説明

ダイレクトパートマークスキャナの性能を改善する方法および装置

処理ユニットと、光学モジュールと、拡張されたダイナミックレンジを有するイメージングセンサとを使用して、ダイレクトパートマークデータフォームデコーディングを改善する方法および装置。スキャナはデータを捕獲して、分析のために拡張されたダイナミックレンジ画像を取得する。一実施形態において、センサはピクセルあたり8ビットよりも多くに対する感度があり、他の実施形態において、複数の露光が用いられる。さらに代替の実施形態において、スキャナは、照明モジュールによって放出された光を通過させる通過帯域フィルタを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトパートマーク(Direct Part Mark)(DPM)スキャナに向けられ、より具体的には、フィルタおよび拡張されたダイナミックレンジ画像を使用してスキャナの性能を改善することに向けられる。
【背景技術】
【0002】
統一商品コード(Universal Product Code)(UPC)および/または欧州商品コード(European Article Numbers)(EAN)などの、視覚的形態で数値情報および他の情報をエンコードする多数の規格がある。これらの数値コードは、企業が、製品および製造を識別し、膨大な在庫を保守し、同様のシステムおよび多くの他の機能のもとで広く種々の対象を管理することを可能にする。製品のUPCおよび/またはEANは印刷され、ラベリングされ、エッチングされ、さもなければデータフォーム(dataform)として製品に取り付けられる。
【0003】
データフォームは、視覚的形態で数値情報および他の情報をエンコードする任意のしるし(indicia)である。たとえば、ダイレクトパートマーキング(DPM)は、識別のために対象を永久にマークする重要な方法である。たとえば、自動車業界および航空業界は、彼らの製品を識別するためにDPMデータフォームを使用することを決定した。DPMにおいて、対象の表面が、たとえばバーコード、二次元コードなどのデータフォームを含むように変更される。マーキングの一つの例示的な方法は、ドットピーニング(dot−peening)であり、対象の表面が、たとえば針(stylus)などのピーニングデバイスによって衝撃を加えられる。各衝撃は「クレータ」を生成し、クレータの集合は、データマトリックス(DataMatrix)などのデータフォームを表すパターンを形成するために使用され得る。クレータはまた、ピーニングプロセスの間に転置された材料によって生成される周縁の周りに、わずかに盛り上がった縁を有し得る。表面プロフィール変更を生成する他の方法は、レーザエッチング、化学エッチング、および電気化学的エッチングを含む。
【0004】
図1は、ドットピーンされたデータフォーム102を図示する。円は、対象の表面上のクレータを表す。クレータは、情報を表すアレイに配置される。データフォーム102は、製造、UPC、製造の時間、日付、場所などに関する情報を含み得る。この情報は、在庫、説明責任(accountability)、識別、リコールなどのために使用され得る。
【0005】
一部のDPMアプリケーションにおいて、対象の表面とデータフォームとの間に、マーキングの場所における本来備わっているべきコントラストがない。したがって、DPMスキャニングデバイスは、対象の表面上のハイライトおよび/または影の生成を使用することによって、データフォームを適切に検出する。データフォームを検出する2つの方法は、明視野照明および暗視野照明を使用することである。残念ながら、DPMデータフォームは、低い本来のコントラスト、鏡面反射、大きなバックグラウンド変化、周辺光、および他の要因のために、読み取ることが困難である。
【0006】
鏡面反射は、自ら照明するスキャナが、たとえば金属表面などの反射表面上でデータフォームを照明するときに生ずる。スキャナからの光は、金属表面で反射して、スキャナのカメラに戻る。事実上、スキャナは鏡面反射によって見えなくされる(blinded)。一般的に使用されているセンサは、反射の周辺の情報を捕獲するのに十分なダイナミックレンジを有しない。さらに、周辺光は、特にデータフォームの表面が反射性のものであるときに、スキャナによって提供されるアクティブ照明または自らの照明に干渉し得る。
【0007】
したがって、スキャナによって捕獲されるデータフォーム画像の質を向上し得、ゆえにスキャナの性能を改善し得る、改善されたDPMスキャナに対するニーズがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本発明の概要)
本明細書中に説明されてクレームされる本発明は、このニーズおよび他のニーズを満たし、そのことは本明細書中の教示から明らかである。
【0009】
本発明に従って実現される、データを捕獲する方法は、スキャナに結合された照明媒体を使用してデータフォームを照明することと、各露光について異なるダイナミックレンジを使用してデータフォームの複数の露光を捕獲することと、捕獲された露光のうちの少なくとも2つを組み合わせることによって拡張されたダイナミックレンジを有する画像を取得することと、組み合わされた画像を分析することとを含む。
【0010】
本発明に従って実現されるダイレクトパートマークスキャナの実施形態は、処理ユニットと、光学モジュールと、拡張されたダイナミックレンジを有するイメージングセンサとを含む。ダイレクトパートマークスキャナは、データを捕獲して、分析のために、拡張されたダイナミックレンジ画像を取得する。一部の実施形態において、スキャナのイメージングセンサは、ピクセルあたり8ビットよりも大きなデータ捕獲レベルを備えるが、他の実施形態において、イメージングセンサは複数の露光を使用して、拡張されたダイナミックレンジを有する画像を取得する。複数の露光はまた、ピクセルあたり8ビットよりも大きなデータ捕獲レベルを有するセンサを用いて撮影され得る。
【0011】
別の実施形態において、ダイレクトパートマークスキャナは、照明媒体と通過帯域フィルタとをさらに備える。照明媒体は近赤外線照明を放出し得、通過帯域フィルタは近赤外線照明を通過させる。通過帯域フィルタは、スキャナの光学モジュールの正面または背後に位置し得る。
【0012】
本発明の他の対象および特徴は、添付の図面と関連して考慮して、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、図面は説明の目的のためのみに設計されるものであり、本発明の限界の規定として設計されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面は縮尺通りではなく、単に説明的なものであり、いくつかの図の全体にわたって同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0014】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
ここで、添付の図面に関して、DPMスキャナの性能を改善する方法および装置のいくつかの例示的な実施形態が示され、説明される。
【0015】
本発明の例示的な実施形態において、スキャナ性能は、スキャナによって捕獲される画像の質を改善することによって向上させられる。よりクリーンな画像ほどデコードしやすく、したがって、改善された画像捕獲は、改善されたスキャナ性能につながる。さらに、スキャナが改善された画像を捕獲する場合には、より集約的(inteisive)でなく、より速いデコーディングアルゴリズムが使用され得ることによって、スキャナの動作速度を向上させる。
【0016】
照明媒体からの光がDPM対象の表面から反射し、カメラを「見えなくさせる」ときに、鏡面反射が発生し、たとえば、捕獲された画像は明るいスポットを有し得、その場合、データフォーム情報が分析され得ない。捕獲された画像のダイナミックレンジを拡張することは、鏡面反射の影響を低減する画像をスキャナが捕獲することを可能にし、捕獲された画像のうちのより多くのものをスキャナが分析することを可能にする。本発明に従って実現される、データを捕獲する例示的な方法および装置は、DPMスキャナのイメージングセンサを用いて、拡張されたダイナミックレンジを達成することを含む。拡張されたダイナミックレンジを達成する一つの方法は、異なる露光設定において撮影された2つの画像を組み合わせることである。別の方法は、ピクセルあたり8ビットよりも大きなデータ捕獲能力を有するセンサを使用することである。
【0017】
代替の実施形態において、DPMスキャナの性能は、レンズ経路に狭帯域光フィルタを追加して、センサによって収集される周辺光の量を制限することによって、改善され得る。フィルタの通過帯域は、スキャナの照明源の波長と合わせられる。干渉効果を利用するフィルタが使用されるときには、通過帯域をわずかに広くすることが実現され得、入力光が異なる角度でフィルタを通過するのを可能にする。周辺光は一般的に広いスペクトルであるので、フィルタは周辺光のほとんどを遮断する。さらに、照明源は可視または近赤外線であり得る。近赤外線の照明を使用することは、周辺光の影響をさらに低減する。なぜなら、たとえば蛍光灯および一定のLED照明などの一定の種類の周辺光には近赤外線がほとんどないからである。本発明に従って実現されるスキャナは、近赤外線照明媒体および通過帯域フィルタと組み合わせて、拡張されたダイナミックレンジを有する画像を使用し得る。
【0018】
図2を参照して、本発明に従って実現されるデータ捕獲モジュール100を備えるデバイス101の例示的なブロック図が示される。デバイス101は、例示的な実施形態において、固定スキャナ、ハンドヘルドスキャナ、モバイルコンピュータなどであり得る。データ収集モジュール100は、一つの非制限的で例示的な実施形態において、DPMスキャナモジュール100であり得る。DPMスキャナモジュール100は、デバイス101の中に統合され得る。さらに、データ捕獲モジュール100はデバイス101の中にあるように図示されているが、代替の実施形態において、データ捕獲モジュール100は、有線または無線でデバイス101に結合される別個のモジュールであり得る。たとえば、一実施形態において、データ捕獲モジュール100は、コンピュータ101に結合されるコンバーチブル(convertible)固定/ハンドヘルドスキャンガンであり得る。
【0019】
DPMスキャナモジュール100は、処理ユニット105と、スキャンモジュール115と、メモリ120と、通信インタフェース110と、照明モジュール140とを備え、それらはバス125によってともに結合される。データ捕獲モジュール100のモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ハードウェアをエミュレートするソフトウェア、および再プログラム可能ハードウェアのうちの任意の組み合わせとして実現され得る。バス125は、本発明の異なるモジュールの相互運用性を示す例示的なバスである。設計選択の問題として、2つ以上のバスがあり得、一部の実施形態において、一定のモジュールは、バス125に結合されずに、直接的に結合され得る。
【0020】
処理ユニット105は、例示的な実施形態において、一つ以上の中央処理ユニット(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field−Programmable Gate Array)(FPGA)などとして実現され得る。実施形態において、処理ユニット105は、メモリ120に格納されたソフトウェアおよび未加工の画像データを処理する汎用CPUを備え得る。他の実施形態において、処理ユニット105のモジュールは、たとえば信号処理、インタフェースエミュレーションなどの機能を実行するように、処理ユニット105のメモリ内で前もってプログラムされ(preprogrammed)得る。代替の実施形態において、処理ユニット105の一つ以上のモジュールは、たとえばメモリ120から異なるプロセスでロードされ得、かつ複数の機能を実行し得る、FPGAとして実現され得る。処理ユニット105は、上述のプロセッサの任意の組み合わせを備え得る。
【0021】
照明モジュール140は、一つの非限定的で例示的な実施形態において、一つ以上の発光ダイオード(LED)として実現され得る。他の照明媒体が、代替の実施形態において使用され得る。たとえば、一部の実施形態において、照明媒体140は近赤外線照明源であり得る。
【0022】
スキャンモジュール115は、一つの例示的な実施形態において、光学モジュール130と、フィルタリングモジュール132と、センサモジュール135と、ターゲティング(targeting)モジュール142とを備えるカメラ115として実現され得る。光学モジュール130は、たとえばカメラ115のレンズ130であり得る。一部の実施形態において、光学モジュール130は、2つ以上のレンズからなり得、および/または2つ以上の焦点を提供し得る。さらに、光学モジュール130はレンズに限定されず、画像の捕獲に適切なプリズムおよび/または他の光学媒体が使用されることによって、光学モジュール130を実現し得る。フィルタリングモジュール132は、照明媒体140と整合する光の波長を通過させる帯域通過フィルタとして実現され得る。
【0023】
センサモジュール135は、一つの例示的な実施形態において、電荷結合デバイス(Charged−Coupled Device)(CCD)として実現され得る。CCD135は、処理のために画像をデジタル形式で記録する。代替の実施形態において、たとえばCMOS半導体センサなどの、画像を捕獲する任意のセンサが使用されることによって、センサモジュール135を実現し得る。本発明の一部の実施形態において、センサは、ピクセルあたり8ビットよりも大きなデータ捕獲能力を有する。
【0024】
本発明の一部の実施形態は、ターゲティングモジュール142を備え得る。ターゲティングモジュール142は、一つまたは複数の光源(たとえば画像スキャナ100の視界に近いターゲットを投射するレーザ)を備える。ターゲットは、ユーザがデータフォームをスキャナの視界内に配置することを補助し得る、十字線、四角、円、または任意の他の図柄として、対象の上に現れる。
【0025】
メモリ120は、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、および/またはフラッシュメモリなどの、揮発性メモリ、非揮発性メモリ、および書き換え型メモリとして実現され得る。メモリ120は、信号処理方法150、電力管理方法155、およびインタフェース方法160などの、画像スキャナ100を操作するために使用される方法およびプロセスを格納する。メモリ120は、未加工の画像データおよび/または処理された画像データを格納するためにも使用され得る。
【0026】
スキャニング動作が開始されるとき、たとえばトリガが押し下げられるときに、スキャナ100はデータ捕獲方法145を開始する。データ捕獲方法145の例示的な実施形態は、図5を参照して以下に説明される。データ捕獲方法145の間に、スキャンモジュール115はスキャナ100の視界の範囲内の画像を捕獲し、画像は信号処理方法150によって分析およびデコードされる。
【0027】
電力管理方法155は、DPMスキャナモジュール100によって使用される電力を管理する。一部の実施形態において、スキャナモジュール100は、所与の量の時間にわたってアクティビティが検出されないときに、省電力モードに切り替わり得る。省電力モードは、スキャナ100を完全に活動停止し得るか、あるいは他の省電力技術を開始し得る。
【0028】
データ収集モジュール100は、種々の言語で通信する異なるデバイス101に対するモジュールとして実現され得る。したがって、データ収集モジュール100は、デコードされたデータフォームを、データ収集モジュール100とインタフェースするデバイス101の言語に変換する、インタフェース方法160を備える。異なるインタフェースは、汎用シリアルバス(USB)、スキャナエミュレーション、IBMキーボードウェッジ(keyboard wedge)、シンボルシリアルインタフェース(Symbol Serial Interface)(SSI)などを含む。通信は通信インタフェース110を介して実行される。
【0029】
図2の例示的な実施形態は、データ収集方法145、信号処理方法150、インタフェース方法160、および電力管理方法155を、別個のコンポーネントとして図示するが、これらの方法はこの構成に限定されない。本明細書に記載される各方法は、全体的または部分的に、別個のコンポーネントであり得るか、あるいは相互運用して動作を共有し得る。さらに、方法はメモリ120で説明されるが、代替の実施形態において、方法は、処理ユニット105のメモリ内に永久的または動的に組み込まれ得る。一部の実施形態において、スキャナモジュール115は、データ捕獲モジュール100から分離され得、データ捕獲モジュール100は、汎用コンピュータおよびソフトウェアを使用して実現され得る。
【0030】
メモリ120は、図2において単一のモジュールとして図示されるが、一部の実施形態において、画像スキャナ100は2つ以上のメモリモジュールを備え得る。たとえば、上述の方法は、別個のメモリモジュール内に格納され得る。
【0031】
図3は、本発明に従って実現されるデータ捕獲モジュール300の例示的な実施形態を図示する。データ捕獲モジュール300はDPMスキャナモジュール300として実現され得、スキャンモジュール115はカメラ115として実現され得、照明モジュール140はLED140、140’として実現され得る。図1のデータ捕獲モジュール100のように、データ捕獲モジュール300は、メモリ120と、処理ユニット105と、通信インタフェース110とを、追加的に備える。
【0032】
スキャンモジュール115および照明モジュール140の例示的な方向づけが、図3に図示される。データ捕獲モジュール300の一方の側390は、モジュール300の正面であり、スキャニングの際にターゲットデータフォームに面する。LED140、140’は、データ捕獲モジュール300の正面に面する側390の上に露光され、射出窓385の両側に位置する。通過帯域フィルタ390は、窓385の背後に位置する。通過帯域フィルタは、LED140、140’によって放出される光の波長を通過させるように設計される。周辺光は主として広いスペクトルであるので、フィルタは周辺光のほとんどを遮断し、データフォームのよりクリーンな画像が得られる。
【0033】
カメラ115は、フィルタ390の後に位置する。カメラ115は、レンズ130とセンサ135とを備える。センサ135は、拡張されたダイナミックレンジセンサまたは8ビットセンサであり得る。いずれの場合にも、カメラは、異なる露光設定においてデータフォームの複数の画像を撮影し、かつ複数の画像から拡張されたダイナミックレンジを有する一つの画像を取得するようにプログラムされ得る。さらに、一部の実施形態において、射出窓385はフィルタ390によって置き換えられ得る。
【0034】
図4は、本発明に従って実現されるデータ捕獲モジュール400の別の実施形態を図示する。データ捕獲モジュール400は、DPMスキャナモジュール400として実現され得る。DPMスキャナモジュール400は、この実施形態において通過帯域フィルタ390がレンズ130の背後に位置することを除いて、図3のDPMスキャナ300と同じ要素を備える。代替の実施形態において、カメラ115はデータ捕獲モジュール400の外縁に配置され得、その結果、レンズ130が窓385に置き換わる。
【0035】
図5は、データフォームをスキャンする方法500の例示的な実施形態を図示する。方法500の説明において、DPMスキャナ100への参照がなされる。本明細書に記載される方法500および他の方法のステップは例示的であり、ステップの順序は設計選択の問題として並べ替えられ得る。データ捕獲方法500は、ステップ505に始まる。例示的な実施形態において、DPMスキャナ100および/またはデバイス101が電力を受け取るとき、および/またはスキャナ上のトリガまたはボタンが押されるときに、方法500は開始する。デバイス101および/またはDPMスキャナ100は、動作に先だって診断を実行し得る。
【0036】
処理はステップ505からステップ510へと進み、そこでスキャナ100がターゲットデータフォームを照明する。照明はたとえば0.4μm〜0.7μmの波長を有して可視であり得、あるいは照明はたとえば0.7μm〜1.2μmの波長を有する近赤外線であり得る。照明源と、近赤外線を通過させるように設計された整合性のある帯域通過フィルタとの組み合わせは、捕獲されるデータフォームに周辺光がもたらす負の影響を低減し得る。
【0037】
処理はステップ510からステップ515へと進み、そこでスキャナ100はターゲットデータフォームの一つ以上の表現(たとえばデジタル画像)を捕獲する。前述のように、拡張されたダイナミックレンジは、より高いダイナミックレンジを有するセンサを使用することによって、または異なる露光設定で一つ以上の画像を組み合わせることによって、達成され得る。
【0038】
ステップ515に続いて、ステップ520において、取得された画像は分析され、ターゲットデータフォームはデコードされる。ステップ545において、デコーディングアルゴリズムが成功した場合には、処理はステップ555へ進み、そこでデコードされたデータがさらに処理される。たとえば、データは、デバイス101が解釈し得る言語に変換され得る。たとえば、画像スキャナ100がUSB接続を介してコンピュータに接続されている場合には、デコードされたデータフォームは、ステップ555においてシリアル形式に変換され、通信インタフェース110を介してデバイス101に通信される。ステップ555に続いて、方法500の処理はステップ560に進み、そこで方法500はステップ505に戻り、DPMスキャナ100は別のデータフォームを処理する準備ができる。
【0039】
ステップ545に戻り、スキャナ100がターゲットデータフォームを首尾良くデコードしない場合には、処理はステップ550に進む。一部の実施形態において、DPMスキャナ100は何もせず、ステップ560においてステップ505に戻るが、他の実施形態において、スキャナ100は、失敗信号を通信インタフェース110に送信し得、および/または聞き取れる失敗インジケータをスキャナ100の操作者に対して放出し得る。デバイス101は、失敗信号を認識して、聞き取れる音および/または画面上のメッセージによって、操作者に失敗を警告するようにプログラムされ得る。さらに、スキャナ100および/またはデバイス101は、操作者に対して、再試行し、データフォームをスキャナ100に対して持ち上げること、および/またはスキャナおよび/または対象を異なる方向に動かすことを指示し得る。
【0040】
ステップ550に戻り、代替の実施形態において、失敗したデコーディングの試みに応答して、スキャナ100は、ステップ560においてステップ510に戻り、データフォームを再びデコードすることを試みる。スキャナ100は、停止する前に所定の回数を試み得る。
【0041】
本発明の実施形態は、ドットピーンされたデータフォームについて説明されたが、本発明はエッチングなどの他のDPM技術によって作成されたデータフォームに使用され得る。
【0042】
本発明の基礎的で新規な特徴が、その好ましい実施形態に適用されるものとして示され説明され、指摘されたが、本発明の精神から逸脱することなく、開示された本発明の形態および詳細に種々の省略および置換および変更が当業者によってなされ得ることが理解される。したがって、本明細書に添付の特許請求の範囲によって示される限りにおいて限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、例示的なDPMデータフォームを図示する。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従って実現される例示的なデータ捕獲モジュールを図示する。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従って実現されるデータ捕獲モジュールの例示的な方向づけを図示する。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態に従って実現されるスキャンモジュールの別の実施形態を図示する。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従って実現される例示的なデータ捕獲方法を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャンする方法であって、
スキャナに結合された照明媒体を使用して対象を照明することと、
該対象の複数の露光を捕獲することであって、各露光は異なるダイナミックレンジを含む、露光を捕獲することと、
該捕獲された露光のうちの少なくとも2つを組み合わせて、拡張されたダイナミックレンジを有する画像を取得することと、
該組み合わされた画像を分析することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記対象は、データフォームであるデータフォームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スキャナは、
処理ユニットと、
光学モジュールと、
イメージングセンサと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スキャナは、
照明媒体と、
該照明媒体の波長と著しく重複する通過帯域を有する帯域通過フィルタと
をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記帯域通過フィルタは、前記光学モジュールの正面に位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記帯域通過フィルタは、前記光学モジュールの背後に位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記照明媒体は、近赤外線照明を放出し、前記帯域通過フィルタは、該近赤外線照明を通過させる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記帯域通過フィルタは、前記近赤外線照明を超える波長を透過させるようにわずかに広げられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ダイレクトパートマークスキャナであって、
処理ユニットと、
光学モジュールと、
拡張されたダイナミックレンジを有するイメージングセンサと
を備え、該ダイレクトパートマークスキャナは、少なくとも一つの画像を捕獲することによって、拡張されたダイナミックレンジを取得する、ダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項10】
前記イメージングセンサは、ピクセルあたり8ビットよりも大きなデータ捕獲レベルを備える、請求項9に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項11】
前記イメージングセンサは、複数の露光を使用することによって、拡張されたダイナミックレンジを有する画像を取得する、請求項9に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項12】
照明媒体と、
該照明媒体の波長と著しく重複する通過帯域を有する帯域通過フィルタと
をさらに備える、請求項9に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項13】
前記帯域通過フィルタは、前記光学モジュールの正面に位置する、請求項12に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項14】
前記帯域通過フィルタは、前記光学モジュールの背後に位置する、請求項12に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項15】
前記照明媒体は、近赤外線照明を放出し、前記帯域通過フィルタは、該近赤外線照明を通過させる、請求項12に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項16】
前記帯域通過フィルタは、前記近赤外線照明を超える波長を透過させるようにわずかに広げられる、請求項15に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項17】
ダイレクトパートマークスキャナであって、
処理ユニットと、
光学モジュールと、
イメージングセンサと、
照明媒体であって、該照明媒体は近赤外線照明を放出する、照明媒体と、
帯域通過フィルタであって、該帯域通過フィルタは該近赤外線照明を通過させる、帯域通過フィルタと
を備える、ダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項18】
前記イメージングセンサは、ピクセルあたり8ビットよりも大きなデータ捕獲レベルを備える拡張されたダイナミックレンジセンサであり、前記ダイレクトパートマークスキャナは、少なくとも一つの画像を捕獲することによって、拡張されたダイナミックレンジを取得する、請求項17に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項19】
前記帯域通過フィルタは、前記近赤外線照明を超える波長を透過させるようにわずかに広げられる、請求項17に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項20】
前記帯域通過フィルタは、前記光学モジュールの正面に位置する、請求項17に記載のダイレクトパートマークスキャナ。
【請求項21】
前記帯域通過フィルタは、前記光学モジュールの背後に位置する、請求項17に記載のダイレクトパートマークスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−525911(P2008−525911A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549397(P2007−549397)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/044004
【国際公開番号】WO2006/071467
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(506144101)シンボル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】