説明

タービン用静翼の梱包用具およびタービン用静翼の梱包方法

【課題】貨物全体の重量を低減させることができるとともに、タービン用静翼の表面への擦過傷を防止することができ、さらに梱包用具を容易に組立・解体することができるタービン用静翼の梱包用具およびタービン用静翼の梱包方法を提供すること。
【解決手段】タービンの構成部であるタービン用静翼25の梱包用具であって、底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈する、強化段ボールからなる外箱13と、底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈し、かつ、内部に前記タービン用静翼25を収容するとともに、前記外箱13の中に収容される、強化段ボールからなる少なくとも一つの内箱と、前記外箱13の開口部を塞ぐ、強化段ボールからなる蓋体とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンの構成部であるタービン用静翼の梱包用具およびタービン用静翼の梱包方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の図6に開示されたガスタービンのガスタービン用タービン4段静翼は、従来、木製の箱(木箱)からなる梱包用具に収容された状態で運搬されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−299601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、木箱を使用した従来の梱包用具および梱包方法では、貨物全体の重量が増大し、輸送費が嵩んでしまうといった問題点があった。
また、蓋体に打ち付けられていた釘を抜いて開梱する際に、木屑が木箱の中(内側)に落ち、その木屑がガスタービン用タービン4段静翼の冷却孔に入り込み、冷却孔を塞いでしまうといったおそれもあった。
さらに、ガスタービン用タービン4段静翼を木箱に収容したり、木箱から取り出したりするとき、あるいは運搬中に、ガスタービン用タービン4段静翼が木箱に接触して、ガスタービン用タービン4段静翼の表面に擦過傷が付いてしまうといったおそれもあった。
さらにまた、木箱の組立・解体作業に多大な時間と労力を要し、作業効率が悪いといった問題点もあった。
このような問題点は、梱包対象がガスタービン用タービン静翼の他にも、ガスタービン用コンプレッサー静翼や蒸気タービン用静翼である場合についてもあてはまる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、貨物全体の重量を低減させることができるとともに、タービン用静翼の表面への擦過傷を防止することができ、さらに梱包用具を容易に組立・解体することができるタービン用静翼の梱包用具およびタービン用静翼の梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るタービン用静翼の梱包用具は、タービンを構成するタービン用静翼の梱包用具であって、底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈する、強化段ボールからなる外箱と、底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈し、かつ、内部にタービン用静翼を収容するとともに、前記外箱の中に収容される、強化段ボールからなる少なくとも一つの内箱と、前記外箱の開口部を塞ぐ、強化段ボールからなる蓋体とを備えている。
【0007】
本発明に係るタービン用静翼の梱包用具によれば、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、貨物全体の重量を低減させることができ、輸送費の削減を図ることができる。
また、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、従来使用されていた木箱のように、蓋体に打ち付けられていた釘を抜く必要がなく、開梱する際の木屑が梱包用具の中(内側)に落ち、その木屑がタービン用静翼の冷却孔に入り込み、冷却孔を塞いでしまうといったことも回避することができる。
さらに、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、タービン用静翼を梱包用具に収容したり、梱包用具から取り出したりするとき、あるいは運搬中に、タービン用静翼が梱包用具に接触したとしても、梱包用具だけが凹むようになっており、タービン用静翼の表面への擦過傷を防止することができる。
さらにまた、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、従来使用されていた木箱に比べて、容易に組立・解体することができ、組立・解体作業に要する時間と労力を低減させることができて、作業効率を向上させることができる。
【0008】
上記タービン用静翼の梱包用具において、前記内箱の底板の上面に、前記タービン用静翼の底面、および前記タービン用静翼の側面における先端を支持する支持部材が取り付けられており、前記タービン用静翼が前記内箱内に収容された際、前記タービン用静翼の底面と、前記内箱の底板との間に隙間ができるように構成されているとさらに好適である。
【0009】
このようなタービン用静翼の梱包用具によれば、タービン用静翼が支持部材を介して支持されるようになっているので、運搬中のタービン用静翼の移動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
また、タービン用静翼の底面と、内箱の底板との間に隙間が形成されるようになっているので、タービン用静翼の底面と、内箱の底板との接触を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0010】
上記タービン用静翼の梱包用具において、前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部を受け入れる穴が中央部に形成されているとともに、前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部の揺動を阻止する、強化段ボールからなる頂部固定具が設けられているとさらに好適である。
【0011】
このようなタービン用静翼の梱包用具によれば、タービン用静翼の頂部が頂部固定具を介して支持されるようになっているので、運搬中のタービン用静翼の揺動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0012】
上記タービン用静翼の梱包用具において、前記蓋体を被せた際に、前記タービン用静翼の天面と、前記蓋体の下面との間に形成される空間内に、前記タービン用静翼の主に上下方向の移動を阻止する、強化段ボールからなる天押さえ積層品ブロックが設けられているとさらに好適である。
【0013】
このようなタービン用静翼の梱包用具によれば、蓋体を被せた際に、タービン用静翼の天面と、蓋体の下面との間に形成される空間内に、強化段ボールで作られた天押さえ積層品ブロックが配置されることになるので、運搬中におけるタービン用静翼の移動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0014】
上記タービン用静翼の梱包用具において、前記タービン用静翼の天面と、前記天押さえ積層品ブロックの下面との間に、シート状の緩衝材が配置されているとさらに好適である。
【0015】
このようなタービン用静翼の梱包用具によれば、タービン用静翼の天面と、天押さえ積層品ブロックの下面との間に、シート状の緩衝材(例えば、ウレタンシート)が配置されることになるので、運搬中におけるタービン用静翼の移動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0016】
上記タービン用静翼の梱包用具において、前記タービン用静翼が、ガスタービン用タービン4段静翼であるさらに好適である。
【0017】
このようなタービン用静翼の梱包用具によれば、ガスタービン用タービン4段静翼特有の形状を呈する斜めになった底面が、支持部材を介して確実に支持されるようになっているので、ガスタービン用タービン4段静翼を梱包用具に収容する際のガスタービン用タービン4段静翼の転倒を防止することができ、運搬中のガスタービン用タービン4段静翼の移動を防止することができて、ガスタービン用タービン4段静翼の表面への擦過傷を防止することができる。
【0018】
本発明に係るタービン用静翼の梱包方法は、ガスタービンのタービン部を構成するタービン用静翼の梱包方法であって、底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈する、強化段ボールからなる外箱を組み立てる段階と、底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈し、かつ、内部に前記タービン用静翼を収容するとともに、前記外箱の中に収容される、強化段ボールからなる少なくとも一つの内箱を組み立てる段階と、前記外箱の中に前記内箱を収容する段階と、前記内箱の中に前記タービン用静翼を収容する段階と、前記外箱の開口部を、強化段ボールからなる蓋体で覆う段階とを備えている。
【0019】
本発明に係るタービン用静翼の梱包方法によれば、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、貨物全体の重量を低減させることができ、輸送費の削減を図ることができる。
また、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、従来使用されていた木箱のように、蓋体に打ち付けられていた釘を抜く必要がなく、開梱する際の木屑が梱包用具の中(内側)に落ち、その木屑がタービン用静翼の冷却孔に入り込み、冷却孔を塞いでしまうといったことも回避することができる。
さらに、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、タービン用静翼を梱包用具に収容したり、梱包用具から取り出したりするとき、あるいは運搬中に、タービン用静翼が梱包用具に接触したとしても、梱包用具だけが凹むようになっており、タービン用静翼の表面への擦過傷を防止することができる。
さらにまた、梱包用具全体が、強化段ボールで作られているので、従来使用されていた木箱に比べて、容易に組立・解体することができ、組立・解体作業に要する時間と労力を低減させることができて、作業効率を向上させることができる。
【0020】
上記タービン用静翼の梱包方法において、前記内箱の底板の上面に、前記タービン用静翼の底面、および前記タービン用静翼の側面における先端を支持する支持部材を取り付ける段階を備え、前記タービン用静翼が前記内箱内に収容された際、前記タービン用静翼の底面と、前記内箱の底板との間に隙間ができるようにするとさらに好適である。
【0021】
このようなタービン用静翼の梱包方法によれば、タービン用静翼が支持部材を介して支持されるようになっているので、運搬中のタービン用静翼の移動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
また、タービン用静翼の底面と、内箱の底板との間に隙間が形成されるようになっているので、タービン用静翼の底面と、内箱の底板との接触を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0022】
上記タービン用静翼の梱包方法において、前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部を受け入れる穴が中央部に形成されているとともに、前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部の揺動を阻止する、強化段ボールからなる頂部固定具を配置する段階を備えているとさらに好適である。
【0023】
このようなタービン用静翼の梱包方法によれば、タービン用静翼の頂部が頂部固定具を介して支持されるようになっているので、運搬中のタービン用静翼の揺動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0024】
上記タービン用静翼の梱包方法において、前記蓋体を被せた際に、前記タービン用静翼の天面と、前記蓋体の下面との間に形成される空間内に、前記タービン用静翼の主に上下方向の移動を阻止する、強化段ボールからなる天押さえ積層品ブロックを配置する段階を備えているとさらに好適である。
【0025】
このようなタービン用静翼の梱包方法によれば、蓋体を被せた際に、タービン用静翼の天面と、蓋体の下面との間に形成される空間内に、強化段ボールで作られた天押さえ積層品ブロックが配置されることになるので、運搬中におけるタービン用静翼の移動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0026】
上記タービン用静翼の梱包方法において、前記タービン用静翼の天面と、前記天押さえ積層品ブロックの下面との間に、シート状の緩衝材を配置する段階を備えているとさらに好適である。
【0027】
このようなタービン用静翼の梱包方法によれば、タービン用静翼の天面と、天押さえ積層品ブロックの下面との間に、シート状の緩衝材(例えば、ウレタンシート)が配置されることになるので、運搬中におけるタービン用静翼の移動を防止することができ、タービン用静翼の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0028】
上記タービン用静翼の梱包方法において、前記タービン用静翼が、ガスタービン用タービン4段静翼であるとさらに好適である。
【0029】
このようなタービン用静翼の梱包方法によれば、ガスタービン用タービン4段静翼特有の形状を呈する斜めになった底面が、支持部材を介して確実に支持されるようになっているので、ガスタービン用タービン4段静翼を梱包用具に収容する際のガスタービン用タービン4段静翼の転倒を防止することができ、運搬中のガスタービン用タービン4段静翼の移動を防止することができて、ガスタービン用タービン4段静翼の表面への擦過傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るタービン用静翼の梱包用具およびタービン用静翼の梱包方法によれば、貨物全体の重量を低減させることができるとともに、タービン用静翼の表面への擦過傷を防止することができ、さらに梱包用具を容易に組立・解体することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレットの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレットおよび外箱の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、内箱にウレタンおよび隙間充填材を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、内箱にウレタンおよび隙間充填材を取り付けた後の状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す静翼受け台を上方から見た平面図である。
【図6】図4に示す静翼受け台を正面から見た断面図である。
【図7】図4に示す静翼受け台を側方から見た断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、および静翼受け台の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、静翼受け台、およびガスタービン用タービン4段静翼の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、静翼受け台、ガスタービン用タービン4段静翼、および抜き型の斜視図である。
【図11】図10に示す抜き型の斜視図である。
【図12】図10に示す静翼受け台の一つを正面から見た断面図である。
【図13】図10に示す静翼受け台の一つを側方から見た断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、静翼受け台、ガスタービン用タービン4段静翼、抜き型、およびウレタンシートの斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、静翼受け台、ガスタービン用タービン4段静翼、抜き型、ウレタンシート、および天押さえ積層品ブロックの斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、および天キャップの斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法を説明するための図であって、パレット、外箱、天キャップ、結束バンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法について、図1から図17を参照しながら説明する。
まず、図1に示すように、フォークリフト(図示せず)で貨物を格納・運搬するためのパレット(荷台)10を用意する。
つぎに、図2に示すように、底面を形成する底板11と、側面を形成する4枚の側板12とを備え、その外観形状が直方体または立方体を呈する外箱(外装ケース:アウターケース)13をパレット10の上に載置し、外箱13の中から底板11の四隅に鋲材(図示せず)を打ち付けて、外箱13をパレット10に対して固定する。
【0033】
つづいて、図3に示すように、底面を形成する底板15と、側面を形成する4枚の側板16とを備え、その外観形状が直方体を呈する内箱(内装ケース:インナーケース)17を組み立てて、底面を形成する底板15が開かないように図示しない粘着テープ(例えば、ガムテープ)を貼り付ける。このとき、後述するウレタン(緩衝材:支持部材)18、隙間充填材(支持部材)19,20を底板15の上面(内側面)15aにそれぞれ取り付ける(固定する)両面テープ21,22,23を、底板15の上面15aに貼り付けておく。なお、内箱17は外観形状が直方体であり、長手方向長さを備えるため、多段のタービン用静翼の梱包に特に好適である。
つぎに、断面視矩形状を呈する棒状のウレタン18、断面視矩形状を呈する棒状の隙間充填材19、直角三角柱状を呈する隙間充填材20を内箱17の中に入れ、対応する両面テープ21,22,23を介して底板15の上面15aに取り付けて、図4から図7に示す状態とする。
【0034】
つづいて、図4から図7の状態、すなわち、内箱17内へのウレタン18および隙間充填材19,20の取り付けが完了した静翼受け台24を、図8に示すように、静翼受け台24の下端面(すなわち、底板15の下面15b(図6参照))と、外箱13の底板11(より詳しくは、底板11の上面11a(図2参照))とが接するとともに、内箱17を上方または下方から見た時に長辺をなす側板16同士が接するようにして外箱13内に入れる。
【0035】
つづいて、図示しないエアキャップ等の緩衝材(梱包材)で包まれたガスタービン用タービン4段静翼25、またはエアキャップ等の緩衝材で包まれていない裸のガスタービン用タービン4段静翼25を、図9に示すように、静翼受け台24内にそれぞれ入れる。
なお、静翼受け台24は、図12および図13に示すように、ガスタービン用タービン4段静翼25の底面25aがウレタン18および隙間充填材19により支持され、ガスタービン用タービン4段静翼25の側面25bにおける下端が隙間充填材20により支持された状態で、ガスタービン用タービン4段静翼25の底面25aと、内箱17の底板15(より詳しくは、底板15の上面15a)との間に65mm〜70mm程度の隙間ができるように構成されている。
【0036】
つぎに、図10に示すように、図11に示す中央部に平面視平行四辺形状の長穴26を有する抜き型(頂部固定具)27を、ガスタービン用タービン4段静翼25の頂部にそれぞれ被せて、図12および図13に示す状態とする。
つづいて、図14に示すように、外箱13の開口部を覆い隠す平面視矩形状を呈する板状のウレタンシート(シート状の緩衝材)28を、静翼受け台24およびガスタービン用タービン4段静翼25の上に敷く。
【0037】
つぎに、図15に示すように、図16に示す天面を形成する天板30と、側面を形成する4枚の側板31とを備え、その外観形状が直方体を呈する天キャップ(蓋体)32を被せた際に、ウレタンシート28の上面28aと、天板30の下面(図示せず)との間に形成される空間内に、ガスタービン用タービン4段静翼25の主に上下方向の移動を阻止する4本の天押さえ積層品ブロック33を、ガスタービン用タービン4段静翼25の配列方向に沿って互いに平行になるようにして配置する。
つづいて、図16に示すように、外箱13の開口部を覆い隠すようにして天キャップ(蓋)32を被せる。
最後に、図17に示すように、ガスタービン用タービン4段静翼25を収容した(納めた)外箱13の開口部が天キャップ32によって覆われたガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具34と、パレット10とを、例えば、ポリプロピレン(polypropylene)製の結束バンド35によって結束(固縛)する。
【0038】
なお、上述した実施形態では、パレット10として木製のものを、外箱13、内箱17、隙間充填材19,20、抜き型27、天押さえ積層品ブロック33、天キャップ32として強化段ボール(トライ・ウォール(登録商標))製のものを採用した。
【0039】
本実施形態に係るガスタービン用タービン4段静翼の梱包用具およびガスタービン用タービン4段静翼の梱包方法によれば、パレット10、ウレタン18、ウレタンシート28および結束バンド35を除く梱包用具34全体が、強化段ボールで作られているので、貨物全体の重量を低減させることができ、輸送費の削減を図ることができる。
また、パレット10、ウレタン18、ウレタンシート28および結束バンド35を除く梱包用具34全体が、強化段ボールで作られているので、従来使用されていた木箱のように、蓋体に打ち付けられていた釘を抜く必要がなく、開梱する際の木屑が梱包用具の中(内側)に落ち、その木屑がガスタービン用タービン4段静翼の冷却孔に入り込み、冷却孔を塞いでしまうといったことも回避することができる。
さらに、パレット10、ウレタン18、ウレタンシート28および結束バンド35を除く梱包用具34全体が、強化段ボールで作られているので、ガスタービン用タービン4段静翼25を梱包用具34に収容したり、梱包用具34から取り出したりするとき、あるいは運搬中に、ガスタービン用タービン4段静翼25が梱包用具34に接触したとしても、梱包用具34だけが凹むようになっており、ガスタービン用タービン4段静翼25の表面への擦過傷を防止することができる。
さらにまた、パレット10、ウレタン18、ウレタンシート28および結束バンド35を除く梱包用具34全体が、強化段ボールで作られているので、従来使用されていた木箱に比べて、容易に組立・解体することができ、組立・解体作業に要する時間と労力を低減させることができて、作業効率を向上させることができる。
【0040】
また、ガスタービン用タービン4段静翼25の頂部が抜き型27を介して支持されるようになっているので、運搬中のガスタービン用タービン4段静翼25の揺動を防止することができ、ガスタービン用タービン4段静翼25の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
さらに、ガスタービン用タービン4段静翼25がウレタン18および隙間充填材19,20を介して支持されるようになっているので、運搬中のガスタービン用タービン4段静翼25の移動を防止することができ、ガスタービン用タービン4段静翼25の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
さらにまた、ガスタービン用タービン4段静翼25の底面25aと、内箱17の底板15との間に隙間が形成されるようになっているので、ガスタービン用タービン4段静翼25の底面25aと、内箱17の底板15との接触を防止することができ、ガスタービン用タービン4段静翼25の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0041】
また、ガスタービン用タービン4段静翼25はそれぞれ、固有(専用)の内箱17に収容されることになるので、ガスタービン用タービン4段静翼25を梱包用具34に収容したり、梱包用具34から取り出したりするとき、あるいは運搬中におけるガスタービン用タービン4段静翼25同士の接触を防止することができ、ガスタービン用タービン4段静翼25の表面への擦過傷をさらに防止することができるとともに、梱包用具全体の剛性を高めることができる。
【0042】
また、蓋体32を被せた際に、ウレタンシート28の上面28aと、蓋体32の下面との間に形成される空間内に、強化段ボールで作られた天押さえ積層品ブロック33が配置されることになるので、運搬中におけるガスタービン用タービン4段静翼25の移動を防止することができ、ガスタービン用タービン4段静翼25の表面への擦過傷をさらに防止することができる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態のものに限定されるものではなく、適宜必要に応じて変更あるいは変形して実施することもできる。例えば、梱包対象は、ガスタービン用タービン4段静翼に限定されない。すなわち、段数は2段、3段、5段以上であってもよい。また、コンプレッサーに用いる静翼、あるいは蒸気タービン用の静翼であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
11 底板
12 側板
13 外箱
15 底板
15a 上面
16 側板
17 内箱
18 ウレタン(支持部材)
19 隙間充填材(支持部材)
20 隙間充填材(支持部材)
25 ガスタービン用タービン4段静翼(タービン用静翼)
25a 底面
25b 側面
26 長穴(穴)
27 抜き型(頂部固定具)
28 ウレタンシート(シート状の緩衝材)
32 天キャップ(蓋体)
33 天押さえ積層品ブロック
34 梱包用具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンの構成部であるタービン用静翼の梱包用具であって、
底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈する、強化段ボールからなる外箱と、
底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈し、かつ、内部に前記タービン用静翼を収容するとともに、前記外箱の中に収容される、強化段ボールからなる少なくとも一つの内箱と、
前記外箱の開口部を塞ぐ、強化段ボールからなる蓋体とを備えていることを特徴とするタービン用静翼の梱包用具。
【請求項2】
前記内箱の底板の上面に、前記タービン用静翼の底面、および前記タービン用静翼の側面における先端を支持する支持部材が取り付けられており、前記タービン用静翼が前記内箱内に収容された際、前記タービン用静翼の底面と、前記内箱の底板との間に隙間ができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタービン用静翼の梱包用具。
【請求項3】
前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部を受け入れる穴が中央部に形成されているとともに、前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部の揺動を阻止する、強化段ボールからなる頂部固定具が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のタービン用静翼の梱包用具。
【請求項4】
前記蓋体を被せた際に、前記タービン用静翼の天面と、前記蓋体の下面との間に形成される空間内に、前記タービン用静翼の主に上下方向の移動を阻止する、強化段ボールからなる天押さえ積層品ブロックが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタービン用静翼の梱包用具。
【請求項5】
前記タービン用静翼の天面と、前記天押さえ積層品ブロックの下面との間に、シート状の緩衝材が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタービン用静翼の梱包用具。
【請求項6】
前記タービン用静翼が、ガスタービン用タービン4段静翼であることを特徴とする請求項2に記載のタービン用静翼の梱包用具。
【請求項7】
ガスタービンのタービン部を構成するタービン用静翼の梱包方法であって、
底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈する、強化段ボールからなる外箱を組み立てる段階と、
底面を形成する底板と、側面を形成する4枚の側板とを備え、その外観形状が直方体を呈し、かつ、内部に前記タービン用静翼を収容するとともに、前記外箱の中に収容される、強化段ボールからなる少なくとも一つの内箱を組み立てる段階と、
前記外箱の中に前記内箱を収容する段階と、
前記内箱の中に前記タービン用静翼を収容する段階と、
前記外箱の開口部を、強化段ボールからなる蓋体で覆う段階とを備えていることを特徴とするタービン用静翼の梱包方法。
【請求項8】
前記内箱の底板の上面に、前記タービン用静翼の底面、および前記タービン用静翼の側面における先端を支持する支持部材を取り付ける段階を備え、前記タービン用静翼が前記内箱内に収容された際、前記タービン用静翼の底面と、前記内箱の底板との間に隙間ができるようにしたことを特徴とする請求項7に記載のタービン用静翼の梱包方法。
【請求項9】
前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部を受け入れる穴が中央部に形成されているとともに、前記内箱内に収容された前記タービン用静翼の頂部の揺動を阻止する、強化段ボールからなる頂部固定具を配置する段階を備えていることを特徴とする請求項7または8に記載のタービン用静翼の梱包方法。
【請求項10】
前記蓋体を被せた際に、前記タービン用静翼の天面と、前記蓋体の下面との間に形成される空間内に、前記タービン用静翼の主に上下方向の移動を阻止する、強化段ボールからなる天押さえ積層品ブロックを配置する段階を備えていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のタービン用静翼の梱包方法。
【請求項11】
前記タービン用静翼の天面と、前記天押さえ積層品ブロックの下面との間に、シート状の緩衝材を配置する段階を備えていることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載のタービン用静翼の梱包方法。
【請求項12】
前記タービン用静翼が、ガスタービン用タービン4段静翼であることを特徴とする請求項8に記載のタービン用静翼の梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−162207(P2011−162207A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24142(P2010−24142)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(507017015)株式会社丸忠 (5)
【Fターム(参考)】