクロマトグラムを示す。図6Bは、上記の実施例2Aによって産生されたタンパク質加水分解産物のCEクロマトグラムを示す。図6C−Fは、NZDBおよび市販で入手可能なタンパク質加水分解産物の比較CEクロマトグラムを示す:図6Cは、Biozate1タンパク質加水分解産物のクロマトグラムを示す;図6Dは、NZDBタンパク質加水分解産物のクロマトグラムを示す;および図6EおよびFは、それぞれHilmar8350および8390のタンパク質加水分解産物のクロマトグラムである。クロマトグラムは、タンパク質加水分解産物サンプルは有意に異なる製品プロファイルを有することを示し、それはそれらの異なる苦味および熱安定性の特徴(他の特徴の中で)に関連し得る。特定の理論に拘束されることを望まないが、特定の乳清タンパク質成分の加水分解が、乳清タンパク質加水分解産物中の苦味のほとんどの原因であることが示唆された。開始乳清タンパク質は、他のタンパク質の中で、ベータ−ラクトグロブリン、アルファ−ラクトアルブミン、および血清アルブミンを含むタンパク質の混合物である。アルファ−ラクトアルブミンの加水分解産物は、有意に苦く、そして他の開始乳清タンパク質(例えばベータ−ラクトグロブリン)の加水分解に有利である加水分解過程は、より苦味の少ないタンパク質加水分解サンプルを産生すると考えられる。従って、研究されたタンパク質加水分解産物サンプルの苦味のバリエーションは、少なくとも部分的には、アルファ−ラクトアルブミンおよびベータ−ラクトグロブリン開始タンパク質の間の、加水分解の相対的な程度により得る。
【0093】
上記の実施例からのデータは、本発明の実施態様によるタンパク質加水分解産物(例えばWPH−LFCサンプル)は、少ない苦味/望ましい風味のプロファイルおよび様々な熱処理の適用に関して高い熱安定性の両方を有することを示す。対照的に、NZDB加水分解産物サンプルは、低い熱安定性を有し、一方Biozate1サンプルは、測定したタンパク質濃度の全てにわたって非常に苦かった。Hilmarタンパク質加水分解産物は、他の培養液のような風味に加えて、低い熱安定性および高い苦味の両方を示した。
【0094】
図7および8は、このデータをあわせて、発明の加水分解産物は、他のタンパク質加水分解産物サンプルには見られない、高い熱安定性および低い苦味の組み合わせを有することを示す。図7は、様々なタンパク質加水分解産物サンプルの熱安定性に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示し、一方図8は様々なタンパク質加水分解産物サンプルの苦味に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示す。あわせると、図7および8は、LFC−WPHタンパク質加水分解産物サンプルは、255°Fで10分間より高い熱安定性および、0.03mg/mlより少ない塩酸キニーネの当量によって測定される苦味を有していたことを示す。
【0095】
いくつかの実施態様を記載してきて、本発明の意図から離れることなく、様々な修飾、代替の構築物、および同等物を使用し得ることが、当業者によって認識される。さらに、不必要に本発明を不明確にするのを避けるために、多くの周知の過程および要素を説明しなかった。よって、上記の説明は、本発明の範囲を制限するものと取るべきではない。
【0096】
値の範囲が提供される場合、文脈が明らかに他を規定しなければ、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限および下限の間の、間にあるそれぞれの値も、明確に開示される。述べられた範囲内のあらゆる述べられた値または間にある値および、その述べられた範囲のあらゆる他の述べられた値または間にある値の間の、より小さな範囲それぞれが含まれる。これらのより小さな範囲の上限および下限は、その範囲内に独立に含まれ得る、または除外され得る、そして述べられた範囲内のあらゆる明確に除外された限界を条件として、どちらかの限界がそのより小さな範囲に含まれる、どちらの限界も含まれない、またはどちらの限界も含まれる各範囲も、本発明に含まれる。述べられた範囲が1つまたは両方の限界を含む場合、それらの含まれた限界のどちらかまたは両方を除外する範囲も含まれる。
【0097】
本明細書中および添付の請求で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を規定しなければ、複数の言及を含む。従って、例えば「過程」への言及は、複数のそのような過程を含み、そして「電極」への言及は、1つ以上の電極および当業者に公知のその同等物への言及を含む、等である。
【0098】
本明細書および続く請求において使用される場合、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含む(include)」、「含むこと(including)および「含む(includes)」という用語は、述べられた特徴、整数、構成要素、または工程の存在を特定することを意図するが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、またはグループの存在または追加を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を産生する過程における工程の概観を提供するフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を産生する装置の例を説明する。
【図3】図3は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を用いてタンパク質添加菓子を産生する方法の工程を含むフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施態様によって、タンパク質加水分解産物を用いてタンパク質強化飲料を産生する工程を示すフローチャートである。
【図5A】図5Aは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5B】図5Bは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5C】図5Cは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5D】図5Dは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5E】図5Eは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図5F】図5Fは、加水分解したタンパク質の試験的に流したHPSECクロマトグラムのグラフを示す。
【図6】図6A〜図6Fは、タンパク質加水分解サンプルの比較キャピラリー電気泳動のグラフを示す。
【図7】図7は、様々なタンパク質加水分解産物サンプルの、熱安定性に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示す;そして
【図8】図8は、様々なタンパク質加水分解産物サンプルの、苦味に対するタンパク質濃度の影響のグラフを示す
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質加水分解産物を産生する方法であって、ここで該方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを約10.4以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程;および
プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する、工程;
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶液を約45°Fへ冷却する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液のpHを調整する工程は、該溶液に強塩基を加える工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記強塩基は、水酸化ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液のpHを調整する工程は、該溶液に金属イオン封鎖剤を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属イオン封鎖剤は、リン酸塩、ピロリン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、炭酸塩、またはクエン酸塩を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属イオン封鎖剤は、二リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二カリウム、二リン酸四カリウム、二リン酸二マグネシウム、三リン酸五ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸アンモニウム、トリポリリン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸、ラクトビオン酸、リン酸、ピロリン酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ラクトビオン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムカリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、またはピロリン酸四ナトリウムを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基性タンパク質溶液を、約1時間以上混合してから、プロテアーゼ酵素を加える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基性溶液を、約5時間混合してから、プロテアーゼ酵素を加える、請求項8の方法。
【請求項10】
前記プロテアーゼ酵素は、非アルカリ性プロテアーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プロテアーゼ酵素は、中性プロテアーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プロテアーゼ酵素は、Bacillus由来のプロテアーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プロテアーゼ酵素を加える工程は、約0.5重量%のタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記プロテアーゼ酵素を加えた後、前記塩基性タンパク質溶液を約30分以上混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記プロテアーゼ酵素を含む前記塩基性タンパク質溶液を、pHが約9.5以下になるまでインキュベートする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、プロテアーゼ酵素を含む塩基性タンパク質溶液を、約90°Fから約140°Fでインキュベートする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記インキュベーション時間は、約30分から約300分である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、プロテアーゼ酵素を加えた後に、前記塩基性タンパク質溶液を、約180°Fに加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液を約180°Fで約10分間加熱する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
タンパク質加水分解産物を含む溶液から水を除去して、タンパク質加水分解産物濃縮物を形成する工程;および
沈殿物を乾燥して、タンパク質加水分解産物を含む乾燥粉末を形成する工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質は、乳清タンパク質、大豆タンパク質、カゼインタンパク質、野菜由来のタンパク質、穀物由来のタンパク質、または/および動物由来のタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質は、溶液の約1%wt以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記タンパク質加水分解産物は、溶液中18%までのタンパク質レベルで、レトルトまたはUHT条件で熱安定性である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法で産生したタンパク質加水分解産物組成物であって、該組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上熱安定性である、タンパク質加水分解産物組成物。
【請求項25】
前記組成物は、約0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該タンパク質溶液を約50°F以下に冷却する工程;
該溶液のpHを約8以上に調整する工程;および
冷却した塩基性タンパク質溶液にプロテアーゼ酵素を加える工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項27】
前記方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを約8以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程であって、ここで該塩基性溶液を約30分間以上混合する、工程;および
プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項28】
前記方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを約8以上に調整する工程;および
非アルカリ性プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項29】
前記方法は、
(a)約1重量%の乳清タンパク質濃縮物を含む溶液を提供する工程;
(b)該溶液を約45°Fに冷却する工程;
(c)強塩基、金属イオン封鎖剤、および強塩基と金属イオン封鎖剤との混合物からなる群から選択されるpH調整剤を加えることによって、該溶液のpHを約10.4に調整する工程;
(d)該溶液を45°Fの温度で混合する工程;
(e)プロテアーゼ酵素を該溶液に加える工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素を乳清タンパク質濃縮物の約0.5重量%の量で加える、工程;
(f)該溶液を、24時間にわたってか、またはpHが約9.5以下になるまで混合する工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素は、該乳清タンパク質の少なくとも一部を、乳清タンパク質加水分解産物に変換する、工程。
(g)該溶液を約90°Fから約140°Fで、約30分間から約300分間インキュベートする工程;
(h)該溶液を約180°Fで約10分間加熱する工程;
(i)該溶液から水を除去して、濃縮物を形成する工程;および
(j)濃縮物を乾燥して、乳清タンパク質加水分解産物を含む固体組成物を形成する工程;
を含む、乳清タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項30】
タンパク質基質のタンパク質加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物であって、ここで該混合物中のタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する、混合物;
を含む水溶性食品添加物。
【請求項31】
前記混合物中のタンパク質加水分解産物は、約2000ダルトンから約5000ダルトンの平均分子量を有する、請求項30の水溶性食品添加物。
【請求項32】
タンパク質基質のタンパク質加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物であって、ここで該混合物中のタンパク質加水分解産物は、約1300以下の平均Q値を有する、混合物;
を含む水溶性食品添加物。
【請求項33】
タンパク質添加菓子を産生する方法であって、該方法は、
甘味料および固形脂肪を、最初の混合物に混合する工程;
最初の混合物を、該固形脂肪が溶解し始めるまで加熱する工程;
タンパク質加水分解産物を含む化合物を、該溶解した混合物に加える工程であって、ここで該タンパク質加水分解産物は、約2000から約10000ダルトンの平均分子量を有する、工程;
液体乳製品を、該溶解した混合物に加えて、タンパク質強化菓子混合物を形成する工程;
菓子混合物を、該菓子へ調理する工程;
を含む、方法。
【請求項34】
前記菓子が、冷却され、そしてバーに形成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記菓子は、タンパク質添加キャラメルである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記菓子は、栄養バーである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記甘味料は、砂糖およびコーンシロップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記固形脂肪は、バターまたはマーガリンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記液体乳製品は、加糖コンデンスミルクを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記菓子混合物を、約250°Fの温度で調理する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
請求項33に記載の方法によって産生した、タンパク質添加菓子。
【請求項42】
タンパク質強化飲料を産生する方法であって、該方法は、
水およびタンパク質加水分解産物を最初の混合物へ混合する工程であって、ここで該タンパク質加水分解産物は、約2000ダルトンから約10000ダルトンの平均分子量を有する、工程;
1つ以上のさらなる成分を該水へ加えて、未加工の飲料を形成する工程;ならびに
未加工の飲料を加熱して、タンパク質強化飲料を形成する工程;
を含む、方法。
【請求項43】
1つ以上のさらなる成分は、レシチン、油、香料、砂糖、マルトデキストリン、ココア、安定剤、酸味料、砂糖代用品、およびビタミンからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
未加工の飲料を、約190°Fより高い温度で、5分間より長くレトルトで加熱する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
未加工の飲料を、約220°Fより高い温度で、1秒間より長く無菌的に加熱する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
請求項42に記載の方法によって産生された、タンパク質強化飲料。
【請求項47】
タンパク質加水分解産物を産生する方法であって、該方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHをアルカリ性のpHに調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程;および
酸性プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、ここで該酸性プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、方法。
【請求項48】
タンパク質加水分解産物を産生する方法であって、該方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを8より高く調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程;および
中性プロテアーゼ酵素を塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、ここで該中性プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、方法。
【請求項49】
タンパク質加水分解産物を含む組成物であって、該組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上にわたって熱安定性であり、そして該組成物は、0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有する、組成物。
【請求項50】
前記組成物は、約255°F以上の温度で、約10分間以上にわたって熱安定性である、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記タンパク質加水分解産物は、乳清タンパク質加水分解産物である、請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物は、菓子、栄養バー、または飲料の成分である、請求項49に記載の組成物。
【請求項1】
タンパク質加水分解産物を産生する方法であって、ここで該方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを約10.4以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程;および
プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部をタンパク質加水分解産物へ変換する、工程;
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶液を約45°Fへ冷却する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液のpHを調整する工程は、該溶液に強塩基を加える工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記強塩基は、水酸化ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液のpHを調整する工程は、該溶液に金属イオン封鎖剤を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属イオン封鎖剤は、リン酸塩、ピロリン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、炭酸塩、またはクエン酸塩を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属イオン封鎖剤は、二リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二カリウム、二リン酸四カリウム、二リン酸二マグネシウム、三リン酸五ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸アンモニウム、トリポリリン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸、ラクトビオン酸、リン酸、ピロリン酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ラクトビオン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムカリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、またはピロリン酸四ナトリウムを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基性タンパク質溶液を、約1時間以上混合してから、プロテアーゼ酵素を加える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基性溶液を、約5時間混合してから、プロテアーゼ酵素を加える、請求項8の方法。
【請求項10】
前記プロテアーゼ酵素は、非アルカリ性プロテアーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プロテアーゼ酵素は、中性プロテアーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プロテアーゼ酵素は、Bacillus由来のプロテアーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プロテアーゼ酵素を加える工程は、約0.5重量%のタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記プロテアーゼ酵素を加えた後、前記塩基性タンパク質溶液を約30分以上混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記プロテアーゼ酵素を含む前記塩基性タンパク質溶液を、pHが約9.5以下になるまでインキュベートする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、プロテアーゼ酵素を含む塩基性タンパク質溶液を、約90°Fから約140°Fでインキュベートする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記インキュベーション時間は、約30分から約300分である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、プロテアーゼ酵素を加えた後に、前記塩基性タンパク質溶液を、約180°Fに加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液を約180°Fで約10分間加熱する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
タンパク質加水分解産物を含む溶液から水を除去して、タンパク質加水分解産物濃縮物を形成する工程;および
沈殿物を乾燥して、タンパク質加水分解産物を含む乾燥粉末を形成する工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質は、乳清タンパク質、大豆タンパク質、カゼインタンパク質、野菜由来のタンパク質、穀物由来のタンパク質、または/および動物由来のタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質は、溶液の約1%wt以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記タンパク質加水分解産物は、溶液中18%までのタンパク質レベルで、レトルトまたはUHT条件で熱安定性である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法で産生したタンパク質加水分解産物組成物であって、該組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上熱安定性である、タンパク質加水分解産物組成物。
【請求項25】
前記組成物は、約0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該タンパク質溶液を約50°F以下に冷却する工程;
該溶液のpHを約8以上に調整する工程;および
冷却した塩基性タンパク質溶液にプロテアーゼ酵素を加える工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項27】
前記方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを約8以上に調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程であって、ここで該塩基性溶液を約30分間以上混合する、工程;および
プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項28】
前記方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを約8以上に調整する工程;および
非アルカリ性プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、該プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項29】
前記方法は、
(a)約1重量%の乳清タンパク質濃縮物を含む溶液を提供する工程;
(b)該溶液を約45°Fに冷却する工程;
(c)強塩基、金属イオン封鎖剤、および強塩基と金属イオン封鎖剤との混合物からなる群から選択されるpH調整剤を加えることによって、該溶液のpHを約10.4に調整する工程;
(d)該溶液を45°Fの温度で混合する工程;
(e)プロテアーゼ酵素を該溶液に加える工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素を乳清タンパク質濃縮物の約0.5重量%の量で加える、工程;
(f)該溶液を、24時間にわたってか、またはpHが約9.5以下になるまで混合する工程であって、ここで該プロテアーゼ酵素は、該乳清タンパク質の少なくとも一部を、乳清タンパク質加水分解産物に変換する、工程。
(g)該溶液を約90°Fから約140°Fで、約30分間から約300分間インキュベートする工程;
(h)該溶液を約180°Fで約10分間加熱する工程;
(i)該溶液から水を除去して、濃縮物を形成する工程;および
(j)濃縮物を乾燥して、乳清タンパク質加水分解産物を含む固体組成物を形成する工程;
を含む、乳清タンパク質加水分解産物を産生する方法。
【請求項30】
タンパク質基質のタンパク質加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物であって、ここで該混合物中のタンパク質加水分解産物は、約2000から約10,000ダルトンの平均分子量を有する、混合物;
を含む水溶性食品添加物。
【請求項31】
前記混合物中のタンパク質加水分解産物は、約2000ダルトンから約5000ダルトンの平均分子量を有する、請求項30の水溶性食品添加物。
【請求項32】
タンパク質基質のタンパク質加水分解によって形成されたタンパク質加水分解産物の混合物であって、ここで該混合物中のタンパク質加水分解産物は、約1300以下の平均Q値を有する、混合物;
を含む水溶性食品添加物。
【請求項33】
タンパク質添加菓子を産生する方法であって、該方法は、
甘味料および固形脂肪を、最初の混合物に混合する工程;
最初の混合物を、該固形脂肪が溶解し始めるまで加熱する工程;
タンパク質加水分解産物を含む化合物を、該溶解した混合物に加える工程であって、ここで該タンパク質加水分解産物は、約2000から約10000ダルトンの平均分子量を有する、工程;
液体乳製品を、該溶解した混合物に加えて、タンパク質強化菓子混合物を形成する工程;
菓子混合物を、該菓子へ調理する工程;
を含む、方法。
【請求項34】
前記菓子が、冷却され、そしてバーに形成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記菓子は、タンパク質添加キャラメルである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記菓子は、栄養バーである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記甘味料は、砂糖およびコーンシロップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記固形脂肪は、バターまたはマーガリンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記液体乳製品は、加糖コンデンスミルクを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記菓子混合物を、約250°Fの温度で調理する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
請求項33に記載の方法によって産生した、タンパク質添加菓子。
【請求項42】
タンパク質強化飲料を産生する方法であって、該方法は、
水およびタンパク質加水分解産物を最初の混合物へ混合する工程であって、ここで該タンパク質加水分解産物は、約2000ダルトンから約10000ダルトンの平均分子量を有する、工程;
1つ以上のさらなる成分を該水へ加えて、未加工の飲料を形成する工程;ならびに
未加工の飲料を加熱して、タンパク質強化飲料を形成する工程;
を含む、方法。
【請求項43】
1つ以上のさらなる成分は、レシチン、油、香料、砂糖、マルトデキストリン、ココア、安定剤、酸味料、砂糖代用品、およびビタミンからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
未加工の飲料を、約190°Fより高い温度で、5分間より長くレトルトで加熱する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
未加工の飲料を、約220°Fより高い温度で、1秒間より長く無菌的に加熱する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
請求項42に記載の方法によって産生された、タンパク質強化飲料。
【請求項47】
タンパク質加水分解産物を産生する方法であって、該方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHをアルカリ性のpHに調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程;および
酸性プロテアーゼ酵素を該塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、ここで該酸性プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、方法。
【請求項48】
タンパク質加水分解産物を産生する方法であって、該方法は、
タンパク質を含む溶液を提供する工程;
該溶液のpHを8より高く調整して、塩基性タンパク質溶液を形成する工程;および
中性プロテアーゼ酵素を塩基性タンパク質溶液に加える工程であって、ここで該中性プロテアーゼ酵素は、該タンパク質の少なくとも一部を、タンパク質加水分解産物に変換する、工程;
を含む、方法。
【請求項49】
タンパク質加水分解産物を含む組成物であって、該組成物は、約190°F以上の温度で、約5分間以上にわたって熱安定性であり、そして該組成物は、0.03mg/ml以下の塩酸キニーネと同等の苦味を有する、組成物。
【請求項50】
前記組成物は、約255°F以上の温度で、約10分間以上にわたって熱安定性である、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記タンパク質加水分解産物は、乳清タンパク質加水分解産物である、請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物は、菓子、栄養バー、または飲料の成分である、請求項49に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2009−521955(P2009−521955A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549596(P2008−549596)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/000420
【国際公開番号】WO2007/079458
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(591242210)レプリノ フーズ カンパニー (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/000420
【国際公開番号】WO2007/079458
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(591242210)レプリノ フーズ カンパニー (6)
【Fターム(参考)】
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