説明

ダイカスト金型の表面処理方法

【課題】 ヒートチェックや摩耗の原因となる窒素化合物層を実質的に与えず、その一方で、金型内部に窒素を多量に導入できて、結果として、耐ヒートチェック性及び耐摩耗性に優れるダイカスト金型を与え得る表面処理方法を提供すること。
【解決手段】 加熱炉内に少なくともアンモニアガスを含むガスを導入して金型意匠面に窒素化合物からなる化合物層を含む窒化層を形成する窒化ステップと、加熱炉内からアンモニアガスを排出するとともに雰囲気ガスを導入して加熱処理し窒素化合物を分解させる化合物分解ステップと、金型意匠面にショットピーニングを行うショットピーニングステップと、を含む。ここで、窒化ステップは2〜7ミクロンの範囲内の厚さの化合物層を少なくとも含む窒化層を形成するステップであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットピーニングにより金型意匠面に圧縮残留応力を与えて提供されるダイカスト金型の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属溶湯の注入、凝固及び成型品の型抜きの成型サイクルを繰り返し行うダイカスト成型では、成型サイクルによって与えられる熱履歴によって金型の意匠面に細かいヒートチェック(熱亀裂)が生じ易く、機械的接触による摩耗も生じ易い。かかるヒートチェックはクラックに発展して金型を損傷させ、摩耗は成型品の寸法精度を低下させてしまう。そこで、耐ヒートチェック性や耐摩耗性を向上させて金型の寿命を延ばし得るよう、金型意匠面の硬さを高める表面窒化処理や、圧縮残留応力を付与するショットピーニングなどの施工が行われ得る。
【0003】
金型における表面窒化処理は、主に処理のしやすさ、コスト面からガス窒化により行われることが多い。かかる方法では、アンモニアガスを高温下で分解し、発生した窒素を金型意匠面から金型内部へ拡散させて拡散硬化層を与えている。一方、金型におけるショットピーニングは、主に1mm以下のセラミックや硬質金属からなる小球を投射装置で加速して金型意匠面に噴射する方法で行われている。金型意匠面には、小球の衝突による加工硬化により圧縮残留応力が与えられるのである。
【0004】
例えば、特許文献1では、金型意匠面に窒化処理を施し窒素拡散硬化層を形成した後に、さらにショットピーニングを行って、その表面に高い圧縮残留応力を与えることが開示されている。かかる窒化処理とショットピーニングとを組み合わせて施工することで金型の寿命を大幅に高め得るのである。
【0005】
ところで、窒化処理では、窒素拡散硬化層の表面に塑性変形能に乏しい化合物層が形成されることも知られている。かかる化合物層はヒートチェックによるクラックへの成長や、剥離による摩耗の原因となることから、これを形成させないか、若しくは、なるべく薄く形成させるような窒化処理の方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献2では、450〜530℃の比較的低い温度範囲においてアンモニアガス窒化を行って、その後、アンモニアの供給を低減又は停止するとともに、550〜590℃の処理温度で窒素を内部拡散させる熱処理を行う2段処理が開示されている。比較的低い温度範囲でのアンモニアガス窒化では、化合物層は薄く形成される。その一方で、窒素拡散層の深さも浅くなってしまう。そこで、熱処理によって窒素拡散層の窒素を金型の深くまで拡散させ、薄いままの化合物層でありながら厚い窒素拡散層を得ている。
【0007】
同様に、特許文献3では、570℃未満の温度の減圧下でアンモニアガス窒化を行って、その後、アンモニアの供給を低減又は停止するとともに、570℃〜650℃の処理温度で窒素を内部拡散させる熱処理を行う2段処理が開示されている。かかる減圧下でのガス窒化では、窒素化合物層は薄く且つ非ポーラス状態で得られ、また熱処理により窒素拡散層の深さもより深くなると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−148362号公報
【特許文献2】特開平10−306364号公報
【特許文献3】特開平11−100655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2及び3に開示されたような窒素化合物層を薄く形成しようとするアンモニアガス窒化では、金型に供給される窒素の絶対量が少なく、熱処理によって窒素拡散層の窒素をさらに深くまで拡散させようとすると、窒素拡散層に十分な硬さを与えることができない。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ヒートチェックや摩耗の原因となる窒素化合物層を実質的に与えず、その一方で、金型内部に窒素を多量に導入できて、結果として、耐ヒートチェック性及び耐摩耗性に優れるダイカスト金型を与え得る表面処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、ガス軟窒化、ガス侵硫窒化、プラズマ窒化などの各種窒化処理で形成される最表層の窒素化合物が熱処理で比較的容易に分解出来ることを見い出した。そして、窒素化合物層を実質的に与えない金型の製造方法を検討する中で、かかる分解によって窒素を生じこれを金型の内部に拡散させて金型に供給される窒素量を増やし得ることを想到したのである。
【0012】
そこで本発明によるダイカスト金型の表面処理方法は、金型意匠面に圧縮残留応力を与えて提供されるダイカスト金型の表面処理方法であって、加熱炉内に少なくともアンモニアガスを含むガスを導入して前記金型意匠面に窒素化合物からなる化合物層を含む窒化層を形成する窒化ステップと、前記加熱炉内からアンモニアガスを排出するとともに雰囲気ガスを導入して加熱処理し前記窒素化合物を分解させる化合物分解ステップと、前記金型意匠面にショットピーニングを行うショットピーニングステップと、を含み、前記窒化ステップは2〜7ミクロンの範囲内の厚さの前記化合物層を少なくとも含む前記窒化層を形成するステップであることを特徴とする。
【0013】
かかる発明によれば、少なくともアンモニアガスを含むガスを加熱炉内に導入して行う窒化処理によって形成される窒素化合物層を所定の厚さに制御することで、この窒素化合物を化合物分解ステップにおいて分解し、結果として、窒素化合物層を実質的に与えず、これによって生じた窒素により金型に供給される窒素量を増やし、高い硬さを有する窒素拡散層を与えることができる。その上で、実質的に消失する窒素化合物層はボイドを多く含みショットピーニングにおけるショットの衝突エネルギーを吸収・散逸させてしまう。しかしながら、窒化ステップにおいてこの窒素化合物層をやはり所定の厚さに制御することで、ショットピーニングによる圧縮残留応力を付与可能としている。すなわち、高い硬さと高い圧縮残留応力により、耐摩耗性及び耐ヒートチェック性に優れるダイカスト金型を与え得るのである。
【0014】
上記した発明において、前記化合物分解ステップは、前記加熱処理を前記窒化ステップよりも少なくとも高い温度で行うことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、より高い硬さと高い圧縮残留応力を与えることが出来て、耐摩耗性及び耐ヒートチェック性により優れるダイカスト金型を与え得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】試験片の斜視図である。
【図2】試験片の鋼種及び表面処理条件を示す図である。
【図3】加熱・冷却試験装置を示す図である。
【図4】試験片の表面近傍の変化を示す拡大断面図である。
【図5】試験片の表面近傍の窒素濃度の変化を示す図である。
【図6】化合物層厚さとヒートチェック(HC)数の関係を示すグラフである。
【図7】化合物層厚さと残留応力の関係を示すグラフである。
【図8】試験片(実施例11)の断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるダイカスト金型の表面処理方法について、図1乃至図8に示すような実証試験の結果を通じて、その詳細を説明する。実証試験は、ダイカスト金型に対応する円筒状の試験片1(図1を参照)を用意し、各種の表面処理を施した上でこれを評価することで行った。
【0017】
図1に示すような外径D1=15mm、内径D2=3mm及び長さL=20mmの円筒状の試験片1を用意した。試験片1は、SKD61相当の丸棒材から加工した。なお、SKD61相当材に代えて、実施例9についてはSKD7相当の丸棒材、実施例10についてはSKH51相当の丸棒材から試験片1を加工した。これらについては図2にまとめて示した。
【0018】
次に、試験片1を加熱炉内で加熱しながらアンモニアガスを炉内に導入し、試験片1の外周面をガス軟窒化処理した。図2に示すように、処理温度、窒化時間、ガスの配合比の各条件を与えて、それぞれの化合物層厚さの化合物層2を含む窒化層5(図4参照)を形成させた。なお、ガス軟窒化処理に代えて、実施例6についてはガス浸硫窒化処理、実施例7及び比較例5についてはプラズマ窒化処理した。
【0019】
次に、加熱炉内からアンモニアガスを排出後、雰囲気ガスとして窒素を導入してそのまま試験片1を同じ加熱炉内で加熱処理して拡散処理し、後述するように窒化処理で生じた化合物層2(図4参照)の窒素化合物を完全に分解させた。この拡散処理の温度及び時間についても図2にまとめて示した。
【0020】
次に、試験片1の外周面に直径0.05mm〜0.2mmのアモルファス製の小球を0.3MPaの投射圧にて投射し、ショットピーニングを行った。
【0021】
上記処理を与えた試験片1について、その長手方向中央部近傍の外周面の残留応力を測定した。
【0022】
また、試験片1について、図3に示すような試験装置20で繰り返し加熱・冷却試験を行って耐ヒートチェック性を評価した。詳細には、試験片1の貫通孔1aに試験装置20の支持部22の細径部22aを挿入し、試験片1を上下からホルダ23で挟み固定した。試験片1の外周面を高周波コイル21で4秒間かけて室温から700℃まで加熱し、図示しない放水口から冷却水24を噴射して3秒間で室温まで冷却、これを1秒間エアブローで乾燥させた。かかる加熱、冷却及び乾燥のサイクルを合計1000回繰り返し、試験片1を試験装置20から取り外した。試験装置20から取り外した試験片1は、長手方向の中央部近傍を中心軸に対して垂直な平面で切断し、樹脂埋め後、切断面を鏡面研磨した。切断面を光学顕微鏡(100倍)により観察し、試験片1の外周面に発生したヒートチェック(HC)の数を測定した。
【0023】
なお、上記した窒化処理後の試験片1の一部は、炉から取り出して、後述する化合物層2(図4参照)の厚さの測定を行っている。炉から取り出した試験片1をその長手方向中央部近傍で中心軸に対して垂直な平面で切断し、切断面を鏡面研磨して光学顕微鏡で観察し、化合物層2の厚さを測定した。
【0024】
ところで、窒化処理では、図4(a)及び図5(a)に示すように、気相中の活性化した窒素が試験片1の外周面からその内部(基材)4へと拡散し、外周面近傍に窒化層5を形成する。窒化層5は、最表層の窒素化合物層2及びその内部側の窒素拡散層3からなる。化合物層2は、FeやCrの複合窒化物からなり、非常に脆い層である。なお、ガス窒化に比較して、プラズマ窒化ではその成長速度は非常に遅い。窒素拡散層3は、分散析出した窒化物を含む窒素の固溶層である。
【0025】
上記した窒化処理に続く拡散処理では、図4(b)及び図5(b)に示すように、窒化層5の深さが拡大する。詳細には、気相中から試験片1の外周面を通じて供給される窒素のフラックスが低下し、窒素拡散層3の窒素が主として試験片1の内部4へと拡散していく。ここで、化合物層2の窒素化合物が分解すると、これによって生じる窒素も試験片1の内部へと拡散していくが、化合物中に含まれる窒素濃度(図5(a)の参照符3aを参照)は、窒素拡散層3のような窒素固溶体に含まれる窒素濃度(図5(a)の参照符3bを参照)よりも大幅に高いため、大幅に窒素量の多い窒素拡散層3を得ることができる(図5(b)の参照符31を参照)。なお、窒化処理によって得られた窒素拡散層3だけを拡散処理する場合について、図5(b)の参照符32に示した。
【0026】
その一方で、化合物層2の窒素化合物が分解すると、その体積収縮のため、ボイドを多く含む表面層2’となってしまう。かかる表面層2’は、ショットピーニングにおけるショットの衝突エネルギーを吸収・散逸させ、これによる圧縮残留応力の形成を阻害してしまう。詳細については後述する。
【0027】
以下に上記した測定の結果について述べる。まず、繰り返し加熱・冷却試験後のヒートチェック(HC)の数と化合物層2の厚さとの関係について図6に示した。
【0028】
ヒートチェックの数は、化合物層2の厚さを増加させると減少し、耐ヒートチェック性を向上させ得ることが判る。すなわち、化合物層2の厚さを1.5μm及び1.0μmと薄く形成させた比較例1及び5では、ヒートチェック数はそれぞれ597本及び441本であった。これに対して、化合物層2の厚さを2〜7μmとより厚く形成させた実施例1乃至14では、ヒートチェック数は13〜257本と大幅に減少していた。特に、拡散処理を窒化処理の温度よりも低い温度で行った実施例11ではヒートチェック数は大幅に少なくなっていた。
【0029】
上記したように、化合物層2の厚さを増加させると、拡散処理によって分解される窒素化合物の量が増加するから、窒素拡散層3の窒素量を高め、拡散処理後の硬さを高めて耐摩耗性を高めるとともに、耐ヒートチェック性を向上させるのである。
【0030】
その一方で、ヒートチェックの数は、化合物層2の厚さを所定以上に増加させると急激に増加し、耐ヒートチェック性を大幅に低下させ得ることも判る。すなわち、化合物層2の厚さを8.0、9.0及び10.0μmと厚く形成させた比較例2、3及び4では、ヒートチェック数はそれぞれ706、707及び840本であって、実施例1乃至14に比べて急激に増加した。
【0031】
上記に関して、ショットピーニングによって試験片1に与えられる圧縮残留応力と化合物層2の厚さとの関係について図7に示した。なお、図7において、圧縮残留応力は負の値で表わしている。
【0032】
圧縮残留応力は化合物層2の厚さを増加させると、その絶対値を増加させ得ることが判る。すなわち、化合物層2の厚さを1.5μm及び1.0μmと薄く形成させた比較例1及び5では、圧縮残留応力はそれぞれ−965MPa及び−993MPaであった。これに対して、化合物層2の厚さを2〜7μmと厚く形成させた実施例1乃至14では、圧縮残留応力は−1350MPa〜−1755MPaと大幅にその絶対値を大きくしていた。
【0033】
その一方で、圧縮残留応力は化合物層2の厚さを所定以上に増加させると、その絶対値を急激に低下させ得ることも判る。すなわち、化合物層2の厚さを8.0、9.0及び10.0μmと厚く形成させた比較例2、3及び4では、圧縮残留応力はそれぞれ−1298MPa、−1251MPa、及び−938MPaであって、実施例1乃至14に比べて大幅にその絶対値が低下していた。
【0034】
以上のように、化合物層2の厚さを所定以上に増加させると圧縮残留応力の絶対値を大幅に低下させ、耐ヒートチェック性を大幅に低下させる。これは化合物層2の化合物が分解して形成されるボイドを多く含む表面層2’(図4(b)参照)のためである。すなわち、化合物層2が厚くなることで、拡散処理によって表面層2’も厚く形成され、ショットピーニングによる圧縮残留応力の形成が急激に阻害されて、結果として、耐ヒートチェック性が大幅に低下するのである。
【0035】
ところで、図8(a)は、実施例11における窒化処理後の試験片1の切断面の光学顕微鏡写真である。また、図8(b)は、実施例11における窒化処理に続いて拡散処理を与えた後の試験片1の切断面の光学顕微鏡写真である。前者においては、化合物層2及び窒素拡散層3が観察される。一方、後者においては、窒素拡散層3の厚さの増加が観察されるとともに、化合物が分解して特に窒素拡散層3に近い側に黒くボイドを含む表面層2’が観察される。
【0036】
以上のことから、化合物層2の厚さ、つまり化合物が分解された後に残るボイドを含む表面層2’の厚さを一定に制限することで、ショットピーニングによる圧縮残留応力を良好に与え得て、耐ヒートチェック性に優れるダイカスト金型を与え得る。特に、実施例のような一般的なショットピーニングの条件の下では、化合物層2(化合物が分解された後に残る表面層2’)の厚さは、2〜7μmであることが好ましい。
【0037】
ところで、実施例6及び7のような、ガス軟窒化とガス侵硫窒化及びプラズマ窒化などの窒化処理の差異、及び、実施例9及び実施例10のようなSKD61相当材とSKD7相当材及びSKH51相当材の鋼材の差異について、図6及び図7の化合物層2の厚さとヒートチェック数及び圧縮残留応力との関係は同一のプロット線上に並ぶ。すなわち、窒化処理の差異、及び、一般的な金型材の差異に関係なく、本実施例の方法を適用し得ることが示唆される。
【0038】
以上、本実施例によるダイカスト金型の表面処理方法は、加熱炉内に少なくともアンモニアガスを含むガスを導入するガス軟窒化、ガス侵硫窒化、プラズマ窒化などの窒化処理により金型意匠面に窒素化合物からなる化合物層を含む窒化層を形成する窒化ステップと、加熱炉内からアンモニアガスを排出するとともに雰囲気ガスを導入して加熱処理し窒素化合物を分解させる化合物分解ステップと、金型意匠面にショットピーニングを行うショットピーニングステップと、を含む。ここで、窒化ステップは2〜7ミクロンの範囲内の厚さの化合物層を少なくとも含む窒化層を形成するステップである。
【0039】
少なくともアンモニアガスを含むガスを加熱炉内に導入して行う窒化処理によって形成される窒素化合物層を所定の厚さに制御することで、この窒素化合物を化合物分解ステップにおいて分解し、結果として、窒素化合物層を実質的に与えず、これによって生じた窒素により金型に供給される窒素量を増やし、高い硬さを有する窒素拡散層を与えることができる。その上で、実質的に消失する窒素化合物層はボイドを多く含む層となって残存しショットピーニングにおけるショットの衝突エネルギーを吸収・散逸させてしまう。しかしながら、窒化ステップにおいてこの窒素化合物層をやはり所定の厚さに制御することで、ショットピーニングによる圧縮残留応力を窒素拡散層に付与可能としている。すなわち、高い硬さと高い圧縮残留応力により、耐摩耗性及び耐ヒートチェック性に優れるダイカスト金型を与え得るのである。
【0040】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例について説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるだろう。
【符号の説明】
【0041】
1 試験片
2 化合物層
3 窒素拡散層
5 窒化層
20 試験装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型意匠面に圧縮残留応力を与えて提供されるダイカスト金型の表面処理方法であって、
加熱炉内に少なくともアンモニアガスを含むガスを導入して前記金型意匠面に窒素化合物からなる化合物層を含む窒化層を形成する窒化ステップと、
前記加熱炉内からアンモニアガスを排出するとともに雰囲気ガスを導入して加熱処理し前記窒素化合物を分解させる化合物分解ステップと、
前記金型意匠面にショットピーニングを行うショットピーニングステップと、を含み、
前記窒化ステップは2〜7ミクロンの範囲内の厚さの前記化合物層を少なくとも含む前記窒化層を形成するステップであることを特徴とするダイカスト金型の表面処理方法。
【請求項2】
前記化合物分解ステップは、前記加熱処理を前記窒化ステップよりも少なくとも低い温度で行うことを特徴とする請求項1記載のダイカスト金型の表面処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−235318(P2011−235318A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109299(P2010−109299)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】