説明

タービン機械、すきま測定システムおよびロータのすきまを判定する方法

本発明はロータブレード12を含むロータ10と、ロータのすきまdを形成する、少なくとも部分的にロータ10またはロータブレード12を囲むロータハウジング16と、ロータのすきまdを特徴づけている測定容量値Cを測定するための、電極および対電極を有する容量型センサ・デバイス20に接続されるすきま測定システム18とからなるタービン機械に関し、ロータ10またはロータブレード12は、センサ・デバイス20の電極として接続され、ロータハウジング16の少なくとも部分22は対電極として接続される。本発明は、すきま測定システム18と、タービン機械のロータブレード12を含むロータ19と、少なくとも部分的にタービン機械のロータ10またはロータブレード12を囲むロータハウジング16との間の、ロータのすきまdを測定する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前提部分に記載されたすきま測定システムと共に、ロータを含むロータブレードと、ロータのすきまを形成して少なくとも部分的にロータまたはロータブレードを囲むロータハウジングとを有する、タービン機械に関する。加えて本発明は、特許請求項11の前提部分に記載された種類のロータのすきまを判定するすきま測定システムと、同様に特許請求項15の前提部分に記載された種類のロータのすきまを判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタービン機械は、すでに先行技術から知られており、少なくともロータブレードが設けられたロータと、ロータのすきまを形成しつつ、ロータまたはロータブレードを少なくとも部分的に囲むロータハウジングとを含む。タービン機械の効率および圧送動作は、ロータブレードの先端と、ロータまたはロータブレードを囲むロータハウジングの壁との間のロータのすきまで決まる。すきまは圧力降下を生じさせ、効率と圧送のクリアランス・ディスタンスを低下させる。ロータのすきまは、遠心力および熱の影響によって、回転中に影響を受ける。ロータおよびロータハウジングの直径は直接遠心力によって変化する一方、ロータおよびロータハウジングは、タービン機械を通過する媒体の温度変化に対し、異なる時定数によって反応する。これは、ロータ回転数、温度および時間の関数として、ロータのすきまに複雑な変化をもたらす。航空機用タービンとして製造されるタービン機械では、最小のロータのすきまは、例えば、いわゆる「ホット・リスラム」、すなわちあらかじめ駆動されたロータが、再度短時間の間に急速に最大回転数に持ってこられる場合に存在する。ロータはなお熱く、したがって、熱的にかつ遠心力がかかって最大直径を有するが、ロータハウジングは、より低い熱容量のためすでに冷却され、したがって収縮した状態にある。ロータのすきまに影響を与える更なる要因は、例えば、タービン機械に影響を及ぼすロータハウジングの変形およびロータの加速によるロータの半径方向の動きである。要するに、従って、このようなタービン機械の製造では、十分に大きいロータのすきまが、ロータブレードの先端領域に保持される必要があり、このためにタービン機械は、たいていは、最適効率かつ圧送限界距離で稼働することができない。タービン機械を試験する際、ロータのすきまは中心的な測定値であるので、従って、タービン機械はテスト中にこのロータのすきまを測定する、すきま測定システムを含む。さらに、すきま測定システムは容量型センサ・デバイスに接続され、それはロータのすきまを表す測定容量値を判定するための電極および対電極を備える。同時に、ロータおよびそのロータブレードは、センサ・デバイスの電極として接続される。キャパシタ(コンデンサ)の対電極は、通常センサとして構成され、ロータハウジングの内側に設けられる。センサ・デバイスの測定容量値は、従って動作中ロータブレードが通過するたびに変わり、測定容量値の変化は、ロータのすきまに対応する。容量値を測るために、専門家は種々の電子構造部材および方法を利用でき、それらは直流あるいは交流の電圧で動作して、すきま測定システムを構成する。すきま測定システムは、従って、変化するブレードの周波数により変わる周波数信号を受信し、各周期の振幅は、その瞬間にセンサの下を通過するブレードの最小のロータのすきまに対応する。振幅とロータのすきまとの相関は、校正測定によって前もって特定され、例えば、系統曲線として設計されうる。
【0003】
先行技術から知られた別のすきま測定システムまたは方法では、通過するロータブレード内に渦電流を発生させ、それが順番にセンサ・デバイスに反応するような、センサ・デバイスにより動作する。その効果の大きさは、ロータのすきまの大きさに従う。
【0004】
さらに先行技術から知られたすきま測定システムまたは方法は、マイクロ波によって動作する。ここで、センサ・デバイスは、ロータハウジングの共振子を構成し、特性がロータブレードの通過により同様に変わり、測定効果を生み出す。
【0005】
すべてのすきま測定システムまたは方法にとって、製造タービン機械でのそれらの使用は、タービン機械の試験期間に比べると、よりずっと大きなチャレンジである。10000時間以上の供用寿命が要求され、その間センサ・デバイスは、ロータのすきま測定を確実に伝える必要がある。センサ・デバイスは、タービン機械の実際の実施態様によっては、少なくとも、700℃にも上る温度変化、高圧、振動およびさらに水、塩、油、ほこり、金属摩滅などの負荷にさらされる。
【0006】
周知のタービン機械またはすきま測定システムの欠点は、従って、センサ・デバイスの対電極が、ロータブレード擦り合せ運転の場合においても損傷を受けないように、ロータブレードに面したロータハウジングの壁に、ある種の残留物とともに配置されなければならないことに見られる。しかしながら、これらの残留物はフローを妨害するので望ましくない。これに対して渦電流に基づくセンサ・デバイスは文献から知られ、それらはロータブレードよりもむしろロータハウジングを通して測るように(いわゆる「ケース透過」センサ)構成される。このために、ロータハウジングは、センサ・デバイスの領域ではより薄く作られる必要がある。この方法は、しかし、測定信号の相当な劣化につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ロータハウジングを通過するフローの妨害を減少させるとともに、より大きな測定精度をもって長い耐用性を保証するタービン機械およびすきま測定システム、およびこのようなタービン機械のロータのすきまを測定する方法を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、特許請求項1の特徴を有するタービン機械、特許請求項11の特徴を有するすきま測定機、そして、特許請求項15の特徴を有するロータのすきまを測定する方法による、本発明により解決される。有利な実施態様は、それぞれ従属請求項において開示され、タービン機械およびすきま測定システムの有利な実施態様は、適用できるかぎり、方法の有利な実施態様とみなされ、そして、逆もまた同様である。
【0009】
長期の供用寿命を持ち、より大きな測定精度で、そしてロータハウジングを通過するフローの妨害を減少させた上でロータのすきまの測定を保証するタービン機械は、本発明により製作され、そこでは、少なくともロータハウジングの一部が、すきま測定システムのセンサ・デバイスの対電極として接続される。このすきま測定システムのセンサ・デバイスは、ロータハウジングの内側でセンサとして働く対電極に、追加の何物も必要としないので都合がよい。むしろ、ロータハウジング自体によって対電極が機能するように設定され、測定された測定容量値は、ロータハウジングにより、そしてロータハウジング内で動く全てのロータブレード先端の表面により、測定される。このようにして、先行技術とは対照的に、窪みなどによるロータまたはロータブレードに面するロータハウジングの壁への損傷はなく、これにより、タービン機械内における、それぞれの媒体の妨害のない通過フローが達成される。さらにまた、様々な温度、高圧、振動および混入による限界動作条件による通常のセンサ・デバイスの問題は、ロータハウジングはいずれにしろこれらの運転条件に耐えなければならないことから、確実に排除される。これは、タービン機械の全供用寿命を通しての、測定精度の向上を可能とする。ここでの測定は、残留物と共にあるセンサによる必要がないので、測定容量値の大きさがロータのすきまの大きさに反比例することになり、測定精度は著しく増加する。電極と対電極の間のこの可能な限り小さな距離のため、ロータのすきまの小さな変化は、結果として測定容量値の大きな変化をもたらす。ロータのすきまが直接ここでは測定されるので、ロータハウジングの表面に対する対電極の残留物の修正パラメータは考慮する必要がない。ロータのすきまの容量測定は、さらに改善され、ロータブレードの擦り合せが検出可能な短絡として生じる場合には、ロータブレードとロータハウジングの間の接触が直接記録されうる。このために、ロータブレード擦り合せの場合には、個々のセンサと同様に、対電極の残留物は変わらないので、正しいロータのすきまがさらに測定される。測定容量値の校正は、したがって、例えば、あるタービン機械に行われ、それからすべての更なるタービン機械に適用される。ロータブレードはロータハウジング内側の、その全範囲に位置しているので、ロータハウジングに対するロータの軸の動きは何の影響も与えないことはさらに有利である。特に大きい測定効果、および対応して大きな測定精度は、ロータブレードの先端の全体の表面が同時に測定に含まれるため、さらに確実になる。結果的に、先行技術とは対照的に、それが小さな個々のセンサの下に位置する1枚のロータブレードの表面領域のみではないので、容量測定の感度は何倍にも上昇する。
【0010】
本発明の有利な実施態様においては、ロータハウジングは、ロータおよびロータブレードに面するその壁に、少なくとも部分的に、導電性材料で作成され、対電極として接続される、内側コーティングまたはライナを少なくとも含む様に構成される。部材はロータブレードとロータハウジングの間の摩擦接触のため摩滅するので、このような内側コーティングの設置は、可能且つ有利であり、ロータブレードは備えられたタービン機械の内側コーティングの個々の走行床を「掘る」ことによって、確実に、きわめて小さなロータのすきまを作る。このため、内側コーティングまたはライナは、多層に、そして結果的にそれぞれの運転条件に最適なように調整されるよう、構成されうる。
【0011】
本発明のさらに有利な実施態様においては、内側コーティングまたはライナとロータハウジングとの間にクラッディングが設けられ、それは、絶縁によって、内側コーティングまたはライナおよびロータハウジングから電気的に絶縁されるよう構成される。このようにして、タービン機械の動作中、内側コーティングまたはライナとロータハウジングとの間に生じる振動は、少なくとも著しく減少するかまたは完全に止められる。
【0012】
さらなる実施態様において、さらにクラッディングに接続して、クラッディングとロータハウジングとの間の測定容量値を測定するように構成することが、すきま測定システムのために有利なことが示される。クラッディングとロータハウジングの間の測定容量値を測定することによって、内側コーティングまたはライナの、および/またはロータハウジングの変形を追加して検出することができ、そして、必要に応じて、適切な修正が行いうる。
【0013】
すきま測定システムとクラッディングおよび/またはロータハウジングおよび/またはロータとロータブレードおよび/または内側コーティングまたはライナ間の結合は、同軸ケーブル、特に三軸のケーブルによってなされると、さらに有利な結果となる。これはまた、有害な電界や動作電流の供給への遮蔽効果を確実にする。従って、高い操作上の安全性、および対応するすきま測定システムの空間要件および重量要件の軽減が保障される。このようにして、すきま測定システムは、ここでは同軸ででもまたは三軸ででも、実行されうるので、ロータハウジングに対する、同軸ケーブルの、または内側コーティングまたはライナの、振動に起因する信号中断は、少なくともかなりの部分は止められる。対応する電子的方法は文献で知られ、記載されている。
【0014】
さらに有利な実施態様においては、ロータまたはロータブレードとロータハウジングおよび/または内側コーティングまたはライナとクラッディングは各々同じ電位を有する。これはすきま測定システムの電子評価システムの構成を単純化し、要求される電気的接触を減らすことに有利に働く。
【0015】
本発明のさらに有利な実施態様においては、内側コーティングまたはライナは同軸ケーブルの中心導体に接続され、クラッディングは(同軸ケーブルの)中間クラッディングに接続され、そして、ロータおよびロータブレードおよびロータハウジングは(同軸ケーブルの)外部クラッディングに接続されるよう構成される。これは、建設的で、特に単純かつスペースをとらずに、ロータと内側コーティングの間の測定容量値およびクラッディングとロータハウジング間の測定容量値の双方を測定し、そして、内側コーティングまたはロータハウジングの考えうるあらゆる変形と、それとともに同様にロータのすきまを検出することを可能とする。ロータハウジングに対する同軸ケーブルの、または内側コーティングの、またはライナの振動に大部分起因する信号中断を少なくとも止めるために、三軸ですきま測定システムを実行することは有利である。
【0016】
したがって、内側コーティングまたはライナは、ロータおよびロータブレードに面したロータハウジングの壁全体に沿って延びていると有利である。このようにすると、ロータハウジングの全円周内部にわたる内側コーティングまたはライナに対し、すでに記載の効果が確実となる。
【0017】
本発明のさらに有利な実施態様においては、いくつかの内側コーティングまたはライナは、ロータおよびロータブレードに面したロータハウジングの壁に沿ったセグメントとして設けられる。このことは、内側コーティングの個々のセグメントをロータのすきま制御モジュールに接続する可能性を提供する。このモジュールは、例えば、国際公開第02/081869号から知られるような能動的な自動制御システムからなり、測定されたロータのすきまに基づき、ロータハウジングの内径を、意図するように調整し、そしてさらにしかるべく規制する。
【0018】
本発明のさらに有利な実施態様においては、いくつかの内側コーティングまたはライナは、互いに電気的に絶縁される。したがって、ロータの円周にわたりローカライズされたいくつかの測定容量値が測定され、いくつかのロータのすきまの値が測定され、そして、ロータハウジングに対する放射ロータ位置の静的測定、更にはロータ軌道の動的な測定が可能である。個々のロータブレードを取り除く必要がないので、すきま測定システムのバンド幅は、したがって、低く保つことができる。したがって、ロータ軌道を測定するのに回転数の2、3回で十分である。ここで、適切にフィルタ処理されて、高い、対応して良好な信号対雑音比が達成される。信号対雑音フィルタの上限をロータの回転数によって変化させれば、信号対雑音比はさらに改善される。
【0019】
本発明の更なる側面は、ロータを含むロータブレード、および少なくとも部分的にこれらまたはロータブレードを囲む、タービン機械のロータハウジングとの間のロータのすきまを測定するすきま測定システムに関し、本発明によれば、少なくともロータハウジングの一部は、対電極として接続可能なように構成される。このようにして、先行技術とは対照的に、窪みなどによる、ロータおよびロータブレードに面するロータハウジングの壁の損傷がないため、関係するタービン機械中でのそれぞれの媒体の、妨害のない通過フローが確実となる。このために、測定は残留物と共にあるセンサによってなされなければならず、ロータのすきまの大きさに反比例する測定容量値の測定精度は著しく増加する。加えて、本発明によるすきま測定システムは、短絡信号を発するため、起こりうるロータブレードの擦り合せを直接測定できる。さらに結果として生じる効果については、タービン機械についての先行する記載から確認することができ、そして、適用できる限りにおいて、それはすきま測定システムについても有効で、逆もまた同様である。
【0020】
例えば、すきま測定システムが、一定の周波数を有する参照オシレータ、および/または測定容量値に対応する周波数を有するオシレータ、および/または信号ミキサ、および/またはF/Uコンバータ、および/またはノイズ対信号フィルタを含むと有利であることが示される。それぞれの構成上の要求および条件に応じて、特にフレキシブルなすきま測定システムの実施態様が可能となる。
【0021】
すきま測定システムは、同時にいくつかの周波数、好ましくは10kHzおよび100kHzおよび1MHz、で稼働するように設計されているとさらに有利な結果が得られる。これにより、例えば、絶縁抵抗のような付加情報を測定することができ、そして、すきま測定システムの測定精度はさらに向上されうる。
【0022】
すきま測定システムがロータの回転数に応じて測定容量値をフィルタリングするように設計されていると、測定容量値の信号対雑音比およびそれに伴うすきま測定システムの測定精度が上がるので有利である。
【0023】
本発明の更なる側面は、ロータブレードを含むロータと、少なくとも部分的にロータおよびロータブレードを囲むタービン機械のロータハウジングとの間の、ロータのすきまを測定する方法に関し、本発明によれば、少なくともロータハウジングの一部が対電極として接続されるように構成される。高い測定精度を有すると同時に、タービン機械のロータハウジングを通過するフローの妨害を減らすことが可能となる。さらに結果として生じる効果は、すでに紹介された記載から理解されよう。
【0024】
本発明の有利な実施態様においては、導電性材料で作られた内側コーティングまたはライナが、少なくとも対電極として接続され、ロータおよびロータブレードを少なくとも部分的に囲む/面するその壁に設けられ、そして、ロータハウジングから電気的に絶縁される。このような内側コーティングまたはライナは、ロータブレード先端の摩耗を減少させるので有利である。使用する材料が調整可能なため、すきま測定システムの測定精度および供用寿命は、さらにここで向上されうる。
【0025】
したがって、さらに、あらかじめセグメントとして設けられ、ロータおよびロータブレードに面するロータハウジングの壁に沿って、互いに絶縁された、いくつかの内側コーティングまたはライナの測定容量値を使用して、ロータハウジングに対するロータの静的および/または動的な角度位置を測定することが有利であることが示される。これは、ロータハウジングに対する静的ロータ位置および/または動的なロータ軌道を、局所的な測定された容量値を使用して測定することを可能にする。
【0026】
あらかじめセグメントとして設けられ、ロータおよびロータブレードに面したロータハウジングの壁に沿って、互いに絶縁された、いくつかの内側コーティングまたはライナの測定容量値を使用して、ロータのすきまを、ロータハウジングの内周に亘り測定すると、さらに有利な結果となる。これは、特に実行中のすきま保持システムに関連して、ロータハウジングの内径の制御調整を可能にする。
【0027】
測定精度の更なる改善が、それにより達成され、ロータまたはロータブレードの回転数に基づく、すきま測定システムの信号対雑音フィルタのための上限が調整される。
【0028】
本発明の更なる効果、特徴および特殊性は、以下の実施態様の例の記載を用いて、そして図面を用いて明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施態様の例による、タービンとして製造されるタービン機械の概略および正面の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図は、同一であるか機能的に同一の部材は、同一の参照番号が付されており、タービンとして製造されたタービン機械として例示された、本実施例の概略および正面の断面図を示す。タービン機械は、したがって、ロータハウジング16からのロータのすきまdが形成された、複数のロータブレード12を有するロータ10を含む。ロータのすきまdを特徴づける測定された容量値を判定するために、タービン機械は、さらに容量型センサ装置20に接続するすきま測定システム18を含む。したがって、ロータ10およびロータブレード12は、センサ・デバイス20の電極として、およびロータハウジング16の一部は対電極として接続され、そして、従って、ロータのすきまの大きさに対応するコンデンサを形成し、その容量値Cは一般のコンデンサ公式C=ε*ε*A/dによって測られる。ロータハウジング16は、ロータ10およびロータブレード12に面するその壁に、いくつかの内側コーティングまたはライナ22を有し、それは導電性材料で作成されて、対電極として機能するロータハウジング16の部分となる。内側コーティングまたはライナ22は、このようにロータハウジング16の内部の円周上のセグメントとして配置され、そして絶縁26により互いに電気的に絶縁される。タービン機械の動作中に生じる、内側コーティングまたはライナ22とロータハウジング16との間の振動を減らすために、クラッディング24が設けられ、それはまた、内側コーティングまたはライナ22から、そして、ロータハウジング16の両方から絶縁手段26によって、順に絶縁される。しかしながら、示された内側コーティングまたはライナ22が絶対になければならないということではなく、直接ロータハウジング16により測定することもできることをここで強調しておきたい。
【0031】
すきま測定システム18は、クラッディング24に、ロータハウジング16に、ロータ10およびロータブレード12に、そして、内側コーティングまたはライナ22に、三軸のケーブル28で接続される。このように、内側コーティングまたはライナ22が、同軸ケーブル28の中心導体28a上にあり、クラッディング24は、中間クラッディング28bに接続され、そして、ロータ10またはロータブレード12、そして、ロータハウジング16は、外部クラッディング28cに接続され、これによりライナ22およびクラッディング24と同様にロータ10またはロータブレード12およびロータハウジング16は各々同じ電位を有する。ロータ10またはロータブレード12およびロータハウジング16が、このように同じ接地電位にあることが好ましい。このようにして、ロータブレード12のロータ10とロータハウジング16との間のロータのすきまdによって特徴づけられる測定容量値Cと、ロータハウジング16または内側コーティングまたはライナ22の起こりうる変形によって特徴づけられる同じく測定容量値C′の両方が判定され、そして必要に応じて適切な修正がなされうる。実際、ロータハウジング16の内側コーティングまたはライナ22のロータブレード12を囲む内部表面Aの総量がセンサ・デバイス20の対電極として作用するので、C=ε*ε*A/dによる、正確に測定された容量値Cは、それゆえに良い信号対雑音比により判定される。信号対雑音比は、加えて、すきまを測っているシステムの雑音に対する信号フィルタ30の上限がロータ10の回転数に従って変えられることによって、向上する。セグメントに分かれた内側コーティングまたはライナ22を用いて、個々の測定された容量値Cを考慮することによって、ロータハウジングに対するロータ10の相対位置またはロータ軌道が判定されうる。このために、個々のロータブレード12を取り除く必要はないので、すきま測定システム18のバンド幅は低く保つことができる。ここではロータ10の回転数の2、3回で、十分にロータ軌道を判定できる。これは信号対雑音フィルタ30による、強力なフィルタにより可能となり信号対雑音比はさらに向上する。すきま測定システム18は、いくつかの搬送周波数、特に10kHz、100kHzおよび1MHzでこのように都合よく動作することができ、例えば測定精度の更なる向上に加えて、付加情報、例えば絶縁抵抗などが入手可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(10)を含むロータブレード(12)と、
ロータのすきま(d)を形成する、少なくとも部分的に当該ロータ(10)および当該ロータブレード(12)を囲むロータハウジング(16)と、
当該ロータのすきま(d)によって特徴づけられる測定容量値(C)を測定するために、電極および対電極を有する容量型センサ・デバイス(20)に接続されるすきま測定システム(18)と
からなるタービン機械であって、
当該ロータ(10)および当該ロータブレード(12)は、当該センサ・デバイス(20)の電極として接続されているものにおいて、
当該ロータハウジング(16)の少なくとも一つの部分(22)が、対電極として接続される
ことを特徴とするタービン機械。
【請求項2】
前記ロータハウジング(16)は少なくとも一つの内側コーティングまたはライナ(22)を含み、当該内側コーティングまたはライナ(22)は前記ロータ(10)および少なくとも部分的に前記ロータブレード(12)に面するその壁上に導電性材料で形成され、対電極として接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のタービン機械。
【請求項3】
前記内側コーティングまたはライナ(22)と前記ロータハウジング(16)との間にクラッディング(24)が設けられ、当該クラッディング(24)は絶縁(26)によって、前記内側コーティングまたはライナ(22)および前記ロータハウジング(16)から電気絶縁される
ことを特徴とする請求項2に記載のタービン機械。
【請求項4】
前記すきま測定システム(18)は、さら前記にクラッディング(24)に接続され、前記クラッディング(24)と前記ロータハウジング(16)との間に容量値(C′)を測定するよう構成される
ことを特徴とする請求項3に記載のタービン機械。
【請求項5】
結合が、同軸ケーブル(28)、特に三軸のケーブルによって、前記すきま測定システム(18)と前記クラッディング(24、)そして/または前記ロータハウジング(16)、そして、/または前記ロータ(10)、または前記ロータブレード(12)、そして/または前記内側コーティングまたはライナ(22)との間に形成される
ことを特徴とする請求項4に記載のタービン機械。
【請求項6】
前記ロータ(10)または前記ロータブレード(12)そして前記ロータハウジング(16)および/または前記内側コーティングまたはライナ(22)および前記クラッディング(24)は、同じ電位を有する
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のタービン機械。
【請求項7】
前記内側コーティングまたはライナ(22)は中心導体(28a)に接続され、前記クラッディング(24)は中間クラッディング(28b)および前記ロータ(10)または前記ロータブレード(12)に接続され、そして、前記ロータハウジング(16)は前記同軸ケーブル(28)の外部クラッディング(28c)に接続される
ことを特徴とする請求項5および6に記載のタービン機械。
【請求項8】
前記内側コーティングまたはライナ(22)は、前記ロータ(10)または前記ロータブレード(12)に面した前記ロータハウジング(16)の壁の全体に沿って延びる
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載のタービン機械。
【請求項9】
いくつかの前記内側コーティングまたはライナ(22)が、前記ロータ(10)または前記ロータブレード(12)に面した前記ロータハウジング(16)の壁に沿ったセグメントとして設けられる
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載のタービン機械。
【請求項10】
いくつかの前記内側コーティングまたはライナ(22)は互いに電気的に絶縁されている
ことを特徴とする請求項9に記載のタービン機械。
【請求項11】
タービン機械の、ローター(10)を含むロータブレード(12)と、これらまたは少なくとも部分的に当該ロータブレード(12)を囲むロータハウジング(16)との間のロータのすきま(d)を測定するためのすきま測定システム(18)であって、
当該ロータのすきま(d)によって特徴づけられる測定容量値(C)を測定するために、少なくとも一つの容量型センサ・デバイス(20)に、そして、電極および対電極に接続され、
当該ロータ(10)または当該ロータブレード(12)は、当該センサ・デバイス(20)の電極として接続可能であるものにおいて、
前記ロータハウジング(16)の少なくとも一部分(22)は、対電極として接続可能である
ことを特徴とするすきま測定システム(18)。
【請求項12】
一定の周波数を有する参照オシレータおよび/または測定容量値(C)に対応する周波数を有するオシレータおよび/または信号ミキサおよび/またはF/U―コンバータおよび/または信号対ノイズフィルタ(30)を含む
ことを特徴とする請求項11に記載のすきま測定システム。
【請求項13】
いくつかの周波数、好ましくは10kHzおよび100kHzおよび1MHzにて、同時に動作するよう構成された
ことを特徴とする請求項12に記載のすきま測定システム。
【請求項14】
前記ローター(10)の回転数に基づき、前記測定容量値(C)をフィルタリングするよう構成された
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のすきま測定システム。
【請求項15】
タービン機械の、ローター(10)を含むロータブレード(12)と、少なくとも部分的に当該ロータ(10)または当該ロータブレード(12)を囲むロータハウジング(16)との間のロータのすきま(d)を測定するための方法であって、
少なくとも一つの容量型センサ・デバイス(20)に接続されたすきま測定システム(18)によって、ロータのすきま(d)の測定容量値(C)が測定され、
当該ロータ(10)または当該ロータブレード(12)は当該センサ・デバイス(20)の電極として接続されるものにおいて、
少なくとも当該ロータハウジング(16)の部分(22)が対電極として接続される
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ロータ(10)または前記ロータブレード(12)に面した前記ロータハウジング(16)の壁に少なくとも部分的に設けられ、電気的に前記ロータハウジング(16)から絶縁され、導電性材料でできた、少なくとも1つの内側コーティングまたはライナ(22)が対電極として接続される
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
互いにあらかじめ電気的に絶縁され、前記ロータ(10)および前記ロータブレード(12)に面した前記ロータハウジング(16)の壁に沿ってセグメントとして設けられた、いくつかの前記内側コーティングまたはライナ(22)の測定容量値(C)を用いて、前記ロータハウジング(16)に対する前記ロータ(10)の静的および/または動的な角度位置が測定される
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
互いにあらかじめ電気的に絶縁され、前記ロータ(10)および前記ロータブレード(12)に面したロータハウジング(16)の壁に沿ってセグメントとして設けられた、いくつかの内側コーティングまたはライナ(22)の測定容量値(C)を用いて、ロータのすきま(d)が、ロータハウジング(16)の内周で測定される
ことを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記すきま測定システム(18)の信号対雑音フィルタ(30)の上限は、前記ロータ(10)または前記ロータブレード(12)の回転数に基づいて調整される
ことを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−501167(P2011−501167A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530268(P2010−530268)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001700
【国際公開番号】WO2009/052790
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(505323725)エムティーユー エアロ エンジンズ ゲーエムベーハー (28)
【Fターム(参考)】