説明

ダウンリンク参照信号の送受信方法

単一ユーザモードまたは多重ユーザモードで効率的にダウンリンク参照信号を送受信する方法が開示される。2以上のレイヤーを用いてダウンリンクデータ復調用の参照信号(DMRS)を伝送する場合、各レイヤーのDMRSをコード分割多重化(CDM)方式で多重化して伝送することができる。2以上のレイヤーのそれぞれのDMRSは、一つのユーザ機器(UE)のためのものであってもよく、2以上のUEのためのものであってもよい。このようなDMRS送受信のためのダウンリンク制御信号は、単一ユーザモード(SU−MIMO)/多重ユーザモード(MU−MIMO)によらず、同一のフォーマットにして用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、移動通信技術に係り、特に、データ復調のためのダウンリンク参照信号を、単一ユーザモードまたは多重ユーザモードにおいて効率的に送受信する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいて、ユーザ機器(User Equipment;UE)は基地局からダウンリンク(Downlink)を通じて情報を受信することができ、また、UEは、アップリンク(Uplink)を通じて情報を伝送することができる。UEの伝送または受信する情報には、データ及び様々な制御情報があり、UEの伝送または受信する情報の種類や用途によって様々な物理チャネルが存在する。
【0003】
図1は、移動通信システムの一例である3GPP(3rd Generation Partnership Project)LTE(Long Term Evolution)システムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いる一般的な信号伝送方法を説明するための図である。
【0004】
電源の消えた状態で再び電源が入ったり、新しくセルに進入したりしたUEは、段階S101で基地局と同期を合わせる等の初期セル探索(Initial cell search)作業を行う。このために、UEは基地局から主同期チャネル(P−SCH:Primary Synchronization Channel)及び副同期チャネル(S−SCH:Secondary Synchronization Channel)を受信して基地局と同期を合わせ、セルIDなどの情報を獲得することができる。その後、UEは基地局から物理放送チャネル(Physical Broadcast Channel)を受信してセル内の放送情報を獲得することができる。一方、UEは、初期セル探索段階でダウンリンク参照信号(Downlink Reference Signal:DLRS)を受信してダウンリンクチャネル状態を確認することができる。
【0005】
初期セル探索を終えたUEは、段階S102で物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)及び該物理ダウンリンク制御チャネル情報に応じた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)を受信してより具体的なシステム情報を獲得することができる。
【0006】
一方、基地局との接続を完了していないUEは、基地局への接続を完了するために、以降の段階S103乃至段階S106のようなランダムアクセス手順(Random Access Procedure)を行うことができる。このために、UEは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)を通じて特徴シーケンスをプリアンブル(preamble)として伝送し(S103)、物理ダウンリンク制御チャネル及びこれに対応する物理ダウンリンク共有チャネルを通じてランダムアクセスに対する応答メッセージを受信することができる(S104)。ハンドオーバー(Handover)の場合を除く競合ベースのランダムアクセスの場合、以降、追加的な物理ランダムアクセスチャネルの伝送(S105)及び物理ダウンリンク制御チャネル及びこれに対応する物理ダウンリンク共有チャネルの受信(S106)のような衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)を行うことができる。
【0007】
上記のような手順を行ったUEは、以降、一般的なアップリンク/ダウンリンク信号伝送手順として、物理ダウンリンク制御チャネル/物理ダウンリンク共有チャネルの受信(S107)及び物理アップリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)/物理アップリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)の伝送(S108)を行うことができる。
【0008】
図2は、基地局がダウンリンク信号を伝送するための信号処理手順を説明するための図である。
【0009】
3GPP LTEシステムにおいて、基地局は、ダウンリンクで一つ以上のコードワード(CodeWord)を伝送することができる。一つ以上のコードワードはそれぞれ、スクランブリングモジュール301及び変調マッパー302を通じて複素シンボルとされることができる。続いて、複素シンボルは、レイヤーマッパー303により複数のレイヤー(Layer)にマッピングされ、各レイヤーは、プリコーディングモジュール304でチャネル状態に応じて選択された所定プリコーディング行列とかけられて、各伝送アンテナに割り当てられることができる。このように処理された各アンテナ別伝送信号はそれぞれ、リソース要素マッパー305により、伝送に用いられる時間−周波数リソース要素にマッピングされ、以降、OFDM信号生成器306を経て各アンテナから伝送されることができる。
【0010】
以下では、3GPP LTEシステムで用いられるダウンリンク参照信号について説明する。
【0011】
3GPP LTEシステムは、論理的アンテナポートとして0乃至5番のアンテナを利用することができる。ここで、アンテナポートの区別は物理的な区別ではなく、よって、各論理アンテナインデックスを実際にいずれの物理アンテナインデックスにマッピングするかは、各メーカー別に具現する問題に該当する。
【0012】
3GPP LTEシステムにおいて、ダウンリンク参照信号には、(MBSFN伝送と関連していない)セル特定参照信号(Cell−specific reference signals)、MBSFN伝送と関連しているMBSFN参照信号及びUE特定参照信号(UE−specific reference signals)のような3通りの参照信号が利用されている。
【0013】
セル特定参照信号は、各セル別のセルIDを初期値として生成されたシーケンスを用いた参照信号で、セル特定参照信号の伝送には、アンテナポート0乃至3番を用いることができる。また、MBSFN参照信号は、MBSFN伝送に対するダウンリンクチャネル情報の獲得のために用いられ、アンテナポート4を通じて伝送される参照信号である。
【0014】
一方、3GPP LTEシステムにおいて、UE特定参照信号は、PDSCHの単一アンテナポート伝送に対して支援されるもので、アンテナポート5を通しで伝送することができる。UEは、上位層(MAC層以上)から、このようなユーザ特定参照信号が存在してPDSCH復調(demodulation)に用いられうるか否かを、受信することができる。
【0015】
図3は、3GPP LTEシステムにおいて、一般の巡回プレフィックス部を用いる場合、ユーザ特定参照信号が時間−周波数リソース領域にマッピングされて伝送される例を説明するための図である。
【0016】
図3において、横軸は時間領域を、縦軸は周波数領域を示す。図3に示す時間−周波数領域において、最も小さい四角形の領域は、時間領域に1個のOFDMシンボル、周波数領域に1サブキャリアに対応する領域を指す。3GPP LTEシステムにおいて、一般の巡回プレフィックス部(normal CP)を用いる場合、1スロット(slot)は7個のOFDMシンボルを含み、1サブフレームは2スロットを含むようになる。
【0017】
図3は、アンテナポート5を通じて伝送されるUE特定参照信号が、偶数スロットと奇数スロットにわたって時間−周波数領域にマッピングされて伝送されるパターンを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
一方、3GPP LTEの進化モデルである3GPP LTE−A(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution−Advanced)では、上述のような3GPP LTEシステムにおけるユーザ特定参照信号を、2以上のレイヤーを用いて伝送するように拡張する方案について議論している。そのため、既存PDSCHの単一アンテナ伝送にのみ支援されていたユーザ特定参照信号を、2以上のレイヤーを通じて伝送するための具体的な方案についての議論が必要である。例えば、2以上のレイヤーを通じて伝送されるユーザ特定ダウンリンク参照信号を用いて単一ユーザ伝送モード/多重ユーザ伝送モードを效率的に支援する方法、2以上のレイヤーを通じて伝送される2以上のユーザ特定ダウンリンク参照信号を如何に多重化して伝送するか等に関する研究が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するための本発明の一様態では、基地局が2以上のレイヤー(Layer)を用いてダウンリンク参照信号を伝送する方法において、
ダウンリンクデータ信号の復調のために、前記2以上のレイヤーのそれぞれを用いて伝送される2以上のダウンリンク参照信号を、所定の時間−周波数領域にコード分割多重化(CDM)方式で多重化して、一つ以上のユーザ機器に単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードで伝送し、
前記一つ以上のユーザ機器のそれぞれに対するダウンリンク伝送方式を表すダウンリンク制御信号を、前記一つ以上のユーザ機器に伝送すること、
を含み、
前記ダウンリンク制御信号は、前記一つ以上のユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送が前記単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードに従うか否かによらず、同一のフォーマットを有する、ダウンリンク参照信号の伝送方法を提供する。
【0020】
このダウンリンク参照信号の伝送方法は、ダウンリンクデータ信号を、前記2以上のレイヤーを用いて前記一つ以上のユーザ機器に、前記単一ユーザ伝送モードまたは前記多重ユーザ伝送モードで伝送すること、をさらに含むことができ、前記ダウンリンクデータ信号及び前記ダウンリンク参照信号は、同一のプリコーディングを経て前記一つ以上のユーザ機器に伝送されてよい。
【0021】
また、前記ダウンリンク制御信号は、各ユーザ機器に割り当てられるレイヤー個数情報及び各ユーザ機器に割り当てられるレイヤーを特定する情報を含むことができる。
【0022】
一方、前記ダウンリンク参照信号伝送に用いられるレイヤー個数がN(Nは、前記所定の時間−周波数領域内においてコード分割多重化方式で多重化可能なダウンリンク参照信号の個数)よりも大きいM個である場合、前記M個のダウンリンク参照信号に対して、前記所定の時間−周波数領域内において及び追加の時間−周波数領域内においてそれぞれN個のダウンリンク参照信号をコード分割多重化し、前記所定の時間−周波数領域及び前記追加の時間−周波数領域においてコード分割多重化されたそれぞれN個のダウンリンク参照信号に、前記所定の時間−周波数領域及び前記追加の時間−周波数領域にわたる時分割多重化(TDM)または周波数分割多重化(FDM)を用いた多重化を行うことができる。
【0023】
また、前記M個のダウンリンク参照信号が伝送されるユーザ機器の個数が2以上である場合、前記所定の時間−周波数領域を通じて伝送されるダウンリンク参照信号を受信する第1ユーザ機器に伝送される前記ダウンリンク制御信号は、前記追加の時間−周波数領域が第2ユーザ機器に伝送されるダウンリンク参照信号伝送に用いられることを示す情報を含むことができる。
【0024】
一方、前記2以上のダウンリンク参照信号の伝送電力は互いに異なってよく、ここで、前記ダウンリンク制御信号は、前記2以上のダウンリンク参照信号の伝送電力情報をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の他の様態では、ユーザ機器が基地局から2以上のレイヤー(Layer)を用いて伝送されたダウンリンク参照信号を受信する方法において、
前記基地局からダウンリンクデータ信号の復調のための所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化(CDM)方式で多重化されたダウンリンク参照信号を受信し、
前記ユーザ機器に対するダウンリンク伝送方式を示すダウンリンク制御信号を受信すること、
を含み、
前記ダウンリンク制御信号は、前記所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化方式で多重化されたダウンリンク参照信号が、前記ユーザ機器の他、他のユーザ機器にも伝送されたダウンリンク参照信号を含むか否かにかかわらず、同一のフォーマットを有する、ダウンリンク参照信号の受信方法を提供する。
【0026】
また、本発明のさらに他の様態では、2以上のレイヤー(Layer)を用いてダウンリンク参照信号を伝送する基地局において、
ダウンリンクデータ信号の復調のために前記2以上のレイヤーのそれぞれを用いて伝送する2以上のダウンリンク参照信号として、所定の時間−周波数領域にコード分割多重化(CDM)方式で多重化される前記ダウンリンク参照信号、及び前記一つ以上のユーザ機器のそれぞれに対するダウンリンク伝送方式を示すダウンリンク制御信号を提供するプロセッサと、
前記プロセッサから提供された前記2以上のダウンリンク参照信号及び前記ダウンリンク制御信号を、単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードで一つ以上のユーザ機器(UE)に伝送する伝送モジュールと、
を含み、
前記プロセッサは、前記ダウンリンク制御信号を、前記単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードが適用されるか否かにかかわらず、同一のフォーマットとして提供する、基地局を提供する。
【0027】
また、本発明のさらに他の様態では、基地局から2以上のレイヤー(Layer)を用いて伝送されたダウンリンク参照信号を受信するユーザ機器において、
前記基地局から、ダウンリンクデータ信号の復調のための所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化(CDM)方式で多重化されたダウンリンク参照信号及び前記ユーザ機器に対するダウンリンク伝送方式を示すダウンリンク制御信号を受信する受信モジュールと、
前記ダウンリンク制御信号の情報によって前記ダウンリンク参照信号を処理するプロセッサと、
を含み、
前記ダウンリンク制御信号は、前記所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化方式で多重化されたダウンリンク参照信号が、前記ユーザ機器の他、他のユーザ機器にも伝送されたダウンリンク参照信号を含むか否かにかかわらず、同一のフォーマットを有する、ユーザ機器を提供する。
【発明の効果】
【0028】
上述した本発明の実施形態によれば、2以上のレイヤーを通じて伝送されるダウンリンク参照信号を用いて単一ユーザ伝送モード/多重ユーザ伝送モードを效率的に支援することができ、シグナリングオーバーヘッドを最小にしながらも各ユーザ間干渉を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】移動通信システムの一例である3GPP(3rd Generation Partnership Project)LTE(Long Term Evolution)システムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般的な信号伝送方法を説明するための図である。
【図2】基地局がダウンリンク信号を伝送するための信号処理手順を説明するための図である。
【図3】3GPP LTEシステムにおいて一般の巡回プレフィックス部を用いる場合、ユーザ特定参照信号が時間−周波数リソース領域にマッピングされて伝送される例を説明するための図である。
【図4】プリコーディングされたRSが送信されるMU−MIMO方式の例示的な送信機構造を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によってDMRSを伝送するための構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るシステム構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施形態を示すものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者には、本発明がそれらま具体的な細部事項なしにも実施可能であることが理解できる。
【0031】
一方、場合によっては、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示される。また、本明細書全体を通じて、同一の構成要素ついては同一の図面符号を使用して説明する。
【0032】
3GPP LTE−Aシステム(以下、“LTE−Aシステム”という。)では、(1)PDSCH復調のための参照信号、及び(2)チャネル状態測定のための参照信号、の2通りの参照信号を支援することが要求されている。以下の説明において、PDSCH復調のための参照信号は、ユーザ特定参照信号であって、専用参照信号(Dedicated Reference Signal;以下、“DRS”とも略す。)、復調参照信号(Demodulation Reference Signal;以下、“DMRS”とも略す。)などと呼ばれてよい。なお、参照信号は、単に、RS(Reference Signal)または適用される標準によってパイロット(Pilot)呼ばれてよい。
【0033】
上記のDRSまたはDMRSは、主に、復調(demodulation)のために用いられ、プリコーディングされたRSと非プリコーディングされたRSとに区別することができる。また、MIMOシステムにおいて、DRSまたはDMRSは、単一ユーザ伝送モード(SU−MIMO mode;Single User−Multi Input Multi Output mode)で複数のレイヤー信号を受信する単一ユーザに伝送されたり、多重ユーザ伝送モード(MU−MIMO;Multi User−Multi Input Multi Output mode)で複数のユーザに伝送されたりするように設定することを提案する。
【0034】
図4は、プリコーディングされたRSが送信されるMU−MIMO方式の例示的な送信機構造を示す図である。
【0035】
図4では、OFDMシンボル1〜Kを通じてK個のストリーム(stream)信号(データ)が伝送されることを示している。ここで、ストリームは、独立的な経路で伝送される信号の流れであり、伝送に用いられるレイヤーの個数分のストリームを伝送することができる。したがって、各ストリーム信号を、‘レイヤー信号’または略して‘レイヤー’と呼ぶこともできる。一方、K個のレイヤーが伝送される場合、すなわち、K個のレイヤーが伝送に用いられる場合、本実施形態に係る送信機は、DMRSもK個のレイヤーを通じて伝送することができる。ここで、Kは常に、物理アンテナ個数であるNtより小さいまたは同一である。
【0036】
一方、K個のデータ及びK個のDMRSは、プリコーダ410により同一のプリコーディングが行われて伝送されることが好ましい。図4では、MU−MIMO方式が適用され、プリコーダ410が多重ユーザプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うことを示している。
【0037】
このようにプリコーディングの行われたK個のデータ及びDMRSはそれぞれ、IFFTモジュール420、CP(Cyclic Prefix)挿入モジュール430を経てNt個のアンテナ440から複数のUEに伝送されることができる。
【0038】
図4で、全体K個のレイヤーは多数のUEに割り当てられることができ、この時、1〜K個のUEが同時に同一の時間/周波数リソースを共有するようになる。
【0039】
また、図4は、MU−MIMO方式の適用される場合を挙げて説明したが、アンテナ440から伝送された信号を受信するUEの個数が一つであり、プリコーダ410がSU−MIMO用プリコーディング行列を用いる場合、そのままでSU−MIMO伝送方式のための送信機構造に用いられてもよい。
【0040】
一方、LTE−Aシステムでは、8Tx MIMO方式を支援するために8Tx RS構造を提供しながら、RSオーバーヘッドを減らすために測定用RSとDMRSを分離して伝送することができる。この場合、DMRSの場合、プリコーディングされたRSを用いてRSオーバーヘッドをさらに低減し、測定用RSは、低いデューティサイクル(low duty cycle)で伝送することによって、RS構造を最適化することができる。また、DMRSは、基地局によりダウンリンク伝送がスケジューリングされたリソースブロック(resource block)及びレイヤーにのみ存在するように設定することが好ましい。
【0041】
以下では、MU−MIMO/SU−MIMOで動作する場合に対してDMRSを效率的に送受信する方法、及びMU−MIMOで動作する場合、空間多重ユーザ間干渉を減少させる方法などについて説明する。
【0042】
図4で、多重ユーザプリコーディング行列WNt*Kは、物理送信アンテナNt個と空間多重化率Kを構成するためのプリコーディング行列のことを指す。具体的に、送信データをベクトル
【0043】
【化1】

で示す場合、下記のようなプリコーディング過程を経てNt個の物理送信アンテナに伝送されるプリコーディングされたベクトル
【0044】
【化2】

と構成することができる。
【0045】
【数1】

ここで、kは、時間−周波数リソースインデックスを表す。また、上記の数学式1で、
【0046】
【化3】

のi番目の列ベクトルを意味する。
【0047】
上記の数学式1で、K個の列ベクトルはそれぞれ、1〜K個のUEからフィードバックされた情報を再構成して生成してもよく、UEからフィードバックされたチャネル情報を用いて基地局で任意に構成してもよい。ここで、プリコーディングされたRSは、下記のような形態にすることができる。
【0048】
A.RS空間多重化(RS spatial multiplexing)
この方法は、K個のレイヤーのためのRSが、同一の時間−周波数領域に伝送されながら、プリコーディングベクトルによって空間分割(spatial separation)がなされるようにする方法である。これを構成するための方法を、数学式2に示す。
【0049】
【数2】

上記の数学式2で、
【0050】
【化4】

は、RSシーケンスのm番目のRSシンボルベクトルを表し、
【0051】
【化5】

は、行列/ベクトルのトランスポーズ(transpose)を意味する。また、
【0052】
【化6】

は、n番目のレイヤーのためのm番目のRSシンボルのj番目の仮想アンテナポート(virtual antenna port)を表す。仮想アンテナは、互いに直交(orthogonal)して区別可能なRSを伝送できるアンテナを表す。
【0053】
ここで、各仮想アンテナのRSを、互いに直交するように構成することができるとすれば、K個の仮想アンテナ
【0054】
【化7】

を、時間/周波数/コード領域で区別可能なように構成することができる。したがって、上記の数学式2は、同一の時間/周波数/コード領域におけるRSを空間で多重化し、プリコーディングベクトル
【0055】
【化8】

によって区別されるように伝送する方式である。
【0056】
本発明の具体的な一実施形態では、特定個数(例えば、N個)のレイヤーを用いてRSを伝送する場合まで、各レイヤーを通じたRSを特定の時間−周波数領域でコード分割多重化(CDM)方式で多重化し、RS伝送に用いられるレイヤーの数がNよりも大きい場合(例えば、M個、M>N)、上記特定の時間−周波数領域及び追加的な時間−周波数領域内でそれぞれN個ずつのRSをCDM方式で多重化し、追加的に時間−周波数領域間の時分割多重化(TDM)または周波数分割多重化(FDM)方式で多重化して、DMRSを伝送することができる。
【0057】
図5は、本発明の一実施形態によってDMRSを伝送するための構造を示す図である。
【0058】
図5では、一般の巡回プレフィックス部を用いる一般サブフレーム状況を示している。図5において、横軸は時間領域を、縦軸は周波数領域を表す。また、図5に示す時間−周波数領域内で最も小さい四角形の領域は、時間領域において1 OFDMシンボルを、周波数領域において1サブキャリアに対応する領域である。
【0059】
図5において、浅緑色で表示されたパターンがDMRS伝送のためのパターンである。すなわち、図5は、2個のレイヤーを通じてDMRSを伝送する場合、2個のDMRSがCDMされて12個のリソース要素(resource element)を通じて伝送されるパターンを示している。
【0060】
もし、4個のレイヤー、または8個のレイヤーを通じてDMRSを伝送する場合、DMRSを追加的にTDM、FDMで多重化するために、追加的なリソース要素を使用することができ、MU−MIMOモードが用いられる場合、特定UEに伝送されたDMRSと他のUEのデータとが衝突することを防止するために、各UEに、他のUEに伝送されるDMRS領域をシグナリングすることが好ましい。
【0061】
一方、本発明の好ましい一実施形態では、上記の数学式2において、特定UEのチャネル受信を向上させるように、特定位置のRSがより高い電力を持つように構成する方法を提案する。例えば、
【0062】
【化9】

のように、1番レイヤーのRSが2番レイヤーのRSよりも大きい電力で信号を送信するように構成する。UEの立場では、復調の際に、信号を受信するためには、RS電力対信号電力の比を知っていなければならない。下記の数学式3は、例えばRS/信号の電力比を示している。
【0063】
【数3】

UEがデータを受信するためには、上記の数学式3の
【0064】
【化10】

を知っていなければならない。したがって、本実施形態のように、特定位置のRSに対して高い伝送電力を用いるようにする場合、サブフレーム単位または一定時間単位にPDCCHまたはRRCシグナリングを通じてUE別に該当の情報を知らせるように設定することが好ましい。このような方法でRSを伝送する場合、K個のUEがそれぞれ、
【0065】
【化11】

を用いてRSを受信し、該当のUEは、自身のチャネルのみを見ることができる。この場合、各UEは最大1個のレイヤーのみを受信することになるので、下記の数学式4のように、MU−MIMOモードで一つのUEが有しうる最大のレイヤー個数によって、用いられる直交RSの個数を決定するように構成することができる。
【0066】
【数4】

上記の数学式4で、
【0067】
【化12】

が一つのUEに割り当てられると仮定すれば、多数のレイヤーを一つのUEに伝送することが可能になる。この場合も同様、
【0068】
【化13】

になるように構成でき、この時には、一つのUEに、各レイUEに対するを伝送しなければならない。すなわち、多数のレイヤーが一つのUEに割り当てられる場合、レイヤー個数分の直交RSが構成されなければならず、レイヤー別RSの電力を異ならせることができるとすれば、一つのUEに各レイヤーのRS電力を知らせなければならない。
【0069】
同様に、データレイヤーの電力も、レイヤー別に異ならせることができる。これに関する情報は、差分電力(delta power)を用いて知らせることができる。
【0070】
【化14】

の形式の差分電力を用いると、制御信号のオーバーヘッドをさらに一層低減することができる。
【0071】
一方、以下では、上述したように、複数のレイヤーを用いてDMRSを伝送する場合、MU−MIMO/SU−MIMOモードの両方を支援するためのダウンリンク制御信号伝送方式について説明する。
【0072】
1.RS空間多重化(spatial multiplexing)
2個のレイヤーを支援するシステムにおいて、直交RSは、
【0073】
【化15】

に区別することができる。1番目のレイヤーを受信するためには、
【0074】
【化16】

を用いてチャネル情報を獲得し、2番目のレイヤーを受信するためには、
【0075】
【化17】

を用いてチャネル情報を獲得しなければならない。この場合、多数のUEに同時にデータを伝送するMU−MIMOの場合、特定UE(または、UEグループ)は、
【0076】
【化18】

を用いてデータを受信し、他のUE(または、UEグループ)は、
【0077】
【化19】

を用いてデータを受信するように構成することができる。この場合、
【0078】
【化20】

は、互いに周波数、時間またはコード領域で相互直交(mutually orthogonal)する特徴を満たすように構成される。このように構成される場合、下記のような2通りのタイプにシステムを構成することができる。
【0079】
タイプ−1(黙示的SU−/MU−MIMOモードの支援)
本実施形態では、SU−MIMOまたはMU−MIMOが適用されるか否かを問わずに、同じ形式のダウンリンク制御信号を用いることを提案する。
【0080】
SU−MIMOモードとMU−MIMOモードがUEに同一となるように構成する方法で、UEは、SU−/MU−MIMOモードによらずに同じフィードバック方式及び受信方法を適用することができる。この場合、ダウンリンク制御信号に、下記のような形態の制御信号を用いることができる。
【0081】
【表1】

上記表1の留保フィールドは、ランク−2の特定MIMO方式(例えば、レイヤーシフティング(layer shifting)、レイヤーパーミュテーション(layer permutation)、レイヤースワッピング(layer swapping)等)の使用有無を知らせるのにさらに使用されてもよい。下記の表2は、このような留保フィールドの利用方式の一例である。
【0082】
【表2】

すなわち、本発明の一実施形態では、特定ランクを通じた伝送に対してのみ、各UEへの伝送に用いられるレイヤー特定情報をシグナリングし、特定ランクを通じた伝送でない場合、あらかじめ定められたレイヤーを通じて伝送するように設定することができる。
【0083】
本発明に係るダウンリンク制御信号は、上記表1及び2と異なる形式を有することができる。ただし、各UEに割り当てられるランク個数及び1個のランクを用いるUEに対していずれのレイヤーのRSを用いるかに関する情報を伝送する必要がある。
【0084】
ランク2を用いる場合、表2のように2個のレイヤーに関する順序情報を知らせることができる。
【0085】
タイプ−2(明示的SU−/MU−MIMOモードの支援)
本実施形態では、明示的にSU−MIMOモードとMU−MIMOモードに対して別途のダウンリンク制御信号形式を規定することを提案する。一例として、SU−MIMOモードに対するダウンリンク制御信号とMU−MIMOモードに対するダウンリンク制御信号は、下記のような形式を有することができる。
【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

上記の表3は、SU−MIMOモード用のダウンリンク制御信号形式を、上記の表4は、MU−MIMO用のダウンリンク制御信号形式を例示的に表すものである。本実施形態において、上記の表4のように、MU−MIMOモードの場合、ランク−1のみを支援するように構成することができる。したがって、SU−MIMOと同じ形態で、1ビットインデックスで該当の直交RSを表すように構成して使用することができる。
【0088】
タイプ−3(多重シーケンスを用いた暗黙的SU−/MU−MIMOモードの支援)
CDM方式で直交RSが構成される場合、2個のレイヤーを使用するにもかかわらず、2個以上のシーケンスを用いて構成することもできる。この場合、より多くのUEに対するRSを同時に伝送できるように構成することができる。したがって、ランク−1で伝送なる場合、
【0089】
【化21】

のうちの一つの直交RSを知らせ、ランク−2で伝送される場合、
【0090】
【化22】

のうちの2つの直交RSを知らせる方式で構成する。
【0091】
【表5】

上記の表5は、総8通りの場合としたが、あらゆる組み合わせが可能なように構成してもよく、一部サブセット(subset)を構成して使用するように構成してもよい。全体セットにおいて、サブセットは、セル特定(cell−specific)、UE特定または固定形態で構成して使用することもできる。
【0092】
上述した実施形態では、DMRS伝送に2個のレイヤーまで用いられる場合を仮定して記述したが、より多くのレイヤーがDMRS伝送に用いられてもよく、上述した実施形態と同一の原理を用いてダウンリンク制御信号伝送フォーマットを決定することができる。
【0093】
タイプ−4(共通ダウンリンク制御シグナリング(universal downlink control signaling)を用いた明示的SU−/MU−MIMOモードの支援)
本実施形態では、一つの共通したダウンリンク制御信号を用いてSU−/MU−MIMOモードを同時に支援する方法を提案する。この場合、該当のダウンリンク制御信号がSU−MIMOモードに対するものか、MU−MIMOモードに対するものかを、UEに知らせることが好ましい。これは、CRCマスキング(masking)を通じて知らせてもよく、ダウンリンク制御信号に1ビットを追加して知らせてもよい。この時、ダウンリンク制御信号のランクに関する情報が、SU−MIMOモードとMU−MIMOモードによって別々に解析されるように設定してもよい。
【0094】
【表6】

【0095】
【表7】

上記の表6は、SU−MIMOモードにおいてランク情報を解析する例を、上記の表7は、MU−MIMOモードにおいてランク情報を解析する例を表している。
【0096】
2.RS時間−周波数多重化(RS time/frequency multiplexing)
本実施形態は、DMRSの使用において、同時にRSが伝送されるUEの個数にはかかわらず、常にK個の直交RSを伝送する方法を提案する。これは、数学式5のように表現することができる。
【0097】
【数5】

上記の数学式5のように伝送すると、全UEが常に全レイヤーのチャネルを受信するようになるから、いずれのレイヤーが該当のUEのためのRSであるかを知らせなければならない。この場合、2通りの方法で該当のRS情報を知らせることができる。
【0098】
その第一は、Kのうちの何番目のものが該当のUEのレイヤーであるかをビットマップまたは特定の方式で知らせたり、使用されたRS情報のみを知らせる方式である。第二は、UEがKが何個であるか知らない状態でRSを受信するように構成する方式である。例えば、K個のレイヤーのうちの1番、2番のレイヤーを、特定UEが受信しなければならないとすれば、基地局は、UEに
【0099】
【化23】

が使用されたことを知らせる情報を、UEに知らせると、UEは、これに基づいてRSを受信することができる。
【0100】
第一の方式では、UEが、他のUE信号から来る干渉信号をある程度制御できるという利点はあるが、レイヤーの全部に対してチャネル推定が可能でなければならず、RSオーバーヘッドが増大する不具合がある。第二の方式は、他のUEのために直交RSが伝送される位置に該当のUEの信号を伝送することで、RSオーバーヘッドを減らすことはできるが、多重ユーザ干渉はUEで制御できないという不具合がある。この場合も同様、上述したレイヤー別RSの電力を異ならせることができ、これに関する情報
【0101】
【化24】

は、PDCCH、RRCを通じて伝送されてもよく、特定時間周期によって伝送されてもよい。
【0102】
3.仮想化(virtualization)を用いたMU−MIMOベースのアンテナ選択
LTE−Aシステムは、8個の送信アンテナを支援するように構成されているが、最大4個の送信アンテナまで支援するLTE UEを同時に支援するために、アンテナ仮想化(antenna virtualization)を構成して使用することができる。アンテナ仮想化方法は、そもそも8個の仮想アンテナを構成しておき、4Tx MIMO伝送のためには、8個の仮想アンテナのうちの4個の仮想アンテナに対するRSを送信する方法である。
【0103】
【化25】

は、測定のためのアンテナ#0〜7に対するセル特定RSシーケンスで、下記のように仮想アンテナ行列(V)を用いて仮想アンテナにマッピングすることができる。ここで、
【0104】
【化26】

は、仮想アンテナマッピングされたRSシーケンスを表す。
【0105】
【数6】

ここで、
【0106】
【化27】

は、複素係数(complex coefficient)であり、状況によって様々な形態とすることができ、V行列は、一般に、ユニタリー行列(unitary matrix)形態で構成し、全ての送信アンテナが均等に電力を伝送するように構成することが好ましい。一例として、上記の仮想アンテナ行列(V)を、下記の数学式のような形態で構成することができる。
【0107】
【数7】

【0108】
【数8】

または、上記仮想アンテナ行列(V)を、周知のDFT行列、Walsh行列などで構成することもできる。すなわち、上記構成された8個の仮想アンテナに基づき、追加的なプリコーディング行列を用いずに、MU−MIMOを構成することができる。こうすると、UEは、正確なCQIを構成でき、UEの複雑度を最小にすることができる。例えば、UEは、測定
【0109】
【化28】

から、総8個の送信アンテナのチャネルを推定することができる。したがって、総8個の送信アンテナに対する
【0110】
【化29】

のうち、UEに有利な送信アンテナを選択すると、仮想化行列
【0111】
【化30】

のを選択するようになる。結局として、UEは、8個の送信アンテナから特定の送信アンテナを選択する方法になり、これに関する情報をフィードバックすると、これに基づき、基地局は、
【0112】
【化31】

を誘導することができる。基地局は、多数のUEからフィードバックされた送信アンテナ選択情報を用いて、各UEの好むプリコーディングベクトル
【0113】
【化32】

を誘導し、これに基づいて任意のプリコーディングベクトルを構成してMU−MIMO送信を行うことができる。この時、生成された任意のプリコーディングベクトルは、DMRSを通じて伝送することができる。
【0114】
さらに、MU−MIMOペアリング(pairing)を效率的に構成するために、総8個の送信アンテナ
【0115】
【化33】

からサブセットを構成し、サブセット内においてのみ選択されたアンテナ情報、CQIなどをフィードバックするように構成して使用することができる。この方法は、仮想化行列の構成によって性能が決定され、これは、基地局が任意に定めて使用することもできる。例えば、UEは、
【0116】
【化34】

の全てを受信するが、基地局が
【0117】
【化35】

をサブセットに決定すると、UEは、該当のサブセット内においてMU−MIMO関連情報をフィードバックすることが好ましい。かかる方法は、追加的なプリコーディングベクトル/行列と結合して使用することができる。一例として、ランク−1プリコーディングベクトルセットを、下記の数学式9のように構成して使用すると、追加的なプリコーディングベクトルと仮想アンテナ選択が共に用いられる形態になりうる。
【0118】
【数9】

上記の数学式9で、
【0119】
【化36】

は、仮想アンテナ選択ベクトルの一部を表し、これは、仮想アンテナ選択形態ではなく、
【0120】
【化37】

のようなベクトルと結合して使用されてよい。ここで、
【0121】
【化38】

は、コードブックサブセットの大きさを表し、これは、常に、全体コードブックの大きさより小さい、または同一である。これは、一つのUEに多数のレイヤーが割り当てられるMU−MIMOにも簡単に拡張可能である。
【0122】
4.ランク選択(Rank Selection)
一つのUEに多数のレイヤーが割り当てられるMU−MIMOにおいて、UEは、選好するレイヤー個数を容易に基地局にフィードバックすることができない。これは、UEが、一緒にスケジューリングされるUEの個数と多重ユーザ干渉量を推定できないからである。したがって、MU−MIMOでは、UEは、基地局が指示する通りにレイヤー個数を使用しなければならない。
【0123】
したがって、多数のレイヤーを使用するにもかかわらず、MU−MIMOではランクフィードバック(rank feedback)が不要である。このようなランク選択は、コードブックサブセット制限(codebooks subset restriction)を用いて具現でき、この場合、コードブックサブセット制限は、SU−MIMOとMU−MIMOにおいて異なる形態で構成されなければならない。例えば、下記の表8を、4個の送信アンテナの各ランク別に16個のプリコーディングベクトル/行列を有するSU−MIMOのコードブックとしよう。したがって、下記の表8における総プリコーディングベクトル/行列の個数は、64個である。基本的なSU−MIMOのコードブックサブセット制限方法は、64ビットのビットマップを用いてそれぞれのプリコーディングベクトル/行列をon/offできるように構成するものである。したがって、コードブックサブセットを使用する場合においても、全てのランクがサブセット中に含まれるように構成してもよく、特定ランクのプリコーディングのみ使用するように構成してもよい。しかし、MU−MIMOではランクフィードバックがないから、コードブックサブセット制限の構成は、常にランク単位にしなければならない。例えば、下記のSU−MIMOコードブックをそのまま使用するとすれば、2ビットを用いてランクを表現し、残りの16ビットのビットマップで該当のランクのサブセットをon/offできるように構成することができる。しかし、フルランク(full rank)伝送はSU−MIMOを意味するので、SU−MIMOで使用する全てのランクを使用する必要はない。例えば、MU−MIMOのプリコーディングは、ランク1、2のみを使用するようにあらかじめ定めて使用すると、コードブックサブセットのためのランクの情報は、1ビットで構成され、残りの16ビットでコードブックサブセットを構成することができる。
【0124】
【表8】

上記表8で、
【0125】
【化39】

のように表現される数学式から構成されるセット
【0126】
【化40】

により得られ、ここで、
【0127】
【化41】

は、4×4単位行列(Identity Matrix)を表し、
【0128】
【化42】

は、上記の表8に与えられている。このようなプリコーディングは、他のいずれの形態でも構成可能であり、8個の送信アンテナのために特定形態のコードブックの構成が可能である。しかし、上述したコードブックサブセットの形態は、そのまま適用することが可能である。なお、基地局は、UEのチャネル状態をより正確に知るために、MU−MIMOであるにもかかわらず、SU−MIMO形態のランク、PMI、CQIなどのフィードバックを要求することができる。
【0129】
図6は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を説明するための図である。
【0130】
まず、本発明の一実施形態に係る基地局600は、2以上のレイヤーを用いてDMRSを伝送できる基地局を想定する。基地局600は、Nt個の送受信アンテナを含み、アップリンク信号の受信のための受信モジュール610、受信信号の処理及び送信信号の提供を行うプロセッサ620及びダウンリンク信号伝送のための伝送モジュール630を含むことができる。基地局600のプロセッサ620は、ダウンリンク信号伝送のために、図2に示すような処理モジュールを含むことができるが、以下に説明するプロセッサ620の機能を果たしうるものであれば、その構造に特別な限定はない。
【0131】
本実施形態に係る基地局600のプロセッサ620は、PDSCH復調のために2以上のレイヤーのそれぞれを用いて伝送する2以上のDMRSをCDM方式で多重化して伝送することを提案する。このように、CDMされる2以上のDMRSレイヤーはそれぞれ、異なるUE700,800に伝送されるMU−MIMO方式で伝送されてもよく、1つのUE(例えば、700)に複数のレイヤーが共に用いられて、SU−MIMO方式で伝送されてもよい。
【0132】
また、基地局600のプロセッサ620は、DMRS伝送形式を表すダウンリンク制御信号を、各UE(700及び/または800)別に提供することができる。基地局600のプロセッサ620が提供するダウンリンク制御信号は、上述したようなタイプ1乃至4の全てを用いてよい。例えば、MU−MIMO/SU−MIMOによらず、同一の制御信号形式が用いられる場合、ダウンリンク制御信号は、各UEに割り当てられるレイヤー個数情報、各UEに割り当てられるレイヤー識別情報などを含むことができる。
【0133】
一方、基地局600により2以上のレイヤーを通じて伝送されたDMRSを受信するUE700及び/または800は、ダウンリンク信号受信のための受信モジュール710,810、ダウンリンク受信信号の処理及びアップリンク伝送信号の提供を行うプロセッサ720,820、及びアップリンク信号伝送を行う伝送モジュール730,830をそれぞれ含むことができる。
【0134】
具体的に、UEの受信モジュール710,810は、基地局600から、ダウンリンクデータ信号復調のための所定の時間−周波数領域でCDM方式で多重化されたDMRS及び各UEに対するダウンリンク伝送方式を表すダウンリンク制御信号を受信することができる。ここで、ダウンリンク制御信号は、所定の時間−周波数領域においてCDM方式で多重化されたDMRSが、該当のUE(例えば、700)の他、別のUE800に伝送されたダウンリンク参照信号も含むか否かにかかわらず、同一のフォーマットを有するように設定することができる。このように受信モジュール710,810に受信されたダウンリンク制御信号の情報によってプロセッサ720,820はDMRSを処理することができる。
【0135】
本発明は、本発明の必須特徴を逸脱しない範囲で、他の特定の形態に具体化することができる。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制約的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的解釈によって決定されなければならず、よって、本発明の等価的な範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係を有しない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局が2以上のレイヤー(Layer)を用いてダウンリンク参照信号を伝送する方法であって、
ダウンリンクデータ信号の復調のために、前記2以上のレイヤーのそれぞれを用いて伝送される2以上のダウンリンク参照信号を、所定の時間−周波数領域にコード分割多重化(CDM)方式で多重化して、一つ以上のユーザ機器に単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードで伝送し、
前記一つ以上のユーザ機器のそれぞれに対するダウンリンク伝送方式を表すダウンリンク制御信号を、前記一つ以上のユーザ機器に伝送すること、
を含み、
前記ダウンリンク制御信号は、前記一つ以上のユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送が前記単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードに従うか否かによらず、同一のフォーマットを有する、ダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項2】
前記ダウンリンク制御信号は、特定ユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送が、特定個数のレイヤーを通じてなされる場合に対してのみ、前記特定ユーザ機器に対する前記ダウンリンク参照信号伝送がなされるレイヤーを示す制御情報を含み、
前記特定ユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送が、前記特定個数のレイヤーを通じてなされない場合、前記特定ユーザ機器に対する前記ダウンリンク参照信号伝送がなされるレイヤーは、あらかじめ定められている、請求項1に記載のダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項3】
ダウンリンクデータ信号を、前記2以上のレイヤーを用いて前記一つ以上のユーザ機器に、前記単一ユーザ伝送モードまたは前記多重ユーザ伝送モードで伝送すること、をさらに含み、
前記ダウンリンクデータ信号及び前記ダウンリンク参照信号は、同一のプリコーディングを経て前記一つ以上のユーザ機器に伝送される、請求項1に記載のダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項4】
前記ダウンリンク制御信号は、各ユーザ機器に割り当てられるレイヤー個数情報及び各ユーザ機器に割り当てられるレイヤーを特定する情報を含む、請求項1に記載のダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項5】
前記ダウンリンク参照信号伝送に用いられるレイヤー個数がN(Nは、前記所定の時間−周波数領域内においてコード分割多重化方式で多重化可能なダウンリンク参照信号の個数)よりも大きいM個である場合、
前記M個のダウンリンク参照信号に対して、前記所定の時間−周波数領域内において及び追加の時間−周波数領域内においてそれぞれN個のダウンリンク参照信号をコード分割多重化し、
前記所定の時間−周波数領域及び前記追加の時間−周波数領域においてコード分割多重化されたそれぞれN個のダウンリンク参照信号に、前記所定の時間−周波数領域及び前記追加の時間−周波数領域にわたる時分割多重化(TDM)または周波数分割多重化(FDM)を用いた多重化を行う、請求項1に記載のダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項6】
前記M個のダウンリンク参照信号が伝送されるユーザ機器の個数が2以上である場合、
前記所定の時間−周波数領域を通じて伝送されるダウンリンク参照信号を受信する第1ユーザ機器に伝送される前記ダウンリンク制御信号は、前記追加の時間−周波数領域が第2ユーザ機器に伝送されるダウンリンク参照信号伝送に用いられることを示す情報を含む、請求項5に記載のダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項7】
前記2以上のダウンリンク参照信号の伝送電力は互いに異なり、
前記ダウンリンク制御信号は、前記2以上のダウンリンク参照信号の伝送電力情報をさらに含む、請求項1に記載のダウンリンク参照信号の伝送方法。
【請求項8】
ユーザ機器が基地局から2以上のレイヤー(Layer)を用いて伝送されたダウンリンク参照信号を受信する方法であって、
前記基地局からダウンリンクデータ信号の復調のための所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化(CDM)方式で多重化されたダウンリンク参照信号を受信し、
前記ユーザ機器に対するダウンリンク伝送方式を示すダウンリンク制御信号を受信すること、
を含み、
前記ダウンリンク制御信号は、前記所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化方式で多重化されたダウンリンク参照信号が、前記ユーザ機器の他、他のユーザ機器にも伝送されたダウンリンク参照信号を含むか否かにかかわらず、同一のフォーマットを有する、ダウンリンク参照信号の受信方法。
【請求項9】
前記ダウンリンク制御信号は、前記ユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送が特定個数のレイヤーを通じてなされる場合に対してのみ、前記ユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送がなされるレイヤーを示す制御情報を含み、
前記ユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送が、前記特定個数のレイヤーを通じてなされない場合、前記ユーザ機器に対するダウンリンク参照信号伝送がなされるレイヤーは、あらかじめ定められている、請求項8に記載のダウンリンク参照信号の受信方法。
【請求項10】
前記基地局から前記ダウンリンクデータ信号を受信する段階をさらに含み、
前記ダウンリンクデータ信号及び前記ダウンリンク参照信号は、同一のプリコーディングを経て前記基地局から前記ユーザ機器に伝送される、請求項8に記載のダウンリンク参照信号の受信方法。
【請求項11】
前記ダウンリンク制御信号は、前記ユーザ機器に割り当てられるレイヤー個数情報及び各ユーザ機器に割り当てられるレイヤーを特定する情報を含む、請求項8に記載のダウンリンク参照信号の受信方法。
【請求項12】
2以上のレイヤー(Layer)を用いてダウンリンク参照信号を伝送する基地局であって、
ダウンリンクデータ信号の復調のために前記2以上のレイヤーのそれぞれを用いて伝送する2以上のダウンリンク参照信号として、所定の時間−周波数領域にコード分割多重化(CDM)方式で多重化される前記ダウンリンク参照信号、及び前記一つ以上のユーザ機器のそれぞれに対するダウンリンク伝送方式を示すダウンリンク制御信号を提供するプロセッサと、
前記プロセッサから提供された前記2以上のダウンリンク参照信号及び前記ダウンリンク制御信号を、単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードで一つ以上のユーザ機器(UE)に伝送する伝送モジュールと、
を含み、
前記プロセッサは、前記ダウンリンク制御信号を、前記単一ユーザ伝送モードまたは多重ユーザ伝送モードが適用されるか否かにかかわらず、同一のフォーマットとして提供する、基地局。
【請求項13】
前記伝送モジュールは、前記一つ以上のユーザ機器(UE)に、前記単一ユーザ伝送モードまたは前記多重ユーザ伝送モードでダウンリンクデータ信号をさらに伝送し、
前記ダウンリンクデータ信号及び前記ダウンリンク参照信号は、同一のプリコーディングを経て前記一つ以上のユーザ機器に伝送される、請求項12に記載の基地局。
【請求項14】
前記ダウンリンク制御信号は、各ユーザ機器に割り当てられるレイヤー個数情報及び各ユーザ機器に割り当てられるレイヤーを特定する情報を含む、請求項12に記載の基地局。
【請求項15】
基地局から2以上のレイヤー(Layer)を用いて伝送されたダウンリンク参照信号を受信するユーザ機器であって、
前記基地局から、ダウンリンクデータ信号の復調のための所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化(CDM)方式で多重化されたダウンリンク参照信号及び前記ユーザ機器に対するダウンリンク伝送方式を示すダウンリンク制御信号を受信する受信モジュールと、
前記ダウンリンク制御信号の情報によって前記ダウンリンク参照信号を処理するプロセッサと、
を含み、
前記ダウンリンク制御信号は、前記所定の時間−周波数領域においてコード分割多重化方式で多重化されたダウンリンク参照信号が、前記ユーザ機器の他、他のユーザ機器にも伝送されたダウンリンク参照信号を含むか否かにかかわらず、同一のフォーマットを有する、ユーザ機器。
【請求項16】
前記受信モジュールは、前記基地局から前記ダウンリンクデータ信号をさらに受信し、
前記ダウンリンクデータ信号及び前記ダウンリンク参照信号は、同一のプリコーディングを経て前記基地局から前記ユーザ機器に伝送される、請求項15に記載のユーザ機器。
【請求項17】
前記ダウンリンク制御信号は、前記ユーザ機器に割り当てられるレイヤー個数情報及び各ユーザ機器に割り当てられるレイヤーを特定する情報を含む、請求項15に記載のユーザ機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514933(P2012−514933A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545306(P2011−545306)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/KR2010/000660
【国際公開番号】WO2010/090442
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】