ダイヤフラム式流量調節弁
【課題】止水間際や給水開始時の小流量域における主弁の傾きによって、急激な流量変化が生ずる問題を解決することのできるダイヤフラム式流量調節弁を提供する。
【解決手段】ダイヤフラム弁から成る主弁26と、環状の主弁座24と、円筒部22の内部に嵌入して主弁26の移動時の案内をなす主弁ガイド74とを備えたダイヤフラム式流量調節弁において、主弁ガイド74の外周面に弾性Cリング80を装着して、これを円筒部22の内周面に弾性接触させ、環状隙間にて形成される流路を軸心方向に遮断する。
【解決手段】ダイヤフラム弁から成る主弁26と、環状の主弁座24と、円筒部22の内部に嵌入して主弁26の移動時の案内をなす主弁ガイド74とを備えたダイヤフラム式流量調節弁において、主弁ガイド74の外周面に弾性Cリング80を装着して、これを円筒部22の内周面に弾性接触させ、環状隙間にて形成される流路を軸心方向に遮断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤフラム弁からなる主弁の開度を変化させることによって、主水路を流通する水の流量を調節するダイヤフラム式流量調節弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主水路上に設けられて開度を変化させるダイヤフラム弁からなる主弁と、筒部の先端部にて構成された環状の主弁座とを有し、主弁の開度に応じて流量調節を行うダイヤフラム式流量調節弁が公知である。
例えば下記特許文献1にこの種のダイヤフラム式流量調節弁が開示されている。
【0003】
図11はこの種ダイヤフラム式流量調節弁の具体例を示している。
同図において200は主水路で、202はその主水路200上に設けられたダイヤフラム弁からなる主弁、204は円筒部206の先端部にて構成された円環状の主弁座、200aは主水路200における1次側の流入水路,200bは円筒部206の内側に形成された、主水路200における2次側の流出水路である。
【0004】
主弁202は、ゴム製のダイヤフラム膜208と、これに組み付けられた樹脂製等の硬質の主弁本体210とからなっており、ダイヤフラム膜208の外周端部が固定状態に保持され、その状態で軸心方向に移動(変位)して開度を変化させ、主水路200を流通する水の流量を変化させる。
このダイヤフラム式流量調節弁では、主弁202が主弁座204に着座した状態では主水路200が閉じた状態となり、水の流通は生じない。
【0005】
一方主弁202が主弁座204から離間すると主水路200が開いた状態となり、水の流通が生じて流入水路200aからの水が主弁座204を乗り越えて流出水路200bへと流れ込み、更に下流側へと供給される。
また主弁202の軸心方向の移動量(変位量)に応じて、即ち主弁202の開度に応じて、主水路200を流通する水の流量が増減変化させられる。即ち流量調節が行われる。
【0006】
尚この図11に示す流量調節弁はパイロット式の弁であって、212は主弁202の背後に形成され、内部の圧力を主弁202に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室、214は主水路200における1次側の流入水路200aの水を背圧室212に導入して、背圧室212の圧力を増大させる導入小孔、216は背圧室212と2次側の流出水路200bとを連通させる状態に主弁202を貫通して設けられ、背圧室212の水を流出水路200bに抜いて背圧室212の圧力を減少させるパイロット水路、218はパイロット水路216を開閉するパイロット弁、220はパイロット弁座である。
【0007】
ところでこの種ダイヤフラム式流量調節弁では、主弁202に対する水の流れの不均等な作用等に基づいて、図11に示しているように主弁202が傾動してしまって、流量調節が円滑に行われない場合が生ずるといった問題が生じていた。
【0008】
こうしたことから、パイロット式であると否とを問わずこの種ダイヤフラム式流量調節弁にあっては、主弁202の移動時の案内をなす主弁ガイドを主弁202に、詳しくは主弁本体210に一体移動する状態に設けることが行われている。
このような主弁ガイドを主弁202に設けておくことで、主弁202が大きく傾動することをある程度防ぐことができる。
【0009】
しかしながらこのような主弁ガイドを設ける場合において、主弁ガイドの外周面と円筒部の内周面との間に嵌合クリアランス(環状隙間)を確保するのが普通であり、この場合その嵌合クリアランス内で主弁ガイドが僅かに傾くことができるために、主弁の傾きを完全には防止することができない。
そのため、主弁の閉弁動作の最終時や開弁動作開始時、即ち止水間際や給水開始時の小流量域において、主弁の傾きによって急激な流量変化が発生してしまう問題が生ずる。
【0010】
【特許文献1】特開平4−302790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、止水間際や給水開始時の小流量域において、主弁の傾きによって急激な流量変化が生ずる問題を解決し、連続的且つ滑らかな流量変化を行うことのできるダイヤフラム式流量調節弁を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1のものは、(イ)主水路上に設けられて開度を変化させるダイヤフラム弁から成る主弁と、(ロ)筒部の先端部にて構成された環状の主弁座と、(ハ)該主弁に一体移動する状態に設けられ、前記筒部の内部に嵌入して該主弁の移動時の案内をなす主弁ガイドと、を有し、該主弁の開度に応じて流量調節を行なうダイヤフラム式流量調節弁において、可動側である前記主弁ガイドの外周面、又は固定側である前記筒部の内周面に径方向の弾性を有する弾性リングを装着し、該弾性リングは、前記主弁の閉位置から設定微小距離開いた位置までの移動範囲内で、径方向外向きの弾性力で前記筒部の内周面に、又は径方向内向きの弾性力で前記主弁ガイドの外周面に対して相対摺動可能に弾性接触して、それら主弁ガイドの外周面と筒部の内周面との間の環状隙間を遮断するものとなしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項2のものは、請求項1において、前記流量調節弁が、(a)前記主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(b)前記主水路における一次側の流入水路の水を該背圧室に導入して該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と、(c)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて、該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と、(d)前記主弁と同方向に進退移動して前記パイロット水路の開度を制御するパイロット弁と、を備え、該パイロット弁の進退移動に追従して前記主弁を進退移動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式の弁であることを特徴とする。
【0014】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングが周方向の所定個所に切れ目を有するCリングであることを特徴とする。
【0015】
請求項4のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングがゴム弾性体から成る、周方向に連続した環状のOリングであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、主弁ガイドの外周面又は筒部の内周面に弾性リングを装着し、かかる弾性リングの径方向の弾性力で、その弾性リングを筒部の内周面に対し、又は主弁ガイドの外周面に対し相対摺動可能に弾性接触させて、かかる弾性リングにより主弁ガイドの外周面と筒部の内周面との間の環状隙間を弾性リングにて軸心方向に遮断するようになしたものである。
【0017】
本発明の流量調節弁にあっては、止水間際或いは給水開始時の小流量域では、弾性リングによる環状隙間の遮断作用によって、それら主弁ガイドと筒部との間の環状隙間にて形成される流路を実質上閉じた状態又は流量を著しく絞った状態とする。
【0018】
言わばこの弾性リングは、主弁に対する補助弁としての働きをなして、小流量域で上記の環状隙間にて形成される流路の流れを無くすか又は著しく絞った状態とする。
従ってその小流量域において主弁が傾くことがあっても、その傾きによって小流量域で急激な流量変化が生ずるのが回避され、連続的且つ滑らかな流量変化を確保することが可能となる。
【0019】
尚本発明において、上記補助弁としての働きをなす弾性リングは、主弁ガイドと筒部との間の流路を必ずしも完全に閉鎖(シール)するものでなくても良く、多少の漏れを生じるものであっても良い。
但しその漏れは、小流量域において主弁の傾きにより生ずる流量の変化量よりも少ないものとなしておく。
【0020】
本発明は、パイロット式の流量調節弁、詳しくは主弁の背後に形成され、内部の圧力を主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室,背圧室の圧力を増大させる導入小孔,背圧室の水を抜いてその圧力を減少させるパイロット水路、更に主弁と同方向に進退移動してパイロット水路の開度を制御するパイロット弁とを備え、そのパイロット弁の進退移動に追従して主弁を進退移動させ、主水路の流量調節を行うパイロット式の弁となしておくことができる(請求項2)。
【0021】
また上記弾性リングとして、周方向の所定箇所に切れ目を有し、その切れ目に基づいて径方向に弾性変形するCリングを用いることができ(請求項3)、或いはまたゴム弾性体からなるOリングを弾性リングとして用いることができる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明をパイロット式のダイヤフラム式流調弁装置に適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【0023】
図1及び図2において10,12はそれぞれバルブボデーを構成する第1部材,第2部材で、第2部材12は更にそれぞれ円筒形状をなす上部14と、下部16と、中間部18とからなっており、それらが軸方向に組み付けられている。
ここで第2部材12、即ち上部14,下部16及び中間部18は何れも樹脂製とされてる。
また下部16には円筒部(筒部)22が、後述の整流部64とともに一体に構成されている。
【0024】
20は主水路で、この主水路20上に後述のダイヤフラム弁からなる主弁26が設けられている。図中20aは主水路20における1次側の流入水路,20bは円筒部22の内側に形成された2次側の流出水路で、54はその末端の流出口を表している。
円筒部22の先端部(図中上端部)は、円環状をなす主弁座24として構成されており、また円筒部22の外周側には、1次側の流入水路20aの一部をなす流入室50が形成されている。
【0025】
上記ダイヤフラム弁からなる主弁26は、主水路20の開閉及び開度調節を行うもので(以下主水路20の開閉と開度調節とを含めて単に開度調節とする)、シール部材を兼ねたゴムとの弾性体からなるダイヤフラム膜28と、硬質の主弁本体30とからなっている。
この主弁26は、ダイヤフラム膜28の外周端部がバルブボデーにて固定状態に保持され、その中心部が軸心方向(図中上下方向)に進退移動(変位)して主弁座24との距離を変化させ、主水路20の開度を変化させる。
【0026】
詳しくは、主弁26は主弁座24への着座によって主水路20を遮断し、また主弁座24から図中上向きに離間することによって主水路20を開放する。
また主弁座24からの離間量に応じて開度を大小変化させ、主水路20を流れる水の流量、即ち給水流量を調節する。
【0027】
この主弁26の図中上側の背後には、背圧室32が形成されている。
背圧室32は、内部の圧力を主弁26に対して図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁26には、これを貫通して流入室50と背圧室32とを連通させる導入小孔33が設けられている。
この導入小孔33は、流入室50からの水を背圧室32に導いて背圧室32の圧力を増大させる。
【0028】
主弁26にはまた、これを貫通して背圧室32と流出水路20bとを連通させる水抜水路としてのパイロット水路34が設けられている。
このパイロット水路34は、背圧室32内の水を流出水路20bに抜いて背圧室32の圧力を減少させる。
【0029】
図3及び図4に示しているように主弁26にはまた、その中心部においてこれを軸心方向に貫通する貫通孔36が設けられており、そこにパイロット弁35が挿通され、このパイロット弁35の外周面と貫通孔36の内周面との間に、通路幅が狭小な環状をなす上記パイロット水路34が形成されている。
この主弁26には、貫通孔36の内周面に沿って主弁26の軸心周りに環状をなすパイロット弁座37が一体に設けられている。
38はこのパイロット弁座37におけるシール部で、環状溝内部に環状をなす弾性シールリングとしてのOリング40を保持ししている。
【0030】
上記パイロット弁35はこのパイロット弁座37に対し、主弁26の軸心に沿って図中上下方向に進退移動可能に嵌合するようになっている。
詳しくはこのパイロット弁35は、断面円形をなし且つ図中上下方向即ち進退方向において外径が同径のシール部42と、その下側(図中下側)の環状の凹所44とを有している。
環状の凹所44の軸方向の各端部は、凹所44の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面46とされており、そのテーパ面46の大径側の各端部に段付部48,49が形成されている。
【0031】
尚、図1及び図3はパイロット弁35の止水時の状態を表しており、このときパイロット弁35はシール部42をOリング40を介してパイロット弁座37に対し全周に亘って径方向に弾性接触させ、パイロット弁35とパイロット弁座37との間を水密にシールした状態にある。
またこのとき、主弁26は主弁座24に着座した状態にあって、主水路20は閉鎖された状態にある。
【0032】
一方図2及び図4は最大吐水時の状態を表しており、このときパイロット弁35はシール部42がパイロット弁座37から離間した状態にあって、それらの間に微小な隙間を形成している。
またこのとき主弁26は主弁座24から図中上向きに大きく離間した状態にあって、主水路20を大きく開いた状態にある。
【0033】
図5,図6はパイロット弁35の移動による流調(流量調節)時の作用を表している。
この実施形態では、パイロット弁35が図1及び図3の止水状態から図中上向きに後退移動すると、パイロット弁35とパイロット弁座37との間の隙間が大となり、背圧室32内の水がパイロット水路34を通じて流出水路20b側に多く抜け出して背圧室32の圧力が減少する。
そこで図5(I)に示しているように主弁26が流入室50との圧力差により図中上向きに後退移動し、流入室50の圧力と背圧室32の圧力とがバランスする位置で主弁26の後退移動が停止する。
この主弁26の後退移動によって、主弁26と主弁座24との間の隙間が大となり、流入室50から流出水路20bに向けて水が流出する。
【0034】
この状態からパイロット弁35が更に図中上向きに後退移動させられると、背圧室32の圧力と流入室50との圧力をバランスさせるようにして、主弁26がパイロット弁35の後退移動に追従して後退移動し、主水路20の開度を更に広くして主水路20を流れる水の流量を増大させる(図5(II),(III)参照)。
【0035】
一方パイロット弁35が、図6(I)に示しているように図中下向きに前進移動すると、パイロット弁35とパイロット弁座37との間、詳しくはパイロット弁35におけるシール部42とパイロット弁座37に保持されたOリング40との間の隙間が小さくなって、即ちパイロット水路34の開度が小さくなって、背圧室32から流出水路20bに抜ける水の量が少なくなり、背圧室32の圧力が増大する。
【0036】
このため、その増大した圧力により主弁26が今度は図中下向きに前進移動して、背圧室32の圧力と流入室50との圧力をバランスさせる位置で停止する(図6(II)参照)。
このとき主弁26と主弁座24との間の隙間は小さくなって、即ち主水路20の開度が小さくなって、主水路20を流れる水の流量が減少する。
【0037】
そしてこの状態から更にパイロット弁35が図中下向きに前進移動すると主水路20の開度が更に小さくなり、流れる水の流量が更に減少する(図6(III)参照)。そして更なるパイロット弁35の前進移動によって、図1及び図3に示す止水状態となる。
【0038】
図1及び図2において56は駆動軸で、この駆動軸56は一様な円形断面且つ一様な外径で軸方向に延びており、図中下部に上記のパイロット弁35が一体に構成されている。
これらの図において、58は回転式の操作部で、この操作部58と駆動軸56との間に、操作部58の回転操作によりその操作量に応じて駆動軸60をねじ送りで進退させてパイロット弁35を図中上下方向に一体に進退移動させ、その位置を変化させる流調機構(図示省略)が組み込まれている。
【0039】
即ちこの実施形態では、操作部58を回転操作すると回転量に応じてパイロット弁35が図中上下に進退移動して、主弁26をこれに追従して変位させる。
これによって主水路20を流れる水の流量調節が行われる。
尚、駆動軸56と背圧室32との間はOリング61にて水密にシールされている。
またバルブボデーにおける第2部材16と第1部材10との間が、Oリング62にて水密にシールされている。
【0040】
上記流入室50には、流入水路20aからの水の流れを主弁26の軸心方向に整えた上で主弁26に作用させる整流部64が設けられている。
この整流部64もまた樹脂製とされており、第2部材12における下部16に一体に構成されている。
【0041】
この整流部64は、周方向に所定ピッチで設けられて径方向に放射状に延びる案内板66と、円筒部22と同心の環状をなす案内板68とを有しており、そしてそれらによって仕切られた内周側の多数の整流路70Aと、外周側の多数の整流路70Bとを有している。
ここで各整流路70A,70Bは図3,図4に示しているように、主弁26の軸心方向に延びて上端及び下端がそれぞれ流入室50内部に開放されている。
【0042】
この整流部64は次のように作用する。
即ちこのような整流部64が設けられていない場合、流入室50内部に横向きに流入した水の流れは、円筒部22や流入室50の外周壁に当って縦向き且つ上向きの流れとなり、主弁26に作用するが、このとき流入室50内部では急激な水の流れに対する抵抗や流れの向きの変化によって水の流れが強いところと弱いところが生じたりして、水の流れが全体的に不均等となり、従って主弁26に作用する水の流れの勢いも各部で不均等となってしまう。
【0043】
しかるに本実施形態では整流部64が設けてあるため、流入室50における水の流れの不均等化が抑制される。
その結果全周に亘って水の流れが軸心方向の流れに整えられた上で、主弁26に作用せしめられる。
【0044】
この実施形態において、ダイヤフラム弁から成る主弁26の主弁本体30には、円筒部22の内部に嵌入して主弁26の移動時の案内をなす主弁ガイド74が一体に形成されている。
ここで主弁ガイド74は、図4の部分拡大図に示しているように軸方向即ち上下方向に所定肉厚を有する円板状の上部74-1と、中心部から放射状に延びている板状の複数の案内羽根74-2とを有しており、円筒部22への嵌入状態で、上部74-1の外周面と円筒部22の内周面との間に所定の環状隙間を形成する。
【0045】
本実施形態では、図3及び図4に示しているように主弁ガイド74の外周面に環状溝76が形成されていて、そこに図3(ロ)に示すように周方向所定箇所に切れ目78を有する樹脂又は金属製の弾性Cリング(弾性リング)80が装着され、主弁イド74の円筒部22への嵌入時にかかる弾性Cリング80が円筒部22の内周面に弾性嵌合するようになしてある。
即ち、弾性Cリング80の外周面が円筒部22の内周面に対して、主弁26の軸心方向即ち移動方向に摺動可能に円筒部22の内周面に弾性接触するようになしてある。
【0046】
ここで弾性Cリング80は、図4に示す自由形状状態ではその外径が円筒部22の内径よりも僅かに大きい径をなしており、主弁ガイド74が円筒部22内に嵌入したとき、弾性Cリング80がその円筒部22の内周面にて強制的に縮径方向に弾性変形させられる。
即ち主弁ガイド74が円筒部22内に嵌入して、弾性Cリング80が円筒部22の内周面に嵌合したとき、弾性Cリング80は自身の弾性力でその外周面を円筒部22の内周面に対し径方向外向きに弾性的に接触させ、主弁ガイド74の外周面と円筒部22の内周面との間の環状隙間を軸方向に遮断し、シールする。
【0047】
但しこの弾性Cリング80は、周方向所定箇所に切れ目78を有しており、その切れ目78の部分で水の漏れを許容する。
尤もその漏れの量はごく僅かであって、後に述べるように主弁26の閉弁間際(止水間際)或いは開弁開始時(給水開始時)の小流量域において主弁26が傾きを生じることによって起る流量の変化量(但し弾性Cリング78が設けられていない場合の流量変化量)よりも小流量である。
【0048】
尚この弾性Cリング78は、主弁26の閉位置から設定微小距離開いた位置までの移動範囲内で、円筒部22の内周面に弾性接触状態を保つように、主弁ガイド74への組付位置が定めてある。
ここで設定微小距離は、主弁26の傾きがほぼ無くなるまでの移動範囲内で定めることができる。
尚、図3及び図4に示しているように、主弁座24はその断面形状が曲面形状とされていて、内周側の部分が、図4の自由形状状態にある弾性Cリング78を縮径させて円筒部22内に嵌入させる嵌入ガイド82を成している。
【0049】
図7は上記弾性Cリング80の作用を具体的に表している。
先ず図7(I)は止水時の状態を表しており、この状態からパイロット弁35が上昇移動して、シール部42がパイロット弁座38のOリング40から上向きに僅かに離れると(図7(II))、そこに隙間が生じて背圧室32内の水がパイロット水路34を通じて、流出水路20b側に漏出する。このときの漏出量はごく僅かである。
【0050】
図8は、操作部58の回転角とこれに対応した水の流量との関係を表したもので、図中Aが本実施形態における流量の変化を、またBが、上記弾性Cリング80を設けない場合(比較例)の流量の変化をそれぞれ表している。
而して同図中A-1の部分では微小量の水の流出が生じているが、このA-1での水の流出は図7(II)の状態での水の流出量、つまりパイロット水路34からの水の漏出の量を表している。
尚この時点では、主弁26は未だ閉じた状態にある。
【0051】
この状態からパイロット弁35が更に僅かに引き上げられると、主弁26がこれに追従して主弁座24から離れようとする。
このときに主弁26は全周に亘って均等に動作せず、主弁26に作用する水の流れの不均等などによって傾きを生じ易い。
図8中B-2で表す部分は、その主弁26の傾きによって流量が急激に変化した部分である。
【0052】
しかるに本実施形態では、この状態で弾性Cリング80が円筒部22の内周面に弾性接触した状態にあって、主弁ガイド74と円筒部22との間の径方向の隙間を埋めてそれらの間の環状隙間を実質的に軸心方向に遮断し、シールした状態にあるため、このように主弁22が傾きを生じることがあっても急激な流量変化は生じない。
図8中A-2で表した部分は、その主弁22の傾きによって流量が微小に増量変化した状態を表している。ここで微小な流量増加は弾性Cリング80の切れ目78によるものである。
この図中A-2で示しているように、本実施形態では主弁26が傾くことがあっても急激な流量変化は起こらず、その流量の変化は極めて僅かでしかも滑らかなものである。
【0053】
この図7(III)に示す状態から更にパイロット弁35が引き上げられると、これに追従して主弁26が上昇する。
このとき弾性Cリング80は円筒部22から離脱して本来の自由形状に復帰する。そしてこの後の主弁26の上昇量、即ち開弁量に応じて主水路20を流れる水の流量が変化せしめられる。図8中A-3はこのときの流量変化の状態を表している。
尚このときの流量変化は、図8中Bの流量変化曲線におけるB-3とほぼ同様である。即ち弾性Cリングを設けていない場合とほぼ同様である。
【0054】
尚、パイロット弁35を下降させて主弁26をこれに追従して下降移動させ、最大開弁状態から閉弁状態とするまでの動きは上記と逆となる。
このときの主水路20における流量の変化は図8中A-3からA-2、またA-2からA-1への変化となる。
【0055】
かかる本実施形態の流量調節弁にあっては、止水間際或いは給水開始の小流量域では弾性Cリング80による環状隙間の遮断作用によって、主弁ガイド74と円筒部22との間の環状隙間にて形成される流路を実質上閉じた状態に保持するため、その小流量域において主弁26が傾くことがあっても、その傾きによって小流量域で急激な流量変化が生ずるのが回避され、連続的且つ滑らかな流量変化を確保することができる。
【0056】
また弾性Cリング80は、環状溝76内で径方向に弾性変形することができるため、主弁ガイド74と円筒部22との間の環状隙間をシールしつつ、円筒部22の内周面に沿って軸心方向に移動する際に、その外径を円筒部22の内径に沿って変化させつつ、円滑に円筒部22の内周面の形状に追従変形して、同内面を摺動運動することができる。
【0057】
図9は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、弾性リングとして上記弾性Cリング80に代えて、ゴム弾性体からなるOリング84を用いた例である。
但しこのOリング84は、図9(II)に示す自由形状状態で、外径が円筒部22の内径よりも大径をなしており、また環状溝76への装着状態で、その内径が環状溝76の溝底の外径よりもわずかに大径となし、溝底との間に環状の隙間を形成する。
ここでOリング84は、周方向に切れ目の無い連続した円環状をなしている。
この例においても上記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
但しこの実施形態では、弾性リングとしてのOリング84が周方向に切れ目の無い連続した円環状をなしているため、かかるOリング84が円筒部22の内周面に弾性接触した状態において、主弁ガイド74と円筒部22との間の環状隙間にて形成される流路は軸心方向に漏れなく遮断され、シールされた状態となる。
従って図8の流量変化曲線AにおけるA-2の部分は、実質的にA-1の流量レベルと同じ流量レベルで推移することとなる。
【0059】
この実施形態では、Oリング84の内周と環状溝76の溝底との間に隙間が確保されているため、図9(II)の状態からOリング84を円筒部22の内周面に弾性嵌合させたときのOリング84の径方向の変形抵抗が小さく、このためOリング84が円筒部22の内周面に対して主弁26の移動方向、即ち軸方向に摺動する際の摺動抵抗を小さく抑えることができる。
【0060】
図10は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は円筒部22の側に、即ちその内周面に環状溝76を形成して、そこに弾性Cリング80を装着し、かかる弾性Cリング80の内周面を、主弁ガイド74の外周面に弾性的に押し付けて、それらの間の隙間を埋めシールするようになした例である。
【0061】
この例では弾性Cリング80は、自由形状状態で図10(B)に示す形状、即ち内径が主弁ガイド74の外径よりも小径をなし、主弁ガイド74が図中下向きに移動して弾性Cリング80が主弁ガイド74の外周面に弾性嵌合したとき、主弁ガイド74によって径方向外方に弾性的に押し広げられ、その弾性力によって弾性Cリング80の内周面が主弁ガイド74の外周面に径方向内向きに押し付けられて弾性接触する。
尚、ここでは弾性リングとして弾性Cリング80を用いているが、これに代えてOリング84を用いるようにしても良い。但しこの場合においても自由形状状態における内径は、主弁ガイド74の外径よりも小径となしておく。
【0062】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明は図11に示しているようにパイロット弁を主弁のパイロット弁座に対してそれらの移動方向に、即ち軸心方向に押し付けるタイプのパイロット式の流量調節弁に適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態の流量調節弁を止水状態で表した図である。
【図2】同実施形態を開弁状態で表した図である。
【図3】図1の要部を拡大して示した図である。
【図4】図2の要部を拡大して示した図である。
【図5】同実施形態の流量調節作用を示した作用説明図である。
【図6】図5に続く作用説明図である。
【図7】同実施形態の弾性Cリングの作用説明図である。
【図8】同実施形態の流量変化を比較例の流量変化とともに示した図である。
【図9】本発明の他の実施形態の要部を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の要部を示した図である。
【図11】従来の流量調節弁の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0064】
20 主水路
20a 1次側流入水路
20b 2次側流出水路
22 円筒部(筒部)
24 主弁座
26 主弁
32 背圧室
33 導入小孔
34 パイロット水路
35 パイロット弁
74 主弁ガイド
78 切れ目
80 弾性Cリング
84 Oリング
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤフラム弁からなる主弁の開度を変化させることによって、主水路を流通する水の流量を調節するダイヤフラム式流量調節弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主水路上に設けられて開度を変化させるダイヤフラム弁からなる主弁と、筒部の先端部にて構成された環状の主弁座とを有し、主弁の開度に応じて流量調節を行うダイヤフラム式流量調節弁が公知である。
例えば下記特許文献1にこの種のダイヤフラム式流量調節弁が開示されている。
【0003】
図11はこの種ダイヤフラム式流量調節弁の具体例を示している。
同図において200は主水路で、202はその主水路200上に設けられたダイヤフラム弁からなる主弁、204は円筒部206の先端部にて構成された円環状の主弁座、200aは主水路200における1次側の流入水路,200bは円筒部206の内側に形成された、主水路200における2次側の流出水路である。
【0004】
主弁202は、ゴム製のダイヤフラム膜208と、これに組み付けられた樹脂製等の硬質の主弁本体210とからなっており、ダイヤフラム膜208の外周端部が固定状態に保持され、その状態で軸心方向に移動(変位)して開度を変化させ、主水路200を流通する水の流量を変化させる。
このダイヤフラム式流量調節弁では、主弁202が主弁座204に着座した状態では主水路200が閉じた状態となり、水の流通は生じない。
【0005】
一方主弁202が主弁座204から離間すると主水路200が開いた状態となり、水の流通が生じて流入水路200aからの水が主弁座204を乗り越えて流出水路200bへと流れ込み、更に下流側へと供給される。
また主弁202の軸心方向の移動量(変位量)に応じて、即ち主弁202の開度に応じて、主水路200を流通する水の流量が増減変化させられる。即ち流量調節が行われる。
【0006】
尚この図11に示す流量調節弁はパイロット式の弁であって、212は主弁202の背後に形成され、内部の圧力を主弁202に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室、214は主水路200における1次側の流入水路200aの水を背圧室212に導入して、背圧室212の圧力を増大させる導入小孔、216は背圧室212と2次側の流出水路200bとを連通させる状態に主弁202を貫通して設けられ、背圧室212の水を流出水路200bに抜いて背圧室212の圧力を減少させるパイロット水路、218はパイロット水路216を開閉するパイロット弁、220はパイロット弁座である。
【0007】
ところでこの種ダイヤフラム式流量調節弁では、主弁202に対する水の流れの不均等な作用等に基づいて、図11に示しているように主弁202が傾動してしまって、流量調節が円滑に行われない場合が生ずるといった問題が生じていた。
【0008】
こうしたことから、パイロット式であると否とを問わずこの種ダイヤフラム式流量調節弁にあっては、主弁202の移動時の案内をなす主弁ガイドを主弁202に、詳しくは主弁本体210に一体移動する状態に設けることが行われている。
このような主弁ガイドを主弁202に設けておくことで、主弁202が大きく傾動することをある程度防ぐことができる。
【0009】
しかしながらこのような主弁ガイドを設ける場合において、主弁ガイドの外周面と円筒部の内周面との間に嵌合クリアランス(環状隙間)を確保するのが普通であり、この場合その嵌合クリアランス内で主弁ガイドが僅かに傾くことができるために、主弁の傾きを完全には防止することができない。
そのため、主弁の閉弁動作の最終時や開弁動作開始時、即ち止水間際や給水開始時の小流量域において、主弁の傾きによって急激な流量変化が発生してしまう問題が生ずる。
【0010】
【特許文献1】特開平4−302790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、止水間際や給水開始時の小流量域において、主弁の傾きによって急激な流量変化が生ずる問題を解決し、連続的且つ滑らかな流量変化を行うことのできるダイヤフラム式流量調節弁を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1のものは、(イ)主水路上に設けられて開度を変化させるダイヤフラム弁から成る主弁と、(ロ)筒部の先端部にて構成された環状の主弁座と、(ハ)該主弁に一体移動する状態に設けられ、前記筒部の内部に嵌入して該主弁の移動時の案内をなす主弁ガイドと、を有し、該主弁の開度に応じて流量調節を行なうダイヤフラム式流量調節弁において、可動側である前記主弁ガイドの外周面、又は固定側である前記筒部の内周面に径方向の弾性を有する弾性リングを装着し、該弾性リングは、前記主弁の閉位置から設定微小距離開いた位置までの移動範囲内で、径方向外向きの弾性力で前記筒部の内周面に、又は径方向内向きの弾性力で前記主弁ガイドの外周面に対して相対摺動可能に弾性接触して、それら主弁ガイドの外周面と筒部の内周面との間の環状隙間を遮断するものとなしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項2のものは、請求項1において、前記流量調節弁が、(a)前記主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(b)前記主水路における一次側の流入水路の水を該背圧室に導入して該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と、(c)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて、該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と、(d)前記主弁と同方向に進退移動して前記パイロット水路の開度を制御するパイロット弁と、を備え、該パイロット弁の進退移動に追従して前記主弁を進退移動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式の弁であることを特徴とする。
【0014】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングが周方向の所定個所に切れ目を有するCリングであることを特徴とする。
【0015】
請求項4のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングがゴム弾性体から成る、周方向に連続した環状のOリングであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、主弁ガイドの外周面又は筒部の内周面に弾性リングを装着し、かかる弾性リングの径方向の弾性力で、その弾性リングを筒部の内周面に対し、又は主弁ガイドの外周面に対し相対摺動可能に弾性接触させて、かかる弾性リングにより主弁ガイドの外周面と筒部の内周面との間の環状隙間を弾性リングにて軸心方向に遮断するようになしたものである。
【0017】
本発明の流量調節弁にあっては、止水間際或いは給水開始時の小流量域では、弾性リングによる環状隙間の遮断作用によって、それら主弁ガイドと筒部との間の環状隙間にて形成される流路を実質上閉じた状態又は流量を著しく絞った状態とする。
【0018】
言わばこの弾性リングは、主弁に対する補助弁としての働きをなして、小流量域で上記の環状隙間にて形成される流路の流れを無くすか又は著しく絞った状態とする。
従ってその小流量域において主弁が傾くことがあっても、その傾きによって小流量域で急激な流量変化が生ずるのが回避され、連続的且つ滑らかな流量変化を確保することが可能となる。
【0019】
尚本発明において、上記補助弁としての働きをなす弾性リングは、主弁ガイドと筒部との間の流路を必ずしも完全に閉鎖(シール)するものでなくても良く、多少の漏れを生じるものであっても良い。
但しその漏れは、小流量域において主弁の傾きにより生ずる流量の変化量よりも少ないものとなしておく。
【0020】
本発明は、パイロット式の流量調節弁、詳しくは主弁の背後に形成され、内部の圧力を主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室,背圧室の圧力を増大させる導入小孔,背圧室の水を抜いてその圧力を減少させるパイロット水路、更に主弁と同方向に進退移動してパイロット水路の開度を制御するパイロット弁とを備え、そのパイロット弁の進退移動に追従して主弁を進退移動させ、主水路の流量調節を行うパイロット式の弁となしておくことができる(請求項2)。
【0021】
また上記弾性リングとして、周方向の所定箇所に切れ目を有し、その切れ目に基づいて径方向に弾性変形するCリングを用いることができ(請求項3)、或いはまたゴム弾性体からなるOリングを弾性リングとして用いることができる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明をパイロット式のダイヤフラム式流調弁装置に適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【0023】
図1及び図2において10,12はそれぞれバルブボデーを構成する第1部材,第2部材で、第2部材12は更にそれぞれ円筒形状をなす上部14と、下部16と、中間部18とからなっており、それらが軸方向に組み付けられている。
ここで第2部材12、即ち上部14,下部16及び中間部18は何れも樹脂製とされてる。
また下部16には円筒部(筒部)22が、後述の整流部64とともに一体に構成されている。
【0024】
20は主水路で、この主水路20上に後述のダイヤフラム弁からなる主弁26が設けられている。図中20aは主水路20における1次側の流入水路,20bは円筒部22の内側に形成された2次側の流出水路で、54はその末端の流出口を表している。
円筒部22の先端部(図中上端部)は、円環状をなす主弁座24として構成されており、また円筒部22の外周側には、1次側の流入水路20aの一部をなす流入室50が形成されている。
【0025】
上記ダイヤフラム弁からなる主弁26は、主水路20の開閉及び開度調節を行うもので(以下主水路20の開閉と開度調節とを含めて単に開度調節とする)、シール部材を兼ねたゴムとの弾性体からなるダイヤフラム膜28と、硬質の主弁本体30とからなっている。
この主弁26は、ダイヤフラム膜28の外周端部がバルブボデーにて固定状態に保持され、その中心部が軸心方向(図中上下方向)に進退移動(変位)して主弁座24との距離を変化させ、主水路20の開度を変化させる。
【0026】
詳しくは、主弁26は主弁座24への着座によって主水路20を遮断し、また主弁座24から図中上向きに離間することによって主水路20を開放する。
また主弁座24からの離間量に応じて開度を大小変化させ、主水路20を流れる水の流量、即ち給水流量を調節する。
【0027】
この主弁26の図中上側の背後には、背圧室32が形成されている。
背圧室32は、内部の圧力を主弁26に対して図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁26には、これを貫通して流入室50と背圧室32とを連通させる導入小孔33が設けられている。
この導入小孔33は、流入室50からの水を背圧室32に導いて背圧室32の圧力を増大させる。
【0028】
主弁26にはまた、これを貫通して背圧室32と流出水路20bとを連通させる水抜水路としてのパイロット水路34が設けられている。
このパイロット水路34は、背圧室32内の水を流出水路20bに抜いて背圧室32の圧力を減少させる。
【0029】
図3及び図4に示しているように主弁26にはまた、その中心部においてこれを軸心方向に貫通する貫通孔36が設けられており、そこにパイロット弁35が挿通され、このパイロット弁35の外周面と貫通孔36の内周面との間に、通路幅が狭小な環状をなす上記パイロット水路34が形成されている。
この主弁26には、貫通孔36の内周面に沿って主弁26の軸心周りに環状をなすパイロット弁座37が一体に設けられている。
38はこのパイロット弁座37におけるシール部で、環状溝内部に環状をなす弾性シールリングとしてのOリング40を保持ししている。
【0030】
上記パイロット弁35はこのパイロット弁座37に対し、主弁26の軸心に沿って図中上下方向に進退移動可能に嵌合するようになっている。
詳しくはこのパイロット弁35は、断面円形をなし且つ図中上下方向即ち進退方向において外径が同径のシール部42と、その下側(図中下側)の環状の凹所44とを有している。
環状の凹所44の軸方向の各端部は、凹所44の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面46とされており、そのテーパ面46の大径側の各端部に段付部48,49が形成されている。
【0031】
尚、図1及び図3はパイロット弁35の止水時の状態を表しており、このときパイロット弁35はシール部42をOリング40を介してパイロット弁座37に対し全周に亘って径方向に弾性接触させ、パイロット弁35とパイロット弁座37との間を水密にシールした状態にある。
またこのとき、主弁26は主弁座24に着座した状態にあって、主水路20は閉鎖された状態にある。
【0032】
一方図2及び図4は最大吐水時の状態を表しており、このときパイロット弁35はシール部42がパイロット弁座37から離間した状態にあって、それらの間に微小な隙間を形成している。
またこのとき主弁26は主弁座24から図中上向きに大きく離間した状態にあって、主水路20を大きく開いた状態にある。
【0033】
図5,図6はパイロット弁35の移動による流調(流量調節)時の作用を表している。
この実施形態では、パイロット弁35が図1及び図3の止水状態から図中上向きに後退移動すると、パイロット弁35とパイロット弁座37との間の隙間が大となり、背圧室32内の水がパイロット水路34を通じて流出水路20b側に多く抜け出して背圧室32の圧力が減少する。
そこで図5(I)に示しているように主弁26が流入室50との圧力差により図中上向きに後退移動し、流入室50の圧力と背圧室32の圧力とがバランスする位置で主弁26の後退移動が停止する。
この主弁26の後退移動によって、主弁26と主弁座24との間の隙間が大となり、流入室50から流出水路20bに向けて水が流出する。
【0034】
この状態からパイロット弁35が更に図中上向きに後退移動させられると、背圧室32の圧力と流入室50との圧力をバランスさせるようにして、主弁26がパイロット弁35の後退移動に追従して後退移動し、主水路20の開度を更に広くして主水路20を流れる水の流量を増大させる(図5(II),(III)参照)。
【0035】
一方パイロット弁35が、図6(I)に示しているように図中下向きに前進移動すると、パイロット弁35とパイロット弁座37との間、詳しくはパイロット弁35におけるシール部42とパイロット弁座37に保持されたOリング40との間の隙間が小さくなって、即ちパイロット水路34の開度が小さくなって、背圧室32から流出水路20bに抜ける水の量が少なくなり、背圧室32の圧力が増大する。
【0036】
このため、その増大した圧力により主弁26が今度は図中下向きに前進移動して、背圧室32の圧力と流入室50との圧力をバランスさせる位置で停止する(図6(II)参照)。
このとき主弁26と主弁座24との間の隙間は小さくなって、即ち主水路20の開度が小さくなって、主水路20を流れる水の流量が減少する。
【0037】
そしてこの状態から更にパイロット弁35が図中下向きに前進移動すると主水路20の開度が更に小さくなり、流れる水の流量が更に減少する(図6(III)参照)。そして更なるパイロット弁35の前進移動によって、図1及び図3に示す止水状態となる。
【0038】
図1及び図2において56は駆動軸で、この駆動軸56は一様な円形断面且つ一様な外径で軸方向に延びており、図中下部に上記のパイロット弁35が一体に構成されている。
これらの図において、58は回転式の操作部で、この操作部58と駆動軸56との間に、操作部58の回転操作によりその操作量に応じて駆動軸60をねじ送りで進退させてパイロット弁35を図中上下方向に一体に進退移動させ、その位置を変化させる流調機構(図示省略)が組み込まれている。
【0039】
即ちこの実施形態では、操作部58を回転操作すると回転量に応じてパイロット弁35が図中上下に進退移動して、主弁26をこれに追従して変位させる。
これによって主水路20を流れる水の流量調節が行われる。
尚、駆動軸56と背圧室32との間はOリング61にて水密にシールされている。
またバルブボデーにおける第2部材16と第1部材10との間が、Oリング62にて水密にシールされている。
【0040】
上記流入室50には、流入水路20aからの水の流れを主弁26の軸心方向に整えた上で主弁26に作用させる整流部64が設けられている。
この整流部64もまた樹脂製とされており、第2部材12における下部16に一体に構成されている。
【0041】
この整流部64は、周方向に所定ピッチで設けられて径方向に放射状に延びる案内板66と、円筒部22と同心の環状をなす案内板68とを有しており、そしてそれらによって仕切られた内周側の多数の整流路70Aと、外周側の多数の整流路70Bとを有している。
ここで各整流路70A,70Bは図3,図4に示しているように、主弁26の軸心方向に延びて上端及び下端がそれぞれ流入室50内部に開放されている。
【0042】
この整流部64は次のように作用する。
即ちこのような整流部64が設けられていない場合、流入室50内部に横向きに流入した水の流れは、円筒部22や流入室50の外周壁に当って縦向き且つ上向きの流れとなり、主弁26に作用するが、このとき流入室50内部では急激な水の流れに対する抵抗や流れの向きの変化によって水の流れが強いところと弱いところが生じたりして、水の流れが全体的に不均等となり、従って主弁26に作用する水の流れの勢いも各部で不均等となってしまう。
【0043】
しかるに本実施形態では整流部64が設けてあるため、流入室50における水の流れの不均等化が抑制される。
その結果全周に亘って水の流れが軸心方向の流れに整えられた上で、主弁26に作用せしめられる。
【0044】
この実施形態において、ダイヤフラム弁から成る主弁26の主弁本体30には、円筒部22の内部に嵌入して主弁26の移動時の案内をなす主弁ガイド74が一体に形成されている。
ここで主弁ガイド74は、図4の部分拡大図に示しているように軸方向即ち上下方向に所定肉厚を有する円板状の上部74-1と、中心部から放射状に延びている板状の複数の案内羽根74-2とを有しており、円筒部22への嵌入状態で、上部74-1の外周面と円筒部22の内周面との間に所定の環状隙間を形成する。
【0045】
本実施形態では、図3及び図4に示しているように主弁ガイド74の外周面に環状溝76が形成されていて、そこに図3(ロ)に示すように周方向所定箇所に切れ目78を有する樹脂又は金属製の弾性Cリング(弾性リング)80が装着され、主弁イド74の円筒部22への嵌入時にかかる弾性Cリング80が円筒部22の内周面に弾性嵌合するようになしてある。
即ち、弾性Cリング80の外周面が円筒部22の内周面に対して、主弁26の軸心方向即ち移動方向に摺動可能に円筒部22の内周面に弾性接触するようになしてある。
【0046】
ここで弾性Cリング80は、図4に示す自由形状状態ではその外径が円筒部22の内径よりも僅かに大きい径をなしており、主弁ガイド74が円筒部22内に嵌入したとき、弾性Cリング80がその円筒部22の内周面にて強制的に縮径方向に弾性変形させられる。
即ち主弁ガイド74が円筒部22内に嵌入して、弾性Cリング80が円筒部22の内周面に嵌合したとき、弾性Cリング80は自身の弾性力でその外周面を円筒部22の内周面に対し径方向外向きに弾性的に接触させ、主弁ガイド74の外周面と円筒部22の内周面との間の環状隙間を軸方向に遮断し、シールする。
【0047】
但しこの弾性Cリング80は、周方向所定箇所に切れ目78を有しており、その切れ目78の部分で水の漏れを許容する。
尤もその漏れの量はごく僅かであって、後に述べるように主弁26の閉弁間際(止水間際)或いは開弁開始時(給水開始時)の小流量域において主弁26が傾きを生じることによって起る流量の変化量(但し弾性Cリング78が設けられていない場合の流量変化量)よりも小流量である。
【0048】
尚この弾性Cリング78は、主弁26の閉位置から設定微小距離開いた位置までの移動範囲内で、円筒部22の内周面に弾性接触状態を保つように、主弁ガイド74への組付位置が定めてある。
ここで設定微小距離は、主弁26の傾きがほぼ無くなるまでの移動範囲内で定めることができる。
尚、図3及び図4に示しているように、主弁座24はその断面形状が曲面形状とされていて、内周側の部分が、図4の自由形状状態にある弾性Cリング78を縮径させて円筒部22内に嵌入させる嵌入ガイド82を成している。
【0049】
図7は上記弾性Cリング80の作用を具体的に表している。
先ず図7(I)は止水時の状態を表しており、この状態からパイロット弁35が上昇移動して、シール部42がパイロット弁座38のOリング40から上向きに僅かに離れると(図7(II))、そこに隙間が生じて背圧室32内の水がパイロット水路34を通じて、流出水路20b側に漏出する。このときの漏出量はごく僅かである。
【0050】
図8は、操作部58の回転角とこれに対応した水の流量との関係を表したもので、図中Aが本実施形態における流量の変化を、またBが、上記弾性Cリング80を設けない場合(比較例)の流量の変化をそれぞれ表している。
而して同図中A-1の部分では微小量の水の流出が生じているが、このA-1での水の流出は図7(II)の状態での水の流出量、つまりパイロット水路34からの水の漏出の量を表している。
尚この時点では、主弁26は未だ閉じた状態にある。
【0051】
この状態からパイロット弁35が更に僅かに引き上げられると、主弁26がこれに追従して主弁座24から離れようとする。
このときに主弁26は全周に亘って均等に動作せず、主弁26に作用する水の流れの不均等などによって傾きを生じ易い。
図8中B-2で表す部分は、その主弁26の傾きによって流量が急激に変化した部分である。
【0052】
しかるに本実施形態では、この状態で弾性Cリング80が円筒部22の内周面に弾性接触した状態にあって、主弁ガイド74と円筒部22との間の径方向の隙間を埋めてそれらの間の環状隙間を実質的に軸心方向に遮断し、シールした状態にあるため、このように主弁22が傾きを生じることがあっても急激な流量変化は生じない。
図8中A-2で表した部分は、その主弁22の傾きによって流量が微小に増量変化した状態を表している。ここで微小な流量増加は弾性Cリング80の切れ目78によるものである。
この図中A-2で示しているように、本実施形態では主弁26が傾くことがあっても急激な流量変化は起こらず、その流量の変化は極めて僅かでしかも滑らかなものである。
【0053】
この図7(III)に示す状態から更にパイロット弁35が引き上げられると、これに追従して主弁26が上昇する。
このとき弾性Cリング80は円筒部22から離脱して本来の自由形状に復帰する。そしてこの後の主弁26の上昇量、即ち開弁量に応じて主水路20を流れる水の流量が変化せしめられる。図8中A-3はこのときの流量変化の状態を表している。
尚このときの流量変化は、図8中Bの流量変化曲線におけるB-3とほぼ同様である。即ち弾性Cリングを設けていない場合とほぼ同様である。
【0054】
尚、パイロット弁35を下降させて主弁26をこれに追従して下降移動させ、最大開弁状態から閉弁状態とするまでの動きは上記と逆となる。
このときの主水路20における流量の変化は図8中A-3からA-2、またA-2からA-1への変化となる。
【0055】
かかる本実施形態の流量調節弁にあっては、止水間際或いは給水開始の小流量域では弾性Cリング80による環状隙間の遮断作用によって、主弁ガイド74と円筒部22との間の環状隙間にて形成される流路を実質上閉じた状態に保持するため、その小流量域において主弁26が傾くことがあっても、その傾きによって小流量域で急激な流量変化が生ずるのが回避され、連続的且つ滑らかな流量変化を確保することができる。
【0056】
また弾性Cリング80は、環状溝76内で径方向に弾性変形することができるため、主弁ガイド74と円筒部22との間の環状隙間をシールしつつ、円筒部22の内周面に沿って軸心方向に移動する際に、その外径を円筒部22の内径に沿って変化させつつ、円滑に円筒部22の内周面の形状に追従変形して、同内面を摺動運動することができる。
【0057】
図9は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、弾性リングとして上記弾性Cリング80に代えて、ゴム弾性体からなるOリング84を用いた例である。
但しこのOリング84は、図9(II)に示す自由形状状態で、外径が円筒部22の内径よりも大径をなしており、また環状溝76への装着状態で、その内径が環状溝76の溝底の外径よりもわずかに大径となし、溝底との間に環状の隙間を形成する。
ここでOリング84は、周方向に切れ目の無い連続した円環状をなしている。
この例においても上記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
但しこの実施形態では、弾性リングとしてのOリング84が周方向に切れ目の無い連続した円環状をなしているため、かかるOリング84が円筒部22の内周面に弾性接触した状態において、主弁ガイド74と円筒部22との間の環状隙間にて形成される流路は軸心方向に漏れなく遮断され、シールされた状態となる。
従って図8の流量変化曲線AにおけるA-2の部分は、実質的にA-1の流量レベルと同じ流量レベルで推移することとなる。
【0059】
この実施形態では、Oリング84の内周と環状溝76の溝底との間に隙間が確保されているため、図9(II)の状態からOリング84を円筒部22の内周面に弾性嵌合させたときのOリング84の径方向の変形抵抗が小さく、このためOリング84が円筒部22の内周面に対して主弁26の移動方向、即ち軸方向に摺動する際の摺動抵抗を小さく抑えることができる。
【0060】
図10は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は円筒部22の側に、即ちその内周面に環状溝76を形成して、そこに弾性Cリング80を装着し、かかる弾性Cリング80の内周面を、主弁ガイド74の外周面に弾性的に押し付けて、それらの間の隙間を埋めシールするようになした例である。
【0061】
この例では弾性Cリング80は、自由形状状態で図10(B)に示す形状、即ち内径が主弁ガイド74の外径よりも小径をなし、主弁ガイド74が図中下向きに移動して弾性Cリング80が主弁ガイド74の外周面に弾性嵌合したとき、主弁ガイド74によって径方向外方に弾性的に押し広げられ、その弾性力によって弾性Cリング80の内周面が主弁ガイド74の外周面に径方向内向きに押し付けられて弾性接触する。
尚、ここでは弾性リングとして弾性Cリング80を用いているが、これに代えてOリング84を用いるようにしても良い。但しこの場合においても自由形状状態における内径は、主弁ガイド74の外径よりも小径となしておく。
【0062】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明は図11に示しているようにパイロット弁を主弁のパイロット弁座に対してそれらの移動方向に、即ち軸心方向に押し付けるタイプのパイロット式の流量調節弁に適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態の流量調節弁を止水状態で表した図である。
【図2】同実施形態を開弁状態で表した図である。
【図3】図1の要部を拡大して示した図である。
【図4】図2の要部を拡大して示した図である。
【図5】同実施形態の流量調節作用を示した作用説明図である。
【図6】図5に続く作用説明図である。
【図7】同実施形態の弾性Cリングの作用説明図である。
【図8】同実施形態の流量変化を比較例の流量変化とともに示した図である。
【図9】本発明の他の実施形態の要部を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の要部を示した図である。
【図11】従来の流量調節弁の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0064】
20 主水路
20a 1次側流入水路
20b 2次側流出水路
22 円筒部(筒部)
24 主弁座
26 主弁
32 背圧室
33 導入小孔
34 パイロット水路
35 パイロット弁
74 主弁ガイド
78 切れ目
80 弾性Cリング
84 Oリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)主水路上に設けられて開度を変化させるダイヤフラム弁から成る主弁と、(ロ)筒部の先端部にて構成された環状の主弁座と、(ハ)該主弁に一体移動する状態に設けられ、前記筒部の内部に嵌入して該主弁の移動時の案内をなす主弁ガイドと、を有し、該主弁の開度に応じて流量調節を行なうダイヤフラム式流量調節弁において
可動側である前記主弁ガイドの外周面、又は固定側である前記筒部の内周面に径方向の弾性を有する弾性リングを装着し、
該弾性リングは、前記主弁の閉位置から設定微小距離開いた位置までの移動範囲内で、径方向外向きの弾性力で前記筒部の内周面に、又は径方向内向きの弾性力で前記主弁ガイドの外周面に対して相対摺動可能に弾性接触して、それら主弁ガイドの外周面と筒部の内周面との間の環状隙間を遮断するものとなしてあることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項2】
請求項1において、前記流量調節弁が、(a)前記主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(b)前記主水路における一次側の流入水路の水を該背圧室に導入して該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と、(c)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて、該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と、(d)前記主弁と同方向に進退移動して前記パイロット水路の開度を制御するパイロット弁と、を備え、該パイロット弁の進退移動に追従して前記主弁を進退移動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式の弁であることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングが周方向の所定個所に切れ目を有するCリングであることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項4】
請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングがゴム弾性体から成る、周方向に連続した環状のOリングであることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項1】
(イ)主水路上に設けられて開度を変化させるダイヤフラム弁から成る主弁と、(ロ)筒部の先端部にて構成された環状の主弁座と、(ハ)該主弁に一体移動する状態に設けられ、前記筒部の内部に嵌入して該主弁の移動時の案内をなす主弁ガイドと、を有し、該主弁の開度に応じて流量調節を行なうダイヤフラム式流量調節弁において
可動側である前記主弁ガイドの外周面、又は固定側である前記筒部の内周面に径方向の弾性を有する弾性リングを装着し、
該弾性リングは、前記主弁の閉位置から設定微小距離開いた位置までの移動範囲内で、径方向外向きの弾性力で前記筒部の内周面に、又は径方向内向きの弾性力で前記主弁ガイドの外周面に対して相対摺動可能に弾性接触して、それら主弁ガイドの外周面と筒部の内周面との間の環状隙間を遮断するものとなしてあることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項2】
請求項1において、前記流量調節弁が、(a)前記主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(b)前記主水路における一次側の流入水路の水を該背圧室に導入して該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と、(c)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて、該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と、(d)前記主弁と同方向に進退移動して前記パイロット水路の開度を制御するパイロット弁と、を備え、該パイロット弁の進退移動に追従して前記主弁を進退移動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式の弁であることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングが周方向の所定個所に切れ目を有するCリングであることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【請求項4】
請求項1,2の何れかにおいて、前記弾性リングがゴム弾性体から成る、周方向に連続した環状のOリングであることを特徴とするダイヤフラム式流量調節弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−38981(P2008−38981A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211749(P2006−211749)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]