説明

タービン監視装置

【課題】タービンロータと振動検出器間の取付ギャップに過大な変動が起きた場合でも、振動計測範囲を正常範囲内に維持できるタービン監視装置をVローラとエアシリンダから構成される追従機構を追設せず、簡単な構成で実現する。
【解決手段】内部に非接触式振動検出器2を一定位置にスプリング等の弾性体6a、6bでフローティング状態に保持する検出器プローブ5と、この検出器プローブ5をケーシング8に設けた摺動スリーブ9で摺動自在に保持するとともに検出器プローブ5の先端をタービンロータ7上に自重で接触させる機構と、非接触式振動検出器2の出力を受ける振動監視部4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タービン発電機などの回転機において、タービン軸の振動および軸位置を計測監視し、過大な振動や軸位置の移動が発生した際、タービンの運転を停止させるトリップ信号を出力する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタービン監視装置の振動計測監視方法は、振動検出器と被測定対象であるタービンロータをあらかじめ設定された取付ギャップで取付し、その取付ギャップをゼロ点とし、タービンロータとのギャップの変動量を振動値として計測する。
従来のタービン監視装置は、振動検出器と被測定対象であるタービンロータとの取付ギャップが変動し、あらかじめ設定された取付ギャップから拡大方向に変化した場合、検出器の正常計測範囲内を逸脱してレンジオーバーとなり、振動計測監視が出来なくなる。また、逆に取付ギャップが短縮方向に変化した場合、検出器とタービンロータが接触し検出器が破損するなどの問題があった。
この取付けギャップ変動の問題を解決するため、Vローラとエアシリンダから構成される追従機構を用いた方法が提案されている(特許技術文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−145162(3頁右下段から4頁左上段)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取付けギャップ変動の問題を解決するため、Vローラとエアシリンダから構成される追従機構を追設する方法は、専用の追加設備が必要であり、設置場所の確保が難しい、コストが増加する、設備の保守作業が増加するとの問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、計測範囲を逸脱するような過大な取付ギャップ変動が起きた場合でも、振動計測範囲が正常範囲内でかつ振動計測監視を継続することを可能とできる監視装置を専用機構を追加せず、簡単な構成で、実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るタービン監視装置は、内部に非接触式振動検出器を一定位置に保持する検出器プローブと、この検出器プローブを摺動自在に保持するとともに検出器プローブの先端をタービンロータ上に自重で接触させる機構と、非接触式振動検出器の出力を受ける振動監視部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るタービン監視装置は、内部に非接触式振動検出器を一定位置に保持する検出器プローブと、この検出器プローブを摺動自在に保持するとともに検出器プローブの先端をタービンロータ上に自重で接触させる機構と、非接触式振動検出器の出力を受ける振動監視部とを備えるため、タービンロータと振動検出器間のギャップを一定に保つことができ、計測範囲を逸脱するような過大な取付ギャップ変動が起きた場合でも、振動計測範囲を正常範囲内に維持することが簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1のタービン監視装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2のタービン監視装置の構成図および説明図である。
【図3】この発明の実施の形態3のタービン監視装置の構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4のタービン監視装置の構成図および説明図である。
【図5】この発明の実施の形態5のタービン監視装置の構成図および説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態1について、図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係る構成図である。
【0010】
以下、この発明の実施の形態1に係るタービン監視装置1の構成を図1に基づいて説明する。
タービン監視装置1は、タービンロータの軸振動を検出する非接触式の振動検出器2、振動検出器2からの出力信号を信号変換する信号変換器3および信号変換器3からの信号を受けて、タービン軸振動を監視し、振動状態をモニタ(図示せず)に表示するとともに、異常発生時には警報を発生したり、タービンの運転を停止させるトリップ信号を発生する振動監視部4を備える。
振動検出器2は検出器プローブ5内に弾性体である上部スプリング6aと下部スプリング6bでフローティング状態に保持されている。この検出器プローブ5の上部は、ケーシング8に設けられた摺動スリーブ9で上下方向に自由に移動可能状態に保持されており、検出器プローブ5の底部は、タービンロータ7の上部表面に自重で接触している。
【0011】
非接触式の振動検出器2には、渦電流式、静電容量式などの方式があるが、例えば渦電流式を使用した場合は、振動検出器2の出力信号は交流電圧信号となり、信号変換器3はこの交流電圧信号を直流信号(例えば、0〜100%/1〜5V)に変換する。
検出器プローブ5は、軸振動検出に影響を与えないように、樹脂などの非誘電体を用いた円筒状の薄板成型品を使用する。また、検出器プローブ5の材質は、熱膨張係数が小さい材質のものが望ましい。
上部スプリング6aと下部スプリング6bも軸振動検出に影響を及ぼさないように樹脂製スプリングなどの弾性体を使用する。
【0012】
次に、タービン監視装置1の動作について、図1に基づいて説明する。
検出器プローブ5はタービンロータ7に自重で接触しており、内部にフローティングマウントされた振動検出器2とタービンロータ7のギャップは物理的に一定となる。タービンロータ7やタービン車室の移動により、タービンロータ7と検出器プローブ5の取付部のギャップが変動した場合は、検出器プローブ5は摺動スリーブ9を上下方向スライド可動であるため、タービンロータ7の移動に追従し、振動検出器2とタービンロータ7とのギャップは常に一定に保たれる。
タービンロータ7の回転により、ケーシング8は振動するが、この振動に対しては、振動検出器2は検出器プローブ5内部に弾性体でフローティング状態に保持されているため、静止状態を保つことができる。
【0013】
ここで、振動検出器2とタービンロータ7間のギャップ変動の原因であるタービンロータ7およびケーシング8の移動要因について説明する。
タービンの停止時や起動時に比較して、運転中は温度が上昇し車室構造材料の寸法が伸びることで、結果として車室すなわちケーシングが移動する。
また、タービンロータ軸受けの油圧やタービンの推進力により、タービンロータ自体が浮き上がることが、タービンロータ移動の要因である。
【0014】
検出器プローブ5内に振動検出器2をフローティング状態に保持する方法として、スプリング等弾性体で振動検出器2の上部、下部を支持する方法を説明したが、振動検出器外周を検出器プローブの内周面にリング状板バネを使用して保持しても同様の効果を奏する。
【0015】
このように実施の形態1によれば、タービンロータ7およびケーシング8の移動により、振動検出器2の計測範囲を逸脱するような過大な取付ギャップ変動が起きた場合でも、振動検出器2とタービンロータ7間のギャップは常時一定に保たれるため、振動検出器2の正常計測範囲を逸脱せず、タービン軸の振動を確実に計測監視することが可能である。 また、Vローラとエアシリンダから構成される追従機構を追設することなく、簡単な構成で、タービン軸の振動計測監視を確実に行える効果がある。
【0016】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係る構成図および説明図である。図において、図1と同一あるいは相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態2は、圧力調整装置20を使用して、実施の形態1の検出器プローブ5が、タービンロータ7に接触する圧力を一定に調整する構成としたものである。
【0017】
この発明の実施の形態2に係るタービン監視装置11の構成を、図2(a)に基づいて説明する。
圧力調整装置20は、検出器プローブ15とタービンロータ7の接触圧力を検出する感圧器17、この感圧器からの検出圧力信号を受ける制御部12、および制御部12からの制御信号に基づき検出器プローブ15を上下移動させるサーボ13から構成される。
検出器プローブ15とタービンロータ7の接触圧力は、ラック・ピニオン18により感圧器17に伝達される。検出器プローブ15の上部端に接続されたラックギヤ取付部材18aは、感圧器17の上部、下部に設けられた摺動保持部18bおよび18cで上下方向摺動可能に保持されている。
サーボ13は、サーボ駆動軸13aを上下移動させることで、検出器プローブ15とタービンロータ7の接触圧力を一定に調整する。
非接触式の振動検出器2は、検出器プローブ15内に上部スプリング16aと下部スプリング16bでフローティング状態に保持されている。
【0018】
次に、タービン監視装置11の動作について、図2(a)および(b)に基づいて説明する。
実施の形態1で説明したタービンの運転状況による温度変化やタービンロータ自体の浮き上がりにより、ケーシング8やタービンロータ7が移動した場合、検出器プローブ15とタービンロータ7の接触圧力が変化する。感圧器17はラック・ピニオン18経由でこの接触圧力の変化を検出し、この接触圧力の変化を制御部12が処理して、図2(b)に示すように接触圧力が一定となるようにサーボ13を制御する。
【0019】
振動検出器2からの信号を信号変換器3で信号変換し、この軸振動信号を振動監視部で処理し、監視用モニタへの表示や警報発生、タービン保護動作を行う。
【0020】
振動検出器2とタービンロータ7の接触圧力を一定に調整する圧力調整装置20を使用した場合は、実施の形態1で説明した検出器プローブの自重で接触を保持する場合に比較して、接触圧力の調整が可能であるため、タービンロータ7表面の荒れによるジャンピングが発生しても、対応(加圧調整)が可能となる利点がある。
【0021】
このように実施の形態2によれば、タービンロータ7およびケーシング8の移動により、振動検出器2の計測範囲を逸脱するような過大な取付ギャップ変動が起きた場合でも、振動検出器2とタービンロータ7間のギャップは常時一定に保たれ、且つ振動検出器2とタービンロータ7の接触圧力も一定に調整されるため、振動検出器2の正常計測範囲を逸脱せず、タービンの振動を確実に計測監視することが可能である。
またVローラとエアシリンダから構成される追従機構を追設することなく、簡単な構成で、タービン軸の振動計測監視を確実に行える効果がある。
【0022】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3に係る構成図である。図において、図1と同一あるいは相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態3は、実施の形態1のタービン監視装置にさらに別の振動検出器22を追加する構成としたものである。
【0023】
この発明の実施の形態3に係るタービン監視装置21の構成および動作を、図3に基づいて説明する。
タービン監視装置21は、タービンの軸振動を検出する検出器として、検出器プローブ25内にフローティング保持された非接触式の振動検出器2と、検出器プローブ25の上部に接続された振動伝達部材28の上端部に取り付けられた接触式の振動検出器22を備える。
また、タービン監視装置21は、振動検出器2と振動検出器22の出力信号を受けて信号変換する信号変換器23およびこの信号変換器23からの信号を受けて、タービン軸振動を監視し、振動状態をモニタに表示したり、また異常時には警報を発生したり、タービンをトリップさせる信号を発生する振動監視部24を備える。
【0024】
振動検出器2は、実施の形態1と同様に、検出器プローブ25内に上部スプリング26aと下部スプリング26bでフローティング状態に保持されている。この検出器プローブ25の上部は、ケーシング8に設けられた摺動スリーブ9で上下方向に自由に移動可能状態に保持されており、検出器プローブ25の底部は、タービンロータ7の上部表面に自重で接触している。
振動検出器22は、摺動スリーブ9の上部に取り付けられた保護ボックス内に納められ、タービンロータ7の軸振動を、検出器プローブ25および振動伝達部材28を経由して検出する。
ここで、振動検出器2は非接触でタービンロータ7の振動を検出するため、例えば、渦電流式が使用されるが、振動検出器22は接触式であるため、例えば電磁式や圧電式が使用される。
信号変換器23では、この2台の振動検出器からの信号を受けて、直流電圧信号(例えば、0〜100%/1〜5V)に変換して、振動監視部24に出力する。
【0025】
振動監視部24は、2種類の軸振動信号に対して、各検出器の特性に応じた処理を行う。例えば、振動検出器22は、タービンロータ7の回転により、ケーシング8に発生する振動やタービンロータの浮き上がりを検出する可能性があるため、この振動検出器22からの軸振動信号に対しては、監視対象であるタービンロータ7の軸振動のみ抽出するためフィルタ処理を行う。
振動監視部24は、上記処理した信号を用いて、監視用モニタへの表示や警報発生、タービン保護動作を行う。
【0026】
実施の形態3のタービン監視装置21は、検出方式の異なる2種類の振動検出器を備えているため、2台の検出器からの信号の平均値を使用できる。また1台故障時に正常な検出器をバックアップとして使用できるので、確実にタービン軸振動の監視を行うことができる。また、タービンの運転を停止することは、タービンを設置しているプラントにも重大な影響を与えるため、このタービントリップ信号を2種類の振動検出器からの信号が同時に異常になった場合にのみ発生する等の信頼性向上対策を実施することができる。
【0027】
このように実施の形態3によれば、タービンロータ7およびケーシング8の移動により、振動検出器2の計測範囲を逸脱するような過大な取付ギャップ変動が起きた場合でも、振動検出器2とタービンロータ7間のギャップは常時一定に保たれるため、振動検出器2の正常計測範囲を逸脱せず、タービンの振動などを確実に計測監視することが可能である。
また、Vローラとエアシリンダから構成される追従機構を追設することなく、簡単な構成で、タービンの振動計測監視を確実に行える効果がある。
さらに、また検出方式の異なる振動検出器2台を備えているため、監視のために2台の検出器からの信号の平均値を使用できる。また1台故障時に正常な1台をバックアップに使用でき、またタービン保護動作に対する信頼性向上対策を実施することができる。
【0028】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4に係る構成図である。図において、図1と同一あるいは相当部分には同一符号を付している。
この発明の実施の形態4に係るタービン監視装置31の構成を、図4に基づいて説明する。
タービン監視装置31は、タービンロータ7の軸振動を検出する非接触式の振動検出器2、振動検出器2からの出力信号を信号変換する信号変換器3および信号変換器3からの信号を受けて、この信号を処理して、サーボ33を制御するとともに、振動検出器2からの出力信号を振動監視部34へも出力する制御部32を備える。
振動検出器2は、検出器プローブ35に納められ、検出器プローブ35の外周面には検出器プローブネジ部35aがあり、これにネジ溝が設けられている。この検出器プローブ35は、ケーシング8のらせん溝スリーブ39に、回転挿入されており、サーボ33が検出器プローブ35を回転させることで、検出器プローブ35は上下移動する。
【0029】
次に、タービン監視装置31の動作について、図4に基づいて説明する。
非接触式の振動検出器2は、原理的に振動検出器2とタービンロータ7間のギャップの変化を検出しているため、振動検出器2で検出された軸振動信号は、信号変換器3でタービン軸振動信号が重畳されたギャップ電圧に変換される(図4(b)参照)。
制御部32は、図4(b)のギャップ電圧を平均値処理等の演算処理を行うことで、中心電圧を抽出し(図4(c)参照)、この中心電圧の変動分を補償するように、サーボ33に対してフィードバック制御を行う。このように制御部4がギャップ電圧の中心電圧が常に一定値になるようサーボ2を制御することで、振動検出器2の取付位置が調整され、振動検出器2とタービンロータ7間の取付ギャップは常に一定に調整される。
【0030】
制御部32から振動監視部34へ出力される信号は、上記のようにタービン軸振動信号以外にギャップ位置の変動信号も含むため、振動監視部34では、タービン軸振動信号のみを抽出処理する。振動監視部34は、この抽出されたタービン軸振動信号を用いて、タービン軸振動を監視し、振動状態をモニタに表示し、また異常時には警報やタービン停止させるトリップ信号を発生させる。
【0031】
このように実施の形態4によれば、タービンロータ7およびケーシング8の移動により、振動検出器2の計測範囲を逸脱するような過大な取付ギャップ変動が起きた場合でも、振動検出器2とタービンロータ7間のギャップは自動的に調整されるため、振動検出器2の正常計測範囲を逸脱せず、タービン軸の振動を確実に計測監視することが可能である。 また、Vローラとエアシリンダから構成される追従機構を追設することなく、簡単な構成で、タービンの振動計測監視を確実に行える効果がある。
【0032】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5に係る構成図である。
この発明の実施の形態5に係るタービン監視装置51の構成を、図5に基づいて説明する。
タービン監視装置51は、タービンロータ60の中心軸に沿った方向の軸位置を検出する非接触式の位置検出器52、位置検出器52からの出力信号を信号変換する信号変換器53および信号変換器53からの信号を受けて、この信号を処理して、サーボ56を制御するとともに、監視用の信号を位置監視部55へも出力する制御部54を備える。
位置検出器52は、検出器プローブ57に納められ、検出器プローブ57の外周面に検出器プローブネジ部57aがあり、これにネジ溝が設けられている。この検出器プローブ57は、ケーシング58のらせん溝スリーブ59に、回転挿入されて水平に保持されている。
タービンロータ60の軸位置を検出するために、タービンロータ60には、円盤状の軸位置ディスク61が取り付けられており、軸位置ディスク61に対向する位置に位置検出器52が取り付けられる。
サーボ56が検出器プローブ57を回転させることで、検出器プローブ57は水平方向に移動して、軸位置ディスク61と対向する距離(取付ギャップ)が調整される。
【0033】
次に、タービン監視装置51の動作について、図5に基づいて説明する。
タービンロータ60の軸位置ディスク61に対向して取り付けられた位置検出器52が正常に位置検出できる範囲は制限されているため、この範囲を越えてタービンロータ60が軸方向に移動すると、位置検出器52が正常に位置検出できる範囲を逸脱する。
また、逆に軸位置ディスク61が位置検出器52に近づき過ぎると、接触する可能性もある。
【0034】
タービンの通常運転状態では、図5(b)において、正常検出範囲のほぼ中間に位置していた軸位置出力信号が、何らかの原因で軸位置出力電圧が正常計測範囲の上限付近に来た場合(軸位置ディスク61が位置検出器52から離れる方向に移動する)を説明する。
制御部54は、軸位置出力電圧を正常検出範囲のほぼ中間に位置戻すように、サーボ56を制御して、位置検出器52を距離Xだけ軸位置ディスク61に近づくように移動させる(図5(c)参照)。従って、真のタービン軸の位置は、現在の軸位置出力(Y)+軸検出器の移動量(X)となる。
逆に何らかの原因で、軸位置出力電圧が正常計測範囲の下限付近に来た場合(すなわち、軸位置ディスク61が位置検出器52に近づく方向に移動する)は、制御部54は、軸位置出力電圧を正常検出範囲のほぼ中間に位置戻すように、サーボ56を制御して、位置検出器52を軸位置ディスク61から離す方向に移動させる。
【0035】
制御部54は、位置検出器52の現状の計測値とサーボ53による検出器の移動量から、タービン軸位置の移動量を演算し、真の軸位置信号を位置監視部55に出力する。
位置監視部55は、制御部54からこの軸位置信号を受けて、タービンロータ60の軸位置状態をモニタに表示し、また異常時には警報やタービン停止させるトリップ信号を発生させる。
【0036】
このように実施の形態5によれば、タービンロータ7の軸位置が位置検出器の正常計測範囲を逸脱するほど大きく移動した場合も、位置検出器52の取付け位置は計測範囲内に自動的に調整されるため、位置検出器52の正常計測範囲を逸脱せず、タービン軸位置の計測監視を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1,11,21,31,51 タービン監視装置、2,22 振動検出器、
3,23,53 信号変換器、4,24,34 振動監視部、
5,15,25,35,57 検出器プローブ、
6a,16a,26a 上部スプリング、6b,16b,26b 下部スプリング、
7 タービンロータ、8,58 ケーシング、9 摺動スリーブ、
12,32,54 制御部、13,33,56 サーボ、17 感圧器、
18 ラック・ピニオン、20 圧力調整装置、52 位置検出器、55 位置監視部、60 タービン軸、61 軸位置ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に非接触式振動検出器を一定位置に保持する検出器プローブと、この検出器プローブを摺動自在に保持するとともに前記検出器プローブの先端をタービンロータ上に自重で接触させる機構と、前記非接触式振動検出器の出力を受ける振動監視部とを備えたタービン監視装置。
【請求項2】
前記検出器プローブの上部に接触する接触式振動検出器を更に備え、この接触式振動検出器の出力が前記振動監視部入力される請求項1記載のタービン監視装置。
【請求項3】
前記検出器プローブと前記タービンロータとの接触圧力を一定に調整する機構を更に備えた請求項1記載のタービン監視装置。
【請求項4】
タービンロータとの距離を非接触的方法により測定する検出器と、この検出器の出力の中心値を演算し、中心値が一定となるように前記検出器の位置を調整する機構と、前記検出器の出力を受ける振動監視部とを備えたタービン監視装置。
【請求項5】
タービンロータの所定位置に設けた板との距離を非接触的方法により測定する検出器と、この検出器の出力が所定の範囲内となるように、前記検出器の位置を調整する機構と、前記検出器の初期位置からの移動距離に対応する検出器出力を前記検出器の出力に加算したものを受ける位置監視部とを備えたタービン監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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