ダクト内の汚れ状態を検知するシステム
【課題】汚染付着物が堆積することにより、ダクトを清浄する又は交換する必要性を知らせるシステムを提供する。
【解決手段】ダクト内の汚れ状態を検知するシステムは、排気流中に配置される表面を備える部材と、部材の表面に向かって光を導くように構成された光源と、汚れを表す表面の性質の変化による表面の汚れ状態を示す信号を生成する制御部と、を備え、光が検出器へ反射されて戻るように、表面は、ミラー、拡散反射装置、及び逆反射装置部材の中のいずれかであり、検出器と光源とがともに表面とは対向して位置し、部材がダクト壁に設けられた単一のアクセス開口に配置され、単一の開口から延びる下方輪郭アームによって部材がダクト内に位置するように、部材は下方輪郭アームによって光源と検出器とに取り付けられており、性質は、表面の光学的反射率であることを特徴とする。
【解決手段】ダクト内の汚れ状態を検知するシステムは、排気流中に配置される表面を備える部材と、部材の表面に向かって光を導くように構成された光源と、汚れを表す表面の性質の変化による表面の汚れ状態を示す信号を生成する制御部と、を備え、光が検出器へ反射されて戻るように、表面は、ミラー、拡散反射装置、及び逆反射装置部材の中のいずれかであり、検出器と光源とがともに表面とは対向して位置し、部材がダクト壁に設けられた単一のアクセス開口に配置され、単一の開口から延びる下方輪郭アームによって部材がダクト内に位置するように、部材は下方輪郭アームによって光源と検出器とに取り付けられており、性質は、表面の光学的反射率であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2007年6月13日付けで提出した米国仮特許出願第60/943,626号、発明の名称“ダクト油脂付着物検知装置、システム及び方法”の優先権を主張し、この米国仮特許出願は全て参照文献として本明細書に結合される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、排気換気システム、そしてとくに火災の危険のような起こり得る問題を生じさせる排気システム内に物質が溜まり得る排気換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
排気システムは、被空調空間から汚染物質を除去するのにしばしば用いられる。これらのシステムの多くは排気ダクト及びフードに物質を付着させたり堆積させる排出空気流から不完全に除去されるエアゾールを処理する。例えば、キッチン・レンジ・フードはキッチンから調理フューム(蒸気・煙)を除去する。かかるフュームにはしばしば油脂(グリース)フィルタを用いても完全に除去されない油脂エアゾールが含まれている。長期間稼動の後、ある種の油脂は、排気管路の内側に必然的に付着する。これは火災の危険につながったりその他の望ましくない結果となり得る。
【0004】
キッチンからフュームを除去するため多くの装置が設計され、製造されてきた。天蓋及びバックシェルフフードは普通の形式である。これらは通常、一つ又は複数の調理器具の上方に設けられ、排気ダクトを介してルーフ装着ファンに接続され、ルーフ装着ファンはフードを通して空気を引き込み、外部雰囲気へ放出する。取外し可能なカートリッジ油脂フィルタは、通常、管路の直前のフードに装着される。これらのフィルタは通常、周期的にフードから外されて洗浄して堆積した油脂を除去する。かかるフィルタは完全ではなく、すなわち最も大きな粒子を除去するには有効であるが、排気流中に実質的な量の油脂を残しがちである。フィルタを通過する油脂はフードからの管路内に溜まりそしてファンに堆積し排気システムから一緒に放出され得る。
【0005】
油脂がダクトに付着して溜まったら、そのダクトを清浄することが可能である。この清浄を行う種々のシステムが公知である。ダクトを清浄する必要があるかどうかを決める一つの手段として視覚検査がある。油脂の堆積を検知する別の方法は、“排気システム内における油脂の堆積を監視する方法及び装置”に関する米国特許第3890827号に記載されており、ダクト内に装着され、表面に油脂がどの程度堆積したかを測定するために詳細に検査するために外すことのできる取外し可能なパッチが記載されている。多数のパッチはセットして装着され、油脂の堆積状態を見る際に一つのパッチが外される。
【0006】
火炎検知及び消火は、排気フード及びダクト用の周知の解決法である。従来の火炎検知及び抑制システムは、キッチン排気フード及び管路内に組み込まれ得る。水又は化学消化剤を用いて火災を抑えることができる。例えば、“火炎抑制システム”に関する米国特許第4524835号には化学火炎抑制システムが記載されている。
【0007】
当該技術分野においては管路内における油脂及びその他の汚染物の堆積を検知する好適で信頼できる機構が必要である。視覚検査に基づく公知の方法は冗長であり、信頼できず、また実施するには困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
管路に汚染付着物が堆積した時に測定する自動装置は、ダクトを清浄する又は交換する必要性をメンテナンス個人に又は自動化清浄機器に知らせるのに使用される。堆積した油脂の属性を検知し、そして堆積の表示信号を発生する種々の実施形態の検知装置が使用され得る。かかる殆んどの装置では、好ましくは、付着する傾向のある物質の種類について検量が行われる。複数の好ましい実施形態では、検知装置は、ダクト内のフューム流に対して表面を提示する。好ましい実施形態では、かかる表面は、最悪ケースの温度を表す温度に冷却され、それにより、検知装置の表面における堆積(凝縮による)は少なくとも、監視されることになる管路における最も冷たい表面ほど多くなる。また、好ましくは、検知装置は、フューム流中の油脂に晒すために最悪ケースの位置にできるだけ近接するように位置決めされる。それで例えば、検知装置は、エアゾール流の性質及び管路の形態に依存して高速位置或いは反転又は淀み境界層に位置決めされ得る。
【0009】
好ましい形式の検知装置では、油脂の堆積を検知するのにマイクロスケール装置が用いられる。マイクロスケールは、物質が堆積している物体の共振周波数の変化を検出することによって微量の物質を測定するのに用いられる。マイクロスケールの一例として、ある範囲の周波数にわたって駆動される圧電変換器を使用するものがある。装置を適当に較正することによって、ベースラインに対する質量の変化が測定され、清浄を必要とする閾値と比較される。
【0010】
一実施形態によれば、本発明は、排気流中に表面をもつ部材を配置すること、汚れを表す表面の性質における変化による表面の汚れ状態を表す信号を発生することを含む、ダクト内の汚れ状態を検知する方法である。別の実施形態においては、かかる性質は、光学的不透明度、反射率、光学的散乱、熱伝導率及び質量の少なくとも一つである。別の実施形態では、排気流中に表面をもつ部材を配置することは、使い捨て検知装置を設けることを含み(すなわち備え)、本方法は、さらに、発生後検知装置を交換することを含む。別の実施形態では、本方法は、表面を冷却することを含む。別の実施形態では、本方法は、表面を予定の温度に冷却することを含む。別の実施形態では、性質は、質量を含み、また、信号を発生することは、部材の共振周波数を測定することを含む。別の実施形態では、排気流中に表面をもつ部材を配置することは、フュームの近付く流れに対向するように表面を向けることを含む。別の実施形態では、信号を発生することは、測定した性質の傾向と予定の傾向とを比較して相関関係を特定することを含む。
【0011】
別の実施形態によれば、本発明は、上記の方法のいずれかを実施するのに用いられ得る装置にある。一実施形態において該装置は、表面に堆積した物質の質量を測定する圧電マイクロスケールを備えている。
【0012】
別の実施形態によれば、本発明は、上記の方法のいずれかを実施するシステムにある。該システムは、排気システムが稼動していない時にサンプル(試料)測定を行うコントローラを備え得る。
【0013】
別の実施形態によれば、本発明は、ダクトを通って流れる排気流と流体連通する検知装置を設けることを含む(すなわち備える)、ダクトにおける堆積汚染物のレベルを検知する方法にある。本方法は、さらに、検知装置を用いてダクトにおける堆積汚染物のレベルを測定することを含み得る。本方法は、さらに、かかる測定に基づいて信号を出力することを含み得る。別の実施形態においては、本方法は、さらに、信号の出力に基づいてアラームを作動することを含み得る。別の実施形態においては、本方法は、さらに、信号の出力に基づいて堆積汚染物のレベルをユーザに表示することを含み得る。別の実施形態においては、検知装置は、表面を備える感知要素及び感知要素に問い合わせるコントローラを備え得る。別の実施形態では、検知装置を設けることは、排気流において感知要素の表面を、排気流中の汚染物に晒される最悪ケースの位置となるように方向決めすることを含み得る。別の実施形態では、ダクトにおける堆積汚染物のレベルを測定することは、コントローラを用いること、感知要素に問い合わせてダクトにおける堆積汚染物のレベルを表す測定値を得ることを含み得る。別の実施形態では、本方法は、さらに、検知装置を目標温度に冷却することを含み得る。別の実施形態では、本方法は、さらに、ダクトの壁の実時間モデル、排気流の温度及び/又は雰囲気温度に従って目標温度を決めることを含み得る。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、ダクト中の汚れを検知する方法は、ダクトを通って流れる排気流から物理的に分離されるようにダクトに対して外部に検知装置を配置すること、検知装置を用いてダクトに問い合わせて検知結果を発生すること、及び検知結果をダクトの内面に堆積した汚れの量と相関付けることを含み得る。
【0015】
別の実施形態では、検知装置は、音響源及び音響センサーを備え得、検知装置を設けることは、ダクトの外部の第1側に音響源及び音響センサーを配置することを含み得、上記ダクトに問い合わせることは、音響源からダクトの第1側へ音響信号を伝達すること、及び音響センサーで反射音響信号を測定することを含み得、また上記相関付けることは、音響インピーダンスを計算すること及び音響インピーダンスを堆積した汚れの厚さに関連付けることを含み得る。
【0016】
別の実施形態では、検知装置は、放射性源及び放射性センサーを備え得、上記検知装置を設けることは、ダクトの外部の第1側に放射性源及び放射性センサーを配置すること、ダクトの外部の第2側に放射性源を対向させることを含み得、上記ダクトに問い合わせることは、放射性源から放射性エネルギーを伝送すること及び放射性センサーで放射線を測定することを含み得、また上記相関付けることは、測定した放射線を堆積した汚れの厚さに関連付けることを含み得る。
【0017】
別の実施形態では、検知装置は、放射性源及び放射性センサーを備え得、上記検知装置を設けることは、ダクトの外部の第1側に放射性源を位置決めすること、及び放射性源の反対側のダクトの外部の第2側に放射性センサーを配置することを含み得、上記ダクトに問い合わせることは、放射性源から放射性エネルギーを伝送すること及び放射性センサーで放射線を測定することを含み得、また上記相関付けることは、測定した放射線を堆積した汚れの厚さに関連付けることを含み得る。
【0018】
本発明の目的、利点及び特徴は、添付図面と共に考察する際に本発明の以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に結合されかつ本明細書の一部を成す添付図面には本発明の幾つかの実施形態を例示し、そして上述の概説及び以下の詳細な説明と共に本発明の特徴を説明するのに役立つ。全図面を通して同じ参照番号は同じ要素を表している。
【0020】
【図1】検知装置表面を振動させそしてそれの共振周波数の変化を測定することによって検知装置表面における油脂の堆積を検知するセンサー/ドライバーを備えたダクトに装着されたマイクロスケールを示している。
【図2】汚染物質の堆積し得る多数のダクト表面を模倣するように種々の角度及び位置に装着した検知装置のアレイを示している。
【図3A】能動冷却装置を備えた検知装置を示している。
【図3B】受動冷却装置を備えた検知装置を示している。
【図4A】検知装置表面における付着物の堆積を特定するために検知装置表面の熱特性の変化を用いる検知装置を示している。
【図4B】図4Aの検知装置の応答をモデル化するのに用いられ得るネットワーク・モデルを示している。
【図4C】図4Aの検知装置の動作を例示する温度サンプルのプロットを示している。
【図5A】検知装置表面における付着物の堆積を特定するために検知装置表面の熱特性の変化を用いる別のタイプの検知装置を示している。
【図5B】図5Aの検知装置の応答をモデル化するのに用いられ得るネットワーク・モデルを示している。
【図6】特定量の物質の堆積を検知するために付着膜内の散乱作用に依存する光学検知装置を示している。
【図7A】検知装置における油脂付着物の堆積によって生じた光の散乱を検知する検知装置を示している
【図7B】検知装置における油脂付着物の堆積によって生じた光の散乱を検知する検知装置を示している。
【図8A】傾斜によって検知表面における油脂の堆積を表し得る受動的に冷却される機械的平衡装置を示している。
【図8B】傾斜によって検知表面における油脂の堆積を表し得る受動的に冷却される機械的平衡装置を示している。
【図9A】不透明度の変化を検知することによって物質の堆積を表す他の形式の光学装置を示している。
【図9B】不透明度の変化を検知することによって物質の堆積を表す他の形式の光学装置を示している。
【図10a】自由端の撓みによって検知表面における油脂の堆積を表し得るひずみゲージを備えたレバーを示している。
【図10b】自由端の撓みによって検知表面における油脂の堆積を表し得るひずみゲージを備えた片持ばりを示している。
【図11a】ダクト内の汚れ物質の堆積を測定するためにダクト内の感知要素を備えた汎用化した検知装置の概要を示している。
【図11b】ダクト内の汚れ物質の堆積を測定するためにダクトに対して外部に設けられた源及び感知要素を備えた汎用化した検知装置の概要を示している。
【図11c】ダクト内の汚れ物質の堆積を測定するために感知要素からダクトの反対側に源を備えた汎用化した検知装置の概要を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
さて図1を参照すると、ダクト112は開口116を備え、この開口116を通して汚れ検知装置125が挿入される。汚れ検知装置はプレート108を備え、プレート108は取り外し可能な保護シート102で保護された検知表面109を備えている。圧電結晶体のような振動子アクチュエータ104は、ダクト112に取付けた取り付け支持体106に対してプレート108を振動させる。油脂小滴のような懸濁汚染物粒子を含むガス流120は検知表面109の周りを通過し、懸濁粒子を検知表面に衝突させる。時間の経過により、検知表面109上に被膜が成長していく。被膜はプレート108の質量を増大させ、それでプレートの共振周波数の変化により質量の変化を検知できる。センサー/ドライバー110は、プレート108を振動させかつ共振周波数を検知する駆動信号を供給する。
【0022】
適当な検知装置は当該技術分野において公知であり、低付着速度に対して高い感度の要求される付着検知のためにしばしば用いられる。かかる装置の一例はマイクロスケールである。適用可能な技術の例は以下の特許に示され、各特許はその全体を本明細書に参照文献として結合される。
“付着監視システム”に関する米国特許第6880402号、
“エンドポイント・プラズマ・クリーンによるエッチングからチャンバ壁を保護する方法” に関する米国特許第6124927号、
“半導体製造装置”に関する米国特許第5985032号、
“チャンバ内の付着を監視する方法、プラズマ処理方法、チャンバをドライクリーニングする方法、及び半導体製造装置”に関する米国特許第5897378号、
“複合物質製造における付着厚さの測定” に関する米国特許第5843232号、
“石油を基材とする組成物を分析する及びその中の成分の凝固を感知する音響波センサー装置”に関する米国特許第5661233号、
“処理チャンバの状態を光学的にモニタする手段を備えた半導体デバイスの製造装置及び方法”に関する米国特許第5536359号、
“圧電モニタ結晶体における付着の測定及び制御”に関する米国特許第5112642号、
“厚さ測定ゲージ”に関する米国特許第5666394号、
“パイプライン付着物の特徴化及びパイプライン付着物のモニタリング用音響センサー”に関する米国特許第6701787号、
“パイプ又は容器内の付着物をモニタする装置及び方法”に関する米国特許第5618992号、
“放射性管厚測定”に関する米国特許第3023312号、及び
“赤外線厚さの測定装置”に関する米国特許第4429225号。
【0023】
本目的のために付着膜を検知するために必要な質量測定は、上記の特許に記載されたもののような幾つかの産業において要求されるように正確である必要はない。さらに、物質の実質的な質量は、付着物の形成の適当な表示を提供することができ、それで圧電以外の振動システムは例えばスピーカー・コイル及びバネ又はその他の装置を用いて構成できる。
【0024】
保護シート102は例えば裏面に接着剤を施したプラスチック・シートであり得る。保護シート102を設けることによって、汚れ検知装置は、ガス流から堆積した物質で恒久的に被覆されるを保護され得る。汚れ検知装置125は、センサー/ドライバー110によって表示が発生された後、ダクトから外され、保護シート102は交換され得る。好ましくは、センサー/ドライバー110は、一日に一度又は数日毎に一度のようなスケジュールでテストするように構成される。従って、センサー/ドライバー110にはアラームが設けられ得、或いはセンサー/ドライバー110は、一つ以上の遠隔端子に信号を伝送するためにコンピュータ・ネットワークに接続され得る。
【0025】
図2には多数の汚れ検知装置225A、225B、225Cを保持している支持体206が示されている。各汚れ検知装置は、表面202A、202B、202C、検知部分204A、204B、204Cを備え、これらの検知部分は図1の実施形態の場合のように振動アクチュエータであり得、プレート208A、208B、208Cに堆積した質量を測定する。図2に示すように、汚れ検知装置225A、225B、225Cで例示したように汚れ検知装置に対して種々の取り付け形態が可能である。また、図2に示すように、多数の汚れ検知装置は、汚れの最悪ケースの傾向に応じた形態を導くことが困難である場合には組み合わせられ得る。例えば、汚れ検知装置225Aは汚れ検知装置225Bによってガス流から部分的に“隠され”る。これにより渦及び淀み領域が生じ得、フュームの最悪ケースの付着速度となる。乱流の性質は、方向が最悪ケースの結果となる実際の形態において決めることが可能でないかも知れないように予測するのが難しい。従って、各々異なる方向又は形態(例えば“隠れた”)をもつ多数の検知装置が単一装置において用いられ得る。汚れ検知装置225Aだけが用いられる場合には、代わりに影部材が用いられ得ることが認められる。
【0026】
変えられ得るその他の形態パラメータには、検知装置が影部材の下流に配置される距離、検知装置に対する影部材のサイズ、及び影部材の向き(例えば斜め)が含まれる。また非直線状に及び/又は非対角線状に角度を成すような他の方向決めも可能である。
【0027】
図3Aを参照すると、好ましくは任意の所与形態の検知装置は付着表面を備え、この付着表面は、流れに対する表面の向き及び表面に衝突する流れの形式以外のダクトの最悪ケースの特性をモデル化している。例えば、油脂エアゾールはしばしば、粒子の温度が縮合点に達すると、付着する。汚れを受けるダクト表面は煙の流れより冷たく、従って煙の流れ中では蒸気相にある物質が沈殿し得る。検知装置が少なくとも最悪ケースの部分と同様に有効に物質を集めるのを保証するために、検知装置の付着表面を冷却する機構が使用され得る。図3Aには、能動冷却機構332例えば熱電冷却器を備えた汚れ検知装置325が示されている。センサー/ドライバー110及び検知部分304は、検知表面302に付着した物質の質量を測定する働きをする。熱電対又はサーミスタ或いはその他の適当な温度センサー330が、管路を取巻く空間に対する温度センサーT336と共に設けられ得る。
【0028】
コントローラ340は、公知のフィードバック制御に従って、検知表面302の温度を調整し得、それで検知表面の温度は最悪ケースの管路表面部分にほぼ相応する或いは僅かに悪くなるようにされる。例えばかかる温度は、管路の晒される最低空気温度の温度に維持され得る。かかる温度は、殆どダクト表面の各側における膜抵抗のためにまた存在する場合には絶縁体の抵抗のために、少なくとも定常動作中にあらゆるダクト内面より低い。従って、ダクト内部(排気流に対する温度センサー334で指示される)と雰囲気との間の中間温度を用いるのがより好ましい。
【0029】
好ましくは、目標温度は、ダクト壁の形式、排気流の温度及び/又は雰囲気温度に従って逐次変えられ得、それで実時間最悪ケースの表面温度を達成するようにしている。かかる実時間モデルは、プログラム可能なプロセッサを用いてかつ又、適当なダクト壁モデルの性質と共に指示した温度入力に基づいて容易に構成され得る。例えば、ダクト壁の一次元熱モデルは、伝導、対流及び放射熱伝達の公知の式を用いて導き出され得る。所与排気流量の場合、測定した排気流温度及び雰囲気温度はダクトの表面温度を導き出すために熱モデルで用いられ得る。測定した温度の変化はダクト表面の温度の変化と相関付けられ得る。この計算したダクト表面温度は、検知表面を冷却するための目標温度として用いられ得る。能動冷却機構は、上述の又は下述の汚れ検知装置の実施形態或いはその他のものに適用され得る。
【0030】
図3Bには、受動冷却式汚れ検知装置375を示している。支持体354は、ダクト内部378に汚れ検知装置350を支持している。チャンネル352は、チャンネル352を通る外気380をダクト内部352へ運び、ダクト内部は雰囲気に対して負圧にある。チャンネル352を通しての外気380の流れは汚れ検知装置350と接触し、ダクト内部378の温度に対して汚れ検知装置350を冷却する。調整可能なダンパー・ブレード358はチャンネル352を通る流れ356を調整できるように止める。センサー/ドライバー310は、汚れ検知装置を制御し、そしてまたオペレータが汚れ検知装置350の温度に基づいてダンパー・ブレード358を調整できるように温度センサー362で表示された温度を検知し得る。空気ポンプ366はチャンネルの伸張部364に用いられて、ダクト内部378が低い負圧又は正圧にある時にチャンネル352内へ空気を押込む。能動冷却機構は、上述の又は下述の汚れ検知装置の実施形態又はその他の装置のいずれにも用いられ得る。
【0031】
図4には、熱効果を使用してプレート414の検知表面412に付着した物質の量を測定する汚れ検知装置が示されている。検知装置400は、温度センサー、例えばプレート414のダクト側の空気/ガスの温度及びプレート414の被加熱側の温度を表示するセンサー416、415から相応した信号を受信することで一つ以上の温度をモニタする。ヒーター410は(検知装置400の制御の下で)プレートの温度がモニタされる際にプレート412を加熱する。絶縁体434は雰囲気422によりプレート414の冷却を低減するために設けられ得る。プレート414の温度が上昇する際に、時間と温度との関係は検知表面412における付着物の層419によって発生した絶縁に相応する。検知装置400は、例えば、オフ動作時間が経過しているクロック表示に従ってテストを行う或いは排気系(システム)の状態を検知することにより排気系が止められる時にテストを行うように構成され得る。好ましくは、テストは、ダクト側の雰囲気ガス(空気)420の温度が一定でありしかも流れのない時に行われ、それで付着物の層419によってなされる絶縁が測定され得る。
【0032】
図4Bには、電力出力がQである無限の平面状加熱源についての単純な一次元ネットワーク・モデルを示し、熱は、熱容量がCWであるノードへ及びダクト空気420側における膜抵抗RF及び付着物RCの抵抗に等しい熱抵抗を通ってダクト空気420の温度TDで無限シンクへ熱を伝達する。又図4Cを参照すると、未知である量は、定常ではないモデル(tで表す時間)についての測定温度(例えばRCの高い値に相当する430又はRCの低い値に相当する432)をプロットすることによってRCの値を解くことで得られ得る。同様に、定常状態温度(例えばT1、T2)は補間によって導き出され、そして定常状態モデルにおいて用いられる。このモデルは熱対流のため温度による膜係数の変化を考慮し得、それでRFは温度及び時間の関数であり得ることが認められる。RFについて、付着した層の厚さは、付着した物質のサンプルを用いて得られた較正データによって得られ得る。
【0033】
図5Aには、図4Aのものより単純なモデルに相当する熱汚れ検知装置を示している。この検知装置は、被加熱ワイヤ510を使用し、その表面は検知表面として機能している。図5Bに示すネットワーク・モデルは上述の実施形態の場合のように一次元である(また代わりの実施形態であり平面等価である)。ここで、熱源は電気及び熱絶縁体上の伝導性膜であり得る。温度により電気抵抗が既知変動する物質、例えば白金が用いられ得る。検知装置500を用いて電圧及び電流を測定することによって、始動時間からの時間を通して電力消費率及び温度が得られ、測定され得る。上述の例の場合のように、温度測定をシステムの適当なモデルに合わせることによってRFの未知の値が導き出され、そしてそこから付着した層の厚さが導き出され得る。
【0034】
図6には、照射源606及び光センサー604を設けたプレート618を備える光学汚れ検知装置640が示されている。ドライバー/検知装置600は、照射源例えばレンズを備えた発光ダイオードに給電し、それにより照射源は、検知表面に物質が付着していない時に検知表面616に直角な方向に光を指向する。612で示すように物質が表面に堆積されている場合は、射源606からの光は物質層612で散乱され、そして散乱光線610で示すように光センサー604で受光される。物質層612の厚さが厚くなるにつれて、散乱は多くなり、一層多くの光が光センサー604で受光される。ドライバー/検知装置600は、散乱光線の閾値量が検知された時に、汚れの特定の程度の表示信号を発生するように構成され得る。照射源606及び光センサー604はライン622を介して電気信号を発生する完全な装置であり得る。或いはそれらは、622で示す光学繊維チャンネルの端子であり得る。後者の場合には、それらは互いに極めて近接して配置され得る。さらに、照射源606及び光センサー604は一対を成し、或いはそれぞれ又は両方とも一つ以上設けられ得る。
【0035】
図7A及び図7Bには別の形式の光学汚れ検知装置822が示され、光源802は、レンズ又は窓804の表面がきれいな時には、矢印(光線を表している)808で示すように光が検知装置806に落ちないように光を指向する。レンズ又は窓804の表面が付着物質で覆われてくると、光源802からの光は矢印810で示すように散乱する。そして散乱光線の幾分かが検知装置806に入る。ドライバー/検知装置(図示していない)は図6の実施形態の場合のように機能して、検知装置806に入った光の量が閾値に達した後、汚れの予め決めた程度を表す表示信号を発生する。支持体814は、光源802及び検知装置806の両方をダクト内の適位置に保持できる。
【0036】
検知装置822は低価格の材料及び設計で構成され得、それで、ダクトを清掃する毎に交換することができることが認められる。従って、検知装置822は単一表示信号を発生し、その後交換される。検知装置822と組み合わされたドライバー/検知装置は、恒久的な構成要素であり得る。時間の経過による汚れ検知装置の性能特性の変化又は不適切なクリーニングの結果を避けるために使い捨て検知装置が好ましい。上述のすべての実施形態は、図7A及び図7Bに関して説明したような一回使用の使い捨て構成要素を含み得る。
【0037】
図6並びに図7A及び図7Bの両方の実施形態においては、単に散乱作用により検知装置に入る光の総量に基づく汚れの表示を行うよりはむしろ、時間の経過に基づく光強度の曲線を得て、記憶することができ、そして汚れ状態となった検知表面の代表的輪郭と比較できる。このことは、付着した物質が乾燥した形態で多く伝播しない場合、例えば油脂粒子がすすを含んでいる場合に好ましい。そのような場合には、検知装置における光強度がある特定の時点でピークに達し、そして付着した物質による更なるブロッキングのために低下する代表的な輪郭となり得る。汚れ検知表示は、ピークを検知することによって又は加えてそこに流れるある一定量の光強度の降下後に発生され得る。
【0038】
図8A及び図8Bには、秤装置を示し、秤750は、ダクト726内のフューム728に晒される検知表面724と、ダクト726内のフューム728の外側すなわちフューム728からシールドされた部分702とを備えている。秤は矩形チャンネル形状であり(しかしその他の形状でもよく)、それで壁732は、壁732と秤750との間の流路728を画定する凹部内に突出している。フュームがダクト726を通って流れる際に、ダクトの外部からの空気は流路728を通って流れ、検知表面724を冷却する。秤750は、開口708で画定したノッチ716によって配置されるナイフ714上で回動し、それで、検知表面724がきれいな時には、検知表面724は平衡状態にあるため水平である。ノッチ716と一致する回動点は重心の上方に位置しているので、秤750は、検知表面724に付着する質量の大きさに応じて異なった角度で平衡状態となる。壁732は、秤750が排気系の動作中にフューム728からの動圧のために回動し過ぎないようにし、それにより検知表面724は常に図8Bにおける輪郭図704で示すように実質的に水平に留まる。汚れ表面724にある一定量の物質が付着すると、秤750は、秤750と接点710とが接触するまで傾斜され、回路を形成し、汚れ状態の表示を行う。上述の実施形態の場合のように、テストは、クロック又は排気系状態の検知装置に従って排気系が作動していない時のみ行われ得る。検知装置700は、最少の時間間隔の間、一定の閉回路が汚れ状態の表示を発生するために維持されなければならないように構成され得る。壁732及び/又はナイフ714は、構造体によって電気回路を規定する仕方に応じて一つ以上の電気絶縁体を備え得る。上述の実施形態の場合のように、秤は、汚れ状態が表示された後、交換される使い捨て構成要素であり得る。
【0039】
図9Aには、別の光学形式の汚れ検知装置を示し、付着した膜で生じた不透明度が検知され、見えなくなる程度は、汚れ状態を表示する基礎として用いられる。光源918は、窓914を通ってウエル902内に設けた検知装置901に向って光を照射する。空気905は、検知装置901を物質で汚さないようにするためにウエル902を通って引き込まれる。光は、矢印912で示すように、検知装置901に向って照射され、検知装置901は検知装置コントローラ908で受光される光量を表す信号を発生する。検知装置コントローラ908は、受光した光量が閾値レベル以下に落ちる時、汚れ状態表示信号を発生する。窓914は、ハウジング919に適当な開口を設けることによって、矢印917で示すように空気の流れによって冷却され得る。検知装置901及び光源918はダクト900の対向側に配置され、それでフュームは窓914に付着される。図9Bには、ダクトの両側すなわち対向側に検知装置の部分を配置する必要のない汚れ検知装置952の代わりの実施形態を示している。光源960はミラー958に向って光を照射し、ミラー958は検知装置962に向って光を反射させる。ミラー958は下方輪郭アーム958で支持され、それで排気はミラーのまわりに流れることができ、排気中の物質をミラー958に容易に付着させることができる。汚れ検知装置952はダクト壁966の単一のアクセス開口に設けられ得る。能動又は受動冷却機構956が設けられ得る。汚れ検知装置952は、ミラーがほぼ任意の所望の角度で配置されすなわち光源960及び検知装置を位置決めするように構成され得る。ミラーの角度は、拡散反射装置又は逆反射装置部材(代表的には向きに関係なく光を光源に戻す球状粒子のベッド)で置き換えられる場合には臨界的ではない。
【0040】
図10aには、汚れ検知装置1000の別の実施形態を示し、レバー1004を使用し、その自由端1020の偏向によって検知表面1018における油脂の付着を表示できるセンサー1008を備えている。レバー1004は、回動点1012に回転可能に取付けられている。バネ1010は、回動点1012のまわりに設けられ、レバーに油脂が付着していない時にレバーを平行な向きに保持して調整される。支持体1014は回動点1012及びバネ1010を介してレバー1004をダクト壁1002に対して固定位置に保持している。ダクト内の流れ1006中の油脂が検知表面1018に付着するにつれて、レバー1004の質量が増加し、レバーは回動点1012のまわりを反時計回りに回転する。センサー1008は、ダクト壁1002の外側の位置でレバー1004と接触して設けられ得る。例えば、センサー1008は歪みゲージであり得る。別の実施形態では、センサー1008は力センサーであり得る。さらに別の例では、センサー1008は、容量センサーのような変位センサーであり得る。センサー1008は、検知表面1018に付着した油脂の付加的な質量によるレバーの動きを表す信号を発生する。コントローラ1016はこの信号を用いて検知表面に付着した油脂量のようなダクトの汚れ状態を測定できる。
【0041】
図10bには、汚れ検知装置1050の別の実施形態を示し、この検知装置1050では片持ち梁1052が使用され、この片持ち梁1052には、それの自由端1062の偏向により検知表面1060における油脂の付着を表すことのできる歪みゲージ1054が設けられている。支持体1056はダクト壁1002に隣接して片持ち梁1052を堅固に固定している。ダクト内の流れ1006中の油脂が検知表面1060に付着するにつれて、片持ち梁1052の質量が増え、片持ち梁は曲がる。歪みゲージ1054は片持ち梁の頂面(又は底面)に設けられ、曲がりの量を測定する。歪みゲージの測定の較正は、片持ち梁自体の重さによる片持ち梁の自然な曲がりを補償するために必要である。従って、歪みゲージ1054は、検知表面1060に付着した油脂の付加的な質量による片持ち梁の曲がりの程度を表す信号を発生する。コントローラ1058はこの信号を用いて、検知表面に付着した油脂量のようなダクトの汚れ状態を測定できる。
【0042】
図11aには、汚れ検知装置1108の汎用化した概要1100を示している。排気ダクトのような空気輸送部材1102は、調理器具のような汚染源1104からの排気流1106を運ぶのに用いられる。排気流1106は油脂エアゾールのようなエアゾールを搬送し得、これらのエアゾールは空気輸送部材1102の内面に付着され得る。汚れ検知装置1108は、エアゾール又はその他の汚染物質の付着を検知するために設けられ得る。特に、汚れ検知装置1108は感知要素1110及びコントローラ1112を備え得る。
【0043】
感知要素1110は、エアゾール又は汚染物質と相互作用できるように空気輸送部材1102における排気流1106中に配置され得る。例えば、感知要素1110は、排気流1106に晒される検知表面を備え得、この検知表面にエアゾール及び/又は汚染物質が付着し、その結果検知表面の性質が変化することになる。
【0044】
コントローラ1112は、感知要素1110に機能的に接続され得る。コントローラ1112は、感知要素1110に問い合わせて、ダクト内の付着したエアゾール及び/又は汚染物質のレベルを表す測定値を得ることができる。例えば、コントローラ1112は、感知要素1110に問い合わせて、検知表面の質量の変化を測定することができる。コントローラ1112は、また、問合せに基づいて順次出力1114を発生するように構成することもできる。例えば、コントローラ1112は、付着した汚染物質の量が予定の閾値を超えた場合にアラーム・システムを作動し得る。コントローラ1112は、また、付着した汚染物質のレベルをユーザに表示することもできる。かかる表示は、相対的に安全なレベルを表す番号又は色付き表示(例えば、緑色は動作するのに安全であることを表し得、黄色は空気輸送部材を直ぐ掃除すべきであることを表し得、又赤色は動作するのに安全でないことを表し得る)の形式を取り得る。コントローラ1112は、また、出力1114を自動空気輸送クリーニング・システムのような他のシステムに供給するようにもでき、自動空気輸送クリーニング・システムは、付着した汚染物質のレベルが予定の閾値に達すると、空気輸送部材1102のクリーニングを行うようにされ得る。
【0045】
図11bには、汚れ検知装置1132の汎用化した概要1130を示している。排気ダクトのような空気輸送部材1102は、調理器具のような汚染源1104からの排気流1106を搬送するのに用いられる。図11aの概要と違って、図11bの汚れ検知装置1132は空気輸送部材1102の外側に設けられて、空気輸送部材壁おけるエアゾール又はその他の汚染物質の付着を検知することができる。特に、汚れ検知装置1132は、源1134と、感知要素1138と、コントローラ1142とを備え得る。従って、汚れ検知装置1132は、排気流1106中の汚染物質から分離されている。源1134は、信号1136を発生することによって空気輸送部材1102の表面に問い合せ、又感知要素1138は問い合せの結果1140を測定して空気輸送部材1102の表面に付着した汚染物質の量を決めるようにしている。例えば、源1134は、音響又は電磁放射線源であり得る。放射線は、ある形態に変更され、そして感知要素1138によって測定される。源1134及び感知要素1138の両方は、空気輸送部材1102の同じ側に配置され得、そして好ましくは源1134から発生され空気輸送部材1102で変更された放射線が感知要素1138で受けられ得るように方向決めされ得る。コントローラ1142は、感知要素1138に機能的に接続され得、そして感知要素の測定値を用いて空気輸送部材1106内の付着した汚染物質のレベルを測定することができる。図11aにおけるコントローラ1112と同様に、コントローラ1142はまた、付着した汚染物質のレベルの測定に基づいて順次出力1144を供給するように構成され得る。
【0046】
特殊な実施形態では、源1134は音響送信機であり、また感知要素1138は音響センサーであり得る。音響送信機は音響信号を発生し得る。この音響信号は空気輸送部材と相互に作用し、反射される。最初の反射は空気輸送部材の外面で起きる。第2の反射は空気輸送部材の内面で起きる。第3の反射は空気輸送部材の内面に付着した汚染物質層の表面で起きる。これらの反射信号は音響センサーで受信される。そしてコントローラは受信した反射信号を用いて、例えば、全体が参照文献として結合される米国特許第6701787号に記載されているように、音響インピーダンスを計算することができる。この音響インピーダンスは付着した層の厚さに関連付けられ得る。
【0047】
さらに別の実施形態では、源1134は放射線源であり、また感知要素1138は遅い中性子検知装置であり得る。例えば、放射線源からの中性子は、ダクトの内面に汚染物質の付着したダクトの壁と相互作用し得る。速く動く中性子は相当には相互作用せずに管壁を貫通して汚染物質中の水素又は炭素原子によって弾性的に散乱され得る。散乱作用は中性子を遅くし、幾分かの中性子は反射され及び/又は放射線源に向って後方拡散し得る。BF3遅い中性子検知装置のような検知装置は、反射した及び/又は拡散した遅い中性子を測定するために放射線源に近い適位置に配置され得る。こうして検知した遅い中性子は、付着した汚染物質の厚さを表している。
【0048】
さらに別の例では、源1134は赤外線(IR)送信機のような電磁放射線源であり、また感知要素1138は電磁放射線センサーであり得る。IR送信機はIR信号を発生し得る。IR信号は空気輸送部材と相互作用し、そしてそれの遭遇する物質で反射及び/又は吸収される。第1の反射は空気輸送部材の外面で生じる。第2の反射は空気輸送部材の内面で生じる。第3の反射は空気輸送部材の内面に付着した汚染物質層の表面で起きる。これらの反射信号は電磁放射線センサーで受信される。そしてコントローラは受信した反射信号を用いて、付着した層の厚さを計算することができる。
【0049】
図11cには、汚れ検知装置1162の汎用化した概要1160を示している。排気ダクトのような空気輸送部材1102は、調理器具のような汚染源1104からの排気流1106を搬送するのに用いられる。汚れ検知装置1162は空気輸送部材1102の外側に設けられた源1166と、感知要素1164と、コントローラ1168とを備え得る。従って、汚れ検知装置1162は、排気流1106中の汚染物質をから分離されている。図11bの概要と違って、図11cの汚れ検知装置1162では、源1166は、感知要素1164に対して空気輸送部材1102の反対側に設けられている。
【0050】
源1166は、信号1170を発生することによって空気輸送部材1102の表面に問い合せ、そして感知要素1164は、空気輸送部材1102で変更された信号1170を測定して空気輸送部材1102の表面に付着した汚染物質の量を決めるようにしている。例えば、源1166は、音響又は電磁放射線源であり得る。放射線は、ある形態に変更され、そして感知要素1164によって測定される。源1166及び感知要素1164の両方は、互いに相対して配置され、そして好ましくは源1166から発生され空気輸送部材1102で変更された放射線は感知要素1164で受けられ得るように方向決めされることが認められる。コントローラ1168は、感知要素1164に機能的に接続され得、そして感知要素の測定値を用いて空気輸送部材1102内の付着した汚染物質のレベルを測定することができる。図11aにおけるコントローラ1112と同様に、コントローラ1168はまた、付着した汚染物質のレベルの測定に基づいて順次出力1172を発生するように構成され得る。
【0051】
特殊な実施形態では、源1166は音響送信機であり、また感知要素1164は音響センサーであり得る。音響送信機は音響信号を発生し得る。この音響信号は空気輸送部材と相互に作用し、反射される。空気輸送部材1102を通って伝送された信号は音響センサーで受信される。そしてコントローラは受信した伝送信号を用いて、付着した層の厚さを計算し得る。
【0052】
さらに別の例では、源1166は赤外線(IR)送信機のような電磁放射線源であり、また感知要素1164は電磁放射線センサーであり得る。IR送信機はIR信号を発生し得る。IR信号は空気輸送部材と相互作用し、そして空気輸送部材内を移行中に遭遇する物質で選択的に吸収される。こうして減衰した伝送信号は電磁放射線センサーで受信される。そしてコントローラは受信した減衰信号を用いて、付着した層の厚さを計算することができる。
【0053】
上記の実施形態のいずれも、ある特定の実施形態を参照して説明したような能動又は受動冷却機構を使用し得る。上記の実施形態のいずれにおいても、クロック、排気系状態の検知(例えばファン駆動信号)表示に基づいて排気系の非運転期間中に及び/又は手動でサンプルを採取し得る。上記の実施形態のいずれにおいても、ある期間に検知した特性をサンプリングし、値を記憶して傾向を取得し、そしてその傾向パターンを用いて瞬時の状態ではなく汚れ状態を特定し得る。かかる傾向は、検知表面の汚れ状態と比較して表示信号の特性を検討し、そして制御に対する適切な基準を設けることによって導き出され得る。予め知られていない排気系の種々の種類の使用による汚れは、汚れ検知装置による相応した応答に各々関連した種々の形式の結果をもたらし得、それでこれらの変動は汚れ状態の表示の精度において改善するように考慮される。
【0054】
本発明はある特定の実施形態を参照して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に記載したように、本発明の範囲から逸脱せずに、上述の実施形態に対して種々の変更、改造及び変形が可能である。従って、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲の文言及びその同等なものによって規定される全範囲に及ぶものである。
【符号の説明】
【0055】
102: 保護シート
104: 振動アクチュエータ
106: 取付け支持体
108,208A〜208C,414,618: プレート
109,302,412,616,724,1018,1060: 検知表面
110,310: センサー/ドライバー
112,900: ダクト
116,708: 開口
120: ガス流
125,225A〜225C,325,350,952,1000,1050,1108,1132,1162: 汚れ検知装置
202A〜202C: 表面
204A〜204C,304: 検出部分
206,354,814,1014,1056: 支持体
330,334,362,415,416: 温度センサー
332,956: 冷却機構
340,1016,1058,1112,1142,1168: コントローラ
352: チャンネル
356,1006: 流れ
358: ダンパー・ブレード
364: チャンネルの伸張部
366: 空気ポンプ
375: 受動冷却式汚れ検知装置
378: ダクト内部
380,422: 外気
400,500,700,806,901,962: 検知装置
410: ヒーター
419: 付着物の層
420: ダクト空気
434: 絶縁体
510: 被加熱ワイヤ
600: ドライバー/検知装置
604: 光センサー
606: 照射源
610: 散乱光線
612: 物質層
622: ライン
640,822: 光学汚れ検知装置
702: シールドされた部分
704: 輪郭図
710: 接点
714: ナイフ
716: ノッチ
728: フューム
732: 壁
750: 秤
802,918,960: 光源
804,914: 窓
808,810,912,917: 矢印
902: ウエル
905: 空気
908: 検知装置コントローラ
919: ハウジング
958: ミラー
966,1002: ダクト壁
1004: レバー
1008: センサー
1010: バネ
1012: 回動点
1020,1062: 自由端
1052: 片持ち梁
1054: 歪みゲージ
1102: 空気輸送部材
1104: 汚染源
1106: 排気流
1110,1138,1164: 感知要素
1114,1144,1172: 出力
1136,1170: 信号
1166: 源
CW: 熱容量
Q: 電力出力
RC: 付着物
RF: 膜抵抗
TD: 温度
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2007年6月13日付けで提出した米国仮特許出願第60/943,626号、発明の名称“ダクト油脂付着物検知装置、システム及び方法”の優先権を主張し、この米国仮特許出願は全て参照文献として本明細書に結合される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、排気換気システム、そしてとくに火災の危険のような起こり得る問題を生じさせる排気システム内に物質が溜まり得る排気換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
排気システムは、被空調空間から汚染物質を除去するのにしばしば用いられる。これらのシステムの多くは排気ダクト及びフードに物質を付着させたり堆積させる排出空気流から不完全に除去されるエアゾールを処理する。例えば、キッチン・レンジ・フードはキッチンから調理フューム(蒸気・煙)を除去する。かかるフュームにはしばしば油脂(グリース)フィルタを用いても完全に除去されない油脂エアゾールが含まれている。長期間稼動の後、ある種の油脂は、排気管路の内側に必然的に付着する。これは火災の危険につながったりその他の望ましくない結果となり得る。
【0004】
キッチンからフュームを除去するため多くの装置が設計され、製造されてきた。天蓋及びバックシェルフフードは普通の形式である。これらは通常、一つ又は複数の調理器具の上方に設けられ、排気ダクトを介してルーフ装着ファンに接続され、ルーフ装着ファンはフードを通して空気を引き込み、外部雰囲気へ放出する。取外し可能なカートリッジ油脂フィルタは、通常、管路の直前のフードに装着される。これらのフィルタは通常、周期的にフードから外されて洗浄して堆積した油脂を除去する。かかるフィルタは完全ではなく、すなわち最も大きな粒子を除去するには有効であるが、排気流中に実質的な量の油脂を残しがちである。フィルタを通過する油脂はフードからの管路内に溜まりそしてファンに堆積し排気システムから一緒に放出され得る。
【0005】
油脂がダクトに付着して溜まったら、そのダクトを清浄することが可能である。この清浄を行う種々のシステムが公知である。ダクトを清浄する必要があるかどうかを決める一つの手段として視覚検査がある。油脂の堆積を検知する別の方法は、“排気システム内における油脂の堆積を監視する方法及び装置”に関する米国特許第3890827号に記載されており、ダクト内に装着され、表面に油脂がどの程度堆積したかを測定するために詳細に検査するために外すことのできる取外し可能なパッチが記載されている。多数のパッチはセットして装着され、油脂の堆積状態を見る際に一つのパッチが外される。
【0006】
火炎検知及び消火は、排気フード及びダクト用の周知の解決法である。従来の火炎検知及び抑制システムは、キッチン排気フード及び管路内に組み込まれ得る。水又は化学消化剤を用いて火災を抑えることができる。例えば、“火炎抑制システム”に関する米国特許第4524835号には化学火炎抑制システムが記載されている。
【0007】
当該技術分野においては管路内における油脂及びその他の汚染物の堆積を検知する好適で信頼できる機構が必要である。視覚検査に基づく公知の方法は冗長であり、信頼できず、また実施するには困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
管路に汚染付着物が堆積した時に測定する自動装置は、ダクトを清浄する又は交換する必要性をメンテナンス個人に又は自動化清浄機器に知らせるのに使用される。堆積した油脂の属性を検知し、そして堆積の表示信号を発生する種々の実施形態の検知装置が使用され得る。かかる殆んどの装置では、好ましくは、付着する傾向のある物質の種類について検量が行われる。複数の好ましい実施形態では、検知装置は、ダクト内のフューム流に対して表面を提示する。好ましい実施形態では、かかる表面は、最悪ケースの温度を表す温度に冷却され、それにより、検知装置の表面における堆積(凝縮による)は少なくとも、監視されることになる管路における最も冷たい表面ほど多くなる。また、好ましくは、検知装置は、フューム流中の油脂に晒すために最悪ケースの位置にできるだけ近接するように位置決めされる。それで例えば、検知装置は、エアゾール流の性質及び管路の形態に依存して高速位置或いは反転又は淀み境界層に位置決めされ得る。
【0009】
好ましい形式の検知装置では、油脂の堆積を検知するのにマイクロスケール装置が用いられる。マイクロスケールは、物質が堆積している物体の共振周波数の変化を検出することによって微量の物質を測定するのに用いられる。マイクロスケールの一例として、ある範囲の周波数にわたって駆動される圧電変換器を使用するものがある。装置を適当に較正することによって、ベースラインに対する質量の変化が測定され、清浄を必要とする閾値と比較される。
【0010】
一実施形態によれば、本発明は、排気流中に表面をもつ部材を配置すること、汚れを表す表面の性質における変化による表面の汚れ状態を表す信号を発生することを含む、ダクト内の汚れ状態を検知する方法である。別の実施形態においては、かかる性質は、光学的不透明度、反射率、光学的散乱、熱伝導率及び質量の少なくとも一つである。別の実施形態では、排気流中に表面をもつ部材を配置することは、使い捨て検知装置を設けることを含み(すなわち備え)、本方法は、さらに、発生後検知装置を交換することを含む。別の実施形態では、本方法は、表面を冷却することを含む。別の実施形態では、本方法は、表面を予定の温度に冷却することを含む。別の実施形態では、性質は、質量を含み、また、信号を発生することは、部材の共振周波数を測定することを含む。別の実施形態では、排気流中に表面をもつ部材を配置することは、フュームの近付く流れに対向するように表面を向けることを含む。別の実施形態では、信号を発生することは、測定した性質の傾向と予定の傾向とを比較して相関関係を特定することを含む。
【0011】
別の実施形態によれば、本発明は、上記の方法のいずれかを実施するのに用いられ得る装置にある。一実施形態において該装置は、表面に堆積した物質の質量を測定する圧電マイクロスケールを備えている。
【0012】
別の実施形態によれば、本発明は、上記の方法のいずれかを実施するシステムにある。該システムは、排気システムが稼動していない時にサンプル(試料)測定を行うコントローラを備え得る。
【0013】
別の実施形態によれば、本発明は、ダクトを通って流れる排気流と流体連通する検知装置を設けることを含む(すなわち備える)、ダクトにおける堆積汚染物のレベルを検知する方法にある。本方法は、さらに、検知装置を用いてダクトにおける堆積汚染物のレベルを測定することを含み得る。本方法は、さらに、かかる測定に基づいて信号を出力することを含み得る。別の実施形態においては、本方法は、さらに、信号の出力に基づいてアラームを作動することを含み得る。別の実施形態においては、本方法は、さらに、信号の出力に基づいて堆積汚染物のレベルをユーザに表示することを含み得る。別の実施形態においては、検知装置は、表面を備える感知要素及び感知要素に問い合わせるコントローラを備え得る。別の実施形態では、検知装置を設けることは、排気流において感知要素の表面を、排気流中の汚染物に晒される最悪ケースの位置となるように方向決めすることを含み得る。別の実施形態では、ダクトにおける堆積汚染物のレベルを測定することは、コントローラを用いること、感知要素に問い合わせてダクトにおける堆積汚染物のレベルを表す測定値を得ることを含み得る。別の実施形態では、本方法は、さらに、検知装置を目標温度に冷却することを含み得る。別の実施形態では、本方法は、さらに、ダクトの壁の実時間モデル、排気流の温度及び/又は雰囲気温度に従って目標温度を決めることを含み得る。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、ダクト中の汚れを検知する方法は、ダクトを通って流れる排気流から物理的に分離されるようにダクトに対して外部に検知装置を配置すること、検知装置を用いてダクトに問い合わせて検知結果を発生すること、及び検知結果をダクトの内面に堆積した汚れの量と相関付けることを含み得る。
【0015】
別の実施形態では、検知装置は、音響源及び音響センサーを備え得、検知装置を設けることは、ダクトの外部の第1側に音響源及び音響センサーを配置することを含み得、上記ダクトに問い合わせることは、音響源からダクトの第1側へ音響信号を伝達すること、及び音響センサーで反射音響信号を測定することを含み得、また上記相関付けることは、音響インピーダンスを計算すること及び音響インピーダンスを堆積した汚れの厚さに関連付けることを含み得る。
【0016】
別の実施形態では、検知装置は、放射性源及び放射性センサーを備え得、上記検知装置を設けることは、ダクトの外部の第1側に放射性源及び放射性センサーを配置すること、ダクトの外部の第2側に放射性源を対向させることを含み得、上記ダクトに問い合わせることは、放射性源から放射性エネルギーを伝送すること及び放射性センサーで放射線を測定することを含み得、また上記相関付けることは、測定した放射線を堆積した汚れの厚さに関連付けることを含み得る。
【0017】
別の実施形態では、検知装置は、放射性源及び放射性センサーを備え得、上記検知装置を設けることは、ダクトの外部の第1側に放射性源を位置決めすること、及び放射性源の反対側のダクトの外部の第2側に放射性センサーを配置することを含み得、上記ダクトに問い合わせることは、放射性源から放射性エネルギーを伝送すること及び放射性センサーで放射線を測定することを含み得、また上記相関付けることは、測定した放射線を堆積した汚れの厚さに関連付けることを含み得る。
【0018】
本発明の目的、利点及び特徴は、添付図面と共に考察する際に本発明の以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に結合されかつ本明細書の一部を成す添付図面には本発明の幾つかの実施形態を例示し、そして上述の概説及び以下の詳細な説明と共に本発明の特徴を説明するのに役立つ。全図面を通して同じ参照番号は同じ要素を表している。
【0020】
【図1】検知装置表面を振動させそしてそれの共振周波数の変化を測定することによって検知装置表面における油脂の堆積を検知するセンサー/ドライバーを備えたダクトに装着されたマイクロスケールを示している。
【図2】汚染物質の堆積し得る多数のダクト表面を模倣するように種々の角度及び位置に装着した検知装置のアレイを示している。
【図3A】能動冷却装置を備えた検知装置を示している。
【図3B】受動冷却装置を備えた検知装置を示している。
【図4A】検知装置表面における付着物の堆積を特定するために検知装置表面の熱特性の変化を用いる検知装置を示している。
【図4B】図4Aの検知装置の応答をモデル化するのに用いられ得るネットワーク・モデルを示している。
【図4C】図4Aの検知装置の動作を例示する温度サンプルのプロットを示している。
【図5A】検知装置表面における付着物の堆積を特定するために検知装置表面の熱特性の変化を用いる別のタイプの検知装置を示している。
【図5B】図5Aの検知装置の応答をモデル化するのに用いられ得るネットワーク・モデルを示している。
【図6】特定量の物質の堆積を検知するために付着膜内の散乱作用に依存する光学検知装置を示している。
【図7A】検知装置における油脂付着物の堆積によって生じた光の散乱を検知する検知装置を示している
【図7B】検知装置における油脂付着物の堆積によって生じた光の散乱を検知する検知装置を示している。
【図8A】傾斜によって検知表面における油脂の堆積を表し得る受動的に冷却される機械的平衡装置を示している。
【図8B】傾斜によって検知表面における油脂の堆積を表し得る受動的に冷却される機械的平衡装置を示している。
【図9A】不透明度の変化を検知することによって物質の堆積を表す他の形式の光学装置を示している。
【図9B】不透明度の変化を検知することによって物質の堆積を表す他の形式の光学装置を示している。
【図10a】自由端の撓みによって検知表面における油脂の堆積を表し得るひずみゲージを備えたレバーを示している。
【図10b】自由端の撓みによって検知表面における油脂の堆積を表し得るひずみゲージを備えた片持ばりを示している。
【図11a】ダクト内の汚れ物質の堆積を測定するためにダクト内の感知要素を備えた汎用化した検知装置の概要を示している。
【図11b】ダクト内の汚れ物質の堆積を測定するためにダクトに対して外部に設けられた源及び感知要素を備えた汎用化した検知装置の概要を示している。
【図11c】ダクト内の汚れ物質の堆積を測定するために感知要素からダクトの反対側に源を備えた汎用化した検知装置の概要を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
さて図1を参照すると、ダクト112は開口116を備え、この開口116を通して汚れ検知装置125が挿入される。汚れ検知装置はプレート108を備え、プレート108は取り外し可能な保護シート102で保護された検知表面109を備えている。圧電結晶体のような振動子アクチュエータ104は、ダクト112に取付けた取り付け支持体106に対してプレート108を振動させる。油脂小滴のような懸濁汚染物粒子を含むガス流120は検知表面109の周りを通過し、懸濁粒子を検知表面に衝突させる。時間の経過により、検知表面109上に被膜が成長していく。被膜はプレート108の質量を増大させ、それでプレートの共振周波数の変化により質量の変化を検知できる。センサー/ドライバー110は、プレート108を振動させかつ共振周波数を検知する駆動信号を供給する。
【0022】
適当な検知装置は当該技術分野において公知であり、低付着速度に対して高い感度の要求される付着検知のためにしばしば用いられる。かかる装置の一例はマイクロスケールである。適用可能な技術の例は以下の特許に示され、各特許はその全体を本明細書に参照文献として結合される。
“付着監視システム”に関する米国特許第6880402号、
“エンドポイント・プラズマ・クリーンによるエッチングからチャンバ壁を保護する方法” に関する米国特許第6124927号、
“半導体製造装置”に関する米国特許第5985032号、
“チャンバ内の付着を監視する方法、プラズマ処理方法、チャンバをドライクリーニングする方法、及び半導体製造装置”に関する米国特許第5897378号、
“複合物質製造における付着厚さの測定” に関する米国特許第5843232号、
“石油を基材とする組成物を分析する及びその中の成分の凝固を感知する音響波センサー装置”に関する米国特許第5661233号、
“処理チャンバの状態を光学的にモニタする手段を備えた半導体デバイスの製造装置及び方法”に関する米国特許第5536359号、
“圧電モニタ結晶体における付着の測定及び制御”に関する米国特許第5112642号、
“厚さ測定ゲージ”に関する米国特許第5666394号、
“パイプライン付着物の特徴化及びパイプライン付着物のモニタリング用音響センサー”に関する米国特許第6701787号、
“パイプ又は容器内の付着物をモニタする装置及び方法”に関する米国特許第5618992号、
“放射性管厚測定”に関する米国特許第3023312号、及び
“赤外線厚さの測定装置”に関する米国特許第4429225号。
【0023】
本目的のために付着膜を検知するために必要な質量測定は、上記の特許に記載されたもののような幾つかの産業において要求されるように正確である必要はない。さらに、物質の実質的な質量は、付着物の形成の適当な表示を提供することができ、それで圧電以外の振動システムは例えばスピーカー・コイル及びバネ又はその他の装置を用いて構成できる。
【0024】
保護シート102は例えば裏面に接着剤を施したプラスチック・シートであり得る。保護シート102を設けることによって、汚れ検知装置は、ガス流から堆積した物質で恒久的に被覆されるを保護され得る。汚れ検知装置125は、センサー/ドライバー110によって表示が発生された後、ダクトから外され、保護シート102は交換され得る。好ましくは、センサー/ドライバー110は、一日に一度又は数日毎に一度のようなスケジュールでテストするように構成される。従って、センサー/ドライバー110にはアラームが設けられ得、或いはセンサー/ドライバー110は、一つ以上の遠隔端子に信号を伝送するためにコンピュータ・ネットワークに接続され得る。
【0025】
図2には多数の汚れ検知装置225A、225B、225Cを保持している支持体206が示されている。各汚れ検知装置は、表面202A、202B、202C、検知部分204A、204B、204Cを備え、これらの検知部分は図1の実施形態の場合のように振動アクチュエータであり得、プレート208A、208B、208Cに堆積した質量を測定する。図2に示すように、汚れ検知装置225A、225B、225Cで例示したように汚れ検知装置に対して種々の取り付け形態が可能である。また、図2に示すように、多数の汚れ検知装置は、汚れの最悪ケースの傾向に応じた形態を導くことが困難である場合には組み合わせられ得る。例えば、汚れ検知装置225Aは汚れ検知装置225Bによってガス流から部分的に“隠され”る。これにより渦及び淀み領域が生じ得、フュームの最悪ケースの付着速度となる。乱流の性質は、方向が最悪ケースの結果となる実際の形態において決めることが可能でないかも知れないように予測するのが難しい。従って、各々異なる方向又は形態(例えば“隠れた”)をもつ多数の検知装置が単一装置において用いられ得る。汚れ検知装置225Aだけが用いられる場合には、代わりに影部材が用いられ得ることが認められる。
【0026】
変えられ得るその他の形態パラメータには、検知装置が影部材の下流に配置される距離、検知装置に対する影部材のサイズ、及び影部材の向き(例えば斜め)が含まれる。また非直線状に及び/又は非対角線状に角度を成すような他の方向決めも可能である。
【0027】
図3Aを参照すると、好ましくは任意の所与形態の検知装置は付着表面を備え、この付着表面は、流れに対する表面の向き及び表面に衝突する流れの形式以外のダクトの最悪ケースの特性をモデル化している。例えば、油脂エアゾールはしばしば、粒子の温度が縮合点に達すると、付着する。汚れを受けるダクト表面は煙の流れより冷たく、従って煙の流れ中では蒸気相にある物質が沈殿し得る。検知装置が少なくとも最悪ケースの部分と同様に有効に物質を集めるのを保証するために、検知装置の付着表面を冷却する機構が使用され得る。図3Aには、能動冷却機構332例えば熱電冷却器を備えた汚れ検知装置325が示されている。センサー/ドライバー110及び検知部分304は、検知表面302に付着した物質の質量を測定する働きをする。熱電対又はサーミスタ或いはその他の適当な温度センサー330が、管路を取巻く空間に対する温度センサーT336と共に設けられ得る。
【0028】
コントローラ340は、公知のフィードバック制御に従って、検知表面302の温度を調整し得、それで検知表面の温度は最悪ケースの管路表面部分にほぼ相応する或いは僅かに悪くなるようにされる。例えばかかる温度は、管路の晒される最低空気温度の温度に維持され得る。かかる温度は、殆どダクト表面の各側における膜抵抗のためにまた存在する場合には絶縁体の抵抗のために、少なくとも定常動作中にあらゆるダクト内面より低い。従って、ダクト内部(排気流に対する温度センサー334で指示される)と雰囲気との間の中間温度を用いるのがより好ましい。
【0029】
好ましくは、目標温度は、ダクト壁の形式、排気流の温度及び/又は雰囲気温度に従って逐次変えられ得、それで実時間最悪ケースの表面温度を達成するようにしている。かかる実時間モデルは、プログラム可能なプロセッサを用いてかつ又、適当なダクト壁モデルの性質と共に指示した温度入力に基づいて容易に構成され得る。例えば、ダクト壁の一次元熱モデルは、伝導、対流及び放射熱伝達の公知の式を用いて導き出され得る。所与排気流量の場合、測定した排気流温度及び雰囲気温度はダクトの表面温度を導き出すために熱モデルで用いられ得る。測定した温度の変化はダクト表面の温度の変化と相関付けられ得る。この計算したダクト表面温度は、検知表面を冷却するための目標温度として用いられ得る。能動冷却機構は、上述の又は下述の汚れ検知装置の実施形態或いはその他のものに適用され得る。
【0030】
図3Bには、受動冷却式汚れ検知装置375を示している。支持体354は、ダクト内部378に汚れ検知装置350を支持している。チャンネル352は、チャンネル352を通る外気380をダクト内部352へ運び、ダクト内部は雰囲気に対して負圧にある。チャンネル352を通しての外気380の流れは汚れ検知装置350と接触し、ダクト内部378の温度に対して汚れ検知装置350を冷却する。調整可能なダンパー・ブレード358はチャンネル352を通る流れ356を調整できるように止める。センサー/ドライバー310は、汚れ検知装置を制御し、そしてまたオペレータが汚れ検知装置350の温度に基づいてダンパー・ブレード358を調整できるように温度センサー362で表示された温度を検知し得る。空気ポンプ366はチャンネルの伸張部364に用いられて、ダクト内部378が低い負圧又は正圧にある時にチャンネル352内へ空気を押込む。能動冷却機構は、上述の又は下述の汚れ検知装置の実施形態又はその他の装置のいずれにも用いられ得る。
【0031】
図4には、熱効果を使用してプレート414の検知表面412に付着した物質の量を測定する汚れ検知装置が示されている。検知装置400は、温度センサー、例えばプレート414のダクト側の空気/ガスの温度及びプレート414の被加熱側の温度を表示するセンサー416、415から相応した信号を受信することで一つ以上の温度をモニタする。ヒーター410は(検知装置400の制御の下で)プレートの温度がモニタされる際にプレート412を加熱する。絶縁体434は雰囲気422によりプレート414の冷却を低減するために設けられ得る。プレート414の温度が上昇する際に、時間と温度との関係は検知表面412における付着物の層419によって発生した絶縁に相応する。検知装置400は、例えば、オフ動作時間が経過しているクロック表示に従ってテストを行う或いは排気系(システム)の状態を検知することにより排気系が止められる時にテストを行うように構成され得る。好ましくは、テストは、ダクト側の雰囲気ガス(空気)420の温度が一定でありしかも流れのない時に行われ、それで付着物の層419によってなされる絶縁が測定され得る。
【0032】
図4Bには、電力出力がQである無限の平面状加熱源についての単純な一次元ネットワーク・モデルを示し、熱は、熱容量がCWであるノードへ及びダクト空気420側における膜抵抗RF及び付着物RCの抵抗に等しい熱抵抗を通ってダクト空気420の温度TDで無限シンクへ熱を伝達する。又図4Cを参照すると、未知である量は、定常ではないモデル(tで表す時間)についての測定温度(例えばRCの高い値に相当する430又はRCの低い値に相当する432)をプロットすることによってRCの値を解くことで得られ得る。同様に、定常状態温度(例えばT1、T2)は補間によって導き出され、そして定常状態モデルにおいて用いられる。このモデルは熱対流のため温度による膜係数の変化を考慮し得、それでRFは温度及び時間の関数であり得ることが認められる。RFについて、付着した層の厚さは、付着した物質のサンプルを用いて得られた較正データによって得られ得る。
【0033】
図5Aには、図4Aのものより単純なモデルに相当する熱汚れ検知装置を示している。この検知装置は、被加熱ワイヤ510を使用し、その表面は検知表面として機能している。図5Bに示すネットワーク・モデルは上述の実施形態の場合のように一次元である(また代わりの実施形態であり平面等価である)。ここで、熱源は電気及び熱絶縁体上の伝導性膜であり得る。温度により電気抵抗が既知変動する物質、例えば白金が用いられ得る。検知装置500を用いて電圧及び電流を測定することによって、始動時間からの時間を通して電力消費率及び温度が得られ、測定され得る。上述の例の場合のように、温度測定をシステムの適当なモデルに合わせることによってRFの未知の値が導き出され、そしてそこから付着した層の厚さが導き出され得る。
【0034】
図6には、照射源606及び光センサー604を設けたプレート618を備える光学汚れ検知装置640が示されている。ドライバー/検知装置600は、照射源例えばレンズを備えた発光ダイオードに給電し、それにより照射源は、検知表面に物質が付着していない時に検知表面616に直角な方向に光を指向する。612で示すように物質が表面に堆積されている場合は、射源606からの光は物質層612で散乱され、そして散乱光線610で示すように光センサー604で受光される。物質層612の厚さが厚くなるにつれて、散乱は多くなり、一層多くの光が光センサー604で受光される。ドライバー/検知装置600は、散乱光線の閾値量が検知された時に、汚れの特定の程度の表示信号を発生するように構成され得る。照射源606及び光センサー604はライン622を介して電気信号を発生する完全な装置であり得る。或いはそれらは、622で示す光学繊維チャンネルの端子であり得る。後者の場合には、それらは互いに極めて近接して配置され得る。さらに、照射源606及び光センサー604は一対を成し、或いはそれぞれ又は両方とも一つ以上設けられ得る。
【0035】
図7A及び図7Bには別の形式の光学汚れ検知装置822が示され、光源802は、レンズ又は窓804の表面がきれいな時には、矢印(光線を表している)808で示すように光が検知装置806に落ちないように光を指向する。レンズ又は窓804の表面が付着物質で覆われてくると、光源802からの光は矢印810で示すように散乱する。そして散乱光線の幾分かが検知装置806に入る。ドライバー/検知装置(図示していない)は図6の実施形態の場合のように機能して、検知装置806に入った光の量が閾値に達した後、汚れの予め決めた程度を表す表示信号を発生する。支持体814は、光源802及び検知装置806の両方をダクト内の適位置に保持できる。
【0036】
検知装置822は低価格の材料及び設計で構成され得、それで、ダクトを清掃する毎に交換することができることが認められる。従って、検知装置822は単一表示信号を発生し、その後交換される。検知装置822と組み合わされたドライバー/検知装置は、恒久的な構成要素であり得る。時間の経過による汚れ検知装置の性能特性の変化又は不適切なクリーニングの結果を避けるために使い捨て検知装置が好ましい。上述のすべての実施形態は、図7A及び図7Bに関して説明したような一回使用の使い捨て構成要素を含み得る。
【0037】
図6並びに図7A及び図7Bの両方の実施形態においては、単に散乱作用により検知装置に入る光の総量に基づく汚れの表示を行うよりはむしろ、時間の経過に基づく光強度の曲線を得て、記憶することができ、そして汚れ状態となった検知表面の代表的輪郭と比較できる。このことは、付着した物質が乾燥した形態で多く伝播しない場合、例えば油脂粒子がすすを含んでいる場合に好ましい。そのような場合には、検知装置における光強度がある特定の時点でピークに達し、そして付着した物質による更なるブロッキングのために低下する代表的な輪郭となり得る。汚れ検知表示は、ピークを検知することによって又は加えてそこに流れるある一定量の光強度の降下後に発生され得る。
【0038】
図8A及び図8Bには、秤装置を示し、秤750は、ダクト726内のフューム728に晒される検知表面724と、ダクト726内のフューム728の外側すなわちフューム728からシールドされた部分702とを備えている。秤は矩形チャンネル形状であり(しかしその他の形状でもよく)、それで壁732は、壁732と秤750との間の流路728を画定する凹部内に突出している。フュームがダクト726を通って流れる際に、ダクトの外部からの空気は流路728を通って流れ、検知表面724を冷却する。秤750は、開口708で画定したノッチ716によって配置されるナイフ714上で回動し、それで、検知表面724がきれいな時には、検知表面724は平衡状態にあるため水平である。ノッチ716と一致する回動点は重心の上方に位置しているので、秤750は、検知表面724に付着する質量の大きさに応じて異なった角度で平衡状態となる。壁732は、秤750が排気系の動作中にフューム728からの動圧のために回動し過ぎないようにし、それにより検知表面724は常に図8Bにおける輪郭図704で示すように実質的に水平に留まる。汚れ表面724にある一定量の物質が付着すると、秤750は、秤750と接点710とが接触するまで傾斜され、回路を形成し、汚れ状態の表示を行う。上述の実施形態の場合のように、テストは、クロック又は排気系状態の検知装置に従って排気系が作動していない時のみ行われ得る。検知装置700は、最少の時間間隔の間、一定の閉回路が汚れ状態の表示を発生するために維持されなければならないように構成され得る。壁732及び/又はナイフ714は、構造体によって電気回路を規定する仕方に応じて一つ以上の電気絶縁体を備え得る。上述の実施形態の場合のように、秤は、汚れ状態が表示された後、交換される使い捨て構成要素であり得る。
【0039】
図9Aには、別の光学形式の汚れ検知装置を示し、付着した膜で生じた不透明度が検知され、見えなくなる程度は、汚れ状態を表示する基礎として用いられる。光源918は、窓914を通ってウエル902内に設けた検知装置901に向って光を照射する。空気905は、検知装置901を物質で汚さないようにするためにウエル902を通って引き込まれる。光は、矢印912で示すように、検知装置901に向って照射され、検知装置901は検知装置コントローラ908で受光される光量を表す信号を発生する。検知装置コントローラ908は、受光した光量が閾値レベル以下に落ちる時、汚れ状態表示信号を発生する。窓914は、ハウジング919に適当な開口を設けることによって、矢印917で示すように空気の流れによって冷却され得る。検知装置901及び光源918はダクト900の対向側に配置され、それでフュームは窓914に付着される。図9Bには、ダクトの両側すなわち対向側に検知装置の部分を配置する必要のない汚れ検知装置952の代わりの実施形態を示している。光源960はミラー958に向って光を照射し、ミラー958は検知装置962に向って光を反射させる。ミラー958は下方輪郭アーム958で支持され、それで排気はミラーのまわりに流れることができ、排気中の物質をミラー958に容易に付着させることができる。汚れ検知装置952はダクト壁966の単一のアクセス開口に設けられ得る。能動又は受動冷却機構956が設けられ得る。汚れ検知装置952は、ミラーがほぼ任意の所望の角度で配置されすなわち光源960及び検知装置を位置決めするように構成され得る。ミラーの角度は、拡散反射装置又は逆反射装置部材(代表的には向きに関係なく光を光源に戻す球状粒子のベッド)で置き換えられる場合には臨界的ではない。
【0040】
図10aには、汚れ検知装置1000の別の実施形態を示し、レバー1004を使用し、その自由端1020の偏向によって検知表面1018における油脂の付着を表示できるセンサー1008を備えている。レバー1004は、回動点1012に回転可能に取付けられている。バネ1010は、回動点1012のまわりに設けられ、レバーに油脂が付着していない時にレバーを平行な向きに保持して調整される。支持体1014は回動点1012及びバネ1010を介してレバー1004をダクト壁1002に対して固定位置に保持している。ダクト内の流れ1006中の油脂が検知表面1018に付着するにつれて、レバー1004の質量が増加し、レバーは回動点1012のまわりを反時計回りに回転する。センサー1008は、ダクト壁1002の外側の位置でレバー1004と接触して設けられ得る。例えば、センサー1008は歪みゲージであり得る。別の実施形態では、センサー1008は力センサーであり得る。さらに別の例では、センサー1008は、容量センサーのような変位センサーであり得る。センサー1008は、検知表面1018に付着した油脂の付加的な質量によるレバーの動きを表す信号を発生する。コントローラ1016はこの信号を用いて検知表面に付着した油脂量のようなダクトの汚れ状態を測定できる。
【0041】
図10bには、汚れ検知装置1050の別の実施形態を示し、この検知装置1050では片持ち梁1052が使用され、この片持ち梁1052には、それの自由端1062の偏向により検知表面1060における油脂の付着を表すことのできる歪みゲージ1054が設けられている。支持体1056はダクト壁1002に隣接して片持ち梁1052を堅固に固定している。ダクト内の流れ1006中の油脂が検知表面1060に付着するにつれて、片持ち梁1052の質量が増え、片持ち梁は曲がる。歪みゲージ1054は片持ち梁の頂面(又は底面)に設けられ、曲がりの量を測定する。歪みゲージの測定の較正は、片持ち梁自体の重さによる片持ち梁の自然な曲がりを補償するために必要である。従って、歪みゲージ1054は、検知表面1060に付着した油脂の付加的な質量による片持ち梁の曲がりの程度を表す信号を発生する。コントローラ1058はこの信号を用いて、検知表面に付着した油脂量のようなダクトの汚れ状態を測定できる。
【0042】
図11aには、汚れ検知装置1108の汎用化した概要1100を示している。排気ダクトのような空気輸送部材1102は、調理器具のような汚染源1104からの排気流1106を運ぶのに用いられる。排気流1106は油脂エアゾールのようなエアゾールを搬送し得、これらのエアゾールは空気輸送部材1102の内面に付着され得る。汚れ検知装置1108は、エアゾール又はその他の汚染物質の付着を検知するために設けられ得る。特に、汚れ検知装置1108は感知要素1110及びコントローラ1112を備え得る。
【0043】
感知要素1110は、エアゾール又は汚染物質と相互作用できるように空気輸送部材1102における排気流1106中に配置され得る。例えば、感知要素1110は、排気流1106に晒される検知表面を備え得、この検知表面にエアゾール及び/又は汚染物質が付着し、その結果検知表面の性質が変化することになる。
【0044】
コントローラ1112は、感知要素1110に機能的に接続され得る。コントローラ1112は、感知要素1110に問い合わせて、ダクト内の付着したエアゾール及び/又は汚染物質のレベルを表す測定値を得ることができる。例えば、コントローラ1112は、感知要素1110に問い合わせて、検知表面の質量の変化を測定することができる。コントローラ1112は、また、問合せに基づいて順次出力1114を発生するように構成することもできる。例えば、コントローラ1112は、付着した汚染物質の量が予定の閾値を超えた場合にアラーム・システムを作動し得る。コントローラ1112は、また、付着した汚染物質のレベルをユーザに表示することもできる。かかる表示は、相対的に安全なレベルを表す番号又は色付き表示(例えば、緑色は動作するのに安全であることを表し得、黄色は空気輸送部材を直ぐ掃除すべきであることを表し得、又赤色は動作するのに安全でないことを表し得る)の形式を取り得る。コントローラ1112は、また、出力1114を自動空気輸送クリーニング・システムのような他のシステムに供給するようにもでき、自動空気輸送クリーニング・システムは、付着した汚染物質のレベルが予定の閾値に達すると、空気輸送部材1102のクリーニングを行うようにされ得る。
【0045】
図11bには、汚れ検知装置1132の汎用化した概要1130を示している。排気ダクトのような空気輸送部材1102は、調理器具のような汚染源1104からの排気流1106を搬送するのに用いられる。図11aの概要と違って、図11bの汚れ検知装置1132は空気輸送部材1102の外側に設けられて、空気輸送部材壁おけるエアゾール又はその他の汚染物質の付着を検知することができる。特に、汚れ検知装置1132は、源1134と、感知要素1138と、コントローラ1142とを備え得る。従って、汚れ検知装置1132は、排気流1106中の汚染物質から分離されている。源1134は、信号1136を発生することによって空気輸送部材1102の表面に問い合せ、又感知要素1138は問い合せの結果1140を測定して空気輸送部材1102の表面に付着した汚染物質の量を決めるようにしている。例えば、源1134は、音響又は電磁放射線源であり得る。放射線は、ある形態に変更され、そして感知要素1138によって測定される。源1134及び感知要素1138の両方は、空気輸送部材1102の同じ側に配置され得、そして好ましくは源1134から発生され空気輸送部材1102で変更された放射線が感知要素1138で受けられ得るように方向決めされ得る。コントローラ1142は、感知要素1138に機能的に接続され得、そして感知要素の測定値を用いて空気輸送部材1106内の付着した汚染物質のレベルを測定することができる。図11aにおけるコントローラ1112と同様に、コントローラ1142はまた、付着した汚染物質のレベルの測定に基づいて順次出力1144を供給するように構成され得る。
【0046】
特殊な実施形態では、源1134は音響送信機であり、また感知要素1138は音響センサーであり得る。音響送信機は音響信号を発生し得る。この音響信号は空気輸送部材と相互に作用し、反射される。最初の反射は空気輸送部材の外面で起きる。第2の反射は空気輸送部材の内面で起きる。第3の反射は空気輸送部材の内面に付着した汚染物質層の表面で起きる。これらの反射信号は音響センサーで受信される。そしてコントローラは受信した反射信号を用いて、例えば、全体が参照文献として結合される米国特許第6701787号に記載されているように、音響インピーダンスを計算することができる。この音響インピーダンスは付着した層の厚さに関連付けられ得る。
【0047】
さらに別の実施形態では、源1134は放射線源であり、また感知要素1138は遅い中性子検知装置であり得る。例えば、放射線源からの中性子は、ダクトの内面に汚染物質の付着したダクトの壁と相互作用し得る。速く動く中性子は相当には相互作用せずに管壁を貫通して汚染物質中の水素又は炭素原子によって弾性的に散乱され得る。散乱作用は中性子を遅くし、幾分かの中性子は反射され及び/又は放射線源に向って後方拡散し得る。BF3遅い中性子検知装置のような検知装置は、反射した及び/又は拡散した遅い中性子を測定するために放射線源に近い適位置に配置され得る。こうして検知した遅い中性子は、付着した汚染物質の厚さを表している。
【0048】
さらに別の例では、源1134は赤外線(IR)送信機のような電磁放射線源であり、また感知要素1138は電磁放射線センサーであり得る。IR送信機はIR信号を発生し得る。IR信号は空気輸送部材と相互作用し、そしてそれの遭遇する物質で反射及び/又は吸収される。第1の反射は空気輸送部材の外面で生じる。第2の反射は空気輸送部材の内面で生じる。第3の反射は空気輸送部材の内面に付着した汚染物質層の表面で起きる。これらの反射信号は電磁放射線センサーで受信される。そしてコントローラは受信した反射信号を用いて、付着した層の厚さを計算することができる。
【0049】
図11cには、汚れ検知装置1162の汎用化した概要1160を示している。排気ダクトのような空気輸送部材1102は、調理器具のような汚染源1104からの排気流1106を搬送するのに用いられる。汚れ検知装置1162は空気輸送部材1102の外側に設けられた源1166と、感知要素1164と、コントローラ1168とを備え得る。従って、汚れ検知装置1162は、排気流1106中の汚染物質をから分離されている。図11bの概要と違って、図11cの汚れ検知装置1162では、源1166は、感知要素1164に対して空気輸送部材1102の反対側に設けられている。
【0050】
源1166は、信号1170を発生することによって空気輸送部材1102の表面に問い合せ、そして感知要素1164は、空気輸送部材1102で変更された信号1170を測定して空気輸送部材1102の表面に付着した汚染物質の量を決めるようにしている。例えば、源1166は、音響又は電磁放射線源であり得る。放射線は、ある形態に変更され、そして感知要素1164によって測定される。源1166及び感知要素1164の両方は、互いに相対して配置され、そして好ましくは源1166から発生され空気輸送部材1102で変更された放射線は感知要素1164で受けられ得るように方向決めされることが認められる。コントローラ1168は、感知要素1164に機能的に接続され得、そして感知要素の測定値を用いて空気輸送部材1102内の付着した汚染物質のレベルを測定することができる。図11aにおけるコントローラ1112と同様に、コントローラ1168はまた、付着した汚染物質のレベルの測定に基づいて順次出力1172を発生するように構成され得る。
【0051】
特殊な実施形態では、源1166は音響送信機であり、また感知要素1164は音響センサーであり得る。音響送信機は音響信号を発生し得る。この音響信号は空気輸送部材と相互に作用し、反射される。空気輸送部材1102を通って伝送された信号は音響センサーで受信される。そしてコントローラは受信した伝送信号を用いて、付着した層の厚さを計算し得る。
【0052】
さらに別の例では、源1166は赤外線(IR)送信機のような電磁放射線源であり、また感知要素1164は電磁放射線センサーであり得る。IR送信機はIR信号を発生し得る。IR信号は空気輸送部材と相互作用し、そして空気輸送部材内を移行中に遭遇する物質で選択的に吸収される。こうして減衰した伝送信号は電磁放射線センサーで受信される。そしてコントローラは受信した減衰信号を用いて、付着した層の厚さを計算することができる。
【0053】
上記の実施形態のいずれも、ある特定の実施形態を参照して説明したような能動又は受動冷却機構を使用し得る。上記の実施形態のいずれにおいても、クロック、排気系状態の検知(例えばファン駆動信号)表示に基づいて排気系の非運転期間中に及び/又は手動でサンプルを採取し得る。上記の実施形態のいずれにおいても、ある期間に検知した特性をサンプリングし、値を記憶して傾向を取得し、そしてその傾向パターンを用いて瞬時の状態ではなく汚れ状態を特定し得る。かかる傾向は、検知表面の汚れ状態と比較して表示信号の特性を検討し、そして制御に対する適切な基準を設けることによって導き出され得る。予め知られていない排気系の種々の種類の使用による汚れは、汚れ検知装置による相応した応答に各々関連した種々の形式の結果をもたらし得、それでこれらの変動は汚れ状態の表示の精度において改善するように考慮される。
【0054】
本発明はある特定の実施形態を参照して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に記載したように、本発明の範囲から逸脱せずに、上述の実施形態に対して種々の変更、改造及び変形が可能である。従って、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲の文言及びその同等なものによって規定される全範囲に及ぶものである。
【符号の説明】
【0055】
102: 保護シート
104: 振動アクチュエータ
106: 取付け支持体
108,208A〜208C,414,618: プレート
109,302,412,616,724,1018,1060: 検知表面
110,310: センサー/ドライバー
112,900: ダクト
116,708: 開口
120: ガス流
125,225A〜225C,325,350,952,1000,1050,1108,1132,1162: 汚れ検知装置
202A〜202C: 表面
204A〜204C,304: 検出部分
206,354,814,1014,1056: 支持体
330,334,362,415,416: 温度センサー
332,956: 冷却機構
340,1016,1058,1112,1142,1168: コントローラ
352: チャンネル
356,1006: 流れ
358: ダンパー・ブレード
364: チャンネルの伸張部
366: 空気ポンプ
375: 受動冷却式汚れ検知装置
378: ダクト内部
380,422: 外気
400,500,700,806,901,962: 検知装置
410: ヒーター
419: 付着物の層
420: ダクト空気
434: 絶縁体
510: 被加熱ワイヤ
600: ドライバー/検知装置
604: 光センサー
606: 照射源
610: 散乱光線
612: 物質層
622: ライン
640,822: 光学汚れ検知装置
702: シールドされた部分
704: 輪郭図
710: 接点
714: ナイフ
716: ノッチ
728: フューム
732: 壁
750: 秤
802,918,960: 光源
804,914: 窓
808,810,912,917: 矢印
902: ウエル
905: 空気
908: 検知装置コントローラ
919: ハウジング
958: ミラー
966,1002: ダクト壁
1004: レバー
1008: センサー
1010: バネ
1012: 回動点
1020,1062: 自由端
1052: 片持ち梁
1054: 歪みゲージ
1102: 空気輸送部材
1104: 汚染源
1106: 排気流
1110,1138,1164: 感知要素
1114,1144,1172: 出力
1136,1170: 信号
1166: 源
CW: 熱容量
Q: 電力出力
RC: 付着物
RF: 膜抵抗
TD: 温度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気流中に配置される表面を備える部材と、
前記部材の表面に向かって光を導くように構成された光源と、
汚れを表す前記表面の性質の変化による表面の汚れ状態を示す信号を生成する制御部と、を備え、
光が検出器へ反射されて戻るように、前記表面は、ミラー、拡散反射装置、及び逆反射装置部材の中のいずれかであり、
前記検出器と前記光源とがともに前記表面とは対向して位置し、前記部材がダクト壁に設けられた単一のアクセス開口に配置され、
前記単一の開口から延びる下方輪郭アームによって前記部材がダクト内に位置するように、前記部材は前記下方輪郭アームによって前記光源と前記検出器とに取り付けられており、
前記性質は、前記表面の光学的反射率であることを特徴とするダクト内の汚れ状態を検知するシステム。
【請求項2】
前記制御部が前記汚れ状態を示す信号を生成した後、交換可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表面を冷却する冷却機構を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
プログラム可能なプロセッサによる温度入力に基づいて、予め定められた温度に前記表面を能動的に冷却する能動冷却機構を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、測定した性質の傾向と予定の傾向とを比較して相関関係を特定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、排気システムが作動していない時にサンプル測定を行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、ある期間に検知した特定をサンプリングし、値を記憶して傾向を取得し、傾向パターンを用いて前記汚れ状態を特定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記予め定められた温度は、前記プログラム可能なプロセッサによるダクト壁のモデルによって、逐次変化することを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記予め定められた温度は、前記温度入力及び前記ダクト壁の特性に基づくことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項1】
排気流中に配置される表面を備える部材と、
前記部材の表面に向かって光を導くように構成された光源と、
汚れを表す前記表面の性質の変化による表面の汚れ状態を示す信号を生成する制御部と、を備え、
光が検出器へ反射されて戻るように、前記表面は、ミラー、拡散反射装置、及び逆反射装置部材の中のいずれかであり、
前記検出器と前記光源とがともに前記表面とは対向して位置し、前記部材がダクト壁に設けられた単一のアクセス開口に配置され、
前記単一の開口から延びる下方輪郭アームによって前記部材がダクト内に位置するように、前記部材は前記下方輪郭アームによって前記光源と前記検出器とに取り付けられており、
前記性質は、前記表面の光学的反射率であることを特徴とするダクト内の汚れ状態を検知するシステム。
【請求項2】
前記制御部が前記汚れ状態を示す信号を生成した後、交換可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表面を冷却する冷却機構を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
プログラム可能なプロセッサによる温度入力に基づいて、予め定められた温度に前記表面を能動的に冷却する能動冷却機構を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、測定した性質の傾向と予定の傾向とを比較して相関関係を特定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、排気システムが作動していない時にサンプル測定を行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、ある期間に検知した特定をサンプリングし、値を記憶して傾向を取得し、傾向パターンを用いて前記汚れ状態を特定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記予め定められた温度は、前記プログラム可能なプロセッサによるダクト壁のモデルによって、逐次変化することを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記予め定められた温度は、前記温度入力及び前記ダクト壁の特性に基づくことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【公開番号】特開2013−83654(P2013−83654A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248262(P2012−248262)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2010−512404(P2010−512404)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(508058169)オーワイ ハルトン グループ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2010−512404(P2010−512404)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(508058169)オーワイ ハルトン グループ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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