説明

ダイラタント組成物、その製造方法、振動防止剤及びアンチスキールシム用振動防止剤

【課題】鳴き防止効果とブレーキフィーリングを両立させ、且つ塗布性(生産性)を向上させたダイラタンシー防振性組成物(ダイラタント組成物)を提供する。
【解決手段】無機粒子と、該無機粒子間に保持されたシリコーン媒体とからなり、該シリコーン媒体がケイ素原子にメチル基及び/又はフェニル基が結合した直鎖又は環状のシリコーンオイルであることを特徴とするダイラタント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付与される剪断速度の増加により見かけの粘性率が増加し、静止時にゲル化するダイラタント組成物及びその製造方法に関する。また、制振性に優れた振動防止剤、及びブレーキ鳴き防止効果に優れたアンチスキールシム用振動防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイラタント流体は、付与される剪断速度の増加により見かけの粘性率を増加させるダイラタンシー性を有する流体である。この流体は微粒子とこれら微粒子間に保持された液体とにより構成され、小さい剪断速度の下では見かけの粘性率が低くて高い流動性を示すが、大きな剪断速度の下では見かけの粘性率が高くて低い流動性を示す特性を備えている。
【0003】
かかる現象は、付与される剪断速度の大きさの相違により流体中の微粒子の相対的な配置関係が変化することにより生じるもので、大きな剪断速度の下では、微粒子間に存在する自由空間が増大するため、この自由空間に周囲の液体が吸い込まれる際の一種の負圧作用により微粒子が互いに引き付けられて抵抗が増加し、流体は高粘性を示して流動性を低下させるものと考えられている。
【0004】
ダイラタント流体は、互いに近接して相対移動する2つの物体間に配置されて、これらの両物体間において、剪断速度が大きい場合には高トルクを伝達させ、かつ剪断速度が小さい場合には低トルクを伝達させる手段として、例えばクラッチ、防振装置等における作動流体として利用される。現在、ダイラタント流体としては、ドイツ国BASF社製の商品である「ダイラタール(商標)」が知られている。当該ダイラタント流体は、アクリル酸エステル・スチレン共重合体の微粒子を水に分散させて形成されているものである。
【0005】
ところで、自動車のディスクブレーキのスキルノイズ防止には各種方法が検討されている。その一つとして、発生源からの振動伝達を低減する目的で使われるアンチスキールシム(以下シム)の表面に振動減衰のあるゴムを接着したり、効果を高めるため、シムに粘弾性特性を使ったグリースが塗布される。防振性組成物としては、高粘性基油を使ったグリースや弾性の大きい物質例えば、銅粉などを添加したグリース、さらには、ダイラタンシー流体がクラッチや防振装置に提案されている。
【0006】
従来のアンチスキルシム用グリースの問題点としては、鳴き防止効果の高い高粘度基油の粘弾性特性と減衰特性の高い材料(金属含む)を添加したグリースは、鳴き防止性能は優れるが、塗布時に粘性により糸引きが起こり、生産性が悪化するというものである。また、弾性力が大きいので厚く塗布した方が鳴き防止効果には有利だが、グリースの弾性により、ふわふわ感(スポンジ感)等のブレーキフィーリングが悪化することがあった。又、鉱油をベースに使うとブレーキパッドからの熱により基油が蒸発し、粘弾性効果が低減する場合がある。
【0007】
従来のダイラタンシー流体の問題点としては、防振効果が高いといわれている通常のダイラタンシー流体は、低剪断率の時には液体状になり、付着性が無いため、密閉状態にしないと流れ出す。流出を防止する付着力が無いため、シムに応用できないというものである。
【0008】
ディスクブレーキのスキルノイズは、ブレーキパッドとローター間の振動現象であり、ノイズを防止する方法として、発生源の対策又は、発生した振動経路を絶つ方法があり、以下、後者の課題点を示す。シム用グリースは、振動を内部損失即ち、ダンピング効果で吸収し、振動伝達を低減する目的で使う。ダンピング効果は、高粘度基油の方が効果が高い。また、ダンピング効果を増強する目的で銅粉や鉛粉などの軟質金属を配合したり、グラファイト、ボロンナイトライド(BN)などの固体潤滑剤も使用される場合がある。例えば、市販のPBCグリース(K.S.Paul Product社)は、鉱油をベースにベントナイトで増ちょうし、添加剤として銅、鉛系材料が使われていることが知られている。下記特許文献1では、高粘度シリコーン油をベースにしたグリースにBNを添加することが提案されている。
【0009】
ブレーキ部品で蒸発性の高い鉱油を使うと基油中の軽質成分が蒸発し、やがてグリース自体が硬化することで粘性がなくなり、減衰特性の持続性が短い問題があった。
【0010】
又、高粘度シリコーン油を使うと、蒸発がほとんど無いので持続性では有利であるが、基油の分子量が大きくなることで粘着性が上がり、そのためグリースが糸引きを起こす。製造設備でのグリースノズルからの一定量塗布するときにはみ出して周辺部品を汚したり、規定量塗布できない場合があり、規定量の塗布ができないことによる鳴き防止効果が達成できない若しくは、効果持続寿命が短い問題がある。
【0011】
更に、高粘性だと油膜が厚くなり、弾性体によりブレーキを踏んだ時、ブレーキピストンとパッドが油膜で浮いた状態となり、スポンジ感等のブレーキフィーリング悪化の原因となる可能性がある。
【0012】
従来のダイラタント流体は、密閉容器内で使用することを前提にしているため定常状態では液状である。これを密閉状態ではない隙間に挟み込んであるシムに塗布した場合、付着性が乏しいため、流れ出す恐れがある。流れ出すとブレーキパッドやロータに付着し、最悪ブレーキが利かない恐れがある。
【0013】
【特許文献1】特許第3765558号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ブレーキからの熱影響による漏れを防止し、ブレーキスクイーズノイズの低減とブレーキフィーリングの両立ができ、かつ、塗布時の糸引き性を改善して生産性を向上できるダイラタント組成物及びその製造方法を提供する。即ち、鳴き防止効果とブレーキフィーリングを両立させ、且つ塗布性(生産性)を向上させたダイラタンシー防振性組成物(ダイラタント組成物)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、特定の無機粒子と特定の媒体の組合せによって上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
即ち、第1に、本発明は、ダイラタント組成物の発明であり、無機粒子と、該無機粒子間に保持されたシリコーン媒体とからなり、該シリコーン媒体がケイ素原子にメチル基及び/又はフェニル基が結合した直鎖又は環状のシリコーンオイルであることを特徴とする。
【0017】
本発明において、無機粒子の平均粒径としては0.1μm〜15μmであることが好ましい。
【0018】
本発明のダイラタント組成物には、平均粒径が0.1μm〜15μmの無機粒子が用いられ、該無機粒子は粉砕されたものでも真球状のものも用いられる。通常、真球度が高いほどダイラタンシーを発揮するといわれているだけに、本発明において粉砕された無機粒子が使用出来ることは新たな知見であると言える。
【0019】
本発明のダイラタント組成物に用いられる無機粒子としては特に制限されないが、金属酸化物及び/又は金属窒化物が好ましい。
【0020】
本発明のダイラタント組成物に用いられるシリコーン媒体は、25℃における動粘度が30〜100mm/sであることが好ましい。
【0021】
本発明のダイラタント組成物には、更にグラファイト粉末を添加することが好ましい。
【0022】
本発明のダイラタント組成物が効果的なダイラタンシーを発揮するには、無機粒子100質量部に対してシリコーン媒体を18〜25質量部とすることが好ましい。
【0023】
本発明のダイラタント組成物では、無機粒子を、平均粒径が10μm以上の粒子と平均粒径が1μm以下の粒子の混合物とすることも効果的である。
【0024】
本発明のダイラタント組成物には、更にシリコーンレジン粉末を添加することも効果的である。
【0025】
第2に、本発明は、上記ダイラタント組成物の製造方法の発明であり、前記無機粒子を沸点が100℃以下のハイドロフルオロエーテールに混合、分散させた後、前記シリコーン媒体を混合してスラリー状とし、100℃以上で加熱することを特徴とする。
【0026】
第3に、本発明は、上記のダイラタント組成物からなる振動防止剤である。本発明のダイラタント組成物はそのダイラタンシー性を生かして各種用途に用いられる。その中でも、振動防止剤としての用途に適しており、更に上記のダイラタント組成物からなるアンチスキールシム用振動防止剤に好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明のダイラタント組成物は、鳴き防止効果とブレーキフィーリングを両立させ、且つ塗布性(生産性)が向上しているダイラタンシー防振性組成物である。
【0028】
ブレーキアンチスーキルシムに塗布する時の低せん断時には低粘性グリース状であり、ブレーキ振動が発生している高せん断時に非常に粘性が上がり、部分的には固化するダイラタンシー流体である。ブレーキキャリパのパッド、シムとピストンの間に均一に塗布することでブレーキ振動の伝達が抑えられることで鳴きが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
ダイラタント流体を構成する成分として無機粒子は、真球状だけでなく、不定形の粉砕した金属酸化物でよい。シムとパッド、ピストンとの間で挟まれた時のせん断や化学的、熱的に安定した成分として最適なのはシリカであり、アルミナ、ジルコニアなどの硬質成分ならば良い。粒径は、平均粒径が1〜10μmが良く、あまり細かすぎるとダイラタンシー特性が出にくい。また、大きすぎても粒子が動きににくくなりダイラタンシー特性が出なくなるのと、シム等の摩耗を促進する場合がある。
【0030】
シリコーン媒体は、ブレーキから伝わる150℃以上になる熱に安定な液体である。無機粒子との相溶性の良い物で最適なのは、シリコーンオイルである。パーフロロポリエーテル等のフッ素オイルやポリα−オレフィンオイル、ポリアルキレングリコールオイルなどが添加されても良い。シリコーンオイルの中では、環状又は、直鎖のジメチルシリコーンオイル又は、耐熱性のさらに良いメチルフェニルシリコーンオイルが良い。媒体の粘度は、25℃において、30〜100mm/sが良く、粘度が低すぎると蒸発性が高まり、ダイラタンシー性の持続性が無くなる。粘度が高すぎると、粒子の量を多くすることができなくなり、粘性比が下がることでダイラタンシー特性が出なくなる。
【0031】
無機粒子及びシリコーン媒体の比率は、限定された範囲でのみダイラタンシー特性が出る物質となることが分かった。粒子比率が多いとグリース状にはならず、また、少ないとスラリー状となりダイラタンシー特性が出ない。
【0032】
以下、本発明の実施例を示す。
[実施例1]
無機粒子として電気化学工業製粉砕シリカFS‐3DC(平均粒径3.0μm、粒径分布1〜10μmの混合粉末を100質量部、シリコーン媒体としてジメチルシロキサン(信越化学製KF96‐30CS)22質量部を混合、攪拌してダイラタント組成物を得た。
【0033】
[実施例2]
実施例1の粉砕シリカ100質量部に対し、シリコーン媒体をKF96‐100CSに変更し、22質量部を混合、攪拌してダイラタント組成物を得た。
【0034】
[実施例3−7]
表1に示すように、各主成分を変更して、実施例1と同様にダイラタント組成物を得た。
【0035】
[比較例1]
電気化学工業製粉砕シリカ(FS‐3DC)を100質量部、ジメチルシロキサン(KF96‐30CS)を25質量部を混合、攪拌したが、スラリー状物質となりダイラタント組成物にはならなかった。
【0036】
[比較例2]
電気化学工業製粉砕シリカ(FS‐3DC)を100質量部、ジメチルシロキサン(KF98‐30CS)を18質量部を混合、攪拌したが、混練しても硬い物質となり、ダイラタント組成物とはならなかった。
【0037】
[比較例3]
基油を高粘度シリコーンオイルとし、シリカを増ちょう剤として使ったシム用鳴き防止グリースを作製した。
【0038】
[比較例4]
基油を鉱油として実施例1と同様に組成物を作製した。
【0039】
[特性評価]
上記、実施例1−7と比較例1−4について、25℃にてせん断率(回転数)を変化させた時の見掛け粘度の変化、ブレーキ鳴き防止性、高温蒸発防止特性(150℃×24h)、糸引き性試験の結果を下記表1に示す。
【0040】
また、実施例1,2と比較例1〜3について、25℃にてせん断率(回転数)を変化させた時の見掛け粘度の変化を図1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
図1において、実施例1及び2は、回転数が増加すると、ある回転数から急に粘度が増加する典型的なダイラタンシー特性を示すのに対し、比較例1及び3では、回転数が増加しても粘度増加は認められない。比較例2は、測定が不能であった。
【0043】
表1において、比較例1は、鳴き防止性は認められない。比較例3は、糸引き性があり、ラインでの塗布が困難である。
【0044】
[実施例8]
ジメチルシリコーン油(KF‐96‐30CS、動粘度:30mm/s@25℃)を媒体に使用し、且つ各種無機粒子との配合比を変えて、実施例1と同様に組成物を作製した。下記表2に、配合比と物性を示す。表中、ス:スラリー状、グ:グリース状、ダ:ダイラタンシー、×:混合できず、△:硬いコンパウンド状を夫々示す。なお、表中のCSはセンチストークスのことであり、1mm/s=1cStである。KF‐96は、信越化学工業のジメチルシリコーンオイルの商品名であり、「30CS」は、シリコーン油メーカのグレードで、粘度を表す。「30CS」は、25℃で30mm/sの動粘度である。
【0045】
【表2】

【0046】
[実施例9]
ジメチルシリコーン油(KF‐96‐100CS、動粘度:100mm/s@25℃)を媒体に使用し、且つ各種無機粒子との配合比を変えて、実施例3と同様に組成物を作製した。下記表3に、配合比と物性を示す。表中、ス:スラリー状、グ:グリース状、ダ:ダイラタンシー、×:混合できず、△:硬いコンパウンド状を夫々示す。なお、KF‐96は、信越化学工業のジメチルシリコーンオイルの商品名であり、「100CS」は、シリコーン油メーカのグレードで、粘度を表し、「100CS」は、25℃で100mm/sの動粘度である。
【0047】
【表3】

【0048】
[実施例10]
メチルフェニルシリコーン油(KF‐54、動粘度:400mm/s@25℃)を媒体に使用し、且つ各種無機粒子との配合比を変えて、実施例3と同様に組成物を作製した。下記表4に、配合比と物性を示す。表中、ス:スラリー状、グ:グリース状、ダ:ダイラタンシー、×:混合できず、△:硬いコンパウンド状を夫々示す。なお、KF‐54は、信越化学工業のメチルフェニルシリコーンオイルの商品名で、粘度は400mm/sが商品化されている。
【0049】
【表4】

【0050】
[実施例11]
無機粒子は、粉砕粉の方がその粒子の角で高せん断時の流動性を阻害することからダイラタンシー特性が出やすい。しかし、粒子の経時的変化で初期形状が保てなくなり、ダイラタンシー性が変化する場合がある。その場合、粒子の形状的安定性のある球状粒子も粒子として使用できる。特に真球状シリカを使うと良い。実車鳴き止め効果は、粉砕粉の方が鳴き防止範囲が広いが実用上は問題ない。
【0051】
無機粒子として電気化学工業製球状シリカ(FB‐3SDC:平均粒径3.0μm、粒径分布1〜10μm)を100質量部、シリコーン媒体としてジメチルシロキサン(信越化学製KF96‐30CS)20質量部を混合、攪拌してダイラタント組成物を得た。真球状の場合、粉砕粉よりもシリコーン媒体の量が多いと、スラリー状となり、ダイラタンシー特性が出ない。
【0052】
実施例1、2と同様に回転粘度計によるダイラタンシー特性と実車鳴き止め試験、糸引き性試験に合格し、高温蒸発性特性試験も0.36%となった。また、実車鳴き止め試験を継続した結果、鳴き防止範囲が狭くなる時間が延びた。
【0053】
[実施例12]
実施例1、2に対し、固体潤滑剤として作用するグラファイトを入れることで潤滑特性の付与及び、内部減衰特性の増強ができ、ブレーキ鳴き防止効果が広くなることがわかった。
【0054】
市販されている人造黒鉛微粉末若しくは、天然黒鉛の平均粒径3μmの物、例えば、昭和電工製UF‐G5を実施例1の組成物100質量部に対し、3質量部添加した組成物を実施鳴き止め試験を実施した結果、鳴き防止範囲が広くなった。
【0055】
[実施例13]
実施例1、2の組成物を製造する場合、無機粒子の量が多いため、シリコーン媒体が十分分散できずに混合、攪拌に時間がかかる。通常24時間の混合がかかるが、次の方法で短縮することができた。
【0056】
無機粒子の粉砕シリカFS‐3DC100質量部に対し、ハイドロフルオロエーテル例えば、住友スリーエム製ノベック(HFE7100:沸点61℃)を30質量部混合し、スラリー状物質を得た。粉砕シリカ100質量部に対し、シリコーン媒体としてジメチルシロキサン(KF96‐30CS)を22質量部混合撹拝した後、100℃程度の加熱処理を行い、ハイドロフルオロエテルを蒸発させてダイラタント組成物を得た。該方法により、約10時間の製造時間短縮が可能となる。
【0057】
[実施例14]
無機粒子を、同粒径の集合体よりも10μmの大きい粒子と1μmの細かい粒子を最適配合することにより空隙率を下げることができ、粒子密度が上がるので、粒子の接触抵抗が上がるのでよりダイラタンシー特性が高まる。真球の場合、同一粒径の粉末だとすると、空隙率は26%になるのでその隙間に入る大きさの微粒子を適当な量混合することで空隙率は下がり、流動中の抵抗が増加してダイラタンシー特性が増加する。その最適比率は、10μm粒子:1μm粒子=80:20である。
【0058】
[実施例15]
ダイラタンシー特性を確保しつつ、内部減衰カを高める方法として、無機粒子の他にシリコーンレジンを全量若しくは、一定量混合すると粒子の剛性を下げることができる。剛性が下がると振動が入ったときの内部損失量が大きくなり、ブレーキ鳴きが低減できる。
【0059】
[実施例16]
無機粒子とシリコーン媒体の密度を近づけると混合物の分離がしにくくなる。特にブレーキ熱がかかったときにシリコーン媒体の方が密度が低いので流失を防止することができる。この目的で、密度を近づけるべく中空化した無機粒子を使用する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のダイラタント組成物はそのダイラタンシー性を生かして各種用途に用いられる。その中でも、振動防止剤としての用途に適しており、更に上記のダイラタント組成物からなるアンチスキームシム用振動防止剤に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】せん断率(回転数)を変化させた時の見掛け粘度の変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子と、該無機粒子間に保持されたシリコーン媒体とからなり、該シリコーン媒体がケイ素原子にメチル基及び/又はフェニル基が結合した直鎖又は環状のシリコーンオイルであることを特徴とするダイラタント組成物。
【請求項2】
前記無機粒子の平均粒径が0.1μm〜15μmであり、該シリコーン媒体がケイ素原子にメチル基及び/又はフェニル基が結合した直鎖又は環状のシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載のダイラタント組成物。
【請求項3】
前記無機粒子が、粉砕された及び/又は真球状であることを特徴とする請求項1または2に記載のダイラタント組成物。
【請求項4】
前記無機粒子が、金属酸化物及び/又は金属窒化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイラタント組成物。
【請求項5】
前記シリコーン媒体の25℃における動粘度が30〜100mm/sであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のダイラタント組成物。
【請求項6】
更にグラファイト粉末を添加したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のダイラタント組成物。
【請求項7】
無機粒子100質量部に対してシリコーン媒体を18〜25質量部とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のダイラタント組成物。
【請求項8】
無機粒子を、平均粒径が10μm以上の粒子と平均粒径が1μm以下の粒子の混合物とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のダイラタント組成物。
【請求項9】
更にシリコーンレジン粉末を添加したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のダイラタント組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のダイラタント組成物の製造方法において、前記無機粒子を沸点が100℃以下のハイドロフルオロエーテールに混合、分散させた後、前記シリコーン媒体を混合してスラリー状とし、100℃以上で加熱することを特徴とするダイラタント組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載のダイラタント組成物からなる振動防止剤。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれかに記載のダイラタント組成物からなるアンチスキールシム用振動防止剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−24420(P2010−24420A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191371(P2008−191371)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】