説明

タービン及び付属配管を断熱するシステム及び方法

【課題】タービン及び付属配管を断熱するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本断熱システム(1)は、タービン(12)の少なくとも一部分を囲むように構成された少なくとも1つのタービン断熱区画(2)と、断熱材(28)の供給源を貯留するように構成された断熱材貯留区画(4)と、タービン断熱区画(2)及び断熱材貯留区画(4)に連結した複数の第1のパイプ(8、10)と、少なくとも1つの第1のパイプ内に空気の流れを発生させて、断熱材貯留区画及び少なくとも1つのタービン断熱区画間で断熱材を空気圧で搬送するように構成されたブロワ(6)とを含む。タービンの少なくとも一部分を断熱する本方法は、タービンの少なくとも一部分を区画内に囲むステップと、区画内に断熱材を搬送するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン及び付属配管を断熱するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスタービンなどのタービンは、圧縮機、圧縮機吐出通路、タービン及び排気フレームケーシングの断熱していない外面を通して熱を失う。一般に、ステータチューブ外面から対流によってエンクロージャ通気システムに熱が除去されることにより、そのような熱損失は、長期間運転の間に極めて大きなものとなるおそれがある。
【0003】
タービン断熱には一般に、ソフト又はハードパックとして封入したブランケット又はルーズ充填断熱材が含まれる。ステータチューブを被覆するためには、多数の特注成形パックが必要となる。配管断熱は一般に、エルボ形、T字形その他の非円筒形の配管形状部のための特注形成パックを備えた分割チューブ設計になっている。そのような断熱パックは、漏洩について配管を検査するために取外すことが必要であり、ステータチューブ外面及び付属配管に対して断熱材を取付けまた取外すことは、大きな労働力を必要とする作業工程である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3099497号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態では、断熱システムは、タービンの少なくとも一部分を囲むように構成された少なくとも1つのタービン断熱区画と、断熱材の供給源を貯留するように構成された断熱材貯留区画と、少なくとも1つのタービン断熱区画及び断熱材貯留区画に連結した複数の第1のパイプと、少なくとも1つのパイプ内に空気の流れを発生させて、断熱材貯留区画及び少なくとも1つのタービン断熱区画間で断熱材を空気圧で搬送するように構成されたブロワとを含む。
【0006】
別の例示的な実施形態では、タービンの少なくとも一部分を断熱する方法は、タービンの少なくとも一部分を区画内に囲むステップと、区画内に断熱材を搬送するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】例示的な実施形態に係る断熱システムを概略的に示す図。
【図2】例示的な実施形態に係るタービン部品及び断熱区画を概略的に示す図。
【図3】例示的な実施形態に係る複数のサブ区画を含む断熱区画を概略的に示す図。
【図4】断熱区画の継手におけるシールの細部を概略的に示す図。
【図5】例示的な実施形態に係る断熱区画のサブ区画を概略的に示す図。
【図6】例示的な実施形態に係る断熱区画のサブ区画を概略的に示す図。
【図7】タービン部品及び付属配管断熱区画を含む断熱システムを概略的に示す図。
【図8】例示的な実施形態に係るタービン断熱区画を含む断熱システムを概略的に示す図。
【図9】例示的な実施形態に係るタービン断熱区画を含む断熱システムを概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、例示的な実施形態に係るタービン、タービンの一部の部品又は部分、並びに/或いはタービン又はタービンの部品に付属配管を断熱する断熱システム1を示している。断熱システム1は、タービン或いはタービンの部品又は部分を囲むことができるタービン断熱区画2を含む。断熱材貯留区画又はサイロ4は、断熱材(断熱物質)を収容するように構成される。断熱材(断熱物質)は、粉末、或いは中空、中実、複合又は発泡のビード、球体、繊維或いは角柱を含むことができる。
【0009】
断熱材は、断熱材貯留区画4からタービン断熱区画2への該断熱材の空気圧輸送又は搬送を可能にするように流動化される。
【0010】
ブロア6は、空気流を発生して、断熱材を流動化させかつ断熱材貯留区画4からタービン断熱区画2に又はその逆に輸送する。ブロア6からの空気流は、バルブ16、18、20によって制御され、これらバルブ16、18、20は、制御装置14によって制御される。制御装置14は、例えばバルブ16、18、20を開閉させるようにプログラムされたプログラムコンピュータ又は電子プロセッサとすることができる。
【0011】
断熱材貯留区画4からタービン断熱区画2まで断熱材供給パイプ8を設けて、断熱材貯留区画4からタービン断熱区画2に断熱材を供給する。タービン断熱区画2から断熱材貯留区画4に断熱材を戻すために、断熱材戻りパイプ10を設ける。
【0012】
図2及び図7〜図9を参照すると、タービン又は該タービンの部品12は、タービン断熱区画2内に囲まれる。断熱材供給パイプ8は、タービン断熱区画2内に断熱材を送給するように構成され、また断熱材戻りパイプ10は、タービン断熱区画2から断熱材貯留区画4に断熱材を送給するように構成される。
【0013】
図3を参照すると、タービン断熱区画2は、複数のサブ区画22を含むことができる。各サブ区画22は、タービン断熱区画2を別のタービン断熱区画に連結することができるコネクタ又は継手24(例えば、パイプフランジ)を含むことができる。各コネクタ又は継手24は、例えばビード又は球体のような断熱材28がサブ区画22から放出されるのを防止するために設けられたシール26を含むことができる。さらに、サブ区画22は、サブ区画境界40によって分離される。サブ区画境界40におけるギャップは、断熱材28がそれを通過することができないように該断熱材28よりも小さい。このように、サブ区画境界40間をシールすることは、サブ区画22が正確な嵌合を有することを必要としない。サブ区画境界40は、断熱材28よりも小さい開口部を備えたファブリック又はメッシュ材料として、サブ区画22間の接合部及び柔軟性連結部を構成することができる。
【0014】
図5及び図6を参照すると、タービン断熱区画2の各サブ区画22は、該タービン断熱区画2内に設けられたタービン部品に対してアクセスしかつ/又は該タービン部品を検査するのを可能にするように開口することができるドア30を含むことができる。図5に示すように、ドア30は、サブ区画22の内部に向けて開口(開放)して、サブ区画が断熱材を含む場合にドア30が開放するのを防止する。
【0015】
図6に示すように、ドア30は、該ドア30を開放する必要なしにタービン部品又は断熱材の目視検査を可能にする窓32を含むことができる。さらに、サブ区画22はまた、ハッチ34を含むことができ、ハッチ34は、これもまたサブ区画22内に収容されたタービン部品及び/又は断熱材の目視検査を可能にする窓36を含む。
【0016】
図7を参照すると、複数の断熱区画2、42を設けることができる。タービン断熱区画2は、タービン或いはタービンの1以上の部品12を囲むように設けることができる。タービンと関連する例えば断熱戻りパイプ10のような配管を断熱するために、配管断熱区画42を設けることができる。断熱区画2、42間に、非被覆区域38を設けることができる。非被覆区域38は、例えば燃料及びオイル管路内にフランジを含むことができる。図8に示すように、タービンの1以上の部品の一部分、例えばベーン案内セクション44は、断熱しないようにすることができる。1以上のタービン断熱区画2によって囲まれたタービンの部品には、例えばステータを含むことができる。
【0017】
サブ区画22を含むタービン断熱区画2は、様々なタービン部品を断熱するように区画分けし、従って各タービン部品を最適断熱材厚さt(図3)にするのを可能にすることができる。さらに、幾つかのタービン部品は、他の部品とは異なる時間間隔で整備アクセスを必要とする場合があり、区画分けにより、整備しない部品から断熱材を除去する必要なしに、そのような部品へのアクセスが可能になる。
【0018】
各タービン部品周りの最適厚さtは、他の部品に必要な最適厚さとは異なるものとすることができる。同様に、幾つかのパイプ又はパイプ群に対して断熱区画を設けることができるが、例えば頻繁な検査を必要とするパイプのようなその他のパイプは非被覆とすることができる。
【0019】
本断熱システムは、例えば断熱ブランケットのような従来技術のシステムよりも熱損失を大幅に低減する。タービン断熱区画及び配管断熱区画への断熱材の輸送並びに該断熱材の除去及び再輸送によりタービン停止時間を自動的に低減することができる。
【0020】
断熱の区画分けはまた、特定の位置に確定的熱境界条件をもたらし、かつ特定位置へのアクセスを可能にしながら必要な断熱材のボリュームを減少させる。
【0021】
本断熱システムでは、空気圧搬送が可能なあらゆる乾燥断熱材を使用することができる。そのような乾燥断熱材は、粉末、ビード、球形、繊維又は角柱の形態とすることができ、それらは次に、中実、発泡又は複合の内部として構成することができる。断熱材の空気圧搬送は、大きな断熱材厚さを可能にしながら該断熱材を取付け、取外し又は再取付けする労働作業を減少させるか又は排除する。タービン断熱区画に断熱材を付加することによるタービン又はタービン部品の断熱は、燃料消費量を低減しかつケーシングに対するステータの熱勾配を減少させる。
【0022】
現時点で最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は開示した実施形態に限定されるべきものではなく、逆に、特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内に含まれる様々な変更及び均等な構成を保護しようとするものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0023】
1 断熱システム
2 タービン断熱区画
4 断熱材貯留区画
6 ブロア
8 断熱材供給パイプ
10 断熱材戻りパイプ
12 タービン又はタービン部品
14 制御装置
16、18、20 バルブ
22 サブ区画
24 コネクタ又は継手
26 シール、第2のパイプ
28 断熱材
30 ドア
32 窓
34 ハッチ
36 窓
38 非被覆区域
40 境界
42 配管断熱区画
44 ベーン案内セクション
t タービン部品周りの最適断熱材厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱システム(1)であって、
タービン(12)の少なくとも一部分を囲むように構成された少なくとも1つのタービン断熱区画(2)と、
断熱材(28)の供給源を貯留するように構成された断熱材貯留区画(4)と、
前記少なくとも1つのタービン断熱区画(2)及び断熱材貯留区画(4)に連結した複数の第1のパイプ(8、10)と、
少なくとも1つの前記第1のパイプ(8、10)内に空気の流れを発生させて、前記断熱材貯留区画(4)及び少なくとも1つのタービン断熱区画(2)間で前記断熱材を空気圧で搬送するように構成されたブロワ(6)と
を含む断熱システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのタービン断熱区画が複数のサブ区画(22)を含む、請求項1記載の断熱システム。
【請求項3】
前記サブ区画が、シート、ファブリック又はメッシュを含む境界で分離される、請求項2記載の断熱システム。
【請求項4】
継手(24)によって連結された複数のタービン断熱区画をさらに含む、請求項1記載の断熱システム。
【請求項5】
前記断熱材が1つのタービン断熱区画から別のタービン断熱区画に通過するのを防止するように構成されたシール(26)をさらに含む、請求項4記載の断熱システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのタービン断熱区画が、該少なくとも1つのタービン断熱区画内に開口するドア(30)及びハッチ(34)の少なくとも1つを含む、請求項1記載の断熱システム。
【請求項7】
前記ドア及びハッチの少なくとも1つが、窓(36)を含む、請求項6記載の断熱システム。
【請求項8】
前記複数の第1のパイプ内の空気の流れを制御するように構成された複数のバルブ(16、18、20)をさらに含む、請求項1記載の断熱システム。
【請求項9】
前記複数のバルブの開閉を制御するように構成された制御装置(14)をさらに含む、請求項8記載の断熱システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1のパイプ(8、10)の少なくとも一部及び/又は前記タービンに連結された少なくとも1つの第2のパイプ(26)の少なくとも一部を囲むように構成されたパイプ断熱区画をさらに含む、請求項1記載の断熱システム。
【請求項11】
前記断熱材の供給源が、中実、中空、発泡又は複合内部からなる粉末、ビード、球体或いは繊維を含む、請求項1記載の断熱システム。
【請求項12】
タービン(12)の少なくとも一部分を断熱する方法であって、
前記タービン(12)の少なくとも一部分を区画(2)内に囲むステップと、
前記区画(2)内に断熱材(28)を空気圧で搬送するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記区画から前記断熱材を空気圧で搬出するステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記断熱材を空気圧で搬送するステップが、前記区画(2)に連結された少なくとも1つのパイプ(8、10)内に空気の流れを発生させるステップを含む、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのバルブ(16、18、20)で前記少なくとも1つのパイプ内の前記空気の流れを制御するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−94613(P2011−94613A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230138(P2010−230138)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】